(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048973
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】拭き取りシート収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20240402BHJP
A47K 7/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65D83/08 A
A47K7/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155177
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長野 真季
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LA02
(57)【要約】
【課題】簡素な構造で自由収納空間を設けつつ、自由収納空間を利用しない場合であってもスペース効率の低下を防止できる、拭き取りシート収納容器を提供する。
【解決手段】上記課題は、収納空間Sを覆うように配置された正面部2、背面部3、及び周面部4~7を有する本体10と、収納空間Sを、正面部2側のシート収納空間S1と、背面部3側の自由収納空間S2とに仕切る間仕切り体20と、正面部2におけるシート収納空間S1にのみ面する位置に設けられた、シート収納空間S1に通じる第1取出口13と、自由収納空間S2にのみ面する位置に設けられた、自由収納空間S2に通じる第2取出口14とを備え、間仕切り体20が着脱可能であり、間仕切り体20を取り外した状態で、シート収納空間S1及び自由収納空間S2が一体的なシート収納空間S1となる、拭き取りシート収納容器1により解決される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間、前記収納空間の一方側を覆うように配置された正面部、前記収納空間の正面部側と反対側を覆うように配置された背面部、及び前記収納空間の正面部側及び背面部側以外を覆うように配置された周面部を有する本体と、
前記収納空間を、前記正面部側のシート収納空間と、前記背面部側の自由収納空間とに仕切る間仕切り体と、
前記正面部における前記シート収納空間にのみ面する位置に設けられた、前記シート収納空間に通じる第1取出口と、
前記自由収納空間にのみ面する位置に設けられた、前記自由収納空間に通じる第2取出口とを備え、
前記間仕切り体が着脱可能であり、前記間仕切り体を取り外した状態で、前記シート収納空間及び前記自由収納空間が一体的なシート収納空間となる、
ことを特徴とする、拭き取りシート収納容器。
【請求項2】
前記周面部のうち少なくとも対向する一方の内面と他方の内面とに嵌合部が形成されており、
前記間仕切り体の周縁部が前記嵌合部に取り外し可能に嵌合されることにより、前記収納空間が、前記正面部側のシート収納空間と、前記背面部側の自由収納空間とに仕切られるように構成された、
請求項1記載の拭き取りシート収納容器。
【請求項3】
前記周面部は、上面部、下面部、及び両側面部を有し、
前記上面部が上となる姿勢で吊り下げるための吊り下げ部、及び前記上面部が上となる姿勢で被服若しくはベルトに掛け止める取付部のいずれか一方又は両方を備えた、
請求項1又は2記載の拭き取りシート収納容器。
【請求項4】
前記間仕切り体が前記上面部側から前記下面部側に向かうにつれて前記正面部側に近づく傾斜姿勢で取り付けられることにより、前記収納空間が、前記正面部側のシート収納空間と、前記背面部側の自由収納空間とに仕切られるように構成された、
請求項3記載の拭き取りシート収納容器。
【請求項5】
前記シート収納空間における前記下面部側に、前記シート収納空間に収納された前記拭き取りシートを前記下面部に対して弾性部材を介して支持する支持体を備えており、
前記上面部が上となる姿勢で、前記拭き取りシートが前記支持体により支持された状態では、前記拭き取りシートが前記下面部の内面により前記支持体及び前記弾性部材を介さずに支持された状態と比べて、前記拭き取りシートにおける前記正面部と対向する面の中心が前記第1取出口に近くなるように構成された、
請求項3記載の拭き取りシート収納容器。
【請求項6】
前記第2取出口は、前記周面部における前記自由収納空間にのみ面する位置に設けられた、
請求項1又は2記載の拭き取りシート収納容器。
【請求項7】
前記本体は、前記正面部側の第1部分と前記背面部側の第2部分とを有し、
前記第1部分は、前記周面部の一部に設けられた接続部において前記第2部分に対して接続されるとともに、前記第2部分に一体化する位置と前記第2部分から離れた位置との間で、前記接続部を中心部として回動自在となっており、
前記間仕切り体は前記第1部分内に着脱可能に取り付けられた、
前記第1部分が前記第2部分と一体化する位置では前記第1部分の内空及び前記第2部分の内空が合体して前記収納空間が構成され、
前記第1部分が前記第2部分から離れた位置まで回動することにより、前記自由収納空間が前記本体の外部に開口する、
請求項1又は2記載の拭き取りシート収納容器。
【請求項8】
前記第1取出口は、前記シート収納空間の上下方向の寸法をy1とし、前記拭き取りシートの上下方向の寸法をy2としたとき、前記シート収納空間の上下方向の中央から下方に(y1-y2)/2以上離れた位置まで延びている、
請求項3記載の拭き取りシート収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拭き取りシート収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウエットティシュー等の拭き取りシートは、ポップアップ式で取り出し可能に積層されたシート束をフィルム包装した包装体の形態で、収納容器に収納されて使用される。収納容器は内部に通じる取り出し口を備えており、包装体には収納容器の取り出し口と対向する位置に開封口が設けられており、包装体内の拭き取りシートは開封口及び取出し口を通り、収納容器外に取り出することが可能である(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
近年では、犬の散歩の際、排泄後にお尻を拭くためのウエットティシューと、糞を回収するためのビニル袋を携行することがある。また、他の用途では、ビニル袋ではなく、ビニル手袋や、ドライティシュー等、他のシート状物品を携行する場合もある。
【0004】
しかし、従来の収納容器は拭き取りシートの収納しか想定していないため、拭き取りシート以外の物品は別途携帯する必要があり、そのために小型のバッグを用いる等、煩雑となっていた。
【0005】
一方、拭き取りシート以外に、小物等を自由に収納できる自由収納空間を備えた拭き取りシート収納容器(特許文献3参照)も提案されているが、この収納容器は自由収納空間が独立的に確保されているため、自由収納空間を利用しない場合にはスペース効率が低い等の問題点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-007016号公報
【特許文献2】特開2019-172331号公報
【特許文献3】特開2019-172331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、簡素な構造で自由収納空間を設けつつ、自由収納空間を利用しない場合であってもスペース効率の低下を防止できる、拭き取りシート収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明の拭き取りシート収納容器は、以下のとおりである。
<第1の態様>
収納空間、前記収納空間の一方側を覆うように配置された正面部、前記収納空間の正面部側と反対側を覆うように配置された背面部、及び前記収納空間の正面部側及び背面部側以外を覆うように配置された周面部を有する本体と、
前記収納空間を、前記正面部側のシート収納空間と、前記背面部側の自由収納空間とに仕切る間仕切り体と、
前記正面部における前記シート収納空間にのみ面する位置に設けられた、前記シート収納空間に通じる第1取出口と、
前記自由収納空間にのみ面する位置に設けられた、前記自由収納空間に通じる第2取出口とを備え、
前記間仕切り体が着脱可能であり、前記間仕切り体を取り外した状態で、前記シート収納空間及び前記自由収納空間が一体的なシート収納空間となる、
ことを特徴とする、拭き取りシート収納容器。
【0009】
(作用効果)
本拭き取りシート収納容器によれば、間仕切り体を着脱することによりシート収納空間及び自由収納空間を有する状態と、シート収納空間のみの状態とを選択できるため、簡素な構造で自由収納空間を設けつつ、自由収納空間を利用しない場合であってもスペース効率の低下を防止できる。
【0010】
<第2の態様>
前記周面部のうち少なくとも対向する一方の内面と他方の内面とに嵌合部が形成されており、
前記間仕切り体の周縁部が前記嵌合部に取り外し可能に嵌合されることにより、前記収納空間が、前記正面部側のシート収納空間と、前記背面部側の自由収納空間とに仕切られるように構成された、
第1の態様の拭き取りシート収納容器。
【0011】
(作用効果)
間仕切り体の着脱機構は適宜定めることができるが、本態様のような嵌合構造であると、構造が簡素であり、間仕切り体の着脱も容易となるため好ましい。
【0012】
<第3の態様>
前記周面部は、上面部、下面部、及び両側面部を有し、
前記上面部が上となる姿勢で吊り下げるための吊り下げ部、及び前記上面部が上となる姿勢で被服若しくはベルトに掛け止める取付部のいずれか一方又は両方を備えた、
第1又は2の態様の拭き取りシート収納容器。
【0013】
(作用効果)
本態様のような吊り下げ部又は取付部を備えることにより、本拭き取りシート収納容器をストラップやリング、フック等を介して吊り下げたり、ベルトやポケット、ズボンのウエスト等に掛け止めることができ、携行性が向上するため好ましい。
【0014】
<第4の態様>
前記間仕切り体が前記上面部側から前記下面部側に向かうにつれて前記正面部側に近づく傾斜姿勢で取り付けられることにより、前記収納空間が、前記正面部側のシート収納空間と、前記背面部側の自由収納空間とに仕切られるように構成された、
第3の態様の拭き取りシート収納容器。
【0015】
(作用効果)
一般に、シートの詰め替えを容易にするために、シート収納空間の寸法はシートの寸法に対して十分な遊びを有することが望ましい。しかし、前述のように拭き取りシート収納容器を上面部が上となる姿勢で携行すると、拭き取りシートの位置が下面部側にずれて第1取出口から取り出し難くなるおそれがある。そこで、間仕切り体を本態様のような傾斜姿勢で取り付けることも提案する。間仕切り体を本態様のような傾斜姿勢で取り付けると、拭き取りシートの積層体が十分な厚みでシート収納空間に配置されている状況では、拭き取りシートの位置が下面部側にずれにくくなる。
【0016】
<第5の態様>
前記シート収納空間における前記下面部側に、前記シート収納空間に収納された前記拭き取りシートを前記下面部に対して弾性部材を介して支持する支持体を備えており、
前記上面部が上となる姿勢で、前記拭き取りシートが前記支持体により支持された状態では、前記拭き取りシートが前記下面部の内面により前記支持体及び前記弾性部材を介さずに支持された状態と比べて、前記拭き取りシートにおける前記正面部と対向する面の中心が前記第1取出口に近くなるように構成された、
第3の態様の拭き取りシート収納容器。
【0017】
(作用効果)
一般に、シートの詰め替えを容易にするために、シート収納空間の寸法はシートの寸法に対して十分な遊びを有することが望ましい。しかし、前述のように拭き取りシート収納容器を上面部が上となる姿勢で携行すると、拭き取りシートの位置が下面部側にずれて第1取出口から取り出し難くなるおそれがある。そこで、シート収納空間に本態様のような支持体を設けることも提案する。このような支持体を有することにより、拭き取りシートの位置が下面部側にずれずにすむとともに、拭き取りシートを補充するときには支持体を下面部側に押し下げることにより拭き取りシートの配置空間を広げることができ、補充作業が容易となる。
【0018】
<第6の態様>
前記第2取出口は、前記周面部における前記自由収納空間にのみ面する位置に設けられた、
第1~5のいずれか1つの態様の拭き取りシート収納容器。
【0019】
(作用効果)
本態様の位置に第2取出口を設けることにより、本拭き取りシート収納容器の背面部を手で持った状態や、背面部がテーブル又は体に接している状態であっても、自由収納空間に収納した物品の取り出しが阻害されないため好ましい。
【0020】
<第7の態様>
前記本体は、前記正面部側の第1部分と前記背面部側の第2部分とを有し、
前記第1部分は、前記周面部の一部に設けられた接続部において前記第2部分に対して接続されるとともに、前記第2部分に一体化する位置と前記第2部分から離れた位置との間で、前記接続部を中心部として回動自在となっており、
前記間仕切り体は前記第1部分内に着脱可能に取り付けられた、
前記第1部分が前記第2部分と一体化する位置では前記第1部分の内空及び前記第2部分の内空が合体して前記収納空間が構成され、
前記第1部分が前記第2部分から離れた位置まで回動することにより、前記自由収納空間が前記本体の外部に開口する、
第1~6のいずれか1つの態様の拭き取りシート収納容器。
【0021】
(作用効果)
本態様の拭き取りシート収納容器によれば、拭き取りシートをシート収納空間に入れてある状態で自由収納空間に物品を収納する際、シート収納空間から拭き取りシートが離脱することがなくなる。また、第2取出口は、第1部分が第2部分から離れた位置まで回動することにより形成される自由収納空間の開口と兼用することもできる。この場合、周面部や背面部に第2取出口を設けることもできるが、設けなくてもよくなる。
【0022】
<第8の態様>
前記第1取出口は、前記シート収納空間の上下方向の寸法をy1とし、前記拭き取りシートの上下方向の寸法をy2としたとき、前記シート収納空間の上下方向の中央から下方に(y1-y2)/2以上離れた位置まで延びている、
第3の態様の拭き取りシート収納容器。
【0023】
(作用効果)
本態様のように、第1取出口が上下方向における中央部だけでなく、十分に下面部側にまで延びていると、前述のように携行時の拭き取りシートの位置ずれがあっても、拭き取りシートが第1取出口から取り出し難くなりにくいため好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、簡素な構造で自由収納スペースを設けつつ、自由収納スペースを利用しない場合であってもスペース効率の低下を防止できるようになる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図6】蓋体が開いた状態を示す
図2のV-V断面図である。
【
図7】第1部分が開いた状態を示す
図2のV-V断面図である。
【
図9】拭き取りシート収納容器の要部を破断して示す右側面図である。
【
図10】拭き取りシート収納容器を概略的に示す縦断面図である。
【
図11】拭き取りシート収納容器を概略的に示す縦断面図である。
【
図12】拭き取りシート収納容器を概略的に示す縦断面図である。
【
図13】拭き取りシート収納容器を示す正面図である。
【
図14】拭き取りシート収納容器を概略的に示す縦断面図である。
【
図15】拭き取りシート収納容器の要部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面に示される拭き取りシート収納容器1の例を引いて詳説する。
図1~
図5に示す拭き取りシート収納容器1は、収納空間S、収納空間Sの一方側を覆うように配置された正面部2、収納空間Sの正面部2側と反対側を覆うように配置された背面部3、及び収納空間Sの正面部2側及び背面部3側以外を覆うように配置された周面部4~7を有する本体10と、収納空間Sを、正面部2側のシート収納空間S1と、背面部3側の自由収納空間S2とに仕切る間仕切り体20と、正面部2におけるシート収納空間S1にのみ面する位置に設けられた、シート収納空間S1に通じる第1取出口13と、自由収納空間S2にのみ面する位置に設けられた、自由収納空間S2に通じる第2取出口14とを備えている。間仕切り体20は着脱可能であり、間仕切り体20を取り外した状態で、シート収納空間S1及び自由収納空間S2が一体的なシート収納空間S1となる。
【0027】
この説明からも分かるように、第1取出口13を有する側の面が拭き取りシート収納容器1の正面であり、その反対側が背面である。また、図示例では後述する吊り下げ部を有する側の面が上面となっている。説明のために、
図1中にX軸(右側面及び左側面の対向方向)、Y軸(上面及び下面の対向方向)、Z軸(正面及び背面の対向方向)を付記している。
【0028】
(本体)
本体10は、
図1~
図5に示すように、全体として、X方向及びZ方向に比してY方向に長い略直方体状に形成されているが、Y方向及びZ方向に比してX方向に長い略直方体状に形成されていてもよい。本体10は、Z方向の中間において本体10の正面部2側を構成する第1部分11と、本体10の背面部3側を構成する第2部分12とに分割されていると好ましいが、これに限定されず、Z方向の中間で分割されるのではなく、
図14に示すように背面部3とそれ以外の部分とに分割されていたりしてもよい。また、本体10をZ方向の中間で第1部分11と第2部分12とに分割する場合、その分割位置は
図1~
図5に示す例では正面部2側に偏倚しているが、
図10に示すように背面部3側に偏倚していてもよいし、図示しないがZ方向のほぼ中央に位置していてもよい。
【0029】
第1部分11と第2部分12とは周面部4~7の一部(図示例では左側面部7)に設けられた接続部15において接続されるとともに、第1部分11は、第2部分12に一体化して収納空間Sが閉じられる位置と、第2部分12から離れて内部の収納空間Sが外部に開放される位置との間で、接続部15を中心部として回動自在(接続部15における折れ曲がりが自在)となっている。第1部分11と第2部分12とは射出成形によって一体的に形成することができる。図示しないが、第1部分11と第2部分12とを個別に形成し、これらをヒンジ等によって回動自在に接続してもよい。
【0030】
第1部分11は、第2部分12側が開口した略直方体状に形成することができ、第2部分12は、第1部分11側が開口した略直方体状に形成することができる。図示例では、第1部分11の下面開口11Hの縁部と第2部分12の上面開口12Hの縁部とは全周にわたり先端面同士が突き合う構造となっているが、いずれか一方が他方の内側に嵌合する構造としたり、いずれか一方に設けられた突起が他方に設けられた溝に嵌合する構造としたりすることができる。
【0031】
本体10は、第1部分11と第2部分12とを一体化し、収納空間Sを閉塞状態に係止する手段を備えていると好ましい。この係止手段は特に限定されるものではなく、公知のあらゆる係止手段を用いることができる。
図1~
図5に示す例では、第1部分11と第2部分12とが一体化した状態で、接続部15と反対側(図示例では右側面部5)において、第1部分11から第2部分12の外側に突出する指かけ部11Fと、第2部分12における指かけ部11Fと対向する位置に形成された突起12pと、指かけ部11Fにおける第2部分12との対向面に形成された、第2部分12の突起12pに引っ掛かる爪部11nとを有している。第1部分11の指かけ部11Fを第2部分12から離れる方向に引っ張ると、
図7に示すように爪部11nが第2部分12の突起12pから外れ、第1部分11を第2部分12に対して回動させて、収納空間Sを開放させることができる。また、この状態から第1部分11を反対に回動させて、第2部分12に合体させると、自動的に第1部分11の爪部11nが第2部分12の突起12pに引っ掛かり、第1部分11の内空及び第2部分12の内空が合体して収納空間Sが閉じられた状態に保たれる。
【0032】
(間仕切り体)
間仕切り体20は、収納空間Sを、正面部2側のシート収納空間S1と、背面部3側の自由収納空間S2とに仕切ることができる限り、その形状は特に限定されるものではないが、スペース効率を考慮すると、収納空間Sの内周に一致する外周を有する平板状部品であることが好ましい。間仕切り体20は、収納空間S内に着脱可能である限り、公知のあらゆる着脱機構を用いることができる。一例としては、周面部4~7のうち少なくとも対向する一方の内面と他方の内面とに、間仕切り体20の周縁部が嵌合する嵌合部が形成されていると、構造が簡素であり、間仕切り体20の着脱も容易となるため好ましい。このような嵌合部16は、図示例のように間仕切り体20の正面部2側及び背面部3側に隣接する一対の嵌合突起であってもよいし、本体10の内面に形成された溝であってもよい。嵌合突起は半球状であると着脱が容易となるため好ましい。このような拭き取りシート収納容器1によれば、
図7に示すように、間仕切り体20を着脱することによりシート収納空間S1及び自由収納空間S2を有する状態と、シート収納空間S1のみの状態とを選択できるため、簡素な構造で自由収納空間S2を設けつつ、自由収納空間S2を利用しない場合であってもスペース効率の低下を防止できる。また、間仕切り体20を取付け可能な商品と、間仕切り体20を取り付ける商品とを同一の金型で形成できる利点もある。
【0033】
嵌合部16による間仕切り体20の取付位置は一か所としてもよいが、
図10に示すようにZ方向に間隔を空けて嵌合部16を複数設けることにより、間仕切り体20の位置を、正面部2に近づける又は遠ざけるように調節できるように構成するのも好ましい。
【0034】
また、間仕切り体20の着脱を容易にするために、
図8に示すように、間仕切り体20を厚み方向に貫通する指かけ孔21を1つ又は複数設けるのも好ましい。
【0035】
間仕切り体20の正面部2側の面及び背面部3側の面のいずれか一方又は両方は、XY平面に平行に延びている他、
図11に示すようにXY平面に対して傾斜していてもよい。例えば、シートの詰め替えを容易にするために、シート収納空間S1の寸法は拭き取りシートPの寸法に対して十分な遊びを有することが一般的である。しかし、拭き取りシート収納容器1を上面部4が上となる姿勢で携行すると、拭き取りシートPの位置が下面部6側にずれて第1取出口13から取り出し難くなるおそれがある。これに対して、
図11に示すように、間仕切り体20が上面部4側から下面部6側に向かうにつれて正面部2側に近づく傾斜姿勢で取り付けられるように構成されていると、拭き取りシートPの積層体又はそれが包装袋Bに詰められた包装体PSが十分な厚みでシート収納空間S1に配置されている状況では、拭き取りシートPの位置が下面部6側にずれにくくなる。
【0036】
(第1取出口)
図5及び
図6に示されるように、第1取出口13は、正面部2を厚み方向に貫通して収納空間Sにおけるシート収納空間S1に通じるものである。シート収納空間S1に収納された拭き取りシートPは第1取出口13を通じて取り出すことが可能となる。第1取出口13の位置は適宜定めることができ、例えば図示例のように正面部2の略中央に形成することができる。また、第1取出口13の形状は特に限定されず、円形としたり、一本の直線状のスリットとしたり、十字状のスリットとしたり、
図1に示すように三頂点星形のスリットとしたりする等、適宜の変更が可能である。第1取出口13の周囲を形成する部材は後述するようにシリコーン等の弾性材料によって形成されていると好ましいが、これに限定されるものではない。
【0037】
第1取出口13はY軸方向(上下方向)における中央部だけでなく、十分に下面部側にまで延びていると、前述のように携行時の拭き取りシートPの位置ずれがあっても、拭き取りシートPが第1取出口13から取り出し難くなりにくいため好ましい。より具体的には、
図15に示すように、第1取出口13は、シート収納空間S1のY軸方向の寸法(変化する場合は最大寸法)をy1とし、拭き取りシートPのY軸方向の寸法をy2としたとき、シート収納空間S1のY軸方向の中央C1から下面部6側に(y1-y2)/2以上離れた位置C2まで延びていると好ましい。特に、図示例の第1取出口13のように、シート収納空間S1のY軸方向の中央C1を通りX軸方向に延びる第1の切り込み131と、シート収納空間S1のY軸方向の中央C1から下面部6側に(y1-y2)/2±5mm離れた位置C2を通りX軸方向に延びる第2の切り込み132と、シート収納空間S1のX軸方向の中央を通りY軸方向に延びて第1の切り込み131及び第2の切り込み132と交差する第3の切り込み133とを有するのは好ましい。
【0038】
また、
図12に示すように、シート収納空間S1における下面部6側に、シート収納空間S1に収納された拭き取りシートPを下面部6に対して弾性部材40を介して支持する支持体41を備えており、本拭き取りシート収納容器1の上面部4が上となる姿勢で、拭き取りシートPが支持体41により支持された状態では、拭き取りシートPが下面部6の内面により支持体41及び弾性部材40を介さずに支持された状態と比べて、拭き取りシートPにおける正面部2と対向する面の中心が第1取出口13に近くなる(特にほぼ重なる)ように構成されているのも好ましい。このような支持体41を有することにより、拭き取りシートPの位置が下面部6側にずれずにすむとともに、拭き取りシートPを補充するときには支持体41を下面部6側に押し下げることにより拭き取りシートPの配置空間を広げることができ、補充作業が容易となる。
【0039】
(蓋体)
本体10は、第1取出口13を開閉する蓋体30を備えていると好ましい。蓋体30は、正面部2の一部をなす扁平部材である。図示例の蓋体30は、その一端側(図示例では左側面側)に設けられた回転軸31が、正面部2に設けられた軸孔32に挿入されて支持されており、回転軸31を中心として正面部2と一体化した閉状態と、正面部2から離れた開状態との間で回動するようになっている。図示しないが、蓋体30はスライド式に開閉するものであってもよい。
【0040】
本体10は、蓋体30を正面部2に係止する係止手段を有していると好ましい。この係止手段は特に限定されるものではなく、公知のあらゆる係止手段を用いることができる。図示例では、正面部2における蓋体30の回転軸31と反対側に隣接する位置に、背面部3側に押し下げると蓋体30から離れるにつれて背面部3側に下がるように撓むボタン部33を設け、このボタン部33における蓋体30との対向面に凹部34を設け、蓋体30におけるボタン部33との対向面に、凹部34に引っ掛かる蓋固定爪部35を設けている。ボタン部33を押し下げると蓋固定爪部35が凹部34から外れ、蓋体30を回転軸31を中心として回動させて開けることができる。また、この状態から蓋体30を反対に回動させて閉じると、蓋体30の蓋固定爪部35がボタン部33の凹部34に入り込んで引っ掛かり、蓋体30が閉状態に保たれる。
【0041】
蓋体30は正面部2の上に張り出していてもよいが、図示例のように正面部2の表面に窪み部36を設け、ボタン部33及び蓋体30がこの窪み部36内に収まるようになっているのも好ましい。
【0042】
蓋体30が閉状態にあるときに、第1取出口13が密閉状態に保たれるようになっていると、拭き取りシートPが湿潤タイプの場合の乾燥を防止できるため好ましい。この密閉構造は公知のものを特に限定なく使用できる。一例としては、図示するように、正面部2の表面に第1取出口13を囲む環状の第1密閉リブ37を設けるとともに、蓋体30における第1密閉リブ37との対向面に、第1密閉リブ37と密接する環状の第2密閉リブ38を設けている。図示例では、第1密閉リブ37と第2密閉リブ38とは全周にわたり先端面同士が突き合う構造となっているが、いずれか一方のリブが他方の内側に嵌合する構造としたり、いずれか一方に設けられた突起12pが他方に設けられた溝に嵌合する構造としたり、いずれか一方のリブ(例えば
図10に示すように第2密閉リブ)のみ設け、他方は省略したりすることができる。第1密閉リブ37及び第2密閉リブ38はいずれか一方又は両方がシリコーン等の弾性材料によって形成されていると好ましいが、これに限定されるものではない。図示例では、第2密閉リブ38は第1取出口13の周囲を形成する部材に形成されているため、この部材をシリコーン等の弾性材料によって形成すると好ましい。
【0043】
(第2取出口)
第2取出口14は、収納空間Sにおける自由収納空間S2に通じ、自由収納空間に収納された物品50を取り出し得る限り特に限定されるものではない。第2取出口14は2か所以上に設けることもできる。第2取出口14の位置は適宜定めることができ、例えば図示例のように上面部4の略中央に形成するのは好ましいが、下面部6や左側面部7、右側面部5であってもよく、背面部3に設けることもできる。
【0044】
第2取出口14が周面部4~7における自由収納空間S2にのみ面する位置に設けられていると、本拭き取りシート収納容器1の背面部3を手で持った状態や、背面部3がテーブル又は体に接している状態であっても、自由収納空間S2に収納した物品50の取り出しが阻害されないため好ましい。
【0045】
背面部3に第2取出し口を設ける場合、背面部3の中央部等の一部に第2取出口14を設けてもよいが、
図14に示すように背面部3の全体が背蓋60として取り外し可能である場合には、この背蓋60を開放することにより形成される開口を第2取出口14とすることができる。
【0046】
さらに、
図1~
図5に示す例のように、本体10が第1部分11と第2部分12と二分割されている場合、
図10~
図12に示すように間仕切り体20が第1部分11内に着脱可能に取り付けられるようになっていると、第1部分11を第2部分12に対して開くと、間仕切り体20によりシート収納空間S1を維持したまま、自由収納空間S2が本体10の外部に開口する。よって、拭き取りシートPをシート収納空間S1に入れてある状態で自由収納空間S2に物品を収納する際、シート収納空間S1から拭き取りシートPが離脱することがなくなる。また、第2取出口14は、第1部分11が第2部分12から離れた位置まで回動することにより形成される自由収納空間S2の開口と兼用することもできる。この場合、周面部4~7や背面部3に第2取出口14を設けることもできるが、設けなくてもよくなる。
【0047】
第2取出口14の形状は特に限定されず、自由収納空間S2に収納される物品50がビニル袋のようなシート状物品50の場合、スリット状等、第1取出口13と同様の形状の中から選択することができる他、出し入れを考慮して図示例のように矩形の大きな貫通部とすることができる。
【0048】
図示しないが、本体10は第2取出口14を開閉する蓋体30を備えていてもよい。この蓋体30は第1取出口13を開閉する蓋体30と同様に公知のものを適宜選択することができる。いずれにせよ、自由収納空間S2に収納された物品50は第2取出口14を通じて取り出すことが可能である。
【0049】
(吊り下げ部及び取付部)
本拭き取りシート収納容器1は、
図1及び
図2に示す例、並びに
図13に示す例のように、上面部4が上となる姿勢で吊り下げるための吊り下げ部71を備えていると好ましい。吊り下げ部71は、
図1及び
図2に示す例のように、背面部3等に沿って突出する耳部に吊り下げ孔を設けることにより形成できるほか、
図13に示す例のように、紐状体又は帯状体の両端を上面部4等に接続することにより形成できる。本拭き取りシート収納容器1が吊り下げ部71を備えていると、ストラップやリング、フック、カラビナ等を介して本拭き取りシート収納容器1を上面部4が上となる姿勢で使用者の手、腕若しくは肩、又はバッグ等に吊り下げることができる。
【0050】
また、本拭き取りシート収納容器1は、
図2及び
図10に示す例、並びに
図13に示す例のように、上面部4が上となる姿勢で被服若しくはベルトに掛け止める取付部72を備えていると好ましい。取付部72は、
図2及び
図10に示す例のように、背面部3から突出する基部と、基部から下面部6側に延びる掛け止め部からなる逆さL字状部分としたり、
図13に示す例のように衣服を挟んで固定する金属製等のクリップやクランプとしたりすることができる。本拭き取りシート収納容器1が取付部72を備えていると、本拭き取りシート収納容器1を上面部4が上となる姿勢でベルトやポケット、ズボンのウエスト等に掛け止めたり、固定したりすることができる。
【0051】
本拭き取りシート収納容器1は、図示例のように、吊り下げ部71及び取付部72をそれぞれ異なる位置に備えていたり、二種類の取付部72を異なる位置に備えていたりしてもよい。このように、拭き取りシート収納容器1を二点で身体に支持させることができると、携行時に拭き取りシート収納容器1が不必要に動くことによるわずらわしさを抑制することができる。もちろん、本拭き取りシート収納容器1は、
図14に示す例のように、吊り下げ部や取付部を備えていなくてもよい。
【0052】
(寸法)
本体10の寸法は適宜定めることができるが、携行性を考慮すると、例えばX方向の寸法は60~150mm、より好ましくは80~100mmとすることができ、Y方向の寸法は80~200mm、より好ましくは145~165mmとすることができ、Z方向の寸法は30~100mm、より好ましくは60~80mmとすることができる。また、本体10の各部の肉厚は適宜定めることができ、例えば0.5~3.0mm、より好ましくは1.0~2.0mmとすることができる。
【0053】
(各部の材質)
収納容器の各部の材質は適宜定めることができる。例えば、図示例の第1取出口13の周囲を形成する部分や第1密閉リブ37は、シリコーンゴムや、スチレン-ブタジエン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマー等の弾性を有する材料(以下、「弾性材料」という。)によって形成されていると好ましい。弾性材料の性質としては、硬度が20から90であることが望ましい。この硬度は、JIS K6253(タイプ Aデュロメータ)によって測定されるものを意味する。第1取出口13の周囲を形成する部分及び第1密閉リブ37は一体的な部材として形成されていると製造が容易となるため好ましい。その他は、部位に応じて、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリアミド・ABS等の熱可塑性樹脂を適宜選択することが好ましい。もちろん、第1取出口13の周囲を形成する部分や第1密閉リブ37も、熱可塑性樹脂で形成してもよい。収納容器の各部材は、例えば射出成型等の任意の成型方法を用いて形成することができる。
【0054】
(拭き取りシート)
拭き取りシートPとしては、例えば、ウエットティシュー等のシートが一枚ずつ折り畳まれるとともに、先頭の1枚を引き出すと次のシートも引き出されるように互い違いに積層された(所謂ポップアップ式に引き出し可能なように積層された)積層体の状態でシート収納空間S1に収納することが望ましい。この積層体は包装袋Bから取り出した裸の状態で収納されていても、取出口を有するガセット袋B等の袋Bで包装された詰め替え用の包装体PSの状態で収納されていてもよい。また、拭き取りシートPは、帯状に連続するシートがロール状に巻かれ、連続方向に一定の間隔でミシン目により切離し可能とされたシートロールであってもよい。拭き取りシートPは、製品の販売時に収納されていてもよく、また使用者が別途収納するようにしてもよい。
【0055】
(自由収納空間の収納物品)
自由収納空間S2の収納物品50は特に限定されるものではないが、シート状物品50であると好ましい。このような物品50の例としては、ビニル袋や、ドライシート、ビニル手袋等を挙げることができる。自由収納空間S2の収納物品50も、製品の販売時に収納されていてもよく、また使用者が別途収納するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ウエットティシュー等の拭き取りシートを収納する容器に利用できるものである。
【符号の説明】
【0057】
1…拭き取りシート収納容器、2…正面部、3…背面部、4…上面部、5…右側面部、6…下面部、7…左側面部、4~7…周面部、10…本体、11…第1部分、11F…指かけ部、11n…爪部、12…第2部分、12p…突起、13…第1取出口、14…第2取出口、15…接続部、16…嵌合突起、20…間仕切り体、21…指かけ孔、30…蓋体、31…回転軸、32…軸孔、33…ボタン部、34…凹部、35…蓋固定爪部、36…窪み部、37…第1密閉リブ、38…第2密閉リブ、40…弾性部材、41…支持体、50…物品、60…背蓋、71…吊り下げ部、72…取付部、B…袋、P…拭き取りシート、S…収納空間、S1…シート収納空間、S2…自由収納空間。