(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049044
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】遠隔操作装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240402BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
H04M11/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155270
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 雄治
【テーマコード(参考)】
5K048
5K201
【Fターム(参考)】
5K048AA15
5K048BA13
5K048BA42
5K048DA01
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB06
5K048FB10
5K048FB15
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
5K048HA21
5K201AA07
5K201AA09
5K201BA01
5K201BC23
5K201CB10
5K201CB13
5K201CC01
5K201EC06
5K201ED04
5K201EF10
(57)【要約】
【課題】遠隔操作の操作権限を適切に解除する。
【解決手段】車両を遠隔から操作する遠隔操作装置は、ユーザ端末が付与条件を満たす場合に、ユーザ端末に、車両を遠隔から操作するための操作権限を付与する付与部と、操作権限を有するユーザ端末から送信された操作指示に従って、車両を遠隔から操作する操作部と、操作権限を有するユーザ端末が解除条件を満たす場合に、ユーザ端末の操作権限を解除する解除部と、を備える。解除条件は、操作権限に関連付けられた車両の運転特性が変化したことを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を遠隔から操作する遠隔操作装置であって、
ユーザ端末が付与条件を満たす場合に、前記ユーザ端末に、前記車両を遠隔から操作するための操作権限を付与する付与手段と、
前記操作権限を有するユーザ端末から送信された操作指示に従って、前記車両を遠隔から操作する操作手段と、
前記操作権限を有するユーザ端末が解除条件を満たす場合に、前記ユーザ端末の前記操作権限を解除する解除手段と、を備え、
前記解除条件は、前記操作権限に関連付けられた車両の運転特性が変化したことを含む、遠隔操作装置。
【請求項2】
前記付与条件は、前記車両の出力装置が提示する情報を前記ユーザ端末が送信することを含む、請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記運転特性は、駐車操作時の運転特性を含む、請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
前記運転特性は、前記車両の操舵操作子の角速度と、前記車両の加速度と、前記車両の減速度との少なくとも1つを含む、請求項3に記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
コンピュータを請求項1乃至4の何れか1項に記載の遠隔操作装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項6】
車両を遠隔から操作する遠隔操作装置の制御方法であって、
ユーザ端末が付与条件を満たす場合に、前記ユーザ端末に、前記車両を遠隔から操作するための操作権限を付与する付与工程と、
前記操作権限を有するユーザ端末から送信された操作指示に従って、前記車両を遠隔から操作する操作工程と、
前記操作権限を有するユーザ端末が解除条件を満たす場合に、前記ユーザ端末の前記操作権限を解除する解除工程と、を備え、
前記解除条件は、前記操作権限に関連付けられた車両の運転特性が変化したことを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生の大幅な削減に向けた取り組みが活発化している。この実現に向けて、車両の所有者を移転することによる車両の再利用に関する研究開発が行われている。また、特許文献1には、ユーザ端末を使用してユーザが車両を遠隔操作するための技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の所有者が移転した場合に、以前の所有者に遠隔操作を行うための操作権限が残ったままであると、以前の所有者が不正に車両を操作できてしまう。本発明の一部の側面は、遠隔操作の操作権限を適切に解除するための技術を提供することを目的とする。そして、本発明の一部の側面は、延いては廃棄物の発生の大幅な削減に寄与する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一部の実施形態によれば、車両を遠隔から操作する遠隔操作装置であって、ユーザ端末が付与条件を満たす場合に、前記ユーザ端末に、前記車両を遠隔から操作するための操作権限を付与する付与手段と、前記操作権限を有するユーザ端末から送信された操作指示に従って、前記車両を遠隔から操作する操作手段と、前記操作権限を有するユーザ端末が解除条件を満たす場合に、前記ユーザ端末の前記操作権限を解除する解除手段と、を備え、前記解除条件は、前記操作権限に関連付けられた車両の運転特性が変化したことを含む、遠隔操作装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一部の実施形態によれば、遠隔操作の操作権限を適切に解除できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一部の実施形態の遠隔操作サービスを提供するシステムの構成例を説明する模式図。
【
図2】一部の実施形態の遠隔操作装置のハードウェア構成例を説明するブロック図。
【
図3】一部の実施形態の車両のハードウェア構成例を説明するブロック図。
【
図4】一部の実施形態のユーザ端末のハードウェア構成例を説明するブロック図。
【
図5】一部の実施形態の遠隔操作サービスを提供するシステムの動作例を説明するシーケンス図。
【
図6】一部の実施形態のユーザ端末に表示される画面例を説明する模式図。
【
図7】一部の実施形態の権限管理情報の例を説明する図。
【
図8】一部の実施形態のユーザ端末の動作例を説明するフロー図。
【
図9】一部の実施形態の遠隔操作装置の動作例を説明するフロー図。
【
図10】一部の実施形態の車両の動作例を説明するフロー図。
【
図11】一部の実施形態のユーザ端末の別の動作例を説明するフロー図。
【
図12】一部の実施形態の遠隔操作装置の別の動作例を説明するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
図1を参照して、一部の実施形態に係る遠隔操作装置100を含むシステムの構成例について説明する。遠隔操作装置100は、ユーザ端末120を使用して車両110を遠隔から操作するサービスをユーザに提供する。以下、ユーザ端末120を使用して車両110を遠隔から操作するサービスを遠隔操作サービスと表す。遠隔操作は、車両110から離れた位置からだけでなく、車両110の付近又は車両110の内部で実行されてもよい。
【0010】
遠隔操作サービスにおいて、遠隔操作装置100は、ユーザ端末120から送信された操作指示に従って車両110を遠隔から操作する。遠隔操作装置100は、それぞれ個別のユーザ端末120を有する複数のユーザに対して遠隔操作サービスを提供可能であってもよい。
図1では、2つのユーザ端末120のみを示しているが、遠隔操作装置100は、3人以上のユーザに遠隔操作サービスを提供してもよい。また、遠隔操作装置100は、複数の車両110の遠隔操作を実行可能であってもよい。
図1では、2つの車両110のみを示しているが、遠隔操作装置100は、3つ以上の車両110の遠隔操作を実行可能であってもよい。
【0011】
遠隔操作装置100、車両110及びユーザ端末120のそれぞれは、インターネットなどの広域ネットワーク130に接続されている。遠隔操作装置100は、ローカルエリアネットワーク(LAN)(図示せず)を通じて広域ネットワーク130に接続してもよい。車両110は、セルラネットワーク(図示せず)を通じて広域ネットワーク130に接続してもよい。ユーザ端末120は、セルラネットワーク(図示せず)を通じて広域ネットワーク130に接続してもよいし、LAN(図示せず)を通じて広域ネットワーク130に接続してもよい。遠隔操作装置100と車両110とは広域ネットワーク130を通じて互いに通信可能である。遠隔操作装置100とユーザ端末120とは広域ネットワーク130を通じて互いに通信可能である。車両110とユーザ端末120とは広域ネットワーク130を通じて互いに通信可能であってもよい。これに代えて又はこれに加えて、車両110とユーザ端末120とは、Bluetooth(登録商標)などの短距離通信を通じて互いに直接に通信可能であってもよい。
【0012】
図2を参照して、遠隔操作装置100のハードウェア構成例について説明する。遠隔操作装置100は、
図2に示される構成要素を有してもよい。また、遠隔操作装置100は、
図2に示されない構成要素を有してもよい。上述のように、遠隔操作装置100は、車両110を遠隔から操作するための装置である。
【0013】
プロセッサ201は、遠隔操作装置100による動作を実行するための汎用集積回路である。プロセッサ201は、例えば中央演算装置(CPU)によって構成されてもよい。メモリ202は、遠隔操作装置100による動作を規定するプログラム又は当該動作で使用される一時データを記憶するための集積回路である。メモリ202は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)などによって構成されてもよい。遠隔操作装置100による動作は、メモリ202に読み込まれたコンピュータプログラムをプロセッサ201が実行することによって実現されてもよい。これに代えて、遠隔操作装置100による動作の一部又は全部は、特定用途向け集積回路(ASIC)のような専用集積回路によって実現されてもよい。遠隔操作装置100は、1つのプロセッサ201のみを有してもよいし、複数のプロセッサ201を有してもよい。遠隔操作装置100が複数のプロセッサ201を有する場合に、遠隔操作装置100による動作はこれらのプロセッサ201が連携することによって実現されてもよい。
【0014】
入力装置203は、遠隔操作装置100のユーザ(例えば、遠隔操作サービスのオペレータ)からの指示を受け取るための装置である。入力装置203は、例えばキーボード、マウス、マイクロフォンなどによって構成されてもよい。出力装置204は、遠隔操作装置100のユーザに情報を提示するための装置である。出力装置204は、例えばディスプレイ(表示装置)、スピーカなどによって構成されてもよい。
【0015】
通信装置205は、遠隔操作装置100が外部の装置(例えば、ルータや基地局)と通信するための装置である。通信装置205は、例えばネットワークカードで構成されてもよい。通信装置205は、無線通信を行ってもよいし、有線通信を行ってもよい。
【0016】
記憶装置206は、遠隔操作装置100の動作に使用される情報やソフトウェアを記憶するための装置である。記憶装置206は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)によって構成されてもよい。記憶装置206は、例えば権限管理情報207を記憶する。権限管理情報207とは、車両110の遠隔操作を実行する権限を管理するための情報である。車両110の遠隔操作を実行する権限を以下では操作権限と表す。権限管理情報207の具体例については後述する。
【0017】
図3を参照して、車両110のハードウェア構成例について説明する。車両110は、
図3に示される構成要素を有してもよい。また、車両110は、
図3に示されない構成要素を有してもよい。例えば、
図3では車両110の走行に関する構成要素(エンジンやブレーキなど)が省略されている。車両110は、四輪自動車であってもよいし、二輪自動車であってもよいし、他の自動車であってもよい。
【0018】
プロセッサ301は、車両110による動作を実行するための汎用集積回路である。プロセッサ301は、例えばCPUによって構成されてもよい。メモリ302は、車両110による動作を規定するプログラム又は当該動作で使用される一時データを記憶するための集積回路である。メモリ302は、例えばRAM、ROMなどによって構成されてもよい。車両110による動作は、メモリ302に読み込まれたコンピュータプログラムをプロセッサ301が実行することによって実現されてもよい。これに代えて、車両110による動作の一部又は全部は、ASICのような専用集積回路によって実現されてもよい。車両110は、1つのプロセッサ301のみを有してもよいし、複数のプロセッサ301を有してもよい。車両110が複数のプロセッサ301を有する場合に、車両110による動作はこれらのプロセッサ301が連携することによって実現されてもよい。プロセッサ301及びメモリ302は、電子制御ユニット(ECU)として提供されてもよい。
【0019】
入力装置303は、車両110のユーザ(例えば、車両110の運転者)からの指示を受け取るための装置である。入力装置303は、例えばボタン、タッチパッド、ジョイスティック、マイクロフォンなどによって構成されてもよい。出力装置304は、車両110のユーザに情報を提示するための装置である。出力装置304は、例えばディスプレイ、スピーカなどによって構成されてもよい。タッチパッド及びディスプレイは一体となってタッチスクリーンを構成してもよい。出力装置304は、ナビゲーション機能を提供するために使用されてもよい。
【0020】
セルラ通信装置305は、セルラネットワークの一部を構成する外部の装置(例えば、基地局)と車両110が無線通信するための装置である。セルラ通信装置305は、例えばアンテナ及びベースバンドチップで構成されてもよい。短距離通信装置306は、外部の装置(例えば、ユーザ端末120)と車両110が直接に無線通信するための装置である。短距離通信装置306は、例えばアンテナ及びベースバンドチップで構成されてもよい。短距離通信装置306は、例えばBluetoothの規格に準拠してもよいし、他の通信規格に準拠してもよい。
【0021】
アクセルペダル307は、運転者が車両110の加速を制御するための駆動操作子である。車両110は、アクセルペダル307の操作量に応じて加速する。ブレーキペダル308は、運転者が車両110の減速を制御するための制動制御子である。車両110は、ブレーキペダル308の操作量に応じて減速する。ステアリングホイール309は、運転者が車両110の操舵を制御するための操舵制御子である。車両110は、ステアリングホイール309の操作方向及び操作量に応じて進行方向を変更する。
【0022】
舵角センサ310は、ステアリングホイール309の操作方向及び操作量を検出するためのセンサである。加速度センサ311は、車両110の加速度を測定するためのセンサである。車輪速センサ312は、車両110の車輪の回転速度を測定するためのセンサである。プロセッサ301は、車輪速センサ312からの出力に基づいて、車両110の速度を測定したり、車両110の走行距離を測定したりできる。
【0023】
記憶装置313は、車両110の動作に使用される情報を記憶するための装置である。記憶装置313は、HDDやSSD、電気的消去可能ROM(EEPROM)によって構成されてもよい。記憶装置313は、例えば運転特性履歴314を記憶する。運転特性履歴314とは、車両110の運転特性の履歴である。車両110の運転特性の具体例については後述する。
【0024】
図4を参照して、ユーザ端末120のハードウェア構成例について説明する。ユーザ端末120は、
図4に示される構成要素を有してもよい。また、ユーザ端末120は、
図4に示されない構成要素を有してもよい。ユーザ端末120は、ユーザによって使用される装置である。ユーザ端末120は、例えばスマートフォンのようなモバイル装置であってもよい。
【0025】
プロセッサ401は、ユーザ端末120による動作を実行するための汎用集積回路である。プロセッサ401は、例えばCPUによって構成されてもよい。メモリ402は、ユーザ端末120による動作を規定するプログラム又は当該動作で使用されるデータを記憶するための集積回路である。メモリ402は、例えばRAM、ROMなどによって構成されてもよい。ユーザ端末120による動作は、メモリ402に読み込まれたコンピュータプログラムをプロセッサ401が実行することによって実現されてもよい。これに代えて、ユーザ端末120による動作の一部又は全部は、ASICのような専用集積回路によって実現されてもよい。ユーザ端末120は、1つのプロセッサ401のみを有してもよいし、複数のプロセッサ401を有してもよい。ユーザ端末120が複数のプロセッサ401を有する場合に、ユーザ端末120による動作はこれらのプロセッサ401が連携することによって実現されてもよい。
【0026】
入力装置403は、ユーザ端末120のユーザからの指示を受け取るための装置である。入力装置403は、例えばボタン、タッチパッド、マイクロフォンなどによって構成されてもよい。出力装置404は、ユーザ端末120のユーザに情報を提示するための装置である。出力装置404は、例えばディスプレイ、スピーカ、バイブレータなどによって構成されてもよい。タッチパッド及びディスプレイは一体となってタッチスクリーンを構成してもよい。
【0027】
セルラ通信装置405は、セルラネットワークの一部を構成する外部の装置(例えば、基地局)とユーザ端末120が無線通信するための装置である。セルラ通信装置405は、例えばアンテナ及びベースバンドチップで構成されてもよい。短距離通信装置406は、外部の装置(例えば、車両110)とユーザ端末120が直接に無線通信するための装置である。短距離通信装置406は、例えばアンテナ及びベースバンドチップで構成されてもよい。短距離通信装置406は、例えばBluetoothの規格に準拠してもよいし、他の通信規格に準拠してもよい。
【0028】
測位センサ407は、ユーザ端末120の地理的位置を測定するためのセンサである。測位センサ407は、例えば全球測位衛星システム(GNSS)センサであってもよい。また、車両110は、測位センサを備えることで同様に車両110の地理的位置を測定してもよい。ユーザ端末120は、車両110の測位センサにより測定された車両110の地理的位置を受信し、この地理的位置を記憶装置408に記録することによって、車両110の地理的位置を把握できる。また、車両110にユーザが搭乗していると検知できる場合に、車両110は、ユーザ端末120の地理的位置を車両110の地理的位置と推定してもよい。記憶装置408は、遠隔操作装置100の動作に使用される情報やソフトウェアを記憶するための装置である。記憶装置408は、例えばEEPROMによって構成されてもよい。記憶装置408は、例えば遠隔操作アプリケーション409を記憶する。遠隔操作アプリケーション409は、車両110に対する遠隔操作サービスをユーザに提供するためのアプリケーションである。以下に説明するユーザ端末120の動作は、ユーザが遠隔操作アプリケーション409を操作することによって行われてもよい。
【0029】
図5を参照して、一部の実施形態に係る遠隔操作装置100を含むシステムの動作例について説明する。この動作の実行前に、ユーザは遠隔操作サービスを利用するためのアカウントを遠隔操作装置100に登録しており、自身のユーザ端末120に遠隔操作アプリケーション409をインストールしているとする。また、ユーザは、遠隔操作アプリケーション409に、ユーザは遠隔操作サービスを利用するためのアカウントのユーザIDを登録しているとする。
【0030】
S501で、ユーザは、車両110の短距離通信装置306とユーザ端末120の短距離通信装置406とをペアリングする。これによって、車両110の短距離通信装置306とユーザ端末120の短距離通信装置406とは互いに通信可能となる。ユーザ端末120は、ペアリング時に車両110の車両IDを取得してもよく、この車両IDを自身の端末ID又は遠隔操作アプリケーション409に登録されているユーザIDとともに遠隔操作装置100へ送信してもよい。遠隔操作装置100は、この車両IDをユーザ端末120による遠隔操作の対象の車両の車両IDとして(後述する権限管理情報207のカラム703に)記憶してもよい。
【0031】
続いて、ユーザは、S502~S506において、遠隔操作を実行するための操作権限を取得する。具体的に、S502で、ユーザは、遠隔操作アプリケーション409を使用して、利用コードの発行を遠隔操作装置100に要求する。利用コードとは、遠隔操作を実行するための操作権限を取得するために遠隔操作装置100へ送信することが必要な情報のことである。
【0032】
S503で、遠隔操作装置100は、ユーザからの要求に応じて利用コードを生成し、車両110へ送信する。遠隔操作装置100は、例えば利用コードとしてランダムに4桁の数字を生成してもよい。遠隔操作装置100は、後のステップで使用するために、生成した利用コードと、利用コードの発行を要求したユーザ端末120の識別情報とを関連付けて記憶装置206に記憶する。
【0033】
S504で、車両110は、入力装置303を用いて行われたユーザによる操作に従って、出力装置304を使用して利用コードを提示する。利用コードの提示は、表示装置に利用コードを表示することであってもよく、利用コードを表す音声をスピーカから再生することであってもよく、これらの組み合わせであってもよい。利用コードの提示には入力装置303の操作が必要となる。そのため、ユーザは、利用コードを取得するために、車両110のキーを使用して車両110をアンロックする必要がある。車両110は、入力装置303を用いて行われたユーザによる操作に従って利用コードを提示する代わりに、ユーザ端末120からの操作に従って利用コードを提示してもよいし、車載装置が乗員を検知したことに応じて利用コードを提示してもよい。
【0034】
S505で、ユーザは、遠隔操作アプリケーション409を使用して、出力装置304によって提示された利用コードを遠隔操作装置100に送信する。S506で、遠隔操作装置100は、S505で送信された利用コードとS503で作成した利用コードとが一致すること、及びS503で利用コードを生成してから所定の時間内(例えば、5分以内)にS505で利用コードを受信したことを条件として、遠隔操作を実行するための操作権限をユーザ端末120に付与する。後述するように、操作権限に有効期間が設定されてもよい。
【0035】
遠隔操作装置100は、個別のユーザ端末120に操作権限を付与してもよいし、ユーザ単位でユーザ端末120に操作権限を付与してもよい。ユーザが複数のユーザ端末120を有するとする。この場合に、遠隔操作装置100は、複数のユーザ端末120のうち、利用コードの送信に使用されたユーザ端末120に操作権限を付与し、他のユーザ端末120に操作権限を付与しなくてもよい。遠隔操作装置100は、ユーザの複数のユーザ端末120のうち、利用コードの送信に使用されたユーザ端末120だけでなく、他のユーザ端末120にも操作権限を付与してもよい。この場合に、遠隔操作装置100がユーザに操作権限を付与しているとみなされてもよい。以下の説明において、操作権限が付与されたユーザ端末120のことを、操作権限を有するユーザ端末120と表すことがある。また、操作権限が付与されたユーザ端末120のユーザのことを、操作権限を有するユーザと表すことがある。以下の説明では、個別のユーザ端末120に操作権限が付与される場合について説明するが、これに代えて、個別のユーザ端末120のユーザに操作権限が付与されてもよい。操作権限の付与と同様に、遠隔操作装置100は、個別のユーザ端末120の操作権限を解除してもよいし、ユーザ単位でユーザ端末120の操作権限を解除してもよい。
【0036】
S507で、ユーザは、操作権限を有するユーザ端末120の遠隔操作アプリケーション409を使用して、車両110に対する操作指示を遠隔操作装置100へ送信する。操作指示の具体例については後述する。S508で、遠隔操作装置100は、操作指示を送信したユーザ端末120が操作権限を有することを確認する。
【0037】
S509で、遠隔操作装置100は、ユーザからの操作指示に従って、車両110を遠隔から操作するために、操作指示を車両110へ送信する。S510で、車両110は、遠隔操作装置100から指示された動作を実行する。S507~S510の動作を繰り返すことによって、ユーザは、操作権限が有効である限り、遠隔操作を繰り返し指示できる。
【0038】
S511で、遠隔操作装置100は、操作権限の有効期間が過ぎたことに応じて、ユーザ端末120に付与した操作権限を解除する。このように操作権限を定期的に解除することによって、遠隔操作サービスの不正利用を抑制できる。遠隔操作装置100は、有効期間内にS502~S506を実行された場合に、操作権限の有効期間を更新してもよい。
【0039】
図6を参照して、遠隔操作アプリケーション409によってユーザ端末120の出力装置404(具体的に、ディスプレイ)に表示される画面の例について説明する。出力装置404には、以下に説明される画面600及び画面610以外に、これらの画面に遷移するためのメニュー画面などが表示されてもよい。
【0040】
図6(a)に、利用コードの発行及び送信に使用される画面600の例が示される。画面600は、上述のS502で利用コードの発行を要求するためのボタン601を含む。ユーザが入力装置403を使用してボタン601を選択(例えば、押下)することによって、利用コードを発行することの要求が遠隔操作装置100へ送信される。遠隔操作装置100のアドレスは遠隔操作アプリケーション409に事前に設定されていてもよい。
【0041】
画面600は、利用コードを入力するためのフィールド602と、フィールド602に入力された利用コードを遠隔操作装置100へ送信するためのボタン603とをさらに含む。ユーザが入力装置403を使用してフィールド602に利用コードを入力し、ボタン603を選択(例えば、押下)することによって、フィールド602に入力された利用コードが遠隔操作装置100へ送信される。
図6(a)の例ではボタン601、フィールド602及びボタン603が同一の画面600に含まれるが、これらのオブジェクトは複数の画面に分散して配置されてもよい。
【0042】
図6(b)に、車両110に対する遠隔操作に使用される画面610の例が示される。画面610は、車両110をアンロックするためのボタン611を含む。ユーザが入力装置403を使用してボタン611を選択(例えば、押下)することによって、車両110がアンロックされる。
【0043】
画面610は、車両110の電源をオン状態にするためのボタン612をさらに含む。ユーザが入力装置403を使用してボタン612を選択(例えば、押下)することによって、車両110の電源がオン状態(例えば、イグニッション電源オン状態)となる。これによって、ユーザは、車両110を発進できるようになる。セキュリティをさらに向上させるため、遠隔操作アプリケーション409は、ボタン612が押下された後、車両110の出力装置304によって提示された起動コードを入力することをユーザに要求してもよい。
【0044】
画面610は、車両110のエアコンを起動するためのボタン613をさらに含む。ユーザが入力装置403を使用してボタン613を選択(例えば、押下)することによって、車両110のエアコンが起動される。遠隔操作アプリケーション409は、車両110のエアコンの設定(例えば、温度)を変更する遠隔操作を提供してもよい。
【0045】
画面610は、車両110が見つけやすくなるように車両110の状態を変化させるためのボタン614をさらに含む。ユーザが入力装置403を使用してボタン614を選択(例えば、押下)することによって、例えば車両110のライトが所定期間点滅する。
【0046】
上述のように、遠隔操作アプリケーション409が遠隔操作としてアンロック操作及び電源オン操作を含む場合に、ユーザは、ユーザ端末120を車両110のキーの代わりに使用して車両110を発進できる。そのため、ユーザ端末120は、デジタルキーとして機能しうる。遠隔操作アプリケーション409は、遠隔操作として
図6(b)に説明された操作以外を含んでもよいし、
図6(b)に説明された操作の一部又は全部を含まなくてもよい。
図6(b)の例ではボタン611~614が同一の画面610に含まれるが、これらのオブジェクトは複数の画面に分散して配置されてもよい。
【0047】
図7を参照して、権限管理情報207の例について説明する。
図7では、各ユーザの操作権限がテーブル形式で管理される。これに代えて、各ユーザの操作権限は他の形式で管理されてもよい。権限管理情報207では、遠隔操作サービスの利用するためのアカウントを遠隔操作装置100に登録したユーザごとにレコードが生成される。
【0048】
カラム700(ユーザID)は、ユーザを一意に識別するため識別情報(すなわち、ユーザID)を表す。ユーザIDは、ユーザが遠隔操作サービスを利用するためのアカウントのアカウント名であってもよい。アカウント名は、ユーザによって指定された文字列(例えば、メールアドレス)であってもよいし、遠隔操作装置100が生成した一意の文字列であってもよい。遠隔操作装置100は、ユーザがアカウントを登録する際に権限管理情報207にレコードを追加し、そのレコードのカラム700にユーザIDを登録する。
【0049】
カラム701(端末ID)は、ユーザが使用するユーザ端末120を一意に識別するための識別情報(すなわち、端末ID)を表す。端末IDは、例えば短距離通信装置406のアドレス(BluetoothであればBDアドレス)であってもよい。端末IDは、ユーザ端末120のシリアル番号であってもよい。端末IDは、遠隔操作装置100がユーザ端末120に一意に割り当てた文字列であってもよい。ユーザ端末120の遠隔操作アプリケーション409は、ユーザからアカウント名が入力された際に、ユーザ端末120のユーザIDを遠隔操作装置100に送信してもよい。遠隔操作装置100は、受信した端末IDをカラム701に登録する。遠隔操作装置100が端末IDをユーザ端末120に割り当てた場合に、遠隔操作装置100はその端末IDをカラム701に登録するとともに、ユーザ端末120へ端末IDを送信する。ユーザ端末120は、後続の処理で使用するために、受信した端末IDを記憶する。
【0050】
一部の実施形態で、1人のユーザは、遠隔操作に使用するユーザ端末120を1つのみ登録可能であってもよいし、複数登録可能であってもよい。1人のユーザがユーザ端末120を複数登録する場合に、カラム701には複数の端末IDが登録される。
【0051】
カラム702(車両ID)は、ユーザが遠隔操作を行う車両を一意に識別するための識別情報(すなわち、車両ID)を表す。車両IDは、例えば車両110のセルラ通信装置305に割り当てられたIPアドレスであってもよい。車両IDは、車両110に記憶されていてもよい。ユーザ端末120は、
図5のS501でペアリングを行う際に車両110から車両IDを取得し、S502で利用コードの発行要求とともに、この車両IDを遠隔操作装置100へ送信してもよい。遠隔操作装置100は、受信した車両IDをカラム702に登録する。
【0052】
一部の実施形態で、1人のユーザは、遠隔操作を行う車両110を1つのみ登録可能であってもよいし、複数登録可能であってもよい。1人のユーザが複数の車両110を登録する場合に、カラム702には複数の車両IDが登録される。複数の車両IDが登録されている場合に、遠隔操作装置100は、遠隔操作の指示とともに、遠隔操作の対象の車両の車両IDを取得してもよい。
【0053】
カラム703(操作権限)は、ユーザが遠隔操作を行うための操作権限を表す。例えば、ユーザID「U1」のユーザは車両「V1」を遠隔操作するための操作権限を有する。ユーザID「U2」のユーザは車両「V1」を遠隔操作するための操作権限を有しない。
【0054】
遠隔操作装置100は、ユーザ端末120に操作権限を付与した場合に操作権限があることをカラム703に登録する。遠隔操作装置100は、ユーザ端末120の操作権限を解除した場合にカラム703を削除する。
【0055】
カラム704(有効期限)は、操作権限の有効期限を表す。遠隔操作装置100は、ユーザに操作権限を付与した日時と、その有効期間(例えば、50日間)とに基づいて有効期限を算出し、この有効期限をカラム704に登録する。ユーザは、操作権限が付与された後、有効期間内であれば、利用コードを遠隔操作装置100へ送信することなく、車両110に対する遠隔操作を繰り返し実行できる。遠隔操作装置100は、操作権限を付与してからその有効期間が過ぎたことに基づいて、この操作権限を解除する。その後、ユーザは、新たに遠隔操作を実行するために、再度、操作権限を取得する必要がある。
【0056】
図8を参照して、ユーザ端末120によって実行される動作例について説明する。
図8の各工程は、メモリ402に読み込まれたコンピュータプログラムをプロセッサ401が実行することによって行われてもよい。これに代えて、
図8の複数の工程の一部又は全部は、ASICのような専用集積回路によって行われてもよい。このような場合に、専用集積回路が各工程を実行するための機能部として動作してもよい。
図8の動作は、ユーザ端末120の動作中に繰り返し実行されてもよい。
【0057】
S801で、ユーザ端末120は、ユーザが遠隔操作アプリケーション409の使用を開始したかどうかを判定する。ユーザ端末120は、ユーザが遠隔操作アプリケーション409の使用を開始したと判定された場合(S801で「YES」)に処理をS802に遷移し、それ以外の場合(S801で「NO」)にS801を繰り返す。ユーザ端末120は、遠隔操作アプリケーション409が起動された場合や、遠隔操作アプリケーション409がバックグラウンドからアクティブに変更された場合に、ユーザが遠隔操作アプリケーション409の使用を開始したと判定してもよい。
【0058】
S802で、ユーザ端末120は、ユーザ端末120が操作権限を有するかどうかの問い合わせを遠隔操作装置100へ送信する。S803で、ユーザ端末120は、問い合わせの結果に基づいて、ユーザ端末120が操作権限を有するかどうかを判定する。ユーザ端末120は、ユーザ端末120が操作権限を有すると判定された場合(S803で「YES」)に処理をS804に遷移し、それ以外の場合(S803で「NO」)に処理をS807に遷移する。
【0059】
ユーザ端末120が操作権限を有する場合に、ユーザ端末120は、S804~S806によって、車両110の遠隔操作を行う。S804で、ユーザ端末120は、出力装置404を使用して、遠隔操作を行うための画面(例えば、
図6(b)の画面610)を表示する。
【0060】
S805で、ユーザ端末120は、入力装置403を使用してユーザから操作指示を取得したかどうかを判定する。ユーザ端末120は、ユーザから操作指示を取得したと判定された場合(S805で「YES」)に処理をS805に遷移し、それ以外の場合(S805で「NO」)にS805を繰り返す。操作指示は、例えば
図6(b)のボタン611~614の何れかの押下であってもよい。S806で、ユーザ端末120は、ユーザから取得した操作指示を遠隔操作装置100へ送信する。
【0061】
ユーザ端末120が操作権限を有しない場合に、ユーザ端末120は、S807~S811によって、車両110の操作権限を取得する。S807で、ユーザ端末120は、出力装置404を使用して、利用コードの発行を要求するための画面(例えば、
図6(a)の画面600)を表示する。
【0062】
S808で、ユーザ端末120は、入力装置403を使用してユーザから発行指示を取得したかどうかを判定する。発行指示とは、利用コードの発行を要求することの指示のことである。ユーザ端末120は、ユーザから発行指示を取得したと判定された場合(S808で「YES」)に処理をS809に遷移し、それ以外の場合(S808で「NO」)にS808を繰り返す。発行指示は、例えば
図6(a)のボタン601の押下であってもよい。S809で、ユーザ端末120は、利用コードの発行の要求を遠隔操作装置100へ送信する。
【0063】
S810で、ユーザ端末120は、入力装置403を使用してユーザからコード送信指示を取得したかどうかを判定する。コード送信指示とは、利用コードを送信することの指示のことである。ユーザ端末120は、ユーザからコード送信指示を取得したと判定された場合(S810で「YES」)に処理をS811に遷移し、それ以外の場合(S810で「NO」)にS810を繰り返す。利用コード指示は、例えば
図6(a)のボタン603の押下であってもよい。S811で、ユーザ端末120は、フィールド602に入力された利用コードを遠隔操作装置100へ送信する。
【0064】
ユーザ端末120から遠隔操作装置100へ送信されるデータには、ユーザ端末120に関連付けられた識別情報が含まれてもよい。ユーザ端末120に関連付けられた識別情報は、ユーザIDであってもよいし、端末IDであってもよい。ユーザIDは、
図7のカラム700で説明されたユーザIDと同じ種類であってもよい。端末IDは、
図7のカラム701で説明された端末IDと同じ種類であってもよい。
【0065】
図9を参照して、遠隔操作装置100によって実行される動作例について説明する。
図9の各工程は、メモリ202に読み込まれたコンピュータプログラムをプロセッサ201が実行することによって行われてもよい。これに代えて、
図9の複数の工程の一部又は全部は、ASICのような専用集積回路によって行われてもよい。このような場合に、専用集積回路が各工程を実行するための機能部として動作してもよい。
図9の動作は、遠隔操作装置100の動作中に繰り返し実行されてもよい。遠隔操作装置100は、
図9(a)~
図9(d)の動作を並行して実行してもよい。
【0066】
図9(a)に示される動作において、遠隔操作装置100は、ユーザ端末120からの操作権限の問い合わせに応答する。S901で、遠隔操作装置100は、S802で送信された操作権限の問い合わせを受信したかどうかを判定する。遠隔操作装置100は、操作権限の問い合わせを受信したと判定された場合(S901で「YES」)に処理をS902に遷移し、それ以外の場合(S901で「NO」)にS901を繰り返す。
【0067】
S902で、遠隔操作装置100は、権限管理情報207を参照して、問い合わせに含まれる識別情報(ユーザID又は端末ID)に基づいて特定されるユーザ端末120又はユーザが操作権限を有するかどうかを確認する。S903で、遠隔操作装置100は、問い合わせの応答としてS902の確認結果を送信する。
【0068】
図9(b)に示される動作において、遠隔操作装置100は、ユーザ端末120からの操作指示を処理する。S911で、遠隔操作装置100は、S805で送信された操作指示を受信したかどうかを判定する。遠隔操作装置100は、操作指示を受信したと判定された場合(S911で「YES」)に処理をS912に遷移し、それ以外の場合(S911で「NO」)にS911を繰り返す。
【0069】
S912で、遠隔操作装置100は、権限管理情報207を参照して、問い合わせに含まれる識別情報(ユーザID又は端末ID)に基づいて、操作すべき車両110を特定する。その後、遠隔操作装置100は、操作指示に従って、特定された車両110を遠隔から操作する。具体的に、遠隔操作装置100は、車両110に操作指示を送信する。
【0070】
図8で説明したように、S805で操作指示を送信できるユーザ端末120は、S803で操作権限を有すると判定されたユーザ端末120である。そのため、
図9(b)に示される動作において、遠隔操作装置100は、ユーザ端末120が操作権限を有するかどうかを判定しなくてもよい。これに代えて、遠隔操作装置100は、S911とS912との間にユーザ端末120が操作権限を有するかどうかを判定してもよい。この場合に、遠隔操作装置100は、ユーザ端末120が操作権限を有する場合にS912を実行し、ユーザ端末120が操作権限を有しない場合にS912を実行せずにユーザ端末120にエラーを返してもよい。
【0071】
図9(c)に示される動作において、遠隔操作装置100は、ユーザ端末120に操作権限を付与する。上述のように、遠隔操作装置100は、特定のユーザ端末120に操作権限を付与する代わりに、特定のユーザに操作権限を付与してもよい。
【0072】
S921で、遠隔操作装置100は、特定のユーザ端末120が操作権限を付与するための条件(以下、付与条件と表す)を満たしたかどうかを判定する。遠隔操作装置100は、特定のユーザ端末120が付与条件を満たしたと判定された場合(S921で「YES」)に処理をS922に遷移し、それ以外の場合(S921で「NO」)にS921を繰り返す。S922で、遠隔操作装置100は、付与条件を満たしたと判定された特定のユーザ端末120に操作権限を付与する。
【0073】
上述したように、付与条件は、遠隔操作装置100が利用コードを発行してから所定の時間内(例えば、5分以内)にユーザ端末120からこの利用コードを受信したことを含んでもよい。
【0074】
図9(d)に示される動作において、遠隔操作装置100は、ユーザ端末120の操作権限を解除する。上述のように、遠隔操作装置100は、特定のユーザ端末120の操作権限を解除する代わりに、特定のユーザの操作権限を解除してもよい。
【0075】
S931で、遠隔操作装置100は、特定のユーザ端末120が操作権限を解除するための条件(以下、解除条件と表す)を満たしたかどうかを判定する。遠隔操作装置100は、特定のユーザ端末120が解除条件を満たしたと判定された場合(S931で「YES」)に処理をS932に遷移し、それ以外の場合(S931で「NO」)にS931を繰り返す。S932で、遠隔操作装置100は、解除条件を満たしたと判定された特定のユーザ端末120の操作権限を解除する。
【0076】
解除条件は、操作権限の有効期間が過ぎたことを含んでもよい。遠隔操作装置100は、有効期間が過ぎた操作権限を解除してもよい。
【0077】
解除条件は、操作権限に関連付けられた車両110の運転特性が変化したことを含んでもよい。車両110の運転特性が変化したことの原因として、車両110の所有者が変化したことが考えられる。このような場合に、車両110の関連付けられた操作権限を解除することによって、以前の所有者が車両110の遠隔操作が出来なくなる。それによって、セキュリティが向上する。所有者が変更されていないにもかかわらず操作権限が解除されてしまったとしても、車両110の所有者であれば、利用コードを再度送信することによって操作権限を取得できる。運転特性は、ステアリングホイール309の角速度と、車両110の加速度と、車両110の減速度との少なくとも1つを含んでもよい。一部の実施形態で、車両110の運転特性は、車両110によって測定されてもよい。
【0078】
解除条件に使用される運転特性は、駐車操作時の運転特性であってもよい。駐車操作時に車両が低速であることや、駐車操作が運転者の運転の癖を反映しやすいことから、駐車操作時の運転特性の変化を判定することによって、車両の所有者の変化の検出精度が向上する。駐車操作時とは、イグニッション電源がオフになる直近又はシフトポジションがパーキングになる直近の、シフトポジションがリバースである一続きの期間であってもよい。
【0079】
車両110は、駐車操作時の運転特性を、以下の5つの値の少なくとも何れかに基づいて測定してもよい。
(1)駐車操作時のステアリングホイール309の最大操舵量(以下、単に最大操舵量と表す)。
(2)駐車操作時のステアリングホイール309の平均角速度(以下、単に平均角速度と表す)。
(3)駐車操作時の車両110の停止回数(以下、単に停止回数と表す)。
(4)駐車操作時の車両110の加速度。
(5)駐車操作時の車両110の減速度。
【0080】
例えば、車両110は、過去の複数回の駐車操作時の最大操舵量の代表値(例えば、平均値や中央値)と、判定対象の駐車操作時の最大操舵値とを比較してもよい。車両110は、これらの値の差(絶対値、以下同様)が大きければ、駐車操作時の運転特性が変化したと判定してもよい。最大操舵量の差は、複数のレベルに分類されてもよい。例えば、時計回りの回転を正方向として、操舵量は、-720度~720度の範囲で測定されてもよい。車両110は、最大操舵量の差が90度未満であれば逸脱レベルを0とし、最大操舵量の差が90度以上180度未満であれば逸脱レベルを1とし、最大操舵量の差が180度以上であれば逸脱レベルを2としてもよい。例えば、過去の5回の駐車操作時の最大操舵量の平均値が540度であり、判定対象の駐車操作時の最大操舵値が700度であるとする。この場合に、差が160度であるため、逸脱レベルは1であると判定される。
【0081】
例えば、車両110は、過去の複数回の駐車操作時の平均角速度の代表値(例えば、平均値や中央値)と、判定対象の駐車操作時の平均角速度とを比較してもよい。車両110は、これらの値の差(絶対値、以下同様)が大きければ、駐車操作時の運転特性が変化したと判定してもよい。平均角速度の値の差は、複数のレベルに分類されてもよい。
【0082】
例えば、車両110は、過去の複数回の駐車操作時の停止回数の代表値(例えば、平均値や中央値)と、判定対象の駐車操作時の停止回数とを比較してもよい。車両110は、これらの値の差(絶対値、以下同様)が大きければ、駐車操作時の運転特性が変化したと判定してもよい。停止回数の差は、複数のレベルに分類されてもよい。車両110は、停止回数の差が1回未満であれば逸脱レベルを0とし、停止回数の差が1回以上2回未満であれば逸脱レベルを1とし、停止回数の差が2回以上であれば逸脱レベルを2としてもよい。例えば、過去の5回の駐車操作時の停止回数の平均値が2.5回であり、判定対象の駐車操作時の停止回数が4回であるとする。この場合に、差が1.5回であるため、逸脱レベルは1であると判定される。
【0083】
例えば、車両110は、過去の複数回の駐車操作時の平均加速度の代表値(例えば、平均値や中央値)と、判定対象の駐車操作時の平均加速度とを比較してもよい。車両110は、これらの値の差(絶対値、以下同様)が大きければ、駐車操作時の運転特性が変化したと判定してもよい。平均加速度の値の差は、複数のレベルに分類されてもよい。
【0084】
例えば、車両110は、過去の複数回の駐車操作時の平均減速度の代表値(例えば、平均値や中央値)と、判定対象の駐車操作時の平均減速度とを比較してもよい。車両110は、これらの値の差(絶対値、以下同様)が大きければ、駐車操作時の運転特性が変化したと判定してもよい。平均減速度の値の差は、複数のレベルに分類されてもよい。
【0085】
車両110は、上述の(1)~(5)の値を組み合わせて駐車操作時の運転特性の変化を判定してもよい。例えば、車両110は、上述の(1)~(5)の値に基づいて決定された逸脱レベルの和が閾値を超える場合に、駐車操作時の運転特性が変化したと判定してもよい。
【0086】
解除条件に使用される運転特性は、駐車操作時以外の運転特性であってもよい。例えば、解除条件に使用される運転特性は、車両110の前進時の運転特性であってもよい。例えば、解除条件に使用される運転特性は、車両110の前進時のステアリングホイール309の操作量、角速度、又は車両110の前進時の加減速を含んでもよい。
【0087】
解除条件は、ユーザ又は遠隔操作装置100のオペレータが操作権限の解除を要求したことを含んでもよい。ユーザは、このような要求を、遠隔操作アプリケーション409を用いて行ってもよいし、遠隔操作装置100が提供するウェブインタフェースを用いて行ってもよい。オペレータは、このような要求を、入力装置203を用いて行ってもよい。遠隔操作装置100は、指定された操作権限を解除してもよい。
【0088】
図10を参照して、車両110によって実行される動作例について説明する。
図10の各工程は、メモリ302に読み込まれたコンピュータプログラムをプロセッサ301が実行することによって行われてもよい。これに代えて、
図10の複数の工程の一部又は全部は、ASICのような専用集積回路によって行われてもよい。このような場合に、専用集積回路が各工程を実行するための機能部として動作してもよい。
図10の動作は、車両110の動作中に繰り返し実行されてもよい。車両110は、
図10(a)~
図10(c)の動作を並行して実行してもよい。
【0089】
図10(a)に示される動作において、車両110は、利用コードを提示する。S1001で、車両110は、遠隔操作装置100からS503で送信された利用コードを受信したかどうかを判定する。車両110は、利用コードを受信したと判定された場合(S1001で「YES」)に処理をS1002に遷移し、それ以外の場合(S1001で「NO」)にS1001を繰り返す。S1002で、車両110は、ユーザによる入力装置303の操作に応じて、出力装置304を用いて利用コードを提示する。
【0090】
図10(b)に示される動作において、車両110は、遠隔操作の指示に従って動作する。S1011で、車両110は、遠隔操作装置100からS912で送信された操作指示を受信したかどうかを判定する。車両110は、操作指示を受信したと判定された場合(S1011で「YES」)に処理をS1012に遷移し、それ以外の場合(S1011で「NO」)にS1011を繰り返す。S1012で、車両110は、操作指示に従って動作を実行する。例えば、操作指示がアンロックである場合に、車両110は、ドアのロックを解除する。
【0091】
図10(c)に示される動作において、車両110は、運転特性が変化したことを遠隔操作装置100に通知する。S1021で、車両110は、車両110の運転特性を測定し、後続の処理のために運転特性履歴314として記憶装置313に記憶する。車両110の運転特性の具体例は上述したとおりである。
【0092】
S1022で、車両110は、車両110の運転特性が変化したかどうかを判定する。車両110は、車両110の運転特性が変化したと判定された場合(S1022で「YES」)に処理をS1023に遷移し、それ以外の場合(S1022で「NO」)に処理をS1021に遷移する。車両110の運転特性の変化の判定方法については上述したとおりである。
【0093】
S1023で、車両110は、車両110の運転特性が変化したことを遠隔操作装置100に通知する。遠隔操作装置100は、この通知に応じて、この車両110に関連付けられたユーザ端末120の操作権限を解除する。
【0094】
上述の例では、車両110の運転特性が変化したかどうかを、車両110が判定する。これに代えて、車両110の運転特性が変化したかどうかを、遠隔操作装置100が判定してもよい。この場合に、車両110は、S1021で測定した運転特性を遠隔操作装置100へ送信する。遠隔操作装置100は、この運転特性を、運転特性履歴として記憶装置206に記憶する。遠隔操作装置100は、記憶装置206に記憶された運転特性履歴を参照して、S1022を実行する。
【0095】
図11及び
図12を参照して、上述のユーザ端末120及び遠隔操作装置100の動作の変形例を説明する。
図8に示される動作において、ユーザ端末120は、操作権限を有しない場合に、操作指示を行うための画面(例えば、画面610)を表示しない。そのため、ユーザは、操作権限を有しないユーザ端末120を用いて、操作指示を行うことができない。これに代えて、以下の変形例では、ユーザから操作指示を取得した後に、ユーザ端末120が操作権限を有するかどうかが判定される。
【0096】
ユーザ端末120は、
図8に示される動作に代えて、
図11に示される動作を実行する。S1101で、ユーザ端末120は、ユーザからの指示に従って、操作指示を行うための画面(例えば、画面610)を表示する。S1102で、ユーザ端末120は、S805と同様にして、入力装置403を使用してユーザから操作指示を取得したかどうかを判定する。S1103で、ユーザ端末120は、S806と同様にして、ユーザから取得した操作指示を遠隔操作装置100へ送信する。S1101~S1103の動作は、ユーザ端末120が操作権限を有するかどうかによらずに実行される。
【0097】
S1104で、ユーザ端末120は、遠隔操作装置100から、操作権限を有しないため遠隔操作を実行できないことの通知を取得したかどうかを判定する。ユーザ端末120は、このような通知を取得したと判定された場合(S1104で「YES」)に処理をS1105に遷移し、それ以外の場合(S1104で「NO」)に処理を終了する。
【0098】
S1105で、ユーザ端末120は、操作権限を有しないため遠隔操作を実行できないことをユーザに通知する。その後、ユーザ端末120は、自動的に画面600を表示してもよい。
【0099】
遠隔操作装置100は、
図9(b)に示される動作に代えて、
図12に示される動作を実行する。S1201で、遠隔操作装置100は、S911と同様にして、遠隔操作装置100からS1102で送信された操作指示を受信したかどうかを判定する。
【0100】
S1202で、遠隔操作装置100は、権限管理情報207を参照して、ユーザ端末120が操作権限を有するかどうかを判定する。ユーザ端末120は、ユーザ端末120が操作権限を有すると判定された場合(S1202で「YES」)に処理をS1203に遷移し、それ以外の場合(S1202で「NO」)に処理をS1204に遷移する。
【0101】
S1203で、遠隔操作装置100は、S912と同様にして、操作指示に従って、特定された車両110を遠隔から操作する。S1204で、遠隔操作装置100は、操作権限を有しないため遠隔操作を実行できないことをユーザ端末120に通知する。
【0102】
上述の動作では、ユーザ端末120が操作権限を有するかどうかを遠隔操作装置100が判定する。これに代えて、ユーザ端末120が、S1104において、S802~S803と同様にして、ユーザ端末120が操作権限を有するかどうかを判定してもよい。これに代えて、ユーザ端末120は、S1101で操作画面を表示する前にユーザ端末120が操作権限を有するかどうかを判定してもよい。ユーザ端末120が操作権限を有しない場合に、ユーザ端末120は、操作画面(例えば、画面610)において、操作権限を有しないこと、すなわち遠隔操作を実行できないことを示してもよい。例えば、ユーザ端末120は、遠隔操作を行うためのボタン611~614をグレーアウトしてもよい。
【0103】
<実施形態のまとめ>
[項目1]
車両(110)を遠隔から操作する遠隔操作装置(100)であって、
ユーザ端末(120)が付与条件を満たす場合に、前記ユーザ端末に、前記車両を遠隔から操作するための操作権限を付与する付与手段と、
前記操作権限を有するユーザ端末から送信された操作指示に従って、前記車両を遠隔から操作する操作手段と、
前記操作権限を有するユーザ端末が解除条件を満たす場合に、前記ユーザ端末の前記操作権限を解除する解除手段と、を備え、
前記解除条件は、前記操作権限に関連付けられた車両の運転特性が変化したことを含む、遠隔操作装置。
この項目によれば、遠隔操作の操作権限を適切に解除でき、セキュリティを向上できる。
[項目2]
前記付与条件は、前記車両の出力装置(304)が提示する情報を前記ユーザ端末が送信することを含む、項目1に記載の遠隔操作装置。
この項目によれば、遠隔操作の操作権限を適切に付与でき、セキュリティを向上できる。
[項目3]
前記運転特性は、駐車操作時の運転特性を含む、項目1に記載の遠隔操作装置。
この項目によれば、運転特性の変化を精度よく判定できる。
[項目4]
前記運転特性は、前記車両の操舵操作子(309)の角速度と、前記車両の加速度と、前記車両の減速度との少なくとも1つを含む、項目3に記載の遠隔操作装置。
この項目によれば、運転特性の変化を精度よく判定できる。
[項目5]
コンピュータを項目1乃至4の何れか1項に記載の遠隔操作装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
この項目によれば、プログラムの形式で上記項目が提供される。
[項目6]
車両(110)を遠隔から操作する遠隔操作装置(100)の制御方法であって、
ユーザ端末(120)が付与条件を満たす場合に、前記ユーザ端末に、前記車両を遠隔から操作するための操作権限を付与する付与工程と、
前記操作権限を有するユーザ端末から送信された操作指示に従って、前記車両を遠隔から操作する操作工程と、
前記操作権限を有するユーザ端末が解除条件を満たす場合に、前記ユーザ端末の前記操作権限を解除する解除工程と、を備え、
前記解除条件は、前記操作権限に関連付けられた車両の運転特性が変化したことを含む、制御方法。
この項目によれば、遠隔操作の操作権限を適切に解除でき、セキュリティを向上できる。
【0104】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
100 遠隔操作装置、110 車両、120 ユーザ端末