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特開2024-49199プラズマサイトイド樹状細胞活性化用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049199
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】プラズマサイトイド樹状細胞活性化用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/135 20160101AFI20240402BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20240402BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20240402BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240402BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240402BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20240402BHJP
【FI】
A23L33/135
A61K35/747
A61K35/74 A
A61K35/74 G
A61K35/74 D
A61P37/04
A23L2/00 F
A23L2/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155520
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久美子
(72)【発明者】
【氏名】新井 聡
(72)【発明者】
【氏名】宣 旭
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018MD86
4B018ME14
4B018MF14
4B117LC04
4B117LK21
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC57
4C087MA52
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB09
(57)【要約】
【課題】プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化させることにより、免疫機能を維持、改善、又は強化することができる組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)MCC1849株(NITE BP-01633)の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上を、pDC活性化用組成物に有効成分として含有させる。ここでpDCの活性化は、CD86陽性のpDC細胞数及び/又はpDCにおけるCD86発現量の増加を含む。前記組成物は、飲食品や医薬品の態様として摂取することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)MCC1849株(NITE BP-01633)の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上を含有する、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)活性化用組成物。
【請求項2】
前記活性化が、CD86陽性のpDC細胞数及び/又はpDCにおけるCD86発現量の増加である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株(NITE BP-01633)の菌体、前記細菌の培養物、前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上を含有する、pDCにおけるCD86発現促進用組成物。
【請求項4】
免疫機能を維持、改善、又は強化するために用いられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
飲食品である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
医薬品である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ラクトバチルス・パラカゼイに属する細菌の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上を含有する、pDC活性化用組成物であって、
前記含有成分と同量のラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)JCM5805株の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上を含有する組成物よりも高いpDC活性化作用を有する、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の乳酸菌を有効成分として含有する、プラズマサイトイド樹状細胞活性化用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹状細胞は、自然免疫系における強力かつ重要な構成細胞である。樹状細胞の一種であるプラズマサイトイド樹状細胞(形質細胞様樹状細胞、plasmacytoid dendritic cell、以降「pDC」とも記す)は、NK細胞、B細胞、T細胞など様々な免疫細胞を活性化するため、免疫細胞の司令塔のような役割を果たすことが知られている。またpDCは、ウイルスに対して増殖阻害活性を示すI型インターフェロン(IFN)の体内における主要な産生細胞である。そのため、pDCは免疫機能や抗ウイルス感染防御等の生体防御の観点から非常に重要な細胞であると考えられている。
【0003】
従来、免疫機能を増強させたりウイルス防御活性を高めたりすることへの関心は高く、IFNを産生させる成分が研究されてきた。
例えば、特許文献1には、ラクトバチルス・ヘルベティカスの特定の株がpDCを増加させることが記載されている。また、特許文献2には、ラクトコッカス・ラクティスの特定の株がpDCを活性化してIFN産生を誘導し得ることが開示されている。非特許文献1にはラクトバチルス・ラムノーサスGGがpDCを活性化することが記載されている。
【0004】
ところで、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)MCC1849株(NITE BP-01633)はIL-12の産生を促進し、免疫賦活作用やウイルス感染防御作用を有することが報告されており(特許文献3)、シールド乳酸菌(登録商標)として知られている(非特許文献2)。
しかしながら、前記乳酸菌が、pDCを活性化することは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6705628号
【特許文献2】特許第5950827号
【特許文献3】特許第5646124号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S. Toki et. al., J. Allergy Clin. Immunol., Vol.119, No.110, 1013
【非特許文献2】https://morinagamilk-ingredients.com/paraprobiotics/immunogenic/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、pDCを活性化させることにより、免疫機能を維持、改善、又は強化することができる組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ヒト末梢血から回収したpDCをラクトバチルス・パラカゼイの特定株の存在下で培養すると、pDC表面において活性化マーカーであるCD86の発現が亢進することを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0009】
すなわち、本発明の第一の態様は、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株(NITE BP-01633)の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上を含有する、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)活性化用組成物である。
本態様において好ましくは、前記活性化は、CD86陽性のpDC細胞数及び/又はpDCにおけるCD86発現量の増加である。
本発明の第二の態様は、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株(NITE BP-01633)の菌体、前記細菌の培養物、前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上を含有する、pDCにおけるCD86発現促進用組成物である。
第一及び第二の態様の組成物は、免疫機能を維持、改善、又は強化するために用いられることが好ましく、これらの用途で用いられる飲食品であることがより好ましい。
第一及び第二の態様の組成物は、医薬品であることが好ましい。
本発明の第三の態様はラクトバチルス・パラカゼイに属する細菌の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上を含有する、pDC活性化用組成物であって、前記含有成分と同量のラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)JCM5805株の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上を含有する組成物よりも高いpDC活性化作用を有する、組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、pDCを活性化させることにより、免疫機能を維持、改善、又は強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1のin vitro試験における、被験試料添加24時間後のpDC1個当たりのCD86発現量を蛍光強度で表すグラフ(各群n=3、*:p=0.003、Dunnett SPSS)。
図2】実施例2の臨床試験での、L.パラカゼイ MCC1849株摂取後0、2、4、6週間後の被験者におけるpDC1個当たりのCD86発現量を蛍光強度で表すグラフ(n=20、*:p<0.05、paired t-test SPSS)。
図3】実施例3の臨床試験での、被験試料摂取後4週間後の被験者におけるpDC1個当たりのCD86発現量を蛍光強度で表すグラフ(対照群n=49、L.パラカゼイ MCC1849株摂取群n=47)、(*:p=0.037、ANCOVA)
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。
【0013】
本発明の組成物は、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上(これらを総括してラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体類とも記すことがある)を有効成分として含有する。
【0014】
ラクトバチルス・パラカゼイ MCC1849株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD;〒292-0818千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に、2013年6月6日にNITE P-01633の受託番号で寄託がなされ、2013年12月19日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、NITE BP-01633の受託番号が付与されている細菌である。
なお、従来ラクトバチルス(Lactobacillus)属に分類されていた細菌は、2020年
に国際原核生物命名委員会(ICSP)による規則(ICNP)に則りInternational Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology(IJSEM)誌において再分類がなされ、その中でラクトバチルス・パラカゼイはラクチカゼイバチルス(Lacticaseibacillus)属に再分類されている。
【0015】
なお、本明細書におけるラクトバチルス・パラカゼイ MCC1849株には、当該細菌名で所定の機関に寄託や登録がなされている株そのもの(以下、説明の便宜上、「寄託株」ともいう)に限られず、それと実質的に同等な株(「派生株」又は「誘導株」ともいう)も包含される。すなわち、上記受託番号で上記寄託機関に寄託されている株そのものに限られず、それと実質的に同等な株も包含される。細菌について、「上記寄託株と実質的に同等の株」とは、上記寄託株と同一の種に属し、さらに上記寄託株とのゲノム配列の類似度(Average Nucleotide Identity値)が、好ましくは99.0%以上、より好ましくは99.5%以上、さらに好ましくは100%の同一性を有し、かつ、好ましくは上記寄託株と同一の菌学的性質を有する株をいう。細菌について、上記寄託株と実質的に同等の株は、例えば、当該寄託株を親株とする派生株であってよい。派生株としては、寄託株から育種された株や寄託株から自然に生じた株が挙げられる。育種方法としては、遺伝子工学的手法による改変や、突然変異処理による改変が挙げられる。突然変異処理としては、X線の照射、紫外線の照射、ならびにN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン、エチルメタンスルフォネート、及びメチルメタンスルフォネート等の変異剤による処理が挙げられる。寄託株から自然に生じた株としては、寄託株の使用の際に自然に生じた株が挙げられる。そのような株としては、寄託株の培養(例えば継代培養)により自然に生じた変異株が挙げられる。派生株は、一種の改変により構築されてもよく、二種又はそれ以上の改変により構築されてもよい。
【0016】
本発明の組成物に含有させる前記細菌は、市販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよいし、前述の細菌を培養することにより取得したものを用いてもよい。
培養方法は、前記細菌が増殖できる限り、特に制限されない。培養方法としては、例えば、一般的に乳酸菌の培養に用いられる方法を、そのまま、あるいは適宜修正して、用いることができる。培養温度は、例えば、25~50℃であってよく、35~42℃であることが好ましい。培養は、好ましくは嫌気条件下で実施することができ、例えば、炭酸ガス等の嫌気ガスを通気しながら実施することができる。また、培養は、液体静置培養等の微好気条件下で実施することもできる。培養は、例えば、前記細菌が所望の程度に増殖するまで実施することができる。
【0017】
培養に用いる培地は、前記細菌が増殖できる限り、特に制限されない。培地としては、例えば、一般的に乳酸菌の培養に用いられる培地を、そのまま、あるいは適宜修正して、用いることができる。すなわち、炭素源としては、例えば、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、セロビオース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デンプン、デンプン加水分解物、廃糖蜜等の糖類を資化性に応じて用いることができる。窒素源としては、例えば、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩類や硝酸塩類を用いることができる。また、無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マンガン、硫酸第一鉄等を用いることができる。また、ペプトン、大豆粉、脱脂大豆粕、肉エキス、酵母エキス等の有機成分を用いてもよい。また、乳酸菌の培養に通常用いられる培地として、具体的には、強化クロストリジア培地(Reinforced Clostridial medium)、MRS培地(de Man, Rogosa, and Sharpe medium)、mMRS培地(modified MRS medium)、TOSP培地(TOS propionate medium)、TOSP Mup培地(TOS propionate mupirocin medium)、GAM(Gifu Anaerobic Medium)培地、YCFA(Yeast Extract-casein Hydrolysate Acid)培地等が
挙げられる。
【0018】
本発明の組成物に含有させるラクトバチルス・パラカゼイ MCC1849株の形態は、菌体、細菌の培養物、細菌の処理物のいずれでもよい。
菌体は、生菌体であってもよく、死菌体であってもよく、生菌体と死菌体の混合物であってもよいが、死菌体が好ましい。
細菌の培養物としては、例えば、培養により得られた培養物をそのまま用いてもよく、培養物を希釈又は濃縮して用いてもよく、培養物から回収した菌体を用いてもよい。また、培養物として、培養上清や培養画分を用いてもよい。培養上清を用いる場合は、例えばGAM培地で37℃、16hの条件で培養した時の培養液の上清を好ましく使用できる。
細菌の処理物としては、菌体又は培養物に対して、破砕、加熱、乾燥、及びそれらの希釈物、乾燥物又は画分を用いることができる。
本発明の組成物に含有させるラクトバチルス・パラカゼイ MCC1849株の形態として特に好ましくは、菌体の加熱処理物(加熱殺菌体)である。加熱殺菌体は、例えば前記細菌を70~100℃で10~40分間、又は90~150℃で5~30秒間処理することにより得られるものを指す。なお、加熱処理の際に、圧力を加えてもよい。なお、加熱処理の間、温度は必ずしも一定である必要はなく、所定の時間前記温度の範囲にあればよい。
前記細菌の加熱殺菌体は、前記加熱処理の後そのまま用いてもよいし、破砕、加熱乾燥、凍結乾燥、又は噴霧乾燥などの処理を施したものを用いてもよい。
【0019】
本発明の組成物におけるラクトバチルス・パラカゼイ MCC1849株の菌体類の含有量としては特に限定されず、組成物の形態により適宜設定されるが、例えば前記細菌の菌体量として、1×10~1×1013cfu/g又は1×10~1×1013cfu/mLとすることが好ましく、1×10~1×1012cfu/g又は1×10~1×1012cfu/mLとすることがより好ましく、1×10~1×1011cfu/g又は1×10~1×1011cfu/mLとすることがさらに好ましい。なお、本明細書において「cfu」は、colony forming unit(コロニー形成単位)を表す。また、死菌体を用いる場合は、cfu/g又はcfu/mLは個細胞/g又は個細胞/mLと読み替えてよい。
また、前記細菌の培養物として培養上清を用いる場合は、組成物全体の0.1~100質量%とすることが好ましく、より好ましくは1~90質量%、さらに好ましくは10~80質量%とすることができる。
本態様の組成物において、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上の組成物全体に対する含有量は、好ましくは0.001質量%以上100質量%未満、より好ましくは0.005~95質量%、さらに好ましくは0.01~85質量%である。
これらは、通常、経口組成物として流通するときの含有量の範囲であってよい。
【0020】
本発明の組成物は、pDCを活性化することができる。pDCの活性化とは、pDC表面において活性化マーカーCD86の発現が亢進することをいう。
pDCの活性化には具体的には、pDC表面におけるCD86の発現量の増加が含まれる。これは、単位pDCにおいて(言い換えるとpDC1細胞当たりで)発現するCD86量が、本発明の組成物の適用前に比べて適用後に、又は本発明の組成物の適用の場合に非適用の場合に比べて、増加することをいう。言い換えると、本発明の組成物は、pDCにおけるCD86発現を促進することができ、本発明の第二の態様としてラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体類を含有する、pDCにおけるCD86発現促進用組成物が提供される。
また、pDCの活性化には具体的には、pDC表面においてCD86が発現している細胞(CD86陽性細胞)が増加することが含まれてもよい。CD86陽性細胞の増加は、
CD86陽性細胞の絶対数の増加と、CD86陽性細胞数の割合の増加が含まれる。前記割合は、任意の単位のpDC群全体に占めるCD86陽性細胞数の割合をいう。絶対数又は割合の増加とは、本発明の組成物の適用前に比べて適用後に、又は本発明の組成物の適用の場合に非適用の場合に比べて、CD86陽性細胞の絶対数又は割合が増加することをいう。
ここで、CD86の発現は、周知の方法で定性的又は定量的に確認することができ、例えば蛍光標識化抗体を用いた免疫学的手法等により行うことができる。
【0021】
本発明の組成物は、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体類によるpDC活性化作用が、前記菌体類と同量のラクトコッカス・ラクティスJCM5805株の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上よりも有意に高いことが、後述の実施例により確認されている。
そのため、本願発明は第三の態様として、ラクトバチルス・パラカゼイに属する細菌の菌体類を含有する、pDC活性化用組成物であって、前記含有成分と同量のラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)JCM5805株の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上を含有する組成物よりも高いpDC活性化作用を有する、組成物を提供する。
【0022】
ここで、ラクトバチルス・パラカゼイに属する細菌は、新たな分類としてラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)に属する細菌を指し、具体的には、ラクトバチルス・パラカゼイ MCC1849の他に、ラクトバチルス・パラカゼイ MCC1375、ラクトバチルス・パラカゼイ KW3110(受託番号:FERM BP-08634)、ラクトバチルス・パラカゼイ WON0604(受託番号:FERM
BP-11468)、ラクトバチルス・パラカゼイ Lpc-37(受託番号:DSM32661)、等が挙げられる。
【0023】
本発明の組成物はpDCを活性化させることから、種々の免疫細胞の働きを活性化したり、IFN産生を促進したりすることが見込まれるため、免疫機能を維持、改善、又は強化することが期待できる。免疫機能の維持とは正常又は良好な免疫機能が発揮されている状態を保ち機能低下することを防ぐことを含み、免疫機能の改善とは低下した免疫機能を正常な状態にすることを含む。
【0024】
本発明の組成物を投与する(摂取させる)対象は、動物であれば特に限定されないが、通常は哺乳動物であり、ヒトが好ましい。また、対象は特に限定されないが、健康な人が好ましい。ここで健康な人とは、疾患や疾病に罹患していない人をいう。
【0025】
本発明の別の側面は、pDC活性化用組成物の製造における、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上の使用である。
本発明の別の側面は、pDC活性化における、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上の使用である。
本発明の別の側面は、pDC活性化のために用いられる、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上である。
本発明の別の側面は、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体、前記細菌の培養物及び前記細菌の処理物から選択される一種又は二種以上を対象に投与することを含む、pDCを活性化する方法である。
【0026】
なお、「ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体類を対象に投与すること
」は、「ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体類を対象に摂取させること」と同義であってよい。摂取は、自発的なもの(自由摂取)であってもよく、強制的なもの(強制摂取)であってもよい。すなわち、投与工程は、具体的には、例えば、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体類を飲食品や飼料に配合して対象に供給し、以て対象にラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体類を自由摂取させる工程であってもよい。
【0027】
本発明の組成物の摂取(投与)時期や摂取(投与)期間は、特に限定されず、投与対象の状態に応じて適宜選択することができる。
【0028】
本発明の組成物は、それ自体を飲食品や医薬品等の形態としてもよいし、添加物として飲食品や医薬品等に含有させる形態としてもよい。
本発明の組成物の摂取(投与)経路は、経口又は非経口のいずれでもよいが、通常は経口である。また、非経口摂取(投与)としては、経皮、静注、直腸投与、吸入等が挙げられる。
【0029】
本発明の組成物の摂取(投与)量は、摂取(投与)対象の年齢(月齢)、性別、状態、その他の条件等により適宜選択される。
本発明の組成物の摂取(投与)量は、本発明に係るラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の摂取(投与)量として、例えば、成人において、1日当たり、1×10~1×1013cfuが好ましく、1×10~1×1012cfuがより好ましく、1×10~1×1011cfuがさらに好ましい。
なお、摂取(投与)の量や期間にかかわらず、本発明の組成物は1日1回又は複数回に分けて摂取(投与)することができる。
【0030】
本発明の組成物を経口摂取される組成物とする場合は、飲食品の態様とすることが好ましい。
飲食品としては、本発明の効果を損なわず、経口摂取できるものであれば形態や性状は特に制限されず、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体類を含有させること以外は、通常飲食品に用いられる原料を用いて通常の方法によって製造することができる。
【0031】
飲食品としては、液状、ペースト状、ゲル状固体、粉末等の形態を問わず、例えば、錠菓;流動食(経管摂取用栄養食);パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等の小麦粉製品;即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等の即席食品類;農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等の農産加工品;水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等の水産加工品;畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品;加工乳、乳飲料、ヨーグルト(発酵乳)類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、クリーム、その他の乳製品等の乳・乳製品;バター、マーガリン類、植物油等の油脂類;しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等の基礎調味料;調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等の複合調味料・食品類;素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等の冷凍食品;キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、ゼリー、その他の菓子などの菓子類;炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等の嗜好飲料類、ベビーフード、ふりかけ、お茶漬けのり等のその他の市販食品等;サプリメント、調製乳(粉乳、液状乳等を含む)等の栄養組成物;経腸栄養食;機能性食品(特定保健用食品、栄養機能食品)等が挙げられる。
【0032】
なお、飲食品としてサプリメントの形態とする場合は、腸溶性コーティング等により腸溶処理されてもよい、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤;等に製剤化することができる。かかる製剤化に際しては、後述する医薬品の製剤化に係る成分、担体、及び方法の説明に準ずることができる。
【0033】
また、飲食品の一態様として飼料とすることもできる。飼料としては、ペットフード、家畜飼料、養魚飼料等が挙げられる。
飼料の形態としては特に制限されず、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体類の他に例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦、マイロ等の穀類;大豆油粕、ナタネ油粕、ヤシ油粕、アマニ油粕等の植物性油粕類;フスマ、麦糠、米糠、脱脂米糠等の糠類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の製造粕類;魚粉、脱脂粉乳、ホエイ、イエローグリース、タロー等の動物性飼料類;トルラ酵母、ビール酵母等の酵母類;第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;単体アミノ酸;糖類等を含有するものであってよい。
【0034】
本発明の組成物が飲食品(飼料を含む)の態様である場合、免疫機能の維持等の用途が表示された飲食品として提供・販売されることが可能である。また、本明細書に係るラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体類は、これら飲食品等の製造のために使用可能である。
【0035】
かかる「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本発明における「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
【0036】
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
【0037】
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、若しくは機能性表示食品に係る制度、又はこれらに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示、科学的根拠に基づいた機能性の表示等を挙げることができ、より具体的には、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成二十一年八月三十一日内閣府令第五十七号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。
かかる表示としては、例えば、「pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働きかけ」、
「免疫細胞pDCに働きかける」、「免疫細胞pDCを活性化する」「免疫細胞pDCを増やす」、「健康な人の免疫機能の維持に役立つ」、「免疫機能を高める」、「免疫機能をサポート」、「健康な人の免疫機能の維持をサポート」、「pDC (プラズマサイトイド樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つ」等と表示することが挙げられる。
【0038】
本発明の組成物は、医薬品の態様とすることもできる。
医薬品の投与経路は、経口又は非経口のいずれでもよいが経口が好ましい。また、非経口摂取(投与)としては、経皮、静注、直腸投与、吸入等が挙げられる。
医薬品の形態としては、投与方法に応じて、適宜所望の剤形に製剤化することができる。例えば、経口投与の場合、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等に製剤化することができる。また、腸溶性コーティング等により、腸溶剤とすることもできる。非経口投与の場合、座剤、軟膏剤、注射剤等に製剤化することができる。
製剤化に際しては、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の菌体類の他に、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤等の成分を用いることができる。また、他の薬効成分や、公知の又は将来的に見出されるpDC活性化作用を有する成分等を併用することも可能である。
加えて、製剤化は剤形に応じて適宜公知の方法により実施できる。製剤化に際しては、適宜、通常製剤化に用いる担体を配合して製剤化してもよい。かかる担体としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
【0039】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α-デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
【0040】
結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等が挙げられる。
【0041】
崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。
【0042】
滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ビーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸塩類;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
【0043】
安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
【0044】
矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
なお、経口投与用の液剤の場合に使用する担体としては、水等の溶剤等が挙げられる。
【0045】
本発明の医薬品を摂取するタイミングは、例えば食前、食後、食間、就寝前など特に限定されない。
【実施例0046】
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0047】
<製造例>乳酸菌の加熱殺菌体の調製
ラクトバチルス・パラカゼイ(以下「L.パラカゼイ」という) MCC1849株(NITE BP-01633)を、MRS(de Man Rogasa Sharpe)培地(Difco社製)で37℃で16時間培養した。また、ラクトコッカス・ラクティス JCM5805株を、ラクトースを添加したM―17培地で30℃の好気条件下で16時間培養した。培養した菌体をそれぞれPBSで洗浄した後に、2×10cells/mLになるようにPBSで懸濁し、90℃15分間の加熱処理を行い、加熱殺菌体を調製した。取得した加熱殺菌体を、後述の実施例に供した。
【0048】
<実施例1>in vitro試験でのpDC活性化作用の確認
ベリタス社よりヒト正常末梢血細胞(PBMC)を購入し、EasySep(登録商標) Human Pan-DC Pre-Enrichment Kit(STEMCELL Technologies)のプロトコルに従い、ヒトDCを分離した。ヒトDCを96wellの接着細胞用丸底フラスコに2×10 cells/ウェルずつ播種し、L.パラカゼイ MCC1849株又はL.ラクティス JCM5805株の加熱殺菌体を2×10 cellsを添加し、COインキュベーターで24時間培養した。培養後の細胞を回収して遠心分離し、細胞のペレットをPBS(-)に懸濁した後、この細胞集団をフローサイトメーターを用いて蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)で解析するため、FITC標識抗Lineage(CD3、CD14、CD19、CD56)抗体(BioLegend)、PE標識抗CD86抗体(BioLegend)、PerCP-Cy5.5標識抗HLA-DR抗体(BioLegend)、及びAPC標識抗CD11c抗体(BioLegend)で、細胞表面を染色した。FACSで検出されたLineage陰性、CD11c陰性、CD123陽性、HLA-DR陽性である細胞群を形質細胞用樹状細胞(pDC)としてカウントし、PE標識抗CD86抗体の蛍光強度(Geometric Mean)で測定されるCD86の発現量でpDCの活性化状態を評価した。
【0049】
結果を図1に示す。L.パラカゼイ MCC1849株投与群では、コントロール及びラクトコッカス・ラクティス JCM5805株投与群に対して高いCD86発現量が認められた。すなわち、L.パラカゼイ MCC1849株の投与により、pDCをより活性化できることがわかる。特に、L.パラカゼイ MCC1849株投与群では、コントロール群に対して有意に高いCD86発現量が認められた(Dunnettの検定、p=0.003)。さらには、L.パラカゼイ MCC1849株を含有する組成物は、同量のラクトコッカス・ラクティス JCM5805株を含有する組成物よりもpDCをより活性化できることがわかる。
【0050】
<実施例2>ヒト臨床試験でのpDC活性化作用の確認1
20名の健常成人にL.パラカゼイ MCC1849株の加熱殺菌体を、1日あたり2500億個ずつ4週間継続して摂取させ、摂取0週、2週、4週、6週後にそれぞれ血液を採取し、末梢血単核球(Peripheral Blood Mononuclear Cell; PBMC)を取得した。この細胞集団をフローサイトメーターを用いて蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)で解析するため、FITC標識抗CD304抗体、PE標識抗HLA-DR抗体、PE-Cy7標識抗CD123抗体、APC標識抗CD86抗体で細胞表面を染色した。FACSで検出されたCD123及びCD304ともが陽性である細胞群を形質細胞用樹状細胞(pDC)としてカウントし、APC標識抗CD86抗体の蛍光強度(Geometric Mean)で測定されるCD86の発現量でpDCの活性化状態を評価した。摂取前(0週)を基準とし、対応のあるT検定で比較した。
【0051】
結果を図2に示す。L.パラカゼイ MCC1849株の摂取4週以降で、0週時に比べて有意に高いCD86発現量が認められた。すなわち、L.パラカゼイ MCC1849株の摂取により、ヒトにおいてpDCが活性化されたことがわかる。
【0052】
<実施例3>ヒト臨床試験でのpDC活性化作用の確認2
100名の健常成人を2群に分け、L.パラカゼイ MCC1849株の加熱殺菌体を1日あたり500億個又はプラセボ食品を4週間継続して摂取させ、摂取前(0週)及び摂取4週後にそれぞれ血液を採取し、末梢血単核球(Peripheral Blood Mononuclear Cell; PBMC)を取得した。この細胞集団について実施例2と同様にpDCの活性化状態を評価した。摂取4週後の群間比較は、共分散分析にて実施した。
【0053】
結果を図3に示す。摂取4週後において、L.パラカゼイ MCC1849株摂取群はプラセボ群(コントロール群)に比べて有意に高いCD86発現量が認められた。すなわち、L.パラカゼイ MCC1849株の摂取により、ヒトにおいてpDCが活性化されたことがわかる。
図1
図2
図3