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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048948
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】コントロールシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
G05B19/05 D
G05B19/05 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155137
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 正義
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220BB09
5H220CC06
5H220CX01
5H220CX05
5H220HH03
5H220JJ12
5H220JJ16
5H220JJ53
(57)【要約】
【課題】利便性とセキュリティ強化を両立したコントロールシステムを提供する。
【解決手段】
コントロールシステムは、Webサーバと2つ以上のネットワークポートとを有する制御部と、Webサーバとネットワークポートとを有する演算部と、を備え、前記制御部の前記2つ以上のネットワークポートは、第1及び第2のネットワークポートを含み、前記制御部の前記第1のネットワークポートと前記演算部の前記ネットワークポートは、前記制御部及び前記演算部以外の要素が接続されない閉じたネットワークセグメントである第1のネットワークセグメントに接続され、前記制御部は、前記インターフェース部から受信したデータを、前記演算部に転送し、かつ、前記演算部のWebサーバ画面を前記制御部のWebサーバ画面上に表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象のシステムの制御を行い、Webサーバと2つ以上のネットワークポートとを有する制御部と、
Webサーバとネットワークポートとを有する演算部と、を備え、
前記制御部の前記2つ以上のネットワークポートは、第1および第2のネットワークポートを含み、
前記制御部の前記2つ以上のネットワークポートのうちの第1のネットワークポートと前記演算部の前記ネットワークポートは、前記制御部及び前記演算部以外の要素が接続されない閉じたネットワークセグメントである第1のネットワークセグメントに接続され、
前記制御部の前記2つ以上のネットワークポートのうちの第2のネットワークポートとインターフェース部のネットワークポートは、前記第1のネットワークセグメントと異なる第2のネットワークセグメントに接続され、
前記インターフェース部は、Webサーバ画面を表示するWebブラウザを有するクライアントであり、
前記制御部は、前記インターフェース部から受信したデータを、前記演算部に転送するフォワーディング処理を行い、かつ、前記演算部のWebサーバ画面を前記制御部のWebサーバ画面上に表示する
コントロールシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のコントロールシステムであって、
前記制御部は、前記インターフェース部から受信した前記データを、ポートフォワードによって前記演算部に転送する
コントロールシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のコントロールシステムであって、
前記制御部は、前記インターフェース部から受信した前記データを、ポートフォワードと専用通信コマンドとを組み合わせて、前記演算部に転送する
コントロールシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のコントロールシステムであって、
前記インターフェース部から前記制御部へ送信されるデータは、前記制御部へのパラメータ設定と指令とのいずれかであり、
前記フォワーディング処理により前記インターフェース部から前記制御部を通じて前記演算部に送信されるデータは、前記演算部へのパラメータ設定と指令とのいずれかである
コントロールシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のコントロールシステムであって、
被検査品の通過を検出するセンサと、
前記制御部からの撮影信号に応答して被検査品を撮影するカメラと
を備え、
前記制御部は、前記センサから被検査品の通過が検出されたことの入力を受けた場合に前記カメラに撮影信号を出力し、
前記演算部は、
被検査品の画像を入力とし被検査品が良品であるか不良品であるかの判定結果を出力とするモデルの学習と、
前記カメラにより撮影された被検査品の画像を学習済のモデルに入力することにより当該被検査品が良品であるか不良品であるかを判定することである推論と
を行う
コントロールシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のコントロールシステムであって、
前記インターフェース部から前記制御部へ送信されるパラメータ設定は、前記センサからの入力から撮影信号の出力までのタイミング調整に係る時間やエンコーダの設定である
コントロールシステム。
【請求項7】
請求項5に記載のコントロールシステムであって、
前記インターフェース部から前記制御部を通じて前記演算部に送信されるパラメータ設定は、前記カメラの切り出し画角の調整に係る位置や撮影画像のサイズの調整である
コントロールシステム。
【請求項8】
請求項5に記載のコントロールシステムであって、
前記インターフェース部から前記制御部を通じて前記演算部に送信される指令は、学習開始、学習中止、推論開始、推論停止という指令である
コントロールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントロールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年AI技術の発展が著しく、その技術を応用したシステムによって、業務の効率化や高精度化が期待されている。例えば、特許文献1では、I/O(Input/Output)のデータをPLC(Programmable Logic Controller)を介して汎用PCに渡して演算し、その結果をPLCに出力するというデータ授受の流れによって、プラント制御の高精度化や高速化を図ったプラント制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-93375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、PLCと汎用PC間でデータ授受を行うためのルール、つまり、専用の通信プロトコルやコマンドが必要となるため、システム設計が煩雑になる。また、専用プロトコルやコマンドを処理するために、PLCの処理能力が使用され、PLCの負荷が大きくなる懸念がある。これを鑑みて本発明は、利便性とセキュリティ強化を両立したコントロールシステムを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
コントロールシステムは、制御対象のシステムの制御を行い、Webサーバと2つ以上のネットワークポートとを有する制御部と、Webサーバとネットワークポートとを有する演算部と、を備え、前記制御部の前記2つ以上のネットワークポートは、第1及び第2のネットワークポートを含み、前記制御部の前記2つ以上のネットワークポートのうちの第1のネットワークポートと前記演算部の前記ネットワークポートは、前記制御部及び前記演算部以外の要素が接続されない閉じたネットワークセグメントである第1のネットワークセグメントに接続され、前記制御部の前記2つ以上のネットワークポートのうちの第2のネットワークポートとインターフェース部のネットワークポートは、前記第1のネットワークセグメントと異なる第2のネットワークセグメントに接続され、前記インターフェース部は、Webサーバ画面を表示するWebブラウザを有するクライアントであり、前記制御部は、前記インターフェース部から受信したデータを、前記演算部に転送するフォワーディング処理を行い、かつ、前記演算部のWebサーバ画面を前記制御部のWebサーバ画面上に表示する。
【発明の効果】
【0006】
高いセキュリティ性を有するコントロールシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る、コントロールシステムの構成例
図2図1の変形例
図3】インターフェース部から制御部への操作例
図4】インターフェース部からAI演算部への操作例
図5】インターフェース部から受信した操作120~123の処理の流れ(1)
図6】インターフェース部の画面表示例(1)
図7】インターフェース部から受信した操作120~123の処理の流れ(2)
図8】インターフェース部の画面表示例(2)
図9】インターフェース部、制御部、AI演算部の接続構成例
図10】インターフェース部、制御部、AI演算部の通信設定例
図11図10の通信設定における制御部の転送テーブル例
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0009】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0010】
(本発明の一実施形態とシステムの全体構成)
図1
本発明のコントロールシステムにおいて、制御対象のシステムを制御する制御部101は、Webサーバ102を備え、かつシーケンス制御処理103とフォワーディング処理104が稼働している。また、制御部101は、Ethernet(登録商標)ポート105とEthernetポート106の2つのネットワークポートを備えている。なお、制御部101は2つ以上のネットワークポートを有していてもよい。制御部101のEthernetポート105とEthernetポート106は、それぞれが異なるネットワークセグメントに配置されている。
【0011】
制御部101の制御に基づき機械学習を行うAI演算部107は、Webサーバ108を備え、学習処理109と推論処理110が稼働している。AI演算部107は、制御部101が有するEthernetポート105に対して、1対1でEthernet接続するEthernetポート111を備えており、これにより、制御部101及びAI演算部107以外の要素が接続されない閉じたネットワークセグメントになっている。このネットワークセグメントを第1のネットワークセグメントとする。
【0012】
インターフェース部112は、Webサーバ画面を表示するWebブラウザ113を備えている。また、インターフェース部112は、Ethernetポート114を備えている。インターフェース部112は、例えば、タブレットのような無線通信を行う機器であり、制御部101がEthernetポート106を無線アクセスポイント115に接続することで、インターフェース部112が有するEthernetポート114と無線接続される。これにより、Ethernetポート106とEthernetポート114は、第1のネットワークセグメントとは異なる第2のネットワークセグメントに接続される。これにより、互いに独立したネットワーク構成が成立するため、セキュリティを確保することができる。
【0013】
従来では、2つのネットワークが独立している構成の場合、インターフェース部112から受信したデータ通信を、そのまま制御部101を経由してAI演算部107に到達させることができない。しかしながら、本発明の制御部101は、インターフェース部112から受信したデータをAI演算部107に転送するためのフォワーディング処理104が稼働していることで、インターフェース部112から受信したデータを、異なるネットワークセグメントに配置されているAI演算部107に到達させることができる。なお、フォワーディング処理104の実現方法として、ポートフォワードなどを採用する。
【0014】
なお、図示していないが、制御部101は、Ethernetポート105及び106の他に、メモリと、メモリ及びEthernetポート105及び106に接続されたプロセッサとを有する。メモリに格納されているプログラムをプロセッサが実行することで、Webサーバ102が実現され、また、プロセッサが、シーケンス制御処理103及びフォワーディング処理104を実行する。
【0015】
上述のEthernetポート105は、第1のネットワークポートの一例であり、Ethernetポート106は、第2のネットワークポートの一例として記述した。制御部101は、例えば、PLCのようなコントロール装置(例えば、定義された制御周期で制御対象のシステム、例えば、産業機器又はその他の機器を制御する装置)である。
【0016】
AI演算部107は、Ethernetポート111の他に、メモリと、メモリ及びEthernetポート111に接続されたプロセッサとを有する。メモリに格納されているプログラムをプロセッサが実行することで、Webサーバ108が実現され、また、プロセッサが、学習処理109及び推論処理110を実行する。
【0017】
学習処理109では、ニューラルネットワークのような機械学習モデルの学習が行われる。機械学習モデルは、例えば、カメラにより撮影された画像のデータを入力とし、画像データの分類結果を表すデータ(例えば、画像データが表す画像に写っているオブジェクトのラベルを表すデータ、又は、当該オブジェクトの異常の有無を表すデータ)を出力とする。推論処理110では、学習済のモデルを用いた推論が行われる。例えば、AI演算部107は、検査対象の撮影画像データを入力し当該撮影画像データが表す画像から検査対象の異常の有無を推定する検査装置である。また、検査対象と制御対象は異なっていてもよいし、同一でもよい。
【0018】
また、第1及び第2のネットワークセグメントは、同一のネットワークにおける異なるセグメントでもよいし、異なるネットワークでもよい。ネットワーク又はネットワークセグメントは、データが経由する通信媒体の一例でよい。
【0019】
図2
図1は無線接続の形態であるが、図2に示すように、制御部101が有するEthernetポート106と、インターフェース部112が有するEthernetポート114とを直接有線で接続する形態であっても、本発明は同様の効果を奏する。
【0020】
図3図4
本発明のコントロールシステムを用いた実施形態について説明する。本発明のコントロールシステムは、例えば、PCを使用せず、現場機器(エッジ)でAI学習から推論までを実行する検査装置システム等で用いられる。このような検査装置は、被検査品の通過を検出するセンサ部と、制御部から受信した信号でシャッターを切りAI演算部に撮影した画像を格納するカメラ部と、被検査品のセンサ通過を検出してカメラ部のシャッターを切ったり、AI演算部での検査結果を受けて不良品をラインから排出したりする制御部と、被検査品を撮影したカメラ画像を取り込み、学習済みのモデルに入力した学習結果を用いて被検査品の外観の良・不良を判定し、制御部に伝えるAI演算部と、制御部のパラメータ設定やAI演算部におけるAI学習のパラメータ設定・指令・結果の表示などを行うインターフェース部を備えている。
【0021】
図3は、上記エッジAI検査装置システムで本発明のコントロールシステムが用いられる場合の、インターフェース部112から制御部101への操作例である。インターフェース部112から制御部101への操作は、制御部101のパラメータ設定120と制御部101への指令121の2つに大きく分類できる。制御部101のパラメータ設定120には、センサ入力から撮影信号の出力までのタイミング調整に係る時間やエンコーダの設定などが含まれている。制御部101への指令121には、テスト画像撮影などが含まれている。
【0022】
図4は、上記エッジAI検査装置システムで本発明のコントロールシステムが用いられる場合の、インターフェース部112からAI演算部107への操作例である。インターフェース部112からAI演算部107への操作も、AI演算部107のパラメータ設定122と、AI演算部107への指令123の2つに大きく分類できる。AI演算部107のパラメータ設定122にはカメラの切り出し画角の調整に係る位置や撮影画像のサイズの調整などが含まれている。AI演算部107への指令123としては学習開始、学習中止、推論開始、推論停止などの指令が含まれている。
【0023】
制御部101がフォワーディング処理104を稼働させることにより、図3に示したような制御部101のパラメータ設定120と制御部101への指令121をインターフェース部112から受信した通信で到達させるだけでなく、図4に示したようなAI演算部107のパラメータ設定122およびAI演算部107への指令123を、インターフェース部112から受信した通信でAI演算部107に到達させることができる。
【0024】
図5
図5は、制御部101のフォワーディング処理104を、ポートフォワードで実現した場合に、インターフェース部112から受信した操作120~123の処理の流れを示したものである。このときのインターフェース部112、制御部101、AI演算部107の接続構成を図9に示す。
【0025】
制御部101は、AI演算部107に転送するパケットと、制御部101自身で処理するパケットと、を識別するための転送テーブルを有している。転送テーブルの例は図11に示す。制御部101のフォワーディング処理104では、この転送テーブルに基づいて転送処理を実行する。なお、図11の転送テーブルは、インターフェース部112、制御部101、AI演算部107のIPアドレスが、それぞれ図10に記した設定での場合に行われるものである。
【0026】
インターフェース部112から受信した通信のうち、制御部101にて処理を実行するパラメータ設定120および指令121は、その宛先を制御部101のEthernetポート106のIPアドレス:192.168.0.1およびポート番号:8080(図10参照)にすることにより、Ethernetポート106へ指令が送信され、制御部101にてパラメータ設定の処理、指令121によって指令された処理が実行される。
【0027】
一方、AI演算部107にて処理を実行するパラメータ設定122および指令123は、その宛先を制御部101のEthernetポート106のIPアドレス:192.168.0.1、ポート番号:80(図10参照)とすることにより、転送テーブル(図11参照)に設定されたルールに合致する。これにより、制御部101のEthernetポート106に送信された指令は、Ethernetポート106からEthernetポート105へポートフォワードで転送され、Ethernetポート105からAI演算部107のEthernetポート111に送信される。このようにすることで、制御部101からAI演算部107に指令が転送され、AI演算部107にてパラメータ設定122および指令123の処理を実行できる。
【0028】
制御部101のフォワーディング処理104をポートフォワードで実現した場合、インターフェース部112から指令が出るユーザの操作を、制御部101からAI演算部107へバケツリレー方式で送り届ける必要がないため、制御部101の処理負荷を抑えることができる。
【0029】
図6
図6は、インターフェース部112の画面表示例である。インターフェース部112のWebブラウザ113には、制御部101のWebサーバ102が表示される。制御部101のWebサーバ102の表示は、制御部への操作エリア130と、AI演算部107のWebサーバ108の表示エリア131との2つのエリアで構成されている。
【0030】
制御部101への操作エリア130は、制御部101のパラメータ設定120を行うためのパラメータ設定エリア132と、制御部101への指令121を行うための指令操作エリア133と、の2つのエリアで構成されている。AI演算部107のWebサーバ108の表示エリア131は、AI演算部107のパラメータ設定122を行うためのパラメータ設定エリア134と、AI演算部107への指令123を行うための指令操作エリア135と、被検査品の撮影画像などを表示するための表示エリア136と、の3つのエリアで構成されている。
【0031】
このように、対象のシステムにおいて、単一のユーザインターフェースから制御部101とAI演算部107の2つの機器に対してユーザは操作を行うことができる。また、制御部101とAI演算部107のWebサーバ画面を1つの画面でユーザは操作を行うことができるため、操作の対象が制御部101なのかAI演算部107なのかを意識する必要がなく、セキュリティを強化した上でシステムの一体感を伴ったインターフェースを提供できる。また、制御部101の処理負荷が少なくなる。
【0032】
図7
図5に示した処理の流れの変形例として、制御部101が、インターフェース部112のから受信したデータをAI演算部107に転送するフォワーディング処理104を、ポートフォワードと専用通信の組合せで実現するフローの一例を示す。
【0033】
まず、制御部101のフォワーディング処理104をポートフォワードと専用通信コマンドの組合せで実現した場合、インターフェース部112から受信した操作120~123の処理を以下で説明する。フォワーディング処理104をポートフォワードと専用通信コマンドの組合せで実現した場合、インターフェース部112から送信されるユーザの操作の一部を、制御部101からAI演算部107へ一部バケツリレー方式で送り届ける。これは、指令123の伝達を専用通信コマンドで実現している。
【0034】
ユーザ操作の一部をフォワーディングではなく専用通信コマンドで制御部101からAI演算部107へ送り届けることによって、対象のユーザ操作を制御部101でも認識することが可能となる。例えば、AI演算部107が学習中であったり、推論中であったり、今何をしているかであったりを制御部101でも知りたい場合、対応するユーザからの指令を専用通信コマンドにすることによって、インターフェース部112から発行された学習開始指令を一旦制御部101で受けて、AI演算部107に対して学習開始コマンドを発行することになるため、制御部101は演算部107が今現在学習しているということを把握することができる。
【0035】
インターフェース部112からパラメータ設定122が発信されると、宛先ポート番号を80にしているので、転送ルール(図11参照)に合致して、インターフェース部112のEthernetポート114から制御部101のEthernetポート106に送信されるパラメータ設定122は、ポートフォワードで制御部101のEthernetポート106からEthernetポート105へ転送され、Ethernetポート105からAI演算部107のEthernetポート111に送信されることで、AI演算部107においてパラメータ設定122が処理される。
【0036】
一方、インターフェース部112のEthernetポート114から指令123が発行されると、その宛先ポート番号は8080のため、制御部101のEthernetポート106で指令123を受信する。制御部101において、処理140によって、フォワーディング処理104で指令123の内容を判定し、AI演算部107へ送信する通信データを作成する。作成した通信データを制御部101のEthernetポート105からAI演算部107のEthernetポート111へ送信することで、AI演算部107で、指令123の処理が実行される。このように、ポートフォワードと専用通信コマンドの組合せでも同様の効果を実現できる。
【0037】
図8
図8は、図6に示したインターフェース部112のWebサーバ102の画面表示例の変形例である。インターフェース部112のWebブラウザ113では、制御部101のWebサーバ102が表示され、制御部101のWebサーバ102の表示は、制御部101への操作エリア150と、AI演算部107への操作エリア151と、AI演算部107のWebサーバ108の表示エリア152と、で構成されている。
【0038】
操作エリア150は、制御部101のパラメータ設定120を行うためのパラメータ設定エリア153と、制御部への指令121を行うための指令操作エリア154と、で構成されている。操作エリア151が制御部101のWebサーバ102に配置される理由は、AI演算部107への指令を制御部101で受信し、かつAI演算部107への通信データを作成するためである。
【0039】
AI演算部107のWebサーバ108の表示エリア152は、AI演算部107のパラメータ設定122を行うためのパラメータ設定エリア155と、被検査品の撮影画像などを表示するための表示エリア156とで構成されている。
【0040】
以上説明した本発明の実施形態によれば、従来、独立したルート確保した場合に必要だった通信を振り分けるためのルータ等が不要になる。さらに、通信コマンドの異常による制御部101とAI演算部107との間で、通信の齟齬が出ない。
【0041】
なお、本発明はネットワークポートの例として、Ethernetポートを前提に説明したが、同様の効果が期待できるのであればネットワークポートはEthernetポートに限らなくてもよい。
【0042】
以上説明した本発明の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0043】
(1)コントロールシステムは、制御対象のシステムの制御を行い、Webサーバと2つ以上のネットワークポートとを有する制御部101と、Webサーバのネットワークポートとを有するAI演算部107と、を備える。制御部101の2つ以上のネットワークポートは、第1及び第2のネットワークポートを含み、制御部101の第1のネットワークポートとAI演算部107のネットワークポートは、制御部101及びAI演算部107以外の要素が接続されない閉じたネットワークセグメントである第1のネットワークセグメントに接続され、制御部101の第2のネットワークポートとインターフェース部112のネットワークポートは、第1のネットワークセグメントと異なる第2のネットワークセグメントに接続され、インターフェース部112は、Webサーバ画面を表示するWebブラウザを有するクライアントであり、制御部101は、インターフェース部112から受信したデータを、AI演算部107に転送するフォワーディング処理を行い、かつ、AI演算部107のWebサーバ画面を制御部101のWebサーバ画面上に表示する。このようにしたことで、高いセキュリティ性を有するコントロールシステムを提供できる。
【0044】
(2)制御部101は、インターフェース部112から受信したデータを、ポートフォワードによってAI演算部107に転送する。このようにしたことで、インターフェース部112から受信したデータを、異なるネットワークセグメントに配置されているAI演算部107に到達させることができる。
【0045】
(3)制御部101は、インターフェース部112から受信したデータを、ポートフォワードと専用通信コマンドとを組み合わせて、AI演算部107に転送する。このようにしたことで、別の実施形態であっても、インターフェース部112から受信したデータを、異なるネットワークセグメントに配置されているAI演算部107に到達させることができる。
【0046】
(4)コントロールシステムによって、インターフェース部112から制御部101へ送信されるデータは、制御部101へのパラメータ設定と指令とのいずれかであり、フォワーディング処理によりインターフェース部112から制御部101を通じて演算部107に送信されるデータは、演算部107へのパラメータ設定と指令とのいずれかである。このようにしたことで、AI演算部107にてパラメータ設定および指令の処理を実行できる。
【0047】
(5)コントロールシステムは、被検査品の通過を検出するセンサと、制御部からの撮影信号に応答して被検査品を撮影するカメラとを備え、制御部は、センサから被検査品の通過が検出されたことの入力を受けた場合にカメラに撮影信号を出力し、演算部は、被検査品の画像を入力とし被検査品が良品であるか不良品であるかの判定結果を出力とするモデルの学習と、カメラにより撮影された被検査品の画像を学習済のモデルに入力することにより当該被検査品が良品であるか不良品であるかを判定することである推論とを行う。このようにしたことで、現場機器(エッジ)でAI学習から推論までを実行する検査装置システムとして用いることができる。
【0048】
(6)インターフェース部112から制御部101へ送信されるパラメータ設定は、センサからの入力から撮影信号の出力までのタイミング調整に係る時間やエンコーダの設定である。このようにしたことで、検査装置システムの設定を実現できる。
【0049】
(7)インターフェース部112から制御部101を通じて演算部107に送信されるパラメータ設定は、カメラの切り出し画角の調整に係る位置や撮影画像のサイズの調整である。このようにしたことで、検査装置システムの設定を実現できる。
【0050】
(8)インターフェース部112から制御部101を通じて演算部107に送信される指令は、学習開始、学習中止、推論開始、推論停止という指令である。このようにしたことで、検査装置システムに指令を実行できる。
【0051】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や他の構成を組み合わせることができる。また本発明は、上記の実施形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。
【符号の説明】
【0052】
101:制御部
102:制御部101のWebサーバ
103:制御部101のシーケンス制御処理
104:制御部101のフォワーディング処理
105:制御部101のEthernetポート
106:制御部101のEthernetポート
107:AI演算部
108:AI演算部107のWebサーバ
109:AI演算部107の学習処理
110:AI演算部107の推論処理
111:AI演算部107のEthernetポート
112:インターフェース部
113:インターフェース部112のWebブラウザ
114:インターフェース部112のEthernetポート
115:無線アクセスポイント
120:制御部101のパラメータ設定
121:制御部101への指令
122:AI演算部107のパラメータ設定
123:AI演算部107への指令
130:表示例1の制御部への操作エリア
131:表示例1のAI演算部107のWebサーバ108の表示エリア
132:表示例1のパラメータ設定120を行うためのパラメータ設定エリア
133:表示例1の指令121を行うための指令操作エリア
134:表示例1のパラメータ設定122を行うためのパラメータ設定エリア
135:表示例1の指令123を行うための指令操作エリア
136:表示例1の被検査品の撮影画像などを表示するための表示エリア
140:AI演算部107への通信データを作成する処理
150:表示例2の制御部への操作エリア
151:表示例2の指令123を行うための指令操作エリア
152:表示例2のAI演算部107のWebサーバ108の表示エリア
153:表示例2のパラメータ設定120を行うためのパラメータ設定エリア
154:表示例2の指令121を行うための指令操作エリア
155:表示例2のパラメータ設定122を行うためのパラメータ設定エリア
156:表示例2の被検査品の撮影画像などを表示するための表示エリア
図1
図2
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図11