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特開2024-49133制御可能なリピータが介在したRANにおける基地局、端末、プログラム、システム及び通信方法
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  • 特開-制御可能なリピータが介在したRANにおける基地局、端末、プログラム、システム及び通信方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049133
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】制御可能なリピータが介在したRANにおける基地局、端末、プログラム、システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/22 20090101AFI20240402BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20240402BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240402BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20240402BHJP
   H04B 7/155 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H04W40/22
H04W72/04 111
H04W16/28 130
H04W16/26
H04B7/155
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155410
(22)【出願日】2022-09-28
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度総務省、「基地局端末間の協調による動的ネットワーク制御に関する研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】堅岡 良知
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
(72)【発明者】
【氏名】天野 良晃
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 将弘
【テーマコード(参考)】
5K067
5K072
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K072AA29
5K072BB25
(57)【要約】
【課題】RANにおけるリピータの介在に応じて、端末が通信方式を制御することができる基地局等を提供する。
【解決手段】端末として、リピータの介在を認識しない第1の通信方式と、リピータの介在を認識する第2の通信方式とを適用可能である。基地局は、第2の通信方式を指示する制御情報を、リピータを介して端末へ送信する。端末からの上りリンクに、周波数多重化のキャリアアグリゲーションが適用される。第1の通信方式は、1個の物理パケットを1個のコンポーネントキャリアで構成し、複数のコンポーネントキャリアを多重化して送信するものである。第2の通信方式は、1個の物理パケットを複数の子物理パケットに分割し、1個の子物理パケットを1個のコンポーネントキャリアで構成し、複数のコンポーネントキャリアを多重化して送信するものである。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末との間で、直接的に、又は、リピータを介して中継して通信する基地局において、
端末として、リピータの介在を認識しない第1の通信方式と、リピータの介在を認識する第2の通信方式とを適用可能であり、
第2の通信方式を指示する制御情報を、リピータを介して端末へ送信する
ことを特徴とする基地局。
【請求項2】
リピータとの間でコントロールリンクを確立し、リピータを介して端末との間でランダムアクセスチャネルを確立した後、制御情報を端末へ送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
端末からの上りリンクに、周波数多重化のキャリアアグリゲーションが適用され、
第1の通信方式は、1個の物理パケットを1個のコンポーネントキャリアで構成し、複数のコンポーネントキャリアを多重化して送信するものであり、
第2の通信方式は、1個の物理パケットを複数の子物理パケットに分割し、1個の子物理パケットを1個のコンポーネントキャリアで構成し、複数のコンポーネントキャリアを多重化して送信するものである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基地局。
【請求項4】
請求項3に記載の基地局と、端末との間で、無線信号を中継するリピータであって、
端末からの上りリンクに、周波数多重化のキャリアアグリゲーションを適用し、
リピータからの上りリンクに、空間多重化のMIMO(Multi Input Multi Output)を適用する
ことを特徴とするリピータ。
【請求項5】
基地局との間で、直接的に、又は、リピータを介して中継して通信する端末において、
リピータの介在を認識しない第1の通信方式と、リピータの介在を認識する第2の通信方式とを適用可能であり、
端末からリピータを介して、第2の通信方式を指示する制御情報を受信し、当該第2の通信方式を適用する
ことを特徴とする端末。
【請求項6】
リピータを介して基地局との間でランダムアクセスチャネルを確立した後、制御情報を基地局から受信する
ことを特徴とする請求項5に記載の端末。
【請求項7】
上りリンクに、周波数多重化のキャリアアグリゲーションを適用し、
第1の通信方式は、1個の物理パケットを1個のコンポーネントキャリアで構成し、複数のコンポーネントキャリアを多重化して送信するものであり、
第2の通信方式は、1個の物理パケットを複数の子物理パケットに分割し、1個の子物理パケットを1個のコンポーネントキャリアで構成し、複数のコンポーネントキャリアを周波数的に多重化して送信するものである
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の端末。
【請求項8】
端末との間で、直接的に、又は、リピータを介して中継して通信する基地局に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
端末として、リピータの介在を認識しない第1の通信方式と、リピータの介在を認識する第2の通信方式とを適用可能であり、
第2の通信方式を指示する制御情報を、リピータを介して端末へ送信する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
基地局との間で、直接的に、又は、リピータを介して中継して通信する端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
リピータの介在を認識しない第1の通信方式と、リピータの介在を認識する第2の通信方式とを適用可能であり、
端末からリピータを介して、第2の通信方式を指示する制御情報を受信し、当該第2の通信方式を適用する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
直接的に、又は、リピータを介して中継して通信する基地局及び端末を有するシステムにおいて、
端末として、リピータの介在を認識しない第1の通信方式と、リピータの介在を認識する第2の通信方式とを適用可能であり、
基地局は、第2の通信方式を指示する制御情報を、リピータを介して端末へ送信する
ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
基地局と端末との間で、直接的に、又は、リピータを介して中継して通信する通信方法において、
端末として、リピータの介在を認識しない第1の通信方式と、リピータの介在を認識する第2の通信方式とを適用可能であり、
基地局は、第2の通信方式を指示する制御情報を、リピータを介して端末へ送信する
ことを特徴とする通信方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RAN(Radio Access Network)に配置されるリピータの技術に関する。特に、5G規格で用いられるNCR(Network Control Repeater)に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、リピータを含むRANのシステム構成図である。
【0003】
移動通信システムによれば、移動可能な端末3と、複数の基地局2と、コアシステム4とによって構成される。
図1によれば、基地局2と端末3との間を構成するRANに、リピータ1が介在する。リピータ1は、無線信号を増幅して中継転送し、基地局2と端末3との間のカバレッジ(電波範囲)を拡大することができる。
【0004】
端末3は、「UE(User Equipment)」と称され、基地局2を介してコアシステム4と通信する。このとき、端末3は一般的に、リピータ1の介在を認識することなく、基地局2との間で無線信号を通信する。勿論、端末3は、リピータ1との間で制御情報をやりとりすることもない。
【0005】
基地局2は、「gNB」と称され、複数の端末3と、直接的に、又は、リピータ1を介在して通信する。尚、基地局2は、物理的に別途に存在するものであってもよいし、例えば仮想化技術やスライス技術によって、RAN内で論理的に分割されたものであってもよい。
【0006】
コアシステム4は、コントロールプレーン設備装置とユーザプレーン設備装置とから構成される。
コントロールプレーン設備装置は、通信確立などの制御信号を送受信するネットワーク装置群であって、AMF(Access and Mobility Management Function)やSMF(Session Management Function)のネットワーク装置群を有する。
ユーザプレーン設備装置は、ユーザデータを送受信するために、UPF(User Plane Function)の装置群を有する。
【0007】
図2は、端末と基地局との間の直接通信方式を表す説明図である。
【0008】
図2(a)によれば、端末3と基地局2との間の直接通信方式を表す。
リンク(基地局-端末) :28GHz帯・400MHz幅・空間多重1
端末3は、1個の物理パケットを、1個のコンポーネントキャリア(Component Carrier)で構成し、1個のコンポーネントキャリアを基地局2へ送信する。
【0009】
図2(b)によれば、端末3と基地局2との間における周波数多重区間方式の直接通信方式を表す。
リンク(基地局-端末) :39GHz帯・1.6GHz幅(4CC)・空間多重1
アクセスリンク(リピータ-端末) :39GHz帯・1.6GHz幅(4CC)・空間多重1
バックホールリンク(基地局-リピータ):39GHz帯・1.6GHz幅(4CC)・空間多重1
【0010】
ここでのリピータ1は、無線信号を単に増幅転送するRF(Radio Frequency)リピータである。リピータ1は、物理レイヤの増幅機能であるために、バックホールリンク(Backhaul link)及びアクセスリンク(Access link)の通信方式は同一のものとなる。勿論、基地局2及び端末3は、リピータ1の介在を全く認識する必要がない。
【0011】
端末3は、上りリンクとして、周波数多重化のキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)によって物理パケットを送信する(例えば非特許文献7参照)。端末3は、1個の物理パケットを、1個のコンポーネントキャリアで構成し、キャリアグリゲーションによって、4個のコンポーネントキャリアを同時に送信する。基地局2は、4個の物理パケットを同時に受信することとなる。
【0012】
図3は、リピータを介在した基地局及び端末間のプロトコル構成図である。
【0013】
5GのRAN規格に基づくNCRのリピータ1は、コントロールプレーン機能を有し、基地局からの制御を受け入れる(例えば非特許文献3参照)。
図3によれば、リピータ1は、コントロールプレーン機能11と、ユーザプレーン機能12とを有する。コントロールプレーン機能11は、NCR-MT(Mobile Termination)であり、ユーザプレーン機能12は、NCR-Fwd(Forwarding)である。
【0014】
<コントロールプレーン機能11>
コントロールプレーン機能11は、基地局2との間でコントロールリンクを確立する。図3によれば、以下のようなプロトコル構成を有する。
RRC(Radio Resource Control)
PDCP(Packet Domain Convergence Protocol)
RLC(Radio Link Control)
MAC(Media Access Control)
物理レイヤ(Physical Layer)
【0015】
<ユーザプレーン機能12>
ユーザプレーン機能12は、基地局2との間でバックホールリンクを確立し、端末3との間でアクセスリンクを確立する。図3によれば、以下のようなプロトコル構成を有する。
SDAP(Service Data Adaptation Protocol)
PDCP(Packet Domain Convergence Protocol)
RLC(Radio Link Control)
MAC(Media Access Control)
物理レイヤ(Physical Layer)
【0016】
コントロールプレーン機能11は、基地局2から呼出メッセージ(paging)を受信した際に、接続状態へ移行すると共に、基地局2との間でコントロールリンクを確立する。そして、コントロールプレーン機能11は、ユーザプレーン機能12の転送部をオン状態に移行させる。その後、リピータ1は、基地局2と端末3との間で中継するべく、無線信号の増幅転送を開始する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】3GPP, TS 36.211, ”Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E UTRA );Physical channels and modulation”, v17.2.0
【非特許文献2】3GPP, TS 36.213, ”Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E UTRA );Physical layer procedures”, v17.2.0
【非特許文献3】3GPP, TR 38.867, ”Study on NR network controlled repeaters”, v0.1.0
【非特許文献4】3GPP, TS 38.213, ”Physical layer procedures for control”, v17.2.0
【非特許文献5】3GPP, TS 38.331, ”Radio Resource Control (RRC) protocol specification”, v17.1.0
【非特許文献6】3GPP, TS 38.211, ”Physical channels and modulation”, v17.2.0、6.3.1.3 Layer mapping、Table 7.3.1.3 1: Codeword to layer mapping for spatial multiplexing
【非特許文献7】「5G/NR - Carrier Aggregation」、[online]、[令和4年9月15日検索]、インターネット<URL:https://www.sharetechnote.com/html/5G/5G_CarrrierAggregation.html>
【非特許文献8】「5G/NR - MIMO UL」、[online]、[令和4年9月15日検索]、インターネット<URL:https://www.sharetechnote.com/html/5G/5G_MIMO_UL.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
図4は、多重軸変換方式のリピータを介在した従来技術におけるRANを表す説明図である。
【0019】
図4の多重軸変換方式によれば、リピータ1は、アクセスリンクについて、周波数多重化のキャリアアグリゲーションを適用し、バックホールリンクについて、空間多重化のMIMO(Multi Input Multi Output)を適用している(例えば非特許文献8参照)。
【0020】
図4によれば、リピータ1から見て、アクセスリンクの通信方式と、バックホールリンクの通信方式とが異なる。
アクセスリンク(リピータ-端末) :39GHz帯・1.6GHz幅(4CC)・空間多重1
バックホールリンク(基地局-リピータ):28GHz帯・400MHz幅・空間多重4
【0021】
リピータ1は、中継時に、周波数軸上の信号と空間軸上の信号との間で変換する。リピータ1が多重軸変換方式で中継することによって、端末3から基地局2に対して、大容量且つ低遅延な通信を実現することができる。
【0022】
アクセスリンクについて、端末3は、リピータ1へ、周波数多重化のキャリアアグリゲーションによって物理パケットを送信する。端末3は、1個の物理パケットを、1個のコンポーネントキャリアで構成し、キャリアグリゲーションによって、4個のコンポーネントキャリアを同時に送信する。
リピータ1は、アクセスリンクについて、キャリアグリゲーションによって、4個のコンポーネントキャリアを、端末3から同時に受信する。
【0023】
バックホールリンクについて、リピータ1は、基地局2へ、空間多重化のMIMOによってコンポーネントキャリアを送信する。通常、MIMOでは、1個の物理パケット(ここではコンポーネントキャリア)を例えば4個のレイヤブロックによって構成する。リピータ1は、同時に受信した4個のコンポーネントキャリアをそれぞれ増幅した後、4個のレイヤブロックで基地局2へ同時に送信する。
【0024】
ここで、基地局2は、4個のコンポーネントキャリアを4個のレイヤブロックで同時に受信する。このとき、基地局2は、MIMOにおける受信処理によって、同時に受信した4個のレイヤブロックから1個の物理パケットを復調しようとして、失敗するという課題が生じる。正しくは、同時に受信した4個のレイヤブロックから4個の物理パケットが復調されなければならない。
【0025】
これに対し、端末3が、リピータ1の介在に対応した物理パケットの構成で予め送信する、こともできる。しかしながら、端末3は、RANにおけるリピータ1の介在を認識していない。また、リピータ1が、端末3へ、中継方式を通知するような制御信号を送信することもできない。即ち、端末3は、RANにおけるリピータ1の介在に応じて、通信方式を制御することもできない。
【0026】
そこで、本発明は、RANにおけるリピータの介在に応じて、端末が通信方式を制御することができる基地局、端末、プログラム、システム及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明によれば、端末との間で、直接的に、又は、リピータを介して中継して通信する基地局において、
端末として、リピータの介在を認識しない第1の通信方式と、リピータの介在を認識する第2の通信方式とを適用可能であり、
第2の通信方式を指示する制御情報を、リピータを介して端末へ送信する
ことを特徴とする。
【0028】
本発明の基地局における他の実施形態によれば、
リピータとの間でコントロールリンクを確立し、リピータを介して端末との間でランダムアクセスチャネルを確立した後、制御情報を端末へ送信する
ことも好ましい。
【0029】
本発明の基地局における他の実施形態によれば、
端末からの上りリンクに、周波数多重化のキャリアアグリゲーションが適用され、
第1の通信方式は、1個の物理パケットを1個のコンポーネントキャリアで構成し、複数のコンポーネントキャリアを多重化して送信するものであり、
第2の通信方式は、1個の物理パケットを複数の子物理パケットに分割し、1個の子物理パケットを1個のコンポーネントキャリアで構成し、複数のコンポーネントキャリアを多重化して送信するものである
ことも好ましい。
【0030】
本発明によれば、前述した基地局と、端末との間で、無線信号を中継するリピータであって、
端末からの上りリンクに、周波数多重化のキャリアアグリゲーションを適用し、
リピータからの上りリンクに、空間多重化のMIMO(Multi Input Multi Output)を適用する
ことを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、基地局との間で、直接的に、又は、リピータを介して中継して通信する端末において、
リピータの介在を認識しない第1の通信方式と、リピータの介在を認識する第2の通信方式とを適用可能であり、
端末からリピータを介して、第2の通信方式を指示する制御情報を受信し、当該第2の通信方式を適用する
ことを特徴とする。
【0032】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
リピータを介して基地局との間でランダムアクセスチャネルを確立した後、制御情報を基地局から受信する
ことも好ましい。
【0033】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
上りリンクに、周波数多重化のキャリアアグリゲーションを適用し、
第1の通信方式は、1個の物理パケットを1個のコンポーネントキャリアで構成し、複数のコンポーネントキャリアを多重化して送信するものであり、
第2の通信方式は、1個の物理パケットを複数の子物理パケットに分割し、1個の子物理パケットを1個のコンポーネントキャリアで構成し、複数のコンポーネントキャリアを周波数的に多重化して送信するものである
ことも好ましい。
【0034】
本発明によれば、端末との間で、直接的に、又は、リピータを介して中継して通信する基地局に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
端末として、リピータの介在を認識しない第1の通信方式と、リピータの介在を認識する第2の通信方式とを適用可能であり、
第2の通信方式を指示する制御情報を、リピータを介して端末へ送信する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0035】
本発明によれば、基地局との間で、直接的に、又は、リピータを介して中継して通信する端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
リピータの介在を認識しない第1の通信方式と、リピータの介在を認識する第2の通信方式とを適用可能であり、
端末からリピータを介して、第2の通信方式を指示する制御情報を受信し、当該第2の通信方式を適用する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0036】
本発明によれば、直接的に、又は、リピータを介して中継して通信する基地局及び端末を有するシステムにおいて、
端末として、リピータの介在を認識しない第1の通信方式と、リピータの介在を認識する第2の通信方式とを適用可能であり、
基地局は、第2の通信方式を指示する制御情報を、リピータを介して端末へ送信する
ことを特徴とする。
【0037】
本発明によれば、基地局と端末との間で、直接的に、又は、リピータを介して中継して通信する通信方法において、
端末として、リピータの介在を認識しない第1の通信方式と、リピータの介在を認識する第2の通信方式とを適用可能であり、
基地局は、第2の通信方式を指示する制御情報を、リピータを介して端末へ送信する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明の基地局、端末、プログラム、システム及び通信方法によれば、RANにおけるリピータの介在に応じて、端末が通信方式を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】リピータを含むRANのシステム構成図である。
図2】端末と基地局との間の直接通信方式を表す説明図である。
図3】リピータを介在した基地局及び端末間のプロトコル構成図である。
図4】多重軸変換方式のリピータを介在した従来技術におけるRANを表す説明図である。
図5】多重軸変換方式のリピータを介在した本発明におけるRANを表す説明図である。
図6】リピータを介在した本発明におけるRANのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0041】
本発明によれば、基地局と端末との間で、直接的に、又は、リピータを介して中継して通信する。
ここで、端末は、多重軸変換方式のリピータの介在の有無によって、以下の2つの通信方式を適用可能であるとする。
「第1の通信方式」:多重軸変換方式のリピータの介在無し
「第2の通信方式」:多重軸変換方式のリピータの介在有り
即ち、リピータが、無線信号の単なる増幅転送のみで中継する「直接通信方式」を適用する場合、端末は、「第1の通信方式」を適用する。一方で、リピータが、アクセスリンクとバックホールリンクとの間で「多重軸変換方式」を適用する場合、端末は、「第2の通信方式」を適用する。
【0042】
本発明によれば、端末は、無線信号を単に増幅転送する第1の通信方式として、前述した図2(b)と全く同様に適用する。
リンク(基地局-端末) :39GHz帯・1.6GHz幅(4CC)・空間多重1
アクセスリンク(リピータ-端末) :39GHz帯・1.6GHz幅(4CC)・空間多重1
バックホールリンク(基地局-リピータ):39GHz帯・1.6GHz幅(4CC)・空間多重1
前述した図2(b)によれば、端末3からの上りリンクに、周波数多重化のキャリアアグリゲーションが適用される。
第1の通信方式は、1個の物理パケットを1個のコンポーネントキャリアで構成する。そして、キャリアグリゲーションによって、例えば4個のコンポーネントキャリアを同時に送信する。
基地局2は、リピータ1の介在の有無に関係無く、4個のコンポーネントキャリアを同時に受信することとなる。
【0043】
図5は、多重軸変換方式のリピータを介在した本発明におけるRANを表す説明図である。
【0044】
本発明によれば、端末は、第2の通信方式として、図5のように適用する。
アクセスリンク(リピータ1-端末3) :39GHz帯・1.6GHz幅・4CC
バックホールリンク(基地局2-リピータ1):28GHz帯・400MHz幅・空間多重4
【0045】
図5も、端末3からの上りリンクに、周波数多重化のキャリアアグリゲーションが適用される。
第2の通信方式は、1個の物理パケットを例えば4個の子物理パケットに分割し、1個の子物理パケットを1個のコンポーネントキャリアで構成する。そして、キャリアグリゲーションによって、それら4個のコンポーネントキャリアを同時に送信する。
リピータ1は、4個のコンポーネントキャリアを同時に受信することとなる。
【0046】
また、図5によれば、リピータ1からの上りリンクに、空間多重化のMIMOが適用される。
リピータ1は、アクセスリンクについて、周波数多重化のキャリアアグリゲーションによって、4個のコンポーネントキャリア(4個の子物理パケット)を同時に受信する。これに対し、空間多重化のMIMOは、端末3から受信したコンポーネントキャリア毎に、レイヤブロックで構成する。即ち、リピータ1は、4個のレイヤブロックを複数のアンテナ素子から多重化して送信する。
基地局2は、MIMOによって、リピータ1から4個のレイヤブロックを同時に受信し、1個の物理パケットに復調することができる。
【0047】
図5について注目すべきは、端末3は、第2の通信方式について、例えば4個の子物理パケットを4個のコンポーネントキャリア(=1個の物理パケット)でリピータ1へ送信し、リピータ1は、4個のコンポーネントキャリアを4個のレイヤブロックで基地局2へ転送する。即ち、リピータ1は、コンポーネントキャリア単位(=子物理パケット)で増幅するだけである。
これに対し、基地局2は、4個のコンポーネントキャリアを4個のレイヤブロックで同時に受信する。そして、同時に受信した4個のレイヤブロックから1個の物理パケットを復調することができる。
【0048】
図6は、リピータを介在した本発明におけるRANのシーケンス図である。
【0049】
図6によれば、前述した図5のように、端末3は、第1の通信方式及び第2の通信方式を適用可能であるとする。
(S1)最初に、基地局2は、リピータ1との間で、バックホールリンクに、コントロールリンクを確立する。
(S2)次に、基地局2は、リピータ1を介して端末3との間で、ランダムアクセスチャネルを確立する。
(S3)次に、基地局2は、リピータ1を介して端末3との間で、RRC(Radio Resource Control)のコネクションを確立する。
このとき、端末3は、周波数多重化のキャリアアグリゲーションについて、既定の「第1の通信方式」を適用しようとする。第1の通信方式によれば、端末3は、1個の物理パケットを、1個のコンポーネントキャリアで構成し、例えば4個のコンポーネントキャリアを同時に送信する。
【0050】
(S4)基地局2は、リピータ1との間でコントロールリンクを介して、上りリンクを空間多重化のMIMOによって送信することを適用したとする。このとき、基地局2は、端末3が「第2の通信方式」を適用するべく、RRC Reconfigurationに「制御情報(第2の通信方式)」を含めて、リピータ1を介して端末3へ送信する。
【0051】
(S5)端末3は、周波数多重化のキャリアアグリゲーションについて、第2の通信方式を適用する。第2の通信方式によれば、端末3は、1個の物理パケットを、例えば4個の子物理パケットに分割する。そして、1個の子物理パケットを1個のコンポーネントキャリアで構成する。即ち、1個の物理パケットを分割し、例えば4個のコンポーネントキャリアに構成し、キャリアアグリゲーションによって、4個のコンポーネントキャリアを同時に送信する。
【0052】
以上、詳細に説明したように、本発明の基地局、端末、プログラム、システム及び通信方法によれば、RANにおけるリピータの介在に応じて、端末が通信方式を制御することができる。
具体的には、アクセスリンクが周波数多重方式であり、バックホールリンクが空間多重方式のような多重軸変換方式のリピータが介在した場合であっても、そのリピータは、コンポーネントキャリア単位で増幅するだけであり、基地局2は、1個の物理パケットの再構成に失敗することがなくなる。
【0053】
尚、これにより、例えば「基地局と端末との間のRANについて、リピータを介在させて、大容量且つ低遅延な通信を実現することができる」ことから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0054】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0055】
1 リピータ
11 コントロールプレーン機能
12 ユーザプレーン機能
2 基地局
3 端末
4 コアシステム

図1
図2
図3
図4
図5
図6