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特開2024-48963遠隔手術支援システムおよび指導医側操作装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048963
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】遠隔手術支援システムおよび指導医側操作装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20240402BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A61B34/35
G09B19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155161
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】北辻 博明
(72)【発明者】
【氏名】大橋 政尚
(57)【要約】
【課題】指導医が医師側と対話することが可能で、かつ、指導医側の遠隔手術スタッフとして配置された臨床工学技士が医師側と対話することが可能な遠隔手術支援システムを提供する。
【解決手段】この遠隔手術支援システム100は、外科手術ロボット1と、医師側操作装置2と、指導医側操作装置3とを備える。医師側操作装置2は、音声通信装置26を備える。指導医側操作装置3は、外部ネットワークNを介して送信された内視鏡画像G1を表示するためのスコープ型表示装置34と、外部ネットワークNを介して送信された内視鏡画像G1を表示するためのフラットパネル表示装置または湾曲パネル表示装置からなる表示装置51と、音声通信装置26と音声通信を行うために、スコープ型表示装置34よりも表示装置51の近くに配置された音声通信装置52と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1施設に設置され、内視鏡を保持する第1マニピュレータアームおよび手術器具を保持する第2マニピュレータアームを備えた外科手術ロボットと、
前記第1施設に設置され、医師が前記第1マニピュレータアームおよび前記第2マニピュレータアームを操作するための医師側操作装置と、
前記第1施設とは異なる第2施設に設置され、外部ネットワークを介して前記外科手術ロボットを指導医が操作するための指導医側操作装置と、を備え、
前記医師側操作装置は、
前記内視鏡で取得された内視鏡画像を表示するための第1表示装置と、
第1音声通信装置と、
前記第1および第2マニピュレータアームを操作するための第1操作ハンドルと、を備えており、
前記指導医側操作装置は、
前記外部ネットワークを介して送信された前記内視鏡画像を表示するためのスコープ型表示装置と、
前記第1および第2マニピュレータアームを操作するための第2操作ハンドルと、
前記指導医が前記スコープ型表示装置を覗き込んだ状態で前記第1音声通信装置と音声通信を行うことができる位置に配置された第2音声通信装置と、
前記外部ネットワークを介して送信された前記内視鏡画像を表示するためのフラットパネル表示装置または湾曲パネル表示装置からなる第2表示装置と、
前記第1音声通信装置と音声通信を行うために、前記スコープ型表示装置よりも前記第2表示装置の近くに配置された第3音声通信装置と、を備える、遠隔手術支援システム。
【請求項2】
前記スコープ型表示装置は、前記指導医のみが表示された画像を見ることが可能な没入型の表示装置である、請求項1に記載の遠隔手術支援システム。
【請求項3】
前記第3音声通信装置は、前記第2表示装置に一体的に設けられている、請求項1に記載の遠隔手術支援システム。
【請求項4】
前記指導医側操作装置は、外部機器を接続するインタフェースを備え、
前記第3音声通信装置および/または前記第2表示装置は、前記インタフェースを介して前記指導医側操作装置に接続されている、請求項1に記載の遠隔手術支援システム。
【請求項5】
前記第3音声通信装置は、前記第2音声通信装置と音声通信を行うことが可能に構成されている、請求項1に記載の遠隔手術支援システム。
【請求項6】
前記医師側操作装置および/または前記指導医側操作装置は、前記外科手術ロボットを操作するための操作権限を切り替える切替え装置を備える、請求項1に記載の遠隔手術支援システム。
【請求項7】
前記切替え装置は、前記第1操作ハンドルおよび/または前記第2操作ハンドルに設けられた切替えスイッチである、請求項6に記載の遠隔手術支援システム。
【請求項8】
前記医師側操作装置および/または前記指導医側操作装置は、アームレストを備え、
前記切替え装置は、前記アームレストに配置されたタッチパネルである、請求項6に記載の遠隔手術支援システム。
【請求項9】
前記第1、第2および第3音声通信装置は、それぞれマイクロフォンとスピーカーとを含む、請求項1に記載の遠隔手術支援システム。
【請求項10】
前記内視鏡で取得された前記内視鏡画像を表示するための第3表示装置と、
前記医師側操作装置の前記第1音声通信装置と音声通信を行うための第4音声通信装置と、を備えた情報共有装置が前記第1施設に配置され、
前記情報共有装置は、前記医師側操作装置よりも前記外科手術ロボットの近くに配置される、請求項1に記載の遠隔手術支援システム。
【請求項11】
前記第4音声通信装置は、前記第2音声通信装置および前記第3音声通信装置の両方と音声通信を行うことが可能である、請求項10に記載の遠隔手術支援システム。
【請求項12】
前記外科手術ロボットは、前記医師側操作装置の前記第1音声通信装置と音声通信を行うための第5音声通信装置を備える、請求項1に記載の遠隔手術支援システム。
【請求項13】
前記第5音声通信装置は、前記第2音声通信装置および前記第3音声通信装置の両方と音声通信を行うことが可能である、請求項12に記載の遠隔手術支援システム。
【請求項14】
第1施設に設置された医師側操作装置と外科手術ロボットとを含む手術システムの前記外科手術ロボットを、外部ネットワークを介して操作するために、前記第1施設とは異なる第2施設に設置されている指導医側操作装置であって、
前記外科手術ロボットは、内視鏡を保持する第1マニピュレータアームおよび手術器具を保持する第2マニピュレータアームを備え、
前記医師側操作装置は、前記内視鏡で取得された内視鏡画像を表示するための第1表示装置と、第1音声通信装置と、前記第1および第2マニピュレータアームを操作するための第1操作ハンドルと、を備えており、
前記指導医側操作装置は、
前記外部ネットワークを介して送信された前記内視鏡画像を表示するためのスコープ型表示装置と、
前記第1および第2マニピュレータアームを操作するための第2操作ハンドルと、
前記指導医が前記スコープ型表示装置を覗き込んだ状態で前記第1音声通信装置と音声通信を行うことができる位置に配置された第2音声通信装置と、
前記外部ネットワークを介して送信された前記内視鏡画像を表示するためのフラットパネル表示装置または湾曲パネル表示装置からなる第2表示装置と、
前記第1音声通信装置と音声通信を行うために、前記スコープ型表示装置よりも前記第2表示装置の近くに配置された第3音声通信装置と、を備える、指導医側操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遠隔手術支援システムおよび指導医側操作装置に関し、特に、医師と指導医とが音声通信する遠隔手術支援システムおよび指導医側操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医師と指導医とが音声通信する遠隔手術支援システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1の医療ロボットシステム(遠隔手術支援システム)は、手術をする外科医によって操作される外科医マスター制御ステーションと、複数のスレーブロボットメカニズムを有するスレーブカートと、指導医によって操作される指導者マスター制御ステーションとを備える。この医療ロボットシステムでは、外科医マスター制御ステーションと指導者マスター制御ステーションとの間で、外科医と指導医とが、ヘッドセットを用いて音声通信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-181670号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】遠隔手術ガイドライン 一般社団法人日本外科学会 2022年6月22日公開版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1には、指導者マスター制御ステーションを外科医マスター制御ステーションとスレーブカートとは別の施設に配置し、ネットワークを介して利用することについては言及されていない。また、指導者マスター制御ステーションを外科医マスター制御ステーションとスレーブカートとは別の施設に設置し、ネットワークを介して、遠隔手術ガイドライン(非特許文献1)に記載された「遠隔手術支援」を行う場合には、指導医側に臨床工学技士を配置する必要がある。しかしながら、上記特許文献1の指導者マスター制御ステーションでは、指導医がヘッドセットを用いて音声通信する構成であるため、臨床工学技士が外科医側と対話することができないという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、指導医が医師側と対話することが可能で、かつ、指導医側の遠隔手術スタッフとして配置された臨床工学技士が医師側と対話することが可能な遠隔手術支援システムおよび指導医側操作装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の局面による遠隔手術支援システムは、第1施設に設置され、内視鏡を保持する第1マニピュレータアームおよび手術器具を保持する第2マニピュレータアームを備えた外科手術ロボットと、第1施設に設置され、医師が第1マニピュレータアームおよび第2マニピュレータアームを操作するための医師側操作装置と、第1施設とは異なる第2施設に設置され、外部ネットワークを介して外科手術ロボットを指導医が操作するための指導医側操作装置と、を備え、医師側操作装置は、内視鏡で取得された内視鏡画像を表示するための第1表示装置と、第1音声通信装置と、第1および第2マニピュレータアームを操作するための第1操作ハンドルと、を備えており、指導医側操作装置は、外部ネットワークを介して送信された内視鏡画像を表示するためのスコープ型表示装置と、第1および第2マニピュレータアームを操作するための第2操作ハンドルと、指導医がスコープ型表示装置を覗き込んだ状態で第1音声通信装置と音声通信を行うことができる位置に配置された第2音声通信装置と、外部ネットワークを介して送信された内視鏡画像を表示するためのフラットパネル表示装置または湾曲パネル表示装置からなる第2表示装置と、第1音声通信装置と音声通信を行うために、スコープ型表示装置よりも第2表示装置の近くに配置された第3音声通信装置と、を備える。
【0009】
この発明の第1の局面による遠隔手術支援システムでは、上記のように、外部ネットワークを介して送信された内視鏡画像を表示するためのフラットパネル表示装置または湾曲パネル表示装置からなる第2表示装置と、第1音声通信装置と音声通信を行うために、スコープ型表示装置よりも第2表示装置の近くに配置された第3音声通信装置と、を設ける。これにより、指導医側の遠隔手術スタッフとして配置された臨床工学技士は、第2表示装置により内視鏡画像を見ることができるとともに、第3音声通信装置により第1音声通信装置との間で音声通信することができるので、指導医側の遠隔手術スタッフとして配置された臨床工学技士が医師側と対話することができる。また、指導医は、スコープ型表示装置により内視鏡画像を見ることができるとともに、第2音声通信装置により第1音声通信装置との間で音声通信することができるので、指導医が医師側と対話することができる。これらの結果、指導医が医師側と対話することが可能で、かつ、指導医側の遠隔手術スタッフとして配置された臨床工学技士が医師側と対話することができる。
【0010】
この発明の第2の局面による指導医側操作装置は、第1施設に設置された医師側操作装置と外科手術ロボットとを含む手術システムの外科手術ロボットを、外部ネットワークを介して操作するために、第1施設とは異なる第2施設に設置されている指導医側操作装置であって、外科手術ロボットは、内視鏡を保持する第1マニピュレータアームおよび手術器具を保持する第2マニピュレータアームを備え、医師側操作装置は、内視鏡で取得された内視鏡画像を表示するための第1表示装置と、第1音声通信装置と、第1および第2マニピュレータアームを操作するための第1操作ハンドルと、を備えており、指導医側操作装置は、外部ネットワークを介して送信された内視鏡画像を表示するためのスコープ型表示装置と、第1および第2マニピュレータアームを操作するための第2操作ハンドルと、指導医がスコープ型表示装置を覗き込んだ状態で第1音声通信装置と音声通信を行うことができる位置に配置された第2音声通信装置と、外部ネットワークを介して送信された内視鏡画像を表示するためのフラットパネル表示装置または湾曲パネル表示装置からなる第2表示装置と、第1音声通信装置と音声通信を行うために、スコープ型表示装置よりも第2表示装置の近くに配置された第3音声通信装置と、を備える。
【0011】
この発明の第2の局面による指導医側操作装置では、上記のように、外部ネットワークを介して送信された内視鏡画像を表示するためのフラットパネル表示装置または湾曲パネル表示装置からなる第2表示装置と、第1音声通信装置と音声通信を行うために、スコープ型表示装置よりも第2表示装置の近くに配置された第3音声通信装置と、を設ける。これにより、第2表示装置により内視鏡画像を見ることができるとともに、第3音声通信装置により第1音声通信装置との間で音声通信することができるので、指導医側の遠隔手術スタッフとして配置された臨床工学技士が医師側と対話することができる。また、指導医は、スコープ型表示装置により内視鏡画像を見ることができるとともに、第2音声通信装置により第1音声通信装置との間で音声通信することができるので、指導医が医師側と対話することができる。これらの結果、指導医が医師側と対話することが可能で、かつ、指導医側の遠隔手術スタッフとして配置された臨床工学技士が医師側と対話することが可能な指導医側操作装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、指導医が医師側と対話することが可能で、かつ、指導医側の遠隔手術スタッフとして配置された臨床工学技士が医師側と対話することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態による遠隔手術支援システムの構成を示す図である。
図2】一実施形態による外科手術ロボットの構成を示す図である。
図3】一実施形態による医師側操作装置(指導医側操作装置)の構成を示す図である。
図4】一実施形態による遠隔手術支援システムの構成を示すブロック図である。
図5】一実施形態による遠隔手術支援システムのスコープ型表示装置を示した図である。
図6】一実施形態による内視鏡画像を示す図である。
図7】一実施形態による外科手術ロボットの操作権限の切り替え要求を説明するための図である。
図8】一実施形態による操作権限の切り替え要求の通知を説明するための図である。
図9】一実施形態による操作権限の切り替え要求への応答を説明するための図である。
図10】一実施形態による操作権限の表示を説明するための図である。
図11】一実施形態による操作権限の切り替えに関する制御処理を説明するためのフローチャートである。
図12】変形例による遠隔手術支援システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1図11を参照して、一実施形態による遠隔手術支援システム100の構成について説明する。
【0016】
図1に示すように、遠隔手術支援システム100は、患者Pが載置された手術台101の近傍に設置された外科手術ロボット1と、外科手術ロボット1を医師A1が操作するための医師側操作装置2と、外部ネットワークNを介して外科手術ロボット1を指導医A2が操作するための指導医側操作装置3とを備える。外科手術ロボット1と医師側操作装置2とは、第1施設B1に設置されている。指導医側操作装置3は、第1施設B1とは異なる第2施設B2に設置されている。第1施設B1では、外科手術ロボット1の近くに手術スタッフとして助手A3が配置されている。また、第1施設B1には、助手A3と情報共有するための情報共有装置4が設置されている。また、第2施設B2では、指導医側操作装置3の近くに遠隔手術スタッフとして臨床工学技士A4が配置されている。
【0017】
図2に示すように、外科手術ロボット1は、内視鏡5を保持する1つのマニピュレータアーム11と、手術器具6を保持する複数(3つ)のマニピュレータアーム12とを備える。内視鏡5は、患者Pの内部の手術部位を撮像する。手術器具6は、鉗子などのエンドエフェクタが先端に取り付けられている。また、医師側操作装置2および指導医側操作装置3は、マニピュレータアーム11および12を操作するために設けられている。なお、マニピュレータアーム11および12は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1マニピュレータアーム」および「第2マニピュレータアーム」の一例である。
【0018】
外科手術ロボット1は、第1施設B1の手術室内に配置されている。また、外科手術ロボット1は、医療用台車13と、ポジショナ14と、アームベース15とを備える。外科手術ロボット1は、医療用台車13により移動可能に構成されている。医療用台車13には、外科手術ロボット1の動作を制御する制御装置16が設けられている。制御装置16は、医師側操作装置2または指導医側操作装置3に入力された指令に基づいて、外科手術ロボット1の動作を制御する。制御装置16は、プログラムを実行するCPUなどの処理部と、プログラムが格納されたメモリなどの記憶部とを含んでいる。
【0019】
また、医療用台車13には、入力装置17が設けられている。入力装置17は、主に施術前に手術の準備を行うために、マニピュレータアーム11、マニピュレータアーム12、ポジショナ14、および、アームベース15の移動や姿勢の変更の操作を受け付けるように構成されている。
【0020】
ポジショナ14は、たとえば、7軸多関節ロボットにより構成されている。また、ポジショナ14は、医療用台車13上に配置されている。ポジショナ14は、アームベース15を移動させる。具体的には、ポジショナ14は、アームベース15の位置を3次元に移動させるように構成されている。
【0021】
アームベース15は、ポジショナ14の先端に取り付けられている。アームベース15は、比較的長い棒形状(長尺形状)を有する。また、マニピュレータアーム11およびマニピュレータアーム12は、各々の根元部がアームベース15に取り付けられている。アームベース15、マニピュレータアーム11、および、マニピュレータアーム12は、滅菌ドレープにより覆われて使用される。
【0022】
図1に示すように、医師側操作装置2は、たとえば、第1施設B1の手術室の中または手術室の外に配置されている。また、医師側操作装置2は、医師側操作装置本体2aを備える。図3に示すように、医師側操作装置本体2aは、操作ハンドル21と、フットペダル22と、タッチパネル23と、スコープ型表示装置24と、アームレスト25と、音声通信装置26と、センサ27と、制御装置28と、支持アーム30とを備える。なお、操作ハンドル21は、特許請求の範囲の「第1操作ハンドル」の一例である。また、タッチパネル23は、特許請求の範囲の「切替え装置」の一例である。また、スコープ型表示装置24は、特許請求の範囲の「第1表示装置」の一例である。また、音声通信装置26は、特許請求の範囲の「第1音声通信装置」の一例である。
【0023】
操作ハンドル21は、操作者(医師A1)が指令を入力するための操作用のハンドルを構成する。操作ハンドル21は、操作者(医師A1)がマニピュレータアーム11および12(内視鏡5および手術器具6)を操作するために設けられている。また、操作ハンドル21は、マニピュレータアーム11および12(内視鏡5および手術器具6)に対する操作量を受け付ける。操作ハンドル21は、操作者(医師A1)の左手により操作される左手用操作ハンドル21Lと、操作者(医師A1)の右手により操作される右手用操作ハンドル21Rとの一対の操作ハンドルを含む。操作ハンドル21Lで一つのマニピュレータアーム12に保持された手術器具6を操作し、操作ハンドル21Rで他のマニピュレータアーム12に保持された手術器具6を操作する。
【0024】
また、操作ハンドル21は、操作ハンドル21によって受け付けられた操作量に対して内視鏡5および手術器具6の移動量が変更(スケーリング)される。たとえば、移動量の倍率が1/2倍に設定されている場合、内視鏡5および手術器具6は、操作ハンドル21の移動距離の1/2の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を精確に行うことができる。
【0025】
フットペダル22は、内視鏡5および手術器具6に関する機能を実行するための複数のペダルを含む。複数のペダルは、たとえば、凝固ペダルと、切断ペダルと、カメラペダルと、クラッチペダルとを含む。複数のペダルは、操作者(医師A1)の足により操作される。カメラペダルが操作されると操作ハンドル21でマニピュレータアーム11に保持された内視鏡5を移動させることができる。このとき操作ハンドル21Lと操作ハンドル21Rの両方で内視鏡5を操作して移動させる。タッチパネル23は、医師側操作装置2に関する設定操作を受け付ける。タッチパネル23は、アームレスト25に配置されている。スコープ型表示装置24は、内視鏡5で取得された内視鏡画像G1(図6参照)を表示する。スコープ型表示装置24は、操作者(医師A1)のみが表示された画像を見ることが可能な没入型の表示装置である。操作者(医師A1)は、スコープ型表示装置24により患部を視認しながら、操作ハンドル21およびフットペダル22を操作する。支持アーム30は、スコープ型表示装置24の高さを医師A1などの操作者の顔の高さに合わせて調整できるようにスコープ型表示装置24を支持する。
【0026】
アームレスト25は、バー状に形成されており、操作ハンドル21を操作する際に操作者(医師A1)が腕を置くことが可能なように構成されている。音声通信装置26は、操作者(医師A1)がスコープ型表示装置24を覗き込んだ状態で指導医側操作装置3の後述する音声通信装置36と音声通信することができる位置に配置されている。具体的には、音声通信装置26は、操作者(医師A1)がスコープ型表示装置24を覗き込んだ状態で操作者(医師A1)の頭部の近くに位置するように配置されている。音声通信装置26は、スコープ型表示装置24に一体的に配置されており、支持アーム30によって一体的に高さ調整ができる。
【0027】
センサ27は、スコープ型表示装置24が覗き込まれている使用状態であるか否かを検出するように構成されている。センサ27は、操作者(医師A1)がスコープ型表示装置24を覗き込んだ状態で操作者(医師A1)の頭部を検出可能な位置に配置されている。センサ27は、スコープ型表示装置24に一体的に配置されている。制御装置28は、医師側操作装置2の動作を制御する。制御装置28は、プログラムを実行するCPUなどの処理部と、プログラムが格納されたメモリなどの記憶部とを含んでいる。
【0028】
以上、医師側操作装置2について説明したが、指導医側操作装置3についても医師側操作装置2と同様の構造になっている。すなわち、図4に示すように、指導医側操作装置3は、指導医側操作装置本体3aを備える。指導医側操作装置本体3aは、操作ハンドル31と、フットペダル32と、タッチパネル33と、スコープ型表示装置34と、アームレスト35と、音声通信装置36と、センサ37と、制御装置38と、支持アームとを備える。スコープ型表示装置34は、外部ネットワークN(図1参照)を介して送信された内視鏡画像G1(図6参照)を表示する。また、スコープ型表示装置34は、操作者(指導医A2)のみが表示された画像を見ることが可能な没入型の表示装置である。これにより、指導医A2の手術への没入感を高めることができる。また、医師側操作装置2と指導医側操作装置3とは基本的に同じ仕様であるが、タッチパネル23(33)を介して、通常モードと遠隔モードとが切り替えられて使用される。なお、操作ハンドル31は、特許請求の範囲の「第2操作ハンドル」の一例である。また、タッチパネル33は、特許請求の範囲の「切替え装置」の一例である。また、音声通信装置36は、特許請求の範囲の「第2音声通信装置」の一例である。
【0029】
ここで、本実施形態では、図1および図4に示すように、指導医側操作装置3は、外部ネットワークNを介して送信された内視鏡画像G1(図6参照)を表示するためのフラットパネル表示装置または湾曲パネル表示装置からなる表示装置51と、音声通信装置26と音声通信を行うために、スコープ型表示装置34よりも表示装置51の近くに配置された音声通信装置52とを備える。これにより、指導医A2側の遠隔手術スタッフとして配置された臨床工学技士A4は、表示装置51により内視鏡画像G1を見ることができるとともに、音声通信装置52により音声通信装置26との間で音声通信することができるので、指導医A2側の遠隔手術スタッフとして配置された臨床工学技士A4が医師A1側と対話することができる。また、指導医A2は、スコープ型表示装置34により内視鏡画像G1を見ることができるとともに、音声通信装置36により音声通信装置26との間で音声通信することができるので、指導医A2が医師A1側と対話することができる。これらの結果、指導医A2が医師A1側と対話することが可能で、かつ、指導医A2側の遠隔手術スタッフとして配置された臨床工学技士A4が医師A1側と対話することができる。また、本実施形態では、音声通信装置52は、音声通信装置36と音声通信を行うことが可能に構成されている。これにより、音声通信装置52と音声通信装置36との間で音声通信することができるので、指導医A2側の遠隔手術スタッフとして配置された臨床工学技士A4が、スコープ型表示装置34を覗き込んだ状態の指導医A2と容易に対話することができる。なお、表示装置51は、特許請求の範囲の「第2表示装置」の一例である。また、音声通信装置52は、特許請求の範囲の「第3音声通信装置」の一例である。
【0030】
表示装置51と音声通信装置52とは、指導医側操作装置本体3aとは独立したユニットとして、指導医側操作装置本体3aの近くに配置されている。
【0031】
また、本実施形態では、図4および図5に示すように、音声通信装置26、音声通信装置36および音声通信装置52は、それぞれマイクロフォン(261、361、521)とスピーカー(262、362、522)とを含む。これにより、音声通信装置26、音声通信装置36および音声通信装置52による音声通信(音声の入出力)を容易に行うことができる。マイクロフォン261(361、521)は、音声入力を受け付ける。スピーカー262(362、522)は、音声を出力する。また、図5に示すように、スピーカー262(362)は、操作者(医師A1または指導医A2)がスコープ型表示装置24(34)を覗き込んだ状態で操作者の耳に近い位置に配置されている。また、マイクロフォン261(361)は、操作者(医師A1または指導医A2)がスコープ型表示装置24(34)を覗き込んだ状態で操作者の口に近い位置に配置されている。また、マイクロフォン261(361)およびスピーカー262(362)は、スコープ型表示装置24(34)に一体的に配置されている。
【0032】
また、本実施形態では、音声通信装置52は、表示装置51に一体的に配置されている。これにより、音声通信装置52を表示装置51と別体で配置する場合に比べて、音声通信装置52および表示装置51の配置スペースを節約することができる。音声通信装置52は、たとえば、マイクロフォン521およびスピーカー522が表示装置51に内蔵されている。なお、図1では、表示装置51と音声通信装置52とを別々に図示している。
【0033】
また、本実施形態では、指導医側操作装置3(指導医側操作装置本体3a)は、外部機器を接続するインタフェース39(図4参照)を備える。また、表示装置51は、インタフェース39を介して指導医側操作装置3(指導医側操作装置本体3a)に接続されている。これにより、指導医側操作装置3(指導医側操作装置本体3a)を介して、音声通信装置52および表示装置51を外部ネットワークNに接続することができる。その結果、通信の構成を簡素化することができる。インタフェース39は、画像データおよび音声データを入出力することが可能な端子である。表示装置51は、画像データおよび音声データを入出力することが可能なケーブルを介して、インタフェース39に接続されている。表示装置51および音声通信装置52は、インタフェース39を介して画像データおよび音声データを入出力する。
【0034】
図1および図4に示すように、情報共有装置4は、移動可能なモニタカートである。情報共有装置4は、内視鏡5(図2参照)で取得された内視鏡画像G1(図6参照)を表示するための表示装置41と、医師側操作装置2の音声通信装置26と音声通信を行うための音声通信装置42と、を備える。また、情報共有装置4は、医師側操作装置2よりも外科手術ロボット1の近くに配置される。これにより、外科手術ロボット1の近くに手術スタッフとして配置された助手A3が、内視鏡画像G1を確認したり、医師A1と対話することができる。また、音声通信装置42は、音声通信装置36および音声通信装置52の両方と音声通信を行うことが可能である。これにより、外科手術ロボット1の近くに手術スタッフとして配置された助手A3と医師A1との対話を、指導医A2および臨床工学技士A4にも聞かせることができる。また、助手A3が指導医A2および臨床工学技士A4と対話することもできる。また、音声通信装置42は、マイクロフォン421とスピーカー422とを含む。マイクロフォン421は、音声入力を受け付ける。スピーカー422は、音声を出力する。また、表示装置41は、たとえば、フラットパネル表示装置である。なお、表示装置41は、特許請求の範囲の「第3表示装置」の一例である。また、音声通信装置42は、特許請求の範囲の「第4音声通信装置」の一例である。
【0035】
また、情報共有装置4には、制御装置43が配置されている。制御装置43は、内視鏡画像G1に関する画像処理を行う。制御装置43は、プログラムを実行するCPUなどの処理部と、プログラムが格納されたメモリなどの記憶部とを含んでいる。また、制御装置43は、第1施設B1に配置されている。制御装置43は、図6に示すように、スコープ型表示装置24、スコープ型表示装置34、表示装置41、および、表示装置51の各表示装置に、同じ内視鏡画像G1を表示する。
【0036】
なお、音声通信装置26、音声通信装置36、音声通信装置42、および、音声通信装置52は、互いに音声通信を行うことが可能である。
【0037】
また、本実施形態では、医師側操作装置2および指導医側操作装置3は、外科手術ロボット1を操作するための操作権限を切り替える切替え装置を備える。これにより、操作権限を切り替えたいタイミングで、切替え装置により操作権限を容易に切り替えることができる。また、本実施形態では、切替え装置は、アームレスト25(35)に配置されたタッチパネル23(33)である。これにより、医師A1および指導医A2が操作しやすい位置(手を置きやすい位置)に切替え装置を配置することができる。その結果、操作権限を切り替える操作を容易に行うことができる。
【0038】
図7図9に示すように、医師側操作装置2および指導医側操作装置3は、操作権限を有しない方から操作権限を有する方へ操作権限の切り替え要求を送信し、操作権限を有する方が操作権限の切り替え要求を承認した場合に、操作権限を有する方から操作権限を有しない方へ操作権限を切り替える。これにより、操作権限を有する方の承認を得たうえで操作権限を切り替えることができるので、意図しない操作権限の切り替えが発生することを抑制することができる。
【0039】
図7に示すように、医師側操作装置2および指導医側操作装置3の間で操作権限を切り替える場合、医師側操作装置2および指導医側操作装置3のうちの操作権限を有しない方は、操作権限の切り替え要求を送信するか否かを選択するための表示71および72を、タッチパネル(23、33)に表示する。医師側操作装置2および指導医側操作装置3のうちの操作権限を有しない方は、操作権限の切り替え要求を送信するための表示71がタッチパネル(23、33)上で選択された場合、操作権限の切り替え要求を、外部ネットワークNを介して医師側操作装置2および指導医側操作装置3のうちの操作権限を有する方に送信する。
【0040】
図8に示すように、医師側操作装置2および指導医側操作装置3のうちの操作権限を有する方は、操作権限の切り替え要求を受信した場合、操作権限の切り替え要求を受信したことを通知する。たとえば、医師側操作装置2および指導医側操作装置3のうちの操作権限を有する方は、操作権限の切り替え要求を受信したことを通知するための表示73を重畳した内視鏡画像G1をスコープ型表示装置(24、34)に表示する。なお、表示73を内視鏡画像G1に重畳する処理は、制御装置43により行われる。
【0041】
また、図9に示すように、医師側操作装置2および指導医側操作装置3のうちの操作権限を有する方は、操作権限の切り替え要求を承認するか否かを選択するための表示74および75を、タッチパネル(23、33)に表示する。医師側操作装置2および指導医側操作装置3のうちの操作権限を有する方は、操作権限の切り替え要求を承認するための表示74がタッチパネル(23、33)上で選択された場合、操作権限を、医師側操作装置2および指導医側操作装置3のうちの操作権限を有しない方に移譲する。
【0042】
また、医師側操作装置2および指導医側操作装置3のうちの操作権限を有する方は、操作権限の切り替え要求を拒否するための表示75がタッチパネル(23、33)上で選択された場合、操作権限の切り替えの拒否通知を、医師側操作装置2および指導医側操作装置3のうちの操作権限を有しない方に送信する。この場合、医師側操作装置2および指導医側操作装置3のうちの操作権限を有しない方は、操作権限の切り替えの拒否通知を受信したことを通知する。たとえば、医師側操作装置2および指導医側操作装置3のうちの操作権限を有しない方は、操作権限の切り替えの拒否通知を受信したことを通知するための表示を重畳した内視鏡画像G1をスコープ型表示装置(24、34)に表示する。
【0043】
また、図10に示すように、医師側操作装置2および指導医側操作装置3は、操作権限を有する場合、操作権限を有することが分かるように、操作権限を有することを表す表示76を表示する。たとえば、医師側操作装置2および指導医側操作装置3は、表示76を重畳した内視鏡画像G1をスコープ型表示装置(24、34)に表示する。なお、表示76を内視鏡画像G1に重畳する処理は、制御装置43により行われる。
【0044】
図11を参照して、操作権限の切り替えに関する制御処理をフローチャートに基づいて説明する。ここでは、指導医側操作装置3が操作権限を有しており、指導医側操作装置3から医師側操作装置2へ操作権限を切り替える例について説明する。なお、フローチャートの各処理は、医師側操作装置2の制御装置28または指導医側操作装置3の制御装置38により行われる。
【0045】
図11に示すように、まず、ステップS1では、タッチパネル23が操作されることにより、医師側操作装置2から指導医側操作装置3へ、操作権限の切り替え要求が送信される。そして、ステップS2では、指導医側操作装置3において、操作権限の切り替え要求を受信したことの通知が行われる。そして、ステップS3では、指導医側操作装置3において、操作権限の切り替え要求を承認するか否かが判断される。タッチパネル33が操作されることにより、操作権限の切り替え要求を拒否することが選択された場合、ステップS4に進む。そして、ステップS4では、指導医側操作装置3から医師側操作装置2へ、操作権限の切り替えの拒否通知が送信される。そして、ステップS5では、医師側操作装置2において、操作権限の切り替えの拒否通知を受信したことの通知が表示される。そして、制御処理が終了される。
【0046】
また、ステップS3で、タッチパネル33が操作されることにより、操作権限の切り替え要求を承認することが選択された場合、ステップS6に進む。そして、ステップS6では、指導医側操作装置3から医師側操作装置2へ、操作権限が委譲される。そして、ステップS7では、医師側操作装置2に操作権限が付与される。そして、制御処理が終了される。
【0047】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0048】
たとえば、上記実施形態では、本発明の第1表示装置として、スコープ型表示装置を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の第1表示装置として、スコープ型表示装置以外のフラットパネル表示装置などを設けてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、本発明の第1および第2音声通信装置として、スコープ型表示装置に一体的に配置される音声通信装置を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の第1および第2音声通信装置として、スコープ型表示装置とは別体の音声通信装置を設けてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、本発明の第3音声通信装置として、表示装置に一体的に配置される音声通信装置を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の第3音声通信装置として、表示装置とは別体の音声通信装置を設けてもよい。すなわち、本発明の第3音声通信装置として、表示装置とは別体のマイクロフォンとスピーカーとを含む音声通信装置を設けてもよい。また、表示装置とは別体の第3音声通信装置を設ける場合、第3音声通信装置および表示装置の各々が、異なるインターフェースを介して指導医側操作装置に接続されていてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、医師側操作装置および指導医側操作装置の両方が、切替え装置を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、医師側操作装置および指導医側操作装置の一方のみが、切替え装置を備えていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、切替え装置が、アームレストに配置されたタッチパネルである例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、切替え装置が、アームレストに配置されたスイッチなどであってもよい。また、切替え装置が、アームレストに配置されていなくてもよい。たとえば、切替え装置が、医師側操作装置の第1操作ハンドルおよび/または指導医側操作装置の第2操作ハンドルに設けられた切替えスイッチであってもよい。この場合、医師および/または指導医は、手元のスイッチにより、操作権限を容易に切り替えることができる。
【0053】
また、上記実施形態では、操作権限の切り替え要求を受信したことを通知する手段として、表示73を重畳した内視鏡画像G1をスコープ型表示装置(24、34)に表示する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、通知の手段として音声通信装置を介して音や音声を使用して通知を行うことができる。
【0054】
また、上記実施形態では、情報共有装置に音声通信装置を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、情報共有装置の音声通信装置の代替として、外科手術ロボットに音声通信装置を設けてもよい。図12に示す変形例では、外科手術ロボット1は、医師側操作装置2の音声通信装置26と音声通信を行うための音声通信装置18を備える。これによっても、外科手術ロボット1の近くに手術スタッフとして配置された助手A3が医師A1と対話することができる。また、本実施形態では、音声通信装置18は、音声通信装置36および音声通信装置52の両方と音声通信を行うことが可能である。これによっても、外科手術ロボット1の近くに手術スタッフとして配置された助手A3と医師A1との対話を、指導医A2および臨床工学技士A4にも聞かせることができる。また、助手A3が指導医A2および臨床工学技士A4と対話することもできる。また、音声通信装置18は、マイクロフォン181とスピーカー182とを含む。マイクロフォン181は、音声入力を受け付ける。スピーカー182は、音声を出力する。なお、音声通信装置18は、特許請求の範囲の「第5音声通信装置」の一例である。
【0055】
また、上記実施形態では、第2施設B2に指導医側操作装置3を設置する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2施設B2に医師側操作装置と外科手術ロボットを配置し、モード選択より通常モードが選択された場合は、第2施設B2の医師側操作装置によって第2施設B2の外科手術ロボットを操作するようにし、モード選択より遠隔モードが選択された場合は、第2施設B2の医師側操作装置を指導医側操作装置として機能させ、第2施設B2の医師側操作装置によって第1施設B1の外科手術ロボットを操作するようにしても良い。
【0056】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0057】
(項目1)
第1施設に設置され、内視鏡を保持する第1マニピュレータアームおよび手術器具を保持する第2マニピュレータアームを備えた外科手術ロボットと、
前記第1施設に設置され、医師が前記第1マニピュレータアームおよび前記第2マニピュレータアームを操作するための医師側操作装置と、
前記第1施設とは異なる第2施設に設置され、外部ネットワークを介して前記外科手術ロボットを指導医が操作するための指導医側操作装置と、を備え、
前記医師側操作装置は、
前記内視鏡で取得された内視鏡画像を表示するための第1表示装置と、
第1音声通信装置と、
前記第1および第2マニピュレータアームを操作するための第1操作ハンドルと、を備えており、
前記指導医側操作装置は、
前記外部ネットワークを介して送信された前記内視鏡画像を表示するためのスコープ型表示装置と、
前記第1および第2マニピュレータアームを操作するための第2操作ハンドルと、
前記指導医が前記スコープ型表示装置を覗き込んだ状態で前記第1音声通信装置と音声通信を行うことができる位置に配置された第2音声通信装置と、
前記外部ネットワークを介して送信された前記内視鏡画像を表示するためのフラットパネル表示装置または湾曲パネル表示装置からなる第2表示装置と、
前記第1音声通信装置と音声通信を行うために、前記スコープ型表示装置よりも前記第2表示装置の近くに配置された第3音声通信装置と、を備える、遠隔手術支援システム。
【0058】
(項目2)
前記スコープ型表示装置は、前記指導医のみが表示された画像を見ることが可能な没入型の表示装置である、項目1に記載の遠隔手術支援システム。
【0059】
(項目3)
前記第3音声通信装置は、前記第2表示装置に一体的に設けられている、項目1または2に記載の遠隔手術支援システム。
【0060】
(項目4)
前記指導医側操作装置は、外部機器を接続するインタフェースを備え、
前記第3音声通信装置および/または前記第2表示装置は、前記インタフェースを介して前記指導医側操作装置に接続されている、項目1~3のいずれか1項に記載の遠隔手術支援システム。
【0061】
(項目5)
前記第3音声通信装置は、前記第2音声通信装置と音声通信を行うことが可能に構成されている、項目1~4のいずれか1項に記載の遠隔手術支援システム。
【0062】
(項目6)
前記医師側操作装置および/または前記指導医側操作装置は、前記外科手術ロボットを操作するための操作権限を切り替える切替え装置を備える、項目1~5のいずれか1項に記載の遠隔手術支援システム。
【0063】
(項目7)
前記切替え装置は、前記第1操作ハンドルおよび/または前記第2操作ハンドルに設けられた切替えスイッチである、項目6に記載の遠隔手術支援システム。
【0064】
(項目8)
前記医師側操作装置および/または前記指導医側操作装置は、アームレストを備え、
前記切替え装置は、前記アームレストに配置されたタッチパネルである、項目6に記載の遠隔手術支援システム。
【0065】
(項目9)
前記第1、第2および第3音声通信装置は、それぞれマイクロフォンとスピーカーとを含む、項目1~8のいずれか1項に記載の遠隔手術支援システム。
【0066】
(項目10)
前記内視鏡で取得された前記内視鏡画像を表示するための第3表示装置と、
前記医師側操作装置の前記第1音声通信装置と音声通信を行うための第4音声通信装置と、を備えた情報共有装置が前記第1施設に配置され、
前記情報共有装置は、前記医師側操作装置よりも前記外科手術ロボットの近くに配置される、項目1~9のいずれか1項に記載の遠隔手術支援システム。
【0067】
(項目11)
前記第4音声通信装置は、前記第2音声通信装置および前記第3音声通信装置の両方と音声通信を行うことが可能である、項目10に記載の遠隔手術支援システム。
【0068】
(項目12)
前記外科手術ロボットは、前記医師側操作装置の前記第1音声通信装置と音声通信を行うための第5音声通信装置を備える、項目1~11のいずれか1項に記載の遠隔手術支援システム。
【0069】
(項目13)
前記第5音声通信装置は、前記第2音声通信装置および前記第3音声通信装置の両方と音声通信を行うことが可能である、項目12に記載の遠隔手術支援システム。
【0070】
(項目14)
第1施設に設置された医師側操作装置と外科手術ロボットとを含む手術システムの前記外科手術ロボットを、外部ネットワークを介して操作するために、前記第1施設とは異なる第2施設に設置されている指導医側操作装置であって、
前記外科手術ロボットは、内視鏡を保持する第1マニピュレータアームおよび手術器具を保持する第2マニピュレータアームを備え、
前記医師側操作装置は、前記内視鏡で取得された内視鏡画像を表示するための第1表示装置と、第1音声通信装置と、前記第1および第2マニピュレータアームを操作するための第1操作ハンドルと、を備えており、
前記指導医側操作装置は、
前記外部ネットワークを介して送信された前記内視鏡画像を表示するためのスコープ型表示装置と、
前記第1および第2マニピュレータアームを操作するための第2操作ハンドルと、
前記指導医が前記スコープ型表示装置を覗き込んだ状態で前記第1音声通信装置と音声通信を行うことができる位置に配置された第2音声通信装置と、
前記外部ネットワークを介して送信された前記内視鏡画像を表示するためのフラットパネル表示装置または湾曲パネル表示装置からなる第2表示装置と、
前記第1音声通信装置と音声通信を行うために、前記スコープ型表示装置よりも前記第2表示装置の近くに配置された第3音声通信装置と、を備える、指導医側操作装置。
【符号の説明】
【0071】
1 外科手術ロボット
2 医師側操作装置
3 指導医側操作装置
4 情報共有装置
5 内視鏡
6 手術器具
11 マニピュレータアーム(第1マニピュレータアーム)
12 マニピュレータアーム(第2マニピュレータアーム)
18 音声通信装置(第5音声通信装置)
21 操作ハンドル(第1操作ハンドル)
23 タッチパネル(切替え装置)
25 アームレスト
24 スコープ型表示装置(第1表示装置)
26 音声通信装置(第1音声通信装置)
31 操作ハンドル(第2操作ハンドル)
33 タッチパネル(切替え装置)
34 スコープ型表示装置
35 アームレスト
36 音声通信装置(第2音声通信装置)
39 インタフェース
41 表示装置(第3表示装置)
42 音声通信装置(第4音声通信装置)
51 表示装置(第2表示装置)
52 音声通信装置(第3音声通信装置)
100 遠隔手術支援システム
261、361、521 マイクロフォン
262、362、522 スピーカー
A1 医師
A2 指導医
B1 第1施設
B2 第2施設
G1 内視鏡画像
N 外部ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12