(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049210
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01P 1/20 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
H01P1/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155534
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】彭 云霄
【テーマコード(参考)】
5J006
【Fターム(参考)】
5J006HD08
5J006HD12
5J006JA01
5J006JA11
5J006LA01
5J006LA21
(57)【要約】
【課題】所望の位置においてグランド端子に対して接続部を接続しながら、グランド用導体層と非グランド導体との間隔を大きくすることが可能な積層型電子部品を実現する。
【解決手段】電子部品1は、複数の導体を含む積層体50と、積層体50の外周部に設けられたグランド端子113とを備えている。複数の導体は、複数のグランド導体と、複数の非グランド導体とを含んでいる。複数のグランド導体は、グランド用導体層541と、複数の接続部CN1とを含んでいる。複数の接続部CN1は、誘電体層51~74の積層方向Tにおいて、グランド用導体層541と複数の非グランド導体との間に配置されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の誘電体層によって構成されると共に複数の導体を含む積層体と、
前記積層体の外周部に設けられると共にグランドに接続される少なくとも1つのグランド端子とを備え、
前記複数の導体は、複数のグランド導体と、複数の非グランド導体とを含み、
前記複数のグランド導体は、グランド用導体層と、前記グランド用導体層と前記少なくとも1つのグランド端子とを電気的に接続する少なくとも1つの接続部とを含み、
前記少なくとも1つの接続部は、前記複数の誘電体層の積層方向において、前記グランド用導体層と前記複数の非グランド導体との間に配置されていることを特徴とする積層型電子部品。
【請求項2】
前記少なくとも1つの接続部は、それぞれ互いに異なる複数の位置において前記グランド用導体層に接続された複数の接続部であることを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記複数の接続部は、前記グランド用導体層に接続された複数のスルーホールと、前記少なくとも1つのグランド端子に接続された複数の第1の導体部分と、前記複数の第1の導体部分を接続する少なくとも1つの第2の導体部分とを含むことを特徴とする請求項2記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記少なくとも1つのグランド端子は、第1のグランド端子と、第2のグランド端子とを含み、
前記グランド用導体層は、前記積層方向に直交する方向の両端に位置する第1の端部および第2の端部を有し、
前記少なくとも1つの接続部は、前記第1の端部の近傍において前記グランド用導体層に接続されると共に前記第1のグランド端子に接続された少なくとも1つの第1の接続部と、前記第2の端部の近傍において前記グランド用導体層に接続されると共に前記第2のグランド端子に接続された少なくとも1つの第2の接続部とを含むことを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の接続部は、前記第1の端部に沿って並んだ複数の第1の接続部であり、
前記少なくとも1つの第2の接続部は、前記第2の端部に沿って並んだ複数の第2の接続部であることを特徴とする請求項4記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記複数の第1の接続部と前記複数の第2の接続部は、前記積層方向に平行な仮想の平面を中心として対称に配置されていることを特徴とする請求項5記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記少なくとも1つの接続部は、前記積層方向に積層された複数のスルーホールを含むことを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記複数のグランド導体は、更に、他のグランド用導体層と、前記他のグランド用導体層と前記少なくとも1つのグランド端子とを電気的に接続する少なくとも1つの他の接続部とを含み、
前記他のグランド用導体層は、前記グランド用導体層との間に前記非グランド導体を挟む位置に配置され、
前記少なくとも1つの他の接続部は、前記積層方向において、前記他のグランド用導体層と前記非グランド導体との間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記複数の非グランド導体は、素子を構成する主要部分と、前記主要部分と前記少なくとも1つのグランド端子とを電気的に接続する末端部分とを含み、
前記末端部分は、前記積層方向において、前記少なくとも1つの接続部と、前記主要部分との間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記主要部分は、分布定数共振器を含むことを特徴とする請求項9記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の内部にグランド用導体層が設けられた積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置に用いられる電子部品の一つには、複数の共振器を備えたバンドパスフィルタがある。複数の共振器の各々は、例えば、分布定数線路によって構成されている。分布定数線路は、所定の線路長を有するように構成される。また、特に小型の通信装置に用いられるバンドパスフィルタには、小型化が求められる。小型化に適したバンドパスフィルタとしては、積層された複数の誘電体層と複数の導体層とを含む積層体を用いたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、複数の誘電体層が積層された積層体と、線路状導体パターンと、キャパシタ導体パターンと、グランド導体パターンと、ビア導体とを備えた積層型LCフィルタが開示されている。グランド導体パターンは、線路状導体パターンと積層体の底面との間に配置されている。また、グランド導体パターンは、積層体の側面に形成されたグランド端子と接続するための接続導体パターンを備えている。ビア導体は、線路状導体パターンとグランド導体パターンとを接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された積層型LCフィルタのように、共振器を構成する分布定数線路とグランド用導体層とが積層体の内部に設けられた積層型電子部品では、分布定数線路とグランド用導体層との間隔を大きくすることが好ましい。しかし、分布定数線路とグランド用導体層との間隔を大きくすると、グランド用導体層と積層体の底面との間隔が小さくなる。本願の発明者による研究の過程で、グランド用導体層と積層体の底面との間隔が小さくなるに従って、グランド用導体層が積層体の側面の端子に接続される部分を起点として、積層体にクラックが生じやすくなることが分かった。
【0006】
上記の問題は、共振器を構成する分布定数線路とグランド用導体層とが積層体の内部に設けられた積層型電子部品に限らず、積層体の内部にグランド用導体層と非グランド導体とが設けられ、積層体の外周部にグランド端子が設けられた積層型電子部品全般に当てはまる。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、積層体の内部にグランド用導体層と非グランド導体とが設けられ、積層体の外周部にグランド端子が設けられた積層型電子部品において、所望の位置においてグランド端子に対してグランド用導体層とグランド端子とを電気的に接続するための導体を接続しながら、グランド用導体層と非グランド導体との間隔を大きくすることができる積層型電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の積層型電子部品は、積層された複数の誘電体層によって構成されると共に複数の導体を含む積層体と、積層体の外周部に設けられると共にグランドに接続される少なくとも1つのグランド端子とを備えている。複数の導体は、複数のグランド導体と、複数の非グランド導体とを含んでいる。複数のグランド導体は、グランド用導体層と、グランド用導体層と少なくとも1つのグランド端子とを電気的に接続する少なくとも1つの接続部とを含んでいる。少なくとも1つの接続部は、複数の誘電体層の積層方向において、グランド用導体層と複数の非グランド導体との間に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の積層型電子部品では、複数のグランド導体は、グランド用導体層と、少なくとも1つの接続部とを含んでいる。少なくとも1つの接続部は、複数の誘電体層の積層方向において、グランド用導体層と複数の非グランド導体との間に配置されている。これにより、本発明によれば、所望の位置においてグランド端子に対して接続部を接続しながら、グランド用導体層と非グランド導体との間隔を大きくすることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る積層型電子部品の回路構成を示す回路図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る積層型電子部品の外観を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体における1層目ないし5層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体における6層目ないし11層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体における12層目ないし14層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体における15層目ないし20層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体における21層目ないし24層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体の内部を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体の内部の一部を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体の内部の他の一部を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第2の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体における4層目ないし6層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図12】本発明の第2の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体における20層目ないし22層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図13】本発明の第2の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体の内部の一部を示す斜視図である。
【
図14】本発明の第3の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体における4層目、5層目および21層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図15】本発明の第3の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体の内部の一部を示す斜視図である。
【
図16】本発明の第4の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体における5層目および21層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図17】本発明の第4の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体の内部の一部を示す斜視図である。
【
図18】本発明の第5の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体における4層目、5層目および21層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図19】本発明の第5の実施の形態に係る積層型電子部品の積層体の内部の一部を示す斜視図である。
【
図20】第1の実施例のモデルの通過減衰特性を示す特性図である。
【
図21】第2の実施例のモデルの通過減衰特性を示す特性図である。
【
図22】第3の実施例のモデルの通過減衰特性を示す特性図である。
【
図23】第4の実施例のモデルの通過減衰特性を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る積層型電子部品(以下、単に電子部品と記す。)1の構成について説明する。
図1は、電子部品1の回路構成を示す回路図である。電子部品1は、所定の周波数帯域内の信号を選択的に通過させるバンドパスフィルタとして機能するように構成されている。
【0012】
電子部品1は、第1のポート2と、第2のポート3と、複数の共振器とを備えている。第1のポート2と第2のポート3は、それぞれ、バンドパスフィルタの入出力ポートとして機能する。複数の共振器は、回路構成上、第1のポート2と第2のポート3との間に配置されている。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。
【0013】
複数の共振器の各々は、分布定数線路である。また、複数の共振器の各々は、線路の長手方向の両端に位置する第1の端部および第2の端部を有している。複数の共振器の各々は、第1の端部と第2の端部の一方が短絡され他方が開放された1/4波長共振器であってもよいし、第1の端部と第2の端部の両方が開放された1/2波長共振器であってもよい。
【0014】
本実施の形態では特に、複数の共振器は、3つの共振器11,12,13を含んでいる。3つの共振器11,12,13は、回路構成上、第1のポート2側からこの順に配置されている。共振器11~13は、共振器11,12が回路構成上隣接して電磁結合し、共振器12,13が回路構成上隣接して電磁結合するように構成されている。
【0015】
本実施の形態では、共振器11~13の各々は、1/4波長共振器である。共振器11~13の各々の第2の端部は、グランドに接続される。
【0016】
電子部品1は、更に、キャパシタC1,C2,C3,C4,C5,C6を備えている。キャパシタC1の一端は、第1のポート2に接続されている。キャパシタC2の一端は、キャパシタC1の他端に接続されている。キャパシタC2の他端は、第2のポート3に接続されている。キャパシタC3の一端は、第1のポート2とキャパシタC1の接続点に接続されている。キャパシタC3の他端は、第2のポート3とキャパシタC2の接続点に接続されている。
【0017】
キャパシタC4は、共振器11の第1端とグランドとの間に設けられている。キャパシタC5は、共振器12の第1端とグランドとの間に設けられている。キャパシタC6は、共振器13の第1端とグランドとの間に設けられている。
【0018】
共振器11と共振器12は、キャパシタC1を介して容量結合している。共振器12と共振器13は、キャパシタC2を介して容量結合している。共振器11と共振器13は、キャパシタC3を介して容量結合している。
【0019】
次に、
図2を参照して、電子部品1のその他の構成について説明する。
図2は、電子部品1の外観を示す斜視図である。
【0020】
電子部品1は、更に、積層体50を備えている。積層体50は、積層された複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールとを含んでいる。第1のポート2、第2のポート3、共振器11~13およびキャパシタC1~C3は、積層体50に一体化されている。共振器11~13は、複数の導体層を用いて構成されている。
【0021】
積層体50は、複数の誘電体層の積層方向Tの両端に位置する第1の面50Aおよび第2の面50Bと、第1の面50Aと第2の面50Bを接続する4つの側面50C~50Fとを有している。側面50C,50Dは互いに反対側を向き、側面50E,50Fも互いに反対側を向いている。側面50C~50Fは、第1の面50Aおよび第2の面50Bに対して垂直になっている。
【0022】
ここで、
図2に示したように、X方向、Y方向、Z方向を定義する。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。本実施の形態では、積層方向Tに平行な一方向を、Z方向とする。また、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。なお、本出願において、「積層方向Tから見たとき」という表現は、Z方向または-Z方向に離れた位置から対象物を見ることを意味する。
【0023】
図2に示したように、第1の面50Aは、積層体50における-Z方向の端に位置する。第1の面50Aは、積層体50の底面でもある。第2の面50Bは、積層体50におけるZ方向の端に位置する。第2の面50Bは、積層体50の上面でもある。側面50Cは、積層体50における-X方向の端に位置する。側面50Dは、積層体50におけるX方向の端に位置する。側面50Eは、積層体50における-Y方向の端に位置する。側面50Fは、積層体50におけるY方向の端に位置する。
【0024】
電子部品1は、更に、信号端子111,112と、グランド端子113,114とを備えている。信号端子111は、第1の面50Aから側面50Cを経由して第2の面50Bにかけて配置されている。信号端子112は、第1の面50Aから側面50Dを経由して第2の面50Bにかけて配置されている。グランド端子113は、第1の面50Aから側面50Fを経由して第2の面50Bにかけて配置されている。グランド端子114は、第1の面50Aから側面50Eを経由して第2の面50Bにかけて配置されている。
【0025】
信号端子111は第1のポート2に対応し、信号端子112は第2のポート3に対応している。グランド端子113,114は、グランドに接続される。
【0026】
次に、
図3(a)ないし
図7(c)を参照して、積層体50を構成する複数の誘電体層および複数の導体層の一例について説明する。この例では、積層体50は、積層された24層の誘電体層を有している。以下、この24層の誘電体層を、下から順に1層目ないし24層目の誘電体層と呼ぶ。また、1層目ないし24層目の誘電体層を符号51~74で表す。
【0027】
図3(a)は、1層目ないし3層目の誘電体層51~53の各々のパターン形成面を示している。誘電体層51~53には、導体層およびスルーホールは形成されていない。
【0028】
図3(b)は、4層目の誘電体層54のパターン形成面を示している。誘電体層54のパターン形成面には、グランド用導体層541が形成されている。また、誘電体層54には、それぞれグランド用導体層541に接続された複数のスルーホール54T1と、それぞれグランド用導体層541に接続された複数のスルーホール54T2が形成されている。本実施の形態では特に、複数のスルーホール54T1の数と複数のスルーホール54T2の数は、いずれも5つである。
【0029】
図3(c)は、5層目の誘電体層55のパターン形成面を示している。誘電体層55には、複数のスルーホール55T1と、複数のスルーホール55T2が形成されている。本実施の形態では特に、複数のスルーホール55T1の数と複数のスルーホール55T2の数は、いずれも5つである。誘電体層54に形成された複数のスルーホール54T1は、それぞれ複数のスルーホール55T1に接続されている。誘電体層54に形成された複数のスルーホール54T2は、それぞれ複数のスルーホール55T2に接続されている。
【0030】
図4(a)は、6層目の誘電体層56のパターン形成面を示している。誘電体層56のパターン形成面には、導体層561,562が形成されている。導体層561は、
図2に示したグランド端子113に接続されている。導体層562は、
図2に示したグランド端子114に接続されている。誘電体層55に形成された複数のスルーホール55T1は、導体層561に接続されている。誘電体層55に形成された複数のスルーホール55T2は、導体層562に接続されている。
【0031】
図4(b)は、7層目ないし10層目の誘電体層57~60の各々のパターン形成面を示している。誘電体層57~60には、導体層およびスルーホールは形成されていない。
【0032】
図4(c)は、11層目の誘電体層61のパターン形成面を示している。誘電体層61のパターン形成面には、導体層611,612,613,614が形成されている。導体層611は、
図2に示した信号端子111に接続されている。導体層612は、
図2に示した信号端子112に接続されている。導体層613は、
図2に示したグランド端子113に接続されている。導体層614は、
図2に示したグランド端子114に接続されている。
【0033】
また、誘電体層61には、スルーホール61T1,61T2,61T3A,61T3B,61T3Cと、複数のスルーホール61T4が形成されている。スルーホール61T1,61T2は、それぞれ導体層611,612に接続されている。スルーホール61T3A,61T3B,61T3Cは、導体層613に接続されている。複数のスルーホール61T4は、導体層614に接続されている。本実施の形態では特に、複数のスルーホール61T4の数は5つである。
【0034】
図5(a)は、12層目の誘電体層62のパターン形成面を示している。誘電体層61のパターン形成面には、導体層621,622,623が形成されている。誘電体層61に形成されたスルーホール61T3A,61T3B,61T3Cは、それぞれ、導体層621,622,623に接続されている。
【0035】
また、誘電体層62には、スルーホール62T1,62T2と、複数のスルーホール62T4が形成されている。誘電体層61に形成されたスルーホール61T1,61T2は、それぞれスルーホール62T1,62T2に接続されている。本実施の形態では特に、複数のスルーホール62T4の数は5つである。誘電体層61に形成された複数のスルーホール61T4は、それぞれ複数のスルーホール62T4に接続されている。
【0036】
図5(b)は、13層目の誘電体層63のパターン形成面を示している。誘電体層63のパターン形成面には、共振器用の導体層631,632,633と、導体層634,635,636が形成されている。導体層631~633の各々は、長手方向の両端に位置する第1の端部および第2の端部を有している。導体層634は、導体層631~633の各々の第2の端部に接続されている。導体層635は、導体層631の第1の端部と第2の端部との間の位置において導体層631に接続されている。導体層636は、導体層632の第1の端部と第2の端部との間の位置において導体層632に接続されている。
図5(b)では、2つの導体層の境界を、点線で示している。
【0037】
誘電体層62に形成されたスルーホール62T1,62T2は、それぞれ導体層635,636に接続されている。誘電体層62に形成された複数のスルーホール62T4は、導体層634に接続されている。また、誘電体層63には、導体層632に接続されたスルーホール63T1が形成されている。
【0038】
図5(c)は、14層目の誘電体層64のパターン形成面を示している。誘電体層64のパターン形成面には、導体層641が形成されている。また、誘電体層64には、スルーホール64T1が形成されている。誘電体層63に形成されたスルーホール63T1と、スルーホール64T1は、導体層641に接続されている。
【0039】
図6(a)は、15層目の誘電体層65のパターン形成面を示している。誘電体層65のパターン形成面には、導体層651,652が形成されている。誘電体層64に形成されたスルーホール64T1は、導体層651に接続されている。
【0040】
図6(b)は、16層目ないし19層目の誘電体層66~69の各々のパターン形成面を示している。誘電体層66~69には、導体層およびスルーホールは形成されていない。
【0041】
図6(c)は、20層目の誘電体層70のパターン形成面を示している。誘電体層70のパターン形成面には、導体層701,702が形成されている。導体層701は、
図2に示したグランド端子113に接続されている。導体層702は、
図2に示したグランド端子114に接続されている。
【0042】
また、誘電体層70には、それぞれ導体層701に接続された複数のスルーホール70T1と、それぞれ導体層702に接続された複数のスルーホール70T2が形成されている。本実施の形態では特に、複数のスルーホール70T1の数と複数のスルーホール70T2の数は、いずれも5つである。
【0043】
図7(a)は、21層目の誘電体層71のパターン形成面を示している。誘電体層71には、複数のスルーホール71T1と、複数のスルーホール71T2が形成されている。本実施の形態では特に、複数のスルーホール71T1の数と複数のスルーホール71T2の数は、いずれも5つである。誘電体層70に形成された複数のスルーホール70T1は、それぞれ複数のスルーホール71T1に接続されている。誘電体層70に形成された複数のスルーホール70T2は、それぞれ複数のスルーホール71T2に接続されている。
【0044】
図7(b)は、22層目の誘電体層72のパターン形成面を示している。誘電体層72のパターン形成面には、グランド用導体層721が形成されている。誘電体層71に形成された複数のスルーホール71T1および複数のスルーホール71T2は、グランド用導体層721に接続されている。
【0045】
図7(c)は、23層目および24層目の誘電体層73,74の各々のパターン形成面を示している。誘電体層73,74には、導体層およびスルーホールは形成されていない。
【0046】
図2に示した積層体50は、1層目の誘電体層51のパターン形成面が積層体50の第1の面50Aになり、24層目の誘電体層74のパターン形成面とは反対側の面が積層体50の第2の面50Bになるように、1層目ないし24層目の誘電体層51~74が積層されて構成される。
【0047】
図8は、1層目ないし24層目の誘電体層51~74が積層されて構成された積層体50の内部を示している。
図8に示したように、積層体50の内部では、
図3(b)ないし
図7(b)に示した複数の導体層と複数のスルーホールが積層されている。
【0048】
以下、
図1に示した電子部品1の回路の構成要素と、積層体50の内部の構成要素との対応関係について説明する。共振器11は、共振器用の導体層631によって構成されている。導体層631は、導体層611、スルーホール61T1,62T1および導体層635を介して信号端子111に接続されている。また、導体層631は、導体層614、複数のスルーホール61T4、複数のスルーホール62T4および導体層634を介して、グランド端子114に接続されている。
【0049】
共振器12は、共振器用の導体層632によって構成されている。導体層632は、導体層614、複数のスルーホール61T4、複数のスルーホール62T4および導体層634を介して、グランド端子114に接続されている。
【0050】
共振器13は、共振器用の導体層633によって構成されている。導体層633は、導体層612、スルーホール61T2,62T2および導体層636を介して信号端子112に接続されている。また、導体層633は、導体層614、複数のスルーホール61T4、複数のスルーホール62T4および導体層634を介して、グランド端子114に接続されている。
【0051】
キャパシタC1は、導体層631,651と、これらの導体層の間の誘電体層63,64とによって構成されている。キャパシタC2は、導体層633,651と、これらの導体層の間の誘電体層63,64とによって構成されている。キャパシタC3は、導体層631,633,652と、これらの導体層の間の誘電体層63,64とによって構成されている。
【0052】
キャパシタC4は、導体層621,631と、これらの導体層の間の誘電体層62とによって構成されている。キャパシタC5は、導体層622,632と、これらの導体層の間の誘電体層62とによって構成されている。キャパシタC6は、導体層623,633と、これらの導体層の間の誘電体層62とによって構成されている。
【0053】
次に、
図2ないし
図10を参照して、本実施の形態に係る電子部品1の構造上の特徴について説明する。
図9は、積層体50の内部の一部を示す斜視図である。
図10は、積層体50の内部の他の一部を示す斜視図である。
図9には、主に、11層目ないし15層目の誘電体層61~65に形成された複数の導体層および複数のスルーホールを示している。
図10には、主に、4層目ないし6層目ならびに20層目ないし22層目の誘電体層54~56,70~72に形成された複数の導体層および複数のスルーホールを示している。
【0054】
電子部品1は、積層体50と、信号端子111,112と、グランド端子113,114とを備えている。積層体50は、積層された複数の誘電体層51~74によって構成されると共に、複数の導体層および複数のスルーホールを含んでいる。信号端子111,112およびグランド端子113,114は、積層体50の外周部に設けられている。以下、複数の導体層と複数のスルーホールとを合わせて、複数の導体と言う。複数の導体は、積層体50の内部に設けられている。
【0055】
複数の導体は、複数のグランド導体と、複数の非グランド導体とを含んでいる。本実施の形態では、積層体50においてグランドおよびシールドの少なくとも一方として用いられる特定の導体を、グランド導体と言う。また、積層体50内においてグランド端子113,114を介さずに上記の特定の導体に接続される導体も、グランド導体と言う。また、グランド導体以外の導体を、非グランド導体と言う。
【0056】
始めに、複数のグランド導体について説明する。本実施の形態では特に、複数のグランド導体は、グランド用導体層541,721を含んでいる。グランド用導体層541,721は、上記の特定の導体に対応する。
図10に示したように、グランド用導体層541は、Y方向に平行な方向の両端に位置する第1の端部541aおよび第2の端部541bを有している。グランド用導体層721は、Y方向に平行な方向の両端に位置する第1の端部721aおよび第2の端部721bを有している。第1の端部541a,721aは、側面50F(
図2参照)の近傍に配置されている。第2の端部541b,721bは、側面50E(
図2参照)の近傍に配置されている。
【0057】
複数のグランド導体は、更に、少なくとも1つの接続部を含んでいる。少なくとも1つの接続部は、グランド用導体層541,721の少なくとも一方と、グランド端子113,114の少なくとも一方とを、電気的に接続している。
【0058】
本実施の形態では、少なくとも1つの接続部は、複数の接続部CN1と、複数の接続部CN2と、複数の接続部CN3と、複数の接続部CN4である。本実施の形態では特に、複数の接続部CN1の数と、複数の接続部CN2の数と、複数の接続部CN3の数と、複数の接続部CN4の数は、いずれも5つである。
【0059】
図10に示したように、複数の接続部CN1は、グランド用導体層541の第1の端部541aに沿って並び、グランド用導体層541とグランド端子113(
図2参照)とを電気的に接続している。複数の接続部CN1は、複数のスルーホール54T1(
図3(b)参照)と、複数のスルーホール55T1(
図3(c)参照)と、導体層561(
図4(a)参照)とによって構成されている。
図4(a)に示したように、導体層561は、複数の第1の導体部分561Aと、複数の第2の導体部分561Bとを含んでいる。本実施の形態では特に、複数の第1の導体部分561Aの数は5つであり、複数の第2の導体部分561Bの数は4つである。
【0060】
複数の第1の導体部分561Aは、側面50Fに沿って並ぶと共に、グランド端子113に接続されている。複数の第2の導体部分561Bの各々は、隣接する2つの第1の導体部分561Aを接続している。本実施の形態では特に、複数の第2の導体部分561Bの各々は、グランド端子113にも接続されている。
【0061】
複数の接続部CN1の各々は、1つのスルーホール54T1と、1つのスルーホール55T1と、1つの第1の導体部分561Aとによって構成されている。1つのスルーホール54T1と1つのスルーホール55T1は、積層方向Tに積層されている。
【0062】
図10に示したように、複数の接続部CN2は、グランド用導体層541の第2の端部541bに沿って並び、グランド用導体層541とグランド端子114(
図2参照)とを電気的に接続している。複数の接続部CN2は、複数のスルーホール54T2(
図3(b)参照)と、複数のスルーホール55T2(
図3(c)参照)と、導体層562(
図4(a)参照)とによって構成されている。
図4(a)に示したように、導体層562は、複数の第1の導体部分562Aと、複数の第2の導体部分562Bとを含んでいる。本実施の形態では特に、複数の第1の導体部分562Aの数は5つであり、複数の第2の導体部分562Bの数は4つである。
【0063】
複数の第1の導体部分562Aは、側面50Eに沿って並ぶと共に、グランド端子114に接続されている。複数の第2の導体部分562Bの各々は、隣接する2つの第1の導体部分562Aを接続している。本実施の形態では特に、複数の第2の導体部分562Bの各々は、グランド端子114にも接続されている。
【0064】
複数の接続部CN2の各々は、1つのスルーホール54T2と、1つのスルーホール55T2と、1つの第1の導体部分562Aとによって構成されている。1つのスルーホール54T2と1つのスルーホール55T2は、積層方向Tに積層されている。
【0065】
複数の接続部CN1と複数の接続部CN2は、積層方向Tに平行な仮想の平面(XZ平面)を中心として対称に配置されている。
【0066】
図10に示したように、複数の接続部CN3は、グランド用導体層721の第1の端部721aに沿って並び、グランド用導体層721とグランド端子113(
図2参照)とを電気的に接続している。複数の接続部CN3は、導体層701(
図6(c)参照)と、複数のスルーホール70T1(
図6(c)参照)と、複数のスルーホール71T1(
図7(a)参照)とによって構成されている。
図6(c)に示したように、導体層701は、複数の第1の導体部分701Aと、複数の第2の導体部分701Bとを含んでいる。本実施の形態では特に、複数の第1の導体部分701Aの数は5つであり、複数の第2の導体部分701Bの数は4つである。
【0067】
複数の第1の導体部分701Aは、側面50Fに沿って並ぶと共に、グランド端子113に接続されている。複数の第2の導体部分701Bの各々は、隣接する2つの第1の導体部分701Aを接続している。本実施の形態では特に、複数の第2の導体部分701Bの各々は、グランド端子113にも接続されている。
【0068】
複数の接続部CN3の各々は、1つの第1の導体部分701Aと、1つのスルーホール70T1と、1つのスルーホール71T1とによって構成されている。1つのスルーホール70T1と1つのスルーホール71T1は、積層方向Tに積層されている。
【0069】
図10に示したように、複数の接続部CN4は、グランド用導体層721の第2の端部721bに沿って並び、グランド用導体層721とグランド端子114(
図2参照)とを電気的に接続している。複数の接続部CN4は、導体層702(
図6(c)参照)と、複数のスルーホール70T2(
図6(c)参照)と、複数のスルーホール71T2(
図7(a)参照)とによって構成されている。
図6(c)に示したように、導体層702は、複数の第1の導体部分702Aと、複数の第2の導体部分702Bとを含んでいる。本実施の形態では特に、複数の第1の導体部分702Aの数は5つであり、複数の第2の導体部分702Bの数は4つである。
【0070】
複数の第1の導体部分702Aは、側面50Eに沿って並ぶと共に、グランド端子113に接続されている。複数の第2の導体部分702Bの各々は、隣接する2つの第1の導体部分702Aを接続している。本実施の形態では特に、複数の第2の導体部分702Bの各々は、グランド端子114にも接続されている。
【0071】
複数の接続部CN4の各々は、1つの第1の導体部分702Aと、1つのスルーホール70T2と、1つのスルーホール71T2とによって構成されている。1つのスルーホール70T2と1つのスルーホール71T2は、積層方向Tに積層されている。
【0072】
複数の接続部CN3と複数の接続部CN4は、積層方向Tに平行な仮想の平面(XZ平面)を中心として対称に配置されている。
【0073】
次に、複数の非グランド導体について説明する。複数の非グランド導体は、素子を構成する主要部分を含んでいる。本実施の形態では、主要部分は、共振器11~13およびキャパシタC1~C6を構成する導体層621~623,631~633,641,651,652と、スルーホール63T1,64T1である(
図5(a)ないし
図6(a)、
図9参照)。共振器用の導体層631~633の各々は、分布定数共振器である。すなわち、主要部分は、複数の分布定数共振器(導体層631~633)を含んでいる。
【0074】
複数の非グランド導体は、更に、主要部分と信号端子111,112の少なくとも一方とを接続する入出力部分を含んでいる。本実施の形態では、入出力部分は、導体層611,612,635,636と、スルーホール61T1,61T2,62T1,62T2である(
図4(c)ないし
図5(b)、
図9参照)。
【0075】
複数の非グランド導体は、更に、主要部分とグランド端子113,114の少なくとも一方とを接続する末端部分を含んでいる。本実施の形態では、末端部分は、導体層613,614,634と、スルーホール61T3A,61T3B,61T3Cと、複数のスルーホール61T4と、複数のスルーホール62T4である(
図4(c)ないし
図5(b)、
図9参照)。
【0076】
次に、複数のグランド導体と複数の非グランド導体との関係について説明する。グランド用導体層541は、積層方向Tにおいて、複数の非グランド導体(上述の複数の導体層および複数のスルーホール)と、積層体50の第1の面50Aとの間に配置されている。グランド用導体層721は、積層方向Tにおいて、複数の非グランド導体と、積層体50の第2の面50Bとの間に配置されている。また、グランド用導体層721は、積層方向Tにおいて、グランド用導体層541との間に複数の非グランド導体を挟む位置に配置されている。
【0077】
複数の接続部CN1と複数の接続部CN2は、積層方向Tにおいて、グランド用導体層541と、複数の非グランド導体との間に配置されている。複数の接続部CN3と複数の接続部CN4は、積層方向Tにおいて、グランド用導体層721と、複数の非グランド導体との間に配置されている。
【0078】
複数の非グランド導体の入出力部分(導体層611,612,635,636およびスルーホール61T1,61T2,62T1,62T2)は、積層方向Tにおいて、複数の接続部CN1および複数の接続部CN2と、複数の非グランド導体の主要部分(導体層621~623,631~633,641,651,652およびスルーホール63T1,64T1)との間に配置されている。
【0079】
複数の非グランド導体の末端部分(導体層613,614,634、スルーホール61T3A,61T3B,61T3C、複数のスルーホール61T4および複数のスルーホール62T4)は、積層方向Tにおいて、複数の接続部CN1および複数の接続部CN2と、複数の非グランド導体の主要部分(導体層621~623,631~633,641,651,652およびスルーホール63T1,64T1)との間に配置されている。
【0080】
次に、本実施の形態に係る電子部品1の作用および効果について説明する。本実施の形態では、前述のように、複数の接続部CN1と複数の接続部CN2は、積層方向Tにおいて、グランド用導体層541と、導体層631~633等の複数の非グランド導体との間に配置されている。複数の接続部CN1がグランド端子113に接続される位置および複数の接続部CN2がグランド端子114に接続される位置は、グランド用導体層541よりも第1の面50Aからより遠い位置になる。また、グランド用導体層541は、複数の接続部CN1および複数の接続部CN2よりも複数の非グランド導体からより遠い位置にある。このように、本実施の形態によれば、所望の位置においてグランド端子113に対して複数の接続部CN1を接続し、所望の位置においてグランド端子114に対して複数の接続部CN2を接続しながら、グランド用導体層541と複数の非グランド導体との間隔を大きくすることができる。
【0081】
上記のグランド用導体層541、複数の接続部CN1および複数の接続部CN2についての説明は、グランド用導体層721、複数の接続部CN3および複数の接続部CN4にも当てはまる。すなわち、本実施の形態によれば、所望の位置においてグランド端子113に対して複数の接続部CN3を接続し、所望の位置においてグランド端子114に対して複数の接続部CN4を接続しながら、グランド用導体層721と複数の非グランド導体との間隔を大きくすることができる。
【0082】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る電子部品1について説明する。本実施の形態に係る電子部品1の構成は、以下の点で第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、積層体50は、第1の実施の形態における4層目ないし6層目ならびに20層目ないし22層目の誘電体層54~56,70~72の代わりに、誘電体層84,85,86,90,91,92を含んでいる。誘電体層84,85,86は、それぞれ4層目ないし6層目の誘電体層であってもよい。あるいは、誘電体層84,85がそれぞれ5層目および6層目の誘電体層であり、誘電体層86が4層目の誘電体層であってもよい。また、誘電体層90,91,92は、それぞれ20層目ないし22層目の誘電体層であってもよい。あるいは、誘電体層91,92がそれぞれ20層目および21層目の誘電体層であり、誘電体層90が22層目の誘電体層であってもよい。
【0083】
以下、誘電体層84,85,86がそれぞれ4層目ないし6層目の誘電体層であり、誘電体層90,91,92がそれぞれ20層目ないし22層目の誘電体層である場合を例にとって説明する。
【0084】
図11(a)は、4層目の誘電体層84のパターン形成面を示している。誘電体層84のパターン形成面には、グランド用導体層841が形成されている。また、誘電体層84には、それぞれグランド用導体層841に接続された複数のスルーホール84T1と、それぞれグランド用導体層841に接続された複数のスルーホール84T2が形成されている。本実施の形態では特に、複数のスルーホール84T1の数と複数のスルーホール84T2の数は、いずれも5つである。
【0085】
図11(b)は、5層目の誘電体層85のパターン形成面を示している。誘電体層85のパターン形成面には、導体層851,852が形成されている。導体層851は、グランド端子113(
図2参照)に接続されている。導体層852は、グランド端子114(
図2参照)に接続されている。誘電体層84に形成された複数のスルーホール84T1は、導体層851に接続されている。誘電体層84に形成された複数のスルーホール84T2は、導体層852に接続されている。
【0086】
図11(c)は、6層目の誘電体層86のパターン形成面を示している。
図12(a)は、20層目の誘電体層90のパターン形成面を示している。誘電体層86,90には、導体層およびスルーホールは形成されていない。
【0087】
図12(b)は、21層目の誘電体層91のパターン形成面を示している。誘電体層91のパターン形成面には、導体層911,912が形成されている。導体層911は、グランド端子113(
図2参照)に接続されている。導体層912は、グランド端子114(
図2参照)に接続されている。
【0088】
また、誘電体層91には、それぞれ導体層911に接続された複数のスルーホール91T1と、それぞれ導体層912に接続された複数のスルーホール91T2が形成されている。本実施の形態では特に、複数のスルーホール91T1の数と複数のスルーホール91T2の数は、いずれも5つである。
【0089】
図12(c)は、22層目の誘電体層92のパターン形成面を示している。誘電体層92のパターン形成面には、グランド用導体層921が形成されている。誘電体層91に形成された複数のスルーホール91T1および複数のスルーホール91T2は、グランド用導体層921に接続されている。
【0090】
図13は、1層目ないし24層目の誘電体層51~53,84~86,57~69,90~92,73,74が積層されて構成された積層体50の内部の一部を示している。
図13には、主に、4層目、5層目、21層目および22層目の誘電体層84,85,91,92に形成された複数の導体層および複数のスルーホールを示している。
【0091】
次に、
図11ないし
図13を参照して、本実施の形態に係る電子部品1の構造上の特徴について説明する。本実施の形態では、複数のグランド導体の構成が、第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、複数のグランド導体は、グランド用導体層841,921を含んでいる。
図13に示したように、グランド用導体層841は、Y方向に平行な方向の両端に位置する第1の端部841aおよび第2の端部841bを有している。グランド用導体層921は、Y方向に平行な方向の両端に位置する第1の端部921aおよび第2の端部921bを有している。第1の端部841a,921aは、側面50F(
図2参照)の近傍に配置されている。第2の端部841b,921bは、側面50E(
図2参照)の近傍に配置されている。
【0092】
本実施の形態では、複数の接続部CN1は、グランド用導体層841の第1の端部841aに沿って並び、グランド用導体層841とグランド端子113(
図2参照)とを電気的に接続している。また、本実施の形態では、複数の接続部CN1の数は5つである。複数の接続部CN1は、複数のスルーホール84T1(
図11(a)参照)と、導体層851(
図11(b)参照)とによって構成されている。
図11(a)に示したように、導体層851は、5つの第1の導体部分851Aと、4つの第2の導体部分851Bとを含んでいる。複数の接続部CN1の各々は、1つのスルーホール84T1と、1つの第1の導体部分851Aとによって構成されている。
【0093】
5つの第1の導体部分851Aは、側面50Fに沿って並ぶと共に、グランド端子113に接続されている。4つの第2の導体部分851Bの各々は、隣接する2つの第1の導体部分851Aを接続している。4つの第2の導体部分851Bの各々は、グランド端子113にも接続されている。
【0094】
本実施の形態では、複数の接続部CN2は、グランド用導体層841の第2の端部841bに沿って並び、グランド用導体層841とグランド端子114(
図2参照)とを電気的に接続している。また、本実施の形態では、複数の接続部CN2の数は5つである。複数の接続部CN2は、複数のスルーホール84T2(
図11(a)参照)と、導体層852(
図11(b)参照)とによって構成されている。
図11(a)に示したように、導体層852は、5つの第1の導体部分852Aと、4つの第2の導体部分852Bとを含んでいる。複数の接続部CN2の各々は、1つのスルーホール84T2と、1つの第1の導体部分852Aとによって構成されている。
【0095】
5つの第1の導体部分852Aは、側面50Eに沿って並ぶと共に、グランド端子114に接続されている。4つの第2の導体部分852Bの各々は、隣接する2つの第1の導体部分852Aを接続している。4つの第2の導体部分852Bの各々は、グランド端子114にも接続されている。
【0096】
本実施の形態では、複数の接続部CN3は、グランド用導体層921の第1の端部921aに沿って並び、グランド用導体層921とグランド端子113(
図2参照)とを電気的に接続している。また、本実施の形態では、複数の接続部CN3の数は5つである。複数の接続部CN3は、導体層911と、複数のスルーホール91T1とによって構成されている(
図12(b)参照)。
図12(b)に示したように、導体層911は、5つの第1の導体部分911Aと、4つの第2の導体部分911Bとを含んでいる。複数の接続部CN3の各々は、1つの第1の導体部分911Aと、1つのスルーホール91T1とによって構成されている。
【0097】
5つの第1の導体部分911Aは、側面50Fに沿って並ぶと共に、グランド端子113に接続されている。4つの第2の導体部分911Bの各々は、隣接する2つの第1の導体部分911Aを接続している。4つの第2の導体部分911Bの各々は、グランド端子113にも接続されている。
【0098】
本実施の形態では、複数の接続部CN3は、グランド用導体層921の第2の端部921bに沿って並び、グランド用導体層921とグランド端子114(
図2参照)とを電気的に接続している。また、本実施の形態では、複数の接続部CN4の数は5つである。複数の接続部CN4は、導体層912と、複数のスルーホール91T2とによって構成されている(
図12(b)参照)。
図12(b)に示したように、導体層912は、5つの第1の導体部分912Aと、4つの第2の導体部分912Bとを含んでいる。複数の接続部CN4の各々は、1つの第1の導体部分912Aと、1つのスルーホール91T2とによって構成されている。
【0099】
5つの第1の導体部分912Aは、側面50Eに沿って並ぶと共に、グランド端子114に接続されている。4つの第2の導体部分912Bの各々は、隣接する2つの第1の導体部分912Aを接続している。4つの第2の導体部分912Bの各々は、グランド端子114にも接続されている。
【0100】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0101】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る電子部品1について説明する。本実施の形態に係る電子部品1の構成は、以下の点で第2の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、積層体50は、第2の実施の形態における誘電体層84,85,91の代わりに、誘電体層104,105,121を含んでいる。誘電体層104,105は、それぞれ4層目および5層目の誘電体層であってもよいし、それぞれ5層目および6層目の誘電体層であってもよい。また、誘電体層121が21層目の誘電体層であり、第2の実施の形態における誘電体層92(
図12(c)参照)が22層目の誘電体層であってもよい。あるいは、誘電体層121が20層目の誘電体層であり、誘電体層92が21層目の誘電体層であってもよい。
【0102】
以下、誘電体層104,105,121がそれぞれ4層目、5層目および21層目の誘電体層である場合を例にとって説明する。
【0103】
図14(a)は、4層目の誘電体層104のパターン形成面を示している。誘電体層104のパターン形成面には、グランド用導体層1041が形成されている。また、誘電体層104には、それぞれグランド用導体層1041に接続された複数のスルーホール104T1と、それぞれグランド用導体層1041に接続された複数のスルーホール104T2が形成されている。本実施の形態では特に、複数のスルーホール104T1の数と複数のスルーホール104T2の数は、いずれも3つである。
【0104】
図14(b)は、5層目の誘電体層105のパターン形成面を示している。誘電体層105のパターン形成面には、導体層1051,1052が形成されている。導体層1051は、グランド端子113(
図2参照)に接続されている。導体層1052は、グランド端子114(
図2参照)に接続されている。誘電体層104に形成された複数のスルーホール104T1は、導体層1051に接続されている。誘電体層104に形成された複数のスルーホール104T2は、導体層1052に接続されている。
【0105】
図14(c)は、21層目の誘電体層121のパターン形成面を示している。誘電体層121のパターン形成面には、導体層1211,1212が形成されている。導体層1211は、グランド端子113(
図2参照)に接続されている。導体層1212は、グランド端子114(
図2参照)に接続されている。
【0106】
また、誘電体層121には、それぞれ導体層1211に接続された複数のスルーホール121T1と、それぞれ導体層1212に接続された複数のスルーホール121T2が形成されている。本実施の形態では特に、複数のスルーホール121T1の数と複数のスルーホール121T2の数は、いずれも3つである。複数のスルーホール91T1および複数のスルーホール91T2は、
図12(c)に示したグランド用導体層921に接続されている。
【0107】
図15は、1層目ないし24層目の誘電体層51~53,104,105,86,57~69,90,121,92,73,74が積層されて構成された積層体50の内部の一部を示している。
図15には、主に、4層目、5層目、21層目および22層目の誘電体層104,105,121,92に形成された複数の導体層および複数のスルーホールを示している。
【0108】
次に、
図14および
図15を参照して、本実施の形態に係る電子部品1の構造上の特徴について説明する。本実施の形態では、複数のグランド導体の構成が、第2の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、複数のグランド導体は、グランド用導体層1041,921を含んでいる。
図15に示したように、グランド用導体層1041は、Y方向に平行な方向の両端に位置する第1の端部1041aおよび第2の端部1041bを有している。第1の端部1041aは、側面50F(
図2参照)の近傍に配置されている。第2の端部1041bは、側面50E(
図2参照)の近傍に配置されている。
【0109】
本実施の形態では、複数の接続部CN1は、グランド用導体層1041の第1の端部1041aに沿って並び、グランド用導体層1041とグランド端子113(
図2参照)とを電気的に接続している。また、本実施の形態では、複数の接続部CN1の数は3つである。複数の接続部CN1は、複数のスルーホール104T1(
図14(a)参照)と、導体層1051(
図14(b)参照)とによって構成されている。
図14(b)に示したように、導体層1051は、3つの第1の導体部分1051Aと、2つの第2の導体部分1051Bとを含んでいる。複数の接続部CN1の各々は、1つのスルーホール104T1と、1つの第1の導体部分1051Aとによって構成されている。
【0110】
3つの第1の導体部分1051Aは、側面50Fに沿って並ぶと共に、グランド端子113に接続されている。2つの第2の導体部分1051Bの各々は、隣接する2つの第1の導体部分1051Aを接続している。2つの第2の導体部分1051Bの各々は、グランド端子113にも接続されている。
【0111】
本実施の形態では、複数の接続部CN2は、グランド用導体層1041の第2の端部1041bに沿って並び、グランド用導体層1041とグランド端子114(
図2参照)とを電気的に接続している。また、本実施の形態では、複数の接続部CN2の数は3つである。複数の接続部CN2は、複数のスルーホール104T2(
図14(a)参照)と、導体層1052(
図14(b)参照)とによって構成されている。
図14(a)に示したように、導体層1052は、3つの第1の導体部分1052Aと、2つの第2の導体部分1052Bとを含んでいる。複数の接続部CN2の各々は、1つのスルーホール104T2と、1つの第1の導体部分1052Aとによって構成されている。
【0112】
3つの第1の導体部分1052Aは、側面50Eに沿って並ぶと共に、グランド端子114に接続されている。2つの第2の導体部分1052Bの各々は、隣接する2つの第1の導体部分1052Aを接続している。2つの第2の導体部分1052Bの各々は、グランド端子114にも接続されている。
【0113】
本実施の形態では、複数の接続部CN3の数は3つである。複数の接続部CN3は、導体層1211と、複数のスルーホール121T1とによって構成されている(
図14(c)参照)。
図14(c)に示したように、導体層1211は、3つの第1の導体部分1211Aと、2つの第2の導体部分1211Bとを含んでいる。複数の接続部CN3の各々は、1つの第1の導体部分1211Aと、1つのスルーホール121T1とによって構成されている。
【0114】
3つの第1の導体部分1211Aは、側面50Fに沿って並ぶと共に、グランド端子113に接続されている。2つの第2の導体部分1211Bの各々は、隣接する2つの第1の導体部分1211Aを接続している。2つの第2の導体部分1211Bの各々は、グランド端子113にも接続されている。
【0115】
本実施の形態では、複数の接続部CN4の数は3つである。複数の接続部CN4は、導体層1212と、複数のスルーホール121T2とによって構成されている(
図14(c)参照)。
図14(c)に示したように、導体層1212は、3つの第1の導体部分1212Aと、2つの第2の導体部分1212Bとを含んでいる。複数の接続部CN4の各々は、1つの第1の導体部分1212Aと、1つのスルーホール121T2とによって構成されている。
【0116】
3つの第1の導体部分1212Aは、側面50Eに沿って並ぶと共に、グランド端子114に接続されている。2つの第2の導体部分1212Bの各々は、隣接する2つの第1の導体部分1212Aを接続している。2つの第2の導体部分1212Bの各々は、グランド端子114にも接続されている。
【0117】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2の実施の形態と同様である。
【0118】
[第4の実施の形態]
次に、
図16(a)、
図16(b)および
図17を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る電子部品1について説明する。
図16(a)は、本実施の形態における5層目の誘電体層105のパターン形成面を示す説明図である。
図16(b)は、本実施の形態における21層目の誘電体層121のパターン形成面を示す説明図である。
図17は、本実施の形態における積層体50の内部の一部を示す斜視図である。
図17には、主に、4層目、5層目、21層目および22層目の誘電体層104,105,121,92に形成された複数の導体層および複数のスルーホールを示している。
【0119】
本実施の形態に係る電子部品1の構成は、以下の点で第3の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、導体層1051は、第3の実施の形態における2つの第2の導体部分1051B(
図14(b)参照)を含んでいない。第3の実施の形態における複数の接続部CN1は、物理的には分離していないが、本実施の形態における複数の接続部CN1は、物理的に互いに分離している。
【0120】
また、本実施の形態では、導体層1052は、第3の実施の形態における2つの第2の導体部分1052B(
図14(b)参照)を含んでいない。第3の実施の形態における複数の接続部CN2は、物理的には分離していないが、本実施の形態における複数の接続部CN2は、物理的に互いに分離している。
【0121】
また、本実施の形態では、導体層1211は、第3の実施の形態における2つの第2の導体部分1211B(
図14(c)参照)を含んでいない。第3の実施の形態における複数の接続部CN3は、物理的には分離していないが、本実施の形態における複数の接続部CN3は、物理的に互いに分離している。
【0122】
また、本実施の形態では、導体層1212は、第3の実施の形態における2つの第2の導体部分1212B(
図14(c)参照)を含んでいない。第3の実施の形態における複数の接続部CN4は、物理的には分離していないが、本実施の形態における複数の接続部CN4は、物理的に互いに分離している。
【0123】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第3の実施の形態と同様である。
【0124】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態に係る電子部品1について説明する。本実施の形態に係る電子部品1の構成は、以下の点で第2の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、積層体50は、第2の実施の形態における誘電体層84,85,91の代わりに、誘電体層124,125,131を含んでいる。誘電体層124,125は、それぞれ4層目および5層目の誘電体層であってもよいし、それぞれ5層目および6層目の誘電体層であってもよい。また、誘電体層131が21層目の誘電体層であり、第2の実施の形態における誘電体層92(
図12(c)参照)が22層目の誘電体層であってもよい。あるいは、誘電体層131が20層目の誘電体層であり、誘電体層92が21層目の誘電体層であってもよい。
【0125】
以下、誘電体層124,125,131がそれぞれ4層目、5層目および21層目の誘電体層である場合を例にとって説明する。
【0126】
図18(a)は、4層目の誘電体層124のパターン形成面を示している。誘電体層124のパターン形成面には、グランド用導体層1241が形成されている。また、誘電体層124には、それぞれグランド用導体層1241に接続されたスルーホール124T1,124T2が形成されている。
【0127】
図18(b)は、5層目の誘電体層125のパターン形成面を示している。誘電体層125のパターン形成面には、導体層1251,1252が形成されている。導体層1251は、グランド端子113(
図2参照)に接続されている。導体層1252は、グランド端子114(
図2参照)に接続されている。誘電体層124に形成されたスルーホール124T1は、導体層1251に接続されている。誘電体層124に形成されたスルーホール124T2は、導体層1252に接続されている。
【0128】
図18(c)は、21層目の誘電体層131のパターン形成面を示している。誘電体層131のパターン形成面には、導体層1311,1312が形成されている。導体層1311は、グランド端子113(
図2参照)に接続されている。導体層1312は、グランド端子114(
図2参照)に接続されている。
【0129】
また、誘電体層131には、それぞれ導体層1311,1312に接続されたスルーホール131T1,131T2が形成されている。スルーホール131T1,131T2は、
図12(c)に示したグランド用導体層921に接続されている。
【0130】
図19は、1層目ないし24層目の誘電体層51~53,124,125,86,57~69,90,131,92,73,74が積層されて構成された積層体50の内部の一部を示している。
図19には、主に、4層目、5層目、21層目および22層目の誘電体層124,125,131,92に形成された複数の導体層および複数のスルーホールを示している。
【0131】
次に、
図18および
図19を参照して、本実施の形態に係る電子部品1の構造上の特徴について説明する。本実施の形態では、複数のグランド導体の構成が、第2の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、複数のグランド導体は、グランド用導体層1241,921を含んでいる。
図19に示したように、グランド用導体層1241は、Y方向に平行な方向の両端に位置する第1の端部1241aおよび第2の端部1241bを有している。第1の端部1241aは、側面50F(
図2参照)の近傍に配置されている。第2の端部1241bは、側面50E(
図2参照)の近傍に配置されている。
【0132】
本実施の形態では、接続部CN1の数、接続部CN2の数、接続部CN3の数および接続部CN4の数は、いずれも1つである。また、本実施の形態では、接続部CN1は、グランド用導体層1241とグランド端子113(
図2参照)とを電気的に接続している。接続部CN1は、スルーホール124T1(
図18(a)参照)と、導体層1251(
図18(b)参照)とによって構成されている。
【0133】
また、本実施の形態では、接続部CN2は、グランド用導体層1241とグランド端子114(
図2参照)とを電気的に接続している。接続部CN2は、スルーホール124T2(
図18(a)参照)と、導体層1252(
図18(b)参照)とによって構成されている。
【0134】
また、本実施の形態では、接続部CN3は、導体層1311と、スルーホール131T1とによって構成されている(
図18(c)参照)。接続部CN4は、導体層1312と、スルーホール131T2とによって構成されている(
図18(c)参照)。
【0135】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2の実施の形態と同様である。
【0136】
[シミュレーション]
次に、ミュレーションの結果を参照して、本実施の形態に係る電子部品1の特性の一例について説明する。シミュレーションでは、第1の実施例のモデル、第2の実施例のモデル、第3の実施例のモデルおよび第4の実施例のモデルを用いた。第1の実施例のモデルは、第1の実施の形態に係る電子部品1のモデルである。第2の実施例のモデルは、第2の実施の形態に係る電子部品1のモデルである。第3の実施例のモデルは、第3の実施の形態に係る電子部品1のモデルである。第4の実施例のモデルは、第4の実施の形態に係る電子部品1のモデルである。シミュレーションでは、第1ないし第4の実施例のモデルのそれぞれについて、通過減衰特性を求めた。
【0137】
図20は、第1の実施例のモデルの通過減衰特性を示す特性図である。
図21は、第2の実施例のモデルの通過減衰特性を示す特性図である。
図22は、第3の実施例のモデルの通過減衰特性を示す特性図である。
図23は、第4の実施例のモデルの通過減衰特性を示す特性図である。
図20ないし
図23において、横軸は周波数を示し、縦軸は減衰量を示している。
【0138】
通過帯域よりも低域側の周波数帯域(2GHz~4GHz)に注目すると、第4の実施例のモデル、第3の実施例のモデル、第2の実施例のモデルおよび第1の実施例のモデルの順に、減衰量の絶対値が大きくなることが分かる。この結果は、接続部CN1~CN4に関する以下の第1ないし第3の特徴を示している。第1の特徴は、
図20ないし
図23(第1ないし第4の実施例のモデル)に示したように、接続部CN1~CN4の各々の数が多くなるに従って、上記の周波数帯域における減衰量の絶対値が大きくなるというものである。第2の特徴は、
図22および
図23(第3および第4の実施例のモデル)に示したように、接続部CN1~CN4がそれぞれ一体化することにより、接続部CN1~CN4がそれぞれ物理的に互いに分離している場合に比べて、上記の周波数帯域における減衰量の絶対値が大きくなるというものである。第3の特徴は、
図20および
図21(第1および第2の実施例のモデル)に示したように、接続部CN1~CN4が複数の非グランド導体に近づくことにより、上記の周波数帯域における減衰量の絶対値が大きくなるというものである。
【0139】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、接続部CN1~CN4の各々の数は、2つでもよいし、4つでもよいし、6つ以上でもよい。また、1つの接続部は、積層方向Tに積層された3つ以上のスルーホールを含んでいてもよい。
【0140】
以上説明したように、本発明の積層型電子部品は、積層された複数の誘電体層によって構成されると共に複数の導体を含む積層体と、積層体の外周部に設けられると共にグランドに接続される少なくとも1つのグランド端子とを備えている。複数の導体は、複数のグランド導体と、複数の非グランド導体とを含んでいる。複数のグランド導体は、グランド用導体層と、グランド用導体層と少なくとも1つのグランド端子とを電気的に接続する少なくとも1つの接続部とを含んでいる。少なくとも1つの接続部は、複数の誘電体層の積層方向において、グランド用導体層と複数の非グランド導体との間に配置されている。
【0141】
本発明の積層型電子部品において、少なくとも1つの接続部は、それぞれ互いに異なる複数の位置においてグランド用導体層に接続された複数の接続部であってもよい。複数の接続部は、グランド用導体層に接続された複数のスルーホールと、少なくとも1つのグランド端子に接続された複数の第1の導体部分と、複数の第1の導体部分を接続する少なくとも1つの第2の導体部分とを含んでいてもよい。
【0142】
また、本発明の積層型電子部品において、少なくとも1つのグランド端子は、第1のグランド端子と、第2のグランド端子とを含んでいてもよい。グランド用導体層は、積層方向に直交する方向の両端に位置する第1の端部および第2の端部を有していてもよい。少なくとも1つの接続部は、第1の端部の近傍においてグランド用導体層に接続されると共に第1のグランド端子に接続された少なくとも1つの第1の接続部と、第2の端部の近傍においてグランド用導体層に接続されると共に第2のグランド端子に接続された少なくとも1つの第2の接続部とを含んでいてもよい。少なくとも1つの第1の接続部は、第1の端部に沿って並んだ複数の第1の接続部であってもよい。少なくとも1つの第2の接続部は、第2の端部に沿って並んだ複数の第2の接続部であってもよい。複数の第1の接続部と複数の第2の接続部は、積層方向に平行な仮想の平面を中心として対称に配置されていてもよい。
【0143】
また、本発明の積層型電子部品において、少なくとも1つの接続部は、積層方向に積層された複数のスルーホールを含んでいてもよい。
【0144】
また、本発明の積層型電子部品において、複数のグランド導体は、更に、他のグランド用導体層と、他のグランド用導体層と少なくとも1つのグランド端子とを電気的に接続する少なくとも1つの他の接続部とを含んでいてもよい。他のグランド用導体層は、グランド用導体層との間に非グランド導体を挟む位置に配置されていてもよい。少なくとも1つの他の接続部は、積層方向において、他のグランド用導体層と非グランド導体との間に配置されていてもよい。
【0145】
また、本発明の積層型電子部品において、複数の非グランド導体は、素子を構成する主要部分と、主要部分と少なくとも1つのグランド端子とを電気的に接続する末端部分とを含んでいてもよい。末端部分は、積層方向において、少なくとも1つの接続部と、主要部分との間に配置されていてもよい。主要部分は、分布定数共振器を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0146】
1…電子部品、2…第1のポート、3…第2のポート、11~13…共振器、50…積層体、50A…第1の面、50B…第2の面、50C~50F…側面、111,112…信号端子、113,114…グランド端子、541,721…グランド用導体層、C1~C6…キャパシタ、CN1~CN4…接続部。