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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049150
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】車両用バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/06 20060101AFI20240402BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240402BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240402BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240402BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20240402BHJP
   H01M 10/6566 20140101ALI20240402BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240402BHJP
【FI】
B60K11/06
B60K1/04 Z
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/6566
H01M50/204 401H
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155439
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 大悟
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC04
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB19
3D235BB23
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC12
3D235CC15
3D235FF07
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY08
5H040CC20
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】部品点数を増加させることなく、導風ファンの騒音が乗員に伝わりにくくすることができる車両用バッテリパックを提供する。
【解決手段】バッテリパック30は、バッテリモジュール40と、バッテリケース50と、バッテリ冷却機構60と、を備え、車両Vに搭載される。バッテリケース50は、後部座席RSの後方に搭載される。バッテリ冷却機構60は、導入ダクト61と、導入側導風部材63と、導風ファン64と、を備える。導入側導風部材63は、一端部が導入ダクト61と連結し、他端部がバッテリモジュール40の前面を密封するように設けられている。導風ファン64は、ファンモータ643と、ファンケース641と、羽根車642と、を備える。導入ダクト61は、バッテリモジュール40の前方に配置され、導風ファン64は、バッテリモジュール40の後方に配置され、ファンケース641の吸込口641aが後方を向くように配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリセルが積層されたバッテリモジュールと、
前記バッテリモジュールを収容するバッテリケースと、
前記バッテリモジュールを冷却するバッテリ冷却機構と、を備え、
少なくとも1つの座席が設けられた車両に搭載される、車両用バッテリパックであって、
前記バッテリケースは、前記座席の後方に搭載され、
前記バッテリ冷却機構は、
外部からの空気を前記バッテリケースの内部に導入する導入ダクトと、
前記バッテリケースの内部に配置され、前記導入ダクトから前記バッテリケースの内部に導入された空気を前記バッテリモジュールに案内する導風部材と、
前記バッテリケースの内部の空気を送風する導風ファンと、
前記バッテリケースの内部の空気を外部に排出する排出ダクトと、を備え、
前記導風ファンは、ファンモータと、吸込口及び吹出口を有するファンケースと、前記ファンケースの内部に回転可能に配置されて前記ファンモータの駆動力で回転する羽根車と、を備え、
前記導入ダクトは、前記バッテリモジュールの前方に配置され、
前記導風部材は、一端部が前記導入ダクトと連結し、他端部が前記バッテリモジュールの前面を密封するように設けられており、
前記導風ファンは、前記バッテリモジュールの後方に配置され、前記バッテリモジュールと前後方向に対向して、前記吸込口が後方を向くように配置される、車両用バッテリパック。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用バッテリパックであって、
前記バッテリケースは、前記バッテリモジュールを収容し、上部が開口したケース本体と、前記ケース本体の上部開口を覆うカバーと、を備え、
前記ケース本体と前記カバーとはシールされている、車両用バッテリパック。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用バッテリパックであって、
前記導入ダクトは、
筒形状を有し、空気流路を形成する導風部と、
前記導風部の一端部に形成され、外部からの空気を取り込む取込口と、
前記導風部の他端部に形成され、前記取込口から取り込んだ空気を前記導風部から排出して前記バッテリケースの内部に供給する供給口と、を備え、
前記導風部に形成される前記空気流路は、上方向に屈曲して上下方向に延在する屈曲部と、前記屈曲部より下流側で後方に屈曲して前後方向に延在するクランク部と、を有し、
前記導入ダクトは、前記クランク部の少なくとも一部が、前記バッテリモジュールの上端部、前記導風ファンの前記吸込口の上端部、及び、前記取込口の上端部よりも上方に位置するように形成される、車両用バッテリパック。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用バッテリパックであって、
前記導入ダクトは、前記クランク部の下端部が前記取込口の上端部よりも上方に位置するように形成される、車両用バッテリパック。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用バッテリパックであって、
前記導入ダクトは、前記車両の車体フレームの左右方向に延在するクロスメンバが前記クランク部の下方に位置するように配置される、車両用バッテリパック。
【請求項6】
請求項1に記載の車両用バッテリパックであって、
前記導入ダクトは、
筒形状を有し、空気流路を形成する導風部と、
前記導風部の一端部に形成され、外部からの空気を取り込む取込口と、
前記導風部の他端部に形成され、前記取込口から取り込んだ空気を前記バッテリケースの内部に供給する供給口と、を備え、
前記導風部に形成される前記空気流路は、前記取込口から前後方向に延在する前後延在部と、前記前後延在部よりも下流側で車幅方向一方側に屈曲する外側屈曲部と、を有し、
前記供給口は、前記導風部の前記取込口よりも、車幅方向他方側に設けられている、車両用バッテリパック。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用バッテリパックであって、
前記バッテリケースには、少なくとも2つの前記バッテリモジュールが上下方向に並んで配置されており、
上下方向に並んだ前記バッテリモジュールの間には、上下方向に延びる間隙部が形成されており、
前記ファンモータは、前記ファンモータの駆動力で回転し、前記羽根車を回転させる駆動シャフトを有し、
前記駆動シャフトは、前後方向に延在し、前後方向から見て、前記間隙部と重なる位置に配置されている、車両用バッテリパック。
【請求項8】
請求項7に記載の車両用バッテリパックであって、
前記導風ファンは、前後方向において、少なくとも一部が前記車両の後輪の後端よりも後方に位置するように配置される、車両用バッテリパック。
【請求項9】
請求項7に記載の車両用バッテリパックであって、
前記導風ファンは、前記導風ファンと前記バッテリモジュールとの間で上下方向及び車幅方向に延在する板状のブラケットに固定されている、車両用バッテリパック。
【請求項10】
請求項9に記載の車両用バッテリパックであって、
前後方向から見て、前記駆動シャフトと重なる領域には、前記導風ファンと前記バッテリモジュールとの間に、前記ブラケットが介在するように形成されている、車両用バッテリパック。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用バッテリパックであって、
前記ファンモータは、モータハウジングと、前記ファンモータの駆動力で回転し、前記羽根車を回転させる駆動シャフトと、を有し、
前記駆動シャフトの前端部は、前記モータハウジングの内部に配置され、
前記駆動シャフトの後端部は、前記モータハウジングから後方に向かって前記モータハウジングの外部に露出して前記羽根車が連結しており、先端が細径となっている、車両用バッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両などに搭載される車両用バッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能且つ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池に関する研究開発が行われている。
【0003】
二次電池に関する技術においては、例えば、特許文献1には、車両に搭載される車両用バッテリパックが記載されている。特許文献1に記載の車両用バッテリパックは、バッテリと、バッテリを収容するケース及びカバーと、バッテリを冷却するバッテリ冷却機構と、を備えており、バッテリが座席の後方に配置されている。特許文献1に記載の車両用バッテリパックにおいて、バッテリ冷却機構は、ケース及びカバーで囲まれるバッテリ収容空間に外部からの空気を導入する導入ダクトと、バッテリ収容空間の内部に配置される導風ファンと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-024480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用バッテリパックは、外部からの空気を取り込む導入ダクトの取込口が、車両の前方を向くようにして、座席の側方や下方に配置されている。そのため、導入ダクトの取込口が、座席に着座した乗員に近い位置に配置されることとなり、導風ファンの騒音が導入ダクトを経由して座席に着座した乗員に伝わりやすい、という課題があった。一方、導風ファンの騒音が乗員に伝わりにくくするための専用部品を設けると、部品点数が増加するとともに、製造コストが上昇してしまう。
【0006】
本発明は、部品点数を増加させることなく、導風ファンの騒音が乗員に伝わりにくくすることができ、延いてはエネルギーの効率化に寄与する車両用バッテリパックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
複数のバッテリセルが積層されたバッテリモジュールと、
前記バッテリモジュールを収容するバッテリケースと、
前記バッテリモジュールを冷却するバッテリ冷却機構と、を備え、
少なくとも1つの座席が設けられた車両に搭載される、車両用バッテリパックであって、
前記バッテリケースは、前記座席の後方に搭載され、
前記バッテリ冷却機構は、
外部からの空気を前記バッテリケースの内部に導入する導入ダクトと、
前記バッテリケースの内部に配置され、前記導入ダクトから前記バッテリケースの内部に導入された空気を前記バッテリモジュールに案内する導風部材と、
前記バッテリケースの内部の空気を送風する導風ファンと、
前記バッテリケースの内部の空気を外部に排出する排出ダクトと、を備え、
前記導風ファンは、ファンモータと、吸込口及び吹出口を有するファンケースと、前記ファンケースの内部に回転可能に配置されて前記ファンモータの駆動力で回転する羽根車と、を備え、
前記導入ダクトは、前記バッテリモジュールの前方に配置され、
前記導風部材は、一端部が前記導入ダクトと連結し、他端部が前記バッテリモジュールの前面を密封するように設けられており、
前記導風ファンは、前記バッテリモジュールの後方に配置され、前記バッテリモジュールと前後方向に対向して、前記吸込口が後方を向くように配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品点数を増加させることなく、導風ファンの騒音が乗員に伝わりにくくすることができ、延いてはエネルギーの効率化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の車両用バッテリパックが搭載された車両の車体後部を上方から見た要部上面図である。
図2図1のバッテリモジュールを斜め下方から見た斜視図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4図1のB-B断面図である。
図5】本発明の一実施形態の車両用バッテリパックを、カバーを取り外した状態で見た斜視図である。
図6図3における導風ファン近傍の拡大図である。
図7図3における導風ファン近傍の拡大断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の車両用バッテリパックの一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、車両用バッテリパックが搭載された車両の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0011】
<車両>
まず、本発明の一実施形態の車両用バッテリパックが搭載された車両Vについて説明する。車両Vは、例えば、不図示の電動機が搭載されており、電動機の駆動力で走行する電動車両であってもよいし、不図示の電動機及び内燃機関が搭載されており、電動機及び内燃機関の双方、又は、いずれか一方の駆動力で走行するハイブリッド車両であってもよい。
【0012】
図1及び図2に示すように、車両Vは、車体下部の骨格を構成する車体フレーム10を備える。車体フレーム10は、車両Vの左右両端部近傍で前後方向に延びる左サイドシル11L及び右サイドシル11Rと、左右方向に延在し、左サイドシル11Lと右サイドシル11Rとを連結するクロスメンバ12と、を備える。本実施形態では、少なくとも1つのクロスメンバ12は、後部座席RSの後方で左右方向に延在している。
【0013】
車両Vは、車体フレーム10に支持されて、車両Vの床部を構成するフロアパネル20を備える。フロアパネル20は、車室CBの床部を構成するフロントフロアパネル部21と、後部座席RS下の床部及び後部荷室LGの床部を構成するリヤフロアパネル部22と、を有する。リヤフロアパネル部22の前側上部には、後部座席RSが支持されている。
【0014】
後部荷室LG下のリヤフロアパネル部22には、バッテリパック30を収容する収容凹部22aが凹設されている。
【0015】
<バッテリパック>
図3から図5に示すように、バッテリパック30は、複数のバッテリセルが積層されたバッテリモジュール40と、バッテリモジュール40を収容するバッテリケース50と、バッテリモジュール40を冷却するバッテリ冷却機構60と、を備える。
【0016】
バッテリパック30は、バッテリモジュール40が収容されたバッテリケース50が、リヤフロアパネル部22に設けられた収容凹部22aに配置される。したがって、バッテリパック30は、バッテリモジュール40が後部座席RSの後方に位置するように車両Vに搭載される。
【0017】
本実施形態では、バッテリパック30は、4つのバッテリモジュール40を備える。各バッテリモジュール40は、略直方体形状であり、長手方向が車幅方向に延在するように配置されている。そして、4つのバッテリモジュール40は、バッテリケース50の内部に、左右方向に2つ、上下方向に2つ並んで配置されている。
【0018】
そして、上下方向に並んだバッテリモジュール40の間には、上下方向に延びる間隙部SPが形成されている。
【0019】
バッテリケース50は、4つのバッテリモジュール40を収容し、上部が開口したケース本体51と、ケース本体51の上部開口を覆うカバー52と、を備える。ケース本体51とカバー52とは、シールされている。バッテリケース50には、ケース本体51とカバー52とで囲まれるバッテリ収容空間50aが形成される。4つのバッテリモジュール40は、バッテリ収容空間50aに収容される。
【0020】
カバー52には、導入側開口部53と、排出側開口部54と、が形成されている。導入側開口部53及び排出側開口部54は、いずれもカバー52に形成された開口である。導入側開口部53は、カバー52の前側左右中央領域に形成されている。排出側開口部54は、カバー52の左後側領域に形成されている。導入側開口部53には、後述するバッテリ冷却機構60の導入ダクト61が連結する。排出側開口部54には、後述するバッテリ冷却機構60の排出ダクト62が連結する。
【0021】
<バッテリ冷却機構>
バッテリ冷却機構60は、外部からの空気をバッテリケース50の内部に導入する導入ダクト61と、バッテリケース50内部の空気を外部に排出する排出ダクト62と、を備える。さらに、バッテリ冷却機構60は、導入ダクト61からバッテリケース50の内部に導入された空気をバッテリモジュール40に案内する導入側導風部材63と、バッテリケース50の内部の空気を送風する導風ファン64と、導風ファン64から吹き出された空気を排出ダクト62に案内する導風する排出側導風部材65と、を備える。導入ダクト61は、バッテリケース50の前方、すなわち、4つのバッテリモジュール40の前方に配置されている。導入側導風部材63、導風ファン64、及び、排出側導風部材65は、バッテリケース50の内部に配置されている。
【0022】
導入ダクト61は、筒形状を有し、空気流路610を形成する導風部61aと、導風部61aの一端部に形成され、外部からの空気を空気流路610に取り込む取込口61bと、導風部61aの他端部に形成され、取込口61bから取り込まれて空気流路610を流れる空気をバッテリケース50の内部に供給する供給口61cと、を備える。
【0023】
取込口61bは、後部座席RSの下方に位置し、前方斜め上側を向いている。供給口61cは、バッテリケース50のカバー52に形成された導入側開口部53に連結する。
【0024】
したがって、導入ダクト61の取込口61bから、車両Vの車室CBの空気が空気流路610に取り込まれる。そして、取込口61bから空気流路610に取り込まれた空気は、空気流路610を通って供給口61cからバッテリケース50のカバー52に形成された導入側開口部53を通ってバッテリケース50の内部に供給される。
【0025】
導入側導風部材63は、4つのバッテリモジュール40の前面を覆う供給部631と、筒状の案内部632と、を備える。
【0026】
供給部631は、バッテリモジュール40の前面を密封している。供給部631には、開口部631aが形成されている。筒状の案内部632は、一端部がバッテリケース50のカバー52に形成された導入側開口部53に連結し、他端部が供給部631の開口部631aに連結する。
【0027】
このようにして、導入側導風部材63は、一端部が、バッテリケース50のカバー52に形成された導入側開口部53を介して、導入ダクト61と連結し、他端部がバッテリモジュール40の前面を密封するように設けられている。
【0028】
したがって、バッテリケース50のカバー52に形成された導入側開口部53からバッテリケース50の内部に導入された空気は、案内部632を通って、供給部631から4つのバッテリモジュール40の前面に供給される。
【0029】
図6及び図7に示すように、導風ファン64は、4つのバッテリモジュール40の後方に配置される。本実施形態の導風ファン64は、シロッコファンである。導風ファン64は、吸込口641a及び吹出口641bを有するファンケース641と、ファンケース641の内部に回転可能に配置される羽根車642と、羽根車642を駆動するファンモータ643と、を備える。
【0030】
ファンケース641は、羽根車642を収容する。ファンケース641は、羽根車642の回転軸を中心軸とする略円筒形状を有する。ファンケース641の吸込口641aは、羽根車642の回転軸を中心とする略円形状の開口である。ファンケース641の吹出口641bは、ファンケース641の内部と連通しており、ファンケース641の上端部から左方に向かって筒状に延出している。
【0031】
導風ファン64は、4つのバッテリモジュール40の後方に配置され、4つのバッテリモジュール40と前後方向に対向して、ファンケース641の吸込口641aが後方を向くように配置される。
【0032】
ファンモータ643は、モータハウジング643aと、モータハウジング643aに収容された不図示のロータ及びステータと、ロータと一体に回転する駆動シャフト643bと、を有する。駆動シャフト643bは、ファンモータ643の駆動力によってロータと一体に回転し、羽根車642を回転させる。
【0033】
駆動シャフト643bは、車両Vの前後方向に延在する。すなわち、駆動シャフト643bの回転軸は、車両Vの前後方向となっている。そして、ファンモータ643の駆動シャフト643bは、前後方向から見て、上下方向に並んだバッテリモジュール40の間に形成された上下方向に延びる前述した間隙部SPと重なる位置に配置されている。
【0034】
そのため、車両Vが後突して駆動シャフト643bが前方に向かって相対移動した場合でも、駆動シャフト643bは、間隙部SPに進入し、バッテリモジュール40と衝突しない。これにより、車両Vが後突した場合でも、駆動シャフト643bがバッテリモジュール40に衝突してバッテリモジュール40が損傷することを抑制できる。
【0035】
また、駆動シャフト643bの前端部643b1は、モータハウジング643aの内部に配置され、駆動シャフト643bの後端部643b2は、先端が細径となっており、モータハウジング643aから後方に向かってモータハウジング643aの外部に露出している。
【0036】
このようにすることで、車両Vが後突した場合でも、駆動シャフト643bは、前方に向かって相対移動することがモータハウジング643aによって抑制される。また、駆動シャフト643bは、先端が細径となっている後端部643b2が、バッテリモジュール40と反対方向である後方を向くことになるので、車両Vが後突した場合でも、先端が細径となっている後端部643b2がバッテリモジュール40に衝突してバッテリモジュール40が損傷することを防止できる。
【0037】
羽根車642は、駆動シャフト643bの後端部643b2に連結しており、ファンモータ643の駆動力で駆動シャフト643bと一体に回転する。羽根車642は、駆動シャフト643bの軸方向に延在する細長い板状の羽根が駆動シャフト643bの周方向に筒状に複数設けられている。したがって、羽根車642の回転軸は、車両Vの前後方向となっている。
【0038】
また、導風ファン64は、前後方向において、少なくとも一部が車両Vの後輪RWの後端よりも後方に位置するように配置される。
【0039】
これにより、導風ファン64をより後方に位置するように配置して、導風ファン64から発生する騒音が吸込口641aから導入ダクト61を通って外部に放出されるまでの経路長を長くすることができるので、導風ファン64の騒音が車両Vの乗員に伝わりにくくすることができる。なお、前述したように、ファンモータ643の駆動シャフト643bは、前後方向から見て、上下方向に並んだバッテリモジュール40の間に形成された上下方向に延びる前述した間隙部SPと重なる位置に配置されており、車両Vが後突した場合でも、駆動シャフト643bがバッテリモジュール40に衝突してバッテリモジュール40が損傷することが抑制されている。したがって、車両Vが後突した場合でも、駆動シャフト643bがバッテリモジュール40に衝突してバッテリモジュール40が損傷することを抑制しつつ、導風ファン64から発生する騒音が吸込口641aから導入ダクト61を通って外部に放出されるまでの経路長を長くすることができ、導風ファン64の騒音が車両Vの乗員に伝わりにくくすることができる。
【0040】
導風ファン64と、4つのバッテリモジュール40の後面との間には、上下方向及び車幅方向に延在する板状のブラケット70が設けられている。ブラケット70は、バッテリケース50のケース本体51に固定されている。ブラケット70には、軽量化のための肉抜孔71が設けられている。
【0041】
導風ファン64は、板状のブラケット70の後面に固定されている。
【0042】
これにより、ブラケット70が導風ファン64から発生する騒音に対する反射板として機能し、導風ファン64から発生する騒音がバッテリモジュール40を通って導入ダクト61へと流れることが低減され、導風ファン64から発生する騒音が導入ダクト61を通って車両Vの乗員に伝わることが抑制される。そして、導風ファン64から発生する騒音を、より効率的にバッテリケース50の内部に拡散させてバッテリケース50で減衰させることができる。
【0043】
さらに、前後方向から見て、ファンモータ643の駆動シャフト643bと重なる領域には、導風ファン64とバッテリモジュール40との間に、ブラケット70が介在するように形成されている。
【0044】
したがって、車両Vが後突した場合でも、駆動シャフト643bは、ブラケット70に衝突する。これにより、車両Vが後突した場合でも、駆動シャフト643bがバッテリモジュール40に衝突してバッテリモジュール40が損傷することを防止できる。
【0045】
図3から図5に戻って、排出側導風部材65は、筒形状を有し、一端部が導風ファン64のファンケース641の吹出口641bに連結し、他端部がバッテリケース50のカバー52に形成された排出側開口部54に連結する。
【0046】
したがって、供給部631から4つのバッテリモジュール40の前面に供給された空気は、導風ファン64によって吸引されて、4つのバッテリモジュール40を冷却しながら後方へ向かって流れ、後方を向く導風ファン64の吸込口641aに後方から吸い込まれる。導風ファン64の吸込口641aに吸い込まれた空気は、導風ファン64の吹出口641bから吹き出され、排出側導風部材65を通って、バッテリケース50のカバー52に形成された排出側開口部54からバッテリケース50の外部へ排出される。
【0047】
このとき、前述したように、ケース本体51とカバー52とはシールされているので、4つのバッテリモジュール40を収容して供給部631と導風ファン64の吸込口641aとを接続するダクトを設けなくても、供給部631から4つのバッテリモジュール40の前面に供給された空気が、バッテリケース50の外部へ漏出することなく、導風ファン64の吸込口641aへと流れる。これにより、バッテリパック30の部品点数を削減することができる。また、ケース本体51とカバー52とがシールされていることによって、導風ファン64から発生する騒音が、バッテリケース50から外部へ漏出することを低減できる。
【0048】
また、ファンケース641の吸込口641aは、羽根車642の回転軸を中心とする略円形状の開口であるので、導風ファン64から発生する騒音は、吸込口641aから放射されやすい。このとき、導入側導風部材63は、一端部が導入ダクト61と連結し、他端部がバッテリモジュール40の前面を密封するように設けられており、ファンケース641の吸込口641aは、バッテリモジュール40と直結しておらず、バッテリモジュール40と反対側の後方を向くように配置されている。したがって、導風ファン64から発生する騒音が導入ダクト61へと流れることが低減され、導風ファン64から発生する騒音はバッテリケース50の内部に拡散される。これにより、導風ファン64から発生する騒音をより大きな空間であるバッテリケース50の内部に拡散してバッテリケース50で減衰することができるので、部品点数を増加させることなく導風ファン64から発生する騒音をより効率的に減衰させることができる。加えて、導風ファン64から発生する騒音が導入ダクト61へと流れることが低減されるので、部品点数を増加させることなく導風ファン64の騒音が導入ダクト61を通って車両Vの乗員に伝わることを抑制できる。
【0049】
このようにして、部品点数を増加させることなく、導風ファン64の騒音が乗員に伝わりにくくすることができ、延いてはエネルギーの効率化に寄与することができる。
【0050】
また、導入ダクト61がバッテリモジュール40に配置されているのに対し、導風ファン64は、バッテリモジュール40の後方に配置され、バッテリモジュール40と前後方向に対向して、吸込口641aが後方を向くように配置されているので、導風ファン64から発生する騒音が吸込口641aから導入ダクト61を通って外部に放出されるまでの経路を屈曲させることができるとともに経路長を長くすることができる。これにより、導風ファン64から発生する騒音が、導入ダクト61から外部に放射されることを低減できるので、導風ファン64の騒音が乗員に伝わりにくくするための専用部品を設けなくても、導風ファン64の騒音が車両Vの乗員に伝わりにくくすることができる。したがって、部品点数を増加させることなく、導風ファン64の騒音が車両Vの乗員に伝わりにくくすることができる。
【0051】
排出ダクト62は、バッテリケース50の左側を通って前後方向に延在する筒形状を有し、後端部がバッテリケース50のカバー52に形成された排出側開口部54に連結し、前端部が排出口62aとなっている。排出ダクト62の排出口62aは、後部座席RSの下方に位置し、前方を向いている。
【0052】
したがって、バッテリケース50のカバー52に形成された排出側開口部54からバッテリケース50の外部へ排出された空気は、排出ダクト62を通って、排出口62aから車両Vの車室CBに排出される。
【0053】
<導入ダクトの詳細構造>
導入ダクト61は、取込口61bが車両Vの車幅方向中央よりも右側に位置するように配置され、供給口61cは、取込口61bよりも左側に設けられている。
【0054】
導入ダクト61に形成される空気流路610は、取込口61bから後方に向かって前後方向に延在する前後延在部611と、前後延在部611の後端部から上方向に屈曲して上下方向に延在する第1屈曲部612と、第1屈曲部612の上端部から、車幅方向外側(本実施形態では車幅方向右側)に屈曲して車幅方向に延在する第2屈曲部613と、第2屈曲部613の車幅方向外側端部から後方に屈曲して前後方向に延在するクランク部614と、クランク部614の後端部から車幅方向内側(本実施形態では車幅方向左側)に屈曲して車幅方向に延在し、端部が供給口61cとなっている左右延在部615と、を有する。
【0055】
導入ダクト61は、クランク部614の少なくとも一部が、上側に配置された2つのバッテリモジュール40の上端部、導風ファン64の吸込口641aの上端部、及び、導入ダクト61の取込口61bの上端部よりも上方に位置するように形成されている。
【0056】
そのため、導風ファン64から発生する騒音が吸込口641aから導入ダクト61を通って外部に放出されるまでの経路長をより長くすることができるとともに、導風ファン64から発生する騒音の吸込口641aから導入ダクト61を通って外部に放出される経路は、導入ダクト61に当たって上下方向に屈曲する経路となる。これにより、導風ファン64の騒音が車両Vの乗員により伝わりにくくすることができる。
【0057】
さらに、導入ダクト61は、クランク部614の下端部が取込口61bの上端部よりも上方に位置するように形成される。
【0058】
これにより、車両Vの下部が浸水した場合に、取込口61bから導入ダクト61の空気流路610に水が侵入した場合でも、クランク部614で水の侵入を堰き止め、バッテリモジュール40が浸水することを抑制できる。
【0059】
また、導入ダクト61は、車両Vの車体フレーム10の左右方向に延在するクロスメンバ12がクランク部614の下方に位置するように配置される。
【0060】
これにより、クロスメンバ12の周辺スペースを有効に活用して、クランク部614を配置することができる。
【0061】
前述したように、導入ダクト61に形成される空気流路610は、前後延在部611よりも下流側で右側に屈曲する第2屈曲部613を有し、供給口61cは、取込口61bよりも左側に設けられている。
【0062】
これにより、導入ダクト61に形成される空気流路610は、左右に屈曲することになるので、導風ファン64から発生する騒音が吸込口641aから導入ダクト61を通って外部に放出されるまでの経路長をより長くすることができるとともに、導風ファン64から発生する騒音の吸込口641aから導入ダクト61を通って外部に放出される経路は、導入ダクト61に当たって左右方向に屈曲する経路となる。これにより、導風ファン64の騒音が車両Vの乗員により伝わりにくくすることができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0064】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0065】
(1) 複数のバッテリセルが積層されたバッテリモジュール(バッテリモジュール40)と、
前記バッテリモジュールを収容するバッテリケース(バッテリケース50)と、
前記バッテリモジュールを冷却するバッテリ冷却機構(バッテリ冷却機構60)と、を備え、
少なくとも1つの座席(後部座席RS)が設けられた車両(車両V)に搭載される、車両用バッテリパック(バッテリパック30)であって、
前記バッテリケースは、前記座席の後方に搭載され、
前記バッテリ冷却機構は、
外部からの空気を前記バッテリケースの内部に導入する導入ダクト(導入ダクト61)と、
前記バッテリケースの内部に配置され、前記導入ダクトから前記バッテリケースの内部に導入された空気を前記バッテリモジュールに案内する導風部材(導入側導風部材63)と、
前記バッテリケースの内部の空気を送風する導風ファン(導風ファン64)と、
前記バッテリケースの内部の空気を外部に排出する排出ダクト(排出ダクト62)と、を備え、
前記導風ファンは、ファンモータ(ファンモータ643)と、吸込口(吸込口641a)及び吹出口(吹出口641b)を有するファンケース(ファンケース641)と、前記ファンケースの内部に回転可能に配置されて前記ファンモータの駆動力で回転する羽根車(羽根車642)と、を備え、
前記導入ダクトは、前記バッテリモジュールの前方に配置され、
前記導風部材は、一端部が前記導入ダクトと連結し、他端部が前記バッテリモジュールの前面を密封するように設けられており、
前記導風ファンは、前記バッテリモジュールの後方に配置され、前記バッテリモジュールと前後方向に対向して、前記吸込口が後方を向くように配置される、車両用バッテリパック。
【0066】
(1)によれば、導風部材は、一端部が導入ダクトと連結し、他端部がバッテリモジュールの前面を密封するように設けられており、ファンケースの吸込口は、バッテリモジュールと反対側の後方を向くように配置されている。したがって、導風ファンから発生する騒音が導入ダクトへと流れることが低減され、導風ファンから発生する騒音はバッテリケースの内部に拡散される。これにより、導風ファンから発生する騒音をより大きな空間であるバッテリケースの内部に拡散してバッテリケースで減衰することができるので、部品点数を増加させることなく導風ファンから発生する騒音をより効率的に減衰させることができる。加えて、導風ファンから発生する騒音が導入ダクトへと流れることが低減されるので、部品点数を増加させることなく導風ファンの騒音が導入ダクトを通って乗員に伝わることを抑制できる。
【0067】
(2) (1)に記載の車両用バッテリパックであって、
前記バッテリケースは、前記バッテリモジュールを収容し、上部が開口したケース本体(ケース本体51)と、前記ケース本体の上部開口を覆うカバー(カバー52)と、を備え、
前記ケース本体と前記カバーとはシールされている、車両用バッテリパック。
【0068】
(2)によれば、ケース本体とカバーとはシールされているので、バッテリモジュールを収容するダクトを設けなくても、バッテリモジュールに供給された空気が、バッテリケースの外部へ漏出することなく、導風ファンの吸込口へと流れる。これにより、車両用バッテリパックの部品点数を削減することができる。また、ケース本体とカバーとがシールされていることによって、導風ファンから発生する騒音が、バッテリケースから外部へ漏出することを低減できる。
【0069】
(3) (1)に記載の車両用バッテリパックであって、
前記導入ダクトは、
筒形状を有し、空気流路(空気流路610)を形成する導風部(導風部61a)と、
前記導風部の一端部に形成され、外部からの空気を取り込む取込口(取込口61b)と、
前記導風部の他端部に形成され、前記取込口から取り込んだ空気を前記導風部から排出して前記バッテリケースの内部に供給する供給口(供給口61c)と、を備え、
前記導風部に形成される前記空気流路は、上方向に屈曲して上下方向に延在する屈曲部(第1屈曲部612)と、前記屈曲部より下流側で後方に屈曲して前後方向に延在するクランク部(クランク部614)と、を有し、
前記導入ダクトは、前記クランク部の少なくとも一部が、前記バッテリモジュールの上端部、前記導風ファンの前記吸込口の上端部、及び、前記取込口の上端部よりも上方に位置するように形成される、車両用バッテリパック。
【0070】
(3)によれば、導風ファンから発生する騒音が吸込口から導入ダクトを通って外部に放出されるまでの経路長をより長くすることができるとともに、導風ファンから発生する騒音の吸込口から導入ダクトを通って外部に放出される経路は、導入ダクトに当たって上下方向に屈曲する経路となる。これにより、導風ファンの騒音が車両の乗員により伝わりにくくすることができる。
【0071】
(4) (3)に記載の車両用バッテリパックであって、
前記導入ダクトは、前記クランク部の下端部が前記取込口の上端部よりも上方に位置するように形成される、車両用バッテリパック。
【0072】
(4)によれば、車両の下部が浸水した場合に、取込口から導入ダクトの空気流路に水が侵入した場合でも、クランク部で水の侵入を堰き止め、バッテリモジュールが浸水することを抑制できる。
【0073】
(5) (4)に記載の車両用バッテリパックであって、
前記導入ダクトは、前記車両の車体フレーム(車体フレーム10)の左右方向に延在するクロスメンバ(クロスメンバ12)が前記クランク部の下方に位置するように配置される、車両用バッテリパック。
【0074】
(5)によれば、クロスメンバの周辺スペースを有効に活用して、クランク部を配置することができる。
【0075】
(6) (1)に記載の車両用バッテリパックであって、
前記導入ダクトは、
筒形状を有し、空気流路(空気流路610)を形成する導風部(導風部61a)と、
前記導風部の一端部に形成され、外部からの空気を取り込む取込口(取込口61b)と、
前記導風部の他端部に形成され、前記取込口から取り込んだ空気を前記導風部から排出して前記バッテリケースの内部に供給する供給口(供給口61c)と、を備え、
前記導風部に形成される前記空気流路は、前記取込口から前後方向に延在する前後延在部(前後延在部611)と、前記前後延在部よりも下流側で車幅方向一方側に屈曲する外側屈曲部(第2屈曲部613)と、を有し、
前記供給口は、前記導風部の前記取込口よりも、車幅方向他方側に設けられている、車両用バッテリパック。
【0076】
(6)によれば、導入ダクトに形成される空気流路は、左右に屈曲することになるので、導風ファンから発生する騒音が吸込口から導入ダクトを通って外部に放出されるまでの経路長をより長くすることができるとともに、導風ファンから発生する騒音の吸込口から導入ダクトを通って外部に放出される経路は、導入ダクトに当たって左右方向に屈曲する経路となる。これにより、導風ファンの騒音が車両の乗員により伝わりにくくすることができる。
【0077】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載の車両用バッテリパックであって、
前記バッテリケースには、少なくとも2つの前記バッテリモジュールが上下方向に並んで配置されており、
上下方向に並んだ前記バッテリモジュールの間には、上下方向に延びる間隙部(間隙部SP)が形成されており、
前記ファンモータは、前記ファンモータの駆動力で回転し、前記羽根車を回転させる駆動シャフト(駆動シャフト643b)を有し、
前記駆動シャフトは、前後方向に延在し、前後方向から見て、前記間隙部と重なる位置に配置されている、車両用バッテリパック。
【0078】
(7)によれば、車両が後突して駆動シャフトが前方に向かって相対移動した場合でも、駆動シャフトは、間隙部に進入し、バッテリモジュールと衝突しない。これにより、車両が後突した場合でも、駆動シャフトがバッテリモジュールに衝突してバッテリモジュールが損傷することを抑制できる。
【0079】
(8) (7)に記載の車両用バッテリパックであって、
前記導風ファンは、前後方向において、少なくとも一部が前記車両の後輪(後輪RW)の後端よりも後方に位置するように配置される、車両用バッテリパック。
【0080】
(8)によれば、導風ファンをより後方に位置するように配置して、導風ファンから発生する騒音が吸込口から導入ダクトを通って外部に放出されるまでの経路長を長くすることができるので、導風ファンの騒音が車両の乗員に伝わりにくくすることができる。
【0081】
(9) (7)に記載の車両用バッテリパックであって、
前記導風ファンは、前記導風ファンと前記バッテリモジュールとの間で上下方向及び車幅方向に延在する板状のブラケット(ブラケット70)に固定されている、車両用バッテリパック。
【0082】
(9)によれば、ブラケットが導風ファンから発生する騒音に対する反射板として機能し、導風ファンから発生する騒音がバッテリモジュールを通って導入ダクトへと流れることが低減され、導風ファンから発生する騒音が導入ダクトを通って車両の乗員に伝わることが抑制される。そして、導風ファンから発生する騒音を、より効率的にバッテリケースの内部に拡散させてバッテリケースで減衰させることができる。
【0083】
(10) (9)に記載の車両用バッテリパックであって、
前後方向から見て、前記駆動シャフトと重なる領域には、前記導風ファンと前記バッテリモジュールとの間に、前記ブラケットが介在するように形成されている、車両用バッテリパック。
【0084】
(10)によれば、車両が後突した場合でも、駆動シャフトは、ブラケットに衝突する。これにより、車両が後突した場合でも、駆動シャフトがバッテリモジュールに衝突してバッテリモジュールが損傷することを防止できる。
【0085】
(11) (1)から(6)のいずれかに記載の車両用バッテリパックであって、
前記ファンモータは、モータハウジング(モータハウジング643a)と、前記ファンモータの駆動力で回転し、前記羽根車を回転させる駆動シャフト(駆動シャフト643b)と、を有し、
前記駆動シャフトの前端部(前端部643b1)は、前記モータハウジングの内部に配置され、
前記駆動シャフトの後端部(後端部643b2)は、前記モータハウジングから後方に向かって前記モータハウジングの外部に露出して前記羽根車が連結しており、先端が細径となっている、車両用バッテリパック。
【0086】
(11)によれば、車両が後突した場合でも、駆動シャフトは、前方に向かって相対移動することがモータハウジングによって抑制される。また、駆動シャフトは、先端が細径となっている後端部が、バッテリモジュールと反対方向である後方を向くことになるので、車両が後突した場合でも、先端が細径となっている後端部がバッテリモジュールに衝突してバッテリモジュールが損傷することを防止できる。
【符号の説明】
【0087】
10 車体フレーム
12 クロスメンバ
30 バッテリパック(車両用バッテリパック)
40 バッテリモジュール
50 バッテリケース
51 ケース本体
52 カバー
60 バッテリ冷却機構
61 導入ダクト
61a 導風部
61b 取込口
61c 供給口
610 空気流路
611 前後延在部
612 第1屈曲部(屈曲部)
613 第2屈曲部(外側屈曲部)
614 クランク部
62 排出ダクト
64 導風ファン
641 ファンケース
641a 吸込口
641b 吹出口
642 羽根車
643 ファンモータ
643a モータハウジング
643b 駆動シャフト
643b1 前端部
643b2 後端部
70 ブラケット
RS 後部座席(座席)
RW 後輪
SP 間隙部
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7