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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049230
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
G03G21/00 388
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155572
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保野 政仁
(72)【発明者】
【氏名】千原 安見子
(72)【発明者】
【氏名】岩間 隼
(72)【発明者】
【氏名】吉原 万莉
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA60
2H270KA69
2H270LA98
2H270NB09
2H270RC11
2H270RC12
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】対象製品に接続された装置が異なることによる電気的ノイズのぶれがあったとしても、純正品と互換品とを判別できる。
【解決手段】情報処理装置は、プロセッサを備え、プロセッサは、対象製品が備える記憶部から発生する電気的ノイズを取得し、電気的ノイズが、当該電気的ノイズの周波数スペクトルから分割した周波数毎に予め定められた範囲内であるか否かを、周波数毎に判定し、電気的ノイズが予め定められた範囲外である場合は、さらに当該電気的ノイズが予め定められた範囲を拡張した拡張範囲内であるか否かを判定し、電気的ノイズが予め定められた範囲内である周波数の数と、電気的ノイズが予め定められた範囲外であって、拡張範囲内である周波数の数との和が、電気的ノイズが拡張範囲外である周波数の数より多い場合は、対象製品が純正品であると判定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
対象製品が備える記憶部から発生する電気的ノイズを取得し、
前記電気的ノイズが、当該電気的ノイズの周波数スペクトルから分割した周波数毎に予め定められた範囲内であるか否かを、前記周波数毎に判定し、
前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲外である場合は、さらに当該電気的ノイズが前記予め定められた範囲を拡張した拡張範囲内であるか否かを判定し、
前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲内である前記周波数の数と、前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲外であって、前記拡張範囲内である前記周波数の数との和が、前記電気的ノイズが前記拡張範囲外である前記周波数の数より多い場合は、前記対象製品が純正品であると判定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記周波数毎に前記電気的ノイズの範囲が決定された、既存のテーブルを読み込み、
取得した前記電気的ノイズと、前記既存のテーブルとから、新たな前記電気的ノイズの範囲を決定し、
前記新たな電気的ノイズの範囲が決定されたテーブルを、前記既存のテーブルに書き換えて保持する、
請求項1に情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記予め定められた範囲及び前記拡張範囲のうち少なくとも一方の変更を受け付け、
受け付けた変更後の範囲を書き換えて保持する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記電気的ノイズを取得する場合に、前記予め定められた範囲及び前記拡張範囲のうち少なくとも一方の校正を実行する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、自装置に前記対象製品が取り付けられる度に、前記校正を実行する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記拡張範囲は、前記周波数毎に同一の値を前記予め定められた範囲から拡張した範囲である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記同一の値は、自装置の種類毎に予め定められた値である、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
対象製品が備える記憶部から発生する電気的ノイズを取得し、
前記電気的ノイズが、当該電気的ノイズの周波数スペクトルから分割した周波数毎に予め定められた範囲内であるか否かを、前記周波数毎に判定し、
前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲外である場合は、さらに当該電気的ノイズが前記予め定められた範囲を拡張した拡張範囲内であるか否かを判定し、
前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲内である前記周波数の数と、前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲外であって、前記拡張範囲内である前記周波数の数との和が、前記電気的ノイズが前記拡張範囲外である前記周波数の数より多い場合は、前記対象製品が純正品であると判定する、
処理をコンピュータに実行させる、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、情報生成回路が開示されている。この情報生成回路は、前記情報生成回路を含む第1のシステムが発生するノイズと、前記第1のシステムを接続した第2のシステムが発生するノイズとの両方を含むノイズを受信する受信部を有する。また、この情報生成回路は、前記受信部が受信したノイズから当該ノイズの周波数スペクトルを取得する変換部を有する。また、この情報生成回路は、前記変換部により取得された前記周波数スペクトルを複数の周波数区間に分割し、各々の前記周波数区間でのスペクトル強度の最大値を基に、前記第1のシステムの認証のための識別情報を生成する生成部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6318727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象製品が備える記憶部から発生する電気的ノイズが、当該電気的ノイズの周波数スペクトルから分割した周波数毎に予め定められた範囲内の場合に、当該対象製品が純正品であると判定する技術がある。この技術では、予め定められた範囲を拡大することで、対象製品に接続された装置が異なることによる電気的ノイズのぶれを吸収することができる。具体的に、上記電気的ノイズのぶれは、ハーネスと上記装置の板金間の静電容量ばらつき、上記装置と対象製品間の電気的な接触抵抗ばらつき、又はハーネスに接続している静電気保護素子の容量成分の個体差と温度特性によるばらつき等により発生する。しかし、予め定められた範囲を広げると、互換品を純正品と判定してしまう場合があるという課題があった。
【0005】
本開示は、対象製品に接続された装置が異なることによる電気的ノイズのぶれがあったとしても、純正品と互換品とを判別できる情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、対象製品が備える記憶部から発生する電気的ノイズを取得し、前記電気的ノイズが、当該電気的ノイズの周波数スペクトルから分割した周波数毎に予め定められた範囲内であるか否かを、前記周波数毎に判定し、前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲外である場合は、さらに当該電気的ノイズが前記予め定められた範囲を拡張した拡張範囲内であるか否かを判定し、前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲内である前記周波数の数と、前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲外であって、前記拡張範囲内である前記周波数の数との和が、前記電気的ノイズが前記拡張範囲外である前記周波数の数より多い場合は、前記対象製品が純正品であると判定する。
【0007】
また、第2態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記周波数毎に前記電気的ノイズの範囲が決定された、既存のテーブルを読み込み、取得した前記電気的ノイズと、前記既存のテーブルとから、新たな前記電気的ノイズの範囲を決定し、前記新たな電気的ノイズの範囲が決定されたテーブルを、前記既存のテーブルに書き換えて保持する。
【0008】
また、第3態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記予め定められた範囲及び前記拡張範囲のうち少なくとも一方の変更を受け付け、受け付けた変更後の範囲を書き換えて保持する。
【0009】
また、第4態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記電気的ノイズを取得する場合に、前記予め定められた範囲及び前記拡張範囲のうち少なくとも一方の校正を実行する。
【0010】
また、第5態様に係る情報処理装置は、第4態様に係る情報処理装置において、自装置に前記対象製品が取り付けられる度に、前記校正を実行する。
【0011】
また、第6態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記拡張範囲は、前記周波数毎に同一の値を前記予め定められた範囲から拡張した範囲である。
【0012】
また、第7態様に係る情報処理装置は、第6態様に係る情報処理装置において、前記同一の値は、自装置の種類毎に予め定められた値である。
【0013】
また、第8様に係る情報処理プログラムは、対象製品が備える記憶部から発生する電気的ノイズを取得し、前記電気的ノイズが、当該電気的ノイズの周波数スペクトルから分割した周波数毎に予め定められた範囲内であるか否かを、前記周波数毎に判定し、前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲外である場合は、さらに当該電気的ノイズが前記予め定められた範囲を拡張した拡張範囲内であるか否かを判定し、前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲内である前記周波数の数と、前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲外であって、前記拡張範囲内である前記周波数の数との和が、前記電気的ノイズが前記拡張範囲外である前記周波数の数より多い場合は、前記対象製品が純正品であると判定する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
第1態様、及び第8態様によれば、対象製品に接続された装置が異なることによる電気的ノイズのぶれがあったとしても、純正品と互換品とを判別できる。
【0015】
第2態様によれば、対象製品が備える記憶部から発生する電気的ノイズに基づいて新たに決定したテーブルを保持することができる。
【0016】
第3態様によれば、予め定められた範囲及び拡張範囲のうち少なくとも一方を変更できる。
【0017】
第4態様によれば、対象製品に接続された装置の周囲の環境、又は対象製品に接続された装置内の環境により温度変化が生じた場合であっても、対象製品が純正品か否かを正確に判定できる。
【0018】
第5態様によれば、情報処理装置に対象製品が取り付けられる度に、予め定められた範囲及び拡張範囲のうち少なくとも一方の校正を実行することができる。
【0019】
第6態様によれば、拡張範囲が周波数毎に異なる値を予め定められた範囲から拡張した範囲である場合に比較して、拡張範囲を簡易に定めることができる。
【0020】
第7態様によれば、上記同一の値が自装置の種類に関わらず同一であるに比較して、高精度に拡張範囲を定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図2】実施形態に係るトナーカートリッジのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る判定回路のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5】第1の実施形態に係る判定処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図6】実施形態に係る調整範囲の一例を示す模式図である。
図7】実施形態に係る校正前の電気的ノイズの位相の一例を示す模式図である。
図8】実施形態に係る校正後の電気的ノイズの位相の一例を示す模式図である。
図9】第1の実施形態に係る作成処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図10】第1の実施形態に係る変更処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図11】第2の実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図12】第2の実施形態に係る判定処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図13】第2の実施形態に係る作成処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図14】第2の実施形態に係る変更処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0023】
[第1の実施形態]
図1に示すように、本実施形態における情報処理システム100は、対象製品としてのトナーカートリッジ10と、トナーカートリッジ10に接続する情報処理装置20とを含む。また、情報処理装置20は、制御装置30と、判定回路40とを含む。本実施形態では、情報処理装置20として画像形成装置を適用している。しかし、この例に限られない。情報処理装置20として、いかなる情報処理を実行する装置を適用してもよい。また、本実施形態では、判定回路40として、AFE(Analog Flont End)を適用している。
【0024】
図2に示すように、トナーカートリッジ10は、LSI(Large Scale Integration)15を有する。LSI15は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、及び通信I/F(Interface)17の各構成を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0025】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12には、生成処理プログラムが格納されている。
【0026】
ROM12は、各種プログラム及び各種データを格納する。記憶部としてのRAM13は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。本実施形態では、RAM13として、CRAM(Computational Random Access Memory)を適用している。
【0027】
通信I/F17は、情報処理装置20等の他の機器と通信するためのインタフェースである。
【0028】
図3に示すように、制御装置30は、CPU31、ROM32、RAM33、及び通信I/F37の各構成を有する。各構成は、バス39を介して相互に通信可能に接続されている。
【0029】
CPU31は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU31は、ROM32からプログラムを読み出し、RAM33を作業領域としてプログラムを実行する。CPU31は、ROM32に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM32には、制御処理プログラムが格納されている。
【0030】
ROM32は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM33は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0031】
通信I/F37は、判定回路40等の他の機器と通信するためのインタフェースである。
【0032】
図4に示すように、判定回路40は、アンテナ41、アンプ42、変換器43、変換回路44、ノイズ判定回路45、及びROM46、及び通信I/F47の各構成を有する。各構成は、バス49を介して相互に通信可能に接続されている。
【0033】
取得部としてのアンテナ41は、トナーカートリッジ10のRAM13から発生する電気的ノイズ(すなわち、LSI15固有の動作ノイズ)に加え、トナーカートリッジ10の外部の環境(例えば、温度又は機器構成等)に起因する電気的ノイズを取得する。
【0034】
アンプ42は、例えばLNA(Low Noise Amplifier)であり、アンテナ41が取得した電気的ノイズを増幅する。変換器43は、アンプ42で増幅された電気的ノイズをサンプリングし、デジタルデータに変換して出力する。
【0035】
変換回路44は、変換器43が出力した時間軸上のデータを周波数軸上のデータ(周波数スペクトル)に変換する。変換回路44は、例えば時間軸上のデータにFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理を施し、時間領域から周波数領域への変換を行う。
【0036】
判定部としてのノイズ判定回路45は、トナーカートリッジ10が純正品であるか否かを判定する。ここで、純正品とは、情報処理装置20の製造者が製造又は販売する製品である。また、純正品ではない互換品とは、情報処理装置20の製造者以外の者が製造又は販売をする製品であって、情報処理装置20の製造者が推奨又は使用を許容していない製品である。
【0037】
ROM46は、周波数毎に電気的ノイズの範囲が決定されたテーブルを記憶している。具体的に、テーブルには、周波数毎に予め定められた範囲と、当該予め定められた範囲を拡張した拡張範囲とが決定されている。また、制御装置30のROM32は、当該テーブルと同一のテーブルを記憶している。
【0038】
通信I/F47はトナーカートリッジ10及び制御装置30等の他の機器と通信するためのインタフェースである。
【0039】
次に、図5を参照して、本実施形態の情報処理システム100における判定処理の流れについて説明する。判定処理は、トナーカートリッジ10のCPU11がROM12から生成処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、行なわれる。また、判定処理は、制御装置30のCPU31がROM32から制御処理プログラムを読み出して、RAM33に展開して実行することにより、行なわれる。
【0040】
なお、図5に示す例では、後述する作成処理により、ROM46に記憶されたテーブルに予め拡張範囲が決定されている場合について説明する。
【0041】
図5のステップS100において、制御装置30のCPU31は、判定回路40に対して、トナーカートリッジ10が純正品か否かを判定する判定指示を送信する。本実施形態では、CPU31は、情報処理装置20にトナーカートリッジ10が取り付けられた旨の情報を受信すると、判定回路40に対して、判定指示を送信する。
【0042】
ステップS102において、判定回路40は、トナーカートリッジ10に対して、電気的ノイズを生成する生成指示を送信する。
【0043】
ステップS104において、トナーカートリッジ10のCPU11は、RAM13に電気的ノイズを発生させる。
【0044】
ステップS106において、トナーカートリッジ10のCPU11は、判定回路40に対して、RAM13から発生する電気的ノイズを送信する。
【0045】
ステップS108において、判定回路40のアンテナ41は、トナーカートリッジ10のRAM13から発生した電気的ノイズを取得する。
【0046】
ステップS110において、判定回路40は、ROM46に記憶されたテーブルにおいて決定されている予め定められた範囲及び拡張範囲のうち少なくとも一方の校正を実行する。具体的に、判定回路40は、ノイズフィルタを校正することで、予め定められた範囲及び拡張範囲のうち少なくとも一方の校正を実行する。
【0047】
ステップS112において、判定回路40のアンプ42は、取得した電気的ノイズを、変換器43のダイナミックレンジに対して十分な振幅まで増幅する。
【0048】
ステップS114において、判定回路40の変換器43は、アンプ42で増幅された電気的ノイズをサンプリングし、デジタルデータに変換して出力する。
【0049】
ステップS116において、判定回路40の変換回路44は、変換器43が出力した時間軸データを周波数スペクトルに変換する。
【0050】
ステップS118において、判定回路40のノイズ判定回路45は、周波数スペクトルを複数の周波数に分割する。
【0051】
ステップS120において、判定回路40のノイズ判定回路45は、分割した周波数の中から一の周波数を決定する。
【0052】
ステップS122において、判定回路40のノイズ判定回路45は、決定した一の周波数における電気的ノイズが予め定められた範囲内であるか否かを判定する。具体的に、ノイズ判定回路45は、決定した一の周波数における電気的ノイズが、ROM46に記憶されたテーブルにおいて、当該決定した一の周波数に関連付けられた予め定められた範囲内であるか否かを判定する。ノイズ判定回路45は、決定した一の周波数における電気的ノイズが予め定められた範囲内である場合(ステップS122:YES)、ステップS126に移行する。一方、ノイズ判定回路45は、決定した一の周波数における電気的ノイズが予め定められた範囲外である場合(ステップS122:NO)、ステップS124に移行する。
【0053】
ステップS124において、判定回路40のノイズ判定回路45は、決定した一の周波数における電気的ノイズが拡張範囲内であるか否かを判定する。具体的に、ノイズ判定回路45は、決定した一の周波数における電気的ノイズが、ROM46に記憶されたテーブルにおいて、当該決定した一の周波数に関連付けられた拡張範囲内であるか否かを判定する。ノイズ判定回路45は、決定した一の周波数における電気的ノイズが拡張範囲内である場合(ステップS124:YES)、ステップS126に移行する。一方、ノイズ判定回路45は、決定した一の周波数における電気的ノイズが拡張範囲外である場合(ステップS124:NO)、ステップS128に移行する。
【0054】
ステップS126において、判定回路40のノイズ判定回路45は、ROM46に記憶された範囲内数(すなわち、電気的ノイズが予め定められた範囲内である周波数の数と、電気的ノイズが予め定められた範囲外であって、拡張範囲内である周波数の数との和)をインクリメントする。ここで、インクリメントとは、数値に1を加える処理を示す。
【0055】
ステップS128において、判定回路40のノイズ判定回路45は、ROM46に記憶された範囲外数(すなわち、電気的ノイズが拡張範囲外である周波数の数)をインクリメントする。なお、範囲内数の初期値と範囲外数の初期値とは同一である。
【0056】
ステップS130において、判定回路40のノイズ判定回路45は、分割した全ての周波数の電気的ノイズの判定が終了したか否かを判定する。言い換えると、ノイズ判定回路45は、分割した全ての周波数の電気的ノイズについて、ステップS120からステップS128を実行したか否かを判定する。ノイズ判定回路45は、分割した全ての周波数の電気的ノイズの判定が終了した場合(ステップS130:YES)、ステップS132に移行する。一方、ノイズ判定回路45は、分割した全ての周波数の電気的ノイズの判定が終了していない場合(ステップS130:NO)、ステップS120に戻る。
【0057】
ステップS132において、判定回路40のノイズ判定回路45は、範囲内数が範囲外数より多いか否かを判定する。ノイズ判定回路45は、範囲内数が範囲外数より多い場合(ステップS132:YES)、ステップS134に移行する。一方、ノイズ判定回路45は、範囲内数が範囲外数以下の場合(ステップS132:NO)、ステップS136に移行する。
【0058】
ステップS134において、判定回路40のノイズ判定回路45は、トナーカートリッジ10が純正品であると判定し、本判定処理を終了する。
【0059】
ステップS136において、判定回路40のノイズ判定回路45は、トナーカートリッジ10が互換品であると判定し、本判定処理を終了する。
【0060】
図6に調整範囲の一例を示す。調整範囲とは、トナーカートリッジ10が純正品か否かを判定するための電気的ノイズの範囲である。図6において、縦軸は電気的ノイズの強度を示し、横軸は周波数を示す。図6における調整値_Maxとは調整範囲の最大値であり、調整値_Minとは調整範囲の最小値である。
【0061】
ノイズ判定回路45は、電気的ノイズが予め定められた範囲(図6に示す例では、「標準値_Min」から「標準値_Max」までの範囲)内である周波数においては、当該電気的ノイズが拡張範囲内であるか否かを判定する。したがって、図6において電気的ノイズが予め定められた範囲内である周波数では、調整値_Maxと標準値_Maxとが一致しており、調整値_Minと標準値_Minとが一致している。
【0062】
一方、ノイズ判定回路45は、電気的ノイズが予め定められた範囲内でない周波数においては(図6に示す例では、周波数が2kHz、3kHz、4kHz、及び5kHzの場合)、当該電気的ノイズが拡張範囲(図6に示す例では、「拡張値_Min」から「拡張値_Max」までの範囲)内であるか否かを判定する。本実施形態では、拡張範囲として、周波数毎に同一の値を予め定められた範囲から拡張した範囲を適用している。そして、上記同一の値として、情報処理装置20の種類毎に予め定められた値を適用している。しかし、この例に限られない。拡張範囲として、周波数毎に異なる値を予め定められた範囲から拡張した範囲を決定してもよい。図6において電気的ノイズが予め定められた範囲内でない周波数では、調整値_Maxと拡張値_Maxとが一致しており、調整値_Minと拡張値_Minとが一致している。
【0063】
図7は、ノイズフィルタを校正する前における雰囲気温度毎の電気的ノイズの位相である。図7において、周波数が12kHzの場合、-142°から75°までを予め定められた範囲とすると、雰囲気温度が3℃から5℃、及び44℃から47℃以外では、電気的ノイズの位相は当該予め定められた範囲内である。しかし、雰囲気温度が3℃から5℃、及び44℃から47℃では、電気的ノイズの位相は当該予め定められた範囲外である。また、周波数が13kHzの場合、予め定められた範囲を-180°から-15°までと15°から180°までとすると、雰囲気温度が3℃から5℃、及び44℃から47℃では、電気的ノイズの位相は当該予め定められた範囲内である。しかし、雰囲気温度が3℃から5℃、及び44℃から47℃では、電気的ノイズの位相は当該予め定められた範囲外である。また、周波数が14kHzの場合、予め定められた範囲を-180°から-160°までと-62°から180°までとすると、雰囲気温度が3℃から5℃、及び44℃から47℃以外では、電気的ノイズの位相は当該予め定められた範囲内である。しかし、雰囲気温度が3℃から5℃、及び44℃から47℃では、電気的ノイズの位相は当該予め定められた範囲外である。
【0064】
図8は、ノイズフィルタを校正した後における雰囲気温度毎の電気的ノイズの位相である。図8において、図7と異なり、周波数が12kHzの場合、雰囲気温度が3℃から5℃、及び44℃から47℃であっても、電気的ノイズの位相は予め定められた範囲内である。また、周波数が13kHzの場合、雰囲気温度が3℃から5℃、及び44℃から47℃であっても、電気的ノイズの位相は予め定められた範囲内である。また、周波数が14kHzの場合、雰囲気温度が3℃から5℃、及び44℃から47℃であっても、電気的ノイズの位相は予め定められた範囲内である。
【0065】
このように、情報処理装置20にトナーカートリッジ10が取り付けられる度にノイズフィルタの校正を実行することで、周囲温度にあわせて電気的ノイズが生成できるように制御し、トナーカートリッジ10が純正品であるか否かを正確に判定出来るようにする。
【0066】
また、本実施形態では、判定回路40のノイズ判定回路45は、範囲内数が範囲外数より1以上多いか否かに基づき、トナーカートリッジ10が純正品であるか否かを判定していた。しかし、この例に限られない。判定回路40のノイズ判定回路45は、情報処理装置20毎、情報処理装置20の種類毎、又は情報処理装置20の内部温度毎に、トナーカートリッジ10が純正品であるか否かを判断するための条件を変更してもよい。
【0067】
また、判定回路40のノイズ判定回路45は、所定の周波数における電気的ノイズが予め定められた範囲、又は拡張範囲内でなければ、範囲内数が範囲外数より多い場合であっても、トナーカートリッジ10が互換品であると判定してもよい。また、判定回路40のノイズ判定回路45は、範囲内数が範囲外数以下の場合であっても、範囲内数及び範囲外数以外の追加の情報が予め定められた条件を満たす場合は、トナーカートリッジ10が純正品であると判定してもよい。例えば、ノイズ判定回路45は、範囲内数が範囲外数以下の場合であっても、過去24時間以内に範囲内数が範囲外数より1以上多いとの履歴がある場合は、トナーカートリッジ10が純正品と判定してもよい。また、ノイズ判定回路45は、範囲内数が範囲外数以下の場合であっても、トナーカートリッジ10の外箱に記載された番号が予め定められた番号と一致する場合は、トナーカートリッジ10が純正品と判定してもよい。
【0068】
また、判定回路40のノイズ判定回路45は、トナーカートリッジ10を互換品と判定した場合に新たな情報(例えば、トナーカートリッジ10の外箱に記載された番号等)をユーザから取得する場合は、範囲内数が範囲外数より2以上多い場合に、トナーカートリッジ10を純正品であると判定してもよい。すなわち、判定回路40のノイズ判定回路45は、トナーカートリッジ10を互換品と判定した場合に新たな情報をユーザから取得する場合は、トナーカートリッジ10を互換品と判定した場合に新たな情報をユーザから取得しない場合に比較して、より厳しい条件を満たさないとトナーカートリッジ10を純正品であると判定しなくてもよい。
【0069】
次に、図9を参照して、本実施形態の情報処理システム100における作成処理の流れについて説明する。作成処理は、トナーカートリッジ10のCPU11がROM12から生成処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、行なわれる。また、作成処理は、制御装置30のCPU31がROM32から制御処理プログラムを読み出して、RAM33に展開して実行することにより、行なわれる。なお、作成処理を実行するトナーカートリッジ10は、純正品である。
【0070】
図9のステップS200において、制御装置30のCPU31は、判定回路40に対して、テーブルを作成する作成指示を送信する。
【0071】
ステップS202において、判定回路40は、トナーカートリッジ10に対して、生成指示を送信する。
【0072】
ステップS204において、トナーカートリッジ10のCPU11は、RAM13に電気的ノイズを発生させる。
【0073】
ステップS206において、トナーカートリッジ10のCPU11は、判定回路40に対して、RAM13から発生する電気的ノイズを送信する。
【0074】
ステップS208において、判定回路40のアンテナ41は、トナーカートリッジ10のRAM13から発生する電気的ノイズを取得する。
【0075】
ステップS210において、判定回路40のアンプ42は、取得した電気的ノイズを、変換器43のダイナミックレンジに対して十分な振幅まで増幅する。
【0076】
ステップS212において、判定回路40の変換器43は、アンプ42で増幅された電気的ノイズをサンプリングし、デジタルデータに変換して出力する。
【0077】
ステップS214において、判定回路40の変換回路44は、変換器43が出力した時間軸データを周波数スペクトルに変換する。
【0078】
ステップS216において、判定回路40の変換回路44は、制御装置30に対して、変換した周波数スペクトルを送信する。
【0079】
ステップS218において、制御装置30のCPU31は、ROM32に既に記憶されたテーブル(すなわち、判定回路40のROM46に既に記憶されたテーブル)を読み込む。
【0080】
ステップS220において、制御装置30のCPU31は、判定回路40から送信された周波数スペクトルにおいて、ROM32に既に記憶されたテーブルで決定された電気的ノイズの範囲を超える周波数があるか否かを判定する。具体的に、CPU31は、ROM32に既に記憶されたテーブルと、判定回路40から送信された周波数スペクトルとを比較することで、判定回路40から送信された周波数スペクトルにおいて、ROM32に既に記憶されたテーブルで決定された電気的ノイズの範囲を超える周波数があるか否かを判定する。CPU31は、判定回路40から送信された周波数スペクトルにおいて、ROM32に既に記憶されたテーブルで決定された電気的ノイズの範囲を超える周波数がある場合(ステップS220:YES)、ステップS222へ移行する。一方、CPU31は、判定回路40から送信された周波数スペクトルにおいて、ROM32に既に記憶されたテーブルで決定された電気的ノイズの範囲を超える周波数がない場合(ステップS220:NO)、本作成処理を終了する。
【0081】
ステップS222において、制御装置30のCPU31は、テーブルにおける新たな電気的ノイズの範囲を決定する。具体的に、CPU31は、ステップS220において判定した周波数において、ROM32に既に記憶されたテーブルで決定された電気的ノイズの範囲(予め定められた範囲又は拡張範囲)を、判定回路40から送信された周波数スペクトルまで拡張する。
【0082】
ステップS224において、制御装置30のCPU31は、新たな電気的ノイズの範囲を決定したテーブルをROM32に書き換えて保持する。
【0083】
ステップS226において、制御装置30のCPU31は、判定回路40に対して、新たな電気的ノイズの範囲を決定したテーブルを送信する。
【0084】
ステップS228において、判定回路40は、制御装置30から受信したテーブルを、ROM46に書き換えて保持し、本作成処理を終了する。
【0085】
本実施形態では、単一の制御装置30のCPU31が、単一のトナーカートリッジ10から取得した電気的ノイズの周波数スペクトルに基づき、新たな電気的ノイズの範囲を決定していた。しかし、この例に限られない。例えば、複数の制御装置30のCPU31が同一のトナーカートリッジ10から取得した電気的ノイズを、クラウドサーバが収集して解析し、標準範囲及び拡張範囲の最適な範囲を更新してもよい。
【0086】
また、本実施形態では、CPU31は、送信された周波数スペクトルにおいて、ROM32に既に記憶されたテーブルで決定された電気的ノイズの範囲を超える周波数がない場合は、作成処理を終了していた。しかし、この例に限られない。例えば、CPU31は、送信された周波数スペクトルにおいて、ROM32に既に記憶されたテーブルで決定された電気的ノイズの範囲未満の周波数がある場合は、テーブルにおける新たな電気的ノイズの範囲をその周波数における周波数スペクトルまで縮小してもよい。
【0087】
次に、図10を参照して、本実施形態の情報処理システム100における変更処理の流れについて説明する。変更処理は、制御装置30のCPU31がROM32から制御処理プログラムを読み出して、RAM33に展開して実行することにより、行なわれる。
【0088】
図10のステップS300において、制御装置30のCPU31は、テーブルにおける予め定められた範囲及び拡張範囲のうち少なくとも一方の変更を受け付けるまで待機する。制御装置30のCPU31は、テーブルにおける予め定められた範囲及び拡張範囲のうち少なくとも一方の変更を受け付けると(ステップS300:YES)、ステップS302に移行する。
【0089】
ステップS302において、制御装置30のCPU31は、受け付けた変更後の範囲を書き換えたテーブルを保持する。そして、制御装置30のCPU31は、変更前の範囲は削除する。
【0090】
ステップS304において、制御装置30のCPU31は、判定回路40に対して、変更後の範囲を書き換えたテーブルを送信する。
【0091】
ステップS306において、判定回路40は、制御装置30から受け付けたテーブルを書き換えて保持し、本変更処理を終了する。
【0092】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、制御装置30とは別体のハードウェアである判定回路40が、トナーカートリッジ10が純正品であるか否かを判定していた。第2の実施形態では、ソフトウェアである制御装置30のCPU31が、トナーカートリッジ10が純正品であるか否かを判定する。
【0093】
図11に示すように、本実施形態における情報処理システム100は、第1の実施形態と異なり、情報処理装置20が制御装置30のみを含む。
【0094】
本実施形態に係るトナーカートリッジ10及び制御装置30のハードウェア構成は、第1の実施形態と同一であるため(図2及び図3参照)、ここでの説明を省略する。
【0095】
次に、図12を参照して、本実施形態の情報処理システム100における判定処理の流れについて説明する。判定処理は、トナーカートリッジ10のCPU11がROM12から生成処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、行なわれる。また、判定処理は、制御装置30のCPU31がROM32から情報処理プログラムとしての制御処理プログラムを読み出して、RAM33に展開して実行することにより、行なわれる。
【0096】
図12のステップS400において、制御装置30のCPU31は、トナーカートリッジ10に対して生成指示を送信する。
【0097】
ステップS402において、トナーカートリッジ10のCPU11は、RAM13に電気的ノイズを発生させる。
【0098】
ステップS404において、トナーカートリッジ10のCPU11は、制御装置30に対して、RAM13から発生する電気的ノイズを送信する。
【0099】
ステップS406において、制御装置30のCPU31は、トナーカートリッジ10のRAM13から発生した電気的ノイズを取得する。
【0100】
ステップS408において、CPU31は、ROM32に記憶されたテーブルにおいて決定されている予め定められた範囲及び拡張範囲のうち少なくとも一方の校正を実行する。
【0101】
ステップS410において、CPU31は、取得した電気的ノイズを十分な振幅まで増幅する。
【0102】
ステップS412において、CPU31は、増幅された電気的ノイズをサンプリングし、デジタルデータに変換して出力する。
【0103】
ステップS414において、CPU31は、出力した時間軸データを周波数スペクトルに変換する。
【0104】
ステップS416において、CPU31は、周波数スペクトルを複数の周波数に分割する。
【0105】
ステップS418において、CPU31は、分割した周波数の中から一の周波数を決定する。
【0106】
ステップS420において、CPU31は、決定した一の周波数における電気的ノイズが予め定められた範囲内であるか否かを判定する。具体的に、CPU31は、決定した一の周波数における電気的ノイズが、ROM32に記憶されたテーブルにおいて、当該決定した一の周波数に関連付けられた予め定められた範囲内であるか否かを判定する。CPU31は、決定した一の周波数における電気的ノイズが予め定められた範囲内である場合(ステップS420:YES)、ステップS424に移行する。一方、CPU31は、決定した一の周波数における電気的ノイズが予め定められた範囲外である場合(ステップS420:NO)、ステップS422に移行する。
【0107】
ステップS422において、CPU31は、決定した一の周波数における電気的ノイズが拡張範囲内であるか否かを判定する。具体的に、CPU31は、決定した一の周波数における電気的ノイズが、ROM32に記憶されたテーブルにおいて、当該決定した一の周波数に関連付けられた拡張範囲内であるか否かを判定する。CPU31は、決定した一の周波数における電気的ノイズが拡張範囲内である場合(ステップS422:YES)、ステップS424に移行する。一方、CPU31は、決定した一の周波数における電気的ノイズが拡張範囲外である場合(ステップS422:NO)、ステップS426に移行する。
【0108】
ステップS424において、CPU31は、ROM32に記憶された範囲内数(すなわち、電気的ノイズが予め定められた範囲内である周波数の数と、電気的ノイズが予め定められた範囲外であって、拡張範囲内である周波数の数との和)をインクリメントする。
【0109】
ステップS426において、CPU31は、ROM32に記憶された範囲外数(すなわち、電気的ノイズが拡張範囲外である周波数の数)をインクリメントする。
【0110】
ステップS428において、CPU31は、分割した全ての周波数の電気的ノイズの判定が終了したか否かを判定する。言い換えると、CPU31は、分割した全ての周波数の電気的ノイズについて、ステップS418からステップS426を実行したか否かを判定する。CPU31は、分割した全ての周波数の電気的ノイズの判定が終了した場合(ステップS428:YES)、ステップS430に移行する。一方、CPU31は、分割した全ての周波数の電気的ノイズの判定が終了していない場合(ステップS428:NO)、ステップS418に戻る。
【0111】
ステップS430において、CPU31は、範囲内数が範囲外数より多いか否かを判定する。CPU31は、範囲内数が範囲外数より多い場合(ステップS430:YES)、ステップS432に移行する。一方、CPU31は、範囲内数が範囲外数以下の場合(ステップS430:NO)、ステップS434に移行する。
【0112】
ステップS432において、CPU31は、トナーカートリッジ10が純正品であると判定し、本判定処理を終了する。
【0113】
ステップS434において、CPU31は、トナーカートリッジ10が互換品であると判定し、本判定処理を終了する。
【0114】
次に、図13を参照して、本実施形態の情報処理システム100における作成処理の流れについて説明する。作成処理は、トナーカートリッジ10のCPU11がROM12から生成処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、行なわれる。また、作成処理は、制御装置30のCPU31がROM32から情報処理プログラムとしての制御処理プログラムを読み出して、RAM33に展開して実行することにより、行なわれる。なお、作成処理を実行するトナーカートリッジ10は、純正品である。
【0115】
図13のステップS500において、制御装置30のCPU31は、トナーカートリッジ10に対して、生成指示を送信する。
【0116】
ステップS502において、トナーカートリッジ10のCPU11は、RAM13に電気的ノイズを発生させる。
【0117】
ステップS504において、トナーカートリッジ10のCPU11は、制御装置30に対して、RAM13から発生する電気的ノイズを送信する。
【0118】
ステップS506において、制御装置30のCPU31は、トナーカートリッジ10のRAM13から発生する電気的ノイズを取得する。
【0119】
ステップS510において、CPU31は、取得した電気的ノイズを、十分な振幅まで増幅する。
【0120】
ステップS512において、CPU31は、増幅された電気的ノイズをサンプリングし、デジタルデータに変換して出力する。
【0121】
ステップS514において、CPU31は、出力した時間軸データを周波数スペクトルに変換する。
【0122】
ステップS516において、CPU31は、ROM32に既に記憶されたテーブルを読み込む。
【0123】
ステップS518において、CPU31は、送信された周波数スペクトルにおいて、ROM32に既に記憶されたテーブルで決定された電気的ノイズの範囲を超える周波数があるか否かを判定する。具体的に、CPU31は、ROM32に既に記憶されたテーブルと、送信された周波数スペクトルとを比較することで、送信された周波数スペクトルにおいて、ROM32に既に記憶されたテーブルで決定された電気的ノイズの範囲を超える周波数があるか否かを判定する。CPU31は、送信された周波数スペクトルにおいて、ROM32に既に記憶されたテーブルで決定された電気的ノイズの範囲を超える周波数がある場合(ステップS518:YES)、ステップS520へ移行する。一方、CPU31は、送信された周波数スペクトルにおいて、ROM32に既に記憶されたテーブルで決定された電気的ノイズの範囲を超える周波数がない場合(ステップS518:NO)、本作成処理を終了する。
【0124】
ステップS520において、CPU31は、テーブルにおける新たな電気的ノイズの範囲を決定する。具体的に、CPU31は、ROM32に既に記憶されたテーブルで決定された電気的ノイズの範囲(予め定められた範囲又は拡張範囲)を、ステップS518において判定した周波数における周波数スペクトルまで拡張する。
【0125】
ステップS522において、CPU31は、新たな電気的ノイズの範囲を決定したテーブルをROM32に書き換えて保持し、本作成処理を終了する。
【0126】
次に、図14を参照して、本実施形態の情報処理システム100における変更処理の流れについて説明する。変更処理は、制御装置30のCPU31がROM32から制御処理プログラムを読み出して、RAM33に展開して実行することにより、行なわれる。
【0127】
図14のステップS600において、制御装置30のCPU31は、テーブルにおける予め定められた範囲及び拡張範囲のうち少なくとも一方の変更を受け付けるまで待機する。制御装置30のCPU31は、テーブルにおける予め定められた範囲及び拡張範囲のうち少なくとも一方の変更を受け付けると(ステップS600:YES)、ステップS602に移行する。
【0128】
ステップS602において、制御装置30のCPU31は、受け付けた変更後の範囲を書き換えたテーブルを保持し、本変更処理を終了する。
【0129】
以上、実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0130】
また、上記実施の形態は、請求項にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出される。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0131】
また、上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0132】
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0133】
本実施形態では、プログラムがROMにインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本実施形態に係るプログラムを、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、本実施形態に係るプログラムを、CD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくはUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、本実施形態に係る情報処理プログラムを、通信I/Fを介して外部の装置から取得するようにしてもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、情報処理システム100における処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、情報処理システム100における処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。
【0135】
その他、上記実施形態で説明したトナーカートリッジ10と、制御装置30と、判定回路40と、の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0136】
また、上記実施の形態で説明した情報処理システム100における処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0137】
また、本開示は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0138】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
対象製品が備える記憶部から発生する電気的ノイズを取得し、
前記電気的ノイズが、当該電気的ノイズの周波数スペクトルから分割した周波数毎に予め定められた範囲内であるか否かを、前記周波数毎に判定し、
前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲外である場合は、さらに当該電気的ノイズが前記予め定められた範囲を拡張した拡張範囲内であるか否かを判定し、
前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲内である前記周波数の数と、前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲外であって、前記拡張範囲内である前記周波数の数との和が、前記電気的ノイズが前記拡張範囲外である前記周波数の数より多い場合は、前記対象製品が純正品であると判定する、
情報処理装置。
【0139】
(((2)))
前記プロセッサは、
前記周波数毎に前記電気的ノイズの範囲が決定された、既存のテーブルを読み込み、
取得した前記電気的ノイズと、前記既存のテーブルとから、新たな前記電気的ノイズの範囲を決定し、
前記新たな電気的ノイズの範囲が決定されたテーブルを、前記既存のテーブルに書き換えて保持する、
(((1)))に情報処理装置。
【0140】
(((3)))
前記プロセッサは、
前記予め定められた範囲及び前記拡張範囲のうち少なくとも一方の変更を受け付け、
受け付けた変更後の範囲を書き換えて保持する、
(((1)))又は(((2)))に記載の情報処理装置。
【0141】
(((4)))
前記プロセッサは、前記電気的ノイズを取得する場合に、前記予め定められた範囲及び前記拡張範囲のうち少なくとも一方の校正を実行する、(((1)))~(((3)))の何れか1に記載の情報処理装置。
【0142】
(((5)))
前記プロセッサは、自装置に前記対象製品が取り付けられる度に、前記校正を実行する、(((4)))に記載の情報処理装置。
【0143】
(((6)))
前記拡張範囲は、前記周波数毎に同一の値を前記予め定められた範囲から拡張した範囲である、(((1)))~(((5)))の何れか1に記載の情報処理装置。
【0144】
(((7)))
前記同一の値は、自装置の種類毎に予め定められた値である、(((6)))に記載の情報処理装置。
【0145】
(((8)))
対象製品が備える記憶部から発生する電気的ノイズを取得し、
前記電気的ノイズが、当該電気的ノイズの周波数スペクトルから分割した周波数毎に予め定められた範囲内であるか否かを、前記周波数毎に判定し、
前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲外である場合は、さらに当該電気的ノイズが前記予め定められた範囲を拡張した拡張範囲内であるか否かを判定し、
前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲内である前記周波数の数と、前記電気的ノイズが前記予め定められた範囲外であって、前記拡張範囲内である前記周波数の数との和が、前記電気的ノイズが前記拡張範囲外である前記周波数の数より多い場合は、前記対象製品が純正品であると判定する、
処理をコンピュータに実行させる、
情報処理プログラム。
【0146】
(((1)))、及び(((8)))によれば、対象製品に接続された装置が異なることによる電気的ノイズのぶれがあったとしても、純正品と互換品とを判別できる。
【0147】
(((2)))によれば、対象製品が備える記憶部から発生する電気的ノイズに基づいて新たに決定したテーブルを保持することができる。
【0148】
(((3)))によれば、予め定められた範囲及び拡張範囲のうち少なくとも一方を変更できる。
【0149】
(((4)))によれば、対象製品に接続された装置の周囲の環境、又は対象製品に接続された装置内の環境により温度変化が生じた場合であっても、対象製品が純正品か否かを正確に判定できる。
【0150】
(((5)))によれば、情報処理装置に対象製品が取り付けられる度に、予め定められた範囲及び拡張範囲のうち少なくとも一方の校正を実行することができる。
【0151】
(((6)))によれば、拡張範囲が周波数毎に異なる値を予め定められた範囲から拡張した範囲である場合に比較して、拡張範囲を簡易に定めることができる。
【0152】
(((7)))によれば、上記同一の値が自装置の種類に関わらず同一であるに比較して、高精度に拡張範囲を定めることができる。
【符号の説明】
【0153】
10 トナーカートリッジ
11 CPU
12 ROM
13 RAM
15 LSI
17 通信I/F
19 バス
20 情報処理装置
30 制御装置
31 CPU
32 ROM
33 RAM
37 通信I/F
39 バス
40 判定回路
41 アンテナ
42 アンプ
43 変換器
44 変換回路
45 ノイズ判定回路
46 ROM
47 通信I/F
49 バス
100 情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14