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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049138
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】工作機械の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/00 20060101AFI20240402BHJP
   B23Q 1/01 20060101ALI20240402BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20240402BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20240402BHJP
【FI】
B23Q1/00 S
B23Q1/01 G
G06F30/10 100
G06F30/20
B23Q1/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155418
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 晃
【テーマコード(参考)】
3C048
5B146
【Fターム(参考)】
3C048AA03
3C048BB01
3C048EE06
5B146DC04
5B146DJ02
5B146EA07
5B146EA18
(57)【要約】
【課題】工作機械の支持部の最適化により、加工精度の向上が図られた工作機械の製造方法を提供する。
【解決手段】工作機械本体と該工作機械本体の底部に設けられた支持部とを備える工作機械の製造方法であって、平面領域設定工程S1、対象領域設定工程S2、荷重条件設定工程S3、最適化工程S4を含む。平面領域設定工程S1では、工作機械本体の底部の少なくとも一部を平面状にして平面領域を設定する。対象領域設定工程S2では、平面領域から高さ方向下方に向けて上記支持部の高さ分引き延ばして、トポロジー最適化の対象領域を設定する。荷重条件設定工程S3では、工作機械本体から上記支持部に作用する荷重条件を設定する。最適化工程S4では、上記対象領域において、荷重条件に基づいてトポロジー最適化処理を行って上記支持部の数及び配置の最適化をする。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械本体と該工作機械本体の底部に設けられた支持部とを備える工作機械の製造方法であって、
上記工作機械本体の底部の少なくとも一部を平面状にして平面領域を設定する平面領域設定工程と、
上記平面領域から高さ方向下方に向けて上記支持部の高さ分引き延ばして、トポロジー最適化の対象領域を設定する対象領域設定工程と、
上記工作機械本体から上記支持部に作用する荷重条件を設定する荷重条件設定工程と、
上記対象領域において、上記荷重条件に基づいてトポロジー最適化処理を行って上記支持部の数及び配置の最適化をする最適化工程と、を含む、工作機械の製造方法。
【請求項2】
上記最適化工程において、上記荷重の負荷点の変位を最小化することを目的関数として上記トポロジー最適化を行う、請求項1に記載の工作機械の製造方法。
【請求項3】
上記荷重条件設定工程において、上記荷重条件は、上記工作機械本体に取り付けられた可動部の移動に伴う荷重の変化を含む、請求項1又は2に記載の工作機械の製造方法。
【請求項4】
上記最適化工程において、上記対象領域の体積削減率を制約条件として、上記トポロジー最適化を行う、請求項1又は2に記載の工作機械の製造方法。
【請求項5】
上記体積削減率は80%以上である、請求項4に記載の工作機械の製造方法。
【請求項6】
上記対象領域は、上記高さ方向において2層以上10層未満のメッシュモデルからなる、請求項1又は2に記載の工作機械の製造方法。
【請求項7】
上記メッシュモデルは、6面体のメッシュを組み合わせてなる、請求項6に記載の工作機械の製造方法。
【請求項8】
上記支持部は、高さ調整可能な支持軸を有する、請求項1又は2に記載の工作機械の製造方法。
【請求項9】
上記最適化工程において、上記対象領域のうち最下層の変位を規制することを制約条件として、上記トポロジー最適化を行う、請求項1又は2に記載の工作機械の製造方法。
【請求項10】
上記トポロジー最適化の結果に基づいて上記支持部の配置及び数を設定する支持部配置工程を含む、請求項1又は2に記載の工作機械の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、工作機械における加工精度を向上するために、トポロジー最適化によりトレードオフの関係にある工作機械の剛性と質量との最適化を図る構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-66104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、工作機械の加工精度を高めるには、工作機械の底部に備えられる支持部の数や配置も重要な要素となるが、特許文献1に開示の構成では、当該支持部の数や配置については何ら検討されていない。そこで、特許文献1に開示の構成において、支持部についても工作機械本体の場合と同様にトポロジー最適化を適用して支持部の数や配置を最適化することが考えられる。しかしながら、この場合、支持部の数や配置について膨大なパターンの評価が必要となり、過度の計算負荷が生じるため現実的ではないため、工作機械の加工精度をさらに高めるには改善の余地がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、工作機械の支持部の最適化により、加工精度の向上が図られた工作機械の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、工作機械本体と該工作機械本体の底部に設けられた支持部とを備える工作機械の製造方法であって、
上記工作機械本体の底部の少なくとも一部を平面状にして平面領域を設定する平面領域設定工程と、
上記平面領域から高さ方向下方に向けて上記支持部の高さ分引き延ばして、トポロジー最適化の対象領域を設定する対象領域設定工程と、
上記工作機械本体から上記支持部に作用する荷重条件を設定する荷重条件設定工程と、
上記対象領域において、上記荷重条件に基づいてトポロジー最適化処理を行って上記支持部の数及び配置の最適化をする最適化工程と、を含む、工作機械の製造方法にある。
【発明の効果】
【0007】
上記一態様によれば、トポロジー最適化の対象領域は、工作機械本体の底部に設定された平面領域を支持部の高さ分下方に引き延ばした領域として設定され、工作機械本体から支持部に対する荷重条件に基づいてトポロジー最適化を行う。そのため、トポロジー最適化において、工作機械本体の形状を変更することなく、支持部の配置及び数の最適化を図ることができることから、計算負荷を低減することができ、加工精度の向上が図られた工作機械を製造することができる。
【0008】
以上のごとく、上記態様によれば、工作機械の支持部の最適化により、加工精度の向上が図られた工作機械の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1における、工作機械の斜視図。
図2】実施形態1における、(a)第1状態の工作機械の側面、(b)第2状態の工作機械の側面図、(c)第3状態の工作機械の側面図。
図3】実施形態1における、支持部の斜視図。
図4】実施形態1における、工作機械の製造装置のブロック図。
図5】実施形態1における、工作機械の一部における底面斜視図。
図6】実施形態1における、トポロジー最適化の対象領域の概念斜視図。
図7】実施形態1における、(a)トポロジー最適化結果の例、(b)トポロジー最適化結果の他の例。
図8】実施形態1における、荷重負荷点の変位量と支持部の数との関係を示す概念図。
図9】実施形態1における、製造方法のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
1.工作機械1
上記工作機械1の製造方法に係る実施形態1について、図1図9を参照して説明する。図1に示すように、工作機械1は、汎用的な工作機械とすることができ、本実施形態1では、マシニングセンタを適用する。マシニングセンタは、工具交換可能に構成されており、装着された工具に応じた加工が可能である。また、本形態においては、工作機械1としてのマシニングセンタは、横形マシニングセンタを基本構成とする。ただし、立形マシニングセンタなど、他の構成を適用することもできる。
【0011】
図1に示すように、工作機械1は、例えば、相互に直交する3つの直進軸(X軸、Y軸、Z軸)を駆動軸として有する。工作機械1は工作機械本体として、ベッド10、工作物保持装置20及び工具保持装置30を備え、さらに支持部40を有する。ベッド10は設置面上に設置され、工作物保持装置20が載置される工作物側ベッド10aと、工具保持装置30が載置される工具側ベッド10bとを含む。工作物側ベッド10a及び工具側ベッド10bの形状は限定されないが、それぞれの外径は略直方体となっており、必要な剛性が確保される範囲で軽量化を図るために一部が肉抜きされている。工作物側ベッド10aの上面には、X軸方向に延在する一対のX軸ガイドレール11が形成されている。また、工具側ベッド10bの上面には、Z軸方向に延在する一対のZ軸ガイドレール12が形成されている。
【0012】
工作物保持装置20は、工作物側ベッド10a上に設けられ、テーブル21と図示しない工作物主軸装置を主に備える。テーブル21は、X軸ガイドレール11を介してX軸方向へ移動可能に構成されている。工作物主軸装置は、テーブル21上に設けられ、工作物を回転可能に保持する。
【0013】
工具保持装置30は、工具側ベッド10b上に設けられ、コラム31、サドル32、工具主軸装置33を主に備える。図2(a)~(c)に示すように、コラム31は、Z軸ガイドレール12を介してZ軸方向へ移動可能に構成されている。コラム31の上下方向に延びる面(図1の左面)には、Y軸ガイドレール31aが成されている。サドル32はY軸ガイドレール31aを介してY軸方向へ移動可能に構成されている。工具主軸装置33は工具Tを保持するものであって、サドル32に設けられると共に、サドル32と一体的にY軸方向へ移動する。工具主軸装置33には、工具を回転させる回転モータ(図示せず)が備えられている。
【0014】
支持部40は複数備えられ、工作機械本体10~30を支持する。支持部40の数及び配置は後述するトポロジー最適化により決定させる。支持部40は、工作機械本体10~30のレベリングを行って水平状態となるように支持することができるように構成されている。支持部40は、例えば、ジャッキボルト、レベリングボルト、レベリングフット、アジャスタボルトなどを採用することができ、本実施形態1では、図3に示すように、支持部40は、ベース41、支持軸42、固定ナット43を備えるアジャスタボルトからなる。ベース41は接地面Fに載置され、支持軸42はベース41に接続されて高さ調整可能なっており、固定ナット43は工具側ベッド10bを支持軸42の先端の所定高さの位置にて固定する。
【0015】
2.工作機械1の製造装置100(設計装置)
次に、工作機械1の製造装置100について説明する。本実施形態1における工作機械1の製造装置100は、主に、支持部40の数及び配置についてのシミュレーションを行って、シミュレーション結果に基づいて支持部40を形成する。図4に示すように、工作機械1の製造装置100は、平面領域設定部101、対象領域設定部102、荷重条件設定部103、目的関数設定部104、制約条件設定部105、最適化処理部106、支持部配置設定部107を備える。
【0016】
平面領域設定部101は、予め所定の形状として設定された工作機械本体における工具側ベッド10bの底部の少なくとも一部を平面状にして平面領域Pを設定する。本実施形態1では、図5に示すように、工具側ベッド10bの底面全体を平面状として平面領域Pを設定する。工具側ベッド10bの底面の所定領域のみ平面状としてもよい。平面領域設定部101は、所定のプログラムを実行するコンピュータにより構成することができる。
【0017】
対象領域設定部102は、平面領域から高さ方向Yの下方に向けて上記支持部の高さ分引き延ばして、トポロジー最適化の対象領域Tを設定する。本実施形態1では、図5に示すように、工具側ベッド10bの底面全体の平面領域Pのうち、工具側ベッド10bの幅方向Xの両端に沿って所定範囲から、高さ方向Yの下方に向けて支持部40の高さ分引き延ばして、トポロジー最適化の対象領域Tを設定する。支持部40の高さは限定されず、適宜設定することができるが、例えば、工具側ベッド10bの高さの5~30%とすることができ、本実施形態1では、工具側ベッド10bの高さの15%としている。また、それぞれの対象領域Tの幅方向Xの大きさも限定されないが、支持部40の幅方向Xの大きさと同等又はそれ以上とすることができる。対象領域設定部102は、それぞれ所定のプログラムを実行するコンピュータにより構成することができる。
【0018】
トポロジー最適化の対象領域Tは、3次元形状を表すメッシュモデルにより規定することができる。対象領域Tのメッシュモデルは、高さ方向Yにおいて2層以上10層未満とすることができ、好ましくは2層以上5層未満、より好ましくは2層又は3層とすることができる。これにより、対象領域Tの高さ方向Yの自由度が小さくなるため、計算負荷を低減できるとともに、支持部40の形状により適した形状とすることができる。
【0019】
後述のように、制約条件として対象領域Tの最下層の変位が規制されるため、対象領域Tのメッシュモデルは、高さ方向Yにおいて少なくとも最下層メッシュTb及び最上層メッシュTtの2層備えることを要する。本実施形態1では、図6(a)に示すように、対象領域Tのメッシュモデルは、最下層メッシュTb及び最上層メッシュTtと両者の間に中間層メッシュTmの3層からなる。
【0020】
トポロジー最適化の対象領域Tを規定するメッシュモデルは、多数の多面体を組み合わせて形成することができ、例えば、4面体や6面体を組み合わせて形成することができる。本実施形態1では、図6(a)に示すように、対象領域Tを規定するメッシュモデルは、6面体のメッシュを組み合わせて形成している。
【0021】
荷重条件設定部103は、工作機械本体10~30から支持部40に作用する荷重の条件である荷重条件を設定する。工作機械本体10~30から支持部40に作用する荷重は、工作機械本体10~30の重量、可動部である工作物保持装置20及び工具保持装置30の移動に伴って変化する。例えば、工具側ベッド10bにおける支持部40に対する荷重条件は、工具側ベッド10b及び工具保持装置30の重量を含み、さらに、図2(a)~(c)に示すように、工具側ベッド10b上での工具保持装置30の変位条件を含む。例えば、工具側ベッド10bにおいて工具保持装置30が、図2(a)に示すようにZ方向の一端にある場合、図2(b)にようにZ方向中央位置にある場合、及び図2(c)に示すようにZ方向の他端にある場合のそれぞれを含む。なお、荷重条件設定部103は、所定のプログラムを実行するコンピュータにより構成することができる。
【0022】
目的関数設定部104は、後述のトポロジー最適化処理における目的関数を設定する。本実施形態1では、目的関数として、荷重の負荷点の変位を最小化することを採用する。例えば、荷重の負荷点は、工具側ベッド10bの底面の平面領域Pとすることができる。なお、目的関数設定部104は、所定のプログラムを実行するコンピュータにより構成することができる。
【0023】
制約条件設定部105は、後述のトポロジー最適化における制約条件を設定する。本実施形態1では、制約条件として、トポロジー最適化の対象領域Tにおける最下層の変位を規制することとする。さらに、制約条件として、対象領域Tの体積削減率を設定する。当該体積削減率は80%以上とすることができ、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上とすることができる。制約条件としての体積削減率をより大きくすることで、トポロジー最適化により導き出された支持部40の最適化形状が複数の領域に分離して形成されることとなり、最適化形状に合わせて支持部40を配置させやすくなる。なお、制約条件設定部105は、所定のプログラムを実行するコンピュータにより構成することができる。
【0024】
最適化処理部106は、対象領域Tにおいて、上述の荷重条件、制約条件に基づいてトポロジー最適化処理を行って、荷重の負荷点の変位を最小化するように支持部40の数及び配置の最適化をする。なお、最適化処理部106は、所定のプログラムを実行するコンピュータにより構成することができる。
【0025】
例えば、図7(a)に示すように、制約条件として体積削減率を92%とした場合のトポロジー最適化により、左右のそれぞれの領域において、最適化形状として独立した複数の領域Sが導出された。また、図7(b)に示すように、制約条件として体積削減率を86%とした場合のトポロジー最適化により、左右のそれぞれの領域において、最適化形状として独立した複数の領域Qが導出された。
【0026】
支持部配置設定部107は、トポロジー最適化処理により最適化形状として独立した複数の領域Qに支持部40が配置されるように設定する。支持部40は、平面視において領域Qの中央位置に重なるように支持部40の配置を設定する。そして、図8に示すように、トポロジー最適化処理の結果に基づいて得られた、荷重負荷点の変位量と支持部40の個数との対応関係から、荷重負荷点の変位量が目標値L以となるように支持部40の数を設定することができる。本実施形態1では、図7(a)及び(b)に示すように、破線で示すように支持部40の数及び配置を設定する。
【0027】
3.支持部配置設定のフロー
次に、本実施形態1における工作機械1の製造方法による支持部40の配置設定のフローについて説明する。図7に示すように、まず、平面領域設定工程S1において、図4に示す平面領域Pを設定した後、図7に示す対象領域設定工程S2において、図4に示す対象領域Tを設定する。そして、図7に示す荷重条件設定工程S3において、トポロジー最適化における荷重条件を上述の通り設定し、最適化工程S4において、上述のようにトポロジー最適化処理を行う。トポロジー最適化処理における制約条件は上述の通り制約条件設定部105により設定する。その後、支持部配置工程S5において、支持部40の最適化形状に基づいて支持部40を配置する。
【0028】
4.作用効果
本実施形態1の工作機械1の製造方法によれば、トポロジー最適化の対象領域Tは、工作機械本体10の底部に設定された平面領域Pを支持部40の高さ分下方に引き延ばした領域として設定され、工作機械本体10から支持部40に対する荷重条件に基づいてトポロジー最適化を行う。そのため、トポロジー最適化において、工作機械本体10の形状を変更することなく、支持部40の配置及び数の最適化を図ることができることから、計算負荷を低減することができ、加工精度の向上が図られた工作機械1を製造することができる。
【0029】
また、本実施形態1では、最適化工程S4において、荷重の負荷点の変位を最小化することを目的関数としてトポロジー最適化を行う。これにより、工作機械本体10の形状を変更することなく、支持部40の配置及び数の最適化を一層図ることができる。
【0030】
また、本実施形態1では、荷重条件設定工程S3において、荷重条件は、工作機械本体10に取り付けられた可動部としての工具保持装置30の移動に伴う荷重の変化を含む。これにより、当該トポロジー最適化により配置された支持部40によれば、工具保持装置30の移動によって荷重の変化が生じても、工作機械本体10を十分に支持することができる。
【0031】
また、本実施形態1では、最適化工程S4において、対象領域Tの体積削減率を制約条件として、トポロジー最適化を行う。これにより、工作機械全体として必要な剛性を維持しつつ軽量化を図ることができる。
【0032】
また、本実施形態1では、体積削減率は80%以上である。これにより、最適化工程S4において最適化された形状が複数の領域に分離して形成されることとなり、当該形状に合わせて支持部40を配置させやすくなる。
【0033】
また、本実施形態1では、対象領域Tは、高さ方向Yにおいて2層以上10層未満のメッシュモデルからなる。これにより、最適化形状に高さ方向Yの自由度を小さくすることができ、計算負荷を低減できる。
【0034】
また、本実施形態1では、対象領域Tのメッシュモデルは6面体のメッシュを組み合わせてなる。これにより、トポロジー最適化による最適化形状を、図5(b)に示すように、上面から高さ方向Yに平行に下面に向けてまっすぐ引き延ばした柱形状とすることができ、支持部40の形状に適した形状とすることができる。
【0035】
また、本実施形態1では、支持部40は、高さ調整可能な支持軸42を有する。これにより、工作機械本体10が水平状態となるように工作機械本体10を支持することができる。
【0036】
また、本実施形態1では、最適化工程S4において、対象領域Tのうち最下層Tbの変位を規制することを制約条件として、上記トポロジー最適化を行う。これにより、荷重の負荷点の変位が最小化になるように支持部40を高精度に最適化することができる。
【0037】
また、本実施形態1では、トポロジー最適化の結果に基づいて支持部40の配置及び数を設定する支持部配置工程S5を含む。これにより、支持部40の配置及び数の最適化が図られた工作機械1の製造が容易となる。
【0038】
以上のごとく、本実施態様1によれば、工作機械の支持部の最適化により、加工精度の向上が図られた工作機械の製造方法を提供することができる。また、上述した工作機械の製造方法を、工作機械の設計方法として捉えることもできる。さらに、上述した工作機械の製造装置100を、工作機械の設計装置として捉えることもできる。
【0039】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。工作機械1は、実施形態1に示すものに限定されず、例えば、工作機械1として、マニシングセンター、立型研削盤、円筒研削盤、平面研削盤、センター研削盤、内径研削盤などを採用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 工作機械
10 ベッド
20 工作物保持装置
30 工具保持装置
40 支持部
41 ベース
42 支持軸
43 固定ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9