(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048925
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】清掃装置及びこれを用いた粉体処理装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/10 20060101AFI20240402BHJP
G03G 21/00 20060101ALN20240402BHJP
【FI】
G03G21/10
G03G21/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155097
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】大木 友也
(72)【発明者】
【氏名】下平 彬
(72)【発明者】
【氏名】小林 卓也
【テーマコード(参考)】
2H134
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GA06
2H134GB02
2H134HD01
2H134JA02
2H134JA11
2H134KB11
2H134KB13
2H134KB20
2H134KD05
2H134KG03
2H134KG04
2H134KG07
2H134KG08
2H134KH01
2H134KH15
2H134LA01
2H134LA02
(57)【要約】
【課題】移動する被清掃対象上に残留する粉体を板状の清掃手段で清掃するに当たって、回収された使用済みの廃粉体を潤滑剤として再利用し、粉体の無駄な消費を回避しつつ、残留する粉体量の低下に伴う清掃手段のめくれを有効に防止する。
【解決手段】移動する被清掃対象10に交差する方向に延び、被清掃対象10に対し予め決められた姿勢で接触して配置され、被清掃対象10上に残留する粉体11を清掃する弾性を有する板状の清掃手段2と、清掃手段2から離れて設けられ、清掃手段2で清掃した廃粉体11’を回収する回収手段3と、清掃手段2で清掃した廃粉体11’を回収手段3まで搬送する第1の搬送手段4と、回収手段3に回収された廃粉体11’を、被清掃対象10上の清掃手段2との接触部に対し当該被清掃対象10の移動方向上流側に再搬送する第2の搬送手段5と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する被清掃対象に交差する方向に延び、前記被清掃対象に対し予め決められた姿勢で接触して配置され、前記被清掃対象上に残留する粉体を清掃する弾性を有する板状の清掃手段と、
前記清掃手段から離れて設けられ、前記清掃手段で清掃した廃粉体を回収する回収手段と、
前記清掃手段で清掃した廃粉体を前記回収手段まで搬送する第1の搬送手段と、
前記回収手段に回収された廃粉体を、前記被清掃対象上の前記清掃手段との接触部に対し当該被清掃対象の移動方向上流側に再搬送する第2の搬送手段と、
を備えたことを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃装置において、
前記第2の搬送手段は、前記廃粉体を定量搬送可能とする構成であることを特徴とする清掃装置。
【請求項3】
請求項2に記載の清掃装置において、
前記第2の搬送手段は、回転軸の周囲に螺旋状の羽根部材が形成された搬送部材を有し、前記回転軸を定速回転させるものであることを特徴とする清掃装置。
【請求項4】
請求項1に記載の清掃装置において、
前記第2の搬送手段は、前記回収手段とは反対側に前記被清掃対象の移動方向に交差する方向に沿って延びる廃粉体貯留手段を備え、当該廃粉体貯留手段は搬送された廃粉体を一時貯留した後に前記被清掃対象上に均等に供給することを特徴とする清掃装置。
【請求項5】
請求項4に記載の清掃装置において、
前記廃粉体貯留手段は、前記被清掃対象に対向し且つ被清掃対象の移動方向に交差する方向に延びる開口を開閉する開閉手段を備え、予め決められた条件で前記開閉手段を開放し、前記被清掃対象上に貯留した廃粉体を供給することを特徴とする清掃装置。
【請求項6】
請求項4に記載の清掃装置において、
前記第2の搬送手段は、前記廃粉体貯留手段が前記廃粉体を予め決められた規定量貯留すると、前記廃粉体の搬送動作を停止することを特徴とする清掃装置。
【請求項7】
請求項1に記載の清掃装置において、
前記第2の搬送手段で前記被清掃対象上に再搬送される前記廃粉体を帯電する帯電手段を備えることを特徴とする清掃装置。
【請求項8】
請求項7に記載の清掃装置において、
前記帯電手段は前記被清掃対象の背面側に設けられ、前記被清掃対象上に前記廃粉体を帯電して静電吸着可能にすることを特徴とする清掃装置。
【請求項9】
被清掃対象上に粉体を用いて処理する処理手段と、
前記被清掃対象上に残留した粉体を清掃する請求項1乃至8のいずれかに記載の清掃装置と、
を備えたことを特徴とする粉体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動する被清掃対象上に残留する粉体を清掃する清掃装置及びこれを用いた粉体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の清掃装置としては、例えば特許文献1,2に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、廃トナー回収箱内に転写搬送ベルトに当接するクリーニングブレードを設けると共に、その上流側に開口部を形成し、クリーニングブレードの上流側の転写搬送ベルト近傍に、トナー供給ブラシを設け、トナー供給ブラシを回転することにより、内部から潤滑用トナーを放出し、転写搬送ベルト上に付着させ、それによりクリーニングブレードの捲れを防止する画像形成装置が開示されている。
特許文献2には、廃トナー供給手段を設けて、クリーニングブレードによって中間転写ベルトから除去回収された廃トナーを、2次転写領域とクリーニングブレードとの間の中間転写ベルト上に散布し、クリーニングブレードによって中間転写ベルトから除去回収された廃トナーをトナー搬送手段によって廃トナー供給手段に搬送するようにした画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-173351号公報(発明を実施するための最良の形態,
図1)
【特許文献2】特開2011-248167号公報(発明を実施するための形態,
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、移動する被清掃対象上に残留する粉体を板状の清掃手段で清掃するに当たって、回収された使用済みの廃粉体を潤滑剤として再利用し、粉体の無駄な消費を回避しつつ、残留する粉体量の低下に伴う清掃手段のめくれを有効に防止する清掃装置及びこれを用いた粉体清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の技術的特徴は、移動する被清掃対象に交差する方向に延び、前記被清掃対象に対し予め決められた姿勢で接触して配置され、前記被清掃対象上に残留する粉体を清掃する弾性を有する板状の清掃手段と、前記清掃手段から離れて設けられ、前記清掃手段で清掃した廃粉体を回収する回収手段と、前記清掃手段で清掃した廃粉体を前記回収手段まで搬送する第1の搬送手段と、前記回収手段に回収された廃粉体を、前記被清掃対象上の前記清掃手段との接触部に対し当該被清掃対象の移動方向上流側に再搬送する第2の搬送手段と、を備えたことを特徴とする清掃装置である。
【0006】
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた清掃装置において、前記第2の搬送手段は、前記廃粉体を定量搬送可能とする構成であることを特徴とする清掃装置である。
本発明の第3の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えた清掃装置において、前記第2の搬送手段は、回転軸の周囲に螺旋状の羽根部材が形成された搬送部材を有し、前記回転軸を定速回転させるものであることを特徴とする清掃装置である。
本発明の第4の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた清掃装置において、前記第2の搬送手段は、前記回収手段とは反対側に前記被清掃対象の移動方向に交差する方向に沿って延びる廃粉体貯留手段を備え、当該廃粉体貯留手段は搬送された廃粉体を一時貯留した後に前記被清掃対象上に均等に供給することを特徴とする清掃装置である。
本発明の第5の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた清掃装置において、前記廃粉体貯留手段は、前記被清掃対象に対向し且つ被清掃対象の移動方向に交差する方向に延びる開口を開閉する開閉手段を備え、予め決められた条件で前記開閉手段を開放し、前記被清掃対象上に貯留した廃粉体を供給することを特徴とする清掃装置である。
本発明の第6の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた清掃装置において、前記第2の搬送手段は、前記廃粉体貯留手段が前記廃粉体を予め決められた規定量貯留すると、前記廃粉体の搬送動作を停止することを特徴とする清掃装置である。
本発明の第7の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた清掃装置において、前記第2の搬送手段で前記被清掃対象上に再搬送される前記廃粉体を帯電する帯電手段を備えることを特徴とする清掃装置である。
本発明の第8の技術的特徴は、第7の技術的特徴を備えた清掃装置において、前記帯電手段は前記被清掃対象の背面側に設けられ、前記被清掃対象上に前記廃粉体を帯電して静電吸着可能にすることを特徴とする清掃装置である。
【0007】
本発明の第9の技術的特徴は、被清掃対象上に粉体を用いて処理する処理手段と、前記被清掃対象上に残留した粉体を清掃する第1乃至第8の技術的特徴のいずれかを備えた清掃装置と、を備えたことを特徴とする粉体処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の技術的特徴によれば、移動する被清掃対象上に残留する粉体を板状の清掃手段で清掃するに当たって、回収された使用済みの廃粉体を潤滑剤として再利用し、粉体の無駄な消費を回避しつつ、残留する粉体量の低下に伴う清掃手段のめくれを有効に防止することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、被清掃対象と清掃手段との接触部に沿って廃粉体を均等に供給する上で有効である。
本発明の第3の技術的特徴によれば、第2の搬送手段として、廃粉体を定量搬送する機能を簡単に具現化することができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、廃粉体貯留手段を用いない場合に比べて、被清掃対象と清掃手段との接触部に沿って廃粉体を均等に供給し易くすることができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、開閉手段の開閉動作を制御することで、被清掃対象上に廃粉体を均等供給するタイミングを正確に調整することができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、被清掃対象に廃粉体の適切量を均等供給することができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、被清掃対象上の清掃手段の配置に関係なく、被清掃対象上に帯電可能な廃粉体を静電吸着して保持することができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、被清掃対象上に帯電可能な廃粉体を簡単に静電吸着して保持することができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、移動する被清掃対象上に残留する粉体を板状の清掃手段で清掃するに当たって、回収された使用済みの廃粉体を潤滑剤として再利用し、粉体の無駄な消費を回避しつつ、残留する粉体量の低下に伴う清掃手段のめくれを有効に防止することが可能な清掃装置を含む粉体処理装置を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明が適用された清掃装置及びこれを用いた粉体処理装置の実施の形態の概要を示す説明図である。
【
図2】で実施の形態1に係る粉体処理装置としての画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【
図3】実施の形態1で用いられる清掃装置の制御系を示す説明図である。
【
図4】(a)は実施の形態1で用いられる清掃装置の要部を感光体の軸方向側から見た説明図、(b)は実施の形態1で用いられる第2の廃トナー貯留容器のシャッタ閉の状態を示す説明図、(c)は第2の廃トナー貯留容器のシャッタ開の状態を示す説明図である。
【
図5】実施の形態1で用いられる清掃装置の要部を感光体の軸方向に交差する方向から見た廃トナーの搬送フローを模式的に示す説明図である。
【
図6】実施の形態1に係る清掃装置の廃トナー搬送制御を示すフローチャートである。
【
図7】(a)は廃トナー供給不要時の動作例を示す説明図、(b)は廃トナー供給時の動作例を示す説明図である。
【
図8】(a)は清掃部材の正常な接触状態を示す説明図、(b)は廃トナー供給要の状態のときの清掃部材周りの挙動を示す説明図、(c)は廃トナー供給時の清掃部材周りの挙動を示す説明図である。
【
図9】比較の形態1に係る清掃装置の廃トナーの搬送フローを示す説明図である。
【
図10】(a)は比較の形態1に係る清掃装置の低密画像の連続プリント時における清掃部材周りの挙動を示す説明図、(b)は清掃部材のめくれ現象を示す説明図である。
【
図11】(a)は実施の形態2に係る清掃装置の要部を示す説明図、(b)は第2の廃トナー貯留容器による廃トナーの供給原理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1は本発明が適用された清掃装置及びこれを用いた粉体処理装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、清掃装置1は、移動する被清掃対象10に交差する方向に延び、被清掃対象10に対し予め決められた姿勢で接触して配置され、被清掃対象10上に残留する粉体11を清掃する弾性を有する板状の清掃手段2と、清掃手段2から離れて設けられ、清掃手段2で清掃した廃粉体11’を回収する回収手段3と、清掃手段2で清掃した廃粉体11’を回収手段3まで搬送する第1の搬送手段4と、回収手段3に回収された廃粉体11’を、被清掃対象10上の清掃手段2との接触部に対し当該被清掃対象10の移動方向上流側に再搬送する第2の搬送手段5と、を備えたものである。
そして、この種の清掃装置1は、被清掃対象10上に粉体11を用いて処理する処理手段12を含む粉体処理装置に組み込まれ、予め決められた方向に移動する被清掃対象10上に残留する粉体11を清掃するようになっている。
【0011】
このような技術的手段において、本実施の形態は、清掃装置1として、板状の清掃手段2、廃粉体11’の回収手段3、第1の搬送手段4を含む態様を前提とし、回収手段3に回収された廃粉体11’を清掃手段2に対する潤滑剤として再利用するものである。
また、被清掃対象10としては循環移動するものに限らず、予め決められた方向に移動するものを含む。また、粉体11は作像用のトナーを始め、被清掃対象10に付着するものを広く含む。
更に、清掃手段2としては、清掃容器に板状の弾性部材を保持した態様、金属製の支持部材を介して板状の弾性部材を保持したものなどがある。
更にまた、回収手段3は清掃手段2から離れて設けられるものであって、清掃手段2で清掃された廃粉体11’は清掃手段を保持する清掃容器内に収容された後、第1の搬送手段4を介して搬送された後に回収される。尚、回収手段3には回収された廃粉体11’を搬送しながら均す均し搬送部材6aを備えてもよい。
また、第2の搬送手段5は回収手段3に回収された廃粉体11’を搬送するものであるが、第1の搬送手段4や回収手段3とは別に独立して駆動される。
【0012】
次に、本実施の形態に係る清掃装置の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、第2の搬送手段5の好ましい態様としては、廃粉体11’を定量搬送可能とする構成である態様が挙げられる。本例の代表的態様としては、例えば回転軸の周囲に螺旋状の羽根部材が形成された搬送部材を有し、回転軸を定速回転させるものがある。
また、第2の搬送手段5の別の好ましい態様としては、回収手段3とは反対側に被清掃対象10の移動方向に交差する方向に沿って延びる廃粉体貯留手段6を備え、当該廃粉体貯留手段6は搬送された廃粉体11’を一時貯留した後に被清掃対象10上に均等に供給する態様が挙げられる。本例において、廃粉体11’を均等供給するには、廃粉体貯留手段6内に第2の搬送手段5に連動する均し搬送部材6aを備えるのが代表的である。
【0013】
また、廃粉体貯留手段6を備えた態様では、被清掃対象10に対向し且つ被清掃対象10の移動方向に交差する方向に延びる開口を開閉する開閉手段7を備え、予め決められた条件で開閉手段7を開放し、被清掃対象10上に貯留した廃粉体11’を供給する態様が好ましい。
ここでいう「予め決められた条件」は、清掃手段2がめくれ易い条件(例えば低密画像の連続プリント等、残留する粉体量が極端に少ない条件)を指す。
更に、廃粉体貯留手段6を備えた態様では、廃粉体貯留手段6には清掃手段2との接触部に廃粉体11’を再搬送する上で必要な量だけ貯留しておくことが必要であり、第2の搬送手段5は、廃粉体貯留手段6が廃粉体11’を予め決められた規定量貯留すると、廃粉体11’の搬送動作を停止するようにするのが好ましい。
【0014】
また、第2の搬送手段5による被清掃対象10上の廃粉体11’の再搬送箇所については、被清掃対象10の再搬送箇所の上方にて第2の搬送手段5から廃粉体11’を重力方向に落下させる方式が代表的である。
しかしながら、廃粉体11’が帯電可能なものである場合には、被清掃対象10上の廃粉体11’の再搬送箇所を任意に選択することも可能である。
例えば第2の搬送手段5で被清掃対象10上に再搬送される廃粉体11’を帯電する帯電手段8を備えるようにすればよい。この場合、帯電手段8は、例えば被清掃対象10の背面側に設けられ、被清掃対象10上に廃粉体11’を帯電して静電吸着可能にすることができる。
【0015】
◎実施の形態1
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
-画像形成装置の全体構成-
図2は実施の形態1に係る粉体処理装置としての画像形成装置の全体構成を示す。
同図において、画像形成装置20は、装置筐体21内に複数の色(本実施の形態ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの四色)の画像を形成する作像エンジン30を搭載し、この作像エンジン30の下方には用紙等の媒体が収容される媒体供給装置50を配設すると共に、この媒体供給装置50からの媒体搬送路55を略鉛直方向に配置したものである。
本例において、作像エンジン30は、複数の色の画像を形成する画像形成部31(具体的には31a~31d)を略水平方向に配列し、その上方には画像形成部31の配列方向に沿って循環移動する例えばベルト状の中間転写体45が含まれる転写モジュール40を配設し、各画像形成部31で形成した各色の画像を転写モジュール40を介して媒体に転写するものである。
【0016】
本実施の形態において、各画像形成部31(31a~31d)は、
図2及び
図3に示すように、中間転写体45の循環方向上流側から順に、例えばイエロ用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用(配列は必ずしもこの順番とは限らない)のトナー像を形成するものであり、感光体32と、この感光体32を予め帯電する帯電装置(本例では帯電ロール)33と、この帯電装置33にて帯電された各感光体32に静電潜像を書き込む露光装置(本例ではLED書込ヘッド)34と、感光体32上に形成された静電潜像を対応する色成分トナー(本実施の形態では例えば負極性)で現像する現像装置35と、感光体32上の残留物を清掃する清掃装置36と、を備えている。
尚、符号37(具体的には37a~37d)は各現像装置35に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである。
【0017】
また、本実施の形態において、転写モジュール40は、複数の張架ロール41~44にベルト状の例えばポリイミド樹脂製の中間転写体45を架け渡したものであり、例えば張架ロール41を駆動ロールとして中間転写体45を循環移動するようにしたものである。そして、各画像形成部31の感光体32に対応した中間転写体45の裏面には一次転写用の転写装置(本例では転写ロール)46が配設され、この転写装置46にトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧を印加することで、感光体32上のトナー像を中間転写体45側に静電転写するようになっている。
更に、中間転写体45の最上流画像形成部31aの上流側には中間転写体用の清掃装置47が配設されており、中間転写体45上の残留物を清掃するようになっている。
【0018】
また、本実施の形態では、中間転写体45の最下流画像形成部31dの下流側の張架ロール42に対応した部位には二次転写用の転写装置60が配設されており、中間転写体45上の一次転写像を媒体に二次転写(一括転写)するようになっている。
本例では、転写装置60は、中間転写体45のトナー像保持面側に圧接して配置される二次転写ロール61と、中間転写体45の裏面側に配置されて二次転写ロール61の対向電極をなすバックアップロール(本例では張架ロール42を兼用)とを備えている。そして、例えば二次転写ロール61が接地されており、また、バックアップロール(張架ロール42)にはトナーの帯電極性と同極性の二次転写電圧が印加されている。
【0019】
また、媒体供給装置50には媒体を供給する供給ロール51が設けられ、媒体搬送路55には図示外の搬送ロールが配設されると共に、二次転写部位の直前に位置する媒体搬送路55には媒体を所定のタイミングで二次転写部位へ供給する位置合せロール56が配設されている。
更に、二次転写部位の下流側に位置する媒体搬送路55には定着装置70が設けられ、この定着装置70は、例えば図示外の加熱ヒータが内蔵された加熱定着ロール71と、これに圧接して配置されて追従回転する加圧定着ロール72とを備えている。また、定着装置70の下流側には装置筐体21内の媒体を排出する排出ロール57が設けられ、媒体を挟持搬送して排出し、装置筐体21の上部に形成された媒体収容受け58に媒体を収容するようになっている。
尚、本例では、図示を省略しているが、媒体の手差し供給装置や、媒体の両面記録を可能とする両面記録モジュールを別途付設してもよいことは勿論である。
【0020】
-画像形成部の構成例-
<感光体>
本例において、感光体32は、金属製(本例ではアルミニウム製)の基材上に感光層(本例では有機感光層)を積層すると共に、感光層の上には耐摩耗性に優れた高硬度表面層を積層したものである。ここで、高硬度表面層は感光層の摩耗を防止するように高硬度材料で形成されていればよい。
<現像装置>
本例では、現像装置35は、
図3に示すように、トナー及びキャリアを含む現像剤が収容され且つ感光体32に対向して開口する現像容器80を有し、この現像容器80の開口には現像ロール81を配設し、当該現像ロール81に現像剤を保持して感光体32との対向部に現像剤を供給すると共に、現像容器80内には現像剤を撹拌して帯電して撹拌搬送するための撹拌搬送部材82,83を配設したものである。
【0021】
<清掃装置>
また、本例において、清掃装置36は、
図3に示すように、被清掃対象10(
図1参照)としての感光体32上の残留物(主として残留するトナー)が収容され且つ感光体32に対向し開口する清掃容器90を有し、この清掃容器90の開口縁には感光体32上の残留物を掻き取るための板状の清掃部材91(
図1に示す清掃手段2に相当)を図示外の支持ブラケットを介して取り付けると共に、清掃容器90内には収容された残留物を均すように搬送する均し搬送部材92を配設したものである。
本例において、清掃部材91は、感光体32の移動方向に直交する幅方向に延びる長尺な薄い板状部材であり、感光体32側に向かう先端側が感光体32の移動方向に対向するように傾斜して配置されている。また、この清掃部材91は例えばポリウレタンゴム等の弾性材にて構成されており、先端側のエッジ部が感光体32に接触したときに、感光体32の搬送方向にエッジ部が引き込まれた状態で、感光体32に対するニップ圧(接触圧に相当)を増加させるようになっている。
【0022】
-中間転写体用の清掃装置-
本例では、清掃装置47は、
図3に示すように、被清掃対象10(
図1参照)としての中間転写体45上の残留物が収容され且つ中間転写体45の張架ロール41に対向して開口する清掃容器100を有し、この清掃容器100の開口縁には中間転写体45上の残留物を掻き取るための板状の清掃部材101(
図1の清掃手段2に相当)を支持ブラケット102を介して取り付けると共に、清掃容器100内には収容された残留物を均すように搬送する均し搬送部材105を配設したものである。
本例において、清掃部材101は、中間転写体45の移動方向に直交する幅方向に延びる長尺な薄い板状部材であり、中間転写体45側に向かう先端側が中間転写体45の移動方向に対向するように傾斜して配置されている。また、この清掃部材101は例えばポリウレタンゴム等の弾性材にて構成されており、先端側のエッジ部が中間転写体45に接触したときに、中間転写体45の搬送方向にエッジ部が引き込まれた状態で、中間転写体45に対するニップ圧(接触圧に相当)を増加させるようになっている。
【0023】
-清掃装置の廃トナー回収系-
本実施の形態では、各画像形成部31の各清掃装置36及び中間転写体用の清掃装置47は、清掃容器90,100内に収容された廃トナーを別の箇所に搬送して回収する廃トナー回収装置120を備えており、この廃トナー回収装置120は回収した廃トナーを各清掃装置36,47の清掃部材91,101に潤滑剤として再搬送して供給するものである。
<画像形成部の清掃装置の廃トナー回収系>
本例において、廃トナー回収装置120は、
図3に示すように、各画像形成部31の各清掃装置36の清掃容器90に収容された廃トナーを回収する廃トナー回収容器121(
図1の回収手段3に相当)と、清掃容器90に収容された廃トナーを廃トナー回収容器121に搬送する廃トナー搬送機構131(第1の搬送機構130(
図1の第1の搬送手段4に相当)に相当)と、廃トナー回収容器121に回収された廃トナーを清掃装置36の清掃部材91の潤滑剤として再利用するために再搬送する廃トナー再搬送機構141(第2の搬送機構140(
図1の第2の搬送手段5に相当)に相当)と、を備えている。
【0024】
<中間転写体用の清掃装置の廃トナー回収系>
また、本例では、廃トナー回収装置120は、中間転写体用の清掃装置47の清掃容器100に収容された廃トナーを廃トナー回収容器121に搬送する廃トナー搬送機構132(第1の搬送機構130に相当)と、廃トナー回収容器121に回収された廃トナーを清掃装置47の清掃部材101の潤滑剤として再利用するために再搬送する廃トナー再搬送機構142(第2の搬送機構140に相当)と、を備えている。
【0025】
-廃トナー回収容器-
本例において、廃トナー回収容器121は、
図3、
図4(a)及び
図5に示すように、回収された廃トナーを均しながら搬送する均し搬送部材125を内部に備えている。
ここで、均し搬送部材125としては、
図5に示すように、回転軸126の周囲に螺旋状の羽根部材127を形成し、回転軸126を所定の方向に回転させることにより羽根部材127で廃トナーを回転軸126の軸方向に沿って搬送するものである。
【0026】
-廃トナー搬送機構-
本例において、廃トナー搬送機構131は、
図3に示すように、各画像形成部31の各清掃装置36の清掃容器90に夫々設けられ、清掃容器90内の均し搬送部材92の一端側に連通して接続される個別搬送部135と、各画像形成部31からの各個別搬送部135の一端が連通して接続され、各個別搬送部135と廃トナー回収容器121との間を接続する共通搬送部136とを備えている。
一方、廃トナー搬送機構132は、中間転写体用の清掃装置47の清掃容器100内の均し搬送部材92の一端側と廃トナー回収容器121との間を連通した状態で接続するものである。
本例において、廃トナー搬送機構131,132は、廃トナーの搬送経路を形成する搬送ダクト137と、この搬送ダクト137内に沿って設けられ、廃トナーに搬送力を付与する搬送部材138とを備えている。
尚、搬送部材138は、均し搬送部材125と略同様に、回転軸の周囲に螺旋状の羽根部材を形成したものである。
【0027】
-廃トナー再搬送機構-
本例において、廃トナー再搬送機構141,142は、廃トナー回収容器121内の均し搬送部材125の一端側に連通して接続され、廃トナー回収容器121内の廃トナーを定量搬送する定量搬送機構145と、定量搬送機構145の廃トナー回収容器121とは反対側に設けられ、定量搬送機構145によって定量搬送された廃トナーを一時的に貯留する廃トナー貯留容器150と、を備えている。
【0028】
<定量搬送機構>
本例において、定量搬送機構145は、廃トナー回収容器121と廃トナー貯留容器150との間に連通して接続され、廃トナーを搬送するための搬送経路を形成する搬送ダクト146と、この搬送ダクト146内の搬送経路に沿って設けられ、廃トナーを定量搬送する搬送部材147とを備えている。ここで、搬送部材147は、回転軸148の周囲に螺旋状の羽根部材149を形成し、回転軸148を定速回転することで、廃トナーを定量搬送するようにしたものである。
【0029】
<廃トナー貯留容器>
本例において、廃トナー貯留容器150は、
図3に示すように、各画像形成部31の各感光体32に対し廃トナーの再搬送箇所の上方に設けられる感光体用の廃トナー貯蔵部151と、中間転写体45のうち廃トナーの再搬送箇所の上方に設けられる中間転写体用の廃トナー貯蔵部152とを備えている。
ここで、感光体32に対する廃トナーの再搬送箇所は、感光体32のうち清掃部材91のエッジ部の接触部領域よりも感光体32の回転方向上流側であれは適宜選定して差し支えないが、清掃部材91のエッジ部の接触部領域に近接した箇所に選定すれば、再搬送された廃トナーは清掃部材91のエッジ部の接触部箇所で受け止められる点で好ましい。
また、中間転写体45に対する廃トナーの再搬送箇所は、感光体32の場合と略同様に、中間転写体45のうち清掃部材101のエッジ部の接触部領域よりも中間転写体45の回転方向上流側であれば適宜選定して差し支えない。特に、本例の場合には、中間転写体45のレイアウトを考慮し、中間転写体45のうち略水平方向に延びる水平部分45aであれば、再搬送された廃トナーは中間転写体45の水平部分45a上に安定的に保持される点で好ましい。
【0030】
本例において、廃トナー貯留容器150(廃トナー貯留部151,152)は、被清掃対象10である感光体32又は中間転写体45の移動方向に交差する幅方向に沿って延びる断面矩形状の長尺な容器本体153を有し、この容器本体153の長手方向一端には定量搬送機構145の搬送ダクト146の一端が連通して接続されている。また、容器本体153内には搬入された廃トナーThを均しながら搬送する均し搬送部材155が容器本体153の長手方向に沿って設置されている。この均し搬送部材155も回転軸156の周囲に螺旋状の羽根部材157を形成したものであり、定量搬送機構145の搬送部材147と必要に応じて連動して回転するが、搬送部材147とは切り離して回転制御可能になっている。
【0031】
更に、容器本体153の底部には、
図4(a)~(c)及び
図5に示すように、感光体32又は中間転写体45の作像領域の幅寸法wに対応した長さのスリット状の開口158が開設されている。そして、容器本体153の底部には開口158を開閉する開閉機構としてのシャッタ160(
図1の開閉手段7に相当)が設けられている。このシャッタ160はアクチュエータ161によって開閉動作するものである。
更にまた、本例では、容器本体153の底部のうち開口158の長手方向縁部には開口側に向かって斜め下方に傾斜する傾斜部159が設けられ、シャッタ160が開放されたときに、容器本体153内に貯留されている廃トナーThが略全て感光体32又は中間転写体45の再搬送箇所に供給されるようになっている。
【0032】
-清掃装置の制御系-
本例では、
図3に示すように、清掃装置36,47及びこれらに付設されている廃トナー回収系を制御するために制御装置170が設けられている
この制御装置170は、各種プロセッサを含むマイクロコンピュータにて構成されている。ここでいう「プロセッサ」とは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また、この制御装置170には、感光体32や中間転写体45の周囲環境の温湿度を検出するための温湿度検出手段としての環境温湿度センサ171からの温湿度情報が入力されるようになっている。
【0033】
本例では、制御装置170は、図示外のメモリに、「廃トナー制御プログラム(
図6参照)」等の必要なプログラムを予めインストールしておき、環境温湿度センサ171からの温湿度情報や作像条件(低密画像の有無、プリント枚数情報)に基づいて、廃トナー制御プログラムを実行し、高温高湿環境下の条件で、低密画像の連続プリントが実施される等、清掃部材91,101にめくれ現象が生じ易い状況では、感光体32や中間転写体45に対し廃トナーを再搬送し、清掃部材91,101のエッジ部の接触部領域に潤滑剤としての廃トナーを供給し、感光体32や中間転写体45に対する清掃部材91,101の接触状態を良好な状態に維持するようにしたものである。
【0034】
-廃トナーの搬送制御動作-
<廃トナーの貯留制御動作>
本実施の形態では、プリントジョブが指示されるごとに、
図2に示すように、画像形成部31では電子写真方式で各色成分の画像が形成され、中間転写体45に一次転写された後、各色成分画像が媒体に転写され、媒体上の画像が定着装置70にて定着され、画像印刷された指示された枚数の媒体が媒体収容受け58に収容される。
このようなプリントジョブが実施されると、各画像形成部31(31a~31d)では清掃装置36が感光体32上の残留物を清掃し、また、中間転写体45では清掃装置47が中間転写体45上の残留物を清掃する。
【0035】
このとき、本例では、清掃装置36,47は廃トナー回収系を付設していたため、
図5に示すように、清掃装置36で清掃されて清掃容器90に収容された廃トナーは、均し搬送部材92によって均されながら搬送される。この状態において、清掃容器90内の廃トナー量が増加してくると、制御装置170は、廃トナー搬送機構131,132及び廃トナー回収容器121を作動させる。この状態において、廃トナー搬送機構131,132は、清掃容器90,100に収容されていた廃トナーの一部を廃トナー回収容器121に向けて搬送し、廃トナー回収容器121は清掃装置36,47内の廃トナーを順次回収する。
そして、廃トナー回収容器121に回収された廃トナーがある程度の量に至ると、制御装置170は、廃トナー貯留容器150(廃トナー貯留部151,152)に対し廃トナー回収容器121に回収された廃トナーを再搬送し、廃トナー貯留容器150に一時的に貯留する。
【0036】
具体的には、制御装置170は、廃トナー回収容器121、廃トナー再搬送機構141,142及び廃トナー貯留容器150を制御し、廃トナー再搬送機構141,142を予め決められた時間だけ駆動し、廃トナー回収容器121内の廃トナーを廃トナー貯留容器150へと再搬送する。この間、廃トナー再搬送機構141,142は廃トナーを定量搬送し、また、廃トナー貯留容器150は、シャッタ160を閉じた状態で、均し搬送部材155を回転させることから、廃トナー再搬送機構141,142にて定量搬送された廃トナーは、トナー貯留容器150内に略均等に貯留される。
そして、廃トナー貯留容器150内に規定量の廃トナーが貯留されると、制御装置170は、廃トナー回収容器121からの廃トナーの搬送動作を停止する。
【0037】
<廃トナーの再搬送制御>
ユーザからプリントジョブの指示が入力されると、制御装置170は、
図6に示すように、環境温湿度センサ171からの検出結果に基づいて高温高湿環境下か否かを判断する。
ここでいう「高温高湿環境下」とは、温湿度環境条件を示すもので、例えば温度10℃以上、湿度15%以上のような高温高湿環境を意味する。
本例では、制御装置170は、高温高湿環境下の場合で、過去のプリントジョブの状況を考慮し、「規定AC」か否か、「規定PV」か否かを判断する。
ここで、「規定AC」は、感光体上に形成される画像の密度を示すエリアカバレッジ(Area Coverage)が所定の閾値よりも低いことを意味し、「規定PV」は、現在までの印刷枚数を示すプリントボリューム(Print Volume)が所定の枚数を超えていることを意味する。
つまり、例えば低密画像の連続回数が規定値に到達しているか否かを判断し、低密画像の連続回数が規定値に到達している条件では、清掃部材91,101がめくれる虞れがあるとし、感光体32、中間転写体45の再搬送箇所に潤滑剤としての廃トナーを供給することが必要であると判断する。
尚、制御装置170が清掃部材91,101についてめくれ現象の虞れがないと判断した場合には、
図6に示すように、廃トナーの再搬送は行われず、廃トナーの搬送制御を終了する。
【0038】
この状態において、制御装置170はアクチュエータ161を駆動して廃トナー貯留容器150のシャッタ160を開放させる(
図4(b)(c)参照)。
このとき、廃トナー貯留容器150には、予め決められた規定量の廃トナーが略均等な状態で貯留されているため、シャッタ160が開放すると、廃トナー貯留容器150(廃トナー貯留部151,152)は感光体32、中間転写体45上の再搬送箇所に規定量の廃トナーを略均等に供給する。
この後、廃トナー貯留容器150内の廃トナー量を計数するカウンタをリセットする。
このカウントは廃トナー再搬送機構141,142の定量搬送動作時間を計数することで、廃トナー貯留容器150内の廃トナー量を間接的に算出するものである。
【0039】
しかる後、制御装置170は、廃トナー貯留容器150のシャッタ160を閉じた後、廃トナー貯留容器150への廃トナーの貯留制御動作を実施し、カウンタ計数値が規定値に達した段階で、廃トナーの搬送動作を停止させる。
この状態において、廃トナー貯留容器150には再び規定量の廃トナーが貯留された状態を保つことになる。
【0040】
-廃トナー搬送制御に伴う清掃装置周辺の動作例-
上述したように、清掃装置36,47に対し潤滑剤として廃トナーを供給する必要がない条件(例えば高温高湿環境下で、高密画像の連続プリント時など)では、
図7(a)に示すように、廃トナー貯留容器150からは廃トナーThは供給されない。
この状態においては、例えば
図8(a)に示すように、清掃部材91,101のエッジ部Eの接触部領域は正常な接触状態に保たれており、清掃部材91,101のエッジ部Eの接触部領域が感光体32又は中間転写体45の移動に伴って適切に引き込まれ、その分、清掃部材91,101のニップ圧は増加する。このため、清掃部材91,101のエッジ部Eの接触部領域の手前には残留トナーTの外添剤Gによるダムが形成され、残留トナーTがすり抜ける懸念はない。
【0041】
これに対し、廃トナー貯留容器150から廃トナーThが供給される場合には、
図7(b)に示すように、感光体32又は中間転写体45のうち、清掃部材91,101のエッジ部の接触部領域よりも移動方向上流側に潤滑剤としての廃トナーThがまとまって供給される。
このように廃トナーThが供給されるということは、
図8(b)に示すように、例えば高温高湿環境下で、低密画像の連続プリントを実施する場合など、清掃部材91,101のエッジ部Eの接触部領域が接触不良でめくれる懸念があることを意味する。つまり、清掃部材91,101のエッジ部Eの接触部領域が接触不良となり、残留トナーTの外添剤Gによるダムが崩れてしまい、残留トナーTがすり抜けてしまう。
このような状況において、潤滑剤としての廃トナーThが大量に供給されると、
図8(c)に示すように、接触部材91,101のエッジ部Eの接触部領域に廃トナーThの外添剤Gによるダムが形成され、接触部材91,101のエッジ部Eの接触部領域の接触状態が改善され、それ以降、図示外の残留トナーのすり抜けは有効に抑制される。
【0042】
◎比較の形態1
図9は比較の形態1に係る清掃装置の要部を示す。
同図において、比較の形態1に係る清掃装置36’は、例えば画像形成部31で使用されるものであり、廃トナー回収系として、実施の形態1の廃トナー回収容器121及び廃トナー搬送機構131を付設するものであるが、実施の形態1と異なり、廃トナー再搬送機構141を備えていない。尚、中間転写体45の清掃装置47については、廃トナー回収系として、実施の形態1の廃トナー搬送機構132は備えているが、廃トナー再搬送機構142は備えていない。
このような場合には、例えば高温高湿環境下で、低密画像の連続プリントを実施すると、
図10(a)に示すように、清掃部材91,101のエッジ部Eの接触部領域に供給される残留トナーTが少なくなるため、残留トナーTの外添剤Gによるダムが崩れ、清掃部材91,101のエッジ部Eの接触部領域の摩擦力が増大する。このため、
図10(b)に示すように、清掃部材91,101のエッジ部Eの接触部領域が感光体32又は中間転写体45の移動に対し強く引き込まれ、極端な場合には、めくれ現象に至ってしまう懸念がある。
【0043】
◎変形の形態
以上のように、本実施の形態については、必要に応じて設計変更しても差し支えないことは勿論である。
例えば本実施の形態では、廃トナー回収容器121は、各画像形成部31(31a~31d)の清掃装置36及び中間転写体用の清掃装置47からの廃トナーを渾然一体に回収する方式を採用しているが、これに限られるものでなく、画像形成部31の清掃装置36からの廃トナー、中間転写体用の清掃装置47からの廃トナーを別系統で回収し、更に、別系統で夫々の清掃装置36,47の清掃部材91,101に廃トナーを再搬送するようにしてもよい。更に、別系統の廃トナー回収を実施する態様では、画像形成部31の清掃装置36から回収した廃トナーを中間転写体用の清掃装置47に再搬送するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、廃トナー再搬送機構141,142は搬送ダクト146の端部に廃トナー貯留容器150を接続した態様を採用しているが、廃トナー貯留容器150を用いることなく、搬送ダクト146の一部に感光体32や中間転写体45に対して廃トナーを供給する機能部を具備させるようにしても差し支えない。
【0044】
◎実施の形態2
図11(a)は実施の形態2に係る清掃装置の要部を示す。
同図において、清掃装置47は、中間転写体45の表面を清掃するもので、実施の形態1とは異なり、例えば中間転写体45の下側水平部分45bの下方に設けられている。
この清掃装置47は、中間転写体45の下側水平部分45bの裏面側に設けられた対向ロール48に対向して設けられ、清掃容器90、板状の清掃部材91及び均し搬送部材92を有している。更に、清掃装置47は、実施の形態1と同様に、廃トナー回収容器121、廃トナー搬送機構132、廃トナー再搬送機構142、廃トナー貯留容器150を中間転写体45の下側水平部分45bの下方に備えている。
特に、本例では、廃トナー貯留容器150は、
図11(a)(b)に示すように、容器本体153のうち中間転写体45の下側水平部分45bに対向する部分に開口158を有し、この開口158をシャッタ160で開閉するようにしたものである。このため、廃トナー貯留容器150に貯留された廃トナーThは重力と逆方向に向かって中間転写体45に供給されることが必要になる。
本例では、中間転写体45の下側水平部分45bの裏面側に帯電ロール180(
図1の帯電手段8に相当)を接触して配設し、この帯電ロール180には帯電電源181を用いて廃トナーThの極性(負極性)とは逆極性の帯電電圧Vcを印加し、これにより、帯電ロール180により形成された電界にて廃トナー貯留容器150内の廃トナーThを静電吸引し、中間転写体45に廃トナーThを静電付着するようにしたものである。
このように、本例によれば、廃トナーThを重力方向に落下させる方式に制限されることなく、廃トナー貯留容器150のレイアウトを自由に選定することが可能である。
【0045】
(付記)
(((1)))
移動する被清掃対象に交差する方向に延び、前記被清掃対象に対し予め決められた姿勢で接触して配置され、前記被清掃対象上に残留する粉体を清掃する弾性を有する板状の清掃手段と、
前記清掃手段から離れて設けられ、前記清掃手段で清掃した廃粉体を回収する回収手段と、
前記清掃手段で清掃した廃粉体を前記回収手段まで搬送する第1の搬送手段と、
前記回収手段に回収された廃粉体を、前記被清掃対象上の前記清掃手段との接触部に対し当該被清掃対象の移動方向上流側に再搬送する第2の搬送手段と、
を備えたことを特徴とする清掃装置。
(((2)))
(((1)))に記載の清掃装置において、
前記第2の搬送手段は、前記廃粉体を定量搬送可能とする構成であることを特徴とする清掃装置。
(((3)))
(((1)))又は(((2)))に記載の清掃装置において、
前記第2の搬送手段は、回転軸の周囲に螺旋状の羽根部材が形成された搬送部材を有し、前記回転軸を定速回転させるものであることを特徴とする清掃装置。
(((4)))
(((1)))乃至(((3)))のいずれかに記載の清掃装置において、
前記第2の搬送手段は、前記回収手段とは反対側に前記被清掃対象の移動方向に交差する方向に沿って延びる廃粉体貯留手段を備え、当該廃粉体貯留手段は搬送された廃粉体を一時貯留した後に前記被清掃対象上に均等に供給することを特徴とする清掃装置。
(((5)))
(((4)))に記載の清掃装置において、
前記廃粉体貯留手段は、前記被清掃対象に対向し且つ被清掃対象の移動方向に交差する方向に延びる開口を開閉する開閉手段を備え、予め決められた条件で前記開閉手段を開放し、前記被清掃対象上に貯留した廃粉体を供給することを特徴とする清掃装置。
(((6)))
(((4)))に記載の清掃装置において、
前記第2の搬送手段は、前記廃粉体貯留手段が前記廃粉体を予め決められた規定量貯留すると、前記廃粉体の搬送動作を停止することを特徴とする清掃装置。
(((7)))
(((1)))乃至(((6)))のいずれかに記載の清掃装置において、
前記第2の搬送手段で前記被清掃対象上に再搬送される前記廃粉体を帯電する帯電手段を備えることを特徴とする清掃装置。
(((8)))
(((7)))に記載の清掃装置において、
前記帯電手段は前記被清掃対象の背面側に設けられ、前記被清掃対象上に前記廃粉体を帯電して静電吸着可能にすることを特徴とする清掃装置。
(((9)))
被清掃対象上に粉体を用いて処理する処理手段と、
前記被清掃対象上に残留した粉体を清掃する(((1)))乃至(((8)))のいずれかに記載の清掃装置と、
を備えたことを特徴とする粉体処理装置。
【0046】
(((1)))に係る清掃装置によれば、移動する被清掃対象上に残留する粉体を板状の清掃手段で清掃するに当たって、回収された使用済みの廃粉体を潤滑剤として再利用し、粉体の無駄な消費を回避しつつ、残留する粉体量の低下に伴う清掃手段のめくれを有効に防止することができる。
(((2)))に係る清掃装置によれば、被清掃対象と清掃手段との接触部に沿って廃粉体を均等に供給する上で有効である。
(((3)))に係る清掃装置によれば、第2の搬送手段として、廃粉体を定量搬送する機能を簡単に具現化することができる。
(((4)))に係る清掃装置によれば、廃粉体貯留手段を用いない場合に比べて、被清掃対象と清掃手段との接触部に沿って廃粉体を均等に供給し易くすることができる。
(((5)))に係る清掃装置によれば、開閉手段の開閉動作を制御することで、被清掃対象上に廃粉体を均等供給するタイミングを正確に調整することができる。
(((6)))に係る清掃装置によれば、被清掃対象に廃粉体の適切量を均等供給することができる。
(((7)))に係る清掃装置によれば、被清掃対象上の清掃手段の配置に関係なく、被清掃対象上に帯電可能な廃粉体を静電吸着して保持することができる。
(((8)))に係る清掃装置によれば、被清掃対象上に帯電可能な廃粉体を簡単に静電吸着して保持することができる。
(((9)))に係る粉体処理装置によれば、移動する被清掃対象上に残留する粉体を板状の清掃手段で清掃するに当たって、回収された使用済みの廃粉体を潤滑剤として再利用し、粉体の無駄な消費を回避しつつ、残留する粉体量の低下に伴う清掃手段のめくれを有効に防止することが可能な清掃装置を含む粉体処理装置を構築することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…清掃装置,2…清掃手段,3…回収手段,4…第1の搬送手段,5…第2の搬送手段,6…廃粉体貯留手段,6a…均し搬送手段,7…開閉手段,8…帯電手段,10…被清掃対象,11…粉体,11’…廃粉体,12…処理手段