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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049110
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/74 20060101AFI20240402BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20240402BHJP
   B66C 23/40 20060101ALI20240402BHJP
   B66C 23/36 20060101ALI20240402BHJP
   B66C 23/62 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B66C23/74 Z
E02F9/00 L
E02F9/00 N
E02F9/00 P
B66C23/40
B66C23/36 A
B66C23/62
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155375
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 浩司
【テーマコード(参考)】
2D015
3F205
【Fターム(参考)】
2D015CA02
2D015CA03
3F205AA05
(57)【要約】
【課題】限られたスペースに排ガス後処理装置を収容することが可能な作業機械を提供する。
【解決手段】上部旋回体32と、エンジン2と、作動油を貯留する作動油タンク3と、エンジン2の排気ガスを処理する排ガス後処理装置4と、を有する。上部旋回体32の内部に設けられた配置スペース20において、作動油タンク3、排ガス後処理装置4、および、エンジン2が、上部旋回体32の前後方向にこの順番で配置されている。前後方向および上下方向にそれぞれ直交する方向を幅方向としたときに、排ガス後処理装置4は、幅方向における作動油タンク3の幅内に収まるように配置されている。排ガス後処理装置4の長手方向は、前後方向に対して斜めに配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械本体と、
エンジンと、
作動油を貯留する作動油タンクと、
前記エンジンの排気ガスを処理する排ガス後処理装置と、
を有し、
前記機械本体の内部に設けられた配置スペースにおいて、前記作動油タンク、前記排ガス後処理装置、および、前記エンジンが、前記機械本体の前後方向にこの順番で配置されており、
前記前後方向および上下方向にそれぞれ直交する方向を幅方向としたときに、
前記排ガス後処理装置は、前記幅方向における前記作動油タンクの幅内に収まるように配置され、
前記排ガス後処理装置の長手方向は、前記前後方向に対して斜めに配置されていることを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記エンジンの駆動によって前記作動油タンク内の前記作動油を吐出する油圧ポンプを有し、
前記油圧ポンプは、前記作動油タンクと前記エンジンとの間に配置されており、
前記排ガス後処理装置は、前記油圧ポンプの上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記排ガス後処理装置、および、前記エンジンを覆う被覆部材と、
前記被覆部材の内側に配置されて、前記前後方向における両端部が前記被覆部材にそれぞれ固定された支持部材と、
を有し、
前記排ガス後処理装置は、前記支持部材で下から支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記支持部材は、凹部を有し、
前記凹部の内側に前記排ガス後処理装置の一部が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記幅方向から見た断面視において、前記凹部における前記作動油タンク側の底部であるタンク側底部は、前記タンク側底部よりも前記エンジン側の底部であるエンジン側底部よりも、上側に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記排ガス後処理装置は、前記エンジンの上端よりも下方において、前記支持部材に支持されていることを特徴とする請求項3に記載の作業機械。
【請求項7】
前記支持部材の前記エンジン側の端部は、前記エンジンの上端よりも上方において、前記エンジンの一部に前記前後方向にオーバーラップしていることを特徴とする請求項3に記載の作業機械。
【請求項8】
前記支持部材の底部は、板状であることを特徴とする請求項3に記載の作業機械。
【請求項9】
前記エンジンは、前記エンジンの前記幅方向の外側部分に配置される排気口を備え、
前記排ガス後処理装置の長手方向は、前記エンジン側に向かって前記エンジンの前記排気口の方に延びるように前記前後方向に対して斜めに配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項10】
前記排ガス後処理装置は、
接続管を介して前記エンジンの排気口に接続された第1処理部と、
前記第1処理部よりも下流側に設けられ、連結管を介して前記第1処理部に連結された第2処理部と、
を有し、
前記第2処理部は、前記第1処理部の上方に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項11】
前記接続管は、前記第1処理部の長手方向に前記第1処理部に接続する直管部を有し、
前記連結管は、前記第1処理部の長手方向に対して屈曲されて前記第2処理部に連結する屈曲部を有し、
前記前後方向において、前記直管部と前記屈曲部とがオーバーラップしていることを特徴とする請求項10に記載の作業機械。
【請求項12】
前記排ガス後処理装置、および、前記エンジンを覆う被覆部材と、
前記被覆部材の内側に配置されて、前記前後方向における両端部が前記被覆部材にそれぞれ固定された支持部材と、
を有し、
前記前後方向における前記作動油タンク側において、前記第2処理部の一部が、前記支持部材の端部に、前記前後方向にオーバーラップしていることを特徴とする請求項10に記載の作業機械。
【請求項13】
前記エンジンと前記排ガス後処理装置とを繋ぐ接続管を有し、
前記エンジンは、前記接続管が接続される排気口を備え、
前記排気口は、前記エンジンの前記幅方向の外側部分に配置され、前記排ガス後処理装置よりも下に配置され、
前記接続管が、上側に向かって前記エンジンの幅方向内側に延びるように、上下方向に対して斜めに配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項14】
前記エンジンと前記排ガス後処理装置とを繋ぐ接続管を有し、
前記幅方向において、前記エンジンよりも内側に前記接続管が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気ガスを処理する排ガス後処理装置を備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排気ガス処理装置(排ガス後処理装置)をエンジンの上方に支持する架台を備えた建設機械の駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-24565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、クレーンでは、上部旋回体における旋回フレームの中央部の側方かつキャブの後方に配置スペースが設けられ、この配置スペースに、作動油タンク、排ガス後処理装置、および、エンジンがこの順番で、上部旋回体の前後方向に配置される。近年、排ガス規制が厳しくなり、排ガス後処理装置が大型化する傾向がある。しかし、クレーンでは、商品性の観点から、上部旋回体の全長を長くすることができない。また、輸送性の観点から、上部旋回体の幅を広げることができない。よって、限られたスペースに、大型化する排ガス後処理装置を収容しなければならない。
【0005】
本発明の目的は、限られたスペースに排ガス後処理装置を収容することが可能な作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、機械本体と、エンジンと、作動油を貯留する作動油タンクと、前記エンジンの排気ガスを処理する排ガス後処理装置と、を有し、前記機械本体の内部に設けられた配置スペースにおいて、前記作動油タンク、前記排ガス後処理装置、および、前記エンジンが、前記機械本体の前後方向にこの順番で配置されており、前記前後方向および上下方向にそれぞれ直交する方向を幅方向としたときに、前記排ガス後処理装置は、前記幅方向における前記作動油タンクの幅内に収まるように配置され、前記排ガス後処理装置の長手方向は、前記前後方向に対して斜めに配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、排ガス後処理装置は、幅方向における作動油タンクの幅内に収まるように配置され、排ガス後処理装置の長手方向は、機械本体の前後方向に対して斜めに配置されている。機械本体の前後方向に対して排ガス後処理装置の長手方向を斜めに配置することで、機械本体の前後方向に排ガス後処理装置の長手方向を配置する場合に比べて、機械本体の前後方向における配置スペースの長さを短くすることができる。また、斜めに配置された排ガス後処理装置は、作動油タンクの幅内に収まっている。よって、幅方向における配置スペースの幅を作動油タンクの幅に抑えることができる。これにより、限られたスペースに排ガス後処理装置を収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】クレーンの側面図である。
図2】上部旋回体の側面図である。
図3】上部旋回体の上面図である。
図4】配置スペースを側方から見た図である。
図5】被覆部材および支持部材の斜視図である。
図6】排ガス後処理装置の側面図である。
図7図6をA方向から見た図である。
図8図7のB方向に排ガス後処理装置を見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
(クレーンの構成)
本発明の実施形態における作業機械は、排ガス後処理装置を備えている。排ガス後処理装置は、エンジンの排気ガスを処理するものである。本実施形態において、作業機械はクレーンである。クレーン1の側面図である図1に示すように、クレーン1は、クローラ式の下部走行体31に上部旋回体32が旋回可能に搭載された構成となっている。なお、クレーン1は、クローラ以外の移動手段(例えばホイール)を用いた移動式クレーンであってもよいし、移動手段を持たない固定式クレーンであってもよい。また、作業機械は、クレーン1に限定されない。
【0011】
上部旋回体(機械本体)32は、旋回フレーム33と、ブーム34と、ガントリ36と、下部スプレッダ38と、フック用ウインチ(図示せず)と、ブーム起伏用ウインチ(図示せず)と、カウンタウエイト39と、を有している。上部旋回体32の前部には、キャブ(運転室)35が設けられている。
【0012】
旋回フレーム33は、旋回ベアリング(図示せず)を介して下部走行体31に取り付けられている。ブーム34は、旋回フレーム33の前部に、旋回フレーム33に対して起伏可能に連結されている。ブーム34の先端には、ブームガイライン49の一端が接続されている。
【0013】
ブーム34の先端には、ポイントシーブ41が設けられている。このポイントシーブ41からは巻上ロープ42を介してフック装置43が吊り下げられている。なお、ブーム34の先端にジブが取り付けられ、ジブの先端に設けられたポイントシーブ41から巻上ロープ42を介してフック装置43が吊り下げられた構成であってもよい。
【0014】
ガントリ36は、旋回フレーム33の後部に取り付けられている。なお、ガントリ36の代わりにマストが設けられた構成であってもよい。下部スプレッダ38は、ガントリ36の上端に取り付けられている。下部スプレッダ38と、ブームガイライン49の他端に連結した上部スプレッダ50との間には、ブーム起伏ロープ51が掛け渡されている。
【0015】
フック用ウインチ、および、ブーム起伏用ウインチは、旋回フレーム33の中央部にそれぞれ配置されている。フック用ウインチは、巻上ロープ42を巻き取り又は繰り出してフック装置43の巻き上げ又は巻き下げを行う。ブーム起伏用ウインチは、ブーム起伏ロープ51を巻き取り又は繰り出すことで、ブーム34を、その支点であるブームフットピン回りに起伏させる。
【0016】
カウンタウエイト39は、旋回フレーム33の後部に搭載されている。
【0017】
(配置スペースの構成)
上部旋回体32の側面図である図2、および、上部旋回体32の上面図である図3に示すように、上部旋回体32の内側には、配置スペース20が設けられている。図3に示すように、上部旋回体32の旋回フレーム33は、フック用ウインチなどが配置された中央部33aと、中央部33aの左右にそれぞれ配置されたデッキ部33bとで構成されている。配置スペース20は、図中下側のデッキ部33bに設けられ、旋回フレーム33の中央部33aの側方かつキャブ35の後方に位置している。配置スペース20は、上部旋回体32の前後方向に長い直方体型のスペースである。配置スペース20の後方(図中左方)には、カウンタウエイト39が配置されている。
【0018】
図2に示すように、クレーン1は、エンジン2と、作動油タンク3と、排ガス後処理装置4と、を有している。エンジン2は、図中左方に吸気口を備え、図中右方に排気口を備えている。エンジン2の吸気口には、吸気装置14が接続されている。エンジン2の排気口には、排ガス後処理装置4が接続されている。エンジン2の吸気口側には、ファン2bが設けられている。作動油タンク3は、作動油を貯留する。排ガス後処理装置4は、エンジン2の排気ガスを処理する。
【0019】
配置スペース20において、作動油タンク3、排ガス後処理装置4、および、エンジン2は、上部旋回体32の前後方向にこの順番で配置されている。配置スペース20内におけるエンジン2の吸気口側には、冷却器16が配置されている。エンジン2の熱を吸熱したエンジン冷却水は、冷却器16で冷却されてエンジン2に供給される。
【0020】
ここで、図3に示すように、上部旋回体32の前後方向および上下方向にそれぞれ直交する方向を、幅方向とする。作動油タンク3の幅は、配置スペース20の幅と同じである。エンジン2の幅は、配置スペース20の幅よりも若干小さい。排ガス後処理装置4は、幅方向における作動油タンク3の幅内に収まるように配置されている。また、排ガス後処理装置4の長手方向は、上部旋回体32の前後方向に対して斜めに配置されている。
【0021】
上部旋回体32の前後方向に対して排ガス後処理装置4の長手方向を斜めに配置することで、上部旋回体32の前後方向に排ガス後処理装置4の長手方向を配置する場合に比べて、上部旋回体32の前後方向における配置スペース20の長さを短くすることができる。また、斜めに配置された排ガス後処理装置4は、作動油タンク3の幅内に収まっている。よって、幅方向における配置スペース20の幅を作動油タンク3の幅に抑えることができる。これにより、限られたスペースに排ガス後処理装置4を収容することができる。
【0022】
また、エンジン2の後方に冷却器16を配置するスペースを確保することができる。よって、配置スペース20内における基本的な機器(作動油タンク3、後処理装置4、エンジン2、冷却器16)を、従来の構成から大きく変えることなく配置することができる。
【0023】
図2に示すように、クレーン1は、油圧ポンプ5を有している。油圧ポンプ5は、エンジン2の駆動によって作動油タンク3内の作動油を吐出する。油圧ポンプ5は、作動油タンク3とエンジン2との間に配置されている。排ガス後処理装置4は、油圧ポンプ5の上方に配置されている。例えば、排ガス後処理装置4は、油圧ポンプ5の真上に配置されている。
【0024】
通常、油圧ポンプ5の高さは、エンジン2の高さよりも低い。よって、通常、作動油タンク3とエンジン2との間かつ油圧ポンプ5の上方にスペースができる。この油圧ポンプ5の上方のスペースに排ガス後処理装置4を配置することで、油圧ポンプ5と排ガス後処理装置4とを水平方向に並べて配置する場合に比べて、配置スペース20をコンパクトにすることができる。なお、水平方向には、上部旋回体32の前後方向と幅方向とが含まれる。
【0025】
配置スペース20を側方から見た図である図4に示すように、クレーン1は、被覆部材6と、支持部材7と、を有している。被覆部材6は、排ガス後処理装置4、および、エンジン2を覆っている。被覆部材6は、排ガス後処理装置4およびエンジン2の上方、および、両側の側方を覆っている。被覆部材6は、上部旋回体32の前後方向に延びる梁、幅方向に延びる梁、および、上下方向に延びる柱を有している。
【0026】
支持部材7は、被覆部材6の内側に配置されている。支持部材7は、上部旋回体32の前後方向における両端部に、フランジ7aをそれぞれ有している。また、支持部材7は、幅方向におけるブーム34側(紙面奥側)にも、フランジ7b(図5参照)を有している。これらフランジ7a,7bは、被覆部材6にそれぞれ固定されている。
【0027】
被覆部材6および支持部材7の斜視図を図5に示す。なお、図5では、エンジン2、作動油タンク3、排ガス後処理装置4などを図示していない。図5に示すように、被覆部材6が有する、幅方向に延びる梁6aに、支持部材7のフランジ7aが載った状態で、このフランジ7aが梁6aにボルト等で固定されている。また、被覆部材6が有する、上部旋回体32の前後方向に延びる梁6bに、支持部材7のフランジ7bが載った状態で、このフランジ7bが梁6bにボルト等で固定されている。
【0028】
なお、支持部材7は、幅方向における上部旋回体32の側面側(紙面手前側)に、フランジを有していない。そのため、幅方向の紙面手前側において、支持部材7の内側は開放されている。
【0029】
図4に示すように、排ガス後処理装置4は、支持部材7で下から支持されている。特許文献1にように、排ガス後処理装置4を架台で支持する場合、被覆部材6の内側に架台の脚を配置するスペースが必要になる。一方、排ガス後処理装置4を支持部材7で支持する場合、被覆部材の内側に架台の脚のような部材を配置するスペースを設ける必要がない。排ガス後処理装置4を支持部材7で支持することで、排ガス後処理装置4を架台で支持する場合に比べて小さなスペースで、排ガス後処理装置4を支持することができる。
【0030】
図4に示すように、支持部材7は、凹部7cを有している。この凹部7cの内側に排ガス後処理装置4の一部が配置されている。支持部材7の凹部7cの内側に排ガス後処理装置4の一部を配置することで、支持部材7が凹部7cを有さない場合などに比べて、排ガス後処理装置4の上端の位置を低くすることができる。これにより、配置スペース20の高さを抑えることができる。
【0031】
図4に示すように、排ガス後処理装置4は、エンジン2の上端よりも下方において、支持部材7に支持されている。排ガス後処理装置4を、エンジン2の上端よりも下方において支持することで、エンジン2の上端と同じ高さか、それよりも上方で支持する場合に比べて、排ガス後処理装置4の上端までの高さを抑えることができる。これにより、配置スペース20の高さを抑えることができる。
【0032】
図4に示すように、支持部材7のエンジン2側の端部(フランジ7a)は、エンジン2の上端よりも上方において、エンジン2の一部に、上部旋回体32の前後方向にオーバーラップしている。エンジン2の上端よりも上方において、支持部材7のエンジン2側の端部を、上部旋回体32の前後方向にエンジン2の一部にオーバーラップさせることで、エンジン2と排ガス後処理装置4とを、上部旋回体32の前後方向に近接させることができる。これにより、上部旋回体32の前後方向における配置スペース20の長さを短くすることができる。
【0033】
図5に示すように、支持部材7の底部は、板状である。支持部材7の底部である底板には、複数の通気孔が形成されている。支持部材7の底部が板状であるので、支持部材7の底部が格子状などである場合に比べて、排ガス後処理装置4からの熱が排ガス後処理装置4の下方に伝わるのを、支持部材7で抑制することができる。よって、排ガス後処理装置4の下方に位置する油圧ポンプ5への熱影響を抑制することができる。
【0034】
図4に示すように、幅方向から見た断面視において、凹部7cにおける作動油タンク3側の底部であるタンク側底部7dは、タンク側底部7dよりもエンジン2側の底部であるエンジン側底部7eよりも、上側に配置されている。タンク側底部7dを、エンジン側底部7eよりも上側に配置することで、作動油タンク3のオイルフィルタ等に凹部7cが干渉するのを抑制することができる。これにより、凹部7cと作動油タンク3とを、上部旋回体32の前後方向に近接させることができる。その結果、上部旋回体32の前後方向における配置スペース20の長さを短くすることができる。
【0035】
排ガス後処理装置4の側面図である図6に示すように、排ガス後処理装置4は、第1処理部11と、第2処理部12と、を有している。クレーン1は、エンジン2の排気口と排ガス後処理装置4とを繋ぐ接続管8を有している。第1処理部11は、接続管8を介して、エンジン2の排気口に接続されている。第2処理部12は、第1処理部11よりも下流側に設けられ、連結管9(図8参照)を介して第1処理部11に連結されている。
【0036】
第1処理部11は、排気ガスに含まれるPM(Particulate Matter)(粒子状物質)を除去するDOC(Diesel Oxidation catalyst)(ディーゼル酸化触媒)を備えている。DOCは、排気ガスに含まれるPM中の可溶有機成分(SOF)、CO及びHCを酸化させる触媒である。第2処理部12は、いわゆる尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システムを構成する。尿素SCRシステムは、SCR用触媒によって、尿素水の高温下での加水分解により生じたアンモニアと排気ガス中の窒素酸化物(NOx)との酸化還元反応を促進して、窒素酸化物を無害化する。
【0037】
なお、第1処理部11は、DOCの代わりに、DPF(Diesel Particulate Filter)を備えていてもよい。DPFは、エンジン2から排出される排気ガスに含まれる煤等の粉塵を捕捉する能力を有する。また、第2処理部12は、尿素SCRシステムの代わりに、DPD装置を備えていてもよい。DPD装置は、排気ガス中のPMをフィルタで捕集する。DPD装置は、フィルタに捕集されたPMを燃焼させてフィルタを再生する機能を有する。
【0038】
第2処理部12は、第1処理部11の上方に配置されている。例えば、第2処理部12は、第1処理部11の真上に配置されている。第1処理部11の一部は、支持部材7の凹部7aの内側に配置されている。第2処理部12は、支持部材7の底板上に設けられたブラケット13で下から支持されている。第2処理部12の長手方向は、第1処理部11の長手方向と平行である。第2処理部12の長手方向の長さは、第1処理部11の長手方向の長さよりも長い。第1処理部11の上方に第2処理部12を配置することで、第1処理部11と第2処理部12とを水平方向に並べて配置する場合に比べて、配置スペース20を水平方向にコンパクトにすることができる。
【0039】
図6をA方向から見た図である図7に示すように、エンジン2は、接続管8が接続される排気口2aを備えている。エンジン2の排気口2aは、エンジン2の幅方向の外側部分に配置されている。また、エンジン2の排気口2aは、排ガス後処理装置4よりも下に配置されている。図7では、排気口2aは、エンジン2の中心よりも右寄りに位置している。図7において、図中右側は、ブーム34側(被覆部材6の内面側)であり、図中左側は、上部旋回体32の外面側(被覆部材6の外面側)である。排ガス後処理装置4の長手方向は、エンジン2側に向かってエンジン2の排気口2aの方に延びるように、上部旋回体32の前後方向に対して斜めに配置されている。
【0040】
排ガス後処理装置4の長手方向を、エンジン2の排気口2aの方に向かって斜めに配置することで、排ガス後処理装置4とエンジン2の排気口2aとを近接させることができる。これにより、エンジン2の排気口2aと排ガス後処理装置4(第1処理部11)とを繋ぐ接続管8の長さを短くすることができる。よって、接続管8を流れる排気の温度が低下するのを抑制することができる。
【0041】
図7に示すように、接続管8が、上側に向かってエンジン2の幅方向内側に延びるように、上下方向に対して斜めに配置されている。接続管8を上下方向に斜めに配置することで、接続管8を上下方向に配置する場合に比べて、排ガス後処理装置4と接続管8との接続部を、エンジン2の幅方向内側の位置に配置することができる。よって、エンジン2に対して接続部をエンジン2の幅方向外側に突出する位置に配置する必要性を減らせる。よって、配置スペース20をコンパクトにすることができる。
【0042】
図7に示すように、幅方向において、エンジン2よりも内側に接続管8が配置されている。エンジン2よりも内側に接続管8を配置することで、上部旋回体32の外側(図中左側)から配置スペース20にアクセスする場合に、接続管8が邪魔になりにくい。よって、配置スペース20内の機器(油圧ポンプ5など)のメンテナンスなどを好適に行うことができる。
【0043】
図4に示すように、上部旋回体32の前後方向における作動油タンク3側において、第2処理部12の一部が、支持部材7の端部(フランジ7a)に、上部旋回体32の前後方向にオーバーラップしている。第2処理部12の一部を、支持部材7の端部にオーバーラップさせることで、支持部材7の端部の上方のスペースを有効活用することができる。また、第2処理部12の一部を、支持部材7の端部にオーバーラップさせることで、上部旋回体32の前後方向における第2処理部12のエンジン2側にスペースを生じさせることができる。よって、このスペースに他の機器などを配置することができる。本実施形態では、第2処理部12のエンジン2側に生じたスペースに、燃料フィルタ10が配置されている。
【0044】
図7のB方向に排ガス後処理装置4を見た図である図8に示すように、エンジン2の排気口と第1処理部11とを繋ぐ接続管8は、直管部8aを有している。直管部8aは、第1処理部11の長手方向に第1処理部11に接続している。また、第1処理部11と第2処理部12とを繋ぐ連結管9は、屈曲部9aを有している。屈曲部9aは、第1処理部11の長手方向に対して屈曲されて第2処理部12に連結している。そして、上部旋回体32の前後方向において、直管部8aと屈曲部9aとがオーバーラップしている。
【0045】
接続管8の直管部8aと連結管9の屈曲部9aとを、上部旋回体32の前後方向にオーバーラップさせることで、接続管8と連結管9とを配置するスペースをコンパクトにすることができる。これにより、配置スペース20をコンパクトにすることができる。
【0046】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るクレーン1によれば、図3に示すように、排ガス後処理装置4は、幅方向における作動油タンク3の幅内に収まるように配置され、排ガス後処理装置4の長手方向は、上部旋回体32の前後方向に対して斜めに配置されている。上部旋回体32の前後方向に対して排ガス後処理装置4の長手方向を斜めに配置することで、上部旋回体32の前後方向に排ガス後処理装置4の長手方向を配置する場合に比べて、上部旋回体32の前後方向における配置スペース20の長さを短くすることができる。また、斜めに配置された排ガス後処理装置4は、作動油タンク3の幅内に収まっている。よって、幅方向における配置スペース20の幅を作動油タンク3の幅に抑えることができる。これにより、限られたスペースに排ガス後処理装置4を収容することができる。
【0047】
また、図2に示すように、油圧ポンプ5は、作動油タンク3とエンジン2との間に配置されており、排ガス後処理装置4は、油圧ポンプ5の上方に配置されている。通常、油圧ポンプ5の高さは、エンジン2の高さよりも低い。よって、通常、作動油タンク3とエンジン2との間かつ油圧ポンプ5の上方にスペースができる。この油圧ポンプ5の上方のスペースに排ガス後処理装置4を配置することで、油圧ポンプ5と排ガス後処理装置4とを水平方向に並べて配置する場合に比べて、配置スペース20をコンパクトにすることができる。
【0048】
また、図4に示すように、排ガス後処理装置4は、支持部材7で下から支持されている。上部旋回体32の前後方向における支持部材7の両端部(フランジ7a)は、被覆部材6にそれぞれ固定されている。排ガス後処理装置4を架台で支持する場合、被覆部材6の内側に架台の脚を配置するスペースが必要になる。一方、排ガス後処理装置4を支持部材7で支持する場合、被覆部材6の内側に架台の脚のような部材を配置するスペースを設ける必要がない。よって、排ガス後処理装置4を支持部材7で支持することで、排ガス後処理装置4を架台で支持する場合に比べて小さなスペースで、排ガス後処理装置4を支持することができる。
【0049】
また、図4に示すように、支持部材7の凹部7cの内側に排ガス後処理装置4の一部が配置されている。支持部材7の凹部7cの内側に排ガス後処理装置4の一部を配置することで、支持部材7が凹部7cを有さない場合などに比べて、排ガス後処理装置4の上端までの高さを低くすることができる。これにより、配置スペース20の高さを抑えることができる。
【0050】
また、図4に示すように、幅方向から見た断面視において、凹部7cにおける作動油タンク3側の底部であるタンク側底部7dは、タンク側底部7dよりもエンジン2側の底部であるエンジン側底部7eよりも、上側に配置されている。タンク側底部7dを、エンジン側底部7eよりも上側に配置することで、作動油タンク3のオイルフィルタ等に凹部7cが干渉するのを抑制することができる。これにより、凹部7cと作動油タンク3とを、上部旋回体32の前後方向に近接させることができる。その結果、上部旋回体32の前後方向における配置スペース20の長さを短くすることができる。
【0051】
また、図4に示すように、排ガス後処理装置4は、エンジン2の上端よりも下方において、支持部材7に支持されている。排ガス後処理装置4を、エンジン2の上端よりも下方において支持することで、エンジン2の上端と同じ高さか、それよりも上方で排ガス後処理装置4を支持する場合に比べて、排ガス後処理装置4の上端までの高さを抑えることができる。これにより、配置スペース20の高さを抑えることができる。
【0052】
また、図4に示すように、支持部材7のエンジン2側の端部(フランジ7a)は、エンジン2の上端よりも上方において、エンジン2の一部に上部旋回体32の前後方向にオーバーラップしている。エンジン2の上端よりも上方において、支持部材7のエンジン2側の端部を、上部旋回体32の前後方向にエンジン2の一部にオーバーラップさせることで、エンジン2と排ガス後処理装置4とを、上部旋回体32の前後方向に近接させることができる。これにより、上部旋回体32の前後方向における配置スペース20の長さを短くすることができる。
【0053】
また、図5に示すように、支持部材7の底部は、板状である。支持部材7の底部が板状であるので、支持部材7の底部が格子状などである場合に比べて、排ガス後処理装置4からの熱が排ガス後処理装置4の下方に伝わるのを、支持部材7で抑制することができる。
【0054】
また、図7に示すように、排ガス後処理装置4の長手方向は、エンジン2側に向かってエンジン2の排気口2aの方に延びるように、上部旋回体32の前後方向に対して斜めに配置されている。排ガス後処理装置4の長手方向を、エンジン2の排気口2aの方に向かって斜めに配置することで、排ガス後処理装置4とエンジン2の排気口2aとを近接させることができる。これにより、エンジン2の排気口2aと排ガス後処理装置4とを繋ぐ接続管8の長さを短くすることができる。よって、接続管8を流れる排気の温度が低下するのを抑制することができる。
【0055】
また、図6に示すように、第1処理部11の上方に第2処理部12が配置されている。第1処理部11の上方に第2処理部12を配置することで、第1処理部11と第2処理部12とを水平方向に並べて配置する場合に比べて、配置スペース20を水平方向にコンパクトにすることができる。
【0056】
また、図8に示すように、上部旋回体32の前後方向において、接続管8の直管部8aと連結管9の屈曲部9aとがオーバーラップしている。接続管8の直管部8aと連結管9の屈曲部9aとを、上部旋回体32の前後方向にオーバーラップさせることで、接続管8と連結管9とを配置するスペースをコンパクトにすることができる。これにより、配置スペース20をコンパクトにすることができる。
【0057】
また、図4に示すように、上部旋回体32の前後方向における作動油タンク3側において、第2処理部12の一部が、支持部材7の端部に、上部旋回体32の前後方向にオーバーラップしている。第2処理部12の一部を、支持部材7の端部にオーバーラップさせることで、支持部材7の端部の上方のスペースを有効活用することができる。また、第2処理部12の一部を、支持部材7の端部にオーバーラップさせることで、上部旋回体32の前後方向における第2処理部12のエンジン2側にスペースを生じさせることができる。よって、このスペースに他の機器などを配置することができる。
【0058】
また、図7に示すように、接続管8が、上側に向かってエンジン2の幅方向内側に延びるように、上下方向に対して斜めに配置されている。接続管8を上下方向に斜めに配置することで、接続管8を上下方向に配置する場合に比べて、排ガス後処理装置4と接続管8との接続部を、エンジン2の幅方向内側の位置に配置することができる。よって、エンジン2に対して接続部をエンジン2の幅方向外側に突出する位置に配置する必要性を減らせる。よって、配置スペース20をコンパクトにすることができる。
【0059】
また、図7に示すように、幅方向において、エンジン2よりも内側に接続管8が配置されている。エンジン2よりも内側に接続管8を配置することで、上部旋回体32の外側から配置スペース20にアクセスする場合に、接続管8が邪魔になりにくい。よって、配置スペース20内の機器のメンテナンスなどを好適に行うことができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0061】
1 クレーン(作業機械)
2 エンジン
2a 排気口
3 作動油タンク
4 排ガス後処理装置
5 油圧ポンプ
6 被覆部材
7 支持部材
7a,7b フランジ
8 接続管
9 連結管
10 燃料フィルタ
11 第1処理部
12 第2処理部
13 ブラケット
14 吸気装置
16 冷却器
20 配置スペース
31 下部走行体
32 上部旋回体(機械本体)
33 旋回フレーム
34 ブーム
35 キャブ
36 ガントリ
38 下部スプレッダ
39 カウンタウエイト
41 ポイントシーブ
42 巻上ロープ
43 フック装置
49 ブームガイライン
50 上部スプレッダ
51 ブーム起伏ロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8