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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049198
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】空調室内機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
F24F1/0007 401E
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155517
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】中野 寛之
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 祥太
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BJ03
(57)【要約】
【課題】アルミニウム製又はアルミニウム合金製の熱交換器とアース端子との接続部における、結露水等の水の滞留を抑制する。
【解決手段】空調室内機2は、熱交換器13と、アース部材50と、を備える。熱交換器13は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の管板36と、第1接続部40と、を有する。アース部材50は、アース線52と、アース端子51と、を有する。アース線52が第1状態になるように、アース端子51が第1接続部40に固定される。第1状態とは、アース線52が、アース端子51から水平方向、斜め下方向、又は、下方向に延びる状態である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム製又はアルミニウム合金製の管板(36)と、第1接続部(40)と、を有する熱交換器(13)と、
アース線(52)とアース端子(51)とを有するアース部材(50)と、
を備え、
前記アース線が、前記アース端子から水平方向、斜め下方向、又は、下方向に延びる第1状態になるように、前記アース端子が前記第1接続部に固定されている、
空調室内機(2)。
【請求項2】
前記アース線の最も低い位置にある部分が、前記アース端子よりも低い位置にある、
請求項1に記載の空調室内機。
【請求項3】
前記アース線が前記第1状態になるように、前記アース部材をガイドするガイド部(45,60)をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記熱交換器に設けられ、前記第1接続部の近傍に位置する、
請求項3に記載の空調室内機。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記アース端子の一部に当たる当接部(46)を有する、
請求項3に記載の空調室内機。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記熱交換器とは別の部材であって、前記アース線を拘束する、
請求項3に記載の空調室内機。
【請求項7】
前記アース端子と前記アース線とは、異なる材質である、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
【請求項8】
前記第1接続部は、鉛直方向に対して、前記熱交換器の正面側から背面側に下方向に向かって傾斜している部分に位置する、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
【請求項9】
前記第1接続部は、逆V字型の前記熱交換器の正面側部分に位置する、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
【請求項10】
前記第1接続部は、前記熱交換器の伝熱管を支持する前記管板の一部である、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
【請求項11】
前記アース線の基端は、前記第1接続部より上方に位置する、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
【請求項12】
前記アース端子は、前記熱交換器の正面側からネジによって前記第1接続部に固定される、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
空調室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空調室内機では、制御用のプリント基板を含む電装品箱、熱交換器、モータ等が本体カバー内に収容されており、漏電が発生した時のためにアース経路が確保されている。
【0003】
例えば、特許文献1(実開昭61-015422号公報)に示されるように、空調室内機においては、アース線の先のアース端子は、熱交換器の固定部に接続されており、アース線はアース端子から電子制御部に向けて斜め上方向に延びていることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルミニウム製の管板を有する熱交換器を用いた場合、上記特許文献1に記載の技術では、熱交換器の固定部とアース端子との接続部分に結露水等の水が滞留するため、熱交換器の固定部に腐食が生じる恐れがある。腐食が進むと、アース端子が外れる可能性がある。
【0005】
本開示は、熱交換器の固定部とアース端子との接続部分における、結露水等の水の滞留を抑制する空調室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の空調室内機は、熱交換器と、アース部材と、を備える。熱交換器は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の管板と、第1接続部と、を有する。アース部材は、アース線とアース端子とを有する。アース線が第1状態になるように、アース端子が第1接続部に固定される。第1状態とは、アース線が、アース端子から水平方向、斜め下方向、又は、下方向に延びる状態である。
【0007】
第1観点の空調室内機では、このような構成により、第1接続部とアース端子との接続部分に付着した結露水等の水は、アース線に沿ってアース端子から水平方向、斜め下方向、又は、下方向に導かれる。その結果、第1接続部とアース端子との接続部分に結露水等の水が滞留することを抑制でき、第1接続部の腐食によってアース端子が外れることを抑制できる。
【0008】
第2観点の空調室内機は、第1観点の空調室内機であって、アース線の最も低い位置にある部分が、前記アース端子よりも低い位置にある。
【0009】
第2観点の空調室内機では、このような構成により、第1接続部とアース端子との接続部分に付着した結露水等の水は、アース線に沿ってアース端子より低い位置に導かれる。その結果、第1接続部とアース端子との接続部分に結露水等の水が滞留することを抑制でき、第1接続部の腐食によってアース端子が外れることを抑制できる。
【0010】
第3観点の空調室内機は、第1観点又は第2観点の空調室内機であって、アース線が第1状態になるように、アース部材をガイドするガイド部をさらに備える。
【0011】
第3観点の空調室内機では、このような構成により、アース線を確実に第1状態にすることができる。
【0012】
第4観点の空調室内機は、第3観点の空調室内機であって、ガイド部は、熱交換器に設けられ、第1接続部の近傍に位置する。
【0013】
第5観点の空調室内機は、第3観点の空調室内機であって、ガイド部は、アース端子の一部に当たる当接部を有する。
【0014】
第5観点の空調室内機では、このような構成により、さらに確実にアース線を第1状態にすることができる。
【0015】
第6観点の空調室内機は、第3観点の空調室内機であって、ガイド部は、熱交換器とは別の部材であり、アース線を拘束する。
【0016】
第6観点の空調室内機では、このような構成により、アース線が第1状態になるようにアース線を拘束することができる。
【0017】
第7観点の空調室内機は、第1観点又は第2観点の空調室内機であって、アース端子とアース線とは、異なる材質である。
【0018】
第8観点の空調室内機は、第1観点又は第2観点の空調室内機であって、第1接続部は、鉛直方向に対して、熱交換器の正面側から背面側に下方向に向かって傾斜している部分に位置する。
【0019】
第8観点の空調室内機では、このような構成により、アース部材の真下に熱交換器が配置されない。その結果、アース部材に付着した結露水等の水が熱交換器に付着することを抑制できる。
【0020】
第9観点の空調室内機は、第1観点又は第2観点の空調室内機であって、第1接続部は、逆V字型の熱交換器の正面側部分に位置する。
【0021】
第9観点の空調室内機では、このような構成により、ユーザや作業者が熱交換器の正面側から第1接続部へ容易にアクセスできるため、メンテナンス時の利便性が向上する。
【0022】
第10観点の空調室内機は、第1観点又は第2観点の空調室内機であって、第1接続部は、熱交換器の伝熱管を支持する管板の一部である。
【0023】
第11観点の空調室内機は、第1観点又は第2観点の空調室内機であって、アース線の基端は、第1接続部より上方に位置する。
【0024】
第11観点の空調室内機では、このような構成により、結露水等の水がアース線の基端に付着することを抑制できる。
【0025】
第12観点の空調室内機は、第1観点又は第2観点の空調室内機であって、アース端子は、熱交換器の正面側からネジによって第1接続部に固定される。
【0026】
第12観点の空調室内機では、このような構成により、ユーザや作業者が熱交換器の正面側から第1接続部へ容易にアクセスできるため、メンテナンス時の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】空気調和装置の概略構成図である。
図2】空調室内機の支持体等を正面から見た図である。
図3】熱交換器、アース部材、及び電装品箱が配置された状態を示す正面図である。
図4】空調室内機内部の断面図である。
図5】第1接続部にアース端子が接続された状態を示す正面図である。
図6】第1接続部及びアース端子の断面図である。
図7】空調室内機内部において、熱交換器、アース部材、及び電装品箱が配置された状態を示す斜視図である。
図8】空調室内機内部において、熱交換器、アース部材、及び電装品箱が配置された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(1)全体構成
図1は、空気調和装置1の概略構成図である。図1に示すように、空気調和装置1は、主として、室内の壁面等に取り付けられる空調室内機2と、室外に設置される空調室外機3とを有する。空調室内機2及び空調室外機3は、冷媒配管4を介して互いに接続され、これにより、空気調和装置1の冷媒回路が構成される。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを利用して、空調室内機2が設置される空間の冷房、暖房、及び除湿等の空調運転を行う。
【0029】
(2)空調室内機
空調室内機2は、後面を室内の壁にかけて用いる壁掛け型のユニットである。図2等では、空調室内機2を壁にかけ、正面側から壁に向かって空調室内機2を見たときの方向を、正面、背面、上、下、右、左の矢印で示している。
【0030】
空調室内機2は、本体カバー10、支持体11、前面パネル12、熱交換器13、室内ファン14等を備える。熱交換器13や室内ファン14は、支持体11に固定され、前面パネル12や本体カバー10によって覆われる。
【0031】
本体カバー10の上面には吸込口B2が形成され、本体カバー10の下面には吹出口B1が形成されている。フラップ15は、吹出口B1に配置される。
【0032】
熱交換器13の伝熱管30の内部を冷媒が流れ、その冷媒が、熱交換器13の周囲を流れる空気と熱交換を行う。空気は、室内ファン14が回転することによって、吸込口B2から吸い込まれる。吸込口B2から熱交換器13へと流れた空気は、室内ファン14を通って吹出口B1から室内空間へと吹き出される。吹き出される空気の向きは、フラップ15の位置によって変えることができる。
【0033】
漏電が発生した時のために、電装品箱21と熱交換器13の間は、アース部材50によりアース経路が形成される。
【0034】
(2-1)本体カバー
本体カバー10は、例えば樹脂によって構成され、空調室内機2の前面、左右両側面、上面、及び下面を構成する。本体カバー10は、背面全体が開口した薄型の略直方体形状を呈する。本体カバー10の上面には、吸込口B2が形成される。吸込口B2は、室内空気を空調室内機2の内部に吸い込むための開口である。本体カバー10の下面には吹出口B1が形成される。吸込口B2から熱交換器13へと流れた空気は、吹出口B1から室内空間へと吹き出される。
【0035】
(2-2)支持体
図2は、空調室内機2の支持体11等を正面から見た図である。支持体11は、例えば樹脂によって構成され、室内ファン14の下方、後方、側方を覆う形状を呈する。支持体11は、熱交換器13及び室内ファン14を固定する。
【0036】
支持体11は、その下部において、本体カバー10と共に吹出口B1を構成する。吹出口B1は、吸込口B2から熱交換器13へと流れた空気が、室内空間へと吹き出すための開口である。ここでは、図1に示すように、吹出口B1は、空調室内機2の下部近傍であって、空調室内機2の前面側に設けられる。
【0037】
吹出口B1には、その長手方向に沿って延びる回動軸周りを回動可能なフラップ15が設けられる。フラップ15は、運転時には吹出口B1から部屋内へと吹き出される調和空気の風向を調整し、運転停止時には吹出口B1を閉じる。
【0038】
(2-3)前面パネル
前面パネル12は、例えば樹脂によって構成され、空調室内機2(本体カバー10)の前側を覆うように配置される。前面パネル12は、空調室内機2に対して着脱自在に構成され、ユーザや作業者は、空調室内機2から前面パネル12を容易に取り外すことができる。
【0039】
(2-4)電装品箱
電装品箱21は、支持体11の内部に配置される。ここでは、図2に示すように、電装品箱21が、支持体11の正面視において右側端部に配置されている。電装品箱21は、内部に制御用のプリント基板及び端子台(図示省略)を実装している。
【0040】
第1接続部40に固定されたアース端子51から延びるアース線52の基端は、電装品箱21の側面又は上面の、第1接続部40より上方の位置を貫通し、電装品箱21の中に設置されたプリント基板に接続される。このような構成により、電装品箱21と熱交換器13の間のアース経路を形成する。第1接続部40、アース端子51及びアース線52については、後述する。
【0041】
(2-5)室内ファン
室内ファン14は、図2に示す支持体11のファン収容空間20に配置される。室内ファン14は、空調室内機2の縦断面において、室内ファン14が空調室内機2の略中央に配置されており、逆V字型の形状を呈する熱交換器13が室内ファン14の上半分を囲むように配置される。
【0042】
室内ファン14は、吸込口B2から空気を吸入して熱交換器13に供給し、熱交換器13において冷媒と熱交換した空気を、吹出口B1から吹き出す。本実施形態では、室内ファン14は、左右に長く延びる円筒状のクロスフローファンである。室内ファン14の右側には、室内ファン14を回転させるモータ(図示省略)が配置される。
【0043】
(2-6)熱交換器
熱交換器13は、伝熱管30の中を通る冷媒とフィン31に接触する室内空気との間の熱交換を行なう空気熱交換器である。熱交換器13は、冷房運転時には蒸発器として機能する。熱交換器13は、暖房運転時には凝縮器として機能する。
【0044】
熱交換器13は、フィンアンドチューブ式の熱交換器であり、複数のフィン31、複数の伝熱管30、及び複数の管板36を有する。複数のフィン31、複数の伝熱管30、及び複数の管板36は、アルミニウム製もしくはアルミニウム合金製である。複数の伝熱管30は、複数のフィン31を貫いて長手方向に延びている。複数のフィン31は、長手方向に対して直交する向きに、所定の間隔を開けて並列に並んでいる。管板36は、熱交換器13の左右方向の両端部に配置されている。逆V字型の熱交換器13の前方下部及び後方下部の下には、ドレンパン22が配置されている。
【0045】
熱交換器13は、主熱交換器と、補助熱交換器と、を有するものであってもよい。
【0046】
(2-6-1)管板
管板36は、熱交換器13の複数の伝熱管30を支持するための部材であり、熱交換器13の左右の両端部に設けられている。図4は、空調室内機内部を図3のA-A’線に沿って切断した断面図である。図4に示すように、管板36は、第1部位36a、第2部位36b、第3部位36c、第4部位36dを有する。
【0047】
第1部位36aは、鉛直方向に対して、熱交換器13の正面側から背面側に下方向に向かって傾斜している。第2部位36bは、鉛直方向に対して、熱交換器13の正面側から背面側に上方向に向かって傾斜している。第3部位36cは、熱交換器13の正面側に位置する。第4部位36dは、鉛直方向に対して、熱交換器13の正面側から背面側に下方向に向かって傾斜している。
【0048】
熱交換器13の右端に配置される管板36の第3部位36cは、第1接続部40を有する。
【0049】
(2-6-1-1)第1接続部
図3に示すように、熱交換器13の正面視における右下端部において、第1接続部40を有する。第1接続部40は、管板36と一体の板金部材であり、第3部位36cに形成される。第1接続部40は、第3部位36cから、正面方向に略六角形に突出した部分である。突出した略六角形の部分を、熱交換器13の左方向、かつ、複数のフィン31の前面端部と水平となるように折り曲げて、第1接続部40が形成される。
【0050】
図5に示すように、第1接続部40は、ネジ穴41、ネジ穴42、貫通孔43、及び、貫通孔44を有する。アース端子用ネジの頭部53aと第1接続部40との間にアース端子51を挟むようにして、ネジ穴41にアース端子用ネジ53を嵌め合わせることにより、アース端子51を第1接続部40に固定する。
【0051】
なお、ネジ穴42は、防滴ケース16をネジ止めするためのネジ穴である。防滴ケース16には防滴ケース16の位置決めに用いるための突起部を有し、突起部を貫通孔43及び貫通孔44に嵌め合わせることにより、防滴ケース16の位置を固定する。
【0052】
電装品箱21の上面等から延びるアース線52の先端に取り付けられたアース端子51を、第1接続部40に固定することによって、電装品箱21と熱交換器13の間のアース経路を形成する。
【0053】
(2-6-1-2)ガイド部
ここで、アース線52がアース端子51から斜め下方向に延びる状態を第1状態と呼ぶ。ガイド部45は、アース線52が第1状態になるように、アース部材50をガイドする。このため、ガイド部45は、アース端子51を固定する第1接続部40の近傍に設けることが好ましい。この場合、近傍とは、第1接続部40と電装品箱21の間の領域を意味する。
【0054】
本実施形態に係るガイド部45は、ネジ穴41の右下部分に形成される切り欠きである。ガイド部45は当接部46を有し、当接部46はアース端子51の一部と当たり、後述のように、アース線52を第1状態にガイドする。
【0055】
(2-7)アース部材
アース部材50は、アース端子51とアース線52を含む。アース線52は、導電線を電気絶縁物で被膜した構成であり、その両端部は電気絶縁物により覆われない裸線部とされる。導電線は、例えば、銅線である。
【0056】
アース線52の一端側の裸線部は、基端として、電装品箱21の側面又は上面の、第1接続部40より上方の位置を貫通し、電装品箱21の中に設置されたプリント基板に接続される。
【0057】
アース線52の他端側の裸線部には、アース端子51が取り付けられる。アース端子51は、アース線52とは異なる素材であり、良導体から成る、筒部54を有したリング状の金具である。良導体とは、アルミニウム、ステンレス、又は、黄銅すずメッキ等である。アース線52の他端側の裸線部にアース端子51の筒部54を被せ、筒部54をかしめることにより、アース線52とアース端子51を固定する。
【0058】
アース端子用ネジ53は、例えば、SUSで構成されたネジ、又は、耐食被膜で表面を被膜されたネジである。
【0059】
アース端子用ネジの頭部53aと第1接続部40との間にアース端子51を挟むようにして、ネジ穴41にアース端子用ネジ53を嵌め合わせることにより、アース端子51を第1接続部40に固定する。
【0060】
図5は、アース端子51をアース端子用ネジ53により第1接続部40に固定した図である。図6は、第1接続部40及びアース端子51を図5のB-B’線に沿って切断した断面図である。図6に示すように、アース端子51の断面は、筒部54において凸部を有する。また、ガイド部45はネジ穴41の右下部分に形成される。このような構成により、ガイド部45に筒部54の凸部が入らないとアース端子用ネジ53が締まらず、アース端子51を固定することができない。言い換えると、アース端子用ネジ53によりアース端子51を第1接続部40に固定すると、筒部54の凸部がガイド部45に入り、筒部54の第1接続部40側の端面が当接部46に当たり、アース線52は自然に第1状態に固定される。
【0061】
(3)特徴
本実施形態における、熱交換器13のフィン31、伝熱管30、及び管板36は、アルミニウム製もしくはアルミニウム合金製である。第1接続部40は、管板36と一体の板金部材であるため、アルミニウム製もしくはアルミニウム合金製である。アース線52は、銅線であり、アース端子51は、アース線52とは異なる素材である。
【0062】
異なる種類の金属が接続される、第1接続部40とアース端子51との接続部分においては、結露水等の水が滞留することにより、第1接続部40が腐食しやすい。第1接続部40の腐食が進むと、アース端子51が外れる可能性がある。
【0063】
(3-1)
本実施形態の熱交換器13は、アース端子51を固定するための第1接続部40を有する。第1接続部40は、管板36と一体の板金部材であり、第3部位36cに形成される。
【0064】
第1接続部40は、第3部位36cから、正面方向に略六角形に突出した部分である。突出した略六角形の部分を、熱交換器13の左方向、かつ、複数のフィン31の前面端部と水平となるように折り曲げて、第1接続部40が形成される。
【0065】
第1接続部40は管板36と一体の板金部材であるため、部材の追加がなく、コストを抑えることができる。
【0066】
(3-2)
本実施形態の空調室内機2は、アース線52が第1状態になるように、アース部材50をガイドするガイド部45を有する。ガイド部45は、ネジ穴41の右下部分に形成される切り欠きである。ガイド部45は、当接部46を有し、当接部46はアース端子51の一部と当たり、アース線52を第1状態にガイドする。
【0067】
また、アース端子51は、アース端子用ネジ53により第1接続部40に固定される。図6に示すように、アース端子51の断面は、筒部54において凸部を有する。
【0068】
このような構成により、ガイド部45に筒部54の凸部が入らないとアース端子用ネジ53が締まらず、アース端子51を固定することができない。言い換えると、アース端子用ネジ53によりアース端子51を第1接続部40に固定すると、筒部54の凸部がガイド部45に入り、筒部54の第1接続部40側の端面が当接部46に当たり、アース線52は自然に第1状態に固定される。
【0069】
図5に示すように、水平方向に対するアース線52の角度をθとする。アース線52が第1状態にある時、θは、10°以上90°以下が好ましく、20°以上90°以下がさらに好ましい。
【0070】
図3及び図7に示すように、アース線52が第1状態にある時、アース線52の最も低い位置にある部分は、アース端子51よりも低い位置にある。また、アース線52の基端は、電装品箱21の側面又は上面の、第1接続部40より上方の位置を貫通し、電装品箱21の中に設置されたプリント基板に接続される。
【0071】
したがって、アース端子51より斜め下方向に延びたアース線52は、アース端子51より低い位置を通過した後、アース線52の基端に向かって斜め上方向に延びる状態となる。
【0072】
その結果、第1接続部40とアース端子51との接続部分に付着した結露水等の水は、アース線52に沿ってアース端子51から斜め下方向に導かれるため、熱交換器13の第1接続部40とアース端子51との接続部分に結露水等の水が滞留することを抑制できる。このことにより、結露水等の水による第1接続部40の腐食によってアース端子51が外れることを抑制できる。
【0073】
また、結露水等の水がアース線52の基端に付着することを抑制できる。
【0074】
(3-3)
本実施形態の第1接続部40は、第3部位36cに形成される。第3部位36cは、熱交換器13の正面側に位置する。また、アース端子51は、アース端子用ネジ53により第1接続部40に固定される。言い換えると、アース端子51は、熱交換器13の正面側からネジにより第1接続部40に固定される。
【0075】
その結果、ユーザや作業者が熱交換器13の正面側から第1接続部40に容易にアクセスできるため、メンテナンス作業が容易になる。
【0076】
(4)変形例
以下に本実施形態の変形例について説明する。なお、矛盾しない範囲で、複数の変形例が組み合わされてもよい。
【0077】
(4-1)変形例A
本実施形態において、ガイド部45は第1接続部40に設けられる。しかし、図8に示すように、支持体11にガイド部60を設けてもよい。ガイド部60は、鉛直方向において、第1接続部40より下方に設けられ、アース線52を拘束することのできる爪を有する構成であってもよい。第1接続部40より下方に設けられたガイド部60に、アース線52を拘束することにより、アース線52を第1状態にガイドすることができる。
【0078】
その結果、第1接続部40とアース端子51との接続部分に付着した結露水等の水は、アース線52に沿ってアース端子51から斜め下方向に導かれるため、第1接続部40とアース端子51との接続部分に結露水等の水が滞留することを抑制できる。このことにより、結露水等の水による第1接続部40の腐食によってアース端子51が外れることを抑制できる。
【0079】
(4-2)変形例B
本実施形態において、第1接続部40は、逆V字型の熱交換器13の正面側部分である、第3部位36cに形成されている。しかし、第1接続部40は、第4部位36dに形成してもよい。第4部位36dは、鉛直方向に対して、熱交換器13の正面側から背面側に下方向に向かって傾斜している。
【0080】
第1接続部40を第4部位36dに形成した場合、第1接続部40、アース端子51、及びアース線52の真下に熱交換器13が配置されないため、アース線52に付着した結露水等の水が熱交換器13に付着することを抑制できる。
【0081】
(4-3)変形例C
本実施形態において、第1接続部40は、管板36と一体の板金部材であり、逆V字型の熱交換器13の正面側部分に形成されている。しかし、第1接続部40は、熱交換器13の側面側部分に形成されてもよい。
【0082】
(4-4)変形例D
本実施形態において、第1接続部40は、管板36と一体の板金部材である。しかし、第1接続部40は、管板36と一体の板金部材ではなく、熱交換器13に設置される、管板36とは別の部材であってもよい。
【0083】
(4-5)変形例E
本実施形態において、第1状態は、アース線52がアース端子51から斜め下方向に延びる状態である。しかし、第1状態は、アース線52がアース端子51から水平方向に延びる状態であってもよい。この場合、ガイド部45は、ネジ穴41の右側部分に形成される切り欠きであってもよい。
【0084】
このような構成により、アース端子用ネジ53によりアース端子51を第1接続部40に固定すると、筒部54の凸部がガイド部45に入り、筒部54の第1接続部40側の端面が当接部46に当たり、アース線52は自然にアース端子51から水平方向に延びる第1状態に固定される。
【0085】
(4-6)変形例F
本実施形態において、第1状態は、アース線52がアース端子51から斜め下方向に延びる状態である。しかし、第1状態は、アース線52がアース端子51から下方向に延びる状態であってもよい。この場合、ガイド部45は、ネジ穴41の下側部分に形成される切り欠きであってもよい。
【0086】
このような構成により、アース端子用ネジ53によりアース端子51を第1接続部40に固定すると、筒部54の凸部がガイド部45に入り、筒部54の第1接続部40側の端面が当接部46に当たり、アース線52は自然にアース端子51から下方向に延びる第1状態に固定される。
【0087】
(4-7)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0088】
1 空気調和装置
2 空調室内機
3 空調室外機
4 冷媒配管
11 支持体
13 熱交換器
21 電装品箱
30 伝熱管
36 管板
36c 第3部位
36d 第4部位
40 第1接続部
41 ネジ穴
45 ガイド部
46 当接部
50 アース部材
51 アース端子
52 アース線
60 ガイド部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】
【特許文献1】実開昭61-015422号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム製又はアルミニウム合金製の管板(36)と、第1接続部(40)と、を有する熱交換器(13)と、
アース線(52)とアース端子(51)とを有するアース部材(50)と、
を備え、
前記アース線が、前記アース端子から水平方向、斜め下方向、又は、下方向に延びる第1状態になるように、前記アース端子が前記第1接続部に固定され、
前記アース線の基端は、前記第1接続部より上方に位置する、
空調室内機(2)。
【請求項2】
前記アース線の最も低い位置にある部分が、前記アース端子よりも低い位置にある、
請求項1に記載の空調室内機。
【請求項3】
前記アース線が前記第1状態になるように、前記アース部材をガイドするガイド部(45,60)をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記熱交換器に設けられ、前記第1接続部の近傍に位置する、
請求項3に記載の空調室内機。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記アース端子の一部に当たる当接部(46)を有する、
請求項3に記載の空調室内機。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記熱交換器とは別の部材であって、前記アース線を拘束する、
請求項3に記載の空調室内機。
【請求項7】
前記アース端子と前記アース線とは、異なる材質である、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
【請求項8】
前記第1接続部は、鉛直方向に対して、前記熱交換器の正面側から背面側に下方向に向かって傾斜している部分に位置する、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
【請求項9】
前記第1接続部は、逆V字型の前記熱交換器の正面側部分に位置する、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
【請求項10】
前記第1接続部は、前記熱交換器の伝熱管を支持する前記管板の一部である、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
【請求項11】
前記アース端子は、前記熱交換器の正面側からネジによって前記第1接続部に固定される、
請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。