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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049212
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】作業機械および作業機械の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
E02F9/20 Z
E02F9/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155536
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】高木 大輔
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003BA07
2D003BB11
2D003DA02
(57)【要約】
【課題】故障時に継続した作業を防止し且つ故障対応を促すことが可能な作業機械および作業機械の制御方法を提供すること。
【解決手段】ホイールローダ1は、走行体2と、作業機3と、パーキングブレーキ25と、HSTコントローラ26と、を備える。作業機3は、走行体2に取り付けられている。HSTコントローラ26は、継続して稼働可能な故障を検出した場合、パーキングブレーキ25の解除状態では作業機3の動作を制限する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
前記走行体に取り付けられた作業機と、
パーキングブレーキと、
継続して稼働可能な故障を検出した場合、前記パーキングブレーキの解除状態では前記作業機の動作を制限するコントローラと、を備えた、
作業機械。
【請求項2】
前記コントローラは、前記故障を検出した場合、前記パーキングブレーキの作動状態では前記作業機の動作制限の解除を許容する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
オペレータによって操作され、前記作業機の動作を制限または動作の制限を解除する信号を前記コントローラに出力する制限操作部を更に備え、
前記コントローラは、前記故障を検出した場合、前記制限操作部から前記作業機の動作を制限する信号を受信した後、前記パーキングブレーキの解除状態では前記作業機の動作を制限する状態に遷移する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項4】
オペレータによって操作され、前記作業機の動作を制限または動作の制限を解除する信号を前記コントローラに出力する制限操作部を更に備え、
前記コントローラは、前記故障を検出した場合、前記パーキングブレーキの解除状態では前記制限操作部から前記作業機の動作の制限を解除する信号を受信しても、前記作業機の動作制限の解除を行わない、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
オペレータによって操作され、前記作業機の動作を制限または動作の制限を解除する信号を前記コントローラに出力する制限操作部を更に備え、
前記コントローラは、前記故障を検出した場合、前記パーキングブレーキの作動状態では前記作業機の動作制限の解除を許容する状態において、前記制限操作部から前記作業機の動作の制限を解除する信号を受信すると、前記作業機の動作制限を解除した状態とする、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項6】
前記作業機を駆動する油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータへの作動油の供給を停止する制限バルブと、を更に備え、
前記コントローラは、前記故障を検出した場合、前記パーキングブレーキの解除状態では前記作業機の動作を制限するように、前記制限バルブを制御して前記油圧アクチュエータへの作動油の供給を停止する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項7】
前記作業機を駆動する油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータへの作動油の供給を停止する制限バルブと、
オペレータによって操作され、前記作業機の動作を制限または制限を解除する制限操作部を更に備え、
前記コントローラは、
前記故障を検出した場合、
前記パーキングブレーキの解除状態では前記作業機の動作を制限するように、前記制限バルブを制御して前記油圧アクチュエータへの作動油の供給を停止し、
前記パーキングブレーキの作動状態では、前記制限操作部から前記作業機の動作の制限を解除する信号を受信すると、前記制限バルブによる前記油圧アクチュエータへの作動油の供給の停止を解除する、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項8】
パイロット油圧に基づいて、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給を調整する作業機バルブと、
前記作業機バルブへの前記パイロット油圧用の作動油の供給を調整するパイロットバルブと、を備え、
前記制限バルブは、前記作業機バルブへの前記パイロット油圧用の作動油の供給を停止することによって、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給を停止する
請求項6または7に記載の作業機械。
【請求項9】
走行体と、前記走行体に取り付けられた作業機と、を備える作業機械の制御方法であって、
継続して稼働可能な故障を検出する故障検出ステップと、
前記故障を検出した場合、パーキングブレーキの解除状態では前記作業機の動作を制限する制限ステップと、を備える、
作業機械の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械および作業機械の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールローダ等の作業機械において、故障が発生した場合、継続して車両が稼働できないように処置する必要があり、このような処置としては、一般的に車両を停止させることが考えられる。
【0003】
しかしながら、ホイールローダ等の自走可能な作業機械はその場で停止すると、交通の妨げになるという問題または、修理場まで帰れないため修理ができないといった問題が発生する。
【0004】
そのため、例えば、特許文献1には、故障が発生した場合であっても交通の妨げにならない場所または修理場等の目的地まで走行可能とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2015/111549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、目的地まで走行可能とする際に作業機の操作と走行の双方が可能な場合、故障しているにも関わらず継続して作業が可能となる。
【0007】
本開示は、故障時に継続した作業を防止し、且つ故障対応を促すことが可能な作業機械および作業機械の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様にかかる作業機械は、走行体と、作業機と、パーキングブレーキと、コントローラと、を備える。作業機は、走行体に取り付けられている。コントローラは、継続して稼働可能な故障を検出した場合、パーキングブレーキの解除状態では作業機の動作を制限する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、故障時に継続した作業を防止し且つ故障対応を促すことが可能な作業機械および作業機械の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示にかかる実施の形態のホイールローダの側面図である。
図2図1のホイールローダの制御システムを示すブロック図である。
図3図1のキャブ内のステアリングホイール近傍を示す図である。
図4】本開示にかかる実施形態のホイールローダにおける故障の分類を説明するためのテーブルを示す図である。
図5A】本開示にかかる実施形態のホイールローダにおいてアタッチメントを操作するための制御システムを示す図である。
図5B】通常状態におけるアタッチメント操作用電気レバーからの信号s1と信号s2を示す図である。
図5C】中故障状態におけるアタッチメント操作用電気レバーからの信号s1と信号s2を示す図である。
図6】機能制限における制御の状態遷移を示す図である。
図7】本実施形態のホイールローダの中故障が発生した場合の制御動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示にかかる作業機械の一例としてのホイールローダについて図面を参照しながら以下に説明する。
【0012】
(ホイールローダの概要)
図1は、本実施の形態のホイールローダ1(作業機械の一例)の構成を示す模式図である。本実施の形態のホイールローダ1は、走行体2と、作業機3と、制御システム20(図2参照)と、を有する。作業機3は、走行体2に配置されている。走行体2は、車体フレーム10と、一対のフロントタイヤ4、キャブ5、エンジンルーム6、一対のリアタイヤ7、およびステアリングシリンダ9と、を有する。
【0013】
ホイールローダ1は、作業機3を用いて土砂積み込み作業などを行う。
【0014】
車体フレーム10は、いわゆるアーティキュレート式であり、フロントフレーム11とリアフレーム12と、連結軸部13と、を有している。フロントフレーム11は、リアフレーム12の前方に配置されている。連結軸部13は、車幅方向の中央に設けられており、フロントフレーム11とリアフレーム12を互いに回転可能に連結する。一対のフロントタイヤ4は、フロントフレーム11の左右に取り付けられている。また、一対のリアタイヤ7は、リアフレーム12の左右に取り付けられている。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「右」、「左」、「上」、及び「下」とは運転席から前方を見た状態を基準とする方向を示す。また、「車幅方向」と「左右方向」は同義である。
【0015】
作業機3は、作業機ポンプ31(後述する図3参照)からの作動油によって駆動される。作業機3は、ブーム14と、バケット15と、ブームシリンダ16(油圧アクチュエータの一例)と、バケットシリンダ17(油圧アクチュエータの一例)と、ベルクランク18と、を有する。ブーム14は、フロントフレーム11に装着されている。バケット15は、ブーム14の先端に取り付けられている。
【0016】
ブームシリンダ16およびバケットシリンダ17は、油圧シリンダである。ブームシリンダ16の一端はフロントフレーム11に取り付けられており、ブームシリンダ16の他端はブーム14に取り付けられている。ブームシリンダ16の伸縮により、ブーム14が上下に回転する。バケットシリンダ17の一端はフロントフレーム11に取り付けられており、バケットシリンダ17の他端はベルクランク18を介してバケット15に取り付けられている。バケットシリンダ17が伸縮することによって、バケット15が上下に回転する。
【0017】
キャブ5は、リアフレーム12上に載置されており、内部には、ステアリング操作のためのステアリングホイール19(後述する図3参照)や、作業機3を操作するためのレバー、各種の表示装置等が配置されている。エンジンルーム6は、キャブ5の後側であってリアフレーム12上に配置されており、エンジンが収納されている。
【0018】
(制御システム20)
図2は、ホイールローダ1の制御システム20を示す図である。
【0019】
制御システム20は、作業機駆動回路21と、作業機ロックスイッチ22(制限操作部の一例)と、作業機ロックバルブ23(制限バルブの一例)と、パーキングブレーキスイッチ24と、パーキングブレーキ25と、HSTコントローラ26(コントローラの一例)と、を更に有する。
【0020】
(作業機駆動回路21)
作業機駆動回路21は、作業機ポンプ31と、ブームバルブ32(作業機バルブの一例)と、バケットバルブ33(作業機バルブの一例)と、ブームレバー34と、バケットレバー35と、自己減圧弁36と、一対のブームパイロットバルブ37a、37b(パイロットバルブの一例)と、一対のバケットパイロットバルブ38a、38b(パイロットバルブの一例)と、第1管路41~第11管路51と、を有する。
【0021】
作業機ポンプ31は、ブームバルブ32を介してブームシリンダ16に作動油を供給する。作業機ポンプ31は、バケットバルブ33を介してバケットシリンダ17に作動油を供給する。
【0022】
ブームシリンダ16のシリンダ室は、ピストンによって伸長室16aと収縮室16bに分けられている。伸長室16aに作動油が供給され、収縮室16bから作動油が排出されることによって、ブームシリンダ16は伸長する。また、収縮室16bに作動油が供給され、伸長室16aから作動油が排出されることによって、ブームシリンダ16は収縮する。
【0023】
ブームバルブ32は、方向切換弁である。ブームバルブ32と作業機ポンプ31は、第1管路41によって接続されている。ブームバルブ32と伸長室16aは、第2管路42によって接続されている。ブームバルブ32と収縮室16bは、第3管路43によって接続されている。
【0024】
ブームバルブ32は、スリーブおよびスリーブに対して移動可能なスプールを有する。スプールはスリーブに対して4位置に移動可能である。スプールが第1位置P1に移動すると、ブームバルブ32は、第1管路41を第2管路42に接続し、第3管路43を図示しないドレン管路に接続する。これによって、作業機ポンプ31から供給される作動油は伸長室16aに供給され、収縮室16bから作動油が排出される。スプールが第2位置P2に移動すると、ブームバルブ32は、第1管路41を第3管路43に接続し、第2管路42をドレン管路に接続する。これによって、作業機ポンプ31から供給される作動油は収縮室16bに供給され、伸長室16aから作動油が排出される。スプールが第3位置P3に移動すると、ブームバルブ32は、第1管路41と第2管路42と第3管路43とドレン管路とを互いに接続せず、作動油の供給および排出が停止される。スプールが第4位置P4に移動すると、ブームバルブ32は、第1管路41および第2管路42をドレン管路に接続し、第3管路43は、いずれの管路にも接続しない。
【0025】
バケットシリンダ17のシリンダ室は、ピストンによって伸長室17aと収縮室17bに分けられている。伸長室17aに作動油が供給され、収縮室17bから作動油が排出されることによって、バケットシリンダ17は伸長し、バケット15はチルト動作を行う。また、収縮室17bに作動油が供給され、伸長室17aから作動油が排出されることによって、バケットシリンダ17は収縮し、ダンプ動作を行う。
【0026】
バケットバルブ33は、方向切換弁である。バケットバルブ33には、第1管路41から分岐された第4管路44が接続されている。バケットバルブ33と作業機ポンプ31は、第1管路41および第4管路44によって接続されている。バケットバルブ33と伸長室17aは、第5管路45によって接続されている。バケットバルブ33と収縮室17bは、第6管路46によって接続されている。
【0027】
バケットバルブ33は、スリーブおよびスリーブに対して移動可能なスプールを有する。スプールはスリーブに対して3位置に移動可能である。スプールが第1位置Q1に移動すると、バケットバルブ33は、第4管路44を第5管路45に接続し、第6管路46を図示しないドレン管路に接続する。これによって、作業機ポンプ31から供給される作動油は伸長室17aに供給され、収縮室17bから作動油が排出される。スプールが第2位置Q2に移動すると、バケットバルブ33は、第4管路44を第6管路46に接続し、第5管路45をドレン管路に接続する。これによって、作業機ポンプ31から供給される作動油は収縮室17bに供給され、伸長室17aから作動油が排出される。スプールが第3位置Q3に移動すると、バケットバルブ33は、第4管路44と第5管路45と第6管路46とドレン管路とを互いに接続せず、作動油の供給および排出が停止される。
【0028】
ブームレバー34は、キャブ5内に配置されている。ブームレバー34は、ブームバルブ32の開口を制御する。ブームレバー34の操作に応じてスリーブに対してスプールが移動し、ブームシリンダ16に供給される作動油が調整される。
【0029】
バケットレバー35は、キャブ5内に配置されている。バケットレバー35は、バケットバルブ33の開口を制御する。バケットレバー35の操作に応じてスリーブに対してスプールが移動し、バケットシリンダ17に供給される作動油が調整される。
【0030】
自己減圧弁36は、作業機ポンプ31から吐出された作動油を減圧する。減圧された作動油はパイロット用の作動油として用いられる。自己減圧弁36は、第1管路41と、一対のブームパイロットバルブ37a、37b並びにバケットパイロットバルブ38a、38bとを接続する第7管路47に配置されている。
【0031】
一対のブームパイロットバルブ37a、37bは、ブームレバー34に連結されており、ブームレバー34の操作によって開度が調整される。自己減圧弁36によって減圧された作動油が、一対のブームパイロットバルブ37a、37bに供給される。一対のブームパイロットバルブ37a、37bのうち一方のブームパイロットバルブ37aは、第8管路48を介してブームバルブ32の第1パイロット室32aに接続されている。他方のブームパイロットバルブ37bは、第9管路49を介してブームバルブ32の第2パイロット室32bに接続されている。
【0032】
ブームレバー34の操作によって、ブームパイロットバルブ37a、37bから供給される作動油の量が調整されるため、第1パイロット室32aおよび第2パイロット室32bに供給される作動油の量が調整される。第1パイロット室32aと第2パイロット室32bに供給される作動油の量に応じて、ブームバルブ32においてスリーブに対してスプールが移動し、ブームシリンダ16に供給される作動油の量が調整される。例えば、ブームレバー34を図中左側に傾斜すると、ブームパイロットバルブ37bから供給される作動油の量が増加し、ブームバルブ32のスプールは第1位置P1に移動する。これによってブームシリンダ16が伸長し、ブーム14が上方に移動する。
【0033】
一対のバケットパイロットバルブ38a、38bは、バケットレバー35に連結されており、バケットレバー35の操作によって開度が調整される。自己減圧弁36によって減圧された作動油が、一対のバケットパイロットバルブ38a、38bに供給される。一対のバケットパイロットバルブ38a、38bのうち一方のバケットパイロットバルブ38aは、第10管路50を介してバケットバルブ33の第1パイロット室33aに接続されている。他方のバケットパイロットバルブ38bは、第11管路51を介してバケットバルブ33の第2パイロット室33bに接続されている。
【0034】
バケットレバー35の操作によって、バケットパイロットバルブ38aとバケットパイロットバルブ38bから供給される作動油の量が調整されるため、第1パイロット室33aおよび第2パイロット室33bに供給される作動油の量が調整される。第1パイロット室33aと第2パイロット室33bに供給される作動油の量に応じて、バケットバルブ33においてスリーブに対してスプールが移動し、バケットシリンダ17に供給される作動油の量が調整される。例えば、バケットレバー35を図中右側に傾斜すると、バケットパイロットバルブ38bから供給される作動油の量が増加し、バケットバルブ33のスプールは第2位置Q2に移動する。これによってバケットシリンダ17が収縮し、バケット15がダンプ動作する。
【0035】
(作業機ロックスイッチ22)
作業機ロックスイッチ22は、作業機3を動作制限(以下ロックともいう)または動作制限を解除(以下ロックを解除ともいう)するためのスイッチである。作業機ロックスイッチ22は、オペレータによって操作される。作業機ロックスイッチ22は、キャブ5内に配置されている。図3は、キャブ5内のステアリングホイール19近傍を示す図である。図3に示すように、本実施形態では、運転席の右側に作業機ロックスイッチ22が配置されている。作業機ロックスイッチ22は、オペレータによってオン状態またはオフ状態に操作される。作業機ロックスイッチ22が操作されると、その操作に応じた信号がHSTコントローラ26に入力される。
【0036】
(作業機ロックバルブ23)
作業機ロックバルブ23は、第7管路47に配置されている。作業機ロックバルブ23は、自己減圧弁36の下流側に配置されている。作業機ロックバルブ23は、電磁バルブであり、HSTコントローラ26からの信号によって駆動する。作業機ロックバルブ23は、第7管路47における作動油のパイロットバルブ37a、37b、38a、38bへの供給を停止するロック状態と、作動油の供給を可能とするロック解除状態をとることができる。作業機ロックスイッチ22がオン状態に操作され、オン状態であることを示す信号がHSTコントローラ26に入力されると、HSTコントローラ26は作業機ロックバルブ23への信号の出力を停止し、作業機ロックバルブ23はロック状態となる。一方、作業機ロックスイッチ22がオフ状態に操作され、オフ状態であることを示す信号がHSTコントローラ26に入力されると、HSTコントローラ26は作業機ロックバルブ23への信号を出力し、作業機ロックバルブ23はロック解除状態となる。
【0037】
作業機ロックバルブ23がロック状態のときは、パイロット用の作動油が一対のブームパイロットバルブ37a、37bおよび一対のバケットパイロットバルブ38a、38bに供給されない。このため、ブームバルブ32およびバケットバルブ33を操作することができず、ブームレバー34およびバケットレバー35を操作しても作業機3を駆動することが出来ない。このように、作業機ロックバルブ23がロック状態のときは、作業機3がロックされる。一方、作業機ロックバルブ23がロック解除状態のときは、パイロット用の作動油を一対のブームパイロットバルブ37a、37bおよび一対のバケットパイロットバルブ38a、38bに供給可能である。このため、ブームバルブ32およびバケットバルブ33を操作することが可能となり、ブームレバー34およびバケットレバー35を操作することによって作業機3を駆動することが出来る。このように、作業機ロックバルブ23がロック解除状態のときは、作業機3の動作制限(ロック)も解除される。
【0038】
(パーキングブレーキスイッチ24)
パーキングブレーキスイッチ24は、パーキングブレーキを解除状態またはロック状態にするためのスイッチである。パーキングブレーキスイッチ24は、オペレータによって操作される。図3に示すように、パーキングブレーキスイッチ24は、キャブ5内において、ステアリングホイール19の側方に配置されている。パーキングブレーキスイッチ24は、オペレータによってオン状態またはオフ状態に操作される。
【0039】
(パーキングブレーキ25)
パーキングブレーキ25は、走行体2の停車時に用いられ、走行体2を制動する。パーキングブレーキ25は、例えばトランスファ(図示せず)に設けられている。トランスファは、エンジンからの出力を、フロントタイヤ4が接続されている前側のアクスルと、リアタイヤ7が接続されている後側のアクスルとに分ける。パーキングブレーキ25としては、例えば、制動状態と非制動状態に切り替え可能な湿式多段式のブレーキや、ディスクブレーキなどを用いることができる。
【0040】
パーキングブレーキスイッチ24がオン状態の場合、パーキングブレーキ25のパーキングブレーキソレノイド25aに電気が流れておらず、パーキングブレーキ25は作動状態となる。一方、パーキングブレーキスイッチ24がオフ状態の場合、パーキングブレーキソレノイド54aに電気が流れ、パーキングブレーキ25が解除状態となる。また、パーキングブレーキ25の信号がHSTコントローラ26にも入力される。これにより、HSTコントローラ26は、パーキングブレーキ25が作動状態であるか、作動が解除状態であるかを判定することができる。
【0041】
(HSTコントローラ26)
HSTコントローラ26は、プロセッサと、記憶装置を含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)である。或いは、プロセッサは、CPUと異なるプロセッサであってもよい。プロセッサは、プログラムに従ってホイールローダ1の制御のための処理を実行する。記憶装置は、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリおよびRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含む。記憶装置は、ハードディスク、あるいはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでいてもよい。記憶装置は、非一時的な(non-transitory)プロセッサで読取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置は、ホイールローダ1を制御するためのプログラムおよびデータを記憶している。
【0042】
HSTコントローラ26は、故障を検出する。HSTコントローラ26は、故障が中故障(後述する)であると検出した場合、機能制限Fを実施する。機能制限Fは、作業機3の操作と走行を同時に行うことが出来ないように制御することである。HSTコントローラ26は、中故障を検出していない場合、上述したように作業機ロックスイッチ22から入力される信号に応じて作業機ロックバルブ23を操作して、作業機3の動作の制限または制限の解除を行う。
【0043】
(故障の種類)
はじめに、故障の種類について説明する。図4は、故障の分類を説明するためのテーブルT1である。故障は、小故障と、中故障と、大故障とに分けることができる。小故障は、例えば、シートヒータの故障等であり、安全機能が壊れておらず、作業継続に影響しない故障である。小故障の場合は、作業を行っても問題がないため、機能制限Fを行う必要がない。大故障は、例えば、FNR(前進後進切替え)レバーの故障または作業機ポンプの故障等であり、安全機能が壊れ、且つ機械の継続稼働が出来ない故障である。大故障の場合は、作業を継続して行うことができないため、機能制限Fを行う必要がない。中故障は、安全機能が壊れているが、作業機械の継続稼働が可能な状態である。中故障は、作業機械の継続稼働が可能であるが、次に故障した場合に安全に影響を及ぼすおそれがある状態ともいえる。
【0044】
本実施形態では、HSTコントローラ26は、中故障を検出した場合に、機能制限Fを実施する。一方、小故障と大故障については、機能制限Fの対象外であり、機能制限Fは実施しない。
【0045】
中故障の一例について、図5A図5Cを用いて説明する。中故障として、アタッチメント操作用電気レバーの故障診断用信号の故障を例に挙げて説明する。本実施形態のホイールローダ1では、オプションの構成としてバケット15に代えて追加リンクを介してアタッチメントを取り付けることができる。図5Aは、アタッチメントを操作するための制御システムを示す図である。図5Aに示すように、アタッチメントを駆動するためにアタッチメントシリンダ61が図2で示す制御システム20に追加で設けられている。また、アタッチメントシリンダ61に供給する作動油の流量を調整するアタッチメントバルブ62が設けられている。パイロット用の作動油をアタッチメントバルブ62の第1パイロット室62aと第2パイロット室62bに供給するための2つのEPCバルブ63a、63bが設けられている。アタッチメント操作用電気レバー64からの信号がHSTコントローラ26に入力され、HSTコントローラ26がレバーの操作量に応じてEPCバルブ63a、63bを制御する。これにより、作業機ポンプ31からアタッチメントシリンダ61に供給される作動油の流量をアタッチメントバルブ62が調整し、アタッチメントシリンダ61が伸縮し、アタッチメントが作動する。
【0046】
このようなアタッチメントを電気的に操作するシステムにおいて、アタッチメント操作用電気レバー64がアタッチメント操作用信号(以下信号s1)と故障診断用の信号(以下信号s2)をHSTコントローラ26に出力する。図5Bは、通常状態における信号s1と信号s2を示す図である。信号s1および信号s2は、アタッチメント操作用電気レバー64の操作量に対する出力電圧の値を示す。レバー操作量が大きい程、信号s1と信号s2の出力電圧が大きくなるように設定されている。信号s1と信号s2は同じ値を出力する。HSTコントローラ26は、信号s1からレバー操作量を判定し、アタッチメント操作用出力をEPCバルブ63a、63bに出力する。HSTコントローラ26は、信号s1と信号s2を比較し、信号s1の値と信号s2の値の差が同じ値の場合、故障していないと判定する。
【0047】
一方、図5Cに示すように、故障診断用の信号s2が断線によりHSTコントローラ26に入力されない場合、信号s1が入力されているためレバー操作量を判定することができるが、信号s2が入力されないため故障の判定を行うことができない。
【0048】
すなわち、図5Cに示すような信号s2が入力されない状態では、引き続きアタッチメントの操作は可能であるため継続稼働可能であるが、この状態で信号s1が故障するとアタッチメントが予期しない動作を行う可能性がある。すなわち、このような中故障は、安全機能が壊れているが、作業機械の継続稼働が可能な状態といえる。中故障は、このような安全機能のために冗長化した構成の一方が故障した場合を含む。
【0049】
また、中故障としては、例えば、HSTコントローラ26の出力側の天絡を含めてもよい。
【0050】
(機能制限F)
次に、中故障を検出した場合、HSTコントローラ26(コントローラの一例)が行う機能制限Fについて説明する。機能制限Fの実施によって、作業機3の操作と走行を同時に行うことができないように設定できる。
【0051】
図6は、機能制限Fにおける制御の状態遷移を示す図である。図6に示すように、機能制限Fは、走行を許容するが作業機3の動作を制限する第1機能制限F1と、作業機3の動作を許容するが走行を制限する第2機能制限F2を含む。
【0052】
HSTコントローラ26は、パーキングブレーキ25が作動していない場合に、作業機3のロックの解除を不可能にすることで、第1機能制限F1を実行する。第1機能制限F1では、作業機ロックスイッチ22が操作されて作業機ロックスイッチ22からロックを解除する信号が入力された場合でも、HSTコントローラ26は、作業機ロックバルブ23を駆動せず、作業機3のロック解除を行わない。また、HSTコントローラ26は、パーキングブレーキ25が作動している場合に、作業機3のロックの解除を許容することで、第2機能制限F2を実行する。第2機能制限F2では、作業機ロックスイッチ22が操作されて作業機ロックスイッチ22からロックを解除する信号が入力された場合、HSTコントローラ26は、作業機ロックバルブ23を駆動して作業機3のロック解除を行う。
【0053】
図6に示すように、第1機能制限の状態において、HSTコントローラ26は、パーキングブレーキ25が作動した状態を検出すると、第2機能制限F2に遷移する。
【0054】
第2機能制限F2の状態において、HSTコントローラ26は、パーキングブレーキ25が解除された状態を検出すると、作業機ロックバルブ23を駆動して作業機3をロック状態にして第1機能制限F1に遷移する。
【0055】
このような第1機能制限F1および第2機能制限F2によって、オペレータは作業機3の操作と走行を同時に行うことができないため、継続して作業を行うことができず、目的地まで移動する最低限の機能を残したまま継続稼働を抑制することが可能となる。ここで、最低限の機能とは、作業機3を地面から持ち上げて作業機3を走行するための姿勢にし、ホイールローダ1を走行させる機能である。
【0056】
なお、作業機3のロックを解除した状態、且つパーキングブレーキ25を解除した状態で、作業機3を動かしている最中にHSTコントローラ26が中故障を検出すると、パーキングブレーキ25が解除されているため、オペレータの意図によらず作業機3が急にロックされることになる。このような場合、作業機3の慣性によりバランスを崩すおそれがある。そのため、HSTコントローラ26は、中故障を検出した場合、オペレータが作業機ロックスイッチ22を操作して作業機3をロック状態にした後に第1機能制限F1を開始する(後述するステップS13,S14参照)。
【0057】
(動作)
次に、本実施形態のホイールローダ1の制御動作について説明する。
【0058】
図7は、本実施形態のホイールローダ1の故障が発生した場合の制御動作を示すフロー図である。
【0059】
故障が発生すると、ステップS11(故障検出ステップの一例)において、HSTコントローラ26は、故障が中故障であるか否かを判定する。故障が中故障ではなく小故障または大故障と判定した場合は、制御は終了する。
【0060】
ステップS11において、故障が中故障であると判定した場合、HSTコントローラ26は、ステップS12において、パーキングブレーキ25が作動しているか否かを判定する。具体的には、HSTコントローラ26は、パーキングブレーキスイッチ24から入力される信号に基づいて、パーキングブレーキ25が作動しているか否かを判定する。
【0061】
ステップS12において、パーキングブレーキ25が作動していないと判定した場合、ステップS13において、HSTコントローラ26は、作業機3がロックされているか否かを判定する。具体的には、HSTコントローラ26は、作業機ロックスイッチ22から入力される信号に基づいて、作業機ロックバルブ23が駆動して作業機3がロックされているか否かを判定する。
【0062】
ステップS13において、作業機3がロックされていないと判定した場合、HSTコントローラ26は、作業機3がロックされるまで待機する。ステップS13において、作業機3がロックされると、ステップS14(制限ステップの一例)において、HSTコントローラ26は、作業機3のロックを解除できない第1機能制限F1に遷移する。このような第1機能制限F1では、作業機ロックスイッチ22を操作しても作業機3のロックが解除できないため作業機3が動作できないが、ステップS12に示すようにパーキングブレーキ25が作動していないため走行は可能である。
【0063】
一方、ステップS12において、パーキングブレーキ25が作動していると判定した場合、HSTコントローラ26は、ステップS15において、作業機3のロックの解除を許容する第2機能制限F2に遷移する。このような第2機能制限F2では、作業機3のロックの解除が許容されているため、作業機3を動作することができるが、ステップS12に示すようにパーキングブレーキ25が作動しているため走行は制限されている。
【0064】
第1機能制限F1では、ステップS16において、HSTコントローラ26は、パーキングブレーキ25が作動しているか否かを判定する。ステップS16においてパーキングブレーキ25が作動していないと判定された場合、HSTコントローラ26は、第1機能制限F1を維持する。
【0065】
一方、ステップS16において、パーキングブレーキ25が作動していると判定された場合、制御はステップS15に移動し、HSTコントローラ26は、第1機能制限F1から第2機能制限F2に遷移する。
【0066】
第2機能制限では、ステップS17において、HSTコントローラ26は、パーキングブレーキ25が作動しているか否かを判定する。ステップS17において、パーキングブレーキ25が作動していないと判定された場合、HSTコントローラ26は、ステップS18において、自動で作業機3のロックを行う。具体的には、HSTコントローラ26は、自動で作業機ロックバルブ23に信号を出力し、作業機3をロックする。そして、HSTコントローラ26は、第1機能制限F1に遷移する。一方、ステップS17において、パーキングブレーキ25が作動していると判定した場合、HSTコントローラ26は、第2機能制限F2を維持する。
【0067】
このように、パーキングブレーキ25の作動が解除された場合、HSTコントローラ26は、第2機能制限F2から第1機能制限F1へと移行する。
【0068】
(特徴等)
本実施形態では、HSTコントローラ26は、継続して稼働可能な中故障を検出した場合、パーキングブレーキ25の解除状態では作業機3の動作を制限する。これにより、走行する場合には作業機3の操作を行うことができない。このため、故障時に継続した作業を防止し、且つ故障対応を促すことができる。
【0069】
本実施形態では、HSTコントローラ26は、中故障を検出した場合、パーキングブレーキ25の作動状態では、作業機3の動作制限の解除を許容する。これにより、停止中は作業機3のロックを解除して作業機3を動作させることができる。このように走行と作業機3の操作を同時に行うことができないため、継続した作業を防止することができる。
【0070】
本実施形態では、HSTコントローラ26は、中故障を検出した場合、作業機ロックスイッチ22から作業機3をロックする信号を受信した後に、パーキングブレーキ25の解除状態では作業機3の動作を制限する第1機能制限F1に遷移する。
【0071】
このように、オペレータが作業機ロックスイッチ22を操作して作業機3の動作をロック状態にしてから、第1機能制限F1を実施している。これにより、作業機3のロックを解除した状態、且つパーキングブレーキ25を解除した状態で作業機3を動かしている最中にHSTコントローラ26が中故障を検出した場合に、オペレータの意図によらない急な作業機3のロックが起こることを防止できる。
【0072】
本実施形態では、HSTコントローラ26は、中故障を検出した場合、パーキングブレーキ25の解除状態では作業機ロックスイッチ22から作業機3のロックを解除する信号を受信しても、作業機3の動作の解除を行わない。
これにより、パーキングブレーキ25が解除された状態では、作業機3を動作できないように制御することができる。
【0073】
本実施形態では、HSTコントローラ26は、中故障を検出した場合、パーキングブレーキ25の作動状態では作業機3の動作制限の解除を許容する第2機能制限F2の状態において、作業機ロックスイッチ22から作業機3のロックを解除する信号を受信すると、作業機3の動作制限を解除した状態とする。
【0074】
このように、第2機能制限F2の状態では、作業機ロックスイッチ22を操作することにより、作業機3のロックを解除することができ、作業機3を動作させることが可能となる。
【0075】
本実施形態では、HSTコントローラ26は、中故障を検出した場合、パーキングブレーキ25の解除状態では作業機3の動作を制限するように、作業機ロックバルブ23を制御してブームシリンダ16およびバケットシリンダ17への作動油の供給を停止する。
【0076】
このように、作業機ロックバルブ23を設け、作業機3を駆動するブームシリンダ16およびバケットシリンダ17への作動油の供給を停止することにより、作業機3の動作を制限することができる。
【0077】
本実施形態では、HSTコントローラ26は、中故障を検出した場合、パーキングブレーキ25の作動状態では、作業機ロックスイッチ22から作業機3のロックを解除する信号を受信すると、作業機ロックバルブ23によるブームシリンダ16およびバケットシリンダ17への作動油の供給の停止を解除する。
【0078】
このように、作業機ロックバルブ23を制御することによって、中故障を検出し、パーキングブレーキ25が作動している状態では、ブームシリンダ16およびバケットシリンダ17に作動油を供給して、作業機3を駆動することができる。
【0079】
本実施形態では、HSTコントローラ26は、ブームパイロットバルブ37a、37bおよびバケットパイロットバルブ38a、38bへのパイロット用の作動油の供給を停止することによってブームシリンダ16およびバケットシリンダ17への作動油の供給を停止する。
【0080】
このように、ブームバルブ32およびバケットバルブ33を駆動するパイロット用の作動油の供給を停止することによって、作業機3の動作を制限することができる。
【0081】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0082】
(A)
上記実施形態では、中故障の場合に機能制限Fを実施しているが、小故障の場合にも機能制限Fを実施してもよい。
【0083】
(B)
上記実施形態のホイールローダ1の制御動作では、ステップS12においてパーキングブレーキ25が作動しているか否かを判定しているが、ステップS12が設けられていなくてもよい。この場合、ステップS11において、故障が中故障であると判定すると、パーキングブレーキ25の作動に係わらず、ステップS13における作業機3のロックを待って、HSTコントローラ26は、第1機能制限F1に遷移する。第1機能制限F1に遷移した際にパーキングブレーキ25が作動している場合は、ステップS16の判定を経て、ステップS15において、HSTコントローラ26は、第2機能制限F2に遷移する。
(C)
上記実施形態では、ブームバルブ32およびバケットバルブ33を制御するパイロット用の作動油の供給を停止することによって、作業機3の動作を制限しているが、これに限らなくてもよい。例えば、ブームシリンダ16およびバケットシリンダ17に供給される作動油の供給をバルブで停止することによって、作業機3の動作を制限してもよい。
【0084】
(D)
上記実施形態では、ステップS17において作業機ロックスイッチ22がロック操作されているか判定した次に、ステップS18においてパーキングブレーキ25が作動しているか否かが判定されているが、これに限らず、ステップS18の次にステップS17が行われてもよい。また、ステップS17が設けられていなくてもよい。
【0085】
(E)
上記実施の形態では、作業機械の一例としてホイールローダを用いて説明したが、ホイールローダに限らなくてもよく、モータグレーダ、フォークリフト等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の作業機械および作業機械の制御方法によれば、故障時に継続した作業を防止し且つ故障対応を促すことが可能な効果を発揮し、ホイールローダ等として有用である。
【符号の説明】
【0087】
1 ホイールローダ
2 走行体
3 作業機
25 パーキングブレーキ
26 HSTコントローラ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7