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特開2024-49122電気コンタクト及び電気コンタクトの形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049122
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】電気コンタクト及び電気コンタクトの形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/16 20060101AFI20240402BHJP
   H01R 43/20 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01R9/16 101
H01R43/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155393
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000140454
【氏名又は名称】株式会社岡崎製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 成臣
(72)【発明者】
【氏名】井藤 秀治
(72)【発明者】
【氏名】山名 勝
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 淳二
【テーマコード(参考)】
5E063
5E086
【Fターム(参考)】
5E063HB01
5E063XA01
5E086PP14
5E086PP25
5E086QQ20
(57)【要約】
【課題】気密性能を維持しつつ、接続部分を強固に固定することができる電気コンタクト等を提供する。
【解決手段】気密性能を有する電気コンタクトにおいて、ピンと、前記ピンが挿入されることで接続されるソケットと、前記ピンと前記ソケットとの接続部分を覆うと共に、前記ピンの挿入方向に亘って設けられるスリーブと、前記挿入方向において、前記スリーブ内の前記接続部分が位置する空間に充填される無機絶縁物と、前記挿入方向において、前記スリーブ内の前記無機絶縁物の外部側の空間に充填され、外部に対して気密に封止する封止材と、を備える。前記無機絶縁物は、酸化系金属の粉体である。前記封止材は、樹脂系封止材である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密性能を有する電気コンタクトにおいて、
ピンと、
前記ピンが挿入されることで接続されるソケットと、
前記ピンと前記ソケットとの接続部分を覆うと共に、前記ピンの挿入方向に亘って設けられるスリーブと、
前記挿入方向において、前記スリーブ内の前記接続部分が位置する空間に充填される無機絶縁物と、
前記挿入方向において、前記スリーブ内の前記無機絶縁物の外部側の空間に充填され、外部に対して気密に封止する封止材と、を備える電気コンタクト。
【請求項2】
前記無機絶縁物は、酸化系金属の粉体である請求項1に記載の電気コンタクト。
【請求項3】
前記封止材は、樹脂系封止材である請求項1に記載の電気コンタクト。
【請求項4】
前記接続部分から外部側へ向かって延びるリード線を、さらに備え、
前記スリーブは、前記リード線を覆い、
前記封止材は、前記リード線が位置する前記スリーブ内に充填され、
前記リード線は、前記接続部分から湾曲する湾曲部位と、前記湾曲部位から前記スリーブに沿って直線状に延びる直線部位と、を含み、
前記リード線が延在する方向において、前記直線部位が位置する前記封止材の長さは、前記湾曲部位が位置する前記封止材の長さに比して長い請求項1に記載の電気コンタクト。
【請求項5】
前記スリーブは、
基部側に設けられる前記接続部分を覆う基部側スリーブと、
前記基部側スリーブに接続され、前記基部側スリーブよりも長い外部側スリーブと、を有し、
前記無機絶縁物は、前記基部側スリーブ内に充填され、
前記封止材は、前記基部側スリーブ及び前記外部側スリーブ内に充填される請求項1に記載の電気コンタクト。
【請求項6】
前記封止材は、前記基部側スリーブ内に充填される第1の封止材と、前記外部側スリーブ内に充填される第2の封止材と、を有する請求項5に記載の電気コンタクト。
【請求項7】
気密性能を有する電気コンタクトの形成方法であって、
ピンをソケットに挿入して接続するステップと、
前記ピンと前記ソケットとの接続部分を覆うスリーブを、前記ピンの挿入方向に亘って配置するステップと、
前記挿入方向において、前記スリーブ内の前記接続部分が位置する空間に、無機絶縁物を充填するステップと、
前記挿入方向において、前記スリーブ内の前記無機絶縁物の外部側の空間に、外部に対して気密に封止する封止材を充填するステップと、を実行する電気コンタクトの形成方法。
【請求項8】
前記スリーブは、
基部側に設けられる前記接続部分を覆う基部側スリーブと、
前記基部側スリーブに接続され、前記基部側スリーブよりも長い外部側スリーブと、を有し、
前記スリーブを配置するステップは、
前記接続部分を覆う前記基部側スリーブを配置するステップと、
前記基部側スリーブに接続して前記外部側スリーブを配置するステップと、を含み、
前記無機絶縁物を充填するステップは、
前記基部側スリーブ内に、前記無機絶縁物を充填し、
前記封止材を充填するステップは、
前記基部側スリーブ内に、第1の封止材を充填するステップと、
前記外部側スリーブ内に、第2の封止材を充填するステップと、を含む請求項7に記載の電気コンタクトの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気コンタクト及び電気コンタクトの形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気コンタクトとして、他のコネクタに接続されるコネクタ端子が知られている(例えば、特許文献1参照)。このコネクタ端子は、コネクタ本体と、コネクタピン部材と、を備え、コネクタ本体は、アウターケースと、その中に嵌め込まれた絶縁体とを有し、コネクタピン部材は、絶縁体に嵌め合わされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-2576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気コンタクトには、気密性能が要求されたり、接続部分が脱着不可となるように固定されたりする場合がある。特許文献1のコネクタ端子は、コネクタピン部材と絶縁体とが嵌め合わされた部位等において気密性能が担保されていない。このため、気密性能を担保しつつ、接続部分を固定するために、接続部分をエポキシ樹脂で熱硬化させることが考えられる。
【0005】
しかしながら、接続部分をエポキシ樹脂で熱硬化させると、エポキシ樹脂が熱膨張することにより接続部分が離れることで、導通不良となってしまう。
【0006】
そこで、本開示は、気密性能を維持しつつ、接続部分を強固に固定することができる電気コンタクト及び電気コンタクトの形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電気コンタクトは、気密性能を有する電気コンタクトにおいて、ピンと、前記ピンが挿入されることで接続されるソケットと、前記ピンと前記ソケットとの接続部分を覆うと共に、前記ピンの挿入方向に亘って設けられるスリーブと、前記挿入方向において、前記スリーブ内の前記接続部分が位置する空間に充填される無機絶縁物と、前記挿入方向において、前記スリーブ内の前記無機絶縁物の外部側の空間に充填され、外部に対して気密に封止する封止材と、を備える。
【0008】
本開示の電気コンタクトの形成方法は、気密性能を有する電気コンタクトの形成方法であって、ピンをソケットに挿入して接続するステップと、前記ピンと前記ソケットとの接続部分を覆うスリーブを、前記ピンの挿入方向に亘って配置するステップと、前記挿入方向において、前記スリーブ内の前記接続部分が位置する空間に、無機絶縁物を充填するステップと、前記挿入方向において、前記スリーブ内の前記無機絶縁物の外部側の空間に、外部に対して気密に封止する封止材を充填するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、気密性能を維持しつつ、接続部分を強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る電気コンタクトの断面図である。
図2図2は、本実施形態に係る電気コンタクトの接続部分における断面図である。
図3図3は、電気コンタクトの形成方法に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0012】
[本実施形態]
(電気コンタクト)
図1は、本実施形態に係る電気コンタクトの断面図である。図2は、本実施形態に係る電気コンタクトの接続部分における断面図である。
【0013】
本実施形態の電気コンタクト1は、気密性能を有する接続部位となっており、例えば、筐体5に設けられている。つまり、電気コンタクト1は、筐体5の内部を気密に封止するために、気密性能を有する接続部位となっている。電気コンタクト1は、筐体5の外部側に突出して複数設けられている。
【0014】
電気コンタクト1は、複数のピン11と、複数のソケット12と、複数のリード線13と、複数のシース14と、スリーブ15と、無機絶縁物17と、封止材18と、を備えている。
【0015】
複数のピン11は、筐体5から外部側へ向かって突出して設けられている。ピン11は、突出方向が軸方向Iとなる円柱形状の導電体となっている。ピン11の軸方向Iは、筐体5の表面に対して垂直方向であることが好ましい。ピン11は、例えば、クロメル、アルメル等の熱電対用の素線の他、測温抵抗体側と接続される銅材等が用いられており、硬度が高いものとなっている。複数のピン11は、所定の間隔を空けて所定の配置パターンとなるように設けられている。
【0016】
複数のソケット12は、複数のピン11にそれぞれ対応して接続される。ソケット12は、導電体となっている。ソケット12は、ピン11に挿入される部位となるピン側部位12aと、リード線13が接続される部位となるリード側部位12bと、ピン側部位12aとリード側部位12bとを一体に連結する連結部位12cと、を含む。ピン側部位12aは、例えば、スリットが形成された円筒形状の割りピンとなっている。ピン側部位12aは、ピン11が内部に挿入され、ピン11を挟み込むことにより接続される。リード側部位12bは、リード線13の端部を覆う円筒形状に形成されている。リード側部位12bは、リード線13の端部を収容した状態で圧着されることにより接続される。そして、複数のピン11と複数のソケット12とが接触する部位が接続部分となる。なお、リード側部位12bは、リード線13の端部を収容した状態ではんだ付けされることにより接続されてもよい。
【0017】
複数のリード線13は、複数のソケット12にそれぞれ設けられている。リード線13は、接続部分から、具体的には、ソケット12の外側(ピン11が挿入される側とは反対側)の端部から、外部側へ向かって延びて設けられている。リード線13は、いわゆる芯線であり、導電体となっている。リード線13は、ピン11と同様に、クロメル、アルメル等の熱電対用の素線の他、測温抵抗体側と接続される銅材等が用いられている。リード線13は、ソケット12から湾曲して形成される湾曲部位13aと、湾曲部位13aから外部へ向かって直線状に延びる直線部位13bと、を含む。湾曲部位13aは、複数のリード線13が離れるように三次元に湾曲する形状となっている。直線部位13bは、複数のリード線13が並行するように直線形状となっている。また、直線部位13bは、スリーブ15に並行するように筐体5の外部へ向かって延びている。直線部位13bは、延在する方向が、ピン11の軸方向Iに沿う方向となっている。
【0018】
複数のシース14は、複数のリード線13に設けられている。各シース14は、複数のリード線13を束ねて被覆する被覆部材である。シース14は、リード線13の直線部位13bにおける外部側の端部に設けられている。
【0019】
スリーブ15は、ピン11とソケット12との接続部分を覆っている。スリーブ15は、ソケット12に挿入されるピン11の挿入方向、すなわち軸方向Iに亘って設けられる。スリーブ15は、円筒形状に形成されており、ピン11、ソケット12及びリード線13を内部に収容している。スリーブ15は、筐体5側(基部側)に設けられる基部側スリーブ21と、基部側スリーブ21に接続される外部側スリーブ22と、を有している。
【0020】
基部側スリーブ21は、円筒形状に形成され、中心軸がピン11の軸方向Iと同じ方向となるように配置されている。基部側スリーブ21は、筐体5側の端部が筐体5に接合されている。基部側スリーブ21は、中心軸の軸方向Iにおける長さが、ピン11とソケット12との接続部分、及びリード線13の湾曲部位13aを覆う長さとなっている。また、基部側スリーブ21は、中心軸の軸方向Iにおける長さが、外部側スリーブ22に比して短くなっている。
【0021】
外部側スリーブ22は、基部側スリーブ21と同様に、円筒形状に形成され、中心軸がピン11の軸方向Iと同じ方向となるように配置されている。外部側スリーブ22は、基部側スリーブ21よりも長く形成されている。外部側スリーブ22は、基部側スリーブ21よりも開口径が僅かに大きくなっており、基部側スリーブ21に接続される側の端部が、基部側スリーブ21の外周に位置して固定される。外部側スリーブ22は、中心軸の軸方向Iにおける長さが、リード線13の直線部位13b及びシース14の基部側を覆う長さとなっている。
【0022】
無機絶縁物17は、酸化系金属の粉体であり、例えば、酸化マグネシウムの粉体が用いられている。なお、無機絶縁物17は、酸化マグネシウムの粉体に特に限定されず、アルミナの粉体を用いてもよい。無機絶縁物17は、軸方向Iにおいて、スリーブ15内のピン11とソケット12との接続部分が位置する空間に充填される。具体的に、無機絶縁物17は、基部側スリーブ21内の筐体5側に充填される。
【0023】
封止材18は、軸方向Iにおいて、スリーブ15内の無機絶縁物17の外部側の空間に充填され、外部に対して筐体5内部を気密に封止する。具体的に、封止材18は、基部側スリーブ21及び外部側スリーブ22内に充填され、基部側スリーブ21内に充填される第1の封止材18aと、外部側スリーブ22内に充填される第2の封止材18bと、を有する。第1の封止材18aと第2の封止材18bとは、同じ樹脂系封止材となっており、例えば、エポキシ樹脂が適用されている。つまり、第1の封止材18aと第2の封止材18bとは、後述する電気コンタクトの形成方法において、2回に分けて充填されることにより形成される。なお、第1の封止材18aと第2の封止材18bとは、異なる材料であってもよい。第1の封止材18aは、基部側スリーブ21内において、リード線13の湾曲部位13a周りに充填される。第2の封止材18bは、外部側スリーブ22内において、リード線13の直線部位13b周りに充填される。このとき、リード線13が延在する方向(軸方向I)において、直線部位13b周りに充填された第2の封止材18bの長さは、湾曲部位13a周りに充填された第1の封止材18aの長さに比して長くなっている。なお、第2の封止材18bは、その一部が基部側スリーブ21内に充填されてもよい。
【0024】
(電気コンタクトの形成方法)
次に、図3を参照して、電気コンタクト1の形成方法について説明する。図3は、電気コンタクトの形成方法に関する説明図である。電気コンタクト1の形成方法では、筐体5が鉛直方向の下方側に位置すると共に、筐体5から鉛直方向の上方側に複数のピン11が突出した状態で、電気コンタクト1が形成される。
【0025】
電気コンタクト1の形成方法では、先ず、筐体5から突出した複数のピン11に、複数のソケット12を接続する(ステップS1)。ステップS1では、複数のピン11に複数のソケット12を挿入することで、各ピン11と各ソケット12とが接触する接続部分が形成される。また、各ソケット12の外側(上方側)の端部からは、リード線13が延びた状態となる。なお、ステップS1では、湾曲部位13aと直線部位13bとが予め形成されたリード線13を用いてもよいし、接続後において直線状のリード線13に湾曲部位13aと直線部位13bとを形成してもよい。また、リード線13の直線部位13bの外側端部は、シース14により被覆されている。
【0026】
続いて、電気コンタクト1の形成方法では、ピン11とソケット12との接続部分を覆うように、スリーブ15を、具体的には、基部側スリーブ21を配置する(ステップS2)。ステップS2において、基部側スリーブ21は、その筐体5側の端部が、筐体5に対して気密となるように接合される。また、ステップS2では、基部側スリーブ21の中心軸が、ピン11の軸方向Iと同じ方向となるように配置される。
【0027】
この後、電気コンタクト1の形成方法では、基部側スリーブ21内に、無機絶縁物17を充填する(ステップS3)。無機絶縁物17は、酸化系金属の粉体であることから、ステップS3では、バイブレーター等を用いて振動させて、無機絶縁物17の充填密度を高めることで、基部側スリーブ21内において無機絶縁物17を隙間なく充填している。そして、ステップS3では、無機絶縁物17の充填後、無機絶縁物17を押圧することで、無機絶縁物17を固める。
【0028】
次に、電気コンタクト1の形成方法では、スリーブ15内に封止材18を、具体的には、基部側スリーブ21内に第1の封止材18aを充填する(ステップS4)。ステップS4において、第1の封止材18aは、基部側スリーブ21の外側の端部に達するまで充填してもよいし、基部側スリーブ21の外側の端部に達するまで充填せずに、第2の封止材18bが充填される余地を残して充填してもよい。また、ステップS4では、第1の封止材18aが、基部側スリーブ21内における、リード線13の湾曲部位13aに充填される。そして、ステップS4では、第1の封止材18aを熱硬化させることで、外部に対して筐体5内部を気密に封止する。
【0029】
続いて、電気コンタクト1の形成方法では、外部側スリーブ22を基部側スリーブ21に接続して配置する(ステップS5)。ステップS5では、外部側スリーブ22の中心軸と基部側スリーブ21の中心軸とが同軸上となるように配置される。また、ステップS5では、外部側スリーブ22の下方側(基部側スリーブ21側)の端部が、基部側スリーブ21の外周に位置して固定される。基部側スリーブ21と外部側スリーブ22との固定は、嵌め合わせによる固定であってもよいし、ねじ締結による固定であってもよい。
【0030】
そして、電気コンタクト1の形成方法では、外部側スリーブ22内に第2の封止材18bを充填する(ステップS6)。ステップS6において、第2の封止材18bは、外部側スリーブ22の外側の端部に達するまで充填される。また、ステップS6では、第2の封止材18bが、外部側スリーブ22内における、リード線13の直線部位13b及びシース14の基部側に充填される。そして、ステップS6では、第2の封止材18bを熱硬化させることで、外部に対して筐体5内部をより気密に封止すると共に、リード線13の湾曲部位13aに加わる力を抑制する。
【0031】
以上のように、本実施形態に記載の電気コンタクト1及び電気コンタクト1の形成方法は、例えば、以下のように把握される。
【0032】
第1の態様に係る電気コンタクト1は、気密性能を有する電気コンタクトにおいて、ピン11と、前記ピン11が挿入されることで接続されるソケット12と、前記ピン11と前記ソケット12との接続部分を覆うと共に、前記ピン11の挿入方向(軸方向I)に亘って設けられるスリーブ15と、前記挿入方向において、前記スリーブ15内の前記接続部分が位置する空間に充填される無機絶縁物17と、前記挿入方向において、前記スリーブ15内の前記無機絶縁物17の外部側の空間に充填され、外部に対して気密に封止する封止材18と、を備える。
【0033】
この構成によれば、無機絶縁物17によりピン11とソケット12との接続部分を充填することができるため、熱膨張により接続部分が離れることによる導通不良を抑制することができる。また、封止材18により気密性能を担保することができる。よって、気密性能を維持しつつ、接続部分を強固に固定することができる。
【0034】
第2の態様として、第1の態様に係る電気コンタクト1において、前記無機絶縁物17は、酸化系金属の粉体である。
【0035】
この構成によれば、接続部分周りが狭い空間であっても、無機絶縁物を適切に充填することができ、また、熱膨張し難い絶縁物とすることができる。
【0036】
第3の態様として、第1または第2の態様に係る電気コンタクト1において、前記封止材18は、樹脂系封止材である。
【0037】
この構成によれば、気密性能を適切に担保可能な材料を用いることができる。なお、樹脂系封止材としては、エポキシ樹脂等が適用される。
【0038】
第4の態様として、第1から第3の態様のいずれか1つに係る電気コンタクト1において、前記接続部分から外部側へ向かって延びるリード線13を、さらに備え、前記スリーブ15は、前記リード線13を覆い、前記封止材18は、前記リード線13が位置する前記スリーブ15内に充填され、前記リード線13は、前記接続部分から湾曲する湾曲部位13aと、前記湾曲部位13aから前記スリーブ15に沿って直線状に延びる直線部位13bと、を含み、前記リード線13が延在する方向において、前記直線部位13bが位置する前記封止材18の長さは、前記湾曲部位13aが位置する前記封止材18の長さに比して長い。
【0039】
この構成によれば、直線部位13bが位置する封止材18の長さを長くすることにより、湾曲部位13aに加わる力を低減することができ、ソケット12への応力を低減できることから、接続部分周りの変形を抑制することができる。
【0040】
第5の態様として、第1から第4の態様のいずれか1つに係る電気コンタクト1において、前記スリーブ15は、基部側に設けられる前記接続部分を覆う基部側スリーブ21と、前記基部側スリーブ21に接続され、前記基部側スリーブ21よりも長い外部側スリーブ22と、を有し、前記無機絶縁物17は、前記基部側スリーブ21内に充填され、前記封止材18は、前記基部側スリーブ21及び前記外部側スリーブ22内に充填される。
【0041】
この構成によれば、スリーブ15を、基部側スリーブ21と外部側スリーブ22とに分けることで、電気コンタクト1を形成する際において、基部側スリーブ21における作業と、外部側スリーブ22における作業とに分けて作業をすることができる。このため、電気コンタクト1の形成に係る作業性を向上させることができる。
【0042】
第6の態様として、第5の態様に係る電気コンタクト1において、前記封止材18は、前記基部側スリーブ21内に充填される第1の封止材18aと、前記外部側スリーブ22内に充填される第2の封止材18bと、を有する。
【0043】
この構成によれば、基部側スリーブ21における第1の封止材18aの充填を行った後に、外部側スリーブ22における第2の封止材18bの充填を行うことができる。このため、封止材18が適切に充填されていることを確認しながら、封止材18の充填作業を行うことが可能となる。
【0044】
第7の態様に係る電気コンタクト1の形成方法は、気密性能を有する電気コンタクト1の形成方法であって、ピン11をソケット12に挿入して接続するステップS1と、前記ピン11と前記ソケット12との接続部分を覆うスリーブ15を、前記ピン11の挿入方向に亘って配置するステップS2、S5と、前記挿入方向において、前記スリーブ15内の前記接続部分が位置する空間に、無機絶縁物17を充填するステップS3と、前記挿入方向において、前記スリーブ15内の前記無機絶縁物17の外部側の空間に、外部に対して気密に封止する封止材18を充填するステップS4、S6と、を実行する。
【0045】
この構成によれば、無機絶縁物17によりピン11とソケット12との接続部分を充填することができるため、熱膨張により接続部分が離れることによる導通不良を抑制することができる。また、封止材18により気密性能を担保することができる。よって、気密性能を維持しつつ、接続部分を強固に固定することができる。
【0046】
第8の態様として、第7の態様に係る電気コンタクト1の形成方法において、前記スリーブ15は、基部側に設けられる前記接続部分を覆う基部側スリーブ21と、前記基部側スリーブ21に接続され、前記基部側スリーブ21よりも長い外部側スリーブ22と、を有し、前記スリーブ15を配置するステップS2、S5は、前記接続部分を覆う前記基部側スリーブ21を配置するステップS2と、前記基部側スリーブ21に接続して前記外部側スリーブ22を配置するステップS5と、を含み、前記無機絶縁物17を充填するステップS3は、前記基部側スリーブ21内に、前記無機絶縁物17を充填し、前記封止材18を充填するステップS4、S6は、前記基部側スリーブ21内に、第1の封止材18aを充填するステップS4と、前記外部側スリーブ22内に、第2の封止材18bを充填するステップS6と、を含む。
【0047】
この構成によれば、スリーブ15を、基部側スリーブ21と外部側スリーブ22とに分けることで、電気コンタクト1を形成する際において、基部側スリーブ21における作業と、外部側スリーブ22における作業とに分けて作業をすることができる。また、基部側スリーブ21における第1の封止材18aの充填を行った後に、外部側スリーブ22における第2の封止材18bの充填を行うことができる。このため、封止材18が適切に充填されていることを確認しながら、封止材18の充填作業を行うことができ、電気コンタクト1の形成に係る作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 電気コンタクト
5 筐体
11 ピン
12 ソケット
13 リード線
13a 湾曲部位
13b 直線部位
14 シース
15 スリーブ
17 無機絶縁物
18 封止材
21 基部側スリーブ
22 外部側スリーブ
図1
図2
図3