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  • 特開-火災感知器 図1
  • 特開-火災感知器 図2
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  • 特開-火災感知器 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049093
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】火災感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
G08B17/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155354
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舛永 鈴菜
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達彦
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA01
5G405AB00
5G405AB01
5G405AB02
5G405CA30
5G405CA55
5G405CA58
5G405FA06
5G405FA30
(57)【要約】
【課題】建造物に取り付ける際等に種類を判別しやすい火災感知器を提供することを課題とする。
【解決手段】取り付け方向である背面側または側面側に形式および性能を記載した火災感知器であって、前記形式および性能を示す機能の一部を示す略号を、前記背面側または側面側において、前記形式および性能の記載の近傍に記載したことを特徴とする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け方向である背面側または側面側に形式および性能を記載した火災感知器であって、
前記形式および性能を示す機能の一部を示す略号を、前記背面側または側面側において、前記形式および性能の記載の近傍に記載したことを特徴とする火災感知器。
【請求項2】
前記略号は、接続する火災受信機の種類に対応する型を示す文字と、直接の検知対象を示す文字と、感度の別を示す文字を並べたものであることを特徴とする請求項1に記載された火災感知器。
【請求項3】
前記形式および性能は、文字部を着色した文字で記載され、
前記略号は、文字部を着色せず、周囲を着色した抜き文字で記載されており、並べた文字の間は着色されて繋がっていることを特徴とする請求項2に記載された火災感知器。
【請求項4】
前記形式および性能は、文字部を着色した文字で記載され、
前記略号は、文字部を着色せず、周囲を着色した抜き文字で記載されていることを特徴とする請求項1に記載された火災感知器。
【請求項5】
前記略号の文字は、前記形式および性能の記載の文字よりも2~4倍の大きさのフォントで記載されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載された火災感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、銘板シールが貼り付けられた火災感知器が記載されている。火災感知器を建造物に取り付ける際には、建造物の天井板等に予め取付ベースを取り付けておく場合が多い。そして、取付ベースに火災感知器を固定する。特許文献1の銘板シールは、光電式煙感知器の取付ベース側に装着されている。
【0003】
火災感知器には、P型、R型等の受信機との伝送方式の違いによる形式や、煙感知器と熱感知器等の感知対象の違い等により、いくつかの種類がある。これらの火災感知器は、取り付ける場所により種類を決定して取り付けられる。火災感知器には、特許文献1、2のように銘板シール等が貼り付けられる。銘板シールには型番等が記載されており、火災感知器の種類を確認できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-134860号公報
【0005】
【特許文献2】特開2010-102420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
火災感知器は、仕上げの段階で建造物に取り付けられる。その際には、多くの種類の火災感知器から必要な種類のものを選択して建造物へ配送する。選択作業の際には、火災感知器の銘板シール等に記載された型番を頼りに感知器の種類を判別する。しかし、銘板シール等に記載された型番や形式、性能等の表示は文字数が多いうえ、感知器本体に貼付される銘板シールの文字が細かいため、火災感知器の種類を認識しにくかった。
【0007】
また、異なった種類の火災感知器について、取り付ける取付ベースが共通になっている場合がある。共通にすると、取付ベースの種類を少なくすることができ、在庫管理や製造コスト等でメリットがある。しかし、間違った種類の火災感知器をベース部材に取り付けてしまう可能性があるため、銘板シール等に記載された型番をカタログで照会したり、形式や性能等の表示により種類を確認する必要がある。確認を行わずに火災感知器設置後の初期試験を行えば間違いは発見されるが、初期試験後に取り替える作業が発生し、作業効率が低下してしまう。
【0008】
本発明は、建造物に取り付ける際等に種類を判別しやすい火災感知器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態における火災感知器は、取り付け方向である背面側に形式(型式と同義として用いる)および性能を記載した火災感知器であって、前記形式および性能を示す機能の一部を示す略号を、前記背面側において、前記形式および性能の記載の近傍に記載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、建造物に取り付ける際に種類を判別しやすい火災感知器を提供することができる。そして、配送のための火災感知器の選択作業や、火災感知器を取付ベースに取り付ける際の確認作業等が容易になり、作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】火災感知器を天井板へ取り付ける状況。
図2】実施例1における火災感知器の感知器裏板。
図3】熱感知器の製品体系と略号の表記。
図4】煙感知器の製品体系と略号の表記。
図5】実施例2における銘板シール。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、火災感知器1を天井板3に取り付ける直前の状況を示す。天井板3には取付ベース2が取り付けられている。火災感知器1を天井板3に取り付ける際には、火災感知器1を図1の位置から持ち上げて、天井板3に予め取り付けた取付ベース2に固定する。図1で矢印により示す火災感知器1の背面側、換言すれば、取付ベース2に取り付けられる側の面には、火災感知器1の形式や性能が記載されている。図1のように天井板3に取付ベース2が取り付けられている場合には、火災感知器1の上方が取り付け方向となり、上側が背面側である。なお、取付ベース2は斜めの天井板や壁に取り付けられることもある。火災感知器1の背面側は取り付け方向の側である。
【実施例0013】
実施例1の火災感知器1において、取付方向に露出している感知器裏板11を図2に示す。図2は、感知器裏板11を図1の矢印の方向である火災感知器1の背面側から見た様子である。感知器裏板11は火災感知器1の部材であり、火災感知器1を背面側から塞いでいる。感知器裏板11には4箇所に接続端子取付部113が設けられている。そして、感知器裏板11の中心部には、形式および性能の記載111が表示されている。図2では形式および性能の記載111の上部に型番が記載され、その下に性能等が記載されている。これらは、感知器裏板11の取付方向の外側に直接的にインクで着色して文字等を記載している。
【0014】
図2においては、形式(型式と同義)および性能の記載111として「○○○-〇-〇型」というように型番が記載されていると共に、「光電アナログ式スポット型感知器(試験機能付き)(24V,200mA)公称感知濃度○○・・・」と性能等が記載されている。そして、火災感知器1の取り付け方向の外側において、図2に示すように、形式および性能の記載111の近傍に略号112を記載している。略号112は、形式および性能の記載111で示している形式および性能を示す機能の一部を示し、火災感知器1の種類を示している。なお、図2では火災感知器1の背面側に形式および性能の記載111をしているが、火災感知器1の側面側に記載するようにしてもよい(図示せず)。
【0015】
図3に、熱感知器の製品体系図を示す。熱感知器は、火災の熱を感知する火災感知器である。そして、伝送方式のシステムや感知方法の種別、感度により多数の種類の熱感知器が製品となっている。
【0016】
熱感知器は、接続する親機である受信機(図示せず)との間における伝送方式のシステムの違いにより、いくつかの型に分かれている。図3に示す「P型」のシステムでは、火災感知器からの信号を警戒区域毎に共通線を介し個々の配線で受信機に送り、火災を知らせる。また、「R型」のシステムでは、火災感知器あるいは中継器から固有の信号に変換された火災信号等を共通の電路にのせて受信機に送り、火災の発生を知らせる。P型やR型以外にも異なった伝送方式のシステムがあり、それらのシステムに対応して熱感知器が製造されている。そして、システム毎に異なった種類の熱感知器が用いられる。
【0017】
また、熱感知器には、熱を感知する種別として、「差動式」と「定温式」がある。差動式では、一定の単位時間における温度の上昇割合によって火災を感知する。また、定温式は、熱感知器で所定の温度になったときに火災を感知する。どちらの方式を用いるかは、設置場所等に応じて決定される。
【0018】
さらに、熱感知器の感度により「特種」、「1種」、「2種」、「3種」等の熱感知器が製造されている。「特種」の感度が最も高く、「特種」、「1種」、「2種」、「3種」の順に感度が低くなる。「アナログ式」では、受信機で感度の設定を行うことができる。アナログ式の熱感知器は、所定の温度になったときに火災を感知するものではないため、図3の上から2つ目の3文字の略号は、左から2番目の文字を「定」ではなく、「熱」と記載している。そして、3番目の文字を「ア」と記載している。
【0019】
図4に、煙感知器の製品体系図を示す。煙感知器は、火災の煙を感知する火災感知器である。そして、伝送方式のシステムや感度により複数の種類の煙感知器が製品となっている。
【0020】
煙感知器も、前出の熱感知器と同様に、接続する親機である受信機(図示せず)との間で伝送を行うシステムの違いにより、「P型」、「R型」等のいくつかの型に分かれている。図4に示すシステムや感度は、熱感知器と同様であり、「特種」の感度が最も高く、「特種」、「1種」、「2種」、「3種」の順に感度が低くなる。「アナログ式」では、受信機で感度の設定を行うことができる。
【0021】
そして、図3、4に示す3文字の略号により、火災感知器の種類を表示することができる。図3、4に示す3文字の略号は、左から1番目にP型、R型等の接続する火災受信機の種類に対応する伝送方式の型を示す文字を記載し、2番目に煙であるか、熱(定温)であるか、熱(差動)であるか等の直接の検知対象を示す文字を記載し、3番目に1種、2種、3種等の感度の別を示す文字を並べたものである。
【0022】
また、略号は、文字部を着色せず、周囲を着色した抜き文字で表示されており、並べた文字の間は着色されて繋がっている。図3、4に示す実施例1の3文字の略号は、角を丸めた着色長方形の中に、3文字の抜き文字を配している。たとえば、図3の一番上に示した製品は、システムがR型、種別が差動式、感度が2種であり、「R差2」の文字列を備えた3文字の抜き文字で表された略号が対応する。
【0023】
図2に示す例では、3文字の略号を用いて表示している。図2において、略号112は、感知器裏板11の端部に表示されている。また、感知器裏板11の中心付近には、形式および性能の記載111は、文字部を着色した文字により、感知器裏板11の中心付近に表示されている。略号112の「R煙ア」との文字は、システムが「R型」、「煙感知器」、感度が「アナログ」であることを示す。煙感知器の製品体系図である図4の一番上に示した製品を示している。
【0024】
略号112は、文字部を着色せず、周囲を着色した抜き文字である。角を丸めた着色長方形の中に、3文字の抜き文字を配し、形式および性能の記載111の文字よりも大きいフォントで表示されている。このように表示されていることにより、略号112は視認性が高く、火災感知器1を建物に設置する際に重要な種別について容易に判別することができる。
【0025】
以上のように、実施例1では、図3、4に示した3文字の略号を、図2に示すように火災感知器の背面側において、形式および性能の記載の近傍に記載して、火災感知器の種類を表示する。これにより、火災感知器の種類を容易に判別することができる。
【実施例0026】
図5に、略号を表示する実施例2を示す。図5は、銘板シール4を用いた実施例である。銘板シール4は、火災感知器の背面に貼付され、形式や性能等を表示する。銘板シール4には、形式および性能の記載41が表示され、右上の隅の近傍に略号42が表示されている。
【0027】
図5に示す実施例2で用いている略号42は、図3に「1文字」として記載されている略号である。実施例2では、略号42は、差動式の熱感知器であるか、定温式の熱感知器である等の直接の検知対象を示す文字で表されている。「差」は差動式の熱感知器であることを示し、「定」は定温式の熱感知器であることを示す。また、差動式や定温式ではない「アナログ式」では、「熱」と記載している。
【0028】
図5に示す略号42は、図3の1文字の略号から選択されたものであり、着色した円の中に、着色しない文字部を配した抜き文字で表示されている。略号42は1つの文字を用いる。また、形式および性能の記載41の文字よりも大きいフォント、例えば2~4倍の大きさで表示されている。このように表示されていることにより、略号42は視認性が高く、火災感知器を建物に設置する際に重要な種別について容易に判別することができる。
【0029】
図5の銘板シール4には、形式および性能の記載41として、差動式スポット型感知器と表示されている。略号42は、差動式の熱感知器であることを示している。なお、差動式は熱感知器特有であり、煙感知器に差動式はない。
【0030】
実施例1では3文字の略号を、実施例2では1文字の略号を示したが、他の文字数でもよい。しかし、視認性の観点から、1~4文字の略号とすることが好ましい。また、実施例1の略号の順番は他の順でもよいが、図3、4に示した順番は、左端が最も大きな特徴を示す文字であり、徐々に小さな特徴を示す文字となっており、好ましい。
【0031】
本発明の実施例では略号表示を火災感知器1の背面側に設けるものとして説明したが、略号表示を火災感知器1の側面側に印字したり、火災感知器1を収納し梱包するための梱包箱の表面に記したり、梱包箱にシールとして貼付する等して略号を表示するものとしても、同様の効果が得られる。その他、具体的な構成は実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 火災感知器、11 感知器裏板、111 形式および性能の記載、112 略号、113 接続端子取付部、
2 取付ベース
3 天井板
4 銘板シール、41 形式および性能の記載、42 略号
図1
図2
図3
図4
図5