(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048917
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】粉体排出装置および粉体排出方法
(51)【国際特許分類】
B65D 88/26 20060101AFI20240402BHJP
B65D 88/22 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65D88/26 F
B65D88/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155083
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 聖悟
(72)【発明者】
【氏名】網野 博紀
(72)【発明者】
【氏名】玉田 修介
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA29
3E170AB11
3E170GA09
3E170VA20
3E170WC12
3E170WD08
3E170WG01
3E170WG10
(57)【要約】
【課題】収容袋からの粉体の投入時や収容袋の取り外し時に、周囲への粉体の飛散を抑制する。
【解決手段】
粉体排出装置1は、収容袋100から粉体が投入される投入口10aを投入管10に備え、投入された粉体を排出する排出口11aを排出管11に備える。粉体排出装置1は、シール部材30を備えて、投入管10およびシール部材30は、収容袋11と投入口10aとが連通された状態で、収容袋100の排出部101と投入口10aとを気密状にシールするシール部として機能する。粉体排出装置1は、突出部29を備えて、投入管10、突出部29およびシール部材30は、排出部101を変形させる変形部として機能する。変形部は、収容袋100から投入口10aへと投入される粉体の流通方向において、排出部101を上流側へと折り返した後、下流側へと折り返すように、シール部の内側で排出部101を変形させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する収容袋に充填された粉体が投入され、投入された前記粉体を排出する粉体排出装置において、
前記収容袋から前記粉体が投入される投入口と、
投入された前記粉体を排出する排出口と、
前記収容袋と前記投入口とが連通された状態で、前記収容袋の排出部と前記投入口とを気密状にシールするシール部と、
前記排出部を変形させる変形部と、を備え、
前記変形部は、前記収容袋から前記投入口へと投入される前記粉体の流通方向において、前記排出部を上流側へと折り返した後、下流側へと折り返すように、前記シール部の内側で前記排出部を変形させることを特徴とする粉体排出装置。
【請求項2】
前記流通方向において前記投入口よりも上流側に配置される押さえ部材と、
前記押さえ部材を前記投入口に対して接近方向または離間方向に移動させる移動部と、を備え、
前記押さえ部材は、前記シール部よりも内側で、前記流通方向において下流側に向かって突出する突出部を備え、
前記変形部は、前記押さえ部材が前記投入口に接近したときに、前記突出部が前記シール部よりも下流側に突出して、前記突出部によって前記排出部を上流側へと折り返すように構成されることを特徴とする請求項1に記載の粉体排出装置。
【請求項3】
前記押さえ部材は、前記投入口に対応して開口され、前記排出部を導入する導入口を備え、
前記突出部は、前記導入口の内周に沿って環状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の粉体排出装置。
【請求項4】
前記投入口から前記排出口まで連通する流通管と、
前記流通管の周囲を囲む捕集ダクトと、を備え、
前記捕集ダクトは、前記流通方向において上流側で、前記投入口の周囲に開口された開口部と、
前記粉体を集塵する集塵装置に接続される接続口と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の粉体排出装置。
【請求項5】
前記投入口から前記排出口まで連通する流通管を備え、
前記移動部は、前記押さえ部材を前記投入口に対して昇降させる一対のエアシリンダと、
前記エアシリンダに沿って配置される一対のシリンダガイドと、を備え、
前記エアシリンダの一端および前記シリンダガイドの一端は、前記押さえ部材に接続され、
一方の前記エアシリンダおよび一方の前記シリンダガイドと、他方の前記エアシリンダおよび他方の前記シリンダガイドとは、前記流通管を挟んで対向して配置されていることを特徴とする請求項2に記載の粉体排出装置。
【請求項6】
前記エアシリンダの一端および前記シリンダガイドの一端は、前記押さえ部材に接続されるフローティングジョイントを備えることを特徴とする請求項5に記載の粉体排出装置。
【請求項7】
前記押さえ部材と前記投入口との間への外部からの障害物の侵入を検出する検出部を備え、
前記検出部が障害物の侵入を検出した場合、前記移動部による前記押さえ部材の下降を抑制することを特徴とする請求項2に記載の粉体排出装置。
【請求項8】
前記投入口から前記排出口まで連通する流通管と、
前記流通管の内部に設けられ、前記収容袋の内部に向けて圧縮空気を噴出する圧縮空気噴出部を備え、
前記圧縮空気噴出部は、前記流通方向において上流側に設けられ、前記圧縮空気噴出部の先端部は、前記流通方向において下流側に傾斜して形成され、逆止弁を備え、
前記逆止弁は、圧縮空気を噴出する場合のみ開放する一方、圧縮空気の噴出を終了した場合に閉鎖することを特徴とする請求項1に記載の粉体排出装置。
【請求項9】
可撓性を有する収容袋に充填された粉体を粉体排出装置に投入し、投入された前記粉体を前記粉体排出装置から排出する粉体排出方法において、
前記収容袋と前記粉体排出装置の投入口とが連通された状態で、前記収容袋の排出部と前記投入口とを気密状にシールするシール工程と、
前記収容袋から前記投入口へと投入される前記粉体の流通方向において、前記排出部を上流側へと折り返した後、下流側へと折り返すように、前記排出部のシール部の内側で前記排出部を変形させる変形工程と、
前記排出部から前記投入口へと前記粉体を投入する投入工程と、
投入された前記粉体を前記粉体排出装置の排出口から排出する排出工程と、を有することを特徴とする粉体排出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有する収容袋に充填された粉体が投入され、投入された粉体を排出する粉体排出装置および粉体排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体を扱う工場などにおいては、粉体の輸送や保管などを行うために、フレキシブルコンテナバッグ(以下、フレコンバッグと称する)などの可撓性を有する収容袋が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の粉粒体排出装置(粉体排出装置)などの従来技術によれば、フレコンバッグは、その上部にはホイスト(クレーン)などで昇降するための吊り具および粉体を投入するための投入部(投入口)を備え、その下部には紐などで閉じられていて粉体を排出するための排出部(排出口)を備えている。
【0004】
フレコンバッグは、排出部を閉じた状態で投入部から粉体が投入されて充填(収容)された後、投入部を閉じた状態で輸送や保管などが行われる。また、フレコンバッグは、排出部を下方に向けた状態でホイストなどによって吊り下げられて粉粒体排出装置の上方に配置され、排出部から粉粒体排出装置に向けて粉体が排出される。具体的には、粉粒体排出装置の投入口の外側にフレコンバッグの排出部の下端周縁部を被せて、排出部を投入口に対してチャッキング(固定)、シール(密閉)した状態で排出部を開放することで、フレコンバッグの排出部から粉粒体排出装置の投入口へと粉体が投入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の粉体排出装置では、投入口にフレコンバッグの下方周縁部をチャッキング(固定)、シール(密閉)した状態で、フレコンバッグの内部の粉体が重力落下で投入口に投入される。このとき、フレコンバッグおよび投入口の連通する部分の内部で、粉体が飛散したり舞い上がったりする現象が発生する。フレコンバッグの下方周縁部は、微小な一部分だけが投入口に接触してシールされるため、フレコンバッグと投入口との間に微小な段差や隙間などが形成される。このようなフレコンバッグのシール部分は、粉体が舞い上がる空間に対して露出しているため、舞い上がった微粉がシール部分に付着・堆積し易くなっている。
【0007】
また、フレコンバッグは、粉体排出装置に向けて粉体の投入を終えた後、粉体排出装置の投入口とのチャッキングが解除され、ホイストなどによって上方に引き上げられて投入口から外される(分離される)。このとき、フレコンバッグの下方周縁部が投入口から解放されると、下方周縁部に付着・堆積した粉体が、投入口に落下せずに、粉体排出装置の周辺に拡散・飛散・浮遊してしまう。その結果、粉体排出装置の周囲の汚染や作業員の健康被害などの問題が生じるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、収容袋からの粉体の投入時や収容袋の取り外し時に、周囲への粉体の飛散を抑制することができる粉体排出装置および粉体排出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の粉体排出装置は、可撓性を有する収容袋に充填された粉体が投入され、投入された前記粉体を排出する粉体排出装置であって、前記収容袋から前記粉体が投入される投入口と、投入された前記粉体を排出する排出口と、前記収容袋と前記投入口とが連通された状態で、前記収容袋の排出部と前記投入口とを気密状にシールするシール部と、前記排出部を変形させる変形部と、を備え、前記変形部は、前記収容袋から前記投入口へと投入される前記粉体の流通方向において、前記排出部を上流側へと折り返した後、下流側へと折り返すように、前記シール部の内側で前記排出部を変形させることを特徴とする。
【0010】
本発明の第1の粉体排出装置によれば、変形部によって上流側へと折り返される排出部の折り返し部分がシール部の内側に位置しているので、収容袋と投入口との連通空間の内側から見て、当該折り返し部分がシール部を覆うことで、シール部の露出が抑制され、連通空間の粉体がシール部に到達し難くなっている。また、排出部は、シール部において下流側へと折り返されることで、投入口を構成する壁面に沿って密着するので、排出部との間に段差や隙間などが生じ難くなる。そのため、収容袋および投入口の連通空間において、粉体が舞い上がっても、排出部のシール部に付着・堆積し難くなっている。
【0011】
従って、排出部のシール部の周辺に存在する粉体を最小限に抑えることができるので、排出部と投入口との気密状態を安定化することができる。更に、収容袋を粉体排出装置から離間させるときに、気密状態を解除して排出部が投入口から外れる場合でも、排出部のシール部の周辺で浮遊・滞留する粉体を最小限に抑えることができる。そのため、装置周辺が粉体で汚染されることを最小限に抑えることができ、作業員の健康被害の発生を抑制することができる。即ち、粉体排出装置は、収容袋からの粉体の投入時や収容袋の取り外し時に、周囲への粉体の飛散を抑制することができる。
【0012】
本発明の第2の粉体排出装置は、前記流通方向において前記投入口よりも上流側に配置される押さえ部材と、前記押さえ部材を前記投入口に対して接近方向または離間方向に移動させる移動部と、を備え、前記押さえ部材は、前記シール部よりも内側で、前記流通方向において下流側に向かって突出する突出部を備え、前記変形部は、前記押さえ部材が前記投入口に接近したときに、前記突出部が前記シール部よりも下流側に突出して、前記突出部によって前記排出部を上流側へと折り返すように構成されることを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の粉体排出装置によれば、投入口に対して収容袋を被せた状態で、移動部によって押さえ部材を投入口に接近させると、シール部よりも下流側に突出した突出部によって、排出部が上流側へと折り返される。突出部によって上流側へと折り返される排出部の折り返し部分がシール部の内側に位置しているので、収容袋と投入口との連通空間の内側から見て、当該折り返し部分がシール部を覆うことで、シール部の露出が抑制され、連通空間の粉体がシール部に到達し難くなる。
【0014】
本発明の第3の粉体排出装置において、前記押さえ部材は、前記投入口に対応して開口され、前記排出部を導入する導入口を備え、前記突出部は、前記導入口の内周に沿って環状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の粉体排出装置によれば、導入口の内周に沿って設けられた突出部が、シール部よりも下流側で排出部を上流側へと折り返すため、導入口の内周に亘ってシール部を覆って露出を抑制することができ、排出部のシール部の周辺に存在する粉体をより抑えることができる。
【0016】
本発明の第4の粉体排出装置は、前記投入口から前記排出口まで連通する流通管と、前記流通管の周囲を囲む捕集ダクトと、を備え、前記捕集ダクトは、前記流通方向において上流側で、前記投入口の周囲に開口された開口部と、前記粉体を集塵する集塵装置に接続される接続口と、を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の第4の粉体排出装置によれば、投入口の周辺に拡散・飛散した粉体を開口部を介して効率良く捕集することができ、また、捕集した粉体を集塵装置へと送ることができる。そのため、装置周辺の粉体での汚染や、作業員の健康被害の発生を、より抑制することができる。
【0018】
本発明の第5の粉体排出装置は、前記投入口から前記排出口まで連通する流通管を備え、前記移動部は、前記押さえ部材を前記投入口に対して昇降させる一対のエアシリンダと、前記エアシリンダに沿って配置される一対のシリンダガイドと、を備え、前記エアシリンダの一端および前記シリンダガイドの一端は、前記押さえ部材に接続され、一方の前記エアシリンダおよび一方の前記シリンダガイドと、他方の前記エアシリンダおよび他方の前記シリンダガイドとは、前記流通管を挟んで対向して配置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の第5の粉体排出装置によれば、エアシリンダを利用して押さえ部材を昇降させることができ、また、一対のエアシリンダの制御に同期ずれが発生した場合でも、一対のシリンダガイドによって、一対のエアシリンダの平行な直進性を確保することができ、同期ずれの影響を受けることなく、押さえ部材の両端を安定して並行に昇降させることができる。従って、押さえ部材が斜めになることがないので、一対のエアシリンダの動作不良を抑制することができる。
【0020】
本発明の第6の粉体排出装置において、前記エアシリンダの一端および前記シリンダガイドの一端は、前記押さえ部材に接続されるフローティングジョイントを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の第6の粉体排出装置によれば、押さえ部材とエアシリンダとの芯ずれや並行度の精度不足を解消することができ、エアシリンダを安定的に作動させて、押さえ部材を安定して昇降することができる。また、エアシリンダ内部のピストンパッキンに掛かる負荷を抑制し、エアシリンダの故障を抑制することができる。
【0022】
本発明の第7の粉体排出装置は、前記押さえ部材と前記投入口との間への外部からの障害物の侵入を検出する検出部を備え、前記検出部が障害物の侵入を検出した場合、前記移動部による前記押さえ部材の下降を抑制する。
【0023】
本発明の第7の粉体排出装置によれば、作業者の手などの障害物が押さえ部材と投入口との間に侵入した場合には、押さえ部材の下降が抑制されるため、押さえ部材によって挟まれるなどの事故を未然に防ぎ、安全性を確保することができる。
【0024】
本発明の第8の粉体排出装置は、前記投入口から前記排出口まで連通する流通管と、前記流通管の内部に設けられ、前記収容袋の内部に向けて圧縮空気を噴出する圧縮空気噴出部を備え、前記圧縮空気噴出部は、前記流通方向において上流側に設けられ、前記圧縮空気噴出部の先端部は、前記流通方向において下流側に傾斜して形成され、逆止弁を備え、前記逆止弁は、圧縮空気を噴出する場合のみ開放する一方、圧縮空気の噴出を終了した場合に閉鎖することを特徴とする。
【0025】
本発明の第8の粉体排出装置によれば、収容袋からの粉体の投入後に、収容袋の内部に粉体が残留する場合でも、圧縮空気噴出部によって圧縮空気を収容袋の内部に向けて噴出させることで、ブリッジなどの残留粉体を破壊し、粉体の流動性を高め、投入口に残留粉体を落下させることができる。また、逆止弁を設けることで、粉体の投入時に、粉体が圧縮空気噴出部の内部に侵入することを防止できる一方、粉体の投入後には、逆止弁を開放して、圧縮空気を安定して噴出することができる。更に、圧縮空気噴出部の先端部は下傾しているので、投入した粉体が、圧縮空気噴出部の先端部に堆積することを防止し、逆止弁の開閉動作への影響を抑制することができる。
【0026】
また、上記課題を解決するために、本発明の粉体排出方法は、可撓性を有する収容袋に充填された粉体を粉体排出装置に投入し、投入された前記粉体を前記粉体排出装置から排出する粉体排出方法において、前記収容袋と前記粉体排出装置の投入口とが連通された状態で、前記収容袋の排出部と前記投入口とを気密状にシールするシール工程と、前記収容袋から前記投入口へと投入される前記粉体の流通方向において、前記排出部を上流側へと折り返した後、下流側へと折り返すように、前記排出部のシール部の内側で前記排出部を変形させる変形工程と、前記排出部から前記投入口へと前記粉体を投入する投入工程と、投入された前記粉体を前記粉体排出装置の排出口から排出する排出工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、粉体排出装置および粉体排出方法は、収容袋からの粉体の投入時や収容袋の取り外し時に、周囲への粉体の飛散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態に係る粉体排出装置を前上方から示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る粉体排出装置を後下方から示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る粉体排出装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る粉体排出装置を前方から示す断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る粉体排出装置における粉体の排出動作の説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る粉体排出装置における粉体の排出動作の説明図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る粉体排出装置の挟み込み防止部を上方から示す斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る粉体排出装置の挟み込み防止部の説明図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る粉体排出装置における圧縮空気噴出および集塵動作の説明図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る粉体排出装置の動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な具体例であって、種々の好ましい技術を開示しているが、本発明の技術範囲はこれらの態様に限定されるものではない。
【0030】
本発明の実施形態による粉体排出装置1(
図1~
図6、
図10参照)について説明する。粉体排出装置1は、粉体の充填された収容袋100(
図5(a)、
図5(b)、
図6、
図10参照)から粉体を投入し、また、投入された粉体を排出する装置である。粉体排出装置1では、収容袋100から粉体が重力落下で投入され、投入された粉体は、重力落下で排出側へと流通するため、粉体の流通方向における上流側は上方に設けられ、下流側は下方に設けられる。以下では、粉体の流通方向を上下方向と称し、流通方向の上流側を上側または上方と称し、流通方向の下流側を下側または下方と称する。
【0031】
収容袋100は、可撓性を有するフレキシブルコンテナバッグ(以下、フレコンバッグと称する)などの袋体である。収容袋100の上部には、ホイスト(クレーン)などの荷役装置によって吊り下げるための吊り具や、粉体を収容袋100の内部に投入するために開口した投入部(袋側投入口)を備えている。
図5(a)、
図5(b)、
図6に示すように、収容袋100の下部には、粉体を排出するために開口した排出部101(袋側排出口)を備えていて、排出部101は、スリーブ状(筒状)に形成されていて、下方に延ばされた状態で下端が開口している。
【0032】
排出部101は、その途中位置(中間位置)を紐などの閉塞部材102で閉じることにより閉塞されて粉体の排出が不能になり、また、閉塞部材102を解くことによって開放されて粉体の排出が可能になる。収容袋100は、粉体排出装置1に対して粉体を排出するとき、荷役装置によって、粉体排出装置1の上方に配置された受け台110の上側に載置される。
【0033】
粉体排出装置1は、
図1~
図2、
図4~
図6、
図10に示すように、投入管10と、排出管11と、捕集ダクト12と、押さえ部材13と、一対の昇降部材14と、一対のガイド部材15と、圧縮空気噴出部16と、挟み込み防止部17とを備えている。また、粉体排出装置1は、
図3に示すように、制御盤18と、集塵装置19とを備えている。
【0034】
図1は、粉体排出装置1を前上方から示す斜視図であり、
図2は、粉体排出装置1を後下方から示す斜視図である。
図3は、粉体排出装置1の構成を示すブロック図である。
図4は、粉体排出装置1を前方から示す断面図である。
図5(a)は、収容袋100を受け台110および粉体排出装置1に対して粉体排出可能に載置(セット)した状態を示し、
図5(b)は、収容袋100を粉体排出装置1に対してチャッキング(固定)およびシール(密閉)した状態を示す。
図6は、収容袋100から粉体を排出して粉体排出装置1に投入する状態を示す。なお、
図5(a)、
図5(b)および
図6は、挟み込み防止部17を省略している。また、
図5(b)および
図6は、収容袋100から粉体排出装置1に連通されるまでの部分を透過して図示している。
図10は、粉体排出装置1における圧縮空気噴出および集塵動作を示す。
【0035】
投入管10は、上下方向に延びる筒状に形成され、上側および下側の両端が開口していて、即ち、投入管10の上端には投入口10aが設けられる。本実施形態では、投入管10が円筒状に形成される例を説明するが、投入管10は、楕円筒状でも角状でもよい。投入管10の上側先端部は、収容袋100に接触するため、収容袋100を損傷しないようにR(面取り)加工が施されている。収容袋100の粉体の排出を行うとき、収容袋100が投入管10の上方に配置され、収容袋100の排出部101(特に、その下流側部分の周縁部)が投入管10に被せられる(
図5(a)参照)。このとき、排出部101の閉塞部材102を解いて排出部101を開放することによって排出部101と投入管10とが連通された状態となる。
【0036】
排出管11は、投入管10と同じ内径を有し、上下方向に延びる筒状に形成され、上側および下側の両端が開口していて、即ち、排出管11の下端には排出口11aが設けられる。また、排出管11の下端には、外周に沿って排出側フランジ11bが設けられ、排出側フランジ11bは、粉体の排出先の配管と接続可能に構成されている。排出管11は、粉体の排出先として、粉体計量器を経由して輸送用の圧力容器に接続されていてよく、あるいは、成形装置などに接続されていてもよい。本実施形態では、排出管11が投入管10に合わせて円筒状に形成される例を説明するが、排出管11は、投入管10と同じ内径を有していれば楕円筒状でも角状でもよい。
【0037】
排出管11は、投入管10の下側に設けられ、投入管10および排出管11は、内周を合わせて連通するように接続される。例えば、投入管10の下端の外周に沿って設けられたフランジ10bと、排出管11の上端の外周に沿って設けられたフランジ11cとを接続することで、投入管10および排出管11が接続され、一つの流通管20として機能する。投入管10は、排出管11に対して着脱可能になっている。なお、本実施形態では、別体の投入管10と排出管11とから一つの流通管20を構成する例を説明するが、流通管20は、一体的に構成されていてもよい。
【0038】
流通管20には、その途中位置(中間位置)で、上下方向(流通方向)を遮るように網部材21が備えられる。例えば、網部材21は、メッシュ状の開口を有する金網などで構成され、投入管10と排出管11とに挟持されるように設けられる。網部材21は、粉体の通過を許容しつつ、異物の通過を遮ることができる。従って、下流側の設備への異物混入などの事故を防止することができる。
【0039】
捕集ダクト12は、投入管10および排出管11からなる流通管20の周囲を囲むものであり、内部に空間を有する直方体上に形成され、内部に流通管20を収容する。捕集ダクト12の上面には、蓋板12aが設けられ、蓋板12aには上側開口部12b(開口部)が開口され、捕集ダクト12の下面には、下側開口部12cが開口されている。
【0040】
上側開口部12bは、投入管10(投入口10a)の外径よりも大きい内径を有して形成され、下側開口部12cは、排出管11の外径と略同じ内径を有して形成される。上側開口部12bには投入管10が挿通されると共に、下側開口部12cには排出管11が挿通されて、流通管20は、捕集ダクト12を上下方向に貫通して配置される。
【0041】
上側開口部12bは、流通方向において上流側で、投入口10aの周囲に開口されていて、投入管10に投入されずに捕集ダクト12の上側で飛散した粉体を吸引するための飛散粉体吸込部として機能する。一方、下側開口部12cは、排出管11の外周面と溶接などによって気密状に接続されていて、これにより、流通管20は、捕集ダクト12に固定される。なお、投入管10や排出管11は、所定の支持部材によって、捕集ダクト12の内面に対して支持されていてもよい。
【0042】
捕集ダクト12は、投入管10に投入されずに飛散した粉体を集塵する集塵装置19に接続される接続口12dを備える。例えば、接続口12dは、捕集ダクト12の背面に開口されていて、集塵装置19に接続される接続管23が溶接などによって気密状に取り付けられる。接続管23の先端には、外周に沿って集塵側フランジ23aが設けられ、集塵側フランジ23aは、ダクトホースなどの配管を介して集塵装置19と接続可能に構成されている。なお、集塵側フランジ23aに代えて、フェルール(管用継手)等を用いて、ホースを接続管23と集塵装置19との間に接続してもよい。
【0043】
捕集ダクト12は、昇降部材14およびガイド部材15を収納するための収納ケース24を備えている。例えば、捕集ダクト12は、一対の収納ケース24を左右側面に設けていて、一方の収納ケース24は、一方の昇降部材14および一方のガイド部材15を一組として収納し、また、他方の収納ケース24は、他方の昇降部材14および他方のガイド部材15を一組として収納する。
【0044】
捕集ダクト12は、内部を点検するための点検扉25を正面に備えている。点検扉25は、捕集ダクト12の正面に設けられた開口を開閉するようにヒンジなどを介して取り付けられる。作業者は、点検扉25を開放することで、捕集ダクト12の内部の点検、確認を行うことができる。なお、点検扉25は、ガラスやクリアパネルなどの透明な材料で構成されることで、閉じたまま内部を確認可能にしてもよい。
【0045】
押さえ部材13は、収容袋100の排出部101を投入管10(投入口10a)に対して押さえるものである。例えば、押さえ部材13は、投入管10の外径よりも大きい楕円状の押さえ板で形成される。押さえ部材13は、投入管10の上方に配置され、押さえ部材13と投入管10との間に排出部101を挟んだ状態で上方から下方へと押さえられることにより、排出部101を投入管10に対して押さえる。
【0046】
押さえ部材13は、投入管10(投入口10a)に対応して中央部に開口した導入口13aを備え、導入口13aは、投入管10の内径よりも小さい内径を有して形成される。押さえ部材13は、導入口13aの中心を投入管10の中心に合わせて配置される。収容袋100の粉体の排出を行うとき、収容袋100が押さえ部材13の上方に配置され、排出部101が導入口13aを介して押さえ部材13の上側から下側へと導入されてから、排出部101が投入管10に被せられる。
【0047】
押さえ部材13は、その下側に、取付板27と、シール部材収納板28と、突出部29と、シール部材30とを備えている。取付板27は、シール部材収納板28、シール部材30や突出部29を取り付けるために設けられる。シール部材収納板28、シール部材30や突出部29は、取付板27を介して押さえ部材13に取り付けられることで、歪みなどの不具合を生じることなく、押さえ部材13に対して精密に取り付けることができる。取付板27は、導入口13aと略同径の開口を有する環状に形成され、投入管10の外径よりも大きい外径を有する。取付板27は、開口の中心を導入口13aの中心に合わせて押さえ部材13の下面に設けられる。なお、シール部材収納板28、シール部材30や突出部29を押さえ部材13に対して精密に取り付けられることができれば、取付板27を省略してもよい。
【0048】
シール部材収納板28は、シール部材30を収納するために設けられる。シール部材収納板28は、投入管10の外径よりも大きく、取付板27の外径よりも小さい内径および外径を有する環状に形成される。シール部材収納板28は、開口の中心を導入口13aの中心に合わせて取付板27の下面に設けられる。
【0049】
突出部29は、投入管10に被せられた収容袋100の排出部101を変形させる変形部として機能する。突出部29は、取付板27と同様に導入口13aと略同径の開口を有する環状に形成され、投入管10の内径よりも小さい外径を有する。換言すれば、突出部29は、導入口13aの内周に沿って環状に形成されている。突出部29は、開口の中心を導入口13aの中心に合わせて取付板27の下面に設けられ、下方に突出形成されている。突出部29の下側先端部は、収容袋100に接触するため、収容袋100を損傷しないようにR(面取り)加工が施されている。
【0050】
シール部材30は、収容袋100の排出部101と投入管10(投入口10a)とを気密状にシールするシール部として機能する。シール部材30は、ゴム製のパッキンなどで構成され、投入管10の内径よりも小さい内径を有すると共に、投入管10の外径よりも大きい外径を有する環状に形成される。換言すれば、シール部材30は、投入管10の上側先端部に対応して配置される。シール部材30は、開口の中心を導入口13aの中心に合わせて取付板27の下面に設けられ、シール部材収納板28と突出部29との間に収納される。ゴム製のパッキンであるシール部材30は、押さえ部材13が下降するとき、投入管10の上側先端部に弾性的に押圧接触してシール性を確保することができる。
【0051】
収容袋100の粉体の排出を行うとき、押さえ部材13の導入口13aから導入された収容袋100の排出部101が投入管10(投入口10a)に被せられた状態で、押さえ部材13が投入管10に接近(下降)することで、投入口10aに対する排出部101のチャッキング(固定)およびシール(密閉)が行われる(
図5(b)、
図6参照)。
【0052】
このとき、下降する押さえ部材13のシール部材30が、排出部101を挟んで投入管10の上側先端部に押圧接触することで、排出部101が投入管10およびシール部材30に挟持されてチャッキングおよびシールが行われる(
図5(b)、
図6参照)。換言すれば、投入管10およびシール部材30は、収容袋100と投入口10aとが連通された状態で、排出部101と投入口10aとを気密状にシールするシール部として機能する。
【0053】
更にこのとき、下降する押さえ部材13の突出部29が投入口10aの内側へと進入するところ、突出部29の下側先端部が、排出部101の外側から排出部101に接触して、排出部101を押しながら投入口10aの内側に進入する。これにより、
図7に示すように、収容袋100から流通方向に延びる排出部101の上流側部分が、突出部29の下側先端部に引っ掛けられて、排出部101は、上方へと折り返される。また、排出部101は、投入口10aの内側で下方へと引き下げられるところ、投入口10aの外側に被せられた排出部101の下流側部分が、投入管10の上側先端部に引っ掛けられて、排出部101は、下方へと折り返される。
図7は、
図6に示されるA領域の拡大図である。排出部101は、シール部の内側で、上方へと折り返された後、下方へと折り返されることで、断面N字状に変形される。換言すれば、投入管10、突出部29およびシール部材30は、排出部101を変形させる変形部として機能する。
【0054】
このとき、排出部101は投入管10の上側先端部とシール部材30とによってシールされているところ、突出部29は、排出部101のシール部よりも内側で下方に突出している。そのため、収容袋100および投入管10の連通空間の内側から見て、排出部101のシール部が突出部29によって覆われているため、シール部の露出が抑制されている。また、排出部101は、シール部において下方へと引き下げられているため、投入管10の上側先端部に沿って密着するので、排出部101と投入管10との間に段差や隙間などが生じ難くなっている。そのため、収容袋100および投入管10の連通空間において、粉体が舞い上がっても、排出部101のシール部に付着・堆積し難くなっている。
【0055】
一対の昇降部材14は、投入管10(投入口10a)に対して押さえ部材13を接近方向または離間方向に移動させる移動部として機能する。昇降部材14は、例えば、エアシリンダなどで構成される。本実施形態では、昇降部材14は、捕集ダクト12に対して押さえ部材13を昇降させることで、投入管10に対して押さえ部材13を接近方向または離間方向に移動させる。一対の昇降部材14は、投入管10を挟んで左右両側に配置され、捕集ダクト12の収納ケース24に収納される。昇降部材14の上端は、押さえ部材13に取り付けられ、昇降部材14の下端は、収納ケース24に取り付けられる。
【0056】
また、昇降部材14の上端には、フローティングジョイント32が備えられ、フローティングジョイント32が押さえ部材13に取り付けられる。フローティングジョイント32は、押さえ部材13とエアシリンダである一対の昇降部材14との芯ずれや並行度の精度不足を解消することができ、エアシリンダを安定的に作動させて、押さえ部材13を安定して昇降することができる。
【0057】
エアシリンダである昇降部材14は、上下に往復可能な機構であり、圧縮空気が供給されるエア供給口33を上側と下側とに備えている。上側のエア供給口33に圧縮空気を供給することで、エアシリンダのピストンロッド14aが下方に移動し、下側のエア供給口33に圧縮空気を供給することで、エアシリンダのピストンロッド14aが上方に移動する。なお、エアシリンダは、電磁弁を備えた公知の空気圧回路(図示せず)に接続されていて、制御盤18によって空気圧回路を制御することで昇降される。
【0058】
一対のガイド部材15は、一対の昇降部材14による押さえ部材13の投入管10に対する移動をガイドするものである。一対のガイド部材15は、投入管10を挟んで左右両側に配置され、捕集ダクト12の収納ケース24に収納される。ガイド部材15は、エアシリンダである昇降部材14の移動をガイドするシリンダガイドとして機能する。
【0059】
なお、一方の昇降部材14および一方のガイド部材15と、他方の昇降部材14および他方のガイド部材15とは、投入管10を挟んで対向して配置されている。例えば、正面から見て、左側の昇降部材14は左側のガイド部材15よりも手前側に配置されるが、右側の昇降部材14は右側のガイド部材15よりも手前側に配置されている。
【0060】
ガイド部材15の上端は、取付金具34を介して押さえ部材13に取り付けられるが、ガイド部材15の下端は固定されず、ガイド部材15は、収納ケース24の内部で上下方向に移動可能になっている。ガイド部材15は、例えば、ガイドシャフトで構成され、収納ケース24の内部には、ガイドシャフトであるガイド部材15の上下方向の円滑な移動を支持するガイド支持部35が設けられる。なお、
図1、
図4では、2つのガイド支持部35が設けられる例を示しているが、ガイド支持部35は1つでもよく、若しくは3つ以上でもよい。
【0061】
なお、収納ケース24が昇降部材14の上下方向の長さに合わせて形成されている場合、下降するガイド部材15の下端は、収納ケース24の下端よりも下方に移動することがある。この場合、ガイド部材15の突き出しを保護する保護管36を、収納ケース24の下側でガイド部材15に対応する位置に設けるとよい。保護管36は、収納ケース24よりも下方に移動するガイド部材15を収容するように内部が空洞で形成される。
【0062】
あるいは、ガイド部材15の突き出しを防ぐために、ガイド部材15の上下方向の長さを昇降部材14よりも短くし、収納ケース24の内部だけでなく、収納ケース24の上側でガイド部材15を支持するように構成してもよい。
【0063】
圧縮空気噴出部16は、投入管10と連通した収容袋100の内部に向けて圧縮空気を噴出するものである。圧縮空気噴出部16は、例えば、圧縮空気を間欠的にパルスジェット噴出する噴出管などによって構成される。
【0064】
噴出管である圧縮空気噴出部16は、
図10に示すように、投入管10または排出管11の内部で上下方向に延びるように配置され、その上側先端部は、下方に傾斜して形成されていて、逆止弁37を備えている。逆止弁37は、圧縮空気を噴出する場合のみ開放する一方、圧縮空気の噴出を終了した場合に閉鎖するように構成されている。逆止弁37は、例えば、支点の周りに回動することで開閉するように構成され、
図10では、閉鎖した逆止弁37を実線で示し、開放した逆止弁37を破線で示す。
【0065】
圧縮空気噴出部16は、コンプレッサなどの圧縮空気供給源(図示せず)に接続されていて、制御盤18によって圧縮空気供給源を制御することで圧縮空気が噴出される。
【0066】
挟み込み防止部17は、下降する押さえ部材13と投入管10との間の、作業者の手などの障害物が挟み込まれることを防止するものである。挟み込み防止部17は、例えば、押さえ部材13と投入管10との間への外部からの障害物の侵入を検出する検出部を備えていて、検出部が障害物の侵入を検出した場合、一対の昇降部材14による押さえ部材13の下降を抑制する。このとき、挟み込み防止部17は、押さえ部材13の下降の抑制として、押さえ部材13の下降を禁止してもよく、あるいは、下降している押さえ部材13を上昇してもよい。挟み込み防止部17は、押さえ部材13の下降の抑制を、制御盤18による昇降部材14の制御によって行うとよく、この場合、制御盤18は、挟み込み防止部17として機能する。
【0067】
具体的には、挟み込み防止部17は、
図2、
図4、
図8、
図9(a)、
図9(b)に示すように、検出部として、円環状のリング39と、板状の被検知板40と、リング39および被検知板40を支持する支持棒41と、近接センサ42とを備えて構成される。なお、1つの被検知板40と、1つの支持棒41と、1つの近接センサ42とが1組に組み合わせられるところ、
図8では、3組の被検知板40、支持棒41および近接センサ42が設けられる例を示しているが、被検知板40、支持棒41および近接センサ42は、1組または2組でもよく、若しくは4組以上でもよい。
【0068】
リング39は、押さえ部材13と投入管10との間への障害物の侵入を制限するものである。リング39は、投入管10の外径よりも大きい外径を有し、押さえ部材13と投入管10との間に配置される。なお、リング39に代えて、筒状の部材が用いられてもよい。
【0069】
被検知板40は、金属などの材料で形成され、押さえ部材13の上側に配置される。押さえ部材13には、支持棒41に対応する位置に挿通孔13bが上下方向に貫通して形成されていて、支持棒41は、挿通孔13bに挿通されて上下方向に自由移動可能になっている。支持棒41は、押さえ部材13の上側で被検知板40を支持し、押さえ部材13の下側でリング39を支持している。被検知板40は、支持棒41の抜け止めになっていて、リング39は、被検知板40および支持棒41によって押さえ部材13に対して吊り下げられる。これにより、リング39は、支持棒41および被検知板40と共に自由移動可能になっている。
【0070】
近接センサ42は、被検知板40に対応する位置で押さえ部材13に設けられる。具体的には、押さえ部材13には、被検知板40に対応する位置に検知孔13cが上下方向に貫通して形成されていて、近接センサ42は、検知孔13cの下側の位置で、取付部材43によって押さえ部材13の裏面に取り付けられる。被検知板40は、検知孔13cを上方から覆うように配置されていて、近接センサ42は、検知孔13cに検知範囲を有していて、検知孔13cを介して被検知板40を検知する。
【0071】
近接センサ42は、被検知板40の接近を非接触で検知するセンサであり、周囲に粉体が飛散している状況下でも好適に使用されるものである。例えば、近接センサ42は、電磁誘導型のセンサで構成され、発信回路および検出コイルによって高周波磁界を発生させていて、この高周波磁界に金属からなる被検知板40が接近している場合に、電磁誘導によって被検知板40に誘導電流が流れ、この誘導電流によって検出コイルのインピーダンスが変化して、発信回路の発振が減衰または停止する。電磁誘導型の近接センサ42は、このような発信回路の発振の減衰または停止を検出することで、被検知板40の接近を検出する。あるいは、近接センサ42は、光電式のセンサまたはその他の非接触センサや、粉体が飛散する環境下の動作に問題なければ接触式センサで構成されてもよい。
【0072】
挟み込み防止部17では、通常、被検知板40は、検知孔13cを覆うように押さえ部材13に載せられていて、近接センサ42の検知範囲内に存在するため、近接センサ42は、被検知板40の接近を検知している。一方、例えば、押さえ部材13と投入管10との間に侵入した作業者の手などによって、リング39が上方に持ち上げられた場合、支持棒41および被検知板40がリング39と共に持ち上げられる。このとき、被検知板40は、検知孔13cから上方に移動して、近接センサ42の検知範囲から外れて、近接センサ42は、被検知板40の接近を検知しなくなる。
【0073】
近接センサ42は、被検知板40の検知結果(検知しているか否か)を示す検知信号を制御盤18へと送信する。制御盤18は、近接センサ42が被検知板40を検知している場合には、リング39が持ち上げられてなく、押さえ部材13と投入管10との間に障害物が侵入していないので、一対の昇降部材14による押さえ部材13の下降を許容する。一方、制御盤18は、近接センサ42が被検知板40を検知していない場合には、リング39が持ち上げられていて、押さえ部材13と投入管10との間に障害物が侵入しているので、一対の昇降部材14による押さえ部材13の下降を抑制する。
【0074】
制御盤18は、
図3に示すように、一対の昇降部材14の上昇・下降を操作するための昇降操作部材45、集塵装置19の集塵動作の作動・停止を操作するための集塵操作部材46、圧縮空気噴出部16の圧縮空気噴出の作動・停止を操作するための噴出操作部材47を備えている。昇降操作部材45、集塵操作部材46および噴出操作部材47は、例えば、スイッチなどで構成される。
【0075】
また、制御盤18は、一対の昇降部材14、集塵装置19および圧縮空気噴出部16を制御するための制御装置48を備えている。制御装置48は、例えば、メモリーに記憶されたプログラムを実行するCPUなどのコンピュータで構成される。制御装置48は、昇降操作部材45の操作に応じて一対の昇降部材14の上昇・下降を制御し、集塵操作部材46の操作に応じて集塵装置19の集塵動作の作動・停止を制御し、噴出操作部材47の操作に応じて圧縮空気噴出部16の圧縮空気噴出の作動・停止を制御する。なお、制御装置48は、一対の昇降部材14が同期して上昇・下降するように制御する。
【0076】
一対の昇降部材14および制御装置48は、
図5(a)および
図5(b)に示すような所定の昇降ストロークで昇降するように構成され、例えば、押さえ部材13のシール部材30と投入管10とが収容袋100の排出部101を挟持してシールを完了するタイミングで、押さえ部材13の下降を停止するように構成される。また、制御装置48は、上記したように、挟み込み防止部17の近接センサ42の検知結果に応じて一対の昇降部材14の下降を制御する。
【0077】
集塵装置19は、捕集ダクト12に捕集された粉体を接続管23を介して集塵する装置である。集塵装置19は、吸込口を有して、吸込口は、ダクトホースなどの配管を介して接続管23に接続されている。例えば、集塵装置19は、フィルタ、ファン、モータ、逆洗装置を備えている。集塵装置19は、モータによってファンを回転させて、フィルタを介して粉体を吸引することで集塵を行う。集塵装置19は、逆洗装置によって圧縮空気をフィルタに噴射(パルスジェット)することで、フィルタに捕集された粉体を払い落とす。
【0078】
次に、本実施形態の粉体排出装置1の動作例を、
図11のタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0079】
先ず、時刻T0において、粉体が収容されている収容袋100は、待機位置に配置され、粉体排出装置1では、一対の昇降部材14が待機位置(上昇位置)に配置され、集塵装置19は、集塵動作を停止し、圧縮空気噴出部16は、圧縮空気噴出を停止(パルスジェット噴出OFF)している。
【0080】
時刻T1において、作業者は、ホイストなどの荷役装置を操作して、粉体が収容されている収容袋100を、粉体排出装置1の上方に配置された受け台110に向けて下降して、受け台110の上側に載置する。作業者は、収容袋100の排出部101を引き出して、押さえ部材13の導入口13aを介して下方に導入し、投入管10に被せる。このとき、排出部101の下流側部分の周縁部が、捕集ダクト12の蓋板12aの上側開口部12bに挿入されて蓋板12aよりも下側まで被せることが望ましい。
【0081】
時刻T2において、作業者は、制御盤18の昇降操作部材45を操作して、一対の昇降部材14を作動させて、投入管10に対して押さえ部材13を下降させる。これにより、投入管10(投入口10a)に対する排出部101のチャッキング(固定)およびシール(密閉)が行われる。
【0082】
このとき、下降する押さえ部材13のシール部材30が、排出部101を挟んで投入管10に押圧接触することで、排出部101が投入管10およびシール部材30に挟持されて気密状にシールされる。
【0083】
更にこのとき、投入管10の上側先端部が排出部101を内側から支持した状態で、下降する押さえ部材13の突出部29が、排出部101を外側から押しながら投入口10aの内側に進入する。これにより、排出部101の上流側部分が突出部29の下側先端部に引っ掛けられて、排出部101が上方へと折り返され、また、排出部101の下流側部分が投入管10の上側先端部に引っ掛けられて、排出部101が下方へと折り返される。その結果、排出部101は、上方へと折り返されてから下方へと折り返された断面N字状に変形される。
【0084】
排出部101のチャッキングおよびシールが完了した後、時刻T3において、作業者は、排出部101の閉塞部材102を解いて排出部101と投入管10とを連通させて粉体投入を開始し、収容袋100内の粉体を重力落下で排出部101から排出させて投入管10へと投入させる。
【0085】
所定時間経過後の時刻T4において、殆どの粉体の重力落下による投入が終了すると、作業者は、制御盤18の噴出操作部材47を操作して、圧縮空気噴出部16を作動させて、投入管10と連通した収容袋100の内部に向けて圧縮空気を間欠的に複数回、噴出させ、例えば、3回、パルスジェット噴出させる。これにより、収容袋100の内部に残留した粉体を排出させて投入管10へと落下させる。
【0086】
なお、収容袋100の残留粉体の排出を促進するために、受け台110にバイブレーション装置などの振動発生装置を取り付けて、受け台110を収容袋100と共に振動させることにより、収容袋100の内部に残留した粉体を排出させて投入管10へと落下させてもよい。
【0087】
また、収容袋100の残留粉体の排出を促進するために、荷役装置によって収容袋100の上昇・下降・揺動などの動作をさせることにより、収容袋100の内部に残留した粉体を排出させて投入管10へと落下させてもよい。
図11では、収容袋100の上昇・下降を3回繰り返す動作を破線で示している。
【0088】
残留粉体の排出が終了した後、時刻T5において、作業者は、制御盤18の昇降操作部材45を操作して、一対の昇降部材14を作動させて、投入管10に対して押さえ部材13を上昇させる。これにより、投入管10(投入口10a)に対する排出部101のチャッキング(固定)およびシール(密閉)が解除される。
【0089】
排出部101のチャッキングおよびシールが解除された後、時刻T6において、作業者は、荷役装置を操作して、粉体の排出を終了した収容袋100を、受け台110に対して上昇させる。また、作業者は、収容袋100を上昇するときに、制御盤18の集塵操作部材46を操作して、集塵装置19を作動させて、投入管10に投入されずに飛散した粉体の集塵を開始する。なお、集塵装置19は、収容袋100の上昇に応じて、ファンの回転数を上昇させることで、捕集ダクト12の上側開口部12bに発生する吸引力を増加させてもよい。
【0090】
収容袋100の上昇を終了したときの時刻T7において、または収容袋100の上昇を終了してから所定時間経過したときに、作業者は、制御盤18の集塵操作部材46を操作して、集塵装置19の作動を停止させる。
【0091】
なお、本実施形態では、一対の昇降部材14の上昇・下降、集塵装置19の集塵動作の作動・停止、圧縮空気噴出部16の圧縮空気噴出の作動・停止を、作業者が制御盤18の昇降操作部材45、集塵操作部材46、噴出操作部材47を操作することで行う例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。他の例では、粉体排出装置1は、一対の昇降部材14の上昇・下降、集塵装置19の集塵動作の作動・停止、圧縮空気噴出部16の圧縮空気噴出の作動・停止を、制御盤18の制御装置48によって、
図11のタイミングチャートに沿って自動的に連動して行うように制御してもよい。
【0092】
更に本実施形態では、収容袋100を上昇するときに集塵装置19を作動させて、投入管10に投入されずに飛散した粉体の集塵を開始する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。他の例では、集塵装置19を作動させるタイミングは、チャッキングおよびシールがされている粉体の自重落下中に、集塵装置19を作動させてもよい。
【0093】
上記のように、本実施形態によれば、粉体排出装置1は、可撓性を有する収容袋100に充填された粉体が投入され、投入された粉体を排出する粉体排出装置1であって、収容袋100から粉体が投入される投入口10aを投入管10に備え、投入された粉体を排出する排出口11aを排出管11に備える。粉体排出装置1は、シール部材30を備えて、投入管10およびシール部材30は、収容袋100と投入口10aとが連通された状態で、収容袋100の排出部101と投入口10aとを気密状にシールするシール部として機能する。粉体排出装置1は、突出部29を備えて、投入管10、突出部29およびシール部材30は、排出部101を変形させる変形部として機能する。変形部は、収容袋100から投入口10aへと投入される粉体の流通方向において、排出部101を上流側へと折り返した後、下流側へと折り返すように、シール部の内側で排出部101を変形させる。
【0094】
このような構成により、粉体排出装置1では、変形部によって上流側へと折り返される排出部101の折り返し部分がシール部の内側に位置しているので、収容袋100と投入口10aとの連通空間の内側から見て、当該折り返し部分がシール部を覆うことで、シール部の露出が抑制され、連通空間の粉体がシール部に到達し難くなっている。また、排出部101は、シール部において下流側へと折り返されることで、投入口10aを構成する投入管10の壁面に沿って密着するので、排出部101と投入口10aとの間に段差や隙間などが生じ難くなる。そのため、収容袋100および投入口10aの連通空間において、粉体が舞い上がっても、排出部101のシール部に付着・堆積し難くなっている。
【0095】
従って、排出部101のシール部の周辺に存在する粉体を最小限に抑えることができるので、排出部101と投入口10aとの気密状態を安定化することができる。更に、収容袋100を粉体排出装置1から離間させるときに、気密状態を解除して排出部101が投入口10aから外れる場合でも、排出部101のシール部の周辺で浮遊・滞留する粉体を最小限に抑えることができる。そのため、装置周辺が粉体で汚染されることを最小限に抑えることができ、作業員の健康被害の発生を抑制することができる。即ち、粉体排出装置1は、収容袋100からの粉体の投入時や収容袋100の取り外し時に、周囲への粉体の飛散を抑制することができる。
【0096】
また、本発明の粉体排出装置1の技術は、粉体排出方法として適用することができる。換言すれば、可撓性を有する収容袋100に充填された粉体を粉体排出装置1に投入し、投入された粉体を粉体排出装置1から排出する粉体排出方法は、収容袋100と粉体排出装置1の投入口10aとが連通された状態で、収容袋100の排出部101と投入口10aとを気密状にシールするシール工程と、収容袋100から投入口10aへと投入される粉体の流通方向において、排出部101を上流側へと折り返した後、下流側へと折り返すように、排出部101のシール部の内側で排出部101を変形させる変形工程と、排出部101から投入口10aへと粉体を投入する投入工程と、投入された粉体を粉体排出装置1の排出口11aから排出する排出工程と、を有する。
【0097】
また、本実施形態では、粉体排出装置1は、流通方向において投入口10aよりも上流側に配置される押さえ部材13と、押さえ部材13を投入口10aに対して接近方向または離間方向に移動させる移動部である昇降部材14と、を備える。押さえ部材13は、シール部よりも内側で、流通方向において下流側に向かって突出する突出部29を備える。変形部は、押さえ部材13が投入口10aに接近したときに、突出部29がシール部よりも下流側に突出して、突出部29によって排出部101を上流側へと折り返すように構成される。
【0098】
このような構成により、粉体排出装置1では、投入口10aに対して収容袋100を被せた状態で、移動部によって押さえ部材13を投入口10aに接近させると、シール部よりも下流側に突出した突出部29によって、排出部101が上流側へと折り返される。突出部29によって上流側へと折り返される排出部101の折り返し部分がシール部の内側に位置しているので、収容袋100と投入口10aとの連通空間の内側から見て、当該折り返し部分がシール部を覆うことで、シール部の露出が抑制され、連通空間の粉体がシール部に到達し難くなる。
【0099】
また、本実施形態では、粉体排出装置1は、押さえ部材13は、投入口10aに対応して開口され、排出部101を導入する導入口13aを備え、突出部29は、導入口13aの内周に沿って環状に形成されている。
【0100】
このような構成により、導入口13aの内周に沿って設けられた突出部29が、シール部よりも下流側で排出部101を上流側へと折り返すため、導入口13aの内周に亘ってシール部を覆って露出を抑制することができ、排出部101のシール部の周辺に存在する粉体をより抑えることができる。
【0101】
また、本実施形態では、粉体排出装置1は、投入口10aから排出口11aまで連通する流通管20と、流通管20の周囲を囲む捕集ダクト12と、を備える。捕集ダクト12は、流通方向において上流側で、投入口10aの周囲に開口された上側開口部12bと、粉体を集塵する集塵装置19に接続される接続口12dと、を備える。
【0102】
このような構成により、投入口10aの周辺に拡散・飛散した粉体を上側開口部12bを介して効率良く捕集することができ、また、捕集した粉体を集塵装置19へと送ることができる。そのため、装置周辺の粉体での汚染や、作業員の健康被害の発生を、より抑制することができる。
【0103】
また、本実施形態では、粉体排出装置1では、移動部である一対の昇降部材14は、押さえ部材13を投入口10aに対して昇降させる一対のエアシリンダで構成され、粉体排出装置1は、エアシリンダに沿って配置される一対のシリンダガイドで構成される一対のガイド部材15を備える。エアシリンダの一端およびシリンダガイドの一端は、押さえ部材13に接続される。一方のエアシリンダおよび一方のシリンダガイドと、他方のエアシリンダおよび他方のシリンダガイドとは、流通管20を挟んで対向して配置されている。
【0104】
このような構成により、エアシリンダを利用して押さえ部材13を昇降させることができ、また、一対のエアシリンダの制御に同期ずれが発生した場合でも、一対のシリンダガイドによって、一対のエアシリンダの平行な直進性を確保することができ、同期ずれの影響を受けることなく、押さえ部材13の両端を安定して並行に昇降させることができる。従って、押さえ部材13が斜めになることがないので、一対のエアシリンダの動作不良を抑制することができる。
【0105】
また、本実施形態では、粉体排出装置1では、エアシリンダの一端およびシリンダガイドの一端は、押さえ部材13に接続されるフローティングジョイント32を備える。
【0106】
このような構成により、押さえ部材13とエアシリンダである一対の昇降部材14との芯ずれや並行度の精度不足を解消することができ、エアシリンダを安定的に作動させて、押さえ部材13を安定して昇降することができる。また、エアシリンダ内部のピストンパッキンに掛かる負荷を抑制し、エアシリンダの故障を抑制することができる。
【0107】
また、本実施形態では、粉体排出装置1は、挟み込み防止部17を備え、挟み込み防止部17は、押さえ部材13と投入口10aとの間への外部からの障害物の侵入を検出する検出部を備える。挟み込み防止部17は、検出部が障害物の侵入を検出した場合、移動部による押さえ部材13の下降を抑制する。
【0108】
このような構成により、作業者の手などの障害物が押さえ部材13と投入口10aとの間に侵入した場合には、押さえ部材13の下降が抑制されるため、押さえ部材13によって挟まれるなどの事故を未然に防ぎ、安全性を確保することができる。
【0109】
また、本実施形態では、粉体排出装置1は、流通管20の内部に設けられ、収容袋100の内部に向けて圧縮空気を噴出する圧縮空気噴出部16を備える。圧縮空気噴出部16は、流通方向において上流側に設けられ、圧縮空気噴出部16の先端部は、流通方向において下流側に傾斜して形成され、逆止弁37を備える。逆止弁37は、圧縮空気を噴出する場合のみ開放する一方、圧縮空気の噴出を終了した場合に閉鎖する。
【0110】
このような構成により、収容袋100からの粉体の投入後に、収容袋100の内部に粉体が残留する場合でも、圧縮空気噴出部16によって圧縮空気を収容袋100の内部に向けて噴出させることで、ブリッジなどの残留粉体を破壊し、粉体の流動性を高め、投入口10aに残留粉体を落下させることができる。また、逆止弁37を設けることで、粉体の投入時に、粉体が圧縮空気噴出部16の内部に侵入することを防止できる一方、粉体の投入後には、逆止弁37を開放して、圧縮空気を安定して噴出することができる。更に、圧縮空気噴出部16の先端部は下傾しているので、投入した粉体が、圧縮空気噴出部16の先端部に堆積することを防止し、逆止弁37の開閉動作への影響を抑制することができる。
【0111】
なお、本実施形態では、押さえ部材13が下降した際に、収容袋100の排出部101が、投入管10や突出部29からなる変形部によって、シール部の内側で、上方へと折り返された後、下方へと折り返されることで、断面N字状に変形される例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0112】
他の例では、粉体排出装置1は、排出部101を変形させる変形部として、内側と外側とに二重に重ねられる2つの環状部材(図示せず)を備えてもよい。この場合、排出部101は、内側環状部材の内周側に沿って上方から下方へ通された後、内側環状部材の下側縁部で内側環状部材の外周側に沿って上方へと折り返される。排出部101が内側環状部材の外周側に折り返されている状態で、外側環状部材が内側環状部材の外周側に嵌合され、これにより、排出部101は、内側環状部材と外側環状部材とに挟持される。更に、排出部101は、外側環状部材の上側縁部で外側環状部材の外周側に沿って下方へと折り返される。
【0113】
このように、排出部101は、内側環状部材および外側環状部材によって断面N字状に変形される。そして、外側環状部材は、排出部101を変形させた状態で、投入管10の上側先端部に取り付けられる。これにより、排出部101は、内側環状部材および外側環状部材と投入管10とによってチャッキング(固定)およびシール(密閉)が行われる。
【0114】
また、排出部101を変形させる変形部は、断面N字状を繰り返して排出部101を変形させるように構成されてもよい。例えば、変形部として、投入管10は、上側先端部に二重の縁部を有して構成され、押さえ部材13は、二重の突出部29を有して構成される。そして、押さえ部材13が下降した際に、内側の突出部29が投入管10の内側に入り込み、外側の突出部29が投入管10の二重の縁部の間に入り込むことによって、排出部101を交互に挟み込んで、断面N字状を繰り返すように排出部101を変形させてもよい。あるいは、変形部として、三重に重ねられる3つの環状部材を備え、3つの環状部材が排出部101を交互に挟み込んで、断面N字状を繰り返すように排出部101を変形させてもよい。
【0115】
なお、本実施形態では、挟み込み防止部17が、リング39と、被検知板40と、支持棒41と、近接センサ42とで構成される例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。他の例では、挟み込み防止部17は、押さえ部材13と投入管10との間への障害物の侵入を防止するように、押さえ部材13と投入管10との間を覆うカーテンなどの遮蔽部材を(図示せず)を備えてもよい。また、挟み込み防止部17は、遮蔽部材が開けられる動作や、捲られる動作、持ち上げられる動作などを検知するセンサを備えて、これらの動作を検知している場合に、一対の昇降部材14による押さえ部材13の下降を抑制してもよい。
【0116】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う粉体排出装置および粉体排出方法もまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の技術は、粉体を扱う工場などの施設において、粉体を収容するフレキシブルコンテナバッグなどの収容袋から粉体が投入され、投入された粉体を排出する粉体排出装置および粉体排出方法として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 粉体排出装置
10 投入管(シール部、変形部)
10a 投入口
11 排出管
11a 排出口
12 捕集ダクト
12b 上側開口部(開口部)
12d 接続口
13 押さえ部材
13a 導入口
14 昇降部材(移動部)
15 ガイド部材
16 圧縮空気噴出部
17 挟み込み防止部
18 制御盤
19 集塵装置
20 流通管
29 突出部(変形部)
30 シール部材(シール部、変形部)
32 フローティングジョイント
37 逆止弁
39 リング(検出部)
40 被検知板(検出部)
41 支持棒(検出部)
42 近接センサ(検出部)
48 制御装置
100 収容袋
101 排出部