(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048983
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】作業機械の自動制御システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20240402BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
E02F9/20 Q
E02F9/20 M
E02F9/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155191
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 勝道
(72)【発明者】
【氏名】山本 慎二郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】辺見 森象
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003AC09
2D003BA02
2D003BA03
2D003BB04
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
2D015HA03
2D015HB04
2D015HB05
(57)【要約】
【課題】作業機械の自動運転(自動制御)による作業性を向上させる作業機械の自動制御システムを提供する。
【解決手段】自動運転の動作軌道を計画する際に、作業対象の地形が変化するか否かの予想地形データが存在する場合は予想地形データに基づいて動作計画を行い、予想地形データが存在しない場合は現況地形データに基づいて動作計画を行う。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアクチュエータによって駆動する複数の被駆動部材を有する作業機械と、
前記作業機械を制御する制御装置と、
地形データを管理する地形データ管理装置と、を備える作業機械の自動制御システムにおいて、
前記制御装置は、前記地形データに基づいて前記作業機械の動作軌道を計画する動作軌道計画部を備え、
前記動作軌道計画部は、前記動作軌道によって地形がいつどのように変化するかを示した予想地形データを作成して前記地形データ管理装置へ通知し、
前記動作軌道計画部は、前記作業機械の次の動作軌道を計画する際に、前記地形データ管理装置へ通知された前記予想地形データに基づいて、動作を行う時刻に作業を行う範囲の地形が変化するか否かを確認し、地形が変化する場合は前記予想地形データに基づいて前記作業機械の動作軌道を計画することを特徴とする作業機械の自動制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械の自動制御システムにおいて、
前記動作軌道計画部は、前記動作軌道によって地形が変化するか否かを判定し、地形が変化すると判定される場合、前記予想地形データを作成して前記地形データ管理装置へ通知することを特徴とする作業機械の自動制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の作業機械の自動制御システムにおいて、
前記動作軌道計画部は、前記作業機械の次の動作軌道を計画する際に、前記地形データ管理装置に、動作を行う時刻に作業を行う範囲の予想地形データが有るか否かを確認し、前記予想地形データが有る場合は、前記予想地形データに基づいて前記作業機械の動作軌道を計画することを特徴とする作業機械の自動制御システム。
【請求項4】
請求項1に記載の作業機械の自動制御システムにおいて、
前記動作軌道計画部は、前記作業機械の次の動作軌道を計画する際に、前記地形データ管理装置に、動作を行う時刻に作業を行う範囲の予想地形データが有るか否かを確認し、前記予想地形データが無い場合は、地形計測装置により計測された現況地形データに基づいて前記作業機械の動作軌道を計画することを特徴とする作業機械の自動制御システム。
【請求項5】
請求項1に記載の作業機械の自動制御システムにおいて、
前記予想地形データを作成して前記地形データ管理装置へ通知する前記動作軌道計画部と、前記地形データ管理装置へ通知された前記予想地形データに基づいて前記作業機械の動作軌道を計画する前記動作軌道計画部とが、別の作業機械に搭載されたものであることを特徴とする作業機械の自動制御システム。
【請求項6】
請求項1に記載の作業機械の自動制御システムにおいて、
前記地形データ管理装置は、前記地形が変化する予想時刻を過ぎた前記予想地形データを削除することを特徴とする作業機械の自動制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の自動制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、走行する走行体と、走行体の上部に旋回自在に設けられた上部旋回体を有する油圧ショベル等の作業機械がある。
【0003】
特許文献1では、地形を考慮して掘削位置を決定するという油圧ショベルの自動化に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来技術によれば、地形を計測して、計測された地形データに基づいて掘削位置を決定するため、効率的に作業ができる。
【0006】
一方、例えば
図14に示すように、油圧ショベル300が掘削した土砂を領域310に放土し、油圧ショベル301が領域310の土砂を掘削して運搬機302に積み込む、といった、複数の油圧ショベルが土砂を受け渡しながら、掘削を行う場合がある。
【0007】
この場合、特許文献1の従来技術のように、油圧ショベル301が領域310の土砂の地形を計測して掘削開始位置を決定したとしても、油圧ショベル300が領域310に土砂を放土するため、油圧ショベル301が掘削を開始する時点で領域310内の土砂形状が計測した土砂形状から変化し、計画した時点での掘削開始位置で掘削すると、作業性が悪化してしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、上記如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的としてなされたものであり、作業機械の自動運転(自動制御)について効率よく作業を行うことができる作業機械の自動制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の作業機械の自動制御システムは、複数のアクチュエータによって駆動する複数の被駆動部材を有する作業機械と、前記作業機械を制御する制御装置と、地形データを管理する地形データ管理装置と、を備える作業機械の自動制御システムにおいて、前記制御装置は、前記地形データに基づいて前記作業機械の動作軌道を計画する動作軌道計画部を備え、前記動作軌道計画部は、前記動作軌道によって地形がいつどのように変化するかを示した予想地形データを作成して前記地形データ管理装置へ通知し、前記動作軌道計画部は、前記作業機械の次の動作軌道を計画する際に、前記地形データ管理装置へ通知された前記予想地形データに基づいて、動作を行う時刻に作業を行う範囲の地形が変化するか否かを確認し、地形が変化する場合は前記予想地形データに基づいて前記作業機械の動作軌道を計画することを特徴とする作業機械の自動制御システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、作業機械の自動運転(自動制御)について効率よく作業を行うことができる。
【0011】
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】油圧ショベルの制御コントローラを油圧駆動装置と共に示す図。
【
図4A】
図1の油圧ショベルにおける座標系を示す側面図。
【
図4B】
図1の油圧ショベルにおける座標系を示す上面図。
【
図5】本実施形態の制御コントローラのハードウェア構成図。
【
図6】本実施形態の制御コントローラの機能ブロック図(搭乗操作時)。
【
図7】本実施形態の制御コントローラの機能ブロック図(自動制御時)。
【
図8】電磁比例弁の目標制御圧と操作信号の関係を示す図。
【
図9】本実施形態のサーバシステムの制御コントローラのハードウェア構成図。
【
図10】本実施形態のサーバシステムの制御コントローラの機能ブロック図。
【
図11】本実施形態の掘削軌道計画部700の制御フローチャート。
【
図12A】本実施形態の掘削時の予想地形算出方法を示す図。
【
図12B】本実施形態の放土時の予想地形算出方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。各図において、同一の機能を有する部分には同一の符号を付して繰り返し説明を省略する場合がある。なお、以下では、作業装置の先端の作業具(アタッチメント)としてバケット10を備える油圧ショベルを例示するが、バケット以外の作業具を備えた油圧ショベル、油圧ショベル以外の作業機械への適用も可能である。
【0014】
また、本稿の以下の説明では、同一の構成要素が複数存在する場合、符号(数字)の末尾にアルファベットを付すことがあるが、当該アルファベットを省略して当該複数の構成要素をまとめて表記することがある。例えば、2つのポンプ2a、2bが存在するとき、これらをまとめてポンプ2と表記することがある。
【0015】
<油圧ショベル1の基本構成>
図1は本発明の一実施形態に係る油圧ショベルとサーバシステムの構成図であり、
図2は本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの制御コントローラを油圧駆動装置と共に示す図であり、
図3は
図2中の電磁弁ユニット160の詳細図である。
【0016】
図1において、油圧ショベル1は、多関節型のフロント作業装置1Aと、車体1Bで構成されている。車体1Bは、左右の走行油圧モータ3a(
図2、
図3)、3b(走行右油圧モータ3a、走行左油圧モータ3b)により走行する下部走行体11と、下部走行体11の上に取り付けられ、旋回油圧モータ4により旋回する上部旋回体12とからなる。
【0017】
フロント作業装置1Aは、垂直方向にそれぞれ回動する複数の被駆動部材(ブーム8、アーム9及びバケット10)を連結して構成されている。ブーム8の基端は上部旋回体12の前部においてブームピンを介して回動可能に支持されている。ブーム8の先端にはアームピンを介してアーム9が回動可能に連結されており、アーム9の先端にはバケットピンを介してバケット10が回動可能に連結されている。ブーム8はブームシリンダ5によって駆動され、アーム9はアームシリンダ6によって駆動され、バケット10はバケットシリンダ7によって駆動される。
【0018】
ブーム8、アーム9、バケット10の回動角度α、β、γ(
図4A参照)を測定可能なように、ブームピンにブーム角度センサ30、アームピンにアーム角度センサ31、バケットリンク13にバケット角度センサ32が取り付けられ、上部旋回体12には基準面(例えば水平面)に対する上部旋回体12(車体1B)の傾斜角φ(
図4A参照)を検出する車体傾斜角センサ33が取り付けられている。なお、角度センサ30、31、32はそれぞれ基準面(例えば水平面)に対する角度センサに代替可能である。
【0019】
上部旋回体12と下部走行体11の相対角度θ(
図4A、B参照)を測定可能なように、旋回中心軸(旋回軸とも称する)に旋回角度センサ34が取り付けられている。
【0020】
上部旋回体12に設けられた運転室120内には、走行右油圧モータ3a(下部走行体11)を操作するための走行右レバー23aと、走行左油圧モータ3b(下部走行体11)を操作するための走行左レバー23bと、ブームシリンダ5(ブーム8)及びバケットシリンダ7(バケット10)を操作するための操作右レバー22aと、アームシリンダ6(アーム9)及び旋回油圧モータ4(上部旋回体12)を操作するための操作左レバー22bが設置されている。以下では、走行右レバー23a、走行左レバー23b、操作右レバー22aおよび操作左レバー22bを操作装置22、23と総称することがある。
【0021】
また、運転室120内には、エンジン回転数を設定するためのエンジン回転数設定装置480が設置されている。また、車体1Bには制御コントローラ40が搭載されている。
【0022】
図2に示すように、上部旋回体12に搭載された原動機であるエンジン18は、油圧ポンプ2a、2bとパイロットポンプ48を駆動する。油圧ポンプ2a、2bはレギュレータ2aa、2baによって容量が制御される可変容量型ポンプであり、パイロットポンプ48は固定容量型ポンプである。油圧ポンプ2およびパイロットポンプ48はタンク200より作動油を吸引する。本実施形態においては、
図2に示すように、制御コントローラ40から出力された制御信号が、レギュレータ2aa、2baに入力される。レギュレータ2aa、2baの詳細構成は省略するが、油圧ポンプ2a、2bの吐出流量が当該制御信号に応じて制御される。
【0023】
パイロットポンプ48の吐出配管であるポンプライン130はロック弁39を通った後、電磁弁ユニット160内の各電磁比例弁に接続している。ロック弁39は本例では電磁切換弁であり、その電磁駆動部は運転室120(
図1)に配置されたゲートロックレバー(不図示)の位置検出器と電気的に接続している。ゲートロックレバーのポジションは位置検出器で検出され、その位置検出器からロック弁39に対してゲートロックレバーのポジションに応じた信号が入力される。ゲートロックレバーのポジションがロック位置にあれば、ロック弁39が閉じてポンプライン130が遮断され、ロック解除位置にあれば、ロック弁39が開いてポンプライン130が開通する。つまり、ポンプライン130が遮断された状態では操作装置22、23による操作が無効化され、走行、旋回、掘削等の動作が禁止される。
【0024】
操作装置22、23は、電気レバー方式であり、オペレータの操作量と操作方向に応じた電気信号を発生させる。このように発生した電気信号は制御コントローラ40に入力され、操作装置22、23に入力された操作に応じた電磁弁50~55(
図3参照)を駆動させるべく、制御コントローラ40は電磁弁ユニット160に電気信号を出力する。電磁比例弁50~55は、入力された電気信号に応じて対応する流量制御弁15a~15fの油圧駆動部150a~155bにパイロットライン140a~145bを介して供給され、これら流量制御弁15a~15fを駆動する制御信号として利用される。
【0025】
油圧ポンプ2から吐出された圧油は、流量制御弁15a、15b、15c、15d、15e、15fを介して走行右油圧モータ3a、走行左油圧モータ3b、旋回油圧モータ4、ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7に供給される。供給された圧油によってブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7が伸縮することで、ブーム8、アーム9、バケット10がそれぞれ回動し、バケット10の位置及び姿勢が変化する。また、供給された圧油によって旋回油圧モータ4が回転することで、下部走行体11に対して上部旋回体12が旋回する。そして、供給された圧油によって走行右油圧モータ3a、走行左油圧モータ3bが回転することで、下部走行体11が走行する。
【0026】
旋回油圧モータ4、ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7には、そのアクチュエータ圧が検出できるように圧力センサ16a~16f、16k~16lが備えられる。圧力センサ16a~16f、16k~16lは、旋回油圧モータ4の入出力ラインそれぞれの圧力、ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7のボトム側の圧力とロッド側の圧力をそれぞれ検出し、電気信号として制御コントローラ40へ出力する(
図2では圧力センサ16a~16f、16k~16lから制御コントローラ40への接続線は紙面の都合上不図示)。
【0027】
走行油圧モータ3a、3bと流量制御弁15e、15fの接続される流路には、走行油圧モータ3a、3bのアクチュエータ圧が検収できるように圧力センサ16g~16jが備えられる。圧力センサ16g~16jは、走行油圧モータ3a、3bの入出力ラインのそれぞれの圧力を検出し、電気信号として制御コントローラ40へ出力する(
図2では圧力センサ16g~16jから制御コントローラ40への接続線は紙面の都合上不図示)。
【0028】
エンジン18は、制御コントローラ40の制御信号に応じてエンジン18の回転数などを制御するエンジン制御コントローラ470を備えている。エンジン18は、エンジン回転数を検出するための回転センサであるエンジン回転数検出装置490を備えている。
【0029】
<電磁弁ユニット160>
図3に示すように、電磁弁ユニット160は、一次ポート側がポンプライン130を介してパイロットポンプ48に接続され、パイロットポンプ48からのパイロット圧を減圧してパイロットライン140a~145bに出力する電磁比例弁50a~55bを備えている。
【0030】
パイロットライン140a~145bには、電磁比例弁50a~55bの出力圧を検出できるように圧力センサ17a~17lを備えている。
【0031】
電磁比例弁50a~55bは、非通電時には開度が最小で、制御コントローラ40からの制御信号である電流を増大させるほど開度は大きくなる。このように各電磁比例弁50a~55bの開度は制御コントローラ40からの制御信号に応じたものとなる。
【0032】
電磁比例弁54a、55aは走行油圧モータ3を下部走行体11が前進する方向に駆動させ、電磁比例弁54b、55bは走行油圧モータ3を下部走行体11が後進する方向に駆動させる。
【0033】
上記のように構成される電磁弁ユニット160において、制御コントローラ40から制御信号を出力して電磁比例弁50a~55bを駆動すると、対応する操作装置22、23のオペレータ操作が無い場合にもパイロット圧を発生できるので、各アクチュエータ(3~7)の動作を強制的に発生できる。
【0034】
ここで、油圧ショベルに設定される油圧ショベル座標系について説明する。
図4A、Bは、ショベル座標系について説明する図であり、
図4Aは側面図を、
図4Bは上面図をそれぞれ示している。
【0035】
図4A、Bに示すように、本実施形態においては、油圧ショベル1に対して、ショベル座標系を定義する。ショベル座標系は、下部走行体11に対して固定のXYZ座標系であり、上部旋回体12の旋回中心軸に沿う方向に旋回中心点を通って上方を正とするZ軸と、下部走行体11に対して上部旋回体12が正面を向いた姿勢のときに、フロント作業装置1Aの稼働する平面に沿う方向であってZ軸に垂直にブームの基端を通って前方を正とするX軸と、Z軸とX軸の交点を通り、右手座標系となるように
図4A紙面手前方向を正とするY軸とを有する車体座標系を設定する。
【0036】
また、X軸とZ軸の交点(原点O)からブーム基端までの距離をL0、ブーム8の長さ(両端の連結部の間の直線距離)をL1、アーム9の長さ(両端の連結部の間の直線距離)をL2、バケット10の長さ(アームとの連結部と爪先の間の直線距離)をL3とし、ブーム8とXY平面との成す角(長さ方向の直線とXY平面との相対角度)を回動角度α、アーム9とブーム8との成す角(長さ方向の直線の相対角度)を回動角度β、バケット10とアーム9との成す角(長さ方向の直線の相対角度)を回動角度γ、下部走行体11と上部旋回体12の成す角(Z軸上方からXY平面を俯瞰したときのフロント作業装置1Aの中心線とX軸との相対角度、
図4A参照)を回動角度(相対角度)θと定義する。これにより、ショベル座標系におけるバケット爪先位置の座標およびフロント作業装置1Aの姿勢はL0、L1、L2、L3、α、β、γ、θで表現することができる。
【0037】
さらに、油圧ショベル1の車体1Bの水平面に対する前後方向の傾きを角度(傾斜角)φ(
図4A参照)とする。
【0038】
図5は本発明の一実施形態に係る油圧ショベルが備えるシステムの構成図である。
【0039】
図5のシステムは、姿勢検出装置60と、操作装置22、23と、運転室120内に備えられ、エンジン回転数を設定するためのエンジン回転数設定装置480と、同じく運転室120内に備えられ、制御を司るコンピュータである制御コントローラ(制御装置)40と、制御コントローラ40の制御信号に応じてエンジン18の回転数などを制御するエンジン制御コントローラ470と、制御コントローラ40の制御信号に応じて各アクチュエータ(3~7)の動作を発生させる電磁比例弁50~55と、を備えている。
【0040】
姿勢検出装置60は、ブーム角度センサ30、アーム角度センサ31、バケット角度センサ32、車体傾斜角センサ33、旋回角度センサ34から構成される。これらの角度センサ30、31、32、34及び傾斜角センサ33は、フロント作業装置1Aの姿勢を検出する姿勢センサとして機能している。
【0041】
油圧ショベル1は、油圧ショベル1の操作状態を搭乗操作状態と自動制御状態とで切り替える制御切替装置650を備えている。制御切替装置650は、例えば運転室120内に備えられている。搭乗操作状態が選択されている場合には、油圧ショベル1は運転室120内に搭乗したオペレータによって操作装置22、23が操作され、この操作装置22、23から出力される信号に基づいて動作し、自動制御状態が選択されている場合には、油圧ショベル1はオペレータによる操作装置22、23の操作によらず、後述する通信装置670で受信した信号に基づいて動作する。
【0042】
さらに自動制御には、走行動作を自動化する自動走行制御と掘削作業を自動化する自動作業制御(自動掘削制御)とがある。
【0043】
油圧ショベル1は、油圧ショベル1の位置と方位を検出する自己位置検出装置660を備えている。自己位置検出装置660は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)で構成しても良いし、LiDARやステレオカメラによるSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)を用いて自己位置を検出するように構成しても良い。
【0044】
油圧ショベル1は、油圧ショベル1の周囲の地形を計測する地形計測装置680を備えている。地形計測装置680は、例えばLiDARやステレオカメラ、ミリ波レーダ、超音波センサ等で構成しても良い。地形計測装置680は、油圧ショベル1に設置されていても良いし、油圧ショベル1の周囲を計測できるように油圧ショベル1の外部に設置されていても良い。
【0045】
油圧ショベル1は、外部システムと通信を行う(言い換えると、油圧ショベル1と外部システムを通信可能に接続する)通信装置670、671を備えている。通信装置670、671は、油圧ショベル1に設置されていても良いし、油圧ショベル1の外部に設置されていても良い。また、通信装置(受信部)670と通信装置(送信部)671は、一部品として構成しても良いし、別部品として構成しても良い。通信装置(受信部)670は、外部システムから当該油圧ショベル1の自動制御に関わる信号を受信する。通信装置(送信部)671は、外部システムへ当該油圧ショベル1の状態を送信する。
【0046】
<制御コントローラ40>
図5において制御コントローラ40は、入力部91と、プロセッサである中央処理装置(CPU)92と、記憶装置であるリードオンリーメモリ(ROM)93及びランダムアクセスメモリ(RAM)94と、出力部95とを有している。入力部91は、姿勢検出装置60である角度センサ30~32、34及び傾斜角センサ33からの信号と、操作装置22、23からの操作量を示す信号と、エンジン回転数設定装置480からの信号と、制御切替装置650からの信号と、自己位置検出装置660からの信号と、通信装置670からの信号と、地形計測装置680からの信号を入力し、CPU92が演算可能なように変換する。ROM93は、後述するフローチャートに係る処理を含めた制御内容を実行するための制御プログラムと、当該フローチャートの実行に必要な各種情報等が記憶された記録媒体であり、CPU92は、ROM93に記憶された制御プログラムに従って入力部91及びメモリ(93、94)から取り入れた信号に対して所定の演算処理を行う。出力部95は、CPU92での演算結果に応じた出力用の信号を作成し、その信号をエンジン制御コントローラ470や電磁比例弁50~55に出力することで、エンジン18、油圧アクチュエータ(3~7)を駆動・制御する。出力部95は、CPU92での演算結果を通信装置671に送信することで、油圧ショベル1の状態を油圧ショベル1の外部(外部システム)へ送信する。
【0047】
なお、
図5の制御コントローラ40は、記憶装置としてROM93及びRAM94という半導体メモリを備えているが、記憶装置であれば代替可能であり、例えばハードディスクドライブ等の磁気記憶装置を備えても良い。
【0048】
図6、
図7は、制御コントローラ40の機能ブロック図である。
図6は制御切替装置650が搭乗操作状態のとき(搭乗したオペレータによる手動操作時)に実行される機能ブロック図を示しており、
図7は制御切替装置650が自動制御状態のとき(オペレータの操作によらない自動での運転時)に実行される機能ブロック図を示している。
【0049】
制御コントローラ40は、電磁比例弁制御部44と、目標動作演算部710と、エンジン回転数設定部740と、掘削軌道計画部700と、自動運転制御部701と、現況地形演算部702と、を備えている。
【0050】
エンジン回転数設定部740(
図6)は、エンジン回転数設定装置480からの信号に基づき、目標とするエンジン回転数を設定し、設定した目標エンジン回転数に相当する信号をエンジン制御コントローラ470に出力する。
【0051】
目標動作演算部710(
図6)は、操作装置22、23から出力された操作信号と姿勢検出装置60からの信号に基づいて、操作装置22、23の操作に対応する電磁比例弁50~55の目標制御圧を演算し、出力する。具体的な演算内容は、
図8に示すような操作信号に対応した電磁比例弁目標制御圧をテーブルとしてあらかじめ設定し、これに従って各電磁比例弁50~55の目標制御圧を出力する。
【0052】
掘削軌道計画部700(
図7)は、通信装置670からの信号(現況地形データと予想地形データ、掘削領域、放土領域)と、姿勢検出装置60からの信号(油圧ショベル1の姿勢情報)と、自己位置検出装置660からの信号(油圧ショベル1の位置)を用いて、後述するフローチャートに従って掘削を行うための車体(が有するフロント作業装置1Aの例えばバケット10)の動作軌道の計画と地形変化の予測を行う。掘削軌道計画部700は、演算した動作軌道を自動運転制御部701へ送信し、地形変化の予想結果を通信装置671へ出力する。
【0053】
自動運転制御部701(
図7)は、掘削軌道計画部700から受信する目標位置と、姿勢検出装置60からの信号に基づいて、自動掘削を行うための電磁比例弁50~53の目標制御圧を算出する。具体的には、例えば、姿勢検出装置60の結果を用いて、バケット先端(爪先)位置P(
図4A、B参照)を算出し、目標位置へ向かうための方向を算出する。その後、その方向へ動作させるために油圧ショベル1のアクチュエータをどのように動作させると良いかを演算し、それを実現するための電磁比例弁50~53の目標制御圧を算出し、油圧ショベル1を動作させる。
【0054】
電磁比例弁制御部44(
図6、
図7)は、目標動作演算部710または自動運転制御部701で出力される目標制御圧に応じて、対応する電磁比例弁50~55の制御指令値を出力する。
【0055】
現況地形演算部702(
図7)は、地形計測装置680で取得したデータについて、姿勢検出装置60と自己位置検出装置660からの信号からグローバル座標系におけるどの位置の地形データであるかの座標変換を行い、通信装置671へ出力する。
【0056】
<サーバシステム800と制御コントローラ840の構成>
図1において、サーバシステム800は制御コントローラ840を備える。
【0057】
図9において制御コントローラ840は、入力部191と、プロセッサである中央処理装置(CPU)192と、記憶装置であるリードオンリーメモリ(ROM)193及びランダムアクセスメモリ(RAM)194と、出力部195とを有している。入力部191は、通信装置690からの信号を入力し、CPU192が演算可能なように変換する。ROM193は、後述する機能ブロック図に係る処理を含めた制御内容を実行するための制御プログラムと、当該制御プログラムの実行に必要な各種情報等が記憶された記録媒体であり、CPU192は、ROM193に記憶された制御プログラムに従って入力部191及びメモリ(193、194)から取り入れた信号に対して所定の演算処理を行う。出力部195は、CPU192での演算結果に応じた出力用の信号を作成し、その信号を通信装置691に送信することで、サーバシステム800の状態をサーバシステム800の外部へ送信する。
【0058】
なお、
図9の制御コントローラ840は、記憶装置としてROM193及びRAM194という半導体メモリを備えているが、記憶装置であれば代替可能であり、例えばハードディスクドライブ等の磁気記憶装置を備えても良い。
【0059】
図10は、制御コントローラ840の機能ブロック図である。
【0060】
制御コントローラ840は、地形データ管理部750と、現況地形データ記憶部751と、予想地形データ記憶部752と、を備えている。
【0061】
地形データ管理部750は、通信装置690から受信した現況地形データから現況地形情報を更新し、現況地形データ記憶部751へ送信し、データを格納する。また、地形データ管理部750は、現況地形データ記憶部751に格納されている現況地形データを取得し、通信装置691へ送信することで、サーバシステム800の外部のシステム(例えば、油圧ショベル1)へ現況地形データを送信する。
【0062】
地形データ管理部750は、通信装置690から受信した予想地形データを、予想地形データ記憶部752へ送信し、データを格納する。また、地形データ管理部750は、予想地形データ記憶部752に格納されている予想地形データを取得し、通信装置691へ送信することで、サーバシステム800の外部のシステム(例えば、油圧ショベル1)へ予想地形データを送信する。さらに、地形データ管理部750は、不要になった予想地形データ(例えば、後述する地形が変化する予想時間を過ぎた予想地形データ)を予想地形データ記憶部752から削除する。
【0063】
現況地形データ記憶部751は、現況地形データが格納されている。データの形式は、例えばLiDARから取得されるような点群データである。
【0064】
予想地形データ記憶部752は、予想地形データが格納されている。データの形式は、例えばLiDARから取得されるような点群データであるが、現況地形データと異なり、未来のいつの時点の地形であるかの時刻情報も含んでいる。
【0065】
なお、現況地形データ記憶部751や予想地形データ記憶部752に格納される点群データはデータ形式の一例であり、TIN(Triangulated Irregular Network)やグリッドマップ形式などであっても良い。
【0066】
<制御フローチャート>
図11に、本実施形態の掘削軌道計画部700の制御フローチャートを示す。
図11の掘削軌道計画部700の制御フローチャートについて説明する。
【0067】
S400では、通信装置670を介してサーバシステム800より受信した掘削領域と、姿勢検出装置60で検出される現在姿勢より、掘削領域へ到達するまでの時間を演算する。
【0068】
S410では、S400で演算された掘削領域へ到達するまでの時間から、掘削領域へ到達する時刻(つまり、想定する掘削時刻)を算出し、予想地形データ記憶部752に格納されている予想地形データのうち、算出された時刻における掘削領域内の地形の予想地形データが存在するか否かを確認する。換言すると、予想地形データ記憶部752に格納されている予想地形データのうち、動作を行う時刻に作業を行う範囲(掘削領域)内の予想地形データが存在するか否かを確認する。これにより、通信装置690を介して油圧ショベル1より通知されて地形データ管理部750で管理される予想地形データに基づいて、動作を行う時刻に作業を行う範囲(掘削領域)の地形が変化するか否かを確認する。
【0069】
S420では、S410での確認の結果、予想地形データが有る場合(すなわち、動作を行う時刻に作業を行う範囲の地形が変化する)はS430へ、予想地形データが無い場合はS440へ進む。
【0070】
S430では、掘削領域へ到達する際の時刻を含む予想地形データに基づき、車体が動作する軌道を計画する。
【0071】
S440では、現況地形データに基づき、車体が動作する軌道を計画する。
【0072】
なお、S430およびS440で計画される地形データに基づいて車体が動作する軌道を計画するとは、例えば、掘削領域内の土砂のうち、地形の頂点部を含み、バケットに含むことができる容積分をバケットが通過するような軌道を演算する、などである。
【0073】
S450では、軌道計画を行った結果、地形を変化させる軌道があるかどうかを判定する。換言すると、S430およびS440で計画される動作軌道によって地形が変化するかどうかを判定する。判定の結果、YES(地形が変化する)の場合はS460へ進み、NO(地形が変化しない)の場合は処理を終了する。
【0074】
S460では、S450で地形が変化するため、いつどのように地形が変化するかの予想地形データを作成し、通信装置671を介して、サーバシステム800へ作成した予想地形データ(言い換えると、地形変化の予想結果)を送信する。
【0075】
S460での予想地形データの作成方法について、例えば
図12A、Bのように予想地形データを作成してよい。
【0076】
図12Aに、掘削時に地形がどのような形になるかの算出方法を示す。
図12Aでは、バケットの爪先の軌道より上方にある土砂が取り除かれるものとして形状を算出している。
【0077】
図12Bに、土砂を放土した際にどのような形になるかの算出方法を示す。
図12Bでは、放土位置にある土砂に対してバケットの容積分の体積(図面斜線部)だけ大きくなるように算出している。
【0078】
図12A、Bでは、土砂の形状変化を算出する一例を示したが、その他の算出方法であっても良い。例えば、土砂を粒子モデルとして扱いシミュレーションを行うなどで土砂の形状変化を算出しても良い。
【0079】
<動作・効果>
以下、
図13、
図14を用いて、動作例を示す。
【0080】
図13には動作のタイムチャート図、
図14には2台の油圧ショベル300、301の作業の概略図を示す。
【0081】
図14のように、油圧ショベル300が領域311の土砂を掘削し、領域310に放土し、油圧ショベル301は、領域310にある土砂を掘削し、運搬機302の荷台へ積み込む作業についての動作例を示す。
【0082】
油圧ショベル300、301は共に本実施形態の油圧ショベル1の構成である。
【0083】
サーバシステム800(
図14には不図示)から油圧ショベル300の掘削領域として領域311が設定され、放土領域として領域310が設定される。
【0084】
サーバシステム800(
図14には不図示)から油圧ショベル301の掘削領域として領域310(油圧ショベル300の放土領域と共通の作業領域)が設定され、放土領域として運搬機302の荷台が設定される。
【0085】
【0086】
サーバシステム800より油圧ショベル300に自動運転開始指令が送信されると、油圧ショベル300は車体(が有するフロント作業装置の例えばバケット)の動作の軌道を計画する(
図13A~B)。
【0087】
動作計画(
図13A~B)では、
図11のフローチャート図に従って処理が実行される。
【0088】
S400にて、現在の姿勢と掘削領域である領域311の位置関係から車体(が有するフロント作業装置の例えばバケット)の到達時間を計算する。
【0089】
S410にて、S400で算出された到達時間から、掘削する時刻における領域311が含まれる予想地形データが存在するかどうかを確認する。この時点(
図13A~B)では予想地形データが存在していないため(S420、NO)、S440に進む。
【0090】
S440にて、領域311を掘削して領域310に放土するための車体(が有するフロント作業装置の例えばバケット)の動作軌道を計画する。
【0091】
S450にて、軌道計画の中に地形変化があるかどうかを判定する。換言すると、動作軌道によって地形が変化するかどうかを判定する。この時点(
図13A~B)では、領域311が掘削されるため地形が変化し、領域310が放土のため地形が変化するため、地形変化があると判定し、S460へ進む。
【0092】
S460にて、
図12A、Bの手法により(l時m分n秒の)予想地形データを作成する。さらに、作成した予想地形データを通信装置671を介してサーバシステム800へ送信する(
図13B、N)。
【0093】
油圧ショベル300は動作計画が終了したため、
図13B~Eの間、自動運転で作業を実行する。
【0094】
次に、サーバシステム800より油圧ショベル301に自動運転開始指令が送信されると、油圧ショベル301は車体(が有するフロント作業装置の例えばバケット)の動作の軌道を計画する(
図13H~I)。
【0095】
動作計画(
図13H~I)では、
図11のフローチャート図に従って処理が実行される。
【0096】
S400にて、現在の姿勢と掘削領域である領域310の位置関係から車体(が有するフロント作業装置の例えばバケット)の到達時間を計算する。
【0097】
S410にて、S400で算出された到達時間から、掘削する時刻における領域310が含まれる予想地形データが存在するかどうかを確認する。この時点(
図13H~I)では、油圧ショベル300が
図13Nの時点で領域310を含む領域での(l時m分n秒の)予想地形データを送信しており、予想地形データ記憶部752に予想地形データが存在しているため(S420、YES)、S430に進む。
【0098】
S430にて、
図13Nで登録されている(l時m分n秒の)予想地形データに基づいて油圧ショベル301の車体(が有するフロント作業装置の例えばバケット)の動作軌道を計画する。
【0099】
S450にて、軌道計画の中に地形変化があるかどうかを判定する。換言すると、動作軌道によって地形が変化するかどうかを判定する。この時点(
図13H~I)では、領域310を掘削するため地形変化があると判定し、S460へ進む。
【0100】
S460にて、
図12Aの手法により(o時p分q秒の)予想地形データを作成し、作成した予想地形データを通信装置671を介してサーバシステム800へ送信する(
図13I、P)。
【0101】
油圧ショベル301は動作計画が終了したため、
図13I~Lの間、自動運転で作業を実行する。
【0102】
ここで、
図13のl時m分n秒の時点で、油圧ショベル300が領域310へ土砂の放土が完了し、領域310の地形が変化する。その後、油圧ショベル301が領域310の土砂を掘削するが、
図13H~Iの動作計画時に領域310の土砂が変化することを考慮して動作軌道を計画しているため、効率よく作業を実施できる。
【0103】
図13 Oでは、予想地形データの時刻(地形が変化する予想時刻)が十分時間経過したため、地形データ管理部750は予想地形データ記憶部752から予想地形データ(地形が変化する予想時刻を過ぎた予想地形データ)を削除する。
【0104】
以降、同様に、油圧ショベル300は、動作計画(
図13E~F)の処理および
図13F以降の自動運転での作業を実行し、油圧ショベル301は、動作計画(
図13L~M)の処理および
図13M以降の自動運転での作業を実行する。
【0105】
上記のように、本実施形態の作業機械(油圧ショベル1)の自動制御システムは、複数のアクチュエータ(3~7)によって駆動する複数の被駆動部材を有する作業機械と、前記作業機械を制御する制御装置(制御コントローラ40)と、地形データを管理する地形データ管理装置(地形データ管理部750)と、を備え、前記制御装置は、前記地形データに基づいて前記作業機械の動作軌道を計画する動作軌道計画部(掘削軌道計画部700)を備え、前記動作軌道計画部は、前記動作軌道によって地形が変化するか否かを判定し、地形が変化すると判定される場合、地形がいつどのように変化するかを示した予想地形データを作成して前記地形データ管理装置へ通知し、前記動作軌道計画部は、前記作業機械の次の動作軌道を計画する際に、前記地形データ管理装置へ通知された前記予想地形データに基づいて、動作を行う時刻に作業を行う範囲(掘削領域)の地形が変化するか否かを確認し、地形が変化する場合は前記予想地形データに基づいて前記作業機械の動作軌道を計画する。
【0106】
また、前記地形データ管理装置(地形データ管理部750)は、地形が変化する予想時刻を過ぎた後に前記地形が変化する予想時刻を過ぎた前記予想地形データを削除する。
【0107】
上記のように構成される作業機械の自動制御システムにおいて、予想した地形データを基に動作軌道を計画するため、作業機械の自動運転(自動制御)について効率よく作業を行うことができる。
【0108】
上記の実施形態では、ブーム8、アーム9、バケット10の角度を検出する角度センサを用いたが、角度センサではなくシリンダストロークセンサにより油圧ショベル1の姿勢情報を算出するとしても良い。また、電気レバー式の油圧ショベル1を例として説明したが、油圧パイロット式のショベルであれば油圧パイロットから生成される指令パイロット圧を制御するような構成としても良い。
【0109】
上記の制御コントローラ40、840に係る各構成や当該各構成の機能及び実行処理等は、それらの一部又は全部をハードウェア(例えば各機能を実行するロジックを集積回路で設計する等)で実現しても良い。また、上記の制御コントローラ40、840に係る構成は、演算処理装置(例えばCPU)によって読み出し・実行されることで当該制御コントローラ40、840の構成に係る各機能が実現されるプログラム(ソフトウェア)としてもよい。当該プログラムに係る情報は、例えば、半導体メモリ(フラッシュメモリ、SSD等)、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ等)及び記録媒体(磁気ディスク、光ディスク等)等に記憶することができる。
【0110】
上記の実施形態の動作例として、2台の油圧ショベルの協働作業を例としたが、3台以上の作業機械に適用してもよい。さらに、1台で複数の作業装置を備えた作業機械(例えば双腕機など)に適用しても良い。
【0111】
上記の実施形態では、地形データ管理部750、現況地形データ記憶部751、予想地形データ記憶部752をサーバシステム800へ実装した例を示したが、作業機械に実装しても良い。
【0112】
上記の実施形態では、油圧ショベルを例に示したが、地形を変化させる作業を行う作業機械(例えばホイールローダなど)に適用しても良い。
【0113】
上記の実施形態では、掘削作業を例に示したが、地形を変化させる作業について適用可能であり、例えば整地作業などへ適用しても良い。
【0114】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形形態が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0115】
1…油圧ショベル(作業機械)
1A…フロント作業装置
1B…車体
8…ブーム
9…アーム
10…バケット
16a~16f…圧力センサ
22、23…操作装置
30…ブーム角度センサ
31…アーム角度センサ
32…バケット角度センサ
40、840…制御コントローラ(制御装置)
44…電磁比例弁制御部
50、51、52、53、54、55…電磁比例弁
60…姿勢検出装置
300、301…油圧ショベル
302…運搬機
310、311…領域
470…エンジン制御コントローラ
480…エンジン回転数設定装置
650…制御切替装置
660…自己位置検出装置
670、671、690、691…通信装置
680…地形計測装置
700…掘削軌道計画部(動作軌道計画部)
701…自動運転制御部
702…現況地形演算部
710…目標動作演算部
740…エンジン回転数設定部
750…地形データ管理部(地形データ管理装置)
751…現況地形データ記憶部
752…予想地形データ記憶部
800…サーバシステム