IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本設計工業の特許一覧

<>
  • 特開-ローラチェーンコンベアシステム 図1
  • 特開-ローラチェーンコンベアシステム 図2
  • 特開-ローラチェーンコンベアシステム 図3
  • 特開-ローラチェーンコンベアシステム 図4
  • 特開-ローラチェーンコンベアシステム 図5
  • 特開-ローラチェーンコンベアシステム 図6
  • 特開-ローラチェーンコンベアシステム 図7
  • 特開-ローラチェーンコンベアシステム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004921
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ローラチェーンコンベアシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/24 20060101AFI20240110BHJP
   B65G 47/88 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65G17/24 A
B65G47/88 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104825
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】592053778
【氏名又は名称】株式会社日本設計工業
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名倉 成之
(72)【発明者】
【氏名】大島 久典
(72)【発明者】
【氏名】小林 欽也
【テーマコード(参考)】
3F017
3F034
【Fターム(参考)】
3F017EA05
3F017FA01
3F017FA07
3F017FE04
3F034JA01
3F034JA03
3F034JB05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】大径のローラを用いることなく、パレットを増速して移動させることができるローラチェーンコンベアシステムを提供する。
【解決手段】ローラチェーンコンベアシステムの増速ローラチェーンシステムは、増速モードコンベアと、搬送されるパレットからなり、増速モードコンベアは、一対の増速コンベアフレームと、搬送方向と平行なローラチェーンと、ローラチェーンの内リンクプレートと外リンクプレートを貫通するチェーンピンに回転自在に嵌合されたチェーンローラと、フレームに固定され内リンクプレートに摺接可能な一対の増速モードチェーンレールを有し、パレットは下方に突出してチェーンローラに上方から接触可能な一対の樹脂レールを備え、増速モードチェーンレールは突出する突部と、突部よりも低い低部からなる凸形状で、チェーンローラが突部の上面に持ち上げられて底部との間に隙間が生じるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークをチェーン駆動速度に対して増速して搬送する増速モードコンベアと、この増速モードコンベアによって搬送されるワーク搬送用のパレットと、を有してなるローラチェーンコンベアシステムであって、
前記増速モードコンベアは、
ワーク搬送方向に平行に配置された左右一対の増速コンベアフレームと、
これら増速コンベアフレームの各々に、ワーク搬送方向に配置された、モータ駆動のローラチェーンと、
前記ローラチェーンにおける内リンクプレートと外リンクプレートを貫通して設けられたチェーンピンに、チェーン幅方向一対の前記内リンクプレート間の位置で、回転自在に嵌合されたチェーンローラと、
前記左右一対の増速コンベアフレームの各々に固定され、前記内リンクプレートを摺接可能に支持する左右一対の増速モードチェーンレールと、
を有してなり、
前記パレットは、パレット底面から下方に突出して設けられ、前記増速モードコンベアにおける前記チェーンローラに対して上方から接触可能で、且つ、ワーク搬送方向に延在する左右一対の樹脂レールを前記パレット底面に着脱自在に備え、
前記増速モードチェーンレールは、一対の前記内リンクプレートの間で、下方から、前記チェーンローラの下側に接触可能の高さで設けられ、ワーク搬送方向と直交する鉛直断面において、チェーン幅方向中央位置で上方に突出する突部と、その両側で前記突部よりも低く形成された低部からなる凸形状であって、前記突部は、高さが、前記チェーンローラが前記突部の上面により前記内リンクプレート及び外リンクプレートが持ち上げられて前記低部との間に隙間が生じるように構成されたことを特徴とするローラチェーンコンベアシステム。
【請求項2】
ローラチェーンコンベアと、このローラチェーンコンベアによって搬送されるワーク搬送用のパレットと、を有してなり、前記ローラチェーンコンベアは、前記パレットを、ローラチェーン駆動速度に対して増速して搬送する増速モードコンベア、及び、等速で搬送可能なフリーフローモードコンベアとされ、これら増速モードコンベア、及び、フリーフローモードコンベアが搬送方向に接続されているローラチェーンコンベアシステムであって、
前記増速モードコンベアは、
ワーク搬送方向に平行に配置された左右一対の増速コンベアフレームと、
これら増速コンベアフレームの各々に、ワーク搬送方向に配置された、モータ駆動のローラチェーンと、
前記ローラチェーンにおける内リンクプレートと外リンクプレートを貫通して設けられたチェーンピンに、チェーン幅方向一対の前記内リンクプレート間の位置で、回転自在に嵌合されたチェーンローラと、
前記左右一対の増速コンベアフレームの各々に固定され、前記内リンクプレートを摺接可能に支持する左右一対の増速モードチェーンレールと、
を有してなり、
前記フリーフローモードコンベアは、
ワーク搬送方向に平行に配置された左右一対のフリーフローコンベアフレームと、
これらフリーフローコンベアフレームの各々に、ワーク搬送方向に配置された、モータ駆動のローラチェーンと、
前記ローラチェーンにおける内リンクプレートと外リンクプレートを貫通して設けられたチェーンピンに、チェーン幅方向一対の前記内リンクプレート間の位置で、回転自在に嵌合されたチェーンローラと、
前記左右一対のフリーフローコンベアフレームの各々に固定され、前記内リンクプレートを摺接可能に支持する左右一対のフリーフローモードチェーンレールと、
を有してなり、
前記パレットは、パレット底面から下方に突出して設けられ、前記増速モードコンベア又はフリーフローモードコンベアにおける前記チェーンローラに対して上方から接触可能で、且つ、ワーク搬送方向に延在する左右一対の樹脂レールを前記パレット底面に着脱自在に備え、
前記増速モードチェーンレールは、一対の前記内リンクプレートの間で、下方から、前記チェーンローラの下側に接触する高さで設けられ、ワーク搬送方向と直交する断面において、幅方向中央位置で上方に突出する突部と、その両側で前記突部よりも低く形成された低部からなる凸形状であって、前記突部は、高さが、前記チェーンローラが前記突部の上面により前記内リンクプレート及び外リンクプレートが持ち上げられて前記低部との間に隙間が生じるように構成され、
前記フリーフローモードチェーンレールは、前記ローラチェーンにおける前記内リンクプレートが摺接可能な平面を有する板状とされ、
前記チェーンローラの直径は前記増速モードコンベアの場合及びフリーフローモードコンベアの場合で同一とされたことを特徴とするローラチェーンコンベアシステム。
【請求項3】
請求項2において、
前記増速モードチェーンレールは、前記突部を除いた断面形状が、前記フリーフローモードチェーンレールの断面形状と同一とされ、且つ、前記フリーフローモードチェーンレールの上面に前記突部を付着した構成とされたことを特徴とするローラチェーンコンベアシステム。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記パレットの搬送面の下側で、前記フリーフローモードコンベアにおける前記パレットの出側端部に設けられたストッパ基盤と、
このストッパ基盤の鉛直状側面に設けられた蹴出しストッパと、
前記パレットにおける、搬送方向の先端裏側に、前記樹脂レールと同一高さ、または、これより低い範囲で、下方に突出されたパレット側ストッパブロックと、を有し、
前記蹴出しストッパは、搬送方向と平行な鉛直面内において、前記ストッパ基盤における前記鉛直状側面に、下端を中心に揺動自在に支持されたストッパアームと、このストッパアームを揺動するためのアクチュエータと、前記ストッパアームの上端部に、揺動自在に支持された蹴出しブロックと、前記ストッパアームの上端部の一部として、前記蹴出しブロックよりも搬送方向前方位置に形成されたストッパ先端部と、を有してなり、
前記蹴出しブロックは、前記パレットの搬送方向前端が前記フリーフローモードコンベアにおける出側端に接近したとき、前記パレット側ストッパブロックの前端下部により押下げられ、且つ、前記パレット側ストッパブロックを通過したとき、上方に跳ね上げられて、前記パレット側ストッパブロックの後端に当接可能な位置に戻るように構成され、
前記ストッパ先端部は、前記ストッパアームが前記アクチュエータによる揺動に従って前記蹴出しブロックが前記パレット側ストッパブロックの後端に当接したとき、前記蹴出しブロックとの間に、前記パレット側ストッパブロックを前後方向に挟込む位置、及び、先端が前記パレット側ストッパブロックよりも下方に待機して、前記パレット側ストッパブロックを開放する位置の間で揺動自在とされたことを特徴とするローラチェーンコンベアシステム。
【請求項5】
請求項4において、
前記ストッパアームにおける前記ストッパ先端部に対して、前記パレット側ストッパブロックと接触前の状態のとき、前記ストッパ先端部よりもワーク搬送方向と反対側に突出された待機位置、及び、前記ストッパ先端部に側方から見て重なる位置との間で、揺動自在に支持されたショック吸収レバーと、
前記ショック吸収レバーのワーク搬送方向側に配置され、先端が前記ショック吸収レバー背面に当接されているショックアブソーバと、
を有してなるローラチェーンコンベアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ローラチェーンを引っ張る速度よりも増速してワークを搬送し、また、ローラチェーンをチェーンローラに対してスリップする状態に保つことによりワークを停止させて滞留できるローラチェーンコンベアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
部品などを組み立てる生産ラインにおいて使用されるコンベアとして、従来から、「倍速チェーン」等と称するローラチェーンコンベアシステムがある。
【0003】
このシステムは、チェーンに、小径と大径のチェーンローラをチェーンピンに対して滑り回転可能に設け、組み立て作業の工程間を繋ぐ箇所では、大径ローラ上にワークを載置したパレットを置き、摩擦により、大径ローラを小径ローラと同一回転させることによりパレットを高速で駆動し、又、組み立て作業をする場所ではチェーンを引っ張る速度でパレットを搬送しつつ、パレットにストッパ機構を作用させて、ローラチェーンに対して小径ローラを空滑りさせてパレットを滞留させ、組み立て作業を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-190212号公報
【特許文献2】特開2005-231749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような倍速チェーンは、通常のチェーンと比較して、大径ローラが必要なために装置をコンパクト化出来ず、又、モータによって駆動される動力チェーンは、規格品で、統一された汎用品であるが、倍速チェーンは、チェーンメーカー毎に作製しなければならず、その分、コスト高となるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ワークをチェーン駆動速度に対して増速して搬送する増速モードコンベアと、この増速モードコンベアによって搬送されるワーク搬送用のパレットと、を有してなるローラチェーンコンベアシステムであって、前記増速モードコンベアは、ワーク搬送方向に平行に配置された左右一対の増速コンベアフレームと、これら増速コンベアフレームの各々に、ワーク搬送方向に配置された、モータ駆動のローラチェーンと、前記ローラチェーンにおける内リンクプレートと外リンクプレートを貫通して設けられたチェーンピンに、チェーン幅方向一対の前記内リンクプレート間の位置で、回転自在に嵌合されたチェーンローラと、前記左右一対の増速コンベアフレームの各々に固定され、前記内リンクプレートを摺接可能に支持する左右一対の増速モードチェーンレールと、を有してなり、前記パレットは、パレット底面から下方に突出して設けられ、前記増速モードコンベアにおける前記チェーンローラに対して上方から接触可能で、且つ、ワーク搬送方向に延在する左右一対の樹脂レールを前記パレット底面に着脱自在に備え、前記増速モードチェーンレールは、一対の前記内リンクプレートの間で、下方から、前記チェーンローラの下側に接触可能の高さで設けられ、ワーク搬送方向と直交する鉛直断面において、チェーン幅方向中央位置で上方に突出する突部と、その両側で前記突部よりも低く形成された低部からなる凸形状であって、前記突部は、高さが、前記チェーンローラが前記突部の上面により前記内リンクプレート及び外リンクプレートが持ち上げられて前記低部との間に隙間が生じるように構成されたことを特徴とするローラチェーンコンベアシステムにより、上記課題を解決するものである。
【0008】
又、本発明は、ローラチェーンコンベアと、このローラチェーンコンベアによって搬送されるワーク搬送用のパレットと、を有してなり、前記ローラチェーンコンベアは、前記パレットを、ローラチェーン駆動速度に対して増速して搬送する増速モードコンベア、及び、等速で搬送可能なフリーフローモードコンベアとされ、これら増速モードコンベア、及び、フリーフローモードコンベアが搬送方向に接続されているローラチェーンコンベアシステムであって、前記増速モードコンベアは、ワーク搬送方向に平行に配置された左右一対の増速コンベアフレームと、これら増速コンベアフレームの各々に、ワーク搬送方向に配置された、モータ駆動のローラチェーンと、前記ローラチェーンにおける内リンクプレートと外リンクプレートを貫通して設けられたチェーンピンに、チェーン幅方向一対の前記内リンクプレート間の位置で、回転自在に嵌合されたチェーンローラと、前記左右一対の増速コンベアフレームの各々に固定され、前記内リンクプレートを摺接可能に支持する左右一対の増速モードチェーンレールと、を有してなり、前記フリーフローモードコンベアは、ワーク搬送方向に平行に配置された左右一対のフリーフローコンベアフレームと、これらフリーフローコンベアフレームの各々に、ワーク搬送方向に配置された、モータ駆動のローラチェーンと、前記ローラチェーンにおける内リンクプレートと外リンクプレートを貫通して設けられたチェーンピンに、チェーン幅方向一対の前記内リンクプレート間の位置で、回転自在に嵌合されたチェーンローラと、前記左右一対のフリーフローコンベアフレームの各々に固定され、前記内リンクプレートを摺接可能に支持する左右一対のフリーフローモードチェーンレールと、を有してなり、前記パレットは、パレット底面から下方に突出して設けられ、前記増速モードコンベア又はフリーフローモードコンベアにおける前記チェーンローラに対して上方から接触可能で、且つ、ワーク搬送方向に延在する左右一対の樹脂レールを前記パレット底面に着脱自在に備え、前記増速モードチェーンレールは、一対の前記内リンクプレートの間で、下方から、前記チェーンローラの下側に接触する高さで設けられ、ワーク搬送方向と直交する断面において、幅方向中央位置で上方に突出する突部と、その両側で前記突部よりも低く形成された低部からなる凸形状であって、前記突部は、高さが、前記チェーンローラが前記突部の上面により前記内リンクプレート及び外リンクプレートが持ち上げられて前記低部との間に隙間が生じるように構成され、前記フリーフローモードチェーンレールは、前記ローラチェーンにおける前記内リンクプレートが摺接可能な平面を有する板状とされ、前記チェーンローラの直径は前記増速モードコンベアの場合及びフリーフローモードコンベアの場合で同一とされたことを特徴とするローラチェーンコンベアシステムにより上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大径のチェーンローラを用いることなく、通常のチェーンローラを内及び外のリンクプレートが増速モードチェーンレールに接触しないように、増速モードチェーンレールの突部によりチェーンローラを持ち上げ、且つ、そのチェーンローラに対して、ワーク搬送用パレット側の樹脂レールを上方から接触させて、倍速でワーク搬送用パレットを搬送させることができ、設備コスト及び運用コストを大幅に低減させることができるという効果を有する。
【0010】
又、この発明は、増速ローラチェーンコンベアシステムと、この増速モードコンベアにおける増速モードチェーンレールを、フリーフローモードチェーンレール、又は、その逆に交換することによって、作業ラインを自由に、且つ、迅速に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係るローラチェーンコンベアシステムの要部を示す斜視図
図2】同実施例における増速ローラチェーンコンベアシステムを示す断面図
図3】本発明のローラチェーンコンベアシステムの実施例において用いられるローラチェーン及びチェーンレールを分解して示す斜視図
図4】同実施例において用いられるワーク搬送用のパレットを、下から見た斜視図
図5】上記実施例に用いられるフリーフローローラチェーンコンベアシステムを示す断面図
図6】上記フリーフローローラチェーンコンベアシステムにおいて、フリーフローモードコンベアの、パレット搬出側に設けられる、パレットストッパ機構を示す側面図
図7】同パレットストッパ機構によってフリーフローモードコンベアから搬出されるワーク搬送用パレットを、停止させて、プールし、更に、これを勢いをつけて搬出させる過程を示す側面図
図8】同パレットストッパ機構に、ショックアブソーバを設けた変形例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施例]
以下、本発明の実施例に係るローラチェーンコンベアシステム10について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1に示されるように、ローラチェーンコンベアシステム10は、増速ローラチェーンコンベアシステム(以下増速コンベアシステム)20を、フリーフローローラチェーンコンベアシステム(以下フリーフローコンベアシステム)40と接続して構成されている。
【0014】
又、増速ローラチェーンコンベアシステム20は、増速モードコンベア22と、ワーク搬送用のパレット12とから構成されている。
【0015】
同様に、フリーフローローラチェーンコンベアシステム40は、フリーフローモードコンベア42とワーク搬送用のパレット12とから構成されている。
【0016】
まず、増速コンベアシステム20について、図2図4を参照して説明する。
【0017】
増速コンベアシステム20は、ワーク搬送方向に平行に配置された左右一対の増速コンベアフレーム24A、24B(図2参照)と、これら増速コンベアフレーム24A、24Bの各々に、ワーク搬送方向に配置されたモータ(図示省略)駆動のローラチェーン30と、ローラチェーン30における内リンクプレート32Aと外リンクプレート32Bとを貫通して設けられたチェーンピン36にチェーン幅方向一対の内リンクプレート32A、32A間の位置で回転自在に嵌合されたチェーンローラ34と、左右一対の増速コンベアフレーム24A、24Bの各々に固定され、内リンクプレート32Aを摺接可能に支持する左右一対の増速モードチェーンレール26とを備えて構成されている(図3参照)。
【0018】
図2に示されるように、パレット12は、パレット底面13から下方に突出する左右一対の樹脂レール14A、14Bを有している。これら左右一対の樹脂レール14A、14Bは、左右一対の増速コンベアフレーム24A、24Bにおけるチェーンローラ34に対して上方から接触可能で、且つ、ワーク搬送方向に延在し、パレット底面13に着脱自在に設けられている。
【0019】
増速モードチェーンレール26は、一対の内リンクプレート32Aの間で、下方から、チェーンローラ34の下側に接触可能な高さで設けられ、ワーク搬送方向と直交する鉛直断面において、チェーン幅方向中央位置で上方に突出する突部27Aと、その両側で突部27Aよりも低く形成された低部27Bからなる凸形状とされている。
【0020】
又、突部27Aは、高さがチェーンローラ34が突部27Aの上面により内リンクプレート32A及び外リンクプレート32Bが持ち上げられて低部27Bとの間に、隙間S(図2参照)が生じるように構成されている。
【0021】
ここで、パレット12は、例えばアルミニウム合金等の金属製とされ、また、樹脂レール14A、14Bは硬質樹脂からなり、樹脂レール着脱ねじ16によってパレット12に着脱自在とされている。なお、着脱ねじ16に代えてロールピン(スプリングピン)を用いてもよい。
【0022】
一方、フリーフローモードチェーンレール46はローラチェーン30における内リンクプレート32Aが摺接可能な平面47を有する板状とされている(図3参照)。
【0023】
又、チェーンローラ34の外径は、増速モードコンベア22及びフリーフローモードコンベア42の両者において同一とされている。
【0024】
又、上記の増速モードチェーンレール26とフリーフローモードチェーンレール46とは、断面形状が相違しているが、これは、図3において明確に示されるように突部27Aの有無のみにおいて相違するものであり、実際は、板状のフリーフローモードチェーンレール46に、突部27Aを接着あるいは溶着することによって、増速モードチェーンレール26を構成することができる。
【0025】
図1に示されるように、フリーフローローラチェーンコンベアシステム40は、増速ローラチェーンコンベアシステム20と比較して、後者における増速モードチェーンレール26が、断面凸形状であるのに対して、前者において、フリーフローモードチェーンレール46は、少なくとも上面が平坦な板状とされた点においてのみ相違する。
【0026】
又、図5に示されるように、図2の増速コンベアシステム20に対して、フリーフローコンベアシステム40における左右一対のフリーフローコンベアフレーム44A、44Bは、増速コンベアフレーム24A、24Bと実質的に同一であるが、説明のために異なる符号、名称を用いている。
【0027】
上記実施例において、増速モードコンベア22は、増速モードチェーンレール26を用いていて、その突部27Aが、ローラチェーン30におけるチェーンローラ34を、内又は外リンクプレート32A、32Bが増速モードチェーンレール26の低部27Bに接触しないように持ち上げるので、パレット12における樹脂レール14A、14Bは、チェーンローラ34の上にのみ接触し、ローラチェーン30を引っ張る速度に加えて、チェーンローラ34の回転により、チェーン引張方向に、チェーン引張速度の2倍の速度で搬送されることになる。
【0028】
又、フリーフローモードコンベア42においては、平板状のフリーフローモードチェーンレール46の平面47に、ローラチェーン30における内リンクプレート32Aが接触するので、ローラチェーン30は、モータによる引張力によってのみ駆動され、従って、パレット12は、ローラチェーンの引張速度で搬送されることになる。
【0029】
この実施例においては、増速コンベアシステム20における増速モードコンベア22に用いた増速モードチェーンレール26を、フリーフローモードコンベア42におけるフリーフローモードチェーンレール46に交換することによって、増速モードからフリーフローモードに容易に切換える事ができる。又、従来のような大径のチェーンローラを準備する必要が無い。
【0030】
次に、図6を参照して、フリーフローコンベアシステム40のワーク出側端部43に設けられた、パレットストッパ機構50について説明する。
【0031】
このパレットストッパ機構50は、パレット12の搬送面の下側で、フリーフローモードコンベア42におけるパレット12の出側端部43に設けられたストッパ基盤52と、このストッパ基盤52の鉛直状側面に設けられた蹴出しストッパ53と、パレット12における、搬送方向の先端裏側に、樹脂レール14A、14Bと同一高さ、または、これより低い範囲で、下方に突出されたパレット側ストッパブロック54(図4参照)と、を有している。
【0032】
蹴出しストッパ53は、搬送方向と平行な鉛直面内において、ストッパ基盤52における鉛直状側面に、下端を中心に揺動自在に支持されたストッパアーム53Aと、このストッパアーム53Aを揺動するためのアクチュエータ53Bと、ストッパアーム53Aの上端部に、揺動自在に支持された蹴出しブロック53Cと、ストッパアーム53Aの上端部の一部として、蹴出しブロック53Cよりも搬送方向前方位置に形成されたストッパ先端部53Dと、から構成されている。
【0033】
蹴出しブロック53Cは、パレット12の搬送方向前端がフリーフローモードコンベア42における出側端部43に接近したとき、パレット側ストッパブロック54の前端下部により押下げられ、且つ、パレット側ストッパブロック54を通過したとき、上方に跳ね上げられて、パレット側ストッパブロック54の後端に当接可能な位置に戻るように構成されている。図6の符号63Aはアクチュエータ53Bにより揺動されるアクチュエータアーム、63Bはアクチュエータアーム63Aに取付けられた揺動ピン63Cを案内するカム溝、63Dは蹴出しブロック53Cを上方に付勢するための圧縮コイルばねをそれぞれ示す。
【0034】
ストッパ先端部53Dは、ストッパアーム53Aがアクチュエータ53Bによる揺動に従って蹴出しブロック53Cがパレット側ストッパブロック54の後端に当接したとき、蹴出しブロック53Cとの間に、パレット側ストッパブロック54を前後方向に挟込む位置、及び、先端がパレット側ストッパブロック54よりも下方に待機して、パレット側ストッパブロック54を開放する位置の間で揺動自在とされている。
【0035】
以下、図7を参照して、パレット12をパレットストッパ機構50により停止させ、更に、作業等の終了後に、パレット12を送出すまでの過程について説明する。
【0036】
図7の(1)は、パレット進入直前の状態を示す。パレット12がフリーフローモードコンベア42における出側端部43に接近すると、パレット12におけるパレット側ストッパブロック54が、図7(2)に示されるように、蹴出しブロック53Cを押し付けて時計方向に揺動させる。この時、ストッパ先端部53Dは、パレット12を停止させる所定位置に待機している。
【0037】
この状態で、図7(3)に示されるように、パレット12が進行すると、パレット側ストッパブロック54は、蹴出しブロック53Cの先端部を乗り越えて、蹴出しブロック53Cとストッパ先端部53Dの間で停止される。
【0038】
パレット側ストッパブロック54が、蹴出しブロック53Cを乗り越えたことによって、図7(4)で示されるように、蹴出しブロック53Cとストッパ先端部53Dの間に挟み込まれて、前進後退ができないように拘束された状態となる。
【0039】
一時停止(アキュームレート)されていたパレット12を送り出すときは、図7(5)に示されるように、ストッパアーム53Aをアクチュエータ53Bによって時計方向に揺動させると、ストッパ先端部53Dは、パレット側ストッパブロック54よりも下がり、これによってパレット側ストッパブロック54は、蹴出しブロック53Cから離間して、送り出し方向に移動可能となる。
【0040】
蹴出しブロック53Cは、ばねによって反時計方向に付勢されているので、ストッパ先端部53Dが時計方向に揺動してパレット側ストッパブロック54を、図において送り出し方向に開放した時、図7(6)に示されるように、蹴出しブロック53Cは、ストッパアーム53Aがアクチュエータ53Bによって時計方向に揺動すると、パレット側ストッパブロック54を送り出し方向に押し出す。すなわち蹴出すことになる。これによって、パレット12は、迅速に次の工程に送られることになる。
【0041】
なお、蹴出しストッパ53を設けない場合は、ローラチェーン30の内リンクプレート32Aとフリーフローモードチェーンレール46の平面47との間の摩擦力のみで、ゆっくりと送り出される。
【0042】
上記のように、パレットストッパ機構50によって、搬送されてくるパレット12を拘束し、且つ、蹴出しストッパ53によって迅速に送り出すことができるが、フリーフローモードコンベア42の搬送速度が高い場合、パレット12のパレット側ストッパブロック54が、蹴出しブロック53Cに強く衝突することもあり得る。
【0043】
その対策としては、図8に示されるような、ショック吸収レバー55を設けると良い。
【0044】
このショック吸収レバー55は、詳細には、ストッパアーム53Aにおけるストッパ先端部53Dに対して、パレット側ストッパブロック54と接触前の状態のとき、ストッパ先端部53Dよりもワーク搬送方向と反対側に突出された待機位置、及び、ストッパ先端部53Dに側方から見て重なる位置との間で、揺動自在に支持されている。
【0045】
図8における符号56は、ショック吸収レバー55のワーク搬送方向側に配置され、先端がショック吸収レバー55の背面に当接されているショックアブソーバを示す。
【0046】
なお、本発明は、フリーフローコンベアシステム40を含まない、増速コンベアシステム20のみの場合にも適用されるものである。
【符号の説明】
【0047】
10…ローラチェーンコンベアシステム
12…パレット
13…パレット底面
14A、14B…樹脂レール
16…樹脂レール着脱ねじ
20…増速ローラチェーンコンベアシステム(増速コンベアシステム)
22…増速モードコンベア
24A、24B…増速コンベアフレーム
26…増速モードチェーンレール
27A…突部
27B…低部
30…ローラチェーン
32A…内リンクプレート
32B…外リンクプレート
34…チェーンローラ
36…チェーンピン
38…ピンガイド
40…フリーフローローラチェーンコンベアシステム(フリーフローコンベアシステム)
42…フリーフローモードコンベア
43…出側端部
44A、44B…フリーフローコンベアフレーム
46…フリーフローモードチェーンレール
47…平面
50…パレットストッパ機構
52…ストッパ基盤
53…蹴出しストッパ
53A…ストッパアーム
53B…アクチュエータ
53C…蹴出しブロック
53D…ストッパ先端部
54…パレット側ストッパブロック
55…ショック吸収レバー
56…ショックアブソーバ
63A…アクチュエータアーム
63B…カム溝
63C…摺動ピン
63D…圧縮コイルばね
S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8