(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049065
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】光空間通信制御システム、光空間通信制御装置および光空間通信制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20240402BHJP
H04B 10/112 20130101ALI20240402BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20240402BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
H04B10/112
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155305
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高田 紘也
(72)【発明者】
【氏名】鴨居 敦
(72)【発明者】
【氏名】水本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】相薗 正樹
【テーマコード(参考)】
5K102
5L049
【Fターム(参考)】
5K102AA22
5K102AL23
5L049AA09
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】工程の遷移を検出し、検出した工程の遷移に応じて光空間通信装置の接続を制御する。
【解決手段】光空間通信制御システム(100)は、第1の光空間通信装置の接続関係の変化を検出する第1検出手段(101)と、検出された接続関係の変化と各工程における光空間通信装置間の接続関係を示す計画情報とに基づき、工程の遷移を検出する第2検出手段(102)と、検出された工程の遷移に応じて、第1の光空間通信装置の接続先を制御する接続制御手段(103)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光空間通信装置と、前記第1の光空間通信装置に隣接する第2の光空間通信装置との接続関係の変化を検出する第1検出手段と、
前記検出された接続関係の変化と各工程における前記第1の光空間通信装置および前記第2の光空間通信装置間の接続関係を示す計画情報とに基づき、工程の遷移を検出する第2検出手段と、
前記検出された工程の遷移に応じて、前記第1の光空間通信装置の接続先を制御する接続制御手段と、を備える、光空間通信制御システム。
【請求項2】
前記検出された工程の遷移を前記第1の光空間通信装置とは異なる第3の光空間通信装置に通知する通知手段をさらに備える、請求項1に記載の光空間通信制御システム。
【請求項3】
前記通知手段は、前記検出された工程の遷移を、前記第1の光空間通信装置と管理装置との通信を中継する前記第3の光空間通信装置に通知する、請求項2に記載の光空間通信制御システム。
【請求項4】
前記通知手段は、前記検出された工程の遷移を前記第3の光空間通信装置に通知することにより、前記第3の光空間通信装置の接続先の制御を行なわせる、請求項2または3に記載の光空間通信制御システム。
【請求項5】
前記第1検出手段は、前記第1の光空間通信装置と、前記第2の光空間通信装置との光軸合わせに基づいて、前記第1の光空間通信装置の位置に対する前記第2の光空間通信装置の位置の変化をさらに検出し、
前記計画情報は、各工程における各光空間通信装置の位置をさらに示しており、
前記第2検出手段は、前記第1検出手段が検出した前記第2の光空間通信装置の位置の変化にさらに基づいて、前記工程の遷移を検出する、請求項1~3のいずれか一項に記載の光空間通信制御システム。
【請求項6】
前記接続制御手段は、前記検出された前記工程の遷移の異常に基づいて、前記第1の光空間通信装置に隣接する第4の光空間通信装置から前記第4の光空間通信装置が保持する工程の情報を取得し、当該工程の情報に応じて、前記第1の光空間通信装置の接続先を制御する、請求項1~3のいずれか一項に記載の光空間通信制御システム。
【請求項7】
光空間通信の接続先を制御する接続制御部と、
前記光空間通信の接続先の隣接光空間通信装置との接続関係の変化を検出する第1検出部と、
前記第1検出部が検出した前記接続関係の変化に基づき、各工程における前記光空間通信の接続関係を示す計画情報を参照して、工程の遷移を検出する第2検出部と、
を備え、
前記接続制御部は、前記第2検出部が検出した前記工程の遷移に応じて、前記光空間通信の接続先を制御する、光空間通信制御装置。
【請求項8】
前記接続制御部は、前記検出された前記工程の遷移の異常に基づいて、前記光空間通信の接続先の光空間通信装置から当該光空間通信装置が保持する工程の情報を取得し、当該工程の情報に応じて、前記光空間通信の接続先を制御する、請求項7に記載の光空間通信制御装置。
【請求項9】
第1の光空間通信装置と、前記第1の光空間通信装置に隣接する第2の光空間通信装置との接続関係の変化を検出し、
前記検出された接続関係の変化と各工程における光空間通信装置間の接続関係を示す計画情報とに基づき、工程の遷移を検出し、
前記検出された工程の遷移に応じて、前記第1の光空間通信装置の接続先を制御する、光空間通信制御方法。
【請求項10】
前記検出された前記工程の遷移の異常に基づいて、前記第1の光空間通信装置に隣接する第4の光空間通信装置から前記第4の光空間通信装置が保持する工程の情報を取得し、当該工程の情報に応じて、前記第1の光空間通信装置の接続先を制御する、請求項9に記載の光空間通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光空間通信制御システム、光空間通信制御装置および光空間通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空間内を伝搬する光を用いた通信である光空間通信(光無線通信)において、移動パターンを考慮する技術として、例えば、特許文献1には、ラッシュアワーが始まろうとしている場合に、ラッシュアワーに関連付けられたエンドユーザの移動パターンを適用し、移動パターンに基づいて光無線通信のリソースを割り当てることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、時間に基づいて光無線通信のリソースを制御するものであり、時間通りに物事が進まない場合、必要な制御を行えない場合がある。
【0005】
例えば、工事現場などで光空間通信装置を用いる場合、工事における工程の遷移は必ずしも時間通りになされるものではない。
【0006】
本発明の一つの目的は、工程の遷移を検出し、検出した工程の遷移に応じて光空間通信装置の接続を制御することができる光空間通信制御システム、光空間通信制御装置および光空間通信制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光空間通信制御システムの一態様は、第1の光空間通信装置と、前記第1の光空間通信装置に隣接する第2の光空間通信装置との接続関係の変化を検出する第1検出手段と、前記検出された接続関係の変化と各工程における前記第1の光空間通信装置および前記第2の光空間通信装置間の接続関係を示す計画情報とに基づき、工程の遷移を検出する第2検出手段と、前記検出された前記工程の遷移に応じて、前記第1の光空間通信装置の接続先を制御する接続制御手段と、を備える。
【0008】
本発明の光空間通信制御装置の一態様は、第1の光空間通信装置と、前記第1の光空間通信装置に隣接する第2の光空間通信装置との接続関係の変化を検出する第1検出部と、前記検出された接続関係の変化と各工程における前記第1の光空間通信装置および前記第2の光空間通信装置間の接続関係を示す計画情報とに基づき、工程の遷移を検出する第2検出部と、前記検出された前記工程の遷移に応じて、前記第1の光空間通信装置の接続先を制御する接続制御部と、を備える。
【0009】
本発明の光空間通信制御方法の一態様は、コンピュータが、第1の光空間通信装置と、前記第1の光空間通信装置に隣接する第2の光空間通信装置との接続関係の変化を検出し、前記検出された接続関係の変化と各工程における前記第1の光空間通信装置および前記第2の光空間通信装置間の接続関係を示す計画情報とに基づき、工程の遷移を検出し、前記検出された工程の遷移に応じて、前記第1の光空間通信装置の接続先を制御する。
【発明の効果】
【0010】
工程の遷移を検出し、検出した工程の遷移に応じて光空間通信装置の接続を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係る光空間通信制御システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る各工程における光空間通信装置間の接続関係の例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る光空間通信制御システムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図4】第1の実施形態に係る光空間通信制御装置の構成の例を示すブロック図である。
【
図5】第2の実施形態に係る光空間通信制御システムを備えた光空間通信装置の構成の例を示すブロック図である。
【
図6】第2の実施形態における各工程における光空間通信装置間の接続関係の例を示す図である。
【
図7】第2の実施形態における計画情報の例を示す図である。
【
図8】第2の実施形態における接続先を制御する動作の例を示す図である。
【
図9】第3の実施形態に係る光空間通信制御システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図10】第3の実施形態における工程の遷移を通知する動作の例を示す図である。
【
図11】第4の実施形態に係る光空間通信制御システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図12】第4の実施形態における計画情報の例を示す図である。
【
図13】光空間通信装置による光軸合わせの一例を説明する図である。
【
図14】光空間通信装置による光軸合わせの一例を説明する図である。
【
図15】第5の実施形態に係る光空間通信制御システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図16】第5の実施形態における異常検出時の動作の例を示す図である。
【
図17】実施の形態に係るコンピュータのハードウェアの概要を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
(光空間通信制御システム)
以下、本発明の第1の実施形態に係る光空間通信制御システム100について、図面を参照して説明する。光空間通信制御システム100は、光空間通信装置10間の接続を制御するシステムである。光空間通信ネットワークとは、複数の光空間通信装置によって構成され、光空間通信装置間に設定された光空間通信経路を介して光空間通信を行うネットワークである。
【0013】
本実施形態は、光空間通信を利用して行われる作業であって、工程によって光空間通信装置間の接続関係が変化する作業に好適に適用することができる。このような作業としては、特に限定されないが、例えば工事や点検などが挙げられる。
【0014】
光空間通信とは、空間を伝搬する光を用いた通信である。光空間通信に用いられる光には、ミリ波、サブミリ波、赤外光、可視光、紫外光等が含まれ得る。なお、二つの光空間通信装置間に光空間通信経路を設定するためには、当該二つの光空間通信装置同士において光空間通信のための光軸合わせを行う必要がある。光空間通信のための光軸合わせとは、一方の光空間通信装置の送受光部の光軸と、他方の光空間通信装置の送受光部の光軸とを一致させることを指す。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光空間通信制御システム100の構成の例を示す機能ブロック図である。
図1において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、
図1に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置に実装されてもよい。また、一部または全部のブロックは、クラウド等で機能として実装されてもよい。光空間通信制御システム100は第1検出手段101、第2検出手段102および接続制御手段103を備える。
【0016】
また、光空間通信制御システム100は、光空間通信装置10bを制御する。光空間通信制御システム100が制御する光空間通信装置10bを第1の光空間通信装置と称することもある。光空間通信制御システム100は、光空間通信装置10bと通信可能な構成であってもいし、光空間通信制御システム100の一部または全部が、光空間通信装置10bに備えられている構成であってもよい。
【0017】
図2は、各工程における光空間通信装置間の接続関係の例を示す図である。接続とは、光空間通信装置間において、光空間通信が可能な状態を指す。なお、接続している光空間通信装置間では、光軸合わせが行なわれているといえる。接続関係とは、光空間通信装置間が接続しているか否かを指す。
図2に示す例では、光空間通信装置10bに隣接する光空間通信装置として、光空間通信装置10aおよび10cが存在する。光空間通信装置10a、10bおよび10cを総称して光空間通信装置10と呼ぶこともある。また、本明細書において、第1の光空間通信装置に隣接する第2の光空間通信装置とは、第1の光空間通信装置と光空間通信での接続が可能な距離にある光空間通信装置を指し、単数であっても複数であってもよい。
【0018】
図2に示す例において、工程1では、光空間通信装置10bには、光空間通信装置10aおよび光空間通信装置10cが接続されており、工程2では、光空間通信装置10bには、光空間通信装置10aおよび光空間通信装置10cは接続されていない状態となっている。
【0019】
第1検出手段101は、光空間通信装置10b(第1の光空間通信装置)と、光空間通信装置10bに隣接する光空間通信装置(第2の光空間通信装置。例えば、光空間通信装置10a、10c)との接続関係の変化を検出する。第1検出手段101は、光空間通信装置10bと光空間通信装置10aとの接続関係の変化を検出してもよいし、光空間通信装置10bと光空間通信装置10cとの接続関係の変化を検出してもよいし、光空間通信装置10bと光空間通信装置10aおよび光空間通信装置10cとの接続関係の変化を検出してもよい。なお、光空間通信装置10bに隣接する光空間通信装置(第2の光空間通信装置)は、光空間通信装置10bが行なう光空間通信の接続先である隣接光空間通信装置と言い換えてもよい。
【0020】
第2検出手段102は、第1検出手段101が検出した接続関係の変化と、各工程における光空間通信装置10間の接続関係を示す計画情報とに基づいて、工程の遷移を検出する。工程の遷移とは、計画に従って実行している工程が移行することを指す。工程の遷移は、計画に定められた順序における次の工程に移行することだけでなく、計画に定められた順序における前の工程やその他の工程に移行することも含む。計画情報は、計画を構成する各工程間の順序や、各構成の内容を示すものであり、本実施形態では、
図2に示すような各工程における光空間通信装置間の接続関係を示すものである。
【0021】
第2検出手段102は、第1検出手段101が検出した変化後の接続関係が、何れの工程における接続関係に該当するのかを判定することにより、工程の遷移を検出する。すなわち、第2検出手段102は、第1検出手段101が検出した変化後の接続関係が、現行の工程における接続関係に該当せず、次の工程における接続関係に該当する場合、次の工程に遷移したことを検出することができる。
【0022】
一例として、第1検出手段101が、光空間通信装置10bと光空間通信装置10aとの接続関係が、「接続」から「非接続」に変化した(解除された)ことを検出したものとする。この場合、第2検出手段102は、計画情報を参照して、光空間通信装置10bと光空間通信装置10aとが「非接続」である接続関係が該当するのは、工程2における接続関係であると判定し、工程1から工程2に遷移したことを検出することができる。
【0023】
接続制御手段103は、第2検出手段102が検出した工程の遷移に応じて、光空間通信装置10b(第1の光空間通信装置)の接続先を制御する。例えば、接続制御手段103は、計画情報を参照して、第2検出手段102が検出した工程の遷移における遷移後の工程の接続関係に該当させるように、光空間通信装置10bの接続先を制御する。
【0024】
一例として、第2検出手段102が、工程1から工程2に遷移したことを検出し、計画情報において、工程2では光空間通信装置10bと光空間通信装置10cとの接続関係が「非接続」であることが決められていたものとする。この場合、接続制御手段103は、光空間通信装置10bと光空間通信装置10cとの接続関係を「非接続」とするように、光空間通信装置10bの接続先を制御する。
【0025】
以上の構成によれば、光空間通信制御システム100は、工程の遷移を検出し、検出した工程の遷移に応じて光空間通信装置10の接続を制御することができる。以上の構成により、工程によって光空間通信装置間の接続関係が変化する状況でも、工程に応じた光空間通信ネットワークを速やかに構築することができる。
【0026】
(光空間通信制御方法)
第1の実施形態に係る光空間通信制御システムの動作(光空間通信制御方法)について、図面を用いて説明する。
図3は光空間通信制御システム100の動作の例を示すフローチャートである。
【0027】
ステップS301において、第1検出手段101は、光空間通信装置10b(第1の光空間通信装置)と、光空間通信装置10bに隣接する光空間通信装置(第2の光空間通信装置。例えば、光空間通信装置10a、10c)との接続関係の変化を検出する。
【0028】
ステップS302において、第2検出手段102は、検出した接続関係の変化と、各工程における光空間通信装置10間の接続関係を示す計画情報とに基づいて、工程の遷移を検出する。
【0029】
そして、ステップS303において、接続制御手段103は、検出した前記工程の遷移に応じて、光空間通信装置10b(第1の光空間通信装置)の接続先を制御する。
【0030】
(光空間通信制御装置)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る光空間通信制御装置400の構成の例を示すブロック図である。第1検出部401は、第1検出手段101と同等の機能を備え、光空間通信装置10b(第1の光空間通信装置)と、光空間通信装置10bに隣接する光空間通信装置(第2の光空間通信装置。例えば、光空間通信装置10a、10c)との接続関係の変化を検出する。第2検出部402は、第2検出手段102と同等の機能を備え、第1検出部401が検出した接続関係の変化と、各工程における光空間通信装置10間の接続関係を示す計画情報とに基づいて、工程の遷移を検出する。接続制御部403は、接続制御手段103と同等の機能を備え、第2検出部402が検出した工程の遷移に応じて、光空間通信装置10b(第1の光空間通信装置)の接続先を制御する。
【0031】
第1検出部401、第2検出部402および接続制御部403はプロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるコンピュータ装置であってもよい。第1検出部401、第2検出部402および接続制御部403の一部または全部は、光空間通信装置10b(第1の光空間通信装置)に備えられていてもよく、光空間通信装置10bと通信するコンピュータ装置であってもよい。例えば、第1検出部401、第2検出部402および接続制御部403は、単一のコンピュータ装置であってもよく、複数のコンピュータ装置が連携して動作するコンピュータ装置群もしくは複数のサーバ装置が連携して動作するサーバ装置群であってもよい。光空間通信制御装置400によれば、光空間通信制御システム100と同等の効果を得ることができる。
【0032】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る光空間通信制御システム500について説明する。以下、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
なお、以下では、光空間通信を使用する工事現場であって、工事の工程によって光空間通信装置間の接続関係が変化する工事現場に適用した場合について説明するが、本実施形態はこれに限定されず、工程によって光空間通信装置間の接続関係が変化する作業一般に適用することができる。
【0034】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る光空間通信制御システム500を備えた光空間通信装置50の構成の例を示すブロック図である。
図5において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、
図5に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置に実装されてもよい。また、一部または全部のブロックは、クラウド等で機能として実装されてもよい。
【0035】
図5に示す例では、光空間通信装置50は、送受光部51および通信制御部52に加えて、光空間通信制御システム500を備えている。但し、本実施形態はこの構成に限定されず、光空間通信制御システム500の一部または全部が、光空間通信装置50の外部(例えば、後述するシステム管理装置60)に備えられていてもよい。
【0036】
図5に示す例において、光空間通信制御システム500にとって、当該光空間通信制御システム500を備える光空間通信装置50は、光空間通信制御システム500の制御対象となる「第1の光空間通信装置」である(第1の実施形態参照)。光空間通信制御システム500の一部が、光空間通信装置50に備えられ、残りが光空間通信装置50の外部に存在する場合も、光空間通信制御システム500の一部を備えている光空間通信装置50が、光空間通信制御システム500の制御対象となる「第1の光空間通信装置」である。そして、第1の光空間通信装置である光空間通信装置50に隣接する光空間通信装置50が、「第2の光空間通信装置」である。すなわち、光空間通信制御システム500ごとに、第1の光空間通信装置および第2の光空間通信装置は異なるものとなる。
【0037】
また、光空間通信制御システム500の全部が、光空間通信装置50の外部の装置(例えば、後述するシステム管理装置60)に存在する場合、当該光空間通信制御システム500は、複数の光空間通信装置50を制御対象としてもよい。この場合、光空間通信制御システム500が、ある光空間通信装置50を制御対象とする処理においては、当該ある光空間通信装置50が「第1の光空間通信装置」に該当し、異なる光空間通信装置50を制御対象とする処理においては、当該異なる光空間通信装置50が「第1の光空間通信装置」に該当する。すなわち、光空間通信制御システム500の処理ごとに、第1の光空間通信装置および第2の光空間通信装置は異なるものとなる。
【0038】
図5に示すように、光空間通信制御システム500は、第1検出手段501、第2検出手段502、接続制御手段503および記憶手段504を備えている。
【0039】
送受光部51は、光空間通信に使用する光を送光および受光する。通信制御部52は、送受光部51を制御して、光空間通信を行う。
【0040】
第1検出手段501は、第1の実施形態における第1検出手段101と同様に、第1の光空間通信装置である光空間通信装置50と、第1の光空間通信装置である光空間通信装置50に隣接する第2の光空間通信装置との接続関係の変化を検出する。
【0041】
第2検出手段502は、第1の実施形態における第2検出手段102と同様に、第1検出手段501が検出した接続関係の変化に基づき、各工程における光空間通信装置50間の接続関係を示す計画情報を参照して、工程の遷移を検出する。
【0042】
接続制御手段503は、第1の実施形態における接続制御手段103と同様に、第2検出手段502が検出した工程の遷移に応じて、第1の光空間通信装置である光空間通信装置50の接続先を制御する。
【0043】
記憶手段504は、計画情報が記憶されたストレージを備えており、計画情報を第2検出手段502および接続制御手段503に提供する。
【0044】
図6は、各工程における光空間通信装置50間の接続関係の例を示す図である。
図6に示す例では、光空間通信装置50として、光空間通信装置50a~50jが示されている。光空間通信装置50a~50jを総称して光空間通信装置50と呼ぶこともある。各光空間通信装置50は、当該光空間通信装置50を制御対象とする光空間通信制御システム500をそれぞれ備えている。換言すれば、各光空間通信装置50に備えられた光空間通信制御システム500にとって、当該光空間通信装置50は、第1の光空間通信装置となる。
【0045】
また、各光空間通信装置50は、直接または間接的にシステム管理装置60に接続しており、システム管理装置60との間で通信を行うようになっている。
【0046】
詳細には、システム管理装置60には、光空間通信装置50aおよび50gがそれぞれ接続されており、光空間通信装置50aには光空間通信装置50bが接続されている。光空間通信装置50bには、光空間通信装置50cおよび50eがそれぞれ接続されている。光空間通信装置50cには、光空間通信装置50dが接続されている。光空間通信装置50eには、光空間通信装置50fが接続されている。光空間通信装置50gには、光空間通信装置50hが接続されている。光空間通信装置50hには、光空間通信装置50iが接続されている。光空間通信装置50iには、光空間通信装置50jが接続されている。
【0047】
各光空間通信装置50が使用される工事現場には、工事区域および工事区域外の領域が設けられており、これらは工程によって変化する。
【0048】
工程1では、光空間通信装置50eおよび50fが配置された領域61ならびに光空間通信装置50c、50d、50iおよび50jが配置された領域62は工事区域となり、光空間通信装置50a、50b、50gおよび50hが配置された領域63は工事区域外となっている。
【0049】
工程2では、領域61および62は、工事区域外となり、領域63が工事区域となっている。工事区域外となった領域61および62内の光空間通信装置50c、50d、50e、50f、50iおよび50jは、不要となり、隣接する光空間通信装置50との接続が解除されている。
【0050】
図7は、計画情報の一例を示す図である。計画情報は、
図6に示すような各工程における光空間通信装置50間の接続関係を示している。計画情報には、工程ごとに工程情報が含まれる。各工程情報には、工程を識別するための工程識別情報と、当該工程から遷移する可能性がある工程を示す遷移情報と、各光空間通信装置50の識別情報および接続先を示す情報とがそれぞれ含まれている。遷移情報は、主に次に行われる工程を示しているが、工程が前に行われた工程に戻ることがあり得る場合には、前の工程を含んでいてもよい。
【0051】
図7に示す例では、計画情報には、工程情報1~Nが含まれている。各工程情報に含まれる工程識別情報は特に限定されず、例えば、工程情報1に含まれる工程識別情報は「1」であり、工程情報2に含まれる工程識別情報は「2」であり、工程情報Nに含まれる工程識別情報は「N」としてもよい。遷移情報は、遷移する可能性がある工程の工程識別情報を含んでいてよい。また、各工程情報には、装置識別情報1~Mと、装置識別情報1~Mにそれぞれ対応する接続先1~Mが含まれている。各装置識別情報および各接続先は、それぞれ、光空間通信装置50のいずれかを指しており、各装置識別情報が示す光空間通信装置50と、当該装置識別情報に対応する接続先が示す光空間通信装置50とが接続状態であることを示す。
【0052】
例えば、
図6に示す工程1および工程2に対応する計画情報としては、工程情報1には、光空間通信装置50aの接続先として光空間通信装置50bが、光空間通信装置50bの接続先として光空間通信装置50a、50cおよび50eが、光空間通信装置50cの接続先として光空間通信装置50bおよび50dが、光空間通信装置50dの接続先として光空間通信装置50cが、光空間通信装置50eの接続先として光空間通信装置50bおよび50fが、光空間通信装置50fの接続先として光空間通信装置50eが、光空間通信装置50gの接続先として光空間通信装置50hが、光空間通信装置50hの接続先として光空間通信装置50gおよび50iが、光空間通信装置50iの接続先として光空間通信装置50hおよび50jが、光空間通信装置50jの接続先として光空間通信装置50iが、それぞれ示されていてもよい。また、工程情報2には、光空間通信装置50aの接続先として光空間通信装置50bが、光空間通信装置50bの接続先として光空間通信装置50aが、光空間通信装置50gの接続先として光空間通信装置50hが、光空間通信装置50hの接続先として光空間通信装置50gが、その他の光空間通信装置50の接続先はないことが、それぞれ示されていてもよい。
【0053】
続いて、
図6に示す例における光空間通信制御システム500の動作について、
図8を参照して説明する。一例として、領域61において工事が完了し、光空間通信装置50fと光空間通信装置50eとの接続が手動で解除された場合、光空間通信装置50eの光空間通信制御システム500は次のように動作する。当該光空間通信制御システム500では、光空間通信装置50eが第1の光空間通信装置に該当し、光空間通信装置50bおよび50fが第2の光空間通信装置に該当する。まず、第1検出手段501が、光空間通信装置50fとの接続が解除されたことを検出する。第2検出手段502は、計画情報を参照し、光空間通信装置50fとの接続がない接続状態は、工程1の接続状態には該当せず、工程2の接続状態に該当すると判定し、工程2に遷移したと判定する。接続制御手段503は、計画情報を参照し、工程2において光空間通信装置50eの接続先に光空間通信装置50bが含まれないと判定し、光空間通信装置50eと光空間通信装置50bとの接続を解除する。同様に、光空間通信装置50cの光空間通信制御システム500、および、光空間通信装置50iの光空間通信制御システム500も、光空間通信装置50dと光空間通信装置50cとの接続、および、光空間通信装置50jと光空間通信装置50iとの接続がそれぞれ手動で解除された場合、工程2に遷移したことを検出し、光空間通信装置50cと光空間通信装置50bとの接続、および、光空間通信装置50iと光空間通信装置50hとの接続をそれぞれ解除する。このように、各光空間通信装置50に備えられた光空間通信制御システム500は、工程によって光空間通信装置間の接続関係が変化する状況でも、工程に応じた光空間通信ネットワークを速やかに構築することができる。
【0054】
また、光空間通信制御システム500を光空間通信装置50内に備えている場合、光空間通信装置50の管理をしているシステム管理装置60による指示や、人による指示入力により接続先を制御される場合よりも、通信によるタイムラグが生じないため速やかに工程に応じた光空間通信ネットワークの構築が可能である。
【0055】
(変形例)
以上では、各光空間通信装置50に、それぞれ光空間通信制御システム500が備えられている構成について主に説明したが、本実施形態は当該構成に限定されない。光空間通信制御システム500は、一部または全部がシステム管理装置60に備えられていてもよい。例えば、光空間通信装置50に第1検出手段501が備えられ、第2検出手段502、接続制御手段503および記憶手段504は、システム管理装置60に備えられていてもよい。また、例えば、第1検出手段501、第2検出手段502、接続制御手段503および記憶手段504が、システム管理装置60に備えられていてもよい。このように、システム管理装置60が、光空間通信装置50(第1の光空間通信装置)に対応する接続制御手段503を備えている場合、接続制御手段503は、対応する光空間通信装置50(第1の光空間通信装置)に対し、制御指示のための通信を行ってもよい。制御指示としては、スキャンの方向の指示や、接続先となる第2の光空間通信装置の識別情報を含んでいてもよい。
【0056】
以上、第2の実施形態を光空間通信制御システム500として説明したが、第2の実施形態に係る光空間通信制御システム500を1つの装置に搭載した光空間通信制御装置としてもよい。このとき、上述したように、当該光空間通信制御装置は、当該光空間通信制御装置が制御対象とする光空間通信装置(第1の光空間通信装置)に備えられていてもよい。また、第2の実施形態に係る光空間通信制御方法は、第2の実施形態に係る光空間通信制御システム500の動作であってよい。このとき、上述したように、当該光空間通信制御方法を実行する主体は、当該光空間通信制御方法において制御対象とする光空間通信装置(第1の光空間通信装置)に備えられていてもよい。
【0057】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る光空間通信制御システム900について説明する。以下、第1または第2の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る光空間通信制御システム900の構成の例を示すブロック図である。
図9において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、
図9に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置に実装されてもよい。また、一部または全部のブロックは、クラウド等で機能として実装されてもよい。
図9に示すように、光空間通信制御システム900は、第1検出手段501、第2検出手段502、接続制御手段903、記憶手段504および通知手段905を備えている。また、第2の実施形態と同様に、光空間通信制御システム900は、光空間通信装置50に備えられており、当該光空間通信装置50が、光空間通信制御システム900の制御対象となる「第1の光空間通信装置」である。
【0059】
通知手段905は、第2検出手段502が検出した工程の遷移を、光空間通信制御システム900を備える光空間通信装置50(第1の光空間通信装置)とは異なる光空間通信装置50(第3の光空間通信装置)に通知する。通知手段905は、例えば、通信制御部52を制御して、光空間通信を介して通知を送信してもよいし、他の通信手段(例えば、図示しない無線通信手段)を介して通知を送信してもよい。なお、第3の光空間通信装置は、通知先光空間通信装置と言い換えてもよい。
【0060】
通知手段905が、工程の遷移を通知する通知先は特に限定されず、第3の光空間通信装置全てに通知してもよいし、システム管理装置60に直接または間接的に接続されている第3の光空間通信装置に通知してもよいし、遷移後の工程において、光空間通信制御システム900を備える光空間通信装置50(第1の光空間通信装置)とシステム管理装置60とを中継する第3の光空間通信装置に通知してもよい。
【0061】
また、通知手段905は、計画情報に基づいて、工程の遷移に応じて、隣接する光空間通信装置50との接続関係の変更が生じる第3の光空間通信装置を特定し、特定した第3の光空間通信装置に対して、工程の遷移を通知してもよい。
【0062】
なお、システム管理装置60に直接または間接的に接続されている光空間通信装置50とは、システム管理装置60と通信可能なように接続されている光空間通信装置50を指し、システム管理装置60に直接接続されている光空間通信装置50は、システム管理装置60と直接通信する光空間通信装置50であり、システム管理装置60に間接的に接続されている光空間通信装置50は、システム管理装置60と他の光空間通信装置を介して通信する光空間通信装置50である。
【0063】
例えば、
図10に示す例において、光空間通信装置50eの光空間通信制御システム900において、第2検出手段502が工程2に遷移したことを検出した場合、通知手段905は、工程2への遷移を示す情報を、遷移後の工程2において、光空間通信装置50eとシステム管理装置60とを中継する光空間通信装置50bおよび50aに通知してもよい。これにより、光空間通信装置50eの光空間通信制御システム900は、光空間通信装置50e自らのシステム管理装置60との光空間通信に関与する光空間通信装置50に対して工程の遷移の通知を行うことができる。これにより、光空間通信装置50e自らのシステム管理装置60との光空間通信を確保するために必要最低限の通知を行うことができる。
【0064】
また、例えば、
図10に示す例において、光空間通信装置50eの光空間通信制御システム900において、第2検出手段502が工程2に遷移したことを検出した場合、通知手段905は、工程2への遷移を示す情報を、工程1から工程2への遷移に応じて、隣接する光空間通信装置50との接続関係が変化する光空間通信装置50b~50d、50f、50h~50jに通知してもよい。これにより、工程の遷移に対応するために必要最低限の通知を行うことができる。
【0065】
そして、通知手段905が、検出された工程の遷移を第3の光空間通信装置に通知することにより、第3の光空間通信装置の接続先の制御を行なわせることができる。すなわち、工程の遷移の通知を受けた第3の光空間通信装置を制御対象とする光空間通信制御システムの接続制御手段は、通知された工程の遷移、および、計画情報に基づいて、当該第3の光空間通信装置の接続先を制御してよい。
【0066】
例えば、工程の遷移の通知を受けた第3の光空間通信装置を制御対象とする光空間通信制御システム接続制御手段は、工程の遷移の通知があった場合、第2検出手段が工程の遷移を検出した場合と同様の制御を行ってよい。これにより、一つの光空間通信装置50の光空間通信制御システム900が工程の遷移を検出した場合に、他の光空間通信装置50の光空間通信制御システム900においても、検出された工程の遷移に基づく制御を行うことができ、工程の遷移に伴う接続関係の制御を自動化することができる。
【0067】
以上、第3の実施形態を光空間通信制御システム900として説明したが、第3の実施形態に係る光空間通信制御システム900を1つの装置に搭載した光空間通信制御装置としてもよい。このとき、上述したように、当該光空間通信制御装置は、当該光空間通信制御装置が制御対象とする光空間通信装置(第1の光空間通信装置)に備えられていてもよい。また、第3の実施形態に係る光空間通信制御方法は、第3の実施形態に係る光空間通信制御システム900の動作であってよい。このとき、上述したように、当該光空間通信制御方法を実行する主体は、当該光空間通信制御方法において制御対象とする光空間通信装置(第1の光空間通信装置)に備えられていてもよい。
【0068】
[第4の実施形態]
第4の実施形態に係る光空間通信制御システム1100について説明する。以下、第1~第3の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
図11は、本発明の第4の実施形態に係る光空間通信制御システム1100の構成の例を示すブロック図である。
図11において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、
図11に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置に実装されてもよい。また、一部または全部のブロックは、クラウド等で機能として実装されてもよい。
図11に示すように、光空間通信制御システム1100は、第1検出手段1101、第2検出手段1102、接続制御手段903および記憶手段1104を備えている。記憶手段1104に記憶されている計画情報の例を、
図12に示す。また、第2の実施形態と同様に、光空間通信制御システム1100は、光空間通信装置50に備えられており、当該光空間通信装置50が、光空間通信制御システム1100の制御対象となる「第1の光空間通信装置」である。
【0070】
第1検出手段1101は、第1の光空間通信装置である光空間通信装置50と、第1の光空間通信装置である光空間通信装置50に隣接する光空間通信装置50(第2の光空間通信装置)との光軸合わせに基づいて、第1の光空間通信装置である光空間通信装置50の位置に対する隣接する光空間通信装置50(第2の光空間通信装置)の位置の変化を検出する。
【0071】
光空間通信装置50間の光空間通信を行うためには、当該光空間通信装置50間の光軸合わせが行われている必要がある。
図13は、光空間通信装置50による光軸合わせの一例を説明する図である。以下では、一例として、光空間通信装置50aがスキャンを行い、光空間通信装置50bとの光軸合わせを行うながれについて説明するが、任意の光空間通信装置間の光軸合わせも同様に行うことができる。
【0072】
図13に示すように、光空間通信装置50aおよび50bは、送受光部131および通信制御部132を備えている。
【0073】
送受光部131は、光空間通信に用いる光を送光し、受光する。一例として、光空間通信装置50aの送受光部131は、光を所定の角度範囲内に向き付けて送出し、光空間通信装置50bの送受光部131によって受光されることによって、光空間通信を行うことができる。ここで、送受光部131が光の向きを付けるための具体的構成はこれらに限定するものではないが、一例として、送受光部131は、
・ミリ波やサブミリ波を所定の角度範囲内に向き付けて送出するビームフォーミングアンテナ
・赤外光、可視光、又は紫外光をコリメートするコリメータ
・赤外光、可視光、又は紫外光のレーザを生成するレーザ発振器
・液晶の位相を変更することによりレーザを変調する変調器
などを備える構成とすることができる。
【0074】
通信制御部132は、送受光部131を制御して光軸合わせを行う。通信制御部132は、光軸を合わせるために、送受光部131に、方向を変えながら走査光133を送出させる(走査光133によるスキャン)。そして、光空間通信装置50aの送受光部131から正しい方向に送出された走査光133が、光空間通信装置50bの送受光部131によって受光される。
【0075】
ここで、走査光134によるスキャンとは、一例として、光空間通信装置50bの位置を特定するために実行される探索のことを指している。スキャンとの文言により、特定のスキャン順序等を規定しようとするものではない。走査光134には、光空間通信装置50aを特定する識別情報と、どの方向に送出されたのかの方向情報(方位角、仰角及び俯角)が含まれている。
【0076】
光空間通信装置50bの送受光部131が走査光133を受光できた場合、すなわち送受光部131間の光軸が一致した場合、光空間通信装置50bの通信制御部132は、走査光133に含まれる識別情報および方向情報を取得し、光空間通信装置50aの方向を特定する。また、光空間通信装置50bの通信制御部132は、走査光133の減衰に基づき、光空間通信装置50aまでの距離を特定する。これにより、光空間通信装置50bの通信制御部132は、光空間通信装置50aの相対的な位置を特定することができる。
【0077】
そして、
図14に示すように、光空間通信装置50bの通信制御部132は、送受光部131に、光空間通信装置50aの送受光部131に向けて応答光144を送光させる。応答光144には、光空間通信装置50bを特定する識別情報と、走査光133から取得した方向情報と、光空間通信装置50bの通信制御部132が特定した光空間通信装置50aまでの距離情報が含まれている。光空間通信装置50aの送受光部131が、応答光144を受光すると、光空間通信装置50bの通信制御部132は、走査光133に含まれる識別情報、方向情報および距離情報を取得し、光空間通信装置50bの方向および距離を特定し、光空間通信装置50bの相対的な位置を特定することができる。以上により、光軸合わせが完了する。
【0078】
以上のように、光空間通信装置50間の光軸合わせに基づいて、各光空間通信装置50の位置情報を特定することができるため、第1検出手段1101は、隣接する光空間通信装置50(第2の光空間通信装置)の位置の変化を検出することができる。
【0079】
なお、以下のような仕組みにより、各光空間通信装置の絶対的な位置情報を取得することも可能である。例えば、ある固定された光空間通信装置(以下、光空間通信装置Aと記載する。)が、例えば、緯度および経度を示す情報や、光空間通信ネットワークの通信エリアに対応するマップ上の座標を示す情報など、光空間通信装置Aの絶対的な位置情報を保持している場合、光空間通信装置Aは、光軸合わせによって取得した光空間通信装置Aと周囲の光空間通信装置の相対的な位置情報と、光空間通信装置Aの絶対的な位置情報とから、周囲の光空間通信装置の絶対的な位置情報を推定することができる。
【0080】
また、光空間通信装置Aが、自らが保持する光空間通信装置Aの絶対的な位置情報を他の光空間通信装置と共有することで、光空間通信装置以外の光空間通信装置も各光空間通信装置の絶対的な位置情報を推定することができる。これにより、任意のタイミングにおける各光空間通信装置の絶対的な位置を把握することができ、移動ルート情報と比較することにより、光空間通信の遮断を推定することができる。
【0081】
そして、
図12に示すように、記憶手段1104に記憶されている計画情報は、各工程における各光空間通信装置50の位置をさらに示している。第2検出手段1102は、第1検出手段1101が検出した隣接する光空間通信装置50(第2の光空間通信装置)の位置の変化にさらに基づいて、工程の遷移を検出する。すなわち、第2検出手段1102は、第1検出手段1101が検出した隣接する光空間通信装置50(第2の光空間通信装置)との接続関係、および、隣接する光空間通信装置50(第2の光空間通信装置)の位置が、計画情報が示す何れの工程における各光空間通信装置50と接続関係および各光空間通信装置50の位置と該当するのかを判定することにより、工程の遷移を検出する。これにより、より正確に工程の遷移を検出することができる。
【0082】
以上、第4の実施形態を光空間通信制御システム1100として説明したが、第4の実施形態に係る光空間通信制御システム1100を1つの装置に搭載した光空間通信制御装置としてもよい。このとき、上述したように、当該光空間通信制御装置は、対象光空間通信装置に備えられていてもよい。また、第4の実施形態に係る光空間通信制御方法は、第4の実施形態に係る光空間通信制御システム1100の動作であってよい。このとき、上述したように、当該光空間通信制御方法を実行する主体は、対象光空間通信装置に備えられていてもよい。
【0083】
[第5の実施形態]
第5の実施形態に係る光空間通信制御システム1500について説明する。以下、第1~第4の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
図15は、本発明の第5の実施形態に係る光空間通信制御システム1500の構成の例を示すブロック図である。
図15において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、
図15に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置に実装されてもよい。また、一部または全部のブロックは、クラウド等で機能として実装されてもよい。
図15に示すように、光空間通信制御システム1500は、第1検出手段501、第2検出手段1502、接続制御手段1503および記憶手段504を備えている。また、第2の実施形態と同様に、光空間通信制御システム1500は、第1の光空間通信装置である光空間通信装置50に備えられている。
【0085】
第2検出手段1502は、工程の遷移を検出する際に、工程の遷移の異常を検出してもよい。工程の遷移の異常とは、計画情報が示すいずれの工程とも、光空間通信装置の接続関係が類似しないことを指す。異常が生じる原因として、例えば、想定している工程の設置位置とは異なる位置に光空間通信装置が設置された場合や、光空間通信装置が故障した場合などが挙げられる。第2検出手段1502は、第1検出手段が検出した変化後の接続関係が、計画情報が示す何れの工程における接続関係とも該当しない場合、工程の遷移の異常を検出してもよい。
【0086】
接続制御手段1503は、第2検出手段1502が検出した工程の遷移の異常に基づいて、第1の光空間通信装置である光空間通信装置50に隣接する光空間通信装置50(第4の光空間通信装置)から、当該光空間通信装置50(第4の光空間通信装置)が保持する工程の情報を取得し、当該工程の情報に応じて、第1の光空間通信装置である光空間通信装置50の接続先を制御する。なお、第4の光空間通信装置は、参照光空間通信装置と言い換えてもよい。
【0087】
例えば、接続制御手段1503は、第2検出手段1502が工程の遷移の異常を検出した場合、隣接する光空間通信装置50(第4の光空間通信装置)の光空間通信制御システム1500が保持する工程の情報を取得する。隣接する光空間通信装置50(第4の光空間通信装置)からの工程の情報の取得は、例えば、光空間通信を介してもよいし、他の通信手段(例えば、図示しない無線通信手段)を介してもよい。なお、隣接する光空間通信装置50(第4の光空間通信装置)が保持する工程の情報とは、隣接する光空間通信装置50(第4の光空間通信装置)の第2検出手段1502が、直近において検出した遷移後の工程、または、工程の遷移を検出していない場合は初期工程を指す。
【0088】
そして、接続制御手段1503は、計画情報を参照して、隣接する光空間通信装置50(第4の光空間通信装置)から取得した工程の情報が示す接続関係に該当させるように、第1の光空間通信装置である光空間通信装置50の接続先を制御する。
【0089】
例えば、
図16に示す例において、光空間通信装置50eの光空間通信制御システム1500では、第1検出手段501が検出した接続関係(光空間通信装置50bおよび50cと接続)は、計画情報が示す何れの工程の接続関係にも該当しないため、第2検出手段1502は工程の遷移の異常を検出する。そして、接続制御手段1503は、光空間通信装置50bまたは50cから光空間通信装置50bまたは50cが保持する工程の情報として工程2を取得し、計画情報が示す工程2の接続関係に該当するように、光空間通信装置50eの接続先を制御する。これにより、異常を解消することができる。
【0090】
以上、第5の実施形態を光空間通信制御システム1500として説明したが、第5の実施形態に係る光空間通信制御システム1500を1つの装置に搭載した光空間通信制御装置としてもよい。このとき、上述したように、当該光空間通信制御装置は、対象光空間通信装置に備えられていてもよい。また、第5の実施形態に係る光空間通信制御方法は、第5の実施形態に係る光空間通信制御システム1500の動作であってよい。このとき、上述したように、当該光空間通信制御方法を実行する主体は、第1の光空間通信装置に備えられていてもよい。
【0091】
[適用例]
第2~第5の実施形態では、光空間通信を使用する工事現場に適用した例を説明したが、上述したように、各実施形態はこれに限定されず、工程によって光空間通信装置間の接続関係が変化する作業一般に適用することができる。
【0092】
例えば、送電線や橋桁などの点検において光空間通信を利用する場合、工程ごとに点検箇所を移動させて点検を行う場合がある。その場合、点検箇所の付近に対して光空間通信を行うため、光空間通信装置間の接続関係を変化させる必要がある。このような場合においても、上述した実施形態を適用することにより、工程ごとに光空間通信装置間の接続関係を半自動的に変化させることができる。
【0093】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された構成、動作、処理を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0094】
第1の実施形態から第5の実施形態に係る各構成は、1つのハードウェアによって構成されてもよい。また、第1の実施形態から第5の実施形態に係る各構成は、1つのソフトウェアから構成されてもよい。また、第1の実施形態から第5の実施形態に係る各構成は、複数のハードウェアによって構成されてもよい。また、第1の実施形態から第5の実施形態に係る各構成は、複数のソフトウェアから構成されてもよい。また、第1の実施形態から第4の実施形態とは、ハードウェアとソフトウェアとの組合せによって実現されてもよい。また、第1の実施形態から第5の実施形態に係る各機能は、クラウド上で実装されてもよい。各装置、各機能及び各処理を、
図17に示すようなプロセッサ1701及びメモリ1702を有するコンピュータにより実現してもよい。例えば、メモリ1702に第1の実施形態から第5の実施形態に記載の光空間通信制御方法を実施するためのプログラムを格納し、メモリ1702に格納されたプログラムをプロセッサ1701が読み取って実行することにより、第1の実施形態から第5の実施形態に記載の各機能を実現してもよい。
【0095】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、第1の実施形態から第5の実施形態に記載の1またはそれ以上の機能をコンピュータに実行させるさめの命令群を含む。プログラムは、メモリ1702に格納される。プロセッサ1701はとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等を用いることができる。メモリ1602としては、例えば、Read Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)、フラッシュメモリ、Solid State Drive(SSD)等を用いることができる。
【0096】
本開示は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本開示のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。なお、上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0097】
[付記1]
第1の光空間通信装置と、前記第1の光空間通信装置に隣接する第2の光空間通信装置との接続関係の変化を検出する第1検出手段と、
前記検出された接続関係の変化と各工程における前記第1の光空間通信装置および前記第2の光空間通信装置間の接続関係を示す計画情報とに基づき、工程の遷移を検出する第2検出手段と、
前記検出された工程の遷移に応じて、前記第1の光空間通信装置の接続先を制御する接続制御手段と、を備える、光空間通信制御システム。
【0098】
[付記2]
前記検出された工程の遷移を前記第1の光空間通信装置とは異なる第3の光空間通信装置に通知する通知手段をさらに備える、付記1に記載の光空間通信制御システム。
【0099】
[付記3]
前記通知手段は、前記検出された工程の遷移を、前記第1の対象光空間通信装置と管理装置とを中継する前記第3の光空間通信装置に通知する、付記2に記載の光空間通信制御システム。
【0100】
[付記4]
前記通知手段は、前記検出された工程の遷移を前記第3の光空間通信装置に通知することにより、前記第3の光空間通信装置の接続先の制御を行なわせる、付記2または3に記載の光空間通信制御システム。
【0101】
[付記5]
前記第1検出手段は、前記第1の光空間通信装置と、前記第2の光空間通信装置との光軸合わせに基づいて、前記第1の光空間通信装置の位置に対する前記第2の光空間通信装置の位置の変化をさらに検出し、
前記計画情報は、各工程における各光空間通信装置の位置をさらに示しており、
前記第2検出手段は、前記第1検出手段が検出した前記第2の光空間通信装置の位置の変化にさらに基づいて、前記工程の遷移を検出する、付記1~4のいずれか1つに記載の光空間通信制御システム。
【0102】
[付記6]
前記接続制御手段は、前記検出された前記工程の遷移の異常に基づいて、前記第1の光空間通信装置に隣接する第4の光空間通信装置から前記第4の光空間通信装置が保持する工程の情報を取得し、当該工程の情報に応じて、前記第1の光空間通信装置の接続先を制御する、付記1~5のいずれか1つに記載の光空間通信制御システム。
【0103】
[付記7]
光空間通信の接続先を制御する接続制御部と、
前記光空間通信の接続先の隣接光空間通信装置との接続関係の変化を検出する第1検出部と、
前記第1検出部が検出した前記接続関係の変化に基づき、各工程における前記光空間通信の接続関係を示す計画情報を参照して、工程の遷移を検出する第2検出部と、
を備え、
前記接続制御部は、前記第2検出部が検出した前記工程の遷移に応じて、前記光空間通信の接続先を制御する、光空間通信制御装置。
【0104】
[付記8]
前記検出された工程の遷移を通知先光空間通信装置に通知する通知部をさらに備える、付記7に記載の光空間通信制御装置。
【0105】
[付記9]
前記通知部は、前記検出された工程の遷移を、管理装置までの通信を中継する前記通知先光空間通信装置に通知する、付記8に記載の光空間通信制御装置。
【0106】
[付記10]
前記接続制御部は、前記検出された工程の遷移を前記通知先光空間通信装置に通知することにより、前記通知先光空間通信装置の接続先の制御を行なわせる、付記8または9に記載の光空間通信制御装置。
【0107】
[付記11]
前記第1検出部は、前記隣接光空間通信装置との光軸合わせに基づいて、前記隣接光空間通信装置の位置の変化をさらに検出し、
前記計画情報は、各工程における各光空間通信装置の位置をさらに示しており、
前記第2検出部は、前記第1検出部が検出した前記隣接光空間通信装置の位置の変化にさらに基づいて、前記工程の遷移を検出する、付記7~10のいずれか1つに記載の光空間通信制御装置。
【0108】
[付記12]
前記接続制御部は、前記検出された前記工程の遷移の異常に基づいて、参照光空間通信装置から前記参照光空間通信装置が保持する工程の情報を取得し、当該工程の情報に応じて、前記光空間通信の接続先を制御する、付記7~11のいずれか1つに記載の光空間通信制御装置。
【0109】
[付記13]
第1の光空間通信装置と、前記第1の光空間通信装置に隣接する第2の光空間通信装置との接続関係の変化を検出し、
前記検出された接続関係の変化と各工程における光空間通信装置間の接続関係を示す計画情報とに基づき、工程の遷移を検出し、
前記検出された工程の遷移に応じて、前記第1の光空間通信装置の接続先を制御する、光空間通信制御方法。
【0110】
[付記14]
前記検出された工程の遷移を前記第1の光空間通信装置とは異なる第3の光空間通信装置に通知する、付記13に記載の光空間通信制御方法。
【0111】
[付記15]
前記検出された工程の遷移を、前記第1の光空間通信装置と管理装置との通信を中継する前記第3の光空間通信装置に通知する、付記14に記載の光空間通信制御方法。
【0112】
[付記16]
前記検出された工程の遷移を前記第3の光空間通信装置に通知することにより、前記第3の光空間通信装置の接続先の制御を行なわせる、付記14または15に記載の光空間通信制御方法。
【0113】
[付記17]
前記第1の光空間通信装置と、前記第2の光空間通信装置との光軸合わせに基づいて、前記第1の光空間通信装置の位置に対する前記第2の光空間通信装置の位置の変化をさらに検出し、
前記計画情報は、各工程における各光空間通信装置の位置をさらに示しており、
検出した前記第2の光空間通信装置の位置の変化にさらに基づいて、前記工程の遷移を検出する、付記13~16のいずれか1つに記載の光空間通信制御方法。
【0114】
[付記18]
前記検出された前記工程の遷移の異常に基づいて、前記第1の光空間通信装置に隣接する第4の光空間通信装置から前記第4の光空間通信装置が保持する工程の情報を取得し、当該工程の情報に応じて、前記第1の光空間通信装置の接続先を制御する、付記13~17のいずれか1つに記載の光空間通信制御方法。
【符号の説明】
【0115】
10、50 光空間通信装置
60 システム管理装置
61、62、63 領域
100、500、900、1100、1500 光空間通信制御システム
101、501、1101 第1検出手段
102、502、1102、1502 第2検出手段
103、503、903、1503 接続制御手段
131 送受光部
132 光軸合わせ部
133 走査光
144 応答光
400 光空間通信制御装置
401 第1検出手段
402 第2検出手段
403 接続制御手段
504、1104 記憶手段
905 通知手段
1701 プロセッサ
1702 メモリ