(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004924
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】無線通信システム、および無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H04W 4/38 20180101AFI20240110BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20240110BHJP
H04W 8/24 20090101ALI20240110BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W84/10 110
H04W8/24
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104830
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中野 元太
(72)【発明者】
【氏名】椿坂 公太
(72)【発明者】
【氏名】木村 宗斗
(72)【発明者】
【氏名】佐野 高也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 弘稀
(72)【発明者】
【氏名】田中 功二
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067BB27
5K067EE02
5K067EE25
5K067GG06
5K067GG09
(57)【要約】
【課題】生体に接触していることに起因して適切な無線接続がなされないことを抑制できるようにした無線通信システムを提供する。
【解決手段】深部体温センサ10(1),10(2),…は、計測した深部体温をアドバタイジングパケットに含めて送信する。表示ユニット40は、深部体温の計測結果を表示する。深部体温センサ10(1),10(2),…は、表示ユニット40との無線接続が確立してない場合、人体に貼り付けられている状態か否かの判定結果をアドバタイジングパケットに含めて送信する。表示ユニット40は、深部体温センサ10(1),10(2),…のうちの人体に貼り付けられているセンサを優先して無線接続する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1無線通信装置、および第2無線通信装置を備え、
前記第1無線通信装置は、生体との接触状態を示す状態信号を送信可能であり、
前記第2無線通信装置は、接続処理、および優先処理を実行するように構成され、
前記接続処理は、前記第1無線通信装置と無線接続する処理であり、
前記優先処理は、前記状態信号を入力として、前記生体に接触していない前記第1無線通信装置と比較して、前記生体に接触している前記第1無線通信装置との前記接続処理を優先的に実行する処理を含む無線通信システム。
【請求項2】
前記第2無線通信装置は、強度検出処理、および選択処理を実行するように構成され、
前記強度検出処理は、前記第1無線通信装置から送信される信号の受信強度を検出する処理であり、
前記選択処理は、複数の前記第1無線通信装置のうちの対応する判定強度が最大となる装置との通信を開始することを選択する処理であり、
前記判定強度は、前記受信強度と正の相関を有する変数であり、
前記優先処理は、前記生体と接触している前記第1無線通信装置から送信される信号の前記受信強度に対する前記判定強度の相対的な大きさを、前記生体と接触していない前記第1無線通信装置から送信される信号の前記受信強度に対する前記判定強度の相対的な大きさよりも大きくする処理を含む請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記優先処理は、前記第1無線通信装置が前記生体に接触していない場合、無線接続しない処理を含む請求項1記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第2無線通信装置は、強度検出処理、および強度判定処理を実行するように構成され、
前記強度検出処理は、前記第1無線通信装置から送信される信号の受信強度を検出する処理であり、
前記強度判定処理は、前記受信強度が所定の強度以上であるか否かを判定する処理であり、
前記接続処理は、前記受信強度が前記所定の強度以上であることを条件に前記第1無線通信装置と無線接続する処理であり、
前記優先処理は、前記生体と接触している場合の前記所定の強度を前記生体に接触していない場合の前記所定の強度よりも小さくする処理を含む請求項1記載の無線通信システム。
【請求項5】
第1無線通信装置、および第2無線通信装置を備え、
前記第1無線通信装置は、生体との接触状態を示す状態信号を送信可能であり、
前記第2無線通信装置は、強度検出処理、強度判定処理、および優先処理を実行するように構成され、
前記強度検出処理は、前記第1無線通信装置から送信される信号の受信強度を検出する処理であり、
前記強度判定処理は、前記受信強度が所定の強度以上であるか否かを判定する処理であり、
前記接続処理は、前記受信強度が前記所定の強度以上であることを条件に前記第1無線通信装置と無線接続する処理であり、
前記優先処理は、前記生体と接触している場合の前記所定の強度を前記生体に接触していない場合の前記所定の強度よりも小さくする処理を含む無線通信システム。
【請求項6】
前記第1無線通信装置は、前記生体の状態を感知するセンサの検出値を入力として、前記生体と接触しているか否かを判定する接触判定処理を実行するように構成され、
前記状態信号は、前記接触判定処理による判定結果を示す信号である請求項1記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第1無線通信装置は、前記状態信号を送信する状態信号送信処理を実行可能であり、
前記第2無線通信装置は、前記状態信号を入力として、前記生体と接触しているか否かを判定する接触判定処理を実行するように構成され、
前記状態信号送信処理は、前記生体の状態を感知するセンサの検出値を入力として、前記状態信号を送信する処理である請求項1記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記センサは、第1温度センサ、第2温度センサ、および熱抵抗体を備え、
前記第1温度センサは、前記第2温度センサよりも前記生体の近くに配置されるものであり、
前記第2温度センサは、前記熱抵抗体を介して前記第1温度センサと対向するセンサである請求項6または7記載の無線通信システム。
【請求項9】
外部の無線通信装置へ状態信号を送信可能であり、
前記状態信号は、生体との接触状態の有無を示す信号である無線通信装置。
【請求項10】
受信処理、接続処理および優先処理を実行するように構成され、
前記受信処理は、外部の無線通信装置との無線接続が確立していない状態において、前記外部の無線通信装置が送信した信号を受信する処理であり、
前記送信した信号には、状態信号が含まれ、
前記状態信号は、前記外部の無線通信装置と生体との接触状態の有無を示す信号であり、
前記接続処理は、前記外部の無線通信装置と無線接続する処理であり、
前記優先処理は、前記状態信号を入力として、前記外部の無線通信装置が前記生体に接触している場合に接触していない場合よりも前記接続処理を優先的に実行する処理を含む無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、および無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば下記特許文献1には、Bluetooth(登録商標)を用いた無線通信システムが記載されている。この無線通信システムは、通信装置と、情報処理装置と、を備える。情報処理装置は、アドバタイズ情報の電波強度に加えて、通信装置が据え置きの機器であるか否かに応じて通信装置との接続の可否を判定する装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通信装置が生体と接触している場合には、接触してない場合と比較して、情報処理装置におけるアドバタイズ情報の電波強度が小さくなる。そのため、電波強度に応じて接続の可否を判定する場合には、接続すべき通信装置と適切に接続ができないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく、無線通信システムは、複数の第1無線通信装置、および第2無線通信装置を備え、前記第1無線通信装置は、生体との接触状態を示す状態信号を送信可能であり、前記第2無線通信装置は、接続処理、および優先処理を実行するように構成され、前記接続処理は、前記第1無線通信装置と無線接続する処理であり、前記優先処理は、前記状態信号を入力として、前記生体に接触していない前記第1無線通信装置と比較して、前記生体に接触している前記第1無線通信装置との前記接続処理を優先的に実行する処理を含む。
【0006】
上記構成では、第1無線通信装置が生体に接触している場合に接触していない場合と比較して、第2無線通信装置が接続処理を優先的に実行する。これにより、次の場合等に、第1無線通信装置と適切に無線接続できる。第1の場合とは、第1無線通信装置が生体と接触しているときに第1無線通信装置との無線接続を意図する場合である。第2の場合とは、第1無線通信装置からの無線信号の受信強度から把握される距離に基づき第1無線通信装置と無線接続するか否かを決定する場合である。
【発明の効果】
【0007】
第1無線通信装置と適切に接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態にかかる無線通信システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、同実施形態にかかる深部体温センサが実行する処理の手順を示す流れ図である。
【
図3】
図3は、同実施形態にかかる深部体温センサが実行する処理の一部の詳細な手順を示す流れ図である。
【
図4】
図4は、同実施形態にかかる表示ユニットが実行する処理の手順を示す流れ図である。
【
図5】
図5は、同実施形態にかかる通信処理のシーケンスを例示するタイムチャートである。
【
図6】
図6は、第2の実施形態にかかる表示ユニットが実行する処理の手順を示す流れ図である。
【
図7】
図7は、同実施形態にかかる深部体温センサが実行する処理の手順を示す流れ図である。
【
図8】
図8は、同実施形態にかかる表示ユニットが実行する処理の手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
[システム構成について]
図1に、本実施形態にかかる無線通信システムを示す。
【0010】
図1に示す深部体温センサ10(1),10(2),…は、人の深部体温を検出するセンサである。深部体温センサ10(1),10(2),…に付与された符号のうちカッコ内の数字は、個体の相違を示す。なお、以下では、複数の深部体温センサ10(1),10(2),…を総括する場合、深部体温センサ10と記載する。
【0011】
深部体温センサ10は、温度感知部20と、制御装置30とを備える。温度感知部20は、第1温度センサ22、第2温度センサ24および熱抵抗体26を備えている。第1温度センサ22および第2温度センサ24は、たとえばサーミスタであってよい。熱抵抗体26は、第1温度センサ22および第2温度センサ24に挟まれている。第1温度センサ22は、第2温度センサ24と比較して人体に近い位置に配置される。したがって、第2温度センサ24は、熱抵抗体26を介して人体に対向する。具体的には、深部体温センサ10は、たとえば、人体の所定箇所に固定される。
【0012】
制御装置30は、第1温度センサ22によって検出される第1温度T1および第2温度センサ24によって検出される第2温度T2に基づき、人の深部体温を計測する。制御装置30は、PU32、記憶装置34、および通信機36を備えている。PU32は、CPU、GPU、およびTPU等のソフトウェア処理装置である。記憶装置34は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ、およびディスク媒体等の記憶媒体であってもよい。PU32は、記憶装置34に記憶されたプログラムを実行することによって、深部体温を計測する処理を実行する。通信機36は、表示ユニット40との無線通信をするための装置である。本実施形態では、深部体温センサ10と表示ユニット40との通信に用いられる通信方式として、Bluetooth(登録商標)の規格を採用する。詳しくは、Bluetooth Low Energy(BLE)の規格を採用する。
【0013】
表示ユニット40は、深部体温センサ10から送信された深部体温の測定結果を表示する機能を有する。表示ユニット40は、PU42、記憶装置44、通信機46、および表示装置48を備える。PU42は、CPU、GPU、およびTPU等のソフトウェア処理装置である。記憶装置44は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ、およびディスク媒体等の記憶媒体であってもよい。PU42は、記憶装置44に記憶されたプログラムを実行することによって、測定結果を表示する処理を実行する。
【0014】
[無線接続の確立に関する処理]
表示ユニット40は、深部体温センサ10(1),10(2),…のうちの1つと選択的に無線接続を確立する。ここで、無線接続を確立するとは、表示ユニット40が深部体温センサ10(1),10(2),…のうちの1つとの選択的な双方向通信をすることを意味する。深部体温センサ10(1),10(2),…のうちの1つと表示ユニット40とが無線接続されている期間、深部体温センサ10(1),10(2),…のうちの他のセンサと表示ユニット40との間に双方向通信がなされることはない。
【0015】
また、選択的に無線接続を確立するための制御は、接続対象を次のものとすることを意図する。すなわち、深部体温センサ10(1),10(2),…のうちの実際に人の深部体温を測定しているセンサを接続対象とすることを意図する。また、表示ユニット40は、深部体温センサ10(1),10(2),…のうちの実際に人の深部体温を測定しているセンサが複数存在する場合、表示ユニット40に最も近いセンサを接続対象とすることを意図する。以下、これについて、
図2~
図5に基づき説明する。
【0016】
図2は、ペリフェラルとしての深部体温センサ10が実行する処理の手順を示す。
図2に示す処理は、記憶装置34に記憶されたプログラムをPU32がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、
図3には、
図2の処理の一部の詳細な手順を示す。また、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって、各処理のステップ番号を表現する。
【0017】
一方、
図4は、セントラルとしての表示ユニット40が実行する処理の手順を示す。
図4に示す処理は、記憶装置44に記憶されたプログラムをPU42がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
【0018】
図5は、
図2~
図4の処理によって実現される通信のシーケンスを例示する。なお、
図2および
図4の処理のうち、
図5に示すシーケンスに対応する処理については、「seq1」~「seq5」の記号を記載している。以下では、無線接続が確立するまでの時系列に従って
図2~
図4に示す処理を説明する。
【0019】
図2に示す一連の処理において、深部体温センサ10のPU32は、まず、第1温度センサ22によって検出される第1温度T1および第2温度センサ24によって検出される第2温度T2を取得する(S10)。次にPU32は、表示ユニット40との無線接続が確立しているか否か、換言すれば表示ユニット40との接続状態であるか否かを判定する(S12)。PU32は、未だ無線接続が確立していないと判定する場合(S12:NO)、深部体温センサ10が人体に貼り付けられた状態であるか否かを判定する処理を実行する(S14)。
【0020】
図3に、S14の処理の詳細な手順を示す。
図3に示す一連の処理において、PU32は、状態フラグFが「1」であるか否かを判定する(S40)。状態フラグFは、「1」である場合に、深部体温センサ10が人体に貼り付けられた状態であることを示す。一方、状態フラグFは、「0」である場合に、深部体温センサ10が人体に貼り付けられていない状態であることを示す。PU32は、状態フラグFが「0」であると判定する場合(S40:NO)、第1温度T1から第2温度T2を減算した値が閾値ΔT以上であるか否かを判定する(S42)。PU32は、閾値ΔT以上であると判定する場合(S42:YES)、カウンタCを「1」だけ増加させる(S44)。カウンタCは、上記減算した値が閾値ΔT以上となる継続時間を計時するためのカウンタである。次にPU32は、カウンタCが閾値Cth以上であるか否かを判定する(S46)。この処理は、深部体温センサ10が人体に貼り付けられているか否かを判定する処理である。すなわち、深部体温センサ10が人体に貼り付けられている場合、第1温度T1は、第2温度T2よりも人体に近い位置の温度である。特に、第2温度T2は、人体からの熱が伝達された熱抵抗体26の温度である。ここで、人体からの熱は第1温度センサ22から第2温度センサ24へと進むにつれて減少する。したがって、第2温度T2は第1温度T1よりも低くなる。上記閾値Cthは、ノイズによる誤判定を抑制するための値に設定されている。
【0021】
PU32は、カウンタCが閾値Cth以上であると判定する場合(S46:YES)、深部体温センサ10が人体に貼り付けられている状態であると判定することによって、状態フラグFに「1」を代入する(S48)。一方、PU32は、閾値ΔT未満であると判定する場合(S42:NO)、カウンタCを初期化する(S50)。
【0022】
また、PU32は、状態フラグFが「1」であると判定する場合(S40:YES)、第1温度T1から第2温度T2を減算した値が閾値ΔT未満であるか否かを判定する(S52)。PU32は、減算した値が閾値ΔT未満であると判定する場合(S52:YES)、深部体温センサ10が人体に貼り付けられていない状態であると判定することによって、状態フラグFに「0」を代入する(S54)。
【0023】
なお、PU32は、S48,S50,S54の処理を完了する場合と、S46,S52の処理において否定判定する場合と、には、
図2に示したS14の処理を完了する。
図2に戻り、PU32は、S14の判定結果に応じてアドバタイジングパケットを更新する(S16)。すなわち、アドバタイジングパケットには、S14の判定結果に関するデータが含まれている。S16の処理は、アドバタイジングパケットに含めるS14の判定結果に関するデータを最新のデータに更新する処理を含む。
【0024】
次にPU32は、通信機36を操作することによって、アドバタイジングパケットを送信する(S18)。S18の処理によって送信されるデータには、深部体温センサ10を特定するデータが含まれる。すなわち、たとえば、S18の処理の実行主体が、深部体温センサ10(1)のPU32の場合、深部体温センサ10(1)であることを特定するデータが含まれる。この処理は、セントラルとしての表示ユニット40に、深部体温センサ10(1)が表示ユニット40と無線接続することが可能であることを知らせるための処理である。
【0025】
一方、
図4に示すように、表示ユニット40のPU42は、複数の深部体温センサ10(1),10(2),…のいずれかと接続状態であるか否かを判定する(S60)。そして、PU42は、複数の深部体温センサ10(1),10(2),…のいずれとも無線接続が確立していないと判定する場合(S60:NO)、周囲の深部体温センサ10からのアドバタイジング信号を受信するパッシブスキャンを実行する(S62)。これにより、S18の処理によって送信されたアドバタイジングパケットが受信される。なお、
図5には、S18,S62の処理に関するシーケンスに「seq1」を記載している。
【0026】
次にPU42は、受信したアドバタイジング信号の強度である受信強度RSSIを検出する(S64)。これは、アドバタイジングパケットに、受信強度RSSIを検出するためのデータを含めることで行ってもよい。次にPU42は、アドバタイジングパケットから、判定結果を抽出する(S66)。そしてPU42は、抽出した判定結果が、人体に貼り付けられた状態である旨の判定結果であるか否かを判定する(S68)。PU42は、人体に貼り付けられた状態である旨の判定結果であると判定する場合(S68:YES)、受信強度RSSIを増加補正した値を判定強度に代入する(S70)。
【0027】
S70の処理は、以下の(a)および(b)を狙いとする。
(a)深部体温センサ10が人体に貼り付けられることによって貼り付けられていない場合よりも受信強度RSSIが小さくなることを補償すること。すなわち、人体には所定量の水分が含まれる。そして、本実施形態における無線通信で用いられる電波の周波数帯は、水分によって吸収されやすい。この周波数帯は、たとえば「2.4GHz帯」である。したがって、表示ユニット40との距離が同一であっても、深部体温センサ10が人体に貼り付けられた状態の場合にはそうではない場合と比較して、受信強度RSSIが低下しやすい。
【0028】
(b)人体に貼り付けられている深部体温センサ10を表示ユニット40に優先的に無線接続すること。上述したように、本実施形態では、表示ユニット40との接続対象を、人体に貼り付けられている深部体温センサ10とすることを意図している。そのため、後述のS74の処理によって選択される可能性を高めるために、受信強度RSSIの割に判定強度を大きくする。
【0029】
一方、PU42は、深部体温センサ10が人体に貼り付いていない旨の判定結果である場合(S68:NO)、判定強度に受信強度RSSIを代入する(S71)。
PU42は、S70,S71の処理を完了する場合、判定強度が所定値以上であるか否かを判定する(S72)。この処理は、表示ユニット40から過度に遠い距離にある深部体温センサ10を接続対象から外すための処理である。なお、S64~S72の処理は、複数の深部体温センサ10(1),10(2),…のうちの、S62の処理によってアドバタイジング信号を受信できた全てのセンサについて、それぞれ実行される。
【0030】
PU72は、複数の深部体温センサ10(1),10(2),…の少なくとも1つに関する判定強度が所定値以上であると判定される場合(S72:YES)、判定強度が最大の深部体温センサ10を選択する(S74)。なお、判定強度が所定値以上となる深部体温センサ10が1個もない場合には、
図4に破線にて示すように、
図4に示す一連の処理を一旦終了する。
【0031】
以下では、説明の便宜上、判定強度が最大の深部体温センサ10を、深部体温センサ10(1)とする。次にPU42は、通信機46を操作することによって、選択した深部体温センサ10(1)に対してスキャン要求(Scan Request)を送信することによって、アクティブスキャンモードに移行する(S76)。
【0032】
これに対し、
図2に示すように、深部体温センサ10(1)のPU32は、スキャン要求があるか否かを判定する(S20)。なお、
図5には、S76,S20の処理に対応するシーケンスに「seq2」と記載している。PU32は、スキャン要求があると判定する場合(S20:YES)、スキャン応答に対して応答する(S22)。すなわち、PU32は、通信機36を操作することによって、「Scan Response」を送信する。
【0033】
これに対し、
図4に示すように、表示ユニット40のPU42は、「Scan Response」を受信する(S78)。なお、
図5には、S22,S78の処理に対応するシーケンスを、「seq3」と記載している。
【0034】
図4に戻り、PU42は、通信機46を操作することによって、深部体温センサ10(1)に接続要求を出す(S80)。これに対し、
図2に示すように、深部体温センサ10(1)のPU32は、接続要求を受信する(S24)。なお、
図5には、S80,S24の処理に対応するシーケンスに、「seq4」と記載している。
【0035】
図2に戻り、PU32は、表示ユニット40との無線接続を確立する(S26)。
PU32は、S26の処理を完了する場合と、S12の処理において肯定判定する場合と、には、深部体温を計測する(S28)。そしてPU32は、通信機36を操作することによって、深部体温の計測データを表示ユニット40に送信する(S30)。なお、PU32は、S30の処理を完了する場合と、S20の処理において否定判定する場合と、には、
図2に示す一連の処理を一旦終了する。
【0036】
これに対し、表示ユニット40のPU42は、計測データを受信する(
図4:S82)。なお、
図5には、S30,S82の処理に対応するシーケンスに、「seq5」と記載している。PU42は、S82の処理を完了する場合と、S60,S72の処理において否定判定する場合と、には、
図4に示す一連の処理を一旦終了する。
【0037】
ちなみに、S80,S26の処理の後に、PU32,PU42は、計測データの授受を行うに先立って、
図5に示すいくつかの処理を実行する。
「本実施形態の作用および効果」
深部体温センサ10のPU32は、電源がオン状態とされると、人体に貼り付けられた状態であるか否かを判定する。そして、判定結果をアドバタイジングパケットに含めたのち、アドバタイジング信号を送信することによって、表示ユニット40に存在を通知する。
【0038】
表示ユニット40のPU42は、複数の深部体温センサ10(1),10(2),…のいずれとも無線通信が確立していない場合、アドバタイジング信号の受信状態とする。そして、PU42は、受信されたアドバタイジング信号の受信強度RSSIを算出する。また、PU42は、アドバタイジング信号に含まれるデータから、深部体温センサ10が人体に貼り付けられているか否かの判定結果を抽出する。そしてPU42は、人体に貼り付けられている深部体温センサ10から受信したアドバタイジング信号の受信強度RSSIを増加補正して判定強度とする。PU42は、アドバタイジング信号が受信された深部体温センサ10のうちの判定強度が最大のものとの無線通信を確立する。
【0039】
ここで、人体に貼り付けられている深部体温センサ10は、深部体温の計測結果を表示ユニット40に表示するために、表示ユニット40との無線接続が望まれる。一方、人体の大部分は水である。そして、深部体温センサ10と表示ユニット40との通信に利用される周波数帯の電波は、水によってその強度が低下しやすい。そのため、表示ユニット40との距離が同一であっても、深部体温センサ10が人体に貼り付けられている場合には貼り付けられていない場合よりも受信強度RSSIが低下しやすい。したがって、受信強度RSSIの大きさのみからは、表示ユニット40との無線接続が望まれる深部体温センサ10を接続対象とする判定がなされない懸念がある。
【0040】
これに対し、上記のように、受信強度RSSIを増加補正した判定強度を用いることにより、接続対象の判定において、人体に貼り付けられることによる受信強度RSSIの低下の影響は抑制される。
【0041】
さらに、上述の(b)の設定は、次のことを意味する。すなわち、人体に貼り付けられている深部体温センサ10の方が人体に貼り付けられていない深部体温センサ10よりも表示ユニット40から所定量遠い場合であっても、人体に貼り付けられている方の判定強度の方が大きくなることを意味する。これにより、人体に貼り付けられている深部体温センサ10を優先的に表示ユニット40との接続対象とすることができる。
【0042】
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する作用および効果が得られる。
(1-1)表示ユニット40のPU42は、深部体温センサ10の送信する信号に応じた判定強度が所定値以上であることを条件に、深部体温センサ10を接続対象の候補とした。これにより、過度に遠い位置にある深部体温センサ10を接続対象の候補とすることを抑制できる。さらに、PU42は、深部体温センサ10が人体に貼り付いている場合、受信強度RSSIに対して判定強度を増加補正した。そのため、接続対象の候補とする上での条件である、受信強度RSSIが所定の強度以上である旨の条件に関し、深部体温センサ10が人体に貼り付いている場合の所定の強度が貼り付いていない場合よりも小さくなる。したがって、深部体温センサ10が人体に貼り付いていることに起因して表示ユニット40との距離の割に受信強度RSSIが小さくなったとしても、接続対象の候補とすることが可能となりやすい。
【0043】
(1-2)深部体温センサ10から表示ユニット40に、人体に貼り付けられた状態か否かの判定結果に関するデータがアドバタイジングパケットに含まれる信号を送信した。これにより、表示ユニット40において、深部体温センサ10が人体に貼り付けられた状態か否かを迅速に把握できる。
【0044】
(1-3)深部体温センサ10のPU32は、第1温度T1および第2温度T2を入力として人体に貼り付いているか否かを判定した。第2温度T2を出力する第2温度センサ24は熱抵抗体26を介して人体に対向するセンサである。そのため、深部体温センサ10が人体に貼り付いている場合には、第2温度T2と第1温度T1とに相違が生じやすい。一方、深部体温センサ10が人体に貼り付いていない場合には、第1温度T1および第2温度T2がいずれも外気温に近似しやすい。そのため、第1温度T1および第2温度T2を用いることによって、人体に貼り付いているか否かを高精度に判定できる。
【0045】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0046】
上記第1の実施形態において、PU42は、受信強度RSSIと正の相関を有する判定強度に応じて表示ユニット40との接続対象を決定した。これに対し、本実施形態では、人体に貼り付けられていない深部体温センサ10を接続対象の候補から除外する。
【0047】
図6に、表示ユニット40のPU42が実行する処理の手順を示す。
図6において、
図4に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付与してその説明を省略する。
【0048】
図6に示す一連の処理において、PU42は、人体に貼り付いていないと判定する場合(S68:NO)、その深部体温センサ10を接続対象の候補から外すべく、
図6に示す一連の処理を一旦終了する。
【0049】
一方、PU42は、人体に貼り付いていると判定する場合(S68:YES)、受信強度RSSIが所定値以上であるか否かを判定する(S72a)。そしてPU42は、受信強度RSSIが所定値以上であると判定する場合(S72a:YES)、受信強度RSSIが最大の深部体温センサ10を選択する(S74a)。なお、受信強度RSSIが所定値以上となる深部体温センサ10が1個もない場合には、
図6に破線にて示すように、
図6に示す一連の処理を一旦終了する。
【0050】
一方、PU42は、最大の深部体温センサ10を選択すると、S76以降の処理を実行する。なお、PU42は、受信強度RSSIが所定値未満であると判定する場合(S72a:NO)、
図6に示す一連の処理を一旦終了する。
【0051】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態の上記(1-2),(1-3)の効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
(2-1)表示ユニット40のPU42は、人体に貼り付けられていない深部体温センサ10を接続対象の候補から除外した。これにより、表示ユニット40に接続するセンサを、深部体温センサ10(1),10(2),…のうちの深部体温を計測しているセンサに限ることができる。
【0052】
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0053】
上記第1の実施形態では、深部体温センサ10のPU32が
図3に示した処理を実行した。これに対し、本実施形態では、表示ユニット40のPU42が
図3に示した処理を実行する。
【0054】
図7に、本実施形態にかかる深部体温センサ10のPU32が実行する処理の手順を示す。
図7に示す処理は、記憶装置34に記憶されたプログラムをPU32がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、
図7において
図2に示した処理に対応する処理については、同一のステップ番号を付与してその説明を省略する。
【0055】
図7に示す一連の処理において、PU32は、まず、S12の処理において否定判定する場合、アドバタイジングパケット中の第1温度T1および第2温度T2をS10の処理によって取得した値に更新する(S16a)。すなわち、本実施形態では、アドバタイジングパケットに、
図3の処理による判定結果に代えて、第1温度T1および第2温度T2を含める。
【0056】
なお、PU32は、S16aの処理を完了する場合、S18の処理に移行する。
図8に、本実施形態にかかる表示ユニット40のPU42が実行する処理の手順を示す。
図8に示す処理は、記憶装置44に記憶されたプログラムをPU42がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、
図8において
図4に示した処理に対応する処理については、同一のステップ番号を付与してその説明を省略する。
【0057】
図8に示す一連の処理において、PU42は、
図4のS66の処理に代えて、アドバタイジングパケットから第1温度T1および第2温度T2を抽出する処理を実行する(S66a)。そして、PU42は、
図2のS14の処理を実行した後、S68の処理に移行する。
【0058】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態の上記(1-1),(1-3)の効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
(3-1)表示ユニット40のPU42が人体に貼り付いているか否かの判定を実行した。これにより、深部体温センサ10のPU32が同判定を実行する場合と比較して、深部体温センサ10の演算負荷を軽減できる。
【0059】
<対応関係>
上記実施形態における事項と、下記の「付記」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「付記」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]第1無線通信装置は、深部体温センサ10に対応する。第2無線通信装置は、表示ユニット40に対応する。接続処理は、S80の処理に対応する。優先処理は、
図4および
図8におけるS68,S70の処理と、
図6のS68において否定判定される場合にS72a以降の処理を実行しないことと、に対応する。「第1無線通信装置を複数備え」は、
図1において、表示ユニット40との無線接続の対象となりうる深部体温センサ10が複数存在することに対応する。[2]強度検出処理は、S64の処理に対応する。選択処理は、S74の処理に対応する。受信強度は、S64の処理によって検出された受信強度RSSIに対応する。S70の処理がなされる場合、受信強度よりも判定強度の方が大きい一方、S70の処理がなされない場合、受信強度と判定強度とが一致する。したがって、受信強度に対する判定強度の相対的な大きさは、S70の処理がなされる場合の方が大きい。[3]
図6のS68において否定判定される場合にS72a以降の処理を実行しないことに対応する。[4,5]強度検出処理は、S64の処理に対応する。強度判定処理は、
図4および
図8のS72の処理と、
図6におけるS72aの処理と、に対応する。
図4および
図8において、所定の強度は、貼付状態でない場合、S72の処理における所定値に対応する。
図4および
図8において、所定の強度は、貼付状態の場合、S72の処理における所定値から、S70の処理における増加補正量を減算した値に対応する。[6]接触判定処理は、
図3に示した処理に対応する。センサは、温度感知部20に対応する。[7]
図7および
図8の処理に対応する。状態信号は、第1温度T1および第2温度T2を含むアドバタイジングパケットを示す信号に対応する。センサは、温度感知部20に対応する。[8]第1温度センサ、第2温度センサ、および熱抵抗体は、それぞれ、第1温度センサ22、第2温度センサ24、および熱抵抗体26に対応する。[9]無線通信装置は、深部体温センサ10に対応する。[10]無線通信装置は、表示ユニット40に対応する。受信処理は、S62の処理に対応する。優先処理は、
図4および
図8におけるS68,S70の処理と、
図6のS68において否定判定される場合にS72a以降の処理を実行しないことと、に対応する。
【0060】
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0061】
「状態信号について」
・表示ユニット40が生体の接触の有無を判定することなく生体の接触の有無を把握できる状態信号としては、S14の処理の判定結果を示すデータがアドバタイジングパケットに含まれる信号に限らない。たとえば、深部体温センサ10が生体と接触している場合に限って深部体温を計測する処理を実行することとする場合、次の信号を状態信号としてもよい。すなわち、都度の深部体温、または深部体温を計測できない旨のいずれかを示すデータがアドバタイジングパケットに含まれる信号を状態信号としてもよい。
【0062】
・
図7のS18の処理では、第1温度T1および第2温度T2を示すデータをアドバタイジングパケットに含めたが、これに限らない。たとえば第1温度T1および第2温度T2の差を示すデータをアドバタイジングパケットに含めてもよい。
【0063】
「優先処理について」
・受信強度に対する判定強度の相対的な大きさを、接触状態の有無に応じて変更する処理としては、S68~S71の処理に限らない。たとえば、S71の処理において受信強度RSSIを減少補正した値を判定強度に代入する一方、S70の処理において受信強度RSSIを判定強度に代入してもよい。またたとえば、S71の処理において受信強度RSSIを減少補正した値を判定強度に代入する一方、S70の処理において受信強度RSSIを増加補正した値を判定強度に代入してもよい。
【0064】
・受信強度に対する判定強度の相対的な大きさを、接触状態の有無に応じて変更する処理としては、相対的な大きさを上記実施形態と同様に変更する処理に限らない。たとえば、S70の処理に代えて、同一の距離である場合に生体と接触しているか否かにかかわらず判定強度が等しくなるように、受信強度RSSIを増加補正する処理を実行してもよい。
【0065】
「強度判定処理について」
・S72の処理に代えて、受信強度RSSIと閾値との大小を比較する処理を採用してもよい。その場合、接触状態の場合の閾値を接触状態でない場合の閾値よりも小さい値とする。その場合、閾値は、所定の強度を示す。
【0066】
・受信強度RSSIが所定の強度以上であるか否かを判定する処理を設けることは必須ではない。
「接触判定処理について」
・たとえば下記「センサについて」の欄に記載したように、生体の状態を感知するセンサが心拍数を計測するセンサの場合、生体の心拍数として取り得る範囲内の心拍数が計測される場合に接触状態と判定すればよい。またたとえば、下記「センサについて」の欄に記載したように、生体の状態を感知するセンサがパルスオキシノメータの場合、生体の取り得る範囲の酸素濃度が計測されている場合に接触状態と判定すればよい。またたとえば、下記「センサについて」の欄に記載したように、生体の状態を感知するセンサが2個以上の生体の状態を感知するセンサである場合、それら2個以上の生体の状態の計測結果に基づいて生体との接触の有無を判定してもよい。
【0067】
「生体について」
・生体としては、人体に限らない。たとえば実験用のマウスの身体であってもよい。
「深部体温センサについて」
・深部体温センサとしては、
図1に示した温度感知部20を備えるセンサに限らない。
【0068】
「センサについて」
・生体の状態を感知するセンサとしては、深部体温センサに限らない。たとえば、心拍数を計測するセンサであってもよい。またたとえば、パルスオキシノメータであってもよい。なお、生体の状態を感知するセンサが一種類の生体の状態を感知するセンサであることも必須ではない。たとえば、深部体温センサと心拍数を計測するセンサ等、2個以上の生体の状態を感知するセンサであってもよい。
【0069】
「第1無線通信装置について」
・第1無線通信装置がセンサを備えることは必須ではない。たとえばユーザの個人情報を記憶した記憶装置を備えてもよい。その場合であって、たとえばユーザの個人情報を知りたいために第1無線通信装置との無線接続を確立するのであれば、生体に接触している場合に優先的に無線接続することは有効である。
【0070】
・第1無線通信装置としては、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態において実行される処理の少なくとも一部を実行するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、第1無線通信装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成を備える処理回路を含んでいればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶する記憶装置等のプログラム格納装置とを備える処理回路。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える処理回路。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える処理回路。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置は、複数であってもよい。また、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
【0071】
「第2無線通信装置について」
・第2無線通信装置としては、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態において実行される処理の少なくとも一部を実行するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、第2無線通信装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成を備える処理回路を含んでいればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶する記憶装置等のプログラム格納装置とを備える処理回路。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える処理回路。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える処理回路。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置は、複数であってもよい。また、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
【0072】
「無線通信システムについて」
・無線通信システムが複数の深部体温センサ10を備えることは必須ではない。単一の深部体温センサ10のみを備える場合であっても、たとえば、PU42が、S72の処理を実行する場合には、S68~S71の処理を実行することは有効である。その場合、PU42は、判定強度が所定値以上であるか否かに応じて接続処理を行うかどうかを決定する。すなわち、PU42は、判定強度が所定値未満である場合、接続処理を行わない。PU42は、判定強度が所定値以上である場合、接続処理を行う。ここで、S70,S72の処理によれば、生体と接触している場合の判定強度が生体に接触していない場合の判定強度よりも大きくなる。
【0073】
「そのほか」
・通信方式としては、BLEに限らない。
<付記>
上記実施形態および変更例から導き出せる技術思想を以下に記載する。
【0074】
1.複数の第1無線通信装置、および第2無線通信装置を備え、前記第1無線通信装置は、生体との接触状態を示す状態信号を送信可能であり、前記第2無線通信装置は、接続処理、および優先処理を実行するように構成され、前記接続処理は、前記第1無線通信装置と無線接続する処理であり、前記優先処理は、前記状態信号を入力として、前記生体に接触していない前記第1無線通信装置と比較して、前記生体に接触している前記第1無線通信装置との前記接続処理を優先的に実行する処理を含む無線通信システム。
【0075】
2.前記第2無線通信装置は、強度検出処理、および選択処理を実行するように構成され、前記強度検出処理は、前記第1無線通信装置から送信される信号の受信強度を検出する処理であり、前記選択処理は、複数の前記第1無線通信装置のうちの対応する判定強度が最大となる装置との通信を開始することを選択する処理であり、前記判定強度は、前記受信強度と正の相関を有する変数であり、前記優先処理は、前記生体と接触している前記第1無線通信装置から送信される信号の前記受信強度に対する前記判定強度の相対的な大きさを、前記生体と接触していない前記第1無線通信装置から送信される信号の前記受信強度に対する前記判定強度の相対的な大きさよりも大きくする処理を含む上記1記載の無線通信システムである。
【0076】
3.前記優先処理は、前記第1無線通信装置が前記生体に接触していない場合、無線接続しない処理を含む上記1記載の無線通信システム。
4.前記第2無線通信装置は、強度検出処理、および強度判定処理を実行するように構成され、前記強度検出処理は、前記第1無線通信装置から送信される信号の受信強度を検出する処理であり、前記強度判定処理は、前記受信強度が所定の強度以上であるか否かを判定する処理であり、前記接続処理は、前記受信強度が前記所定の強度以上であることを条件に前記第1無線通信装置と無線接続する処理であり、前記優先処理は、前記生体と接触している場合の前記所定の強度を前記生体に接触していない場合の前記所定の強度よりも小さくする処理を含む上記1~3のいずれか1つに記載の無線通信システムである。
【0077】
5.第1無線通信装置、および第2無線通信装置を備え、前記第1無線通信装置は、生体との接触状態を示す状態信号を送信可能であり、前記第2無線通信装置は、強度検出処理、強度判定処理、および優先処理を実行するように構成され、前記強度検出処理は、前記第1無線通信装置から送信される信号の受信強度を検出する処理であり、前記強度判定処理は、前記受信強度が所定の強度以上であるか否かを判定する処理であり、前記接続処理は、前記受信強度が前記所定の強度以上であることを条件に前記第1無線通信装置と無線接続する処理であり、前記優先処理は、前記生体と接触している場合の前記所定の強度を前記生体に接触していない場合の前記所定の強度よりも小さくする処理を含む無線通信システムである。
【0078】
6.前記第1無線通信装置は、前記生体の状態を感知するセンサの検出値を入力として、前記生体と接触しているか否かを判定する接触判定処理を実行するように構成され、前記状態信号は、前記接触判定処理による判定結果を示す信号である上記1~5のいずれか1つに記載の無線通信システム。
【0079】
7.前記第1無線通信装置は、前記状態信号を送信する状態信号送信処理を実行可能であり、前記第2無線通信装置は、前記状態信号を入力として、前記生体と接触しているか否かを判定する接触判定処理を実行するように構成され、前記状態信号送信処理は、前記生体の状態を感知するセンサの検出値を入力として、前記状態信号を送信する処理である上記1~5のいずれか1つに記載の無線通信システムである。
【0080】
8.前記センサは、第1温度センサ、第2温度センサ、および熱抵抗体を備え、前記第1温度センサは、前記第2温度センサよりも前記生体の近くに配置されるものであり、前記第2温度センサは、前記熱抵抗体を介して前記第1温度センサと対向するセンサである上記6または7記載の無線通信システムである。
【0081】
9.外部の無線通信装置へ状態信号を送信可能であり、前記状態信号は、生体との接触状態の有無を示す信号である無線通信装置。である。
10.受信処理、接続処理および優先処理を実行するように構成され、前記受信処理は、外部の無線通信装置との無線接続が確立していない状態において、前記外部の無線通信装置が送信した信号を受信する処理であり、前記送信した信号には、状態信号が含まれ、前記状態信号は、前記外部の無線通信装置と生体との接触状態の有無を示す信号であり、前記接続処理は、前記外部の無線通信装置と無線接続する処理であり、前記優先処理は、前記状態信号を入力として、前記外部の無線通信装置が前記生体に接触している場合に接触していない場合よりも前記接続処理を優先的に実行する処理を含む無線通信装置。
【符号の説明】
【0082】
10…深部体温センサ
20…温度感知部
22…第1温度センサ
24…第2温度センサ
26…熱抵抗体
30…制御装置
34…記憶装置
36…通信機
40…表示ユニット
44…記憶装置
46…通信機
48…表示装置