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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049307
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082142
(22)【出願日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2022154723
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
(72)【発明者】
【氏名】伊西 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】籠橋 進
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC09
5E316CC32
5E316DD17
5E316DD24
5E316FF07
5E316FF14
5E316GG15
5E316GG17
5E316HH40
(57)【要約】
【課題】高い品質を有するプリント配線板の提供。
【解決手段】プリント配線板は、第1導体層と、第1導体層上に形成されていて、第1導体層を露出するビア導体用の開口と第1面と第1面と反対側の第2面とを有する樹脂絶縁層と、樹脂絶縁層の第1面上に形成されている第2導体層と、開口内に形成されていて、第1導体層と第2導体層とを接続するビア導体、とを有する。第2導体層とビア導体は、シード層とシード層上に形成される電解めっき層とによって形成されている。シード層は、第1面上の第1部分と開口の内壁面上の第2部分と開口から露出する第1導体層上の第3部分とを有しており、第1部分は第2部分および第3部分より厚い。樹脂絶縁層は無機粒子と樹脂によって形成されている。無機粒子は内壁面を形成する第1無機粒子と樹脂絶縁層内に埋まっている第2無機粒子を含み、第1無機粒子の形状は第2無機粒子の形状と異なる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体層と、
前記第1導体層上に形成されていて、前記第1導体層を露出するビア導体用の開口と第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有する樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、
前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有するプリント配線板であって、
前記第2導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層とによって形成されており、
前記シード層は、前記第1面上の第1部分と前記開口の内壁面上の第2部分と前記開口から露出する前記第1導体層上の第3部分とを有しており、前記第1部分は前記第2部分および前記第3部分より厚く、
前記樹脂絶縁層は無機粒子と樹脂によって形成されており、
前記無機粒子は前記内壁面を形成する第1無機粒子と前記樹脂絶縁層内に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子の形状は前記第2無機粒子の形状と異なる。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記第3部分は前記第2部分より厚い。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板であって、前記シード層は、第1層と前記第1層上に形成される第2層とを有しており、
前記第1層の前記第1部分は前記第1層の前記第2部分および前記第1層の前記第3部分より厚く、
前記第2層の前記第1部分は前記第2層の前記第2部分および前記第2層の前記第3部分より厚い。
【請求項4】
請求項3のプリント配線板であって、前記第1層の前記第3部分は前記第1層の前記第2部分より厚く、前記第2層の前記第3部分は前記第2層の前記第2部分より厚い。
【請求項5】
請求項1のプリント配線板であって、前記第2部分の厚さと前記第1部分の厚さとの比(第2部分の厚さ/第1部分の厚さ)は0.2以上、0.6以下であり、前記第3部分の厚さと前記第1部分の厚さとの比(第3部分の厚さ/第1部分の厚さ)は0.5以上0.9以下である。
【請求項6】
請求項1のプリント配線板であって、前記シード層はスパッタリングで形成される。
【請求項7】
請求項3のプリント配線板であって、前記第1層と前記第2層は銅合金と銅の組み合わせからなる。
【請求項8】
請求項7のプリント配線板であって、前記銅合金中の銅の含有量(wt%)が90%以上である。
【請求項9】
請求項1のプリント配線板であって、前記内壁面は前記第1無機粒子と前記樹脂によって形成されており、前記第1無機粒子は平坦部を有し、前記平坦部が前記内壁面を形成する。
【請求項10】
請求項1のプリント配線板であって、前記内壁面の算術平均粗さは1.0μm以下である。
【請求項11】
請求項9のプリント配線板であって、前記内壁面は前記樹脂と前記平坦部で形成されている。
【請求項12】
請求項9のプリント配線板であって、前記第2無機粒子の形は球である。
【請求項13】
請求項9のプリント配線板であって、前記第1無機粒子の形状は球を平面で切断することで得られる。
【請求項14】
請求項13のプリント配線板であって、前記第1無機粒子の形状は前記第2無機粒子を平面で切断することで得られる。
【請求項15】
請求項1のプリント配線板であって、前記開口を形成することは、前記第2無機粒子から突出部分を有する前記無機粒子を形成することを含み、前記開口の前記内壁面は前記突出部分を除去することで形成される前記第1無機粒子の露出面を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、樹脂基板と樹脂基板上に形成されている樹脂絶縁層と導体回路を有するプリント配線板を開示する。導体回路は、特定の金属を含む合金層を介して樹脂絶縁層上に形成されている。例えば、特許文献1の8段落に特定の金属は示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-124602号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1の合金層を備えるプリント配線板では、導体回路と樹脂絶縁層の密着力が十分ではないと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板は、第1導体層と、前記第1導体層上に形成されていて、前記第1導体層を露出するビア導体用の開口と第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有する樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有する。前記第2導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層とによって形成されている。前記シード層は、前記第1面上の第1部分と前記開口の内壁面上の第2部分と前記開口から露出する前記第1導体層上の第3部分とを有しており、前記第1部分は前記第2部分および前記第3部分より厚い。前記樹脂絶縁層は無機粒子と樹脂によって形成されている。前記無機粒子は前記内壁面を形成する第1無機粒子と前記樹脂絶縁層内に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子の形状は前記第2無機粒子の形状と異なる。
【0006】
本発明の実施形態のプリント配線板によると、樹脂絶縁層の第1面上にシード層の厚い部位(第1部分)が配置される。そのため、第2導体層と樹脂絶縁層間の密着強度を高くすることができる。安定した性能を有するプリント配線板が得られる。第2部分の厚みが第1部分の厚みより薄い。シード層形成後のビア導体用の開口の体積を大きくすることができる。ビア導体用の開口の径が小さくても、ビア導体用の開口を電解めっき層で充填することができる。第1導体層とビア導体は第3部分を介して接続される。第3部分の厚みが第1部分の厚みより小さい。第3部分の影響を小さくすることができる。第3部分を介する接続抵抗が高くなりがたい。
【0007】
本発明の実施形態のプリント配線板では、第1無機粒子が開口の内壁面を形成する。そして、第1無機粒子の形状と樹脂絶縁層内に埋まっている第2無機粒子の形状は異なる。例えば、第1無機粒子の形状を変えることで、内壁面の形状を制御することができる。内壁面はビア導体と接する面である。そのため、内壁面の形状を制御することにより、ビア導体と樹脂絶縁層間の密着力を高くすることができる。ビア導体がシード層を含むと、シード層は内壁面上に形成される。そのため、内壁面の形状を制御することにより、シード層の厚みを薄くすることができる。シード層の厚みのバラツキを小さくすることができる。第2導体層内の各導体回路の幅を目標値に近くすることができる。高い品質を有するプリント配線板を提供することができる。
【0008】
開口の内壁面が第1無機粒子を含む。そのため、第2部分の厚みが第1部分の厚みより薄くても、シード層が内壁から剥がれ難い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
図2】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図3】シード層の一部を模式的に示す拡大断面図。
図4A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
図4E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4F】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4G】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4H】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5】実施形態の別例2のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
図1は実施形態のプリント配線板2を示す断面図である。図2は実施形態のプリント配線板2の一部を示す拡大断面図である。図1に示されるように、プリント配線板2は、絶縁層4と第1導体層10と樹脂絶縁層20と第2導体層30とビア導体40とを有する。
【0011】
絶縁層4は樹脂を用いて形成される。絶縁層4はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層4は、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。絶縁層4は、第3面6と第3面6と反対側の第4面8を有する。
【0012】
第1導体層10は絶縁層4の第3面6上に形成されている。第1導体層10は信号配線12とパッド14を含む。図に示されていないが、第1導体層10は信号配線12とパッド14以外の導体回路も含んでいる。第1導体層10は主に銅によって形成される。第1導体層10は、絶縁層4上のシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。シード層10aは第3面6上の第1層11aと第1層11a上の第2層11bで形成されている。第1層11aは銅合金で形成されている。銅合金中の銅の含有量(wt%)は90%以上である。第2層11bは銅で形成されている。電解めっき層10bは銅で形成されている。第1層11aは絶縁層4に接している。
【0013】
樹脂絶縁層20は絶縁層4の第3面6と第1導体層10上に形成されている。樹脂絶縁層20は第1面22と第1面22と反対側の第2面24を有する。樹脂絶縁層20の第2面24は第1導体層10と対向する。樹脂絶縁層20はパッド14を露出する開口26を有している。樹脂絶縁層20は樹脂80と樹脂80内に分散されている多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80はエポキシ系樹脂である。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子90は、例えば、シリカやアルミナである。絶縁層4の材質と樹脂絶縁層20の材質は同じであることが好ましい。
【0014】
図1図2に示されるように、無機粒子90は、開口26の内壁面27を形成する第1無機粒子91と、樹脂80内に埋まっている第2無機粒子92を含む。第2無機粒子92の形は球である。第1無機粒子91の形状は球を平面で切断することで得られる。第1無機粒子91の形状は第2無機粒子92を平面で切断することで得られる。第1無機粒子91の形状と第2無機粒子92の形状は異なる。
【0015】
図1に示されるように、樹脂絶縁層20の第1面22はほぼ樹脂80のみで形成されている。第1面22から無機粒子(第2無機粒子92)90はほぼ露出しない。第1面22は第2無機粒子92の表面をほぼ含まない。樹脂絶縁層20の第1面22には凹凸がほぼ形成されていない。第1面22は荒らされていない。第1面22はほぼ平滑に形成されている。
【0016】
図2に示されるように、開口26の内壁面27は樹脂80と第1無機粒子91で形成されている。第1無機粒子91は平坦部91aを有する。平坦部91aは内壁面27を形成する。内壁面27は樹脂80と平坦部91aで形成されている。平坦部91aと内壁面27を形成する樹脂80の面は、ほぼ共通な面を形成する。内壁面27を形成する樹脂80上に凹凸が形成されない。内壁面27を形成する樹脂80の面は平滑である。平坦部91aの露出面(内壁面27を形成する面)91b上に凹凸が形成されない。平坦部91aの露出面91bは平滑である。内壁面27は平滑に形成される。内壁面27の算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下である。
【0017】
第1無機粒子91の平坦部91aは第1無機粒子91の周りに形成されている樹脂80の面(内壁面27を形成する面)80aを延長することで得られる面とほぼ一致する。図1図2中に実質的な直線で描かれている平坦部91aは平面を意味している。図1図2に示される断面において平坦部91aは平面である。平坦部91aは完全な平面でなくてもよい。平坦部91aは実質的な平面であってほぼ平滑な面である。
【0018】
図2に示されるように、開口26の内壁面27は傾斜している。パッド14の上面と内壁面27との間の角度(傾斜角度)θ1は70°以上85°以下である。パッド14の上面は第1導体層10の上面に含まれる。樹脂絶縁層20の第1面22と内壁面27との間の角度(傾斜角度)θ2は95°以上110°以下である。
【0019】
図1図2に示される断面では、開口26の形状は略逆台形に示されている。しかしながら、実際の開口26の形状は略逆円錐台形状である。そのため実際の開口26の内壁面(側壁)27は略曲面である。すなわち、平坦部91aと樹脂80で形成される共通な面は略曲面で形成される内壁面(側壁)27を含む。
【0020】
図1に示されるように、第2導体層30は樹脂絶縁層20の第1面22上に形成されている。第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36を含む。図に示されていないが、第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成している。第2導体層30は主に銅によって形成される。第2導体層30は、第1面22上のシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。シード層30aは第1面22上の第1層31aと第1層31a上の第2層31bで形成されている。第1層31aは銅合金で形成されている。第2層31bは銅で形成されている。電解めっき層30bは銅で形成されている。第1層31aは第1面22に接している。
【0021】
第1層31aは銅合金で形成され、第2層31bは銅で形成され、電解めっき層30bは銅で形成されている。その場合、第1層31a中の銅の量は第2層31b中の銅の量と電解めっき層30b中の銅の量より小さい。第2層31b中の銅の量と電解めっき層30b中の銅の量は99.9at%以上である。第2層31b中の銅の量と電解めっき層30b中の銅の量は99.95at%以上であることが好ましい。
【0022】
ビア導体40は開口26内に形成されている。ビア導体40は第1導体層10と第2導体層30を接続する。図1ではビア導体40はパッド14とランド36を接続する。ビア導体40はシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。ビア導体40を形成するシード層30aと第2導体層30を形成するシード層30aは共通である。ビア導体40を形成するシード層30aは、開口26の内壁面27と開口26から露出するパッド14の上面を覆う第1層31aと第1層31a上の第2層31bで形成されている。第1層31aはパッド14の上面と内壁面27に接している。
【0023】
シード層30aは、第1面22上の第1部分P1と開口26の内壁面27上の第2部分P2と開口26から露出するパッド14上の第3部分P3とを有している。図3はシード層30aの一部を示す拡大断面図である。図3(a)は図2中の符号III-1で示される部分(第1部分P1)を示す。図3(b)は図2中の符号III-2で示される部分(第2部分P2)を示す。図3(c)は図2中の符号III-3で示される部分(第3部分P3)を示す。図3に示されるように、第1部分P1の厚さT1は、第2部分P2の厚さT2および第3部分P3の厚さT3より厚い。また、第3部分P3の厚さT3は第2部分P2の厚さT2より厚い。
【0024】
シード層30aが複数の層で形成される場合、厚さT1と厚さT2と厚さT3は各層の厚さの合計である。
【0025】
第1層31aの第1部分P1の厚さT1aは、第1層31aの第2部分P2の厚さT2aおよび第1層31aの第3部分P3の厚さT3aより厚い。また、第1層31aの第3部分P3の厚さT3aは第1層31aの第2部分P2の厚さT2aより厚い。
【0026】
他の層の厚さも第1層31aの厚さと同様な関係を有する。従って、シード層30aが2層で形成される場合、第2層31bの第1部分P1の厚さT1bは、第2層31bの第2部分P2の厚さT2bおよび第2層31bの第3部分P3の厚さT3bより厚い。また、第2層31bの第3部分P3の厚さT3bは第2層31bの第2部分P2の厚さT2bより厚い。
【0027】
第2部分P2の厚さT2と第1部分P1の厚さT1との比(第2部分P2の厚さT2/第1部分P1の厚さT1)は0.2以上、0.6以下である。第3部分P3の厚さT3と第1部分P1の厚さT1との比(第3部分P3の厚さT3/第1部分P1の厚さT1)は0.5以上0.9以下である。
【0028】
第2層31bの厚さは第1層31aの厚さより厚い。厚さT1bは厚さT1aより厚い。厚さT2bは厚さT2aより厚い。厚さT3bは厚さT3aより厚い。
【0029】
シード層30aが第1層31aのみで形成される場合、第1層31aの第1部分P1の厚さT1aは、第1層31aの第2部分P2の厚さT2aと第1層31aの第3部分P3の厚さT3aより厚い。また、第1層31aの第3部分P3の厚さT3aは第1層31aの第2部分P2の厚さT2aより厚い。
【0030】
シード層30aの第1部分P1の厚さT1は、0.02μm以上1.0μm以下である。第1層31aの第1部分P1の厚さT1aは、0.01μm以上0.5μm以下である。第2層31bの第1部分P1の厚さT1bは、0.01μm以上0.9μm以下である。シード層30aの第1部分P1の厚さT1が0.02μm未満であると、例えば、樹脂絶縁層20とシード層30a間の密着強度が低い。第1部分P1の厚さT1が1.0μmを超えると、シード層30aのエッチング量が多くなるため、配線幅の制御が難しい。
【0031】
開口26の内壁面27上のシード層30aの第2部分P2の厚さT2は、0.004μm以上0.6μm以下である。第1層31aの第2部分P2の厚さT2aは、0.002μm以上0.3μm以下である。第2層31bの第2部分P2の厚さT2bは、0.002μm以上0.54μm以下である。
【0032】
開口26から露出するパッド14上のシード層30aの第3部分P3の厚さT3は、0.01μm以上0.9μm以下である。第1層31aの第3部分P3の厚さT3aは、0.005μm以上0.45μm以下である。第2層31bの第3部分P3の厚さT3bは、0.005μm以上0.81μm以下である。第3部分P3はビア導体40とパッド14との接続部である。
【0033】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
図4A図4Hは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。図4A図4C図4E図4Hは断面図である。図4Dは拡大断面図である。図4Aは絶縁層4と絶縁層4の第3面6上に形成されている第1導体層10を示す。第1導体層10はセミアディティブ法によって形成される。第1層11aと第2層11bはスパッタリングで形成される。電解めっき層10bは電解めっきで形成される。
【0034】
図4Bに示されるように、絶縁層4と第1導体層10上に樹脂絶縁層20と保護膜50が形成される。樹脂絶縁層20の第2面24が絶縁層4の第3面6と対向している。樹脂絶縁層20の第1面22上に保護膜50が形成されている。樹脂絶縁層20は樹脂80と無機粒子90(第2無機粒子92)を有する。無機粒子90は樹脂80内に埋まっている。
【0035】
保護膜50は樹脂絶縁層20の第1面22を完全に覆っている。保護膜50の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。保護膜50と樹脂絶縁層20との間に離型剤が形成されている。
【0036】
図4Cに示されるように、保護膜50の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは保護膜50と樹脂絶縁層20を同時に貫通する。第1導体層10のパッド14に至るビア導体用の開口26が形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO2レーザ光である。開口26によりパッド14が露出される。開口26が形成される時、第1面22は保護膜50で覆われている。そのため、開口26が形成される時、樹脂が飛散しても、第1面22に樹脂が付着することが抑制される。
【0037】
図4Dは、レーザ光照射後の開口26の内壁面27bを示す。内壁面27bは樹脂80と樹脂80から突出している無機粒子90で形成されている。内壁面の形状を制御するため、レーザ光照射後の内壁面27bは処理される。樹脂80から突出している無機粒子90を選択的に除去することが好ましい。これにより、無機粒子90から第1無機粒子91が形成される。例えば、レーザ光照射後の内壁面27bを薬品で処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。あるいは、レーザ光照射後の内壁面27bをプラズマで処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。選択的に除去することは、無機粒子90のエッチング速度が樹脂80のエッチング速度より大きいことを含む。例えば、両者のエッチング速度差は10倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は50倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は100倍以上である。レーザ光照射後の内壁面27bを処理することで、平坦部91a(図2参照)を有する第1無機粒子91が得られる。レーザ光照射後の内壁面27bを処理するための条件を制御することで、内壁面27bの形状を制御することができる。条件の例は、温度、濃度、時間、ガスの種類や圧力である。無機粒子90のエッチング速度と樹脂のエッチング速度が制御される。
【0038】
樹脂絶縁層20にレーザ光Lを照射することで、樹脂80に埋まっている第2無機粒子92の一部がレーザ光照射後の内壁面27bを形成する。レーザ光照射後の内壁面27bを形成する第2無機粒子92は、樹脂80から突出している突出部分Pと樹脂80に埋まっている部分Eで形成される。レーザ光照射後の内壁面27bが処理される。例えば、四フッ化メタンを含むガスのプラズマで内壁面27bが処理される。突出部分Pが選択的に除去され、実施形態の内壁面27(図1図2)が形成される。第2無機粒子92から第1無機粒子91が形成される。突出部分Pを選択的に除去することで、平坦部91aを有する第1無機粒子91が形成される。平坦部91aは平面である。球の形を持つ第2無機粒子92が平面で切断されると、第1無機粒子91の形状が得られる。内壁面27は平坦部91aと樹脂80の面80aで形成され、平坦部91aの露出面91bと樹脂80の面80aはほぼ同一平面上に位置する。例えば、スパッタリングで内壁面27b上にシード層30aが形成されると、突出部分Pはスパッタ膜(スパッタリング製膜)の成長を阻害する。例えば、内壁面27b上に連続しているシード層30aが形成されない。あるいは、シード層30aの厚みを大きくしなければならない。微細な導体回路を形成することができない。実施形態では、突出部分Pが除去される。スパッタリングで形成されるシード層30aの厚みを薄くできる。スパッタリングで形成されるシード層30aの厚みが薄くても、連続しているシード層30aが得られる。
【0039】
開口26を形成することは、突出部分Pを有する無機粒子(第2無機粒子92)90を形成することを含む。突出部分Pは開口26の内壁面27を形成する樹脂80から突出している。第1無機粒子91は無機粒子(第2無機粒子92)90の突出部分Pを除去することで形成される。開口26の内壁面27は第1無機粒子91の露出面91bを含む。第1無機粒子91の露出面91bは突出部分Pを除去することで形成される。
【0040】
球の形を持つ第2無機粒子92を平面で切断することで第1無機粒子91の形状を得ることは、無機粒子90の突出部分Pを除去することを含む。実際の開口26の内壁面27は略曲面である。突出部分Pを除去することで平坦部91aが形成されるので、平坦部91aの露出面91bは曲面を含む。すなわち、平坦部91aと樹脂80で共通な面を形成することは実質的な曲面で形成される内壁面27を形成することを含む。
【0041】
内壁面27は、第1無機粒子91の露出面91bとその露出面91bを有する第1無機粒子91を囲んでいる樹脂80の面80aとの間に段差を有することができる。露出面91bは樹脂80の面80aから凹んでいる。あるいは、露出面91bは樹脂80の面80aから出っ張っている。段差(露出面91bと樹脂80の面80aとの間の距離)は5μm以下である。段差は3μm以下であることが好ましい。段差は1.5μm以下であることがより好ましい。段差が形成されていても、段差が小さいので、露出面91bと樹脂80の面80aはほぼ共通な面を形成する。
【0042】
内壁面27上に凹凸が形成されない。内壁面27は平滑に形成される。レーザ光照射後の内壁面27bを処理するための条件を制御することで、凹凸の大きさが制御される。
【0043】
開口26内が洗浄される。開口26内を洗浄することにより開口26形成時に発生する樹脂残渣が除去される。開口26内の洗浄はプラズマによって行われる。即ち洗浄はドライプロセスで行われる。洗浄はデスミア処理を含む。樹脂絶縁層20の第1面22は保護膜50で覆われているためプラズマの影響を受けない。樹脂絶縁層20の第1面22には凹凸が形成されない。第1面22は荒らされない。
【0044】
レーザ光照射後の内壁面27bを処理することが開口26内を洗浄することを含む場合、開口26内を洗浄することを削除することができる。
【0045】
図4Eに示されるように、開口26内を洗浄することの後に、樹脂絶縁層20から保護膜50が除去される。レーザ光照射後の内壁面27bを処理することが開口26内を洗浄することを含む場合、レーザ光照射後の内壁面27bを処理することの後に、樹脂絶縁層20から保護膜50が除去される。レーザ光照射後の内壁面27bが処理される時、保護膜50は樹脂絶縁層20の第1面22を覆っている。保護膜50除去後、樹脂絶縁層20の第1面22を荒らすことは行われない。
【0046】
図4Fに示されるように、樹脂絶縁層20の第1面22上にシード層30aが形成される。シード層30aはスパッタリングによって形成される。シード層30aの形成はドライプロセスで行われる。第1層31aが第1面22上にスパッタリングで形成される。同時に、開口26から露出する内壁面27とパッド14上に第1層31aがスパッタリングで形成される。その後、第1層31a上に第2層31bがスパッタリングで形成される。シード層30aは開口26から露出するパッド14の上面と開口26の内壁面27にも形成される。第1層31aは銅合金で形成される。第2層31bは銅で形成される。
【0047】
例えば、スパッタリングはマスクを介して行われる。まず、各ビア導体用の開口26を覆う第1マスクが樹脂絶縁層20上に配置される。第1マスクは樹脂絶縁層20の第1面22のみを露出する。第1マスクを介して樹脂絶縁層20の第1面22上に厚さT1aを有する第1部分P1が形成される。第1マスクが除去される。各ビア導体用の開口26の内壁面27のみを露出する第2マスクが樹脂絶縁層20上に配置される。第2マスクを介して内壁面27上に厚さT2aを有する第2部分P2が形成される。第2マスクが除去される。各ビア導体用の開口26から露出されるパッド14のみを露出する第3マスクが樹脂絶縁層20上に配置される。第3マスクを介してパッド14上に厚さT3aを有する第3部分P3が形成される。第3マスクが除去される。これにより、第1層31aが第1面22上に形成される。開口26から露出する内壁面27とパッド14上に第1層31aが形成される。その後、第1層31a上に第2層31bが形成される。第1層31aの形成方法と第2層31bの形成方法は同様である。
【0048】
スパッタリングで第1層31aと第2層31bを形成するための条件の例が次に示される。ターゲットと基板表面との距離は50mm以上250mm以下である。電圧は15eV以上50eV以下である。ガス濃度は0.1Pa以上1.0Pa以下である。例えば、処理時間を変えることで、シード層30aの第1部分P1の厚さT1と第2部分P2の厚さT2と第3部分P3の厚さT3を調整することができる。第1層31aの第1部分P1の厚さT1aは、第1層31aの第2部分P2の厚さT2aおよび第1層31aの第3部分P3の厚さT3aより厚い。また、第1層31aの第3部分P3の厚さT3aは第2部分P2の厚さT2aより厚い。第2層31bの第1部分P1の厚さT1bは、第2層31bの第2部分P2の厚さT2bおよび第2層31bの第3部分P3の厚さT3bより厚い。また、第2層31bの第3部分P3の厚さT3bは第2部分P2の厚さT2bより厚い。この結果、シード層30aの第1部分P1の厚さT1は第2部分P2の厚さT2および第3部分P3の厚さT3より厚い。シード層30aの第3部分P3の厚さT3は第2部分P2の厚さT2より厚い。
【0049】
第2層31bの厚さと第1層31aの厚さとの比(第2層31bの厚さ/第1層31aの厚さ)は1.2以上2以下である。比(厚さT1b/厚さT1a)と比(厚さT2b/厚さT2a)、比(厚さT3b/厚さT3a)は1.2以上2以下である。
【0050】
第1部分P1は樹脂絶縁層20の第1面22上に形成され、第2部分P2は樹脂絶縁層20の内壁面27上に形成されている。第1部分P1と第2部分P2は共に樹脂絶縁層20上に形成されている。第1部分P1はランド36と第1信号配線32、第2信号配線34のシード層30aを形成する。第2部分P2はビア導体40のシード層30aを形成する。樹脂絶縁層20の熱膨張係数とシード層30aの熱膨張係数は異なる。そのため、プリント配線板2が熱衝撃を受けると、シード層30aにストレスが働くと考えられる。普通、第1信号配線32と第2信号配線34はビア導体40よりかなり長く曲がっている部分を含む。そのため、大きなストレスが第1信号配線32と第2信号配線34内の曲がっている部分に集中するはずである。それに対し、ビア導体40は短く、ほぼ真っすぐに形成されている。そのため、ビア導体40に関しては、ストレスの集中は起こりがたい。従って、樹脂絶縁層20の第1面22上のシード層30aの破断を避けるために、第1信号配線32と第2信号配線34を形成するシード層30aの厚さは大きいことが好ましい。それに対し、ビア導体40を形成する内壁面27上のシード層30aの厚みは小さくてもよい。そのため、実施形態は、厚さT1を厚さT2より大きくしている。
【0051】
第2部分P2の厚さT2を薄くすることで、シード層30aを形成するために必要な時間を短縮することができる。
【0052】
図4Gに示されるように、シード層30a上にめっきレジスト60が形成される。めっきレジスト60は、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36(図1)を形成するための開口を有する。
【0053】
図4Hに示されるように、めっきレジスト60から露出するシード層30a上に電解めっき層30bが形成される。電解めっき層30bは銅で形成される。電解めっき層30bは開口26を充填する。第1面22上のシード層30aと電解めっき層30bによって、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36が形成される。第2導体層30が形成される。開口26内のシード層30aと電解めっき層30bによって、ビア導体40が形成される。ビア導体40は、パッド14とランド36を接続する。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成する。
【0054】
シード層30a形成後のビア導体40用の開口260が図4F図4Gに示される。厚さT2が薄いと、シード層30a形成後のビア導体40用の開口260の体積を大きくすることができる。そのため、電解めっき液が開口260内に入りやすい。ビア導体40を形成する電解めっき層30b内にボイドが形成され難い。低い抵抗を有するビア導体40を形成することができる。開口26の開口径(パッド14上の径)D(図4E参照)が30μm以下でも、ボイドを含まないビア導体40を形成することができる。開口径Dが10μm以上、25μm以下であっても、ビア導体40を介する接続信頼性が長期間安定である。このように、第2部分P2の厚さT2を小さくすることで、コストや生産性、信頼性を改善することができる。従って、厚さT2は厚さT1より小さいことが好ましい。
【0055】
めっきレジスト60が除去される。電解めっき層30bから露出するシード層30aが除去される。第2導体層30とビア導体40は同時に形成される。実施形態のプリント配線板2(図1)が得られる。
【0056】
ビア導体40は主に電解めっき層30bで形成され、パッド14は主に電解めっき層10bで形成されている。そして、ビア導体40を形成する電解めっき層(第2電解めっき層)30bとパッド14を形成する電解めっき層(第1電解めっき層)10bはスパッタリングで形成されるシード層30aを介して接続される。このように、第2電解めっき層30bと第1電解めっき層10bはスパッタリングで形成されるシード層30aを挟む。両者(第2電解めっき層30bと第1電解めっき層10b)は両者と異なる製法で形成される膜を挟んでいる。仮に、異なる製法で形成される膜は異種膜と称される。異種膜の例はスパッタリング製膜である。例えば、プリント配線板2がヒートサイクルを受けると、両者の収縮量と異種膜の収縮量は異なると考えられる。そのため、ビア導体40を介する接続信頼性はシード層30aと第1電解めっき層10b間で低下しやすい。あるいは、シード層30aと第2電解めっき層30b間で接続信頼性が低下しやすい。しかしながら、実施形態では、両者はシード層30aの内、第3部分P3を介して接続される。第3部分P3の厚さT3は第1部分P1の厚さT1より小さい。接続信頼性に対する異種膜の影響度を小さくすることができる。ビア導体40を介する接続信頼性を高くすることができる。
【0057】
第1部分P1は樹脂絶縁層20の第1面22上に形成される。そのため、信号配線32、34を形成するシード層30aは第1部分P1で形成される。信号配線32、34を形成する第1部分P1の長さL1は信号配線32、34の長さとほぼ一致する。従って、信号配線32、34を形成する第1部分P1の長さは長い。第2部分P2は開口26の内壁面27上に形成されているので、第2部分P2の長さは樹脂絶縁層20の厚みとほぼ一致する。従って、ビア導体40を形成する第2部分P2の長さL2は短い。長さL1と長さL2との比(L1/L2)は大まかに100倍以上である。普通、信号配線32、34は真っすぐ延びていない。普通の信号配線は曲がっている。プリント配線板2がヒートサイクルを受けると、曲がっている部分にストレスは集中すると考えられる。長さL1は大きいので、曲がっている部分に働くストレスは大きいと考えられる。第1部分P1内の曲がっている部分に大きなストレスが働くと推測される。それに対し、長さL2は長さL1よりずっと短い。そして、第2部分P2は第1無機粒子91の露出面91bと樹脂80の面80aで形成されるほぼ平滑な面上に形成されている。そのため、プリント配線板2がヒートサイクルを受けたとしても、第2部分P2内の所定箇所にストレスは集中しないと考えられる。このような観点から、第2部分P2の厚さT2が第1部分P1の厚さT1より薄くても、第2部分P2のシード層30aが損傷しがたい。また、第2部分P2のシード層30aが薄くても、内壁面27がほぼ平滑なので、内壁面27上に連続するシード層30aをスパッタリングで形成することができる。
【0058】
実施形態のプリント配線板2(図1図2)によると、樹脂絶縁層20の第1面22上にシード層30aの厚い部位(第1部分P1)が配置される。そのため、第2導体層30と樹脂絶縁層20間の密着強度を高くすることができる。安定した性能を有するプリント配線板2が提供される。
【0059】
実施形態のプリント配線板2(図1図2)では、開口26の内壁面27は第1無機粒子91の平坦部91aと樹脂80によって形成される。平坦部91aと内壁面27を形成する樹脂80の面80aはほぼ共通な面を形成する。内壁面27は平滑に形成される。そのため、開口26の内壁面27上に均一な厚みのシード層30aが形成される。シード層30aは薄く形成される。シード層30aが除去される時、エッチング量が少ない。そのため、電解めっき層30bのエッチング量が少ない。第1信号配線32と第2信号配線34を有する第2導体層30が設計値通りの幅を有する。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0060】
実施形態のプリント配線板2では樹脂絶縁層20の第1面22はほぼ樹脂80で形成されている。第1面22には無機粒子90がほぼ露出しない。第1面22にはほぼ凹凸が形成されない。樹脂絶縁層20の第1面22近傍部分の比誘電率の標準偏差が大きくなることが抑制される。第1面22の比誘電率は場所によって大きく変わらない。第1信号配線32と第2信号配線34が第1面22に接していても、第1信号配線32と第2信号配線34間の電気信号の伝搬速度の差を小さくすることができる。そのため、実施形態のプリント配線板2ではノイズが抑制される。実施形態のプリント配線板2にロジックICが実装されても、第1信号配線32で伝達されるデータと第2信号配線で伝達されるデータがロジックICにほぼ遅延なく到達する。ロジックICの誤動作を抑制することができる。第1信号配線32の長さと第2信号配線34の長さが5mm以上であっても、両者の伝搬速度の差を小さくすることができる。第1信号配線32の長さと第2信号配線34の長さが10mm以上、20mm以下であっても、ロジックICの誤動作を抑制することができる。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0061】
[実施形態の別例1]
実施形態の別例1では、シード層10a、30aの第1層11a、31aは、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、カルシウム、マグネシウム、鉄、モリブデン、銀のうちのいずれか1つの金属で形成されている。
【0062】
[実施形態の別例2]
実施形態の別例2ではレーザ光照射後の内壁面27bを処理するための条件が制御される。そのため、図5に示されるように、平坦部91aと内壁面27を形成する樹脂80の面80aは実質的に共通な面を形成する。図5は処理後の内壁面27を示す拡大断面図である。平坦部91aの露出面91bと樹脂80の面80aとの間の距離は5μm以下である。そのため、第1無機粒子91と第1無機粒子91の周りに形成されている樹脂80間に隙間100があっても、隙間100内にシード層30aを形成することができる。この場合、シード層30aは内壁面27上と隙間100内に形成される。平坦部91aの露出面91bと隙間100の底との間の距離は5μm以下であると、スパッタリングで形成されるシード層30aが内壁面27から剥がれ難い。平坦部91aと隙間100の底との間の距離は3μm以下であることが好ましい。平坦部91aの露出面91bと樹脂80の面80aとの間の距離は3μm以下であることが好ましい。平坦部91aの露出面91bと樹脂80の面80aとの間の距離と隙間100の幅は等しい。内壁面27上のシード層30aの厚みのバラツキを小さくすることができる。
【符号の説明】
【0063】
2 :プリント配線板
4 :絶縁層
10 :第1導体層
20 :樹脂絶縁層
22 :第1面
24 :第2面
26 :開口
27 :内壁面
30 :第2導体層
30a :シード層
30b :電解めっき層
31a :第1層
31b :第2層
32 :第1信号配線
34 :第2信号配線
36 :ランド
40 :ビア導体
80 :樹脂
90 :無機粒子
91 :第1無機粒子
91a :平坦部
92 :第2無機粒子
P1 :第1部分
P2 :第2部分
P3 :第3部分
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5