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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049070
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】ダンプトラック
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/18 20060101AFI20240402BHJP
   B60P 1/04 20060101ALI20240402BHJP
   B60R 19/02 20060101ALI20240402BHJP
   B60R 19/24 20060101ALI20240402BHJP
   B60R 19/48 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B62D21/18 G
B60P1/04 Z
B60R19/02 D
B60R19/24 K
B60R19/48 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155312
(22)【出願日】2022-09-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綿加 裕己
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA16
3D203BA03
3D203BC02
3D203CB03
3D203CB09
3D203CB19
3D203CB40
3D203DA02
3D203DA05
3D203DA06
3D203DA22
3D203DA72
3D203DA73
3D203DB03
3D203DB07
3D203DB12
(57)【要約】
【課題】搭載される機器類の種類に関わらず、車体フレームを共通化する。
【解決手段】車体フレーム16は、左フレーム18と、右フレーム19と、左フレーム18の前端と右フレーム19の前端とを接続する前フレーム20と、前フレーム20の前側に一体に固定され、吊上げ用のフック28Dが設けられると共に機器類(ラジエータ11、ラジエータ42、パンタグラフサポート55)が搭載されるフロントバンパ28とを含んで構成される。フロントバンパ28は、機器類(ラジエータ11、ラジエータ42、パンタグラフサポート55)の種類に応じた複数種類の機器取付け台座(30、44、56)が選択的に固定される台座固定部29を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪が取付けられる車体フレームと、前記車体フレームに対して傾動可能に設けられ運搬物を積載する荷台とを備え、
前記車体フレームは、
左右方向の左側に配置され前後方向に延びる左フレームと、
左右方向の右側に配置され前後方向に延びる右フレームと、
前記左フレームの前端と前記右フレームの前端とを接続し左右方向に延びる前フレームと、
前記前フレームの前側に一体に固定され、吊上げ用のフックが設けられると共に機器類が搭載されるフロントバンパとを含んで構成してなるダンプトラックにおいて、
前記フロントバンパは、機器類の種類に応じた複数種類の機器取付け台座が選択的に固定される台座固定部を備えることを特徴とするダンプトラック。
【請求項2】
前記フロントバンパは、前記前フレームと前後方向で対向しつつ左右方向に延び前記フックが設けられた前枠部と、前記前枠部の左端と前記前フレームとの間を連結する左枠部と、前記前枠部の右端と前記前フレームとの間を連結する右枠部とを含んで構成され、
前記台座固定部は、前記左枠部および前記右枠部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のダンプトラック。
【請求項3】
前記フロントバンパの前記左枠部と前記左フレームとは前記前フレームを介して前後方向に連続し、
前記フロントバンパの前記右枠部と前記右フレームとは前記前フレームを介して前後方向に連続することを特徴とする請求項2に記載のダンプトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば鉱山で採掘した砕石物等を運搬するのに好適に用いられるダンプトラックに関する。
【背景技術】
【0002】
鉱山で採掘した砕石物等を運搬するダンプトラックは、車輪が取付けられる車体フレームと、車体フレームに対して揺動可能に設けられた荷台と、荷台の前側に位置して車体フレームに搭載されたエンジンと、エンジンの上方に位置して車体フレームに搭載されたキャブとを含んで構成されている(特許文献1)。また、車体フレームの前端側にはラジエータが搭載され、このラジエータによってエンジン(エンジン冷却水)が冷却される。
【0003】
ダンプトラックは、使用される環境や顧客のニーズに対応するため、多岐にわたるオプションが設定されている。例えば標高が高い地域においては、標準仕様のラジエータを備えたダンプトラックに代えて、冷却性能が高い特別仕様のラジエータを備えたダンプトラックが用いられる。また、大規模な鉱山等の採掘現場においては、トロリー線(架線)を通じて供給される電力によって走行用の電動モータが駆動されるトロリー仕様のダンプトラックが用いられる。このトロリー仕様のダンプトラックは、トロリー線からの電力を集電するパンタグラフ(集電装置)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-218605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダンプトラックの車体フレームは、通常、荷台、エンジンおよびキャブ等が設けられるメインフレームと、メインフレームの前端側に設けられるフロントバンパとを含んで構成されている。上述した標準仕様のラジエータ、特別仕様のラジエータ、パンタグラフは、フロントバンパに搭載される。このため、例えば標準仕様のラジエータ、特別仕様のラジエータ、パンタグラフといった種類の異なる機器類を搭載する場合には、それぞれの機器類に応じたフロントバンパを、締結具等を用いてメインフレームの前端側に取付ける方法が考えられる。
【0006】
しかし、フロントバンパには、通常、車体吊り上げ用のフックが設けられ、このフックにロープを掛け止めした状態で、クレーン等を用いてダンプトラックを吊り上げるようになっている。ダンプトラックを吊り上げるときには、フックが設けられたフロントバンパとメインフレームとの接合部に大きな負荷が作用する。このため、機器類の種類に応じたフロントバンパをメインフレームに交換可能に取付けた場合には、フロントバンパとメインフレームとの接合部に充分な強度を確保することが困難となる。
【0007】
これに対し、機器類に応じたフロントバンパがメインフレームの前端側に一体化された車体フレームを形成した場合には、ダンプトラックの仕様に応じた専用の車体フレームが必要となる。この結果、車体フレームの共通化が難しく、ダンプトラックの仕様変更を容易に行うことが難しいという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、搭載される機器類の種類に関わらず、車体フレームを共通化することができるようにしたダンプトラックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車輪が取付けられる車体フレームと、前記車体フレームに対して傾動可能に設けられ運搬物を積載する荷台とを備え、前記車体フレームは、左右方向の左側に配置され前後方向に延びる左フレームと、左右方向の右側に配置され前後方向に延びる右フレームと、前記左フレームの前端と前記右フレームの前端とを接続し左右方向に延びる前フレームと、前記前フレームの前側に一体に固定され、吊上げ用のフックが設けられると共に機器類が搭載されるフロントバンパとを含んで構成してなるダンプトラックにおいて、前記フロントバンパは、機器類の種類に応じた複数種類の機器取付け台座が選択的に固定される台座固定部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フロントバンパの台座固定部に対し、フロントバンパに搭載される機器類の種類に応じた複数種類の機器取付け台座を選択的に固定することができ、種類の異なる複数の機器類を、機器取付け台座を利用してフロントバンパに取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態による標準仕様のダンプトラックを示す左側面図である。
図2】標準仕様のダンプトラックの正面図である。
図3】車体フレームを単体で示す斜視図である。
図4】フロントバンパに標準仕様のラジエータを取付ける状態を示す分解斜視図である。
図5】第2の実施形態による特別仕様のダンプトラックを示す左側面図である。
図6】特別仕様のダンプトラックの正面図である。
図7】フロントバンパに特別仕様のラジエータを取付ける状態を示す分解斜視図である。
図8】第3の実施形態によるトロリー仕様のダンプトラックを示す左側面図である。
図9】トロリー仕様のダンプトラックの正面図である。
図10】フロントバンパにパンタグラフサポートを取付ける状態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るダンプトラックの実施形態について、添付図面に沿って詳細に説明する。なお、実施形態では、ダンプトラックの走行方向を前後方向とし、走行方向と直交する方向を左右方向として説明する。
【0013】
図1ないし図4は、本発明の第1の実施形態による標準仕様のダンプトラック1を示している。標準仕様のダンプトラック1には、後述する標準仕様のラジエータ11が搭載されている。
【0014】
図中、ダンプトラック1は、左右の前輪3と左右の後輪4とを備えた自走可能な車体2と、車体2上に傾動(起伏)可能に搭載された後述の荷台5とを含んで構成され、鉱山で採掘した砕石物等の運搬物を荷台5に積載して運搬する。ダンプトラック1の車体2は、後述の建屋7、デッキ8、キャブ9、車体フレーム16等を含んで構成されている。
【0015】
左右の前輪3は、車体2の前側に回転可能に設けられ、操舵輪を構成している。前輪3は、前輪側サスペンション(図示せず)を介して車体フレーム16に支持され、前輪3から車体2に伝わる振動が緩和されている。左右の後輪4は、車体2の後側に回転可能に設けられ、電動モータを備えた走行装置(図示せず)によって回転駆動される。後輪4の走行装置は、後輪側サスペンション(図示せず)を介して車体フレーム16に支持され、後輪4から車体2に伝わる振動が緩和されている。
【0016】
荷台(ベッセル)5は、車体フレーム16上に傾動可能(起伏可能)に取付けられている。荷台5は、例えば油圧ショベル(図示せず)によって採掘された大量の鉱物等を積載する有底な大型の容器として形成されている。荷台5の後底部は、車体フレーム16に設けられた後述する左右の後端ブラケット26に連結ピン5Bを介して傾動可能に連結されている。荷台5の前側には、その上部から前方に向けて水平に延びる庇部5Aが一体に設けられている。荷台5の庇部5Aは、後述するキャブ9を上側から覆った状態でデッキ8の前端側まで延びている。
【0017】
ホイストシリンダ6は、車体フレーム16と荷台5との間に左右方向で対をなして設けられている(左側のみ図示)。ホイストシリンダ6は、例えば油圧シリンダからなり、荷台5の前側を車体フレーム16に対して上下に傾動させるものである。ホイストシリンダ6の一端側(下端側)は、後述するシリンダ支持軸27Aに回動可能に取付けられ、ホイストシリンダ6の他端側(上端側)は、荷台5の下面側に回動可能に取付けられている。従って、ホイストシリンダ6を伸長または縮小させることにより、荷台5の前側(庇部5A側)は連結ピン5Bを支点として上下方向に回動(昇降)する。これにより、荷台5は、前側が上方に持上げられた排土位置へと傾動し、荷台5に積載された運搬物を排出することができる。
【0018】
建屋7は、車体2の前側に設けられている。建屋7は、左右の側面板および上面板によって囲まれた四角形の枠状に形成され、建屋7の内部には、エンジン、発電機、油圧ポンプ等の搭載機器(いずれも図示せず)が収容されている。また、建屋7は、後述する車体フレーム16の左支柱24および右支柱25と共に、デッキ8等を下側から支持する機能も有している。
【0019】
デッキ8は、荷台5よりも前側に位置して車体フレーム16の左支柱24、右支柱25および建屋7の上側に設けられている。デッキ8は、左右方向に長尺な長方形の平板状に形成され、車体フレーム16の左支柱24および右支柱25の上端間に取付けられた上部横梁(図示せず)と建屋7とによって下側から支持されている。デッキ8は、左右の前輪3よりも上方に配置されて水平方向に延び、デッキ8上には、キャブ9、コントロールキャビネット10等が搭載されている。また、デッキ8の上面はオペレータ等が通行する平坦な通路面となり、デッキ8の外周は複数の手摺り8Aによって取囲まれている。
【0020】
キャブ9は、荷台5の庇部5Aによって上側から覆われた状態で、デッキ8上に設けられている。キャブ9は、ダンプトラック1のオペレータが乗降する運転室を形成し、キャブ9の内部には、運転席、アクセルペダル、ブレーキペダル、操舵用のハンドルおよび複数の操作レバー(いずれも図示せず)等が設けられている。
【0021】
標準仕様のラジエータ11は、後述するフロントバンパ28に搭載される機器類の一例である。図4に示すように、ラジエータ11は、長方形の枠状をなすラジエータフレーム12と、ラジエータフレーム12の内側に配置された熱交換器本体(図示せず)とを有している。ラジエータ11は、建屋7内に収容されたエンジン(図示せず)のエンジン冷却水等を冷却する。ラジエータフレーム12の左右両側の下端には、それぞれ取付脚部12Aが設けられている。これら左右の取付脚部12Aには、それぞれ前後方向に隣接して複数(例えば2個)のマウント部材13が設けられ、これらマウント部材13は、後述する機器取付け台座30に取付けられる。
【0022】
ラジエータ11の左右両側には、建屋7の左右の側面板から左右方向に張出すフェンダー14が設けられている。これら左右のフェンダー14には、それぞれエアクリーナ15が取付けられている。エアクリーナ15は、鉱山等の作業現場の外気中に含まれる塵埃を捕捉し、エンジンに向けて清浄な空気(吸気)を供給する。
【0023】
次に、本発明による車体フレーム16について、図3および図4を参照して説明する。車体フレーム16は、本実施形態で例示した標準仕様のダンプトラック1だけでなく、後述する第2の実施形態で例示する特別仕様のダンプトラック41、第3の実施形態で例示するトロリー仕様のダンプトラック51にも共通に用いることができる共通部品として構成されている。
【0024】
車体フレーム16は、車体2のベースとなり、強固な支持構造体を構成している。車体フレーム16は、前後方向に延びるメインフレーム17と、メインフレーム17の前側に一体に固定されたフロントバンパ28とを含んで構成されている。車体フレーム16の主要構造物であるメインフレーム17は、左フレーム18、右フレーム19、前フレーム20、後フレーム21、上板22、下板23、左支柱24、右支柱25等により構成されている。
【0025】
左フレーム18は、車体フレーム16の左側に配置され、前後方向に延びている。左フレーム18は、左右方向で対向する左右の側板18Aと、左右の側板18Aの上端を閉塞する上板22と、左右の側板18Aの下端を接続する下板23とを含んで構成されている。右フレーム19は、車体フレーム16の右側に配置され、前後方向に延びている。右フレーム19は、左右方向で対向する左右の側板19Aと、左右の側板19Aの上端を閉塞する上板22と、左右の側板19Aの下端を接続する下板23とを含んで構成されている。
【0026】
前フレーム20は、左フレーム18の前端と右フレーム19の前端との間を接続している。前フレーム20は、前後方向で対向する前板20Aおよび後板(図示せず)と、前板20Aと後板の上端を閉塞する上板22と、前板20Aと後板の下端を閉塞する下板23とを含んで構成されている。前フレーム20の左端部は、左フレーム18の前端部に溶接によって接合され、前フレーム20の右端部は、右フレーム19の前端部に溶接によって接合されている。
【0027】
後フレーム21は、左フレーム18の後端と右フレーム19の後端との間を接続している。後フレーム21は、前後方向で対向する前板21Aおよび後板(図示せず)と、前板21Aと後板の上端を閉塞する上板22と、前板21Aと後板の下端を閉塞する下板23とを含んで構成されている。後フレーム21の左端部は、左フレーム18の後端部に溶接によって接合され、後フレーム21の右端部は、右フレーム19の後端部に溶接によって接合されている。
【0028】
上板22は、左フレーム18、右フレーム19、前フレーム20、後フレーム21の上端を閉塞すると共に、左フレーム18と右フレーム19との間を接続している。上板22の後側は、左フレーム18と右フレーム19との間を接続する後側接続部22Aとなり、後側接続部22Aの前側は、左フレーム18および右フレーム19の上端を閉塞する二又状の分岐部22Bとなっている。分岐部22Bの前端部は前側接続部22Cによって連結され、前側接続部22Cは前フレーム20の上端を閉塞している。
【0029】
下板23は、上板22と上下方向で対面した状態で、左フレーム18、右フレーム19、前フレーム20、後フレーム21の下端を閉塞すると共に、左フレーム18と右フレーム19との間を接続している。下板23は、上板22と同様に、左フレーム18と右フレーム19との間を接続する後側接続部23Aと、左フレーム18および右フレーム19の下端を閉塞する二又状の分岐部23Bと、前フレーム20の下端を閉塞する前側接続部(図示せず)とを含んで構成されている。
【0030】
左支柱24および右支柱25は、車体フレーム16の前後方向の中央部から前側寄りの位置に設けられ、左右方向で対面している。これら左支柱24および右支柱25は、山形状をなした中空な製缶構造体からなっている。左支柱24は、左フレーム18を構成する上板22から上向きに突設され、右支柱25は、右フレーム19を構成する上板22から上向きに突設されている。左支柱24および右支柱25の上端には、左右方向に延びる角筒状の上部横梁(図示せず)が取付けられ、この上部横梁の上側にデッキ8が取付けられる構成となっている。
【0031】
メインフレーム17の後端には、左右の後端ブラケット26が設けられている。後端ブラケット26は、それぞれ左フレーム18および右フレーム19を構成する上板22の後端から後向きに突出し、左右方向で対向している。これら左右の後端ブラケット26は、連結ピン5Bを介して荷台5の底面部を回動可能に支持している。
【0032】
メインフレーム17の前後方向の中間部下側には、左右のシリンダブラケット27(左側のみ図示)が設けられている。これら左右のシリンダブラケット27は、左フレーム18および右フレーム19を構成する下板23から下向きに突出し、左右方向で対向している。シリンダブラケット27の突出端側には、左右方向に延びるシリンダ支持軸27Aが固定され、このシリンダ支持軸27Aには、ホイストシリンダ6の下端側が回動可能に取付けられる。
【0033】
フロントバンパ28は、メインフレーム17を構成する前フレーム20の前側に一体に固定されている。フロントバンパ28は、前フレーム20と前後方向で対向しつつ左右方向に延びる前枠部28Aと、前枠部28Aの左端と前フレーム20の左端との間を連結する左枠部28Bと、前枠部28Aの右端と前フレーム20の右端との間を連結する右枠部28CとによりU字型の断面形状を有し、全体としてU字型に屈曲した枠体として形成されている。フロントバンパ28は、溶接手段を用いて前フレーム20に強固に接合され、メインフレーム17と一体化している。フロントバンパ28の左枠部28Bは、前フレーム20を介してメインフレーム17の左フレーム18と前後方向に連続し、フロントバンパ28の右枠部28Cは、前フレーム20を介してメインフレーム17の右フレーム19と前後方向に連続している。これにより、フロントバンパ28に作用する荷重が、メインフレーム17の左フレーム18および右フレーム19に円滑に伝えられ、ラジエータ11の重量による荷重がフロントバンパ28に集中するのを抑え、フロントバンパ28とメインフレーム17とに適度に荷重を分散させることができる。
【0034】
フロントバンパ28の前枠部28Aの外側面には、左右方向に離間して一対の吊上げ用のフック28Dが固定され、フック28Dには、吊上げ用のワイヤロープ等が掛け止めされる。車体フレーム16には、フック28Dの他にもフック(図示せず)が設けられ、フック28Dを含む複数のフックにワイヤロープを掛け止めした状態で、クレーン等を用いてダンプトラック1を吊り上げるようになっている。ここで、ダンプトラック1を吊り上げるときには、フック28Dが設けられたフロントバンパ28とメインフレーム17との接合部に大きな負荷が作用する。これに対し、車体フレーム16は、メインフレーム17を構成する前フレーム20とフロントバンパ28とが、溶接手段を用いて一体に固定(接合)されている。これにより、ダンプトラック1を吊り上げる作業を行うときに、フロントバンパ28とメインフレーム17(前フレーム20)との接合部に、充分な強度が確保されている。
【0035】
台座固定部29は、フロントバンパ28を構成する左枠部28Bの外側面および右枠部28Cの外側面に、それぞれ設けられている(左枠部28B側のみ図示)。図4に示すように、前後方向に隣接して配置された3個の板状のねじ座29A、29B、29Cによって構成されている。これら3個のねじ座29A、29B、29Cには、それぞれ複数(例えば4個)のボルト穴(雌ねじ穴)29Dが形成されている。台座固定部29を構成するねじ座29A、29Bには、本実施形態による標準仕様のラジエータ11に適合する機器取付け台座30が取付けられる。
【0036】
ここで、台座固定部29は、本実施形態による標準仕様のラジエータ11を取付けるための機器取付け台座30のみならず、後述する第2の実施形態による特別仕様のラジエータ42を取付けるための機器取付け台座44、第3の実施形態によるトロリー仕様のパンタグラフサポート55を取付けるための機器取付け台座56を含む複数種類の機器取付け台座を選択的に固定することができる構成となっている。
【0037】
左右の機器取付け台座30は、標準仕様のラジエータ11をフロントバンパ28に搭載するため、フロントバンパ28の左枠部28Bおよび右枠部28Cに設けられた台座固定部29にそれぞれ取付けられる。機器取付け台座30は、前後方向に延びる角筒状の取付ベース31と、取付ベース31の上面に設けられた支持枠32とを有している。
【0038】
取付ベース31は、フロントバンパ28の左枠部28Bおよび右枠部28Cに、それぞれ着脱可能に取付けられている。取付ベース31には、左右方向に貫通する複数(例えば6個)のボルト挿通孔31A(2個のみ図示)が形成され、これらボルト挿通孔31Aには、それぞれボルト33が挿通される。複数のボルト挿通孔31Aは、フロントバンパ28の台座固定部29を構成するねじ座29Aの4個のボルト穴29D、およびねじ座29Bの2個のボルト穴29Dに対応している。従って、取付ベース31のボルト挿通孔31Aに挿通されたボルト33を、台座固定部29のねじ座29A,29Bのボルト穴29Dに螺着することにより、フロントバンパ28の左枠部28Bと右枠部28Cに、ラジエータ11専用の機器取付け台座30がそれぞれ固定される。
【0039】
支持枠32は、U字状の枠体からなり、取付ベース31の前後方向(長さ方向)の中間部の上面に溶接等の手段を用いて固定されている。支持枠32の上面には、上下方向に貫通する複数(例えば2個)のマウント取付孔32Aが形成されている。マウント取付孔32Aは、ラジエータ11を構成するラジエータフレーム12の取付脚部12Aに設けられた2個のマウント部材13に対応している。従って、フロントバンパ28の左枠部28Bと右枠部28Cとに、それぞれ機器取付け台座30が固定された状態で、支持枠32のマウント取付孔32Aにラジエータフレーム12のマウント部材13を取付けることができる。これにより、車体フレーム16のフロントバンパ28に、機器取付け台座30を介して標準仕様のラジエータ11を取付けることができる。この場合、ラジエータ11は、フロントバンパ28を左右方向で跨いだ状態で、機器取付け台座30を介してフロントバンパ28に取付けられ、安定した状態でフロントバンパ28に搭載される。
【0040】
第1の実施形態によるダンプトラック1は、上述の如き構成を有するもので、ダンプトラック1を用いて鉱山等の砕石を運搬する場合には、キャブ9に搭乗したオペレータがエンジンを起動し、エンジンによって油圧ポンプ、発電機等(いずれも図示せず)が駆動される。発電機からの電力は走行装置の電動モータに供給され、後輪4が回転駆動することにより、ダンプトラック1は砕石場まで走行する。そして、砕石場で停止したダンプトラック1の荷台5に、大型の油圧ショベル等(図示せず)を用いて掘削した砕石が積載される。砕石を積載したダンプトラック1は、集荷場まで走行した後、ホイストシリンダ6によって荷台5を傾動させ、砕石を集荷場に排出する。ダンプトラック1の稼働時には、ラジエータ11によってエンジン等を冷却することができる。
【0041】
このように、第1の実施形態によるダンプトラック1は、フロントバンパ28に設けられた台座固定部29(ねじ座29A,29B)に、複数のボルト33を用いて機器取付け台座30を固定することができる。これにより、車体フレーム16のフロントバンパ28に、専用の機器取付け台座30を介して標準仕様のラジエータ11を取付けることができる。
【0042】
次に、図5ないし図7は、本発明の第2の実施形態による特別仕様のダンプトラック41を示している。ダンプトラック41は、車体フレーム16のフロントバンパ28に、後述する機器取付け台座44を介して特別仕様のラジエータ42が取付けられている。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
特別仕様のダンプトラック41は、フロントバンパ28に搭載される機器類の他の例である。ダンプトラック41は、標準仕様のダンプトラック1と同様に、左右の前輪3と左右の後輪4とを備えた自走可能な車体2と、車体2上に傾動(起伏)可能に搭載された後述の荷台5とを含んで構成されている。ダンプトラック41の車体2は、標準仕様のダンプトラック1と共通部品である車体フレーム16と、車体フレーム16に搭載された建屋7、デッキ8、キャブ9等を含んで構成されている。しかし、ダンプトラック41は、車体フレーム16を構成するフロントバンパ28に、特別仕様のラジエータ42が設けられている点で、第1の実施形態によるダンプトラック1とは相違している。
【0044】
特別仕様のラジエータ42は、車体フレーム16のフロントバンパ28に取付けられている。図7に示すように、ラジエータ42は、長方形の枠状をなすラジエータフレーム43と、ラジエータフレーム43の内側に配置された熱交換器本体(図示せず)とを有している。ラジエータ42は、標準仕様のラジエータ11に比較して左右方向の長さ寸法(幅寸法)Aが大きくなるように大型化され、エンジン等に対する冷却性能が高められている。ラジエータフレーム43の左右両側の下端には、それぞれ取付脚部43Aが設けられている。これら左右の取付脚部43Aには、それぞれ前後方向に隣接して複数(例えば2個)のマウント部材43Bが設けられ、これらマウント部材43Bは、機器取付け台座44に取付けられる。
【0045】
左右の機器取付け台座44は、特別仕様のラジエータ42をフロントバンパ28に搭載するため、フロントバンパ28の左枠部28Bおよび右枠部28Cに設けられた台座固定部29にそれぞれ取付けられる。機器取付け台座44は、前後方向に延びる角筒状の取付ベース45と、取付ベース45の上面に設けられた支持枠46とを有している。
【0046】
取付ベース45は、フロントバンパ28の左枠部28Bおよび右枠部28Cに、それぞれ着脱可能に取付けられている。取付ベース45の前後方向(長さ方向)の中間部には、フロントバンパ28の左枠部28Bおよび右枠部28Cに向けて突出する平板状のフランジ板45Aが設けられ、フランジ板45Aには、左右方向に貫通する複数(例えば8個)のボルト挿通孔45Bが形成されている。これらボルト挿通孔45Bは、フロントバンパ28の台座固定部29を構成するねじ座29Aの4個のボルト穴29D、およびねじ座29Bの4個のボルト穴29Dに対応している。従って、取付ベース45(フランジ板45A)のボルト挿通孔45Bに挿通されたボルト47を、台座固定部29のねじ座29A,29Bのボルト穴29Dに螺着することにより、フロントバンパ28の左枠部28Bと右枠部28Cに、ラジエータ42専用の機器取付け台座44がそれぞれ固定される。
【0047】
支持枠46は、U字状の枠体からなり、取付ベース45の前後方向(長さ方向)の中間部の上面に溶接等の手段を用いて固定されている。支持枠46の上面には、上下方向に貫通する複数(例えば2個)のマウント取付孔46Aが形成されている。マウント取付孔46Aは、ラジエータ42を構成するラジエータフレーム43の取付脚部43Aに設けられた2個のマウント部材43Bに対応している。従って、フロントバンパ28の左枠部28Bと右枠部28Cとに、それぞれ機器取付け台座44が固定された状態で、支持枠46のマウント取付孔46Aにラジエータフレーム43のマウント部材43Bを取付けることができる。これにより、特別仕様のラジエータ42は、フロントバンパ28を左右方向で跨いだ状態で、機器取付け台座44を介してフロントバンパ28に取付けられ、安定した状態でフロントバンパ28に搭載される。
【0048】
第2の実施形態によるダンプトラック41は、上述の如き特別仕様のラジエータ42が搭載されたもので、ダンプトラック41の稼働時には、冷却性能が高いラジエータ42によって、エンジン等を効率良く冷却することができる。このように、第2の実施形態によるダンプトラック41は、フロントバンパ28に設けられた台座固定部29(ねじ座29A,29B)に、複数のボルト47を用いて機器取付け台座44を固定することができる。これにより、共通部品である車体フレーム16のフロントバンパ28に、専用の機器取付け台座44を介して特別仕様のラジエータ42を取付けることができる。
【0049】
次に、図8ないし図10は、本発明の第3の実施形態によるトロリー仕様のダンプトラック51を示している。ダンプトラック51は、鉱山等に張られた架線(トロリー線)からの電力を、集電装置(トロリー)52を介して走行装置の電動モータに供給することにより走行する。このため、ダンプトラック51は、車体フレーム16のフロントバンパ28に、後述する機器取付け台座56を介してパンタグラフサポート55が搭載されている。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
トロリー仕様のダンプトラック51は、標準仕様のダンプトラック1と同様に、時左右の前輪3と左右の後輪4とを備えた自走可能な車体2と、車体2上に傾動(起伏)可能に搭載された後述の荷台5とを含んで構成されている。ダンプトラック51の車体2は、標準仕様のダンプトラック1と共通部品である車体フレーム16と、車体フレーム16に搭載された建屋7、デッキ8、キャブ9等を含んで構成されている。しかし、ダンプトラック51は、車体フレーム16を構成するフロントバンパ28に、集電装置52のパンタグラフ53を支持するパンタグラフサポート55が搭載されている点で、第1の実施形態によるダンプトラック1とは相違している。
【0051】
左右の集電装置52は、ラジエータ11の前側に位置してダンプトラック51の前端に設けられている。図9に示すように、集電装置52は、車体フレーム16のフロントバンパ28に搭載されたパンタグラフサポート55の左右両側に取付けられている。集電装置52は、鉱山等のダンプトラック51の走路(動線)上に張られた架線(図示せず)から電力を集め、走行装置の電動モータに供給する。集電装置52は、パンタグラフサポート55と架線との間に伸縮可能に設けられたパンタグラフ53と、パンタグラフ53の上端側に設けられ、パンタグラフ53が伸長することにより架線に摺接して電力を集める集電舟54とを有している。
【0052】
パンタグラフサポート55は、フロントバンパ28に搭載される機器類の他の例である。パンタグラフサポート55は、前後左右に間隔をもって配置され、上下方向に延びる4本の支柱55Aと、支柱55Aの上端に配置され、支柱55Aから左側方および右側方に張出す矩形状の取付枠55Bと、4本の支柱55A間を連結する複数の補強梁55Cとを含んで構成されている。4本の支柱55Aの下端には取付フランジ55Dが設けられ、これら取付フランジ55Dは、機器取付け台座56の支柱受け座59に取付けられる。そして、取付枠55Bの左右両側には、それぞれパンタグラフ53の下端側が取付けられる。
【0053】
左右の機器取付け台座56は、パンタグラフサポート55をフロントバンパ28に搭載するため、フロントバンパ28の左枠部28Bおよび右枠部28Cに設けられた台座固定部29にそれぞれ取付けられる。機器取付け台座56は、前後方向に延びる角筒状の取付ベース57と、取付ベース57の上面に設けられた支持枠58と、支持枠58の前側に位置して取付ベース57の上面に設けられた2個の支柱受け座59とを有している。
【0054】
取付ベース57は、フロントバンパ28の左枠部28Bおよび右枠部28Cに、それぞれ着脱可能に取付けられている。取付ベース57には、左右方向に貫通する複数(例えば12個)のボルト挿通孔57A(2個のみ図示)が形成され、これらボルト挿通孔57Aには、それぞれボルト60が挿通される。複数のボルト挿通孔57Aは、フロントバンパ28の台座固定部29を構成するねじ座29Aの4個のボルト穴29D、ねじ座29Bの4個のボルト穴29D、ねじ座29Cの4個のボルト穴29Dに対応している。従って、取付ベース57のボルト挿通孔57Aに挿通されたボルト60を、台座固定部29のねじ座29A,29B,29Cのボルト穴29Dに螺着することにより、フロントバンパ28の左枠部28Bと右枠部28Cに、パンタグラフサポート55専用の機器取付け台座56がそれぞれ固定される。
【0055】
支持枠58は、U字状の枠体からなり、取付ベース57の後側の上面に溶接等の手段を用いて固定されている。支持枠58の上面には、上下方向に貫通する複数のマウント取付孔58Aが形成され、これらマウント取付孔58Aは、ラジエータ11を構成するラジエータフレーム12(取付脚部12A)に設けられた2個のマウント部材13に対応している。従って、フロントバンパ28の左枠部28Bと右枠部28Cとに、それぞれ機器取付け台座56が固定された状態で、支持枠58のマウント取付孔58Aにラジエータフレーム12のマウント部材13を取付けることができる。
【0056】
支柱受け座59は、支持枠58よりも前側に位置して取付ベース57の上面に設けられている。支柱受け座59は、前後に離間して2個設けられ、パンタグラフサポート55の4本の支柱55Aのうち前後の支柱55Aの下端に設けられた取付フランジ55Dに対応している。支柱受け座59には、前後方向に貫通する複数のボルト孔(雌ねじ孔)59Aが形成されている。従って、支柱55Aの取付フランジ55Dに形成されたボルト挿通孔に挿通したボルト61を、支柱受け座59のボルト孔59Aに螺着することにより、車体フレーム16のフロントバンパ28に、機器取付け台座56を介してパンタグラフサポート55を取付けることができる。これにより、パンタグラフサポート55は、フロントバンパ28を左右方向で跨いだ状態で、機器取付け台座56を介してフロントバンパ28に取付けられ、安定した状態でフロントバンパ28に搭載される。そして、パンタグラフサポート55の取付枠55Bの左右両側に、それぞれパンタグラフ53を取付けることにより、トロリー仕様のダンプトラック51を組立てることができる。
【0057】
第3の実施形態によるダンプトラック51は、上述の如き構成を有するもので、ダンプトラック1を用いて鉱山等の砕石を運搬する場合には、パンタグラフサポート55に取付けられたパンタグラフ53を伸長させ、鉱山等に張られた架線(図示せず)に集電舟54を接触させる。これにより、架線からの電力が集電装置52を介して走行装置の電動モータに供給され、ダンプトラック51は、架線に沿って砕石場と集荷場との間を走行し、砕石場において砕石を荷台5に積載すると共に、積載した砕石を集荷場に排出する。
【0058】
このように、第3の実施形態によるダンプトラック51は、フロントバンパ28に設けられた台座固定部29(ねじ座29A,29B,29C)に、複数のボルト60を用いて機器取付け台座56を固定することができる。これにより、車体フレーム16のフロントバンパ28に、専用の機器取付け台座56を介してパンタグラフサポート55、および標準仕様のラジエータ11を取付けることができる。
【0059】
かくして、実施形態では、本発明は、前輪3および後輪4が取付けられる車体フレーム16と、車体フレーム16に対して傾動可能に設けられ運搬物を積載する荷台5とを備え、車体フレーム16は、左右方向の左側に配置され前後方向に延びる左フレーム18と、左右方向の右側に配置され前後方向に延びる右フレーム19と、左フレーム18の前端と右フレーム19の前端とを接続し左右方向に延びる前フレーム20と、前フレーム20の前側に一体に固定され、吊上げ用のフック28Dが設けられると共に機器類(ラジエータ11、ラジエータ42、パンタグラフサポート55)が搭載されるフロントバンパ28とを含んで構成してなるダンプトラック(1、41、51)において、フロントバンパ28は、機器類(ラジエータ11、ラジエータ42、パンタグラフサポート55)の種類に応じた複数種類の機器取付け台座(30、44、56)が選択的に固定される台座固定部29を備えている。
【0060】
この構成によれば、フロントバンパ28の台座固定部29に対し、フロントバンパ28に搭載される機器類(ラジエータ11、ラジエータ42、パンタグラフサポート55)に応じた複数種類の機器取付け台座(30、44、56)を選択的に固定することができる。この場合、フロントバンパ28は、搭載される機器類の種類に関わらず単一の形状を有し、メインフレーム17の前フレーム20の前側に一体に固定されているので、搭載される機器類の種類に関わらず、車体フレーム16を共通化することができる。この結果、仕様が異なるダンプトラック1,41,51を製造するときのコストを削減することができ、ダンプトラックの新たな仕様への変更も容易に行うことができる。
【0061】
しかも、フロントバンパ28には吊上げ用のフック28Dが固定され、フロントバンパ28は、メインフレーム17を構成する前フレーム20に溶接手段を用いて一体に固定されている。これにより、フック28Dに掛止めしたロープを用いてダンプトラック1(41、51)を吊り上げる作業を行うときに、フロントバンパ28とメインフレーム17(前フレーム20)との接合部に、充分な強度を確保することができる。この結果、例えばメインフレームとは別個にフロントバンパを形成し、フロントバンパを締結具を用いてメインフレームに取付ける場合に比較して、吊り上げ作業を行うときの車体フレーム16の強度を高めることができる。
【0062】
実施形態では、フロントバンパ28は、前フレーム20と前後方向で対向しつつ左右方向に延びフック28Dが設けられた前枠部28Aと、前枠部28Aの左端と前フレーム20との間を連結する左枠部28Bと、前枠部28Aの右端と前フレーム20との間を連結する右枠部28Cとを含んで構成され、台座固定部29は、左枠部28Bおよび右枠部28Cにそれぞれ設けられている。この構成によれば、機器類(ラジエータ11、ラジエータ42、パンタグラフサポート55)は、フロントバンパ28を左右方向で跨いだ状態で、機器取付け台座(30、44、56)を介してフロントバンパ28に取付けられる。この結果、機器類(ラジエータ11、ラジエータ42、パンタグラフサポート55)を、安定した状態でフロントバンパ28に搭載することができる。
【0063】
実施形態では、フロントバンパ28の左枠部28Bと左フレーム18とは前フレーム20を介して前後方向に連続し、フロントバンパ28の右枠部28Cと右フレーム19とは前フレーム20を介して前後方向に連続する。この構成によれば、フロントバンパ28に作用する荷重を、メインフレーム17の左フレーム18および右フレーム19に円滑に伝えることができる。この結果、機器類(ラジエータ11、ラジエータ42、パンタグラフサポート55)の重量による荷重がフロントバンパ28に集中するのを抑え、フロントバンパ28とメインフレーム17とに適度に荷重を分散させることができる。
【0064】
なお、実施形態では、フロントバンパ28に設けられる台座固定部29を、3個のねじ座29A,29B,29Cによって構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば1個または2個、あるいは4個以上のねじ座によって台座固定部29を構成してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1,41,51 ダンプトラック
2 車体
3 前輪
4 後輪
5 荷台
11,42 ラジエータ(機器類)
16 車体フレーム
18 左フレーム
19 右フレーム
20 前フレーム
28 フロントバンパ
28A 前枠部
28B 左枠部
28C 右枠部
28D フック
29 台座固定部
30,44,56 機器取付け台座
55 パンタグラフサポート(機器類)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10