(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049250
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】ショッピングカート
(51)【国際特許分類】
B62B 3/00 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
B62B3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155609
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】592029016
【氏名又は名称】株式会社スーパーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
(72)【発明者】
【氏名】山下 智則
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3D050BB03
3D050BB05
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG06
(57)【要約】
【課題】カゴ載せ部の数を増やせるようにする。コインロック装置40の吊下したキーが、ネスティングする別のショッピングカートのカゴ載せ部の底面部を貫通しないようにして、ネスティング及びその解除がスムースに且つ損傷なく行えるようにする。
【解決手段】ショッピングカート1は、設置高さが相異なる複数のカゴ載せ部6~9と、一番上のカゴ載せ部9よりも高い所で左右方向に延びるハンドル5と、ハンドル5に取り付けられたコインロック装置40とを備える。ハンドル5の下面から一番上のカゴ載せ部9の底面部30の最も高い箇所までの上下方向間隔Yが、ハンドル5の下面からキー45の吊下時の下端までの上下方向長さKよりも小さいように、一番上のカゴ載せ部9を設置する。前記底面部30の、吊下したキー45が接触しながら前後に通過する所定箇所に、該キー45が下方へ貫通しない面材34を設ける。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置高さが相異なる複数のカゴ載せ部(6~9)と、
一番上のカゴ載せ部(9)よりも高い所で左右方向に延びるハンドル(5)と、
キー挿入部(42)及びコイン挿入部(43)を有するコインロック本体(41)にチェーン(44)を介してキー(45)を接続してなり、ハンドル(5)に取り付けられたコインロック装置(40)とを備えるショッピングカートにおいて、
コインロック装置(40)近傍のハンドル(5)の下面から一番上のカゴ載せ部(9)の底面部(30)の最も高い箇所までの上下方向間隔(Y)が、コインロック装置(40)近傍のハンドル(5)の下面からキー(45)の吊下時の下端までの上下方向長さ(K)よりも小さいように、一番上のカゴ載せ部(9)を設置し、
一番上のカゴ載せ部(9)の底面部(30)の、少なくともネスティング時に他のショッピングカートカートの吊下したキー(45)が接触しながら前後に通過する所定箇所に、該キー(45)が下方へ貫通しない面材(34)を設けたことを特徴とするショッピングカート。
【請求項2】
ハンドル(5)は、ショッピングカートの左右フレーム(4,4)を繋ぐ1本のバー状であり、該ハンドル(5)の左右方向中央部にコインロック装置(40)が取り付けられた請求項1記載のショッピングカート。
【請求項3】
複数のカゴ載せ部は、4つのカゴ載せ部(6~9)である請求項1記載のショッピングカート。
【請求項4】
面材は、穴のない面材、又は、キーの一部が貫通しない穴のある面材(34)である請求項1記載のショッピングカート。
【請求項5】
一番上のカゴ載せ部(9)の底面部(30)の全体がメッシュ状に組んた金属線材で形成され、該底面部(30)の前記所定箇所に前記面材が取り付けられた請求項1~4のいずれか一項に記載のショッピングカート。
【請求項6】
一番上のカゴ載せ部(9)の底面部(30)の全体がキー(45)の一部が貫通しない面材(34)で形成された請求項1~4のいずれか一項に記載のショッピングカート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット、コンビニ、ショッピングセンター等の販売店で買い物をする際に使用するショッピングカートに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者が、ショッピングカートを駐車場に移動させて購入品を自分の自動車に移した後に、該ショッピングカートを所定の集積場所に戻すことなく該自動車に近くに放置することがよくある。そのため、広い駐車場のあちらこちらに放置されたショッピングカートをスタッフが所定の時間おきにまとめて集積場所に戻して回収しているが、その回収作業は重労働であり、人件費もかかる。
【0003】
そこで近年、いわゆるコインロック式のショッピングカートが広まってきている(特許文献1等)。これは、キー挿入部及びコイン挿入部を有するコインロック本体にチェーンを介してキーを接続してなるコインロック装置を、ショッピングカートに取り付け、
(1)集積場所でネスティングした前後のショッピングカートの一方のコインロック装置のキー挿入部に他方のコインロック装置のキーを挿入してロックすることで、両ショッピングカートをチェーンを介して連結し、
(2)一方のコインロック装置のコイン挿入部にコインを挿入すると前記ロックが解除され、両ショッピングカートの連結が解除され、一方のショッピングカートが使用可能になり、
(3)該使用後の一方のショッピングカートを集積場所に戻して他方のショッピングカートにネスティングし、一方のコインロック装置のキー挿入部に他方のコインロック装置のキーを挿入してロックすると、コイン挿入部からコインが出てきて返却される、
というものであり、利用者がショッピングカートを集積場所に戻すことが期待できる。
【0004】
コインロック装置のショッピングカートへの取付箇所としては、特許文献1に記載のように、ショッピングカートのハンドルとすることが、キーやコインの取扱性の点で好ましい。その場合、キー及びチェーンはハンドルよりも下方へ吊下するが、その吊下したキー及びチェーンがネスティングする別のショッピングカートの一番上のカゴ載せ部に干渉することはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09-011909号公報
【特許文献2】特許第6796341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ショッピングカートは設置高さが相異なる複数のカゴ載せ部を備えており、かつては該カゴ載せ部が2つのもの(いわゆる2個載せタイプ)が一般的であったが、近年ではまとめ買いの傾向に応じて3つのもの(いわゆる3個載せタイプ)が増えてきており、さらには4つのものも現れている(特許文献2)。
【0007】
上記のコインロック装置は、2個載せタイプや3個載せタイプのショッピングカートのハンドルに取り付けた場合には、上記のとおり吊下したキー及びチェーンが、ネスティングする別のショッピングカートの一番上のカゴ載せ部に干渉することはなかった。
【0008】
しかし、本発明者らが4個載せタイプのショッピングカートを試作し、そのハンドルにコインロック装置を取り付けることを試みると、吊下したキー及びチェーンが、ネスティングする別のショッピングカートの一番上のカゴ載せ部に干渉することが分かった。一番上のカゴ載せ部の位置が、3個載せタイプのそれと比較して、かなり高くなるからである。
【0009】
その干渉が、吊下したキーがカゴ載せ部に単に接触するというものであれば、特に問題はない。しかし、カゴ載せ部は金属線材を目の粗いメッシュ状に組んでなるものがカゴ安定性等の点で一般的であるため、吊下したキーがカゴ載せ部の底面部(の目)を貫通することが考えられる。吊下したキーがカゴ載せ部の底面部を貫通した状態でネスティング又はネスティング解除を行うと、キー又はチェーンとカゴ載せ部とが絡んでネスティング又はネスティング解除が困難になり、無理に続行するとこれらの絡んだ部分が損傷するおそれがある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、ショッピングカートに設ける設置高さが相異なるカゴ載せ部の数を増やす(例えば4つにする)ことができるとともに、ハンドルよりも下方へ吊下したキーが、ネスティングする別のショッピングカートの一番上のカゴ載せ部の底面部を貫通しないようにして、ネスティング又はネスティング解除がスムースに且つ損傷なく行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1]設置高さが相異なる複数のカゴ載せ部と、
一番上のカゴ載せ部よりも高い所で左右方向に延びるハンドルと、
キー挿入部及びコイン挿入部を有するコインロック本体にチェーンを介してキーを接続してなり、ハンドルに取り付けられたコインロック装置とを備えるショッピングカートにおいて、
コインロック装置近傍のハンドルの下面から一番上のカゴ載せ部の底面部の最も高い箇所までの上下方向間隔が、コインロック装置近傍のハンドルの下面からキーの吊下時の下端までの上下方向長さよりも小さいように、一番上のカゴ載せ部を配置し、
一番上のカゴ載せ部の底面部の、少なくともネスティング時に他のショッピングカートカートの吊下したキーが接触しながら前後に通過する所定箇所に、該キーが下方へ貫通しない面材を設けたことを特徴とするショッピングカート。
【0012】
[2]ハンドルは、ショッピングカートの左右フレームを繋ぐ1本のバー状であり、該ハンドルの左右方向中央部にコインロック装置が取り付けられた前記[1]記載のショッピングカート。
【0013】
[3]複数のカゴ載せ部は、4つのカゴ載せ部である前記[1]又は[2]記載のショッピングカート。
【0014】
[4]面材は、穴のない面材、又は、キーの一部が貫通しない穴のある面材である前記[1]~[3]のいずれか一項に記載のショッピングカート。
【0015】
[5]一番上のカゴ載せ部の底面部の全体がメッシュ状に組んた金属線材で形成され、該底面部の前記所定箇所に前記面材が取り付けられた前記[1]~[4]のいずれか一項に記載のショッピングカート。
【0016】
[6]一番上のカゴ載せ部の底面部の全体がキーの一部が貫通しない穴のある面材で形成された前記[1]~[4]のいずれか一項に記載のショッピングカート。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ショッピングカートに設ける設置高さが相異なるカゴ載せ部の数を増やす(例えば4つにする)ことができるとともに、ショッピングカートのハンドルよりも下方へ吊下したキーが、ネスティングする別のショッピングカートの一番上のカゴ載せ部の底面部を貫通しないようにして、ネスティング又はネスティング解除がスムースに且つ損傷なく行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施例1のショッピングカートを正面側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、同ショッピングカートの一番上のカゴ載せ部の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同ショッピングカートを背面側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、同ショッピングカートの正面図である。
【
図5】
図5は、同ショッピングカートに買物カゴを載せたときの側面図である。
【
図6】
図6は、(a)が同ショッピングカートのネスティング時かつコインロック装置のロック時の部分側面図、(b)がコインロック装置のロック解除時の部分側面図である。
【
図7】
図7は、(a)が同ショッピングカートの引出途中の部分側面図、(b)が引出後完了時の部分側面図である。
【
図8】
図8は、(a)が同ショッピングカートのネスティング開始時の部分側面図、(b)がネスティング途中の部分側面図である。
【
図9】
図9は、(a)が同ショッピングカートの更に進んだネスティング途中の部分側面図、(b)がネスティング完了時かつコインロック装置のロック前の部分側面図である。
【
図10】
図10は、比較例のショッピングカートのネスティング途中の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.ハンドル
ハンドルは、前記のとおり左右フレームを繋ぐ1本のバー状であることが、取扱性及びバランスの点で好ましいが、左右フレームからそれぞれ左右内側方向に延びる分離した2本のバー状でもよい。後者の場合、2本のうちいずれか一方にコインロック装置が取り付けられる。
【0020】
2.コインロック装置
コインロック装置は、キー挿入部及びコイン挿入部を有するコインロック本体にチェーンを介してキーを接続してなるものであれば、その他は特に限定されない。チェーンの長さはショッピングカートの機種(ネスティング幅)に応じて、適当な長さとすることができる。一般的にネスティング幅は120~300mmである。
【0021】
3.カゴ載せ部
配置高さが相異なる複数のカゴ載せ部は、前記のとおり4つのカゴ載せ部であることが好ましいが、3つのカゴ載せ部でもよいし、5つのカゴ載せ部でもよい。3つの場合、買物カゴは3つまでしか載せられないが、カゴ載せ部間の上下方向の間隔が大きくなり、買物カゴに商品を投入しやすくなる。5つの場合、カゴ載せ部間の上下方向の間隔は小さくなるが、買物カゴを5つ載せられるのでまとめ買いがしやすくなる。4つの場合は、これらのバランスが最も良くなる。
【0022】
カゴ載せ部はそれぞれ、買物カゴを奥行方向を前後方向にして載せるものでもよいし、買物カゴを幅方向を前後方向にして載せるものでもよい。また、一番下のカゴ載せ部は、買物カゴを奥行方向を前後方向にして載せるものとし、他のカゴ載せ部は、買物カゴを幅方向を前後方向にして載せるものとするなど、適宜組み合わせることもできる。
【0023】
カゴ載せ部の設置構造としては、特に限定されないが、キャスターを備えた基枠に一番下のカゴ載せ部が固定され、基枠から上方へ延びる左右の支柱に他のカゴ載せ部が固定された態様を例示できる。
【0024】
4.コインロック装置と一番上のカゴ載せ部の位置関係
前記のとおり、コインロック装置近傍のハンドルの下面から一番上のカゴ載せ部の底面部の最も高い箇所までの上下方向間隔(
図5でY)が、コインロック装置近傍のハンドルの下面からキーの吊下時の下端までの上下方向長さ(
図5でK)よりも小さいように、一番上のカゴ載せ部を配置するのは、一番上のカゴ載せ部の位置が高くなってカゴ載せ部の数を増やす(例えば4つにする)ことができるとともに、吊下したキーが一番上のカゴ載せ部の底面部を貫通する可能性が生じて該貫通を面材が防ぐという効果に結びつくからである。
【0025】
よって、前記YがKよりもどの程度小さいか(差分)は、特に限定されないが、YがKよりも30mm以上小さいとこの効果がより大きくなり、YがKよりも60mm以上小さいとこの効果がより顕著になる。また、この差分の上限は、特にないが、前記ネスティング幅に応じたチェーンの長さを考慮して敢えて言えば250mmである。
【0026】
5.一番上のカゴ載せ部の底面部と面材
カゴ載せ部の底面部には、買物カゴの底を受ける主たる機能の他、衛生面から雨水やドリップを落下させて溜まらないようにする機能、(買物カゴを使わずにカゴ載せ部に直接載せた)小さい商品が落下しないようにする機能等が求められる。そのため、カゴ載せ部の底面部は、全体が粗いメッシュ状に組んた金属線材で形成されることが多い。しかし、その粗いメッシュ状では前記キーが貫通するため、前記のとおり、底面部の前記所定箇所に前記面材が取り付けられた態様や、底面部の全体がキーの一部が貫通しない穴のある面材で形成された態様が好ましい。
【0027】
キーの一部が貫通しない穴のある面材としては、特に限定されないが、パンチングメタル、目の細かい金属メッシュ等を例示できる。
【実施例0028】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。但し、説明する各部の構造、形状、数量等は例示であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更できる。
【0029】
図1~
図9に示す実施例のショッピングカート1は、キャスター2を備えた基枠3と、基枠3から上方へ延びる左右の支柱4と、左右の支柱4の上端から延びるハンドル5と、一番下の第1カゴ載せ部6と、第1カゴ載せ部6よりも上方かつ後側に位置する第2カゴ載せ部7と、第2カゴ載せ部7よりも上方かつ前側に位置する第3カゴ載せ部8と、第3カゴ載せ部8よりも上方かつ後側に位置する一番上の第4カゴ載せ部9とを含み構成されている。第1カゴ載せ部6は基枠3に固定され、第2~第4カゴ載せ部は左右の支柱4に固定されている。
【0030】
基枠3は、曲げ加工された金属パイプよりなり、前枠部10と、前枠の端部から後方へ延びる左右の側枠部11とを含む。
【0031】
左右の支柱4はそれぞれ、曲げ加工された金属パイプよりなり、下から上へ順に、縦に延びる下部12と、下部12の上端から斜め前上方へ延びる中間部13と、中間部13の上端から斜め後上方へ延びる上部14とから構成されている。
【0032】
ハンドル5は、支柱4と連続する金属パイプからなり、左右の支柱4の上部14の各上端部から内側へ折曲形成され、一番上の第4カゴ載せ部9よりも高い所で、該上端部間を繋ぐように左右方向に延びている。ハンドル5の左右部には樹脂グリップ5aが被せられている。
【0033】
第1カゴ載せ部6は、基枠3の後部に固定された金属線材からなる後部16と、後部16に固定されて前方へ延びる金属線材からなる底面部17と、底面部17の前端から上方へ屈曲形成された前部18と、左右の側部19として機能する基枠3の側枠部11の一部とから構成されている。第1カゴ載せ部6は、底面部17に買物カゴBを奥行方向を前後方向にして載せ、後部16、側部19及び前部18が買物カゴBの下部の回りを取り囲んでズレ及び落下を防止するものである。
【0034】
第2カゴ載せ部7は、金属線材をメッシュ状に組んでなる底面部20と、金属線材を四角環状に湾曲してなり支柱4の中間部13に固定された後部21(底面部20の後端よりも高い位置にある)、左右の側部22及び前部23とから構成されている。底面部20は買物カゴBの底面部を受けるためのものであり、底面部20の後端は本例ではメッシュにおける左右に延びる後端線材20aで構成されている。第2カゴ載せ部7は、底面部20に買物カゴBを幅方向を前後方向にして載せ、後部21、側部22及び前部23が買物カゴBの下部の回りを取り囲んでズレ及び落下を防止するものである。
【0035】
第3カゴ載せ部8は、支柱4の上部14の前側に固定された、金属線材をメッシュ状に組んでL字状に曲げてなる底面部25及び前部26と、支柱4の中間部13と上部14との境付近に固定された左右の側部27と、支柱4の上部14間に架設された金属線材からなる後部28とから構成されている。第3カゴ載せ部8は、底面部25に買物カゴBを幅方向を前後方向にして載せ、後部28、側部27及び前部26が買物カゴBの下部の回りを取り囲んでズレ及び落下を防止するものである。
【0036】
第4カゴ載せ部9は、金属線材をメッシュ状に組んでL字状に曲げてなる底面部30及び前部31と、左右の側部32として機能する支柱4の上部14の一部と、その上の上部14間に架設された金属線材からなる後部33と、後述する面材34とから構成されている。底面部30は買物カゴBの底面部を受けるためのものであり、底面部30の後端は本例ではメッシュにおける左右に延びる後端線材30aで構成されている。第4カゴ載せ部9は、底面部30に買物カゴBを幅方向を前後方向にして載せ、後部33、側部32及び前部31が買物カゴBの下部の回りを取り囲んでズレ及び落下を防止するものである。
【0037】
そして、第2カゴ載せ部7の底面部20の後端(後端線材20aの後端)が、第4カゴ載せ部9の底面部30の後端(後端線材30aの後端)に対して、152~180mm後方に位置し、かつ、350~402mm下方に位置している。この位置関係は、限定されるものではないが、好ましい範囲である。この位置関係により、第2カゴ載せ部7に載せた買物カゴBの上端部と、第4カゴ載せ部9に載せた買物カゴBの下端部との間隔が最も適度に広くなるため、その間隔から、第2カゴ載せ部7に載せた買物カゴBへ商品を容易に投入することができる。第4カゴ載せ部9の底面部30はメッシュ状であるが、第2カゴ載せ部7に載せた買物カゴBへの前記間隔からの商品投入を阻害することはない。
【0038】
さて、ハンドル5の左右方向中央部の上側には、コインロック装置40が取り付けられている。コインロック装置40は、前側のキー挿入部42及び後側のコイン挿入部43を有する筐体状のコインロック本体41と、コインロック本体41の後側にチェーン44を介して接続されたキー45とから構成されている。コインロック本体41の下部は、ハンドル5に対してねじで容易には外れないように取り付けられている。
【0039】
図5に示すように、コインロック装置40近傍のハンドル5の下面から一番上の第4カゴ載せ部9の底面部の最も高い箇所までの上下方向間隔Yが、コインロック装置40近傍のハンドル5の下面からコインロック装置40のキー45の吊下時の下端までの上下方向長さKよりも、図示例では60~120mm小さいように、第4カゴ載せ部9が配置されている。なお、図示例のネスティング幅は160~200mmである。
【0040】
そして、第4カゴ載せ部9の底面部30の、少なくともネスティング時に他のショッピングカートカートの吊下したキー45が接触しながら前後に通過する所定箇所に、該キー45が下方へ貫通しない面材34が設けられている。底面部30はその全体が前記のとおり金属線材をメッシュ状に組んで形成されているため、本実施例では
図1~
図3に示すように、底面部30の左右方向中央部の前記所定箇所を包含する所定幅範囲(例えば左右幅150~250mm)の上に面材34が載せられ取り付けられている。また、本実施例では、面材34がL字状に曲げられて第4カゴ載せ部9の前部31の背面にまで延びている。
図5~
図9では、面材34を破線で示している。図示例の面材34は、キー45の一部が貫通しない穴のあるパンチングメタルである。
【0041】
以上のように構成された本実施例のショッピングカートカート1によれば、次の作用効果が得られる。
(1)
図6(a)に示すように、集積場所でネスティングした前後のショッピングカート1,1の一方のコインロック装置40のキー挿入部42に他方のコインロック装置40のキー45を挿入してロックすることで、両ショッピングカート1,1をチェーン44を介して連結されている。
【0042】
(2)
図6(b)に示すように、利用者が、一方のコインロック装置40のコイン挿入部43にコイン46を挿入すると前記ロックが解除されてキー45がキー挿入部42から外れて吊下し、両ショッピングカート1,1の連結が解除され、一方のショッピングカート1が使用可能になる。
【0043】
(3)
図7(a)(b)に変位順に示すように(矢印は変位方向)、利用者は、一方のショッピングカート1をネスティング解除して(引き出して)使用する。このネスティング解除時に、第4カゴ載せ部9の底面部30の少なくとも前記所定箇所に面材34が設けられているため、吊下したキー45は面材34の上で滑るだけで第4カゴ載せ部9の底面部30を貫通することはない。そのため、キー45又はチェーン44と第4カゴ載せ部9とが絡むことがなく、ネスティング解除をスムースに且つ損傷なく行える。
【0044】
(4)
図8(a)(b)及び
図9(a)(b)に変位順に示すように(矢印は変位方向)、利用者は、使用後の一方のショッピングカート1を集積場所に移動して戻し、他方のショッピングカート1にネスティングする。このネスティング時に、第4カゴ載せ部9の底面部30の少なくとも前記所定箇所に面材34が設けられているため、吊下したキー45は面材34の上で滑るだけで第4カゴ載せ部9の底面部30を貫通することはない。そのため、キー45又はチェーン44と第4カゴ載せ部9とが絡むことがなく、ネスティングをスムースに且つ損傷なく行える。
【0045】
(5)
図9(b)の状態から、利用者が、一方のコインロック装置40のキー挿入部42に他方のコインロック装置40のキー45を挿入してロックし、前記
図6(a)の状態にすることにより、該コインロック装置40のコイン挿入部43からコイン46が出て返却される。
【0046】
[比較例]
図10は、比較例のショッピングカートのネスティング途中の部分側面図であり、第4カゴ載せ部9の底面部30に前記面材34を設けていない。この比較例では、吊下したキー45が第4カゴ載せ部9のメッシュ状の底面部30を貫通するため、キー45又はチェーン44と第4カゴ載せ部9とが絡んでネスティングが困難になり、無理に続行するとこれらの絡んだ部分が損傷するおそれがある。
【0047】
本発明は前記実施例及び変更例の構成に限定されるものではなく、例えば次のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で、適宜変更して具体化することもできる。
(1)第4カゴ載せ部9の底面部30の所定幅範囲の上に面材34を載せて取り付ける以外にも、該所定幅範囲を面材34で形成し、それ以外の範囲をメッシュ状の金属線材で形成すること(作り分け)もできる。
(2)第4カゴ載せ部9の底面部30の全体を前記面材34で形成することもできる。