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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048962
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20240402BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240402BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240402BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20240402BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240402BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G09F9/00 304
G02F1/1335 510
G02B5/30
H10K50/86
H10K59/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155160
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】三枝 良輔
(72)【発明者】
【氏名】坂井 彰
(72)【発明者】
【氏名】川平 雄一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雅浩
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
3K107
5G435
【Fターム(参考)】
2H149AA13
2H149AA18
2H149AB11
2H149AB13
2H149BA02
2H149BA12
2H149CA02
2H149EA19
2H149EA22
2H149FA02X
2H149FA03W
2H149FA61
2H149FB00
2H149FD46
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA85Z
2H291FA94X
2H291FA94Z
2H291FA95X
2H291FA95Z
2H291FC21
2H291FD09
2H291HA11
2H291HA15
2H291LA40
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC32
3K107CC33
3K107CC43
3K107CC45
3K107EE26
3K107FF15
5G435AA01
5G435AA12
5G435BB04
5G435BB05
5G435BB06
5G435BB12
5G435EE12
5G435FF05
5G435GG43
(57)【要約】
【課題】表示パネルの反りが充分に抑制された表示装置を提供する。
【解決手段】表示パネルと偏光板とを備え、上記偏光板は、その外縁から内側に向かって延伸する切り込み部を有する表示装置。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと偏光板とを備え、
前記偏光板は、その外縁から内側に向かって延伸する切り込み部を有する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示装置は、表示領域と、前記表示領域の外縁に配置された額縁領域とを有し、
前記切り込み部は、前記額縁領域内のみに設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記偏光板は、第一偏光板と第二偏光板とを有し、
前記第一偏光板、前記表示パネル、前記第二偏光板は、この順に配置されており、
前記第一偏光板の透過軸と前記第二偏光板の透過軸とは、互いに直交し、
前記第一偏光板及び前記第二偏光板からなる群より選択される少なくとも1つが、前記切り込み部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記切り込み部を有する偏光板は、保護層、接着層及び偏光層を有し、
前記保護層、前記接着層及び前記偏光層からなる群より選択される少なくとも1層が、前記切り込み部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記偏光板は、直線偏光板である
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルは、液晶層を有する液晶パネルである
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
更に、光源を有する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル等の表示パネルを備える表示装置は、テレビ、携帯電話、PC用ディスプレイ等の種々様々な機器に広く普及している。表示装置は一般に、表示パネルとともに偏光板を備える。例えば液晶表示装置としては、一対の偏光板で液晶パネルを挟持した構造が代表的である。
【0003】
表示装置の製造工程では通常、表示パネルに偏光板を貼り合わせた後に熱をかける過程があり、その際に偏光板が収縮する場合がある。特許文献1には、シート状のポリイミド基板を用いる場合、偏光板の収縮に追従してポリイミド基板が全体的に収縮するため、画素ズレが発生し表示装置の信頼性が低下することが記載されており、この課題を解決するために、調光層及び基板を一対の偏光板で挟持する構造の表示装置において、一枚の偏光板(第1偏光板)に、互いに離隔された複数の切り欠き部を設ける手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-135438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図22及び図23は、従来の表示装置の代表的な例の模式図である。従来の表示装置1Rは、図22に示すように、表示パネル200に1枚の偏光板100を貼り合わせた構成や、図23に示すように一対の偏光板110、120間に表示パネル200を挟持した構成からなる。
【0006】
表示装置の製造工程では通常、表示パネルに偏光板を貼り合わせた後に熱を与える工程を行う。だが、高温下では偏光板が収縮し得る。即ち偏光板に熱がかかると、吸収軸方向で大きな収縮が生じ、透過軸方向で小さな収縮が生じる。偏光板の収縮により、表示パネルに応力がかかり反りが発生する。この反りが大きくなる要因として、透過軸方向の収縮力と吸収軸方向の収縮力との差が大きいことが考えられる。表示パネルの反りは、ガラスの光弾性に起因する光漏れの原因となったり、カバーガラスを更に貼り付ける際の不良の原因となったりするため、この反りを充分に抑制する必要がある。
【0007】
特に、クロスニコルに配置された一対の偏光板110、120により表示パネル200を挟持した構成からなる表示装置(例えば図23参照)では、収縮力の大きい吸収軸aと、収縮力の小さい透過軸bとが、表示パネル200を挟んで平行になることで、表示パネル200の表裏の収縮力に偏りが生じ、よって反りが大きくなる。図24は、この表示装置における、反りと、偏光板110、120の吸収軸方向a又は透過軸方向bとの関係を、概念的に示す図である。偏光板を貼り合わせた表示パネルに熱がかかると、偏光板が収縮することによる応力によって、表示パネルが変形する。この場合、図24に示されるように、表示パネルの一方の側(観察面側とする)に配置した偏光板110の吸収軸方向a(110a)では、観察面側に凹形状(即ち背面側に凸形状)となり、表示パネルの他方の側(背面側とする)に配置した偏光板120の吸収軸方向(120a)では、背面側に凹形状(即ち観察面側に凸形状)となるような反り方となる(図24参照)。これは、偏光板の吸収軸方向aの収縮力が大きく、透過軸方向bの収縮力が小さいことに起因する(図25A図25B及び図25C参照)。図25A図25B及び図25Cは、上記表示装置における反りの原因を検討した図である。
【0008】
図25A図25B及び図25Cでは、クロスニコルに配置された一対の偏光板110、120により表示パネル200を挟持した構成からなる表示装置(例えば図23参照)において、第一偏光板110の吸収軸方向aと表示パネル200の長辺とが平行に、かつ第二偏光板120の吸収軸方向aと表示パネル200の短辺とが平行になる場合を例としている。
【0009】
図25Aは、表示パネル200を観察面側(偏光板110側)から見たときの、偏光板110の吸収軸方向a(110a)と、偏光板120の吸収軸方向a(120a)との関係を、模式的に示す図である。図25Bは、表示パネル200の長辺を横から見たときの、表示パネル200の反り方を示す模式図である。図25Cは、表示パネル200の短辺を横から見たときの、表示パネル200の反り方を示す模式図である。図24と同様に、表示パネル200の観察面側に配置した偏光板110の吸収軸方向aを横から見た場合には、観察面側が凹形状(即ち背面側が凸形状)となるような反り方をしており(図25B参照)、表示パネル200の背面側に配置した偏光板120の吸収軸方向aでは、背面側が凹形状(即ち観察面側が凸形状)となるような反り方をしている(図25C参照)。
なお、上記では、吸収型偏光板の吸収軸aと透過軸bとの関係を検討したが、反射型偏光板も同様である。即ち反射軸方向aの収縮力が大きく、透過軸方向bの収縮力が小さいことが、反りが大きくなる要因と考えられ、反り方も、図24図25A図25B及び図25Cと同様になると考えられる(図中、吸収軸方向a(110a、120a)を、反射軸方向a(110a、120a)とする。)。
【0010】
特許文献1には、上述の通り、一対の偏光板のうち一枚の偏光板のみに、複数の切り欠き部を設ける手法が開示されている。特許文献1において切り欠き部とは、金型又はレーザによって形成した開口部であり、少なくとも表示装置の表示部に設けられており、周辺部にも設けられることがある。だが、切り欠き部を形成するための加工が難しく、また表示品位への影響も懸念されるため、実用性に乏しい。
【0011】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、表示パネルの反りが充分に抑制された表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明の一実施形態は、表示パネルと偏光板とを備え、上記偏光板は、その外縁から内側に向かって延伸する切り込み部を有する、表示装置。
【0013】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記表示装置は、表示領域と、上記表示領域の外縁に配置された額縁領域とを有し、上記切り込み部は、上記額縁領域内のみに設けられる、表示装置。
【0014】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、上記偏光板は、第一偏光板と第二偏光板とを有し、上記第一偏光板、上記表示パネル、上記第二偏光板は、この順に配置されており、上記第一偏光板の透過軸と上記第二偏光板の透過軸とは、互いに直交し、上記第一偏光板及び上記第二偏光板からなる群より選択される少なくとも1つが上記切り込み部を有する、表示装置。
【0015】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)又は上記(3)の構成に加え、上記切り込み部を有する偏光板は、保護層、偏光層及び接着層を有し、上記保護層、上記偏光層及び上記接着層からなる群より選択される少なくとも1層が、上記切り込み部を有する、表示装置。
【0016】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、上記偏光板は、直線偏光板である、表示装置。
【0017】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)又は上記(5)の構成に加え、上記表示パネルは、液晶層を有する液晶パネルである、表示装置。
【0018】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)又は上記(6)の構成に加え、更に、光源を有する、表示装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば表示パネルの反りが充分に抑制された表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1の表示装置の模式図である。
図2】実施形態1の表示装置を、観察面側から見たときの平面模式図である。
図3A】切り込み部40の配置例を概念的に示す図である。
図3B】切り込み部40のその他の配置例を概念的に示す図である。
図4】偏光板の構造の一例を概念的に示す図である。
図5】実施形態2の表示装置の模式図である。
図6】実施形態3の表示装置の模式図である。
図7A】比較例1~2及び実施例1~4における反りの定義を説明するための図である。
図7B】比較例3及び実施例5における反りの定義を説明するための図である。
図7C】比較例4及び実施例6における反りの定義を説明するための図である。
図7D】比較例4及び実施例6における反りの定義を説明するための図である。
図8】比較例1の表示装置の模式図である。
図9】比較例2の表示装置の模式図である。
図10】比較例3の表示装置の模式図である。
図11】比較例4の表示装置の模式図である。
図12】実施例1の表示装置の模式図である。
図13】実施例1の表示装置を観察面側から撮影した写真であり、この図中の拡大図は、切り込み部40を拡大した写真である。
図14】実施例2の表示装置の模式図である。
図15】比較例1、実施例1及び実施例2に基づいて、偏光板の一辺あたりの切り込み部40の数(個)と、吸収軸方向の反り(mm)との関係を検討したグラフである。
図16】実施例3の表示装置の模式図である。
図17】実施例3の表示装置を観察面側から撮影した写真であり、この図中の拡大図は、切り込み部40を拡大した写真である。
図18】実施例4の表示装置の模式図である。
図19】比較例2、実施例3及び実施例4に基づいて、偏光板の一辺あたりの切り込み部40の数(個)と、透過軸方向の反り(mm)との関係を検討したグラフである。
図20】実施例5の表示装置の模式図である。
図21】実施例6の表示装置の模式図である。
図22】従来の表示装置の代表的な例の模式図である。
図23】従来の表示装置の代表的な例の模式図である。
図24】クロスニコルに配置された一対の偏光板により表示パネルを挟持した構成からなる表示装置において、反りと、偏光板の吸収軸方向(反射軸方向)a又は透過軸方向bとの関係を、概念的に示す図である。
図25A】クロスニコルに配置された一対の偏光板により表示パネルを挟持した構成からなる表示装置において、反りの原因を検討した図である。
図25B】クロスニコルに配置された一対の偏光板により表示パネルを挟持した構成からなる表示装置において、反りの原因を検討した図である。
図25C】クロスニコルに配置された一対の偏光板により表示パネルを挟持した構成からなる表示装置において、反りの原因を検討した図である。
図26A】本発明における反りを改善するメカニズムを概念的に示す図である。
図26B】本発明における反りを改善するメカニズムを概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(用語の定義)
本明細書中、観察面側とは、液晶表示装置の画面(表示面)に対してより近い側を意味し、背面側とは、液晶表示装置の画面(表示面)に対してより遠い側を意味する。
【0022】
本明細書中、「平行」とは、両者のなす角度(絶対値)が0±10°の範囲内であることを意味する。好ましくは0±5°の範囲内であり、より好ましくは0±3°の範囲内であり、更に好ましくは0±1°の範囲内であり、特に好ましくは0°(完全に平行)である。
【0023】
本明細書中、「直交」とは、両者のなす角度(絶対値)が90°±10°の範囲内であることを意味する。好ましくは90±5°の範囲内であり、より好ましくは90±3°の範囲内であり、更に好ましくは90±1°の範囲内であり、特に好ましくは90°(完全に直交)である。
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で適宜設計変更を行うことが可能である。なお、図1図4図12図14図16図18図20図24図25B図25C図26A及び図26Bでは、上を観察面側、下を背面側とする。
【0025】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る表示装置の模式図であり、図2は、本実施形態に係る表示装置を、観察面側から見たときの平面模式図である。図1に示す通り、表示装置1は、観察面側から、偏光板100と表示パネル200とを備える。表示装置1は、図2に示す通り、表示領域310と、表示領域310の外縁に配置された額縁領域320とを有する。表示領域310は、任意の画像等が表示される領域である。つまり、光源点灯時に、表示装置1の観察面側から視認される領域である。一方、額縁領域320は、表示領域310の外縁に額縁状に配置された領域である。額縁領域320は、光を透過しなくてもよい。
【0026】
ここで、上述したように、偏光板を貼り合わせた表示パネルに熱がかかると、偏光板が収縮することによる応力によって、表示パネルが変形する(図24図25A図25B及び図25C参照)。本願発明者らは、この反りを改善するためには、偏光板の吸収軸方向(又は反射軸方向)の収縮力と透過軸方向の収縮力との差を低減する必要があると考えた。例えば、クロスニコルに配置された一対の偏光板110、120により表示パネル200を挟持した構成からなる表示装置(例えば図23参照)を例にすると、表示パネルを挟んで平行に並ぶ偏光板の吸収軸(又は反射軸)aと透過軸bとにおける収縮力の差を低減する必要があると考えた。即ち具体的には、偏光板の吸収軸方向(若しくは反射軸方向)aの収縮力を弱めるか、及び/又は、透過軸方向bの収縮力を強める必要があると考えた(図26A及び図26B参照)。図26A及び図26Bは、本発明における反りを改善するメカニズムを概念的に示す図である。そこで、偏光板に、その外縁から内側に向かって延伸する切り込み部40を設けると、偏光板の吸収軸方向(又は反射軸方向)の収縮力と透過軸方向の収縮力とのバランスを制御でき、よって反りを充分に抑制できることを見出した。1枚の偏光板と表示パネルとを有する表示装置(例えば図22参照)においても、同様の原理で反りを充分に抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0027】
本実施形態の表示装置は、円偏光モードであってもよいし、直線偏光モードであってもよいが、中でも、直線偏光モードの表示装置であることが好適である。従って、偏光板100は、円偏光板であってもよいが、直線偏光板であることが好ましい。表示パネル200と偏光板100との間には、位相差フィルム等の光学フィルムが配置されていてもよいが、上述の通り直線偏光モードが好ましい観点から、本発明の表示装置は、位相差フィルムを有さないことが好適である。
【0028】
偏光板100は、その外縁から内側に向かって延伸する切り込み部40を有する。切り込み部40は、当該切り込み部が形成する空間が、偏光板の端(外縁)に繋がった形状を意味し、切り込み部が形成する空間が偏光板の端(外縁)に繋がっていない形状(開口部とも称す)は除かれる。
【0029】
切り込み部40は、偏光板100の外縁(端)から内側に向かって切り込むことで、設けられる。例えば、偏光板100の平面形状が四角形である場合、その少なくとも一辺以上の辺において、端から内側に向かって切り込むことで、当該偏光板に切り込み部40を設けることができる。偏光板100の平面形状が四角形である場合、切り込み部40を設ける辺は特に限定されず、一辺以上であればよいが、更なる反り抑制の観点から、向かい合う二辺に切り込み部40をそれぞれ1個以上設けることが好適である(図1及び図2参照)。偏光板100の平面形状が長方形である場合、切り込み部40を設ける辺はその長辺であってもよいし、短辺であってもよい。また図1及び図2では、向かい合う二辺に設けられた複数の切り込み部40が、表示パネル200の短辺の中央となる中央線を軸としたときに線対称となる位置に設けられているが、この態様に特に限定されない。切り込み部40は、必ずしも線対称となる位置に配置されなくてもよい。
【0030】
切り込み部40は、偏光板1枚に1個以上(1本以上)あればよいが、反りをより充分に抑制する観点から、複数個(複数本)あることが好ましい。更なる反り抑制の観点から、複数個の切り込み部40は、当該切り込み部を有する偏光板の吸収軸方向(又は反射軸方向)aに並ぶことが好適である(図1参照)。また、例えば偏光板の一辺の長さを10cmとすると、当該一辺に1~20個の切り込み部を設けることが好適である。好ましくは2~18個である。中でも、反りを更に一層抑制できる観点から、9~16個がより好ましい。また、複数個の切り込み部40は、等間隔に設けることが好適である。
【0031】
切り込み部40は、表示装置1の額縁領域320内にのみ設けられることが好ましい(図2参照)。これにより、表示装置の表示品位への影響を充分に排除することができる。また、額縁領域320内にのみ切り込み部40を設ける加工は容易に行うことができるため、生産性にも優れる。
【0032】
本明細書では、偏光板の吸収軸(又は反射軸)aに略平行な方向の切り込み部の大きさ(サイズ)を「切り込み部の幅(W)」と称し、偏光板の透過軸bに略平行な方向の切り込み部の大きさ(サイズ)を「切り込み部の長さ(L)」と称する。ここで、吸収軸(又は反射軸)に略平行な方向とは、吸収軸(又は反射軸)を0°としたときに0±45°以内(絶対値)となる方向を意味し、透過軸に略平行な方向とは、透過軸を0°としたときに0±45°未満(絶対値)となる方向を意味する。
【0033】
切り込み部40の長さ方向は、偏光板の透過軸bに平行であってもよいし(例えば図3A参照)、平行でなくてもよい(例えば図3B参照)。透過軸bに平行であるとは、当該透過軸bと切り込み部40の長さ方向とのなす角度(絶対値)が0±10°の範囲内であることを意味する。図3A及び図3Bは、切り込み部40の配置例を概念的に示す図である。
【0034】
切り込み部40の長さ(L)は、切り込み部40が額縁領域320内に収まるように適宜設定すればよい(図2参照)。例えば、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上である。また、10mm以下であることが好ましく、より好ましくは5mm以下である。
【0035】
切り込み部40の幅(W)は、0mm以上であればよい。好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上である。また、3mm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mm以下である。
【0036】
切り込み部40を有する偏光板100は、図4に示すように、保護層50、接着層60及び偏光層70を有することが好適であり、保護層50、接着層60及び偏光層70からなる群より選択される少なくとも1層が、切り込み部40を有することが好ましい。中でも、図4に示すように、保護層50、接着層60及び偏光層70のそれぞれが、切り込み部40を有することである。図4は、偏光板の構造の一例を概念的に示す図である。また、保護層50、接着層60及び偏光層70からなる群より選択される少なくとも2層が切り込み部40を有する場合、該切り込み部40の位置を揃える(一致させる)ことが好適である。図4では、保護層50、接着層60及び偏光層70のそれぞれが有する切り込み部40の位置を揃えている。なお、図4では3層からなる積層構造を図示したが、保護層50、接着層60、偏光層70、接着層60及び保護層50をこの順に備える5層構造も好適であり、その他の層を更に有してもよい。
【0037】
保護層50としては、偏光機能を有する素子(偏光層70とも称す)の観察面側及び背面側の少なくとも一方に配置されることが好適である。保護層50の具体例は特に限定されないが、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の保護フィルムが好ましく例示される。保護層50は、任意の適切な接着層60を介して偏光層70に貼り付けられる。
【0038】
接着層60は、隣り合う光学素子や層の面と面とを接合し、実用上充分な接着力と接着時間で一体化させる層である。接着層60を形成する材料としては、例えば、接着剤、アンカーコート剤が挙げられる。接着層60は、被着体の表面にアンカーコート層が形成され、その上に接着剤層が形成されたような多層構造であってもよい。また、肉眼的に認知できないような薄い層であってもよい。
【0039】
偏光板100は、吸収型偏光板であってもよいし、反射型偏光板であってもよいが、中でも、吸収型偏光板であることが好ましい。吸収型偏光板として具体的には、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素錯体(又は染料)等の異方性材料を染色及び吸着させてから延伸配向させた偏光板等が挙げられる。一般的には、機械強度及び耐湿熱性を確保するために、ポリビニルアルコールフィルムの両側に、トリアセチルセルロースフィルム等の保護フィルムが積層された状態で実用に供される。反射型偏光板として具体的には、例えば、誘電体の薄膜を複数積層したフィルム、屈折率異方性が異なる薄膜を複数積層したフィルム、ナノワイヤーグリッド偏光板、コレステリック液晶の選択反射を用いた偏光板等が挙げられる。
【0040】
表示パネル200は、画像を表示する機能を有するものであればよい。表示パネル200は、画像表示のオン・オフが可能である。表示パネル200としては例えば、液晶表示パネルや、自発光パネル等が好ましい。表示パネル200として液晶パネルを用いる場合、表示装置1は、液晶表示装置となる。本実施形態では、表示パネル200として液晶パネルを用いる場合を例にする。
【0041】
液晶パネルは、液晶層を有する表示パネルである。その構成は特に限定されないが、例えば、一方の基板に画素電極及び共通電極が形成された一対の基板間に液晶層を狭持し、画素電極及び共通電極の間に電圧を印加して液晶層に横電界(フリンジ電界を含む)を印加することで表示を行うもの;一方の基板に画素電極、他方の基板に共通電極が形成された一対の基板間に液晶層を狭持し、画素電極及び共通電極の間に電圧を印加して液晶層に縦電界を印加することで表示を行うもの;等が挙げられる。より具体的には、横電界方式としては、電圧無印加時に液晶層中の液晶分子が基板面に対して平行に配向する、FFS(Fringe Field Switching)モードやIPS(In Plane Switching)モード等が挙げられ、縦電界方式としては、電圧無印加時に液晶層中の液晶分子が基板面に対して垂直に配向する、垂直配向(VA:Vertical Alignment)モード等が挙げられる。
【0042】
液晶パネルの液晶モードは特に限定されず、液晶層中の液晶分子を基板面に垂直に配向させることで黒表示を行うものであってもよいし、液晶層中の液晶分子を基板面に平行又は垂直でも平行でもない方向に配向させることで黒表示を行うものであってもよい。また、液晶パネルの駆動形式としては、TFT方式(アクティブマトリクス方式)の他、単純マトリクス方式(パッシブマトリクス方式)、プラズマアドレス方式等であってもよい。
【0043】
本実施形態では、偏光板100が切り込み部40を有することで、表示パネル200の反りを充分に抑制することができるが、当該表示パネルがガラス基板を有する場合であっても、反りを充分に抑制することができる。従って、本実施形態では、液晶パネルを構成する基板として、ガラス基板を用いてもよい。
【0044】
本実施形態の表示装置は、光源を有してもよい。表示パネル200として液晶パネルを用いる場合、バックライトを有することが好適である。光源は、光を照射するものであれば特に限定されず、直下型やエッジ型やその他のどの方式でもよい。具体的には、導光板及び光源を含む光源ユニットと、反射シートと、拡散シートとを備えるものが好ましい。光源としては、例えば、発光ダイオード(LED)を用いることができる。
【0045】
本実施形態の表示装置はまた、表示装置の最も観察面側に、カバーガラスを有してもよい。本実施形態では、表示パネル200の反りが充分に抑制されているため、カバーガラスを貼り付ける際に不良が生じるおそれを充分に排除することができる。
【0046】
本実施形態の表示装置は、上述した部材等の他、TCP(テープ・キャリア・パッケージ)、PCB(プリント配線基板)等の外部回路;視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム等の光学フィルム;ベゼル(フレーム);等の複数の部材により構成されるものであり、部材によっては、他の部材に組み込まれていてもよい。既に説明した部材以外の部材については特に限定されず、表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができるので、説明を省略する。
【0047】
(実施形態2)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。実施形態2では、表示装置が、1対の偏光板で表示パネルを挟持した構造を有する場合について説明する。
【0048】
図5は、本実施形態に係る表示装置の模式図である。図5に示す通り、表示装置1は、観察面側から、第一偏光板110、表示パネル200、及び、第二偏光板120をこの順に備える。
【0049】
第一偏光板110の透過軸bと第二偏光板120の透過軸bとは、互いに直交している。即ち第一偏光板110と第二偏光板120とはクロスニコルに配置されている。従って、第一偏光板110の吸収軸(又は反射軸)aと第二偏光板120の透過軸bとは平行である(図5参照)。
【0050】
第一偏光板110及び第二偏光板120はそれぞれ、1個以上の切り込み部40を有する。好ましくは、第一偏光板110及び第二偏光板120のそれぞれが、切り込み部40を複数個有することである。第一偏光板110が有する切り込み部と、第二偏光板120が有する切り込み部とは、重畳しないことが好ましい。
なお、2枚以上の偏光板を有する表示装置では、切り込み部を有する偏光板と切り込み部を有さない偏光板とを含んでもよい。だが、更なる反り抑制の観点からは、本実施形態のように、2枚以上の偏光板がそれぞれ切り込み部を有することが好適である。
【0051】
(実施形態3)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。実施形態3では、表示パネル200として、自発光表示パネルを用いた場合について説明する。
【0052】
図6は、本実施形態に係る表示装置の模式図である。図6に示す通り、表示装置1は、観察面側から、偏光板100と表示パネル200とをこの順に備える。
【0053】
本実施形態では、表示パネル200として、自発光表示パネルを用いる。自発光表示パネルとしては例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示パネル、プラズマ表示パネル、マイクロメートル(μm)単位の微細なLEDをRGB素子として使用したMicro-LED型の表示パネル等が好適である。
【0054】
本実施形態の表示装置は、円偏光モードの表示装置であることが好適である。従って、偏光板100は、円偏光板であることが好ましい。表示パネル200と偏光板100との間には、位相差フィルム等の光学フィルムが配置されていてもよい。
【0055】
本実施形態の表示装置は、表示パネル200として自発光表示パネルを有するため、バックライト等の光源は不要である。だが必要に応じて、光源を更に備えるものであってもよい。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、説明された個々の事項は、すべて本発明全般に対して適用され得るものである。
【0057】
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0058】
以下の各例において、下記方法に従って偏光板の収縮力を評価した。
(偏光板の収縮力の評価方法)
偏光板を貼り合わせた表示パネルを、95℃の恒温槽に2時間放置し、取り出した後、表示パネルの反りを測定した。反りの測定には、隙間ゲージを用いた。隙間ゲージの分解能(測定限界とも称す)は0.05mmである。
【0059】
(反りの定義)
上記方法では、以下のように定義される表示パネルの反りを測定した。
(1)比較例1、2及び実施例1~4における反りの定義
表示パネルの反りは、「表示パネルの長辺の中点に対して、表示パネルの端(外縁)がどれだけ浮いているか」によって定義した(図7A参照)。つまり、このように定義される長辺側の表示パネル200の反りを測定した。図7Aは、上記例における反りの定義を説明するための図である。図7A中、pは、表示パネル200の長辺と平行な、偏光板100の軸方向(吸収軸方向又は透過軸方向)を意味する。偏光板100の収縮力が大きいほど、測定される表示パネル200の反りも大きくなるため、表示パネル200の反りを測定することによって、偏光板100の収縮力を評価することができる。
【0060】
(2)比較例3及び実施例5における反りの定義
表示パネルの反りは、「表示パネルの長辺の中点に対して、表示パネルの端(外縁)がどれだけ浮いているか」によって定義した(図7B参照)。つまり、このように定義される長辺側の表示パネル200の反りを測定した。図7Bは、上記例における反りの定義を説明するための図である。図7B中、qは、表示パネル200の長辺と平行な、第一偏光板110の軸方向(吸収軸方向又は透過軸方向)を意味し、rは、表示パネル200の長辺と平行な、第二偏光板120の軸方向(吸収軸方向又は透過軸方向)を意味する。第一偏光板110の収縮力と第二偏光板120の収縮力との偏りが大きいほど、測定される表示パネル200の反りも大きくなる。それゆえ、表示パネル200の反りを測定することによって、第一、第二偏光板110、120の収縮力の偏りの大きさを評価することができる。
【0061】
(3)比較例4及び実施例6における反りの定義
表示パネルの反りは、「表示パネルの各辺の中点に対して、表示パネルの端(外縁)がどれだけ浮いているか」によって定義した(図7C及び図7D参照)。つまり、このように定義される、長辺側及び短辺側それぞれの表示パネル200の反りを測定した。図7Cは、上記例において、長辺側の反りの定義を説明するための図である。図7C中、sは、表示パネル200の長辺と平行な、偏光板100の軸方向(吸収軸方向又は透過軸方向)を意味する。図7Dは、上記例において、短辺側の反りの定義を説明するための図である。図7D中、tは、表示パネル200の短辺と平行な、偏光板100の軸方向(吸収軸方向又は透過軸方向)を意味する。偏光板100の収縮力が大きいほど、測定される表示パネル200の反りも大きくなるため、表示パネル200の反りを測定することによって、偏光板100の収縮力を評価することができる。
【0062】
(比較例1)
図8に示す構成の表示装置を作製した。図8に示す通り、本例の表示装置1は、観察面側から、偏光板100と表示パネル200とをこの順に備える。本例では、偏光板100を、その吸収軸方向aと、表示パネル200の長辺とが平行になるように配置した。図8は、本例の表示装置の模式図である。
なお、比較例1~3及び実施例1~5では、表示パネル200として、平面形状が長辺12cm×短辺7cmの長方形であり、かつ厚みが0.3mmである液晶パネルを使用し、また、偏光板100、110、120として、吸収型直線偏光板を用いた。
【0063】
本例で作製した表示装置に関して、偏光板の収縮力を上記方法により評価した。結果を表1に示す。本例では、表示パネル200の長辺と偏光板100の吸収軸方向aとが平行になるようにしたため、図7A中のpは、偏光板100の吸収軸方向aを意味する。従って、上記評価試験により測定される反りの測定値を「吸収軸方向の反り」と称する。本例では、反りは、透過軸方向の反り(比較例2)と比較して2倍以上大きい。これは、偏光板が透過軸方向よりも吸収軸方向に大きく収縮するためである。従って、反りを抑制するためには、吸収軸方向aの反りを小さくすることが重要であることが分かった(図26A及び図26B参照)。
【0064】
(比較例2)
図9に示す構成の表示装置を作製した。図9に示す通り、本例の表示装置1は、観察面側から、偏光板100と表示パネル200とをこの順に備える。本例では、偏光板100を、その透過軸方向bと、表示パネル200の長辺とが平行になるように配置した。図9は、本例の表示装置の模式図である。
【0065】
本例で作製した表示装置に関して、偏光板の収縮力を上記方法により評価した。結果を表2に示す。本例では、表示パネル200の長辺と偏光板100の透過軸方向bとが平行になるようにしたため、図7A中のpは、偏光板100の透過軸方向bを意味する。従って、上記評価試験により測定される反りの測定値を「透過軸方向の反り」と称する。本例では、反りは、吸収軸方向の反り(比較例1)と比較して半分以下であり、小さい。これは、偏光板が透過軸方向よりも吸収軸方向に大きく収縮するためである。従って、反りを抑制するためには、透過軸方向の反りを大きくすることが重要であることが分かった(図26A及び図26B参照)。
【0066】
(比較例3)
図10に示す構成の表示装置を作製した。図10に示す通り、本例の表示装置1は、観察面側から、第一偏光板110、表示パネル200、及び、第二偏光板120をこの順に備える。本例では、表示パネル200の観察面側に配置する第一偏光板110を、その吸収軸方向aと、表示パネル200の長辺とが平行になるように配置した。また、表示パネル200の背面側に配置する第二偏光板120を、その透過軸方向bと、表示パネル200の長辺とが平行になるように配置した。図10は、本例の表示装置の模式図である。
【0067】
本例で作製した表示装置に関して、偏光板の収縮力を上記方法により評価した。結果を表3に示す。本例では、表示パネル200の長辺と、第一偏光板110の吸収軸方向aとが平行になるようにし、かつ表示パネル200の長辺と、第二偏光板120の透過軸方向bとが平行になるようにした。それゆえ、図7B中のqは、第一偏光板110の吸収軸方向aを意味し、rは、第二偏光板120の透過軸方向bを意味する。本例では、表示パネル200の長辺と、第一偏光板110の吸収軸aとが平行であるため、上記評価試験により測定される反りの測定値を「第一偏光板110の吸収軸方向の反り」と称する。
【0068】
(比較例4)
図11に示す構成の表示装置を作製した。図11に示す通り、本例の表示装置1は、観察面側から、偏光板100と表示パネル200とをこの順に備える。本例では、偏光板100を、その吸収軸方向aと、表示パネル200の長辺とが平行になるように配置した。図11は、本例の表示装置の模式図である。
なお、比較例4及び実施例6では、表示パネル200として、平面形状が長辺15cm×短辺7cmの長方形であり、かつ厚みが0.3mmである、ガラス基板OLEDパネルを使用し、また、偏光板100として、反射防止用の円偏光板を用いた。
【0069】
本例で作製した表示装置に関して、偏光板の収縮力を上記方法により評価した。結果を表4に示す。本例では、表示パネル200の長辺と偏光板100の吸収軸方向aとが平行になるようにしたため、図7C中のsは、偏光板100の吸収軸方向aを意味し、図7D中のtは、偏光板100の透過軸方向bを意味する。従って、上記評価試験により測定される反りの測定値のうち、長辺側の反りを「吸収軸方向の反り(吸収軸方向反り)」と称し、短辺側の反りを「透過軸方向の反り(透過軸方向反り)」と称する。
【0070】
(実施例1)
図12に示す構成の表示装置を作製した。図12に示す通り、本例の表示装置1は、観察面側から、偏光板100と表示パネル200とをこの順に備える。本例では、偏光板100を、その吸収軸方向aと表示パネル200の長辺とが平行になるように配置した。図12は、本例の表示装置の模式図である。本例では、偏光板100の吸収軸方向aに5個の切り込み部40を等間隔に設けた。切り込み部40のサイズは、幅(W)1mm、長さ(L)2mmとした。切り込み部40は全て、表示装置1の額縁領域320内に収まっており、液晶の表示品位に影響しない。図13は、本例で実際に作製した表示装置を観察面側から撮影した写真であり、図13中の拡大図は、切り込み部40を拡大した写真である。なお、偏光板100は、図4に示す通り、保護層50、接着層60及び偏光層70からなる3層構造とし、偏光板100の切り込み部40の配置及びサイズが上記の通りになるように当該3層のそれぞれに切り込み部40を設けた。その際、各層の切り込み部40の位置が一致するようにした(図4参照)。
【0071】
本例で作製した表示装置に関して、偏光板の収縮力を上記方法により評価した。結果を表1に示す。本例では、表示パネル200の長辺と偏光板100の吸収軸方向aとが平行になるようにしたため、図7A中のpは、偏光板100の吸収軸方向aを意味する。本例では、切り込み部40を設けなかった比較例1に比べて、反りの値が小さくなった。この結果から、切り込み部40により、偏光板100の吸収軸方向の収縮力が弱まることが分かった。
【0072】
(実施例2)
図14に示す構成の表示装置を作製した。図14に示す通り、本例の表示装置1は、観察面側から、偏光板100と表示パネル200とをこの順に備える。本例では、偏光板100を、その吸収軸方向aと、表示パネル200の長辺とが平行になるように配置した。図14は、本例の表示装置の模式図である。本例では、偏光板100の吸収軸方向aに、11個の切り込み部40を等間隔に設けた。切り込み部40のサイズは、幅(W)1mm、長さ(L)2mmとした。切り込み部40は全て、表示装置1の額縁領域320内に収まっており、液晶の表示品位に影響しない。
【0073】
本例の表示装置について、反りを評価した。結果を表1に示す。本例では、表示パネル200の長辺と偏光板100の吸収軸方向aとが平行になるようにしたため、図7A中のpは、偏光板100の吸収軸方向aを意味する。本例では、切り込み部40を設けなかった比較例1、及び、切り込み部40の数が異なる実施例1に比べて、反りの値が小さくなった。この結果から、切り込み部40の数を変えることにより、偏光板100の吸収軸方向aの収縮力を調整できることが分かった。また、比較例1、実施例1及び実施例2に基づいて、偏光板の一辺あたりの切り込み部40の数(個)と、吸収軸方向の反り(mm)との関係を検討したグラフを、図15に示す。
【0074】
(実施例3)
図16に示す構成の表示装置を作製した。図16に示す通り、本例の表示装置1は、観察面側から、偏光板100と表示パネル200とをこの順に備える。本例では、偏光板100を、その透過軸方向bと、表示パネル200の長辺とが平行になるように配置した。図16は、本例の表示装置の模式図である。本例では、偏光板100の吸収軸方向aに、5個の切り込み部40を等間隔に設けた。切り込み部40のサイズは、幅(W)1mm、長さ(L)2mmとした。切り込み部40は全て、表示装置1の額縁領域320内に収まっており、液晶の表示品位に影響しない。図17は、本例で実際に作製した表示装置を観察面側から撮影した写真であり、図17中の拡大図は、切り込み部40を拡大した写真である。
【0075】
本例で作製した表示装置に関して、偏光板の収縮力を上記方法により評価した。結果を表2に示す。本例では、表示パネル200の長辺と偏光板100の透過軸方向bとが平行になるようにしたため、図7A中のp方向は、偏光板100の透過軸方向bを意味する。本例では、切り込み部40を設けなかった比較例2に比べて、反りの値が大きくなった。この結果から、切り込み部40により、偏光板の透過軸方向の収縮力が強まることが分かった。
【0076】
(実施例4)
図18に示す構成の表示装置を作製した。図18に示す通り、本例の表示装置1は、観察面側から、偏光板100と表示パネル200とをこの順に備える。本例では、偏光板100を、その透過軸方向bと、表示パネル200の長辺とが平行になるように配置した。図18は、本例の表示装置の模式図である。本例では、偏光板100の吸収軸方向aに、11個の切り込み部40を等間隔に設けた。切り込み部40のサイズは、幅(W)1mm、長さ(L)2mmとした。切り込み部40は全て、表示装置1の額縁領域320内に収まっており、液晶の表示品位に影響しない。
【0077】
本例で作製した表示装置に関して、偏光板の収縮力を上記方法により評価した。結果を表2に示す。本例では、表示パネル200の長辺と偏光板100の透過軸方向bとが平行になるようにしたため、図7A中のpは、偏光板100の透過軸方向bを意味する。本例では、切り込み部40を設けなかった比較例2、及び、切り込み部40の数が異なる実施例3に比べて、反りの値が大きくなった。この結果から、切り込み部40の数を変えることにより、偏光板の透過軸方向bの収縮力を調整できることが分かった。また、比較例2、実施例3及び実施例4に基づいて、偏光板の一辺あたりの切り込み部40の数(個)と、透過軸方向の反り(mm)との関係を検討したグラフを、図19に示す。
【0078】
(実施例5)
図20に示す構成の表示装置を作製した。図20に示す通り、本例の表示装置1は、観察面側から、第一偏光板110、表示パネル200、及び、第二偏光板120をこの順に備える。本例では、表示パネル200の観察面側に配置する第一偏光板110を、その吸収軸方向aと、表示パネル200の長辺とが平行になるように配置した。また、表示パネル200の背面側に配置する第二偏光板120を、その透過軸方向bと、表示パネル200の長辺とが平行になるように配置した。図20は、本例の表示装置の模式図である。本例では、偏光板110の吸収軸方向(長辺側)に、3個の切り込み部40を等間隔に設け、偏光板120の吸収軸方向(短辺側)に、3個の切り込み部40を等間隔に設けた。切り込み部40のサイズは、幅(W)1mm、長さ(L)2mmとした。切り込み部40は全て、表示装置1の額縁領域320内に収まっており、液晶の表示品位に影響しない。
【0079】
本例で作製した表示装置に関して、偏光板の収縮力を上記方法により評価した。結果を表3に示す。本例では、表示パネル200の長辺と、第一偏光板110の吸収軸方向aとが平行になるようにし、かつ表示パネル200の長辺と、第二偏光板120の透過軸方向bとが平行になるようにした。それゆえ、図7B中のqは、第一偏光板110の吸収軸方向aを意味し、rは、第二偏光板120の透過軸方向bを意味する。本例では、切り込み部40を設けなかった比較例3に比べて、反りを約40%も抑制された。
【0080】
(実施例6)
図21に示す構成の表示装置を作製した。図21に示す通り、本例の表示装置1は、観察面側から、偏光板100と表示パネル200とをこの順に備える。本例では、偏光板100を、その吸収軸方向aと、表示パネル200の長辺とが平行になるように配置した。図21は、本例の表示装置の模式図である。本例では、偏光板100の吸収軸方向aに、16個の切り込み部40を等間隔に設けた。切り込み部40のサイズは、幅(W)1mm、長さ(L)2mmとした。切り込み部40は全て、表示装置1の額縁領域320内に収まっており、液晶の表示品位に影響しない。
【0081】
本例で作製した表示装置に関して、偏光板の収縮力を上記方法により評価した。結果を表4に示す。本例では、表示パネル200の長辺と偏光板100の吸収軸方向aとが平行になるようにしたため、図7C中のsは、偏光板100の吸収軸方向aを意味し、図7D中のtは、偏光板100の透過軸方向bを意味する。従って、上記評価試験により測定される反りの測定値のうち、長辺側の反りを「吸収軸方向の反り(吸収軸方向反り)」と称し、短辺側の反りを「透過軸方向の反り(透過軸方向反り)」と称する。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
以上に示した本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1、1R :表示装置
100 :偏光板
110 :第一偏光板
110a :第一偏光板の吸収軸若しくは吸収軸方向、又は、第一偏光板の反射軸若しくは反射軸方向110b :第一偏光板の透過軸又は透過軸方向
120 :第二偏光板
120a :第二偏光板の吸収軸若しくは吸収軸方向、又は、第二偏光板の反射軸若しくは反射軸方向
120b :第二偏光板の透過軸又は透過軸方向
200 :表示パネル
310 :表示領域
320 :額縁領域
40 :切り込み部
50 :保護層
60 :接着層
70 :偏光層
a :偏光板の吸収軸若しくは吸収軸方向、又は、偏光板の反射軸若しくは反射軸方向
b :偏光板の透過軸又は透過軸方向

図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図25C
図26A
図26B