(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049213
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】肌老廃物除去方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20240402BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20240402BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240402BHJP
A61K 8/96 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/65
A61Q19/00
A61K8/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155537
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】521546359
【氏名又は名称】ケアナケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】谷野宮 由佳
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC301
4C083AC302
4C083AD431
4C083AD432
4C083BB60
4C083CC02
4C083DD06
(57)【要約】
【課題】肌に負担をかけて傷つけることなく、老化した角質と、肌の奥から角栓や皮脂汚れとを除去する肌老廃物除去方法を提供する。
【解決手段】角栓除去方法1では、所定のフルーツ酸と所定の中和剤を前記肌に塗り、前記肌の毛穴に詰まった角栓や皮脂汚れを、肌をスライド圧縮することで除去し、前記除去した肌に、エレクトロポレーションで所定の保湿剤を染み込ませる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は、老化した角質及び角栓を肌から除去する方法であって、
所定のフルーツ酸と所定の中和剤を前記肌に塗る工程と、
前記肌の毛穴に詰まった角栓や皮脂汚れを、前記肌をスライド圧縮することで除去する工程と、
前記除去した肌に、エレクトロポレーションで所定の保湿剤を染み込ませる工程と、
を備える方法。
【請求項2】
前記フルーツ酸は、乳酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フルーツ酸と前記中和剤の塗るタイミングの間隔は9分以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記保湿剤は、コラーゲンを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌老廃物除去方法に関し、特に、老化した角質及び角栓や皮脂汚れを肌から除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大部分の肌トラブルは、角質の蓄積が原因であり、この角質を取り除くことによって、肌の新陳代謝を促して新しい細胞を作り出し、肌を強化することによって、肌トラブルが軽減することがわかっている。
【0003】
従来の角質スキンケアとして、肌に与えた超音波の乳化作用を利用して毛穴内部の角栓や皮脂汚れを洗い流して除去するスクライバーなどの皮膚洗浄機器を使う方法が知られている(非特許文献1)。
【0004】
また、水流を利用して古い角質や皮脂を取り除き、毛穴を吸引して毛穴内に詰まった角栓や皮脂汚れを除去するハイドラフェイシャルなどの吸引器を使う方法が知られている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“スクライバーとは?仕組みや効果を紹介!毛穴洗浄や角質除去で美肌に!”,[online],2021年10月26日,じぶんde株式会社,[2022年9月6日検索],インターネット<URL:https://jibunde-esute.com/column/detail/138>
【0006】
【非特許文献2】“日本に上陸後2年で全国の美容クリニックへの導入数200台突破「ハイドラフェイシャル」が、あらゆる肌の健康のためにアップデート「ハイドラフェイシャル エリート ML」8月17日(月)新登場”,[online],2020年8月17日,株式会社 PR TIMES,[2022年9月6日検索],インターネット<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000052473.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの角質スキンケアは、ピンポイントに毛穴にアプローチして、毛穴の奥の角栓を除去することによって、肌表面上に艶が出るといった一定の効果はあるが、非特許文献1の方法では、毛穴を吸引しないため、毛穴奥の皮脂汚れを除去することが困難である。また、非特許文献2の方法は、毛穴を吸引するものの、毛穴深部から角栓や皮脂汚れを無理に押し出した場合、その吸引力のために、毛穴に負担が生じ、弱い肌や敏感な肌に対しては、赤みや痛みなどの症状が現れてしまうことがある。
【0008】
本発明は、肌に負担をかけて傷つけることなく、老化した角質と、肌の奥から角栓や皮脂汚れとを除去する肌老廃物除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、老化した角質及び角栓を肌から除去する方法であって、
所定のフルーツ酸と所定の中和剤を前記肌に塗る工程と、
前記肌の毛穴に詰まった角栓や皮脂汚れを、前記肌をスライド圧縮することで除去する工程と、
前記除去した肌に、エレクトロポレーションで所定の保湿剤を染み込ませる工程と、
を備える方法を提供する。
【0010】
本発明の老化した角質及び角栓を肌から除去する方法は、所定のフルーツ酸と所定の中和剤を前記肌に塗り、前記肌の毛穴に詰まった角栓や皮脂汚れを、肌をスライド圧縮することで除去し、前記除去した肌に、エレクトロポレーションで所定の保湿剤を染み込ませる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、老化した角質と、肌の奥から角栓や皮脂汚れとを取り除くことで、肌に新陳代謝を促し、新しい細胞を作り出し、肌を土台から強くすることが可能であり、角質及び角栓や皮脂汚れを除去する際には、肌をスライド圧縮することによって、肌への摩擦力を小さくして、毛穴への負担をかけないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の肌老廃物除去方法1の工程概要図である。
【
図2】
図2は、本発明の肌老廃物除去方法1で実施する施術対象部の例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の肌老廃物除去方法1のエクストラクション工程で実施するスライド圧迫時の手指の配置例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の肌老廃物除去方法1のエクストラクション工程で実施するスライド圧迫後の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0014】
[実施形態の概要]
本発明の一実施形態について、
図1に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の角栓除去方法1の概要を説明するための図である。
図2は、本発明の肌老廃物除去方法1で実施する施術対象部の例を示す図である。角栓除去方法1は、ジェル塗布工程S10と、エクストラクション工程S20と、エレクトロポレーション工程S30から構成され、老化角質を取り除き、老化した角質及び角栓や皮脂汚れを肌から除去する角栓除去方法である。
【0015】
[特殊ジェル塗布工程]
図1に示すように、特殊ジェル塗布工程において、施術者100は、被施術者200の肌202に専用の特殊ジェルを塗布し、一定時間放置後、中和剤を塗布する(S10)。この特殊ジェルは、フルーツ酸を含有する。フルーツ酸とはアルファヒドロキシ酸の総称であり、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラス酸などが挙げられる。フルーツ酸には、皮膚の角質層の結合力を弱める作用があり、この作用により、密に重なりあった角質層を薄くする効果がある。なかでも、乳酸はグリコールなど他のフルーツ酸に比べて、分子が大きいため、皮膚の浅い表面にある角質層のみに作用する。このため、本実施形態で使用するフルーツ酸は、乳酸が好ましい。特殊ジェルに対するフルーツ酸の濃度は、高いほど好ましく、5%~20%がより好ましく、特殊ジェルの水素イオン濃度(pH)は、低いほど好ましく、pH1.0~3.0に調整されるのが、より好ましい。
【0016】
上述の特殊ジェルの塗布後の放置時間は、老化角質を除去する効果を最大限に引き出すために設定されるが、このため、放置時間が長くなればなるほど、皮膚への負担が大きくなる。また、この放置時間は、被施術者200の肌202の状態に依存し、例えば、上述の特殊ジェルを塗布している際に、被施術者200の肌202に赤みが出てきた場合は、上述の特殊ジェルの塗布時間が設定した時間未満であっても、上述の特殊ジェルの塗布後の放置を終了する。したがって、上述の特殊ジェルの塗布後の放置時間は、0~9分が好ましく、9分がより好ましい。塗布後の放置は、中和剤を塗布することによって終了する。
【0017】
本実施形態で使用する中和剤は、アルカリ性の溶剤であり、上述の特殊ジェルの塗布により酸性の状態となり負担がかかっている被施術者200の肌202を弱酸性にするために、中和するために用いられる。
【0018】
本実施形態においては、
図1に示すように、施術者100は、上述の特殊ジェルを筆様の刷毛で塗布しているが、これに限らず、特殊ジェルを塗布することによって肌202に負担をかけないものであれば、その手段は問わない。
【0019】
以上により、老化角質を角質層から負担なく除去し、後述のエクストラクション工程S20において、硬くなった角栓や皮脂汚れを取りやすくすることができ、被施術者200の肌202の質や状態に合わせた施術が行われるため、被施術者200の肌202への負担を抑え、角質を過度に剥離させることを防ぐことが可能となる。
【0020】
以上が、特殊ジェル塗布工程である。
【0021】
[エクストラクション工程]
次に、エクストラクション工程において、施術者100は、手技により、毛穴204に詰まった角栓や皮脂汚れを除去する(S20)。
図3に示すように、この手技によって、施術者100の手指101により、被施術者200の肌202をスライド圧縮して、毛穴204に詰まった角栓や皮脂汚れを押し出される。
【0022】
施術者100の手指には、ゴム製の指サック102が装着され、指サック102には、コットン103が巻かれている。指サック102を装着する手指は、人差し指であればよく、このほかの手指すべて又は一部に指サック102を装着してもよい。コットン103は、薄く裂かれており、水で濡らされている。このように、指サック102やコットン103を施術者100の手指に装着することによって、被施術者200の肌202をスライド圧縮した際に、被施術者200の肌202への負担を軽減し、痛みを軽減することが可能である。また、指サック102及びコットン103は、エクストラクション工程において、常に新しいものが使用されることから、衛生面に配慮することが可能となる。
【0023】
図3に示すように、スライド圧縮では、施術者100の両手人差し指の一方の爪の角を、被施術者200の毛穴204周辺で、被施術者200の肌202に対して、30度~60度、望ましくは、45度となるように配置し、毛穴204中心方向にスライドさせながら圧縮させる。この際、被施術者200の肌202に負担をかけないように、スライド圧縮による摩擦で温めないようにする。このようなスライド圧縮は、毛穴一つ一つに対して行う。
【0024】
以上により、
図4に示すように、毛穴から角栓及び皮脂汚れ205が押し出され、施術者100の手指に巻かれたコットン103に付着することによって、角栓及び皮脂汚れ205が毛穴204から除去することが可能となる。
【0025】
以上が、エクストラクション工程である。
【0026】
[エレクトロポレーション工程]
図1に戻り、角質や角栓及び皮脂汚れ205を除去した肌に、エレクトロポレーションで所定の保湿剤を染み込ませる(S30)。エレクトロポレーションにおいては、施術者100がエレクトロポレーション機器を用いて、電気の力を利用して美容成分を含む保湿剤を、特殊な電気パルスで一時的に皮膚に小さな穴を開け、その穴に保湿剤を入れることによって、美容成分を肌深部に染み込ませる。
【0027】
所定の保湿剤の美容成分としては、コラーゲンが含まれるが、他の美容成分を含ませてもよい。
【0028】
また、施術者100は、
図1に示すエレクトロポレーション機器を使用しているが、メーカーや型番などは問わず、あらゆるエレクトロポレーション機器を使用してもよい。
【0029】
以上により、所定の保湿剤をエレクトロポレーション機器で肌深部へ染み込ませることによって、エクストラクション工程後の角栓及び皮脂汚れ205が取り除かれて空になった被施術者200の毛穴204を引き締めることができ、被施術者200の肌202の再生を促すことが可能となる。
【0030】
以上が、エレクトロポレーション工程である。
【0031】
なお、本発明の角栓除去方法1の前に、メイクアップや汚れを被施術者200の肌202から落とすクレンジング工程や、被施術者200の肌202と毛穴204の状態を確認する肌チェック工程を行ってもよい。クレンジング工程では、メイクアップや汚れを被施術者200の肌202から落としながら、被施術者200の肌202や毛穴204の状態を十分に確認することが可能であるため、このようなクレンジング工程を本発明の角栓除去方法1の前に行うことは有効である。また、肌チェック工程では、拡大鏡などを使用することによって、被施術者200の肌202と毛穴204の状態を細かく確認することが可能であるため、このような肌チェック工程を本発明の角栓除去方法1の前に行うことは有効である。
【0032】
また、本発明の角栓除去方法1の後に、被施術者200の肌202を美容成分で覆うパック工程や、被施術者200の肌202に保湿剤や日焼け止めを塗布する整肌工程を行ってもよい。パック工程では、被施術者200の肌202の状態に適した美容成分を用いることによって、この美容成分を被施術者200の肌202に閉じ込めて、さらに潤いのある肌202へと導くことが可能となるため、このようなパック工程を、本発明の角栓除去方法1の後に行うことは有効である。また、整肌工程では、本発明の角栓除去方法1による被施術者200の肌202に保湿剤や日焼け止めを塗布することによって、施術後の被施術者200の肌202を保護することが可能となるため、このような整肌工程を、本発明の角栓除去方法1の後に行うことは有効である。
【0033】
本発明の角栓除去方法1により、老化した角質を取り除いて被施術者200の肌202を柔らかくし、被施術者200の毛穴204の一つ一つの角栓及び皮脂汚れ205を丁寧に取り除くことによって、被施術者200の肌202への負担による痛みや赤みなどを軽減し、被施術者200の肌202を傷つけることなく安全に角質スキンケアを実施することができ、毛穴の目立ちや、肌のくすみ、ニキビ、乾燥、張り、弾力、皺、艶、キメ、ごわつき、ざらつきといった肌質に対して、従来の角質スキンケアでは得られなかった改善効果を得ることが可能である。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0035】
1 角栓除去方法
100 施術者
101 手指
102 指サック
103 コットン
200 被施術者
201 顔
202 肌
203 鼻
204 毛穴
205 角栓及び皮脂汚れ