IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

特開2024-48923媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置
<>
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図1
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図2
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図3
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図4
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図5
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図6
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図7
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図8
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図9
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図10
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図11
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図12
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図13
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図14
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図15
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図16
  • 特開-媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048923
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20240402BHJP
   B65H 1/12 20060101ALI20240402BHJP
   B65H 11/00 20060101ALI20240402BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65H1/04 310C
B65H1/04 326A
B65H1/12 310C
B65H11/00 E
G03G15/00 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155095
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】深町 昂志
(72)【発明者】
【氏名】野口 淳
(72)【発明者】
【氏名】紺谷 啓太
(72)【発明者】
【氏名】藤井 謙
【テーマコード(参考)】
2H076
3F063
3F343
【Fターム(参考)】
2H076BA17
2H076BA24
2H076BA30
2H076BA45
3F063BA04
3F063BA09
3F063BC04
3F063CA04
3F343FA01
3F343FB01
3F343FC04
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA12
3F343HA34
3F343HD06
3F343HD17
3F343HE07
3F343HE12
3F343KB03
3F343KB17
3F343LA04
3F343LA13
(57)【要約】
【課題】昇降型の積載手段に積載される媒体の昇降位置が変化したとしても、小型の装置構成を維持しながら、積載手段と媒体の端部位置の規制手段との間の隙間への媒体の引っ掛かりを抑制し、媒体の供給動作を安定させる。
【解決手段】複数の媒体Sを積載する積載手段1と、積載手段1に積載された媒体Sのうち最上位に位置する媒体Sを予め決められた供給方向に送出する送出手段2と、積載手段1のうち媒体Sの供給方向端部から離れた箇所を揺動支点1aとし、積載手段1の少なくとも一部を昇降する昇降手段3と、積載手段1の媒体Sの供給方向側に設けられ、積載手段1に積載された媒体Sの供給方向側端部に接触して当該媒体Sの積載位置を規制する規制手段4と、積載手段1の昇降動作を許容し、積載手段1の任意の昇降位置にて積載手段1と規制手段4との間の隙間gの少なくとも一部を塞ぐ塞ぎ手段5と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の媒体を積載する積載手段と、
前記積載手段に積載された前記媒体のうち最上位に位置する媒体を予め決められた供給方向に送出する送出手段と、
前記積載手段のうち前記媒体の供給方向端部から離れた箇所を揺動支点とし、前記積載手段の少なくとも一部を昇降する昇降手段と、
前記積載手段の前記媒体の供給方向側に設けられ、前記積載手段に積載された前記媒体の供給方向側端部に接触して当該媒体の積載位置を規制する規制手段と、
前記積載手段の昇降動作を許容し、前記積載手段の任意の昇降位置にて前記積載手段と前記規制手段との間の隙間の少なくとも一部を塞ぐ塞ぎ手段と、
を備えたことを特徴とする媒体供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体供給装置において、
前記塞ぎ手段は、前記積載手段と前記規制手段との間の隙間に配置され、前記隙間の一部を塞ぐように掛け渡される掛渡し要素を有することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の媒体供給装置において、
前記掛渡し要素は、前記積載手段の前記媒体の供給方向側端部に進退可能に設けられ、前記隙間の変化に追従して進退する可動部材を有することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の媒体供給装置において、
前記可動部材は、前記積載手段の前記媒体の供給方向に直交する幅方向に間隔を置いて複数配置されていることを特徴とする媒体供給装置。
【請求項5】
請求項2に記載の媒体供給装置において、
前記掛渡し要素は、前記積載手段の前記媒体の供給方向側端部に回転可能に設けられ、前記隙間の変化に追従して当該隙間に接触して配置される回転部材を有することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項6】
請求項1に記載の媒体供給装置において、
前記塞ぎ手段は、前記積載手段と前記規制手段との間を接触した状態に保つ接触要素を有することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項7】
請求項6に記載の媒体供給装置において、
前記接触要素は、前記積載手段が前記媒体の供給方向側に引出し可能な可動引出部を有し、前記規制手段に向けて前記可動引出部を付勢することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項8】
請求項6に記載の媒体供給装置において、
前記接触要素は、前記規制手段が前記積載手段に向かって進退可能に設けられ、前記積載手段に向けて前記規制手段を付勢手段にて付勢することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項9】
請求項1に記載の媒体供給装置において、
前記規制手段は、前記積載手段に対向する側が平面であることを特徴とする媒体供給装置。
【請求項10】
請求項9に記載の媒体供給装置において、
前記規制手段は平板からなる規制部材で構成されることを特徴とする媒体供給装置。
【請求項11】
媒体に対して予め決められた処理を実施する処理手段と、
前記媒体を前記処理手段に前記媒体を供給する請求項1乃至10のいずれかに記載の媒体供給装置と、
を備えた媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の媒体供給装置としては例えば特許文献1,2に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、最上部の原稿から給紙を行う自動原稿給紙装置であって、原稿束先端縁を突き当て面によって規制するストッパ部材を有したものにおいて、上記加圧板の上面には平板状の弾性部材が添設され且つ非給紙時に於ては上記屈曲部の頂部を越えた前方位置で該弾性部材先端部が加圧板上面から離間して前方へ突出しており、また該弾性部材先端部の少なくとも一部は切欠を介して該ストッパ部材の突き当て面よりも前方に突出している自動原稿給紙装置が開示されている。
特許文献2には、原稿テーブルにセットされた原稿束を上方に持ち上げる底板を有し、底板の少なくとも一部が原稿突き当て面によりも給紙方向に突出するように構成し、底板と原稿突き当て部材との隙間に原稿が入り込むことがない自動原稿給紙装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-325531号公報(発明の実施の形態,図2
【特許文献2】特開平11-236141号公報(発明の実施の形態,図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、昇降型の積載手段に積載される媒体の昇降位置が変化したとしても、小型の装置構成を維持しながら、積載手段と媒体の端部位置の規制手段との間の隙間への媒体の引っ掛かりを抑制し、媒体の供給動作を安定させる媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の技術的特徴は、複数の媒体を積載する積載手段と、前記積載手段に積載された前記媒体のうち最上位に位置する媒体を予め決められた供給方向に送出する送出手段と、前記積載手段のうち前記媒体の供給方向端部から離れた箇所を揺動支点とし、前記積載手段の少なくとも一部を昇降する昇降手段と、前記積載手段の前記媒体の供給方向側に設けられ、前記積載手段に積載された前記媒体の供給方向側端部に接触して当該媒体の積載位置を規制する規制手段と、前記積載手段の昇降動作を許容し、前記積載手段の任意の昇降位置にて前記積載手段と前記規制手段との間の隙間の少なくとも一部を塞ぐ塞ぎ手段と、を備えたことを特徴とする媒体供給装置である。
【0006】
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記塞ぎ手段は、前記積載手段と前記規制手段との間の隙間に配置され、前記隙間の一部を塞ぐように掛け渡される掛渡し要素を有することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第3の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記掛渡し要素は、前記積載手段の前記媒体の供給方向側端部に進退可能に設けられ、前記隙間の変化に追従して進退する可動部材を有することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第4の技術的特徴は、第3の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記可動部材は、前記積載手段の前記媒体の供給方向に直交する幅方向に間隔を置いて複数配置されていることを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第5の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記掛渡し要素は、前記積載手段の前記媒体の供給方向側端部に回転可能に設けられ、前記隙間の変化に追従して当該隙間に接触して配置される回転部材を有することを特徴とする媒体供給装置である。
【0007】
本発明の第6の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記塞ぎ手段は、前記積載手段と前記規制手段との間を接触した状態に保つ接触要素を有することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第7の技術的特徴は、第6の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記接触要素は、前記積載手段が前記媒体の供給方向側に引出し可能な可動引出部を有し、前記規制手段に向けて前記可動引出部を付勢することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第8の技術的特徴は、第6の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記接触要素は、前記規制手段が前記積載手段に向かって進退可能に設けられ、前記積載手段に向けて前記規制手段を付勢手段にて付勢することを特徴とする媒体供給装置である。
【0008】
本発明の第9の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記規制手段は、前記積載手段に対向する側が平面であることを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第10の技術的特徴は、第9の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記規制手段は平板からなる規制部材で構成されることを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第11の技術的特徴は、媒体に対して予め決められた処理を実施する処理手段と、前記媒体を前記処理手段に前記媒体を供給する第1乃至第10の技術的特徴のいずれかを備えた媒体供給装置と、を備えた媒体処理装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の技術的特徴によれば、昇降型の積載手段に積載される媒体の昇降位置が変化したとしても、小型の装置構成を維持しながら、積載手段と媒体の端部位置の規制手段との間の隙間への媒体の引っ掛かりを抑制し、媒体の供給動作を安定させることができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、積載手段と規制手段との間に隙間が存在しても、積載された媒体の隙間への引き込みを有効に抑制することができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、進退可能な可動部材を利用して掛渡し要素を簡単に構築することができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、一つの可動部材を用いる場合に比べて、積載された媒体の隙間への引き込みをより有効に抑制することができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、回転部材を利用して掛渡し要素を簡単に構築することができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、積載手段と規制手段との間に隙間が存在しない状態を保ち、積載された媒体の隙間への引き込みを有効に抑制することができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、積載手段の構成を工夫することで、接触要素を簡単に構築することができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、規制手段の構成を工夫することで、接触要素を簡単に構築することができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、塞ぎ手段の機能を実現するに当たって、規制手段の構成を簡略化することができる。
本発明の第10の技術的特徴によれば、積載手段と規制手段との間に櫛歯状の構造を形成する態様に比べて、規制手段の厚みを薄くすることができ、その分、装置構成の小型化を実現する上で有効である。
本発明の第11の技術的特徴によれば、昇降型の積載手段に積載される媒体の昇降位置が変化したとしても、小型の装置構成を維持しながら、積載手段と媒体の端部位置の規制手段との間の隙間への媒体の引っ掛かりを抑制し、媒体の供給動作を安定させることが可能な媒体供給装置を含む媒体処理装置を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明が適用された媒体供給装置の実施の形態の概要を示す説明図である。
図2】実施の形態1に係る媒体処理装置としての画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
図3】実施の形態1で用いられる媒体供給装置としての原稿供給装置の全体構成を示す説明図である。
図4】実施の形態1に係る原稿供給装置の原稿積載部の周辺構造を示す斜視図である。
図5】(a)は実施の形態1に係る原稿供給装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中B-B線断面図である。
図6】(a)は図5(a)に示す塞ぎ機構の構成例を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
図7】(a)は実施の形態1に係る原稿供給装置において、昇降台が初期位置に位置するときの状態を示す説明図、(b)は同昇降台が最上位に位置するときの状態を示す説明図である。
図8】(a)は実施の形態1に係る原稿供給装置において、昇降台の上昇に伴う可動部材の挙動を示す説明図、(b)は(a)に示す可動部材の挙動において、可動部材と規制部材との関係を示す説明図である。
図9】(a)は比較の形態1に係る原稿供給装置の要部を示す斜視図、(b)は(a)中B部分の詳細図、(c)は(a)中C方向から見た矢視図である。
図10】(a)は実施の形態2に係る原稿供給装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中のB-B線断面図である。
図11】(a)は実施の形態2に係る原稿供給装置の昇降台が初期位置P1に位置するときの掛渡し機構の挙動を示す説明図、(b)は同昇降台が最上位の位置P2に至ったときの掛渡し機構の挙動の詳細を示す説明図である。
図12】(a)は実施の形態3に係る原稿供給装置の要部を示す説明図、(b)は(a)の原稿供給装置の昇降台が最上位に位置するときの接触機構の挙動を示す説明図、(c)は昇降台の上昇に伴う昇降台と規制部材との関係を示す説明図である。
図13】(a)は実施の形態3で用いられる塞ぎ機構の構成例を示す説明図、(b)は(a)中B部の詳細図、(c)は(b)中C部の詳細図である。
図14】(a)は実施の形態4に係る原稿供給装置の要部を示す説明図、(b)は(a)の原稿供給装置の昇降台が最上位に位置するときの塞ぎ機構の挙動を示す説明図である。
図15】(a)は変形の形態4-1に係る原稿供給装置の要部を示す説明図、(b)は(a)で示す塞ぎ機構の構成例を示す説明図、(c)は(b)中C方向から見た矢視図である。
図16】(a)は実施の形態5に係る原稿供給装置の要部を示す説明図、(b)は塞ぎ機構の拡大説明図である。
図17】(a)は実施の形態5に係る原稿供給装置の昇降台が初期位置に位置するときの塞ぎ機構の挙動を示す説明図、(b)は同昇降台が最上位の位置に位置するときの塞ぎ機構の挙動を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
◎実施の形態の概要
図1は本発明が適用される媒体供給装置の実施の形態の概要を示す説明図である。
同図において、媒体供給装置は、複数の媒体Sを積載する積載手段1と、積載手段1に積載された媒体Sのうち最上位に位置する媒体Sを予め決められた供給方向に送出する送出手段2と、積載手段1のうち媒体Sの供給方向端部から離れた箇所を揺動支点1aとし、積載手段1の少なくとも一部を昇降する昇降手段3と、積載手段1の媒体Sの供給方向側に設けられ、積載手段1に積載された媒体Sの供給方向側端部に接触して当該媒体Sの積載位置を規制する規制手段4と、積載手段1の昇降動作を許容し、積載手段1の任意の昇降位置にて積載手段1と規制手段4との間の隙間gの少なくとも一部を塞ぐ塞ぎ手段5と、を備えたものである。
また、このような媒体供給装置は、媒体に対して予め決められた処理を実施する処理手段を含む媒体処理装置に対して適用することが可能である。
【0012】
このような技術的手段において、本件は原稿や印刷用紙等の媒体Sを供給する媒体供給装置を適用対象とする。
また、昇降手段3は、積載手段1のうち媒体Sの供給方向端部から離れた箇所を揺動支点1aとする揺動式のものを前提とし、複数の媒体Sを略平行に昇降する態様は含まない。
更に、規制手段4は、積載手段1に積載された媒体Sの供給方向側の端部位置を規制するもので、媒体Sの初期位置のばらつきをなくすためのものである。
更にまた、塞ぎ手段5は、積載手段1の任意の昇降位置にて積載手段1と規制手段4との間の隙間gの少なくとも一部を塞ぐものであればよい。
【0013】
次に、本実施の形態に係る媒体供給装置の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、塞ぎ手段5の代表的態様としては、積載手段1と規制手段4との間の隙間gに配置され、隙間gの一部を塞ぐように掛け渡される掛渡し要素6を有する態様が挙げられる。本例は、隙間gが生ずることを前提とし、隙間gの一部に掛け渡される態様である。
本例において、掛渡し要素6は、積載手段1の媒体Sの供給方向側端部に進退可能に設けられ、隙間gの変化に追従して進退する可動部材を有するものであればよい。
ここでいう可動部材としては、各種サイズの媒体Sを適用対象とするには、積載手段1の媒体Sの供給方向に直交する幅方向に間隔を置いて複数配置されている態様が好ましい。
また、掛け渡し要素6の他の例としては、積載手段1の媒体Sの供給方向側端部に回転可能に設けられ、隙間gの変化に追従して当該隙間gに接触して配置される回転部材を有する態様もある。
【0014】
また、塞ぎ手段5の他の代表的態様としては、積載手段1と規制手段4との間を接触した状態に保つ接触要素7を有する態様が挙げられる。本例は、隙間を生じないようにする態様である。
本例において、接触要素7としては、積載手段1が媒体Sの供給方向側に引出し可能な可動引出部を有し、規制手段4に向けて可動引出部を付勢するものがある。この場合、付勢手段としては、ばね等の付勢部材を用いるのが一般的であるが、自重を利用して可動引出部を引き出すようにしてもよい。
また、別の接触要素7としては、規制手段4が積載手段1に向かって進退可能に設けられ、積載手段1に向けて規制手段4を付勢手段にて付勢する態様でもよい。
【0015】
更に、規制手段4の好ましい態様としては、積載手段1に対向する側が平面である態様や、平板からなる規制部材で構成される態様が挙げられる。つまり、本実施の形態では、塞ぎ手段5を具備することにより、例えば積載手段1と規制手段4との対向部位を櫛歯状の凹凸部として交互に噛合わせるという対策を採用せずに済む。
【0016】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は本発明が適用される媒体処理装置としての画像形成装置の全体構成を示す。
-画像形成装置の全体構成-
同図において、画像形成装置20は、装置筐体21内に複数の色(本実施の形態ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの四色)の画像を形成する作像エンジン30を搭載し、装置筐体21の下部には用紙等の媒体が収容される媒体供給装置50を設置し、装置筐体21の上部には画像読取装置80を設置し、この画像読取装置80の上部には画像読取装置80に原稿を送るための原稿供給装置100を設置したものである。
【0017】
-作像エンジンの構成例-
本実施の形態において、作像エンジン30は、複数の色の画像を形成する画像形成部31(具体的には31a~31d)を略水平方向に配列し、その上方には画像形成部31の配列方向に沿って循環移動する例えばベルト状の中間転写体45が含まれる転写モジュール40を配設し、各画像形成部31で形成した各色の画像を転写モジュール40を介して媒体に転写するものである。
【0018】
本例では、各画像形成部31(31a~31d)は、図2に示すように、中間転写体45の循環方向上流側から順に、例えばイエロ用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用(配列は必ずしもこの順番とは限らない)のトナー像を形成するものであり、感光体32と、この感光体32を予め帯電する帯電装置(本例では帯電ロール)33と、この帯電装置33にて帯電された各感光体32に静電潜像を書き込む露光装置(本例ではLED書込ヘッド)34と、感光体32上に形成された静電潜像を対応する色成分トナー(本実施の形態では例えば負極性)で現像する現像装置35と、感光体32上の残留物を清掃する清掃装置36と、を備えている。
尚、符号37(具体的には37a~37d)は各現像装置35に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである。
【0019】
また、本実施の形態において、転写モジュール40は、複数の張架ロール41~44にベルト状の例えばポリイミド樹脂製の中間転写体45を架け渡したものであり、例えば張架ロール41を駆動ロールとして中間転写体45を循環移動するようにしたものである。そして、各画像形成部31の感光体32に対応した中間転写体45の裏面には一次転写用の転写装置(本例では転写ロール)46が配設され、この転写装置46にトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧を印加することで、感光体32上のトナー像を中間転写体45側に静電転写するようになっている。
更に、中間転写体45の最上流画像形成部31aの上流側には中間転写体用の清掃装置47が配設されており、中間転写体45上の残留トナーを除去するようになっている。
【0020】
また、本実施の形態では、中間転写体45の最下流画像形成部31dの下流側の張架ロール42に対応した部位には二次転写用の転写装置60が配設されており、中間転写体45上の一次転写像を媒体に二次転写(一括転写)するようになっている。
本例では、転写装置60は、中間転写体45のトナー像保持面側に圧接して配置される二次転写ロール61と、中間転写体45の裏面側に配置されて二次転写ロール61の対向電極をなすバックアップロール(本例では張架ロール42を兼用)とを備えている。そして、例えば二次転写ロール61が接地されており、また、バックアップロール(張架ロール42)にはトナーの帯電極性と同極性の二次転写電圧が印加されている。
【0021】
また、媒体供給装置50には媒体を供給する供給ロール51が設けられ、媒体搬送路55には図示外の搬送ロールが配設されると共に、二次転写部位の直前に位置する媒体搬送路55には媒体を所定のタイミングで二次転写部位へ供給する位置合せロール56が配設されている。
更に、二次転写部位の下流側に位置する媒体搬送路55には定着装置70が設けられ、この定着装置70は、例えば図示外の加熱ヒータが内蔵された加熱定着ロール71と、これに圧接して配置されて追従回転する加圧定着ロール72とを備えている。
また、装置筐体21のうち画像読取装置80の下部には空洞部21aが形成されており、この空洞部21aは媒体収容受け58として機能する。
そして、定着装置70の下流側には排出ロール57が設けられており、媒体を挟持搬送して排出し、媒体収容受け58に媒体を収容するようになっている。
尚、本例では、図示を省略しているが、媒体の手差し供給装置や、媒体の両面記録を可能とする両面記録モジュールを別途付設してもよいことは勿論である。
【0022】
-画像読取装置-
本例において、画像読取装置80は、図2に示すように、原稿を光学的に読み取る光学系81を備えている。この光学系81は、原稿に光を照射するランプ82と、原稿からの光を反射する複数の反射ミラー83と、この反射ミラー83からの光を集束させるレンズ84と、このレンズ84により集束した光を読み取る読取センサ85とを有する。この光学系81は、原稿供給装置100から送られた原稿を予め決められた読取部88領域にランプ82からの光を照射して読み取る機能と、プラテン86上に置かれた原稿をランプ82を走査することで読み取る機能とを備えている。
【0023】
-原稿供給装置-
本例において、原稿供給装置100は、図2及び図3に示すように、多数の原稿が積載される原稿台101と、原稿を搬送する原稿搬送系102と、画像を読み取った後の原稿が排出される排出台103とを備えている。
<原稿搬送系>
本例において、原稿搬送系102は、主搬送部111と反転部120とを有している。
ここで、主搬送部111は、U字状に形成された主搬送路112を有し、この主搬送路112には、原稿送り時に下降し、原稿台101に積載された原稿をピックアップするピックアップロール113と、ピックアップロール113から送られた原稿を捌き、最上位に位置する原稿を供給するフィードロール114と、フィードロール114から供給された原稿を一時停止させてループを形成し、斜行補正するプリレジストロール115と、プリレジストロール115から送られた原稿を一時停止させ、読取部88への読取りタイミングを採るレジストロール116と、レジストロール116の下流側に設けられるアウトロール117と、原稿を排出する際に正転し、アウトロール117と共に原稿を排出する排出ロール118と、を備えている。
尚、ピックアップロール113は昇降用モータ119によって昇降動し、図示外の駆動モータによって回転駆動するようになっている。
【0024】
反転部120は、一端がアウトロール117と排出ロール118との間で主搬送路112に接続され、他端がプリレジストロール115で主搬送路112に接続されている反転搬送路121を有し、反転搬送路121の排出ロール118側の端部付近には反転ゲート122が設けられ、原稿を反転させる場合に、原稿の後端が排出ロール118付近まで到達した段階で排出ロール118を逆転させ、反転搬送路121に原稿を導くように反転ゲート122を切り替える。
また、読取部88は、レジストロール116とアウトロール117との間にあって、プラテン86に原稿を押し付け、画像読取装置80で原稿を読み取るものである。
【0025】
<原稿台>
本例において、原稿台101は、図3及び図4に示すように、固定台130と、この固定台130に対して揺動可能に昇降する昇降台140と、を備えている。
ここで、固定台130は、原稿の供給方向先端側に原稿の先端位置を規制する規制手段としての規制部材(原稿先端突き当て部材に相当)131を備えている。本例では、規制部材131は、固定台130の底部132の原稿の供給方向先端側に一体的に又は別体として設けられている。
また、昇降台140は、原稿の供給方向先端側から離れた箇所に揺動支点141を有し、昇降台140のうち原稿の供給方向先端側がピックアップロール113に対して上下動するようになっている。
【0026】
更に、昇降台140は、正逆回転可能な昇降用モータ142によって昇降動するようになっており、昇降台140の先端近傍にはリフトセンサ146が設けられると共に、昇降台140には積載される原稿の有無を検出する原稿センサ147が設けられている。ここで、リフトセンサ146は、昇降台140が予め決められた位置、具体的には、昇降台140に積載された最上位の原稿が原稿搬送位置まで上昇したか否かを検出するようになっている。
更に、昇降台140には、原稿の積載位置を案内する対構成の原稿ガイド148が設けられている。この原稿ガイド148は、連動機構149を介して互いに連動して原稿の供給方向に交差する幅方向に移動し、原稿をセンタを中心に位置決めするようになっている。
【0027】
-原稿供給制御系-
本例では、図3に示すように、原稿供給装置100を制御するために制御装置150が設けられている。
この制御装置150は、各種プロセッサを含むマイクロコンピュータにて構成されている。ここでいう「プロセッサ」とは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
この制御装置150は、リフトセンサ146や原稿センサ147等の各種センサから検出情報が入力され、また、昇降用モータ119,142に対して制御信号を送出し、この制御信号に基づいてピックアップロール113や昇降台140を昇降動するようになっている。
例えばリフトセンサ146からの情報に基づいて昇降用モータ142により昇降台140が所定位置に上昇すると、これに併せて、ピックアップロール113が昇降用モータ119により下降し、昇降台140に積載された最上位の原稿にピックアップロール113が接触するように移動する。
【0028】
-規制部材と昇降台との相対位置関係-
本例において、昇降台140は、図3及び図4に示すように、揺動支点141を中心に揺動可能に昇降するため、例えば昇降台140の初期位置が略水平配置であるような場合には、昇降台140が上昇すると、昇降台140の揺動先端位置は規制部材131の規制位置に対して次第に隙間が広くなる傾向がある。この場合、昇降台140からの原稿搬送時に原稿の先端が隙間部分に引っ掛かる懸念がある。
このため、本実施の形態では、昇降台140と規制部材131との間に生ずる隙間について、原稿搬送に支障が生じないように検討したものである。
【0029】
-塞ぎ機構-
本例では、図5及び図6に示すように、昇降台140の先端に塞ぎ機構160が設けられている。
この塞ぎ機構160は、昇降台140と規制部材131(原稿先端突き当て部材に相当)との間の隙間に配置され、隙間の一部を塞ぐように掛け渡される掛渡し要素として構成される。
本例において、塞ぎ機構160は、昇降台140の原稿の供給方向側端部に進退可能に設けられ、隙間の変化に追従して進退する可動部材161を有している。そして、本例では、可動部材161は、昇降台140の原稿の供給方向に直交する幅方向に間隔を置いて複数(本例では5つ)配置されている。
本例では、昇降台140は、原稿が積載される部分の先端側に下方に折曲された折曲部143を有しており、この折曲部143の裏側に可動部材161が進退可能に設けられている。そして、折曲部143のうち可動部材161に対応した箇所には、可動部材161が出没可能なスリット144が形成されている。
【0030】
本例において、可動部材161は、スリット144に挿通可能な矩形状の平板からなる掛渡し部材162と、この掛渡し部材162の後方側に一体的に形成される略L字状の折曲アーム163とを備えている。
一方、可動部材161の掛渡し部材162を摺動可能に抱き込むホルダ165が設けられている。このホルダ165は、掛渡し部材162の両側に沿って延びる一対のガイド部材166と、掛渡し部材162の下面側で一対のガイド部材166間を一体的に連結する連結部材167とを備え、昇降台140側に形成された位置決め枠168やストッパ169によってガイド部材166を可動部材161の進退方向及びこれに直交する方向において位置決め固定するようにしたものである。本例では、一対のガイド部材166の外側に被位置決め部166aが張り出して形成され、この被位置決め部166aが位置決め枠168に当接するようになっており、一対のガイド部材166の可動部材161の後退方向側の端部がストッパ169に当接するようになっている。
そして、ホルダ165の連結部材167の一部と、可動部材161の折曲アーム163との間には例えばコイルスプリングからなる引張バネ170が引っ掛けられ、ホルダ165に対して可動部材161がスリット144から突出する方向に引っ張られている。
尚、本例では、引張バネ170を用いて可動部材161を付勢しているが、これに限られるものではなく、圧縮バネを用いて可動部材161を付勢するようにしてもよいことは勿論である。
【0031】
-塞ぎ機構の動作例-
本実施の形態によれば、塞ぎ機構160は、昇降台140のスリット144から可動部材161の一部である掛渡し部材162を引張バネ170により引っ張っているため、可動部材161の掛渡し部材162がスリット144から突出して配置される。
このとき、可動部材161の掛渡し部材162は、引張バネ170による付勢力によって付勢されているため、例えば図7及び図8に示すように、昇降台140の位置によって、昇降台140の先端部と規制部材131との間の隙間gが変化しても、可動部材161の掛渡し部材162は隙間gの大きさに追従して隙間gに掛け渡され、隙間gの一部を塞ぐ作用を奏する。
例えば図7(a)に示すように、昇降台140が初期位置P1に位置する場合には、昇降台140と規制部材131との間の隙間gはg1であり、図8(a)に示すように、可動部材161の掛渡し部材162の突出量は隙間g1を塞ぐ量になっている。
これに対し、図7(b)に示すように、昇降台140が最上位の位置P2に位置する場合には、昇降台140と規制部材131との間の隙間gはg2(>g1)であり、図8(a)に示すように、可動部材161の掛渡し部材162の突出量は隙間g2を塞ぐ量になっている。
この結果、昇降台140の位置が変化し、昇降台140と規制部材131との間の隙間gが変化したとしても、可動部材161の掛渡し部材162が隙間gを塞いでいるため、原稿の搬送動作に当たって、原稿が隙間gに引っ掛かるという懸念はない。
【0032】
◎比較の形態1
図9(a)~(c)は比較の形態1に係る原稿供給装置の要部を示す。
同図において、原稿供給装置200は、昇降台140の原稿の供給方向側先端部に櫛歯状の凹凸部201を設け、一方、規制部材131のうち昇降台140に対面する箇所にも櫛歯状の凹凸部202を設け、夫々の凹凸部201,202を互いに噛合うようにオーバーラップしたものである。
本例によれば、昇降台140の昇降位置の変化に伴って昇降台140と規制部材131との間の隙間gが変化したとしても、夫々の凹凸部201,202が噛合っているため、両者間に隙間が生ずるという懸念は少ない。
しかしながら、規制部材131は、少なくとも昇降台140側の凹凸部201と噛合い可能な凹凸部202を必要とするため、規制部材131の厚さ寸法dが嵩むという懸念がある。
【0033】
◎実施の形態2
図10(a)(b)は実施の形態2に係る原稿供給装置の要部を示す。
同図において、原稿供給装置100の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、塞ぎ機構160が実施の形態1と異なる。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
同図において、塞ぎ機構160は、昇降台140の原稿の供給方向の先端側略中央に凹部181を形成し、この凹部181には可動部材としてのロール状の回転コロ182を収容し、昇降台140の凹部181の裏面側には回転コロ182を棒状の保持アーム183の一端に保持し、この保持アーム183の途中を揺動支点184として回転コロ182を揺動可能に支持したものである。
そして、昇降台140の裏面のうち、保持アーム183よりも先端から離れた箇所には下方に突出する突出片185が設けられ、この突出片185と保持アーム183の他端との間には圧縮バネ186が引っ掛けられている。このため、回転コロ182は凹部181内において、昇降台140の表面部に略面して配置され、かつ、昇降台140の先端よりも原稿の供給方向側に向かって突出して配置される。
【0034】
本実施の形態に係る塞ぎ機構によれば、図11(a)(b)に示すように、昇降台140と規制部材131との間に隙間gが生じたとしても、回転コロ182は昇降台140の凹部181内に収容され、かつ、原稿の供給方向側に付勢され、昇降台140の先端よりも突出して配置される。このため、回転コロ182は規制部材131に突き当たって配置されることになり、この回転コロ182は規制部材131と昇降台140との間の隙間gを塞ぐ掛渡し部材として機能する。
例えば図11(a)に示すように、昇降台140が初期位置P1に位置する場合には、昇降台140と規制部材131との間の隙間gはg1であり、回転コロ182は昇降台140の表面部に面して回転可能に設けられ、かつ、回転コロ182の昇降台140の先端からの突出量は隙間g1を塞ぐ量になっている。
これに対し、図11(b)に示すように、昇降台140が最上位の位置P2に位置する場合には、昇降台140と規制部材131との間の隙間gはg2(>g1)であり、回転コロ182は昇降台140の表面部に面して回転可能に設けられ、かつ、回転コロ182の昇降台140の先端からの突出量は隙間g2を塞ぐ量になっている。
この結果、本例では、昇降台140の位置が変化し、昇降台140と規制部材131との間の隙間gが変化したとしても、回転コロ182が隙間gを塞いでいるため、原稿の搬送動作に当たって、原稿が隙間gに引っ掛かるという懸念はない。また、回転コロ182は昇降台140の表面部に面して回転可能に設けられているため、原稿供給時において回転コロ182が原稿の供給に支障を与える抵抗部材になる懸念もない。
【0035】
◎実施の形態3
図12(a)は実施の形態3に係る原稿供給装置の要部を示す。
同図において、原稿供給装置100の基本的構成は、実施の形態1,2と略同様であるが、塞ぎ機構160が実施の形態1,2と異なる。尚、実施の形態1,2と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、塞ぎ機構160は、昇降台140と規制部材131との間を接触した状態に保つ接触要素を有するものである。
本例では、塞ぎ機構160は、昇降台140として、揺動支点141を有する固定昇降台190と、この固定昇降台190の規制部材側に設けられる可動昇降台191とを備えたものである。ここで、可動昇降台191は、規制部材131側に向かって開口する中空状の収容ケース部192に引出可能な可動引出部193を摺動可能に収容し、この可動引出部193と収容ケース部192の奥側底部との間に圧縮バネ194を介在させ、規制部材131側に向かって可動引出部193を付勢するようにしたものである。
【0036】
本例においては、可動昇降台191の可動引出部193が収容ケース部192から常時突出して配置され、圧縮バネ194の付勢力に抗して進退可能に移動するものである。
このとき、規制部材131と昇降台140との間の隙間gが変化したとしても、可動引出部193の収容ケース部192からの突出量が隙間gよりも大きく選定されていれば、可動引出部193は圧縮バネ194の付勢力に抗して規制部材131に弾性的に突き当たり、隙間gを塞ぐ作用を奏する。
このとき、図12(a)に示すように、昇降台140が初期位置P1に位置する場合には、可動引出部193と規制部材131との間の隙間gはg1であり、可動引出部193の収容ケース部192からの突出量は隙間g1を塞ぐ量になっている。
これに対し、図12(b)に示すように、昇降台140が最上位の位置P2に位置する場合には、可動引出部193と規制部材131との間の隙間gはg2(>g1)であり、可動引出部193の収容ケース部192からの突出量は隙間g2を塞ぐ量になっている。
このように、本例では、図12(c)に示すように、昇降台140の位置が変化し、昇降台140の収容ケース部192と規制部材131との間の隙間gが変化したとしても、圧縮バネ194で付勢されている可動引出部193が規制部材131に向かって突出し、隙間gを塞ぐように作用する。このとき、隙間gがg1,g2のように変化したとしても、可動引出部193は隙間gの変化に追従して隙間gを塞ぐ。
【0037】
図13(a)~(c)は、実施の形態3に係る可動昇降台191の構成例を示す。
同図において、可動引出部193は、収容ケース部192に収容可能であり、本例では、収容ケース部192の開口の幅方向両側縁に夫々保持片195を突出して配置し、この保持片195には可動引出部193の進退方向と同じ方向に延びる長尺な案内溝196を形成すると共に、可動引出部193の幅方向両側には外側方に突出する案内ピン197を形成し、案内溝196に案内ピン197を摺動可能に嵌め込んだものである。
一方、収容ケース部192の奥側底部と可動引出部193との間には圧縮バネ194を介在させる構造が採用されている。ここで、圧縮バネ194を簡単に位置決め装着するという観点からは、例えば可動引出部193の奥側底面に圧縮バネ194を保持する位置決めピン198を設けると共に、収容ケース部192の奥側底部に圧縮バネ194を両側で挟み込むように位置決めする位置決めリブ199を設けるようにすればよい。尚、この種の位置決め構造としては、位置決めピン198、位置決めリブ199のいずれか一方を使用してもよいし、あるいは、別の手段を用いるようにしてもよい。
【0038】
◎実施の形態4
図14(a)(b)は実施の形態4に係る原稿供給装置の要部を示す。
同図において、原稿供給装置の基本的構成は、実施の形態1~3と略同様であるが、実施の形態1~3と異なる塞ぎ機構160を備えている。
本例において、塞ぎ機構160は、実施の形態3と同様に、昇降台140と規制部材131との間を接触した状態に保つ接触要素を有するものであるが、実施の形態3と異なり、規制部材131側に接触要素を持たせたものである。尚、実施の形態1~3と同様な構成要素については実施の形態1~3と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0039】
同図において、塞ぎ機構160は、例えば原稿台101の固定台130の幅方向両側に固定台130に対して原稿の供給方向に沿って摺動可能なスライダ210を設け、このスライダ210に規制部材131を固定すると共に、付勢バネ211により規制部材131を昇降台140側に向けて付勢するようにしたものである。
本例によれば、昇降台140の揺動支点141を中心とした昇降動作により、昇降台140の位置が例えば初期位置P1(図14(a)参照)や最上位の位置P2(図14(b)参照)に変化したとしても、規制部材131は付勢バネ211の付勢力によってスライダ210を介して固定台130上を摺動するため、規制部材131は昇降台140に弾性的に接触した状態で突き当たる。
【0040】
このため、昇降台140の位置が変化したとしても、規制部材131と昇降台140とは接触した状態に保たれる。よって、規制部材131と昇降台140との間に隙間が生ずることはなく、原稿供給時に、規制部材131と昇降台140との間の隙間に原稿が引っ掛かるような事態は有効に回避される。
但し、規制部材131の位置が変化することにより、昇降台140に積載される原稿の先端位置が変化することになるが、原稿搬送系102での原稿の搬送位置を図示外の位置センサによって検出すれば、読取部88での原稿の読取り動作はスムーズに行われる。
【0041】
◎変形の形態4-1
図15(a)~(c)は変形の形態4-1に係る原稿供給装置の要部を示す。
同図において、塞ぎ機構160は、実施の形態4と同様に、昇降台140側に規制部材131を押付け付勢するものであるが、規制部材131の可動構造が実施の形態4とは異なる。
同図において、規制部材131の可動構造としては、固定台130の底部132及び側部133に案内溝221,222を形成し、規制部材131側には案内溝221,222に対して摺動可能に嵌まり込む案内ピン223,224を形成し、案内溝221,222の全部若しくは一部には昇降台140側に向けて付勢する付勢バネ225(本例では圧縮バネ)を組み込むようにしたものである。
本例においては、規制部材131は、案内溝221,222と案内ピン223,224とからなる案内機構と付勢バネ225との協働作用により、昇降台140側に付勢され、昇降台140に接触した状態を保つ。このとき、昇降台140の昇降動作に伴って、昇降台140の揺動支点141から先端位置までの距離が変化することになるが、昇降台140の位置の変化に伴って、規制部材131は昇降台140の先端位置に接触したままの状態を保つ。よって、昇降台140がいずれの位置に存在したとしても、原稿供給時に原稿が規制部材131と昇降台140との間の隙間に引っ掛かる懸念はない。
【0042】
◎実施の形態5
図16(a)(b)は実施の形態5に係る原稿供給装置の要部を示す。
同図において、原稿供給装置の基本的構成は、実施の形態1~3と略同様であるが、実施の形態1~3と異なる塞ぎ機構160を備えている。
本例において、塞ぎ機構160は、実施の形態4と同様に、昇降台140と規制部材131との間を接触した状態に保つ接触要素を、規制部材131側に持たせたものであるが、実施の形態4と異なり、固定台130に対して規制部材131を摺動可能に設けることに代えて、原稿台101の周辺部材を利用し、規制部材131を可動にしたものである。
【0043】
本例の塞ぎ機構160は、原稿搬送系102の一部である原稿走行路を構成する走行案内部材230の入口の下部に原稿台101側に向かって開口するU字状の保持溝231を形成し、この保持溝231の下部には下方に突出する板状の受け部材232を設けると共に、この受け部材232に位置決めピン233を設けたものである。
一方、規制部材131は、その上部に略水平方向に延びる折曲げ片135を有しており、走行案内部材230に形成された保持溝231に引っ掛けられる。このとき、保持溝231の上下方向の溝幅は折曲げ片135の厚さに対して僅かな遊びを持って選定されているため、折曲げ片135は保持溝231に摺動可能に引っ掛けられる。
更に、受け部材232の位置決めピン233にコイルスプリングからなる付勢バネ235が圧縮した状態で取付けられ、受け部材232と規制部材131との間に付勢バネ235による押し広げ力が作用するようになっている。
【0044】
本例の塞ぎ機構160によれば、規制部材131は、走行案内部材230の下部に形成された保持溝231に折曲げ片135を引っ掛け、原稿台101側に向かって付勢バネ235にて付勢される。
この場合、付勢バネ235が規制部材131を原稿台101側に付勢すると、規制部材131は付勢バネ235の付勢力により押し広げられ、折曲げ片135が走行案内部材230の底面に当接した状態で、規制部材131が所定の姿勢をもって走行案内部材230の入口に保持される。
この状態において、規制部材131は、付勢バネ235の付勢力によって弾性的に押圧されているため、規制部材131は付勢バネ235の弾性変形に伴って進退移動する。
【0045】
このため、本例では、例えば図17(a)に示すように、昇降台140が初期位置P1に位置する場合には、規制部材131は付勢バネ235の付勢力によって昇降台140の先端に突き当てられる。
一方、図17(b)に示すように、昇降台140が最上位の位置P2に位置する場合であっても、規制部材131は付勢バネ235の付勢力によって昇降台140の先端に突き当てられる。
このように、昇降台140の位置が変化したとしても、規制部材131は付勢バネ235の付勢力によって昇降台140の先端に接触した状態に保たれる。このため、昇降台140と規制部材131との間に隙間が形成されることはなく、原稿供給時に、原稿が隙間に引っ掛かるという懸念はない。
【0046】
(付記)
(((1)))
複数の媒体を積載する積載手段と、
前記積載手段に積載された前記媒体のうち最上位に位置する媒体を予め決められた供給方向に送出する送出手段と、
前記積載手段のうち前記媒体の供給方向端部から離れた箇所を揺動支点とし、前記積載手段の少なくとも一部を昇降する昇降手段と、
前記積載手段の前記媒体の供給方向側に設けられ、前記積載手段に積載された前記媒体の供給方向側端部に接触して当該媒体の積載位置を規制する規制手段と、
前記積載手段の昇降動作を許容し、前記積載手段の任意の昇降位置にて前記積載手段と前記規制手段との間の隙間の少なくとも一部を塞ぐ塞ぎ手段と、
を備えたことを特徴とする媒体供給装置。
(((2)))
(((1)))に記載の媒体供給装置において、
前記塞ぎ手段は、前記積載手段と前記規制手段との間の隙間に配置され、前記隙間の一部を塞ぐように掛け渡される掛渡し要素を有することを特徴とする媒体供給装置。
(((3)))
(((2)))に記載の媒体供給装置において、
前記掛渡し要素は、前記積載手段の前記媒体の供給方向側端部に進退可能に設けられ、前記隙間の変化に追従して進退する可動部材を有することを特徴とする媒体供給装置。
(((4)))
(((3)))に記載の媒体供給装置において、
前記可動部材は、前記積載手段の前記媒体の供給方向に直交する幅方向に間隔を置いて複数配置されていることを特徴とする媒体供給装置。
(((5)))
(((2)))に記載の媒体供給装置において、
前記掛渡し要素は、前記積載手段の前記媒体の供給方向側端部に回転可能に設けられ、前記隙間の変化に追従して当該隙間に接触して配置される回転部材を有することを特徴とする媒体供給装置。
(((6)))
(((1)))に記載の媒体供給装置において、
前記塞ぎ手段は、前記積載手段と前記規制手段との間を接触した状態に保つ接触要素を有することを特徴とする媒体供給装置。
(((7)))
(((6)))に記載の媒体供給装置において、
前記接触要素は、前記積載手段が前記媒体の供給方向側に引出し可能な可動引出部を有し、前記規制手段に向けて前記可動引出部を付勢することを特徴とする媒体供給装置。
(((8)))
(((6)))に記載の媒体供給装置において、
前記接触要素は、前記規制手段が前記積載手段に向かって進退可能に設けられ、前記積載手段に向けて前記規制手段を付勢手段にて付勢することを特徴とする媒体供給装置。
(((9)))
(((1)))乃至(((8)))のいずれかに記載の媒体供給装置において、
前記規制手段は、前記積載手段に対向する側が平面であることを特徴とする媒体供給装置。
(((10)))
(((9)))に記載の媒体供給装置において、
前記規制手段は平板からなる規制部材で構成されることを特徴とする媒体供給装置。
(((11)))
媒体に対して予め決められた処理を実施する処理手段と、
前記媒体を前記処理手段に前記媒体を供給する(((1)))乃至(((10)))のいずれかに記載の媒体供給装置と、
を備えた媒体処理装置。
【0047】
(((1)))に係る媒体供給装置によれば、昇降型の積載手段に積載される媒体の昇降位置が変化したとしても、小型の装置構成を維持しながら、積載手段と媒体の端部位置の規制手段との間の隙間への媒体の引っ掛かりを抑制し、媒体の供給動作を安定させることができる。
(((2)))に係る媒体供給装置によれば、積載手段と規制手段との間に隙間が存在しても、積載された媒体の隙間への引き込みを有効に抑制することができる。
(((3)))に係る媒体供給装置によれば、進退可能な可動部材を利用して掛渡し要素を簡単に構築することができる。
(((4)))に係る媒体供給装置によれば、一つの可動部材を用いる場合に比べて、積載された媒体の隙間への引き込みをより有効に抑制することができる。
(((5)))に係る媒体供給装置によれば、回転部材を利用して掛渡し要素を簡単に構築することができる。
(((6)))に係る媒体供給装置によれば、積載手段と規制手段との間に隙間が存在いない状態を保ち、積載された媒体の隙間への引き込みを有効に抑制することができる。
(((7)))に係る媒体供給装置によれば、積載手段の構成を工夫することで、接触要素を簡単に構築することができる。
(((8)))に係る媒体供給装置によれば、規制手段の構成を工夫することで、接触要素を簡単に構築することができる。
(((9)))に係る媒体供給装置によれば、塞ぎ手段の機能を実現するに当たって、規制手段の構成を簡略化することができる。
(((10)))に係る媒体供給装置によれば、積載手段と規制手段との間に櫛歯状の構造を形成する態様に比べて、規制手段の厚みを薄くすることができ、その分、装置構成の小型化を実現する上で有効である。
(((11)))に係る媒体処理装置によれば、昇降型の積載手段に積載される媒体の昇降位置が変化したとしても、小型の装置構成を維持しながら、積載手段と媒体の端部位置の規制手段との間の隙間への媒体の引っ掛かりを抑制し、媒体の供給動作を安定させることが可能な媒体供給装置を含む媒体処理装置を構築することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…積載手段,1a…揺動支点,2…送出手段,3…昇降手段,4…規制手段,5…塞ぎ手段,6…掛渡し要素,7…接触要素,g…隙間,S…媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17