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特開2024-4931路側装置、車線サーバ、および故障予兆判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004931
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】路側装置、車線サーバ、および故障予兆判定方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/06 20110101AFI20240110BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20240110BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20240110BHJP
【FI】
G07B15/06
G08G1/01 C
G07B15/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104839
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢作 雅之
【テーマコード(参考)】
3E127
5H181
【Fターム(参考)】
3E127AA15
3E127AA16
3E127BA21
3E127BA23
3E127BA39
3E127CA13
3E127CA16
3E127CA17
3E127CA35
3E127CA59
3E127FA19
3E127FA20
3E127FA23
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC21
5H181DD10
(57)【要約】
【課題】車両検知器または軸数計の故障の予兆を特定すること。
【解決手段】実施形態に係る道路の料金所のレーンに設けられる路側装置において、通過車両を検知する複数の検知手段と、検知手段の検知結果に基づいてレーンに滞在する在車数の管理を行う車線サーバと、を備え、車線サーバは、車両が料金所のレーンを通行する際、複数の検知手段のそれぞれから車両についての検知情報を取得したかどうかを判定し、複数の検知手段それぞれで検知情報を取得した回数を示す複数の累計検知回数を更新する検知制御部と、複数の累計検知回数それぞれに対する差を算出し、算出された差が所定の閾値を超えるかどうかを判定する故障判定部と、所定の閾値を超えたと判定した場合、故障予兆情報を送信する送信部と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の料金所のレーンに設けられる路側装置において、
通過車両を検知する複数の検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて前記レーンに滞在する在車数の管理を行う車線サーバと、
を備え、前記車線サーバは、
車両が前記料金所のレーンを通行する際、前記複数の検知手段のそれぞれから前記車両についての検知情報を取得したかどうかを判定し、前記複数の検知手段それぞれで前記検知情報を取得した回数を示す複数の累計検知回数を更新する検知制御部と、
前記複数の累計検知回数それぞれに対する差を算出し、前記算出された差が所定の閾値を超えるかどうかを判定する故障判定部と、
前記所定の閾値を超えたと判定した場合、故障予兆情報を送信する送信部と、
を備える、路側装置。
【請求項2】
車両が料金所のレーンを通行する際、前記料金所に設置された複数の機器それぞれから前記車両についての検知情報を取得したかどうかを判定し、前記複数の機器それぞれで前記検知情報を取得した回数を示す複数の累計検知回数を更新する検知制御部と、
前記複数の累計検知回数それぞれに対する差を算出し、前記算出された差が所定の閾値を超えるかどうかを判定する故障判定部と、
前記所定の閾値を超えたと判定した場合、故障予兆情報を送信する送信部と、
を備える、車線サーバ。
【請求項3】
前記故障判定部は、前記所定の閾値を超えたと判定した場合、前記差を算出するために使用した累計検知回数のうちの小さい値を持つ機器に対して故障の予兆があると判定する、請求項2に記載の車線サーバ。
【請求項4】
前記故障判定部は、車両が所定の回数だけ前記レーンを通過した後、前記算出された差が前記所定の閾値を超えるかどうかを判定する、
請求項2に記載の車線サーバ。
【請求項5】
前記故障判定部は、所定の期間が経過した後、前記算出された差が前記所定の閾値を超えるかどうかを判定する、
請求項2に記載の車線サーバ。
【請求項6】
前記複数の機器は、複数の車両検知器であり、
前記検知情報は、車両を検知した情報である、
請求項2に記載の車線サーバ。
【請求項7】
前記複数の車両検知器のうちの少なくとも1つは、2つのセンサを備え、前記2つのセンサを備える前記機器に故障の予兆があると判定された場合、前記故障判定部は、前記2つのセンサのうちどちらに故障の予兆があるかを解析する、
請求項6に記載の車線サーバ。
【請求項8】
前記複数の機器は、軸数計の複数の踏板であり、
前記検知情報は、前記車両の車軸を検知した情報である、
請求項2に記載の車線サーバ。
【請求項9】
車線サーバのプロセッサが実行する故障予兆判定方法であって、
検知制御部で、車両が料金所のレーンを通行する際、前記料金所に設置された複数の機器それぞれから前記車両についての検知情報を取得したかどうかを判定することと、
前記検知制御部で、前記複数の機器それぞれで前記検知情報を取得した回数を示す複数の累計検知回数を更新することと、
故障判定部で、前記複数の累計検知回数それぞれに対する差を算出することと、
前記故障判定部で、前記算出された差が所定の閾値を超えるかどうかを判定することと、
送信部で、前記所定の閾値を超えたと判定した場合、故障予兆情報を送信することと、
を備える、故障予兆判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、路側装置、車線サーバ、および故障予兆判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の料金所に設けられる路側装置は、料金収受に関する処理を行うため、車両検知器を用いてレーンに進入してきた車両の車両管理も行っている。例えば、路側装置の車線サーバは、車両検知器を用いて車両を検知することにより、車線に存在している在車数を管理している。また、車線サーバは、料金を特定するために車種と特定する必要があるため、軸数計を用いて車両の軸数を計測しており、当該軸数に応じて車種を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-074421号公報
【特許文献2】特開2015-153383号公報
【特許文献3】特開2010-237823号公報
【特許文献4】特開平11-343405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両検知器が故障すると、路側装置の車線サーバは、在車数を管理することができなくなり、故障した車両検知器が設置されたレーンの運用が停止するという問題がある。また、軸数計が故障し、車両の軸数を計測できなくなった場合、路側装置の車線サーバは、車両の車種を誤って判定してしまい、誤課金につながるという問題がある。
【0005】
この発明は、上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、路側装置の車線サーバが車両検知器または軸数計の故障の予兆を特定し、予兆に従って交換のための機器を準備することにより、レーンの運用停止を最小限にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る道路の料金所のレーンに設けられる路側装置は、通過車両を検知する複数の検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づいて前記レーンに滞在する在車数の管理を行う車線サーバと、を備え、前記車線サーバは、車両が前記料金所のレーンを通行する際、前記複数の検知手段のそれぞれから前記車両についての検知情報を取得したかどうかを判定し、前記複数の検知手段それぞれで前記検知情報を取得した回数を示す複数の累計検知回数を更新する検知制御部と、前記複数の累計検知回数それぞれに対する差を算出し、前記算出された差が所定の閾値を超えるかどうかを判定する故障判定部と前記所定の閾値を超えたと判定した場合、故障予兆情報を送信する送信部と、を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るETC料金収受システムの概略構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態における車線サーバの構成を示すブロック図である。
図3図3は、車両検知器が車両を検知する際のイメージを示した図である。
図4図4は、図1に示される車線サーバにおける車両検知器故障予兆判定手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、車線監視制御装置のモニタ等に表示される故障予兆情報の一例を示した図である。
図6図6は、図1に示される車線サーバにおける車両検知器故障予兆判定手順の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第1の実施形態における車線サーバの構成を示すブロック図である。
図8図8は、軸数計の踏板が車両の車軸を検知する際のイメージを示した図である。
図9図9は、図1に示される車線サーバにおける車両検知器故障予兆判定手順の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、図1に示される車線サーバにおける軸数計故障予兆判定手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら路側装置、車線サーバ、および故障予兆判定方法について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重複する説明を省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0009】
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、路側装置1の車線サーバ10が車両検知器の故障の予兆を特定する実施形態である。
(構成)
図1は、第1の実施形態に係るETC料金収受システムの概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、ETC料金システムは、システム中央に設けられる料金中央サーバ4と、料金所装置で構成される。料金所装置は、料金所サーバ3と、車線監視制御装置2と、レーン毎に設けられる路側装置1とを備える。路側装置1は、車線監視制御装置2、料金所サーバ3、および料金中央サーバ4とネットワークを介して互いに接続される。また、料金所サーバ3は、車線監視制御装置2および料金中央サーバ4とネットワークを介して互いに接続される。
【0010】
料金中央サーバ4は、ETC料金収受システムにおける各料金所に設けられる路側装置1および各料金所サーバ3を管理し、各種のデータを交換する。
【0011】
料金所サーバ3は、料金所内の各レーンで処理された料金収受に関する処理データを管理し、料金中央サーバ4と各種のデータを交換する。
【0012】
車線監視制御装置2は、車線サーバ10に接続され、係員(収受員)がETC料金収受システムを監視するための装置である。
【0013】
路側装置1は、料金所に設置されたレーン毎に配置される装置である。車線サーバ10、インタフェース集約部20、保守用端末30、インタフェース集約部20、インタフェース集約部20に接続された複数の各機器を備える。本実施形態では、料金に設置された各レーンに配置された車線サーバ10、インタフェース集約部20、保守用端末30、およびインタフェース集約部20に接続された各機器をまとめて路側装置1と呼ぶ。
【0014】
車線サーバ10と保守用端末30は、料金所の事務所等にレーン毎に設置されている。また、インタフェース集約部20、およびインタフェース集約部20に接続された各機器は、料金所のレーンにそれぞれ配置される。そのため、料金所にレーンが1つしかない場合、路側装置1は、車線サーバ10、インタフェース集約部20、保守用端末30、およびインタフェース集約部20に接続された各機器を1つのみ備える。
【0015】
車線サーバ10は、レーン毎の料金収受に関する処理を行う。具体的には、通過車両に搭載された車載器と通信結果に基づき、料金処理に必要な入口料金明細、または出口料金明細を作成して、料金所サーバ3を介して料金中央サーバ4に送信する。更に、車線サーバ10は、車両検知器を用いてレーンに進入してきた車両の車両管理を行っている。
【0016】
また、保守用端末30は、車線サーバ10に接続される。
【0017】
保守用端末30は、車線サーバ10およびインタフェース集約部20を介して車線サーバ10に接続された各機器の運用状況を管理し、保守するために係員が使用するための端末である。
【0018】
各レーンに設けられるインタフェース集約部20には、車両検知器S1、S2、S4、簡易車両検知器S1、S2、S4、発進制御機201、ETC車線表示板202、ブース内表示器203、路側表示器204、ナンバープレート読取装置・車種判別装置・走行車両重量測定装置205、第1のアンテナ206、第2のアンテナ207、リカバリアンテナ208、簡易操作盤209、料金収受機211が接続される。
【0019】
発進制御機201は、レーンの出口側(たとえば、車両検知器S4の検知位置付近)に設置されるバーを開閉させる。発進制御機201は、路側装置1または車線サーバ10からの制御信号に応じてバーを開閉することにより車両のレーンの通過(レーンからの退出)を制御する。例えば、バーは、閉鎖した状態において車両の通過を物理的に阻止し、開放した状態において車両の通過を許可する。
【0020】
車両検知器S1は、軸数計213と接続され、車両検知器S4は、長尺計214と接続される。
【0021】
車両検知器S1、S2、S4および簡易車両検知器S1、S2、S4は、それぞれ料金所内のレーンに設置される。そして、車両検知器S1、S2、S4および簡易車両検知器S1、S2、S4は、車両を検知する。
【0022】
車両検知器S1は、レーン内に進入してきた車両を検知する。車両検知器S2は、レーンに進入した車両が無線通信による料金収受処理が可能なETC車両として取扱できるかを判定する。また、車両検知器S4は、レーンから退出する車両を検知する。
【0023】
車両検知器S1およびS4は、2つのセンサを有し、2つのセンサが車両に踏まれる順序に応じて車両が前進しているのか後退しているのかを検知することも可能である。なお、車両検知器S1、S2、S4を区別する必要がない場合、単に車両検知器Sと記載する。
【0024】
簡易車両検知器S1、S2、S4は、車両検知器S1、S2、S4がそれぞれ故障した際に動作させる検知器である。なお、簡易車両検知器S1、S2、S4は、オプションで配置されてよく、配置されていなくても良い。
【0025】
第1のアンテナ206、第2のアンテナ207、リカバリアンテナ208は、車両に搭載される車載器との無線通信を行う。
【0026】
第1のアンテナ206は、これらのアンテナが配置されたレーンのみを通信範囲とする狭域無線通信(DSRC)を利用した無線通信によって、他のレーンを通行する車両の車載器とは通信しないように構成される。例えば、第1のアンテナ206は、レーンにおける車両検知器S1の検知位置から車両検知器S2の検知位置が通信範囲となるように設定される。
【0027】
リカバリアンテナ208は、第1のアンテナ206で車載器からETCカードのカード番号等を含む車載器情報を取得できなかった場合、再度車載器から車載器情報を取得するために使用する。例えば、車載器にETCカードが未挿入であった場合にバーを閉じてレーンを閉鎖して車両の通行を止めることになる。そして、車両に乗車している人が車載器にETCカードを挿入した場合、リカバリアンテナ208は、車載器と無線通信を行って車載器情報を取得する。
【0028】
第2のアンテナ207は、これらのアンテナが配置されたレーンのみを通信範囲とする狭域無線通信(DSRC)を利用した無線通信によって、他のレーンを通行する車両の車載器とは通信しないように構成される。第2のアンテナ207は、レーンから退出する直前の車両に搭載された車載器と無線通信するように設定される。
【0029】
軸数計213は、レーンの道路上に配置される。軸数計213は、例えば、4つの踏板H1、H2、H3、H4で構成され、それぞれの踏板が車両に踏まれることにより車両の車軸を検知する。なお、踏板H1、H2、H3、H4を区別する必要がない場合、単に踏板Hと記載する。
【0030】
長尺計214は、オプションで配置され、車両検知器S4が検知可能な高さよりも高い車両(例えば、クレーン車等を積んだ車両)の退出を検知するために配置される。
【0031】
ナンバープレート読取装置・車種判別装置・走行車両重量測定装置205は、車高計215、軸重計216、軸数計217、カメラ等を用いて、ナンバープレートを読み取り、車種を判別し、車両の軸重から車両の重量を計測する。
【0032】
路側表示器204は、レーン内の車両に乗車している人に対する案内などの情報を表示する。路側表示器204は、レーン内の車両に対して、料金収受の結果、または通行の可否などの案内を表示する。また、路側表示器204は、レーンを走行する車両の運転手に対し、徐行、停止、発進などの走行案内を案内(表示)しても良い。
【0033】
ブース内表示器203は、料金所に設けられたブース内に設置された表示器であり、ブース内表示器203に表示された各種情報を係員が見ることが可能である。ここで、ブースは、レーンに沿って設置され、係員が駐在できる空間を有する。ブース内には、ブース内表示器203の他に、係員によるレーン監視、ETC処理の監視および手動操作での料金収受を行うための各種の機器が設置され良い。
【0034】
ETC車線表示板202は、レーンの入り口に設置されており、レーンが一般、一般/ETC、ETC専用、運用停止のいずれのレーンであるかを表示することが可能である。
【0035】
料金収受機211は、通行料金の支払いを、ETCを用いずに現金等で支払いを行うための機器であり、通行券自動発券機(ATIM)等を含む。
【0036】
ICカードR/W212は、料金収受機211に接続され、車両を運転する運転者がクレジットカードにより通行料金を支払う場合にクレジットカードを読み取らせるための機器である。
【0037】
遠隔遮断機210は、レーンが閉鎖されている際に車両が誤って当該レーンに進入してこないようにバーを下すための機器である。
【0038】
簡易操作盤209は、遠隔遮断機210と接続され、料金収受機211は、ICカードR/W212と接続される。また、ナンバープレート読取装置・車種判別装置・走行車両重量測定装置205は、車高計215、軸重計216、および軸数計217と接続される。
【0039】
簡易操作盤209は、レーン上操作器である。例えば、簡易操作盤209を用いて、係員は、料金所のアイランド上でETC車線表示板202に表示される情報を手動で切り替えることが可能である。
【0040】
図3は、実施形態に係る車線サーバ10の一例を示すブロック図である。
制御部111は、車線サーバ10を制御する。制御部111は、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサを備える。例えば、制御部111は、様々なプログラムを実行することが可能な集積回路であっても良い。
【0041】
プログラム記憶部112は、記憶媒体として、例えば、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて使用することができる。プログラム記憶部112は、各種処理を実行するために必要なプログラムを格納している。すなわち、制御部111は、プログラム記憶部112に格納されたプログラムを読み出して実行することにより各種制御および動作を実現し得る。
【0042】
データ記憶部113は、記憶媒体として、例えば、HDD、メモリカード等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリとを組み合わせて使用したストレージである。データ記憶部113は、制御部111がプログラムを実行して各種処理を行う過程で取得および生成されたデータを記憶するために用いられる。
【0043】
車線監視制御装置インタフェース114は、車線サーバ10に配置された通信インタフェースに含まれてよい。通信インタフェースは、1つ以上の有線または無線の通信モジュールを含む。例えば、車線監視制御装置インタフェース114は、TCP/IPを用いて車線監視制御装置2と有線接続する通信モジュールを含む。車線監視制御装置インタフェース114を含む通信インタフェースは、制御部111の制御の下、外部装置との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。
【0044】
車両検知インタフェース115は、インタフェース集約部20に含まれる。車両検知インタフェース115は、車両検知器S1、S2、S4それぞれから各種情報を受信する。また車両検知インタフェース115は、車両検知器S1または車両検知器S4を介して、軸数計213または長尺計214それぞれから各種情報を受信する。
【0045】
以下は、第1の実施形態における車線サーバ10の各構成について、ソフトウェア構成を中心に説明する。
制御部111は、車両検知制御部1111と、車両検知器故障判定部1112と、送信制御部1113と、を備える。またデータ記憶部113は、車両検知回数記憶部1131および車両数記憶部1132を備える。
【0046】
車両検知制御部1111は、車両検知器S1、S2、S4が車両を検知したかどうかを判定する。例えば、車両検知制御部1111は、各車両検知器Sから車両を検知したことを示す検知情報を取得したかどうかを判定する。また、車両検知器Sが車両を検知することができた場合、車両検知制御部1111は、後述する車両検知回数記憶部1131に記憶された累計車両検知回数をカウントアップさせる。すなわち、車両検知制御部1111は、累計車両検知回数を更新する。
【0047】
車両検知制御部1111は、車両がレーンから退出したかどうかを判定して良い。車両検知器S4または長尺計214は、車両が退出した際、退出信号を車両検知制御部1111に送信する。当該退出信号を受信した場合、車両検知制御部1111は、車両が退出したと判定する。そして、車両検知制御部1111は、車両がレーンから退出した際、後述する車両数記憶部1132に記憶された車両数をカウントアップさせて良い。
【0048】
車両検知器故障判定部1112は、レーンを通過した車両数が所定の数を超えたかどうかを判定して良い。例えば、車両検知器故障判定部1112は、車両数記憶部1132に記憶された車両数が所定の数を超えたかどうかを判定して良い。さらに、車両検知器故障判定部1112は、各車両検知器に対応付けられた累計車両検知回数の間の差が所定の閾値を超えるかどうかを判定して良い。例えば、累計車両検知回数の差が所定の閾値を超えたと判定した場合、車両検知器故障判定部1112は、車両検知器に故障の予兆があると判定して良い。
【0049】
送信制御部1113は、故障予兆情報を車線監視制御装置2に送信して良い。例えば、車両検知器故障判定部1112が車両検知器Sに故障の予兆があると判定した場合、送信制御部1113は、故障予兆情報を送信して良い。ここで、故障予兆情報は、後述する。
【0050】
車両検知回数記憶部1131は、車両検知器S1、S2、S4それぞれが車両を検知した回数、すなわち累計車両検知回数を記憶するために用いられる。また、車両検知回数記憶部1131は、累計車両検知回数が更新された際の日時等も記憶して良い。
【0051】
車両数記憶部1132は、車線サーバ10が設置されたレーンを通過した車両数を記憶するために用いられる。また、車両数記憶部1132は、車両数が更新された際の日時等も記憶して良い。
【0052】
(動作)
図3は、車両検知器S1、S2、S4が車両を検知する際のイメージを示した図である。
図3に示すように、車両が料金所のレーンに進入してくると、車両検知器S1、車両検知器S2、車両検知器S4の順に車両を検知することになる。車両検知器S1および車両検知器S4は、上述したように検知器が2つあり、図3の例では、2つのセンサをそれぞれaおよびbで示している。
【0053】
車両検知器S1では、センサaおよびセンサbの両方が検知されることにより検知されたと判定されることになる。例えば、先にセンサaで車両が検知され、次にセンサbで車両が検知されると、車両が前方に進んでいることが検知されることになる。一方、センサaまたはセンサbのいずれかだけで検知された場合、車両がどちらの向きに進んでいるかわからない。この場合、車両検知器S1では検知されていないと判定されることになる。
【0054】
図3の例では、車両検知器S1、S2では、車両を検知したが、車両検知器S4のセンサaで車両を検知できなかった、すなわち、車両検知器S4では車両を検知できなかった例を示している。
【0055】
図4は、図1に示される車線サーバ10における車両検知器故障予兆判定手順の一例を示すフローチャートである。
車線サーバ10の制御部111がプログラム記憶部112に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。このフローチャートは、車両が料金所の任意のレーンに進入することで開始する。
【0056】
ステップST101で、車両検知制御部1111は、車両検知器S1で車両を検知したかどうかを判定する。車両検知器S1で車両が検知されると、車両検知制御部1111は車両検知器S1のセンサaおよびセンサbの両方から車両を検知したことを示す検知情報を受信する。車両検知器S1のaおよびbの両方から当該検知情報を受信した場合、車両検知制御部1111は、車両検知器S1が車両を検知したと判定する。すなわち、車両検知制御部1111は、車両検知器S1から検知情報を取得したかどうかを判定する。そして、処理は、ステップST102に進む。一方、車両検知器S1のセンサaまたはセンサbの一方からのみ検知情報を受信した場合、車両検知制御部1111は、車両検知器S1が車両を検知できていないと判定する。この場合、車両検知制御部1111は、センサaまたはセンサbのいずれから検知情報を受信したかをデータ記憶部113に記憶させて良い。そして、処理は、ステップST103に進む。
【0057】
ステップST102で、車両検知制御部1111は、累計車両検知回数をカウントアップする。車両検知制御部1111は、車両検知回数記憶部1131に記憶された、車両検知器S1についての累計車両検知回数を取得し、当該回数を1だけカウントアップさせる。すなわち、車両検知制御部1111は、累計車両検知回数を更新する。そして、車両検知制御部1111は、カウントアップ(更新)された累計車両検知回数を車両検知回数記憶部1131に再度記憶させる。また、車両検知制御部1111は、車両検知回数記憶部1131に累計車両検知回数と共に更新日時も記憶させて良い。そして、処理は、ステップST103に進む。
【0058】
ステップST103で、車両検知制御部1111は、車両が料金所から退出したかどうかを判定する。車両検知制御部1111は、車両検知器S4または長尺計214から車両が退出したことを示す退出信号を受信したかどうかを判定する。ステップST102の後では、車両検知器S4から退出信号を受信していないので、処理は、最初に戻る。
【0059】
次に、車両が前に前進し、車両検知器S2で車両を検知する。
ステップST104で、車両検知制御部1111は、車両検知器S2で車両を検知したかどうかを判定する。車両検知器S2で車両が検知されると、車両検知制御部1111は車両検知器S2から車両を検知したことを示す検知情報を受信する。この場合、車両検知制御部1111は、車両検知器S2が車両を検知したと判定する。そして、処理は、ステップST105に進む。一方、車両検知器S2から検知情報を受信しない場合、車両検知制御部1111は、車両検知器S2が車両を検知できていないと判定する。例えば、車両検知制御部1111は、車両検知器S1が車両を検知してから所定の時間経過しても、車両検知器S2から検知情報を受信しない場合、車両検知制御部1111は、車両検知器S2で車両が検知できていないと判定して良い。そして、処理は、ステップST103に進む。
【0060】
ステップST105で、車両検知制御部1111は、累計車両検知回数をカウントアップする。車両検知制御部1111は、車両検知回数記憶部1131に記憶された、車両検知器S2についての累計車両検知回数を取得し、当該回数を1だけカウントアップさせる。そして、カウントアップされた累計車両検知回数を車両検知回数記憶部1131に再度記憶させる。また、車両検知制御部1111は、車両検知回数記憶部1131に累計車両検知回数と共に更新日時も記憶させて良い。そして、処理は、ステップST103に進む。
【0061】
再度ステップST103で、車両検知制御部1111は、車両が料金所から退出したかどうかを判定する。ステップST105の後では、車両検知器S4または長尺計214から退出信号を受信していないので、処理は、最初に戻る。
【0062】
次に、車両が前進し、車両検知器S4で車両を検知する。
ステップST106で、車両検知制御部1111は、車両検知器S4で車両を検知したかどうかを判定する。ステップST101と同様に、車両検知制御部1111は、車両検知器S4で車両を検知できたかどうかを判定する。
【0063】
ステップST107で、車両検知制御部1111は、累計車両検知回数をカウントアップする。車両検知制御部1111は、車両検知回数記憶部1131に記憶された、車両検知器S4についての累計車両検知回数を取得し、当該回数を1だけカウントアップさせる。そして、カウントアップされた累計車両検知回数を車両検知回数記憶部1131に記憶させる。また、車両検知制御部1111は、車両検知回数記憶部1131に累計車両検知回数と共に更新日時も記憶させて良い。そして、処理は、ステップST103に進む。
【0064】
再度ステップST103で、車両検知制御部1111は、車両が料金所から退出したかどうかを判定する。ステップST107の後、車両は、レーンから退出することになるため、車両検知器S4または長尺計214は、車両が退出したことを示す退出信号を車両検知制御部1111に送信する。当該退出信号を受信した車両検知制御部1111は、車両が退出したと判定する。そして、車両検知制御部1111は、データ記憶部113の車両数記憶部1132に記憶された車両数を1だけカウントアップさせ、カウントアップ(更新)した車両数を車両数記憶部1132に記憶させる。また、車両検知制御部1111は、車両数記憶部1132に車両数と共に更新日時も記憶させて良い。そして、処理は、ステップST108に進む。
【0065】
ステップST108で、車両検知器故障判定部1112は、車両数が所定の数を超えたかどうかを判定する。車両検知器故障判定部1112は、車両数記憶部1132に記憶された車両数を取得し、所定の数を超えて車両がレーンを通過しているかどうかを判定する。車両数が所定の数を超えていないと判定した場合、処理は、最初に戻る。すなわち、次の車両がレーンを通過し終えるまでステップST101~ステップST107を実行する。車両数が所定の数を超えたと判定した場合、処理は、ステップST109に進む。
【0066】
ステップST109で、車両検知器故障判定部1112は、車両検知回数記憶部1131に記憶された車両検知器S1、S2、S4それぞれに対応する累計車両検知回数を取得する。また、車両検知器故障判定部1112は、車両数記憶部1132に記憶された車両数を0にリセットして良い。
【0067】
ステップST110で、車両検知器故障判定部1112は、累計車両検知回数の差が閾値より大きいかどうかを判定する。車両検知器故障判定部1112は、累計車両検知回数それぞれに対する差を算出する。例えば、車両検知器故障判定部1112は、車両検知器S1の累計車両検知回数と車両検知器S2の累計車両検知回数との差、車両検知器S1の累計車両検知回数と車両検知器S4の累計車両検知回数の差、車両検知器S2の累計車両検知回数と車両検知器S4の累計車両検知回数の差を算出する。
【0068】
そして、車両検知器故障判定部1112は、算出した差それぞれについて所定の閾値より大きいかどうかを判定する。例えば、車両検知器S1の累計車両検知回数と車両検知器S2の累計車両検知回数の差が12であり、所定の閾値が10であった場合、車両検知器故障判定部1112は、累計車両検知回数の差が所定の閾値より大きいと判定する。この場合、処理は、ステップST111に進む。一方、算出した累計車両検知回数の差すべてが所定の閾値より小さい場合、処理は、最初に戻る。
【0069】
ステップST111で、車両検知器故障判定部1112は、故障の予兆と判定する。例えば、上述したように、車両検知器S1の累計車両検知回数と車両検知器S2の累計車両検知回数の差が所定の閾値より大きい場合、車両検知器故障判定部1112は、車両検知器S1または車両検知器S2に故障の予兆があると判定する。例えば、車両検知器故障判定部1112は、差を算出するために使用した累計車両検知回数のうちの小さい値を持つ車両検知器Sに対して故障の予兆があると判定して良い。
【0070】
車両検知器S1または車両検知器S4に故障の予兆があると判定した場合、車両検知器故障判定部1112は、さらに、センサaまたはセンサbのいずれに故障の予兆があるかを解析しても良い。例えば、車両検知器故障判定部1112は、検知されていなかった際にデータ記憶部113に記憶されたセンサaまたはセンサbのいずれかから検知情報を受信したかを抽出し、いずれのセンサに故障の予兆があるかを判定して良い。例えば、車両検知器故障判定部1112は、前回故障の予兆について判定してから今回判定するまでの間に、データ記憶部113に記憶された検知情報の数が少ない方のセンサが故障の予兆があると判定して良い。
【0071】
ステップST112で、送信制御部1113は、故障予兆情報を車線監視制御装置2に送信する。車両検知器故障判定部1112は、故障の予兆があると判定された車両検知器についての情報、判定した日時(すなわち発生日時)、車線サーバ10が設置されている料金所のレーンについての情報、および累計車両検知回数を含む故障予兆情報を生成し、送信制御部1113に出力する。また、故障予兆情報は、上述した解析の結果(例えば、車両検知器S1のセンサaまたはセンサbに故障の予兆があることを示す情報)を含んでも良い。送信制御部1113は、車線監視制御装置インタフェース114を通じて、車線監視制御装置2に当該故障予兆情報を送信する。車線監視制御装置2の制御部は、受信した故障予兆情報をモニタ等に出力して良い。
【0072】
フローは、終了に進む指示を受信した際、終了して良い。例えば、故障予兆情報を見た係員等が終了に進む指示を車線サーバ10に入力して良い。
【0073】
図5は、車線監視制御装置2のモニタ等に表示される故障予兆情報の一例を示した図である。
図5に示すように、モニタに表示される情報は、発生日時、復旧日時、場所、警報発生機器、状態、解析結果、およびログ表示が表示される。ここで、復旧日時は、車線監視制御装置2に故障予兆情報を受信した後、係員等により、故障の予兆がある車両検知器に対して対処を行った日時が表示されるようにして良い。
【0074】
また、状態は、車両検知器Sのセンサに異常が発生したことを示してよい。さらに、解析結果は、上述した車両検知器S1または車両検知器S4のセンサaまたはセンサbのいずれに故障の予兆があるかの解析結果を表示しても良い。
【0075】
(第1の実施形態の作用効果)
第1の実施形態によれば、車線サーバ10または路側装置1が車両検知器の故障の予兆を特定し、予兆に従って交換のための機器を準備することが可能になる。また、交通への影響の少ない時間に機器を交換することにより、レーンの運用停止を最小限にすることが可能になる。
【0076】
[第1の実施形態の変形例]
次に、第1の実施形態の変形例について、説明する。
【0077】
第1の実施形態の変形例は、路側装置1の車線サーバ10が車両検知器の故障の予兆を特定に関し、決められた期間に応じて機器が故障の予兆があるかどうかを判定する実施形態である。
【0078】
(構成)
第1の実施形態の変形例における料金収受システム等の構成は、第1の実施形態で説明した料金収受システム等の構成と同じであって良いため、重複した説明を省略する。
【0079】
(動作)
図6は、図1に示される車線サーバ10における車両検知器故障予兆判定手順の一例を示すフローチャートである。
車線サーバ10の制御部111がプログラム記憶部112に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。このフローチャートは、車両が料金所の任意のレーンに進入することで開始する。
【0080】
ステップST201~ステップST202、ステップST204~ステップST207は、図4を参照して説明したステップST101~ステップST102、ステップST104~ステップST107と同じであるため、重複した説明を省略する。
【0081】
ステップST203で、ステップST207の後、車両は、レーンから退出することになるため、車両検知器S4または長尺計214は、車両が退出したことを示す退出信号を車両検知制御部1111に送信する。当該信号を受信した車両検知制御部1111は、車両が退出したと判定する。そして、処理は、ステップST208に進む。すなわち、第1の実施形態の変形例では、車両数のカウントを行わない。
【0082】
ステップST208で、車両検知器故障判定部1112は、所定の期間が経過したかどうかを判定する。車両検知器故障判定部1112は、任意の時刻を起点として所定の期間が経過したかどうかを判定する。例えば、車両検知器故障判定部1112は、後述するステップST210の判定を行った後、所定の期間が経過したかどうかを判定して良い。所定の期間は、変動して良い。例えば、平日は、休日よりも長い期間であっても良い。また、お盆や年末年始など、交通量が多い場合、通常よりも短い期間に設定しても良い。
【0083】
すなわち、第1の実施形態の変形例では、車両検知器故障判定部1112は、決められた期間に応じて機器が故障の予兆があるかどうかを判定する。
【0084】
ステップST209~ステップST212は、図4を参照して説明したステップST109~ステップST112と同じであるため、重複した説明を省略する。
【0085】
(第1の実施形態の変形例の作用効果)
第1の実施形態の変形例によれば、路側装置1の車線サーバ10が車両検知器の故障の予兆を特定し、予兆に従って交換のための機器を準備することが可能になる。所定の期間で故障の予兆があるかどうかを判定することにより、交通量に関わりなく所定の周期で故障の予兆があるかどうかを判定することが可能になる。さらに、交通への影響の少ない時間に機器を交換することにより、レーンの運用停止を最小限にすることが可能になる。
【0086】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、路側装置1の車線サーバ10が、軸数計213の故障の予兆を特定する実施形態である。
【0087】
(構成)
図7は、第1の実施形態における車線サーバ10の構成を示すブロック図である。
制御部111は、軸数検知制御部1114と、軸数計故障判定部1115と、送信制御部1113と、を備える。またデータ記憶部113は、軸数検知回数記憶部1133および車両数記憶部1132を備える。
【0088】
軸数検知制御部1114は、軸数計213の踏板Hで車両の車軸を検知したかどうかを判定する。また、踏板Hが車軸を検知することができた場合、軸数検知制御部1114は、後述する軸数検知回数記憶部1133に記憶された累計軸数検知回数をカウントアップさせる。また、軸数検知制御部1114は、車両がレーンから退出したかどうかを判定して良い。車両検知器S4または長尺計214は、車両が退出した際、退出信号を車両検知制御部1111に送信する。当該退出信号を受信した場合、軸数検知制御部1114は、車両が退出したと判定する。そして、軸数検知制御部1114は、車両がレーンから退出した際、後述する車両数記憶部1132に記憶された車両数をカウントアップさせて良い。
【0089】
軸数計故障判定部1115は、レーンを通過した車両数が所定の数を超えたかどうかを判定して良い。例えば、軸数計故障判定部1115は、車両数記憶部1132に記憶された車両数が所定の数を超えたかどうかを判定して良い。さらに、軸数計故障判定部1115は、軸数計213の各踏板Hに対応付けられた累計軸数検知回数の差が所定の閾値より大きいかどうかを判定して良い。例えば、累計軸数検知回数が所定の閾値より大きいと判定した場合、軸数計故障判定部1115は、軸数計213の踏板Hに故障の予兆があると判定して良い。
【0090】
送信制御部1113は、故障予兆情報を車線監視制御装置2に送信して良い。例えば、軸数計故障判定部1115が軸数計213の踏板Hに故障の予兆があると判定した場合、送信制御部1113は、故障予兆情報を送信して良い。ここで、故障予兆情報は、後述する。
【0091】
軸数検知回数記憶部1133は、軸数計213の踏板H1、H2、H3、H4、それぞれが車両の車軸を検知した回数、すなわち累計軸数検知回数を記憶するために用いられる。また、車両検知回数記憶部1131は、軸数検知回数が更新された際の日時等も記憶して良い。
【0092】
車両数記憶部1132は、車線サーバ10が設置されたレーンを通過した車両数を記憶するために用いられる。また、車両数記憶部1132は、車両数が更新された際の日時等も記憶して良い。
【0093】
(動作)
図8は、軸数計213の踏板H1、H2、H3、H4が車両の車軸を検知する際のイメージを示した図である。
図8に示すように、車両が料金所のレーンに進入してくる(図8の左から右に車両が進む)と、踏板H1、踏板H2、踏板H3、踏板H4の順に車両の車軸を検知することになる。
【0094】
図8の例では、踏板H1、踏板H2、および踏板H4は、車両の車軸を検知したが、踏板H3は、車軸を検知できなかった例を示している。また、車軸は、通常の乗用車であれば2軸あり、トラック等の大型車両であれば2軸以上ある。すなわち、車両がレーンを通過する場合、踏板Hは、2つ以上の車軸を検知することになる。
【0095】
図9は、図1に示される車線サーバ10における軸数計故障予兆判定手順の一例を示すフローチャートである。
車線サーバ10の制御部111がプログラム記憶部112に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。このフローチャートは、車両が料金所の任意のレーンに進入することで開始する。なお、以下の例では簡単化のため、1つの車軸に対しての動作を説明しているが、2つ以上の車軸に対しても同様に動作することができるのは勿論である。
【0096】
ステップST301で、軸数検知制御部1114は、踏板H1で車軸を検知したかどうかを判定する。踏板H1で車軸が検知されると、軸数検知制御部1114に軸数計213から踏板H1で車軸を検知したことを示す軸数検知情報を受信する。軸数計213からH1の軸数検知情報を受信した場合、軸数検知制御部1114は、踏板H1が車軸を検知したと判定する。すなわち、軸数検知制御部1114は、踏板H1から検知情報を取得したかどうかを判定する。そして、処理は、ステップST302に進む。一方、例えば、車両検知器S1が車両を検知したにもかかわらず、踏板H1から軸数検知情報を受信しない場合、軸数検知制御部1114は、踏板H1が車軸を検知できていないと判定する。この場合、処理は、ステップST303に進む。
【0097】
ステップST302で、軸数検知制御部1114は、累計軸数検知回数をカウントアップする。軸数検知制御部1114は、軸数検知回数記憶部1133に記憶された、踏板H1についての累計軸数検知回数を取得し、当該回数を1だけカウントアップさせる。すなわち、軸数検知制御部1114は、累計軸数検知回数を更新する。そして、軸数検知制御部1114は、カウントアップされた累計軸数検知回数を軸数検知回数記憶部1133に記憶させる。そして、処理は、ステップST303に進む。
【0098】
ステップST303で、軸数検知制御部1114は、車両が料金所から退出したかどうかを判定する。軸数検知制御部1114は、車両検知器S4から車両が退出したことを示す退出信号を受信したかどうかを判定する。ステップST302の後では、車両検知器S4または長尺計214から退出信号を受信していないので、処理は、最初に戻る。
【0099】
次に、車両が前進し、踏板H2で車両を検知する。
ステップST304で、軸数検知制御部1114は、踏板H2で車軸を検知したかどうかを判定する。ステップST301と同様に軸数検知制御部1114は、踏板H2が車軸を検知したかどうかを判定する。
【0100】
ステップST305で、軸数検知制御部1114は、累計軸数検知回数をカウントアップする。軸数検知制御部1114は、軸数検知回数記憶部1133に記憶された、踏板H2についての累計軸数検知回数を取得し、当該回数を1だけカウントアップさせる。そして、軸数検知制御部1114は、カウントアップされた累計軸数検知回数を軸数検知回数記憶部1133に記憶させる。そして、処理は、ステップST303に進む。
【0101】
再度ステップST303で、軸数検知制御部1114は、車両が料金所から退出したかどうかを判定する。ステップST305の後では、車両検知器S4または長尺計214から退出信号を受信していないので、処理は、最初に戻る。
【0102】
ステップST306で、軸数検知制御部1114は、踏板H3で車軸を検知したかどうかを判定する。ステップST301と同様に軸数検知制御部1114は、踏板H3が車軸を検知したかどうかを判定する。
【0103】
ステップST307で、軸数検知制御部1114は、累計軸数検知回数をカウントアップする。軸数検知制御部1114は、軸数検知回数記憶部1133に記憶された、踏板H3についての累計軸数検知回数を取得し、当該回数を1だけカウントアップさせる。そして、軸数検知制御部1114は、カウントアップされた累計軸数検知回数を軸数検知回数記憶部1133に記憶させる。そして、処理は、ステップST303に進む。
【0104】
再度ステップST303で、軸数検知制御部1114は、車両が料金所から退出したかどうかを判定する。ステップST307の後では、車両検知器S4または長尺計214から退出信号を受信していないので、処理は、最初に戻る。
【0105】
ステップST308で、軸数検知制御部1114は、踏板H4で車軸を検知したかどうかを判定する。ステップST301と同様に軸数検知制御部1114は、踏板H4が車軸を検知したかどうかを判定する。
【0106】
ステップST309で、軸数検知制御部1114は、累計軸数検知回数をカウントアップする。軸数検知制御部1114は、軸数検知回数記憶部1133に記憶された、踏板H4についての累計軸数検知回数を取得し、当該回数を1だけカウントアップさせる。そして、軸数検知制御部1114は、カウントアップされた累計軸数検知回数を軸数検知回数記憶部1133に記憶させる。そして、処理は、ステップST303に進む。
【0107】
再度ステップST303で、軸数検知制御部1114は、車両が料金所から退出したかどうかを判定する。
【0108】
ステップST309の後、車両は、レーンから退出することになるため、車両検知器S4または長尺計214は、車両が退出したことを示す退出信号を軸数検知制御部1114に送信する。当該退出信号を受信した軸数検知制御部1114は、車両が退出したと判定する。そして、軸数検知制御部1114は、データ記憶部113の車両数記憶部1132に記憶された車両数を1だけカウントアップさせ、カウントアップさせた車両数を車両数記憶部1132に記憶させる。そして、処理は、ステップST310に進む。
【0109】
ステップST310で、軸数計故障判定部1115は、車両数が所定の数を超えたかどうかを判定する。軸数計故障判定部1115は、車両数記憶部1132に記憶された車両数を取得し、所定の数を超えて車両がレーンを通過しているかどうかを判定する。車両数が所定の数を超えていないと判定した場合、処理は、最初に戻る。
【0110】
すなわち、次の車両がレーンを通過し終えるまでステップST301~ステップST309を実行する。車両数が所定の数を超えていると判定した場合、処理は、ステップST311に進む。
【0111】
ステップST311で、軸数計故障判定部1115は、軸数検知回数記憶部1133に記憶された踏板H1、H2、H3、H4それぞれに対応する軸数検知回数、すなわち累計軸数検知回数を取得する。また、軸数計故障判定部1115は、車両数記憶部1132に記憶された車両数を0にリセットして良い。
【0112】
ステップST312で、軸数計故障判定部1115は、累計軸数検知回数の差が閾値より大きいかどうかを判定する。軸数計故障判定部1115は、累計軸数検知回数それぞれに対する差を算出する。例えば、踏板H1、H2、H3、H4の累計軸数検知回数の間の差を算出する。
【0113】
そして、軸数計故障判定部1115は、算出した差それぞれについて所定の閾値より大きいかどうかを判定する。例えば、踏板H1の累計軸数検知回数と踏板H3の累計軸数検知回数の差が15であり、所定の閾値が10であった場合、軸数計故障判定部1115は、累計軸数検知回数の差が所定の閾値より大きいと判定する。この場合、処理は、ステップST313に進む。
【0114】
一方、算出した累計車両検知回数の差すべてが所定の閾値より小さい場合、処理は、最初に戻る。
【0115】
ステップST313で、軸数計故障判定部1115は、故障の予兆があると判定する。例えば、上述したように、踏板H1と踏板H3の累計軸数検知回数の差が所定の閾値より大きい場合、軸数計故障判定部1115は、踏板H1または踏板H3に故障の予兆があると判定する。例えば、軸数計故障判定部1115は、差を算出するために使用した累計軸数検知回数のうちの小さい値を持つ踏板Hに対して故障の予兆があると判定して良い。
【0116】
ステップST314で、送信制御部1113は、故障予兆情報を車線監視制御装置2に送信する。軸数計故障判定部1115は、故障の予兆があると判定された踏板Hについての情報、判定した日時(すなわち発生日時)、車線サーバ10が設置されている料金所のレーンについての情報、および累計軸数検知回数を含む故障予兆情報を生成し、送信制御部1113に出力する。送信制御部1113は、車線監視制御装置インタフェース114を通じて、車線監視制御装置2に当該故障予兆情報を送信する。車線監視制御装置2の制御部は、受信した故障予兆情報をモニタ等に出力して良い。
【0117】
フローは、終了に進む指示を受信した際、終了して良い。例えば、故障予兆情報を見た係員等が終了に進む指示を車線サーバ10に入力して良い。
【0118】
(第2の実施形態の作用効果)
第2の実施形態によれば、車線サーバ10または路側装置1が軸数計213の故障の予兆を特定し、予兆に従って交換のための機器を準備することが可能になる。また、交通への影響の少ない時間に機器を交換することにより、レーンの運用停止を最小限にすることが可能になる。
【0119】
[第2の実施形態の変形例]
次に第2の実施形態の変形例について説明する。第2の実施形態の変形例では、軸数計故障判定部1115は、決められた期間に応じて機器に故障の予兆があるかどうかを判定する実施形態である。
【0120】
(構成)
第2の実施形態の変形例における料金収受システム等の構成は、第2の実施形態で説明した料金収受システム等の構成と同じであって良いため、重複した説明を省略する。
【0121】
(動作)
図10は、図1に示される車線サーバ10における軸数計故障予兆判定手順の一例を示すフローチャートである。
車線サーバ10の制御部111がプログラム記憶部112に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。このフローチャートは、車両が料金所の任意のレーンに進入することで開始する。
【0122】
ステップST401~ステップST402、ステップST404~ステップST409は、図9を参照して説明したステップST301~ステップST302、ステップST304~ステップST309と同じであるため、重複した説明を省略する。
【0123】
ステップST403で、ステップST409の後、車両は、レーンから退出することになるため、車両検知器S4または長尺計214は、車両が退出したことを示す退出信号を軸数検知制御部1114に送信する。当該信号を受信した軸数検知制御部1114は、車両が退出したと判定する。そして、処理は、ステップST410に進む。すなわち、第1の実施形態の変形例と同様に、第2の実施形態の変形例では、車両数のカウントを行わない。
【0124】
ステップST410で、軸数計故障判定部1115は、所定の期間が経過したかどうかを判定する。軸数計故障判定部1115は、任意の時間を起点として所定の期間が経過したかどうかを判定する。例えば、軸数計故障判定部1115は、後述するステップST412の判定を行った後、所定の期間が経過したかどうかを判定して良い。所定の期間は、変動して良い。例えば、平日は、休日よりも長い期間であっても良い。また、お盆や年末年始など、交通量が多い場合、通常よりも短い期間に設定しても良い。
【0125】
すなわち、第2の実施形態の変形例では、軸数計故障判定部1115は、決められた期間に応じて機器に故障の予兆があるかどうかを判定する。
【0126】
ステップST411~ステップST414は、図9を参照して説明したステップST311~ステップST314と同じであるため、重複した説明を省略する。
【0127】
(第2の実施形態の変形例の作用効果)
第2の実施形態の変形例によれば、車線サーバ10または路側装置1が軸数計213の故障の予兆を特定し、予兆に従って交換のための機器を準備することが可能になる。所定の期間で故障の予兆があるかどうかを判定することにより、交通量に関わりなく所定の周期で故障の予兆があるかどうかを判定することが可能になる。さらに、交通への影響の少ない時間に機器を交換するにより、レーンの運用停止を最小限にすることが可能になる。
【0128】
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0129】
例えば、上述した実施形態では、車線サーバ10または路側装置1が各動作を実行することが可能であると説明したが、料金所サーバ3または料金中央サーバ4が各動作を実行しても良い。すなわち、車線サーバ10は、車両検知器Sまたは軸数計213からの検知情報を料金所サーバ3または料金中央サーバ4に送信し、これらの検知情報に基づいて料金所サーバ3または料金中央サーバ4が各動作を実行しても良い。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0131】
1…路側装置
2…車線監視制御装置
3…料金所サーバ
4…料金中央サーバ
10…車線サーバ
111…制御部
1111…車両検知制御部
1112…車両検知器故障判定部
1113…送信制御部
1114…軸数検知制御部
1115…軸数計故障判定部
112…プログラム記憶部
113…データ記憶部
1131…車両検知回数記憶部
1132…車両数記憶部
1133…軸数検知回数記憶部
114…車線監視制御装置インタフェース
115…車両検知インタフェース
20…インタフェース集約部
201…発進制御機
202…ETC車線表示板
203…ブース内表示器
204…路側表示器
205…ナンバープレート読取装置・車種判別装置・走行車両重量測定装置
206…第1のアンテナ
207…第2のアンテナ
208…リカバリアンテナ
209…簡易操作盤
210…遠隔遮断機
211…料金収受機
212…ICカードR/W
213…軸数計
214…長尺計
215…車高計
216…軸重計
217…軸数計
30…保守用端末
H…踏板
S…車両検知器、簡易車両検知器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10