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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049239
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/01 20060101AFI20240402BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20240402BHJP
   G01N 21/03 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
G01N21/01 Z
G02B5/08 Z
G01N21/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155583
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】村山 広大
【テーマコード(参考)】
2G057
2G059
2H042
【Fターム(参考)】
2G057AA01
2G057AB06
2G057AB07
2G057AC01
2G057BB06
2G057BB08
2G057DA03
2G057DA15
2G057DB01
2G059BB04
2G059DD12
2G059EE01
2G059EE02
2G059JJ11
2G059JJ13
2G059LL03
2H042DA01
2H042DB00
2H042DD01
2H042DE09
(57)【要約】
【課題】測定対象への影響を抑制しながら光路のうち測定対象を通過する部分の長さを容易に変化させることが可能な光学装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る光学装置1は、光学測定に用いられる光の光路Pを形成する光学素子を有し、測定対象Sに対して光路Pが交差するように測定対象Sの周囲に配置される光学素子ブロック10と、光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の全長が変化するように測定対象Sと光学素子ブロック10との間の相対的な角度を変化させる回転機構20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学測定に用いられる光の光路を形成する光学素子を有し、測定対象に対して前記光路が交差するように前記測定対象の周囲に配置される光学素子ブロックと、
前記光路において前記測定対象と重なる部分の全長が変化するように前記測定対象と前記光学素子ブロックとの間の相対的な角度を変化させる回転機構と、
を備える、
光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学装置であって、
前記光学素子ブロックは、前記光学素子が取り付けられ、前記測定対象の周囲を囲むフレームを有し、前記フレームの中心に前記測定対象を位置させる、
光学装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光学装置であって、
前記回転機構は、前記光学素子ブロックに取り付けられ、前記光学素子ブロックを回転させることで前記測定対象に対する前記光学素子ブロックの角度を変化させる、
光学装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光学装置であって、
前記光学素子ブロックは、第1ブロックと、前記回転機構により回転する第2ブロックと、を有し、
前記第1ブロックは、前記測定対象に平行光を入射させる第1レンズと、前記測定対象を透過した前記平行光を前記第2ブロックに向けて反射させる第1ミラーと、を有する、
光学装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光学装置であって、
前記第2ブロックは、前記平行光をさらに反射させる第2ミラーと、反射した前記平行光を集光する第2レンズと、を有する、
光学装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の光学装置であって、
前記第2ブロックは、前記平行光をさらに反射させて前記測定対象に前記平行光をさらに入射させる第3ミラーと、前記測定対象を透過した前記平行光を集光する第3レンズと、を有する、
光学装置。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の光学装置であって、
前記光学素子ブロックは、第3ブロックをさらに有し、
前記第2ブロックは、前記平行光をさらに反射させて前記測定対象に前記平行光をさらに入射させる第4ミラーと、前記測定対象を透過した前記平行光を前記第3ブロックに向けてさらに反射させる第5ミラーと、を有し、
前記第3ブロックは、前記平行光をさらに反射させて前記測定対象に前記平行光をさらに入射させる第6ミラーと、前記測定対象を透過した前記平行光を集光する第4レンズと、を有する、
光学装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光学装置であって、
前記フレームは、第1フレームと、第2フレームと、第3フレームと、を有し、
前記第1ブロックは、四角形状の前記第1フレームを有し、
前記第2ブロックは、六角形状の前記第2フレームを有し、
前記第3ブロックは、四角形状の前記第3フレームを有する、
光学装置。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学装置であって、
前記測定対象は、セルの中に収容されている被測定液を含む、
光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光学装置であって、
前記セルの延伸方向から見たときの前記セルの断面は、正方形状を有する、
光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定液を含む測定対象について光学測定を行うための技術が知られている。このような光学測定は、光学測定に用いられる光の測定対象における光路長を変化させながら行われる。例えば、特許文献1には、装置の改造を行なわず光路長を変更できるようにする光路長可変型セルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-194775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の光路長可変型セルでは、セル中で光路長変更ブロックを被測定液に挿入する必要があり、被測定液の流れを阻害し、圧力損失を変化させてしまう。すなわち、光路長可変型セルにおける光路のうち測定対象を通過する部分の長さを変化させるときに測定対象である被測定液に物理的な影響が及ぶ。
【0005】
本開示は、測定対象への影響を抑制しながら光路のうち測定対象を通過する部分の長さを容易に変化させることが可能な光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る分光測定装置は、光学測定に用いられる光の光路を形成する光学素子を有し、測定対象に対して前記光路が交差するように前記測定対象の周囲に配置される光学素子ブロックと、前記光路において前記測定対象と重なる部分の全長が変化するように前記測定対象と前記光学素子ブロックとの間の相対的な角度を変化させる回転機構と、を備える。
【0007】
これにより、測定対象への影響を抑制しながら光路のうち測定対象を通過する部分の長さを容易に変化させることが可能である。光学装置は、測定対象の外側に配置された光学素子ブロックと測定対象との間の相対的な角度を変化させることで、光路において測定対象と重なる部分の全長を容易に変化させることができる。光学装置は、光路を形成する光学素子を測定対象の周囲に配置し、例えば測定対象としての被測定液の内部に任意の素子を配置しないので、測定対象への影響を抑制可能である。光学装置は、測定対象における圧力損失の変化及び流量の変化などの物理的な影響を抑制可能である。
【0008】
一実施形態における光学装置では、前記光学素子ブロックは、前記光学素子が取り付けられ、前記測定対象の周囲を囲むフレームを有し、前記フレームの中心に前記測定対象を位置させてもよい。これにより、光学装置は、光路において測定対象と重なる部分の光路長を変化させるときに測定対象への影響をさらに抑制可能である。光学装置は、当該光路長を変化させるときに、例えば測定対象としての被測定液が収容されたセルのサイズを変更したり、その他の設計変更を行ったりする必要がなく、容易かつ迅速に当該光路長を変化させて光学測定を実行できる。光学装置は、当該光路長を柔軟に変化させることができる。
【0009】
一実施形態における光学装置では、前記回転機構は、前記光学素子ブロックに取り付けられ、前記光学素子ブロックを回転させることで前記測定対象に対する前記光学素子ブロックの角度を変化させてもよい。これにより、光学装置は、測定対象に対しては何の操作も加えず光学素子ブロックのみを操作して上記の光路長を変化させることが可能である。これにより、光学装置は、当該光路長を変化させるときに測定対象への影響をさらに抑制可能である。加えて、光学装置は、光学素子ブロックを回転させるだけで当該光路長を変化させることができる。したがって、光学装置は、容易かつ迅速に当該光路長を変化させて光学測定を実行できる。
【0010】
一実施形態における光学装置では、前記光学素子ブロックは、第1ブロックと、前記回転機構により回転する第2ブロックと、を有し、前記第1ブロックは、前記測定対象に平行光を入射させる第1レンズと、前記測定対象を透過した前記平行光を前記第2ブロックに向けて反射させる第1ミラーと、を有してもよい。
【0011】
これにより、光学装置は、光路において測定対象と重なる部分の光路長を大きく変化させることができる。例えば、光学装置は、第2ブロックを回転機構により回転させることで、セルに対する光の垂直入射及び垂直出射による光路に沿ったセルの幅の整数倍で上記の光路長を変化させることができる。より具体的には、光学装置は、光路に沿ったセルの幅の1倍の長さと2倍の長さとの間で当該光路長を変化させることができる。
【0012】
一実施形態における光学装置では、前記第2ブロックは、前記平行光をさらに反射させる第2ミラーと、反射した前記平行光を集光する第2レンズと、を有してもよい。
【0013】
これにより、光学装置は、内部を光が通過して光の損失が発生する光学素子を一対のレンズに限定することが可能である。したがって、光学装置は、光路において測定対象と重なる部分の光路長を変化させても光学損失を略一定に維持可能である。したがって、光学装置は、光学装置を通過して検出される光の信号強度及びSN比の低下を抑制可能である。これにより、光学装置は、光学測定に用いられる光について所望の信号強度を容易に得ることが可能であり、光学測定における測定精度を容易に維持可能である。
【0014】
一実施形態における光学装置では、前記第2ブロックは、前記平行光をさらに反射させて前記測定対象に前記平行光をさらに入射させる第3ミラーと、前記測定対象を透過した前記平行光を集光する第3レンズと、を有してもよい。これにより、光学装置は、内部を光が通過して光の損失が発生する光学素子を一対のレンズに限定することが可能である。したがって、光学装置は、光学測定における測定精度に関する上記の効果を同様に奏する。
【0015】
一実施形態における光学装置では、前記光学素子ブロックは、第3ブロックをさらに有し、前記第2ブロックは、前記平行光をさらに反射させて前記測定対象に前記平行光をさらに入射させる第4ミラーと、前記測定対象を透過した前記平行光を前記第3ブロックに向けてさらに反射させる第5ミラーと、を有し、前記第3ブロックは、前記平行光をさらに反射させて前記測定対象に前記平行光をさらに入射させる第6ミラーと、前記測定対象を透過した前記平行光を集光する第4レンズと、を有してもよい。
【0016】
これにより、光学装置は、光路において測定対象と重なる部分の光路長を大きく変化させることができる。例えば、光学装置は、第2ブロックを回転機構により回転させることで、セルに対する光の垂直入射及び垂直出射による光路に沿ったセルの幅の整数倍で上記の光路長を変化させることができる。より具体的には、光学装置は、光路に沿ったセルの幅の1倍の長さと2倍の長さと3倍の長さとの間で当該光路長を変化させることができる。
【0017】
一実施形態における光学装置では、前記フレームは、第1フレームと、第2フレームと、第3フレームと、を有し、前記第1ブロックは、四角形状の前記第1フレームを有し、前記第2ブロックは、六角形状の前記第2フレームを有し、前記第3ブロックは、四角形状の前記第3フレームを有してもよい。
【0018】
これにより、光学装置は、セルに対する各フレームの回転対称性を向上させることができる。したがって、光学装置は、回転機構によるフレームの回転動作によって複数の異なる光学系を容易に実現可能である。
【0019】
一実施形態における光学装置では、前記測定対象は、セルの中に収容されている被測定液を含んでもよい。これにより、光学装置は、例えばセルの中を一方向に流れる被測定液について光路を用いた光学測定を容易に実行可能である。
【0020】
一実施形態における光学装置では、前記セルの延伸方向から見たときの前記セルの断面は、正方形状を有してもよい。これにより、光学装置は、セル及び各フレームを含む構成部の回転対称性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、測定対象への影響を抑制しながら光路のうち測定対象を通過する部分の長さを容易に変化させることが可能な光学装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の第1実施形態に係る光学装置の概略構成を示す模式図である。
図2図1の第1ブロックの構成の一例を示す模式図である。
図3図1の第2ブロックの構成の一例を示す模式図である。
図4図1の光学装置における光学系の他の例を示す図1に対応する模式図である。
図5】本開示の第2実施形態に係る光学装置の概略構成を示す図1に対応する模式図である。
図6】本開示の第3実施形態に係る光学装置の概略構成を示す図1に対応する模式図である。
図7】本開示の第4実施形態に係る光学装置の概略構成の一例を示す図2に対応する模式図である。
図8】本開示の第4実施形態に係る光学装置の概略構成の他の例を示す図2に対応する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
従来技術の背景及び問題点についてより詳細に説明する。
【0024】
特許文献1に記載の光路長可変型セルは、互いに平行に配置された透明平板からなる光入射窓と光出射窓とを有し被測定液が収容され又は流通するセル本体を有する。当該光路長可変型セルは、対をなす平面対を複数有しセル本体内に着脱可能に挿入される透明材質の光路長変更ブロックを有する。
【0025】
当該光路長変更ブロックが有する複数の平面対から、いずれかの厚さの平面対を選択してセル内の光路に当該光路長変更ブロックを挿入することで、光路長を複数段階に変更することができる。上記の光路長可変型セルを使用した吸光度測定方法は、測定光の光路に対してセル本体を固定し、光路長変更ブロックを測定光の光路を横切る方向に移動させることにより複数の光路長での吸光度測定を可能にする。
【0026】
しかしながら、特許文献1に記載の光路長可変型セルでは、以下のような問題点があった。
【0027】
特許文献1に記載の光路長可変型セルでは、セル本体中で光路長変更ブロックを被測定液に浸して挿入する必要があり、被測定液の流れを阻害し、圧力損失を変化させてしまう。すなわち、光路長可変型セルにおける光路のうち測定対象を通過する部分の長さを変化させるときに測定対象である被測定液に物理的な影響が及ぶ。
【0028】
特許文献1に記載の光路長可変型セルでは、被測定液に浸された光路長変更ブロックが被測定液により汚染された場合、光路長変更ブロックを洗浄する必要がある。したがって、光路長可変型セルを用いた光学測定に関連する装置の保守作業に大きな労力が生じる。
【0029】
特許文献1に記載の光路長可変型セルでは、光路を横切るように透過光学部材としての光路長変更ブロックが配置される。したがって、透過光学部材としての光路長変更ブロックと被測定液との間の屈折率差に基づく界面反射及び光路長変更ブロック自体の光吸収特性に基づく吸収などにより光の損失が発生し、光学測定における測定精度が低下する。
【0030】
本開示は、以上のような問題点を解決するために、測定対象への影響を抑制しながら光路のうち測定対象を通過する部分の長さを容易に変化させることが可能な光学装置を提供することを目的とする。その他にも、本開示は、測定対象における光路長を柔軟に変化させることができ、かつ光学測定に用いられる光について所望の信号強度を容易に得ることが可能な光学装置を提供することを目的とする。
【0031】
以下では、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について主に説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る光学装置1の概略構成を示す模式図である。図1において、理解を容易にするために、図2及び図3を用いて後述する複数の光学素子のうち、光学測定に用いられる光の光路Pの形成に直接的に寄与するもののみが示されている。図1は、測定対象Sがその内部を一方向に流れるセルCの延伸方向Dに沿った側面からの側面視により光学装置1及びセルCを示したものである。
【0033】
光学装置1は、測定対象Sに対する光学測定に用いられる光の光路Pを形成するために用いられる。本開示において、「測定対象S」は、例えばセルCの中に収容され、一方向に流れる被測定液などを含む。「光学測定」は、例えば吸収スペクトルなどによって示される光の吸収特性を測定対象Sについて測定することなどを含む。「光」は、例えば光学装置1の外部に位置する任意の光源からの被測定光であって、光学装置1に入射して測定対象Sを透過する透過光としての被測定光などを含む。「光路P」は、例えば光学装置1によって形成される光の全経路などを含む。
【0034】
光学装置1は、光学素子ブロック10と回転機構20とを有する。
【0035】
光学素子ブロック10は、光学測定に用いられる光の光路Pを形成する光学素子を有し、測定対象Sに対して光路Pが交差するように測定対象Sの周囲に配置される。測定対象Sは、例えばセルCに収容され、セルCの内部空間に存在する。光学素子ブロック10は、測定対象Sを収容するセルCの周囲に配置され、セルCの外部に位置する。第1実施形態では、光学素子ブロック10は、第1ブロック11と、回転機構20により回転する第2ブロック12と、を有する。
【0036】
図2は、図1の第1ブロック11の構成の一例を示す模式図である。図3は、図1の第2ブロック12の構成の一例を示す模式図である。図2及び図3は、図1と異なり、セルCの延伸方向Dからの正面視により光学装置1及びセルCを示したものである。図1において測定対象Sとしての被測定液がセルCの内部を左から右に流れるとき、図2及び図3では、例えば紙面の表から裏に向けて被測定液がセルCの内部を流れる。図2及び図3に示されるように、セルCの延伸方向Dから見たときのセルCの断面は、正方形状を有する。図2及び図3を主に参照しながら、図1の第1ブロック11の構成及び第2ブロック12の構成の一例を中心にそれぞれ説明する。
【0037】
光学素子ブロック10は、光学素子が取り付けられ、測定対象Sの周囲を囲むフレームFを有する。フレームFは、例えば光学系に用いられる任意の金属材料及び樹脂材料などで形成されている。光学素子ブロック10は、フレームFの中心に測定対象Sを位置させる。第1実施形態では、フレームFは、第1フレームF1と、第2フレームF2と、を有する。
【0038】
図2に示されるように、第1ブロック11は、四角形状の第1フレームF1を有する。第1ブロック11は、中空に形成され、その中心にセルCを位置させる。第1ブロック11の第1フレームF1を構成する4つの辺は、第1ブロック11の中心に位置するセルCを4方向から囲むようにセルCの周囲にそれぞれ配置される。第1フレームF1は、図2において上側に位置する第1辺F11と、右側に位置する第2辺F12と、下側に位置する第3辺F13と、左側に位置する第4辺F14と、を有する。
【0039】
第1ブロック11は、例えば、集光用の光学素子及び反射用の光学素子などを含む複数の光学素子を第1フレームF1の各辺に保持した中空の正方形のブロックである。第1ブロック11は、例えば複数のホルダが第1フレームF1に一体的に取り付けられている状態で当該複数のホルダに対して複数の光学素子がそれぞれ適切に取り付けられることで複数の光学素子を保持する。
【0040】
より具体的には、第1ブロック11は、第1辺F11に取り付けられているミラー11aを有する。第1ブロック11は、第2辺F12に取り付けられているミラー11bを有する。第1ブロック11は、第3辺F13に取り付けられているレンズ11cを有する。第1ブロック11は、第4辺F14に取り付けられているミラー11dを有する。ミラー11a、11b、及び11dは、図1のような側面視においてセルCの延伸方向Dに対し右側又は左側に45°傾くように第1フレームF1に取り付けられている。
【0041】
図3に示されるように、第2ブロック12は、六角形状の第2フレームF2を有する。第2ブロック12は、中空に形成され、その中心にセルCを位置させる。第2ブロック12の第2フレームF2を構成する6つの辺は、第2ブロック12の中心に位置するセルCを6方向から囲むようにセルCの周囲にそれぞれ配置される。第2フレームF2は、図3において上側に位置する第1辺F21と、右上に位置する第2辺F22と、右下に位置する第3辺F23と、下側に位置する第4辺F24と、左下に位置する第5辺F25と、左上に位置する第6辺F26と、を有する。
【0042】
第2ブロック12は、例えば、集光用の光学素子、反射用の光学素子、及びそれらの組み合わせなどを含む複数の光学素子を第2フレームF2の各辺に保持した中空の正六角形のブロックである。第2ブロック12は、例えば複数のホルダが第2フレームF2に一体的に取り付けられている状態で当該複数のホルダに対して複数の光学素子がそれぞれ適切に取り付けられることで複数の光学素子を保持する。
【0043】
より具体的には、第2ブロック12は、第1辺F21に取り付けられているミラー12a及びレンズ12bの組み合わせを有する。第2ブロック12は、第2辺F22に取り付けられているミラー12cを有する。第2ブロック12は、第3辺F23に取り付けられているレンズ12dを有する。第2ブロック12は、第5辺F25に取り付けられているミラー12eを有する。第2ブロック12は、第6辺F26に取り付けられているミラー12fを有する。ミラー12a、12c、12e、及び12fは、図1のような側面視においてセルCの延伸方向Dに対し右側又は左側に45°傾くように第2フレームF2に取り付けられている。
【0044】
回転機構20は、光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の全長が変化するように測定対象Sと光学素子ブロック10との間の相対的な角度を変化させる。例えば、回転機構20は、光学素子ブロック10に取り付けられ、光学素子ブロック10を回転させることで測定対象Sに対する光学素子ブロック10の角度を変化させる。図1に示されるように、第1実施形態では、回転機構20は、例えば光学素子ブロック10の第2ブロック12に取り付けられ、第2ブロック12を回転させることで測定対象Sに対する第2ブロック12の角度を変化させる。
【0045】
図1に示す光学系の一例では、光学装置1は、第1ブロック11及び第2ブロック12の各々について所定の角度を維持した状態で光路Pを形成する。例えば、第2ブロック12は、回転機構20により回転した後に一例として図1に示す角度を維持する。
【0046】
図1の側面視において、第1ブロック11の第1辺F11は、セルCの上側に位置する。第1ブロック11の第2辺F12は、セルCの手前側に位置する。第1ブロック11の第3辺F13は、セルCの下側に位置する。第1ブロック11の第4辺F14は、セルCの奥側に位置する。
【0047】
第1ブロック11の第1辺F11に取り付けられているミラー11aは、セルCの上側で第2ブロック12側を向くように傾いて配置される。第1ブロック11の第3辺F13に取り付けられているレンズ11cは、セルCの下側でセルCと対向するように配置される。図1において、ミラー11b及び11dは、セルCの手前側及び奥側にそれぞれ位置するが、光路Pの形成に直接寄与しないこれらの光学素子についてはその図示を省略している。
【0048】
図1の側面視において、第2ブロック12の第1辺F21は、セルCの上側に位置する。第2ブロック12の第2辺F22は、セルCの手前上側に位置する。第2ブロック12の第3辺F23は、セルCの手前下側に位置する。第2ブロック12の第4辺F24は、セルCの下側に位置する。第2ブロック12の第5辺F25は、セルCの奥下側に位置する。第2ブロック12の第6辺F26は、セルCの奥上側に位置する。
【0049】
第2ブロック12の第1辺F21に取り付けられているミラー12a及びレンズ12bの組み合わせは、セルCの上側に配置される。ミラー12aは、第1ブロック11側及びレンズ12b側を向くように傾いて配置される。図1において、ミラー12c、レンズ12d、ミラー12e、及びミラー12fは、セルCの手前上側、手前下側、奥下側、及び奥上側にそれぞれ位置するが、光路Pの形成に直接寄与しないこれらの光学素子についてはその図示を省略している。
【0050】
光学装置1は、第1ブロック11のうち、平行光手段としてのレンズ11cが取り付けられている第3辺F13から光を入射させる。レンズ11cは、光学装置1に入射した光を平行光にし、測定対象Sに当該平行光を入射させる。レンズ11cは、特許請求の範囲に記載の「第1レンズ」に対応する。光学装置1は、測定対象Sとしての被測定液が収容されたセルCに対して当該平行光を透過させる。
【0051】
光学装置1は、セルCを透過した平行光を、第1ブロック11においてセルCの延伸方向Dに対し左側に45°傾くように第1フレームF1に取り付けられているミラー11aに入射させる。ミラー11aは、測定対象Sを透過した平行光を第2ブロック12に向けて反射させる。ミラー11aは、特許請求の範囲に記載の「第1ミラー」に対応する。ミラー11aは、平行光を90°折り返して第2ブロック12に入射させる。
【0052】
光学装置1は、ミラー11aで90°折り返された平行光を、第2ブロック12においてセルCの延伸方向Dに対し左側に45°傾くように第2フレームF2に取り付けられているミラー12aに入射させる。ミラー12aは、平行光をレンズ12bに向けてさらに反射させる。ミラー12aは、特許請求の範囲に記載の「第2ミラー」に対応する。ミラー12aは、平行光を90°折り返してレンズ12bに入射させる。
【0053】
レンズ12bは、ミラー12aで反射した平行光を集光する。レンズ12bは、特許請求の範囲に記載の「第2レンズ」に対応する。レンズ12bは、平行光を集光して光学装置1の外部に位置するフォトディテクタなどの検出器又は光ファイバなどの光伝送路に導く。
【0054】
光学装置1は、セルCに対して平行となる辺が第1辺F21及び第4辺F24の組となるように第2ブロック12の角度を回転機構20により調整する。これにより、光学装置1は、測定対象Sとしての被測定液が収容されたセルCに対して、すなわち測定対象Sに対して光を1回透過させるような光路Pを形成する。光路Pは、セルCに対して直交する。すなわち、平行光は、1回の透過において、セルCの一方側の表面に対し垂直に入射し、他方側の表面から垂直に出射する。
【0055】
図4は、図1の光学装置1における光学系の他の例を示す図1に対応する模式図である。図4において、セルCに対する第1ブロック11の角度は図1に示す角度と同一であるが、セルCに対する第2ブロック12の角度が図1に示す角度と異なる。
【0056】
図4に示す光学系の他の例では、光学装置1は、第1ブロック11及び第2ブロック12の各々について所定の角度を維持した状態で光路Pを形成する。例えば、第2ブロック12は、回転機構20により回転した後に一例として図4に示す角度を維持する。
【0057】
図4の側面視において、第2ブロック12の第6辺F26は、セルCの上側に位置する。第2ブロック12の第1辺F21は、セルCの手前上側に位置する。第2ブロック12の第2辺F22は、セルCの手前下側に位置する。第2ブロック12の第3辺F23は、セルCの下側に位置する。第2ブロック12の第4辺F24は、セルCの奥下側に位置する。第2ブロック12の第5辺F25は、セルCの奥上側に位置する。
【0058】
第2ブロック12の第6辺F26に取り付けられているミラー12fは、セルCの上側に配置される。ミラー12fは、第1ブロック11側及びセルC側を向くように傾いて配置される。第2ブロック12の第3辺F23に取り付けられているレンズ12dは、セルCの下側でセルCと対向するように配置される。図4において、ミラー12a及びレンズ12bの組み合わせ、ミラー12c、及びミラー12eは、セルCの手前上側、手前下側、及び奥上側にそれぞれ位置するが、光路Pの形成に直接寄与しないこれらの光学素子についてはその図示を省略している。
【0059】
光学装置1は、第1ブロック11のうち、平行光手段としてのレンズ11cが取り付けられている第3辺F13から光を入射させる。レンズ11cは、光学装置1に入射した光を平行光にし、測定対象Sに当該平行光を入射させる。光学装置1は、測定対象Sとしての被測定液が収容されたセルCに対して当該平行光を透過させる。
【0060】
光学装置1は、セルCを透過した平行光を、第1ブロック11においてセルCの延伸方向Dに対し左側に45°傾くように第1フレームF1に取り付けられているミラー11aに入射させる。ミラー11aは、測定対象Sを透過した平行光を第2ブロック12に向けて反射させる。ミラー11aは、平行光を90°折り返して第2ブロック12に入射させる。
【0061】
光学装置1は、ミラー11aで90°折り返された平行光を、第2ブロック12においてセルCの延伸方向Dに対し右側に45°傾くように第2フレームF2に取り付けられているミラー12fに入射させる。ミラー12fは、平行光をセルCに向けてさらに反射させて測定対象Sに平行光をさらに入射させる。ミラー12fは、特許請求の範囲に記載の「第3ミラー」に対応する。ミラー12fは、平行光を90°折り返して測定対象Sに入射させる。
【0062】
レンズ12dは、測定対象Sを透過した平行光を集光する。レンズ12dは、特許請求の範囲に記載の「第3レンズ」に対応する。レンズ12dは、平行光を集光して光学装置1の外部に位置するフォトディテクタなどの検出器又は光ファイバなどの光伝送路に導く。
【0063】
光学装置1は、セルCに対して平行となる辺が第6辺F26及び第3辺F23の組となるように第2ブロック12の角度を回転機構20により調整する。これにより、光学装置1は、測定対象Sとしての被測定液が収容されたセルCに対して、すなわち測定対象Sに対して光を2回透過させるような光路Pを形成する。光路Pは、セルCに対して直交する。すなわち、平行光は、2回の透過のいずれにおいても、セルCの一方側の表面に対し垂直に入射し、他方側の表面から垂直に出射する。
【0064】
以上のような第1実施形態に係る光学装置1によれば、測定対象Sへの影響を抑制しながら光路Pのうち測定対象Sを通過する部分の長さを容易に変化させることが可能である。光学装置1は、測定対象Sの外側に配置された光学素子ブロック10と測定対象Sとの間の相対的な角度を変化させることで、光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の全長を容易に変化させることができる。光学装置1は、光路Pを形成する光学素子を測定対象Sの周囲に配置し、例えば測定対象Sとしての被測定液の内部に任意の素子を配置しないので、測定対象Sへの影響を抑制可能である。光学装置1は、測定対象Sにおける圧力損失の変化及び流量の変化などの物理的な影響を抑制可能である。
【0065】
光学装置1は、測定対象Sとしての被測定液に対して任意の素子を浸すことがないので、被測定液により汚染された任意の素子を洗浄する作業も必要としない。したがって、光学装置1を用いた光学測定に関連する装置の保守作業において大きな労力の発生が抑制される。光学装置1は、セルCに対して任意の素子を直接組み込む必要がないため、組み込みによる被測定液のセルCからの漏洩も抑制可能である。
【0066】
光学装置1は、光学素子ブロック10がフレームFの中心に測定対象Sを位置させることで、光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の光路長を変化させるときに測定対象Sへの影響をさらに抑制可能である。光学装置1は、当該光路長を変化させるときに、例えば測定対象Sとしての被測定液が収容されたセルCのサイズを変更したり、その他の設計変更を行ったりする必要がなく、容易かつ迅速に当該光路長を変化させて光学測定を実行できる。光学装置1は、当該光路長を柔軟に変化させることができる。
【0067】
光学装置1は、回転機構20が光学素子ブロック10を回転させて測定対象Sに対する光学素子ブロック10の角度を変化させることで、測定対象Sに対しては何の操作も加えず光学素子ブロック10のみを操作して上記の光路長を変化させることが可能である。これにより、光学装置1は、当該光路長を変化させるときに測定対象Sへの影響をさらに抑制可能である。加えて、光学装置1は、光学素子ブロック10を回転させるだけで当該光路長を変化させることができる。したがって、光学装置1は、容易かつ迅速に当該光路長を変化させて光学測定を実行できる。
【0068】
光学装置1は、第1ブロック11と、回転機構20により回転する第2ブロック12と、を有することで、例えば図1及び図4に示されるように光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の光路長を大きく変化させることができる。例えば、光学装置1は、第2ブロック12を回転機構20により回転させることで、セルCに対する光の垂直入射及び垂直出射による光路Pに沿ったセルCの幅の整数倍で上記の光路長を変化させることができる。より具体的には、光学装置1は、光路Pに沿ったセルCの幅の1倍の長さと2倍の長さとの間で当該光路長を変化させることができる。
【0069】
光学装置1は、第1ブロック11がレンズ11cとミラー11aとを有し、第2ブロック12がミラー12aとレンズ12bとを有することで、内部を光が通過して光の損失が発生する光学素子を一対のレンズ11c及び12bに限定することが可能である。したがって、光学装置1は、光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の光路長を例えば図1及び図4に示される光学系の間で変化させても光学損失を略一定に維持可能である。したがって、光学装置1は、光学装置1を通過して検出される光の信号強度及びSN比の低下を抑制可能である。これにより、光学装置1は、光学測定に用いられる光について所望の信号強度を容易に得ることが可能であり、光学測定における測定精度を容易に維持可能である。
【0070】
光学装置1は、第1ブロック11がレンズ11cとミラー11aとを有し、第2ブロック12がミラー12fとレンズ12dとを有することで、内部を光が通過して光の損失が発生する光学素子を一対のレンズ11c及び12dに限定することが可能である。したがって、光学装置1は、光学測定における測定精度に関する上記の効果を同様に奏する。
【0071】
光学装置1は、第1ブロック11が四角形状の第1フレームF1を有し、第2ブロック12が六角形状の第2フレームF2を有することで、セルCに対する各フレームFの回転対称性を向上させることができる。これにより、光学装置1は、回転機構20によるフレームFの回転動作によって図1及び図4に示されるような複数の異なる光学系を容易に実現可能である。
【0072】
光学装置1は、セルCの中に収容されている被測定液を測定対象Sが含むことで、例えばセルCの中を一方向に流れる被測定液について光路Pを用いた光学測定を容易に実行可能である。
【0073】
光学装置1は、セルCの延伸方向Dから見たときのセルCの断面が正方形状を有することで、セルC及び各フレームFを含む構成部の回転対称性を向上させることができる。
【0074】
上記第1実施形態では、測定対象Sは、例えばセルCの中に収容され、一方向に流れる被測定液などを含むと説明したが、これに限定されない。測定対象Sは、例えばセルCの中に収容され、一方向に流れずに定位置に留まり続ける被測定液を含んでもよい。測定対象Sは、被測定液などの液体に限定されず、長方形、正方形、その他の多角形、円形、及び楕円形などの任意の断面形状を有する固体を含んでもよいし、気体を含んでもよい。
【0075】
上記第1実施形態では、光学測定は、例えば吸収スペクトルなどによって示される光の吸収特性を測定対象Sについて測定することなどを含むと説明したが、これに限定されない。光学測定は、例えば蛍光スペクトルによって示される蛍光特性を測定対象Sについて測定することを含んでもよい。光学測定は、例えば散乱光スペクトルによって示される光の散乱特性を測定対象Sについて測定することを含んでもよい。
【0076】
上記第1実施形態では、光は、例えば光学装置1の外部に位置する任意の光源からの被測定光であって、光学装置1に入射して測定対象Sを透過する透過光としての被測定光などを含むと説明したが、これに限定されない。光は、例えば測定対象Sから蛍光又は散乱光を発生させるための励起光を含んでもよい。このとき、光学装置1は、第1ブロック11及び第2ブロック12の光学素子における反射手段としてのミラーの一部を波長分離素子に変更し、励起光に基づく測定対象Sからの信号光を各波長分離素子から取り出すように構成されてもよい。これにより、光学装置1は、測定対象Sに対する光計測技術のうち、透過測定装置のみならず、蛍光測定装置又は散乱光測定装置にも応用可能である。
【0077】
上記第1実施形態では、光学素子ブロック10は、フレームFの中心に測定対象Sを位置させると説明したが、これに限定されない。光学素子ブロック10は、フレームFの内部において中心以外の他の位置に測定対象Sを位置させてもよい。
【0078】
上記第1実施形態では、第1ブロック11は、図2に示されるような配置で光学素子を有すると説明したが、これに限定されない。第1ブロック11が有する光学素子の配置及び種類は、光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の全長を変化させることができる任意のものであってもよい。例えば、第1ブロック11は、レンズ11cを有さなくてもよい。このとき、測定対象Sに平行光を入射させる機能を有する任意のレンズが、光学装置1の外側で直前に配置されていてもよい。
【0079】
上記第1実施形態では、第2ブロック12は、図3に示されるような配置で光学素子を有すると説明したが、これに限定されない。第2ブロック12が有する光学素子の配置及び種類は、光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の全長を変化させることができる任意のものであってもよい。例えば、第2ブロック12は、レンズ12b及び12dの少なくとも一方を有さなくてもよい。このとき、平行光を集光する機能を有する任意のレンズが、光学装置1の外側で直後に配置されていてもよい。
【0080】
上記第1実施形態では、第1ブロック11は、四角形状の第1フレームF1を有すると説明したが、これに限定されない。第1フレームF1は、長方形及び正方形などの四角形状に代えて、他の多角形、円形、及び楕円形などの任意の形状を有してもよい。
【0081】
上記第1実施形態では、第2ブロック12は、六角形状の第2フレームF2を有すると説明したが、これに限定されない。第2フレームF2は、正六角形などの六角形状に代えて、他の多角形、円形、及び楕円形などの任意の形状を有してもよい。
【0082】
上記第1実施形態では、セルCの延伸方向Dから見たときのセルCの断面は、正方形状を有すると説明したが、これに限定されない。セルCの延伸方向Dから見たときのセルCの断面は、正方形以外の任意の他の四角形、その他の多角形、円形、及び楕円形などの任意の形状を有してもよい。
【0083】
上記第1実施形態では、回転機構20は、例えば光学素子ブロック10の第2ブロック12に取り付けられ、第2ブロック12を回転させることで測定対象Sに対する第2ブロック12の角度を変化させると説明したが、これに限定されない。回転機構20は、第2ブロック12に代えて、又は加えて第1ブロック11に取り付けられていてもよい。
【0084】
(第2実施形態)
図5は、本開示の第2実施形態に係る光学装置1の概略構成を示す図1に対応する模式図である。図5を参照しながら、第2実施形態に係る光学装置1の構成及び機能について主に説明する。第2実施形態に係る光学装置1では、光学素子ブロック10が第3ブロック13をさらに有する点で第1実施形態と相違する。
【0085】
その他の構成、機能、効果、及び変形例などについては、第1実施形態と同様であり、対応する説明が第2実施形態に係る光学装置1にも当てはまる。以下では、第1実施形態と同様の構成部については同一の符号を付し、その説明を省略する。第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0086】
第2実施形態では、光学素子ブロック10は、第3ブロック13をさらに有する。第3ブロック13は、図2に示される第1ブロック11と全く同一のものであるが、図5において第1ブロック11に対し180°回転させた状態でセルCに対して配置される。第2実施形態では、フレームFは、第1ブロック11が有する第1フレームF1及び第2ブロック12が有する第2フレームF2に加えて、第3ブロック13が有する第3フレームF3をさらに有する。第3フレームF3は、第1フレームF1と全く同一のものであり、四角形状を有する。
【0087】
図5に示されるように、第2実施形態においても、回転機構20は、例えば光学素子ブロック10の第2ブロック12に取り付けられ、第2ブロック12を回転させることで測定対象Sに対する第2ブロック12の角度を変化させる。
【0088】
図5に示す光学系の一例では、光学装置1は、第1ブロック11、第2ブロック12、及び第3ブロック13の各々について所定の角度を維持した状態で光路Pを形成する。例えば、第2ブロック12は、回転機構20により回転した後に一例として図5に示す角度を維持する。
【0089】
図5の側面視において、第2ブロック12の第5辺F25は、セルCの上側に位置する。第2ブロック12の第6辺F26は、セルCの手前上側に位置する。第2ブロック12の第1辺F21は、セルCの手前下側に位置する。第2ブロック12の第2辺F22は、セルCの下側に位置する。第2ブロック12の第3辺F23は、セルCの奥下側に位置する。第2ブロック12の第4辺F24は、セルCの奥上側に位置する。
【0090】
第2ブロック12の第5辺F25に取り付けられているミラー12eは、セルCの上側に配置される。ミラー12eは、第1ブロック11側及びセルC側を向くように傾いて配置される。第2ブロック12の第2辺F22に取り付けられているミラー12cは、セルCの下側に配置される。ミラー12cは、第3ブロック13側及びセルC側を向くように傾いて配置される。図5において、ミラー12f、ミラー12a及びレンズ12bの組み合わせ、及びレンズ12dは、セルCの手前上側、手前下側、及び奥下側にそれぞれ位置するが、光路Pの形成に直接寄与しないこれらの光学素子についてはその図示を省略している。
【0091】
図5の側面視において、第3ブロック13の第3辺F13は、セルCの上側に位置する。第3ブロック13の第4辺F14は、セルCの手前側に位置する。第3ブロック13の第1辺F11は、セルCの下側に位置する。第3ブロック13の第2辺F12は、セルCの奥側に位置する。
【0092】
第3ブロック13の第1辺F11に取り付けられているミラー11aは、セルCの下側で第2ブロック12側及びセルC側を向くように傾いて配置される。第3ブロック13の第3辺F13に取り付けられているレンズ11cは、セルCの上側でセルCと対向するように配置される。図5において、ミラー11b及び11dは、セルCの奥側及び手前側にそれぞれ位置するが、光路Pの形成に直接寄与しないこれらの光学素子についてはその図示を省略している。
【0093】
光学装置1は、第1ブロック11のうち、平行光手段としてのレンズ11cが取り付けられている第3辺F13から光を入射させる。レンズ11cは、光学装置1に入射した光を平行光にし、測定対象Sに当該平行光を入射させる。光学装置1は、測定対象Sとしての被測定液が収容されたセルCに対して当該平行光を透過させる。
【0094】
光学装置1は、セルCを透過した平行光を、第1ブロック11においてセルCの延伸方向Dに対し左側に45°傾くように第1フレームF1に取り付けられているミラー11aに入射させる。ミラー11aは、測定対象Sを透過した平行光を第2ブロック12に向けて反射させる。ミラー11aは、平行光を90°折り返して第2ブロック12に入射させる。
【0095】
光学装置1は、ミラー11aで90°折り返された平行光を、第2ブロック12においてセルCの延伸方向Dに対し右側に45°傾くように第2フレームF2に取り付けられているミラー12eに入射させる。ミラー12eは、平行光をセルCに向けてさらに反射させて測定対象Sに平行光をさらに入射させる。ミラー12eは、特許請求の範囲に記載の「第4ミラー」に対応する。ミラー12eは、平行光を90°折り返して測定対象Sに入射させる。
【0096】
光学装置1は、セルCを透過した平行光を、第2ブロック12においてセルCの延伸方向Dに対し右側に45°傾くように第2フレームF2に取り付けられているミラー12cに入射させる。ミラー12cは、測定対象Sを透過した平行光を第3ブロック13に向けてさらに反射させる。ミラー12cは、特許請求の範囲に記載の「第5ミラー」に対応する。ミラー12cは、平行光を90°折り返して第3ブロック13に入射させる。
【0097】
光学装置1は、ミラー12cで90°折り返された平行光を、第3ブロック13においてセルCの延伸方向Dに対し左側に45°傾くように第3フレームF3に取り付けられているミラー11aに入射させる。ミラー11aは、平行光をセルCに向けてさらに反射させて測定対象Sに平行光をさらに入射させる。ミラー11aは、特許請求の範囲に記載の「第6ミラー」に対応する。ミラー11aは、平行光を90°折り返して測定対象Sに入射させる。
【0098】
レンズ11cは、測定対象Sを透過した平行光を集光する。レンズ11cは、特許請求の範囲に記載の「第4レンズ」に対応する。レンズ11cは、平行光を集光して光学装置1の外部に位置するフォトディテクタなどの検出器又は光ファイバなどの光伝送路に導く。
【0099】
光学装置1は、セルCに対して平行となる辺が第5辺F25及び第2辺F22の組となるように第2ブロック12の角度を回転機構20により調整する。これにより、光学装置1は、測定対象Sとしての被測定液が収容されたセルCに対して、すなわち測定対象Sに対して光を3回透過させるような光路Pを形成する。光路Pは、セルCに対して直交する。すなわち、平行光は、3回の透過のいずれにおいても、セルCの一方側の表面に対し垂直に入射し、他方側の表面から垂直に出射する。光学装置1は、回転機構20により第2ブロック12を図1及び図4に示されるような角度に調整することで、第1ブロック11及び第2ブロック12のみを用いた図1及び図4に示される光路Pを形成することも可能である。
【0100】
光学装置1は、第1ブロック11及び回転機構20により回転する第2ブロック12に加えて第3ブロック13をさらに有することで、例えば図5に示されるように光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の光路長を大きく変化させることができる。例えば、光学装置1は、第2ブロック12を回転機構20により回転させることで、セルCに対する光の垂直入射及び垂直出射による光路Pに沿ったセルCの幅の整数倍で上記の光路長を変化させることができる。より具体的には、光学装置1は、光路Pに沿ったセルCの幅の1倍の長さと2倍の長さと3倍の長さとの間で当該光路長を変化させることができる。
【0101】
光学装置1は、第1ブロック11がレンズ11cとミラー11aとを有し、第2ブロック12がミラー12eとミラー12cとを有し、第3ブロック13がミラー11aとレンズ11cとを有することで、内部を光が通過して光の損失が発生する光学素子を一対のレンズ11cに限定することが可能である。したがって、光学装置1は、光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の光路長を変化させても光学損失を略一定に維持可能である。したがって、光学装置1は、光学装置1を通過して検出される光の信号強度及びSN比の低下を抑制可能である。これにより、光学装置1は、光学測定に用いられる光について所望の信号強度を容易に得ることが可能であり、光学測定における測定精度を容易に維持可能である。
【0102】
光学装置1は、第1ブロック11が四角形状の第1フレームF1を有し、第2ブロック12が六角形状の第2フレームF2を有し、第3ブロック13が四角形状の第3フレームF3を有することで、セルCに対する各フレームFの回転対称性を向上させることができる。これにより、光学装置1は、回転機構20によるフレームFの回転動作によって複数の異なる光学系を容易に実現可能である。
【0103】
上記第2実施形態では、第3ブロック13は、図2に示される第1ブロック11と同様の配置で光学素子を有すると説明したが、これに限定されない。第3ブロック13が有する光学素子の配置及び種類は、光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の全長を変化させることができる任意のものであってもよい。例えば、第3ブロック13は、レンズ11cを有さなくてもよい。このとき、平行光を集光する機能を有する任意のレンズが、光学装置1の外側で直後に配置されていてもよい。
【0104】
上記第2実施形態では、第3ブロック13は、四角形状の第3フレームF3を有すると説明したが、これに限定されない。第3フレームF3は、長方形及び正方形などの四角形状に代えて、他の多角形、円形、及び楕円形などの任意の形状を有してもよい。
【0105】
上記第2実施形態では、回転機構20は、例えば光学素子ブロック10の第2ブロック12に取り付けられ、第2ブロック12を回転させることで測定対象Sに対する第2ブロック12の角度を変化させると説明したが、これに限定されない。回転機構20は、第2ブロック12に代えて、又は加えて第1ブロック11及び第3ブロック13の少なくとも一方に取り付けられていてもよい。
【0106】
(第3実施形態)
図6は、本開示の第3実施形態に係る光学装置1の概略構成を示す図1に対応する模式図である。図6を参照しながら、第3実施形態に係る光学装置1の構成及び機能について主に説明する。第3実施形態に係る光学装置1では、光学素子ブロック10が第4ブロック14をさらに有する点で第1実施形態及び第2実施形態と相違する。
【0107】
その他の構成、機能、効果、及び変形例などについては、第1実施形態及び第2実施形態と同様であり、対応する説明が第3実施形態に係る光学装置1にも当てはまる。以下では、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成部については同一の符号を付し、その説明を省略する。第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について主に説明する。
【0108】
第3実施形態では、光学素子ブロック10は、第4ブロック14をさらに有する。第4ブロック14は、図3に示される第2ブロック12と全く同一のものであるが、図6において第2ブロック12に対し60°回転させた状態でセルCに対して配置される。第3実施形態では、フレームFは、第1ブロック11が有する第1フレームF1、第2ブロック12が有する第2フレームF2、及び第3ブロック13が有する第3フレームF3に加えて、第4ブロック14が有する第4フレームF4をさらに有する。第4フレームF4は、第2フレームF2と全く同一のものであり、六角形状を有する。
【0109】
図6に示されるように、第3実施形態において、回転機構20は、例えば光学素子ブロック10の第2ブロック12及び第3ブロック13の各々に取り付けられ、第2ブロック12及び第3ブロック13の少なくとも一方を回転させることで測定対象Sに対する光学素子ブロック10の角度を変化させる。
【0110】
図6に示す光学系の一例では、光学装置1は、第1ブロック11、第2ブロック12、第3ブロック13、及び第4ブロック14の各々について所定の角度を維持した状態で光路Pを形成する。例えば、第2ブロック12は、回転機構20により回転した後に一例として図6に示す角度を維持する。例えば、第3ブロック13は、回転機構20により回転した後に一例として図6に示す角度を維持する。
【0111】
図6の側面視において、第3ブロック13の第4辺F14は、セルCの上側に位置する。第3ブロック13の第1辺F11は、セルCの手前側に位置する。第3ブロック13の第2辺F12は、セルCの下側に位置する。第3ブロック13の第3辺F13は、セルCの奥側に位置する。
【0112】
第3ブロック13の第2辺F12に取り付けられているミラー11bは、セルCの下側で第2ブロック12側及びセルC側を向くように傾いて配置される。第3ブロック13の第4辺F14に取り付けられているミラー11dは、セルCの上側で第4ブロック14側及びセルC側を向くように傾いて配置される。図6において、ミラー11a及びレンズ11cは、セルCの手前側及び奥側にそれぞれ位置するが、光路Pの形成に直接寄与しないこれらの光学素子についてはその図示を省略している。
【0113】
図6の側面視において、第4ブロック14の第6辺F26は、セルCの上側に位置する。第4ブロック14の第1辺F21は、セルCの手前上側に位置する。第4ブロック14の第2辺F22は、セルCの手前下側に位置する。第4ブロック14の第3辺F23は、セルCの下側に位置する。第4ブロック14の第4辺F24は、セルCの奥下側に位置する。第4ブロック14の第5辺F25は、セルCの奥上側に位置する。
【0114】
第4ブロック14の第6辺F26に取り付けられているミラー12fは、セルCの上側に配置される。ミラー12fは、第3ブロック13側及びセルC側を向くように傾いて配置される。第4ブロック14の第3辺F23に取り付けられているレンズ12dは、セルCの下側でセルCと対向するように配置される。図6において、ミラー12a及びレンズ12bの組み合わせ、ミラー12c、及びミラー12eは、セルCの手前上側、手前下側、及び奥上側にそれぞれ位置するが、光路Pの形成に直接寄与しないこれらの光学素子についてはその図示を省略している。
【0115】
光学装置1は、第1ブロック11のうち、平行光手段としてのレンズ11cが取り付けられている第3辺F13から光を入射させる。レンズ11cは、光学装置1に入射した光を平行光にし、測定対象Sに当該平行光を入射させる。光学装置1は、測定対象Sとしての被測定液が収容されたセルCに対して当該平行光を透過させる。
【0116】
光学装置1は、セルCを透過した平行光を、第1ブロック11においてセルCの延伸方向Dに対し左側に45°傾くように第1フレームF1に取り付けられているミラー11aに入射させる。ミラー11aは、測定対象Sを透過した平行光を第2ブロック12に向けて反射させる。ミラー11aは、平行光を90°折り返して第2ブロック12に入射させる。
【0117】
光学装置1は、ミラー11aで90°折り返された平行光を、第2ブロック12においてセルCの延伸方向Dに対し右側に45°傾くように第2フレームF2に取り付けられているミラー12eに入射させる。ミラー12eは、平行光をセルCに向けてさらに反射させて測定対象Sに平行光をさらに入射させる。ミラー12eは、平行光を90°折り返して測定対象Sに入射させる。
【0118】
光学装置1は、セルCを透過した平行光を、第2ブロック12においてセルCの延伸方向Dに対し右側に45°傾くように第2フレームF2に取り付けられているミラー12cに入射させる。ミラー12cは、測定対象Sを透過した平行光を第3ブロック13に向けてさらに反射させる。ミラー12cは、平行光を90°折り返して第3ブロック13に入射させる。
【0119】
光学装置1は、ミラー12cで90°折り返された平行光を、第3ブロック13においてセルCの延伸方向Dに対し左側に45°傾くように第3フレームF3に取り付けられているミラー11bに入射させる。ミラー11bは、平行光をセルCに向けてさらに反射させて測定対象Sに平行光をさらに入射させる。ミラー11bは、平行光を90°折り返して測定対象Sに入射させる。
【0120】
光学装置1は、セルCを透過した平行光を、第3ブロック13においてセルCの延伸方向Dに対し左側に45°傾くように第3フレームF3に取り付けられているミラー11dに入射させる。ミラー11dは、測定対象Sを透過した平行光を第4ブロック14に向けて反射させる。ミラー11dは、平行光を90°折り返して第4ブロック14に入射させる。
【0121】
光学装置1は、ミラー11dで90°折り返された平行光を、第4ブロック14においてセルCの延伸方向Dに対し右側に45°傾くように第4フレームF4に取り付けられているミラー12fに入射させる。ミラー12fは、平行光をセルCに向けてさらに反射させて測定対象Sに平行光をさらに入射させる。ミラー12fは、平行光を90°折り返して測定対象Sに入射させる。
【0122】
レンズ12dは、測定対象Sを透過した平行光を集光する。レンズ12dは、平行光を集光して光学装置1の外部に位置するフォトディテクタなどの検出器又は光ファイバなどの光伝送路に導く。
【0123】
光学装置1は、測定対象Sとしての被測定液が収容されたセルCに対して、すなわち測定対象Sに対して光を4回透過させるような光路Pを形成する。光路Pは、セルCに対して直交する。すなわち、平行光は、4回の透過のいずれにおいても、セルCの一方側の表面に対し垂直に入射し、他方側の表面から垂直に出射する。光学装置1は、回転機構20により第2ブロック12を図1及び図4に示されるような角度に調整することで、第1ブロック11及び第2ブロック12のみを用いた図1及び図4に示される光路Pを形成することも可能である。光学装置1は、回転機構20により第2ブロック12及び第3ブロック13を図5に示されるような角度に調整することで、第1ブロック11乃至第3ブロック13のみを用いた図5に示される光路Pを形成することも可能である。
【0124】
光学装置1は、第4ブロック14をさらに有することで、例えば図6に示されるように光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の光路長を大きく変化させることができる。例えば、光学装置1は、セルCに対する光の垂直入射及び垂直出射による光路Pに沿ったセルCの幅の整数倍で上記の光路長を変化させることができる。より具体的には、光学装置1は、光路Pに沿ったセルCの幅の1倍の長さと2倍の長さと3倍の長さと4倍の長さとの間で当該光路長を変化させることができる。
【0125】
以上のように、光学装置1は、例えば図2に示される第1ブロック11と図3に示される第2ブロック12との組み合わせを増やすことで測定対象Sが収容されたセルCを平行光が透過する回数を増やすことができる。
【0126】
(第4実施形態)
図7は、本開示の第4実施形態に係る光学装置1の概略構成の一例を示す図2に対応する模式図である。図8は、本開示の第4実施形態に係る光学装置1の概略構成の他の例を示す図2に対応する模式図である。図7及び図8を参照しながら、第4実施形態に係る光学装置1の構成及び機能について主に説明する。第4実施形態に係る光学装置1では、光学素子ブロック10が第1ブロック11のみを有し、第1ブロック11が一対のレンズのみを光学素子として有する点で第1実施形態乃至第3実施形態と相違する。
【0127】
その他の構成、機能、効果、及び変形例などについては、第1実施形態乃至第3実施形態と同様であり、対応する説明が第4実施形態に係る光学装置1にも当てはまる。以下では、第1実施形態乃至第3実施形態と同様の構成部については同一の符号を付し、その説明を省略する。第1実施形態乃至第3実施形態と異なる点について主に説明する。
【0128】
第1ブロック11は、セルCの延伸方向Dから見たときの断面が長方形状を有するセルCをその中心に位置させる。第1ブロック11は、第1辺F11に取り付けられているレンズ11eを有する。第1ブロック11は、第3辺F13に取り付けられているレンズ11cを有する。
【0129】
図7に示す光学系の第1例では、第1ブロック11の第1辺F11に取り付けられているレンズ11eは、セルCの上側でセルCの長辺と対向するように配置される。第1ブロック11の第3辺F13に取り付けられているレンズ11cは、セルCの下側でセルCの長辺と対向するように配置される。このとき、光路Pは、セルCの短手方向に沿って形成される。
【0130】
回転機構20は、第1ブロック11に取り付けられている。回転機構20によって第1ブロック11を90°回転させることで図8に示す光学系の第2例が得られる。このとき、第1ブロック11の第1辺F11に取り付けられているレンズ11eは、セルCの右側でセルCの短辺と対向するように配置される。第1ブロック11の第3辺F13に取り付けられているレンズ11cは、セルCの左側でセルCの短辺と対向するように配置される。このとき、光路Pは、セルCの長手方向に沿って形成される。
【0131】
以上のように、光学装置1は、回転機構20により第1ブロック11を90°回転させるだけで、光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の全長を、セルCの短辺と長辺との間の差分だけ変化させることができる。
【0132】
上記第4実施形態では、回転機構20は、第1ブロック11に取り付けられ、第1ブロック11を回転させると説明したが、これに限定されない。回転機構20は、第1ブロック11に代えて、又は加えてセルCに取り付けられていてもよい。回転機構20によってセルCを90°回転させることで、光路Pにおいて測定対象Sと重なる部分の全長を、セルCの短辺と長辺との間の差分だけ変化させてもよい。
【0133】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0134】
例えば、上述した各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。図示した光学装置1の各構成要素は機能概念的なものであり、各構成要素の具体的形態は図示のものに限定されない。例えば、上記各実施形態において、各ミラーは、円形状に図示されているが、これに限定されない。各ミラーは、多角形及び楕円形などの任意の他の形状を有してもよい。例えば、上記各実施形態において、各レンズは、楕円形状に図示されているが、これに限定されない。各レンズは、多角形及び円形などの任意の他の形状を有してもよい。
【0135】
上記各実施形態において、光学装置1は、光学素子が取り付けられていないフレームFの所定の辺に対し、観察窓又は撮像素子を取り付け、セルCの内部の様子を観察可能なように構成されてもよい。これにより、光学装置1は、透過測定及び画像測定の両方を同時に実行することもできる。
【0136】
上記各実施形態において、光学装置1は、光学素子ブロック10に位置決め用のピン穴が形成され、回転角に合わせて位置決めピンで光学素子ブロック10を固定することで回転角を精度良く再現可能に構成されてもよい。
【0137】
以下に本開示の実施形態の一部について例示する。しかしながら、本開示の実施形態はこれらに限定されない点に留意されたい。
[付記1]
光学測定に用いられる光の光路を形成する光学素子を有し、測定対象に対して前記光路が交差するように前記測定対象の周囲に配置される光学素子ブロックと、
前記光路において前記測定対象と重なる部分の全長が変化するように前記測定対象と前記光学素子ブロックとの間の相対的な角度を変化させる回転機構と、
を備える、
光学装置。
[付記2]
付記1に記載の光学装置であって、
前記光学素子ブロックは、前記光学素子が取り付けられ、前記測定対象の周囲を囲むフレームを有し、前記フレームの中心に前記測定対象を位置させる、
光学装置。
[付記3]
付記2に記載の光学装置であって、
前記回転機構は、前記光学素子ブロックに取り付けられ、前記光学素子ブロックを回転させることで前記測定対象に対する前記光学素子ブロックの角度を変化させる、
光学装置。
[付記4]
付記3に記載の光学装置であって、
前記光学素子ブロックは、第1ブロックと、前記回転機構により回転する第2ブロックと、を有し、
前記第1ブロックは、前記測定対象に平行光を入射させる第1レンズと、前記測定対象を透過した前記平行光を前記第2ブロックに向けて反射させる第1ミラーと、を有する、
光学装置。
[付記5]
付記4に記載の光学装置であって、
前記第2ブロックは、前記平行光をさらに反射させる第2ミラーと、反射した前記平行光を集光する第2レンズと、を有する、
光学装置。
[付記6]
付記4又は5に記載の光学装置であって、
前記第2ブロックは、前記平行光をさらに反射させて前記測定対象に前記平行光をさらに入射させる第3ミラーと、前記測定対象を透過した前記平行光を集光する第3レンズと、を有する、
光学装置。
[付記7]
付記4乃至6のいずれか1つに記載の光学装置であって、
前記光学素子ブロックは、第3ブロックをさらに有し、
前記第2ブロックは、前記平行光をさらに反射させて前記測定対象に前記平行光をさらに入射させる第4ミラーと、前記測定対象を透過した前記平行光を前記第3ブロックに向けてさらに反射させる第5ミラーと、を有し、
前記第3ブロックは、前記平行光をさらに反射させて前記測定対象に前記平行光をさらに入射させる第6ミラーと、前記測定対象を透過した前記平行光を集光する第4レンズと、を有する、
光学装置。
[付記8]
付記7に記載の光学装置であって、
前記フレームは、第1フレームと、第2フレームと、第3フレームと、を有し、
前記第1ブロックは、四角形状の前記第1フレームを有し、
前記第2ブロックは、六角形状の前記第2フレームを有し、
前記第3ブロックは、四角形状の前記第3フレームを有する、
光学装置。
[付記9]
付記1乃至8のいずれか1つに記載の光学装置であって、
前記測定対象は、セルの中に収容されている被測定液を含む、
光学装置。
[付記10]
付記9に記載の光学装置であって、
前記セルの延伸方向から見たときの前記セルの断面は、正方形状を有する、
光学装置。
【符号の説明】
【0138】
1 光学装置
10 光学素子ブロック
11 第1ブロック
11a ミラー(第1ミラー、第6ミラー)
11b ミラー
11c レンズ(第1レンズ、第4レンズ)
11d ミラー
11e レンズ
12 第2ブロック
12a ミラー(第2ミラー)
12b レンズ(第2レンズ)
12c ミラー(第5ミラー)
12d レンズ(第3レンズ)
12e ミラー(第4ミラー)
12f ミラー(第3ミラー)
13 第3ブロック
14 第4ブロック
20 回転機構
C セル
D 延伸方向
F フレーム
F1 第1フレーム
F11 第1辺
F12 第2辺
F13 第3辺
F14 第4辺
F2 第2フレーム
F21 第1辺
F22 第2辺
F23 第3辺
F24 第4辺
F25 第5辺
F26 第6辺
F3 第3フレーム
F4 第4フレーム
P 光路
S 測定対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8