(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049121
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】熱電対基準接点補償装置及び熱電対基準接点補償装置の組立方法
(51)【国際特許分類】
G01K 7/12 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
G01K7/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155392
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000140454
【氏名又は名称】株式会社岡崎製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 成臣
(72)【発明者】
【氏名】井藤 秀治
(72)【発明者】
【氏名】山名 勝
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 淳二
(57)【要約】
【課題】対象領域の温度を安定して計測することができる。
【解決手段】熱電対基準接点補償装置は、熱電対基準接点を収容する均熱ブロックと、均熱ブロックを収容し、一面が開放された本体部と、本体部と均熱ブロックとの間に配置された断熱材と、本体部の一面を塞ぎ、本体部に固定され、本体部内の断熱材の移動を抑制する蓋部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電対の基準接点を収容する均熱ブロックと、
前記均熱ブロックを収容し、一面が開放された本体部と、
前記本体部と前記均熱ブロックとの間に配置された断熱材と、
前記本体部の前記一面を塞ぎ、前記本体部に固定され、前記本体部内の前記断熱材の移動を抑制する蓋部と、を有する熱電対基準接点補償装置。
【請求項2】
前記断熱材は、円筒形状であり、複数積層される請求項1に記載の熱電対基準接点補償装置。
【請求項3】
前記断熱材は、隣接する前記断熱材に接着剤で固定される請求項2に記載の熱電対基準接点補償装置。
【請求項4】
前記断熱材は、前記本体部に接着剤で固定される請求項1に記載の熱電対基準接点補償装置。
【請求項5】
前記蓋部の前記断熱材と接触する面に配置されたガスケットを有する請求項1に記載の熱電対基準接点補償装置。
【請求項6】
熱電対基準接点を収容する均熱ブロックと、
前記均熱ブロックを収容し、一面が開放された本体部と、
前記本体部と前記均熱ブロックとの間に配置された断熱材と、を有し、
前記断熱材は、前記本体部に接着剤で固定される熱電対基準接点補償装置。
【請求項7】
熱電対の基準接点が固定される均熱ブロックを本体部の内部空間に配置するステップと、
断熱材を本体部と均熱ブロックの間に配置するステップと、
前記本体部の開放されている一面を蓋部で閉塞することで、断熱材を前記本体部に対して固定するステップと、を有する、熱電対基準接点補償装置の組立方法。
【請求項8】
熱電対の基準接点が固定される均熱ブロックを本体部の内部空間に配置するステップと、
断熱材の外周面に接着剤を塗布するステップと、
前記断熱材を本体部と均熱ブロックの間に配置し、前記接着剤で前記断熱材を前記本体部に固定するステップと、を有する、熱電対基準接点補償装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱電対基準接点補償装置及び熱電対基準接点補償装置の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉格納容器には、計測対象の温度を計測する装置として、対象位置の温度を計測する熱電対の測温接点と、基準接点となる位置の温度を計測する測温抵抗体を保持する熱電対基準接点補償箱が設置される。特許文献1は、測温抵抗体とそれぞれの測温接点の環境差の発生を抑制するために、基準接点と測温抵抗体が配置される領域の外側に断熱材を設け、熱電対基準接点補償箱内の温度の変動を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱電対基準接点補償箱は、断熱材を配置して、内部の雰囲気の変動を抑制している。熱電対基準接点補償箱は、基準接点の周囲の環境が不均一になると、熱電対基準接点補償箱内の温度が部分的に変化し、温度の計測精度が低下する。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、温度の検出精度を維持できる熱電対基準接点補償装置及び熱電対基準接点補償装置の組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示に係る熱電対基準接点補償装置は、熱電対基準接点を収容する均熱ブロックと、前記均熱ブロックを収容し、一面が開放された本体部と、前記本体部と前記均熱ブロックとの間に配置された断熱材と、前記本体部の前記一面を塞ぎ、前記本体部に固定され、前記本体部内の前記断熱材の移動を抑制する蓋部と、を有する。
【0007】
上記の目的を達成するための本開示に係る熱電対基準接点補償装置は、熱電対基準接点を収容する均熱ブロックと、前記均熱ブロックを収容し、一面が開放された本体部と、前記本体部と前記均熱ブロックとの間に配置された断熱材と、を有し、前記断熱材は、前記本体部に接着剤で固定される。
【0008】
上記の目的を達成するための本開示に係る熱電対基準接点補償装置の組立方法は、熱電対の基準接点が固定される均熱ブロックを本体部の内部空間に配置するステップと、断熱材を本体部と均熱ブロックの間に配置するステップと、前記本体部の開放されている一面を蓋部で閉塞することで、断熱材を前記本体部に対して固定するステップと、を有する。
【0009】
上記の目的を達成するための本開示の熱電対基準接点補償箱の組立方法は、熱電対の基準接点が固定される均熱ブロックを本体部の内部空間に配置するステップと、前記断熱材の外周面に接着剤を塗布するステップと、前記断熱材を本体部と均熱ブロックの間に配置し、前記接着剤で前記断熱材を前記本体部に固定するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、温度の計測精度を高く維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、熱電対基準接点補償装置を示す断面図である。
【
図2】
図2は、熱電対基準接点補償箱の斜視図である。
【
図3】
図3は、熱電対基準接点補償箱の上面の模式図である。
【
図7】
図7は、熱電対基準接点補償箱の組立工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定するものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した実施形態における構成要素は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0013】
図1は、熱電対基準接点補償装置を示す断面図である。熱電対基準接点補償装置10は、筐体12と、熱電対基準接点補償箱40と、冷接点補償器24と、測温抵抗体30と、を有する。熱電対基準接点補償箱40を省略して補償箱40とも呼ぶ。筐体12は、内部に、熱電対基準接点補償箱40を収容し、施設に固定されている。熱電対基準接点補償箱40は、冷接点補償器24と、測温抵抗体30とが内部に収容されている。
【0014】
筐体12は、箱部13と、蓋部16と、ボルト18と、ナット19と、を有する。箱部13は、鉛直方向上側が開放された箱である。箱部13は、ボルト、溶接等で、配置されている施設、プラントの壁面等に固定される。箱部13は、例えば、ステンレス鋼で形成される。なお、本実施形態では、箱部13の開放されている面、つまり蓋部16を配置する面を鉛直方向上側の面としたが、筐体12の姿勢はこれに限定されない。筐体12は、箱部13の開放される面(一面、開放面)が、鉛直方向上側以外の方向、例えば、水平方向に開放される面が配置されても、斜め方向に開放される面が配置されてもよい。
【0015】
箱部13は、上端にフランジ部14が形成される。フランジ部14には、ボルト孔15が形成される。フランジ部14は、筐体12の外周に沿って形成される。フランジ部14は、径方向外側に突出して形成される。フランジ部14は、厚みを有する。フランジ部14は、ボルト18が貫通するボルト孔15が周方向に沿って所定の間隔で設けられる。ここで、径方向とは、筐体12の中心を通り、蓋部16と底部20を貫く中心軸CLを設け、この中心軸に交差する方向をいい、ある位置より中心軸CLから遠ざかる方向を径方向外側といい、ある位置より中心軸CLに近づく方向を径方向内側という。なお、中心軸CLに沿う方向を軸方向といい、中心軸CLの周りを囲む方向(中心軸CLを中心とする周り方向)を周方向という。箱部13は、底面20に、冷接点補償器24と測温抵抗体30のケーブル26a、26b、32を接続する端子(コネクタ)21が固定される。箱部13の底面20は、端子21が挿入されている部分が、端子21で密閉される。
【0016】
蓋部16は、箱部13の鉛直方向上側の開放された面を覆う板状の部材である。蓋部16は、例えばステンレス鋼で形成される。蓋部16は、箱部13のフランジ部14のボルト孔15と対応する位置に、ボルト孔17が形成される。
【0017】
ボルト18は、ボルト孔15と、ボルト孔17に挿入される。ナット19は、ボルト孔15、17に挿通されたボルト18に締結される。筐体12は、蓋部16と箱部13とをボルト18及びナット19で締結することで、内部の空間が蓋部16で閉塞される。
【0018】
測定対象に設置されたそれぞれの熱電対は、測定位置に測温接点が配置され、基準接点28が補償箱40の内部に配置される。冷接点補償器24は、基準接点28にケーブル26a、26bが接続する。冷接点補償器24は、ケーブル26aを介して熱電対に接続される。冷接点補償器24は、ケーブル26bとケーブル26bに接続される制御部とで、回路を形成し、制御部で、基準接点と測定位置との温度差で流れる電流を計測し、測定位置の温度を計測する。ケーブル26bは、例えば銅で形成され、周囲が絶縁体の樹脂で覆われる。
【0019】
測温抵抗体30は、補償箱40内に挿入され、ケーブル32を介して、制御部に接続する。測温抵抗体30は、補償箱40の内部の温度、つまり冷接点補償器24の基準接点28の温度を計測する。制御部は、測温抵抗体30の計測結果から基準接点28の温度を算出し、基準接点28の温度の情報と、測定対象物に設置されたそれぞれの熱電対の測温接点の温度の情報から、測定位置の温度を算出する。測温抵抗体30は、3本挿入される。なお、測温抵抗体30は、3本に限られない。
【0020】
図2から
図5を用いて、熱電対基準接点補償箱40について説明する。
図2は、熱電対基準接点補償箱の斜視図である。
図3は、熱電対基準接点補償箱の上面の模式図である。
図4は、蓋部の表を示す模式図である。
図5は、蓋部の裏を示す模式図である。
【0021】
熱電対基準接点補償箱40は、本体部42と、ボルト46と、金属ブロック54と、蓋部60と、断熱材70と、接着剤90、92と、を有する。
【0022】
本体部42は、上端部にフランジ部44が接合された円筒形状の構造物である。本体部42は、内部空間48に金属ブロック54と断熱材70、接着剤90、92が収納される。本体部42はステンレス鋼で形成される。本体部42の下端部は、該下端部よりも外径が大きい金属ブロック54の底面部50に接合される。本体部42は、底面部50が筐体12の底部20とボルト52によって締結されることにより固定される。
【0023】
フランジ部44は、本体部42の上端部の外周に沿って接合され、本体部42より径方向外側に突出する。本実施形態のフランジ部44は、所定間隔で切り欠き45が形成される。切り欠き45は、例えば工具を収納することができる。なお、切り欠き45は、形成されなくてもよい。フランジ部44は、ボルト46が貫通するボルト孔47が設けられている。
【0024】
金属ブロック54は、均熱ブロックである。金属ブロック54は、中実のステンレス鋼からなり、円柱形状に形成される。金属ブロック54は、本体部42の内部空間48の中心軸CLと金属ブロック54の中心が同軸上になるように配置される。金属ブロック54は、複数の収容孔55を有する。該収納孔55には、冷接点補償器24と、測温抵抗体30が挿入される。収容孔55は、それぞれ、形状、深さ共にほぼ同一に形成される。
【0025】
底面部50は、金属ブロック54より径方向外側に突出した円盤形状である。底面部50は、本体部42の接合部より径方向外側にボルト52が貫通するボルト孔53が所定の間隔で設けられている。底面部50は、ボルト52により、筐体12の底部20に固定される。なお、底面部50は、金属ブロック54と別々のものとしてもよい。その場合には、底面部50と金属ブロック54の収容孔55を有しない底面と周方向に沿って接合される。
【0026】
蓋部60は、フランジ部44の上端面に蓋部60の裏面が接触して本体部42を閉塞する。蓋部60は、ボルト46で締結することで、本体部42を蓋部60で閉塞する。蓋部60は、ステンレス鋼を材料として円盤形状に形成される。蓋部60は、蓋開口部62が形成される。蓋部60は、周方向に沿って、ボルト46が貫通するボルト孔61が設けられている。蓋開口部62は、表面と裏面とを貫いて形成される。蓋開口部62は、金属ブロック54の収容孔55を有する部分の外径と同等の大きさで形成される。蓋開口部62は、冷接点補償器24と測温抵抗体30とのケーブル26a、26b、32が挿通する。
【0027】
ガスケット64は、蓋部60の本体部42側の面に配置される。ガスケット64は、蓋開口部62よりも径方向外側、かつ、ボルト孔61よりも内側に設けられる。ガスケット64は、周方向に沿って設けられる。ガスケット64は、幅を有する。ガスケット64は、幅が、断熱材70の上面部74を覆うことができる幅であることが好ましい。
【0028】
断熱材70は、円筒形状であり、金属ブロック54と、本体部42との間に配置される。本実施形態では、3つの断熱材70が、鉛直方向に積層している。なお、積層する個数は、3つに限定されない。断熱材70は、高さが軸方向と平行になる向きで内部空間48に配置される。断熱材70は、3段になるように、フランジ部44の上面の高さまで、内部空間48の上から挿入して配置される。断熱材70は、高さがそれぞれ異なっていてもよい。
【0029】
図6は、断熱材の模式的な斜視図である。断熱材70は、上述したように、円筒形状であり、内周面72が、金属ブロック54と対面する。つまり、内周面72で囲われた内部空間に金属ブロック54が配置される。断熱材70は、上面74と下面76が、隣接する断熱材70、蓋部60、底面部50と接触する。断熱材70は、外周面78が、本体部42の内周面と対面する。断熱材70は、微細なセラミックパウダーとバインダーで形成した物体を焼成した焼結体(セラミック)を用いることができる。具体的には、断熱材70は、主成分がアルミナAl
2O
3とバインダーで形成した焼結体である。
【0030】
断熱材70は、本体部42との面に接着剤90が塗布され、接着剤90で、本体部42に固定される。接着剤90は、断熱材70と本体部42との空間を埋める。断熱材70は、隣接する断熱材70との間も接着剤92で接着される。接着剤90、92としては、微細なセラミックパウダーとバインダーを混合した混合体、例えば、アルミナ(Al2O3)とバインダーを混合した混合物を用いることができる。接着剤90、92としては、断熱材70及び本体部42を接着し、補償箱40が配置される環境で性能を維持できればよい。ここで、接着剤90、92は、熱膨張率が断熱材と同様であることが好ましい。
【0031】
<組立方法>
次に、
図7を用いて、熱電対基準接点補償箱40の組立方法を説明する。
図7は、熱電対基準接点補償箱の組立方法を示すフローチャートである。
【0032】
組立方法は、本体部に金属ブロックを挿入する(ステップS12)。本体部42の内部空間48に、金属ブロック54を配置する。本実施形態の本体部42に設置される金属ブロック54は、冷接点補償器24、測温抵抗体30が固定されている。また、冷接点補償器24、測温抵抗体30には、ケーブル26a、26b、32が接続されている。
【0033】
次に、組立方法は、断熱材に接着剤を塗布する(ステップS14)。例えば、最下段に配置する断熱材70には、上面74と外周面78の二面に接着剤90、92を塗布する。他の断熱材70に挟まれる断熱材70には、接着剤90を外周面78に塗布する。他の断熱材70に挟まれる断熱材70には、断熱材70同士が接着する面の両方に接着剤92を塗布してもよい。他の断熱材に挟まれる断熱材70の両面に接着剤92を塗布することで、断熱材の接着する両面、例えば、中段の断熱材70の下面76と最下段の上面74に接着剤を塗布することができる。なお、接着剤92が塗布されている断熱材70と対面する面には、接着剤92を塗布しなくてもよい。最上段の断熱材70には、下面76と外周面78の二面に接着剤90、92を塗布する。
【0034】
次に、組立方法は、接着剤を塗布した断熱材を金属ブロックと本体部の間に1個ずつ配置する(ステップS16)。組立方法は、断熱材70毎に接着剤90を塗布した後、接着剤90を塗布した断熱材から1個ずつ本体部42と金属ブロック54の間に挿入する。
【0035】
次に、組立方法は、ケーブル26a、26b、32を蓋開口部62に挿通する(ステップS18)。具体的には、冷接点補償器24のケーブル26a、26bと、測温抵抗体30のケーブル32と、をまとめて蓋開口部62に挿通する。
【0036】
次に、組立方法は、蓋部を本体部に締結して本体部の内部を蓋部で閉塞し、断熱材を固定する(ステップS20)。断熱材70は、本体部42の上面に蓋部60が固定されることで、本体部42内での移動(本実施形態では上下方向の移動)が抑制され、本体部42の内部での位置が固定される。また、断熱材70は、接着剤90により本体部に固定され、接着剤92により隣接する断熱材70に対して固定される。
【0037】
熱電対基準接点補償装置10は、蓋部60を設け、断熱材70の移動を抑制することで、地震等の振動で、断熱材70が本体部42に対して移動することを抑制できる。これにより、断熱材70の位置がずれたり、断熱材70が抜けたりして、金属ブロック54の外周の断熱材70の周囲の熱伝達の状態が変化し、冷接点補償器24の接点、測温抵抗体の温度との差が大きくなることを抑制できる。これにより、温度の測定精度を維持することができる。
【0038】
また、熱電対基準接点補償装置10は、接着剤90で、断熱材70を本体部42に固定することでも、断熱材70の位置がずれたり、断熱材70が抜けたりすることを抑制できる。接着剤90は、外側面78だけに塗布してもよい。接着剤90は、内側面80にも塗布してもよい。接着剤90は、断熱材70と同材料からなることが好ましいが、接着剤90の熱膨張率と断熱材70の熱膨張率とが所定範囲内で同一の材料からなるものであってもよい。このようにすることで、蓋部60を本体部42に締結せず、断熱材70を固定できる。つまり、接着剤90を断熱材70に塗布することのみで本体部42に固定できる。
【0039】
ガスケット64を設けることで、本体部42の内部空間48に配置した断熱材70が蓋部と接触して、損傷することを抑制できる。
【0040】
また、本実施形態の組立方法では、金属ブロック54に固定された冷接点補償器24、測温抵抗体30にケーブル26a、26b、32が接続された状態で、内部空間48に配置したが、これに限定されない。例えば、金属ブロック54を内部空間48に配置した後に、ケーブル26a、26b、32を、金属ブロック54に固定された冷接点補償器24、測温抵抗体30に接続してもよい。
【0041】
本開示は、以下の発明を開示している。なお、下記に限定されない。
【0042】
(1)熱電対の基準接点を収容する均熱ブロックと、前記均熱ブロックを収容し、一面が開放された本体部と、前記本体部と前記均熱ブロックとの間に配置された断熱材と、前記一面を塞ぎ、前記本体部に固定され、前記本体部内の前記断熱材の移動を抑制する蓋部と、を有する熱電対基準接点補償装置。本開示によれば、縦方向の振動による断熱材70の移動を抑制して固定できる。
【0043】
(2)前記断熱材は、円筒形状であり、複数積層される(1)に記載の熱電対基準接点補償装置。これにより、装置を製造しやすくなる。
【0044】
(3)前記断熱材は、隣接する前記断熱材に接着剤で固定される(2)に記載の熱電対基準接点補償装置。本開示によれば、縦方向と横方向の振動による断熱材70の移動を抑制できる。
【0045】
(4)前記断熱材は、前記本体部に接着剤で固定される(1)から(3)のいずれかに記載の熱電対基準接点補償装置。本開示によれば、縦方向と横方向の振動による断熱材70の移動を抑制できる。
【0046】
(5)前記蓋部の前記断熱材と接触する面に配置されたガスケットを有する(1)から(4)のいずれかに記載の熱電対基準接点補償装置。本開示によれば、断熱材70が損傷することなく、熱電対基準接点補償箱40を密閉できる。
【0047】
(6)熱電対基準接点を収容する均熱ブロックと、前記均熱ブロックを収容し、一面が開放された本体部と、前記本体部と前記均熱ブロックとの間に配置された断熱材と、を有し、前記断熱材は、前記本体部に接着剤で固定される熱電対基準接点補償装置。本開示によれば、縦方向の振動による断熱材70の移動を抑制して固定できる。
【0048】
(7)熱電対の基準接点が固定される均熱ブロックを本体部の内部空間に配置するステップと、断熱材を本体部と均熱ブロックの間に配置するステップと、前記本体部の開放されている一面を蓋部で閉塞することで、断熱材を前記本体部に対して固定するステップと、を有する、熱電対基準接点補償装置の組立方法。本開示によれば、縦方向の振動による断熱材70の移動を抑制して固定できる。
【0049】
(8)熱電対の基準接点が固定される均熱ブロックを本体部の内部空間に配置するステップと、前記断熱材の外周面に接着剤を塗布するステップと、前記断熱材を本体部と均熱ブロックの間に配置し、前記接着剤で前記断熱材を前記本体部に固定するステップと、を有する、熱電対基準接点補償装置の組立方法。本開示によれば、縦方向の振動による断熱材70の移動を抑制して固定できる。
【符号の説明】
【0050】
10 熱電対基準接点補償装置
12 筐体
13 箱部
14 胴フランジ部
15 ボルト孔
16 蓋部
17 ボルト孔
18 ボルト
19 ナット
20 底部
21 端子
24 冷接点補償器
28 基準接点
26a、26b、32 ケーブル
30 測温抵抗体
40 熱電対基準接点補償箱(補償箱)
42 本体部
44 フランジ部
45 切り欠き
48 内部空間
54 金属ブロック
60 蓋部
62 蓋開口部
64 ガスケット
70 断熱材
72 内周面
74 上面
76 下面
78 外周面
90、92 接着剤