(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004932
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】接着ペースト、接着ペーストの使用方法、および発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09J 183/04 20060101AFI20240110BHJP
C08G 77/14 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C09J183/04
C08G77/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104841
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 学
【テーマコード(参考)】
4J040
4J246
【Fターム(参考)】
4J040EK031
4J040EK051
4J040HA066
4J040HA116
4J040HA196
4J040HA306
4J040HA356
4J040JA05
4J040JB02
4J040KA23
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4J040LA07
4J040LA10
4J040MA02
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4J040MB12
4J040NA19
4J040PA24
4J040PA30
4J246AA03
4J246AB15
4J246BA12X
4J246BB022
4J246BB02X
4J246CA24X
4J246FA071
4J246FA081
4J246FA131
4J246FA381
4J246FA421
4J246FB051
4J246FB211
4J246GA01
4J246GA02
4J246GC37
4J246HA32
(57)【要約】
【課題】 光照射された後に被着体の接着位置が移動することを抑制できる接着ペーストを提供する。
【解決手段】 硬化性オルガノポリシロキサン化合物を含有する接着ペーストであって、前記接着ペーストを熱硬化して得られる硬化物は、紫外線を100時間照射した後に、窒化アルミニウム板に対して室温で25N/3.5mm□以上である接着強度を有する、接着ペースト。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性オルガノポリシロキサン化合物を含有する接着ペーストであって、
前記接着ペーストを熱硬化して得られる硬化物は、紫外線を100時間照射した後に、窒化アルミニウム板に対して室温で25N/3.5mm□以上である接着強度を有する、接着ペースト。
【請求項2】
前記硬化性オルガノポリシロキサン化合物が、ポリシルセスキオキサン化合物である、請求項1に記載の接着ペースト。
【請求項3】
前記硬化物に紫外線を照射する前の前記硬化物の窒化アルミニウム板に対する接着強度が室温で25N/3.5mm□以上である、請求項1に記載の接着ペースト。
【請求項4】
前記硬化物に紫外線を照射する前の前記硬化物の接着強度、および前記硬化物に紫外線を100時間照射した後の前記硬化物の接着強度から、下記式により算出される接着強度維持率が70%以上である、請求項1に記載の接着ペースト。
維持率[%]=(紫外線照射後の接着強度)/(紫外線照射前の接着強度)×100
【請求項5】
貴金属触媒を実質的に含有しない、請求項1に記載の接着ペースト。
【請求項6】
発光装置の固定材用接着剤である、請求項1に記載の接着ペースト。
【請求項7】
請求項1に記載の接着ペーストを基板またはキャップに塗布することと、
前記接着ペーストを熱硬化させることと、を含み、
前記塗布することは、前記接着ペーストをドット状に塗布することを含む、接着ペーストの使用方法。
【請求項8】
発光体が配置された基板を準備することと、
前記基板またはキャップに請求項1に記載の接着ペーストを塗布することと、
前記発光体を覆うように、前記基板、前記接着ペースト、および前記キャップをこの順に配置することと、
前記接着ペーストを熱硬化させることと、
を含む、発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着ペースト、接着ペーストの使用方法、および発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性組成物は、用途に応じて様々な改良がなされ、光学部品や成形体の原料、接着剤、コーティング剤等として広く利用されている。また、硬化性組成物は、光、例えば、紫外線にさらされる箇所の固定材として使用されており、例えば、発光装置の固定材用接着剤や発光装置の固定材用封止材等の固定材用組成物(以下、「接着ペースト」ということがある)として注目されている。
【0003】
近年、発光装置としては、高輝度発光のものが実現されており、このような発光装置に、接着ペーストが適用されると、それの硬化物が発光装置の発光体から発生する高温の熱に長時間さらされ、接着力が低下することがあった。そこで、特許文献1は、光素子固定材として利用可能で、接着強度に優れる硬化性組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、光にさらされる箇所で使用される接着ペーストにおいては、耐熱性が改善された場合であっても、接着ペーストの硬化物を含む装置の使用時間に伴い、硬化物による接着位置が初期の接着位置からわずかに移動する、またはわずかにズレることがあった。
【0006】
本発明の目的は、光照射された後に被着体の接着位置が移動することを抑制できる接着ペーストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
硬化性オルガノポリシロキサン化合物を含有する接着ペーストであって、
前記接着ペーストを熱硬化して得られる硬化物は、紫外線を100時間照射した後に、窒化アルミニウム板に対して室温で25N/3.5mm□以上である接着強度を有する、接着ペースト、が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光照射された後に被着体の接着位置が移動することを抑制できる接着ペーストを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る接着ペーストを基板に塗布した状態を示す図。
【
図3】本実施形態に係る接着ペーストを使用した発光装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<本実施形態に係る接着ペースト>
本実施形態に係る接着ペーストは、硬化性オルガノポリシロキサン化合物を含有するものである。さらに、接着ペーストは、それを熱硬化して得られる硬化物が、紫外線を100時間照射した後に、窒化アルミニウム板に対して室温で25N/3.5mm□以上である接着強度を有するものである。この接着ペーストから得られた硬化物は、所望の接着強度を有するとともに、耐光性(光照射されても接着強度の低下が抑制されること)を有するので、光にさらされる箇所で長時間使用されても、接着力の低下が抑制され、被着体の接着位置の移動が抑制され得る。
【0012】
本発明において、「接着ペースト」とは、「室温において、粘稠な液体であって、流動性を有する状態のもの」をいう。ここで、室温は23℃をいう。接着ペーストは、この状態の性質を有しているため、塗布工程における作業性に優れる。ここで、「塗布工程における作業性に優れる」とは、「塗布工程において、接着ペーストを吐出管から吐出し、次いで吐出管を引き上げる際、糸引き量が少ないか、または塗布後に液滴が過剰に広がることにより、周囲を汚染したりすることがないこと」をいう。
【0013】
(接着強度)
紫外線照射後の接着強度
接着ペーストの硬化物の接着力の低下は、高温の熱にさらされることによることに加え、硬化物が、光、特に深紫外光にさらされて光劣化することにより生じることを本発明者らは見出した。そこで、一実施形態に係る接着ペーストは、熱硬化して得られる硬化物が、紫外線を100時間照射した後に、窒化アルミニウム板に対して室温で25N/3.5mm□以上である接着強度を有するものである。
【0014】
接着ペーストを熱硬化して得られる硬化物に紫外線を100時間照射した後の接着強度は、一実施形態において、25N/3.5mm□以上、別の実施形態において、30N/3.5mm□以上、さらに別の実施形態において、40N/3.5mm□以上、さらに別の実施形態において、45N/3.5mm□以上とすることができる。これにより、接着ペーストが光にさらされる箇所または装置、例えば発光装置で使用されて、その装置の接着部位が長時間光にさらされても、装置の接着部位の位置の移動(位置ズレ)が抑制され得る。
【0015】
一方、接着ペーストを熱硬化して得られる硬化物に紫外線を100時間照射した後の接着強度の上限値は、特に限定されるものでないが、一実施形態において、80N/3.5mm□以下、別の実施形態において、70N/3.5mm□以下、さらに別の実施形態において、65N/3.5mm□以下、さらに別の実施形態において、60N/3.5mm□以下とすることができる。これにより、接着されたものの信頼性が高くなりやすい。接着ペーストを熱硬化して得られる硬化物に紫外線を100時間照射した後の接着強度の範囲は、一実施形態において、25から80N/3.5mm□、別の実施形態において、30から70N/3.5mm□、さらに別の実施形態において、40から65N/3.5mm□、さらに別の実施形態において、45から60N/3.5mm□とすることができる。
【0016】
紫外線照射前の接着強度(初期接着強度)
接着ペーストを熱硬化して得られる硬化物に紫外線を照射する前の接着強度は、一実施形態において、25N/3.5mm□以上、別の実施形態において、40N/3.5mm□以上、さらに別の実施形態において、50N/3.5mm□以上、さらに別の実施形態において、60N/3.5mm□以上とすることができ、一実施形態において、100N/3.5mm□以下、別の実施形態において、90N/3.5mm□以下、さらに別の実施形態において、80N/3.5mm□以下、さらに別の実施形態において、70N/3.5mm□以下とすることができる。接着ペーストを熱硬化して得られる硬化物に紫外線を時間する前の接着強度の範囲の範囲は、一実施形態において、25から100N/3.5mm□、別の実施形態において、40から90N/3.5mm□、さらに別の実施形態において、50から80N/3.5mm□、さらに別の実施形態において、60から70N/3.5mm□とすることができる。これにより、光にさらされる装置、例えば発光装置(LEDパッケージ、UVC-LEDパッケージ)が完成した後、その装置を装置基板に取り付ける実装の際、発光装置のキャップの位置ズレおよび剥がれを防止できる。
【0017】
接着ペーストを熱硬化して得られる硬化物の紫外線照射前の接着強度は、例えば、次のようにして確認することができる。接着ペーストを被着体である窒化アルミニウム板に塗布し、一辺の長さが3.5mmの正方形試験片である無色透明な石英ガラスを、塗布面の上に載せ圧着し、熱接着ペーストを硬化させて試験片付被着体を得る。これを、室温(23℃)のボンドテスターの測定ステージ上に放置し、接着面に対し水平方向(せん断方向)に応力をかけ、試験片と被着体との接着強度(N/3.5mm□)を測定することができる。また、接着ペーストを熱硬化して得られる硬化物の紫外線照射後の接着強度は、上記と同様の試験片付被着体に紫外線を100時間照射後に、紫外線照射前の接着強度と同様に試験片と被着体との接着強度を測定することで得られる。また、「3.5mm□」とは、「3.5mm square」、すなわち、「3.5mm×3.5mm(一辺の長さが3.5mmの正方形)」を意味する。より具体的な接着強度の測定方法については、実施例において説明する。
【0018】
維持率[%]
本実施形態に係る接着ペーストは、接着強度の維持率[%]が70%以上となるものとすることができる。接着強度の維持率[%]は、上記の接着ペーストを熱硬化して得られる硬化物に紫外線を照射する前の接着強度、および接着ペーストを熱硬化して得られる硬化物に紫外線を100時間照射した後の接着強度から、下記式により算出される。
維持率[%]=(紫外線照射後の接着強度)/(紫外線照射前の接着強度)×100
【0019】
接着強度の維持率[%]は、一実施形態において、70%以上、別の実施形態において、75%以上、さらに別の実施形態において、80%以上とすることができ、一実施形態において、100%以下、別の実施形態において、95%以下、さらに別の実施形態において、90%以下とすることができる。接着強度の維持率[%]の範囲は、一実施形態において、70%以上100%以下、別の実施形態において、75%以上95%以下、さらに別の実施形態において、80%以上90%以下とすることができる。これにより、接着ペーストが、光にさらされる装置、例えば発光装置(UV-LEDパッケージ、UVC-LEDパッケージ)用として安定して使用され得る。
【0020】
(硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A))
本実施形態に係る接着ペーストは、硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)(以下、「(A)成分」ということがある。)を含有する。接着ペーストは、(A)成分を含有することにより、高温(例えば170℃)で加熱することにより接着性に優れる硬化物が得られ易くなる。
【0021】
硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)は、分子内に、炭素-ケイ素結合とシロキサン結合(-Si-O-Si-)を有する化合物である。優れた接着性の性能を発現し易い接着ペーストを得られ易い観点から、一実施形態において、(A)成分は、25℃において固体である。また、(A)成分は、熱硬化性の化合物であるため、加熱により、縮合反応が可能な官能基、および加水分解を経て縮合反応が可能な官能基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有することができる。このような官能基は、水酸基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一種とすることができ、例えば、水酸基、炭素数1から10のアルコキシ基とすることができる。
【0022】
硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の主鎖構造に制限はなく、直鎖状、ラダー状、籠状のいずれであってもよい。例えば、直鎖状の主鎖構造としては下記式(a-1)で表される構造が、ラダー状の主鎖構造としては下記式(a-2)で表される構造が、籠状の主鎖構造としては下記式(a-3)で表される構造が、それぞれ挙げられる。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
式(a-1)から(a-3)中、Rx、Ry、およびRzは、それぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、有機基としては、無置換もしくは置換基を有するアルキル基、無置換もしくは置換基を有するシクロアルキル基、無置換もしくは置換基を有するアルケニル基、無置換もしくは置換基を有するアリール基、またはアルキルシリル基とすることができる。式(a-1)の複数のRx、式(a-2)の複数のRy、および式(a-3)の複数のRzは、それぞれ同一でも相異なっていてもよい。ただし、前記式(a-1)のRxが2つとも水素原子であることはない。
【0027】
前記無置換もしくは置換基を有するアルキル基のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等の炭素数1から10のアルキル基が挙げられる。
【0028】
無置換もしくは置換基を有するシクロアルキル基のシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基等の炭素数3から10のシクロアルキル基が挙げられる。
【0029】
無置換もしくは置換基を有するアルケニル基のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基等の炭素数2から10のアルケニル基が挙げられる。
【0030】
前記アルキル基、シクロアルキル基およびアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4-メチルフェニル基、4-クロロフェニル基等の無置換もしくは置換基を有するアリール基;等が挙げられる。
【0031】
無置換または置換基を有するアリール基のアリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の炭素数6から10のアリール基が挙げられる。
【0032】
前記アリール基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1から6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1から6のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4-メチルフェニル基、4-クロロフェニル基等の無置換もしくは置換基を有するアリール基;等が挙げられる。
【0033】
アルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリt-ブチルシリル基、メチルジエチルシリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、メチルシリル基、エチルシリル基等が挙げられる。
【0034】
これらの中でも、Rx、Ry、およびRzは、水素原子、無置換もしくは置換基を有する炭素数1から6のアルキル基、またはフェニル基とすることができ、無置換もしくは置換基を有する炭素数1から6のアルキル基が例示される。
【0035】
また、別の実施形態において、Rx、Ry、およびRzがすべてフッ素原子を有さない基である硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)を用いることができ、さらに別の実施形態において、フッ素原子を有さない硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)を用いることができる。
【0036】
硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)は、例えば、加水分解性官能基(アルコキシ基、ハロゲン原子等)を有するシラン化合物を重縮合する、公知の製造方法により得ることができる。
【0037】
用いるシラン化合物は、目的とする硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の構造に応じて適宜選択すればよい。例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等の2官能シラン化合物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルジエトキシメトキシシラン等の3官能シラン化合物;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn-ブトキシシラン、テトラt-ブトキシシラン、テトラs-ブトキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリメトキシエトキシシラン等の4官能シラン化合物;等が挙げられる。
【0038】
硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の質量平均分子量(Mw)は、一実施形態において、800以上、別の実施形態において、1,000以上、さらに別の実施形態において、1,200以上、さらに別の実施形態において、3,000以上とすることができ、一実施形態において、30,000以下、別の実施形態において、20,000以下、さらに別の実施形態において、15,000以下、さらに別の実施形態において、10,000以下とすることができる。また、硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の質量平均分子量(Mw)の範囲は、一実施形態において、800以上30,000以下、別の実施形態において、1,000以上20,000以下、さらに別の実施形態において、1,200以上15,000以下、さらに別の実施形態において、3,000以上10,000以下とすることができる。質量平均分子量(Mw)が上記範囲内にある硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)を用いることにより、耐光性、耐熱性、および接着性が優れる硬化物を与える接着ペーストが得られ易くなる。
【0039】
硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の分子量分布(Mw/Mn)は特に制限されないが、一実施形態において、1.0以上、別の実施形態において、1.1以上とすることができ、一実施形態において、10.0以下、別の実施形態において、6.0以下とすることができる。また、硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の分子量分布(Mw/Mn)の範囲は、一実施形態において、1.0以上10.0以下、別の実施形態において、1.1以上6.0以下とすることができる。分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内にある硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)を用いることにより、耐光性、耐熱性、および接着性により優れる硬化物を与える接着ペーストが得られ易くなる。
【0040】
硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
【0041】
ポリシルセスキオキサン化合物
一実施形態において、硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)は、3官能オルガノシラン化合物を重縮合して得られる、ポリシルセスキオキサン化合物とすることができる。接着ペーストが、(A)成分として、ポリシルセスキオキサン化合物を含有することにより、高温で加熱して耐光性および接着性に優れる硬化物が得られ易くなる。
【0042】
ポリシルセスキオキサン化合物は、下記式(a-4)で示される繰り返し単位を有する化合物とすることができる。接着ペーストが、(A)成分として、下記式(a-4)で示される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサン化合物を含有することにより、高温で加熱して耐光性および接着性により優れる硬化物がより得られ易くなる。
【0043】
【0044】
式(a-4)中、R1は有機基を表す。有機基は、無置換のアルキル基、置換基を有するアルキル基、無置換のシクロアルキル基、置換基を有するシクロアルキル基、無置換のアルケニル基、置換基を有するアルケニル基、無置換のアリール基、置換基を有するアリール基、および、アルキルシリル基からなる群から選ばれることができ、例えば、無置換の炭素数1から10のアルキル基、置換基を有する炭素数1から10のアルキル基、無置換の炭素数6から12のアリール基、および、置換基を有する炭素数6から12のアリール基からなる群から選ばれることができる。
【0045】
「無置換の炭素数1から10のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。R1で表される「無置換の炭素数1から10のアルキル基」の炭素数は、一実施形態において1から6、別に実施形態において1から3とすることができる。
【0046】
R1で表される「置換基を有する炭素数1から10のアルキル基」の炭素数は、一実施形態において1から6、別に実施形態において1から3とすることができる。なお、この炭素数は、置換基を除いた部分(アルキル基の部分)の炭素数を意味するものである。したがって、R1が「置換基を有する炭素数1から10のアルキル基」である場合、R1の炭素数は10を超える場合もあり得る。「置換基を有する炭素数1から10のアルキル基」のアルキル基としては、「無置換の炭素数1から10のアルキル基」として示したものと同様のものが挙げられる。
【0047】
「置換基を有する炭素数1から10のアルキル基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;式:OGで表される基;等が挙げられる。「置換基を有する炭素数1から10のアルキル基」の置換基の原子の数(ただし水素原子の数を除く)は、一実施形態において1から30、別実施形態において1から20とすることができる。ここで、Gは水酸基の保護基を表す。水酸基の保護基としては、特に制約はなく、水酸基の保護基として知られている公知の保護基が挙げられる。例えば、アシル系;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等のシリル系;メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、1-エトキシエチル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、テトラヒドロフラン-2-イル基等のアセタール系;t-ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル系;メチル基、エチル基、t-ブチル基、オクチル基、アリル基、トリフェニルメチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、フルオレニル基、トリチル基、ベンズヒドリル基等のエーテル系;等が挙げられる。
【0048】
「無置換の炭素数6から12のアリール基」としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。R1で表される「無置換の炭素数6から12のアリール基」の炭素数は6とすることができる。
【0049】
R1で表される「置換基を有する炭素数6から12のアリール基」の炭素数は6とすることができる。なお、この炭素数は、置換基を除いた部分(アリール基の部分)の炭素数を意味するものである。したがって、R1が「置換基を有する炭素数6から12のアリール基」である場合、R1の炭素数は12を超える場合もあり得る。「置換基を有する炭素数6から12のアリール基」のアリール基としては、「無置換の炭素数6から12のアリール基」として示したものと同様のものが挙げられる。
【0050】
「置換基を有する炭素数6から12のアリール基」の置換基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。「置換基を有する炭素数6から12のアリール基」の置換基の原子の数(ただし水素原子の数を除く)は、一実施形態において1から30、別の実施形態において1から20とすることができる。
【0051】
これらの中でも、R1は、構造の安定したポリシルセスキオキサン化合物が得られ易く、接着ペーストとしての性能がより安定する観点から、無置換の炭素数1から10のアルキル基、フッ素原子を有する炭素数1から10のアルキル基、および無置換の炭素数6から12のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一種とすることができる。R1が、無置換の炭素数1から10のアルキル基であるポリシルセスキオキサン化合物を用いることにより、耐光性、耐熱性、および接着性に優れる硬化物を与える接着ペーストが得られ易くなる。R1が、フッ素原子を有する炭素数1から10のアルキル基であるポリシルセスキオキサン化合物を用いることにより、屈折率が低い接着ペーストや硬化物が得られ易くなり、屈折率が低いことが要望される装置に用いられ易くなる。フッ素原子を有する炭素数1から10のアルキル基としては、組成式:CmH(2m-n+1)Fnで表される基(mは1から10の整数、nは1以上、(2m+1)以下の整数である。)が挙げられる。これらの中では、3,3,3-トリフルオロプロピル基が例示される。
【0052】
ポリシルセスキオキサン化合物中の前記式(a-4)で示される繰り返し単位(すなわち、後述のTサイト)の含有割合は、全繰り返し単位に対して、一実施形態において50mol%以上、別の実施形態において70mol%以上、さらに別の実施形態において90mol%以上とすることができる。また、ポリシルセスキオキサン化合物中の前記式(a-4)で示される繰り返し単位(すなわち、後述のTサイト)の含有割合の範囲は、全繰り返し単位に対して、一実施形態において、50から100mol%、別の実施形態において、70から100mol%、さらに別の実施形態において、90から100mol%とすることができる。一例として、ポリシルセスキオキサン化合物中の前記式(a-4)で示される繰り返し単位(すなわち、後述のTサイト)の含有割合は100mol%とすることができる。前記式(a-4)で示される繰り返し単位(Tサイト)の含有割合が、上記割合であるポリシルセスキオキサン化合物を用いることで、耐光性、耐熱性、接着性、および屈折率の性能を発現し易い接着ペーストを得ることができる。ポリシルセスキオキサン化合物中の前記式(a-4)で示される繰り返し単位(Tサイト)の含有割合は、例えば、NMRピークの帰属および面積の積分が可能である場合には、29Si-NMRおよび1H-NMRを測定することにより求めることができる。
【0053】
ポリシルセスキオキサン化合物は、アセトン等のケトン系溶媒;ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルスルホキシド等の含硫黄系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;クロロホルム等の含ハロゲン系溶媒;及びこれらの二種以上からなる混合溶媒;等の各種有機溶媒に可溶である。そのため、これらの溶媒を用いて、ポリシルセスキオキサン化合物の溶液状態での29Si-NMRおよび1H-NMRを測定することができる。
【0054】
前記式(a-4)で示される繰り返し単位は、下記式(a-5)で示されるものとすることができる。
【0055】
【0056】
式(a-5)で示されるように、ポリシルセスキオキサン化合物は、一般にTサイトと総称される、ケイ素原子に酸素原子が3つ結合し、それ以外の基(R1)が1つ結合してなる部分構造を有する。
【0057】
式(a-5)中、R1は、前記式(a-4)におけるR1と同じ意味を表す。*は、Si原子、水素原子、または炭素数1から10のアルキル基を表し、3つの*のうち少なくとも1つはSi原子である。*の炭素数1から10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。複数の*同士は、すべて同一であっても相異なっていてもよい。
【0058】
また、ポリシルセスキオキサン化合物は、熱硬化性の化合物であり、加熱により、縮合反応および/または加水分解を経て縮合反応が可能な化合物である。そのため、ポリシルセスキオキサン化合物が有する複数の繰り返し単位(Tサイト)の前記式(a-5)中の*のうち、少なくとも1つは、水素原子または炭素数1から10のアルキル基とすることができ、一例として水素原子とすることができる。
【0059】
なお、ポリシルセスキオキサン化合物が測定用の溶媒に可溶である場合には、29Si-NMRを測定することにより、前記式(a-5)中の*における水素原子または炭素数1から10のアルキル基の存在や、前記式(a-5)中の3つの*が全てSi原子である繰り返し単位であるかを確認することができる。さらに、29Si-NMRのピークの帰属および面積の積分が可能である場合には、ポリシルセスキオキサン化合物中の前記式(a-4)で示される繰り返し単位(Tサイト)の総数に対する、前記式(a-5)中の3つの*が全てSi原子である繰り返し単位の総数を概算することができる。このポリシルセスキオキサン化合物中の前記式(a-4)で示される繰り返し単位(Tサイト)の総数に対する、前記式(a-5)中の3つの*が全てSi原子である繰り返し単位の総数は、安定した生産性および安定した性能の硬化物を与える接着ペーストが得られ易くなる観点から、一実施形態において30mol%以上、別の実施形態において40mol%以上とすることができ、一実施形態において95mol%以下、別の実施形態において90mol%以下とすることができる。ポリシルセスキオキサン化合物中の前記式(a-4)で示される繰り返し単位(Tサイト)の総数に対する、前記式(a-5)中の3つの*が全てSi原子である繰り返し単位の総数の範囲は、一実施形態において30から95mol%、別の実施形態において40から90mol%とすることができる。
【0060】
ポリシルセスキオキサン化合物は、一種のR1を有するもの(単独重合体)であってもよく、二種以上のR1を有するもの(共重合体)であってもよい。
【0061】
また、別の実施形態において、R1がすべてフッ素原子を有さない基であるポリシルセスキオキサン化合物であってもよく、さらに別の実施形態において、フッ素原子を有さないポリシルセスキオキサン化合物であってもよい。
【0062】
ポリシルセスキオキサン化合物が共重合体である場合、ポリシルセスキオキサン化合物は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体等のいずれであってもよいが、製造容易性等の観点から、ランダム共重合体とすることができる。また、ポリシルセスキオキサン化合物の構造は、ラダー型構造、ダブルデッカー型構造、籠型構造、部分開裂籠型構造、環状型構造、ランダム型構造のいずれの構造であってもよい。
【0063】
ポリシルセスキオキサン化合物は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
ポリシルセスキオキサン化合物の製造方法は特に限定されない。例えば、下記式(a-6)
【0065】
【0066】
(式中、R1は、前記式(a-4)におけるR1と同じ意味を表す。R2は炭素数1から10のアルキル基を表し、X1はハロゲン原子を表し、pは0から3の整数を表す。複数のR2、および複数のX1は、それぞれ、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。)で示されるシラン化合物(1)の少なくとも一種を重縮合させることにより、ポリシルセスキオキサン化合物を製造することができる。R2の炭素数1から10のアルキル基としては、前記式(a-5)中の*の炭素数1から10のアルキル基として示したものと同様のものが挙げられる。X1のハロゲン原子としては、塩素原子、および臭素原子等が挙げられる。
【0067】
シラン化合物(1)の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン化合物類;メチルクロロジメトキシシラン、メチルクロロジエトキシシラン、メチルジクロロメトキシシラン、メチルブロモジメトキシシラン、エチルクロロジメトキシシラン、エチルクロロジエトキシシラン、エチルジクロロメトキシシラン、エチルブロモジメトキシシラン等のアルキルハロゲノアルコキシシラン化合物類;メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリブロモシラン等のアルキルトリハロゲノシラン化合物類;3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、2-シアノエチルトリメトキシシラン、2-シアノエチルトリエトキシシラン等の置換アルキルトリアルコキシシラン化合物類;3,3,3-トリフルオロプロピルクロロジメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルクロロジエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルジクロロメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルジクロロエトキシシラン、2-シアノエチルクロロジメトキシシラン、2-シアノエチルクロロジエトキシシラン、2-シアノエチルジクロロメトキシシラン、2-シアノエチルジクロロエトキシシラン等の置換アルキルハロゲノアルコキシシラン化合物類;3,3,3-トリフルオロプロピルトリクロロシラン、2-シアノエチルトリクロロシラン等の置換アルキルトリハロゲノシラン化合物類;フェニルトリメトキシシラン、4-メトキシフェニルトリメトキシシラン等の、置換基を有する、または置換基を有さないフェニルトリアルコキシシラン化合物類;フェニルクロロジメトキシシラン、フェニルジクロロメトキシシラン、4-メトキシフェニルクロロジメトキシシラン、4-メトキシフェニルジクロロメトキシシラン等の、置換基を有する、または置換基を有さないフェニルハロゲノアルコキシシラン化合物類;フェニルトリクロロシラン、4-メトキシフェニルトリクロロシラン等の、置換基を有する、または置換基を有さないフェニルトリハロゲノシラン化合物類;等が挙げられる。これらのシラン化合物(1)は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
前記シラン化合物(1)を重縮合させる方法は特に限定されない。例えば、溶媒中、または無溶媒で、シラン化合物(1)に、所定量の重縮合触媒を添加し、所定温度で撹拌する方法が挙げられる。具体的には、(a)シラン化合物(1)に、所定量の酸触媒を添加し、所定温度で撹拌する方法、(b)シラン化合物(1)に、所定量の塩基触媒を添加し、所定温度で撹拌する方法、(c)シラン化合物(1)に、所定量の酸触媒を添加し、所定温度で撹拌した後、過剰量の塩基触媒を添加して、反応系を塩基性とし、所定温度で撹拌する方法等が挙げられる。これらの中でも、効率よく目的とするポリシルセスキオキサン化合物を得ることができることから、(a)または(c)の方法で重縮合させることができる。
【0069】
用いる重縮合触媒は、酸触媒および塩基触媒のいずれであってもよい。また、2以上の重縮合触媒を組み合わせて用いてもよく、少なくとも酸触媒を用いることができる。酸触媒としては、リン酸、塩酸、ホウ酸、硫酸、硝酸等の無機酸;クエン酸、酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸;等が挙げられる。これらの中でも、リン酸、塩酸、ホウ酸、硫酸、クエン酸、酢酸、およびメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも一種が用いられ得る。
【0070】
塩基触媒としては、アンモニア水;トリメチルアミン、トリエチルアミン、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、アニリン、ピコリン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、イミダゾール等の有機塩基;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等の有機塩水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシド等の金属アルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸水素塩;等が挙げられる。
【0071】
重縮合触媒の使用量は、シラン化合物(1)の総mol量に対して、一実施形態において0.05mol%以上、別の実施形態において0.1mol%以上とすることができ、一実施形態において10mol%以下、別の実施形態において5mol%以下とすることができる。重縮合触媒の使用量の範囲は、シラン化合物(1)の総mol量に対して、一実施形態において0.05から10mol%、別の実施形態において0.1から5mol%とすることができる。
【0072】
重縮合時に溶媒を用いる場合、用いる溶媒は、シラン化合物(1)の種類等に応じて、適宜選択することができる。例えば、水;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;等が挙げられる。これらの溶媒は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記(c)の方法を採用する場合、酸触媒の存在下、水系で重縮合反応を行った後、反応液に、有機溶媒と塩基触媒(アンモニア水等)を添加し、中性条件または塩基性条件下で、更に重縮合反応を行うようにしてもよい。
【0073】
溶媒の使用量は、シラン化合物(1)の総mol量1mol当たり、一実施形態において0.001リットル以上、別の実施形態において0.01リットル以上とすることができ、一実施形態において10リットル以下、別の実施形態において0.9リットル以下とすることができる。溶媒の使用量の範囲は、シラン化合物(1)の総mol量1mol当たり、一実施形態において0.001リットル以上10リットル以下、別の実施形態において0.01リットル以上0.9リットル以下とすることができる。
【0074】
シラン化合物(1)を重縮合させるときの温度は、通常0℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲、一実施形態において20℃以上、別の実施形態において30℃以上とすることができ、一実施形態において100℃以下、別の実施形態において95℃以下とすることができる。シラン化合物(1)を重縮合させるときの温度の範囲は、一実施形態において20℃以上100℃以下、別の実施形態において30℃以上95℃以下とすることができる。この反応温度の下限以上とすることで重縮合反応の進行が十分となる。一方、この反応温度の上限以下とすることでゲル化が抑制される。また、反応は、30分から30時間で完結する。
【0075】
なお、用いるモノマーの種類によっては、高分子量化が困難な場合がある。例えば、R1がフッ素原子を有するアルキル基であるモノマーは、R1が通常のアルキル基であるモノマーよりも反応性に劣る傾向がある。このような場合、触媒量を減らし、かつ、穏やかな条件で長時間反応を行うことにより、目的の分子量のポリシルセスキオキサン化合物が得られ易くなる。
【0076】
反応終了後は、酸触媒を用いた場合は、反応溶液に炭酸水素ナトリウム等のアルカリ水溶液を添加することにより、塩基触媒を用いた場合は、反応溶液に塩酸等の酸を添加することにより中和を行い、その際に生じる塩をろ別または水洗等により除去し、目的とするポリシルセスキオキサン化合物を得ることができる。
【0077】
上記方法により、ポリシルセスキオキサン化合物を製造する際、シラン化合物(1)のOR2またはX1のうち、加水分解およびその後の縮合反応等が起こらなかった部分は、ポリシルセスキオキサン化合物中に残存する。
【0078】
(A)成分が、例えば、シラン化合物(1)の重縮合反応により得られたポリシルセスキオキサン化合物である場合、後述のシランカップリング剤との反応を含め、硬化は縮合反応で進行するため、本実施形態の接着ペーストは、白金触媒等の貴金属触媒の存在下で付加反応が進行して硬化する一般的な加熱硬化型シリコーン接着剤とは異なるものである。したがって、ポリシルセスキオキサン化合物を含有する接着ペーストは、貴金属触媒を実質的に含有しない、または貴金属触媒の含有量が少ないものである。ここで、「貴金属触媒を実質的に含有しない」とは、「貴金属触媒と解釈され得る成分が意図的に添加されていないことのほか、接着ペースト中の有効成分の量に対して、貴金属触媒の含有量が触媒金属元素の質量換算で、例えば、1質量ppm未満であること」を意味する。なお、ここで、「有効成分」とは、「接着ペースト中に含まれる溶媒(S)(後述)を除いた成分」をいう。接着ペーストは、調合ばらつき等を考慮した安定的な製造の観点、貯蔵安定性の観点、貴金属触媒が高価なものである観点等から、貴金属触媒を実質的に含有しない、または貴金属触媒の含有量が少ないものとすることができる。
【0079】
本実施形態の接着ペーストは、硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)を含有するものであるが、以下に示す成分を含有していてもよい。
【0080】
(シランカップリング剤(B))
本実施形態の接着ペーストは、シランカップリング剤(B)(以下、「(B)成分」ということがある。)を含有していてもよい。シランカップリング剤(B)としては、分子内に窒素原子を有するシランカップリング剤(B1)(以下、「(B1)成分」ということがある。)や分子内に酸無水物構造を有するシランカップリング剤(B2)(以下、「(B2)成分」ということがある。)が挙げられる。接着ペーストは、シランカップリング剤(B1)、または、シランカップリング剤(B2)、または、シランカップリング剤(B1)とシランカップリング剤(B2)の双方を含有することができる。
【0081】
シランカップリング剤(B1)
シランカップリング剤(B1)を含有させることにより、塗布工程における作業性に優れ、かつ、加熱時に、(A)成分と共に縮合反応することによる硬化性に優れ、高温で加熱した場合の耐光性、接着性、および耐熱性により優れる硬化物を与える接着ペーストが得られ易くなり、さらに、接着ペーストを加熱して硬化物を得る際に、温度変化に伴う割れ発生をより抑制できる硬化物を与える接着ペーストが得られ易くなる。
【0082】
シランカップリング剤(B1)としては、分子内に窒素原子を有するシランカップリング剤であれば特に制限はない。例えば、下記式(b-1)で表されるトリアルコキシシラン化合物、式(b-2)で表されるジアルコキシアルキルシラン化合物またはジアルコキシアリールシラン化合物等が挙げられる。
【0083】
【0084】
上記式中、Raは、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基等の炭素数1から6のアルコキシ基を表す。複数のRa同士は同一であっても相異なっていてもよい。Rbは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基等の炭素数1から6のアルキル基;または、フェニル基、4-クロロフェニル基、4-メチルフェニル基、1-ナフチル基等の、置換基を有する、または置換基を有さないアリール基;を表す。
【0085】
Rcは、窒素原子を有する、炭素数1から10の有機基を表す。また、Rcは、さらに他のケイ素原子を含む基と結合していてもよい。Rcの炭素数1から10の有機基の具体例としては、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピル基、3-アミノプロピル基、N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)アミノプロピル基、3-ウレイドプロピル基、N-フェニル-アミノプロピル基等が挙げられる。
【0086】
上記式(b-1)または(b-2)で表される化合物のうち、Rcが、他のケイ素原子を含む基と結合した有機基である場合の化合物としては、イソシアヌレート骨格を介して他のケイ素原子と結合してイソシアヌレート系シランカップリング剤を構成するものや、ウレア骨格を介して他のケイ素原子と結合してウレア系シランカップリング剤を構成するものが挙げられる。
【0087】
これらの中で、シランカップリング剤(B1)は、接着強度がより高い硬化物が得られ易いことから、イソシアヌレート系シランカップリング剤、およびウレア系シランカップリング剤とすることができ、さらに、分子内に、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4以上有するものとすることができる。ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4以上有するとは、同一のケイ素原子に結合したアルコキシ基と、異なるケイ素原子に結合したアルコキシ基との総合計数が4以上という意味である。
【0088】
ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4以上有するイソシアヌレート系シランカップリング剤としては、下記式(b-3)で表される化合物が、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4以上有するウレア系シランカップリング剤としては、下記式(b-4)で表される化合物が挙げられる。
【0089】
【0090】
式中、Raは、前記式(b-1)および(b-2)におけるRaと同じ意味を表す。t1からt5はそれぞれ独立して、1から10の整数を表し、1から6の整数とすることができ、例えば3が例示される。
【0091】
式(b-3)で表される化合物の具体例としては、1,3,5-N-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-トリi-プロポキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-トリブトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等の1,3,5-N-トリス〔(トリ(炭素数1から6)アルコキシ)シリル(炭素数1から10)アルキル〕イソシアヌレート;1,3,5-N-トリス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジメトキシi-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジメトキシn-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジメトキシフェニルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジエトキシi-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジエトキシn-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジエトキシフェニルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジi-プロポキシメチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジi-プロポキシエチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジi-プロポキシi-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジi-プロポキシn-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジi-プロポキシフェニルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジブトキシメチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジブトキシエチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジブトキシi-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジブトキシn-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジブトキシフェニルシリルプロピル)イソシアヌレート等の1,3,5-N-トリス〔(ジ(炭素数1から6)アルコキシ)シリル(炭素数1から10)アルキル〕イソシアヌレート;等が挙げられる。
【0092】
式(b-4)で表される化合物の具体例としては、N,N’-ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-トリブトキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ウレア等のN,N’-ビス〔(トリ(炭素数1から6)アルコキシシリル)(炭素数1から10)アルキル〕ウレア;N,N’-ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)ウレア等のN,N’-ビス〔(ジ(炭素数1から6)アルコキシ(炭素数1から6)アルキルシリル(炭素数1から10)アルキル)ウレア;N,N’-ビス(3-ジメトキシフェニルシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-ジエトキシフェニルシリルプロピル)ウレア等のN,N’-ビス〔(ジ(炭素数1から6)アルコキシ(炭素数6から20)アリールシリル(炭素数1から10)アルキル)ウレア;等が挙げられる。シランカップリング剤(B1)は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0093】
これらの中で、シランカップリング剤(B1)は、1,3,5-N-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(以下、前記2つを「イソシアヌレート化合物」という。)、N,N’-ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ウレア、N,N ’-ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ウレア(以下、前記2つを「ウレア化合物」という。)、および、上記イソシアヌレート化合物とウレア化合物との組み合わせを用いることができる。
【0094】
接着ペーストがシランカップリング剤(B1)〔(B1)成分〕を含有する場合、(B1)成分の含有量は特に限定されないが、その量は、接着ペーストの固形分100質量部に対して、一実施形態において5質量部以上、別の実施形態において10質量部以上、さらに別の実施形態において15質量部以上とすることができ、一実施形態において40質量部未満、別の実施形態において30質量部未満、さらに別の実施形態において25質量部未満とすることができる。シランカップリング剤(B1)の量の範囲は、接着ペーストの固形分(すなわち、有効成分)100質量部に対して、一実施形態において5質量部以上40質量部未満、別の実施形態において10質量部以上30質量部未満、さらに別の実施形態において15質量部以上25質量部未満とすることができる。
【0095】
(B1)成分を上記範囲で用いることにより、(B1)成分を加える効果をより発現させることができるため、紫外線を100時間照射した後に、窒化アルミニウム板に対して室温で25N/3.5mm□以上である接着強度を有する硬化物がより得られ易くなる。
【0096】
シランカップリング剤(B2)
シランカップリング剤(B2)を含有させることにより、塗布工程における作業性に優れ、高温で加熱した場合の耐光性、接着性、および耐熱性により優れる硬化物を与える接着ペーストが得られ易くなる。
【0097】
シランカップリング剤(B2)としては、2-(トリメトキシシリル)エチル無水コハク酸、2-(トリエトキシシリル)エチル無水コハク酸、3-(トリメトキシシリル)プロピル無水コハク酸、3-(トリエトキシシリル)プロピル無水コハク酸等の、トリ(炭素数1から6)アルコキシシリル(炭素数2から8)アルキル無水コハク酸;2-(ジメトキシメチルシリル)エチル無水コハク酸等の、ジ(炭素数1から6)アルコキシメチルシリル(炭素数2から8)アルキル無水コハク酸;2-(メトキシジメチルシリル)エチル無水コハク酸等の、(炭素数1から6)アルコキシジメチルシリル(炭素数2から8)アルキル無水コハク酸;2-(トリクロロシリル)エチル無水コハク酸、2-(トリブロモシリル)エチル無水コハク酸等の、トリハロゲノシリル(炭素数2から8)アルキル無水コハク酸;2-(ジクロロメチルシリル)エチル無水コハク酸等の、ジハロゲノメチルシリル(炭素数2から8)アルキル無水コハク酸;2-(クロロジメチルシリル)エチル無水コハク酸等の、ハロゲノジメチルシリル(炭素数2から8)アルキル無水コハク酸;等が挙げられる。シランカップリング剤(B2)は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0098】
これらの中で、シランカップリング剤(B2)は、トリ(炭素数1から6)アルコキシシリル(炭素数2から8)アルキル無水コハク酸とすることができ、3-(トリメトキシシリル)プロピル無水コハク酸または3-(トリエトキシシリル)プロピル無水コハク酸が例示される。
【0099】
接着ペーストがシランカップリング剤(B2)〔(B2)成分〕を含有する場合、(B2)成分の含有量は特に限定されないが、その量は、接着ペーストの固形分100質量部に対して、一実施形態において0.01質量部以上、別の実施形態において0.5質量部以上、さらに別の実施形態において1質量部以上とすることができ、一実施形態において10質量部未満、別の実施形態において6質量部未満、さらに別の実施形態において4質量部未満とすることができる。シランカップリング剤(B2)の量の範囲は、接着ペーストの固形分100質量部に対して、一実施形態において0.01質量部以上10質量部未満、別の実施形態において0.5質量部以上6質量部未満、さらに別の実施形態において1質量部以上4質量部未満とすることができる。
【0100】
(B2)成分を上記範囲で用いることにより、(B2)成分を加える効果をより発現させることができ、かつ、酸無水物構造を有することによる(A)成分、および(B)成分の加水分解反応およびその後の縮合反応が促進するため、紫外線を100時間照射した後に、窒化アルミニウム板に対して室温で25N/3.5mm□以上である接着強度を有する硬化物がより得られ易くなる。
【0101】
接着ペーストが(B)成分を含有する場合、(B)成分の含有量は特に限定されないが、その量は、接着ペーストの固形分100質量部に対して、一実施形態において0.01質量部以上、別の実施形態において0.5質量部以上、さらに別の実施形態において1質量部以上とすることができ、一実施形態において40質量部未満、別の実施形態において30質量部未満、さらに別の実施形態において25質量部未満とすることができる。
【0102】
(B)成分を上記範囲で用いることにより、(B)成分を加える効果をより発現させることができ、かつ、(A)成分、および(B)成分の加水分解反応及びその後の縮合反応が促進するため、紫外線を100時間照射した後に、窒化アルミニウム板に対して室温で25N/3.5mm□以上である接着強度を有する硬化物がより得られ易くなる。
【0103】
(溶媒(S))
本実施形態の接着ペーストは、溶媒(S)を含有していてもよい。溶媒(S)は、接着ペーストの成分を溶解または分散し得るものであれば特に限定されない。溶媒(S)は、254℃以上の沸点を有する有機溶媒(以下、「有機溶媒(SH)」と記載することがある。)を含むものとすることができる。ここで、「沸点」は、「1013hPaにおける沸点」をいう。有機溶媒(SH)の沸点は、254℃以上とすることでき、254℃以上300℃以下とすることができる。
【0104】
有機溶媒(SH)としては、具体的には、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点274℃)、1,6-へキサンジオールジアクリレート(沸点260℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点261℃)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点264から294℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点275℃)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点290から310℃)等が挙げられる。これらの中で、有機溶媒(SH)は、有効成分を良好に混合し易い観点から、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートとすることができる。有機溶媒(SH)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0105】
接着ペーストは、有機溶媒(SH)以外の溶媒を含有してもよい。有機溶媒(SH)以外の溶媒は、沸点が100℃以上254℃未満の溶媒(以下、「有機溶媒(SL)」と記載することがある。)とすることができる。有機溶媒(SL)としては、沸点が100℃以上254℃未満であり、かつ、接着ペーストの成分を溶解または分散し得るものであれば特に制限されない。有機溶媒(SH)と有機溶媒(SH)以外の溶媒を併用することにより、接着ペーストを加熱して硬化物を得る温度範囲をより精密に調節することができるため、熱による影響を受けやすい光学部品等に対する加熱の影響を小さくすることができる。
【0106】
有機溶媒(SL)の具体例としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点247℃)、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点229℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点209℃)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点212℃)、ジプロピレングリコール-n-プロピルエーテル(沸点212℃)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点215℃ )、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点216℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点218℃)、ジエチレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点230℃)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点245℃)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(沸点242℃)、プロピレングリコールフェニルエーテル(沸点243℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点249℃)、ベンジルアルコール(沸点204.9℃)、フェネチルアルコール(沸点219から221℃)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点192℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点134.8℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点124.5℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、シクロペンタノン(沸点130℃)、シクロヘキサノン(沸点157℃)、シクロヘプタノン(沸点180℃)、シクロオクタノン(沸点195から197℃)、シクロヘキサノール(沸点161℃)、シクロヘキサジエノン(沸点104から104.5℃)等が挙げられる。これらの中で、有機溶媒(SL)は、有効成分を良好に混合し易い観点から、グリコール系溶媒とすることができ、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテルとすることができ、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートが例示される。
【0107】
有機溶媒(SH)と有機溶媒(SL)を併用する場合、具体的には、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(溶媒(SH))とジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒(SL))の組み合わせ、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(溶媒(SH))と、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒(SL))の組み合わせ、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(溶媒(SH))とジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(溶媒(SL))の組み合わせ、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(溶媒(SH))とジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(溶媒(SL))の組み合わせとすることができる。
【0108】
接着ペーストは、固形分濃度が、一実施形態において70質量%以上、別の実施形態において75質量%以上になる量の溶媒(S)を含有することができ、一実施形態において100質量%未満、別の実施形態において95質量%未満になる量の溶媒(S)を含有することができる。接着ペーストは、固形分濃度の範囲が、一実施形態において70質量%以上100質量%未満、別の実施形態において75質量%以上95質量%未満になる量の溶媒(S)を含有することができる。
【0109】
固形分濃度がこの範囲内であることで、有効成分を良好に混合し易く、また、塗布工程における作業性に優れる。さらに、接着ペーストをシリンジに充填する工程において、適量の接着ペーストを気泡なくシリンジ内に充填し易くすることができる。また、キャップを圧着する際、接着ペーストとその接着対象である基板等との間に生じる空隙部(ボイド)の発生を抑制することができ、パッケージの信頼性が高くなる。
【0110】
(微粒子(C))
本実施形態の接着ペーストは、微粒子(C)を含有していてもよい。微粒子(C)としては、平均一次粒子径が5nm以上40nm以下の微粒子(C)が挙げられる。
【0111】
微粒子(C)を含有させることにより、塗布した接着ペーストの保形性および塗布工程における作業性に優れ、かつ、高温で加熱した場合の耐光性、接着性および耐熱性により優れる硬化物を与える接着ペーストが得られ易くなる。この効果がより得られ易いことから、微粒子(C)の平均一次粒子径は、一実施形態において5nm以上とすることができ、一実施形態において30nm以下、別の実施形態において20nm以下とすることができる。微粒子(C)の平均一次粒子径の範囲は、一実施形態において5nm以上30nm以下、別の実施形態において5nm以上20nm以下とすることができる。 微粒子(C)の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて微粒子の形状を観察することにより求めることができる。
【0112】
微粒子(C)の比表面積は、一実施形態において10m2/g以上、別の実施形態において20m2/g以上とすることができ、一実施形態において500m2/g以下、別の実施形態において300m2/g以下とすることができる。微粒子(C)の比表面積の範囲は、一実施形態において10m2/g以上500m2/g以下、別の実施形態において20m2/g以上300m2/g以下とすることができる。比表面積が上記範囲内であることで、塗布工程における作業性により優れる接着ペーストが得られ易くなる。
【0113】
微粒子(C)の形状は、球状、鎖状、針状、板状、片状、棒状、繊維状等のいずれであってもよく、球状とすることができる。ここで、「球状」とは、「真球状の他、回転楕円体、卵形、金平糖状、まゆ状等球体に近似できる多面体形状を含む略球状」を意味する。
【0114】
微粒子(C)の構成成分としては、特に制限はなく、金属;金属酸化物;鉱物;金属炭酸塩;金属硫酸塩;金属水酸化物;金属珪酸塩;無機成分;有機成分;シリコーン;等が挙げられる。また、用いる微粒子(C)は表面が修飾されたものであってもよい。
【0115】
金属とは、周期表における、1族(Hを除く)、2から11族、12族(Hgを除く)、13族(Bを除く)、14族(CおよびSiを除く)、15族(N、P、AsおよびSbを除く)、または16族(O、S、Se、TeおよびPoを除く)に属する元素をいう。
【0116】
金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、およびこれらの複合酸化物等が挙げられる。金属酸化物の微粒子には、これらの金属酸化物からなるゾル粒子も含まれる。
【0117】
鉱物としては、スメクタイト、ベントナイト等が挙げられる。スメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ノントロナイト、ソーコナイト等が挙げられる。
【0118】
金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が、金属硫酸塩としては、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が、金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム等が、金属珪酸塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム等が挙げられる。また、無機成分としては、シリカ等が挙げられる。シリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、表面修飾シリカ(表面が修飾されたシリカ)等が挙げられる。有機成分としては、アクリル系重合体等が挙げられる。
【0119】
シリコーンとは、シロキサン結合による主骨格を持つ、人工高分子化合物を意味する。例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
【0120】
微粒子(C)は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中で、微粒子(C)は、透明性に優れる接着ペーストが得られ易いことから、シリカ、金属酸化物、鉱物とすることができ、シリカが例示される。
【0121】
シリカは、接着ペーストとして混合が比較的容易である観点、および塗布工程における作業性により優れる接着ペーストが得られ易いことから、表面修飾シリカとすることができ、疎水性の表面修飾シリカとすることができる。疎水性の表面修飾シリカとしては、表面に、トリメチルシリル基等のトリ炭素数1から20のトリアルキルシリル基;ジメチルシリル基等のジ炭素数1から20のアルキルシリル基;オクチルシリル基等の炭素数1から20のアルキルシリル基;を結合させたシリカ;シリコーンオイルで表面を処理したシリカ;等が挙げられる。疎水性の表面修飾シリカは、例えば、シリカ粒子に、トリ炭素数1から20のトリアルキルシリル基、ジ炭素数1から20のアルキルシリル基、炭素数1から20のアルキルシリル基等を有するシランカップリング剤を用いて表面修飾することにより、あるいは、シリカ粒子をシリコーンオイルで処理することにより得ることができる。
【0122】
接着ペーストが微粒子(C)〔(C)成分〕を含有する場合、(C)成分の含有量は特に限定されないが、その量は、接着ペーストの固形分100質量部に対して、一実施形態において1質量部以上、別の実施形態において5質量部以上、さらに別の実施形態において10質量部以上とすることができ、一実施形態において30質量部未満、別の実施形態において25質量部未満、さらに別の実施形態において20質量部未満とすることができる。微粒子(C)の量の範囲は、接着ペーストの固形分100質量部に対して、一実施形態において1質量部以上30質量部未満、別の実施形態において5質量部以上25質量部未満、さらに別の実施形態において10質量部以上20質量部未満とすることができる。(C)成分を上記範囲で用いることにより、(C)成分を加える効果をより発現させることができ、かつ、紫外線を100時間照射した後に、窒化アルミニウム板に対して室温で25N/3.5mm□以上である接着強度を有する硬化物がより得られ易くなる。
【0123】
(その他の成分(D))
(D)成分としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。酸化防止剤は、加熱時の酸化劣化を防止する目的で添加される。酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
【0124】
リン系酸化防止剤としては、ホスファイト類、オキサホスファフェナントレンオキサイド類等が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、モノフェノール類、ビスフェノール類、高分子型フェノール類等が挙げられる。硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート等が挙げられる。
【0125】
これらの酸化防止剤は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の使用量は、(A)成分に対して、10質量%以下とすることができる。
【0126】
紫外線吸収剤は、得られる接着ペーストの耐光性を向上させる目的で添加される。紫外線吸収剤としては、サリチル酸類、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。紫外線吸収剤の使用量は、(A)成分に対して、10質量%以下とすることができる。
【0127】
光安定剤は、得られる接着ペーストの耐光性を向上させる目的で添加される。光安定剤としては、例えば、ポリ[{6-(1,1,3,3,-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン)イミノ}]等のヒンダードアミン類等が挙げられる。これらの光安定剤は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。(D)成分の総使用量は、(A)成分に対して、20質量%以下とすることができる。
【0128】
<本実施形態に係る接着ペーストの製造方法>
本実施形態の接着ペーストは、例えば、下記工程(AI)および工程(AII)を有する製造方法により製造することができる。
【0129】
(工程(AI))
工程(AI)は、上記式(a-6)で示される化合物の少なくとも一種を、重縮合触媒の存在下に重縮合させて、ポリシルセスキオキサン化合物を得る工程である。
【0130】
(工程(AII))
工程(AII)は、工程(AI)で得られたポリシルセスキオキサン化合物を、溶媒(S)に溶解させ、ポリシルセスキオキサン化合物を含有する溶液を得る工程である。
【0131】
工程(AI)の上記式(a-6)で示される化合物の少なくとも一種を、重縮合触媒の存在下に重縮合させて、ポリシルセスキオキサン化合物を得る方法としては、<本実施形態に係る接着ペースト>の項で例示したものと同様の方法が挙げられる。また、工程(AII)で用いる溶媒(S)は、<本実施形態に係る接着ペースト>の項で溶媒(S)として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0132】
工程(AII)において、ポリシルセスキオキサン化合物を溶媒(S)に溶解する方法としては、例えば、ポリシルセスキオキサン化合物、所望により前記(B)成分を、溶媒(S)と混合、脱泡し、溶解する方法が挙げられる。混合方法、脱泡方法は特に限定されず、公知の方法を利用することができる。混合する順番は特に限定されない。上記工程(AI)および工程(AII)を有する製造方法によれば、本発明の接着ペーストを、効率よく簡便に製造することができる。
【0133】
接着ペーストを加熱して溶媒(S)を揮発させ、硬化させることにより、硬化物を得ることができる。硬化させるときの加熱温度は、一実施形態において80℃以上、別の実施形態において150℃以上とすることができ、一実施形態において190℃以下とすることができる。硬化させるときの加熱温度の範囲は、一実施形態において80から190℃、別の実施形態において150から190℃とすることができる。また、硬化させるときの加熱時間の範囲は、一実施形態において30分から10時間、別の実施形態において30分から5時間、さらに別の実施形態において30分から3時間とすることができる。
【0134】
<本実施形態に係る接着ペーストの使用方法、および本実施形態に係る接着ペーストを使用する発光装置の製造方法>
本実施形態に係る接着ペーストの使用方法に関して、接着ペーストを発光装置の固定材用接着剤として発光装置を製造する方法の中で説明するが、本発明の接着ペーストは、発光装置に限らず光にさらされる箇所で使用され得る。
【0135】
本実施形態に係る接着ペーストを使用する発光装置の製造方法は
図1から
図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る接着ペーストを基板に塗布した状態を示す図であり、
図2は、
図1のA-A’断面図であり、
図3は、本実施形態に係る接着ペーストを使用した発光装置の断面図である。本実施形態に係る接着ペーストを使用する発光装置の製造方法、下記工程(BI)から工程(BIV)を有する方法である。
【0136】
(工程)
工程(BI)は、発光体が配置された基板を準備する工程である。
工程(BII)は、基板の接着面に接着ペーストを塗布する工程である。
工程(BIII)は、発光体を覆うように接着ペーストの上にキャップを搭載する工程である。
工程(BIV)は、接着ペーストを熱硬化させる工程である。
【0137】
(工程(BI))
まず、発光体300が配置された基板200が準備される。
図1から
図3では、平坦状の基板200に発光体300が配置されているが、基板200に凹部を設け、その凹部内に発光体300が配置されてもよい。
【0138】
発光体300は、紫外光、可視光等を発光するものであり、特に限定されるものではなく、レーザ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプ、電球等とすることができる。これらの中でも、本発明の接着ペーストを用いることによる効果がより発揮され易い観点から、発光体300は、LEDとすることができる。一例として、紫外線、特に深紫外線(UVC)は、接着ペーストを光劣化させることがあるため、発光体300は、UVC-LEDとすることができる。また、
図1は、1つの発光体300のみが設けられた構成を示しているが、これに限らず、複数の発光体300が設けられた構成とすることができる。また、波長の異なるいくつかの発光体300が設けられた構成とすることもできる。
【0139】
基板200は、発光素子の発光により生じた熱を効率的に拡散し、放熱することができれば、特に限定されるものでなく、無機材料、または有機材料で構成される。無機材料としては、セラミック、ガラス、金属等が使用される。セラミックとしては、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。ガラスとしては、石英ガラス、ソーダライムガラス、耐熱性硬質ガラスが挙げられる。金属としては、鉄、銅、アルミニウム、金、銀、白金、クロム、チタン、およびこれらの金属の合金、ステンレス(SUS302、SUS304、SUS304L、SUS309等)等が挙げられる。有機材としては、樹脂が使用される。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ガラスエポキシ樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。
【0140】
(工程(BII))
次に、基板200の接着面に接着ペーストを塗布する。塗布方法は特に限定されないが、例えば、ディスペンス法、スタンプピン等を用いたスタンプ法、印刷法、ディッピング法が挙げられる。ディスペンス法で塗布される接着ペーストは、例えば、シリンジに充填されている。これにより、塗布工程における作業性が優れる。シリンジの材料は、合成樹脂、金属、ガラスのいずれであってもよく、合成樹脂とすることができる。シリンジの容量としては、特に制限はなく、充填または塗布する接着ペーストの量に合わせ、適宜決定すればよい。また、シリンジとしては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、SS-01Tシリーズ(TERUMO社製)、PSYシリーズ(武蔵エンジニアリング社製)等が挙げられる。
【0141】
接着ペーストの塗布では、まず、接着ペーストが充填されたシリンジが垂直に下降して基板200に近づき、シリンジの先端部から所定量の接着ペーストを吐出した後、シリンジが上昇して基板200から離れるとともに、基板200が横に移動する。そして、この操作を繰り返すことで、連続的に接着ペーストが基板200に塗布される。
【0142】
接着ペーストは、ドット状、線状、幾何学形状、十字、グリッド、またはそれらの任意の組み合わせからなるパターンのうちの1つとして設けられ得る。一実施形態において、
図1に示すように、接着ペースは、ドット状に塗布されることができる。これにより、塗布された接着ペースト400の厚みのバラつきを抑制でき、また、接着ペーストの使用量を削減することができる。
【0143】
接着ペーストの塗布量は、特に限定されず、硬化させることにより、接着の対象とするキャップ500と基板200を強固に接着することができる量であればよい。接着ペーストの塗布量は、接着ペーストの塗膜の厚みが、一実施形態において0.5μm以上、別の実施形態において1μm以上となる量とすることができ、一実施形態において、10μm以下、別の実施形態において5μm以下となる量とすることができる。接着ペーストの塗布量の範囲は、接着ペーストの塗膜の厚みが、一実施形態において0.5μm以上10μm以下、別の実施形態において1μm以上5μm以下となる量とすることができる。
【0144】
(工程(BIII))
次に、発光体300を覆うように接着ペースト400の上にキャップ500を配置し、圧着する。これにより、発光体300を覆うように、基板200、接着ペーストの400、およびキャップ500をこの順に配置することができる。キャップは一般にリッドまたはキャップリッドとも呼ばれる。基板200および発光体300と、キャップ500との間には空間が形成されている。キャップ500は、光、例えば深紫外線を透過する材料で形成されたものとすることができ、例えば、紫外線耐性を考慮して、キャップ500は石英ガラスで形成したものとすることができる。また、キャップ500は、フランジ部501を有するものとすることができ、フランジ部501の底面と基板200の縁部とが接着ペースト400によって接着されている。
【0145】
また、これまでは接着ペースト400を基板200に塗布した後にキャップ500を圧着する工程BIIおよび工程BIIIを示したが、別の実施形態において、接着ペースト400をキャップ500に塗布し、基板200に対して圧着してもよい。これにより、発光体300を覆うように、基板200、接着ペーストの400、およびキャップ500をこの順に配置することができる。
【0146】
(工程(BIV))
次に、接着ペースト400を熱硬化させる。これにより、キャップ500は基板200に固定されて、発光装置100が得られる。接着ペーストを硬化させる際の加熱温度および加熱時間は、<本実施形態に係る接着ペースト>の項で説明した通りである。このように、本発明の接着ペーストは、発光装置の固定材用接着剤として使用することができる。
【0147】
<実施形態のまとめ>
本明細書の開示は、以下の接着ペースト、接着ペーストの使用方法、および発光装置の製造方法を含む。
【0148】
(項目1)
硬化性オルガノポリシロキサン化合物を含有する接着ペーストであって、
前記接着ペーストを熱硬化して得られる硬化物は、紫外線を100時間照射した後に、窒化アルミニウム板に対して室温で25N/3.5mm□以上である接着強度を有する、接着ペースト。
【0149】
(項目2)
前記硬化性オルガノポリシロキサン化合物が、ポリシルセスキオキサン化合物である、項目1に記載の接着ペースト。
【0150】
(項目3)
前記硬化物に紫外線を照射する前の前記硬化物の窒化アルミニウム板に対する接着強度が室温で25N/3.5mm□以上である、項目1または項目2に記載の接着ペースト。
【0151】
(項目4)
前記硬化物に紫外線を照射する前の前記硬化物の接着強度、および前記硬化物に紫外線を100時間照射した後の前記硬化物の接着強度から、下記式により算出される接着強度維持率が70%以上である、項目1から項目3のいずれか1項目に記載の接着ペースト。
維持率[%]=(紫外線照射後の接着強度)/(紫外線照射前の接着強度)×100
【0152】
(項目5)
貴金属触媒を実質的に含有しない、項目1から項目4のいずれか1項目に記載の接着ペースト。
【0153】
(項目6)
発光装置の固定材用接着剤である、項目1から項目5のいずれか1項目に記載の接着ペースト。
【0154】
(項目7)
項目1から項目6のいずれか1項目に記載の接着ペーストを基板またはキャップに塗布することと、
前記接着ペーストを熱硬化させることと、を含み、
前記塗布することは、前記接着ペーストをドット状に塗布することを含む、接着ペーストの使用方法。
【0155】
(項目8)
発光体が配置された基板を準備することと、
前記基板またはキャップに項目1から項目6のいずれか1項目に記載の接着ペーストを塗布することと、
前記発光体を覆うように、前記基板、前記接着ペースト、および前記キャップをこの順に配置することと、
前記接着ペーストを熱硬化させることと、
を含む、発光装置の製造方法。
【実施例0156】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。各例中の部および%は、特に断りのない限り、質量基準である。
【0157】
(平均分子量測定)
製造例で得た硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、標準ポリスチレン換算値とし、以下の装置および条件にて測定した。
装置名:HLC-8220GPC、東ソー株式会社製
カラム:TSKgelGMHXL、TSKgelGMHXL、及び、TSKgel2000HXLを順次連結したもの
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:20μl
測定温度:40℃
流速:1ml/分
検出器:示差屈折計
【0158】
(IRスペクトルの測定)
製造例で得た硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)のIRスペクトルは、フーリエ変換赤外分光光度計(パーキンエルマー社製、Spectrum100)を使用して測定した。
【0159】
(製造例1)
300mLのナス型フラスコに、メチルトリエトキシシラン71.37g(400mmol)を仕込んだ後、蒸留水21.6mlに35%塩酸0.10g(シラン化合物の合計量に対して0.25モル%)を溶解した水溶液を撹拌しながら加え、全容を30℃にて2時間、次いで70℃に昇温して5時間撹拌したのち、酢酸プロピルを140g入れ撹拌した。ここに、28%アンモニア水0.12g(シラン化合物の合計量に対して0.5モル%)を撹拌しながら加え、全容を70℃に昇温して3時間さらに撹拌した。反応液に精製水を加え、分液し、水層のpHが7になるまでこの操作を繰り返した。有機層をエバポレーターで濃縮し、濃縮物を真空乾燥することにより、硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A1)を55.7g得た。硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A1)の質量平均分子量(Mw)は7,800、分子量分布(Mw/Mn)は4.52であった。硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A1)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si-CH3:1272cm-1,1409cm-1,Si-O:1132cm-1
【0160】
(製造例2)
300mLのナス型フラスコに、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)17.0g(77.7mmol)、および、メチルトリエトキシシラン(信越化学工業社製)32.33g(181.3mmol)を仕込んだ後、蒸留水14.0mlに35%塩酸0.0675g(HClの量が0.65mmol,シラン化合物の合計量に対して0.25mol%)を溶解した水溶液を撹拌しながら加え、全容を30℃にて2時間、次いで70℃に昇温して20時間撹拌した。内容物の撹拌を継続しながら、そこに、28%アンモニア水0.0394g(NH3の量が0.65mmol)と酢酸プロピル46.1gの混合溶液を加えて反応液のpHを6.9にし、そのまま70℃で40分間撹拌した。反応液を室温(23℃)まで放冷した後、そこに、酢酸プロピル50gおよび水100gを加えて分液処理を行い、反応生成物を含む有機層を得た。この有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥処理を行った。硫酸マグネシウムを濾別除去した後、有機層をエバポレーターで濃縮し、濃縮物を真空乾燥することにより、硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A2)を22.3g得た。硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A2)の質量平均分子量(Mw)は5,500、分子量分布(Mw/Mn)は3.40であった。また、硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A2)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si-CH3:1272cm-1,1409cm-1,Si-O:1132cm-1,C-F:1213cm-1
【0161】
実施例および比較例で用いた化合物を以下に示す。
((A)成分)
硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A1):製造例1で得られたオルガノポリシロキサン化合物
硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A2):製造例2で得られたオルガノポリシロキサン化合物
【0162】
((B)成分)
シランカップリング剤(B1):1,3,5-N-トリス〔3-(トリメトキシシリル)プロピル〕イソシアヌレート(信越化学工業社製、製品名「KBM-9659」)
シランカップリング剤(B2):3-(トリメトキシシリル)プロピルコハク酸無水物(信越化学工業社製、製品名「X-12-967C」)
【0163】
((C)成分)
微粒子(C1):トリメチルシリル基で表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製、製品名「AEROSIL RX200」、平均一次粒子径:12nm、比表面積:140m2/g)
微粒子(C2):ジメチルシリコーンオイルで表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製、製品名「AEROSIL RY300」、平均一次粒子径:7nm、比表面積:125m2/g)
微粒子(C3):ジメチルシリコーンオイルで表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製、製品名「AEROSIL RY200」、平均一次粒子径:12nm、比表面積:100m2/g)
【0164】
(溶媒(S))
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BDGAC)(SL)(東京化成工業社製、沸点:247℃)とトリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(TPnB)(SH)(ダウ・ケミカル社製、沸点:274℃)との混合溶媒(BDGAC:TPnB=40:60(質量比))
【0165】
((X)従来の熱硬化成分)
エポキシ成分(X1):(ダイセル社製、製品名「DX-20C」)
シリコーン成分(X2):(信越シリコーン社製、製品名「KER-3000-M2」)
【0166】
(実施例1)
硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A1)100部に、シランカップリング剤(B1)30部、シランカップリング剤(B2)3部を加え、さらに、接着ペーストの固形分濃度が80%となるように溶媒(S)を加えて攪拌し、実施例1の接着ペーストを得た。
【0167】
(実施例2から9)
化合物(各成分)の種類、および配合割合を、下記表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2から9の接着ペーストを得た。なお、実施例7から9において、微粒子(C1)から(C3)は、シランカップリング剤(B1)および(B2)を添加する前に加えた。
【0168】
【0169】
(比較例1)
硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A2)100部に、接着ペーストの固形分濃度が80%となるように溶媒(S)を加えて攪拌した。比較例1の接着ペーストを得た。
【0170】
(比較例2)
硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A2)100部に、シランカップリング剤(B2)3部を加え、さらに、接着ペーストの固形分濃度が80%となるように溶媒(S)を加えて攪拌し、比較例2の接着ペーストを得た。
【0171】
(比較例3および4)
エポキシ成分(X1)100部に、接着ペーストの固形分濃度が80%となるように溶媒(S)を加えて攪拌し、比較例3の接着ペーストを得た。エポキシ成分(X1)をシリコーン成分(X2)に代えて、配合割合を下記表2に示すものに変更した以外は、比較例3と同様にして比較例4の接着ペーストを得た。
【0172】
(比較例5および6)
エポキシ成分(X1)100部に、シランカップリング剤(B1)30部を加え、さらに、接着ペーストの固形分濃度が80%となるように溶媒(S)を加えて攪拌し、比較例5の接着ペーストを得た。エポキシ成分(X1)をシリコーン成分(X2)に代えて、配合割合を下記表2に示すものに変更した以外は、比較例5と同様にして比較例6の接着ペーストを得た。なお、比較例1から6の接着ペーストは、微粒子(C1)から(C3)を含んでいない。
【0173】
【0174】
(接着強度評価)
紫外線照射前の接着強度(初期接着強度)
実施例1で得た接着ペーストを算術平均表面粗さRaが0.2μmの窒化アルミニウム板(被着体)に塗布(圧着後の接着ペーストの厚さ:約2μm)し、一辺の長さが3.5mmの正方形(面積が12.25mm2)の厚み2mmの無色透明な石英ガラス(試験片)を、塗布面の上に載せ圧着し、170℃で2時間加熱処理して硬化させて試験片付被着体を得た。この試験片付被着体を、室温(23℃)のボンドテスター(デイジ社製、シリーズ4000)の測定ステージ上に60秒間放置し、被着体から100μmの高さの位置より、スピード200μm/sで接着面に対し水平方向(せん断方向)に応力をかけ、試験片と被着体との接着強度(N/3.5mm□)を測定した。上記と同様に、実施例1で得た接着ペーストの塗布から測定までの操作を、測定回数(3回)分だけ用意した被着体と試験片を用いて合計3回行い、3回の測定値を平均し、小数第一位を四捨五入して紫外線照射前の接着強度を得た。実施例2から9、および比較例1から6で得た接着ペーストにおいても、上記実施例1と同様に、試験片付被着体を作製し、上記実施例1の試験片付被着体と同様に、試験片と被着体との紫外線照射前の接着強度を測定した。
【0175】
紫外線照射後の接着強度
上記紫外線照射前の接着強度の測定で作製したものと同じ実施例1の試験片付被着体を別途作製した。この試験片付被着体に、試験片から高さ5mmの位置から、光源として深紫外線発光素子(フェニックス電機社製、UVSMD3535-265-60-010、定格出力40mW(If=500mA))を使用して、波長256nmの紫外線を100時間照射した。この紫外線照射後の試験片付被着体に対して、上記紫外線照射前の接着強度の測定と同様の方法で、試験片と被着体との接着強度(N/3.5mm□)を合計3回測定して、3回の測定値を平均し、小数第一位を四捨五入して紫外線照射後の接着強度を得た。実施例2から9、および比較例1から6の接着ペーストにおいても、上記実施例1と同様に、紫外線照射後の試験片付被着体を作製し、上記実施例1の紫外線照射後の試験片付被着体と同様に、試験片と被着体との紫外線照射後の接着強度を測定した。
【0176】
維持率[%]
実施例1から9、および比較例1から6の紫外線照射前の接着強度と紫外線照射後の接着強度から、下記式により接着強度の維持率をそれぞれ算出し、小数第一位を四捨五入した値を採用した。
維持率[%]=(紫外線照射後の接着強度)/(紫外線照射前の接着強度)×100
【0177】
(紫外線照射後の脱離不良評価)
実施例1の接着ペーストを使用して、上記紫外線照射後の接着強度の測定で作製したものと同じ紫外線照射後の試験片付被着体を5個作製した。この試験片付被着体を振とう機(タイテック社製、パーソナル-11)を用いて、215rpm、30分間、振とうさせた。振とう後の試験片が、振とう前の接着位置より50μm以上ズレているか確認を行い、以下の基準で評価した。
A:振とう後の位置ずれ発生が0個
B:振とう後の位置ずれ発生が1または2個、
C:振とう後の位置ずれ発生が3個以上
実施例2から9、および比較例1から6の接着ペーストを使用して、上記実施例1と同様に、紫外線照射後の試験片付被着体をそれぞれ5個作製し、上記実施例1の紫外線照射後試験片付被着体と同様に、脱離不良評価を行った。
【0178】
表3に、実施例1から9、および比較例1から6の接着強度評価、および紫外線照射後の脱離不良評価の結果を示す。
【0179】
【0180】
実施例1から9の接着ペーストか得られた硬化物は、紫外線を100時間照射した後に、窒化アルミニウム板に対して室温で25N/3.5mm□以上である接着強度を有し、脱離不良を生じなかった。そのため、実施例1から9の接着ペーストは、発光装置の固定材用接着剤等の光にさらされる箇所で使用されても、硬化物の接着力の低下が抑制され、被着体の接着位置の移動を抑制できる。
【0181】
微粒子を含む実施例7から9の接着ペーストから得られた硬化物は、実施例1の接着ペーストから得られた硬化物と比べて、維持率が向上した。そのため、実施例7から9の接着ペーストは、発光装置の固定材用接着剤等の光にさらされる箇所で使用されても、硬化物の接着力の低下がさらに抑制され、被着体の接着位置の移動を抑制できる。
【0182】
一方、比較例1から6の接着ペーストから得られた硬化物は、紫外線を100時間照射した後に、窒化アルミニウム板に対して室温で25N/3.5mm□未満の接着強度を有しており、脱離不良を生じた。
【0183】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。