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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049238
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】ウエブ搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/32 20060101AFI20240402BHJP
   B65H 20/16 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65H23/32
B65H20/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155582
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000152675
【氏名又は名称】コマツNTC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】清藤 聖
(72)【発明者】
【氏名】森下 慎一朗
【テーマコード(参考)】
3F103
3F104
【Fターム(参考)】
3F103AA00
3F103BD05
3F104AA00
3F104GA11
3F104KA03
(57)【要約】
【課題】簡易な機構でウエブ押さえ部材を退避させて製造コストを抑制することができるウエブ搬送装置を提供する。
【解決手段】スプロケット6に係合してウエブ1の搬送方向Aに沿って駆動するチェーン7と、ウエブ1の前縁部1aを装着してチェーン7の駆動でウエブ1を隙間に導入するウエブ導入部材10とを有している。そして、ウエブ導入部材10の両端部にカムローラ部材32を設けて、カム部材34にカムローラ部材32を当接させる。これにより、ウエブ押さえ部材20を外周面5fから離間する方向へ退避させて、拡開した隙間にウエブ導入部材10を干渉させることなく挿通させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のウエブを支持して案内するガイドローラと、
前記ガイドローラの外周面との間に設けられた隙間に前記ウエブを通すウエブ押さえ部材と、
前記ガイドローラの回転軸に設けられたスプロケットと、
前記スプロケットに係合して前記ウエブの搬送方向に沿って駆動するチェーンと、
前記ウエブの前縁部を装着して前記チェーンの駆動で前記ウエブを前記隙間に導入するウエブ導入部材と、
前記ウエブ導入部材に設けられたカムローラ部材と、
前記カムローラ部材を当接させて、前記ウエブ押さえ部材を前記外周面から離間する方向へ退避させるカム部材と、
を備える、ことを特徴とするウエブ搬送装置。
【請求項2】
前記カムローラ部材は、前記ウエブ導入部材の端部に回転自在に設けられ、
前記カム部材は、前記ガイドローラを軸支する軸受部材に支持された揺動軸と、
前記カムローラ部材を転動させて前記揺動軸を揺動中心として前記ウエブ押さえ部材を揺動させる転動面部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のウエブ搬送装置。
【請求項3】
前記カム部材を前記ガイドローラに近接させる方向へ付勢する付勢部材を備えて、前記転動面部は、前記外周面の形状に沿わせて前記ウエブの搬送方向へ湾曲する延設部を形成した、ことを特徴とする請求項2に記載のウエブ搬送装置。
【請求項4】
前記ウエブ押さえ部材を支持する支持梁部材を有し、前記支持梁部材は、長手方向を前記ガイドローラの軸方向と平行に配設されて、左,右端部を前記カム部材の揺動側上面に固定することにより、前記カム部材の揺動とともに前記ウエブ押さえ部材の押さえ面を前記ガイドローラの前記外周面に対して近接または離間する方向へ揺動させる、ことを特徴とする請求項1に記載のウエブ搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウエブ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池の電極を製造するウエブ搬送装置として、ワークであるウエブを搬送しながらレーザ加工等するタブ成型機が知られている。例えば、特許文献1は、搬送装置の上流から下流までウエブを予め通すためにウエブ導入部材を使うことを開示している。
ガイドローラには、搬送方向の変更により薄箔のウエブが外周面から浮き上がらないようにウエブ押さえ部材が設けられていることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-26466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来のウエブ搬送装置では、ウエブ押さえ部材とガイドローラの外周面との間の隙間がウエブを通すことが可能な寸法に設定されている。このため、ウエブよりも厚さ方向の寸法が大きなウエブ導入部材が隙間を通過する際、干渉しないようにウエブ押さえ部材を移動させて隙間を拡大する必要がある。
従来のウエブ搬送装置は、ウエブ導入部材が隙間に差し掛かると、例えばエアシリンダ等のアクチュエータの駆動力を用いてウエブ押さえ部材をガイドローラの外周面から離間する方向へ退避させて隙間を拡大する。
【0005】
しかしながら、ウエブ押さえ部材をタイミングよく移動させるために、ウエブ導入部材の近接を検知するセンサおよびアクチュエータを用いる必要がある。よって、部品点数の増大を抑制して製造コストを減少させるためには更なる改善が必要であった。
そこで、本開示は、簡易な機構でウエブ押さえ部材を退避させて製造コストを抑制できるウエブ搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のウエブ搬送装置は、帯状のウエブを支持して案内するガイドローラと、ガイドローラの外周面との間に設けられた隙間にウエブを通すウエブ押さえ部材と、ガイドローラの回転軸に設けられたスプロケットと、を備える。また、ウエブ搬送装置は、スプロケットに係合してウエブの搬送方向に沿って駆動するチェーンと、ウエブの前縁部を装着してチェーンの駆動でウエブを隙間に導入するウエブ導入部材と、を備える。そして、ウエブ搬送装置は、ウエブ導入部材に設けられたカムローラ部材と、カムローラ部材を当接させて、ウエブ押さえ部材を外周面から離間する方向へ退避させるカム部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、簡易な機構でウエブ押さえ部材を退避させて製造コストを抑制できるウエブ搬送装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1のウエブ搬送装置を備えるタブ成形機で、全体の構成を説明する模式的な側面図である。
図2】ウエブ搬送装置で、第一,二の搬送路に共通した一般的なウエブ押さえ部材を設けている構成を説明し、図1中矢視II方向に相当するガイドローラの斜視図である。
図3】ウエブ搬送装置を備えるタブ成形機で、ウエブの側縁にタブをレーザ加工する様子を示す斜視図である。
図4】ウエブ搬送装置で、ウエブ押さえ部材および連動機構の構成を示し、要部を拡大した斜視図である。
図5】ウエブ搬送装置で、ウエブ押さえ部材によりウエブの側縁部から突設されたタブが押さえられている様子を示す平面図である。
図6】ウエブ搬送装置で、ガイドローラを上方から見た構成を説明する図2中矢視VI方向の平面図である。
図7】ウエブ搬送装置で、ガイドローラを正面から見た構成を説明する図2中矢視VII方向の正面図である。
図8】ウエブ搬送装置で、ガイドローラ,ウエブ押さえ部材およびカム部材の関係を示す図7中VIII-VIII線に沿った位置での断面図である。
図9】ウエブ搬送装置で、ウエブ導入部材、ガイドローラおよび連動機構の関係を示し、図7中矢視IX方向から見た側面図である。
図10】ウエブ搬送装置で、ウエブ押さえ部材がガイドローラの外周面から離間する方向へ退避させる連動機構の動作を説明し、(a)はカムローラがカム部材に当接する前の状態を示す側面図、(b)はカムローラがカム部材に当接した状態を示す側面図、(c)はカムローラがカム部材を跳ね上げて離間させる方向へ揺動させた状態を示す側面図である。
図11】ウエブ搬送装置で、連動機構の動作で跳ね上げられたウエブ押さえ部材がガイドローラの外周面方向へ復帰する動作を説明し、(a)はガイドローラの外周面からウエブ押さえ部材が離間して拡大した隙間を棒状部材が通過する様子を示す側面図、(b)はカムローラがカム部材の延設面部に当接した状態を示す側面図、(c)はカムローラがカム部材の延設面部の終端に位置する状態を示す側面図である。
図12】ウエブ搬送装置で、第二の搬送路をウエブ導入部材がガイドローラの方向へチェーンの移動とともに移動する様子を説明する斜視図である。
図13】ウエブ搬送装置で、ウエブ導入部材がガイドローラとウエブ押さえ部材との隙間にウエブを通過させた様子を説明する斜視図である。
図14】実施形態2のウエブ搬送装置で、ウエブ押さえ部材の構成を説明し、ウエブ導入部材がガイドローラおよび略全幅のウエブ押さえ部材の方向へチェーンの移動とともに移動する様子を示す斜視図である。
図15】実施形態2のウエブ搬送装置で、ガイドローラ,ウエブ押さえ部材およびカム部材の構成を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示のウエブ搬送装置の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。なお、本開示中で、上下,左右を示す際には、特に示さない限り、基本的にウエブ1の搬送方向を前後方向とした上下あるいは左,右に基づいて説明する。なお、ウエブ1の「左右方向」は「幅方向」と同義であり、「左,右一対」とは、ウエブ1の長手方向中心線を挟んだ左,右に対となること同義である。また、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【実施形態1】
【0010】
図1は、本開示のウエブ搬送装置100の実施形態を備えるタブ付き電極シート製造装置全体の構成を説明するものである。タブ付き電極シート製造装置は、リチウム二次電池またはリチウムキャパシタ、電気コンデンサ等に用いられるタブ付き電極シートを製造する。
タブ付き電極シート製造装置は、ウエブ搬送装置100と、送り出し装置2aと、巻き取り装置2bと、レーザ加工装置8と、を備えている。このうち、送り出し装置2aには、ロール状に巻回されたウエブ1として、タブ付き電極シートの素材となる帯状電極が取り付けられている。また、巻き取り装置2bは、加工されたウエブ1をロール状に巻き取るように巻き取り軸を回転駆動可能に構成している。
【0011】
そして、ウエブ搬送装置100は、送り出し装置2aから送り出された帯状のウエブ1を巻き取り装置2bまで搬送路に沿って搬送させる。
このため、ウエブ搬送装置100は、ウエブ1の搬送方向Aで上流に位置する第一の搬送部3と、第一の搬送部3に続いて下流側に位置する第二の搬送部4とを有している。第一の搬送部3は、第一の搬送部3のチェーン7に係合するスプロケット6を左,右一対設けた複数のガイドローラ5aおよびガイドローラ5cを有している。
なお、ガイドローラ5aと後述する第二の搬送部4のガイドローラ5bは、ウエブ1を搬送するが、ガイドローラ5cと、後述する第二の搬送部4のガイドローラ5dはウエブ1を搬送しない。
さらに、第一の搬送部3にウエブ押さえ部材20および連動機構30を設けなくてもよい。また、図2に示すように何れかのガイドローラ、例えば、ガイドローラ5aに後述するウエブ押さえ部材20および連動機構30を設けてもよい。
【0012】
ここでは、主に第二の搬送部4について説明する。第二の搬送部4は、複数のガイドローラ5bおよびガイドローラ5dを有している。このうち、ガイドローラ5bは、第二の搬送部4のチェーン7に係合するスプロケット6を回転軸の両端部に左,右一対設けている。ガイドローラ5bは、回転軸に対してベアリングを介して回転自在に支持されている。また、スプロケット6は、回転軸に対してベアリングを介して回転自在に支持されている。これにより、ガイドローラ5dとスプロケット6とはお互いに回転軸に対してそれぞれ自在に回転する。
【0013】
例えば、ウエブ1を加工前に上流から下流に通すときはスプロケット6をモータまたは、手動などにより回転させる。この際、チェーン7によってウエブ導入部材10も搬送方向に移動する。
ウエブ1がガイドローラ5bの外周面5fに掛かり当接している状態では、ウエブ1の摩擦力でガイドローラ5bが回転する。ウエブ1がガイドローラ5bに掛かっていない状態では、ガイドローラ5bは回転しない。
そして、ウエブ1の加工中は、ウエブ1が巻き取り装置2bに巻き取られて移動すると、ガイドローラ5bにかかったウエブ1の摩擦力でガイドローラ5bが回転する。
なお、実施形態1では、動力伝達部材としてチェーン7、転動輪としてスプロケット6を用いているが、チェーン7とスプロケット6の代わりに、ベルトおよびプーリを用いてもよい。
【0014】
そして、ウエブ搬送装置100は、図2に示すガイドローラ5の外周面との間に設けられた隙間にウエブ1を通す左,右一対のウエブ押さえ部材20と、左,右一対のチェーン7,7間に移動方向と長手方向を直交させて、ガイドローラ5の軸方向と平行とする棒状のウエブ導入部材10と、を備えている。
ウエブ導入部材10は、加工工程の前段階で送り出し装置2aにウエブロールを取り付けて、送り出し装置2aから巻き取り装置2bまで予めウエブ1を通す際にのみ使用するものである。
このため、ウエブ導入部材10の左,右各端部は、左,右それぞれのチェーン7に連結されている。
そして、ウエブ導入部材10は、ウエブ1の前縁部1aを貼着させて装着し、加工工程の前の導入工程で予めチェーン7の駆動によって、押さえ板21の押さえ面とガイドローラ5bの外周面5fとの間に形成される隙間にウエブ1を導入する。
【0015】
また、ウエブ搬送装置100は、連動機構30を備えている。連動機構30は、図4に示すように主に、ウエブ導入部材10の端部に回転自在に設けられたカムローラ部材32と、ガイドローラ5bを回転自在に軸支する板状の軸受部材15に揺動軸35を中心に揺動自在に設けたカム部材34とを有している。
カム部材34には、カムローラ部材32を転動可能に当接させる転動面部36と、カム部材34の揺動側上面に固定されて、ウエブ押さえ部材20を支持する支持部としての支持梁部材38と、を設けている。支持梁部材38は、長手方向をガイドローラ5bの軸方向と平行に配設されていて、左,右各端部が固定されたカム部材34の揺動とともにガイドローラ5bの外周面5fへ近接または離間する方向へ揺動するように構成されている。
【0016】
さらに、連動機構30は、付勢部材40を有している。実施形態1の付勢部材40は、金属製のスプリング41によって主に構成されていて、スプリング41の一端41aがカム側固定軸を介して、カム部材34に設けられて一体に揺動する支持梁部材38の外端部38aに接続されている。また、スプリング41の他端41bは、軸受け側固定軸を介して軸受部材15の外側面部15aに接続されている。
これにより付勢部材40は、カム部材34の転動面部36をガイドローラ5bの外周面5fに近接させる方向へ付勢する。実施形態1では、付勢部材40としてスプリング41を用いているが、転動面部36を外周面5fに近接させる方向へ付勢する付勢部材であれば、ゴム製等の弾性変形により伸縮可能な部材であってもよい。
【0017】
そして、カムローラ部材32およびカム部材34は、ウエブ導入部材10がチェーン7とともに搬送方向へ移動する力をウエブ押さえ部材20に伝達して、ウエブ押さえ部材20をガイドローラ5の外周面5fから揺動により離間させる力に変換する。
また、カムローラ部材32がカム部材34の転動面部36に当接していない状態では、ガイドローラ5の外周面5fから離間させる方向へ揺動させる力が無くなる。このため、付勢部材40による付勢力により、支持梁部材38およびカム部材34の揺動端を外周面5fに近接させるように揺動させて、初期位置に復帰させることができる(図10中(a)参照)。
【0018】
さらに、実施形態1のウエブ搬送装置100は、第一の搬送部3と第二の搬送部4との間にレーザ加工装置8が備えられている。
レーザ加工装置8は、ガルバノスキャナ等を有する照射部(図示せず)を含んで構成されている。照射部は、第一の搬送部3から第二の搬送部4に向けて高速で移動するウエブ1の左,右少なくとも何れか一方の側縁部1bに図3に示すようにレーザ光Lを照射して矩形あるいは、三角形または台形等に切断する。これにより電池の電極となる単数または複数のタブ1cをウエブ1の側縁部1bに所望の間隔で単数または複数、形成することができる。
【0019】
そして、実施形態のカム部材34の転動面部36は、延設部36aを有している。延設部36aは、ガイドローラ5bの外周面5fの湾曲形状に沿うように湾曲形成されていて、転動面部36の直線部分から円滑に連続してウエブ1の搬送方向Aの下流側へ向けて延設されている。延設部36aは、カムローラ部材32が転動面部36に当接している時間を延長してガイドローラ5の外周面5fから離間させる方向へ揺動させる力を維持し、急激なカム部材34の復帰を抑制する。
【0020】
ウエブ押さえ部材20は、ガイドローラ5bの外周面5f側に沿って押さえ面が湾曲形成されている押さえ板21を有している。押さえ板21は、支持梁部材38のガイドローラ5b側に設けられたアタッチメント22を介して支持梁部材38に固定されている。
押さえ板21の搬送方向Aで上流側端部は、上流に向かうに従って外周面5fから離間する方向へ所定の迎え角で傾斜している。このため、ウエブ1は、押さえ板21の押さえ面とガイドローラ5bの外周面5fとの隙間に円滑に案内されて浮き上がりおよびよれを減少することができる。
【0021】
図5に示すように、ウエブ1が押さえ板21の押さえ面とガイドローラ5bの外周面5fとの間に形成された隙間を通過する際、押さえ板21がウエブ1の側縁部1bに形成されている凸状のタブ1cを外周面5fへ接触させる方向に抑える。これによりタブ1cが外周面5fの湾曲形状に沿って搬送方向Aを変更する際、タブ1cが外周面5fから離間する方向への浮き上がりを防止することができる。
【0022】
図6は、複数のガイドローラのうち図2中矢視VI方向から見た一つのガイドローラ5bの平面図である。なお、他のガイドローラ5bについてもウエブ押さえ部材20および連動機構30の装着角度は異なるが、構成は略同一であるので説明を省略する。
実施形態1のウエブ搬送装置100は、側端面形状を略S字状に湾曲させたウエブ押さえ部材20を左,右一対備えている。
ウエブ押さえ部材20,20は、長尺状の支持梁部材38のガイドローラ側側面に設けられた左,右一対の各アタッチメント22を介して長手方向で所定の間隔を設けて左,右対称となるように固定されている。
また、支持梁部材38は、左,右の各外端部38aがガイドローラ5bの左右にそれぞれ配置されたカム部材34,34の上面部に接続されていて、ガイドローラ5bの回転軸方向と平行となるように配置されている。
【0023】
図7は、ガイドローラ5bを正面から見た図2中矢視VII方向の正面図である。
カム部材34,34は揺動軸35を揺動中心として揺動する(図10図11参照)。各カム部材34の揺動により、支持梁部材38に支持されている左,右のウエブ押さえ部材20,20は、ガイドローラ5bの外周面5fから離間する方向または近接する方向へ同時に移動する。
これにより、押さえ板21の押さえ面とガイドローラ5bの外周面5fとの間に形成される隙間の大きさが変更可能となる。そして、ウエブ1のみが通過可能な大きさからウエブ1およびウエブ導入部材10が通過可能な大きさまで隙間の間隔寸法を拡大または縮小することができる。
【0024】
図8に示すように、カム部材34の転動面部36は、搬送方向Aで下流側に延設部36aを上流側にガイド傾斜面部36bをそれぞれ連設して側面視で略S字状となるように形成されている。
このうち、延設部36aは、搬送方向Aで下流側へ向けて延設されていて外周面5fの湾曲形状に沿って湾曲形成されている。これによりウエブ導入部材10が隙間を通過した直後(図11中(c)参照)に、転動面部36を転動するカムローラ部材32の搬送方向Aが変更されても、徐々にカム部材34を近接方向へ揺動させる。これにより、押さえ板21がガイドローラ5bの外周面5fに向けて急激に近接して衝突等しないようにウエブ1および外周面5fを保護することが出来る。
【0025】
また、ガイド傾斜面部36bは、搬送方向Aで上流側へ向けて延設されていて、上流に向かうに従って外周面5fから離間するように所定の角度で傾斜している。これにより、搬送方向Aに沿って外周面5fとの隙間にウエブ1をガイドして円滑に通過させることが出来る。
【0026】
連動機構30は、カムローラ部材32,カム部材34,支持梁部材38を介して、ウエブ導入部材10がチェーン7とともに搬送方向Aへ移動する力を、ほぼ直交するウエブ押さえ部材20をガイドローラ5bの外周面5fから離間させる方向へ変換する。押さえ板21は、変換された力により、揺動軸35を揺動中心として揺動し、押さえ面と外周面5fとの間に形成される隙間を拡大させる。
また、ウエブ押さえ部材20の押さえ板21は、付勢部材40の付勢力により揺動軸35を揺動中心として弧を描いてガイドローラ5bの外周面5f方向へ移動する。そして、カム部材34が初期位置に復帰した状態では、押さえ板21が外周面5fの方向へ移動して、押さえ面とガイドローラ5bの外周面5fとの間の隙間にウエブ1を通すように構成されている。
【0027】
次に、図9図13を用いて実施形態1のウエブ搬送装置100の作用効果について説明する。
[導入工程]
まず、ウエブ1を加工する前の段階で予めウエブ1をウエブ搬送装置100の搬送路内に導入する導入工程について説明する。
図9に示すスプロケット6は、図示しないモータ等の動力装置の回転駆動力(またはハンドル等による手動)により、回転駆動される。スプロケット6の回転によりスプロケット6の歯部に係合しているチェーン7は、第一の搬送部3および第二の搬送部4に沿ってそれぞれ移動する(図1参照)。
一対のチェーン7,7間に直交して設けられたウエブ導入部材10は、ウエブ1の前縁部1aを貼着して保持している(図2参照)。このため、チェーン7,7の移動とともに、第一の搬送部3および第二の搬送部4に沿ってウエブ1はウエブ導入部材10により引っ張られながら移動する。
【0028】
図10(a)は、第二の搬送部4に沿って移動するカムローラ部材32がカム部材34に当接する前の状態(図12参照)を示す。
実施形態1のウエブ搬送装置100の第二の搬送部4では、ウエブ導入部材10がチェーン7(図12参照)の移動に伴い搬送方向Aへ移動する。ウエブ導入部材10は、ウエブ1の前縁部1aを引っ張りながらガイドローラ5bに近接して、ガイドローラ5bの上側の外周面5fとウエブ押さえ部材20との間にウエブ1を導く。
【0029】
図10(b)は、ウエブ導入部材10の搬送方向Aへの移動により、連動機構30のカムローラ部材32がカム部材34に当接した様子を示している。
カムローラ部材32の外周縁がカム部材34の転動面部36に所定の傾斜角度で形成されたガイド傾斜面部36bに当接すると、揺動軸35を揺動中心としてカム部材34が揺動して跳ね上げられる。これにより、押さえ板21の押さえ面とガイドローラ5bの外周面5fとの隙間の拡開が開始される。
【0030】
図10(c)にて、さらにカムローラ部材32が搬送方向Aへ移動すると、カム部材34の転動面部36に沿ってカムローラ部材32が転動して、さらにカム部材34の揺動量を増大させる。
これにより、押さえ板21の押さえ面と外周面5fとの間の隙間は、ウエブ導入部材10が通過可能な大きさに拡大される。
【0031】
図11(a)は、外周面5fとウエブ押さえ部材20との間の隙間が拡大した状態で、隙間をウエブ導入部材10が通過する様子を示している。カム部材34の揺動に伴ってウエブ導入部材10は、ガイドローラ5bおよび跳ね上げられたウエブ押さえ部材20に干渉することなくウエブ1を引っ張りながら拡大された隙間を通過することができる。
【0032】
図11(b)は、カムローラ部材32が隙間内を搬送方向Aへ移動して、カム部材34の転動面部36から延設された延設部36aに当接している状態を示している。この状態では、ウエブ導入部材10が図示しないチェーン7の移動とともに図中下方に搬送方向Aを略90度変更しても、カムローラ部材32は、延設部36aに沿って転動し続ける。
このため、跳ね上げられたカム部材34の揺動角度は、復帰にともなう減少が抑制されて、外周面5fとウエブ押さえ部材20との間の隙間の急激な縮小が抑制される。
【0033】
図11(c)は、カムローラ部材32がカム部材34の延設部36aのうち終端に位置する状態を示している。この際、ウエブ1は隙間を通過してガイドローラ5bの外周面5fに当接しながら巻き付けられて、押さえ板21と外周面5fとの間に介装される。
延設部36aは、ウエブの搬送方向Aの下流側へ湾曲しながら終端を延設している。このため、たとえば水平な転動面部36がそのまま直線的に終端に到達するカム部材等に比して、実施形態1のカム部材34は、徐々に押さえ板21を外周面5fに向けて近接させることができる。
したがって、実施形態1のウエブ搬送装置100は、跳ね上げられた状態のカム部材34は、付勢部材40の付勢力により押さえ板21を外周面5f方向へ近接させても、隙間は急激に減少しない。よって、ウエブ1および外周面5fまたは押さえ板21を破損などから保護することが出来る。
【0034】
図13に示すように、ウエブ導入部材10は、ガイドローラ5bにて搬送方向Aを変更させて下方へ移動し、図1に示すガイドローラ5c、5dの近傍で加工工程に影響を与えない場所に移動する。
ウエブ導入部材10の通過後、ガイドローラ5bとウエブ押さえ部材20,20との間の隙間は小さくなる。このため、後の加工工程にて、それぞれウエブ押さえ部材20の押さえ板21が外周面5fの方向へウエブ1を押さえながら通過させることができる。
図5に示すように、側縁部1bから突設形成されたタブ1cは、矩形の凸状でかつ、活物質層1eが設けられていない層未形成部分に位置している。タブ1cは、ウエブ1の活物質層1eが積層されている他の部分に比して薄く比較的脆弱である。
実施形態1のウエブ搬送装置100は、加工工程で各ウエブ押さえ部材20がスプリング41の付勢力により初期位置に復帰する。復帰状態では、押さえ板21が外周面5fの方向へ移動して、ガイドローラ5bの外周面5fとの間の隙間にウエブ1を通す大きさの隙間を形成する。このため、搬送方向Aを変更する際、各タブ1cを含む側縁部1bは、外周面5fの形状に沿って曲げられても浮き上がりが防止されて捲れにくい。
【0035】
また、ウエブ搬送装置100は、図13に示すようにウエブ1の長手方向左,右両側の各側縁部1bをウエブ押さえ部材20のそれぞれの押さえ板21の押さえ面で押さえることができる。
左,右の各ウエブ押さえ部材20は、一本の支持梁部材38に支持されている。一方左,右一対のスプロケット6,6の回転中心は、ガイドローラ5bの回転軸と同軸上に位置して同期により容易に同じ回転速度で一対のチェーン7,7を等速度で移動させることができる。これにより、ウエブ導入部材10の左,右に設けられたそれぞれのカムローラ部材32は、同時に左,右のカム部材34,34に当接して同じ角度で揺動させる。
よって、支持梁部材38は両外端部38aに固定された各カム部材34の揺動により、左,右一対の各ウエブ押さえ部材20を同時にガイドローラ5bの外周面5fから離間または近接させることができる。
このため、独立して形成された左,右の押さえ板21の押さえ面と、ガイドローラ5bの外周面5fとの間の隙間の大きさを共にウエブ1を通すことが可能な大きさとすることができ、ウエブ1の浮き上がりおよびヨレを防止することができる。
【0036】
[加工工程]
次に、実施形態のウエブ搬送装置100を備えるタブ成形機でウエブ1を加工する加工工程について説明する。
ウエブ搬送装置100内に導入されたウエブ1は、前縁部1aが巻き取り装置2bに装着されて、巻き取られることにより搬送方向Aに沿って移動しながら加工される。
なお、加工工程が行われている間、ウエブ導入部材10は、図1に示すガイドローラ5c、5dの近傍で加工工程に影響を与えない場所に移動している。また、加工工程中はチェーン7、スプロケット6、およびウエブ導入部材10は移動することなく停止したまま使用されない。
【0037】
第一の搬送部3は、送り出し装置2aから送り出されたウエブ1に対して、レーザで加工するために張力を調整、また、ウエブ1が蛇行しないように位置決め調整している。
そして、第一の搬送部3から第二の搬送部4へウエブ1が移動する際、第一の搬送部3および第二の搬送部4の間の位置で、レーザ加工装置8からのレーザ光Lの照射によりウエブ1の側縁部1bに適宜凸状のタブ1cが形成される。
実施形態1では、ウエブ1の長手方向の側縁部1bに活物質層1eを設けていない層未形成部分が設定されている(図3参照)。また、側縁部1bに形成されたタブ1cは、活物質層1eが設けられていない。よって、側縁部1bおよびタブ1cは他の活物質層1eが積層されている部分に比して薄く比較的脆弱で変形しやすく、ガイドローラ5bによる搬送方向Aの変更の際に捲れまたはよれが生じやすい。
【0038】
ウエブ1に形成されたタブ1cがガイドローラ5bに差し掛かると、ガイドローラ5bの外周面5fと、ウエブ押さえ部材20との間に設けられた隙間にタブ1cを含む側縁部1bが通される。隙間の大きさは、付勢部材40の付勢力によりカム部材34が初期位置に復帰しているため、ウエブ1を通すことが可能である大きさまで狭くなっている。
よって、加工工程では、押さえ板21が外周面5fの方向へウエブ1を押さえながらガイドローラ5bの外周面5fとの間の隙間にウエブ1を通すことが出来る。ウエブ1の側縁部1bに形成されたタブ1cは、ガイドローラ5bで搬送方向Aが変更されても捲れおよびよれが生じにくい。
【0039】
上述してきたように、実施形態1のウエブ搬送装置100は、図1に示すように帯状のウエブ1を支持して案内するガイドローラ5bと、ガイドローラ5bの外周面5fとの間に設けられた隙間にウエブ1を通すウエブ押さえ部材20と、ガイドローラ5bの回転軸に設けられたスプロケット6と、を備える。また、ウエブ搬送装置100は、スプロケット6に係合してウエブ1の搬送方向Aに沿って駆動するチェーン7と、ウエブ1の前縁部1aを装着してチェーン7の駆動でウエブ1を隙間に導入するウエブ導入部材10と、を備える。さらにウエブ搬送装置100は、ウエブ導入部材10に設けられたカムローラ部材32と、カムローラ部材32を当接させて、ウエブ押さえ部材20を外周面5fから離間する方向へ退避させるカム部材34と、を備える。
そして、ウエブ搬送装置100は、ウエブ導入部材10がチェーン7とともに搬送方向Aへ移動する力をウエブ押さえ部材20に伝達して、ウエブ押さえ部材20をガイドローラ5bの外周面5fから離間させる方向の力に変換する連動機構30と、を備えている。
【0040】
本開示によれば、簡易な機構でウエブ押さえ部材20をタイミングよく駆動して製造コストを抑制することができるウエブ搬送装置が提供される。
具体的には、チェーン7とともに搬送方向へ移動するウエブ導入部材10の力を用いて、ウエブ押さえ部材20をガイドローラ5の外周面5fから離間させる。
このように、チェーン7の移動により、ウエブ押さえ部材20に近接するタイミングでガイドローラ5の外周面5fから離間するため、ウエブ導入部材10をウエブ押さえ部材20に干渉させることなく拡開した隙間へ通過させることができる。
【0041】
このため、従来のウエブ搬送装置のようにウエブの搬送に用いる動力とは別の駆動力でウエブ押さえ部材20を退避させるアクチュエータが不要となる。また、センサ等の検出部品を用いなくてもウエブ押さえ部材20を退避させるタイミングをウエブ導入部材10が隙間を通過するタイミングと容易に同期させることができる。
したがって、ウエブ搬送装置100は、アクチュエータおよびセンサ等の検出部品の部品点数を削減して、構造を簡略化でき、製造コストの抑制が可能となるという実用上有益な作用効果を発揮することができる。
【0042】
また、ウエブ搬送装置100は、図1に示すように第一の搬送部3および第二の搬送部4との間に設けられて、ウエブ1の側縁部1b(図3参照)にタブ1cをレーザ加工するレーザ加工装置8を備える。
このため、レーザ加工装置8を用いてウエブ1の側縁部1bにタブ1cを高速でレーザ加工しても浮き上がりおよびよれが防止される。したがってさらに生産効率を向上させて製造コストを抑制することができる。
【0043】
また、転動輪は、スプロケット6であり、ベルトは、スプロケット6に噛合うチェーン7である。このため、スプロケット6の回転駆動力は、確実にスプロケット6の歯部にかみ合わせられて係合するチェーン7を移動させる力に変換される。そして、ウエブ導入部材10の移動と、連動機構30を介してウエブ押さえ部材20のガイドローラ5bの外周面5fに離間または近接させる移動と、を容易に同期させることができる。
【0044】
さらに、連動機構30は、ウエブ導入部材10の端部に回転自在に設けられたカムローラ部材32と、ガイドローラ5bの軸受部材15に揺動自在に軸支されるカム部材34とを有している。カム部材34には、カムローラ部材32を転動可能に当接させる転動面部36と、ウエブ押さえ部材20を支持する支持梁部材38と、を有している。
このため、ウエブ導入部材10の移動により、カムローラ部材32がカム部材34に当接して、転動面部36に沿って転動しながら、カム部材34を揺動させる。
このようにカム部材34は、支持梁部材38を介してウエブ押さえ部材20をガイドローラ5bの外周面5fから離間また近接させることができる。
【0045】
そして、連動機構30は、軸受部材15に一端41bを、カム部材34に他端41aを、それぞれ接続して転動面部36をガイドローラ5bの外周面5fに近接する方向へ付勢する付勢部材40を有している。また、連動機構30は、転動面部36を延長してガイドローラ5bの外周面5fの形状に沿わせて搬送方向Aの下流側へ湾曲させた延設部36aを有している。
このため、カム部材34を介して付勢部材40による付勢力が加わり、ウエブ押さえ部材20がガイドローラ5bの外周面5f方向へ移動する。これによりウエブ押さえ部材20の押さえ面とガイドローラ5bの外周面5fとの間の隙間に一定の大きさが確保される。
したがって、押さえ板21の押さえ面とガイドローラ5bの外周面5fとの間の隙間に通されたウエブ1は、ガイドローラ5bの外周面5fに沿って搬送されて確実に浮き上がりおよびよれを防止することができる。
【0046】
また、転動面部36が延設された延設部36aがガイドローラ5bの外周面5fの形状に沿わせて搬送方向Aの下流側へ湾曲して形成されている。このため、ウエブ1が隙間に確実に介装されて搬送方向Aを変更するタイミングまで徐々に押さえ板21を外周面5fに向けて近接させることができる。
よって、付勢部材40の付勢力を用いてウエブ押さえ部材20を外周面5f方向に復帰させても、隙間が急激に減少しない。これにより、ウエブ1および外周面5fまたは押さえ板21を破損などから保護することが出来る。
【実施形態2】
【0047】
図14および図15は、実施形態2のウエブ搬送装置200の要部の構成を示すものである。
なお、実施形態2では、実施形態1に係るウエブ搬送装置100の構成と同一乃至均等な部分については同一符号を付して説明を省略し、主に相違する部分を中心に説明する。
【0048】
図14に示すようにウエブ搬送装置200は、ウエブ押さえ部材120が長尺状でガイドローラ5bの外周面5fの軸方向の横幅寸法とほぼ同じ横幅寸法を有して、ガイドローラ5bおよび支持梁部材38の長手方向に延設方向を沿わせて平行に配設されている。
実施形態2のウエブ押さえ部材120は、支持梁部材38のガイドローラ側側面に設けられた左,右一対のアタッチメント122,122と、両アタッチメント122,122の中間位置に配置される中央アタッチメント123と、によって三カ所で支持梁部材38に固定されている。
【0049】
図15に示すように、ウエブ押さえ部材120を構成する押さえ板121の側端面形状は、実施形態1の押さえ板21(図8参照)とほぼ同じ形状で略S字状に湾曲している。押さえ板121は、長手方向の何れの箇所の縦断面形状が全て同じ略S字状に湾曲した形状となるように形成されている。
そして、ウエブ押さえ部材120は、支持梁部材38のガイドローラ5b側に支持された状態で、カム部材34の揺動に応じて押さえ板121の押さえ面とガイドローラ5bの外周面5fとの間に形成される隙間の大きさを変更することができる。
【0050】
この際、実施形態2の押さえ板121は、長手方向で三カ所のアタッチメント122,122および中央アタッチメント123を介して支持梁部材38により支持されている。したがって、押さえ板121の長手方向の何れの箇所でも隙間の間隔寸法を同じ寸法に維持できる。
よって、押さえ板121の傾きまたは取付け精度の低下により一部が外周面5fに近接してウエブ導入部材10が当接するといった虞がない。そして、導入工程では、ウエブ1のみが通過可能な大きさからウエブ導入部材10を通過させることが可能な大きさまで隙間を拡大または縮小することができる。
【0051】
また、加工工程では、ガイドローラ5bの外周面5fと押さえ板121との間に形成された隙間へウエブ1を通過させる際、ウエブ1は、左右幅方向に長尺状の押さえ板121の押さえ面により、何れの箇所でも均等に外周面5f方向へ押さえられる。このため、側縁部1bのタブ1cの浮き上がりに加えて、さらに左,右幅方向の何れの箇所でも均等にウエブ1全体の浮き上がりおよびよれが防止される。
他の構成および作用効果については実施形態1のウエブ搬送装置100と同様であるので説明を省略する。
【0052】
以上、本発明について、実施形態1,2に基づいて説明したが、本発明は、実施形態1,2に記載した構成に限定されるものではない。本発明は、実施形態1,2に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成変更することができるものである。また、実施形態1,2の構成の一部について、追加、削除、若しくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。上記実施形態1,2に対して可能な変形は、たとえば、以下のようなものである。
【0053】
すなわち、実施形態1,2のウエブ搬送装置100,200では、第二の搬送部4に備えられたガイドローラ5bの両端と、ウエブ押さえ部材20,120との間に連動機構30を設けているが、特にこれに限らない。たとえば、ウエブ1の形状に適応させて第一の搬送部3のガイドローラ5a,5c,第二の搬送部4のガイドローラ5bに連動機構30を設けてもよく、また、ガイドローラ5a~5dの一端のみに連動機構30を設けてもよい。
また、連動機構30は、ウエブ導入部材10がチェーン7とともに搬送方向へ移動する力をウエブ押さえ部材20に伝達して、ウエブ押さえ部材20をガイドローラ5の外周面5fから離間させる方向の力に変換するものであればよい。すなわち、連動機構30の数量、形状または、構成部品の組合せが特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
1 ウエブ
5b ガイドローラ
6 スプロケット
7 チェーン
10 ウエブ導入部材
20 ウエブ押さえ部材
32 カムローラ部材
34 カム部材
100,200 ウエブ搬送装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15