(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049254
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】リッド組付構造
(51)【国際特許分類】
B60K 15/05 20060101AFI20240402BHJP
E05B 83/34 20140101ALI20240402BHJP
【FI】
B60K15/05 B
E05B83/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155615
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】代田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 和輝
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 祐樹
【テーマコード(参考)】
2E250
3D038
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ43
2E250KK01
2E250LL13
3D038CA32
3D038CB01
3D038CC16
3D038CD03
3D038CD04
3D038CD14
3D038CD19
(57)【要約】
【課題】付勢部材を相手部材に対して簡易な作業で組み付け得るリッド組付構造を提供すること。
【解決手段】
ベース部材2、リッド3および開閉機構5を具備し、当該開閉機構5に付勢部材8を具備するリッド組付構造1において、ベース部材2と開閉機構5との組付け時に、開閉機構5の一部であるガイド部90により付勢部材8をガイドして、付勢部材8の第二係合端82と仮係合部93とが係合した仮組付状態から、第二係合端82と相手部材の本係合部91とが係合した本組付状態に状態変化させることで、付勢部材8に付勢力の少なくとも一部を蓄積する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体に取り付けられるベース部材と、
前記車体に設けられたエネルギ供給口を覆う閉位置と前記エネルギ供給口を開く開位置との間で位置変化するリッドと、
前記ベース部材および前記リッドに組み付けられて前記リッドを開閉させる開閉機構と、を具備し、
前記開閉機構は、前記ベース部材に組み付けられるカバー部材と、前記リッドに組み付けられ前記カバー部材に対して回転可能に支持されるシャフトと、前記シャフトに装着され前記リッドを前記開位置に付勢する付勢部材と、を具備し、
前記シャフトは、前記付勢部材の第一係合端が係合する第一係合部を有し、
前記カバー部材は、前記付勢部材の第二係合端が脱離可能に係合する仮係合部を有し、
前記ベース部材は、前記第二係合端が係合する本係合部と、前記第二係合端を前記仮係合部から前記本係合部に向けてガイドするガイド部と、を有し、
前記ベース部材と前記開閉機構との組付け時に、前記第一係合端が前記第一係合部に係合した前記付勢部材が、前記ガイド部にガイドされて、前記第二係合端と前記仮係合部とが係合した仮組付状態から前記第二係合端と前記本係合部とが係合した本組付状態に状態変化することで付勢力の少なくとも一部を蓄積する、リッド組付構造。
【請求項2】
車両の車体に取り付けられるベース部材と、
前記車体に設けられたエネルギ供給口を覆う閉位置と前記エネルギ供給口を開く開位置との間で位置変化するリッドと、
前記ベース部材および前記リッドに組み付けられて前記リッドを開閉させる開閉機構と、を具備し、
前記開閉機構は、前記ベース部材に組み付けられるカバー部材と、前記リッドに組み付けられ前記カバー部材に対して回転可能に支持されるシャフトと、前記シャフトに装着され前記リッドを前記開位置に付勢する付勢部材と、を具備し、
前記ベース部材は、前記付勢部材の第一係合端が係合する第一係合部と、前記付勢部材の第二係合端が脱離可能に係合する仮係合部と、を有し、
前記シャフトは、前記第二係合端が係合する本係合部と、前記第二係合端を前記仮係合部から前記本係合部に向けてガイドするガイド部と、を有し、
前記ベース部材と前記開閉機構との組付け時に、前記第一係合端が前記第一係合部に係合した前記付勢部材が、前記ガイド部にガイドされて、前記第二係合端と前記仮係合部とが係合した仮組付状態から前記第二係合端と前記本係合部とが係合した本組付状態に状態変化することで付勢力の少なくとも一部を蓄積する、リッド組付構造。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記仮組付状態において前記シャフトに外装される、請求項1に記載のリッド組付構造。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記仮組付状態において前記ベース部材に設けられ前記シャフトが挿通される貫通孔の外縁に組み付けられ、前記本組付状態において前記シャフトに外装される、請求項2に記載のリッド組付構造。
【請求項5】
前記ガイド部は傾斜壁状をなす、請求項1~請求項4の何れか一項に記載のリッド組付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されエネルギ供給口を開閉するためのリッド組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車両用リッド装置として、車体に設けられたエネルギ供給口、例えば車両へのエネルギ供給のための給油口や充電口等をリッドにより外側から覆いまたは開くものが知られている。
【0003】
この種の車両用リッド装置として、車体に取り付けられるベース部材と、上記のエネルギ供給口を覆う閉位置と当該エネルギ供給口を開く開位置との間で位置変化するリッドと、上記のベース部材およびリッドに直接的または間接的に組み付けられて当該リッドを開位置に付勢する付勢部材と、を具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
上記の付勢部材には、リッドが閉位置にあるときに付勢力が蓄積される。そして付勢部材は、当該付勢力によってリッドを開位置に向けて付勢する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記の車両用リッド装置における付勢部材は比較的大きな付勢力を蓄積及び放出するものであるため、当該付勢部材を組み付けるためには比較的大きな力が必要である。
このため、当該付勢部材をベース部材等の相手部材に組み付ける作業は煩雑であり、当該組み付け作業に要する設備が複雑化したり、作業者の手作業による誤組付けが発生したりすることが懸念される。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、付勢部材を相手部材に対して簡易な作業で組み付け得るリッド組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する第一態様のリッド組付構造は、
車両の車体に取り付けられるベース部材と、
前記車体に設けられたエネルギ供給口を覆う閉位置と前記エネルギ供給口を開く開位置との間で位置変化するリッドと、
前記ベース部材および前記リッドに組み付けられて前記リッドを開閉させる開閉機構と、を具備し、
前記開閉機構は、前記ベース部材に組み付けられるカバー部材と、前記リッドに組み付けられ前記カバー部材に対して回転可能に支持されるシャフトと、前記シャフトに装着され前記リッドを前記開位置に付勢する付勢部材と、を具備し、
前記シャフトは、前記付勢部材の第一係合端が係合する第一係合部を有し、
前記カバー部材は、前記付勢部材の第二係合端が脱離可能に係合する仮係合部を有し、
前記ベース部材は、前記第二係合端が係合する本係合部と、前記第二係合端を前記仮係合部から前記本係合部に向けてガイドするガイド部と、を有し、
前記ベース部材と前記開閉機構との組付け時に、前記第一係合端が前記第一係合部に係合した前記付勢部材が、前記ガイド部にガイドされて、前記第二係合端と前記仮係合部とが係合した仮組付状態から前記第二係合端と前記本係合部とが係合した本組付状態に状態変化することで付勢力の少なくとも一部を蓄積する、リッド組付構造である。
【0008】
また、上記課題を解決する第二態様のリッド組み付け機構は、
車両の車体に取り付けられるベース部材と、
前記車体に設けられたエネルギ供給口を覆う閉位置と前記エネルギ供給口を開く開位置との間で位置変化するリッドと、
前記ベース部材および前記リッドに組み付けられて前記リッドを開閉させる開閉機構と、を具備し、
前記開閉機構は、前記ベース部材に組み付けられるカバー部材と、前記リッドに組み付けられ前記カバー部材に対して回転可能に支持されるシャフトと、前記シャフトに装着され前記リッドを前記開位置に付勢する付勢部材と、を具備し、
前記ベース部材は、前記付勢部材の第一係合端が係合する第一係合部と、前記付勢部材の第二係合端が脱離可能に係合する仮係合部と、を有し、
前記シャフトは、前記第二係合端が係合する本係合部と、前記第二係合端を前記仮係合部から前記本係合部に向けてガイドするガイド部と、を有し、
前記ベース部材と前記開閉機構との組付け時に、前記第一係合端が前記第一係合部に係合した前記付勢部材が、前記ガイド部にガイドされて、前記第二係合端と前記仮係合部とが係合した仮組付状態から前記第二係合端と前記本係合部とが係合した本組付状態に状態変化することで付勢力の少なくとも一部を蓄積する、リッド組付構造である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のリッド組付構造によると、付勢部材を相手部材に簡易な作業で組み付けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1のリッド組付構造を分解した様子を模式的に説明する説明図である。
【
図2】実施例1のリッド組付構造におけるシャフト、連結部材、付勢部材およびカバー部材を一体化した組付体を模式的に説明する説明図である。
【
図3】組付時における実施例1のリッド組付構造を模式的に表す説明図である。
【
図4】組付時における実施例1のリッド組付構造を模式的に表す説明図である。
【
図5】組付時における実施例1のリッド組付構造を模式的に表す説明図である。
【
図6】組付時における実施例1のリッド組付構造を模式的に表す説明図である。
【
図7】組付時における実施例1のリッド組付構造の付勢部材、仮係合部、ガイド部および本係合部の動作を模式的に表す説明図である。
【
図8】組付時における実施例1のリッド組付構造の付勢部材、仮係合部、ガイド部および本係合部の動作を模式的に表す説明図である。
【
図9】組付時における実施例1のリッド組付構造の付勢部材、仮係合部、ガイド部および本係合部の動作を模式的に表す説明図である。
【
図10】実施例2のリッド組付構造を分解した様子を模式的に説明する説明図である。
【
図11】実施例2のリッド組付構造におけるベース部材、付勢部材、リッドおよびロック部材を一体化した組付体を模式的に説明する説明図である。
【
図12】実施例2のリッド組付構造におけるシャフト、連結部材およびカバー部材を一体化した第二組付体を模式的に説明する説明図である。
【
図13】組付時における実施例2のリッド組付構造を模式的に表す説明図である。
【
図14】組付時における実施例2のリッド組付構造を模式的に表す説明図である。
【
図15】組付時における実施例2のリッド組付構造を模式的に表す説明図である。
【
図16】組付時における実施例2のリッド組付構造を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一態様のリッド組付構造および第二態様のリッド組付構造は、
車両の車体に取り付けられるベース部材と、
前記車体に設けられたエネルギ供給口を覆う閉位置と前記エネルギ供給口を開く開位置との間で位置変化するリッドと、
前記ベース部材および前記リッドに組み付けられて前記リッドを開閉させる開閉機構と、を具備し、
前記開閉機構は、前記ベース部材に組み付けられるカバー部材と、前記リッドに組み付けられ前記カバー部材に対して回転可能に支持されるシャフトと、前記シャフトに装着される付勢部材と、を具備する。
【0012】
つまり、本発明の第一態様のリッド組付構造および第二態様のリッド組付構造においては、リッドとベース部材との間に、カバー部材およびシャフトが介在する。カバー部材はベース部材に組み付けられ、シャフトはリッドに組み付けられさらにカバー部材に支持される。
【0013】
シャフトはカバー部材に対して回転する。これにより、リッドはベース部材および当該ベース部材が取り付けられる車体に対して位置変化可能であり、具体的には、上記の開位置と閉位置との間で位置変化する。
【0014】
シャフトには付勢部材が装着される。当該付勢部材は、リッドを開位置に向けて付勢する。付勢部材の付勢力は、既述したように、リッドが開位置から閉位置に位置変化する際に蓄積される。
【0015】
ここで、リッドが信頼性高く開位置にまで位置変化するように、一般的なリッド組付構造では、リッドが開位置にあるときにも付勢部材の付勢力は一部蓄積された状態にある。換言すると、付勢部材には、当該付勢部材が相手部材に組み付けられる際にも、付勢力が蓄積された状態にある。
このため従来は、既述したように付勢部材を相手部材に組み付ける作業は非常に煩雑であり、当該組み付け作業に要する設備が複雑化したり、作業者の手作業による誤組付けが発生したりする虞があった。
【0016】
これに対して、本発明の第一態様のリッド組付構造および第二態様のリッド組付構造では、リッド組付構造を構成する部材同士が互いに組み付けられる際に、付勢部材が付勢力を蓄積する。
【0017】
具体的には、本発明の第一態様のリッド組付構造においては、
シャフトは、付勢部材の第一係合端が係合する第一係合部を有し、
カバー部材は、付勢部材の第二係合端が脱離可能に係合する仮係合部を有し、
ベース部材は、第二係合端が係合する本係合部と、第二係合端を仮係合部から本係合部に向けてガイドするガイド部と、を有する。
【0018】
また、本発明の第二態様のリッド組付構造においては、
ベース部材は、付勢部材の第一係合端が係合する第一係合部と、付勢部材の第二係合端が脱離可能に係合する仮係合部と、を有し、
シャフトは、第二係合端が係合する本係合部と、第二係合端を仮係合部から本係合部に向けてガイドするガイド部と、を有する。
【0019】
そして、本発明の第一態様のリッド組付構造および第二態様のリッド組付構造の何れにおいても、
ベース部材と開閉機構との組付け時に、第一係合端が第一係合部に係合した付勢部材が、ガイド部にガイドされて、第二係合端と仮係合部とが係合した仮組付状態から第二係合端と本係合部とが係合した本組付状態に状態変化することで付勢力の少なくとも一部を蓄積する。
【0020】
このように、本発明の第一態様のリッド組付構造および第二態様のリッド組付構造によると、リッド組付構造の一部を構成するベース部材と開閉機構との組み付け時に、付勢部材を相手部材に組み付けつつ当該付勢部材に付勢力を蓄積することができる。
【0021】
そして、同じくベース部材と開閉機構との組み付け時に、カバー部材に設けられた仮係合部に係合した付勢部材の第二係合端が、ベース部材に設けられたガイド部によって、相手部材である当該ベース部材の本係合部にガイドされる(第一態様)。
または、ベース部材と開閉機構との組み付け時に、ベース部材に設けられた仮係合部に係合した付勢部材の第二係合端が、シャフトに設けられたガイド部によって、相手部材である当該シャフトの本係合部にガイドされる(第二態様)。
【0022】
これにより、本発明の第一態様のリッド組付構造および第二態様のリッド組付構造によると、付勢力の少なくとも一部を蓄積した状態の付勢部材を相手部材に簡易な作業で組み付けることが可能である。
【0023】
以下、本発明の第一態様のリッド組付構造および第二態様のリッド組付構造をその構成要素毎に説明する。
【0024】
なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x~y」は、下限x及び上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、並びに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで新たな数値範囲を構成し得る。更に、上記の何れかの数値範囲内から任意に選択した数値を新たな数値範囲の上限、下限の数値とすることができる。
【0025】
また、第一態様のリッド組付構造と第二態様のリッド組付構造とに共通する構成要素やその動作等については、単に、本発明のリッド組付構造の構成要素等と称して包括的に説明する場合がある。また、本発明の第一態様のリッド組付構造を、単に、第一態様のリッド組付構造と称する場合があり、本発明の第二態様のリッド組付構造を、単に、第二態様のリッド組付構造と称する場合がある。
【0026】
本発明のリッド組付構造は、ベース部材、リッドおよび開閉機構を具備する。
【0027】
このうちベース部材は、本発明のリッド組付構造のうち車両の車体に取り付けられる部分である。
リッド組付構造に含まれるリッドがエネルギ供給口を覆いまたは開く都合上、ベース部材もまたエネルギ供給口の近傍に配置されるのが好適である。
さらに、エネルギ供給口付近への異物の進入を阻害するために、ベース部材は、エネルギ供給口を取り囲む形状、具体的には枠状、筒状、または箱状等をなすのが特に好適である。この場合、ベース部材は、閉位置にあるリッドとともにエネルギ供給口を外界から区画するのがさらに好適である。
【0028】
リッドは、既述したエネルギ供給口を覆う閉位置と、当該エネルギ供給口を開く開位置との間で位置変化することで、エネルギ供給口を外界から隔離し、または、エネルギ供給口を外界に露出する。
【0029】
リッドの形状は、閉位置においてエネルギ供給口を覆うことができ、かつ開位置においてエネルギ供給口を開くことができる形状であれば良く、特に限定されない。
但し、ベース部材が上記したエネルギ供給口を取り囲む形状である場合には、当該ベース部材における外界側すなわちエネルギ供給口に対して逆側に位置する開口端部を覆い得る形状であるのが特に好適である。
リッドの形状の詳細および当該リッドの位置変化機構については追って詳説する。
【0030】
開閉機構は、上記したベース部材およびリッドに組み付けられて、リッドを開閉させるための機構である。当該開閉機構は、カバー部材、シャフトおよび付勢部材を具備する。
【0031】
このうちカバー部材はベース部材に組み付けられる。シャフトはリッドに組み付けられカバー部材に対して回転可能に支持される。
したがってシャフトに組み付けられるリッドは、シャフトの回転軸を中心として一軸的または多軸的に回動する。これによりリッドは、カバー部材に対して位置変化し、カバー部材が組み付けられるベース部材、ベース部材が取り付けられる車体、ひいては、車体に設けられているエネルギ供給口に対しても位置変化する。
【0032】
ここで、リッドは、例えば単なる板状をなしても良い。
または、リッドは、板状をなすリッド本体部と、当該リッド本体部から延びる脚部とを有しても良い。リッドが脚部を有する場合、シャフトは当該脚部に組み付けられるのが好適である。
【0033】
リッドの脚部は、リッド本体部に対して不動であっても良いし、当該リッド本体部に対して可動であっても良い。具体的には、脚部は、リッド本体部に対して軸支されていても良い。
【0034】
脚部を有さないリッドにシャフトが直接組み付けられる場合や、リッド本体部に対して不動である脚部にシャフトが組み付けられる場合には、リッドはシャフトの回転軸を中心として一軸的に回動するといい得る。リッド本体部に対して軸支された脚部にシャフトが組み付けられる場合には、リッドはシャフトの回転軸を中心として多軸的に回動するといい得る。
なお、リッドの形状やリッドとシャフトとの組付構造は、これに限定されず、種々の形状や組付構造をとり得る。
【0035】
シャフトは、リッドに組み付けられ、カバー部材に対して回転でき、かつ、付勢部材を装着可能であれば良く、その形状は特に問わない。シャフトの形状の一例として、回転軸方向に延びる筒状や柱状等を挙げることができる。
【0036】
シャフトは、カバー部材に対して回転すれば良く、カバー部材に直接組み付けられても良いし、他部材を介して間接的に組み付けられても良い。シャフトはカバー部材に対して脱離可能であっても良いし、脱離不能であっても良い。
【0037】
シャフトをカバー部材に直接的に組み付ける方法として、具体的には、シャフトが挿入される貫通孔をカバー部材に設け、当該貫通孔にシャフトを直接挿入する方法を例示できる。当該貫通孔を孔部と称する。
この場合には、当該孔部に挿入されたシャフトが当該孔部内で回転する。
【0038】
シャフトをカバー部材に間接的に組み付ける方法として、具体的には、シャフトとカバー部材との間にダンパ等の減速器を介在させる方法を例示できる。
この場合、例えば、筒状に形成したシャフトに減速器を装着して両者を接続し、互いに接続されたシャフトおよび減速器を上記したカバー部材の孔部に挿入すれば良い。
【0039】
勿論、本発明のリッド組付構造におけるシャフトとカバー部材との組み付け方法は上記の方法に限定されず、これ以外の種々の方法を採用し得る。
【0040】
シャフトに装着される付勢部材は、リッドを開位置に付勢することができれば良い。具体的な付勢部材としてはねじりコイルバネや板バネ等を例示することができるが、付勢部材はこれに限定されない。シャフトへの付勢部材の装着方法もまた特に限定されない。
シャフトへの付勢部材の装着性を考慮すると、付勢部材としてねじりコイルバネを用い、当該ねじりコイルバネのコイル部分をシャフトに外装するのが好適である。
【0041】
付勢部材は、リッドとベース部材とに直接的または間接的に係合し、自身に蓄積した付勢力によってリッドを開位置に付勢する。換言すると、付勢部材の一端はリッドまたは当該リッドに組み付けられるシャフトに係合し、当該付勢部材の他端はベース部材または当該ベース部材に組み付けられるカバー部材に係合する。
【0042】
本発明の第一態様のリッド組付構造において、付勢部材の一端に該当する第一係合端は、シャフトに係合する。このため第一態様のリッド組付構造におけるシャフトは、第一係合端が係合する第一係合部を有する。
【0043】
また、本発明の第一態様のリッド組付構造において、付勢部材の他端に該当する第二係合端は、ベース部材に係合する。このため第一態様のリッド組付構造におけるベース部材は、第二係合端が係合する本係合部を有する。
【0044】
リッドが開位置から閉位置に向けて位置変化する際には、シャフトが回転し、付勢部材の第一係合端と第二係合端との相対位置が変化する。これにより付勢部材に付勢力が蓄積される。
また、付勢部材が蓄積された付勢力を放出する際には、付勢部材の第一係合端と第二係合端との相対位置が変化し、シャフトが回転して、リッドが閉位置から開位置に向けて位置変化する。
【0045】
ここで、本発明の第一態様のリッド組付構造におけるカバー部材は、付勢部材の第二係合端が脱離可能に係合する仮係合部を有する。
【0046】
本発明の第一態様のリッド組付構造における付勢部材は、仮組付状態において、シャフトおよびカバー部材に組み付けられる。第一態様のリッド組付構造において、互いに組み付けられたシャフト、カバー部材および付勢部材の一体品を、組付体と称する場合がある。当該組付体は他部材を含み得る。
【0047】
第一態様のリッド組付構造では、当該仮組付状態において、付勢部材の第一係合端はシャフトの第一係合部に係合し、第二係合端はカバー部材の仮係合部に係合する。
【0048】
第一態様の組付体をベース部材に組み付けることで、シャフト、カバー部材および付勢部材の一体品が得られる。
【0049】
第一態様の組付体をベース部材に組み付ける際には、カバー部材とベース部材とが近づく。これにより、当該カバー部材の仮係合部に係合する付勢部材の第二係合端と、ベース部材ともまた近づく。そして、ベース部材に設けられているガイド部が、付勢部材の第二係合端をカバー部材の仮係合部からベース部材の本係合部に向けてガイドする。これにより、付勢部材の第二係合端は、カバー部材の仮係合部から脱離して、ベース部材の本係合部に係合する。
【0050】
これにより、第一態様のリッド組付構造によると、第一態様の組付体をベース部材に組み付ける際に、自動的に、仮組付状態であった付勢部材が付勢力の少なくとも一部を蓄積しつつ、本組付状態に状態変化する。
【0051】
一方、本発明の第二態様のリッド組付構造において、付勢部材の一端に該当する第一係合端は、ベース部材に係合する。このため第二態様のリッド組付構造におけるベース部材は、第一係合端が係合する第一係合部を有する。
【0052】
また、本発明の第二態様のリッド組付構造において、付勢部材の他端に該当する第二係合端は、シャフトに係合する。このため第二態様のリッド組付構造におけるシャフトは、第二係合端が係合する本係合部を有する。
【0053】
第二態様のリッド組付構造においても、リッドが開位置から閉位置に向けて位置変化する際には、シャフトが回転し、付勢部材の第一係合端と第二係合端との相対位置が変化する。これにより付勢部材に付勢力が蓄積される。
付勢部材が蓄積された付勢力を放出する際には、付勢部材の第一係合端と第二係合端との相対位置が変化し、シャフトが回転して、リッドが閉位置から開位置に向けて位置変化する。
【0054】
ここで、本発明の第二態様のリッド組付構造におけるベース部材は、付勢部材の第二係合端が脱離可能に係合する仮係合部を有する。
本発明の第二態様のリッド組付構造における付勢部材は、仮組付状態において、ベース部材に組み付けられる。第二態様のリッド組付構造において、互いに組み付けられたベース部材および付勢部材の一体品を、組付体と称する場合がある。当該組付体は、他部材を含み得る。
【0055】
第二態様のリッド組付構造では、当該仮組付状態において、付勢部材の第一係合端はベース部材の第一係合部に係合し、第二係合端はベース部材の仮係合部に係合する。
【0056】
第二態様のリッド組付構造においては、上記したベース部材および付勢部材の組付体に、シャフトおよびカバー部材を組み付けることで、シャフト、カバー部材および付勢部材の一体品が得られる。
【0057】
第二態様の組付体にシャフトを組み付ける際に、ベース部材とシャフトとが近づく。これにより、当該ベース部材の仮係合部に係合する付勢部材の第二係合端と、シャフトともまた近づく。そして、シャフトに設けられているガイド部が、付勢部材の第二係合端をベース部材の仮係合部からシャフトの本係合部に向けてガイドする。これにより、付勢部材の第二係合端は、ベース部材の仮係合部から脱離して、シャフトの本係合部に係合する。
【0058】
これにより、第二態様のリッド組付構造によると、第二態様の組付体に少なくともシャフトを組み付ける際に、自動的に、仮組付状態であった付勢部材が付勢力の少なくとも一部を蓄積しつつ、本組付状態に状態変化する。
【0059】
上記した第一態様のリッド組付構造におけるシャフト、カバー部材および付勢部材の一体品に、更にリッドを組み付けることで、第一態様のリッド組付構造が得られる。同様に、第二態様のリッド組付構造におけるシャフト、カバー部材および付勢部材の一体品におけるシャフトに、更にリッドを組み付けることで、第一態様のリッド組付構造が得られる。
【0060】
上記のように、本発明の第一態様のリッド組付構造および第二態様のリッド組付構造によると、付勢部材を、付勢力の少なくとも一部を蓄積した本組付状態にまで容易に状態変化させることができる。したがって本発明のリッド組付構造によると、付勢部材を相手部材、すなわち、シャフトおよびベース部材に対して、簡易な作業で組み付けることが可能である。
【0061】
本発明のリッド組付構造におけるガイド部は、第一態様のリッド組付構造ではベース部材に設けられている。当該ガイド部は、第一態様の組付体をベース部材に組み付ける際に、換言すると、第一態様の組付体がベース部材に近づくにつれて、付勢部材の第二係合端を仮係合部から本係合部にガイドできる形状であれば良い。
【0062】
本発明のリッド組付構造におけるガイド部は、第二態様のリッド組付構造ではシャフトに設けられている。当該ガイド部は、第二態様の組付体をシャフトに組み付ける際に、換言すると、第二態様の組付体がシャフトに近づくにつれて、付勢部材の第二係合端を仮係合部から本係合部にガイドできる形状であれば良い。
【0063】
以下、具体例を挙げて、本発明のリッド組付構造を説明する。
【0064】
(実施例1)
実施例1のリッド組付構造は、第一態様のリッド組付構造に関する。
実施例1のリッド組付構造を分解した様子を模式的に説明する説明図を
図1に示す。実施例1のリッド組付構造におけるシャフト、連結部材、付勢部材およびカバー部材を一体化した組付体を模式的に説明する説明図を
図2に示す。組付時における実施例1のリッド組付構造を模式的に表す説明図を
図3~
図6に示す。組付時における実施例1のリッド組付構造の付勢部材、仮係合部、ガイド部および本係合部の動作を模式的に表す説明図を
図7~
図9に示す。
以下、表、裏、上、下、前、後とは各図に示す表、裏、上、下、前、後を意味する。表は車体に対する表側を意味し、裏は車体に対する裏側、換言すると車両内側を意味する。
【0065】
実施例1のリッド組付構造は、車両の一種である電気自動車の車体に設けられたエネルギ供給口を、リッドによって覆いまたは開くための装置である。
図示しないが、一般的な電気自動車と同様に、当該電気自動車のバッテリは車体の奥側に配置される。車体の車体パネルのうち当該バッテリの外側にある部分には、当該車体パネルを厚さ方向に貫通する車体開口が設けられている。バッテリへのエネルギ供給口(所謂充電ポート)は、当該車体開口の内部に配置され、車体の外部に露出している。バッテリとエネルギ供給口とは充電用のリード線で接続されている。
なお参考までに、上記の車体開口が設けられる車体パネルとしては、アウタパネルやボンネット、ドアパネル等を例示できる。
【0066】
図1に示すように、実施例1のリッド組付構造1は、ベース部材2、リッド3、ロック部材4および開閉機構5を具備する。
【0067】
ベース部材2は、車両の車体(図略)に取り付けられる部材であり、箱状をなし、底壁20を裏側すなわち車体側に向け、開口21を表側すなわち車体の外方側に向ける。ベース部材2の周壁22は表-裏方向に延びる。
【0068】
ベース部材2の底壁20には、当該底壁20を表-裏方向に貫通する窓部23が形成されている。当該窓部23の内部には図略のエネルギ供給口が配置される。
さらにベース部材2の底壁20には、上記の窓部23よりも下側の位置に、当該底壁20を表-裏方向に貫通する第二窓部24が形成されている。第二窓部24には、後述するロック部材4のロック部40が配置される。
【0069】
ベース部材2の周壁22のうち前側に位置する部分には、後述する開閉機構5のカバー部材50を組み付けるためのカバー組付部25が設けられている。カバー組付部25はガイド部90および本係合部91を含む。カバー組付部25については追って詳説する。
さらに、ベース部材2の周壁22のうち当該カバー組付部25の近傍には、当該周壁22を厚さ方向に貫通する孔部26が設けられている。当該孔部26には、後述するシャフト7のシャフト入力部72が挿入される。
【0070】
リッド3は、リッド本体部30および脚部31を有する。リッド本体部30は略板状をなすリッドアッパ30uとリッドロア30lとが互いに組み付けられ一体化されてなる。リッドアッパ30uはリッドロア30lよりも表側に配置され、実施例1のリッド組付構造1において表側に露出する。
【0071】
リッドロア30lは脚部31を軸支する脚軸支部30sを4つ有する。各々の脚軸支部30sは、断面円形かつ前-後方向に延びる貫通孔状をなし、リッドロア30lの裏面側に設けられている。脚軸支部30sのうち2つは、リッド本体部30の上端側部分に配置され、前-後方向に離隔している。脚軸支部30sのうち他の2つは、リッド本体部30の上端よりもやや下側部分に配置され、前-後方向に離隔している。
【0072】
実施例1のリッド組付構造1におけるリッド3は、長尺のロッド状をなす4つの脚部31を有する。各脚部31における長手方向の一端部であって表側すなわちリッド本体部30側に位置する端部には、各々、リッド軸支部31lが設けられている。各リッド軸支部31lは断面円形かつ前-後方向に延びる貫通孔状をなす。
【0073】
4つの脚部31のうち2つは、上側のリッド軸支部31lを介して、リッド本体部30の上端側部分に配置されている脚軸支部30sに組み付けられ、他の2つは、リッド本体部30の上端よりもやや下側部分に配置されている脚軸支部30sに組み付けられている。より詳しくは、各々対応するリッド軸支部31lおよび脚軸支部30sには、枢支ピン32が挿通されている。これにより各脚部31は、当該枢支ピン32、リッド軸支部31lおよび脚軸支部30sによりリッド本体部30に軸支され、各脚部31はリッド本体部30に対して相対的に回動する。
【0074】
なお、上記した4つの脚部31のうち、下側に位置する2つの脚部31のリッド軸支部31lには、リンクロッド33が架け渡されている。これにより、当該2つの脚部31は一体化され一体的に回動する。
【0075】
各脚部31における長手方向の他端部であって裏側すなわちベース部材2側に位置する端部には、各々、ベース軸支部31bが設けられている。各ベース軸支部31bは前-後方向に延びる貫通孔状をなす。
【0076】
ここで、4つの脚部31のうち下側かつ前側、すなわち、組付時においてカバー組付部25側に位置する脚部31を入力脚部31iと称し、その他の脚部31を一般脚部31gと称する。入力脚部31iにおけるベース軸支部31bは断面略六角形であり、その他の脚部31におけるベース軸支部31bは断面円形である。
【0077】
入力脚部31iにおけるベース軸支部31bには、後述するシャフト7の先端が挿入される。このため、当該入力脚部31iは開閉機構5に一体化される。後述するように、開閉機構5のシャフト7が回転すると、入力脚部31iは回動する。
【0078】
一方、一般脚部31gにおけるベース軸支部31bには、枢支ピン32が挿通されている。当該一般脚部31gは、各々、枢支ピン32を介して、ベース部材2に設けられ断面円形の貫通孔状をなす第2脚軸支部(図略)に組み付けられる。したがって、当該一般脚部31gは、枢支ピン32、ベース軸支部31bおよび第2脚軸支部によって、ベース部材2に軸支され、ベース部材2に対して相対的に回動する。これにより、実施例1のリッド組付構造1におけるリッド3は、二軸的に回動する。
【0079】
実施例1のリッド組付構造1におけるロック部材4はプッシュロック機構によってリッド3をロックする。ロック部材4は、リッド3に設けられたロック相手部35(
図3参照)に係合するロック部40を有し、当該ロック部40をリッド本体部30側に向けつつ、第二窓部24の後側に配置され、当該ロック部40を第二窓部24の内部に露出する。
【0080】
実施例1においては、リッド3における各一般脚部31gのベース軸支部31bをベース部材2における第2脚軸支部に組み付け、ロック部材4をベース部材2に組み付けることで、リッド3、ベース部材2およびロック部材4が組み付けられた第二組付体11(
図3参照)を予め準備し、当該第二組付体11に後述する組付体10(
図2、3参照)を組み付ける。
【0081】
図1に示すように、開閉機構5は、シャフト7、連結部材55、付勢部材8およびカバー部材50を有する。
【0082】
図2に示すように、付勢部材8は、ねじりコイルバネである。付勢部材8の一端部を第一係合端、他端部を第二係合端と称する。
【0083】
図2に示すように、シャフト7は、略円柱状をなすシャフト本体部70と、略板状をなす付勢支持部71と、断面略六角形の短柱状をなすシャフト入力部72とを有する。
【0084】
付勢支持部71はシャフト本体部70における軸方向の一端部すなわち長手方向の一端部に一体化されている。付勢支持部71はシャフト本体部70に対して偏心している。
シャフト本体部70における軸方向の他端部にはシャフト入力部72が一体化されている。シャフト入力部72とシャフト本体部70とは同軸的に配置されている。
シャフト7には付勢部材8が外装されている。具体的には、付勢部材8のコイル部分80はシャフト本体部70に装着され、付勢支持部71は付勢部材8の前側に配置され、シャフト入力部72は付勢部材8の後側に露出する。
【0085】
付勢支持部71には第一係合部92が設けられている。当該第一係合部92には、付勢部材8の第一係合端81が係合する。
【0086】
実施例1のリッド組付構造1における連結部材55はダンパである。
図1に示すように、連結部材55には凸状をなすシャフト係合部55sが設けられている。一方、シャフト7における付勢支持部71の前面側には、孔状の連結係合部71cが設けられている。シャフト係合部55sと連結係合部71cとが係合することで、連結部材55がシャフト7に組み付けられる。
【0087】
カバー部材50は、略L字の板状をなすカバー基部51と、当該カバー基部51に設けられた複数のベース組付部52と、カバー基部51に一体に設けられたケース状をなす連結収容部53(以上
図1参照)と、カバー基部51に一体に設けられた略溝状の仮係合部93(
図2参照)と、を有する。
一部のベース組付部52は爪状をなし、ベース部材2に設けられた複数のカバー組付部25(図略)の一部に係合する。他の一部のベース組付部52は貫通孔状をなし、ベース部材2に設けられたカバー組付部25の他の一部にボルト締結される。
【0088】
図1に示すように、連結収容部53は連結部材55の外形に対応するケース状をなす。連結部材55は、シャフト係合部55sを露出させつつ、カバー部材50の連結収容部53に収容される。
連結部材55を連結収容部53に収容し、シャフト7、付勢部材8および連結部材55の一体品をカバー部材50に組み付け、付勢部材8の第二係合端を仮係合部93に組み付けることで、
図2に示す組付体10が得られる。
【0089】
以下、上記の組付体10をベース部材2とリッド3との第二組付体11に組み付ける方法および各部材の動作を説明する。
【0090】
先ず、
図3に示すように、第二組付体11の前側に組付体10を配置する。より具体的には、第二組付体11のうちベース部材2におけるカバー組付部25の前側に組付体10をあてがい、組付体10のシャフト7を後側すなわちベース部材2側に向け、カバー部材50を前側に向ける。
そして、ベース部材2の周壁22に設けられた孔部26に、シャフト7のシャフト入力部72を挿入しつつ、組付体10を第二組付体11に近づける。
【0091】
このとき、付勢部材8には僅かに付勢力が蓄積されている。付勢部材8の第一係合端81はシャフト7の第一係合部92に係合し、付勢部材8の第二係合端82はカバー部材50の仮係合部93に係合した仮組付状態にある。換言すると、このとき付勢部材8は、付勢力の一部を蓄積しつつシャフト7およびカバー部材50、すなわち、組付体10を構成する他部材に安定的に保持された状態にある。
【0092】
ここで実施例1のリッド組付構造1においては、既述したように、ベース部材2の周壁22のうち前側に位置する部分に、カバー組付部25が設けられている。カバー組付部25はガイド部90および本係合部91を含む。
【0093】
仮係合部93は裏側に向けて開口する溝状をなす。したがって付勢部材8の第二係合端82が裏方向に位置変化すると、第二係合端82と仮係合部93との仮係合が解除される。換言すると、実施例1のリッド組付構造1における仮係合部93の解除方向は裏方向である。
【0094】
カバー組付部25は、孔部26の近傍に配置されている。
カバー組付部25における本係合部91は、仮係合部93と同様に裏側に向けて開口する溝状をなす。
【0095】
本係合部91およびガイド部90は、組付時において、仮係合部93に対して第二係合端82の付勢力蓄積方向の先側にある。第二係合端82の付勢力蓄積方向とは、付勢部材8に付勢力を蓄積させるために第二係合端82が位置変化する方向、より具体的には、実施例1のリッド組付構造1においては
図3中の反時計回り方向aを意味する。
【0096】
上記の第二係合端82の付勢力蓄積方向において、ガイド部90は、仮係合部93と本係合部91との間に位置する。裏側に向けたガイド部90の突起高さ、換言すると、仮係合部93の解除方向へのガイド部90の高さは、第二係合端82の付勢力蓄積方向の先側、すなわち、仮係合部93側から本係合部91側に向けて徐々に高くなっている。ガイド部90は傾斜壁状をなすといい得る。
【0097】
組付体10を後側に進めて第二組付体11に近づけると、シャフト7およびカバー部材50とベース部材2とが近づく(
図3、
図7参照)。このため、カバー部材50の仮係合部93と、当該仮係合部93に係合する付勢部材8の第二係合端82とが、ベース部材2のカバー組付部25に近づく。
【0098】
さらに組付体10を後側に進めると、ベース部材2の孔部26にシャフト7のシャフト入力部72が挿入され、カバー組付部25におけるガイド部90が第二係合端82に当接し、当該第二係合端82がガイド部90に乗り上げる(
図4、
図8参照)。これにより第二係合端82が仮係合部93から脱離して、第二係合端82と仮係合との仮係合が解除される。
【0099】
そのままさらに組付体10を後側に進めると、第二係合端82は、ガイド部90にガイドされて付勢力蓄積方向に位置変化し付勢力をさらに蓄積するとともに、カバー部材50に設けられた本係合部91に到達し、溝状をなす当該本係合部91の内部に落ち込む(
図5、
図9参照)。これにより、第二係合端82が本係合部91に係合して、付勢部材8が本組付状態に状態変化する。
【0100】
その後、カバー部材50のベース組付部52とベース部材2のカバー組付部25とを組み付けることで、組付体10を第二組付体11に固定する。
【0101】
なお、ベース部材2に設けられている孔部26の後側には、リッド3の4つの脚部31の1つである入力脚部31iのベース軸支部31bが配置されている。このため、孔部26に挿入されたシャフト7のシャフト入力部72は、入力脚部31iのベース軸支部31bに係合し、シャフト7と入力脚部31iとが一体化される。
【0102】
既述したように、実施例1のリッド組付構造1におけるリッド3は、二軸的に回動する。これによりリッド3は、
図3~
図5に示されるようにベース部材2の開口21および図略のエネルギ供給口を開く開位置と、
図6に示されるようにベース部材2の開口21および図略のエネルギ供給口を覆う閉位置と、の間で位置変化する。
【0103】
実施例1のリッド組付構造1では、リッド3が開位置にあるときに、組付体10を第二組付体11に組み付ける。開位置から閉位置へのリッド3の位置変化は、手動で行われる。
【0104】
リッド3が開位置から閉位置に位置変化する際には、脚部31が回動する。脚部31の1つである入力脚部31iが回動すると、これに追従してシャフト7が回転する。シャフト7が回転すると、シャフト7に装着された付勢部材8の第一係合端81が第一係合端81の付勢力蓄積方向に位置変化する。第一係合端81の付勢力蓄積方向とは、付勢部材8に付勢力を蓄積させるために第一係合端81が位置変化する方向をいい、より具体的には、実施例1のリッド組付構造1においては
図3中の時計回り方向bを意味する。
【0105】
第一係合端81が付勢力蓄積方向に位置変化することにより、付勢部材8にさらに付勢力が蓄積される。このため、
図6に示すようにリッド3が閉位置にまで位置変化すると、付勢部材8はリッド3を開位置に位置変化させるための付勢力を蓄積した状態となる。
【0106】
閉位置にまでリッド3が位置変化すると、ロック部材4のロック部40がリッド3のロック相手部35に当接し、リッド3がロックされる。閉位置にあるリッド3を裏方向に押圧すると、ロック部材4とリッド3とのロックが解除される。すると、リッド3が自由状態になり、付勢部材8の付勢力が開放される。すると、シャフト7が回転駆動され、入力脚部31iが回動する。そして、入力脚部31iの回動に追従して他の脚部31も回動し、リッド3が開位置に位置変化する。
【0107】
実施例1のリッド組付構造1によると、付勢部材8を含む組付体10を、ベース部材2を含む第二組付体11に組み付ける際に、自動的に、仮組付状態であった付勢部材8が付勢力の一部を蓄積しつつ、本組付状態に状態変化する。これにより、実施例1のリッド組付構造1によると、付勢部材8を相手部材であるベース部材2に簡易な作業で組み付けることが可能である。
【0108】
(実施例2)
実施例2のリッド組付構造は、第二態様のリッド組付構造に関する。
実施例2のリッド組付構造を分解した様子を模式的に説明する説明図を
図10に示す。実施例2のリッド組付構造におけるベース部材、付勢部材、リッドおよびロック部材を一体化した組付体を模式的に説明する説明図を
図11に示す。実施例2のリッド組付構造におけるシャフト、連結部材およびカバー部材を一体化した第二組付体を模式的に説明する説明図を
図12に示す。
組付時における実施例2のリッド組付構造を模式的に表す説明図を
図13~
図16に示す。なお、
図15および
図16においては紙面手前側が裏側、紙面奥側が表側である。
【0109】
図10に示すように実施例2のリッド組付構造1は、実施例1のリッド組付構造1と同様に、ベース部材2、リッド3、ロック部材4および開閉機構5を具備する。
実施例2のリッド組付構造1は、
図11に示すように第一係合部92および仮係合部93がベース部材2に設けられ、
図12に示すように本係合部91およびガイド部90がシャフト7に設けられている点において、実施例1のリッド組付構造1と大きく相違する。以下、実施例1の組付構造との相違点を中心に、実施例2のリッド組付構造1について説明する。
【0110】
図11、
図13および
図15に示すように、実施例2のリッド組付構造1におけるベース部材2において、孔部26の径方向外側には、第一係合部92および仮係合部93が設けられている。付勢部材8のコイル部分80は、孔部26の外縁に組み付けられ、第一係合端81は第一係合部92に係合し、第二係合端82は仮係合部93に係合する。ベース部材2、付勢部材8、リッド3およびロック部材4が組み付けられた組付体10において、付勢部材8は、僅かに付勢力を蓄積した状態でベース部材2に安定的に保持される。
【0111】
図15に示すように、仮係合部93は溝状をなし、開口を裏側に向ける。付勢部材8の第二係合端82が裏方向に位置変化すると、第二係合端82が仮係合部93から脱離し、第二係合端82と仮係合部93との係合が解除される。したがって、実施例2のリッド組付構造1における仮係合部93の解除方向は裏方向である。
【0112】
図12に示すように、第二組付体11は、シャフト7、連結部材55およびカバー部材50が一体化されたものである。このうちシャフト7には、本係合部91およびガイド部90が設けられている。
【0113】
図15に示すように、本係合部91は溝状をなす。当該本係合部91は、組付体10と第二組付体11との組付時に開口を裏側に向ける。
【0114】
図15に示す組付体10と第二組付体11との組付開始時において、付勢部材8の第二係合端82はベース部材2の仮係合部93に係合する。シャフト7のガイド部90は、当該第二係合端82の前側かつ下側にある。ガイド部90のさらに前側には本係合部91がある。本係合部91もまた、開口を裏側に向ける。
裏側に向けたガイド部90の突起高さ、すなわち、仮係合部93の解除方向へのガイド部90の高さは、仮係合部93側から本係合部91側に向けて徐々に高くなっている。実施例2のリッド組付構造1においても、ガイド部90は、第二係合端82の付勢力蓄積方向の先側に向けてその高さが徐々に高くなる傾斜壁状をなすといい得る。
【0115】
次いで、第二組付体11を後側に進めて組付体10に近づけ、
図16に示すように、シャフト7を付勢部材8のコイル部分80およびその後側にある孔部26に挿し込む。
【0116】
すると、付勢部材8がシャフト7に外装されつつ、当該付勢部材8の第二係合端82がシャフト7のガイド部90に乗り上げ、第二係合端82が仮係合部93から脱離して、第二係合端82と仮係合との係合が解除される。そして、第二組付体11をさらに後側に進めると、第二係合端82は、ガイド部90にガイドされて付勢力蓄積方向(
図15における概略手前側)に位置変化し、付勢力をさらに蓄積するとともに、シャフト7に設けられた本係合部91に到達し、溝状をなす当該本係合部91の内部に落ち込む。これにより、
図16に示すように、第二係合端82が本係合部91に係合して、付勢部材8が本組付状態に状態変化する。
【0117】
以上のように、実施例2のリッド組付構造1によっても、ベース部材2および付勢部材8を含む組付体10を、シャフト7を含む第二組付体11に組み付ける際に、自動的に、仮組付状態であった付勢部材8が付勢力の一部を蓄積しつつ、本組付状態に状態変化する。これにより、実施例2のリッド組付構造1によっても、付勢部材8を相手部材であるシャフト7に簡易な作業で組み付けることが可能である。
【0118】
以上本発明を説明してきたが、本発明は、上述した実施形態等に限定されるものではなく、当該実施形態等に記載した要素を適宜抽出し組み合わせて実施することや、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
また、本発明の明細書は、出願当初における各請求項の引用関係で示される技術思想に止まらず、各請求項に記載された事項を適宜組み合わせた技術思想を開示するものである。
【符号の説明】
【0119】
1:リッド組付構造 2:ベース部材
3:リッド 5:開閉機構
50:カバー部材 7:シャフト
8:付勢部材 81:第一係合端
90:ガイド部 91:本係合部
92:第一係合部 82:第二係合端
93:仮係合部