(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048900
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】油圧ユニット
(51)【国際特許分類】
F15B 1/26 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
F15B1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155052
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 宏年
【テーマコード(参考)】
3H086
【Fターム(参考)】
3H086AA03
3H086AA09
3H086AF15
3H086AF23
(57)【要約】
【課題】油タンク内の作動油への水や冷却液の混入の抑制できる油圧ユニットを提案する。
【解決手段】油圧ユニット(1)は、作動油を収容する油タンク(10)と、油タンク(10)内の作動油をアクチュエータに供給する油圧ポンプ(30)と、油圧ポンプ(30)の吐出口(30a)とアクチュエータとの間の流路から作動油を油タンク(10)に戻す第1戻り配管(L1,L2,L3,L4,L5)と、油タンク(10)内に配置され、油タンク(10)内の作動油と冷却液との間で熱交換する第1熱交換部(70)と、第1熱交換部(70)に接続され、冷却液を第1熱交換部(70)に供給するための配管部(L11,L12,71,72)とを備え、配管部(L11,L12,71,72)は、油タンク(10)内の作動油への水または冷却液の混入を抑制する構造を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油を収容する油タンク(10)と、
上記油タンク(10)内の作動油をアクチュエータに供給する油圧ポンプ(30)と、
上記油圧ポンプ(30)の吐出口(30a)と上記アクチュエータとの間の流路から作動油を上記油タンク(10)に戻す第1戻り配管(L1,L2,L3,L4,L5)と、
上記油タンク(10)内に配置され、上記油タンク(10)内の作動油と冷却液との間で熱交換する第1熱交換部(70,170)と、
上記第1熱交換部(70,170)に接続され、上記冷却液を上記第1熱交換部(70,170)に供給するための配管部(L11,L12,71,72,170a,170c)と
を備え、
上記配管部(L11,L12,71,72,170a,170c)は、上記油タンク(10)内の作動油への水または上記冷却液の混入を抑制する構造を有する、油圧ユニット(1,2)。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧ユニット(1)において、
上記配管部(L11,L12,71,72)は、上記油タンク(10)内の油面上に露出する露出部分(71,72)を有し、
上記配管部(L11,L12,71,72)の上記露出部分(71,72)は、内管(L11a,L12a)とその内管(L11a,L12a)を収容する外管(71a,72a)とを有する2重管であって、上記油タンク(10)内の作動油への水の混入を抑制する構造であり、
上記冷却液が上記内管(L11a,L12a)内を流れると共に、上記第1戻り配管(L1,L2,L3,L4,L5)を介して上記油タンク(10)に戻る作動油が上記内管(L11a,L12a)の外周面と上記外管(71a,72a)の内周面との間を流れる、油圧ユニット(1)。
【請求項3】
請求項1に記載の油圧ユニット(2)において、
上記配管部(L11,L12,170a,170c)は、上記油タンク(10)を貫通する第1配管部(170a,170c)と、上記第1配管部(170a,170c)に上記油タンク(10)外で連結された第2配管部(L11,L12)とを有し、
上記油タンク(10)内の作動油への上記冷却液の混入を抑制する構造は、上記第1配管部(170a,170c)と上記第2配管部(L11,L12)とを連結する継手構造(TB)である、油圧ユニット(2)。
【請求項4】
請求項3に記載の油圧ユニット(2)において、
上記油タンク(10)は、上記第1配管部(,170a,170c)が貫通する貫通穴(10b)を有し、
上記継手構造(TB)は、上記油タンク(10)の上記貫通穴(10b)に一端が接続され、他端から上記第1配管部(,170a,170c)の先端が突出する第1接続部(TB1)と、上記第1接続部(TB1)から突出した上記第1配管部(170a,170c)の先端と上記第2配管部(L11,L12)とが接続された第2接続部(TB2)とを有する、油圧ユニット(2)。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の油圧ユニット(1,2)において、
上記アクチュエータから排出された作動油を上記油タンク(10)に戻す第2戻り配管(L41,L42,L43,L44)と、
上記油圧ポンプ(30)の吸込口(30b)に一端が接続され、他端の入口が上記油タンク(10)内に位置する吸込管(31)と
を備え、
上記アクチュエータから上記第2戻り配管(L41,L42,L43,L44)を介して上記油タンク(10)に戻る作動油を、上記第1熱交換部(70,170)を介して上記吸込管(31)の上記他端の入口に案内する流路制御板(36)を備える、油圧ユニット(1,2)。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の油圧ユニット(1,2)において、
上記第1熱交換部(70,170)に供給される上記冷却液の流量を調整する流量制御弁(V1)と
上記油タンク(10)内の作動油の温度Toが所定の第1作動油温度To1以上かつ所定の第2作動油温度To2(>To1)以下になるように、上記流量制御弁(V1)の開度を調整する制御部(60)と、
を備える、油圧ユニット(1,2)。
【請求項7】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の油圧ユニット(1,2)において、
上記油圧ポンプ(30)を駆動するモータ(40)と、
上記モータ(40)を駆動するデバイス(61)と、
上記デバイス(61)と上記第1戻り配管(L1,L2,L3,L4,L5)を流れる作動油との間で熱交換する第2熱交換部(80)と
を備える、油圧ユニット(1,2)。
【請求項8】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の油圧ユニット(1,2)において、
上記油圧ポンプ(30)を駆動するモータ(40)と、
上記モータ(40)と上記第1戻り配管(L1,L2,L3,L4,L5)を流れる作動油との間で熱交換する第3熱交換部(90)と
を備える、油圧ユニット(1,2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ユニットとしては、油圧ポンプを駆動するモータと、作動油を冷却する空冷式冷却器とを備え、送風ファンにより発生する空気流によってモータおよび空冷式冷却器を冷却するものがある(例えば、特開2008-8252号公報(特許文献1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記油圧ユニットでは、周囲環境の温度が高くなると、作動油も高温となるため、空冷式冷却器の冷却能力が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、作動油の冷却能力を向上させるため、油タンク内に水冷式冷却器として熱交換器を配置して、熱交換器により水と作動油との熱交換することにより作動油を冷却する油圧ユニットが考えられる。
【0006】
しかしながら、このような油タンク内に配置された熱交換器により作動油を冷却する水冷式の油圧ユニットでは、油タンク内の結露や水漏れが生じると、油タンク内の作動油に水が混入する恐れがある。
【0007】
本開示では、油タンク内の作動油への水や冷却液の混入の抑制できる油圧ユニットを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様の油圧ユニットは、
作動油を収容する油タンクと、
上記油タンク内の作動油をアクチュエータに供給する油圧ポンプと、
上記油圧ポンプの吐出口と上記アクチュエータとの間の流路から作動油を上記油タンクに戻す第1戻り配管と、
上記油タンク内に配置され、上記油タンク内の作動油と冷却液との間で熱交換する第1熱交換部と、
上記第1熱交換部に接続され、上記冷却液を上記第1熱交換部に供給するための配管部と
を備え、
上記配管部は、上記油タンク内の作動油への水または上記冷却液の混入を抑制する構造を有する。
【0009】
本開示によれば、油タンク内の作動油への水または冷却液の混入を抑制する構造を有する配管部によって、冷却液を第1熱交換部に供給するので、油タンク内の作動油への水や冷却液の混入の抑制できる。
【0010】
また、本開示の第2の態様に係る油圧ユニットは、
第1の態様の油圧ユニットにおいて、
上記配管部は、上記油タンク内の油面上に露出する露出部分を有し、
上記配管部の上記露出部分は、内管とその内管を収容する外管とを有する2重管であって、上記油タンク内の作動油への水の混入を抑制する構造であり、
上記冷却液が上記内管内を流れると共に、上記第1戻り配管を介して上記油タンクに戻る作動油が上記内管の外周面と上記外管の内周面との間を流れる。
【0011】
本開示によれば、配管部の露出部分である2重管の内管内を冷却液が流れると共に、第1戻り配管を介して油タンクに戻る作動油が2重管の内管の外周面と外管の内周面との間を流れるので、油タンク内の油面上に露出する配管部の露出部分の結露を抑制でき、結露水が油タンク内の作動油に混入するのを抑制できる。
【0012】
また、本開示の第3の態様に係る油圧ユニットは、
第1の態様の油圧ユニットにおいて、
上記配管部は、上記油タンクを貫通する第1配管部と、上記第1配管部に上記油タンク外で連結された第2配管部とを有し、
上記油タンク内の作動油への上記冷却液の混入を抑制する構造は、上記第1配管部と上記第2配管部とを連結する継手構造である、油圧ユニット。
【0013】
本開示によれば、油タンクを貫通する第1配管部に油タンク外で第2配管部を継手構造により連結しているので、第1配管部と第2配管部との連結部分で冷却液が漏れても、油タンク内に冷却液が混入するのを抑制できる。
【0014】
また、本開示の第4の態様に係る油圧ユニットは、
第3の態様の油圧ユニットにおいて、
上記油タンクは、上記第1配管部が貫通する貫通穴を有し、
上記継手構造は、上記油タンクの上記貫通穴に一端が接続され、他端から上記第1配管部の先端が突出する第1接続部と、上記第1接続部から突出した上記第1配管部の先端とが接続された第2接続部とを有する。
【0015】
本開示によれば、第1配管部と第2配管とを油タンク外で容易に連結できる。
【0016】
また、本開示の第5の態様に係る油圧ユニットは、
第1の態様から第4の態様までのいずれか1つの油圧ユニットにおいて、
上記アクチュエータから排出された作動油を上記油タンクに戻す第2戻り配管と、
上記油圧ポンプの吸込口に一端が接続され、他端の入口が上記油タンク内に位置する吸込管と
を備え、
上記アクチュエータから上記第2戻り配管を介して上記油タンクに戻る作動油を、上記第1熱交換部を介して上記吸込管の上記他端の入口に案内する流路制御板を備える。
【0017】
本開示によれば、流路制御板によって第1熱交換部による作動油の冷却効率を向上できる。
【0018】
また、本開示の第6の態様に係る油圧ユニットは、
第1の態様から第5の態様までのいずれか1つの油圧ユニットにおいて、
上記第1熱交換部に供給される上記冷却液の流量を調整する流量制御弁と
上記油タンク内の作動油の温度が所定の第1作動油温度To1以上かつ所定の第2作動油温度To2(>To1)以下になるように、上記流量制御弁の開度を調整する制御部と、
を備える。
【0019】
本開示によれば、作動油を適切な温度に保つことができる。
【0020】
また、本開示の第7の態様に係る油圧ユニットは、
第1の態様から第6の態様までのいずれか1つの油圧ユニットにおいて、
上記油圧ポンプを駆動するモータと、
上記モータを駆動するデバイスと、
上記デバイスと上記第1戻り配管を流れる作動油との間で熱交換する第2熱交換部と
を備える。
【0021】
本開示によれば、第1熱交換部により冷却された作動油を用いてデバイスを冷却でき、冷却水による冷却に比べて冷やし過ぎによる結露の発生を抑制できる。
【0022】
また、本開示の第8の態様に係る油圧ユニットは、
第1の態様から第6の態様までのいずれか1つの油圧ユニットにおいて、
上記油圧ポンプを駆動するモータと、
上記モータと上記第1戻り配管を流れる作動油との間で熱交換する第3熱交換部と
を備える。
【0023】
本開示によれば、第1熱交換部により冷却された作動油を用いてモータを冷却でき、冷却水による冷却に比べて冷やし過ぎによる結露の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の第1実施形態の油圧ユニットの回路図である。
【
図2】第1実施形態の油圧ユニットの前面側を斜め上方から見た斜視図である。
【
図3】第1実施形態の油圧ユニットの後面側を斜め上方から見た斜視図である。
【
図4】第1実施形態の油圧ユニットの第1,第2保護カバーを外した状態の斜視図である。
【
図5】第1実施形態の油圧ユニットの第1,第2保護カバーとモータと油圧ポンプなどを外した状態の斜視図である。
【
図6】
図5の油圧ユニットから架台と油タンクなどを外した状態の斜視図である。
【
図8】第1実施形態の油圧ユニットの第1熱交換部の継手構造の断面図である。
【
図9】第1実施形態の油圧ユニットの第1,第2保護カバーを外した状態を後面側かつ斜め上方から見た斜視図である。
【
図10】
図9の油圧ユニットからモータと油圧ポンプなどを外した状態の斜視図である。
【
図11】
図10の油圧ユニットから油タンクなどを外した状態を後面側から見た側面図である。
【
図12】第1実施形態の油圧ユニットを後面側かつ斜め下方から見た斜視図である。
【
図13】第1実施形態の油圧ユニットのモータの側面図である。
【
図14】第1実施形態の配管を外した状態のモータの上面図である。
【
図15】第1実施形態の配管を外した状態のモータの下面図である。
【
図16】本開示の第2実施形態の油圧ユニットの回路図である。
【
図17】第2実施形態の油圧ユニットの前面側を斜め上方から見た斜視図である。
【
図18】第2実施形態の油圧ユニットの後面側を斜め上方から見た斜視図である。
【
図19】第2実施形態の油圧ユニットの油タンクを外した状態の斜視図である。
【
図21】第2実施形態の油圧ユニットの第1熱交換部の側面図である。
【
図22】第2実施形態の油圧ユニットの第1熱交換部の継手構造の断面図である。
【
図23】第2実施形態の油圧ユニットの油タンクと第1熱交換部などを外した状態の斜視図である。
【
図24】
図23の状態の油圧ユニットからモータと油圧ポンプなどを外した状態の斜視図である。
【
図25】第2実施形態の油圧ユニットの油タンクを外した状態の斜視図である。
【
図26】第2実施形態の油圧ユニットの油タンクと第1熱交換部などを外した状態の斜視図である。
【
図27】
図26の油圧ユニットからモータと油圧ポンプなどを外した状態の斜視図である。
【
図28】
図27の状態の油圧ユニットの後面側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施形態を説明する。なお、図面において、同一の参照番号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の図面上の寸法は、図面の明瞭化と簡略化のために実際の尺度から適宜変更されており、実際の相対寸法を表してはいない。
【0026】
〔第1実施形態〕
図1は、本開示の第1実施形態の油圧ユニット1の回路図である。この油圧ユニット1は、油タンク10が架台20(
図2に示す)の下部に取り付けられた構成をしている。油圧ユニット1は、射出成形機、プレス機、工作機械などの産業機械(主機)に用いられる(第2実施形態の油圧ユニット2も同様)。
【0027】
油圧ユニット1は、
図1に示すように、作動油を貯める油タンク10と、主機側のアクチュエータ(例えば油圧シリンダ)に作動油を供給する固定容量型の油圧ポンプ30と、油圧ポンプ30を駆動する回転数可変のモータ40と、油圧ポンプ30の吐出口30aに接続されたリリーフ弁50と、油圧ポンプ30の吐出圧力を検出する圧力センサPS1と、モータ40の回転数を制御するコントローラ60と、油タンク10内の作動油を冷却する第1熱交換部70とを備えている。コントローラ60は、制御部の一例である。
【0028】
油圧ユニット1のポンプポートPを、配管(図示せず)を介して主機側に接続している。また、油圧ユニット1のタンクポートT1を、配管(図示せず)を介して主機側に接続している。油圧ポンプ30は、サクションストレーナ32とサクションパイプ31を介して油タンク10内の作動油を吸込口30bから吸い込み、吐出口30aから作動油を吐出する。
【0029】
油圧ポンプ30の吸込口30bにサクションパイプ31の上端が接続されている。サクションパイプ31の下端(入口)にサクションストレーナ32が接続されている。サクションパイプ31は、吸込管の一例である。サクションパイプ31の入口は、油タンク10内に位置する。
【0030】
リリーフ弁50とドレンホースL10を介して作動油を油タンク10に戻す。
【0031】
油圧ポンプ30の吐出口30aとアクチュエータとの間の流路からの作動油が、絞り51と配管L1を介して第2熱交換部80に供給される。第2熱交換部80に供給された作動油は、第2熱交換部80から配管L2を介して第3熱交換部90に供給される。第3熱交換部90に供給された作動油は、第3熱交換部90から配管L3,L4を介して油タンク10に戻ると共に、第3熱交換部90から配管L3,L5を介して油タンク10に戻る。そして、配管L4に2重管71が設けられている。配管L5に2重管72が設けられている。
【0032】
配管L1,L2,L3,L4,L5は、第1戻り配管の一例である。
【0033】
また、冷却水を供給する外部供給源(図示せず)と第1熱交換部70の入口とを配管L11を介して接続し、第1熱交換部70の出口と外部とが配管L12と電磁弁V1と排水管L13とを介して接続されている。電磁弁V1は、流量制御弁の一例である。
【0034】
コントローラ60は、主機側からの圧力指令信号,流量指令信号や圧力センサPS1からの圧力信号などに基づいて、モータ40の回転数を制御すると共に電磁弁V1の開閉を行う。なお、この実施形態では、固定容量型の油圧ポンプ30を用いたが、可変容量型の油圧ポンプを用いてもよい。
【0035】
この第1実施形態の油圧ユニット1は、
図1に示すように、第1熱交換部70により冷却された油タンク10内の作動油を、油圧ポンプ30から絞り51を介して第2熱交換部80,第3熱交換部90に供給することにより、第2熱交換部80によりコントローラ60のデバイス61を冷却すると共に、第3熱交換部90によりモータ40を冷却する。
【0036】
油圧ユニット1は、油タンク10内の作動油の温度を検出する温度センサ(図示せず)を備える。コントローラ60は、温度センサにより検出された油タンク10内の作動油の温度に応じて、電磁弁V1の開閉を制御することにより、第1熱交換部70に流す冷却水の流量を最適にすることができる。
【0037】
詳しくは、コントローラ60によって、油タンク10内の作動油の温度Toが所定の第1作動油温度To1以上かつ所定の第2作動油温度To2(>To1)以下になるように、電磁弁V1を制御して第1熱交換部70に流れる冷却水の流量を調整することによって、作動油を適切な温度に保つことができる。例えば、第1熱交換部70により冷却された作動油の温度を40℃程度になるようにするのが望ましく、これにより、モータ40やコントローラ60のデバイス61が冷え過ぎて結露が発生しないように、モータ40やデバイス61を冷却することができる。
【0038】
なお、
図1において、L41はタンクポートT1に上端が接続される配管であり、L42はドレンポートDR1に上端が接続される配管であり、L43はドレンポートDR2に上端が接続される配管であり、L44はドレンポートDR3に上端が接続される配管である。配管L41,L42,L43,L44は、第2戻り配管の一例である。
【0039】
図2は、油圧ユニット1の前面側を斜め上方から見た斜視図であり、
図3は、油圧ユニット1の後面側を斜め上方から見た斜視図である。
図2において、35は、注油口兼エアブリーザである。
図3において、11はモータ40の油圧ポンプ30や電磁弁V1(
図4に示す)などを覆う第1保護カバーであり、12はモータ40の要部を覆う第2保護カバーであり、L10はドレンホース、Pはポンプポートであり、T1はタンクポートであり、DR1,DR2,DR3はドレンポートである。
【0040】
図2,
図3に示すように、油圧ユニット1は、作動油を収容する油タンク10と、油タンク10の上部に取り付けられた架台20と、油圧ポンプ30と、油圧ポンプ30を駆動するモータ40と、油圧ポンプ30の吐出口30aに接続されたリリーフ弁50と、モータ40などを制御するコントローラ60と、油圧ポンプ30の吐出圧力を検出する圧力センサPS1とを備える。油圧ポンプ30とモータ40とリリーフ弁50およびコントローラ60は、架台20に載置されている。油タンク10の前面側の側壁10aに油面計99を取り付けている。油タンク10の側壁10aの油面計99の下方に排油口98が設けられている。
【0041】
図4は、油圧ユニット1の第1,第2保護カバー11,12を外した状態の斜視図であり、
図5は、油圧ユニット1の第1,第2保護カバー11,12とモータ40と油圧ポンプ30などを外した状態の斜視図である。
【0042】
図4,
図5において、80は、コントローラ60のヒートシンク62に熱接触する第2熱交換部であり、90はモータ40のハウジング40aに熱接触する第3熱交換部であり、V1は電磁弁である。電磁弁V1は、流量制御弁の一例であり、オンオフにより開度が制御される。
【0043】
図6は、
図5の油圧ユニット1から架台20と油タンク10などを外した状態の斜視図である。
図6に示すように、第1熱交換部70は、油タンク10内に配置されている。
【0044】
また、
図7は、
図6の状態の油圧ユニット1の側面図である。
図7に示すように、第1熱交換部70に接続された配管L11,L12は、冷却水を第1熱交換部70に供給するための配管部の一部である。この配管部は、油タンク10内の油面上に露出する露出部分を有し、当該露出部分は、配管L11の一部を内管L11aとし、その内管L11aを収容する外管71aとを有する2重管71であり、配管L12の一部を内管L12aとし、その内管L12aを収容する外管72aとを有する2重管72である。なお、2重管71,72では、冷却水と作動油との間で熱交換が行われるので、
図1において2重管71,72は、熱交換部の記号を用いて表している。
【0045】
冷却水が第1熱交換部70に向かって配管L11(内管)内を流れると共に、配管L1,L2,L3,L4の第1戻り配管を介して油タンク10に戻る作動油が配管L11(内管)の外周面と外管71aの内周面との間を流れる。また、第1熱交換部70からの冷却水が配管L12(内管)内を流れると共に、配管L1,L2,L3,L5の第1戻り配管を介して油タンク10に戻る作動油が配管L12(内管)の外周面と外管72aの内周面との間を流れる。
【0046】
ここで、冷却水は、冷却液の一例であり、この実施形態では工業用水を用いている。なお、冷却液は、冷却水循環装置から供給される冷却水などを用いてもよい。
【0047】
図8は、第1実施形態の油圧ユニット1の第1熱交換部70の継手構造TAの断面図を示している。油圧ユニット1は、
図8に示すように、油タンク10の上部の架台20に設けられ、配管L11,L12が貫通する継手構造TA,TAを備える(
図8ではL11側の継手構造TAのみを示す)。
【0048】
継手構造TAは、配管L11が挿通された第1接続部TA1と、第1接続部TA1が接続され、架台20に設けられた穴20aに固定された第2接続部TA2とを有する。第2接続部TA2は、内周面と配管L11の外周面との間に空間を有する。第2接続部TA2の側面に貫通孔TA2aが設けられている。第2接続部TA2の貫通孔TA2aに配管L4が接続されている。配管L4からの作動油が、第2接続部TA2の内周面と配管L11の外周面との間の空間を通って油タンク10内に流入する。
【0049】
図8において、配管L11および配管L12の下端は、第1熱交換部70と一体配管構造をしており、継手構造TAのすぐ上で配管接続されているので、当該配管接続部で冷却水が漏れても、油タンク10内に冷却水が混入するのを抑制できる。
【0050】
図9は、第1実施形態の油圧ユニット1の第1,第2保護カバー11,12を外した状態を後面側かつ斜め上方から見た斜視図であり、
図10は、
図9の油圧ユニット1からモータ40と油圧ポンプ30などを外した状態の斜視図であり、
図11は、
図10の油圧ユニットから油タンク10などを外した状態を後面側から見た側面図である。
【0051】
図12は、第1実施形態の油圧ユニット1を後面側かつ斜め下方から見た斜視図である。
図12において、31は、油圧ポンプ30の吸込口30bに上端が接続されたサクションパイプであり、32は、サクションパイプ31の下端に取り付けられたサクションストレーナであり、33は仕切り壁である。
【0052】
仕切り壁33は、ドレンホースL10,ドレンポートDR1,DR2,DR3およびタンクポートT1から作動油が流入する区画S1と、第1熱交換部70とサクションパイプ31とサクションストレーナ32が配置された区画S2とに油タンク10内を仕切っている。
【0053】
仕切り壁33の2重管71,72近傍に矩形状の穴33aを設けている。この矩形状の穴33aを介して油タンク10内の区画S1と区画S2とが連通している。
【0054】
油タンク10内の区画S2において、架台20の下面から下方に延びる流路制御板36が設けられている。ドレンホースL10,ドレンポートDR1,DR2,DR3およびタンクポートT1から区画S1に流入した作動油は、仕切り壁33の穴33aを通って区画S2に流入し、流路制御板36によって油タンク10内の区画S2の下方に配置された第1熱交換部70側に作動油が案内される。そして、第1熱交換部70の湾曲した配管の間を通った作動油は、油圧ポンプ30によりサクションパイプ31(吸込管)の下端(入口)から吸い込まれる。
【0055】
ドレンポートDR1,DR2,DR3およびタンクポートT1には、主機側のアクチュエータ(例えば油圧シリンダ)などから排出された作動油を戻す第2戻り配管が接続される。
【0056】
このように、流路制御板36によって、アクチュエータから第2戻り配管を介して油タンク10に戻る作動油を、第1熱交換部70を介してサクションパイプ31(吸込管)の下端(入口)に案内するので、第1熱交換部70による作動油の冷却効率を向上できる。
【0057】
<第1熱交換部70>
図1~
図12に示すように、第1熱交換部70は、油タンク10内の作動油と冷却水との間で熱交換を行うことにより、油タンク10内の作動油を冷却する。
【0058】
<第2熱交換部80>
コントローラ60は、モータ40を駆動するインバータ回路(図示せず)のデバイス61と、デバイス61に熱結合されたヒートシンク62とを有する。第1熱交換部70により冷却された油タンク10内の作動油が油圧ポンプ30から吐出され、絞り51と配管L1を介して第2熱交換部80に供給される。第2熱交換部80では、配管L1を介して作動油が流入する配管L2をヒートシンク62に熱接触させている。配管L2とヒートシンク62で第2熱交換部80を構成している。
【0059】
コントローラ60は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)とメモリおよび入出力回路を備える。デバイス61は、例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などのパワー半導体である。
【0060】
<第3熱交換部90>
第2熱交換部80からの作動油が、モータ40のハウジング40aに熱接触する配管L3に流入する。配管L3とモータ40のハウジング40aで第3熱交換部90を構成している。
【0061】
図13に示すように、モータ40のハウジング40aに、蛇行する配管L3が熱接触している。また、
図14に示すように、ハウジング40aの上部には、配管L3の一部が嵌まるU字形状の溝41が設けられている。また、
図15に示すように、ハウジング40aの上部には、配管L3の一部が嵌まるU字形状の溝42が設けられている。配管L3は、ハウジング40aの溝41,42に電熱セメントを用いて固定されている。モータ40のハウジング40aに溝41,42に配管L3を嵌め込むことによって、モータ40のハウジング40aと配管L3との接触面積を増大させて熱交換効率を向上させている。
【0062】
<作動油の流れ>
油圧ポンプ30からの作動油は、配管L1を介して第2熱交換部80の配管L2に流入し、第2熱交換部80からの作動油が第3熱交換部90の配管L3に流入する。そして、第3熱交換部90からの作動油の一部は、配管L3,L4および2重管71を介して油タンク10に戻る。同時に、第3熱交換部90からの作動油の残りは、第3熱交換部90の配管L3,L5および2重管72を介して油タンク10に戻る。
【0063】
<冷却水の流れ>
また、外部供給源から供給された冷却水は、配管L11を介して第1熱交換部70の入口に流入し、第1熱交換部70からの冷却水が配管L12と電磁弁V1と排水管L13とを介して外部に排出される。
【0064】
上記油圧ユニット1では、配管L3から分岐した配管L4は、2重管71を介して油タンク10内に挿入されているので、配管部の露出部分である2重管71の内管L11a内を冷却水が流れると共に、配管L4を介して油タンク10に戻る作動油が2重管71の内管L11aの外周面と外管71aの内周面との間を流れる。また、配管L3から分岐した配管L5は、2重管72を介して油タンク10内に挿入されているので、配管部の露出部分である2重管72の内管L12a内を冷却水が流れると共に、配管L5を介して油タンク10に戻る作動油が2重管72の内管L12aの外周面と外管72aの内周面との間を流れる。
【0065】
これにより、油タンク10内の油面上に露出する2重管71,72(配管部の露出部分)の結露を抑制でき、結露水が油タンク10内の作動油に混入するのを抑制できる。
【0066】
上記構成の油圧ユニット1によれば、油タンク10内の作動油への水の混入を抑制する構造である2重管71,72によって、冷却水を第1熱交換部70に供給するので、油タンク10内の作動油への水の混入の抑制できる。
【0067】
また、上記油圧ユニット1では、配管部の露出部分である2重管71,72の内管L11a,L12a内を冷却水が流れると共に、第1戻り配管を介して油タンクに戻る作動油が2重管71,72の内管L11a,L12aの外周面と外管71a,72aの内周面との間を流れるので、油タンク10内の油面上に露出する2重管71,72表面の結露を抑制でき、結露水が油タンク10内の作動油に混入するのを抑制できる。
【0068】
また、モータ40を駆動するデバイス61と作動油との間で第2熱交換部80により熱交換するので、第1熱交換部70により冷却された作動油を用いてデバイス61を冷却でき、冷却水による冷却に比べて冷やし過ぎによる結露の発生を抑制できる。
【0069】
また、油圧ポンプ30を駆動するモータ40と作動油との間で第3熱交換部90により熱交換するので、第1熱交換部70により冷却された作動油を用いてモータ40を冷却でき、冷却水による冷却に比べて冷やし過ぎによる結露の発生を抑制できる。
【0070】
上記第1実施形態では、第2熱交換部80から第3熱交換部90の順に作動油が流れるようにしたが、第3熱交換部90から第2熱交換部80の順に作動油が流れるようにしてもよい。
【0071】
〔第2実施形態〕
図16は、本開示の第2実施形態の油圧ユニット2の回路図である。この油圧ユニット2は、油タンク10が架台20(
図17に示す)上に取り付けられた構成をしている。
【0072】
油圧ユニット2は、
図16に示すように、作動油を貯める油タンク10と、主機側のアクチュエータ(例えば油圧シリンダ)に作動油を供給する固定容量型の油圧ポンプ30と、油圧ポンプ30を駆動する回転数可変のモータ40と、油圧ポンプ30の吐出口30aに接続されたリリーフ弁50と、油圧ポンプ30の吐出圧力を検出する圧力センサPS1と、モータ40の回転数を制御するコントローラ60と、油タンク10内の作動油を冷却する第1熱交換部170とを備えている。コントローラ60は、制御部の一例である。
【0073】
油圧ユニット2のポンプポートPを、配管(図示せず)を介して主機側に接続している。また、油圧ユニット2のタンクポートT1,T2を、配管(図示せず)を介して主機側に接続している。油圧ポンプ30は、サクションストレーナ32とサクションパイプ31を介して油タンク10内の作動油を吸込口30bから吸い込み、吐出口30aから作動油を吐出する。
【0074】
油圧ポンプ30の吸込口30bにサクションパイプ31の上端が接続されている。サクションパイプ31の入口にサクションストレーナ32が接続されている。サクションパイプ31は、吸込管の一例である。サクションパイプ31の入口は、油タンク10内に位置する。
【0075】
リリーフ弁50とドレンホースL10を介して作動油を油タンク10に戻す。
【0076】
油圧ポンプ30の吐出口30aとアクチュエータとの間の流路からの作動油が、絞り51と配管L1を介して第3熱交換部90に供給される。第3熱交換部90に供給された作動油は、第3熱交換部90から配管L2を介して第2熱交換部80に供給される。第2熱交換部80に供給された作動油は、第2熱交換部80から配管L3,L4を介して油タンク10に戻る。配管L1,L2,L3,L4は、第1戻り配管の一例である。
【0077】
また、冷却水を供給する外部供給源(図示せず)と第1熱交換部170の入口とを配管L11を介して接続し、第1熱交換部170の出口と外部とが配管L12と電磁弁V1と排水管L13とを介して接続されている。電磁弁V1は、流量制御弁の一例であり、オンオフにより開度が制御される。
【0078】
コントローラ60は、主機側からの圧力指令信号,流量指令信号や圧力センサPS1からの圧力信号などに基づいて、モータ40の回転数を制御すると共に電磁弁V1の開閉を行う。なお、この実施形態では、固定容量型の油圧ポンプ30を用いたが、可変容量型の油圧ポンプを用いてもよい。
【0079】
この第2実施形態の油圧ユニット2は、
図16に示すように、第1熱交換部170により冷却された油タンク10内の作動油を、油圧ポンプ30から絞り51を介して第2熱交換部80,第3熱交換部90に供給することにより、第3熱交換部90によりモータ40を冷却すると共に、第2熱交換部80によりコントローラ60のデバイス61を冷却する。
【0080】
油圧ユニット2は、油タンク10内の作動油の温度を検出する温度センサ(図示せず)を備える。コントローラ60は、温度センサにより検出された油タンク10内の作動油の温度に応じて、電磁弁V1の開閉を制御することにより、第1熱交換部170に流す冷却水の流量を最適にすることができる。
【0081】
詳しくは、コントローラ60によって、油タンク10内の作動油の温度Toが所定の第1作動油温度To1以上かつ所定の第2作動油温度To2(>To1)以下になるように、電磁弁V1を制御して第1熱交換部170に流れる冷却水の流量を調整することによって、作動油を適切な温度に保つことができる。例えば、第1熱交換部170により冷却された作動油の温度を40℃程度になるようにするのが望ましく、これにより、モータ40やコントローラ60のデバイス61が冷え過ぎて結露が発生しないように、モータ40やデバイス61を冷却することができる。
【0082】
なお、
図16において、L41はタンクポートT1,T2に上端が接続される配管であり、L42,L43はドレンポートDRに上端が接続される配管である。配管L41,L42,L43は、第2戻り配管の一例である。
【0083】
図17は、油圧ユニット2の前面側を斜め上方から見た斜視図であり、
図18は、油圧ユニット2の後面側を斜め上方から見た斜視図であり、
図19は、油圧ユニット2の油タンク10を外した状態の斜視図である。
図17において、Pはポンプポートであり、35は、注油口兼エアブリーザである。
図18において、11はモータ40の油圧ポンプ30や電磁弁V1などを覆う第1保護カバーであり、12はモータ40の要部を覆う第2保護カバーである。
図19において、L10はドレンホース、T2はタンクポートであり、DRはドレンポート、36は流路制御板である。
【0084】
図17~
図19に示すように、油圧ユニット2は、作動油を収容する油タンク10と、油タンク10の下側に取り付けられた架台20と、油圧ポンプ30と、油圧ポンプ30を駆動するモータ40と、油圧ポンプ30の吐出口30aに接続されたリリーフ弁50と、モータ40などを制御するコントローラ60と、油圧ポンプ30の吐出圧力を検出する圧力センサPS1とを備える。油タンク10と油圧ポンプ30とモータ40とリリーフ弁50およびコントローラ60は、架台20に載置されている。
【0085】
図19に示すように、第2熱交換部80から配管L3,L4を介して油タンク10内に作動油が流入すると共に、タンクポートT1,T2から配管L41を介して油タンク10内に作動油が流入する、また、ドレンポートDRから配管L42,L43を介して油タンク10内に作動油が流入する。これらの作動油は、配管L43を除いて、油タンク10内の第1熱交換部170に対してサクションストレーナ32と反対の側に流入する。配管L41,L42,L43は、第2戻り配管の一例である。
【0086】
上記配管L41,42を介して油タンク10内に流入した作動油は、流路制御板36によって第1熱交換部170側に作動油が案内される。そして、第1熱交換部170の湾曲した配管の間を通った作動油は、油圧ポンプ30によりサクションパイプ31(吸込管)の入口から吸い込まれる。
【0087】
ドレンポートDRおよびタンクポートT1,T2には、主機側のアクチュエータ(例えば油圧シリンダ)などから排出された作動油を戻す配管(図示せず)が接続される。
【0088】
図20は、
図19の油圧ユニット2の側面図である。
図20に示すように、第1熱交換部170に接続された配管L11,L12は、冷却水を第1熱交換部170に供給するための配管部の一部である。
【0089】
図21は、油圧ユニット2の第1熱交換部170の側面図である。
図21に示すように、第1熱交換部170は、接続配管170aと熱交換部本体170bと接続配管170cが一体に形成されている。接続配管170aに継手構造TBを介して配管L11を接続している。接続配管170cに継手構造TBを介して配管L12を接続している。接続配管170a,170cは第1配管部の一例である。配管L11,L12は第2配管部の一例である。継手構造TB,TBは、油タンク10内の作動油への冷却液の混入を抑制する構造である。
【0090】
冷却水は、配管L11を介して第1熱交換部170に流入し、第1熱交換部170から配管L12,電磁弁V1および排水管L13を介して排出される。
【0091】
ここで、冷却水は、冷却液の一例であり、この実施形態では工業用水を用いている。なお、冷却液は、冷却水循環装置から供給される冷却水などを用いてもよい。
【0092】
図22は、油圧ユニット2の第1熱交換部170の継手構造TBの断面図を示している。
図22において、O1,O2,O3はOリングである。
【0093】
油圧ユニット2は、
図22に示すように、油タンク10の側面に設けられ、配管L11と接続配管170aとを接続する継手構造TBを備える。なお、油圧ユニット2は、
図22では図示していないが、配管L12と接続配管170cとを接続する継手構造TBを備える。
【0094】
油タンク10は、第1熱交換部170の接続配管170aが貫通する貫通穴10bと、第1熱交換部170の接続配管170cが貫通する貫通穴(図示せず)を有する。
【0095】
図22に示す継手構造TBは、油タンク10の貫通穴10bに一端が接続され、他端から接続配管170aの先端が突出する第1接続部TB1と、第1接続部TB1から突出した接続配管170aの先端と配管L11とが接続された第2接続部TB2とを有する。第1熱交換部170の接続配管170aと配管L11とは、油タンク10外で連結されている。なお、油タンク10の貫通穴10bには、ソケットTB3が固定され、ソケットTB3に第1接続部TB1が接続されている。
【0096】
もう一方の継手構造TBも同様に、油タンク10の貫通穴に一端が接続され、他端から接続配管170cの先端が突出する第1接続部TB1と、第1接続部TB1から突出した接続配管170cの先端と配管L11とが接続された第2接続部TB2とを有する。第1熱交換部170の接続配管170cと配管L11とは、油タンク10外で連結されている。
【0097】
接続配管170a(第1配管部)と配管L11(第2配管部)とを連結する継手構造TBおよび接続配管170c(第1配管部)と配管L12(第2配管部)とを連結する継手構造TBは、油タンク10内の作動油への冷却水の混入を抑制する構造である。
【0098】
図22に示すように、油タンク10内の作動油がソケットTB3と第1接続部TB1との隙間を通って油タンク10外に流れ出る場合がある。また、油タンク10内の作動油が接続配管170aと第1接続部TB1との隙間を通って油タンク10外に流れ出る場合がある。一方、第2接続部TB2において接続配管170aの先端および配管L11の先端から漏れた冷却水は、接続配管170aと第2接続部TB2との隙間および配管L11と第2接続部TB2との隙間を通って油タンク10外に流れ出る場合がある。もう一方の継手構造TBにおいても同様である。このように、いずれの継手構造TB,TBにおいて冷却水が漏れても、油タンク10内に冷却水が混入しない。
【0099】
図23は、油圧ユニット2の油タンク10と第1熱交換部170などを外した状態の斜視図であり、
図24は、
図23の状態の油圧ユニット2からモータ40と油圧ポンプ30などを外した状態の斜視図である。
図24では、ヒートシンク62の放熱フィンを省略している。
【0100】
図23,
図24において、80は、コントローラ60のヒートシンク62に熱接触する第2熱交換部であり、90はモータ40のハウジング40aに熱接触する第3熱交換部であり、V1は電磁弁である。電磁弁V1は、流量制御弁の一例である。
【0101】
図25は、油圧ユニット2の油タンク10を外した状態の斜視図であり、
図19の状態の油圧ユニット2の油圧ポンプ30側を斜め上方から見た斜視図である。
【0102】
図26は、油圧ユニット2の油タンク10と第1熱交換部170などを外した状態の斜視図であり、
図23の状態の油圧ユニット2の油圧ポンプ30側を斜め上方から見た斜視図である。
【0103】
図27は、
図26の油圧ユニット2からモータ40と油圧ポンプ30などを外した状態の斜視図であり、
図24の状態の油圧ユニット2の油圧ポンプ30側を斜め上方から見た斜視図である。
【0104】
また、
図28は、
図27の状態の油圧ユニット2の後面側から見た側面図であり、コントローラ60デバイス61がヒートシンク62に熱接触している。
【0105】
第3熱交換部90において、配管L1からの作動油が、モータ40のハウジング40aに熱接触する配管L2に流入する。配管L2とモータ40のハウジング40aで第3熱交換部90を構成している。この第2実施形態のモータ40は、第1実施形態の
図13~
図15に示すモータ40と同様の構成をしている。
【0106】
上記第2実施形態の油圧ユニット2は、第1実施形態の油圧ユニット1と同様の効果を有する。
【0107】
上記油圧ユニット2では、油タンク10を貫通する接続配管170a,170c(第1配管部)に油タンク10外で配管L11,L12(第2配管部)を継手構造TBにより連結しているので、接続配管170aと配管L11との連結部分および接続配管170cと配管L12との連結部分で冷却水が漏れても、油タンク10内に冷却水が混入するのを抑制できる。
【0108】
上記油圧ユニット2では、継手構造TB,TBを用いることよって、接続配管170aと配管L11とを油タンク10外で容易に連結できると共に、接続配管170cと配管L12とを油タンク10外で容易に連結できる。
【0109】
上記第2実施形態では、第3熱交換部90から第2熱交換部80の順に作動油が流れるようにしたが、第2熱交換部80から第3熱交換部90の順に作動油が流れるようにしてもよい。
【0110】
上記第1,第2実施形態では、第1熱交換部170で冷却された作動油を、第2,第3熱交換部80,90を介して油タンク10に戻したが、第1熱交換部170で冷却された作動油を、第2,第3熱交換部80,90を介さずに油タンク10に直接戻し、モータ40およびコントローラ60(制御部)のヒートシンク62の両方に送風ファンから冷却用の空気を供給するようにしてもよい。また、冷却水を第2,第3熱交換部80,90に供給することによりモータ40およびコントローラ60(制御部)のヒートシンク62を冷却してもよい。
【0111】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は上記第1,第2実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0112】
1,2…油圧ユニット
10…油タンク
10a…側壁
10b…貫通穴
11…第1保護カバー
12…第2保護カバー
20…架台
30…油圧ポンプ
30a…吐出口
31…サクションパイプ
32…サクションストレーナ
33…仕切り壁
34…リターンフィルタ
35…注油口兼エアブリーザ
36…流路制御板
40…モータ
40a…ハウジング
50…リリーフ弁
51…絞り
60…コントローラ(制御部)
70…第1熱交換部
71,72…2重管
71a,72a…外管
80…第2熱交換部
90…第3熱交換部
98…排油口
99…油面計
170…第1熱交換部
170a…接続配管(第1配管部)
170b…熱交換部本体
170c…接続配管(第1配管部)
DR1,DR2,DR3…ドレンポート
L1,L2,L3,L4,L5…配管(第1戻り配管)
L10…ドレンホース
L11,L12…配管(第2配管部)
L11a,L12a…内管
L13…排水管
P…ポンプポート
PS1…圧力センサ
T1,T2…タンクポート
TA,TB…継手構造
TA1…第1接続部
TA2…第2接続部
V1…電磁弁(流量制御弁)