(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049296
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】コンクリート製のベースと土間の連続施工方法と、連続施工方法に適用される堰板固定治具と支保部材固定治具
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
E02D27/01 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054791
(22)【出願日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2022154543
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】川上 浩史
(72)【発明者】
【氏名】南野 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】市岡 大幸
(72)【発明者】
【氏名】野村 智文
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046BA25
2D046BA27
2D046BA33
(57)【要約】
【課題】複数の堰板の長手方向の寸法が合わなくなった場合でも堰板を重ねたり切断加工せずに長手方向の寸法を調整でき、1人の作業員によって複数の堰板を支保部材にて高い固定度の下で固定できる、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法を提供すること。
【解決手段】土間エリアDAの外郭線形Lに沿って複数の堰板10を並べて設置する、堰板設置工程、土間エリアDAに埋戻し土Uを施工する、埋戻し土施工工程、埋戻し土Uの上方にコンクリートを打設して土間Dを施工し、ベースエリアBAにコンクリートを打設してベースBを施工する、コンクリート打設工程とを有し、堰板10の設置に先行して、外郭線形Lの隅角部に平面視L型の第1堰板固定治具20を設置して堰板10を固定し、複数の堰板10の側面15に軸状の支保部材40を配設し、支保部材固定治具50の内部に支保部材40の一部と堰板10の上部を収容して固定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布基礎を形成するPCa製の立ち上がり部を支持するコンクリート製のベースと、該布基礎に隣接するコンクリート製の土間を連続して施工する、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法であって、
土間エリアの外郭線形に沿って、複数の堰板を並べて設置する、堰板設置工程と、
前記土間エリアに埋戻し土を施工する、埋戻し土施工工程と、
前記埋戻し土の上方にコンクリートを打設して前記土間を施工し、前記堰板の側方のベースエリアにコンクリートを打設して前記ベースを施工する、コンクリート打設工程とを有し、
前記堰板設置工程では、
前記堰板の設置に先行して、前記外郭線形を形成する隅角部に平面視L型の第1堰板固定治具を設置し、該第1堰板固定治具と前記堰板を固定し、
複数の前記堰板の側面に対して軸状の支保部材を配設し、支保部材固定治具の内部に該支保部材の一部と該堰板の上部を収容して固定することを特徴とする、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法。
【請求項2】
前記堰板設置工程と前記埋戻し土施工工程のいずれか一方において、前記ベースエリアに前記PCa製の立ち上がり部を設置することを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート製のベースと土間の連続施工方法。
【請求項3】
前記第1堰板固定治具は、平面視L型であって、かつ断面視コの字状を呈しており、該コの字状の内部に前記堰板の一部が嵌められることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート製のベースと土間の連続施工方法。
【請求項4】
前記堰板設置工程では、前記外郭線形を形成する直線部に、平面視直線状で、かつ断面視コの字状の第2堰板固定治具をさらに設置し、該コの字状の内部に前記堰板の一部が嵌められることにより該第2堰板固定治具に前記堰板を固定することを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート製のベースと土間の連続施工方法。
【請求項5】
前記第1堰板固定治具は、断面視コの字状を形成する、第1底板と、該第1底板から上方へ立設する第1側板と第2側板とを有し、
前記土間エリア側に配設される前記第1側板の高さが、前記第2側板の高さよりも高く設定され、該第2側板の上端が前記支保部材よりも低い位置にあることを特徴とする、請求項3に記載のコンクリート製のベースと土間の連続施工方法。
【請求項6】
前記第2堰板固定治具は、断面視コの字状を形成する、第2底板と、該第2底板から上方へ立設する第3側板と第4側板とを有し、
前記土間エリア側に配設される前記第3側板の高さが、前記第4側板の高さよりも高く設定され、該第4側板の上端が前記支保部材よりも低い位置にあることを特徴とする、請求項4に記載のコンクリート製のベースと土間の連続施工方法。
【請求項7】
前記支保部材固定治具は、
断面視矩形枠状であって、前記堰板の上部が挿入自在な開口を下方に備えている、枠体と、
前記枠体の側面に開設されているボルト孔を介して螺合するボルトとを有し、
前記枠体の内部に前記支保部材の一部と前記堰板の上部を収容し、該ボルトの端部にて該支保部材を押圧することにより、該支保部材と該堰板を固定することを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート製のベースと土間の連続施工方法。
【請求項8】
前記外郭線形のうち、前記隅角部を挟む2方向の直線線形に沿って配設される2つの前記支保部材は、双方の高さレベルが上下の関係にあり、
前記支保部材固定治具の内部の高さは、2つの前記支保部材が積層された高さ以上に設定されていることを特徴とする、請求項7に記載のコンクリート製のベースと土間の連続施工方法。
【請求項9】
布基礎を形成するPCa製の立ち上がり部を支持するコンクリート製のベースと、該布基礎に隣接するコンクリート製の土間を連続して施工する、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法において、土間エリアの外郭線形に沿って複数の堰板を並べて設置する過程で、該外郭線形を形成する隅角部に設置されて該堰板を固定する、堰板固定治具であって、
平面視L型で、かつ断面視コの字状を呈し、該コの字状の内部に前記堰板の一部が嵌められることを特徴とする、連続施工方法に適用される堰板固定治具。
【請求項10】
布基礎を形成するPCa製の立ち上がり部を支持するコンクリート製のベースと、該布基礎に隣接するコンクリート製の土間を連続して施工する、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法において、土間エリアの外郭線形に沿って複数の堰板を並べて設置する過程で、該外郭線形を形成する直線部に設置されて該堰板を固定する、堰板固定治具であって、
平面視直線状で、かつ断面視コの字状を呈し、該コの字状の内部に前記堰板の一部が嵌められることを特徴とする、連続施工方法に適用される堰板固定治具。
【請求項11】
断面視コの字状を形成する、底板と、該底板から上方へ立設する土間エリア側の側板とベースエリア側の側板とを有し、
前記土間エリア側の側板の高さが、前記ベースエリア側の側板の高さよりも高く設定され、該ベースエリア側の側板の上端が、前記堰板の側面に配設される軸状の支保部材よりも低い位置にあることを特徴とする、請求項9又は10に記載の連続施工方法に適用される堰板固定治具。
【請求項12】
布基礎を形成するPCa製の立ち上がり部を支持するコンクリート製のベースと、該布基礎に隣接するコンクリート製の土間を連続して施工する、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法において、土間エリアの外郭線形に沿って複数の堰板を並べて設置し、複数の該堰板の側面に対して軸状の支保部材を配設し、該支保部材と該堰板を固定する、支保部材固定治具であって、
断面視矩形枠状であって、前記堰板の上部が挿入自在な開口を下方に備えている、枠体と、
前記枠体の側面に開設されているボルト孔を介して螺合するボルトとを有し、
前記枠体の内部に前記支保部材の一部と前記堰板の上部が収容され、前記ボルトの端部にて該支保部材が直接的もしくは間接的に押圧されることにより、該支保部材と前記堰板を固定することを特徴とする、連続施工方法に適用される支保部材固定治具。
【請求項13】
前記枠体の一部には、相互に対向する第1板と第2板を備える、角筒状の押さえ部材が遊嵌しており、
前記第1板には、前記枠体の前記ボルト孔に対応する位置にある挿通孔が開設され、
前記ボルトを締め込んだ際に、前記ボルト孔と前記挿通孔を貫通する前記ボルトの先端が前記第2板の内側面を押し込み、該第2板の外側面が前記支保部材に面接触して該支保部材を押さえることを特徴とする、請求項12に記載の連続施工方法に適用される支保部材固定治具。
【請求項14】
前記押さえ部材は、前記第1板と前記第2板を繋ぐ、一対の第3板をさらに備えており、
前記支保部材を押さえる前記第2板と前記第3板は、テーパー板を介して相互に接続され、
前記テーパー板は、前記枠体の内部への前記支保部材の挿入方向に対向していることを特徴とする、請求項13に記載の連続施工方法に適用される支保部材固定治具。
【請求項15】
記支保部材固定治具の内部の高さは、2つの前記支保部材が積層された高さ以上に設定されており、
前記枠体の側面のうち、2つの前記支保部材に対応する位置には2つの前記ボルト孔が開設され、
前記第1板のうち、2つの前記ボルト孔に対応する位置には2つの前記挿通孔が開設されており、
前記挿通孔においてタップが切られていないことを特徴とする、請求項13又は14に記載の連続施工方法に適用される支保部材固定治具。
【請求項16】
前記ボルトは頭部を備えた頭付きボルトであり、
前記枠体には、その一対の端辺に沿って外側に張り出す補強リブが設けられ、該枠体には、前記ボルト孔を備えるナットが固定され、該ナットの厚みは該補強リブの高さ未満に設定されており、
前記一対の補強リブのそれぞれの端面には、前記ボルト孔に連通する連通孔を備えて、該一対の補強リブに係止される係止板が当接されるようになっており、
前記頭付きボルトを締め込んで前記頭部が前記係止板に接触した際に、該頭付きボルトの先端が前記支保部材に当接し、該支保部材が前記堰板に当接し、該堰板が前記枠体に当接することを特徴とする、請求項12に記載の連続施工方法に適用される支保部材固定治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法と、連続施工方法に適用される堰板固定治具と支保部材固定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の基礎において、基礎の施工期間の短縮と基礎の寸法精度を高めるべく、基礎の立ち上り部を工場にてプレキャストコンクリート立ち上がり部ブロック(PCa製の立ち上がり部ブロック)として製作し、このPCa製の立ち上がり部ブロックを施工現場に搬送して基礎の施工に供する施工方法が適用される。施工現場に搬送された複数のPCa製の立ち上がり部ブロックは、基礎の延設方向(長手方向)に敷き並べられ、双方の目地を介して一体とされた後、その下方に現場打ちコンクリートにてコンクリート製のベース(フーチング)が施工されることにより、例えば布基礎が施工される。
【0003】
布基礎にて包囲される内側の土間エリアにはコンクリート製の土間(土間コンクリート)が施工されることになるが、このベースと土間を連続的(一体)に施工することにより、PCa製の立ち上がり部とその下方にある現場打ちコンクリートによるコンクリート製のベース、布基礎の内部にあるコンクリート製の土間の全体の施工性は一層向上し、工期の大幅な短縮に繋がる。
【0004】
ベースと土間の施工に際しては、ベースエリアと土間エリアを床付け面まで掘削し、ベースエリアと土間エリアの境界(土間エリアの周囲)に複数の堰板を並べて相互に固定して土留めを施工した後、堰板の内側の土間エリアに埋戻し土を投入し、ランマー等で転圧しながら埋戻し土を施工する。
【0005】
堰板には、セメントブロックやメース(登録商標、アイカテック建材株式会社製の押出成形セメント板)等が一般に適用され、埋戻し土の転圧の際の衝撃によって各堰板が転倒しないように、複数の堰板はそれらの側面の外側に配設された単管や鋼管等の支保部材によって相互に支保される。
【0006】
堰板に上記するセメントブロックやメースを適用する従来の土留め方法において、これらメース等は長さが設定されている定尺製品であるため、土間の平面視における外郭線形に沿って複数の定尺の堰板を並べて施工する場合に、基礎の長手方向の寸法が合わなくなることが往々にしてあり、このような場合には堰板同士を厚み方向に重ねる方法と、堰板をその途中で切断する方法により堰板の施工長さの調整が行われる。しかしながら、前者の方法では、堰板の厚みが厚い場合に堰板同士を重ね難く、後者の方法では、硬質な堰板を現場にて切断する加工に手間と時間を要することからいずれも好ましくない。
【0007】
一方、上記するように複数の堰板をそれらの側面の外側に配設された支保部材によって支保する場合、堰板と支保部材の双方の一部同士をシャコ万力等で固定したり、折り曲げ金物の頭部を堰板の天端面に引っ掛け、折り曲げ金物の下部にて支保部材を載置して固定する方法が一般に適用される。しかしながら、前者の方法では、作業員が長尺な支保部材を支えながら複数のシャコ万力で複数箇所を固定する必要があり、1人の作業員での作業は極めて難しく、複数の作業員を要することになる。
【0008】
そこで、支保部材を下方から支持する治具を地盤面上に載置して支保部材の設置を行うことにより1人の作業員による作業を可能にしようとした場合に、今度は下方にある地盤面が一般に平坦でないことから、支保部材のレベル合わせが難しく、水平方向に長い支保部材を一定のレベル位置に固定することが困難になる。
【0009】
一方、後者の折り曲げ金物を使用する場合は、先行して間隔を置いて複数の折り曲げ金物を堰板の天端面に引っ掛けた後、それらの下部に支保部材を載置することにより、1人の作業員による作業が可能になるものの、堰板と支保部材の間に折り曲げ金物が介在することから、折り曲げ金物が存在しない領域では、折り曲げ金物の厚み分の隙間が堰板と支保部材の間に生じることになり、支保部材による複数の堰板を支保する際の固定度が低くなり、埋戻し土の転圧の際に作用する衝撃に対して複数の堰板同士が相互にずれる等の恐れがある。
【0010】
以上のことから、布基礎の下方にあるコンクリート製のベースと布基礎の内部にあるコンクリート製の土間の連続施工方法において、複数の定尺の堰板を使用した際に、複数の堰板の長手方向の寸法が合わなくなった場合でも堰板を重ねたり切断加工することなしに複数の堰板の長手方向の寸法を調整でき、さらには、1人の作業員によって複数の堰板を支保部材により高い固定度の下で支保することのできる、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法が望まれる。
【0011】
ここで、特許文献1には、布基礎とこれに隣接する土間のコンクリート打設を同じ日に行うことを可能にした、基礎・土間一体打ち工法と、この工法に使用される堰板固定治具が提案されている。この基礎・土間一体打ち工法は、布基礎の型枠を設置する過程と、型枠に沿って配置されて土間コンクリートをせき止める堰板を堰板固定治具により型枠に固定する過程と、型枠内および堰板で仕切られた土間領域へのコンクリートの打設を行う過程とを有している。
【0012】
この基礎・土間一体打ち工法にて適用される堰板は、布基礎長さ方向に延びて短辺方向が立ち姿勢とされる矩形状であり、堰板固定治具は、下部金物と上部金物とを備えている。下部金物は、型枠の外面側に沿って立ち上がる立片と、この立片の背面から突出して型枠に係止される型枠係止片と、立片の下端から土間側へ延びて堰板の下端を受ける受け片と、この受け片の突出方向の中間から上方へ突出して堰板の型枠側を向く面の下端を当接させる下端位置決め突起と、立片の上端に設けられて上部金物を係止する上部金物係止部とを有している。また、上部金物は、上部金物係止部に係止される被係止部を備えて土間側へ延びる上部金物本体片と、この上部金物本体片の下面に互いに堰板の厚さ分だけ離れて突出し、互いの間に堰板の上端を挟み込む一対の上端位置決め突起とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1に記載の基礎・土間一体打ち工法によれば、特殊な型枠を使用することなく、布基礎とこれに隣接する土間のコンクリート打設を同じ日に連続的に行うことが可能になる。しかしながら、特許文献1には、上記する課題、すなわち、複数の定尺の堰板を使用した際に、複数の堰板の長手方向の寸法が合わなくなった場合の解決手段や、1人の作業員によって複数の堰板を支保部材にて高い固定度の下で支保するための解決手段の開示はない。
【0015】
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、布基礎の下方にあるコンクリート製のベースと布基礎の内部にあるコンクリート製の土間の連続施工方法において、複数の定尺の堰板を使用した際に、複数の堰板の長手方向の寸法が合わなくなった場合でも堰板を重ねたり切断加工することなしに複数の堰板の長手方向の寸法を調整でき、さらには、1人の作業員によって複数の堰板を支保部材にて高い固定度の下で支保することのできる、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法と、この連続施工方法に適用される堰板固定治具と支保部材固定治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成すべく、本発明によるコンクリート製のベースと土間の連続施工方法の一態様は、
布基礎を形成するPCa製の立ち上がり部を支持するコンクリート製のベースと、該布基礎に隣接するコンクリート製の土間を連続して施工する、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法であって、
土間エリアの外郭線形に沿って、複数の堰板を並べて設置する、堰板設置工程と、
前記土間エリアに埋戻し土を施工する、埋戻し土施工工程と、
前記埋戻し土の上方にコンクリートを打設して前記土間を施工し、前記堰板の側方のベースエリアにコンクリートを打設して前記ベースを施工する、コンクリート打設工程とを有し、
前記堰板設置工程では、
前記堰板の設置に先行して、前記外郭線形を形成する隅角部に平面視L型の第1堰板固定治具を設置し、該第1堰板固定治具と前記堰板を固定し、
複数の前記堰板の側面に対して軸状の支保部材を配設し、支保部材固定治具の内部に該支保部材の一部と該堰板の上部を収容して固定することを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、堰板設置工程において、堰板の設置に先行して、土間エリアの外郭線形を形成する隅角部に平面視L型の第1堰板固定治具を設置し、第1堰板固定治具に堰板を固定することにより、平面視L型の第1堰板固定治具は安定して倒れないことから、この第1堰板固定治具に固定される堰板も安定して立設姿勢を保持することができる。従って、例えば複数の隅角部に対してそれぞれ、平面視L型の線形を一致させるようにして複数の第1堰板固定治具を先行して設置し、各第1堰板固定治具に対して複数の堰板を固定させながら設置し、固定された堰板の側方に別途の堰板を並べていくことにより、安定的でスムーズな堰板の設置が可能になる。また、平面視L型の第1堰板固定治具において堰板の端部位置を所望に調整することにより、複数の堰板の長手方向の寸法が合わなくなった場合でも、堰板同士を重ねたり堰板を切断加工することなく、複数の堰板の長手方向の寸法を調整することができる。すなわち、第1堰板固定治具は、複数の堰板の長手方向の寸法を調整するための調整代の機能を有する。
【0018】
さらに、複数の堰板の側面に対して軸状の支保部材を配設し、支保部材固定治具の内部に支保部材の一部と堰板の上部を収容して固定することにより、堰板と支保部材との間に支保部材固定治具を介在させることなく、双方を相互に密着させた状態で支保部材固定治具にて固定することができる。そのため、1人の作業員により、複数の堰板を支保部材にて高い固定度の下で支保することが可能になる。ここで、支保部材とは、複数の堰板の側面に配設されて各堰板を支保し、各堰板に作用する土圧やコンクリート圧に対して各堰板の転倒防止性を高めるための部材であり、単管や角鋼管、角パイプ等が使用できる。
【0019】
また、本発明によるコンクリート製のベースと土間の連続施工方法の他の態様は、
前記堰板設置工程と前記埋戻し土施工工程のいずれか一方において、前記ベースエリアに前記PCa製の立ち上がり部を設置することを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、堰板設置工程と埋戻し土施工工程のいずれか一方において、布基礎を形成するPCa製の立ち上がり部が設置され、コンクリート打設工程において立ち上がり部の下方に現場打ちコンクリートによるコンクリート製のベース(フーチング)が施工されることから、コンクリート打設工程によって土間とベースが連続的(一体)に施工されると同時に、PCa製の立ち上がり部とベースが一体化された布基礎が同時に形成され、ベースを含む布基礎とその内部にある土間の全体の施工性が格段に良好になる。
【0021】
また、本発明によるコンクリート製のベースと土間の連続施工方法の他の態様において、
前記第1堰板固定治具は、平面視L型であって、かつ断面視コの字状を呈しており、該コの字状の内部に前記堰板の一部が嵌められることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、第1堰板固定治具が、平面視L型であって断面視コの字状を呈し、コの字状の内部に堰板の一部が嵌められることにより、第1堰板固定治具に対して、堰板を上からの落とし込みや側方からの嵌め込みによって速やかに固定することができる。また、コの字状の内部で堰板をスライドさせながら端部位置を調整することにより、複数の堰板の長手方向の寸法を容易に調整することができる。
【0023】
また、本発明によるコンクリート製のベースと土間の連続施工方法の他の態様において、
前記堰板設置工程では、前記外郭線形を形成する直線部に、平面視直線状で、かつ断面視コの字状の第2堰板固定治具をさらに設置し、該コの字状の内部に前記堰板の一部が嵌められることにより該第2堰板固定治具に前記堰板を固定することを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、土間エリアの外郭線形の隅角部の他に、直線部に平面視直線状で断面視コの字状の第2堰板固定治具をさらに設置し、第2堰板固定治具にて堰板を固定することにより、第2堰板固定治具においても複数の堰板の長手方向の寸法を調整することができ、さらには、直線部が長い場合において複数の堰板をより一層安定的に支持することが可能になる。
【0025】
また、本発明によるコンクリート製のベースと土間の連続施工方法の他の態様において、
前記第1堰板固定治具は、断面視コの字状を形成する、第1底板と、該第1底板から上方へ立設する第1側板と第2側板とを有し、
前記土間エリア側に配設される前記第1側板の高さが、前記第2側板の高さよりも高く設定され、該第2側板の上端が前記支保部材よりも低い位置にあることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、第1堰板固定治具が、第1底板と、第1底板から上方へ立設する第1側板と第2側板とを有し、土間エリア側に配設される前記第1側板の高さが第2側板の高さよりも高く設定され、第2側板の上端が支保部材よりも低い位置にあることにより、堰板と支保部材との間に第1堰板固定治具を介在させることなく、堰板と支保部材を相互に密着させた状態で支保部材固定治具にて固定することができる。
【0027】
また、本発明によるコンクリート製のベースと土間の連続施工方法の他の態様において、
前記第2堰板固定治具は、断面視コの字状を形成する、第2底板と、該第2底板から上方へ立設する第3側板と第4側板とを有し、
前記土間エリア側に配設される前記第3側板の高さが、前記第4側板の高さよりも高く設定され、該第4側板の上端が前記支保部材よりも低い位置にあることを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、第2堰板固定治具が、第2底板と、第2底板から上方へ立設する第3側板と第4側板とを有し、土間エリア側に配設される第3側板の高さが第4側板の高さよりも高く設定され、第2側板の上端が支保部材よりも低い位置にあることにより、堰板と支保部材との間に第2堰板固定治具を介在させることなく、堰板と支保部材を相互に密着させた状態で支保部材固定治具にて固定することができる。
【0029】
また、本発明によるコンクリート製のベースと土間の連続施工方法の他の態様において、
前記支保部材固定治具は、
断面視矩形枠状であって、前記堰板の上部が挿入自在な開口を下方に備えている、枠体と、
前記枠体の側面に開設されているボルト孔を介して螺合するボルトとを有し、
前記枠体の内部に前記支保部材の一部と前記堰板の上部を収容し、該ボルトの端部にて該支保部材を押圧することにより、該支保部材と該堰板を固定することを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、断面視矩形枠状であって、堰板の上部が挿入自在な開口を下方に備えている枠体の内部に支保部材の一部と堰板の上部を収容し、枠体の側面に開設されているボルト孔を介して螺合するボルトの端部にて支保部材を押圧して支保部材と堰板を固定することにより、支保部材と堰板を高い固定度の下で支保することができる。
【0031】
ここで、「堰板の上部を収容する」とは、堰板の上部の幅の全体を収容することの他に、堰板の上部の幅の一部を収容することも含んでいる。セメントブロックやメースは、複数の縦溝を内部に備えていることが一般的であるが、そのうちの1つの縦溝に支保部材固定治具の係止片を収容する場合は、堰板の上部の幅の一部が支保部材固定治具の内部に収容されることになる。
【0032】
また、本発明によるコンクリート製のベースと土間の連続施工方法の他の態様において、
前記外郭線形のうち、前記隅角部を挟む2方向の直線線形に沿って配設される2つの前記支保部材は、双方の高さレベルが上下の関係にあり、
前記支保部材固定治具の内部の高さは、2つの前記支保部材が積層された高さ以上に設定されていることを特徴とする。
【0033】
本態様によれば、隅角部を挟む2方向の直線線形に沿って配設される2つの支保部材の双方の高さレベルが上下の関係にあり、支保部材固定治具の内部の高さが2つの支保部材が積層された高さ以上に設定されていることにより、高さレベルの異なる2つの支保部材を1つの支保部材固定治具にて固定することができる。
【0034】
また、直線部が長い場合は、2つの支保部材を上下の関係にしてそれらの端部同士を繋ぐこともあり得るが、このような場合にも、支保部材固定治具の内部に2つの支保部材の端部を収容して固定することが可能になる。
【0035】
また、本発明による連続施工方法に適用される堰板固定治具の一態様は、
布基礎を支持するコンクリート製のベースと、該布基礎に隣接するコンクリート製の土間を連続して施工する、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法において、土間エリアの外郭線形に沿って複数の堰板を並べて設置する過程で、該外郭線形を形成する隅角部に設置されて該堰板を固定する、堰板固定治具であって、
平面視L型で、かつ断面視コの字状を呈し、該コの字状の内部に前記堰板の一部が嵌められることを特徴とする。
【0036】
本態様によれば、堰板固定治具が、平面視L型であって断面視コの字状を呈し、コの字状の内部に堰板の一部が嵌められることにより、土間エリアの外郭線形を形成する隅角部に設置された堰板固定治具に対して、堰板を上からの落とし込みや側方からの嵌め込みによって速やかに固定することができる。また、コの字状の内部で堰板をスライドさせながら固定範囲を調整することにより、長手方向への堰板の長さを容易に調整することができる。さらに、平面視L型の堰板固定治具は安定して倒れることがないことから、この堰板固定治具に固定される堰板も安定して立設姿勢を保持することができる。
【0037】
また、本発明による連続施工方法に適用される堰板固定治具の他の態様は、
布基礎を支持するコンクリート製のベースと、該布基礎に隣接するコンクリート製の土間を連続して施工する、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法において、土間エリアの外郭線形に沿って複数の堰板を並べて設置する過程で、該外郭線形を形成する直線部に設置されて該堰板を固定する、堰板固定治具であって、
平面視直線状で、かつ断面視コの字状を呈し、該コの字状の内部に前記堰板の一部が嵌められることを特徴とする。
【0038】
本態様によれば、堰板固定治具が、平面視直線状であって断面視コの字状を呈し、コの字状の内部に堰板の一部が嵌められることにより、土間エリアの外郭線形を形成する直線部に設置された堰板固定治具に対して、堰板を上からの落とし込みや側方からの嵌め込みによって速やかに固定することができる。また、コの字状の内部で堰板をスライドさせながら固定範囲を調整することにより、長手方向への堰板の長さを容易に調整することができる。
【0039】
また、本発明による連続施工方法に適用される堰板固定治具の他の態様は、
断面視コの字状を形成する、底板と、該底板から上方へ立設する土間エリア側の側板とベースエリア側の側板とを有し、
前記土間エリア側の側板の高さが、前記ベースエリア側の側板の高さよりも高く設定され、該ベースエリア側の側板の上端が、前記堰板の側面に配設される軸状の支保部材よりも低い位置にあることを特徴とする。
【0040】
本態様によれば、底板と、底板から上方へ立設する土間エリア側の側板とベースエリア側の側板とを有し、土間エリア側の側板の高さがベースエリア側の側板の高さよりも高く設定され、堰板の側面に配設される軸状の支保部材よりもベースエリア側の側板の上端が低い位置にあることにより、堰板と支保部材との間に堰板固定治具を介在させることなく、堰板と支保部材を相互に密着させた状態で支保部材固定治具にて固定することができる。
【0041】
また、本発明による連続施工方法に適用される支保部材固定治具の一態様は、
布基礎を支持するコンクリート製のベースと、該布基礎に隣接するコンクリート製の土間を連続して施工する、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法において、土間エリアの外郭線形に沿って複数の堰板を並べて設置し、複数の該堰板の側面に対して軸状の支保部材を配設し、該支保部材と該堰板を固定する、支保部材固定治具であって、
断面視矩形枠状であって、前記堰板の上部が挿入自在な開口を下方に備えている、枠体と、
前記枠体の側面に開設されているボルト孔を介して螺合するボルトとを有し、
前記枠体の内部に前記支保部材の一部と前記堰板の上部が収容され、前記ボルトの端部にて該支保部材が直接的もしくは間接的に押圧されることにより、該支保部材と前記堰板を固定することを特徴とする。
【0042】
本態様によれば、断面視矩形枠状であって、堰板の上部が挿入自在な開口を下方に備えている枠体の内部に支保部材の一部と堰板の上部を収容し、枠体の側面に開設されているボルト孔を介して螺合するボルトの端部にて支保部材を押圧して支保部材と堰板を固定することにより、支保部材と堰板を高い固定度の下で支保することができる。ここで、「ボルトの端部にて支保部材が直接的もしくは間接的に押圧される」とは、ボルトの端部が支保部材を直接的押圧する形態と、ボルトの端部が他部材を押圧し、他部材が支保部材を押圧する(従って、ボルトの端部が間接的に支保部材を押圧する)形態を含む意味である。
【0043】
また、本発明による連続施工方法に適用される支保部材固定治具の他の態様において、
前記枠体の一部には、相互に対向する第1板と第2板を備える、角筒状の押さえ部材が遊嵌しており、
前記第1板には、前記枠体の前記ボルト孔に対応する位置にある挿通孔が開設され、
前記ボルトを締め込んだ際に、前記ボルト孔と前記挿通孔を貫通する前記ボルトの先端が前記第2板の内側面を押し込み、該第2板の外側面が前記支保部材に面接触して該支保部材を押さえることを特徴とする。
【0044】
本態様によれば、枠体の一部に角筒状の押さえ部材が遊嵌され、枠体のボルト孔と押さえ部材の挿通孔を貫通するボルトの先端が、支保部材を直接押し込むことなく、支保部材に当接する押さえ部材の第2板を介して支保部材を押し込むことにより、ボルトの締め込み過ぎによる枠体の変形や破損を抑制しながら、ボルトの先端から押込力が集中的に作用することに起因する支保部材の破損を抑制できる。
【0045】
ここで、挿通孔は、ボルト孔と異なり、タップが切られていない孔であることが好ましいが、例えば、押さえ部材に1つの挿通孔のみが設けられている場合は、挿通孔がボルト孔と同様にタップが切られている孔であってもよい。一方、押さえ部材に複数の挿通孔が設けられている場合は、全ての挿通孔にタップが切られていると、1つのボルトを対応するボルト孔と挿通孔に螺合した際に、他のボルトも同様に対応するボルト孔と挿通孔に同期して螺合させないと、押さえ部材をスムーズに支保部材側へスライドさせることができなくなることから、押さえ部材に複数の挿通孔が設けられている場合は、全ての挿通孔にタップが切られていない形態が望ましい。
【0046】
また、本発明による連続施工方法に適用される支保部材固定治具の他の態様において、
前記押さえ部材は、前記第1板と前記第2板を繋ぐ、一対の第3板をさらに備えており、
前記支保部材を押さえる前記第2板と前記第3板は、テーパー板を介して相互に接続され、
前記テーパー板は、前記枠体の内部への前記支保部材の挿入方向に対向していることを特徴とする。
【0047】
本態様によれば、押さえ部材を構成して支保部材と当接する第2板と第3板の間にテーパー板が介在し、テーパー板が枠体の内部への支保部材の挿入方向に対向していることにより、押さえ部材が枠体の内部に入り過ぎて支保部材を挿入する際に相互に干渉する場合でも、支保部材の先端がテーパー板を押し込んだ際に、押さえ部材が堰板と反対方向にスライドすることにより、スムーズな支保部材の挿入が実現される。
【0048】
ここで、押さえ部材がテーパー板を備える形態に代わり、枠体と押さえ部材を引張バネが繋ぎ、引張バネが押さえ部材を常時堰板と反対側へ引き寄せる付勢力を押さえ部材に作用させる形態であってもよい。この形態では、押さえ部材がボルトで押し込まれていない場合は押さえ部材を堰板と反対側へ引き寄せ、押さえ部材が挿入される支保部材と干渉しないようにでき、仮に押さえ部材が枠体の内部に挿入された支保部材と干渉して押し込まれた場合でも、引張バネの作用によって速やかに堰板と反対側へ押さえ部材がスライドし、支保部材の挿入を図ることができる。
【0049】
また、本発明による連続施工方法に適用される支保部材固定治具の他の態様において、
記支保部材固定治具の内部の高さは、2つの前記支保部材が積層された高さ以上に設定されており、
前記枠体の側面のうち、2つの前記支保部材に対応する位置には2つの前記ボルト孔が開設され、
前記第1板のうち、2つの前記ボルト孔に対応する位置には2つの前記挿通孔が開設されており、
前記挿通孔においてタップが切られていないことを特徴とする。
【0050】
本態様によれば、第1板のうち、2つのボルト孔に対応する位置に2つの挿通孔が開設されている場合に、各挿通孔にはタップが切られていないことにより、1つのボルトを対応するボルト孔と挿通孔に挿通させてボルトを締め込んだ際に、他のボルトを同期して締め込むことなく、押さえ部材を支保部材側へスライドさせることが可能になる。仮に、2つの挿通孔にタップが切られていると、1つのボルトを対応するボルト孔と挿通孔に螺合した際に、他のボルトも同様に対応するボルト孔と挿通孔に同期して螺合させないと、押さえ部材をスムーズに支保部材側へスライドさせることができなくなるため、ボルトの締め込みが簡単でなくなり、好ましくない。
【0051】
また、本発明による連続施工方法に適用される支保部材固定治具の他の態様において、
前記ボルトは頭部を備えた頭付きボルトであり、
前記枠体には、その一対の端辺に沿って外側に張り出す補強リブが設けられ、該枠体には、前記ボルト孔を備えるナットが固定され、該ナットの厚みは該補強リブの高さ未満に設定されており、
前記一対の補強リブのそれぞれの端面には、前記ボルト孔に連通する連通孔を備えて、該一対の補強リブに係止される係止板が当接されるようになっており、
前記頭付きボルトを締め込んで前記頭部が前記係止板に接触した際に、該頭付きボルトの先端が前記支保部材に当接し、該支保部材が前記堰板に当接し、該堰板が前記枠体に当接することを特徴とする。
【0052】
本態様によれば、枠体が、その一対の端辺に沿って外側に張り出す補強リブを備え、補強リブの高さ未満の厚みでボルト孔を備えたナットが固定されていて、一対の補強リブの端面において、ボルト孔に連通する連通孔を備えて一対の補強リブに係止される係止板が当接され、頭付きボルトを締め込んでその頭部が係止板に接触した際に、頭付きボルトの先端が支保部材に当接し、支保部材が堰板に当接し、堰板が枠体に当接するように、各部材の長さや厚みが設定されていることにより、ボルトの締め込み過ぎによる枠体の変形や破損を抑制でき、ボルトの先端から過度の押込力が支保部材に作用して支保部材が破損することを抑制できる。
【発明の効果】
【0053】
以上の説明から理解できるように、本発明のコンクリート製のベースと土間の連続施工方法によれば、布基礎の下方にあるコンクリート製のベースと布基礎の内部にあるコンクリート製の土間の連続施工方法において、複数の定尺の堰板を使用した際に、複数の堰板の長手方向の寸法が合わなくなった場合でも堰板を重ねたり切断加工することなしに複数の堰板の長手方向の寸法を調整でき、さらには、1人の作業員によって複数の堰板を支保部材にて高い固定度の下で支保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】実施形態に係る連続施工方法において、土間エリアとベースエリアが掘削され、土間エリアの外郭線形に沿って複数の堰板が並べられている状態を示す平面図である。
【
図4】第1堰板固定治具の一例に複数の堰板がスライド自在に固定されている状態を示す斜視図である。
【
図6】第2堰板固定治具の一例に複数の堰板がスライド自在に固定されている状態を示す斜視図である。
【
図9】
図7のIX-IX矢視図であって、堰板と支保部材と支保部材固定治具の縦断面図である。
【
図10】
図7のX-X矢視図であって、堰板と支保部材と支保部材固定治具の縦断面図である。
【
図11】
図7のXI-XI矢視図であって、堰板と支保部材と支保部材固定治具の縦断面図である。
【
図12】支保部材固定治具の他の例の使用例を示す図である。
【
図14A】押さえ部材を備える支保部材固定治具において、ボルトを締め込む前の状態を示す縦断面図である。
【
図14B】押さえ部材を備える支保部材固定治具において、ボルトを締め込んだ状態を示す縦断面図である。
【
図15】押さえ部材を備える支保部材固定治具の内部に、支保部材を挿入する際の押さえ部材のテーパー板の作用を説明する平面図である。
【
図16】係止板を備える支保部材固定治具において、支保部材固定治具の備える一対の補強リブに対して係止板が当接している状態を示す斜視図である。
【
図17A】係止板を備える支保部材固定治具において、ボルトを締め込む前の状態を示す縦断面図である。
【
図17B】係止板を備える支保部材固定治具において、ボルトを締め込んだ状態を示す縦断面図である。
【
図18】実施形態に係る連続施工方法によって施工された、コンクリート製のベースと土間の一例を、布基礎を形成するPCa製の立ち上がり部とともに示す平面図である。
【
図19】
図18のXIX-XIX矢視図であって、コンクリート製のベース及び土間と、堰板と、PCa製の立ち上がり部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、実施形態に係るコンクリート製のベースと土間の連続施工方法の一例と、連続施工方法に適用される堰板固定治具と支保部材固定治具の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0056】
[実施形態に係るコンクリート製のベースと土間の連続施工方法、連続施工方法に適用される堰板固定治具と支保部材固定治具]
図1乃至
図14を参照して、実施形態に係るコンクリート製のベースと土間の連続施工方法の一例と、連続施工方法に適用される堰板固定治具と支保部材固定治具の一例について説明する。ここで、
図1は、実施形態に係る連続施工方法において、土間エリアとベースエリアが掘削され、土間エリアの外郭線形に沿って複数の堰板が並べられている状態を示す平面図であり、
図2は、
図1のII-II矢視図である。また、
図3は、第1堰板固定治具の一例の斜視図であり、
図4は、第1堰板固定治具の一例に複数の堰板がスライド自在に固定されている状態を示す斜視図であり、
図5は、第2堰板固定治具の一例の斜視図であり、
図6は、第2堰板固定治具の一例に複数の堰板がスライド自在に固定されている状態を示す斜視図である。また、
図7は、
図1のVII部の拡大図であり、
図8は、支保部材固定治具の一例の斜視図であり、
図9,
図10、及び
図11はそれぞれ、
図7のIX-IX矢視図、X-X矢視図、及びXI-XI矢視図であって、堰板と支保部材と支保部材固定治具の縦断面図である。さらに、
図13は、実施形態に係る連続施工方法によって施工された、コンクリート製のベースと土間の一例を、布基礎を形成するPCa製の立ち上がり部とともに示す平面図であり、
図14は、
図13のXIV-XIV矢視図であって、コンクリート製のベース及び土間と、堰板と、PCa製の立ち上がり部の縦断面図である。
【0057】
図示するコンクリート製のベースと土間の連続施工方法は、布基礎を形成するPCa製の立ち上がり部を支持するコンクリート製のベースと、布基礎に隣接するコンクリート製の土間を連続して一体に施工する、コンクリート製のベースと土間の連続施工方法であり、ベースと土間の一体施工方法と称することもできる。
【0058】
図1に示す例は、平面視L型の建物の土間エリアDAの周囲において、該土間エリアDAの外郭線形Lに沿って複数の堰板10を並べて設置し、土間エリアDAにはコンクリート製の土間を施工し、その周囲のベースエリアBAにはPCa製の立ち上がり部を支持するコンクリート製のベースを施工するものである。
【0059】
まず、
図1及び
図2に示すように、堰板10が設置される線形に沿って、その土間エリアDA側とベースエリアBA側の所定範囲の地盤Gを床付け面まで掘削する。床付け面からの法面の角度は地盤の強度等に応じて適宜設定される。尚、床付け面に敷設される、栗石や捨てコンクリート等の図示は省略する。
【0060】
堰板10には、セメントブロックやメースが適用され、いずれも定尺な長さt1を備えている。
図4に示すように、堰板10は、直方体を呈し、その内部には複数の角筒状の縦溝11が設けられている。また、両端部の一方の小口面には係合凸部12が設けられ、他方の小口面には係合凹部13が設けられており、隣接する堰板10の一方の係合凹部13に対して他方の係合凸部12が嵌め込まれることにより、相互に係合される。
【0061】
図1に示すように、平面視L型の土間エリアDAの外郭線形Lでは、6つの隅角部があり、そのうちの5つが出隅部であり、残りの1つが入隅部である。地盤Gを外郭線形Lに沿って掘削した後、各出隅部と入隅部に、平面視L型の第1堰板固定治具20を設置する。ここで、第1堰板固定治具20は、平面視L型の2方向の長さがt2に設定されているが、双方の長さが異なる長さに設定されていてもよい。
【0062】
尚、土間エリアの外郭線形に応じて出隅部と入隅部の数が異なるため、外郭線形に応じた数の出隅部と入隅部に対してそれぞれ、第1堰板固定治具20が設置される。
【0063】
次に、長さt1の堰板10をいずれか1つの第1堰板固定治具20に先行して設置した後、別途の堰板10を順次長手方向に並べていく。
【0064】
図3に示すように、第1堰板固定治具20は、上方からY1方向で見た平面視形状が上記するようにL型であり、かつY2方向の断面視形状がコの字状を呈しており、断面視コの字状を形成する、第1底板21と、第1底板21から上方へ立設する第1側板22と第2側板23とを有する。
【0065】
第1底板21の幅は、
図4に示すように、内部に収容された堰板10の立設姿勢を保持できるように、収容される堰板10と同程度の幅に設定されている。
【0066】
図3に示すように、第1側板22は土間エリアDA側に配設される土間エリア側の側板であり、第2側板23はベースエリアBA側に配設されるベースエリア側の側板である。そして、第1側板22の高さt5は、第2側板23の高さt6よりも高く設定されている。
【0067】
図4に示すように、堰板10の高さは第1側板22の高さと同程度かそれよりも高く設定されており、従って、第1堰板固定治具20に堰板10の一部が収容された際に、堰板10の天端10aと第2側板23の天端23aの間にはレベル差t7が生じる。
【0068】
長手方向に並ぶ複数の堰板10は、そのベースエリアBA側の側面15に配設される軸状の支保部材40(
図7参照)にて支保されることになるが、平面視X方向とY方向に延びる支保部材40A、40Bを双方の高さレベルに上下の関係をもたせて設置することで、
図7に示すような隅角部における双方の干渉が防止される。
【0069】
そのため、堰板10の天端10aと第2側板23の天端23aの間に設けられているレベル差t7は、2つの支保部材40が積層した際の高さ以上に設定されている。
【0070】
このように、レベル差t7を備えるように第2側板23の天端23aが設定されていることにより、X方向とY方向の双方に延設する各支保部材40の側面を堰板10の側面15に密着させることができる。
【0071】
図4に示すように、第1堰板固定治具20に対してX方向に延びる堰板10とY方向に延びる堰板10をそれぞれX1方向とX2方向にスライドさせることにより、各堰板10の長手方向の端部位置を直交2方向の長さt2(調整代)の範囲内で調整することができ、このことにより、外郭線形Lに沿う全ての堰板10の全長(寸法)を調整することが可能になる。
【0072】
例えば、全ての堰板10を隙間なく長手方向に配設した際に堰板10の長さの半分だけ長くなるような場合には、1つもしくは複数の堰板10を取り除き、端部にある堰板10の設置位置を、第1堰板固定治具20における直交2方向の長さt2の範囲で調整することで、2つの堰板10を重ね合わせたり、1つの堰板10をその途中で切断して複数の堰板10の長手方向の寸法を調整するといった手間のかかる作業を不要にでき、複数の堰板10の長手方向の寸法をスムーズに調整することが可能になる。
【0073】
図1に戻り、複数の堰板10の長手方向の線形のうち、隅角部とは異なる直線部にも、第1堰板固定治具20とは別途の第2堰板固定治具30を設けることにより、複数の堰板10の長手方向の寸法調整をより一層スムーズにすることができる。ここで、
図1では、紙面の右側の直線部において、長さt3の第2堰板固定治具30が設置されている。
【0074】
図5に示すように、第2堰板固定治具30は、上方からY3方向で見た平面視形状が上記するように直線状であり、かつY4方向の断面視形状がコの字状を呈しており、断面視コの字状を形成する、第2底板31と、第2底板31から上方へ立設する第3側板32と第4側板33とを有する。
【0075】
第2底板31の幅は、
図6に示すように、内部に一部が収容された堰板10の立設姿勢を保持できるように、収容される堰板10と同程度の幅に設定されている。
【0076】
図5に示すように、第3側板32は土間エリアDA側に配設される土間エリア側の側壁であり、第4側板33はベースエリアBA側に配設されるベースエリア側の側板である。そして、第3側板32の高さt8は、第4側板33の高さt9よりも高く設定されている。
【0077】
図6に示すように、堰板10の高さは第3側板32の高さと同程度かそれよりも高く設定されており、従って、第2堰板固定治具30に堰板10の一部が収容された際に、堰板10の天端10aと第4側板43の天端43aの間にはレベル差t10が生じる。
【0078】
既に説明したように、長手方向に並ぶ複数の堰板10は、そのベースエリアBA側の側面15に配設される軸状の支保部材40(
図7参照)にて支保されることになるが、平面視X方向とY方向に延びる支保部材40A、40Bを双方の高さレベルに上下の関係をもたせて設置することで、
図7に示すような隅角部における双方の干渉が防止される。
【0079】
そのため、堰板10の天端10aと第4側板33の天端33aの間に設けられているレベル差t10も、レベル差t7と同様に2つの支保部材40が積層した際の高さ以上に設定されている。
【0080】
このように、レベル差t10を備えるように第4側板33の天端33aが設定されていることにより、X方向とY方向の双方に延設する各支保部材40の側面を堰板10の側面15に密着させることができる。
【0081】
図6に示すように、第2堰板固定治具30に対して直線状に沿って延びる堰板10をX3方向にスライドさせることにより、各堰板10の長手方向の端部位置を第2堰板固定治具30の長さt3(調整代)の範囲内で調整することができ、このことにより、外郭線形Lに沿う全ての堰板10の全長(寸法)を調整することが可能になる。
【0082】
次に、
図7乃至
図17を参照して、長手方向に並べられた複数の堰板10のベースエリアBA側の側面15に対して、長尺な支保部材40を設置し、支保部材4の一部と堰板10の上部を支保部材固定治具50にて固定する方法について説明する。
【0083】
図7に示すように、X方向にはその方向に延設する支保部材40Aが配設され、堰板10の一部の上部と支保部材40Aの一部を支保部材固定治具50がその内部に収容して双方を固定している。
【0084】
一方、X方向に直交するY方向にはその方向に延設する支保部材40Bが配設され、堰板10の一部の上部と支保部材40Bの一部を支保部材固定治具50がその内部に収容して双方を固定している。
【0085】
ここで、
図8に示すように、支保部材固定治具50は、断面視矩形枠状であって、堰板10の上部が挿入自在な開口52を下方に備えている枠体51と、枠体51の側面に溶接接合されているナット57のボルト孔55を介して螺合するボルト56とを有する。ボルト56は頭付きボルトであり、六角形の頭部56bを不図示のインパクトドライバー等で回転させることにより、ボルト孔55を介して枠体51の内部へボルト56の先端56aがスライドするようになっている。図示例は、枠体51の内部53に収容された相互に積層した2つの支保部材40を同時に固定可能な2つのナット57とそれらのボルト孔55に螺合しているボルト56A,56Bを備えている。
【0086】
また、枠体51には、その一対の端辺に沿って外側に張り出す補強リブ54が設けられており、補強リブ54によって支保部材固定治具50の剛性が高められている。
【0087】
図9に示すように、開口52を介して堰板10の上部が収容され、Y方向の支保部材40Bよりも相対的に下方に位置しているX方向に延設する支保部材40Aが、内部53の下方に収容される。そして、支保部材40Aが下方のボルト56Bの先端56aにて堰板10側へ押込力Qで押し込まれることにより、支保部材40Aの側壁41が堰板10の側面15に密着され、高い固定度の下で堰板10と支保部材40Aが固定される。
【0088】
一方、
図10に示すように、Y方向に延設する支保部材40BはX方向の支保部材40Aよりも相対的に上方に位置しており、従って、支保部材固定治具50の内部53の上方に支保部材40Bが収容され、上方のボルト56Aの先端56aにて堰板10側へ押込力Qで押し込まれることにより、支保部材40Bの側壁41が堰板10の側面15に密着され、高い固定度の下で堰板10と支保部材40Bが固定される。
【0089】
また、
図7に示すように、直線部の途中位置で上下の位置関係にある2本の支保部材40同士を繋ぐ場合は、
図11に示すように、2本の支保部材40A,40Cの端部同士を積層させた状態で支保部材固定治具50の内部53に収容し、それぞれの支保部材40A,40Cがボルト56B,56Aの先端56aにて堰板10側へ押込力Qで押し込まれることにより、支保部材40A、40Cのそれぞれの側壁41が堰板10の側面15に密着され、高い固定度の下で堰板10と2本の支保部材40A,40Cが固定される。
【0090】
図12には、支保部材固定治具の他の例の使用例を示している。図示する支保部材固定治具50Aは、枠体51を形成する係止片51aが堰板10の縦溝11に入り込む形態である。
【0091】
すなわち、支保部材固定治具50Aは、堰板10の上部の幅の全体を内部53に収容する代わりに、堰板10の上部の幅の一部を内部53に収容し、同様に内部に収容されている支保部材40をボルト56の先端56aにて押込力Qで押圧した際に、ボルト56の先端56aと係止片51aで支保部材40と堰板10の側壁を挟み込むことにより、支保部材40の側壁41を堰板10の壁面15に密着させる。
【0092】
この形態では、支保部材固定治具50Aの寸法を支保部材固定治具50よりも小さくしながら、支保部材固定治具50と同様に支保部材50と堰板10の側面15とを密着させ、双方を高い固定度にて固定できることから好ましい。
【0093】
図13乃至
図15には、支保部材固定治具のさらに他の例を示している。
図14Aに示す支保部材固定治具50Bは、枠体51の一部において、角筒状の押さえ部材60が遊嵌している形態である。
【0094】
図13に示すように、押さえ部材60は、相互に対向する第1板61及び第2板62と、相互に対向する一対の第3板63とを備え、第2板62と2つの第3板63はそれぞれ、テーパー板64を介して相互に接続されている。
【0095】
第1板61のうち、枠体51の備える2つのナット57のボルト孔55に対応する位置には、2つの挿通孔65が開設されており、挿通孔65にはタップが切られていない。
【0096】
図14Aに示すように、支保部材固定治具50Bの開口52を介して堰板10の上部が収容され、押さえ部材60が堰板10から離れた位置に位置合わせされて内部53のスペースが確保された後、支保部材40Aが枠体51の内部53の下方に収容される。
【0097】
次いで、
図14Bに示すように、ボルト56BをZ1方向へ締め込むことにより、ボルト56Bの先端56aが押さえ部材60の第2板62の内側面を押込力QにてZ2方向へ押し込み、支保部材40Aの側壁42に面接触している第2板62の外側面が、側壁42を分布荷重qにて押さえる。
【0098】
このように、集中荷重である押込力Qを支保部材40Aの側壁42に作用させることなく、面接触している第2板62を介して分布荷重qとして側壁42を押さえることにより、ボルト56Bの締め込み過ぎによる枠体51の変形や破損を抑制しながら、ボルト56Bの先端56aから押込力が集中的に作用することに起因する支保部材40Aの破損を抑制できる。
【0099】
また、第1板61に開設されている挿通孔65が、ナット57のボルト孔55と異なってタップが切られていない孔であることから、上方のボルト56Aを操作することなく、下方のボルト56Bのみを回転させて押さえ部材60を支保部材40側へスライドさせることが可能になる。図示例のように押さえ部材60に2つの挿通孔65が設けられている場合に、仮に全ての挿通孔65にタップが切られていると、1つのボルト56を対応するボルト孔55と挿通孔65に螺合した際に、他のボルト56も同様に対応するボルト孔55と挿通孔65に同期して螺合させないと、押さえ部材60をスムーズに支保部材40側へスライドさせることができなくなり、押さえ部材60をスライドさせる際に手間がかかることになる。
【0100】
また、
図15に示すように、押さえ部材60を構成する第2板62と第3板63の間にテーパー板64が介在し、テーパー板64は、枠体51の内部53への支保部材40の挿入方向(Z4方向)に対向している。この構成により、
図15に示すように、押さえ部材60が枠体51の内部に入り過ぎていて、支保部材40を挿入する際にその端部角部42aが押さえ部材60と干渉するような場合でも、支保部材40の端部角部42aがテーパー板64をZ5方向に押し込んだ際に、押さえ部材60はZ5方向に移動できないことから堰板10と反対側のZ6方向へスライドする(逃げる)ことになり、このスライドによって支保部材40の挿入スペースが確保され、支保部材40は枠体51の内部53へZ7方向にスムーズに挿入されることになる。
【0101】
図16乃至
図17Bには、支保部材固定治具のさらに他の例を示している。
図16に示すように、支保部材固定治具50Cでは、枠体51に取り付けられている一対の補強リブ54のそれぞれの端面54aに対して、ナット57のボルト孔55に連通する連通孔72を備えている係止板70が当接され、係止されるようになっている。
【0102】
図17Aに示すように、ナット57の厚みt12は、補強リブ54の高さt13未満に設定されており、この構成により、一対の補強リブ54のそれぞれの端面54aに対して係止板70を当接させることができる。
【0103】
そして、
図17Bに示すように、頭付きボルト56Bを締め込んで頭部56bが係止板70に接触した際に、頭付きボルト56Bの先端56aが支保部材40Aの壁面42に当接し、支保部材40Aの他方の壁面41は堰板10に当接し、堰板10は枠体10に当接することになる。言い換えれば、頭付きボルト56Bを締め込んで頭部56bが係止板70に接触した際にこのような構成が形成されるように、堰板10の幅t15,支保部材40の幅t16、枠体51と壁面42の間の隙間幅t17,枠体51の厚みと係止板70の厚みの総幅t17等が設定されている。
【0104】
支保部材固定治具50Cによっても、ボルト56の締め込み過ぎによる枠体51の変形や破損を抑制でき、ボルト56の先端56aから過度の押込力が支保部材40に作用して支保部材40が破損することを抑制できる。
【0105】
以上、地盤Gの掘削、土間エリアDAの外郭線形Lのうち、隅角部への第1堰板固定治具20の設置、直線部への第2堰板固定治具30の設置、第1堰板固定治具20や第2堰板固定治具30への堰板10の嵌め込みと、他の堰板10の設置、さらには、複数の堰板10の側面15に支保部材40を配設して支保部材固定治具50にて固定するといった一連の施工により、土間エリアDAへの埋戻し土の埋戻し施工と、土間エリアDA及びベースエリアBAへの連続的なコンクリート打設の準備が完了する(以上、堰板設置工程)。
【0106】
次に、
図18とそのXIX-XIX矢視図である
図19に示すように、土間エリアDAのうち、堰板10の側方である掘削エリアに対して埋戻し土を投入し、不図示のランマーやコンパクターにて埋戻し土を転圧することにより、埋戻し土Uを施工する(埋戻し土施工工程)。
【0107】
埋戻し土Uが施工された後、各堰板10を支保していた支保部材40と支保部材固定治具50を撤去する。次に、コンクリート打設に先行して、堰板10の長手方向のベースエリアBA側に、複数のPCa製の立ち上がり部ブロックK1を並べる。
【0108】
ここで、PCa製の立ち上がり部ブロックK1の内部には、その延設方向に延びる上端筋及び下端筋と、上端筋及び下端筋を鉛直方向に繋ぐ複数の縦筋(あばら筋)と、上端筋及び下端筋の間にある横筋(腹筋)等を有しているが、これらの鉄筋の図示は省略する。また、PCa製の立ち上がり部ブロックK1を所定の高さ位置に設置するためのセパレータ等の図示も省略する。
【0109】
隣接するPCa製の立ち上がり部ブロックK1同士は、それらの間にある縦目地に対してモルタルを注入したり、機械式継手等で双方の上端筋及び下端筋同士を繋ぐことにより一体とされ、布基礎の長手方向に延設するPCa製の立ち上がり部Kが形成される。
【0110】
布基礎の長手方向に延設するPCa製の立ち上がり部Kが形成された後、埋戻し土Uの上方を含む土間エリアDAの全域と、ベースエリアBAの全域に対して連続的にコンクリートを打設することにより、土間エリアDAには所定厚みのコンクリート製の土間Dが施工され、ベースエリアBAには所定厚みのコンクリート製のベースBが施工される。
【0111】
そして、コンクリート製のベースBがPCa製の立ち上がり部Kの下部と一体化することにより、布基礎Nが施工される(以上、コンクリート打設工程)。
【0112】
図示するコンクリート製のベースと土間の連続施工方法によれば、堰板設置工程において、堰板10の設置に先行して、土間エリアDAの外郭線形Lを形成する隅角部に平面視L型の第1堰板固定治具20を設置し、直線部に平面視直線状の第2堰板固定治具30を設置し、第1堰板固定治具20と第2堰板固定治具30にて一部の堰板10を固定することにより、平面視L型の第1堰板固定治具20は安定して倒れることがないことから、この第1堰板固定治具20に固定される堰板10も安定して立設姿勢を保持することができる。そのため、安定的でスムーズな堰板の設置が可能になる。
【0113】
また、第1堰板固定治具20と第2堰板固定治具30の長さ範囲を調整代として、それらにおけるそれぞれの堰板10の端部位置を所望に調整することにより、複数の堰板10の長手方向の寸法が合わなくなった場合でも堰板10同士を重ねたり堰板を切断加工することなく、複数の堰板10の長手方向の寸法をスムーズに調整することが可能になる。
【0114】
さらに、複数の堰板10の側面15に対して軸状の支保部材40を配設し、支保部材固定治具50の内部に支保部材40の一部と堰板10の上部を収容して固定することにより、堰板10と支保部材40との間に支保部材固定治具50を介在させることなく、双方を相互に密着させた状態で支保部材固定治具50にて固定することができることから、1人の作業員によって複数の堰板10を支保部材40にて高い固定度の下で支保することが可能になる。
【0115】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0116】
10:堰板
10a:天端
11:縦溝
12:係合凸部
13:係合凹部
15:側面
20:第1堰板固定治具(堰板固定治具)
21:第1底板
22:第1側板(土間エリア側の側板)
23:第2側板(ベースエリア側の側板)
23a:天端
30:第2堰板固定治具(堰板固定治具)
31:第2底板
32:第3側板(土間エリア側の側板)
33:第4側板(ベースエリア側の側板)
40,40A,40B,40C:支保部材(角パイプ)
41,42:側壁
50,50A,50B,50C:支保部材固定治具
51:枠体
51a:係止片
52:開口
53:内部
54:補強リブ
54a:端面
55:ボルト孔
56,56A,56B:ボルト(頭付きボルト)
56a:先端
56b:頭部
57:ナット
60:押さえ部材
61:第1板
62:第2板
63:第3板
64:テーパー板
65:挿通孔
70:係止板
72:連通孔
DA:土間エリア
BA:ベースエリア
L:外郭線形
D:土間
B:ベース
G:地盤
K:立ち上がり部(PCa製の立ち上がり部)
K1:PCa製立ち上がり部ブロック
U:埋戻し土
N:布基礎