(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048889
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】外壁の樋構造
(51)【国際特許分類】
E04B 2/88 20060101AFI20240402BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
E04B2/88
E04F13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155029
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】奈良 栄達
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 麻子
(72)【発明者】
【氏名】青野 真典
【テーマコード(参考)】
2E002
2E110
【Fターム(参考)】
2E002NA04
2E002NB02
2E002NC01
2E002PA04
2E002PA09
2E002RA00
2E002UA01
2E002UA02
2E002UA03
2E002VA00
2E002XA14
2E110AA15
2E110AA57
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA30
2E110BD13
2E110CC02
2E110CC04
2E110DA03
2E110DB12
2E110DC12
2E110GA31
2E110GA33W
2E110GB06Z
2E110GB32W
2E110GB32X
(57)【要約】
【課題】外壁の屋外側に設けられる横樋による雨水の集水機能を確保しつつ、横樋の意匠性を向上させる。
【解決手段】外壁11の樋構造では、外壁11の屋外側に横樋8が設けられている。横樋8は、横樋8の長手方向に延びる横材50及び流路材60を備えている。横材50は、上方に向かって開放されて、流路材60を収容する溝部51を有している。流路材60は、溝部51の内側に配置されて、雨水を受ける流路部61を有している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁の屋外側に横樋が設けられた外壁の樋構造であって、
前記横樋は、前記横樋の長手方向に延びる横材及び流路材を備え、
前記横材は、上方に向かって開放されて前記流路材を収容する溝部を有し、
前記流路材は、前記溝部の内側に配置されて雨水を受ける流路部を有する外壁の樋構造。
【請求項2】
請求項1に記載された外壁の樋構造において、
前記流路部は、雨水を前記横樋の長手方向の端部に位置する前記流路部の端部に向かって前記横樋の長手方向に流す水勾配を有する外壁の樋構造。
【請求項3】
請求項2に記載された外壁の樋構造において、
前記流路部の端部と連結されて雨水を受け入れる縦樋を備えた外壁の樋構造。
【請求項4】
請求項3に記載された外壁の樋構造において、
前記流路部は、前記流路部の端部に設けられて雨水を排水する排水口を有し、
前記縦樋は、前記排水口に接続して雨水が流入する流入口を有する外壁の樋構造。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された外壁の樋構造において、
前記流路材は、前記流路部の屋外側で前記横材に固定された屋外側固定部と、前記流路部の屋内側で前記横材に固定された屋内側固定部と、を有する外壁の樋構造。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載された外壁の樋構造において、
前記横材は、前記外壁を構成する横構成材の屋外側に位置して、前記横構成材に接する外壁の樋構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁の屋外側に横樋が設けられた外壁の樋構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水資源を有効に活用するため、雨水を貯めて活用することが求められており、建物の外壁においても、雨水を貯めるため、雨水を横樋により集水することがある。横樋は、外壁の屋外側に設けられて、雨水を流して集水する。また、このような外壁の樋構造に関し、従来、カーテンウォールの無目に設けられた横樋部とフィックス窓の樋部材に設けられた横樋部のそれぞれにより水を受ける外壁の汚れ防止構造が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の外壁の汚れ防止構造において、カーテンウォールの無目に設けられた横樋部は、化粧カバーの上向きの突片部と、突片部の近傍の係止片と、パネルの下端縁を保持する保持部の屋外側の上端部とにより、無目の長手方向に連続した溝状に形成されている。また、フィックス窓の樋部材に設けられた横樋部では、上枠に、横樋部を備えた断面F字状の樋部材が設けられている。
【0004】
ところが、カーテンウォールの無目に設けられた横樋部は、複数の部分を組み合わせて溝状に形成されており、外観形状を自由に変更するのは難しい。また、フィックス窓の樋部材に設けられた横樋部は、横樋としての機能(例えば、水勾配)を確保するため、外観形状に制限を受ける。そのため、特許文献1に記載された従来の外壁の汚れ防止構造では、横樋部の意匠性の観点から、改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、外壁の屋外側に設けられる横樋による雨水の集水機能を確保しつつ、横樋の意匠性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
外壁の屋外側に横樋が設けられた外壁の樋構造であって、
前記横樋は、前記横樋の長手方向に延びる横材及び流路材を備え、
前記横材は、上方に向かって開放されて前記流路材を収容する溝部を有し、
前記流路材は、前記溝部の内側に配置されて雨水を受ける流路部を有する外壁の樋構造である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外壁の屋外側に設けられる横樋による雨水の集水機能を確保しつつ、横樋の意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態のカーテンウォールを示す正面図である。
【
図2】本実施形態のカーテンウォールを示す横断面図である。
【
図3】本実施形態のカーテンウォールを示す縦断面図である。
【
図4】本実施形態の上方からみた横樋を含むカーテンウォールの横断面図である。
【
図5】本実施形態のカーテンウォールの一部を示す斜視図である。
【
図6】本実施形態の屋外側からみた横樋と屋外材を含むカーテンウォールの正面図である。
【
図7】
図6のX1-X1線で切断した本実施形態のカーテンウォールユニットを示す縦断面図である。
【
図8】
図6のX2-X2線で切断した本実施形態のカーテンウォールユニットを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の外壁の樋構造の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の外壁の樋構造では、横樋が外壁の屋外側に設けられて、雨水が横樋により集水される。外壁は、建物の外壁であり、建物の屋内(室内)と屋外(室外)の間に設置される。横樋は、外壁の屋外側に露出する箇所に設けられて、外壁の屋外側において露出する。以下では、外壁が建物のカーテンウォールである場合を例にとり、外壁の樋構造について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態のカーテンウォール1を示す正面図であり、建物10に設置されたカーテンウォール1を屋外側からみて示している。
図示のように、カーテンウォール1は、建物10に並べて設置される複数のカーテンウォールユニット2を備えている。カーテンウォール1及びカーテンウォールユニット2は、建物10の外壁11の箇所に設置されて、建物10の外壁11を構成している。カーテンウォールユニット2は、カーテンウォール1を構成するパネルユニットであり、建物10への設置前に、予めユニットとして組み立てられる。複数のカーテンウォールユニット2は、上下方向Rと左右方向Sに並べて設置されて、それぞれ隣り合うカーテンウォールユニット2と互いに組み合わされている。
【0012】
なお、建物10に設置したカーテンウォール1(外壁11)を正面からみたときに、上下となる方向が上下方向Rであり、左右となる方向が左右方向Sである。
図1では、上下方向Rは鉛直方向であり、左右方向Sは水平方向である。屋内外方向は、建物10に設置したカーテンウォール1における屋内外方向(室内外方向)である。また、屋内外方向は、建物10に設置したカーテンウォール1を正面からみたときに、前後となる方向であり、
図1では、左右方向Sに直交する水平方向である。このように、カーテンウォール1に関する方向は、建物10に設置した状態での方向で特定する。また、カーテンウォール1に関して屋内側、屋外側とは、建物10に設置した状態での屋内側、屋外側である。
【0013】
図2は、本実施形態のカーテンウォール1を示す横断面図であり、
図3は、本実施形態のカーテンウォール1を示す縦断面図である。
図3では、カーテンウォール1の屋内側に位置する建物10の一部を示している。
図1~
図3に示すように、カーテンウォール1及びカーテンウォールユニット2は、建物10の躯体12の屋外側に配置され、建物10の躯体12に取り付けられて、建物10の屋内と屋外の間に設置されている。
【0014】
カーテンウォールユニット2は、2つのパネル体2Aと、パネル体2Aを囲む枠体3を備えている。複数のカーテンウォールユニット2の枠体3は、それぞれ隣り合うカーテンウォールユニット2の枠体3と互いに組み合わされている。枠体3は、開口部3Aを形成する方形状の開口枠であり、建物10の躯体12に取り付けられる。パネル体2Aは、方形状のガラスパネル体(例えば、板ガラス、複層ガラス、又は、合わせガラス)であり、枠体3の開口部3Aに配置されている。
【0015】
枠体3は、互いに組み合わされた5つの枠4~7(上枠4、下枠5、一対の縦枠6、横中枠7)を有し、枠4~7により、方形状の開口部3Aを形成している。枠体3の枠4~7は、枠体3を構成する枠材であり、それぞれ押出成形により形成された金属製(例えば、アルミニウム合金製)の形材からなる。上枠4、下枠5、及び、横中枠7は、横方向(左右方向S)に延びる横枠であり、一対の縦枠6は、縦方向(上下方向R)に延びる。
【0016】
上枠4と下枠5は、枠体3の上下の横枠であり、枠体3の上部と下部に位置している。一対の縦枠6は、枠体3の左右の側枠であり、枠体3の左右の側部に位置している。上枠4、下枠5、及び、一対の縦枠6の端部同士が接続されて、枠4~6が枠組みされている。横中枠7は、上枠4と下枠5の間に位置する無目であり、一対の縦枠6に接続されて、枠体3の開口部3Aを上下に区画している。パネル体2Aは、枠体3に嵌め込まれて、枠体3の枠4~7に保持されている。
【0017】
カーテンウォールユニット2は、横中枠7の屋外側に位置する横樋8と、一対の縦枠6のそれぞれの屋外側に位置する左右の屋外材20を備えている。カーテンウォール1の屋外側で、横樋8は、横方向に延び、屋外材20は、縦方向に延びる。横樋8は、横中枠7に連結されて、横中枠7から屋外側に突出している。屋外材20は、縦枠6に連結されて、縦枠6から屋外側に突出している。横樋8は、左右の屋外材20に架け渡されて、一方の屋外材20から他方の屋外材20まで延びる。ビス(図示せず)により、横樋8の長手方向(左右方向S)の両側の端部がそれぞれ屋外材20に固定されて、横樋8が左右の屋外材20に取り付けられている。
【0018】
図4は、本実施形態の上方からみた横樋8を含むカーテンウォール1の横断面図である。
図5は、本実施形態のカーテンウォール1の一部を示す斜視図であり、横樋8と屋外材20を斜め上方からみて示している。
図4と
図5では、雨水を模式的に鎖線で示し、雨水の流れる方向を矢印で示している。
図示のように、縦枠6、横中枠7、及び、屋外材20は、それぞれ中空形状に形成されている。また、横樋8と屋外材20は、パネル体2Aよりも屋外側に位置して、屋外側に張り出す。
【0019】
屋外材20は、ボルト30により、縦枠6の屋外面部6A(屋外側の見付け部)に固定され、縦枠6に沿って配置されて、縦枠6の長手方向(上下方向R)に延びる。また、屋外材20は、筒状の2つの中空部21、22(屋外側中空部21、屋内側中空部22)を有している。屋外側中空部21と屋内側中空部22は、屋内外方向Tに並べて形成されて、屋外材20の長手方向(上下方向R)に延びる。屋外側中空部21は、屋内側中空部22の屋外側に位置して、縦枠6、パネル体2A、及び、横中枠7から屋外側に離隔した位置に配置されている。
【0020】
カーテンウォール1は、カーテンウォールユニット2の屋外材20に設けられた縦樋9を備えている。ここでは、縦樋9は、左右の屋外材20のうちの一方の屋外材20の屋外側中空部21を含む筒状の部分である。縦樋9は、縦方向に延び、雨水を下方に向かって流す。また、縦樋9は、屋外材20に一体に形成されて、雨水の流路(縦流路9A)を形成している。縦流路9Aは、縦樋9の内側の空間であり、縦樋9の長手方向(上下方向R)に延びる。縦樋9及び縦流路9Aは、上方と下方に向かって開放されている。
【0021】
カーテンウォール1及びカーテンウォールユニット2は、横樋8により、雨水を横方向に集水し、縦樋9により、雨水を縦方向に集水する。横樋8は、横中枠7に沿って配置されて、横中枠7の長手方向(左右方向S)に延びる。横中枠7は、建物10の外壁11を構成する横構成材40であり、カーテンウォールユニット2とともに外壁11に設置されて、横方向に延びる。横樋8は、横構成材40の屋外側で、左右の屋外材20の間に配置されて、一方の屋外材20の縦樋9に連結されている。
【0022】
横樋8は、横樋8の長手方向に延びる横材50及び流路材60を備えている。横材50と流路材60は、金属製(例えば、アルミニウム合金製)であり、それぞれ上方に向かって開放された溝状に形成されている。横材50は、横樋8において外側に位置する外側材であり、流路材60を収容している。流路材60は、横樋8において内側に位置する内側材であり、横材50の内側に配置されている。横材50と流路材60の間に空所が形成されて、横材50と流路材60により、横樋8が中空形状に形成されている。
【0023】
流路材60は、横材50に取り付けられて、横材50に保持されている。横材50は、流路材60の屋外側から下側を通って屋内側まで配置されて、流路材60を屋外側、下側、及び、屋内側において覆う。カーテンウォール1及び建物10の外壁11の屋外側で、流路材60は、横材50により、屋外側及び下側において遮蔽される。流路材60は、横材50の内側に収容された状態で、横樋8の長手方向に延びる雨水の流路(横流路8A)を形成する。
【0024】
図6は、本実施形態の屋外側からみた横樋8と屋外材20を含むカーテンウォール1の正面図であり、横樋8の流路材60を鎖線で示している。
図7は、
図6のX1-X1線で切断した本実施形態のカーテンウォールユニット2を示す縦断面図であり、
図8は、
図6のX2-X2線で切断した本実施形態のカーテンウォールユニット2を示す縦断面図である。
図6~
図8では、雨水を模式的に鎖線で示し、雨水の流れる方向を矢印で示している。
【0025】
図示のように、横構成材40(横中枠7)は、横樋8及び横材50の屋内側に位置している。また、横構成材40は、パネル体2Aを保持する上下の保持部41と、屋外側に位置する屋外面部42と、横樋8の横材50を受ける受け部43を有している。横構成材40は、上下のパネル体2Aの間に配置されて、上下の溝状の保持部41により、上下のパネル体2Aを保持している。屋外面部42は、横構成材40の屋外側の見付け部であり、屋外側に向けて配置されている。受け部43は、上方に向かって突出するフック形状に形成されたフック部であり、屋外面部42に設けられて、横材50を係止する。
【0026】
横樋8及び横材50は、横構成材40(ここでは、屋外面部42)の屋外側に位置し、屋内外方向Tにおいて、横構成材40に隣接して配置されている。横材50は、横構成材40に沿って配置されて、横構成材40の長手方向に延びる。また、横材50は、上方に向かって開放された溝部51と、横構成材40に係止される係止部52と、流路材60を支持する2つの支持部53、54(屋外側支持部53、屋内側支持部54)を有している。溝部51は、流路材60を収容する収容溝部であり、横樋8の長手方向に延びる。
【0027】
横材50の溝部51は、流路材60の下方に位置する溝底55と、流路材60の屋内外方向Tの両側に位置する2つの溝壁56、57(屋外側溝壁56、屋内側溝壁57)を有し、溝底55と溝壁56、57により、上方に開口する凹状に形成されている。溝部51の溝底55には複数のビスホール58が設けられており、ビスホール58に螺合するビス(図示せず)により、横材50の長手方向の両側の端部が屋外材20に固定されている。
【0028】
溝部51の2つの溝壁56、57は、溝底55から上方に突出し、屋内外方向Tに離隔して、屋内外方向Tにおいて互いに対向する。また、屋外側溝壁56は、流路材60の屋外側に位置し、屋内側溝壁57は、流路材60の屋内側に位置している。流路材60は、溝部51の内側に配置されて、溝底55の上方、及び、2つの溝壁56、57の間に位置している。
【0029】
横材50の係止部52は、溝部51の屋内側溝壁57の屋内側に位置して、横構成材40の受け部43に上方から受けられる。また、係止部52は、受け部43に上方から引っ掛けられて、受け部43に係止される。横材50は、係止部52により、横構成材40に接して、横構成材40に連結される。横材50の溝部51の屋内側で、係止部52により、横材50の溝部51と横構成材40の間の箇所が上方で覆われて、横材50の溝部51と横構成材40の間の箇所への雨水の浸入が妨げられる。
【0030】
横材50の屋外側支持部53と屋内側支持部54は、溝部51の上部から屋内外方向Tに突出する突片(支持片)であり、横材50の長手方向(左右方向S)に延びる。また、屋外側支持部53は、溝部51の屋外側溝壁56から屋内側に突出し、屋内側支持部54は、溝部51の屋内側溝壁57から屋外側に突出している。屋外側支持部53と屋内側支持部54は、屋内外方向Tにおいて、互いに接近する方向に突出して相対する。流路材60は、屋外側支持部53と屋内側支持部54に上方から載置される。
【0031】
流路材60は、雨水を受けて流す溝状の流路部61と、ビス31、32により横材50に固定された2つの固定部62、63(屋外側固定部62、屋内側固定部63)を有している。流路部61は、屋内外方向Tにおいて、横材50の溝部51の2つの溝壁56、57の間、及び、2つの支持部53、54の間に位置している。流路部61は、上方に向かって開放された流路溝であり、流路材60は、流路部61により、雨水の横流路8Aを形成している。横流路8Aは、流路部61の内側の空間である。流路部61及び横流路8Aは、横材50の溝部51の内側に配置され、溝部51に沿って横樋8の長手方向に延びる。その状態で、流路材60は、溝部51を上側において覆う。
【0032】
流路材60の流路部61は、横流路8Aを区画する底面部64及び2つの壁面部65、66(屋外側壁面部65、屋内側壁面部66)を有し、底面部64と壁面部65、66により、上方に開口する凹状に形成されている。底面部64は、流路部61の底部に位置して、屋内外方向Tに沿って配置されている。2つの壁面部65、66は、流路部61の屋内外方向Tの両側の側部に位置して、上下方向Rに沿って配置されている。また、2つの壁面部65、66は、底面部64から上方に突出し、屋内外方向Tに離隔して、屋内外方向Tにおいて互いに対向する。横流路8Aは、底面部64の上側、及び、2つの壁面部65、66の間に形成される。
【0033】
流路材60の屋外側固定部62と屋内側固定部63は、流路部61の上部から屋内外方向Tに突出する突片(固定片)であり、流路材60の長手方向(左右方向S)に延びる。屋外側固定部62は、流路部61の屋外側壁面部65から屋外側に突出して、ビス31により、流路部61の屋外側で横材50に固定されている。屋内側固定部63は、流路部61の屋内側壁面部66から屋内側に突出して、ビス32により、流路部61の屋内側で横材50に固定されている。
【0034】
流路材60の屋外側固定部62は、横材50の屋外側支持部53に上方から載置され、ビス31により、屋外側支持部53に固定されて、屋外側支持部53に支持されている。また、流路材60の屋内側固定部63は、横材50の屋内側支持部54に上方から載置され、ビス32により、屋内側支持部54に固定されて、屋内側支持部54に支持されている。横材50は、支持部53、54により、固定部62、63及び流路材60を支持して、流路材60を保持する。
【0035】
流路部61の屋外側で、屋外側固定部62により、流路部61と横材50(屋外側支持部53)の間の箇所が上方で覆われて、流路部61と横材50の間の箇所への雨水の浸入が妨げられる。また、流路部61の屋内側で、屋内側固定部63により、流路部61と横材50(屋内側支持部54)の間の箇所が上方で覆われて、流路部61と横材50の間の箇所への雨水の浸入が妨げられる。雨水は、固定部62、63のそれぞれの上を流路部61の内側に向かって流れて、流路部61の内側に流入する。
【0036】
横材50、溝部51、流路材60、及び、流路部61の方向に関し、それぞれの長手方向は、横樋8の長手方向である横方向(左右方向S)であり、互いに同じ方向である。横材50、溝部51、流路材60、及び、流路部61は、横樋8の長手方向に連続して延びる。ただし、流路部61(横流路8A)は、雨水を流すため、水勾配を有しており、溝部51の内側で、水平方向に対して傾斜して延びる(
図6参照)。流路部61は、上方から雨水を受けて、雨水を横樋8の長手方向に流し、雨水を集水する。
【0037】
流路部61の端部61A、61B(第1端部61A、第2端部61B)は、流路部61の長手方向における端部であり、横樋8の長手方向の端部に位置している。ここでは、流路部61の長手方向の両側の端部61A、61Bのうち、第1端部61Aは、流路部61の水上側の端部(水上部)であり、第2端部61Bは、流路部61の水下側の端部(水下部)である。そのため、雨水は、流路部61の内側で、第1端部61A側から第2端部61B側に向かって流れる。
【0038】
縦樋9は、流路部61の端部(ここでは、第2端部61B)と連結されて、流路部61の第2端部61Bから雨水を受け入れる。流路部61の第2端部61Bで、横樋8の横流路8Aは、縦樋9の縦流路9Aに接続して、縦樋9の縦流路9Aと繋がる。雨水は、流路部61を第2端部61Bまで流れて、流路部61の第2端部61Bから縦樋9の内側に流入する。縦樋9は、流路部61の第2端部61Bから雨水を受け入れ、雨水は、縦樋9の内側で、縦樋9の長手方向の下方に向かって流れる。また、雨水は、縦樋9の内側で流れ落ちて、縦樋9により集水される。
【0039】
流路材60の流路部61は、雨水を流路部61の第2端部61B及び縦樋9に向かって横樋8の長手方向に流す水勾配を有し、水勾配により、雨水を流路部61の第2端部61Bに向かって誘導する。流路部61の水勾配は、流路部61の第2端部61Bに向かって下る下り勾配であり、流路部61及び流路部61の水勾配は、横樋8の長手方向に延びつつ、流路部61の第2端部61Bに向かって次第に下方に傾斜している。ここでは、流路部61の水勾配は、雨水を流路部61の第1端部61Aから第2端部61Bに向かって横樋8の長手方向に流す水勾配である。即ち、流路部61の水勾配は、流路部61の第1端部61Aから第2端部61Bに向かって下る下り勾配であり、流路部61及び流路部61の水勾配は、流路部61の第1端部61Aから第2端部61Bに向かって次第に下方に傾斜している。雨水は、流路部61の水勾配により、第2端部61Bよりも第1端部61A側の位置から第2端部61Bに向かって誘導されて、第2端部61Bまで流れる。
【0040】
流路材60の流路部61は、流路部61の第2端部61Bに設けられた端壁67及び排水口68を有している(
図4、
図8参照)。流路部61の端壁67と排水口68は、流路部61の第2端部61Bで、屋内外方向Tに隣り合う。端壁67は、流路部61の底面部64から上方に突出して、流路部61の第2端部61Bにおける屋内側の箇所を塞ぐ。排水口68は、雨水を排水する開口であり、端壁67の屋外側に位置している。また、排水口68は、横樋8の長手方向において、流路部61の内側(横流路8A)と外側に向かって開放されている。雨水は、排水口68により、流路部61の第2端部61Bから縦樋9に向かって排水される。
【0041】
縦樋9は、流路部61の第2端部61Bから雨水が流入する流入口9Bを有している(
図4、
図5参照)。流入口9Bは、縦樋9における流路部61の第2端部61Bと連結される部分に設けられた開口であり、縦樋9の内側(縦流路9A)と外側に向かって開放されている。また、流入口9Bは、縦樋9に形成された孔(流入孔)であり、流路部61の排水口68に重ね合わせて配置されて、排水口68に接続する。流路部61と縦樋9は、排水口68と流入口9Bを介して連通する。雨水は、排水口68から流入口9Bに向かって排水されて、流入口9Bに流入する。縦樋9は、流入口9Bから雨水を受け入れて、雨水を集水する。
【0042】
以上説明したカーテンウォール1では、横樋8の流路材60により、雨水を受けて流すことができる。また、横樋8を屋外側からみたときに、横樋8の横材50により、流路材60が視認されるのを妨げることができる。横材50を横樋8としての機能(例えば、水勾配)にとらわれずにデザインできるため、横材50により、横樋8の外観を自由に設定することもできる。そのため、カーテンウォール1の屋外側に設けられる横樋8による雨水の集水機能を確保しつつ、横樋8の意匠性を向上させることができる。
【0043】
流路材60の流路部61の水勾配により、雨水を流路部61の第2端部61Bに向かって誘導して集水することができる。また、雨水を流路部61から縦樋9に向かって誘導して、雨水を円滑に集水することができる。流路部61の排水口68と縦樋9の流入口9Bを介して、流路部61の第2端部61Bから縦樋9に雨水を確実に流して、縦樋9により雨水を円滑に受け入れることができる。
【0044】
流路材60の屋外側固定部62と屋内側固定部63を横材50に固定することで、流路材60を横材50に安定して保持して、流路材60が横材50から脱落するのを防止することができる。また、横材50が横構成材40に接しており、横材50と横構成材40の間の箇所に雨水が浸入するのを抑制して、カーテンウォール1を流れ落ちる雨水を横樋8の流路材60に向かって流すことができる。
【0045】
なお、屋外材20に相当する部分(屋外部)を縦枠6に一体に形成して、縦樋9を縦枠6に設けてもよい。このように、縦樋9は、縦枠6の一部であってもよく、縦枠6とは別の部材であってもよい。横材50は、横構成材40に直接に接していてもよく、横構成材40との間に別の部材(例えば、ゴム等の水密材)を挟んで、横構成材40に間接に接していてもよい。横構成材40は、横中枠7に限定されず、横中枠7以外の横構成材(例えば、上枠4、下枠5)であってもよい。外壁11は、建物10のカーテンウォール1に限定されず、他の外壁であってもよい。
【0046】
カーテンウォールユニット2の左右の屋外材20のそれぞれに縦樋9を設けて、流路部61の両側の端部61A、61Bのそれぞれに縦樋9を連結してもよい。この場合には、流路部61及び流路部61の水勾配を流路部61の長手方向の中間部(例えば、中央部)から両側の端部61A、61Bのそれぞれに向かって次第に下方に傾斜させる。これに伴い、流路部61の水勾配は、雨水を流路部61の長手方向の中間部から両側の端部61A、61Bのそれぞれに向かって横樋8の長手方向に流す水勾配になる。流路部61の水勾配は、流路部61の長手方向の中間部から両側の端部61A、61Bのそれぞれに向かって下る下り勾配であり、雨水は、流路部61の水勾配により、流路部61の長手方向の中間部の両側で端部61A、61Bに向かって誘導される。縦樋9は、流路部61の長手方向の両側に位置して、それぞれ連結された流路部61の端部61A、61Bから雨水を受け入れる。
【0047】
以上のとおり、本実施形態では、以下の(1)~(6)に記載された外壁の樋構造を開示している。
【0048】
(1) 外壁の屋外側に横樋が設けられた外壁の樋構造であって、
前記横樋は、前記横樋の長手方向に延びる横材及び流路材を備え、
前記横材は、上方に向かって開放されて前記流路材を収容する溝部を有し、
前記流路材は、前記溝部の内側に配置されて雨水を受ける流路部を有する外壁の樋構造。
(1)に記載された外壁の樋構造では、外壁の屋外側に設けられる横樋による雨水の集水機能を確保しつつ、横樋の意匠性を向上させることができる。
【0049】
(2) (1)に記載された外壁の樋構造において、
前記流路部は、雨水を前記横樋の長手方向の端部に位置する前記流路部の端部に向かって前記横樋の長手方向に流す水勾配を有する外壁の樋構造。
(2)に記載された外壁の樋構造では、流路部の水勾配により、雨水を流路部の端部に向かって誘導して集水することができる。
【0050】
(3) (2)に記載された外壁の樋構造において、
前記流路部の端部と連結されて雨水を受け入れる縦樋を備えた外壁の樋構造。
(3)に記載された外壁の樋構造では、流路部の水勾配により、雨水を流路部から縦樋に向かって誘導して、雨水を円滑に集水することができる。
【0051】
(4) (3)に記載された外壁の樋構造において、
前記流路部は、前記流路部の端部に設けられて雨水を排水する排水口を有し、
前記縦樋は、前記排水口に接続して雨水が流入する流入口を有する外壁の樋構造。
(4)に記載された外壁の樋構造では、流路部の排水口と縦樋の流入口を介して、流路部の端部から縦樋に雨水を確実に流して、縦樋により雨水を円滑に受け入れることができる。
【0052】
(5) (1)ないし(4)のいずれかに記載された外壁の樋構造において、
前記流路材は、前記流路部の屋外側で前記横材に固定された屋外側固定部と、前記流路部の屋内側で前記横材に固定された屋内側固定部と、を有する外壁の樋構造。
(5)に記載された外壁の樋構造では、流路材の屋外側固定部と屋内側固定部を横材に固定することで、流路材を横材に安定して保持して、流路材が横材から脱落するのを防止することができる。
【0053】
(6) (1)ないし(5)のいずれかに記載された外壁の樋構造において、
前記横材は、前記外壁を構成する横構成材の屋外側に位置して、前記横構成材に接する外壁の樋構造。
(6)に記載された外壁の樋構造では、横材と横構成材の間の箇所に雨水が浸入するのを抑制して、外壁を流れ落ちる雨水を横樋の流路材に向かって流すことができる。
【符号の説明】
【0054】
1・・・カーテンウォール、2・・・カーテンウォールユニット、2A・・・パネル体、3・・・枠体、3A・・・開口部、4・・・上枠、5・・・下枠、6・・・縦枠、6A・・・屋外面部、7・・・横中枠、8・・・横樋、8A・・・横流路、9・・・縦樋、9A・・・縦流路、9B・・・流入口、10・・・建物、11・・・外壁、12・・・躯体、20・・・屋外材、21・・・屋外側中空部、22・・・屋内側中空部、30・・・ボルト、31・・・ビス、32・・・ビス、40・・・横構成材、41・・・保持部、42・・・屋外面部、43・・・受け部、50・・・横材、51・・・溝部、52・・・係止部、53・・・屋外側支持部、54・・・屋内側支持部、55・・・溝底、56・・・屋外側溝壁、57・・・屋内側溝壁、58・・・ビスホール、60・・・流路材、61・・・流路部、61A・・・第1端部、61B・・・第2端部、62・・・屋外側固定部、63・・・屋内側固定部、64・・・底面部、65・・・屋外側壁面部、66・・・屋内側壁面部、67・・・端壁、68・・・排水口、R・・・上下方向、S・・・左右方向、T・・・屋内外方向。