(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049042
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】遠隔操作装置、遠隔操作装置の動作方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
H04Q9/00 331A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155268
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 雄治
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048BA42
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB06
5K048FB15
(57)【要約】
【課題】車両を複数人で共有するユーザの利便性を向上すること。
【解決手段】車両を遠隔から操作する遠隔操作装置は、ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報と、ユーザが含まれるグループの情報とを登録する記憶装置と、グループに含まれる第1ユーザの端末装置からの操作に基づいて、第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に、車両の遠隔操作の権限を付与する演算装置と、を備える。演算装置は、遠隔操作の権限を付与した場合に、第1ユーザと同一のグループに含まれる第2ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に遠隔操作の権限を付与する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を遠隔から操作する遠隔操作装置であって、
ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報と、前記ユーザが含まれるグループの情報とを登録する記憶手段と、
前記グループに含まれる第1ユーザの端末装置からの操作に基づいて、前記第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に、前記車両の遠隔操作の権限を付与する演算手段と、
を備え、
前記演算手段は、前記遠隔操作の権限を付与した場合に、前記第1ユーザと同一のグループに含まれる第2ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に前記遠隔操作の権限を付与することを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項2】
前記演算手段は、前記記憶手段において、前記第1ユーザが含まれるグループと同一のグループに登録されていない第3ユーザの端末装置から受信した遠隔操作の要求を拒否とすることを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記演算手段は、
前記車両の内部のインタフェース装置において提示させた利用コードと、前記第1ユーザの端末装置から送信された利用コードとが一致する場合に、
前記記憶手段に登録されている、前記第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に、前記遠隔操作の権限を付与することを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
前記車両が起動または停止した際に前記車両の内部に存在する前記第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報を、前記車両から取得する通信手段を更に備え、
前記演算手段は、
前記通信手段により取得された前記識別情報を前記記憶手段に登録し、
前記記憶手段に登録された前記識別情報に対して、前記遠隔操作の権限を付与することを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
前記演算手段は、前記遠隔操作の権限が付与された識別情報の端末装置から受信した遠隔操作の要求に基づいて、前記車両を操作するための信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項6】
前記通信手段は、前記車両の走行状態または停止状態を示す状態情報を取得し、
前記演算手段は、前記車両の走行状態において、
前記第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に、第1の遠隔操作権限を付与し、
前記第2ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に、前記第1の遠隔操作権限に比べて操作可能な機能が制限された第2の遠隔操作権限を付与することを特徴とする請求項4に記載の遠隔操作装置。
【請求項7】
前記演算手段は、前記車両の停止状態において、
前記第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報、及び、前記第2ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に、前記第1の遠隔操作権限を付与することを特徴とする請求項6に記載の遠隔操作装置。
【請求項8】
前記車両が起動した際に前記車両の内部に存在する前記第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報を、前記車両から取得する通信手段を更に備え、
前記車両が起動した際に前記演算手段は、前記遠隔操作の権限が前記第1ユーザの識別情報に付与されていない場合に、前記遠隔操作の権限が前記記憶手段に登録されている前記識別情報、及び前記グループの情報を削除することを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項9】
前記第1ユーザ、または、前記第2ユーザが、付与された前記遠隔操作の権限を削除した場合に、
前記演算手段は、前記同一のグループに属する、前記第1ユーザ、及び前記第2ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に対して付与された前記遠隔操作の権限を削除することを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項10】
前記記憶手段において、前記第1ユーザが属する複数のグループが登録されている場合、
前記演算手段は、前記遠隔操作の権限を付与した場合に、前記第1ユーザが属する前記複数のグループに含まれる各ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に対して前記遠隔操作の権限を付与することを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項11】
前記演算手段は、前記第2ユーザと同一のグループに含まれる第4ユーザであって、前記第1ユーザと同一のグループに含まれない、前記第4ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に、前記遠隔操作の権限を付与しないことを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項12】
車両を遠隔から操作する遠隔操作装置の制御方法であって、
ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報と、前記ユーザが含まれるグループの情報とを記憶手段に登録する工程と、
演算手段が、前記グループに含まれる第1ユーザの端末装置からの操作に基づいて、前記第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に対して、前記車両の遠隔操作の権限を付与する工程と、
前記演算手段が、前記遠隔操作の権限を付与した場合に、前記第1ユーザと同一のグループに含まれる第2ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に対して前記遠隔操作の権限を付与する工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項13】
コンピュータに、請求項12に記載の制御方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠隔操作装置、遠隔操作装置の動作方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、遠隔操作の対象車両が最後に駐車された位置を特定し、最後に駐車された位置に応じて、ユーザから要求された操作が許容できる操作である否かを判断し、許容できない場合に、ユーザから要求された操作を拒絶する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、複数人で車両を共有することは想定されていない。例えば、特許文献1の技術を適用して複数人で車両を共有した場合に、一人のユーザの遠隔操作により、車両を遠隔操作できない状態になると他のユーザの利便性が損なわれる場合が生じ得る。近年普及しつつあるシェアリングサービスなどにおいて、所定のグループ内の複数人で車両を共有するユーザの利便性の向上が望まれている。
【0005】
上記の課題を鑑みて、本発明は、車両を複数人で共有するユーザの利便性を向上することが可能な技術の提供を目的とする。そして、本発明の一つの側面は、持続可能な輸送システムの発展に寄与する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の遠隔操作装置は、車両を遠隔から操作する遠隔操作装置であって、
ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報と、前記ユーザが含まれるグループの情報とを登録する記憶手段と、
前記グループに含まれる第1ユーザの端末装置からの操作に基づいて、前記第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に、前記車両の遠隔操作の権限を付与する演算手段と、を備え、
前記演算手段は、前記遠隔操作の権限を付与した場合に、前記第1ユーザと同一のグループに含まれる第2ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に前記遠隔操作の権限を付与する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両を複数人で共有するユーザの利便性を向上することができる。例えば、同一のグループに含まれるユーザ同士は同時に移動するなど関連した移動の可能性が高いため、車両の遠隔操作の権限をグループ管理することにより、同一のグループに属するユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】車両遠隔操作システムの構成例を説明する図。
【
図2】遠隔操作装置、車両、端末装置のハードウェア構成を示す図。
【
図3】車両遠隔操作システムの動作例を説明する図。
【
図4】端末装置に表示される画面の例について説明する図。
【
図5】遠隔操作装置の記憶装置に記憶された権限管理情報を説明する図。
【
図6】各グループに属するグループメンバーの設定例を示す図。
【
図8】遠隔操作装置の動作例を示すフローチャート。
【
図9】遠隔操作の権限付与を模式的に説明する図(権限の付与)。
【
図10】遠隔操作装置の動作例を示すフローチャート(権限範囲の制限)。
【
図11】遠隔操作装置の動作例を示すフローチャート(操作指示の出力)。
【
図12】遠隔操作装置の動作例を示すフローチャート(権限の削除)。
【
図13】車両の動作例を示すフローチャート(利用コードの表示)。
【
図14】車両の動作例を示すフローチャート(識別情報の送信))。
【
図15】車両の動作例を示すフローチャート(指示に基づいた動作)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
[システムの概要]
図1を参照して、実施形態に係る遠隔操作装置100を含む車両遠隔操作システム150の構成例について説明する。遠隔操作装置100は、端末装置120を使用して車両110を遠隔から操作するサービスをユーザに提供する。以下、端末装置120を使用して車両110を遠隔から操作するサービスを遠隔操作サービスと表す。遠隔操作は、車両110から離れた位置からだけでなく、車両110の付近又は車両110の内部で実行されてもよい。
【0011】
遠隔操作サービスにおいて、遠隔操作装置100は、端末装置120から送信された遠隔操作指示に従って車両110を遠隔から操作する。遠隔操作装置100は、それぞれ個別の端末装置120を有する複数のユーザに対して遠隔操作サービスを提供可能であってもよい。
図1では、2つの端末装置120のみを示しているが、遠隔操作装置100は、3人以上のユーザに遠隔操作サービスを提供してもよい。また、遠隔操作装置100は、複数の車両110の遠隔操作を実行可能であってもよい。
図1では、2つの車両110のみを示しているが、遠隔操作装置100は、3つ以上の車両110の遠隔操作を実行可能であってもよい。
【0012】
遠隔操作装置100、車両110及び端末装置120のそれぞれは、インターネットなどの広域ネットワーク130に接続されている。遠隔操作装置100は、ローカルエリアネットワーク(LAN)(図示せず)を通じて広域ネットワーク130に接続してもよい。車両110は、セルラネットワーク(図示せず)を通じて広域ネットワーク130に接続してもよい。端末装置120は、セルラネットワーク(図示せず)を通じて広域ネットワーク130に接続してもよいし、LAN(図示せず)を通じて広域ネットワーク130に接続してもよい。遠隔操作装置100と車両110とは広域ネットワーク130を通じて互いに通信可能である。遠隔操作装置100と端末装置120とは広域ネットワーク130を通じて互いに通信可能である。車両110と端末装置120とは広域ネットワーク130を通じて互いに通信可能であってもよい。これに代えて又はこれに加えて、車両110と端末装置120とは、Bluetooth(登録商標)などの短距離通信を通じて互いに直接に通信可能であってもよい。
【0013】
図2は実施形態に係る車両遠隔操作システム150における遠隔操作装置100、車両110、端末装置120のハードウェア構成を示す図である。
【0014】
(遠隔操作装置100)
遠隔操作装置100(サーバ)は、ユーザ情報の登録、遠隔操作の権限付与、遠隔操作の権限有無の判定、端末装置120から受信した遠隔操作指示等に関する処理を行う。遠隔操作装置100は、プロセッサ51と、記憶装置52と、通信装置53とを備えている。
【0015】
プロセッサ51(演算装置)は、遠隔操作装置100による動作を実行するための汎用集積回路である。プロセッサ51は、例えば中央演算装置(CPU)によって構成されてもよい。プロセッサ51は、記憶装置52に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、車両遠隔操作サービスに関する各種処理を実行する。プロセッサ51は、ユーザの端末装置120から遠隔操作サービスを利用するためのアカウントの登録要求を、通信装置53を介して受け付けると、ユーザ情報を記憶装置52に登録する。プロセッサ51は、ユーザの端末装置120からの登録要求に応じて、所定の遠隔操作プログラム37を、通信装置53を介して端末装置120に送信(ダウンロード)する。
【0016】
記憶装置52は、遠隔操作装置100の動作に使用される情報やソフトウェアを記憶するための装置である。記憶装置52は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)によって構成されてもよい。記憶装置52は、ユーザ情報の登録及び各種情報を記憶し、例えば権限管理情報57を記憶する。権限管理情報57とは、車両110の遠隔操作を実行する権限を管理するための情報である。車両110の遠隔操作を実行する権限を以下では操作権限と表す。権限管理情報57の具体例については後述する。記憶装置52は、プロセッサ51が読み出して実行するためのプログラムと、ユーザの端末装置120に提供する遠隔操作プログラムとを記憶する。また、通信装置53を介して端末装置120や車両110から取得した情報を記憶することができる。
【0017】
通信装置53は、各種情報を無線で送受信する。通信装置53は、遠隔操作装置100が外部の装置(例えば、ルータや基地局)と通信するための装置である。通信装置53は、例えばネットワークカードで構成されてもよい。通信装置53は、無線通信を行ってもよいし、有線通信を行ってもよい。通信装置53は、Bluetooth(登録商標)のような短距離無線通信をサポートしてもよい。さらに、通信装置53は、セルラー通信やWiFi(登録商標)通信などをサポートしてもよい。通信装置53は車両110の制御装置15や端末装置120の通信装置36との間の無線通信を媒介する。
【0018】
(車両110の構成)
車両110は、推進装置4、ブレーキ装置5、ステアリング装置6、外界センサ7、車両センサ8、通信装置9、ナビゲーション装置10、運転操作装置11、生体情報取得装置12、インタフェース装置(HMI装置)13、及び制御装置15を有している。
【0019】
車両110の各構成は、CAN(Controller Area Network)等の車載通信ネットワークによって信号伝達可能に接続されている。
【0020】
推進装置4は車両に駆動力を付与する装置であり、例えば、動力源及び変速機を含む。動力源は、ガソリンエンジン等の内燃機関及び電動機(モータ)の少なくとも一方を有する。
【0021】
ブレーキ装置5は車両に制動力を付与する装置であり、例えばブレーキロータにパッドを押し付けるブレーキキャリパと、ブレーキキャリパに油圧を供給する電動シリンダとを含む。
【0022】
ステアリング装置6は車輪の舵角を変えるための装置であり、例えば車輪を転舵するラックアンドピニオン機構と、ラックアンドピニオン機構を駆動する電動モータとを有する。ステアリング装置6は電動パワーステアリング装置を含む。電動パワーステアリング装置は操舵操作をアシストしたり、あるいは、前輪を自動操舵するための駆動力を発揮するモータや、操舵角を検知するセンサ等を含む。推進装置4、ブレーキ装置5、及びステアリング装置6は、制御装置15によって制御される。
【0023】
外界センサ7は車両の周辺の物体等を検出するセンサである。外界センサ7はレーダ16、ライダ17(LIDAR:Light Detection and Ranging)及びカメラ18を含み、検出結果を制御装置15に出力する。
【0024】
レーダ16は、例えば、ミリ波レーダであり、電波により車両110の周囲の物体を検知したり、物体との距離を測距することが可能である。レーダ16は車両110の周囲に複数設けられており、例えば、レーダ16は車両の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。
【0025】
ライダ17は、光により車両110の周囲の物体を検知したり、物体との距離を測距することが可能である。ライダ17は車両の周囲に複数設けられており、例えば、ライダ17は車両の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。
【0026】
カメラ18は車両110の周囲を撮像する装置であり、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ18は車両110の前方を撮像する前方カメラと後方を撮像する後方カメラとを含む。
【0027】
車両センサ8は、車両110の速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、車両110の向きを検出する方位センサ等を含む。ヨーレートセンサは、例えばジャイロセンサである。また、車両センサ8には、推進装置4を駆動するための燃料やバッテリの残量を検出するセンサや、ブレーキ装置5等の作動状態を検出するためのセンサが含まれてもよい。また、車両センサ8には、ドアのロック状態(施錠、解錠)を検出するセンサや窓の開閉状態を検出するためのセンサが含まれてもよい。車両センサ8の検出結果は、通信装置9を介して端末装置120や遠隔操作装置100に送信される。端末装置120では、車両センサ8の検出結果が入出力装置30における遠隔操作プログラム37のUI画面に表示されてもよい。また、遠隔操作装置100では、プロセッサ51が車両センサ8の検出結果を用いて、権限付与等の各種処理を行ってもよい。
【0028】
通信装置9は、車両110が外部と通信するための機能を提供する。通信装置9は、Bluetooth(登録商標)のような短距離無線通信をサポートしてもよい。さらに、通信装置9は、セルラー通信やWiFi(登録商標)通信などをサポートしてもよい。通信装置9は車両110の制御装置15と端末装置120及び遠隔操作装置100との間の無線通信を媒介する。すなわち、制御装置15は、通信装置9を介して、例えば、赤外線通信やBluetooth(登録商標)等の通信方法を用いて、ユーザが所持する端末装置120や遠隔操作装置100と通信することが可能である。
【0029】
ナビゲーション装置10は車両の現在位置を取得し、目的地への経路案内等を行う装置であり、GNSS受信部20、及び地図記憶部21を有する。GNSS受信部20は人工衛星(測位衛星)から受信した信号に基づいて車両の位置(緯度や経度)を特定する。地図記憶部21は、フラッシュメモリやハードディスク等の記憶装置によって構成され、地図情報を記憶している。
【0030】
運転操作装置11は車室内に設けられ、車両を制御するためにユーザが行う入力操作を受け付ける。運転操作装置11は、運転操作ユニットとして、例えば、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、パーキングブレーキ装置、シフトレバー、及び、プッシュスタートスイッチ(エンジンスタートボタン)を含む。プッシュスタートスイッチはユーザからの運転操作により車両を起動するための入力操作を受け付ける。運転操作装置11は、操作量を検出するセンサを含み、操作量を示す信号を制御装置15に出力する。
【0031】
生体情報取得装置12は、車両110の内部に存在するユーザの生体情報を取得する。生体情報取得装置12は、例えば、車両110の車室内に設けられたカメラ(室内カメラ)であり、車両110の内部に存在するユーザ(車内ユーザ)の顔を含む画像を取得する。生体情報取得装置12は、車両110の前席(運転席及び助手席)に着座しているユーザ、および、前席に対して後方に位置する後席に着座しているユーザの顔を含む画像を取得することが可能である。生体情報取得装置12は取得した生体情報を制御装置15に出力する。なお、生体情報取得装置12は、ユーザの指紋、網膜、虹彩のうち、1つ又は複数を生体情報として検出する各種の検出装置であってもよい。
【0032】
インタフェース装置13(HMI装置)は、制御装置15とユーザとの間のインタフェース(HMI:Human Machine Interface)を提供し、ユーザに対して表示や音声の出力によって各種情報を報知すると共に、ユーザによる入力操作を受け付ける。インタフェース装置13は、液晶や有機EL等により構成され、ユーザからの入力操作を受け付け可能なタッチパネルとして機能する表示装置23と、ボタンやスイッチ等の入力装置24とを有する。
【0033】
制御装置15は、CPU、不揮発性メモリ(ROM)、及び、揮発性メモリ(RAM)等を含む電子制御装置(ECU)である。制御装置15はCPUでプログラムに基づいた演算処理を実行することで、各種の車両制御を実行することが可能である。制御装置15の各機能部の少なくとも一部は、LSIやASIC、FPGA等のハードウェアによって実現されてもよく、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
【0034】
制御装置15は、外界認識部41、位置特定部42、ユーザ認識部43、車両制御部44及び記憶装置45を有する。
【0035】
外界認識部41は、外界センサ7の検出結果に基づいて、車両110の周辺に存在する他車両や障害物の情報等を取得する。例えば、外界認識部41は、他車両や障害物に関する位置や大きさ等の情報や、信号機の表示や道路上の車線の区画線や駐車場等の路面に描かれた区画線(白線等)の情報を取得する。また、外界認識部41はカメラ18によって取得した画像をパターンマッチング等の画像解析手法に基づいて解析し、他車両や障害物の有無及びその大きさを取得する。更に、外界認識部41は、レーダ16、ライダ17からの信号を用いて障害物までの距離を算出し、障害物の位置を取得することが可能である。
【0036】
位置特定部42は、ナビゲーション装置10のGNSS受信部20からの信号に基づいて、車両の位置を検出することが可能である。また、位置特定部42はGNSS受信部20からの信号に加えて、車両センサ8から車速やヨーレートを取得し、いわゆる慣性航法を用いて車両の位置及び姿勢を特定することも可能である。
【0037】
ユーザ認識部43は、生体情報取得装置12により取得された生体情報(例えば、顔画像)を特徴抽出処理などの画像解析手法に基づいて解析し、解析により取得した顔画像からユーザの顔の特徴を抽出した顔情報を取得する。生体情報取得装置12により車両110の内部に存在する複数のユーザの顔を含む顔画像が取得された場合に、ユーザ認識部43は、顔画像から複数のユーザのそれぞれの顔の特徴を抽出した複数の顔情報を取得する。
【0038】
遠隔操作装置100のプロセッサ51は、記憶装置52を参照して、端末装置120に関連付けられた識別情報に遠隔操作の権限が付与されているか否かを判定する。遠隔操作の権限が識別情報に付与されている場合に、プロセッサ51は、端末装置120からの遠隔操作信号を車両110に送信する。
【0039】
車両制御部44は、遠隔操作指示に従い車両110を制御する。例えば、車両110のドアの施錠(ドアロック)、ドアの解錠(ドアロックの解除:アンロック)、車両110の各部に電力を供給するパワーシステムの起動や推進装置4の起動等を制御する。例えば、ドアの解錠を指示する遠隔操作指示を受信すると、車両制御部44は、ドアロックを解除する。また、車両制御部44は、推進装置4の起動を指示する遠隔操作指示を受信すると、推進装置4を起動させる。推進装置4が内燃機関である場合に、車両制御部44は点火装置(イグニッション)をオンにする。また、車両制御部44は、運転操作装置11の遠隔操作指示に基づいて、車両110の所定の動作を制御する。
【0040】
記憶装置45は、フラッシュメモリやハードディスク等によって構成され、制御装置15が実行する各種プログラムや、プログラムの実行において必要な各種パラメータを記憶する。また、記憶装置45は、通信装置9を介して遠隔操作装置100から取得した各種情報を登録する。各種情報には、遠隔操作装置100から取得した、権限管理情報57に登録されているユーザの情報が含まれる。
【0041】
(端末装置120)
端末装置120はユーザが携帯可能な装置であり、遠隔操作装置100及び車両110の制御装置15と通信可能である。遠隔操作プログラム37は車両遠隔操作における種々の機能を提供する。端末装置120は、例えばスマートフォンのようなモバイル装置であってもよい。端末装置120は、
図2に示すように、入出力装置30、撮像装置31、プロセッサ33、記憶装置35、通信装置36、及び遠隔操作プログラム37を有する。遠隔操作プログラム37は、遠隔操作装置100から取得したプログラムである。端末装置120において、遠隔操作プログラム37を実行すると、
入出力装置30は端末装置120を操作するユーザに情報を提示すると共に、端末装置120を操作するユーザからの入力を受け付ける。入出力装置30は、例えば、タッチパネルとして機能し、入出力装置30はユーザからの入力を受け付けると、入力に対応する信号をプロセッサ33に出力する。入出力装置30は、遠隔操作プログラム37により提供される車両遠隔操作に関する各種機能におけるUI(ユーザインタフェース)として機能する。遠隔操作プログラム37に対する操作入力、及び遠隔操作プログラム37により処理された情報の表示は、入出力装置30を介して行うことが可能である。
【0042】
撮像装置31は、入出力装置30から設定された撮像モードにより、画像(静止画像、動画像)の撮影が可能であり、撮像装置31は、例えば、CMOS等によって構成されたデジタルカメラである。プロセッサ33は、端末装置120を操作するユーザを撮像した画像に対して所定の画像処理を行うことにより顔画像の特徴をユーザの生体情報として取得することが可能である。ユーザは遠隔操作サービスを利用するためのアカウントを遠隔操作装置100に登録する際に、端末装置120から遠隔操作装置100に送信する登録要求と併せて生体情報を送信することにより、遠隔操作装置100は、識別情報(ユーザID又は端末ID)と生体情報とを紐づけて記憶装置52に登録してもよい。
【0043】
プロセッサ33は、端末装置120における各種処理を制御する。プロセッサ33は、記憶装置35に格納されたプログラムを実行することにより、遠隔操作プログラム37を用いた車両遠隔操作に関する各種機能が実現する。プロセッサ33は、端末装置120における表示画面を制御し、例えば、遠隔操作プログラム37により提供される車両遠隔操作に関する各種機能に対応したUIの表示を制御する。
【0044】
記憶装置35は、端末装置120の動作に使用される情報やソフトウェアを記憶するための装置である。記憶装置52は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)によって構成されてもよい。記憶装置52は、例えば遠隔操作プログラム37を記憶する。
【0045】
通信装置36は、端末装置120が外部と通信するための機能を提供する。通信装置36は、Bluetooth(登録商標)のような短距離無線通信をサポートしてもよい。さらに、通信装置36は、セルラー通信やWiFi(登録商標)通信などをサポートしてもよい。
【0046】
(システムの動作例)
図3を参照して、実施形態に係る遠隔操作装置100を含む車両遠隔操作システム150の動作例について説明する。この動作の実行前に、ユーザは遠隔操作サービスを利用するためのアカウントを遠隔操作装置100に登録しており、自身の端末装置120に遠隔操作プログラム37をインストールしているとする。また、ユーザは、遠隔操作プログラム37に、ユーザは遠隔操作サービスを利用するためのアカウントのユーザIDを登録しているとする。
【0047】
S301で、ユーザは、車両110の通信装置9と端末装置120の通信装置36とをペアリングする。これによって、車両110の通信装置9と端末装置120の通信装置36とは互いに通信可能となる。端末装置120は、ペアリング時に車両110の車両IDを取得してもよく、この車両IDを自身の端末ID又は遠隔操作プログラム37に登録されているユーザIDとともに遠隔操作装置100へ送信してもよい。遠隔操作装置100は、この車両IDを端末装置120による遠隔操作の対象の車両の車両IDとして(後述する権限管理情報57のカラム503に)記憶してもよい。
【0048】
続いて、ユーザは、S302~S306において、遠隔操作を実行するための操作権限を取得する。具体的に、S302で、ユーザは、遠隔操作プログラム37を使用して、利用コードの発行を遠隔操作装置100に要求する。利用コードとは、遠隔操作を実行するための操作権限を取得するために遠隔操作装置100へ送信することが必要な情報のことである。
【0049】
S303で、遠隔操作装置100は、ユーザからの要求に応じて利用コードを生成し、車両110へ送信する。遠隔操作装置100は、例えば利用コードとしてランダムに4桁の数字を生成してもよい。遠隔操作装置100は、後のステップで使用するために、生成した利用コードと、利用コードの発行を要求した端末装置120に関連付けられた識別情報とを関連付けて記憶装置52に記憶する。
【0050】
S304で、車両110は、入力装置24を用いて行われたユーザによる操作に従って、表示装置23を使用して利用コードを提示する。利用コードの提示は、表示装置23に利用コードを表示することであってもよく、利用コードを表す音声をインタフェース装置13のスピーカから再生することであってもよく、これらの組み合わせであってもよい。利用コードの提示には入力装置24の操作が必要となる。そのため、ユーザは、利用コードを取得するために、車両110のキーを使用して車両110をアンロックする必要がある。
【0051】
S305で、ユーザは、遠隔操作プログラム37を使用して、表示装置23によって表示された利用コードを遠隔操作装置100に送信する。S306で、遠隔操作装置100は、S305で送信された利用コードとS303で作成した利用コードとが一致すること、及びS303で利用コードを生成してから所定の時間内(例えば、5分以内)にS305で利用コードを受信したことを条件として、遠隔操作を実行するための遠隔操作権限を端末装置120に付与する。操作権限に有効期間が設定されてもよい。
【0052】
遠隔操作装置100は、個別の端末装置120に操作権限を付与してもよいし、ユーザ単位で端末装置120に操作権限を付与してもよい。ユーザが複数の端末装置120を有するとする。この場合に、遠隔操作装置100は、複数の端末装置120のうち、利用コードの送信に使用された端末装置120に操作権限を付与し、他の端末装置120に操作権限を付与しなくてもよい。遠隔操作装置100は、ユーザの複数の端末装置120のうち、利用コードの送信に使用された端末装置120だけでなく、他の端末装置120にも操作権限を付与してもよい。この場合に、遠隔操作装置100がユーザに操作権限を付与しているとみなされてもよい。以下の説明において、操作権限が付与された端末装置120のことを、操作権限を有する端末装置120と表すことがある。また、操作権限が付与された端末装置120のユーザのことを、操作権限を有するユーザと表すことがある。以下の説明では、個別の端末装置120に操作権限が付与される場合について説明するが、これに代えて、個別の端末装置120のユーザに操作権限が付与されてもよい。操作権限の付与と同様に、遠隔操作装置100は、個別の端末装置120の操作権限を解除してもよいし、ユーザ単位で端末装置120の操作権限を解除してもよい。
【0053】
S307で、ユーザは、操作権限を有する端末装置120の遠隔操作プログラム37を使用して、車両110に対する遠隔操作指示を遠隔操作装置100へ送信する。遠隔操作指示の具体例については後述する。S308で、遠隔操作装置100は、遠隔操作指示を送信した端末装置120が操作権限を有することを確認する。
【0054】
S309で、遠隔操作装置100は、ユーザからの遠隔操作指示に従って、車両110を遠隔から操作するために、遠隔操作指示を車両110へ送信する。
【0055】
S310で、車両110は、遠隔操作装置100から指示された動作を実行する。S307~S310の動作を繰り返すことによって、ユーザは、操作権限が有効である限り、遠隔操作を繰り返し指示できる。
【0056】
S311で、遠隔操作装置100は、ユーザからの遠隔操作指示に従って、操作権限を解除する。
【0057】
S307~S310の動作を繰り返すことによって、ユーザは、操作権限が有効である限り、遠隔操作を繰り返し指示できる。
【0058】
S311で、遠隔操作装置100は、操作権限の有効期間が過ぎたことに応じて、端末装置120に付与した操作権限を解除する。このように操作権限を定期的に解除することによって、遠隔操作サービスの不正利用を抑制できる。遠隔操作装置100は、有効期間内にS302~S306を実行された場合に、操作権限の有効期間を更新してもよい。
【0059】
(端末装置120の画面表示)
図4を参照して、遠隔操作プログラム37によって端末装置120の入出力装置30に表示される画面の例について説明する。入出力装置30には、例えば、画面400及び画面410以外に、これらの画面に遷移するためのメニュー画面などが表示されてもよい。
【0060】
図4のST41には、利用コードの発行及び送信に使用される画面400の例が示される。画面400は、上述のS302で利用コードの発行を要求するための発行要求ボタン401を含む。ユーザが入出力装置30を使用して発行要求ボタン401を選択(例えば、押下)することによって、利用コードを発行することの要求が遠隔操作装置100へ送信される。遠隔操作装置100のアドレスは遠隔操作プログラム37に事前に設定されていてもよい。
【0061】
画面400は、利用コードを入力するためのフィールド402と、フィールド402に入力された利用コードを遠隔操作装置100へ送信するための利用コード送信ボタン403とをさらに含む。ユーザが入出力装置30を使用してフィールド402に利用コードを入力し、利用コード送信ボタン403を選択(例えば、押下)することによって、フィールド402に入力された利用コードが遠隔操作装置100へ送信される。
図4のST41の例では発行要求ボタン401、フィールド402及び利用コード送信ボタン403が同一の画面400に含まれるが、これらのオブジェクトは複数の画面に分散して配置されてもよい。
【0062】
図4のST42には、車両110に対する遠隔操作に使用される画面410の例が示される。画面410は、車両110のドアを解錠(アンロック)するためのボタン411を含む。ユーザが入出力装置30を使用してボタン411を選択(例えば、押下)することによって、車両110のドアがアンロックされる。
【0063】
画面410は、車両110の電源装置または推進装置4を起動にするためのボタン412をさらに含む。ユーザが入出力装置30を使用してボタン412を選択(例えば、押下)することによって、車両110の電源または推進装置4がオン状態(例えば、電源オン状態、イグニッションオン状態)となる。これによって、ユーザは、車両110を発進できるようになる。セキュリティをさらに向上させるため、遠隔操作プログラム37は、ボタン412が押下された後、車両110の表示装置23によって提示された起動コードを入力することをユーザに要求してもよい。
【0064】
画面410は、車両110のエアコンを起動するためのボタン413をさらに含む。ユーザが入出力装置30を使用してボタン413を選択(例えば、押下)することによって、車両110のエアコンが起動される。遠隔操作プログラム37は、車両110のエアコンの設定(例えば、温度)を変更する遠隔操作を提供してもよい。その他、デフロスターを作動させる遠隔操作を提供してもよい。
【0065】
画面410は、車両110を見つけやすくなるように車両110の状態を変化させるためのボタン414をさらに含む。ユーザが入出力装置30を使用してボタン414を選択(例えば、押下)することによって、例えば車両110のライトが所定期間点滅する。
【0066】
上述のように、遠隔操作プログラム37が遠隔操作としてアンロック操作及び電源オン操作を含む場合に、ユーザは、端末装置120を車両110のキーの代わりに使用して車両110を発進できる。そのため、端末装置120は、デジタルキーとして機能しうる。遠隔操作プログラム37は、遠隔操作として
図4のST42に説明された操作以外を含んでもよいし、
図4のST42に説明された操作の一部又は全部を含まなくてもよい。
図4のST42の例ではボタン411~414が同一の画面410に含まれるが、これらのオブジェクトは複数の画面に分散して配置されてもよい。
【0067】
(権限管理情報)
図5は、遠隔操作装置100の記憶装置52に記憶された権限管理情報57の例を説明する図である。記憶装置52は、ユーザの識別情報と、ユーザが含まれるグループの情報等とを権限管理情報57に登録する。
図5では、各ユーザの操作権限がテーブル形式で管理される。これに代えて、各ユーザの操作権限は他の形式で管理されてもよい。権限管理情報57では、遠隔操作サービスの利用するためのアカウントを遠隔操作装置100に登録したユーザごとにレコードが生成される。
【0068】
カラム500(ユーザID)は、ユーザを一意に識別するため識別情報(すなわち、ユーザID)を表す。識別情報(ユーザID)は、ユーザが遠隔操作サービスを利用するためのアカウントのアカウント名であってもよい。アカウント名は、ユーザによって指定された文字列(例えば、メールアドレス)であってもよいし、遠隔操作装置100が生成した一意の文字列であってもよい。遠隔操作装置100は、ユーザがアカウントを登録する際に権限管理情報57にレコードを追加し、そのレコードのカラム500にユーザIDを登録する。
【0069】
カラム501(端末ID)は、ユーザが使用する端末装置120を一意に識別するための識別情報(すなわち、端末ID)を表す。端末IDは、例えば、通信装置36のアドレス(BluetoothであればBDアドレス)であってもよい。端末IDは、端末装置120のシリアル番号であってもよい。端末IDは、遠隔操作装置100が端末装置120に一意に割り当てた文字列であってもよい。端末装置120の遠隔操作プログラム37は、ユーザからアカウント名が入力された際に、端末装置120のユーザIDを遠隔操作装置100に送信してもよい。遠隔操作装置100は、受信した端末IDをカラム501に登録する。遠隔操作装置100が端末IDを端末装置120に割り当てた場合に、遠隔操作装置100はその端末IDをカラム501に登録するとともに、端末装置120へ端末IDを送信する。端末装置120は、後続の処理で使用するために、受信した端末IDを記憶する。
【0070】
1人のユーザは、遠隔操作に使用する端末装置120を1つのみ登録可能であってもよいし、複数登録可能であってもよい。1人のユーザが端末装置120を複数登録する場合に、カラム501には複数の端末IDが登録される。
【0071】
カラム502(車両ID)は、ユーザが遠隔操作を行う車両を一意に識別するための識別情報(すなわち、車両ID)を表す。車両IDは、例えば、車両110の通信装置9に割り当てられたIPアドレスであってもよい。車両IDは、車両110に記憶されていてもよい。端末装置120は、
図3のS301でペアリングを行う際に車両110から車両IDを取得し、S302で利用コードの発行要求とともに、この車両IDを遠隔操作装置100へ送信してもよい。遠隔操作装置100は、受信した車両IDをカラム502に登録する。
【0072】
1人のユーザは、遠隔操作を行う車両110を1つのみ登録可能であってもよいし、複数登録可能であってもよい。1人のユーザが複数の車両110を登録する場合に、カラム502には複数の車両IDが登録される。複数の車両IDが登録されている場合に、遠隔操作装置100は、遠隔操作の指示とともに、遠隔操作の対象の車両の車両IDを取得してもよい。
【0073】
カラム503(操作権限)は、ユーザが遠隔操作を行うための操作権限の有無を表す。遠隔操作権が付与されると、カラム503に「操作権限あり」が設定される。操作権限は、権限の範囲の異なる複数の操作権限を含んでもよい。また、車両110が走行状態であるか否かにより、操作権限の範囲を変えてもよい。
【0074】
カラム504(グループID)は、各ユーザが属するグループを識別するための識別情報(すなわち、グループID)を表す。遠隔操作装置100は、ユーザが遠隔操作サービスを利用するためのアカウントを登録する際に権限管理情報57にレコードを追加し、ユーザが属するグループIDを登録することも可能である。
【0075】
図6は、グループIDと、各グループに属するグループメンバーの設定例を示す図である。権限管理情報57において、グループIDと、グループメンバーとは、
図6に示すようにテーブル形式で管理される。テーブル形式に代えて、グループの構成を他の形式で管理してもよい。
【0076】
図5のカラム504及び
図6に示す例では、ユーザAは、グループ1、3に属する。ユーザBは、グループ1、4に属し、ユーザEはグループ3に属する。ユーザAは、グループ1、及びグループ3の両方に属している。ユーザC,D,Fは、グループ2に属している。ユーザGはグループ4に属する。
【0077】
操作権限を複数のユーザで共有するグループにおいて、操作権限の範囲をグループのメンバー内で変えることも可能である。例えば、操作権限の範囲の範囲に制限を設けない第1の遠隔操作権限と、第1の遠隔操作権限に比べて操作可能な範囲(操作内容)が制限された第2の遠隔操作権限を付与することも可能である。
【0078】
例えば、グループ1及びグループ3において、ユーザAには、第1の遠隔操作権限を付与し、ユーザB、Eには、第1の遠隔操作権限に比べて操作可能な範囲(操作内容)が制限された第2の遠隔操作権限を付与してもよい。第1の遠隔操作権限及び第2の遠隔操作権限の内容は、種々に設定可能であるが、例えば、第1の遠隔操作権限は車両110の走行に関連する制御やセキュリティの内容に関連した操作内容が可能な操作権限としてもよい。また、第2の遠隔操作権限は、例えば、エアコンの温度設定やパワーウインドウの開閉等、車両110の車両制御やセキュリティの内容に影響しない内容に制限してもよい。
【0079】
(端末装置120の動作例)
図7は端末装置120の動作例を示すフローチャートである。
図7を参照して、端末装置120によって実行される動作例について説明する。
図7の各工程は、記憶装置35に記憶されているコンピュータプログラムをプロセッサ33が実行することによって行われてもよい。これに代えて、
図7の複数の工程の一部又は全部は、ASICのような専用集積回路によって行われてもよい。このような場合に、専用集積回路が各工程を実行するための機能部として動作してもよい。
【0080】
S701で、端末装置120は、ユーザが遠隔操作プログラム37の使用を開始したかどうかを判定する。端末装置120は、ユーザが遠隔操作プログラム37の使用を開始したと判定された場合(S701で「YES」)に処理をS702に遷移し、それ以外の場合(S701で「NO」)にS701を繰り返す。端末装置120は、遠隔操作プログラム37が起動された場合や、遠隔操作プログラム37がバックグラウンドからアクティブに変更された場合に、ユーザが遠隔操作プログラム37の使用を開始したと判定してもよい。
【0081】
S702で、端末装置120は、端末装置120が操作権限を有するかどうかの問い合わせを遠隔操作装置100へ送信する。S703で、端末装置120は、問い合わせの結果に基づいて、端末装置120が操作権限を有するかどうかを判定する。端末装置120は、端末装置120が操作権限を有すると判定された場合(S703で「YES」)に処理をS704に遷移し、それ以外の場合(S703で「NO」)に処理をS707に遷移する。
【0082】
端末装置120が操作権限を有する場合に、端末装置120は、S704~S706によって、車両110の遠隔操作を行う。S704で、端末装置120は、出力装置404を使用して、遠隔操作を行うための画面(例えば、
図4のST42の画面410)を表示する。
【0083】
S705で、端末装置120は、入出力装置30を使用してユーザから遠隔操作指示を取得したかどうかを判定する。端末装置120は、ユーザから遠隔操作指示を取得したと判定された場合(S705で「YES」)に処理をS705に遷移し、それ以外の場合(S705で「NO」)にS705を繰り返す。遠隔操作指示は、例えば
図4のST42のボタン411~414の何れかの押下であってもよい。S706で、端末装置120は、ユーザから取得した遠隔操作指示を遠隔操作装置100へ送信する。
【0084】
端末装置120が操作権限を有しない場合に、端末装置120は、S707~S711によって、車両110の操作権限を取得する。S707で、端末装置120は、入出力装置30を使用して、利用コードの発行を要求するための画面(例えば、
図4のST41の画面400)を表示する。
【0085】
S708で、端末装置120は、入出力装置30を使用してユーザから発行指示を取得したかどうかを判定する。発行指示とは、利用コードの発行を要求することの指示のことである。端末装置120は、ユーザから発行指示を取得したと判定された場合(S708で「YES」)に処理をS709に遷移し、それ以外の場合(S708で「NO」)にS708を繰り返す。発行指示は、例えば、
図4のST41の発行要求ボタン401の押下であってもよい。S709で、端末装置120は、利用コードの発行の要求を遠隔操作装置100へ送信する。
【0086】
S710で、端末装置120は、入出力装置30を使用してユーザからコード送信指示を取得したかどうかを判定する。コード送信指示とは、利用コードを送信することの指示のことである。端末装置120は、ユーザからコード送信指示を取得したと判定された場合(S710で「YES」)に処理をS711に遷移し、それ以外の場合(S710で「NO」)にS710を繰り返す。利用コード指示は、例えば
図4のST41の発行要求ボタン401の押下であってもよい。S711で、端末装置120は、フィールド402に入力された利用コードを遠隔操作装置100へ送信する。
【0087】
端末装置120から遠隔操作装置100へ送信されるデータには、端末装置120に関連付けられた識別情報が含まれてもよい。端末装置120に関連付けられた識別情報は、ユーザIDであってもよいし、端末IDであってもよい。ユーザIDは、
図5のカラム500で説明されたユーザIDと同じ種類であってもよい。端末IDは、
図5のカラム501で説明された端末IDと同じ種類であってもよい。
【0088】
(遠隔操作装置100の動作例)
図8、
図10~
図12は、遠隔操作装置100の動作例を示すフローチャートである。
図8、
図10~
図12の各工程は、記憶装置52に記憶されているコンピュータプログラムをプロセッサ51が実行することによって行われてもよい。これに代えて、
図8、
図10~
図12の複数の工程の一部又は全部は、ASICのような専用集積回路によって行われてもよい。このような場合に、専用集積回路が各工程を実行するための機能部として動作してもよい。なお、
図8、
図10~
図12で説明する遠隔操作装置100の動作例は、車両110の制御装置15で実行してもよい。
【0089】
(遠隔操作の権限付与)
図8は遠隔操作装置100の動作例を示すフローチャートである。
図8を参照して、遠隔操作装置100によって実行される遠隔操作の権限付与に関する動作例について説明する。
【0090】
S801において、遠隔操作装置100は、S303で作成した利用コードとS305で送信された利用コードとが一致するか否か判定し、一致する場合(S801で「YES」)に処理をS802に遷移し、それ以外の場合(S801で「NO」)には権限付与に関する処理を終了する。
【0091】
S802で、遠隔操作装置100は、S305で送信された利用コードに含まれる識別情報(ユーザID又は端末ID)が権限管理情報57に登録されているか判定する。登録されている場合(S802で「YES」)に処理をS803に遷移し、それ以外の場合(S802で「NO」)には権限付与に関する処理を終了する。なお、識別情報(ユーザID又は端末ID)の取得は、車両110の内部で、通信装置9が車内のユーザの端末装置120から識別情報を取得して、遠隔操作装置100に送信してもよい。
【0092】
S803で、遠隔操作装置100は、権限管理情報57を参照して、権限付与の対象となる識別情報(ユーザID又は端末ID)にグループ登録がされているか否か判定する。具体的には、遠隔操作装置100は、権限管理情報57のカラム504を参照して、登録されているグループの有無を判定する。
【0093】
遠隔操作装置100は、グループ登録がされている場合(S803で「YES」)に処理をS804に遷移し、遠隔操作装置100は、グループ登録されている識別情報(ユーザID又は端末ID)に対して、遠隔操作の権限を付与する。
【0094】
遠隔操作装置100は、グループに含まれる第1ユーザの端末装置からの操作に基づいて、第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に、車両110の遠隔操作の権限を付与する。遠隔操作装置100は、車両110の内部のインタフェース装置13において提示させた利用コード(例えば、
図7のS707)と、第1ユーザの端末装置120から送信された利用コード(例えば、
図7のS711)とが一致する場合に、記憶装置52に登録されている、第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に対して、遠隔操作の権限を付与する。
【0095】
権限付与の対象は、例えば、車両110の起動時の現在の操作者(ユーザ)または最終操作者(ユーザ)を対象とするものであり、現在の操作者または最終操作者と同一のグループに属するのみ、遠隔操作の権限を付与してもよい。例えば、車両110の通信装置9は、車両110の推進装置4が起動または停止した際に、車内の第1ユーザの端末装置120に関連付けられた識別情報を取得して、通信装置53に送信してもよい。通信装置53は、車両110の通信装置9を介して、車両110が起動または停止した際に車両110の内部に存在する第1ユーザの端末装置120に関連付けられた識別情報を取得してもよい。遠隔操作装置100のプロセッサ51は、通信装置53により取得された識別情報を記憶装置52に登録し、記憶装置52に登録された識別情報に対して、遠隔操作の権限を付与してもよい。
【0096】
遠隔操作装置100は、遠隔操作の権限を付与した場合に、第1ユーザ(例えば、
図9のユーザA)と同一のグループに含まれる第2ユーザ(例えば、
図9のユーザB)の端末装置に関連付けられた識別情報に対して遠隔操作の権限を付与する。
【0097】
一方、S803の判定で、グループ登録がされていない場合(S803で「NO」)に処理をS805に遷移し、遠隔操作装置100は、S802で登録済と判定された識別情報に対して遠隔操作の権限を付与し、処理を終了する。この場合、遠隔操作装置100は、第1ユーザ(例えば、
図9のユーザA)の端末装置に関連付けられた識別情報に対して遠隔操作の権限を付与する。
【0098】
図9は、遠隔操作の権限付与を模式的に説明する図である。
図9において、ユーザAは車両110の車内に存在する車内ユーザである。ユーザA(車内ユーザ)の操作により端末装置120から、利用コードが遠隔操作装置100に送信されているものとする。送信された利用コードが一致し(S801で「YES」)、かつ、ユーザAの端末装置120に関連付けられた識別情報(ユーザID又は端末ID)が権限管理情報57に登録されている場合(S802で「YES」)、遠隔操作装置100は、グループ登録の有無を判定する(S803)。
【0099】
ユーザAの端末装置120に関連付けられた識別情報(ユーザID又は端末ID)はID=UAであり、識別情報(ID=UA)は、権限管理情報57のカラム500に登録されている(S802で「YES」)。遠隔操作装置100は、権限管理情報57のカラム504のグループIDを参照して、登録されているグループの有無を判定する。
図5においては、識別情報(ID=UA)に対して、グループ1、3が登録されている。
【0100】
グループ1については、ユーザBの端末装置120に関連付けられた識別情報はID=UBが登録されている。グループ3については、ユーザEの端末装置120に関連付けられた識別情報はID=UEが登録されている。
【0101】
遠隔操作装置100は、識別情報(IS=UA)に遠隔操作の権限を付与する場合、グループ1に登録されている、他の識別情報(ID=UB)、及び、グループ3に登録されている他の識別情報(ID=UE)に対して権限を付与する。
【0102】
なお、遠隔操作装置100は、第2ユーザと同一のグループ(例えば、グループ4)に含まれる第4ユーザ(例えば、ユーザG)であって、第1ユーザと同一のグループに含まれない、第4ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報(ID=UG)に、遠隔操作の権限を付与しない。ユーザBの識別情報(ID=UB)に遠隔操作の権限が付与されたとしても、第1ユーザ(ユーザA)と同一のグループに含まれないユーザの端末装置120に関連付けられた識別情報(ID=UG)には遠隔操作の権限は付与されない。すなわち、ユーザBと同一のグループ4のユーザGの端末装置120に関連付けられた識別情報(ID=UG)には遠隔操作の権限は付与されない。
【0103】
グループ2に属するユーザC(ID=UB)、ユーザD(ID=UDB)、ユーザF(ID=UF)に関しては、遠隔操作の権限は付与されない。遠隔操作装置100は、記憶装置52において、第1ユーザが含まれるグループと同一のグループに登録されていない第3ユーザ(例えば、ユーザC、D、F)の端末装置120から受信した遠隔操作の要求を拒否とする。遠隔操作装置100は、権限管理情報57において遠隔操作の権限が付与されていない第3ユーザの端末装置から受信した遠隔操作の要求を拒否とする。
【0104】
(権限範囲の制限)
遠隔操作装置100は、車両110の動作状態(推進装置4の起動または停止の状態)に応じて、操作権限の範囲を変更することが可能である。
図10は遠隔操作装置100の動作例を示すフローチャートである。
図10を参照して、遠隔操作装置100によって実行される権限範囲の制限に関する動作例について説明する。
【0105】
S1001において、遠隔操作装置100の通信装置53は、車両110の走行状態または停止状態を示す状態情報を取得する。
【0106】
S1002において、遠隔操作装置100は、車両110が走行状態であるか停止状態であるかを、状態情報に基づいて判定する。遠隔操作装置100は、車両110が走行状態(S1002の「YES」)に処理をS1003に進める。
【0107】
S1003において、遠隔操作装置100は、車両110の走行状態において、第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に、第1の遠隔操作権限を付与し、第2ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に、第1の遠隔操作権限に比べて操作可能な機能が制限された第2の遠隔操作権限を付与する。
【0108】
例えば、遠隔操作装置100は、第1ユーザ(例えば、
図9のユーザA)の端末装置120に関連付けられた識別情報(ID=UA)に対して、第1の遠隔操作権限を付与する。また、遠隔操作装置100は、第2ユーザ(例えば、
図9のユーザB)の端末装置120に関連付けられた識別情報(ID=UB)に対して、第1の遠隔操作権限に比べて操作可能な機能が制限された第2の遠隔操作権限を付与する。第1の遠隔操作権限は、例えば、車両制御やセキュリティの内容に関連した操作内容が可能な操作権限としてもよい。また、第2の遠隔操作権限を、例えば、エアコンの温度設定やパワーウインドウの開閉等、車両110の車両制御やセキュリティの内容に影響しない内容に制限してもよい。
【0109】
一方、S1002の判定において、遠隔操作装置100は、車両110が停止状態と判定する場合(S1002の「NO」)に処理をS1004に進める。S1004において、遠隔操作装置100は、車両110の停止状態において、第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報、及び、第2ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に、第1の遠隔操作権限を付与する。
【0110】
例えば、遠隔操作装置100は、第1ユーザの端末装置120に関連付けられた識別情報(ID=UA)、及び、第2ユーザの端末装置120に関連付けられた識別情報(ID=UB)に対して、共通の第1の遠隔操作権限を付与する。
【0111】
(遠隔操作指示の出力)
図11は遠隔操作装置100の動作例を示すフローチャートである。
図11を参照して、遠隔操作装置100によって実行される遠隔操作指示の出力に関する動作例について説明する。遠隔操作指示の出力とは、端末装置120から受信した遠隔操作指を、操作対象の車両110に送信する処理をいう。
【0112】
S1101において、遠隔操作装置100は、端末装置120からの遠隔操作指示を受信する。
【0113】
S1102において、遠隔操作装置100は、権限管理情報57を参照して、遠隔操作指示に含まれる識別情報(ユーザID又は端末ID)に基づいて、遠隔操作の権限の有無を判定する。遠隔操作の権限があると判定された場合(S1102で「YES」)に処理をS1103に遷移し、それ以外の場合(S1102で「NO」)にS1102を繰り返す。
【0114】
S1103において、遠隔操作装置100は、権限管理情報57を参照して、遠隔操作指示に含まれる識別情報に基づいて、操作対象の車両110(例えば、
図5の車両ID=V1)を特定する。その後、遠隔操作装置100は、遠隔操作指示に従って、特定された車両110に対して遠隔操作指示(遠隔操作信号)を送信する。
【0115】
(遠隔操作権限の削除)
図12は遠隔操作装置100の動作例を示すフローチャートである。
図12を参照して、遠隔操作装置100によって実行される遠隔操作の権限削除に関する動作例について説明する。
【0116】
S1201において、遠隔操作装置100は、端末装置120から遠隔操作の権限削除の指示を受信する。遠隔操作装置100は、権限管理情報57(例えば、
図5のカラム503)を参照して、権限削除の指示に含まれる識別情報(ユーザID又は端末ID)に基づいて、削除の対象となる遠隔操作の権限を特定する。
【0117】
S1202において、遠隔操作装置100は、権限管理情報57(例えば、
図5のカラム504)を参照して、削除の対象となる遠隔操作の権限の識別情報に対して、グループ登録がされているか否かを判定する。グループ登録がされていると判定された場合(S1202で「YES」)に処理をS1203に遷移する。
【0118】
S1203において、遠隔操作装置100は、グループ全体の遠隔操作の権限を削除する。例えば、
図9に示すユーザBが、遠隔操作の権限削除の指示を端末装置120から遠隔操作装置100に送信した場合に、遠隔操作装置100は、ユーザBが属するグループ1の全てのユーザ(A、B)の端末装置120に関連付けられた遠隔操作の権限を削除する。グループ3のユーザEの端末装置120に関連付けられた遠隔操作の権限は削除されずに残る。
【0119】
また、
図9に示すユーザAが、遠隔操作の権限削除の指示を端末装置120から遠隔操作装置100に送信した場合に、遠隔操作装置100は、ユーザAが属する、グループ1の全てのユーザ(A、B)、及び、グループ3の全てのユーザ(A、E)の端末装置120に関連付けられた遠隔操作の権限を削除する。
【0120】
一方、グループ登録がされていない場合(S1202で「NO」)に処理をS1204に遷移する。S1204において、遠隔操作装置100は、S1201で特定された遠隔操作の権限を削除する。
【0121】
(変形例)
また、遠隔操作装置100は、遠隔操作の権限が記憶装置52に登録されていないユーザが車両110の推進装置4を起動させた場合に、遠隔操作の権限が記憶装置52に登録されている識別情報、及びグループの情報を削除してもよい。例えば、
図9のグループ2に属するユーザCが、車両110に乗り、推進装置4を起動させた場合に、遠隔操作装置100は、遠隔操作の権限を付与したグループ1、3に属するユーザA、B、Eについて、識別情報、及びグループの情報を削除してもよい。
【0122】
(車両110の動作例)
図13~
図15は、車両110の動作例を示すフローチャートである。
図13~
図15の各工程は、記憶装置45に記憶されているコンピュータプログラムをプロセッサ51が実行することによって行われてもよい。これに代えて、
図13~
図15の複数の工程の一部又は全部は、ASICのような専用集積回路によって行われてもよい。このような場合に、専用集積回路が各工程を実行するための機能部として動作してもよい。
【0123】
(利用コードの表示)
図13は車両110の動作例を示すフローチャートである。
図13を参照して、車両110によって実行される利用コードの表示に関する動作例について説明する。S1301において、車両110は、遠隔操作装置100からS303(
図3)で送信された利用コードを受信したかどうかを判定する。車両110は、利用コードを受信したと判定された場合(S1301で「YES」)に処理をS1302に遷移し、それ以外の場合(S1301で「NO」)にS1301を繰り返す。
【0124】
S1302において、車両110は、ユーザによる入力装置24の操作に応じて、表示装置23を用いて利用コードを表示する。
【0125】
(識別情報の送信)
図14は車両110の動作例を示すフローチャートである。
図14を参照して、車両110によって実行される識別情報の送信に関する動作例について説明する。
図14に示される動作において、車両110は、起動時の現在の操作者(ユーザ)または最終操作者(ユーザ)の端末装置120に関連付けられた識別情報を遠隔操作装置100へ送信する。
【0126】
S1401で、車両110の車両制御部44は、点火装置(イグニッション)のONまたはOFFの制御により、推進装置4の起動又は停止を判定する。車両110は、起動又は停止したと判定された場合(S1401で「YES」)に処理をS1402に遷移し、それ以外の場合(S1401で「NO」)にS1401を繰り返す。
【0127】
S1402において、車両110は、車両110内の端末装置120に関連付けられた識別情報(ユーザID又は端末ID)を取得する。識別情報(ユーザID又は端末ID)は、車両110の通信装置9を使用して取得されてもよい。端末装置120に関連付けられた識別情報は、端末装置120の端末IDであってもよいし、端末装置120のユーザのユーザIDであってもよい。車両110は、車両110内に複数の端末装置120が存在する場合に、複数の端末装置120のそれぞれから識別情報(ユーザID又は端末ID)を取得してもよい。
【0128】
S1403において、車両110は、S1402で取得された識別情報(ユーザID又は端末ID)を遠隔操作装置100へ送信する。この識別情報は、権限管理情報57への登録(例えば、
図5)や遠隔操作の権限付与の判定(例えば、
図8のS802)で使用される。なお、上述の例では、車両110の起動又は停止の際に、車両110内の端末装置120に関連付けられた識別情報を取得する例を説明したが、この他、車両110とともに、所定時間、一緒に移動した端末装置120に関連付けられた識別情報を、車両110が遠隔操作装置100へ送信してもよい。
【0129】
遠隔操作装置100の通信装置53は、車両110が起動または停止した際に車両10の内部に存在する第1ユーザの端末装置120に関連付けられた識別情報(ユーザID又は端末ID)を、車両110から取得する。遠隔操作装置100のプロセッサ51は、通信装置53により取得された識別情報(ユーザID又は端末ID)を記憶装置52に登録し、記憶装置52に登録された識別情報(ユーザID又は端末ID)に対して、遠隔操作の権限を付与する。
【0130】
(遠隔操作指示に基づいた動作)
図15は車両110の動作例を示すフローチャートである。
図15を参照して、車両110によって実行される遠隔操作指示に基づいた車両制御に関する動作例について説明する。
【0131】
図15に示される動作において、車両110は、遠隔操作の指示に従って動作する。S1501において、車両110は、通信装置9を介して、遠隔操作装置100から、S309で送信された遠隔操作指示を受信したかどうかを判定する。車両110は、遠隔操作指示を受信したと判定された場合(S1501で「YES」)に処理をS1502に遷移し、それ以外の場合(S1501で「NO」)にS1501を繰り返す。
【0132】
S1502において、車両110は、遠隔操作指示に従って車両制御を実行する。車両制御部44は、遠隔操作指示に従い車両110を制御する。例えば、車両110のドアの施錠(ドアロック)、ドアの解錠(ドアロックの解除:アンロック)、車両110の各部に電力を供給するパワーシステムの起動や推進装置4の起動等を制御する。
【0133】
[その他の実施形態]
また、各実施形態で説明された1以上の機能を実現する遠隔操作プログラムは、ネットワーク又は記憶媒体を介して端末装置に供給され、システム又は装置のコンピュータにおける1以上のプロセッサは、この遠隔操作プログラムを読み出して実行することができる。このような態様によっても本発明は実現可能である。
【0134】
<実施形態のまとめ>
(項目1) 上記実施形態の遠隔操作装置は、車両(110)を遠隔から操作する遠隔操作装置(100)であって、
ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報と、前記ユーザが含まれるグループの情報とを登録する記憶手段(52)と、
前記グループに含まれる第1ユーザの端末装置(120)からの操作に基づいて、前記第1ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報に、前記車両(110)の遠隔操作の権限を付与する演算手段(51)と、
を備え、
前記演算手段(51)は、前記遠隔操作の権限を付与した場合に、前記第1ユーザと同一のグループに含まれる第2ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報に前記遠隔操作の権限を付与する。
【0135】
項目1の遠隔操作装置によれば、車両を複数人で共有するユーザの利便性を向上することができる。例えば、同一のグループに含まれるユーザ同士は同時に移動するなど関連した移動の可能性が高いため、車両の遠隔操作の権限をグループ管理することにより、同一のグループに属するユーザの利便性を向上させることができる。
【0136】
(項目2) 前記演算手段(51)は、前記記憶手段(52)において、前記第1ユーザが含まれるグループと同一のグループに登録されていない第3ユーザの端末装置(120)から受信した遠隔操作の要求を拒否とする。
【0137】
項目2の遠隔操作装置によれば、同一のグループに登録されていない第3ユーザの端末装置から受信した遠隔操作の要求を拒否とすることにより、遠隔操作の権限のセキュリティを向上することができる。
【0138】
(項目3) 前記演算手段(51)は、
前記車両(110)の内部のインタフェース装置において提示させた利用コードと、前記第1ユーザの端末装置(120)から送信された利用コードとが一致する場合に、
前記記憶手段(52)に登録されている、前記第1ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報に、前記遠隔操作の権限を付与する。
【0139】
項目3の遠隔操作装置によれば、利用コードの一致を遠隔操作の権限付与の前提条件とすることにより、遠隔操作権限のセキュリティを向上することができる。
【0140】
(項目4) 前記車両(110)が起動または停止した際に前記車両(110)の内部に存在する前記第1ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報を、前記車両(110)から取得する通信手段(53)を更に備え、
前記演算手段(51)は、
前記通信手段(53)により取得された前記識別情報を前記記憶手段(52)に登録し、
前記記憶手段(52)に登録された前記識別情報に対して、前記遠隔操作の権限を付与する。
【0141】
項目4の遠隔操作装置によれば、車両の起動時の現在のユーザまたは最終ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に対して、遠隔操作の権限を付与することができる。
【0142】
(項目5) 前記演算手段(51)は、前記遠隔操作の権限が付与された識別情報の端末装置(120)から受信した遠隔操作の要求に基づいて、前記車両(110)を操作するための信号を出力する。
【0143】
項目5の遠隔操作装置によれば、遠隔操作の権限が付与された識別情報の端末装置から送信した遠隔操作の要求に基づいて、車両を遠隔操作することができる。
【0144】
(項目6) 前記通信手段(53)は、前記車両(110)の走行状態または停止状態を示す状態情報を取得し、
前記演算手段(51)は、前記車両(110)の走行状態において、
前記第1ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報に、第1の遠隔操作権限を付与し、
前記第2ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報に、前記第1の遠隔操作権限に比べて操作可能な機能が制限された第2の遠隔操作権限を付与する。
【0145】
項目6の遠隔操作装置によれば、車両の走行状態において付与する遠隔操作の権限において、異なる操作権限の範囲を設定することができる。例えば、第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に対しては、車両の走行に関連する制御やセキュリティの内容に関連した操作内容が可能な操作権限とすることができる。また、第2ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に対しては、例えば、エアコンの温度設定やパワーウインドウの開閉等、車両の車両制御やセキュリティの内容に影響しない内容に制限することができる。
【0146】
(項目7) 前記演算手段(51)は、前記車両(110)の停止状態において、
前記第1ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報、及び、前記第2ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報に、前記第1の遠隔操作権限を付与する。
【0147】
項目7の遠隔操作装置によれば、グループの各ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報に共通の第1の遠隔操作権限を付与することができる。
【0148】
(項目8) 前記車両が起動した際に前記車両の内部に存在する前記第1ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報を、前記車両から取得する通信手段(53)を更に備え、
前記車両が起動した際に前記演算手段(51)は、前記遠隔操作の権限が前記第1ユーザの識別情報に付与されていない場合に、前記遠隔操作の権限が前記記憶手段(52)に登録されている前記識別情報、及び前記グループの情報を削除する。
【0149】
項目8の遠隔操作装置によれば、新たな現在のユーザまたは最終操作ユーザの端末装置に関連付けられた識別情報を遠隔操作の権限付与の対象とし、過去のユーザに関して登録されている情報を削除することができる。過去のユーザに関して登録されている情報を削除することにより、過去のユーザによる車両の操作はできなくなるため、車両の操作に関するセキュリティを向上することができる。
【0150】
(項目9) 前記第1ユーザ、または、前記第2ユーザが、付与された前記遠隔操作の権限を削除した場合に、
前記演算手段(51)は、前記同一のグループに属する、前記第1ユーザ、及び前記第2ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報に対して付与された前記遠隔操作の権限を削除する。
【0151】
項目9の遠隔操作装置によれば、グループ単位で遠隔操作の権限付与を管理することができる。例えば、車両の転売などにより、正規のユーザでないにもかかわらず、一部のユーザに関して遠隔操作の権限が残された場合に、一部のユーザにおいて遠隔操作が可能になる状態が生じ得る。このような状態を未然に防止するべく、グループ単位で遠隔操作の権限付与を一括して削除することにより、車両の操作に関するセキュリティを向上することができる。
【0152】
(項目10) 前記記憶手段(52)において、前記第1ユーザが属する複数のグループが登録されている場合、
前記演算手段(51)は、前記遠隔操作の権限を付与した場合に、前記第1ユーザが属する前記複数のグループに含まれる各ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報に対して前記遠隔操作の権限を付与する。
【0153】
項目10の遠隔操作装置によれば、車両を複数人で共有するユーザの利便性を向上することができる。例えば、同一のグループに含まれるユーザ同士は同時に移動するなど関連した移動の可能性が高いため、車両の遠隔操作の権限をグループ管理することにより、同一のグループに属するユーザの利便性を向上させることができる。
【0154】
(項目11) 前記演算手段(51)は、前記第2ユーザと同一のグループに含まれる第4ユーザであって、前記第1ユーザと同一のグループに含まれない、前記第4ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報に、前記遠隔操作の権限を付与しない。
【0155】
項目11の遠隔操作装置によれば、遠隔操作の権限付与の範囲が連鎖的に拡大することを抑制することができる。
【0156】
(項目12) 車両(110)を遠隔から操作する遠隔操作装置の制御方法であって、
ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報と、前記ユーザが含まれるグループの情報とを記憶手段(52)に登録する工程(
図5、
図6、57)と、
演算手段(51)が、前記グループに含まれる第1ユーザの端末装置(120)からの操作に基づいて、前記第1ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報に対して、前記車両(110)の遠隔操作の権限を付与する工程(S306)と、
前記演算手段(51)が、前記遠隔操作の権限を付与した場合に、前記第1ユーザと同一のグループに含まれる第2ユーザの端末装置(120)に関連付けられた識別情報に対して前記遠隔操作の権限を付与する工程(S804)と、を有する。
【0157】
項目12の遠隔操作装置の制御方法によれば、車両を複数人で共有するユーザの利便性を向上することができる。例えば、同一のグループに含まれるユーザ同士は同時に移動するなど関連した移動の可能性が高いため、車両の遠隔操作の権限をグループ管理することにより、同一のグループに属するユーザの利便性を向上させることができる。
【0158】
(項目13) コンピュータに、項目12に記載の制御方法を実行させるプログラム。
【0159】
項目13のプログラムによれば、遠隔操作装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することができる。
【0160】
本発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0161】
100:遠隔操作装置、110:車両、120:端末装置