(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049258
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240402BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240402BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155619
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井出 達也
(72)【発明者】
【氏名】貞野 計
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L049CC42
(57)【要約】 (修正有)
【課題】各車両のバッテリの劣化を考慮して電力授受を行う車両を選択できる情報処理システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】システム5において、車両管理装置60及び統合管理装置50は、複数の車両を、前記複数の車両が備える複数のバッテリの劣化度及び充電率の組み合わせに基づく複数のグループに分類して管理する管理部と、電力ネットワークにおける電力需給情報に基づいて、前記複数のグループのうちの特定のグループに分類された車両の中から、前記電力ネットワークとの間の電力授受のためにバッテリが使用される車両を選択する選択部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両を、前記複数の車両が備える複数のバッテリの劣化度及び充電率の組み合わせに基づく複数のグループに分類して管理する管理部と、
電力ネットワークにおける電力需給情報に基づいて、前記複数のグループのうちの特定のグループに分類された車両の中から、前記電力ネットワークとの間の電力授受のためにバッテリが使用される車両を選択する選択部と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記選択部は、前記電力授受のためにバッテリが使用される車両として、前記劣化度がより低いグループに分類された車両を優先して選択する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記選択部は、前記電力ネットワークに前記バッテリから電力を供給する必要がある場合に、前記電力授受のためにバッテリが使用される車両として、前記劣化度がより低く、前記充電率がより高いグループに分類された車両を優先して選択する
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記選択部は、前記電力ネットワークから前記バッテリに電力を供給する必要がある場合に、前記電力授受のためにバッテリが使用される車両として、前記劣化度がより低く、前記充電率がより低いグループに分類された車両を優先して選択する
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の車両の中から車両の利用を予約するための予約情報を取得する取得部
をさらに備え、
前記予約情報は、(i)前記電力ネットワークとの間の前記電力授受及び(ii)車両の運行のうちのいずれのために前記車両のバッテリを利用するかを示す情報を含み、
前記選択部は、前記予約情報に基づいて、前記複数のグループのうちの第1のグループに分類された車両の中から、前記電力ネットワークとの間の前記電力授受のためにバッテリが利用される車両を選択し、前記複数のグループのうちの第2のグループに分類された車両の中から、前記車両の運行のためにバッテリが利用される車両を選択する
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2のグループは、前記第1のグループより前記劣化度が低いグループである
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
複数の車両が備える複数のバッテリの劣化度及び充電率を示す情報を取得する段階と、
前記複数の車両を、前記劣化度及び前記充電率の組み合わせに基づく複数のグループに分類して管理する段階と、
電力ネットワークにおける電力需給情報に基づいて、複数のグループのうちの特定のグループに分類された車両の中から、前記電力ネットワークとの間の電力授受のためにバッテリが使用される車両を選択する段階と
を備える方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のシステムとしてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気自動車の運用状況に応じて、電気自動車の蓄電池を分散型エネルギーリソースとして活用するための技術が記載されている。特許文献2には、ユーザ間における物や空間の貸与を管理する調整システムが記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2022-050126号公報
[特許文献2] 国際公開2018/167943号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
バッテリを備える複数の車両を使用する場合、複数の車両が備える複数のバッテリの劣化の進みを考慮することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、システムが提供される。システムは、複数の車両を、前記複数の車両が備える複数のバッテリの劣化度及び充電率の組み合わせに基づく複数のグループに分類して管理する管理部を備える。システムは、電力ネットワークにおける電力需給情報に基づいて、前記複数のグループのうちの特定のグループに分類された車両の中から、前記電力ネットワークとの間の電力授受のためにバッテリが使用される車両を選択する選択部を備える。
【0005】
上記のシステムにおいて、前記選択部は、前記電力授受のためにバッテリが使用される車両として、前記劣化度がより低いグループに分類された車両を優先して選択してよい。
【0006】
上記いずれかのシステムにおいて、前記選択部は、前記電力ネットワークに前記バッテリから電力を供給する必要がある場合に、前記電力授受のためにバッテリが使用される車両として、前記劣化度がより低く、前記充電率がより高いグループに分類された車両を優先して選択してよい。
【0007】
上記いずれかのシステムにおいて、前記選択部は、前記電力ネットワークから前記バッテリに電力を供給する必要がある場合に、前記電力授受のためにバッテリが使用される車両として、前記劣化度がより低く、前記充電率がより低いグループに分類された車両を優先して選択してよい。
【0008】
上記いずれかのシステムは、前記複数の車両の中から車両の利用を予約するための予約情報を取得する取得部を備えてよい。前記予約情報は、(i)前記電力ネットワークとの間の前記電力授受及び(ii)車両の運行のうちのいずれのために前記車両のバッテリを利用するかを示す情報を含んでよい。前記選択部は、前記予約情報に基づいて、前記複数のグループのうちの第1のグループに分類された車両の中から、前記電力ネットワークとの間の前記電力授受のためにバッテリが利用される車両を選択し、前記複数のグループのうちの第2のグループに分類された車両の中から、前記車両の運行のためにバッテリが利用される車両を選択してよい。
【0009】
前記第2のグループは、前記第1のグループより前記劣化度が低いグループであってよい。
【0010】
本発明の第2の態様においては、方法が提供される。方法は、複数の車両が備える複数のバッテリの劣化度及び充電率を示す情報を取得する段階を備える。方法は、前記複数の車両を、前記劣化度及び前記充電率の組み合わせに基づく複数のグループに分類して管理する段階を備える。方法は、電力ネットワークにおける電力需給情報に基づいて、複数のグループのうちの特定のグループに分類された車両の中から、前記電力ネットワークとの間の電力授受のためにバッテリが使用される車両を選択する段階を備える。
【0011】
本発明の第3の態様においては、プログラムが提供される。前記プログラムは、上記いずれかのシステムとしてコンピュータを機能させる。
【0012】
上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態におけるシステム5の利用形態を概念的に示す。
【
図2】車両管理装置60のシステム構成の一例を示す。
【
図3】統合管理装置50のシステム構成の一例を示す。
【
図4】電力制御装置40、統合管理装置50及び車両管理装置60の実行シーケンスを示す。
【
図5】バッテリ12のSOCとSOHの組み合わせに基づいて分類されたグループを示す。
【
図6】統合管理装置50及び車両管理装置60に記憶される複数の予約情報の一覧を表型式で示す。
【
図7】調停が行われる前の配車計画及び電力計画と、配車計画及び電力計画の調停が行われた後の配車及び電力計画を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1は、一実施形態におけるシステム5の利用形態を概念的に示す。システム5は、発電装置80と、車両10a、車両10b、車両10c、車両10d及び車両10eを含む複数の車両と、電力制御装置40及び電力制御装置41と、統合管理装置50及び統合管理装置51と、車両管理装置60及び車両管理装置61と、電力制御装置140と、サーバ180とを備える。
【0016】
電力需要家70及び発電装置80は、電力ネットワーク90に接続されている。発電装置80で発電された電力は、電力ネットワーク90を通じて電力需要家70に供給可能である。電力ネットワーク90は、例えば電力系統である。
【0017】
車両10a、車両10b、車両10c、車両10d及び車両10eは、それぞれ車両走行用の駆動電力を蓄積するバッテリ12a、バッテリ12b、バッテリ12c、バッテリ12d及びバッテリ12eを備える電気自動車である。本実施形態において、特に車両10a、車両10b、車両10c及び車両10deを「車両10」と総称し、バッテリ12a、バッテリ12b、バッテリ12c及びバッテリ12dを「バッテリ12」と総称する場合がある。
【0018】
車両10は、事業所30に配備されている。事業所30は、車両10が駐車するための拠点として機能する。車両10は、例えば、営業用の車両であってよく、事業所30で扱われる商品等の荷物を運搬するための車両であってよい。事業所30には、電力ネットワーク90を通じて電力が供給される。
【0019】
電力制御装置40、統合管理装置50及び車両管理装置60は、事業所30に設けられる。車両10は、車両管理装置60と移動体通信網等を通じて通信可能に設けられる。事業所30は、事業所内のローカルな電力ネットワークを有し、事業所30に設けられた充放電装置を通じて、車両10が備えるバッテリ12との間で電力授受を行うことが可能である。すなわち、車両10は、事業所30におけるエネルギーマネジメントに使用可能である。車両10が備えるバッテリ12は、事業所30内の電力ネットワークを通じて、電力ネットワーク90との間で電力授受を行うことが可能である。電力制御装置40は、事業所30内の電力需要を少なくとも満たすように、事業所30に配備されている車両10の充放電を制御する。
【0020】
電力制御装置40、統合管理装置50及び車両管理装置60は、例えば事業所30において管理される。電力制御装置40と統合管理装置50とは通信回線によって通信可能に設けられる。統合管理装置50と車両管理装置60は通信回線によって通信可能に設けられる。統合管理装置50及び車両管理装置60は、事業所30の外部に設けられてよい。統合管理装置50及び車両管理装置60は、インターネット等の通信回線を通じて通信可能に設けられてよい。統合管理装置50及び車両管理装置60の一方又は両方は、クラウドサーバ等のサーバによって実現されてよい。
【0021】
車両管理装置60は、車両10が事業所30を出発する時刻及び帰着する時刻を決定する。統合管理装置50は、事業所30における電力需要を満たすように、車両10が事業所30を出発する時刻及び帰着する時刻を調整する。例えば、統合管理装置50は、事業所30における電力需要のピークカットを行うことができるように、車両10が事業所30を出発する時刻及び帰着する時刻を調整する。車両管理装置60は、統合管理装置50によって調整された車両10のスケジュールに基づいて車両10を管理する。電力制御装置40は、統合管理装置50によって調整された車両10のスケジュールに基づいて、車両10が備えるバッテリ12の充放電を制御する。
【0022】
車両10eは、事業所31に配備されている。事業所31は、車両10eが駐車するための拠点として機能する。車両10eは、車両10と同様、営業用の車両であってよく、事業所30で扱われる商品等の荷物を運搬するための車両であってよい。事業所31には、電力ネットワーク90を通じて電力が供給される。電力制御装置41、統合管理装置51及び車両管理装置61は、事業所31に設けられる。
【0023】
事業所31において、電力制御装置41、統合管理装置51及び車両管理装置61は、電力制御装置40、統合管理装置50及び車両管理装置60に対応する。電力制御装置41、統合管理装置51及び車両管理装置61は、制御対象及び/又は管理対象が事業所31及び/又は車両10eである点を除いて、電力制御装置40、統合管理装置50及び車両管理装置60と同様の制御を行う。そのため、電力制御装置41、統合管理装置51、車両管理装置61及び車両10に関する制御については説明を省略する。
【0024】
電力制御装置140は、通信ネットワーク190を通じて電力制御装置40及び電力制御装置41と通信し、事業所30及び事業所31における全体的な電力制御を統括する。例えば、電力制御装置140は、電力制御装置40及び電力制御装置41から電力需給に関する情報を収集し、電力ネットワーク90との間の電力取引を含む全体的な電力需給の調整を行うことで事業所30及び事業所31の全体として電力コストを最小化するように、電力制御装置40及び電力制御装置41に制御を行わせる。
【0025】
電力制御装置140は、通信ネットワーク190を通じてサーバ180と接続されている。サーバ180は、例えば電力アグリゲータによって使用されるサーバである。サーバ180は、電力市場における電力取引を行う。電力制御装置140は、事業所30及び事業所30に配備された車両を集約して保持している電力リソースをサーバ180に提供することができる。電力制御装置140は、電力制御装置40及び41が事業所30及び事業所31に配備された各車両のバッテリの充放電を制御して、サーバ180が約定した電力を提供する。例えば、電力制御装置140は、サーバ180からのデマンドに応じて、電力制御装置40及び電力制御装置40によるバッテリ12の充放電を制御して、デマンドに応じた電力を提供する。
【0026】
図2から
図7等に関連して、主として事業所30に関連する制御が説明される。具体的には、電力制御装置40、統合管理装置50、車両管理装置60及び車両10に関する制御が説明する。しかし、事業所30に関連する制御は、事業所31に関連する制御に適用できる。
【0027】
図2は、車両管理装置60のシステム構成の一例を示す。車両管理装置60は、処理部200と、記憶部280と、通信部290とを備える。
【0028】
処理部200は、通信部290の制御を行う。通信部290は、車両10及び統合管理装置50との間の通信を担う。処理部200は、プロセッサを含む演算処理装置により実現される。記憶部280は、それぞれ不揮発性の記憶媒体を備えて実現される。処理部200は、記憶部280に格納された情報を用いて処理を行う。処理部200は、CPU、ROM、RAM、I/O及びバス等を備えたマイクロコンピュータによって実現されてよい。車両管理装置60は、コンピュータによって実現されてよい。
【0029】
本実施形態において、車両管理装置60は、単一のコンピュータによって実現されるものとする。しかし、他の実施形態において、車両管理装置60は複数のコンピュータによって実現されてよい。車両管理装置60の少なくとも一部の機能は、クラウドサーバ等の1つ以上のサーバによって実現されてよい。
【0030】
処理部200は、取得部210と、計画部220と、管理部240とを備える。計画部220は、選択部230を備える。
【0031】
取得部210は、複数の車両10の中から車両10の利用を予約するための予約情報を取得する。予約情報は、例えば、利用者が利用する車両10を選択する選択条件と、選択条件の重要度を指定する情報とを含む。選択条件は、例えば、車両10の利用期間を選択するための条件及び車種を選択するための条件のうちの少なくとも一つを含む。記憶部280は、取得部210が取得した予約情報を記憶する。
【0032】
取得部210はさらに、車両10が備えるバッテリ12の充電率(SOC)及び劣化度を示す情報を取得する。劣化度を示す情報は、例えば健全度(SOH)であってよい。バッテリ12の劣化度を示す情報として、SOH以外に、バッテリ12の使用電力量積算値等を例示することができる。
【0033】
計画部220は、記憶部280に記憶された予約情報に基づいて、車両10の利用計画を立てる。例えば、計画部220は、記憶部280に記憶された選択条件に基づいて、車両10をどの利用者に利用させるかを示す配車計画を立案する。具体的には、計画部220が有する選択部230が、利用者が利用する車両10を選択することによって、配車計画を立案する。
【0034】
管理部240は、複数の車両10を、複数の車両10が備える複数のバッテリの劣化度及び充電率の組み合わせに基づく複数のグループに分類して管理する。計画部220において、選択部230は、予約情報に基づいて、管理部240によって分類複数のグループのうちの第1のグループに分類された車両10の中から、運行のためにバッテリ12が使用される車両10を選択する。このとき、選択部230は、運行のためにバッテリ12が使用される車両10として、劣化度がより低いグループに分類された車両10を優先して選択する。例えば、選択部230は、運行のためにバッテリ12が使用される車両10として、SOHがより高いグループに分類された車両10を優先して選択する。
【0035】
通信部290は、統合管理装置50に配車計画を送信する。通信部290はさらに、統合管理装置50に予約情報の少なくとも一部を送信してよい。後述するように、通信部290は、競合した予約を調停することによって利用者が利用する車両10が変更された場合に、変更された車両10が予約されていた利用者に、車両10が変更されたことを示す通知を送信してよい。
【0036】
図3は、統合管理装置50のシステム構成の一例を示す。統合管理装置50は、処理部300と、記憶部380と、通信部390とを備える。
【0037】
処理部300は、通信部390の制御を行う。通信部390は、電力制御装置140及び統合管理装置50との間の通信を担う。処理部300は、プロセッサを含む演算処理装置により実現される。記憶部380は、それぞれ不揮発性の記憶媒体を備えて実現される。処理部300は、記憶部380に格納された情報を用いて処理を行う。処理部300は、CPU、ROM、RAM、I/O及びバス等を備えたマイクロコンピュータによって実現されてよい。統合管理装置50は、コンピュータによって実現されてよい。
【0038】
本実施形態において、統合管理装置50は、単一のコンピュータを含んで実現されるものとする。しかし、他の実施形態において、統合管理装置50は複数のコンピュータによって実現されてよい。統合管理装置50の少なくとも一部の機能は、クラウドサーバ等の1つ以上のサーバを含んで実現されてよい。
【0039】
処理部300は、取得部310と、調停部320と、管理部340とを備える。調停部320は、選択部330を備える。
【0040】
管理部340は、複数の車両10を、複数の車両10が備える複数のバッテリ12の劣化度及び充電率の組み合わせに基づく複数のグループに分類して管理する。選択部330は、電力ネットワークにおける電力需給情報に基づいて、複数のグループのうちの特定のグループに分類された車両10の中から、電力ネットワークとの間の電力授受のためにバッテリ12が使用される車両10を選択する。電力ネットワークは、例えば事業所30内の電力ネットワーク及び/又は電力ネットワーク90である。電力ネットワーク90における電力需給情報は、一例として、上げデマンドレスポンス(DR)、下げDR等に関する情報であってよい。
【0041】
管理部340によって、バッテリ12の劣化度及び充電率の組み合わせに基づく複数のグループに分類して車両10を管理することで、バッテリ12の劣化を考慮しつつ、電力ネットワークにおける電力需給に対応するための演算負荷を軽減することができる。
【0042】
選択部330は、電力授受のためにバッテリ12が使用される車両10として、劣化度がより低いグループに分類された車両10を優先して選択する。具体的には、選択部330は、電力ネットワークにバッテリ12から電力を供給する必要がある場合に、電力授受のためにバッテリ12が使用される車両10として、劣化度がより低く、充電率がより高いグループに分類された車両10を優先して選択する。一方、電力ネットワークからバッテリ12に電力を供給する必要がある場合、選択部330は、電力授受のためにバッテリ12が使用される車両10として、劣化度がより低く、充電率がより低いグループに分類された車両10を優先して選択する。
【0043】
取得部310は、複数の車両10の中から車両10の利用を予約するための予約情報を取得する。予約情報は、(i)電力ネットワークとの間の電力授受及び(ii)車両10の運行のうちのいずれのために車両10のバッテリ12を使用するかを示す情報を含む。取得部310は、電力ネットワークとの間の電力授受のための予約情報を、電力制御装置40から取得してよい。取得部310は、車両10の運行のための予約情報を、車両管理装置60から取得してよい。例えば、取得部310は、車両管理装置60及び通信部390を通じて、車両10の運行のための予約情報を取得してよい。
【0044】
選択部330は、予約情報に基づいて、複数のグループのうちの第1のグループに分類された車両10の中から、電力ネットワークとの間の電力授受のためにバッテリ12が使用される車両10を選択する。一方、車両管理装置60において、選択部230は、複数のグループのうちの第2のグループに分類された車両10の中から、車両10の運行のためにバッテリ12が使用される車両10を選択する。ここで、第2のグループは、第1のグループより劣化度が低いグループである。つまり、選択部230は、バッテリ12の劣化度が比較的に低い車両10を、運行に使用される車両10として選択し、選択部330は、バッテリ12の劣化度が比較的に高い車両10を、電力ネットワークとの間の電力授受のためにバッテリ12が使用される車両10として選択する。電力ネットワークとの間の電力授受にバッテリ12が使用される場合に比べると、車両10が走行する場合のバッテリ12の負荷は大きく、バッテリ12の劣化が進む場合が多い。したがって、劣化度が比較的に低いバッテリ12を備える車両10を運行に使用される車両10として選択し、劣化度が比較的に高いバッテリ12を備える車両10を、電力ネットワークとの間の電力授受のためにバッテリ12が使用される車両10として選択することで、特定の車両10のバッテリ12の劣化が進行しないようにすることができる。
【0045】
図4は、電力制御装置40、統合管理装置50及び車両管理装置60の実行シーケンスを示す。
図4の処理は、翌日の電力計画及び配車計画を前日に立案し、立案した計画にしたがって各種の制御を実行するまでの処理を表す。
【0046】
電力制御装置40に関する制御として、S4010において、電力制御装置40の利用者及び電力制御装置140の少なくとも一方は、事業所30における電力計画に関する制約条件を設定して、電力制御装置40に通知する。電力制御装置140は、事業所30及び事業所31における全体的な電力コストを最小化するように、事業所30における制約条件を設定してよい。なお、利用者は、事業所30において電力管理に関する情報を電力制御装置40に入力する人物又はシステムである。制約条件は、電力計画を立案する上で制約となる条件である。制約条件は、電力需要を満たすために必要となる制約を含んでよい。制約条件は、例えば、発電量の現況、電力消費量の現況、及び電力料金に関する情報を含む。発電量は、例えば、発電装置80における発電量である。電力消費量は、事業所30における電力消費量である。電力料金は、買電価格や売電価格を含む。買電価格は、例えば事業所30が電力ネットワーク90から受電したことの対価として課される金額に関する条件である。売電価格は、例えば事業所30が電力ネットワーク90に電力供給したことの対価として得られる金額に関する条件である。
【0047】
S4012において、電力制御装置40は、事業所30における翌日の電力計画を立案する。電力計画は、一日における時間帯毎の消費電力量を含む。電力計画によって、事業所30において各時間帯にどれだけ電力が消費されるかが定まる。翌日における時間帯毎の消費電力量は、翌日の気象情報等の環境情報と過去の実績データから予測されてよい。電力計画はピークシェービングを行うためのピークシェーブ情報を含んでよい。ピークシェーブ情報は、事業所30においてどの時間帯においてどれだけの量の消費電力を抑制すべきかを示す情報を含んでよい。ピークシェーブ情報は、事業所30においてどの時間帯に外部からどれだけの量の電力を受け取るかべきかを示す情報を含んでよい。
【0048】
電力制御装置40は、事業所30における最適な電力計画を立案してよい。例えば、電力制御装置40は、事業所30において電力ネットワーク90から受電する電力量が最小となるように、電力計画を立案してよい。電力制御装置40は、事業所30において電力ネットワーク90から受電することの対価として課される金額が最小となるように、電力計画を立案してよい。電力制御装置40は、事業所30において電力ネットワーク90に電力供給することに対する対価として得られる金額が最大となるように、電力計画を立案してよい。このように、電力制御装置40は、制約条件に基づいて、事業所30における翌日の電力計画として最適な電力計画を立案する。この電力計画によって、翌日の各時間帯に外部から受け取る必要がある電力量が定まる。外部から受け取る必要がある電力量は、事業所30に駐車中の車両10が備えるバッテリ12から供給されてよい。電力制御装置40は、立案した電力計画を統合管理装置50に送信する。
【0049】
車両管理装置60に関する制御として、S4210において、利用者は、車両10の配車に関する予約情報を入力する。予約情報の内容については
図6に関連して具体的に説明される。車両管理装置60の利用者は、車両10を利用する人物やシステム等である。予約情報は、配車計画を立案する上で制約となり得る条件を含む。予約情報は、例えば、出発地及び目的地、出発時刻及び目的地への到着時刻、並びに、車両10への積載物の種類、容量及び重量等を含む。出発地及び目的地により、どの場所からどの場所まで車両10を走行させる必要があるかが定まる。出発時刻は、例えば車両10が事業所30を出発する時刻であり、到着時刻は例えば車両10が事業所30に帰着する時刻であってよい。出発時刻及び到着時刻には、車両10の出発時刻及び到着時刻の変更を許容できる時間を示す時間調整許容量が設定されてよい。S4210において入力された予約情報は、車両管理装置60に送信されるとともに、車両管理装置60を通じて統合管理装置50に送信される。
【0050】
S4212において、車両管理装置60の計画部220は、利用者から通知された制約条件に基づいて、事業所30における翌日の配車計画を立案する。例えば、計画部220は、予約情報により定まる輸送需要が満たされるように、人物又は積載物の輸送に利用する車両10、車両10の走行ルート、及び車両10の走行速度を決定する。車両管理装置60は、立案した配車計画を統合管理装置50に送信する。このとき、車両管理装置60は、車両10のバッテリ12のSOC及びSOHを示す情報を、配車計画とともに統合管理装置50に送信する。
【0051】
S4110において、統合管理装置50の取得部310は、電力制御装置40から送信された電力計画と、車両管理装置60から送信された予約情報及び配車計画とを取得する。
【0052】
S4112において、統合管理装置50の調停部320は、配車計画に従って車両10を運行した場合に、事業所30における電力計画を満たすか否かを判断する。例えば、配車計画から、車両10が事業所30に存在することが予測される期間が定まる。調停部320は、事業所30が外部から電力供給される必要がある期間において、当該期間に事業所30に存在する車両10が備えるバッテリ12から電力を受け取ることができると予測される場合に、電力計画を満たすと判断する。
【0053】
調停部320は、配車計画に従って配車した場合に電力計画を満たすことができないと判断した場合、配車計画をどのように修正すれば電力計画を満たすことができるかを判断する。例えば、調停部320は、配車計画における車両10の出発時刻及び到着時刻の調整量を決定する。
【0054】
統合管理装置50は、決定した出発時刻及び帰着時刻の調整量を含む修正情報を、車両管理装置60に送信する。車両管理装置60の計画部220は、統合管理装置50から修正情報を受信すると、修正情報に基づいて、S4212で立案した配車計画を修正する(S4213)。例えば、計画部220は、統合管理装置50から受信した出発時刻及び帰着時刻の調整量に基づいて、予約情報を満たすように配車計画を修正する。車両管理装置60は、配車計画の修正結果を、統合管理装置50に送信する。統合管理装置50及び車両管理装置60は、S4112及びS4213の処理を繰り返して、遂行可能な配車計画を決定する。S4213において、計画部220は、車両10の運行ルートを決定し、予約情報で指定された出発時刻及び到着時刻を遵守でき、かつ、車両10のSOC及び電力消費率に基づいて電欠が生じることなく車両10が事業所30に帰着できるか否かを判定することによって、遂行可能な配車計画を決定する。また、S4112において、調停部320は、決定される電力計画に従ってバッテリ12と事業所30との間で電力授受を行った場合に得られる事業所30の電力コスト削減量と、配車計画に従って車両10の運行を行った場合に必要な車両10の運行コスト及び車両10の稼働率とを考慮して、総合的に利益が得られると判断されることを条件として、配車計画を、遂行可能と判定してよい。
【0055】
配車計画が決定されると、配車計画を含む調停結果を電力制御装置40に送信する。電力制御装置40は、統合管理装置50から調停結果を受信すると、調停結果に基づいて電力計画に反映し(S4014)、調停結果を反映することによって確定した電力計画を利用者に通知する(S4015)。S4016において、利用者及び電力制御装置140は、通知された電力計画に従って制御を実行する。S4018において、利用者及び電力制御装置140は、電力計画の実行に関する実績処理を行う。例えば、利用者は、各時間帯における消費電力量の実績データを含む電力管理の実績データを収集して入力する処理を行う。S4020において、電力制御装置40は、利用者及び電力制御装置140のそれぞれから入力された実績データを履歴情報として管理する。なお、電力制御装置40は、電力制御装置40が管理している履歴情報を、後に電力計画を立案する場合に使用してよい。
【0056】
車両管理装置60は、S4213にて最終的に決定された配車計画を確定し(S4214)、確定した配車計画を利用者に通信部290を通じて通知する。S4216において、利用者は通知された配車計画に従って車両10の運行制御を実行する。S4218において、利用者は、配車計画の実行に関する実績処理を行う。例えば、利用者は、各車両10の走行データやバッテリ12の残容量等を含む走行実績データを収集して入力する処理を含む。S4220において、車両管理装置60は、利用者から入力された走行実績データを履歴情報として管理する。なお、車両管理装置60は、車両管理装置60が管理している履歴情報を、後に配車計画を立案する場合に使用してよい。
【0057】
図5は、バッテリ12のSOCとSOHの組み合わせに基づいて分類されるグループを示す。
【0058】
管理部240及び管理部340は、バッテリ12のSOCに基づくグループAからグループDまでの4つのグループに車両10を分類して管理する。具体的には、グループAは、SOCが95%以上100%以下のグループである。グループBは、SOCが61%以上94%以下のグループである。グループCは、SOCが40%以上60%以下のグループである。グループDは、SOCが39%以下のグループである。
【0059】
管理部240及び管理部340は、バッテリ12のSOHに基づくグループaからグループdまでの4つのグループに車両10を分類して管理する。グループaは、SOHが81%以上100%以下のグループである。グループbは、SOHが61%以上80%以下のグループである。グループcは、SOHが31%以上60%以下のグループである。グループdは、SOHが30%以下のグループである。
【0060】
管理部240及び管理部340は、バッテリ12のSOCが属するグループSOHがぞくするグループの組み合わせによって、16個のグループのいずれかに車両10を分類して管理する。一例として、SOCがグループBの範囲内にあり、SOHがグループaの範囲内にあるバッテリ12を備える車両10は、グループBaに分類される。SOCがグループBの範囲内にあり、SOHがグループbの範囲内にあるバッテリ12を備える車両10は、グループBbに分類される。
【0061】
選択部230及び選択部330は、事業所30との間の電力授受に利用される車両10又は運行する車両10を選択する場合、SOHがより高いグループに分類される車両10の中から優先して選択する。つまり、選択部230及び選択部330は、事業所30との間の電力授受に利用される車両10又は運行する車両10を選択する場合、SOHがより高い車両10を優先して選択する。すなわち、
図5に示されるように、SOHが高いほど、SOHに基づく選択優先度は高くなる。
【0062】
一例として、選択部230は、運行に利用される車両10を、SOHが31%以上のグループに分類される車両10の中から選択してよい。つまり、選択部230は、グループAd、グループBd、グループCd及びグループDd以外のグループに分類される車両10の中から、運行に利用される車両10を選択してよい。
【0063】
下げデマンドレスポンス(DR)に基づいて事業所30との間の電力授受に利用される車両10を選択する場合、選択部330は、電力授受に利用される車両10を、SOCがより高いグループに分類される車両10の中から優先して選択する。つまり、下げDRに基づいて事業所30との間の電力授受に利用される車両10を選択する場合、選択部330は、SOCがより高い車両10を優先して選択する。すなわち、
図5に示されるように、SOCが高いほど、SOCに基づく選択優先度は高くなる。ただし、下げDRに基づいて事業所30との間の電力授受に利用される車両10を選択する場合、選択部330は、グループDに属する車両10は、事業所30との間の電力授受に利用される車両10として選択しない。
【0064】
このように、選択部330は、下げDRに基づいて事業所30との間の電力授受に利用される車両10を選択する場合、SOCが40%以上のグループに分類される車両10の中から選択してよい。つまり、選択部330は、グループDa、グループDb、グループDc及びグループDd以外のグループに分類の中から、電力授受に利用される車両10を選択してよい。
【0065】
上げDRに基づいて事業所30との間の電力授受に利用される車両10を選択する場合、選択部330は、電力授受に利用される車両10を、SOCがより低いグループに分類される車両10の中から優先して選択する。つまり、上げDRに基づいて事業所30との間の電力授受に利用される車両10を選択する場合、選択部330は、SOCがより低い車両10を優先して選択する。すなわち、
図5に示されるように、SOCが低いほど、SOCに基づく選択優先度は高くなる。ただし、上げDRに基づいて事業所30との間の電力授受に利用される車両10を選択する場合、選択部330は、グループA及びグループBのいずれかに属する車両10は、事業所30との間の電力授受に利用される車両10として選択しない。
【0066】
このように、選択部330は、上げDRに基づいて事業所30との間の電力授受に利用される車両10を選択する場合、SOCが60%以下のグループに分類される車両10の中から選択してよい。つまり、選択部330は、グループCa、グループCb、グループCc、グループCd、グループDa、グループDb、グループDc又はグループDdに分類の中から、電力授受に利用される車両10を選択してよい。
【0067】
図6は、統合管理装置50及び車両管理装置60に記憶される複数の予約情報の一覧を表型式で示す。予約情報はそれぞれ、「利用者」、「時間変更」、「車種変更」、「車種指定」、「出発地」、「目的地」、「出発時刻」、「到着時刻」及び「滞在時間」を示す情報を含む。予約情報に含まれる情報のうち、「車種指定」、「出発地」、「目的地」、「出発時刻」、「到着時刻」及び「滞在時間」は、利用者が利用する車両10の選択条件の一例である。「時間変更」及び「車両変更」は、選択条件の重要度を指定する情報の一例である。
【0068】
「利用者」は、車両10を利用する人物の識別情報である。
【0069】
「時間変更」は、利用期間に関する選択条件を変更することが許容されるか否かを示す情報である。利用期間に関する選択条件は、後述する「出発時刻」、「到着時刻」及び「滞在時間」である。「時間変更」の「不可」は、利用期間に関する選択条件を変更することを許容しないことを示す。「時間変更」の「可」は、利用期間に関する選択条件を変更することを許容することを示す。「時間変更」は、利用期間に関する選択条件の重要度を指定する情報の一例である。
【0070】
「車種変更」は、利用する車両の種別(車種)に関する選択条件を変更することが許容されるか否かを示す情報である。車種に関する選択条件は、後述する「車種指定」である。「車種変更」の「不可」は、車種に関する選択条件を変更することを許容しないことを示す。「車種変更」の「可」は、車種に関する選択条件を変更することを許容することを示す。「車種変更」は、車種に関する選択条件の重要度を指定する情報の一例である。
【0071】
「車種指定」は、特定の車種の車両を利用することを希望する場合に指定される。「車種指定」は、車種の識別情報である。
【0072】
「出発地」は、車両10の出発地を示す。「目的地」は、車両10の目的地を示す。
【0073】
「出発時刻」は、車両10が出発地を出発する予定の時刻である。「到着時刻」は、車両10が目的地に到着する予定の時刻である。「滞在時間」は、車両10が目的地に滞在する時間の長さを示す。一例として、
図6の「滞在時間」は、目的地に滞在する時間の長さが分単位で示されている。目的地が事業所30である場合の予約情報には「滞在時間」は含まれない。
【0074】
図6の例において、利用者Aの予約情報によると、事務所を12:45に出発し、支店1の場所に12:55に到着した後、支店1の場所に10分間滞在し、支店1の場所を13:05に出発し、事業所30に13:15に到着するために車両10を利用することが予約されている。この予約では、時間変更及び車種変更が許容されることが指定されている。
【0075】
図6の例において、利用者Bの予約情報によると、事務所を14:30に出発し、顧客1の場所に14:40に到着した後、顧客1の場所に10分間滞在し、顧客1の場所を14:50に出発し、事業所30に15:00に到着するために車両10を利用することが予約されている。この予約では、時間変更及び車種変更が許容されることが指定されている。
【0076】
図6の例において、利用者Cの予約情報によると、事務所を15:45に出発し、顧客2の場所に15:55に到着した後、顧客2の場所に10分間滞在し、顧客2の場所を16:05に出発し、事業所30に16:15に到着するために車両10dを利用することが予約されている。この予約では、時間変更及び車種変更が許容されることが指定されている。
【0077】
調停部320は、予約に競合が生じた場合、予約情報に基づいて競合した予約を調停する。例えば、調停部320は、出発時刻及び到着時刻を調整することによって、競合した予約を調整する。また、調停部320の選択部330は、利用者が利用する他の車両10を選択することによって、競合した予約を調整する。予約情報は、選択条件として、出発時刻及び/又は到着時刻の変更を許容できる時間を示す時間調整許容量を示す情報をさらに含んでよい。調停部320は、時間調整許容量の範囲内で出発時刻及び/又は到着時刻を調整することによって、競合した予約を調整してよい。
【0078】
図7は、調停が行われる前の配車計画及び電力計画と、配車計画及び電力計画の調停が行われた後の配車及び電力計画を示す。
【0079】
ここで、車両10a、車両10b及び車両10cは、グループBaに分類され、車両10dはグループBbに分類されているとする。選択部230は、比較的長い期間運行されるべき車両10として、グループBaに分類される車両10a、車両10b及び車両10cを選択し、比較的短い期間運行されるべき車両10として、車両10dを選択する。このように、選択部230は、SOHがより高い車両10を、より長い期間運行されるべき車両10として選択する。
【0080】
この結果、
図7に示されるように、車両管理装置60によって立案された調停前の配車計画では、符号601及び符号602で示されるように、車両10aは、13:00から14:00の期間及び15:30から16:30の期間に利用されることが計画される。さらに、符号603及び符号604で示されるように、車両10bは、13:30から15:00の期間及び15:30から16:45の期間に利用されることが計画される。さらに、符号605及び符号606で示されるように、車両10cは、13:00から14:00の期間及び14:30から15:45の期間に利用されることが計画される。さらに、符号607、符号608及び符号609に示されるように、車両10dは、12:45から13:15の期間、14:30から15:00の期間及び15:45から16:15の期間に利用されることが計画される。
【0081】
図7の符号610に示されるように、電力制御装置40によって立案された電力計画では、13:00から16:00の期間に、事業所30のピークカットのためにバッテリ12から事業所30への電力供給に利用することが計画されている。車両10a、車両10b、車両10c及び車両10dのいずれの車両10に対しても、電力計画に基づく予約と配車計画に基づく予約は競合する。そこで、調停部320は、以下のように、電力計画に基づく予約と配車計画に基づく予約とを調停する。
【0082】
ここで、電力計画においては、利用する車両10を選択するための利用期間以外の選択条件として、バッテリ12から供給されるべき電力量が指定され、かつ、車両10を利用する時間を変更することは許容しない旨(時間変更:不可)が設定されているとする。この場合、調停部320の選択部330は、指定された期間において指定された電力量を車両10dのバッテリ12dから供給できることを条件として、事業所30との電力授受に使用されるべき車両10として、グループBbに分類される車両10dを選択し、グループBaに分類される車両10a、車両10b及び車両10cは、運行に利用されるべき車両10であると判断する。
【0083】
図6に示されるように、車両10dに対する利用者A、利用者B及び利用者Cの予約においては、車種変更が許容される。調停部320は、車両10bには12:45から13:15の期間に予約が入っていないため、調停部320は、利用者Aが12:45から13:15の期間に利用する車両を、車両10bに変更することが可能であると判断する。同様に、車両10aには14:30から15:00の期間に予約が入っていないため、調停部320は、利用者Bが14:30から15:00の期間に利用する車両を、車両10aに変更することが可能であると判断する。同様に、車両10cには15:45から16:15の期間に予約が入っていないため、調停部320は、利用者Cが15:45から16:15の期間に利用する車両を、車両10cに変更することが可能であると判断する。
【0084】
以上より、調停部320は、車両10dに対する利用者Aの予約については、符号617に示されるように利用する車両を車両10bに変更し、車両10dに対する利用者Bの予約については符号618に示されるように利用する車両を車両10aに変更し、車両10dに対する利用者Cの予約については符号619に示されるように利用する車両を車両10cに変更する。そして、選択部330は、符号620に示されるように13:00から16:00の期間に電力計画に基づいて事業所30に電力供給する車両として車両10dを選択する。そして、車両管理装置60の通信部290を通じて、利用者A、利用者B及び利用者Cには、利用する車両がそれぞれ車両10b、車両10a及び車両10cに変更されたことが通知される。これにより、利用者A、利用者B及び利用者Cが許容できる範囲で、事業所30のピークカットのために車両10のバッテリ12を有効利用することが可能になる。
【0085】
本実施形態のシステム5によれば、SOHを考慮して、利用されるべき車両10を選択することができる。特に、SOHが高い車両10が優先的に利用されるようにすることができるので、特定の車両10のバッテリ12だけ劣化が進まないようにすることができる。さらに、SOHが高い車両が優先的に使用されることでSOHが自然と低下し、それに応じて利用の優先度が低下する。これにより、複数の車両10の全体にわたって、バッテリ12の劣化が比較的均一に低下していくようにすることができる。ひいては、特定の車両10の寿命が短くならないようにすることができるとともに、複数の車両10のメンテナンスインターバルを管理することが容易となる。
【0086】
図8は、本発明の複数の実施形態が全体的又は部分的に具現化され得るコンピュータ2000の例を示す。コンピュータ2000にインストールされたプログラムは、コンピュータ2000を、実施形態にかかるシステム5又はシステム5の各部、もしくは電力制御装置40及び車両管理装置60等の装置又は当該装置の各部として機能させる、当該システム又はシステムの各部もしくは当該装置又は当該装置の各部に関連付けられるオペレーションを実行させる、及び/又は、実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2000に、本明細書に記載の処理手順及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU2012によって実行されてよい。
【0087】
本実施形態によるコンピュータ2000は、CPU2012、及びRAM2014を含み、それらはホストコントローラ2010によって相互に接続されている。コンピュータ2000はまた、ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040を含む。ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040は、入力/出力コントローラ2020を介してホストコントローラ2010に接続されている。
【0088】
CPU2012は、ROM2026及びRAM2014内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0089】
通信インタフェース2022は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。フラッシュメモリ2024は、コンピュータ2000内のCPU2012によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ROM2026は、アクティブ化時にコンピュータ2000によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ2000のハードウエアに依存するプログラムを格納する。入力/出力チップ2040はまた、キーボード、マウス及びモニタ等の様々な入力/出力ユニットをシリアルポート、パラレルポート、キーボードポート、マウスポート、モニタポート、USBポート、HDMI(登録商標)ポート等の入力/出力ポートを介して、入力/出力コントローラ2020に接続してよい。
【0090】
プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、又はメモリカードのようなコンピュータ可読記憶媒体又はネットワークを介して提供される。RAM2014、ROM2026、又はフラッシュメモリ2024は、コンピュータ可読記憶媒体の例である。プログラムは、フラッシュメモリ2024、RAM2014、又はROM2026にインストールされ、CPU2012によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2000に読み取られ、プログラムと上記様々なタイプのハードウエアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ2000の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0091】
例えば、コンピュータ2000及び外部デバイス間で通信が実行される場合、CPU2012は、RAM2014にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2022に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2022は、CPU2012の制御下、RAM2014及びフラッシュメモリ2024のような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取った送信データをネットワークに送信し、ネットワークから受信された受信データを、記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0092】
また、CPU2012は、フラッシュメモリ2024等のような記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM2014に読み取られるようにし、RAM2014上のデータに対し様々な種類の処理を実行してよい。CPU2012は次に、処理されたデータを記録媒体にライトバックする。
【0093】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理にかけられてよい。CPU2012は、RAM2014から読み取られたデータに対し、本明細書に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々な種類のオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々な種類の処理を実行してよく、結果をRAM2014にライトバックする。また、CPU2012は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2012は、第1の属性の属性値が指定されている、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0094】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ2000上又はコンピュータ2000近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能である。コンピュータ可読記憶媒体に格納されたプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2000に提供してよい。
【0095】
コンピュータ2000にインストールされ、コンピュータ2000を統合管理装置50として機能させるプログラムは、CPU2012等に働きかけて、コンピュータ2000を、統合管理装置50の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ2000に読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段である統合管理装置50の各部として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ2000の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の統合管理装置50が構築される。
【0096】
コンピュータ2000にインストールされ、コンピュータ2000を車両管理装置60として機能させるプログラムは、CPU2012等に働きかけて、コンピュータ2000を、車両管理装置60の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ2000に読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段である車両管理装置60の各部として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ2000の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の車両管理装置60が構築される。
【0097】
様々な実施形態が、ブロック図等を参照して説明された。ブロック図において各ブロックは、(1)オペレーションが実行されるプロセスの段階又は(2)オペレーションを実行する役割を持つ装置の各部を表わしてよい。特定の段階及び各部が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウエア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、及び他の論理オペレーション、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウエア回路を含んでよい。
【0098】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく実行され得る命令を含む製品の少なくとも一部を構成する。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0099】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0100】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ又はプログラマブル回路に対し、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、説明された処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0101】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0102】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の序順で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0103】
5 システム
10 車両
12 バッテリ
30、31 事業所
40、41 電力制御装置
50、51 統合管理装置
60、61 車両管理装置
70 電力需要家
80 発電装置
90 電力ネットワーク
140 電力制御装置
180 サーバ
190 通信ネットワーク
200 処理部
210 取得部
220 計画部
230 選択部
240 管理部
280 記憶部
290 通信部
300 処理部
310 取得部
320 調停部
330 選択部
340 管理部
380 記憶部
390 通信部
601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、617、618、619、620 符号
2000 コンピュータ
2010 ホストコントローラ
2012 CPU
2014 RAM
2020 入力/出力コントローラ
2022 通信インタフェース
2024 フラッシュメモリ
2026 ROM
2040 入力/出力チップ