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特開2024-48949遠隔手術支援トレーニング装置およびトレーニングプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048949
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】遠隔手術支援トレーニング装置およびトレーニングプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/00 20060101AFI20240402BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20240402BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
G09B9/00 Z
A61B34/10
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155138
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100172362
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達哉
(72)【発明者】
【氏名】大橋 政尚
(72)【発明者】
【氏名】北辻 博明
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707BS13
3C707CS08
3C707JS03
3C707JU12
3C707JU15
(57)【要約】
【課題】遠隔手術に関するトレーニングを行うことが可能な遠隔手術支援トレーニング装置を提供する。
【解決手段】この遠隔手術支援トレーニング装置は、外科手術ロボット1を、外部ネットワークNを介して接続された指導医側操作装置3で操作するためのトレーニングに用いられる遠隔手術支援トレーニング装置200であって、トレーニングを行うために、トレーニング用動画像をスコープ型表示装置24に表示するトレーニング用制御部201を備える。トレーニング用制御部201は、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントを設定可能な設定画面を表示するとともに、設定されたイベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングを行うように構成されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術ロボットを、外部ネットワークを介して接続された操作装置で操作するためのトレーニングに用いられる遠隔手術支援トレーニング装置であって、
前記外科手術ロボットは、内視鏡および複数の手術器具を保持する複数のマニピュレータアームを備え、
前記操作装置は、前記複数のマニピュレータアームを操作するための第1操作ハンドルおよび第2操作ハンドルと、表示部と、を備え、
前記遠隔手術支援トレーニング装置は、トレーニングを行うために、トレーニング用動画像を前記表示部に表示するとともに、前記第1操作ハンドルによる操作に対応するように第1仮想手術器具を前記表示部に表示し、前記第2操作ハンドルによる操作に対応するように第2仮想手術器具を前記表示部に表示するトレーニング用制御部を備え、
前記トレーニング用制御部は、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントを設定可能な設定画面を表示するとともに、設定された前記イベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングを行うように構成されている、遠隔手術支援トレーニング装置。
【請求項2】
前記イベントは、通信の遅延、通信速度のゆらぎ、ブラックアウト、操作の切断、および、ブロックノイズのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【請求項3】
前記イベントを再現する再現条件は、前記イベントが前記通信の遅延の場合は遅延時間、前記イベントが前記通信速度のゆらぎの場合は遅延時間の上限値と下限値、前記イベントが前記ブラックアウトの場合は期間と回数、前記イベントが前記操作の切断の場合は期間と回数、前記が前記ブロックノイズの場合は期間と回数、を含む、請求項2に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【請求項4】
前記トレーニング用制御部は、前記第1操作ハンドルおよび前記第2操作ハンドルの操作に対して、設定された前記イベントを疑似的に再現した環境下で前記第1仮想手術器具および前記第2仮想手術器具が動作するように、前記トレーニング用動画像および前記第1仮想手術器具および前記第2仮想手術器具を前記表示部に表示するように構成されている、請求項1に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【請求項5】
前記設定画面は、複数の前記イベントの中から1または複数の前記イベントを選択可能に構成され、選択された1または複数の前記イベントを再現する再現条件を設定可能に構成されている、請求項1に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【請求項6】
記憶部をさらに備え、
前記設定画面は、選択された1または複数の前記イベント、および、選択された1または複数の前記イベントを各々再現する前記再現条件をプリセット登録するための登録ボタンを含み、
前記トレーニング用制御部は、前記登録ボタンの操作に応じて選択された前記イベントと設定された前記再現条件を前記記憶部に記憶させる、請求項5に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【請求項7】
前記トレーニング用制御部は、プリセット登録された前記イベントと前記再現条件とを前記記憶部から読み出して設定するためのプリセット選択画面を表示する、請求項6に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【請求項8】
前記トレーニング用制御部は、設定された前記イベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングにおける成績と、設定された前記イベントを疑似的に再現していない状態におけるトレーニングにおける成績とを、比較可能に表示する、請求項1に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【請求項9】
外科手術ロボットを、外部ネットワークを介して接続された操作装置で操作するためのトレーニングに用いられる遠隔手術支援装置のトレーニングプログラムであって、
前記外科手術ロボットは、内視鏡および複数の手術器具を保持する複数のマニピュレータアームを備え、
前記操作装置は、前記複数のマニピュレータアームを操作するための第1操作ハンドルおよび第2操作ハンドルと、表示部と、を備え、
前記遠隔手術支援装置は、トレーニングを行うために、トレーニング用動画像を前記表示部に表示するとともに、前記第1操作ハンドルによる操作に対応するように第1仮想手術器具を前記表示部に表示し、前記第2操作ハンドルによる操作に対応するように第2仮想手術器具を前記表示部に表示するトレーニング用制御部、を備え、
前記トレーニング用制御部に、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントを設定可能な設定画面を表示させることと、設定された前記イベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングを行わせることとを実行させる、トレーニングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遠隔手術支援トレーニング装置およびトレーニングプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボット手術システムのトレーニング装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、マスター制御ステーションおよびアシスタントコントローラーによってカートのロボットアームを操作するロボット手術システムが記載されている。また、特許文献1のロボット手術システムでは、サージョンコンソール(操作装置)にシミュレーターユニットを接続して、サージョンコンソールを使用して仮想環境でロボット手術のトレーニングを行うことが記載されている。また、特許文献1のロボット手術システムは、ロボットアームとサージョンコンソールとは同じ施設に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8600551号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のロボット手術システムは、ロボットアームとサージョンコンソールとは同じ施設に配置されており、特許文献1においては、ロボットアームとサージョンコンソールとを互いに異なる施設に配置して、外部ネットワークを介して手術を行うことは全く想定されていない。このため、特許文献1には、外部ネットワークを介して手術を行う場合、外部ネットワークの通信状態によって様々なイベントが生じることについて記載がなく、生じたイベントに対応できるようにトレーニングを行う必要があることについても全く記載されていない。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、遠隔手術に関するトレーニングを行うことが可能な遠隔手術支援トレーニング装置およびトレーニングプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による遠隔手術支援トレーニング装置は、外科手術ロボットを、外部ネットワークを介して接続された操作装置で操作するためのトレーニングに用いられる遠隔手術支援トレーニング装置であって、外科手術ロボットは、内視鏡および複数の手術器具を保持する複数のマニピュレータアームを備え、操作装置は、複数のマニピュレータアームを操作するための第1操作ハンドルおよび第2操作ハンドルと、表示部と、を備え、遠隔手術支援トレーニング装置は、トレーニングを行うために、トレーニング用動画像を表示部に表示するとともに、第1操作ハンドルによる操作に対応するように第1仮想手術器具を表示部に表示し、第2操作ハンドルによる操作に対応するように第2仮想手術器具を表示部に表示するトレーニング用制御部を備え、トレーニング用制御部は、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントを設定可能な設定画面を表示するとともに、設定されたイベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングを行うように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による遠隔手術支援トレーニング装置では、上記のように、トレーニング用制御部は、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントを設定可能な設定画面を表示するとともに、設定されたイベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングを行う。これにより、操作装置と外科手術ロボットとが外部ネットワークにより接続され、且つ外部ネットワークの通信状態に起因したイベントを疑似的に再現することで、そのイベントが操作に影響することを想定したトレーニングを行うことができる。その結果、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントに対応する技術を操作者が習得することができる。これにより、遠隔手術に関するトレーニングを行うことができる。
【0009】
この発明の第2の局面によるトレーニングプログラムは、外科手術ロボットを、外部ネットワークを介して接続された操作装置で操作するためのトレーニングに用いられる遠隔手術支援装置のトレーニングプログラムであって、外科手術ロボットは、内視鏡および複数の手術器具を保持する複数のマニピュレータアームを備え、操作装置は、複数のマニピュレータアームを操作するための第1操作ハンドルおよび第2操作ハンドルと、表示部と、を備え、遠隔手術支援装置は、トレーニングを行うために、トレーニング用動画像を表示部に表示するとともに、第1操作ハンドルによる操作に対応するように第1仮想手術器具を表示部に表示し、第2操作ハンドルによる操作に対応するように第2仮想手術器具を表示部に表示するトレーニング用制御部、を備え、トレーニング用制御部に、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントを設定可能な設定画面を表示させることと、設定されたイベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングを行わせることとを実行させる。
【0010】
この発明の第2の局面によるトレーニングプログラムでは、上記のように、トレーニング用制御部に、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントを設定可能な設定画面を表示させることと、設定されたイベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングを行わせることとを実行させる。これにより、操作装置と外科手術ロボットとが外部ネットワークにより接続され、且つ外部ネットワークの通信状態に起因したイベントを疑似的に再現することで、そのイベントが操作に影響することを想定したトレーニングを行うことができる。その結果、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントに対応する技術を操作者が習得することができる。これにより、遠隔手術に関するトレーニングを行うことが可能なトレーニングプログラムを提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遠隔手術に関するトレーニングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態による遠隔手術支援システムの構成を示す図である。
図2】一実施形態による外科手術ロボットを示す図である。
図3】一実施形態による医師側操作装置および指導医側操作装置を示す図である。
図4】一実施形態による遠隔手術支援システムの構成を示すブロック図である。
図5】一実施形態による遠隔手術支援システムのスコープ型表示装置を示した図である。
図6】一実施形態による遠隔手術支援トレーニング装置の構成を示すブロック図である。
図7】一実施形態による遠隔手術支援トレーニングの表示画面の一例を示す図である。
図8】一実施形態による遠隔手術支援トレーニングのイベントの設定画面の一例を示す図である。
図9】一実施形態による遠隔手術支援トレーニングのプリセット登録の設定画面の一例を示す図である。
図10】一実施形態による遠隔手術支援トレーニングの比較の選択画面の一例を示す図である。
図11】一実施形態による遠隔手術支援トレーニングの比較画面の一例を示す図である。
図12】一実施形態によるトレーニング実施処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1図12を参照して、一実施形態による遠隔手術支援システム100のトレーニングに用いられる遠隔手術支援トレーニング装置200の構成について説明する。遠隔手術支援トレーニング装置200は、第1施設B1に設置された外科手術ロボット1と、第1施設B1とは異なる第2施設B2に設置され外部ネットワークNを介して接続された指導医側操作装置3と、を備える遠隔手術支援システム100の指導医側操作装置3のトレーニングに用いられる。
【0015】
(遠隔手術支援システム)
図1に示すように、遠隔手術支援システム100は、患者Pが載置された手術台101の近傍に設置された外科手術ロボット1と、外科手術ロボット1を医師A1が操作するための医師側操作装置2と、外部ネットワークNを介して外科手術ロボット1を指導医A2が操作するための指導医側操作装置3とを備える。外科手術ロボット1と医師側操作装置2とは、第1施設B1に設置されている。指導医側操作装置3は、第1施設B1とは異なる第2施設B2に設置されている。第1施設B1では、外科手術ロボット1の近くに手術スタッフとして助手A3が配置されている。また、第1施設B1には、助手A3と情報共有するための情報共有装置4が設置されている。また、第2施設B2では、指導医側操作装置3の近くに遠隔手術スタッフとして臨床工学技士A4が配置されている。
【0016】
図2に示すように、外科手術ロボット1は、内視鏡5を保持する1つのマニピュレータアーム11と、手術器具6を保持する複数(3つ)のマニピュレータアーム12とを備える。内視鏡5は、患者Pの内部の手術部位を撮像する。手術器具6は、鉗子などのエンドエフェクタが先端に取り付けられている。また、医師側操作装置2および指導医側操作装置3は、マニピュレータアーム11および12を操作するために設けられている。
【0017】
外科手術ロボット1は、第1施設B1の手術室内に配置されている。また、外科手術ロボット1は、医療用台車13と、ポジショナ14と、アームベース15とを備える。外科手術ロボット1は、医療用台車13により移動可能に構成されている。医療用台車13には、外科手術ロボット1の動作を制御する制御装置16が設けられている。制御装置16は、医師側操作装置2または指導医側操作装置3に入力された指令に基づいて、外科手術ロボット1の動作を制御する。制御装置16は、プログラムを実行するCPUなどの処理部と、プログラムが格納されたメモリなどの記憶部とを含んでいる。
【0018】
また、医療用台車13には、入力装置17が設けられている。入力装置17は、主に施術前に手術の準備を行うために、マニピュレータアーム11、マニピュレータアーム12、ポジショナ14、および、アームベース15の移動や姿勢の変更の操作を受け付けるように構成されている。
【0019】
ポジショナ14は、たとえば、7軸多関節ロボットにより構成されている。また、ポジショナ14は、医療用台車13上に配置されている。ポジショナ14は、アームベース15を移動させる。具体的には、ポジショナ14は、アームベース15の位置を3次元に移動させるように構成されている。
【0020】
アームベース15は、ポジショナ14の先端に取り付けられている。また、マニピュレータアーム11およびマニピュレータアーム12は、各々の根元部がアームベース15に取り付けられている。アームベース15、マニピュレータアーム11、および、マニピュレータアーム12は、滅菌ドレープにより覆われて使用される。
【0021】
図1に示すように、医師側操作装置2は、たとえば、第1施設B1の手術室の中または手術室の外に配置されている。また、医師側操作装置2は、医師側操作装置本体2aを備える。図3に示すように、医師側操作装置本体2aは、操作ハンドル21と、フットペダル22と、タッチパネル23と、スコープ型表示装置24と、アームレスト25と、音声通信装置26と、センサ27と、制御装置28と、支持アーム30とを備える。
【0022】
操作ハンドル21は、操作者(医師A1)が指令を入力するための操作用のハンドルを構成する。操作ハンドル21は、操作者(医師A1)がマニピュレータアーム11および12(内視鏡5および手術器具6)を操作するために設けられている。また、操作ハンドル21は、マニピュレータアーム11および12(内視鏡5および手術器具6)に対する操作量を受け付ける。操作ハンドル21は、操作者(医師A1)の右手により操作される操作ハンドル21Rと操作者(医師A1)の左手により操作される操作ハンドル21Lとの一対の操作ハンドルを含む。操作ハンドル21Rで一つのマニピュレータアーム12に保持された手術器具6を操作し、操作ハンドル21Lで他のマニピュレータアーム12に保持された手術器具6を操作する。なお、操作ハンドル21Rおよび操作ハンドル21Lは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1操作ハンドル」および「第2操作ハンドル」の一例である。
【0023】
また、操作ハンドル21は、操作ハンドル21によって受け付けられた操作量に対して内視鏡5および手術器具6の移動量が変更(スケーリング)される。たとえば、移動量の倍率が1/2倍に設定されている場合、内視鏡5および手術器具6は、操作ハンドル21の移動距離の1/2の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を精確に行うことができる。
【0024】
フットペダル22は、内視鏡5および手術器具6に関する機能を実行するための複数のペダルを含む。複数のペダルは、たとえば、凝固ペダルと、切断ペダルと、カメラペダルと、クラッチペダルとを含む。複数のペダルは、操作者(医師A1)の足により操作される。カメラペダルが操作されると操作ハンドル21でマニピュレータアーム11に保持された内視鏡を移動させることができる。このとき操作ハンドル21Rと操作ハンドル21Lの両方で内視鏡を操作して移動させる。タッチパネル23は、医師側操作装置2に関する設定操作を受け付ける。タッチパネル23は、アームレスト25に配置されている。スコープ型表示装置24は、内視鏡5で取得された内視鏡画像(図7参照)を表示する。スコープ型表示装置24は、操作者(医師A1)のみが表示された画像を見ることが可能な没入型の表示装置である。操作者(医師A1)は、スコープ型表示装置24により患部を視認しながら、操作ハンドル21およびフットペダル22を操作する。支持アーム30は、スコープ型表示装置24の高さを医師などの操作者の顔の高さに合わせて調整できるようにスコープ型表示装置24を支持する。
【0025】
アームレスト25は、バー状に形成されており、操作ハンドル21を操作する際に操作者(医師A1)が腕を置くことが可能なように構成されている。音声通信装置26は、操作者(医師A1)がスコープ型表示装置24を覗き込んだ状態で指導医側操作装置3の後述する音声通信装置26と音声通信することができる位置に配置されている。具体的には、音声通信装置26は、操作者(医師A1)がスコープ型表示装置24を覗き込んだ状態で操作者(医師A1)の頭部の近くに位置するように配置されている。音声通信装置26は、スコープ型表示装置24に一体的に配置されており、支持アーム30によって一体的に高さ調整ができる。
【0026】
センサ27は、スコープ型表示装置24が覗き込まれている使用状態であるか否かを検出するように構成されている。センサ27は、操作者(医師A1)がスコープ型表示装置24を覗き込んだ状態で操作者(医師A1)の頭部を検出可能な位置に配置されている。センサ27は、スコープ型表示装置24に一体的に配置されている。制御装置28は、医師側操作装置2の動作を制御する。制御装置28は、プログラムを実行するCPUなどの処理部と、プログラムが格納されたメモリなどの記憶部とを含んでいる。
【0027】
以上、医師側操作装置2について説明したが、指導医側操作装置3についても医師側操作装置2と同様の構造になっている。すなわち、図4に示すように、指導医側操作装置3は、指導医側操作装置本体3aを備える。指導医側操作装置本体3aは、操作ハンドル231と、フットペダル22と、タッチパネル23と、スコープ型表示装置24と、アームレスト25と、音声通信装置26と、センサ27と、制御装置28と、支持アーム30とを備える。また、医師側操作装置2と指導医側操作装置3とは基本的に同じ仕様であるが、タッチパネル23を介して、通常モードと遠隔モードとが切り替えられて使用される。
【0028】
図1および図4に示すように、指導医側操作装置3は、外部ネットワークNを介して送信された内視鏡画像を表示するタッチパネル表示装置51と、音声通信装置26と音声通信を行うため、スコープ型表示装置24よりもタッチパネル表示装置51の近くに配置された音声通信装置52とを備える。
【0029】
タッチパネル表示装置51と音声通信装置52とは、指導医側操作装置本体3aとは独立したユニットとして、指導医側操作装置本体3aの近くに配置されている。タッチパネル表示装置51は、たとえば、タッチパネル機能を有する表示装置である。また、タッチパネル表示装置51は、フラットパネル表示装置または湾曲パネル表示装置である。指導医A2は、指またはタッチパネル用のペンなどを使用して、タッチパネル表示装置51に指示入力を受け付けさせることにより、指導用の画像を生成させる。指導用の画像は、たとえば、線、円または矢印などであり得る。
【0030】
図4および図5に示すように、音声通信装置26および音声通信装置52は、それぞれマイクロフォン261、521とスピーカー262、522とを含む。マイクロフォン261(521)は、音声入力を受け付ける。スピーカー262(522)は、音声を出力する。また、スピーカー262は、操作者(医師A1または指導医A2)がスコープ型表示装置24を覗き込んだ状態で操作者の耳に近い位置に配置されている。また、図5に示すように、マイクロフォン261は、操作者(医師A1または指導医A2)がスコープ型表示装置24を覗き込んだ状態で操作者の口に近い位置に配置されている。また、マイクロフォン261およびスピーカー262は、スコープ型表示装置24に一体的に配置されている。
【0031】
また、医師側操作装置2は、指導医側操作装置3と同様のユニットを備える。すなわち、医師側操作装置2は、内視鏡画像(図7参照)を表示するタッチパネル表示装置61と、音声通信装置26および52と音声通信を行うため、スコープ型表示装置24よりもタッチパネル表示装置61の近くに配置された音声通信装置62と、を備える。タッチパネル表示装置61を設けることにより、術中に医師A1と指導医A2との間で双方向にアノテーションを行うことができる。
【0032】
タッチパネル表示装置61と音声通信装置62とは、医師側操作装置本体2aとは独立したユニットとして、医師側操作装置本体2aの近くに配置されている。タッチパネル表示装置61は、たとえば、タッチパネル機能を有するフラットパネル表示装置または湾曲パネル表示装置である。
【0033】
また、音声通信装置62は、マイクロフォン621とスピーカー622とを含む。マイクロフォン621は、音声入力を受け付ける。スピーカー622は、音声を出力する。また、音声通信装置62は、タッチパネル表示装置61に一体的に配置されている。音声通信装置62は、たとえば、マイクロフォン621およびスピーカー622がタッチパネル表示装置61に内蔵されている。なお、図1では、タッチパネル表示装置61と音声通信装置62とを別々に図示している。
【0034】
図1および図4に示すように、情報共有装置4は、移動可能なモニタカートである。情報共有装置4は、内視鏡5(図2参照)で取得された内視鏡画像を表示するための表示装置41と、医師側操作装置2の音声通信装置26と音声通信を行うための音声通信装置42と、を備える。また、情報共有装置4は、医師側操作装置2よりも外科手術ロボット1の近くに配置される。これにより、外科手術ロボット1の近くに手術スタッフとして配置された助手A3が、内視鏡画像を確認したり、医師A1と対話することができる。また、音声通信装置42は、音声通信装置26および音声通信装置52の両方と音声通信を行うことが可能である。これにより、外科手術ロボット1の近くに手術スタッフとして配置された助手A3と医師A1との対話を、指導医A2および臨床工学技士A4にも聞かせることができる。また、助手A3が指導医A2および臨床工学技士A4と対話することもできる。また、音声通信装置42は、マイクロフォン421とスピーカー422とを含む。マイクロフォン421は、音声入力を受け付ける。スピーカー422は、音声を出力する。また、表示装置41は、たとえば、フラットパネル表示装置または湾曲パネル表示装置である。
【0035】
また、情報共有装置4には、制御装置43が配置されている。制御装置43は、画像処理を行う。制御装置43は、プログラムを実行するCPUなどの処理部と、プログラムが格納されたメモリなどの記憶部とを含んでいる。また、制御装置43は、第1施設B1に配置されている。
【0036】
なお、制御装置43は、医師側操作装置2のスコープ型表示装置24、指導医側操作装置3のスコープ型表示装置24、表示装置41、タッチパネル表示装置51、および、タッチパネル表示装置61の各表示装置に、同じ画像を表示する。すなわち、医師側操作装置2のスコープ型表示装置24、指導医側操作装置3のスコープ型表示装置24、表示装置41、タッチパネル表示装置51、および、タッチパネル表示装置61の各表示装置には、同じ内視鏡画像が表示される。
【0037】
図3図5に示すように、指導医側操作装置3は、上記のように、スコープ型表示装置24が覗き込まれている使用状態であるか否かを検出するセンサ27を備える。制御装置16は、指導医側操作装置3のセンサ27によって使用状態が検出されていない場合に、指導医側操作装置3の操作ハンドル21によるマニピュレータアーム11および12の操作を禁止し、センサ27によって使用状態が検出されている場合に、指導医側操作装置3の操作ハンドル21による所定の入力を受け付けることにより、操作ハンドル21にマニピュレータアーム12を操作可能に接続する。
【0038】
なお、医師側操作装置2についても同様である。すなわち、制御装置16は、医師側操作装置2のセンサ27によって使用状態が検出されていない場合に、医師側操作装置2の操作ハンドル21によるマニピュレータアーム11および12の操作を禁止し、センサ27によって使用状態が検出されている場合に、医師側操作装置2の操作ハンドル21による所定の入力を受け付けることにより、操作ハンドル21にマニピュレータアーム12を操作可能に接続する。
【0039】
(遠隔手術支援トレーニング装置)
遠隔手術支援トレーニング装置200は、図6に示すように、トレーニング用制御部201と、記憶部202とを備えている。また、遠隔手術支援トレーニング装置200は、第2施設B2に配置されている。遠隔手術支援トレーニング装置200は、トレーニングプログラム201aを実行することによりトレーニングを行う。遠隔手術支援トレーニング装置200は、指導医側操作装置3に外部ネットワークNを介して接続された外科手術ロボット1を操作することをトレーニングする。
【0040】
遠隔手術支援トレーニング装置200は、外科手術ロボット1を同じ施設内において操作装置により操作するためのトレーニングを行うトレーニング装置に含まれていてもよい。つまり、遠隔手術支援トレーニング装置200は、同じ施設(たとえば、第2施設)に配置された外科手術ロボット1を、指導医側操作装置3により操作することをトレーニングすることが可能に構成されていてもよい。この場合、遠隔手術支援トレーニング装置200において、遠隔操作ではない通常のトレーニングと、遠隔操作のトレーニングとの両方を行うことが可能である。
【0041】
トレーニング用制御部201は、トレーニングを行うために、トレーニング用動画像をスコープ型表示装置24に表示する。また、トレーニング用制御部201は、図7に示すように、操作ハンドル21Rによる操作に対応するように第1仮想手術器具6Rをスコープ型表示装置24に表示し、操作ハンドル21Lによる操作に対応するように第2仮想手術器具6Lをスコープ型表示装置24に表示する。
【0042】
つまり、トレーニング用制御部201は、操作ハンドル21の操作に基づいて、仮想の手術器具をトレーニング用動画像において表示して、トレーニングを行う。
【0043】
遠隔手術支援トレーニング装置200は、第1施設B1の情報共有装置4の制御装置43と同様の構成の表示制御部203を介して指導医側操作装置3にトレーニング用動画像を表示させる。また、遠隔手術支援トレーニング装置200は、指導医側操作装置3の操作に基づく信号を受信して、第1仮想手術器具6Rおよび第2仮想手術器具6Lの位置を計算する。
【0044】
また、本実施形態では、トレーニング用制御部201は、図8に示すように、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントを設定可能な設定画面を表示する。たとえば、設定画面は、スコープ型表示装置24またはタッチパネル23に表示される。また、トレーニング用制御部201は、設定されたイベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングを行う。
【0045】
これにより、指導医側操作装置3と外科手術ロボット1とが外部ネットワークにより接続され、且つ通信状態に起因して生じるイベントが操作に影響することを想定したトレーニングを行うことができる。その結果、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントに対応する技術を指導医A2が習得することができる。これにより、遠隔手術に関するトレーニングを行うことができる。
【0046】
また、トレーニング用制御部201は、操作ハンドル21Rおよび21Lの操作に対して、設定されたイベントを疑似的に再現した環境下で第1仮想手術器具6Rおよび第2仮想手術器具6Lが動作するように、トレーニング用動画像および第1仮想手術器具6Rおよび第2仮想手術器具6Lをスコープ型表示装置24に表示するように構成されている。これにより、操作ハンドル21Rおよび21Lの操作に対して、通信状態に起因するイベントを加味した画像がスコープ型表示装置24に表示されるので、指導医A2が外部ネットワークを介して手術器具6を操作した場合の操作感を容易に体感することができる。その結果、実践的なトレーニングを行うことができる。
【0047】
遠隔手術支援トレーニング装置200は、第1施設B1に設置された外科手術ロボット1と、第1施設B1に設置され医師A1が操作する医師側操作装置2と、第2施設B2に設置された指導医側操作装置3と、を備える遠隔手術支援システム100において、第1施設B1の医師A1を指導する指導医A2が操作する指導医側操作装置3のトレーニングに用いられる。これにより、第1施設B1とは遠隔にある第2施設B2から医師A1に対してロボット手術の指導を行うためのトレーニングを行うことができるので、外部ネットワークを介した指導の際に、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントに対応する技術を指導医A2が習得することができる。
【0048】
遠隔手術支援トレーニング装置200によるトレーニングの際に設定されるイベントは、外部ネットワークの通信状態に起因して生じる通信不具合条件を含む。これにより、通信の不具合によるイベントに対応する技術を指導医が習得することができる。
【0049】
たとえば、通信不具合条件は、通信の遅延、通信速度のゆらぎ、ブラックアウト、操作の切断、および、ブロックノイズのうち少なくとも1つを含む。これにより、通信の遅延、通信速度のゆらぎ、ブラックアウト、操作の切断、または、ブロックノイズに対応する技術を指導医が習得することができる。
【0050】
通信の遅延を再現する場合は、設定された再現条件に基づいてデータを送信するタイミングを遅延させる。たとえば、生成されたトレーニング用動画像のデータを待機時間分だけ遅延させて送信する。また、医師側操作装置2からの操作に基づく信号を待機時間だけ遅延させてトレーニング用動画像を生成する。
【0051】
通信速度のゆらぎを再現する場合は、設定された待機時間の上限値と下限値との間においてランダムに待機時間を変化させて遅延状態を変化させる。
【0052】
ブラックアウトを再現する場合は、指定した期間内において指定した回数だけランダムのタイミングで、黒画面をトレーニング用動画像に入れ込む。これにより、指導医側操作装置3のスコープ型表示装置24がブラックアウトするのが再現される。
【0053】
操作の切断を再現する場合は、指定した期間内において指定した回数だけランダムのタイミングで、操作信号の送信を停止して、回線が切断した場合と同様の状況が再現される。操作の切断では、内視鏡5の映像は見えているが、手術器具6を操作できない状態である。なお、操作が切断された場合、実際の手術時においては、外科手術ロボット1の近くにいる助手A3が外科手術ロボット1に設けられた操作部を操作することにより手術器具6を移動させることが可能である。
【0054】
ブロックノイズを再現する場合は、指定した期間内において指定した回数だけランダムのタイミングで、トレーニング用動画像に対してブロックノイズを合成加工する。この場合、ブロックノイズを生成する画面内の大きさおよび位置については、設定可能であってもよいし、ランダムに決められてもよい。
【0055】
図8に示すように、イベントを再現する条件は、イベントが遅延の場合は遅延時間、イベントが通信速度のゆらぎの場合は遅延時間の上限値と下限値、イベントがブラックアウトの場合は期間と回数、イベントが操作の切断の場合は期間と回数、イベントがブロックノイズの場合は期間と回数、を含む。これにより、イベントに応じて通信状態を再現する条件を設定することができるので、外部ネットワークを介した操作におけるトレーニングを適切に行うことができる。
【0056】
また、図8に示すように、イベントを設定する設定画面は、複数のイベントの中から1または複数のイベントを選択可能に構成され、選択された1または複数のイベントを再現する条件を設定可能に構成されている。これにより、多様なイベントに対する現象を再現することができる。
【0057】
たとえば、設定するイベントを選択して、各設定項目を入力することにより、再現されるイベントが設定される。図8に示す例では、遅延が100ミリ秒で設定され、ブラックアウトが180秒の期間内に3回発生することが設定されている。
【0058】
図8に示すように、イベントを設定する設定画面は、選択された1または複数のイベント、および、選択された1または複数のイベントを各々再現する条件をプリセット登録するための登録ボタンを含む。トレーニング用制御部201は、登録ボタンの操作に応じて選択されたイベントと設定された再現条件を記憶部202に記憶させる。これにより、イベントの設定をトレーニング毎に行わなくても、プリセット登録からトレーニングに必要なイベントを読み出すことができるので、トレーニングを行う際の設定の手間がかかるのを抑制することができる。
【0059】
また、図9に示すように、トレーニング用制御部201は、プリセット登録されたイベントと再現する条件とを記憶部202から読み出して設定するためのプリセット選択画面を表示する。これにより、プリセット選択画面からプリセット登録されたイベントと再現条件とを容易に選択することができる。
【0060】
図9に示す例では、プリセット選択画面は、プリセット名と更新日が表示されたリストが表示される。そして、このうちから1つを選択することにより、トレーニングを行う際のイベントが設定される。
【0061】
また、プリセット選択画面に外部出力ボタンを設け、選択されたプリセット名に該当するイベントと再現条件をUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)メモリのような外部記憶媒体に記憶させるようにしても良い。このようにすることで異なる遠隔手術支援トレーニング装置に外部記憶媒体を介してプリセット登録されたイベントと再現条件を読み込ませることができる。また、2つの遠隔手術支援トレーニング装置がネットワークを介して接続されている場合は、外部出力ボタンを操作することにより、異なる遠隔手術支援トレーニング装置にネットワークを介してプリセット登録されたイベントと再現条件を送信するようにしても良い。
【0062】
また、図10および図11に示すように、トレーニング用制御部201は、設定されたイベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングにおける成績と、設定されたイベントを疑似的に再現していない状態におけるトレーニングにおける成績とを、比較可能に表示する。これにより、外部ネットワークNを介して接続された場合と、外部ネットワークNを介さない場合との操作のトレーニングにおける成績を容易に比較することができる。
【0063】
図10に示すように、トレーニング用制御部201は、複数のトレーニングにおける成績を比較するために、比較するレーニングを選択する選択画面を表示する。たとえば、トレーニング用制御部201は、エクササイズ毎に一覧が表示される。図10に示す例では、エクササイズはプルダウンで選択可能である。表示された一覧の中から比較する対象が選択され、比較ボタンが操作されると、比較画面(図11参照)が表示される。なお、選択によっては、外部ネットワークNを介したトレーニングの成績と、外部ネットワークNを介したトレーニングの成績とを比較することも可能である。また、外部ネットワークNを介さないトレーニングの成績と、外部ネットワークNを介さないトレーニングの成績とを比較することも可能である。また、3以上のトレーニングの成績を比較することも可能である。
【0064】
図11に示すように、比較画面では、たとえば、評価項目の詳細と、各トレーニングによる成績とが表示される。選択したエクササイズにおいて評価できない項目については「-」(ハイフン)が表示される。
【0065】
(トレーニング実施処理)
図12を参照して、遠隔手術支援トレーニング装置200によるトレーニング実施処理について説明する。
【0066】
図12のステップS1において、トレーニング用制御部201は、指導医側操作装置3からの操作信号を受信する。ステップS2において、トレーニング用制御部201は、操作信号に基づいて、第1仮想手術器具6Rおよび第2仮想手術器具6Lの位置座標を計算する。
【0067】
ステップS3において、トレーニング用制御部201は、計算した第1仮想手術器具6Rおよび第2仮想手術器具6Lの位置座標に基づいて、3次元映像のトレーニング用動画像を合成する。ステップS4において、トレーニング用制御部201は、送信条件として、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントの設定を加味する。つまり、トレーニング用制御部201は、選択したイベントに応じて、映像信号を遅延させたり、映像を加工したりする。
【0068】
ステップS5において、トレーニング用制御部201は、生成した映像を表示制御部203を介して指導医側操作装置3に送信する。トレーニング用制御部201は、ステップS1~S5の処理を繰り返して、トレーニングを実施する。
【0069】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0070】
本実施形態では、上記のように、トレーニング用制御部201は、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントを設定可能な設定画面を表示するとともに、設定されたイベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングを行う。これにより、指導医側操作装置3と外科手術ロボット1とが外部ネットワークにより接続され、且つ通信状態に起因して生じるイベントが操作に影響することを想定したトレーニングを行うことができる。その結果、外部ネットワークの通信状態に起因して生じる現象に対応する技術を指導医A2が習得することができる。これにより、遠隔手術に関するトレーニングを行うことができる。
【0071】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0072】
たとえば、上記実施形態では、本発明の遠隔手術支援トレーニング装置が、第1施設の医師を指導する指導医が操作する指導医側操作装置のトレーニングに用いられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の遠隔手術支援トレーニング装置は、第1施設に配置された外科手術ロボットを、指導は行わずに第2施設に配置された操作装置から操作するためのトレーニングに用いられてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、本発明の表示部として、スコープ型表示装置を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の表示部として、スコープ型表示装置以外の湾曲パネル表示装置、フラットパネル表示装置または投影型表示装置などを設けてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、情報共有装置の音声通信装置を設けて、音声通信を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、外科手術ロボットに音声通信装置を設けて、音声通信を行ってもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、第2施設B2に指導医側操作装置3を設置する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2施設B2に医師側操作装置と外科手術ロボットを配置し、モード選択より通常モードが選択された場合は、第2施設B2の医師側操作装置によって第2施設B2の外科手術ロボットを操作するようにし、モード選択より遠隔モードが選択された場合は、第2施設B2の医師側操作装置を指導医側操作装置として機能させ、第2施設B2の医師側操作装置によって第1施設B1の外科手術ロボットを操作するようにしても良い。
【0076】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0077】
(項目1)
外科手術ロボットを、外部ネットワークを介して接続された操作装置で操作するためのトレーニングに用いられる遠隔手術支援トレーニング装置であって、
前記外科手術ロボットは、内視鏡および複数の手術器具を保持する複数のマニピュレータアームを備え、
前記操作装置は、前記複数のマニピュレータアームを操作するための第1操作ハンドルおよび第2操作ハンドルと、表示部と、を備え、
前記遠隔手術支援トレーニング装置は、トレーニングを行うために、トレーニング用動画像を前記表示部に表示するとともに、前記第1操作ハンドルによる操作に対応するように第1仮想手術器具を前記表示部に表示し、前記第2操作ハンドルによる操作に対応するように第2仮想手術器具を前記表示部に表示するトレーニング用制御部を備え、
前記トレーニング用制御部は、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントを設定可能な設定画面を表示するとともに、設定された前記イベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングを行うように構成されている、遠隔手術支援トレーニング装置。
【0078】
(項目2)
前記イベントは、通信の遅延、通信速度のゆらぎ、ブラックアウト、操作の切断、および、ブロックノイズのうち少なくとも1つを含む、項目1に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【0079】
(項目3)
前記イベントを再現する再現条件は、前記イベントが遅延の場合は遅延時間、前記イベントが通信速度のゆらぎの場合は遅延時間の上限値と下限値、前記イベントがブラックアウトの場合は期間と回数、前記不具合条件が操作の切断の場合は期間と回数、前記イベントがブロックノイズの場合は期間と回数、を含む、項目2に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【0080】
(項目4)
前記トレーニング用制御部は、前記第1操作ハンドルおよび前記第2操作ハンドルの操作に対して、設定された前記イベントを疑似的に再現した環境下で前記第1仮想手術器具および前記第2仮想手術器具が動作するように、前記トレーニング用動画像および前記第1仮想手術器具および前記第2仮想手術器具を前記表示部に表示するように構成されている、項目1~3のいずれか1項に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【0081】
(項目5)
前記設定画面は、複数の前記イベントの中から1または複数の前記イベントを選択可能に構成され、選択された1または複数の前記イベントを再現する前記再現条件を設定可能に構成されている、項目1~4のいずれか1項に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【0082】
(項目6)
記憶部をさらに備え、
前記設定画面は、選択された1または複数の前記イベント、および、選択された1または複数の前記イベントを各々再現する前記再現条件をプリセット登録するための登録ボタンを含み、
前記トレーニング用制御部は、前記登録ボタンの操作に応じて選択された前記イベントと設定された前記再現条件を前記記憶部に記憶させる、項目5に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【0083】
(項目7)
前記トレーニング用制御部は、プリセット登録された前記イベントと前記再現条件とを前記記憶部から読み出して設定するためのプリセット選択画面を表示する、項目6に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【0084】
(項目8)
前記トレーニング用制御部は、設定された前記イベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングにおける成績と、設定された前記イベントを疑似的に再現していない状態におけるトレーニングにおける成績とを、比較可能に表示する、項目1~7のいずれか1項に記載の遠隔手術支援トレーニング装置。
【0085】
(項目9)
外科手術ロボットを、外部ネットワークを介して接続された操作装置で操作するためのトレーニングに用いられる遠隔手術支援装置のトレーニングプログラムであって、
前記外科手術ロボットは、内視鏡および複数の手術器具を保持する複数のマニピュレータアームを備え、
前記操作装置は、前記複数のマニピュレータアームを操作するための第1操作ハンドルおよび第2操作ハンドルと、表示部と、を備え、
前記遠隔手術支援装置は、トレーニングを行うために、トレーニング用動画像を前記表示部に表示するとともに、前記第1操作ハンドルによる操作に対応するように第1仮想手術器具を前記表示部に表示し、前記第2操作ハンドルによる操作に対応するように第2仮想手術器具を前記表示部に表示するトレーニング用制御部、を備え、
前記トレーニング用制御部に、外部ネットワークの通信状態に起因して生じるイベントを設定可能な設定画面を表示させることと、設定された前記イベントを疑似的に再現した環境下でトレーニングを行わせることとを実行させる、トレーニングプログラム。
【符号の説明】
【0086】
1 外科手術ロボット
2 医師側操作装置(操作装置)
3 指導医側操作装置(操作装置)
5 内視鏡
6 手術器具
6L 第2仮想手術器具
6R 第1仮想手術器具
11、12 マニピュレータアーム
21L 操作ハンドル(第2操作ハンドル)
21R 操作ハンドル(第1操作ハンドル)
24 スコープ型表示装置(表示部)
100 遠隔手術支援システム
200 遠隔手術支援トレーニング装置
201 トレーニング用制御部
201a トレーニングプログラム
A1 医師
A2 指導医
B1 第1施設
B2 第2施設
N 外部ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12