(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049095
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】パルス印加装置、その装置を用いた血行不良予防法、およびその装置の使用方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240402BHJP
A61H 39/00 20060101ALI20240402BHJP
A61F 7/03 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A61N1/36
A61H39/00 K
A61F7/08 332D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155358
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】507062277
【氏名又は名称】株式会社都
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】望月 みや子
【テーマコード(参考)】
4C053
4C101
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB23
4C053BB36
4C053JJ06
4C053JJ12
4C053JJ15
4C053JJ22
4C053JJ33
4C101BA07
4C101BB02
4C101BB04
4C101BC09
4C101BD08
4C101BE06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】パルスを印加するパルス印加装置に関し、交感神経と副交感神経をともに活性化させつつ両神経のバランスを整える。
【解決手段】頸椎上の位置と仙骨上の位置それぞれに貼り付けられる一対の第1通電パット112と、背骨上の鳩尾の背側となる位置と該背骨上の臍の背側となる位置それぞれに貼り付けられる一対の第2通電パット114と、第1通電パット112および第2通電パット114に出力パルスを同一期間内に印加する第1パルス印加部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頸椎上の位置と仙骨上の位置それぞれに貼り付けられる一対の第1通電パットと、
背骨上の鳩尾の背側となる位置と該背骨上の臍の背側となる位置それぞれに貼り付けられる一対の第2通電パットと、
前記第1通電パットおよび前記第2通電パットに出力パルスを同一期間内に印加する第1パルス印加部とを備えたことを特徴とするパルス印加装置。
【請求項2】
所定の第1周波数のパルスを発生させて該パルスの発生を一旦休止することを繰り返す自律神経活性化モードを有し、
背骨上で上下に間隔をあけた位置それぞれに貼り付けられる一対の通電パットと、
前記自律神経活性化モードで発生するパルスに応じた出力パルスを前記一対の通電パットに印加する第1パルス印加部とを備えたことを特徴とするパルス印加装置。
【請求項3】
所定の第1周波数のパルスを発生させて該パルスの発生を一旦休止することを繰り返す自律神経活性化モードを有し、
前記第1パルス印加部は、前記自律神経活性化モードで発生するパルスに応じた出力パルスを同一期間内に前記第1通電パットおよび前記第2通電パットに印加するものであることを特徴とする請求項1記載のパルス印加装置。
【請求項4】
前記第1パルス印加部における出力パルスの強さを調整する第1出力調整操作子を備え、
前記第1パルス印加部は、前記自律神経活性化モードで発生するパルスの振幅を前記第1出力調整操作子で調整された強さに従って変調した出力パルスを印加するものであることを特徴とする請求項3記載のパルス印加装置。
【請求項5】
前記自律神経活性化モードの他、
前記第1周波数より低い所定の第2周波数のパルスを発生させて該パルスの発生を一旦休止することを繰り返す自己診断モードと、
前記第2周波数より低い上限値を有する第1の所定の周波数範囲内で変化させた周波数のパルスを発生させて該パルスの発生を繰り返す筋肉刺激モードと、
前記第2周波数より低い上限値を有しかつ前記第1の所定の周波数範囲よりも広い第2の所定の周波数範囲内で変化させた周波数のパルスを発生させて該パルスの発生を繰り返してから該第2の所定の周波数範囲内で変化させた周波数のパルスを振幅を変調させながら発生させて該パルスの発生を繰り返す神経刺激モードとをさらに有し、
複数のゾーンが配置されたパルス印加スペースと、
前記自己診断モード、前記筋肉刺激モード、および前記神経刺激モードのうちから1つのモードに切り替えるモード切替操作子と、
前記ゾーンの組み合わせを定めた複数の通電ポイントパターンの内から1つの通電ポイントパターンを選択するパターン選択操作子と、
前記第1パルス印加部とは別に、前記モード切替操作子で切り替えられたモードで発生するパルスに応じた出力パルスを、前記パターン選択操作子で選択された1つの通電ポイントパターンによって定められたゾーンに印加する第2パルス印加部とを備え、
前記第1パルス印加部における出力パルスの印加と、前記第2パルス印加部における出力パルスの印加を同一期間に行うことを特徴とする請求項3又は4記載のパルス印加装置。
【請求項6】
請求項5記載のパルス印加装置を用いた血行不良予防法であって、
対象者の頸椎上の位置と仙骨上の位置それぞれに前記一対の第1通電パットを貼り付ける第1通電パット貼付ステップと、
前記対象者の背骨上の鳩尾の背側となる位置と該背骨上の臍の背側となる位置それぞれに前記一対の第2通電パットを貼り付ける第2通電パット貼付ステップと、
対象者の脹脛を前記パルス印加スペースに接触させる脹脛接触ステップと、
前記自律神経活性化モードで発生したパルスに応じた出力パルスを同一期間内に前記第1通電パットおよび前記第2通電パットに印加するとともに前記筋肉刺激モードで発生したパルスに応じた出力パルスを該同一期間内に前記複数のゾーンに印加するパルス印加ステップとを有することを特徴とする血行不良予防法。
【請求項7】
請求項5記載のパルス印加装置の使用方法であって、
対象者の足の裏を前記パルス印加スペースに接触させ、前記自己診断モードで発生したパルスに応じた出力パルスを前記複数のゾーン総てに印加しながら該出力パルスの強さを調整し、該対象者が痛みを感じずかつ最も強い刺激を感じる強さの出力パルスを基準出力パルスに決定する基準決定ステップと、
前記対象者の足の裏を前記パルス印加スペースに接触させ、前記パターン選択操作子を操作して通電ポイントパターンを順次選択しながら選択した通電ポイントパターンごとに定められたゾーンの組合せを構成する各ゾーンに、前記自己診断モードで発生したパルスを前記基準出力パルスの強さで印加し、印加したときの刺激が前記基準出力パルスを決定した時に感じた刺激よりも弱くなる通電ポイントパターンを探す自己診断ステップと、
前記自律神経活性化モードで発生したパルスに応じた出力パルスを同一期間内に前記第1通電パットおよび前記第2通電パットに印加する自律神経活性化ステップと、
前記自己診断ステップにより探した通電ポイントパターンによって定められたゾーンの組合せを構成する各ゾーンに、前記神経刺激モードで発生したパルスに応じた出力パルスを前記同一期間内に印加する神経刺激ステップとを有することを特徴とするパルス印加装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルスを印加するパルス印加装置と、その装置を用いた血行不良予防と、その装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自律神経は、内臓の働きや代謝、体温などの機能をコントロールする生命活動を支配している神経であり、自分の意識では動かすことができないものである。この自律神経には、緊張や興奮を促す交感神経と、リラックスを促す副交感神経の2種類があり、これら2種類の神経がどう作用するかによって、心や体の調子が変わってくる。交感神経が強く働くと、心拍数、血圧ともに上昇し、血管は収縮し、筋肉は緊張し、心と体が興奮状態になる。一方、副交感神経が優位に働けば、心拍数、血圧ともに下降し、血管は拡張し、筋肉は弛緩し、心と体が休んでいる状態になる。本来であれば、交感神経と副交感神経は、1:1程度のバランスをもって働くことが理想的である。
【0003】
しかしながら、現代人に多いタイプとして、交感神経が過剰になり、副交感神経が上がらないタイプがあげられる。このタイプでは、交感神経と副交感神経のバランスが大きくくずれ、心にも身体にも疲労が蓄積されてしまう。
【0004】
ところで、従来より、パルスによりつぼを刺激するパルス印加装置が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。つぼには各器官に繋がる神経があり、このつぼに電気刺激を与えることによって各器官を間接的に刺激することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-333991号公報
【特許文献2】登録実用新案3046497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のパルス印加装置では、各器官を間接的に刺激するに留まり、交感神経と副交感神経をともに活性化させつつ両神経のバランスを整えることまではできない。また、筋肉を刺激するだけでも血行は良くなるが、自律神経との絡みでも血行を良くしようとする装置はなく、血行不良を予防することもできない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、交感神経と副交感神経をともに活性化させつつ両神経のバランスを整えることができるパルス印加装置、その装置を用いた血行不良予防法、およびその装置の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の第一のパルス印加装置は、
頸椎上の位置と仙骨上の位置それぞれに貼り付けられる一対の第1通電パットと、
背骨上の鳩尾の背側となる位置と該背骨上の臍の背側となる位置それぞれに貼り付けられる一対の第2通電パットと、
前記第1通電パットおよび前記第2通電パットに出力パルスを同一期間内に印加する第1パルス印加部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第一のパルス印加装置によれば、前記第1通電パットから主として副交感神経を刺激する出力パルスが印加され、前記第2通電パットから主として交感神経を刺激する出力パルスが印加される。この結果、交感神経と副交感神経をともに活性化させつつ両神経のバランスが整えられる。
【0010】
なお、前記第1パルス印加部は、前記同一期間内では、出力パルスを、前記第1通電パットおよび前記第2通電パットに同時に印加してもよいし、前記第1通電パットおよび前記第2通電パットに交互に印加してもよいし、前記第1通電パットに印加する期間と前記第2通電パットに印加する期間の一部が重複していてもよい。
【0011】
上記目的を達成する本発明の第二のパルス印加装置は、
所定の第1周波数のパルスを発生させて該パルスの発生を一旦休止することを繰り返す自律神経活性化モードを有し、
背骨上で上下に間隔をあけた位置それぞれに貼り付けられる一対の通電パットと、
前記自律神経活性化モードで発生するパルスに応じた出力パルスを前記一対の通電パットに印加する第1パルス印加部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の第二のパルス印加装置によれば、所定の第1周波数のパルスを発生させて該パルスの発生を一旦休止することを繰り返すことで、生体電流に似た電流を脊髄に流すことができる。この結果、交感神経と副交感神経をともに活性化させつつ両神経のバランスが整えられる。
【0013】
本発明の第一のパルス印加装置において、
所定の第1周波数のパルスを発生させて該パルスの発生を一旦休止することを繰り返す自律神経活性化モードを有し、
前記第1パルス印加部は、前記自律神経活性化モードで発生するパルスに応じた出力パルスを同一期間内に前記第1通電パットおよび前記第2通電パットに印加するものであることを特徴とする態様であってもよい。
【0014】
この態様によれば、前記第1通電パットから主として副交感神経を刺激するのに好適な出力パルスが印加され、前記第2通電パットから主として交感神経を刺激するのに好適な出力パルスが印加され、交感神経と副交感神経をともにより活性化させつつ両神経のバランスが一段と整えられる。
【0015】
また、
前記第1パルス印加部における出力パルスの強さを調整する第1出力調整操作子を備え、
前記第1パルス印加部は、前記自律神経活性化モードで発生するパルスの振幅を前記第1出力調整操作子で調整された強さに従って変調した出力パルスを印加するものであることを特徴としてもよい。
【0016】
前記第1出力調整操作子を操作して出力パルスの強さを調整することで、対象者が痛くならない程度の刺激を与えることができる。
【0017】
さらに、
前記自律神経活性化モードの他、
前記第1周波数より低い所定の第2周波数のパルスを発生させて該パルスの発生を一旦休止することを繰り返す自己診断モードと、
前記第2周波数より低い上限値を有する第1の所定の周波数範囲内で変化させた周波数のパルスを発生させて該パルスの発生を繰り返す筋肉刺激モードと、
前記第2周波数より低い上限値を有しかつ前記第1の所定の周波数範囲よりも広い第2の所定の周波数範囲内で変化させた周波数のパルスを発生させて該パルスの発生を繰り返してから該第2の所定の周波数範囲内で変化させた周波数のパルスを振幅を変調させながら発生させて該パルスの発生を繰り返す神経刺激モードとをさらに有し、
複数のゾーンが配置されたパルス印加スペースと、
前記自己診断モード、前記筋肉刺激モード、および前記神経刺激モードのうちから1つのモードに切り替えるモード切替操作子と、
前記ゾーンの組み合わせを定めた複数の通電ポイントパターンの内から1つの通電ポイントパターンを選択するパターン選択操作子と、
前記第1パルス印加部とは別に、前記モード切替操作子で切り替えられたモードで発生するパルスに応じた出力パルスを、前記パターン選択操作子で選択された1つの通電ポイントパターンによって定められたゾーンに印加する第2パルス印加部とを備え、
前記第1パルス印加部における出力パルスの印加と、前記第2パルス印加部における出力パルスの印加を同一期間に行うことを特徴としてもよい。
【0018】
前記第1パルス印加部と前記第2パルス印加部は別体の装置であってもよいし、同じ装置であってもよい。
【0019】
また、前記同一期間内では、前記第1パルス印加部における出力パルスの第1印加と、前記第2パルス印加部における出力パルスの第2印加が同時に行われてもよいし、前記第1印加と前記第2印加が交互に行われてもよいし、前記第1印加が行われている期間と前記第2印加が行われている期間の一部が重複していてもよい。
【0020】
さらに、前記同一期間とは、例えば、前記第1パルス印加部における出力パルスの印加期間と、前記第2パルス印加部における出力パルスの印加期間のうち期間長が長い方の期間であってもよい。
【0021】
また、第2パルス印加部における出力パルスの強さを調整する第2出力調整操作子を備え、前記第2パルス印加部は、前記モード切替操作子で切り替えられたモードで発生するパルスの振幅を前記第2出力調整操作子で調整された強さに従って変調した出力パルスを印加するものであってもよい。こうすることで、第2パルス印加部でも、対象者の体調や好み等にあった出力のパルスを印加することができるようになる。
【0022】
また、前記筋肉刺激モードは、前記第2周波数より低い上限値を有する第1の所定の周波数範囲内で変化させた周波数のパルスを発生させて該パルスの発生を一旦休止することなく繰り返すモードであってもよい。前記神経刺激モードは、前記第2周波数より低い上限値を有しかつ前記第1の所定の周波数範囲よりも広い第2の所定の周波数範囲内で変化させた周波数のパルスを発生させて該パルスの発生を一旦休止することなく繰り返してから該第2の所定の周波数範囲内で変化させた周波数のパルスを振幅を変調させながら発生させて該パルスの発生を一旦休止することを繰り返すモードであってもよい。
【0023】
上記目的を達成する本発明の血行不良予防法は、
本発明の第一のパルス印加装置を用いた筋肉緊張予防方法であって、
対象者の頸椎上の位置と仙骨上の位置それぞれに前記一対の第1通電パットを貼り付ける第1通電パット貼付ステップと、
前記対象者の背骨上の鳩尾の背側となる位置と該背骨上の臍の背側となる位置それぞれに前記一対の第2通電パットを貼り付ける第2通電パット貼付ステップと、
対象者の脹脛を前記パルス印加スペースに接触させる脹脛接触ステップと、
前記自律神経活性化モードで発生したパルスに応じた出力パルスを同一期間内に前記第1通電パットおよび前記第2通電パットに印加するとともに前記筋肉刺激モードで発生したパルスに応じた出力パルスを該同一期間内に前記複数のゾーンに印加するパルス印加ステップとを有することを特徴とする。
【0024】
本発明の血行不良予防法によれば、脹脛に前記筋肉刺激モードで発生したパルスに応じた出力パルスを印加することで脹脛を刺激し、脹脛の筋肉に軽い収縮を繰り返させ、その筋肉運動によって血行不良が予防される。また、前記第1通電パット及び前記第2通電パットそれぞれで前記自律神経活性化モードで発生したパルスに応じた出力パルスを印加することで交感神経による血管の収縮と副交感神経による血管の拡張のバランスをとり、血行不良がさらに予防される。
【0025】
また、脳の血行が良くなることで、認知症を予防することが期待できる。
【0026】
前記同一期間内では、前記自律神経活性化モードで発生したパルスに応じた出力パルスの第1印加と、前記筋肉刺激モードで発生したパルスに応じた出力パルスの第2印加が同時に行われてもよいし、前記第1印加と前記第2印加が交互に行われてもよいし、前記第1印加が行われている期間と前記第2印加が行われている期間の一部が重複していてもよい。
【0027】
上記目的を達成する本発明の第一のパルス印加装置の使用方法は、
対象者の足の裏を前記パルス印加スペースに接触させ、前記自己診断モードで発生したパルスに応じた出力パルスを前記複数のゾーン総てに印加しながら該出力パルスの強さを調整し、該対象者が痛みを感じずかつ最も強い刺激を感じる強さの出力パルスを基準出力パルスに決定する基準決定ステップと、
前記対象者の足の裏を前記パルス印加スペースに接触させ、前記パターン選択操作子を操作して通電ポイントパターンを順次選択しながら選択した通電ポイントパターンごとに定められたゾーンの組合せを構成する各ゾーンに、前記自己診断モードで発生したパルスを前記基準出力パルスの強さで印加し、印加したときの刺激が前記基準出力パルスを決定した時に感じた刺激よりも弱くなる通電ポイントパターンを探す自己診断ステップと、
前記自律神経活性化モードで発生したパルスに応じた出力パルスを同一期間内に前記第1通電パットおよび前記第2通電パットに印加する自律神経活性化ステップと、
前記自己診断ステップにより探した通電ポイントパターンによって定められたゾーンの組合せを構成する各ゾーンに、前記神経刺激モードで発生したパルスに応じた出力パルスを前記同一期間内に印加する神経刺激ステップとを有することを特徴とする。
【0028】
本発明の第一のパルス印加装置の使用方法によれば、前記自律神経活性化ステップによって全身に電流が流れるばかりでなく神経刺激ステップでは弱っている部位にだけ電流が流れる。この結果、身体全体にも弱っている部位にも刺激が与えられるようになる。
【0029】
前記同一期間内では、前記自律神経活性化モードで発生したパルスに応じた出力パルスの第1印加と、前記神経刺激モードで発生したパルスに応じた出力パルスの第2印加が同時に行われてもよいし、前記第1印加と前記第2印加が交互に行われてもよいし、前記第1印加が行われている期間と前記第2印加が行われている期間の一部が重複していてもよい。
【0030】
また、前記基準決定ステップを実施する前に行う、対象者の脹脛を前記パルス印加スペースに接触させ、前記複数のゾーンに前記筋肉刺激モードで発生したパルスに応じた出力パルスを前記同一期間内に印加する脹脛刺激ステップを有する態様であってもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、交感神経と副交感神経をともに活性化させつつ両神経のバランスを整えることができるパルス印加装置、その装置を用いた血行不良予防法、およびその装置の使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態に係る低周波パルス印加装置を示す図である。
【
図2】低周波パルス印加装置100の機能ブロック図である。
【
図3】各パルス発生部で発生するパルスの一部を示す図である。
【
図4】通電ポイントパターンとその対応する部位および症状を示す図である。
【
図5】自律神経活性化モードパルス発生部で発生するパルスの一部を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る低周波パルス印加装置100の第1使用方法を示すフローチャートである。
【
図7】ステップS100における低周波パルス印加装置の使用状態を示す図である。
【
図8】ステップS100の流れの詳細を示すフローチャートである。
【
図9】ステップS200の流れの詳細を示すフローチャートである。
【
図10】ステップS300の流れの詳細を示すフローチャートである。
【
図11】ステップS400の流れの詳細を示すフローチャートである。
【
図12】指先の腹を左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rに載せて刺激をする状態を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る低周波パルス印加装置100の第2使用方法を示すフローチャートである。
【
図14】通電パットを使用して脊髄通電を行っている状態を示す図である。
【
図15】通電パットを用いた脊髄通電に関する比較実験の結果を示す図である。
【
図16】脊髄通電による自律神経活性化と足裏通電による神経刺激との併用例を説明するための図である。
【
図17】脊髄通電による自律神経活性化と脹脛通電による筋肉刺激との併用例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る低周波パルス印加装置を示す図である。
【0035】
図1に示す低周波パルス印加装置100は、自律神経活性化モード、自己診断モード、筋肉刺激モードおよび神経刺激モードを有する。
【0036】
また、低周波パルス印加装置100は、本体部101の中央部分に操作パネル部103が設けられている。また、本体部101には、操作パネル部103より下に、持ち運びのための把手部110が設けられている。さらに、本体部101には、操作パネル部103の、左側に左足受け台102L、右側に右足受け台102Rが設置されている。左足受け台102Lには、出力パルスが印加される第1から第7のゾーン1L~7Lが配置されている。以降、これら7つのゾーンをひとまとめにして左ゾーン10Lと称する場合がある。左足受け台102Lと同様に右足受け台102Rも、第1から第7のゾーン1R~7Rが配置されており、これらのゾーンをひとまとめにしたものを右ゾーン10Rと称する場合がある。左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rは、足の裏のつぼに対応して配置されたものである。したがって、左足受け台102Lおよび右足受け台102Rそれぞれに対象者の足の裏を載せれば、その足の裏のつぼを刺激することができる。このつぼを刺激することで人体の臓器や器官等の各部位につながる神経が刺激される。
【0037】
操作パネル部103の上側部分は、左足受け台102Lおよび右足受け台102Rの各種設定を行う部分になる。この上側部分には、ゾーン印加モード切替操作子104、通電ポイント選択操作子105、タイマー操作子106が設けられている。左足受け台102Lおよび右足受け台102Rを用いたパルス印加では、上記4つのモードのうち、自己診断モード、筋肉刺激モードおよび神経刺激モードの3つのモードが選択可能である。ゾーン印加モード切替操作子104は、これら3つのモードのうちから1つのモードに切り替える操作子である。ゾーン印加モード切替操作子104は、1回押下する度にモードが順番に切り替わっていく。左足受け台102Lおよび右足受け台102Rそれぞれでは、上述の第1から第7のゾーン1L~7L,1R~7Rの中でゾーンどうしを組み合わせた通電ポイントパターンが複数用意されている(詳細は
図4参照)。以下の説明では、通電ポイントパターンのことを単に通電ポイントと称する。通電ポイント選択操作子105は、これら複数の通電ポイントのうちから1つの通電ポイントを選択する操作子である。通電ポイント選択操作子105は、1回押下する度に通電ポイントが変更される。タイマー操作子106は、左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rに印加する出力パルスの印加時間を設定する操作子である。タイマー操作子106は、1回押下する度に1分刻みで印加時間が変更される。これら3つの操作子104~106の上には、主表示部108が配置されている。主表示部108は、ゾーン印加モード表示部1081、通電ポイント表示部1082およびタイマー表示部1083を有する。ゾーン印加モード切替操作子104の上にゾーン印加モード表示部1081は位置し、ゾーン印加モード表示部1081には、ゾーン印加モード切替操作子104によって切り替えられた現在のモードが表示される。通電ポイント選択操作子105の上に通電ポイント表示部1082は位置し、通電ポイント表示部1082には、通電ポイント選択操作子105によって選択された現在の通電ポイントが表示される。タイマー操作子106の上にタイマー表示部1083は位置し、タイマー表示部1083には、タイマー操作子106によって設定された出力パルスの印加時間が表示される。なお、このタイマー操作子106によって、後述する通電パット(112,114)からの出力パルスの印加時間も設定することができる。
【0038】
また、これら3つの操作子104~106の下には、ゾーンパルス強さ表示部1071およびゾーンパルス強さ調整操作子1072が配置されている。ゾーンパルス強さ調整操作子1072は、左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rに印加する出力パルスの強さ(出力)を調整する操作子であって、強ボタンを押下すると出力が上がり、弱ボタンを押下すると出力が下がる。ゾーンパルス強さ表示部1071には、ゾーンパルス強さ調整操作子1072によって調整された現在の出力パルスの強さを表す表示が示される。
【0039】
ゾーンパルス強さ表示部1071およびゾーンパルス強さ調整操作子1072の両側には、出力パルスが印加されるゾーンを表示する出力ゾーン表示部109L,109Rが設けられている。
【0040】
本体部101の上側部分には、2つの外部出力端子(不図示)が設けられている。なお、外部出力端子の位置は上側部分に限らず、その他の位置であってもよく、右下部分等であってもよい。それぞれの外部出力端子には、一対の通電パットが接続される。
図1では、左側に延びる第1通電パット112と、右側に延びる第2通電パット114が示されている。第1通電パット112にしても第2通電パット114にしても、途中から2股に分岐しており、一対のパット構成になっている。すなわち、第1通電パット112は、第1通電パットA112Aと第1通電パットB112Bからなり、第2通電パット114は、第2通電パットA114Aと第2通電パットB114Bからなる。各パット112A、112B、114A、114Bは、電極の上に粘着パットが設けられたものである。以下の説明では、第1通電パット112と第2通電パット114を総称して単に通電パットと称する場合がある。
【0041】
操作パネル部103の下側部分は、第1通電パット112および第2通電パット114の各種設定を行う部分になる。この下側部分には、パット印加モード切替操作子121が設けられている。通電パットを用いたパルス印加では、上記4つのモードのうち、自律神経活性化モード、筋肉刺激モードおよび神経刺激モードの3つのモードが選択可能である。パット印加モード切替操作子121は、これら3つのモードのうちから1つのモードに切り替える操作子である。パット印加モード切替操作子121は、1回押下する度にモードが順番に切り替わっていく。パット印加モード切替操作子121の上にはパット印加モード表示部122が設けられている。パット印加モード表示部122には、パット印加モード切替操作子121によって切り替えられた現在のモードが表示される。
【0042】
パット印加モード切替操作子121およびパット印加モード表示部122の左側には、第1通電パットパルス強さ表示部123および第1通電パットパルス強さ調整操作子124が配置され、反対側の右側には、第2通電パットパルス強さ表示部125および第2通電パットパルス強さ調整操作子126が配置されている。第1通電パットパルス強さ調整操作子124は、第1通電パット112から印加される出力パルスの強さ(出力)を調整する操作子であって、第2通電パットパルス強さ調整操作子126は、第2通電パット114から印加される出力パルスの強さ(出力)を調整する操作子である。いずれの操作子(124,126)でも、強ボタンを押下すると出力が上がり、弱ボタンを押下すると出力が下がる。第1通電パットパルス強さ表示部123には、第1通電パットパルス強さ調整操作子124によって調整された第1通電パット112における現在の出力パルスの強さが表示される。第2通電パットパルス強さ表示部125には、第2通電パットパルス強さ調整操作子126によって調整された第2通電パット114における現在の出力パルスの強さが表示される。
【0043】
操作パネル部103の一番下には、低周波パルス印加装置100の電源スイッチ127が設けられている。
【0044】
なお、本実施形態では、いずれの操作子もボタン式であるが、いずれの操作子もこの方式に限定されるものではなく、例えばダイヤル式やスライダー式あってもよい。
【0045】
図2は低周波パルス印加装置100の機能ブロック図である。
【0046】
図2に示す低周波パルス印加装置100は、CPU内に、自己診断モードパルス発生部301、筋肉刺激モードパルス発生部302、神経刺激モードパルス発生部303、および第2パルス印加部304を備えている。さらに、
図2には、上述したゾーン印加モード切替操作子104、通電ポイント選択操作子105、タイマー操作子106、ゾーンパルス強さ調整操作子1072、主表示部108、ゾーンパルス強さ表示部1071、出力ゾーン表示部109L、109R、左側の第1から第7のゾーン1L~7Lおよび右側の第1から第7のゾーン1R~7Rが示されている。
【0047】
自己診断モードパルス発生部301は自己診断モードに応じたパルスを発生するものである。筋肉刺激モードパルス発生部302は筋肉刺激モードに応じたパルスを発生するものである。神経刺激モードパルス発生部303は神経刺激モードに応じたパルスを発生するものである。
【0048】
ここで、自己診断モードパルス発生部301、筋肉刺激モードパルス発生部302、神経刺激モードパルス発生部303で発生するパルスについて説明する。
【0049】
まず、自己診断モードパルス発生部301について説明する。
【0050】
図3は各パルス発生部で発生するパルスの一部を示す図である。
【0051】
図3(a)は、自己診断モードパルス発生部301から発生するパルスの一部を示す図である。
図3(a)のグラフに示すように、自己診断モードパルス発生部301は自己診断周波数160Hz(所定の第2周波数の一例に相当)のパルスを7周期発生させ、その後パルスの発生を一旦休止する。パルスの発生期間は、パルスの周期、パルス幅、パルス間隔から約40msである。このパルスの発生期間に続くパルスの休止期間は約100msである。従って自己診断モードパルス発生部301は合計140msのサイクルを繰り返すパルスを発生する。
【0052】
上記自己診断モードパルス発生部301が発生するパルスを利用すれば、対象者の弱っている部位を探し出すことができる。
【0053】
ここで、低周波パルス印加装置100は、出力パルスの周波数を選択する周波数選択操作子を備え、その周波数選択操作子の出力はCPUに入力され、自己診断モードパルス発生部301は、上記周波数選択操作子で選択された周波数のパルスを発生するものであってもよい。すなわち、この自己診断モードパルス発生部301において発生するパルスの周波数を選択する周波数選択操作子を備えた態様であってもよい。
【0054】
図3(b)は、筋肉刺激モードパルス発生部302から発生するパルスの一部を示す図である。
図3(b)に示すようにこの筋肉刺激モードパルス発生部302では、30s間のパルス発生期間(第1の所定時間の一例に相当)を繰り返してパルスを発生する。
図3(b)に示す最初の30s間のパルスの周波数は1Hzであり、次の30s間のパルスの周波数は1.5Hzである。この
図3(b)に示すように、30s間のパルスの周波数は休止期間を挟まずに変化するが、例えば、1秒の休止期間を設けてもよい。本実施形態では筋肉刺激モードパルス発生部302は周波数を6段階(例えば、1Hz、1.5Hz、3Hz、5Hz、3Hz、1.5Hz)に変化させる。なお、この6段階の数値の組み合わせに限らず、他の数値の組み合わせであってもよい。このように本実施形態では筋肉刺激モードパルス発生部302は1Hz以上5Hz以下の筋肉刺激周波数範囲(第1の所定の周波数範囲の一例に相当)で変化させた周波数のパルスを発生する。なお、この筋肉刺激周波数範囲の上限値は5Hzであるが、この上限値は上記自己診断モードにおける自己診断周波数(本実施形態では160Hz)よりも低い上限値であればよい。
【0055】
上記筋肉刺激モードパルス発生部302が発生するパルスを利用すれば、対象者の脹脛を刺激して全身の血行をよくすることができる。さらに、血行をよくすることによって、後述する対象者の弱っている部位を探し出す場合にはその部位を容易に探し出すことができ、後述する神経刺激を行う場合にはより効果的に刺激することができる。
【0056】
神経刺激モードパルス発生部303は大きく分けて2種類のパルスを連続して発生させる。
【0057】
まず1種類目のパルスは上記の筋肉刺激モードパルス発生部302で発生するパルスと同様に周波数の異なるパルスである。ただしここで発生するパルスは筋肉刺激モードパルス発生部302で発生するパルスとは、パルスの周波数および各周波数のパルス発生期間が異なる。神経刺激モードパルス発生部303で発生する1種類目のパルスは、上述した筋肉刺激モードパルス発生部302におけるパルスの発生期間よりも短い5s間のパルス発生期間(第2の所定時間の一例に相当)を繰り返す。なおここでも、5s間のパルスの周波数は休止期間を挟まずに繰り返されるが、例えば、1秒の休止期間を設けてもよい。このパルス発生期間におけるパルスの周波数は筋肉刺激モードと同様に変化する。本実施形態では神経刺激モードパルス発生部303は周波数を12段階(例えば、1Hz、3Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、40Hz、30Hz、20Hz、10Hz、3Hz)に変化させるものである。このように本実施形態では、神経刺激モードパルス発生部303は1Hz以上50Hz以下の第1神経刺激周波数範囲(第2の所定の周波数範囲の一例に相当)で変化させた周波数のパルスを発生する。なお、この第1神経刺激周波数範囲は上限値(50Hz)が上述した自己診断周波数(本実施形態では160Hz)よりも低く、かつ、上記筋肉刺激周波数範囲よりも広い周波数範囲のものであればよい。
【0058】
2種類目のパルスは周波数および振幅が変化するパルスである。
図3(c)は、神経刺激モードパルス発生部303から発生するこの2種類目のパルスの一部を示す図である。
【0059】
図3(c)に示すように、2種類目のパルスは上述した筋肉刺激モードパルス発生部302でのパルス発生期間よりも短くかつ上述した1種類目のパルスのパルス発生期間よりも長い10s間のパルス発生期間(第3の所定時間の一例に相当)を繰り返すパルスである。ここで発生するパルスも、パルスの周波数は上記の筋肉刺激モードと同様に周波数が変化する。本実施形態では神経刺激モードパルス発生部303は周波数を6段階(例えば、5Hz、10Hz、20Hz、40Hz、20Hz、10Hz)に変化させる。なお、この6段階の数値の組み合わせに限らず、他の数値の組み合わせであってもよい。このように本実施形態では、神経刺激モードパルス発生部303は、5Hz以上40Hz以下の第2神経刺激周波数範囲(第3の所定の周波数範囲の一例に相当)で変化させた周波数のパルスを発生する。なお、この第2神経刺激周波数範囲は第1神経刺激周波数範囲と同じ範囲もしくは狭い範囲であればよい。また、この
図3(c)に示すように、10s間のパルスの周波数は休止期間を挟まずに変化するが、例えば、1秒の休止期間を設けてもよい。さらにこの2種類目のパルスでは周波数の変化に加えて振幅も変化する。
図3(c)に示すように、パルスの振幅は最初は小さいが徐々に増加して一定の振幅になり、その後振幅は0になる。すなわち、N1秒かけて振幅が徐々に増加し、N2秒間は一定の振幅を維持し、N3秒間は振幅は0になる。ここで、N1=N2、N2/2=N3の関係があることが好ましい。この一連の振幅変調を10s間に4回繰り返す。すなわち、パルスの振幅が断続的に0に変調する。なお、ここで説明した周波数および振幅変調の態様は一例であり、ここで説明した以外の周波数および振幅変調の態様であってもよい。
【0060】
神経刺激モードパルス発生部303は1種類目のパルスに続いて2種類目のパルスを発生させるものである。この神経刺激モードパルス発生部303で発生するパルスを、後述する弱っている部位を刺激する場合に利用することができる。
【0061】
第2パルス印加部304には、ゾーン印加モード切替操作子104によって切り替えられたモードのモードパルス発生部から発生したパルスが繰り返し入力される。第2パルス印加部304は、入力されたモードのパルスに応じた出力パルスを、通電ポイント選択操作子105で選択された通電ポイントを構成するゾーンに印加する。ここで、通電ポイントとその構成ゾーンについて説明する。
【0062】
図4は通電ポイントパターンとその対応する部位および症状を示す図である。
【0063】
図4(a)に示す表では1つの通電ポイントが横一行に示されており、全部で10種類の通電ポイントが示されている。通電ポイントはゾーンの組み合わせを定めたものであり、
図4(a)に示す各通電ポイントには、刺激対象となる部位(適応)、対応する症状(適応症状)、および出力パルスが印加されるゾーンの組み合わせ(通電箇所)が示されている。通電箇所で示されるゾーンは図中の適応に示される部位を刺激することができるつぼに対応している。
図4(a)に示す通電箇所は
図4(b)に示す各ゾーンに付した符号によって表したものである。CPUには、通電ポイントと通電箇所との対応関係が記憶されており、通電ポイント選択操作子105で通電ポイントが選択されると選択された通電ポイントに対応したゾーンにCPUからの指示に従って第2パルス印加部304が出力パルスを印加する。例えば、通電ポイント1は左右にある第1のゾーン1L,1R、第3のゾーン3L,3R、第4のゾーン4L,4R、および第7のゾーン7L,7Rの合計8つのゾーンで構成されている。従って第2パルス印加部304は、通電ポイント選択操作子105で通電ポイント1が選択されると上記8つのゾーンに出力パルスを印加する。また、通電ポイント10は全てのゾーンで構成されており、このため、この通電ポイント10が選択された場合は第2パルス印加部304は全てのゾーンに出力パルスを印加する。このように通電ポイント選択操作子105で通電ポイントを選択すると、第2パルス印加部304は選択された通電ポイントを構成するゾーンにパルスを印加する。
【0064】
【0065】
図2に示すタイマー操作子106は、押下する度にCPU内部にある出力パルス印加時間を1分単位で減少させる。なお、CPUに設定されている出力パルス印加時間の初期値は、筋肉刺激モード又は神経刺激モードに切り替えられている場合は30分であり、自律神経活性化モードに切り替えられている場合は60分である。CPUからの指示に従って第2パルス印加部304は、この設定された時間の間、出力パルスを印加する。
【0066】
ゾーンパルス強さ調整操作子1072は、各モードから第2パルス印加部304に入力される発生パルスの振幅を調整するものである。ゾーンパルス強さ調整操作子1072の出力はCPUへ入力され、CPUを介して第2パルス印加部304は、ゾーン印加モード切替操作子104で切り替えられたモードで発生するパルスの振幅を、このゾーンパルス強さ調整操作子1072で調整された強さに従って変調した出力パルスを印加する。
【0067】
主表示部108は、上述のごとく、ゾーン印加モード表示部1081、通電ポイント表示部1082およびタイマー表示部1083を有するものであり、ゾーン印加モード切替操作子104、通電ポイント選択操作子105、およびタイマー操作子106によって設定された情報を表示する。
【0068】
出力ゾーン表示部109L,009Rは、通電ポイント選択操作子105からの入力を受けて出力パルスを印加しているゾーンを示す情報を表示する。
【0069】
この低周波パルス印加装置100によれば、予め定められた複数の通電ポイントの中から一つのパターンを選択するだけでゾーンの組み合わせを決定できるため、一つ一つパルスを印加するゾーンを選ばなくてもよい。さらに、予めその使用目的にあわせたモードを選択するだけで適切なパルスが出力されるため、使用目的にあわせてパルスの周波数を設定しなくてもよい。
【0070】
さらに、
図2に示す低周波パルス印加装置100は、自律神経活性化モードパルス発生部300、第1パルス印加部A305Aおよび第1パルス印加部B305Bも備えている。なお、第1パルス印加部A305Aおよび第1パルス印加部B305Bは、別体であっても一体であってもよい。また、
図2では、第1通電パットパルス強さ表示部123と第2通電パットパルス強さ表示部125を合わせて示すとともに、第1通電パットパルス強さ調整操作子124と第2通電パットパルス強さ調整操作子126も合わせて示している。自律神経活性化モードパルス発生部300は、CPUに設けられており、第1通電パットパルス強さ調整操作子124からの出力と第2通電パットパルス強さ調整操作子126からの出力はそれぞれCPUに入力される。また、CPUからの指示に従って、第1通電パットパルス強さ表示部123に表示がなされ、第2通電パットパルス強さ表示部125にも表示がなされる。
【0071】
また、
図2には、上述したパット印加モード切替操作子121、パット印加モード表示部122、第1通電パットA112A、第1通電パットB112B、第2通電パットA114Aおよび第2通電パットB114Bが示されている。第1通電パットA112Aおよび第1通電パットB112Bは、第1パルス印加部A305Aに接続されており、CPUからの指示に従って第1パルス印加部A305Aから出力パルスが印加される。第2通電パットA114Aおよび第2通電パットB114Bは、第1パルス印加部B305Bに接続されており、CPUからの指示に従って第1パルス印加部B305Bから出力パルスが印加される。
【0072】
自律神経活性化モードパルス発生部300は自律神経活性化モードに応じたパルスを発生するものである。
【0073】
図5は自律神経活性化モードパルス発生部で発生するパルスの一部を示す図である。
【0074】
図5のグラフに示すように、自律神経活性化モードパルス発生部300は自律神経活性化周波数200Hz(所定の第1周波数の一例に相当)のパルスを7周期発生させ、その後パルスの発生を一旦休止する。パルスの発生期間は、パルスの周期、パルス幅、パルス間隔から約30msである。このパルスの発生期間に続くパルスの休止期間は約110msである。従って自律神経活性化モードパルス発生部300は合計140msのサイクルを繰り返すパルスを発生する。
【0075】
なお、ここでは自律神経活性化周波数を200Hzとしたが、自己診断周波数より高い周波数であればよい。
【0076】
上記自律神経活性化モードパルス発生部300が発生するパルスを利用すれば、対象者の交感神経と副交感神経をともに活性化させつつ両神経のバランスを整えることができる。
【0077】
ここで、低周波パルス印加装置100は、出力パルスの周波数を選択する周波数選択操作子を備え、その周波数選択操作子の出力はCPUに入力され、自律神経活性化モードパルス発生部300は、上記周波数選択操作子で選択された周波数のパルスを発生するものであってもよい。すなわち、この自律神経活性化モードパルス発生部300において発生するパルスの周波数を選択する周波数選択操作子を備えた態様であってもよい。
【0078】
【0079】
図2に示すパット印加モード切替操作子121で自律神経活性化モードに切り替えられている場合には、第1パルス印加部A305Aおよび第1パルス印加部B305Bそれぞれには、自律神経活性化モードパルス発生部300から発生した、自律神経活性化周波数200Hzのパルスが繰り返し入力される。そして、自律神経活性化周波数200Hzのパルスに応じた出力パルスを、第1パルス印加部A305Aは第1通電パット112(第1通電パットA112A、第1通電パットB112B)に印加し、第1パルス印加部B305Bは、第2通電パット114(第2通電パットA114A、第2通電パットB114B)に第1パルス印加部A305Aの印加と同時に印加する。この際、第1通電パット112と第2通電パット114とでは、それぞれのパルス強さ調整操作子124,126によって別々に調整された強さの出力パルスが印加される。
【0080】
なお、パット印加モード切替操作子121で筋肉刺激モードに切り替えられている場合には、第1パルス印加部A305Aおよび第1パルス印加部B305Bそれぞれには、筋肉刺激モードパルス発生部302から発生したパルスが繰り返し入力される。また、パット印加モード切替操作子121で神経刺激モードに切り替えられている場合には、第1パルス印加部A305Aおよび第1パルス印加部B305Bそれぞれには、神経刺激モードパルス発生部303から発生したパルスが繰り返し入力される。第1通電パット112と第2通電パット114の両方が不図示の外部出力端子に接続されていれば、第1通電パット112と第2通電パット114の両方から各モードに応じた出力パルスが印加される。一方、第1通電パット112と第2通電パット114のうちいずれか一方しか不図示の外部出力端子に接続されていなければ、接続されている通電パットから各モードに応じた出力パルスが印加される。
【0081】
次に、
図1に示す低周波パルス印加装置100の第1使用方法について説明する。
【0082】
図6は、本発明の一実施形態に係る低周波パルス印加装置100の第1使用方法を示すフローチャートである。
【0083】
図6には本実施形態の低周波パルス印加装置の第1使用方法の大まかな流れが示されている。ここで説明する第1使用方法は、低周波パルス印加装置を初めて使用する場合に望ましい一連の処理である。最初のステップS100は脹脛を刺激するステップである。次のステップS200およびステップS300は弱っている部位を探すステップである。そして最後のステップS400はステップS200およびステップS300の結果から、弱っている部位を刺激するステップである。この各ステップは対象者自らが行ってもよいし、補助者が行うものでもよい。以下、適宜図面を参照し、対象者自らが各ステップを行うものとして詳細を説明する。
【0084】
最初に脹脛を刺激するステップS100について説明する。
【0085】
図7はステップS100における低周波パルス印加装置の使用状態を示す図である。
【0086】
図7には対象者が仰向けになって低周波パルス印加装置100に脹脛Cを載せた状態が示されている。この
図7では両足Lの脹脛Cがそれぞれ左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rに載せられ、その足先Sは図の上方向に示されている。この脹脛刺激ステップでは
図7に示すように脹脛Cを直接ゾーンに接触させることが好ましい。
【0087】
図8はステップS100の流れの詳細を示すフローチャートである。
【0088】
まず、ステップS102で、ゾーン印加モード切替操作子104を操作して筋肉刺激モードに切り替えるとともに通電ポイント選択操作子105を操作して通電ポイント10を選択する。続くステップS103で、対象者が仰臥して、自身の脹脛を低周波パルス印加装置100の左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rに接触させる。なお、健康状態によって横臥した状態にすることが困難であり例えば上半身を起こす方が楽な場合には、そのような楽な姿勢で自身の脹脛に左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rを接触させればよい。また、全てのゾーンに脹脛を接触させることが好ましいが、対象者の健康状態によってそれが困難である場合には一部のゾーンであってもよい。さらに、左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rに脹脛をのせることが困難な場合は、第1通電パット112又は第2通電パット114、あるいは第1通電パット112及び第2通電パット114を脹脛に宛てがい、パット印加モード切替操作子121を操作して筋肉刺激モードに切り替えてもよい。なお、ステップS102とステップS103の順番は必ずしもこの順番で行う必要はなく、逆の順番であってもよい。
【0089】
低周波パルス印加装置101では意図せずに出力パルスが印加されてしまうことを防止するため、電源が投入された場合や、モード切替が行われた場合には、出力の値は一旦0に戻される。ステップS104ではゾーンパルス強さ調整操作子1072を操作して出力を上げる。なお、通電パットを脹脛に宛てがっている場合には、第1通電パットパルス強さ調整操作子124や第2通電パットパルス強さ調整操作子126を操作して出力を上げる。この時出力されるパルスによって脹脛が刺激されるが、この刺激の感じ方には個人差がある。例えば同じ出力であっても人によっては刺激が強すぎて痛みを伴うことがある。このことから客観的に適切な出力を決定することが困難である。そこでステップS105では、対象者本人が痛みを伴わずにさらに出力を上げることが可能か否かを判断し、可能であればステップS104およびステップS105を繰り返して出力を徐々に上げていく。ステップS105で心地良いと感じた場合はそこでゾーンパルス強さ調整操作子1072の操作を止め、ステップS106で30分間筋肉刺激を受ける。ステップS104からステップS105によって調整した出力パルスが脹脛に30分間印加され、その後低周波パルス印加装置の出力は自動的に0になる。
【0090】
このステップS100すなわちステップS102からS106までが脹脛刺激ステップの一例に相当する。この脹脛刺激ステップによって脹脛の筋肉に軽い収縮を繰り返させ、その筋肉運動によって血行が促進される。なお、本実施形態では30分間の刺激を行っているが、この脹脛刺激ステップでは特に時間を制限するものではない。
【0091】
また、上記脹脛刺激ステップに代えて、左右の前腕部をそれぞれ左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rに載せて刺激する前腕部刺激ステップを行ってもよい。この前腕部刺激ステップでも、第1通電パット112又は第2通電パット114、あるいは第1通電パット112及び第2通電パット114を左右の前腕部それぞれに宛てがってもよい。前腕部刺激ステップによって前腕の筋肉を刺激して血行を促進し、特に腕から肩にかけての血行を促進させることができる。なお、この前腕部刺激ステップは脹脛刺激ステップの前後または脹脛刺激ステップと同時に行うものであってもよい。この使用方法によれば、全身の血行をより効果的に促進することができる。
【0092】
次に、ステップS200によって基準出力パルスを決定する手順を説明する。
【0093】
図9はステップS200の流れの詳細を示すフローチャートである。
【0094】
まず、ステップS202では、ゾーン印加モード切替操作子104を操作して自己診断モードに切り替えるとともに通電ポイント選択操作子105を操作して通電ポイント10を選択する。したがって、出力パルスが左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rの全てに印加される。そしてステップS203で対象者の足の裏を左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rに接触させる。
【0095】
なお、ステップS202とステップS203の順番は必ずしもこの順番で行う必要はなく、逆の順番であってもよい。
【0096】
そしてステップS204でゾーンパルス強さ調整操作子1072を操作して出力パルスの出力を上げる。上述のごとく、低周波パルス印加装置101では、モード切替が行われた場合には、出力の値は一旦0に戻されている。ステップS204によって足の裏全体に出力パルスが印加されると、対象者は出力パルスの出力の程度に応じた刺激を下肢に感じるようになる。より詳細にはこの刺激は出力を上げるに従って足の裏から徐々に上に上がってくるものである。特に健康な対象者の体は生体電流が正常に流れやすい状態すなわち電気抵抗が低い状態となっており、そのため印加された出力パルスが流れやすくその刺激を感じやすい。したがって、対象者が健康であれば、出力を上げるにしたがって足の裏から踝、脛、そして膝というように高い位置まで刺激を感じるようになる。しかし、健康な対象者が膝まで刺激を感じる出力パルスを健康でない対象者に印加しても、踝くらいの低い位置までしか刺激を感じない場合がある。その理由は、その健康でない対象者は生体電流が正常に流れにくい状態すなわち電気抵抗が高い状態となっているため、あまり刺激を感じないからである。このように、出力パルスの印加による刺激の感じ方には個人差があるため客観的に適切な出力を決定することが困難である。そこで後述する基準出力パルスおよび基準位置を対象者の主観によって決定する。
【0097】
ステップS205では対象者本人が刺激による痛みがなくまだ出力を上げることができるか否かを判断し、出力を上げることができる場合にはステップS204に戻り出力を上げる。このステップS204およびステップS205を繰り返し、対象者が無理せず耐えられるか否かを判断しながら出力を上げていく。そして、ステップS205でこれ以上出力を上げられないと感じた場合はゾーンパルス強さ調整操作子1072の操作を止めてステップS206に進み、このときの出力の強さとして、ゾーンパルス強さ表示部1071の表示を覚えておく。なお、メモリ操作子を設けておき、出力の強さを装置に記録できるようにしてもよい。このときの出力の強さは対象者が痛みを感じずかつ最も強い刺激を感じる強さである。この強さの出力パルスを基準出力パルスとする。
【0098】
また、この基準出力パルスにより下肢を上がってくる刺激が到達した位置(例えば膝)を基準位置とし、続くステップS207でこの基準位置を覚えておく。
【0099】
このステップS200すなわちステップS202からS207までが基準決定ステップの一例に相当する。
【0100】
続いて、ステップS300によって、基準出力パルスを使用して対象者の弱っている部位を探す方法について説明する。
【0101】
図10はステップS300の流れの詳細を示すフローチャートである。
【0102】
まず最初のステップS301ではゾーン印加モード切替操作子104を操作して自己診断モードに切り替える。上述のごとく、低周波パルス印加装置101では、モード切替が行われた場合には、出力の値は一旦0に戻される。ステップS303では足の裏を左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rに接触させる。なお、このステップS301とS302の順番は必ずしもこの順番である必要はなく、逆であってもよい。
【0103】
次のステップS304では通電ポイント選択操作子105を操作して通電ポイントのうちから一つの通電ポイントを選択する。続くステップS305では、ゾーンパルス強さ表示部1071を見ながらゾーンパルス強さ調整操作子1072を操作し、上記のステップS206で覚えておいた強さにまで出力を調整し、基準出力パルスを印加する。
【0104】
ステップS306では、この時の出力パルスによって下肢を上がってくる刺激が到達した位置が、上記のステップS207で覚えておいた上記基準位置と比較して低いか否か判断する。刺激が到達した位置が上記基準位置よりも低い場合、すなわち刺激をより感じない場合は、ステップS307に進みこの時の通電ポイントを覚える。また、次のステップS308において、この時の刺激が到達した位置を新たな基準位置として覚え、ステップS309に進む。一方、刺激が到達した位置が基準位置より低くない場合はそのままステップS309に進む。
【0105】
ステップS309では他に診断したい通電ポイントがあるか否か判断する。他に診断したい通電ポイントがある場合は、ステップS310でゾーンパルス強さ調整操作子1072を出力が0になるように操作して、ステップS304に戻る。このステップS304からステップS310の処理を、診断したい通電ポイントがある限り繰り返すことで、印加した時の刺激が上記基準出力パルスを決定した時に感じた刺激よりも弱くなる通電ポイントのうち最も刺激を感じない時の通電ポイントを探すことができる。この一連のステップで最終的に覚えている通電ポイントに対応する部位が対象者の体で最も生体電流が流れにくい部位であり、最も弱っている部位と推定することができる。例えば通電ポイント1を覚えている場合には、
図4に示すように通電ポイント1によって定められたゾーンに消化器系のつぼが対応していることから、対象者の消化器系が最も弱っていると推定することができる。上記のステップS300すなわちステップS301からS310までが自己診断ステップの一例に相当する。
【0106】
なお、本実施形態は最も刺激を感じないときの通電ポイントを一つだけ覚えるものであるがこれに限らず、印加したときの刺激が基準出力パルスを決定した時に感じた刺激よりも弱くなる通電ポイントを複数探し出すものであってもよい。また、本実施形態では対象者が診断したい通電ポイントを選択しているがこれに限らず、例えば
図4(a)に示す通電ポイント1~9を順番に選択するものであってもよい。
【0107】
次いで、神経刺激を行うステップS400の詳細について説明する。
【0108】
図11はステップS400の流れの詳細を示すフローチャートである。
【0109】
初めに、ステップS401ではゾーン印加モード切替操作子104を操作して神経刺激モードに切り替える。上述のごとく、低周波パルス印加装置101では、モード切替が行われた場合には、出力の値は一旦0に戻される。また、神経刺激モードへの切り替えが行われた場合には、パルス出力時間が前回設定時間に設定される。続くステップS403では通電ポイント選択操作子105を操作して、上記のステップS300で探し出した通電ポイントを選択する。そしてステップS404で対象者の左右の足の裏をそれぞれ左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rに接触させる。なお、ここまでのステップS401からS404の順番は必ずしもこの順番で行う必要はなく、例えば逆の順番であってもよい。
【0110】
そして、次のステップS405でゾーンパルス強さ調整操作子1072を操作して下肢に心地よい刺激を感じる程度に出力を調整した後、ステップS406で出力パルスの印加を30分間受ける。その後低周波パルス印加装置100の出力は自動的に0になる。このようにして対象者の体で生体電流が流れにくい部位、すなわち最も弱っている部位を刺激することができる。上記のステップS400すなわちステップS401からステップS406までが神経刺激ステップの一例に相当する。
【0111】
なお、通電ポイントを複数探し出した場合には、それぞれの通電ポイントを用いてステップS401からステップS406の作業を行えばよい。なお、本実施形態ではステップS406で30分間のパルス印加を受けているが、この時間に限定されず、タイマー操作子106を操作して対象者の好みで時間を調整してもよい。
【0112】
図12は指先の腹を左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rに載せて刺激をする状態を示す図である。
【0113】
図12には、低周波パルス印加装置100や、対象者の左右の指Fが示されている。本実施形態の低周波パルス印加装置100は足の裏を刺激しやすくしたものであるが、ここでは、この低周波パルス印加装置100の出力パルスを指先の腹に印加して、指先の腹および手のひらにあるつぼを刺激するために用いている。ここで、低周波パルス印加装置100は神経刺激モードに設定されており、通電ポイントは10に設定されている。この使用方法によって上半身、特に横隔膜より上の部位を効果的に刺激することができる。さらに、例えばこの方法を神経刺激を行うステップS400の前後に行ったり、低周波パルス印加装置100を2台用意してステップS400と同時に行ったりというように、この使用方法を上記のステップS400と組み合わせることで、より効果的に刺激をすることができる。なお、本実施形態のように指先の腹だけを左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rに載せるだけでなく、左右の手のひらPの全体をそれぞれ左ゾーン10Lおよび右ゾーン10Rに載せて刺激してもよい。
【0114】
また、第1通電パット112又は第2通電パット114、あるいは第1通電パット112及び第2通電パット114の両方を、弱っている部位周辺の皮膚に直接貼り付け、パット印加モード切替操作子121によって神経刺激モードに切り替えて、神経刺激モードの2種類のパルスに応じた出力パルスを弱っている部位に直に印加するようにしてもよい。この際、本実施形態の低周波パルス印加装置100では、第1パルス印加部A305Aおよび第1パルス印加部B305Bといった第1パルス印加部とは別に第2パルス印加部304を有するため、足の裏から通電し神経刺激を行うステップS400と併用することも可能である。
【0115】
さらに、通電パットを、弱っている部位の他、筋肉が凝っている(張っている)部位(例えば、首回りや肩や腰)に直接貼り付け、パット印加モード切替操作子121によって筋肉刺激モードに切り替えて、筋肉刺激モードのパルスに応じた出力パルスを、その部位に直に印加するようにしてもよい。
【0116】
また、通電パットを、筋肉を鍛えたい部位に貼り付け、パット印加モード切替操作子121によって筋肉刺激モードに切り替えて、筋肉刺激モードのパルスに応じた出力パルスを、その部位に直に印加するようにしてもよい。例えば、顎の下のリンパ節の辺り通電パットを貼り付け、出力パルスを印加することで、喉や舌周辺の筋肉を鍛えることができる。
【0117】
続いて、通電パットを使用した、低周波パルス印加装置100の第2使用方法について説明する。この第2使用方法によって脊髄通電が行われる。
【0118】
図13は、本発明の一実施形態に係る低周波パルス印加装置100の第2使用方法を示すフローチャートである。
【0119】
初めに、ステップS501ではパット印加モード切替操作子121を操作して自律神経活性化モードに切り替える。上述のごとく、低周波パルス印加装置101では、モード切替が行われた場合には、出力の値は一旦0に戻される。また、自律神経活性化モードへの切り替えが行われた場合には、パルス出力時間が前回設定時間に設定される。自律神経活性化モードでは、
図5を用いて説明した、自律神経活性化周波数のパルスの発生期間と休止期間を組み合わせた間欠サイクルの繰り返すパルスに応じた出力パルスが通電パットから印加される。続くステップS502では、通電パットを背骨の上に貼り付ける。
【0120】
図14は、通電パットを使用して脊髄通電を行っている状態を示す図である。
【0121】
図14には、対象者Hおよび対象者Hの背中を走る背骨Sが示されている。背骨Sは、頭側から、頸椎(首の部分)、胸椎、腰椎、仙骨(お尻の部分)、尾骨が並んだものである。背骨Sには、脊柱管という管があり、首から仙骨上部まで通っている。この脊柱管の中に、脊髄が通っている。脊髄も、背骨Sと同じように部位により、頸髄、胸髄、腰髄、仙髄、尾髄といった名前が付けられている。
【0122】
上述のごとく、通電パットは、電極の上に粘着パットが設けられたものである。
図14では、第1通電パットA112Aを頸椎上の位置に貼り付け、第1通電パットB112Bを仙骨上の位置に貼り付ける。貼り付け位置は、厳密に決まっているわけではなく、第1通電パットA112Aであれば、頸椎にかかっていれば多少上下にずれてもよく、第1通電パットB112Bであれば仙骨にかかっていれば多少上下にずれてもよい。頸椎の周辺と、仙骨の周辺には、交感神経と副交感神経のうち、主として副交感神経を刺激し、副次的に交感神経にも影響を与えることができるスポットが存在する。
【0123】
また、第2通電パットA114Aを背骨S上の鳩尾の背側となる位置に貼り付け、第2通電パットB114Bを背骨S上の臍の背側となる位置に貼り付ける。ここでも貼り付け位置は、厳密に決まっているわけではなく、多少上下にずれてもよい。背骨S上の鳩尾の背側となる位置の周辺と、背骨S上の臍の背側となる位置の周辺には、交感神経と副交感神経のうち、主として交感神経を刺激し、副次的に副交感神経にも影響を与えることができるスポットが存在する。
【0124】
なお、第1通電パット112を貼り付ける位置と、第2通電パット114を貼り付ける位置は逆であってもよい。また、第1通電パットA112Aを貼り付ける位置と、第1通電パットB112Bを貼り付ける位置も逆であってもよく、第2通電パットA114Aを貼り付ける位置と、第2通電パットB114Bを貼り付ける位置も逆であってもよい。
【0125】
また、ステップS501とステップS502の順番は必ずしもこの順番で行う必要はなく、逆の順番であってもよい。
【0126】
図13に示すステップS502に続くステップS503では、第1通電パットパルス強さ調整操作子124および第2通電パットパルス強さ調整操作子126を操作して、通電パットからの出力パルスが心地よい刺激を感じる程度に出力を調整し、その後、ステップS504で出力パルスの印加を60分間受ける。その後低周波パルス印加装置100の出力は自動的に0になる。
【0127】
第1通電パット112を主として副交感神経を刺激することができるスポットに貼り付け、自律神経活性化周波数のパルスに応じた出力パルスを印加すると、このスポットには生体電流に似た電流が流れて主として副交感神経が活性化される。また、第2通電パット114を主として交感神経を刺激することができるスポットに貼り付け、自律神経活性化周波数のパルスに応じた出力パルスをが印加すると、このスポットにも生体電流に似た電流が流れて主として交感神経も活性化される。
【0128】
図15は、通電パットを用いた脊髄通電に関する比較実験の結果を示す図である。
【0129】
この比較実験では、自律神経バランス分析・加速度脈波測定器として株式会社YKC社が販売するパルスアナライザープラスTAS9を用いて、54歳の女性を被験者として測定した。パルスアナライザープラスTAS9では、ストレス抵抗力と自律神経活動度を測定することができる。「エネルギー」、「交感神経」、「副交感神経」、「自律神経活動」それぞれのグラフでは、測定値が良好範囲に入っていれば良好な状態である。各グラフの上に記す数値は測定値である。「エネルギー」は、測定値が高いほど外部のストレスに対する抵抗力が強いことを意味する。「交感神経」と「副交感神経」は、それぞれの良好範囲内で両者の測定値のバランスがとれていることが好ましい。「交感神経」の良好範囲と「副交感神経」の良好範囲は相違しているため、両者の測定値が同じであってもバランスがとれていることにはならず、良好範囲内での位置が同じこと(例えば、両者の測定値が異なっているもののそれぞれの良好範囲内の中央に位置すること)がバランスがとれている一つの目安になる。「自律神経活動」は、良好範囲内で測定値が高いほど自律神経が活発に働いていること(自律神経が活性化されていること)を意味する。
【0130】
図15(a)は、脊髄通電を行う前の測定結果である。
【0131】
エネルギーの測定値は、6.40と低い。また、交感神経も副交感神経も良好範囲に入っておらず、自律神経活動も良好範囲の下限近くに留まっている。
【0132】
図15(b)は、第1通電パット112を貼り付け、神経刺激モードの2種類のパルスに応じた出力パルスを60分印加した後の測定結果である。すなわち、第1通電パットA112Aを頸椎上の位置に貼り付け、第1通電パットB112Bを仙骨上の位置に貼り付け、主として副交感神経を刺激することができるスポットに電流を流すが、第2通電パット114は用いないため、主として交感神経を刺激することができるスポットには電流は流さない。
【0133】
全体的に改善が見られるが、特に副交感神経の測定値が3.35から4.38と大きく上昇しているのがわかる。
【0134】
図15(c)は、第1通電パット112を貼り付け、自律神経活性化モードのパルスに応じた出力パルスを60分印加した後の測定結果である。すなわち、第1通電パットA112Aを頸椎上の位置に貼り付け、第1通電パットB112Bを仙骨上の位置に貼り付け、主として副交感神経を刺激することができるスポットに生体電流に似た電流を流す。第2通電パット114は用いないため、主として交感神経を刺激することができるスポットには電流は流さない。
【0135】
自律神経活性化モードのパルスに応じた出力パルスを印加した場合の方が、神経刺激モードの2種類のパルスに応じた出力パルスを印加した場合よりも、全体的に改善が認められる。また、被験者の体感として、神経刺激モードの2種類のパルスに応じた出力パルスを印加した場合よりも、気持ちよさを感じることができた。
【0136】
図15(d)は、
図14に示すように、第1通電パット112と第2通電パット114の両方を貼り付け、自律神経活性化モードのパルスに応じた出力パルスを60分印加した後の測定結果である。すなわち、主として副交感神経を刺激することができるスポットに生体電流に似た電流を流すとともに、主として交感神経を刺激することができるスポットにも生体電流に似た電流を流す。
【0137】
エネルギーの測定値は、これまでの中でも最も高い値である。交感神経と副交感神経の測定値はともに良好範囲に入り、しかも、両者とも良好範囲の中央付近の値であることから、交感神経と副交感神経のバランスがとれていることがわかる。自律神経活動の値も、良好範囲内に入り、これまでの中でも最も高い値であり、自律神経がしっかりと活性化されていることがわかる。
図15(d)の結果により、第1通電パット112を主として副交感神経を刺激することができるスポットに貼り付け、自律神経活性化周波数のパルスに応じた出力パルスを印加するとともに、第2通電パット114を主として交感神経を刺激することができるスポットに貼り付け、自律神経活性化周波数のパルスに応じた出力パルスを印加することによって、交感神経と副交感神経をともに活性化させつつ両神経のバランスを整えられることを確認することができた。
【0138】
また、
図15(b)の結果と同図(c)の結果を比べると、自律神経活性化周波数のパルスに応じた出力パルスを印加するこの優位性が分かる。すなわち、自律神経活性化周波数のパルスに応じた出力パルスを印加することで、生体電流に似た電流が流れ、交感神経と副交感神経をともにある程度活性化させつつ両神経のバランスもある程度整えられることがわかる。
【0139】
なお、図示はしないが、第1通電パット112を主として副交感神経を刺激することができるスポットに貼り付け、神経刺激モードの2種類のパルスに応じた出力パルスを60分印加するとともに、第2通電パット114を主として交感神経を刺激することができるスポットに貼り付け、神経刺激モードの2種類のパルスに応じた出力パルスを60分印加した場合には、
図15(b)の結果よりも良好な結果(各測定値は、エネルギー:6.62、交感神経:4.41、副交感神経:4.64、自律神経活動量:40)を得た。この結果と、
図15(b)の結果を比較すると、第2通電パット114を追加することで、交感神経と副交感神経をともにある程度活性化させつつ両神経のバランスもある程度整えられることがわかる。ただし、
図15(c)の結果を比較すると、第2通電パット114を追加するよりも自律神経活性化周波数のパルスに応じた出力パルスを印加する方が有効な場合があることもわかる。
【0140】
続いて、
図13に示す第2使用方法(脊髄通電による自律神経活性化)との併用例について説明する。
【0141】
図16は、脊髄通電による自律神経活性化と足裏通電による神経刺激との併用例を説明するための図である。
図16(a)は、実施タイミングを表したタイムチャートであり、横軸が時間を表す。
【0142】
本実施形態の低周波パルス印加装置100では、第1パルス印加部(第1パルス印加部A305A及び第1パルス印加部B305B)と第2パルス印加部304とを別々に備えるため、
図13に示す脊髄通電によるステップS504と、
図11に示す足裏通電による弱った箇所の神経刺激を行うステップS406を同一期間(ここでは脊髄通電を行う60分の期間)に行うこともできる。足裏通電による神経刺激を行うステップS406は30分間の実施に留まるため、例えば、
図17(a)に示すように、ステップS406を2回連続して実施し、脊髄通電の60分に合わせてもよいし、脊髄通電が60分間行われている間の任意のタイミングで30分間のみ足裏通電による神経刺激を実施してもよい。なお、ステップS406を2回連続して実施する場合であっても、足受け台102L,102Rから足裏を外せば、足裏通電を中断することができる。また、任意のタイミングで行う足裏通電の神経刺激は、脊髄通電の60分間のうちの、
図16(a)に示すような真ん中の期間で実施してもよいが、前半寄りの期間で実施してもよいし、後半寄りの期間で実施してもよい。
【0143】
図16(b)は、脊髄通電と足裏通電による神経刺激とを行う前の測定結果である。
【0144】
ここでの測定でも、自律神経バランス分析・加速度脈波測定器として株式会社YKC社が販売するパルスアナライザープラスTAS9を用い、46歳の男性を被験者として測定した。
【0145】
図15(a)に測定結果を示した54歳の女性よりも、この男性の方が、全体的に自律神経の状態は悪い。特に、「交感神経」の測定値に比べて「副交感神経」の測定値が低く、「自律神経活度」の測定値から自律神経が十分に活性化していないことがわかる。
【0146】
図16(c)は、
図14に示すように、第1通電パット112と第2通電パット114の両方を貼り付け、自律神経活性化モードのパルスに応じた出力パルスを60分印加した脊髄通電後の測定結果である。
【0147】
全体的に改善が見られるが、特に交感神経の測定値が3.40から5.07と大きく上昇しているのがわかる。ただし、この被験者の測定結果は、
図15(d)に示す測定結果には劣り、「副交感神経」の測定値は良好範囲には届いておらず、「交感神経」の測定値にしても、「自律神経活動」の測定値にしても、良好範囲に届いてはいるものの下限付近に留まっている。
【0148】
図16(d)は、同図(c)と同じく脊髄通電を行うとともに同一期間内に足裏通電による神経刺激も行った場合の測定結果である。ここでの神経刺激は、足裏から一番弱いポイントを調べ、通電ポイント4を使用した。
【0149】
この被験者は、脊髄通電と足裏通電を併用することで、ようやく、交感神経と副交感神経をともに良好な程度にまで活性化させつつ両神経のバランスも良好な程度に整えることができている。すなわち、エネルギーの測定値はこれまでの中でも最も高い値である。また、交感神経と副交感神経の測定値はともに良好範囲に入り、しかも、両者とも良好範囲の中央付近よりも少し下の値であることから、交感神経と副交感神経のバランスがとれていることがわかる。自律神経活動の値も、良好範囲内に入っており、自律神経が活性化されていることがわかる。
【0150】
全身に張りめぐる神経の出発点(中枢)を脊髄通電によって刺激することができ、身体全体の電気の流れを活性化することができる。さらに、上記出発点から見れば、足裏は最も離れた末端部位に相当するが、この末端部位である足裏から電気の流れが弱いポイントを集中して刺激することができる。この結果、出発点(中枢)と末端から同時に電気の流れを活性化することができるといった相乗効果を得ることができる。
【0151】
図17は、脊髄通電による自律神経活性化と脹脛通電による筋肉刺激との併用例を説明するための図である。
図17(a)は、実施タイミングを表したタイムチャートであり、横軸が時間を表す。
【0152】
図13に示す脊髄通電によるステップS504と、
図8に示す脹脛に通電し筋肉刺激を行うステップS106を同一期間に行うこともできる。脹脛通電による筋肉刺激を行うステップS106は30分間の実施に留まるため、例えば、
図17(a)に示すように、ステップS106を2回連続して実施し、脊髄通電の60分に合わせてもよいし、脊髄通電が60分間行われている間の任意のタイミングで30分間のみ脹脛通電による筋肉刺激を実施してもよい。なお、ステップS106を2回連続して実施する場合であっても、足受け台102L,102Rから脹脛を外せば、脹脛通電を中断することができる。また、任意のタイミングで行う脹脛通電の筋肉刺激は、脊髄通電の60分間のうちの、
図17(a)に示すような真ん中の期間で実施してもよいが、前半寄りの期間で実施してもよいし、後半寄りの期間で実施してもよい。
【0153】
図17(b)は、脊髄通電と脹脛通電による筋肉刺激とを行う前の被験者を熱画像カメラで撮影した画像である。
【0154】
ここでの測定では、熱画像カメラとして株式会社チノー製の携帯用小形熱画像カメラCPA-E6Aを用い、57歳の女性を被験者として測定した。
【0155】
通電前の撮影画像からは、頭部、腹部、腰部、手や足先の体温が低く、これらの箇所の血行が悪いことがわかる。
【0156】
図17(c)は、
図8に示す脹脛に通電し筋肉刺激を行うステップS106を2回連続して繰り返した後の被験者を熱画像カメラで撮影した画像である。
【0157】
すなわち、60分間の脹脛通電による筋肉刺激を行った結果であり、脹脛だけではなく、上半身の体温は上昇してはいるが、他の箇所と比較して、腰周辺の体温が低い。なお、被験者は、脹脛通電中は仰向けに寝た状態であり、通電を開始してから5分程度で眠ってしまった。
【0158】
図17(d)は、同図(c)と同じく脹脛通電を行うとともに同一期間内に、
図14に示すように、第1通電パット112と第2通電パット114の両方を貼り付け、自律神経活性化モードのパルスに応じた出力パルスを印加し続けた後の被験者を熱画像カメラで撮影した画像である。
【0159】
身体全体の体温が上昇し、血行が改善されている。特に肩から頭部の体温上昇は顕著である。また、通電中、被験者の顔の血色がよくなっていく様子が目視でわかった。
【0160】
第二の心臓といわれる脹脛を刺激することで血液の戻りを良くし、全身の血行が良好になることが、
図17(c)の画像からわかる。また、脊髄通電によって交感神経が活性化されると血管が収縮し、血液が流れにくくなるため身体は血液を流そうと反応し、血行は良くなる。一方、脊髄通電によって副交感神経が活性化されると血管が拡張するため、その反応は弱くなるが、血液は流れやすい状態である。このため、交感神経と副交感神経のバランスをとることが重要になる。脊髄通電によれば、交感神経と副交感神経のバランスをとることができ、血液はより流れやすくなることが
図17(d)の画像からわかり、脹脛の筋肉刺激との相乗効果によって血行不良を予防することができる。また、脳の血行が良くなることで、認知症を予防することが期待できる。さらに、全身の血行が良好になることで、全身の筋肉がほぐれ、全身の筋肉をリラックスさせることもできる。
【符号の説明】
【0161】
100 低周波パルス印加装置
101 本体部
102L 左足受け台
102R 右足受け台
10L 左ゾーン
1L~7L 第1ゾーン~左の第7ゾーン
10R 右ゾーン
1R~7R 右の第1ゾーン~右の第7ゾーン
112 第1通電パット
112A 第1通電パットA
112B 第1通電パットB
114 第2通電パット
114A 第2通電パットA
114B 第2通電パットB
300 自律神経活性化モードパルス発生部
301 自己診断モードパルス発生部
302 筋肉刺激モードパルス発生部
303 神経刺激モードパルス発生部
304 第2パルス印加部
305A 第1パルス印加部A
305B 第1パルス印加部B
H 対象者
S 脊骨