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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049183
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/08 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
G01B5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155490
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】上林 正和
(72)【発明者】
【氏名】宮本 大樹
(72)【発明者】
【氏名】浦田 幹康
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 岳彦
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA21
2F062AA31
2F062EE01
2F062EE63
2F062EE64
2F062FF03
2F062FF07
2F062MM01
(57)【要約】
【課題】装置構成の簡素化を図ると共に、測定誤差を抑制することが可能な測定装置を提供する。
【解決手段】測定装置は、配管の外径を測定する測定装置であって、フレームと、フレームに支持され、配管の周方向の異なる位置に配置され、配管の外周に接触して当該外周との距離を測定する複数のセンサと、フレームに支持され、配管の外周に接触した状態で配管の中心軸の軸方向へのフレームの移動を案内する案内部とを備え、案内部は、配管の径方向への移動が規制された基準部材を少なくとも1つ有し、基準部材は、センサに対して、配管の中心軸について軸対称となる位置に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の外径を測定する測定装置であって、
フレームと、
前記フレームに支持され、前記配管の周方向の異なる位置に配置され、前記配管の外周に接触して当該外周との距離を測定する複数のセンサと、
前記フレームに支持され、前記配管の外周に接触した状態で前記配管の中心軸の軸方向への前記フレームの移動を案内する案内部と
を備え、
前記案内部は、前記配管の径方向への移動が規制された基準部材を少なくとも1つ有し、
前記基準部材は、前記センサに対して、前記配管の中心軸について軸対称となる位置に配置される
測定装置。
【請求項2】
複数の前記センサは、前記配管の外周に接触する部分に、前記フレームの移動方向に沿って回転可能な回転部材を有する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
複数の前記センサは、前記配管の周方向の少なくとも3か所に配置され、
前記基準部材は、少なくとも3か所の前記センサに対して、前記配管の中心軸について軸対称となる位置に配置される
請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
複数の前記センサの少なくとも1つは、前記配管の中心軸の軸方向にずれた位置に配置される
請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記配管は、上下方向に延びており、
前記配管の中心軸から径方向に外れた位置に装置重心が位置するように複数の前記センサ、前記案内部及び前記フレームが設けられ、
少なくとも1つの前記基準部材は、前記フレームのうち前記配管に対して前記装置重心が位置する側の下部に配置される
請求項1に記載の測定装置。
【請求項6】
少なくとも1つの前記基準部材は、前記フレームのうち前記配管に対して前記装置重心が位置する側とは反対側の上部に配置される
請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記案内部は、前記配管の径方向に移動可能な従動部材を有し、
前記従動部材は、前記配管に対して前記装置重心が位置する側の下部に配置される前記基準部材に対して前記配管の中心軸について軸対称となる位置に配置される
請求項5に記載の測定装置。
【請求項8】
前記フレームを吊り下げるワイヤと、
前記ワイヤを螺旋状に巻き付け可能なドラムと、
前記ワイヤを繰り出す方向及び巻き取る方向のそれぞれに回転可能となるように前記ドラムを支持し、前記ドラムに巻かれる前記ワイヤが重ならないようにかつ前記ドラムから繰り出される前記ワイヤの繰り出し位置が移動しないように前記ドラムの回転に応じて回転軸の軸方向に移動させる支持機構と
を更に備える請求項1に記載の測定装置。
【請求項9】
前記フレームを吊り下げるワイヤと、
所定方向に移動可能な状態と前記所定方向への移動が規制された状態とを切り替え可能であり、前記ワイヤを支持して下方に繰り出すプーリと、
前記プーリに支持された状態で前記ワイヤの巻き取り及び繰り出しを行うワイヤ駆動機構と、
前記ワイヤ駆動機構における前記ワイヤの巻き取り量及び送り出し量を検出する検出部と
を更に備える請求項1に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラに接続されるボイラ配管等のように高温高圧の流動体が内部を流れる配管においては、流動体の温度及び圧力により配管の一部が膨潤し、外径が大きくなる場合がある。このような配管では、膨潤による破損等を防ぐため、特許文献1に示すような測定装置を用いて配管の外径を定期的に測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-114453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の測定装置では、配管の中心軸に対して軸対称となる位置に非接触式のセンサを対向配置させた状態でフレームに固定し、中心軸の軸方向にフレームを移動しながら配管の外径を測定する構成である。しかしながら、このような非接触式のセンサの配置では、装置構成が複雑になり、測定誤差が発生しやすいという問題がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、装置構成の簡素化を図ると共に、測定誤差を抑制することが可能な測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る測定装置は、配管の外径を測定する測定装置であって、フレームと、前記フレームに支持され、前記配管の周方向の異なる位置に配置され、前記配管の外周に接触して当該外周との距離を測定する複数のセンサと、前記フレームに支持され、前記配管の外周に接触した状態で前記配管の中心軸の軸方向への前記フレームの移動を案内する案内部とを備え、前記案内部は、前記配管の径方向への移動が規制された基準部材を少なくとも1つ有し、前記基準部材は、前記センサに対して、前記配管の中心軸について軸対称となる位置に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、装置構成の簡素化を図ると共に、測定誤差を抑制することが可能な測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る測定装置の一例を示す模式図である。
図2図2は、本実施形態に係る測定装置の一例を示す模式図である。
図3図3は、本実施形態に係る測定装置の一例を示す模式図である。
図4図4は、複数のセンサの配置を模式的に示す図である。
図5図5は、昇降機構の一例を模式的に示す図である。
図6図6は、測定装置の動作の一例を示す図である。
図7図7は、昇降機構の他の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る測定装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
図1から図3は、本実施形態に係る測定装置100の一例を示す模式図である。図1から図3に示す測定装置100は、ボイラに接続される配管等のように高温高圧の流動体が内部を流れる配管Pの外径を測定する。本実施形態では、上下方向に直線状に延びる配管Pが一方向に複数並んだ状態で配置される。隣り合う配管P同士の間隔は、例えば効率から数mm程度となっている場合が多い。以下の説明において、配管Pが延びる上下方向をZ方向、配管Pが並ぶ方向をX方向とし、Z方向及びX方向にそれぞれ直交する方向をY方向として表記する。この場合、座標の矢印の方向を+方向とし、矢印とは反対方向を-方向として表記する。また、以下の説明において、Y方向の一方(-Y側)を正面側、他方(+Y側)を背面側と表記する場合がある。また、1つの配管Pについて、X方向の両側を側方と表記する場合がある。測定装置100の方向を説明する場合、配管Pに設置された測定状態における方向として表記する。なお、図1は上方から見た場合の横断面図、図2は側方(-X側)から見た場合の縦断面図、図3は背面側から見た場合の図である。図1から図3に示すように、測定装置100は、フレーム10と、複数のセンサ20と、案内部30とを備える。
【0011】
フレーム10は、複数のセンサ20及び複数の案内部30を支持する。フレーム10は、基部11と、支持部12とを有する。基部11は、配管Pを囲う矩形状である。基部11は、上段部13及び下段部14を有する2段構造となっている。上段部13は、測定時において、上下方向に延びる配管Pの上側(+Z側)に配置される。下段部14は、測定時において、当該配管Pの下側(-Z側)に配置される。上段部13及び下段部14は、上下方向に連結され、一体で形成される。
【0012】
基部11は、-Y側の正面側部分11aと、+Y側の背面側部分11bとを有する。正面側部分11aと背面側部分11bとは、不図示の機構により分離及び接合が可能となっている。
【0013】
支持部12は、基部11の背面側(+Y側)に配置される。支持部12は、基部11と一体で形成される。支持部12は、複数のセンサ20の調整部分27を支持する。
【0014】
複数のセンサ20は、フレーム10に支持される。複数のセンサ20は、例えば配管Pの外周Paに接触した状態で当該外周Paとの距離を測定する、いわゆる接触式のセンサである。それぞれのセンサ20は、フレーム10に支持される支持位置から外周Paまでの距離を測定する。
【0015】
複数のセンサ20は、正面センサ21と、斜方センサ22、23と、側方センサ24、25とを有する。図4は、複数のセンサ20の配置を模式的に示す図である。図4は、上方から見た状態を示している。また、図4には、後述する案内部30の基準ローラ31、32、33、34と、従動ローラ35とを併せて示している。
【0016】
正面センサ21は、フレーム10の下段部14に設けられる。正面センサ21は、配管Pに対して正面側(-Y側)に配置される。正面センサ21は、ベアリング(回転部材)21bを介して配管Pの外周Paに接触する。ベアリング21bは、フレーム10の移動方向に沿って回転可能である。ベアリング21bは、フレーム10が所定の移動方向、すなわち配管Pの中心軸AXの軸方向に沿って移動する際に、フレーム10の移動に追従する方向に回転する。
【0017】
斜方センサ22、23は、フレーム10の上段部13に設けられる。斜方センサ22、23は、配管Pの正面側から見て、当該配管Pの斜め後方に配置される。斜方センサ22は、配管Pの背面に対して周方向の一方(例えば、上方から見て時計回りの方向)側に45°ずれた位置に配置される。斜方センサ23は、配管Pの背面に対して周方向の他方(例えば、上方から見て反時計回りの方向)側に45°ずれた位置に配置される。斜方センサ22は、カンチレバー22aと、ベアリング(回転部材)22bと、段ネジ22cとを有する。斜方センサ23は、カンチレバー23aと、ベアリング(回転部材)23bと、段ネジ23cとを有する。斜方センサ22、23は、カンチレバー22a、23aの先端に段ネジ22c、23cによりベアリング22b、23bが回転可能に取り付けられる。カンチレバー22a、23aは、調整部分27に接続される。調整部分27は、配管Pの外径に応じてカンチレバー22a、23aの傾きを調整することができる。また、斜方センサ22、23は、カンチレバー22a、23aの先端に回転可能に取り付けられるベアリング22b、23bを介して配管Pに接触する。ベアリング22b、23bは、フレーム10の移動方向に沿って回転可能である。ベアリング22b、23bは、フレーム10が所定の移動方向、すなわち配管Pの中心軸AXの軸方向に沿って移動する際に、フレーム10の移動に追従する方向に回転する。この構成では、例えば配管Pに対して軸方向に移動する際に溶接部などを乗り越える場合、カンチレバー22a、23aが配管Pの径方向にしか動かないため、カンチレバー22a、23aの不図示の支点への負荷を低減することができる。
【0018】
側方センサ24、25は、フレーム10の下段部14に設けられる。側方センサ24、25は、配管Pの正面側(-Y側)から見て、当該配管Pの側方に配置される。側方センサ24は、配管Pの正面に対して周方向の一方側に90°ずれた位置に配置される。側方センサ25は、配管Pの正面に対して周方向の他方側に90°ずれた位置に配置される。側方センサ24と側方センサ25とは、配管Pの中心軸AXについて軸対称の位置に配置される。側方センサ24は、カンチレバー24aと、ベアリング24bと、段ネジ24cとを有する。側方センサ25は、カンチレバー25aと、ベアリング25bと、段ネジ25cとを有する。側方センサ24、25は、カンチレバー24a、25aの先端に段ネジ24c、25cによりベアリング24b、25bが回転可能に取り付けられる。カンチレバー24a、25aは、調整部分28に接続される。調整部分28は、配管Pの外径に応じてカンチレバー24a、25aの傾きを調整することができる。また、側方センサ24、25は、カンチレバー24a、25aの先端に回転可能に取り付けられるベアリング24b、25bを介して配管Pに接触する。ベアリング24b、25bは、フレーム10の移動方向に沿って回転可能である。ベアリング24b、25bは、フレーム10が所定の移動方向、すなわち配管Pの中心軸AXの軸方向に沿って移動する際に、フレーム10の移動に追従する方向に回転する。この構成では、例えば配管Pに対して軸方向に移動する際に溶接部などを乗り越える場合、カンチレバー24a、25aが配管Pの径方向にしか動かないため、カンチレバー24a、25aの不図示の支点への負荷を低減することができる。
【0019】
案内部30は、基準ローラ31、32、33、34と、従動ローラ35とを有する。案内部30は、フレーム10に支持され、配管Pの外周Paに接触した状態で配管Pの中心軸AXの軸方向へのフレーム10の移動を案内する。
【0020】
基準ローラ31、32、33、34は、センサ20に対して、配管Pの中心軸AXについて軸対称となる位置に配置される。
【0021】
具体的には、基準ローラ31は、フレーム10の上段部13に回転可能に支持される。基準ローラ31は、フレーム10の上下方向への移動に沿って回転可能である。基準ローラ31は、斜方センサ22と中心軸AXについて軸対称となる位置に配置される。
【0022】
基準ローラ32は、フレーム10の上段部13に回転可能に支持される。基準ローラ32は、フレーム10の上下方向への移動に沿って回転可能である。基準ローラ32は、斜方センサ23と中心軸AXについて軸対称となる位置に配置される。
【0023】
基準ローラ33は、フレーム10の下段部14に回転可能に支持される。基準ローラ33は、フレーム10の上下方向への移動に沿って回転可能である。基準ローラ33は、正面センサ21と中心軸AXについて軸対称となる位置に配置される。
【0024】
基準ローラ34は、フレーム10の下段部14に回転可能に支持される。基準ローラ34は、フレーム10の上下方向への移動に沿って回転可能である。基準ローラ34は、配管Pの背面に対して周方向の一方側に45°ずれた位置に配置される。
【0025】
上記した基準ローラ31、32、33、34は、いずれもフレーム10により、配管Pの径方向への移動が規制される。このため、基準ローラ31、32、33、34は、本実施形態において、外径計測の基準となる基準部材として機能する。本実施形態では、3か所のセンサ20(正面センサ21、斜方センサ22、23)に対して、基準部材(基準ローラ31、32、33)が配管Pの中心軸AXについて軸対称となる位置に配置された構成である。配管Pの中心軸AXについて軸対称となる位置に配置される基準部材及びセンサ20の組は、2組以下であってもよいし、4組以上であってもよい。また、非接触センサ等、他の種類のセンサと併用してもよい。
【0026】
従動ローラ35は、フレーム10の下段部14に回転可能に支持される。従動ローラ35は、配管Pの径方向に力が加えられることにより、当該力に追従して径方向に移動可能に設けられる。従動ローラ35は、フレーム10の下段部14において、配管Pの正面に対して周方向の一方側に45°ずれた位置に配置される。従動ローラ35は、基準ローラ34に対して、配管Pの中心軸AXについて軸対称の位置に配置される。
【0027】
測定装置100は、上記のようにフレーム10、複数のセンサ20及び案内部30が設けられることにより、配管Pの中心軸AXから径方向(本実施形態では、+Y方向)に外れた位置に装置重心Gが配置される。このため、基準ローラ33、34がフレーム10の下段部14の+Y側、つまり配管Pに対して装置重心Gが位置する側に配置されることにより、当該基準ローラ33、34を介してフレーム10の下段部14において配管Pに対して安定して支持されることになる。したがって、測定装置100を下方側から上方側に移動する場合、配管Pの溶接部等の段差を容易に乗り越えることができ、円滑に移動することができる。また、本実施形態では、基準ローラ34に対して、配管Pの中心軸AXの軸対称となる位置に従動ローラ35が配置される。このため、フレーム10が配管Pの段差部を乗り越える場合などに柔軟に姿勢を変動させることができる。
【0028】
また、本実施形態では、フレーム10のうち配管Pに対して装置重心Gが位置する側とは反対側(-Y側)の上部に基準ローラ31、32が配置される。このため、上記した基準ローラ33、34と共に、フレーム10を上側と下側とで、また、正面側と背面側とで安定して支持することができる。この場合、フレーム10の上段部13については、従動ローラ35を省略することができる。また、フレーム10の上段部に従動ローラ35が設けられる場合においても、当該従動ローラ35の負担が軽減される。
【0029】
上記した測定装置100は、フレーム10を上下方向に移動させる昇降機構40を有する。図5は、昇降機構40の一例を模式的に示す図である。図5に示すように、昇降機構40は、ワイヤ41と、ドラム42と、支持機構43とを有する。
【0030】
ワイヤ41は、フレーム10を吊り下げる。ワイヤ41は、一端がフレーム10に係止可能である。ワイヤ41は、他端がドラム42に固定される。
【0031】
ドラム42は、例えば円筒状であり、ワイヤ41を螺旋状に巻き付け可能である。本実施形態において、ドラム42は、支持機構43により中心軸AX2を中心として回転可能に支持される。ドラム42は、内部にナット42aが設けられる。ナット42aは、後述するネジ軸47にネジ接合される。昇降機構40は、中心軸AX2が例えばX方向に沿うように配置することができる。図5には、矢印Q方向から見たドラム42の構成を併せて示している。ドラム42は、-X側の壁部42bに開口部42cを有する。開口部42cは、後述する伝達部材46の爪部46aが挿入される。
【0032】
支持機構43は、駆動源44と、出力軸45と、伝達部材46と、ネジ軸47と、軸受部48とを有する。駆動源44は、ドラム42を回転するための回転駆動力を発生させる。駆動源44としては、例えばモータ等が用いられる。出力軸45は、駆動源44で発生した回転を出力する。伝達部材46は、出力軸45に接合され、出力軸45と一体で回転する。伝達部材46は、ドラム42に接続される爪部46aを有する。爪部46aは、中心軸AX2に沿って直線状に延びている。爪部46aは、ドラム42に対してX方向に着脱可能である。爪部46aは、ドラム42に装着された状態において、ドラム42に対して中心軸AX2の軸回り方向に係止される。一方、爪部46aは、ドラム42に装着された状態において、ドラム42のX方向への移動を許容する。
【0033】
ネジ軸47は、X方向に延び、中心軸AX2を中心として配置される。ネジ軸47は、中心軸AX2の軸回り方向に回転しないように、X方向の一方の端部が軸受部48に固定される。また、ネジ軸47は、出力軸45の回転により回転しないように、X方向の他方の端部がベアリング47aを介して伝達部材46に接続される。
【0034】
ネジ軸47は、上記したドラム42のナット42aにネジ接合される。ネジ軸47は、ドラム42と一体でナット42aが回転する場合に、ナット42aとドラム42とを一体でX方向に移動させる。ネジ軸47は、ドラム42が回転する場合において、ドラム42に巻かれるワイヤ41が重ならないようにかつワイヤ41の繰り出し位置がX方向で移動しないように、ネジ山の諸元が設定される。
【0035】
次に、上記のように構成された測定装置100の動作を説明する。図6は、測定装置100の動作の一例を示す図である。以下では、上下方向に延びる配管Pに対して上下に複数段の足場Fが設けられる場合について説明する。まず、複数段の足場Fのうち最も下側の足場Fにおいて、作業者は、フレーム10の基部11を正面側部分11aと背面側部分11bとにY方向に分離させた状態で、複数のセンサ20及び案内部30をフレーム10に装着する。
【0036】
この状態で、配管Pの正面側(-Y側)に正面側部分11aを配置し、配管Pの背面側(+Y側)に背面側部分11b及び支持部12を配置して、配管PをY方向に挟むようにフレーム10を接合する。フレーム10を接合した後、フレーム10に昇降機構40のワイヤ41を装着する。昇降機構40のドラム42及び支持機構43は、例えば最も上側の足場Fに配置しておく。ワイヤ41を装着した後、各センサ20の回転部材(ベアリング21b、22b、23b、24b、25b)を配管Pの外周に接触させて、各センサ20を起動させる。図6では、2つの測定装置100を用いて測定を行う場合を例に挙げているが、これに限定されず、1つ又は3つ以上の測定装置100を用いてもよい。
【0037】
この状態で昇降機構40のドラム42を回転させることで、フレーム10を上方(+Z方向)に移動させる。昇降機構40においては、ドラム42が回転に伴ってX方向に移動するため、X方向におけるワイヤ41の繰り出し位置が一定となる。このため、ワイヤ41にX方向の力が加わることが抑制され、フレーム10を安定して上昇させることができる。
【0038】
フレーム10の上昇に従い、各センサ20によりフレーム10から配管Pの外周Paまでの距離がZ方向の位置毎に検出される。各センサ20による検出結果は、不図示の演算部に送信される。演算部は、各センサ20の検出結果に基づいて、配管Pの外径及びZ方向における外径の変化を算出する。
【0039】
本実施形態のように上下に複数段の足場Fが設けられる場合、まず、下側の足場Fで測定装置100を接合し、例えば1つ上側の足場Fの直下まで昇降機構40により測定装置100を上方に移動させて測定を行う。測定装置100が1つ上側の足場Fの直下に到達した場合、当該測定装置100を分離し、分離した測定装置100を昇降機構40により当該1つ上側の足場Fまで移動させる。その後、当該1つ上側の足場Fにおいて再度測定装置100を接合し、更に1つ上側の足場Fの直下まで昇降機構40により測定装置100を上方に移動させて測定を行う。この作業を繰り返し行うことで、複数段の足場Fが形成された配管Pの外径を上下方向の全体に亘って測定することができる。
【0040】
図7は、昇降機構の他の例を模式的に示す図である。図7に示す昇降機構50は、例えば足場Fが設けられない箇所等において測定装置100を吊り下げる際に用いることができる。図6に示すように、昇降機構50は、ワイヤ51と、プーリ52と、ワイヤ駆動機構53と、検出部54と、ベース部材55とを有する。ワイヤ51は、プーリ52を介してワイヤ駆動機構53に接続される。ワイヤ駆動機構53は、モータ等の不図示の駆動源により、ワイヤ51の巻き取り及び繰り出しを行う。検出部54は、ワイヤ51の巻き取り量及び繰り出し量を検出する。検出部54は、検出結果を不図示の表示部に出力したり、外部端末等に送信したりすることができる。ワイヤ駆動機構53と検出部54とが一体となったワイヤエンコーダ等が用いられてもよい。プーリ52は、ベース部材55にX方向に沿って配置されるレール56上を移動可能である。プーリ52は、例えばストッパ57等により水平方向への移動を規制することができる。ストッパ57は、プーリ52の移動が可能な状態とプーリ52の移動が規制される状態とを切り替えることができる。例えば、X方向に並ぶ複数の配管Pのうち1つの配管Pを測定する際には当該1つの配管Pに対応する位置にプーリ52を配置してX方向への移動を規制する。当該1つの配管Pの測定が終了した後、他の配管Pの測定を行う際、プーリ52のストッパを解除して作業者等によりX方向に移動させることで、プーリ52の位置を測定対象となる配管Pに対応する位置に容易に移動させることができる。
【0041】
以上のように、本開示の第1態様に係る測定装置は、配管Pの外径を測定する測定装置100であって、フレーム10と、フレーム10に支持され、配管Pの周方向の異なる位置に配置され、配管Pの外周Paに接触して当該外周Paとの距離を測定する複数のセンサ20と、フレーム10に支持され、配管Pの外周Paに接触した状態で配管Pの中心軸AXの軸方向へのフレーム10の移動を案内する案内部30とを備え、案内部30は、配管Pの径方向への移動が規制された基準ローラ31、32、33を有し、基準ローラ31、32、33は、センサ20に対して、配管Pの中心軸AXについて軸対称となる位置に配置される測定装置100である。
【0042】
この構成によれば、基準ローラ31、32、33がセンサ20に対して配管Pの中心軸AXについて軸対称となる位置に配置されるため、配管Pの中心軸AXについて軸対称となる位置にそれぞれセンサ20を配置する構成に比べて装置構成を簡素化することができ、誤差を半減することができる。また、複数のセンサ20が接触式のセンサであるため、非接触式のセンサと比較して、配管Pの外周Paに付着した灰等の影響を受けずに測定することができる。このため、測定誤差を抑制することができる。
【0043】
本開示の第2態様に係る測定装置は、第1態様に係る測定装置において、複数のセンサ20が、配管Pの外周Paに接触する部分に、フレーム10の移動方向に沿って回転可能な回転部材(ベアリング21b、22b、23b、24b、25b)を有する。したがって、フレーム10の移動を円滑に行うことができる。
【0044】
本開示の第3態様に係る測定装置は、第1態様又は第2態様に係る測定装置において、複数のセンサ20が、配管Pの周方向の少なくとも3か所に配置され、基準ローラ31、32、33は、少なくとも3か所のセンサ20(正面センサ21、斜方センサ22、23)に対して、配管Pの中心軸AXについて軸対称となる位置に配置される。したがって、配管Pの外周Paの外径を精度良く測定することができる。
【0045】
本開示の第4態様に係る測定装置は、第1態様から第3態様のいずれか一項に係る測定装置において、複数のセンサ20の少なくとも1つが、配管Pの中心軸AXの軸方向にずれた位置に配置される。したがって、フレーム10の構成の自由度が高められる。
【0046】
本開示の第5態様に係る測定装置は、第1態様から第4態様のいずれか一項に係る測定装置において、配管Pは、上下方向に延びており、配管Pの中心軸AXから径方向に外れた位置に装置重心Gが位置するように複数のセンサ20、案内部30及びフレーム10が設けられ、基準ローラ33、34は、フレーム10のうち配管Pに対して装置重心Gが位置する側の下部に配置される。したがって、基準ローラ33、34を介してフレーム10の下段部14において配管Pに対して安定して支持されることになる。このため、測定装置100を下方側から上方側に移動する場合、配管Pの溶接部等の段差を容易に乗り越えることができ、円滑に移動することができる。
【0047】
本開示の第6態様に係る測定装置は、第5態様に係る測定装置において、基準ローラ31、32は、フレーム10のうち配管Pに対して装置重心Gが位置する側とは反対側の上部に配置される。したがって、基準ローラ33、34と共に、フレーム10を上側と下側とで、また、装置重心Gが位置する側とその反対側とで安定して支持することができる。この場合、フレーム10の上段部13については、従動ローラ35を省略することができる。また、フレーム10の上段部に従動ローラ35が設けられる場合においても、当該従動ローラ35の負担が軽減される。
【0048】
本開示の第7態様に係る測定装置は、第5態様又は第6態様に係る測定装置において、案内部30が、配管Pの径方向に移動可能な従動ローラ35を有し、従動ローラ35が、配管Pに対して装置重心Gが位置する側の下部に配置される基準ローラ33、34に対して配管Pの中心軸AXについて軸対称となる位置に配置される。したがって、フレーム10が配管Pの段差部を乗り越える場合などに柔軟に姿勢を変動させることができる。
【0049】
本開示の第8態様に係る測定装置は、第1態様から第7態様のいずれか一項に係る測定装置において、フレーム10を吊り下げるワイヤ41と、ワイヤ41を螺旋状に巻き付け可能なドラム42と、ワイヤ41を繰り出す方向及び巻き取る方向のそれぞれに回転可能となるようにドラム42を支持し、ドラム42に巻かれるワイヤ41が重ならないようにかつドラム42から繰り出されるワイヤ41の繰り出し位置が移動しないようにドラム42の回転に応じて中心軸AX2の軸方向に移動させる支持機構43とを更に備える。したがって、測定装置100の上方への移動を円滑に行うことができる。
【0050】
本開示の第9態様に係る測定装置は、第1態様から第7態様のいずれか一項に係る測定装置において、フレーム10を吊り下げるワイヤ51と、水平方向(X方向)に移動する状態と水平方向(X方向)への移動が規制された状態とを切り替え可能であり、ワイヤ51を支持して下方に繰り出すプーリ52と、プーリ52に支持された状態でワイヤ51の巻き取り及び繰り出しを行うワイヤ駆動機構53と、ワイヤ駆動機構53におけるワイヤ51の巻き取り量及び送り出し量を検出する検出部54とを更に備える。したがって、測定装置100の上方への移動を円滑に行うことができる。
【0051】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、複数のセンサ20の1つとして正面側にセンサ20(正面センサ21)を配置する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、正面センサ21に代えて、又は正面センサ21に加えて、背面側にセンサ20が設けられた構成であってもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、正面センサ21及び斜方センサ22、23の3つのセンサについて、配管Pの中心軸AXについて軸対称の位置に基準ローラ31、32、33が配置された構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、正面センサ21、斜方センサ22、23のうち1つ又は2つのセンサ20についてのみ上記配置としてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、フレーム10において上段部13及び下段部14が設けられた2段構成とした場合を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。フレーム10においては、1段構成又は3段以上の構成であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 フレーム
11 基部
11a 正面側部分
11b 背面側部分
12 支持部
48 軸受部
13 上段部
14 下段部
20 センサ
21 正面センサ
21b,22b,23b,24b,25b ベアリング
22,23 斜方センサ
22a,23a,24a,25a カンチレバー
22c,23c,24c,25c 段ネジ
24,25 側方センサ
30 案内部
31,32,33,34 基準ローラ
35 従動ローラ
40,50 昇降機構
41,51 ワイヤ
42 ドラム
42a ナット
43 支持機構
44 駆動源
45 出力軸
46 伝達部材
46a 爪部
47 ネジ軸
47a ベアリング
52 プーリ
53 ワイヤ駆動機構
54 検出部
55 ベース部材
56 レール
100 測定装置
AX,AX2 中心軸
F 足場
G 装置重心
P 配管
Pa 外周
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
ボイラに接続されるボイラ配管等のように高温高圧の流動体が内部を流れる配管においては、流動体の温度及び圧力により配管の一部が膨し、外径が大きくなる場合がある。このような配管では、膨による破損等を防ぐため、特許文献1に示すような測定装置を用いて配管の外径を定期的に測定している。