(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049032
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】基板ホルダ及び基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
B05C 1/02 20060101AFI20240402BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240402BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B05C1/02 102
B05D3/00 G
B05C13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155258
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】碓氷 孝樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 剛志
【テーマコード(参考)】
4D075
4F040
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AC21
4D075AC28
4D075AC29
4D075AC86
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC93
4D075BB05Y
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075DB14
4D075EA05
4D075EA35
4D075EA45
4F040AA02
4F040AB04
4F040AC01
4F040BA16
4F040CB14
4F040CB15
4F040CB40
4F042AA02
4F042BA08
4F042BA10
4F042DF05
4F042DF29
(57)【要約】
【課題】 ローラ体を利用した基板への膜形成において、基板のクラック、破断、気泡の混入等の不具合を抑制できる基板ホルダ及び基板の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 上面11、下面12及び上面11と下面12とを接続する側面13を有し、上面11に基板20を収容する収容部14を備え、収容部14に収容された基板20の表面にローラ体31を接触させ膜を形成するための基板ホルダ10であって、側面13は、上面11または下面12に向かうにしたがって基板ホルダ10の内方に傾斜した傾斜面15を備える。また、基板ホルダ10の傾斜面15をローラ体31の移動方向上に配置して基板20と基板ホルダ10を相対移動させ、基板20の表面に膜を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、下面及び前記上面と前記下面とを接続する側面を有し、前記上面に基板を収容する収容部を備え、当該収容部に収容された基板の表面にローラ体を接触させ膜を形成するための基板ホルダであって、
前記側面は、前記上面または前記下面に向かうにしたがって前記基板ホルダの内方に傾斜した傾斜面を備えることを特徴とする基板ホルダ。
【請求項2】
前記収容部は底面と側面とを備える凹部形状であることを特徴とする請求項1に記載の基板ホルダ。
【請求項3】
前記基板ホルダは前記基板より小さいヤング率を有する材料により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板ホルダ。
【請求項4】
基板の製造方法において、
上面、下面及び前記上面と前記下面とを接続する側面を有し、前記上面に基板を収容する収容部を備えた基板ホルダを用意する工程と、
前記収容部に基板を収容する工程と、
前記収容部に収容された前記基板の表面に膜を形成する工程と、を有し、
前記基板ホルダの前記側面は、前記上面または前記下面に向かうにしたがって前記基板ホルダの内方に傾斜した傾斜面を備え、
前記膜を形成する工程は、前記膜となる材料を含むローラ体と前記基板ホルダとを相対移動させ、前記基板と前記ローラ体とを接触させて前記基板に前記膜となる材料を付着させる工程であり、
前記傾斜面は、前記基板ホルダと前記ローラ体の移動方向上に配置されている
ことを特徴とする基板の製造方法。
【請求項5】
前記ローラ体は前記傾斜面を経由して前記基板と接触することを特徴とする請求項4に記載の基板の製造方法。
【請求項6】
前記ローラ体はロール状のフィルムレジストであり、前記膜は前記フィルムレジストであることを特徴とする請求項4に記載の基板の製造方法。
【請求項7】
前記ローラ体の下方に配置されたローラを備え、前記膜を形成する工程は、前記ローラ体と前記ローラとの間に前記収容部に収容された前記基板ホルダを通過させることで前記基板に前記膜を形成する工程であることを特徴とする請求項4に記載の基板の製造方法。
【請求項8】
前記ローラ体または前記ローラは、前記基板の前記下面と直交する方向に移動可能である、ことを特徴とする請求項7に記載の基板の製造方法。
【請求項9】
前記基板ホルダは前記基板より小さいヤング率を有する材料により構成されていることを特徴とする請求項4に記載の基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面にレジスト膜等の膜を形成するために利用される基板ホルダ及びこの基板ホルダを用いて基板表面に膜を形成する基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板の表面にレジスト膜等の膜を形成する方法として、スクリーン印刷法、カーテンコーテイング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法等が利用されている。ロールコーティング法においては、基板と基板に形成される膜材料を表面に含むローラとを相対移動して基板表面にローラ表面を接触させ、ローラ表面の膜材料を基板表面に付着させることで基板表面に膜を形成する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロールコーティング法による基板への膜形成では、基板の表面とローラの表面とを確実に密着させるため、ローラから基板に向かって所定の圧力を印加した状態で基板とローラとを相対移動させる。しかしながら、このローラから基板への圧力が大きいと、基板にクラックや破断といった不具合を生じることがある。このクラックや破断は、特に基板とローラとの接触が開始または終了する基板の端部において生じやすい。ここで、ローラから基板への圧力を小さくすることでこのクラックや破断を防止することは可能であるが、ローラから基板への圧力が小さいと基板とローラとの密着が不十分となり、基板表面と基板に付着される膜材料との間への気泡の混入や、形成された膜の厚みが均一でない等の不具合が生じる。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、ローラ体を利用した基板への膜形成において、基板のクラック、破断、気泡の混入等の不具合を抑制できる基板ホルダ及び基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上面、下面及び前記上面と前記下面とを接続する側面を有し、前記上面に基板を収容する収容部を備え、当該収容部に収容された基板の表面にローラ体を接触させ膜を形成するための基板ホルダであって、前記側面は、前記上面または前記下面に向かうにしたがって前記基板ホルダの内方に傾斜した傾斜面を備える基板ホルダとする。
前記収容部は底面と側面とを備える凹部形状としてもよく、前記基板ホルダは前記基板より小さいヤング率を有する材料により構成してもよい。
また、基板の製造方法において、上面、下面及び前記上面と前記下面とを接続する側面を有し、前記上面に基板を収容する収容部を備えた基板ホルダを用意する工程と、前記収容部に基板を収容する工程と、前記収容部に収容された前記基板の表面に膜を形成する工程と、を有し、前記基板ホルダの前記側面は、前記上面または前記下面に向かうにしたがって前記基板ホルダの内方に傾斜した傾斜面を備え、前記膜を形成する工程は、前記膜となる材料を含むローラ体と前記基板ホルダとを相対移動させ、前記基板と前記ローラ体とを接触させて前記基板に前記膜となる材料を付着させる工程であり、前記傾斜面は、前記基板ホルダと前記ローラ体の移動方向上に配置されている基板の製造方法とする。
前記ローラ体は前記傾斜面を経由して前記基板と接触させてもよい。
また、前記ローラ体はロール状のフィルムレジストであり、前記膜は前記フィルムレジストとしてもよい。
また、前記ローラ体の下方に配置されたローラを備え、前記膜を形成する工程は、前記ローラ体と前記ローラとの間に前記収容部に収容された前記基板ホルダを通過させることで前記基板に前記膜を形成する工程としてもよい。
さらにまた、前記ローラ体または前記ローラは、前記基板の前記下面と直交する方向に移動可能としてもよい。
さらにまた、前記基板ホルダは前記基板より小さいヤング率を有する材料により構成してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の基板ホルダ及び基板の製造方法によれば、ローラ体を利用した基板への膜形成において生じる前述する不具合を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例による基板ホルダを示す図である。
【
図2】本発明の一実施例による基板の製造方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。図面においては各構成をわかりやすくするために実際の形状や実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
図1は本発明の一実施例による基板ホルダを示す図であり、(a)は平面図、(b)はA-A断面における正面断面図である。基板ホルダ10は平面視が矩形形状の板状部材であり、例えば、ポリオキシメチレン(POM)やポリエーテルケトン(PEEK)、ポリテロラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン等の樹脂材料によって構成することができ、本実施例ではナイロンである。基板ホルダ10の上面11には、底面14aと側面14bとを備え、開口が矩形形状の凹部からなる収容部14が形成されている。なお、底面14aは上面11と平行であり、側面14bは上面11と直交する面である。また、基板ホルダ10は、上面11と下面12とを接続する側面13の一部に上面11に向かうにしたがって基板ホルダ10の内方に傾斜した傾斜面15を備える。
【0011】
基板ホルダ10は、ローラ体を利用して基板へ膜を形成する際に利用されるものであり、収容部14は膜が形成される基板を収容する収容空間として機能する。収容部14の開口は収容される基板よりわずかに大きく、上面11から底面14aまでの長さは収容される基板の厚みよりわずかに小さく設定されている。
【0012】
傾斜面15は、基板への膜形成において基板ホルダ10を経由してローラ体を基板へ接触させる際の経路上に位置した側面13の上面11側に形成されており、傾斜面15が形成された側面13の下面12側は上面11と直交する面である。本実施例では、基板ホルダ10における対向する2つの側面13のそれぞれの全体にわたって傾斜面15を備える。基板ホルダ10は傾斜面15を備えることで、基板とローラ体との接触の開始、終了時にローラ体が基板の端部へ及ぼす応力を小さくすることができ、基板のクラックや破断の発生を抑制することができる。ここで、傾斜面15と上面11とのなす角θは大きい程、ローラ体が基板の端部へ及ぼす応力は小さくなり、好ましくは135°以上である。
【0013】
なお、本実施例では、基板ホルダ10の対向する2つの側面13のそれぞれに傾斜面15を備えた例を示したが、一つの側面13にのみ傾斜面15を備えていてもよい。また、基板ホルダ10の側面13の上面11側に傾斜面15を備えた例を示したが、下面12から上面11にわたる側面13全体を傾斜面15としてもよい。また、
図1に示す本実施例では、収容部14の開口端と傾斜面15とが離間している例を示しているが、収容部14の開口端部と傾斜面15とは離間せず、収容部14の縁部から傾斜面15が形成されていてもよい。
【0014】
次に、本発明の一実施例による基板の製造方法を説明する。
図2は本発明の基板の製造方法を示す模式図である。本実施例では、前述した基板ホルダ10を用い、基板にレジスト膜を形成する方法を例として本発明の基板の製造方法を説明する。
【0015】
[基板収容工程:
図2(a)]
まず、基板20と基板ホルダ10とを準備する。基板20は低温同時焼成セラミックス基板(LTCC基板)であり、一方の表面には銅箔(不図示)が形成されている。次に基板ホルダ10の収容部14に基板20を収容する。基板ホルダ10の収容部14は、基板20の外形よりわずかに大きく形成されており、基板20と収容部14の側面14bとの間には隙間21が形成される。また、基板ホルダ10の上面11から底面14aまでの長さは、収容部14に収容された基板20の厚みよりわずかに小さく設定されており、収容部14に収容された基板20の表面は基板ホルダ10の上面11からわずかに突出している。なお、基板ホルダ10の上面11から底面14aまでの長さを収容部14に収容される基板20の厚みと同じとし、収容部14に基板20を収容した際に、基板20と基板ホルダ10の上面11とが同一平面上となるようにしてもよい。
【0016】
[膜形成工程:
図2(b-1)、(b-2)]
次に、基板ホルダ10の収容部14に収容された基板20の表面にフィルムレジスト31の膜を形成する。本実施例において、基板20表面へのフィルムレジスト31の形成は、ロール状のフィルムレジスト31からなるローラ体を利用するロールコーティング法によって行う。ロール状のフィルムレジスト31は、シート状のフィルムレジスト31をロール状に巻いたものである。フィルムレジスト31は、感光性フィルム層とこの感光性フィルム層に積層された粘着剤層とからなり、ロール状のフィルムレジスト31の表面は粘着剤層が露出している。
【0017】
図2の(b-1)は膜形成工程において基板20へフィルムレジスト31を形成する前の状態を示し、(b-2)は基板20へフィルムレジスト31を形成した後の状態を示す。基板20の表面へのフィルムレジスト31の形成は、基板ホルダ10の上面11側に配置されたロール状のフィルムレジスト31と、基板ホルダ10の下面12側に配置されたローラ32との間に基板20を収容した基板ホルダ10を通過させることで行うことができる。ロール状のフィルムレジスト31とローラ32とはそれぞれの軸が平行となるように配置され、基板ホルダ10が通過していない状態では、フィルムレジスト31の外周とローラ32の外周とは基板ホルダ10の厚みより小さな隙間をもって対峙するようフィルムレジスト31とローラ32とは配置されている。ロール状のフィルムレジスト31は軸を中心に回転可能、かつ基板ホルダ10の下面12側を基準としたとき下面12と直交する上下方向に移動可能に保持され、フィルムレジスト31を回転させる回転機構(不図示)と接続されるとともに、フィルムレジスト31を下方向に向かって付勢する付勢機構(不図示)と接続されている。また、ローラ32は、フィルムレジスト31の下方に配置され、ローラ32の軸を中心として回転可能、かつ上下方向に移動しないよう固定、保持されている。
【0018】
基板20へのフィルムレジスト31の形成においては、まず、基板20を収容部14に収容した基板ホルダ10をフィルムレジスト31とローラ32との間に、基板ホルダ10の傾斜面15が形成された側面13側より進入させる。このときフィルムレジスト31は、フィルムレジスト31と接続された回転機構によってフィルムレジスト31のローラ32と対峙する面が基板20の進入方向に回転しており、基板ホルダ10はフィルムレジスト31との摩擦によって基板ホルダ10の進入方向へ移動する。また、フィルムレジスト31は上下方向に移動可能に保持されているため、基板ホルダ10の移動に伴い、フィルムレジスト31は基板ホルダ10の傾斜面15、上面11及び基板20の表面に沿って上方向に移動する。
【0019】
そして、基板ホルダ10の移動に伴い、フィルムレジスト31と接触した基板ホルダ10及び基板20の表面にフィルムレジスト31が付着する。なお、基板ホルダ10及び基板20の表面に付着したフィルムレジスト31は、基板ホルダ10の移動に伴ってロール状に巻かれた状態から引き出されていく。この工程において、基板ホルダ10の収容部14に収容された基板20の表面を基板ホルダ10の上面11より僅かに突出させる、または基板20の表面と基板ホルダ10の上面11とを同一平面上となるよう基板ホルダ10の上面11から収容部14の底面14aまでの長さを設定しておく。このような構成とすることで、基板20を基板ホルダ10に収容せずにフィルムレジスト31とローラ32との間を通過させた場合と比較し、基板20とフィルムレジスト31及びローラ32との接触の開始、終了時にフィルムレジスト31が基板20の端部へ及ぼす応力を小さくすることができ、基板20のクラックや破断の発生を抑制することができる。
【0020】
また、基板ホルダ10に傾斜面15を備えた構成とすることで、フィルムレジスト31及びローラ32との接触の開始、終了時にフィルムレジスト31が基板ホルダ10の端部へ及ぼす応力を小さくすることができ、基板ホルダ10のクラックや破断や、基板ホルダ10とフィルムレジスト31やローラ32との接触時に生じる衝撃に起因した基板ホルダ10や基板20の位置ずれを抑制することが可能となる。
【0021】
さらに、本実施例では、基板20をLTCC基板、基板ホルダ10をナイロンにより構成しており、基板20のヤング率は70~150GPa、基板ホルダ10のヤング率は約1GPaである。本実施例では、基板ホルダ10のヤング率を基板20のヤング率より小さくすることで、基板20の表面へのフィルムレジスト31の形成時においてフィルムレジスト31から基板20へ応力が作用した際に、基板20より先に基板20を支持する基板ホルダ10に歪みが生じることとなり、基板20に及ぼされる衝撃が緩和される。したがって基板20のクラックや破断の発生を抑制することができる。また、同様に、基板ホルダ10のヤング率が基板20のヤング率より小さいことで、フィルムレジスト31を基板20の表面に形成する際における基板20の基板ホルダ10の収容部14内でのがたつきを抑制することができ、基板20の表面へフィルムレジスト31を気泡の混入等なく適切に形成することができる。
【0022】
さらに、本実施例では、フィルムレジスト31を下方(ローラ32側)へ付勢する付勢機構と接続しているため、フィルムレジスト31を基板20へ付着させる際に基板20に所定の圧力を付与することができる。この所定の圧力を適宜調整することで、基板20のクラックや破断を防止し、フィルムレジスト31と基板20との間への気泡の混入や、基板20の表面に付着するフィルムレジスト31の厚みを均一とすることができる。なお、付勢機構としては、例えばフィルムレジスト31を固定する台座(不図示)とフィルムレジスト31の軸との間に自然長より伸長させた状態のばねを配置し、そのばねの復元力によってフィルムレジスト31を下方へ付勢する機構とすることができる。
【0023】
[基板取り出し工程]
次に、基板ホルダ10より基板20を取り出す。膜形成工程でフィルムレジスト31が付着した基板ホルダ10及び基板20では、収容部14の側面14bと基板20との間に隙間21が形成されており、この隙間21にフィルムレジスト31が架橋している。この架橋したフィルムレジスト31を刃物などで基板20の外形に沿って切ることにより基板ホルダ10から基板20を取り出すことができる。
【0024】
以上の工程によりフィルムレジスト31が表面に形成された基板20は、公知技術のフォトリソグラフィー技術を利用して、フィルムレジスト31をパターニングし、基板20の表面に形成された銅箔上に金属膜を形成したり、フォトレジスト31をマスクとして銅箔をエッチングしたりすることで、様々な要求に応じた配線基板を製造することができる。
【0025】
以上、本発明の基板ホルダ及び基板の製造方法について、実施例に基づき説明してきたが、本発明の範囲は前述の実施例に限定されるものではなく本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。例えば、実施例においては基板ホルダ10の傾斜面15を基板ホルダ10の上面11側に形成したが、基板ホルダ10の側面13の下面12側に向かうにしたがって基板ホルダ10の内方に傾斜した傾斜面15を備えた構成としてもよく、上面11側と下面12側の両方に傾斜面15を設けてもよい。下面12側に傾斜面15を設ける際には、下面12側のローラ32を上下方向に移動可能とするとよい。また、傾斜面15を基板ホルダ10における対向する2つの側面13のそれぞれの全体にわたって形成したが、傾斜面15は基板ホルダ10の少なくとも一部に形成されればよく、例えば、基板ホルダ10の側面13を形成する一辺に部分的に形成してもよい。
【0026】
また、実施例においては基板20に形成する膜をフィルムレジスト31の膜としたが、例えばフィルムレジスト31の代わりに液状のレジストを基板20の表面に形成してもよい。液状のレジストを基板20の表面に形成する場合は、ロール状のフィルムレジスト31の代わりに円柱状のローラ体を準備し、その円柱状のローラ体の側面に液状のレジストを供給し、液状のレジストが供給されたローラ体の側面と基板ホルダ10及び基板20とを接触させることでそれぞれの表面に液状のレジストを塗布し、塗布後にレジストを乾燥することで膜を形成してもよい。また、膜はレジストに限定されず、様々なコーティングフィルムや塗液とすることができる。さらにまた、実施例ではフィルムレジスト31とローラ32の二つのローラ体によって膜を形成する工程を説明したが、ローラ体が一つでもよく、また、二つ以上のローラ体を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0027】
10 基板ホルダ
11 上面
12 下面
13 側面
14 収容部
14a 底面
14b 側面
15 傾斜面
20 基板
21 隙間
31 フィルムレジスト
32 ローラ