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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049330
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/40 20060101AFI20240402BHJP
   H05K 3/16 20060101ALI20240402BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20240402BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240402BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20240402BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H05K3/40 E
H05K3/16
H05K1/09 C
H05K3/46 E
H05K3/46 N
H05K1/11 H
H05K3/46 T
H05K1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122929
(22)【出願日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2022154724
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023085287
(32)【優先日】2023-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】籠橋 進
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
(72)【発明者】
【氏名】吉川 恭平
(72)【発明者】
【氏名】伊西 拓弥
【テーマコード(参考)】
4E351
5E316
5E317
5E338
5E343
【Fターム(参考)】
4E351AA01
4E351BB33
4E351BB49
4E351CC03
4E351DD04
4E351DD10
4E351DD19
4E351GG02
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC32
5E316CC34
5E316CC37
5E316DD17
5E316DD24
5E316DD33
5E316DD47
5E316FF03
5E316FF07
5E316FF10
5E316FF14
5E316GG15
5E316GG16
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG23
5E316HH11
5E316HH40
5E317AA24
5E317BB12
5E317BB15
5E317BB18
5E317CC33
5E317CD15
5E317CD18
5E317CD25
5E317CD27
5E317CD32
5E317GG03
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB14
5E338BB17
5E338BB25
5E338EE27
5E343AA07
5E343AA12
5E343BB24
5E343BB28
5E343BB44
5E343BB52
5E343DD25
5E343DD43
5E343EE01
5E343EE46
5E343ER11
5E343ER18
5E343GG02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い品質を有するプリント配線板を提供する。
【解決手段】プリント配線板2は、第1導体層10、ビア導体用の開口26と第1面22と第2面24とを有する樹脂絶縁層20及び第2導体層30と開口26内に形成されていて、第1導体層10と第2導体層30とを接続するビア導体40を有する。第2導体層30とビア導体40は、シード層30aとシード層30a上に形成される電解めっき層30bによって形成されている。シード層30aは、第1面22上の第1部分P1と開口26の内壁面27上の第2部分P2と開口26から露出する第1導体層10上の第3部分P3とを有している。第1部分P1の厚さは第2部分P2の厚さと第3部分P3の厚さより厚い。第2部分P2は、ほぼ平滑な第1膜110とほぼ平滑な第2膜122を有している。第1膜110と第2膜122は電気的に繋がっており、第1膜110の一部が第2膜122上に形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体層と、
前記第1導体層上に形成されていて、前記第1導体層を露出するビア導体用の開口と第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有する樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、
前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有するプリント配線板であって、
前記第2導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層によって形成されており、
前記シード層は、前記第1面上の第1部分と前記開口の内壁面上の第2部分と前記開口から露出する前記第1導体層上の第3部分とを有しており、前記第1部分の厚さは前記第2部分の厚さと前記第3部分の厚さより厚く、
前記第2部分は、ほぼ平滑な第1膜とほぼ平滑な第2膜を有しており、前記第1膜と前記第2膜は電気的に繋がっており、前記第1膜の一部が前記第2膜上に形成されている。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記第1膜の先端が前記第2膜の後端上に形成されている。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板であって、前記第1膜と前記第2膜は同時に形成されている。
【請求項4】
請求項1のプリント配線板であって、前記第2部分の断面は略階段状の形状を有する。
【請求項5】
請求項1のプリント配線板であって、前記シード層は第1層と前記第1層上に形成される第2層を有しており、前記第1層が前記第1膜と前記第2膜を有する。
【請求項6】
請求項5のプリント配線板であって、前記第1膜の先端が前記第2膜の後端上に形成されている。
【請求項7】
請求項5のプリント配線板であって、前記第1層の断面は略階段状の形状を有する。
【請求項8】
請求項1のプリント配線板であって、前記第3部分の厚さは前記第2部分の厚さより厚い。
【請求項9】
請求項1のプリント配線板であって、前記シード層は、第1層と前記第1層上に形成される第2層とを有しており、
前記第1層の前記第1部分の厚さは前記第1層の前記第2部分の厚さおよび前記第1層の前記第3部分の厚さより厚く、前記第1層の前記第3部分の厚さは前記第1層の前記第2部分の厚さより厚い。
【請求項10】
請求項9のプリント配線板であって、前記第2層の前記第1部分の厚さは前記第2層の前記第2部分の厚さおよび前記第2層の前記第3部分の厚さより厚く、前記第2層の前記第3部分の厚さは前記第2層の前記第2部分の厚さより厚い。
【請求項11】
請求項8のプリント配線板であって、前記第2部分の厚さと前記第1部分の厚さとの比(第2部分の厚さ/第1部分の厚さ)は0.2以上、0.6以下であり、前記第3部分の厚さと前記第1部分の厚さとの比(第3部分の厚さ/第1部分の厚さ)は0.5以上0.9以下である。
【請求項12】
請求項1のプリント配線板であって、前記シード層はスパッタリングによって形成されている。
【請求項13】
請求項1のプリント配線板であって、前記シード層は銅とアルミニウムと特定金属を含有する合金からなり、前記特定金属はニッケル、亜鉛、ガリウム、ケイ素、マグネシウムのうちの少なくとも1つである。
【請求項14】
請求項13のプリント配線板であって、前記特定金属はケイ素である。
【請求項15】
請求項1のプリント配線板であって、前記樹脂絶縁層は無機粒子と樹脂によって形成されており、前記無機粒子は前記開口の前記内壁面を形成する第1無機粒子と前記樹脂絶縁層内に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子の形状は前記第2無機粒子の形状と異なる。
【請求項16】
請求項15のプリント配線板であって、前記内壁面は前記第1無機粒子と前記樹脂によって形成されており、前記第1無機粒子は平坦部を有し、前記平坦部は露出面を有し、前記露出面は前記内壁面を形成する。
【請求項17】
請求項16のプリント配線板であって、前記露出面と前記内壁面を形成する前記樹脂の面は、ほぼ共通な面を形成する。
【請求項18】
請求項17のプリント配線板であって、前記露出面と前記内壁面を形成する前記樹脂の面との間に段差が形成されている。
【請求項19】
請求項16のプリント配線板であって、前記開口を形成することは、前記第2無機粒子から突出部分を有する前記無機粒子を形成することを含み、前記第1無機粒子の前記露出面は前記突出部分を除去することで形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、樹脂基板と樹脂基板上に形成されている樹脂絶縁層と導体回路を有するプリント配線板を開示する。導体回路は、特定の金属を含む合金層を介して樹脂絶縁層上に形成されている。例えば、特許文献1の8段落に特定の金属は示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-124602号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1の合金層を備えるプリント配線板では、導体回路と樹脂絶縁層の密着力が十分ではないと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板は、第1導体層と、前記第1導体層上に形成されていて、前記第1導体層を露出するビア導体用の開口と第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有する樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有する。前記第2導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層によって形成されている。前記シード層は、前記第1面上の第1部分と前記開口の内壁面上の第2部分と前記開口から露出する前記第1導体層上の第3部分とを有している。前記第1部分の厚さは前記第2部分の厚さと前記第3部分の厚さより厚い。前記第2部分は、ほぼ平滑な第1膜とほぼ平滑な第2膜を有している。前記第1膜と前記第2膜は電気的に繋がっており、前記第1膜の一部が前記第2膜上に形成されている。
【0006】
本発明の実施形態のプリント配線板では、第2部分は第1膜と第2膜を有しており、第1膜の一部が第2膜上に形成されている。第1膜と第2膜が部分的に重なっている。そのため、開口の内壁面上のシード層(第2部分)の強度が高い。第2部分が断線しがたい。第2部分は、ほぼ平滑な第1膜とほぼ平滑な第2膜で形成される。そのため、高周波信号が伝送される時、伝送損失が小さい。さらに、第1部分の厚みが第2部分の厚さと第3部分の厚さより厚い。そのため、第1面上のシード層(第1部分)が破断しがたい。第2部分の厚さが第1部分の厚さより小さい。シード層形成後のビア導体用の開口の体積を大きくすることができる。ビア導体用の開口の径が小さくても、ビア導体用の開口を電解めっき層で充填することができる。第1導体層とビア導体は第3部分を介して接続される。第3部分の厚さが第1部分の厚さより小さい。第3部分の影響を小さくすることができる。第3部分を介する接続抵抗が高くなりがたい。高品質のプリント配線板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
図2】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図3】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す断面写真。
図4】内壁面の一部を模式的に示す拡大断面図。
図5】シード層の一部を模式的に示す拡大断面図。
図6】シード層の一部を模式的に示す拡大断面図。
図7A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図7B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図7C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図7D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
図7E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図7F】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図7G】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は実施形態のプリント配線板2を示す断面図である。図2は実施形態のプリント配線板2の一部を示す拡大断面図である。図1に示されるように、プリント配線板2は絶縁層4と第1導体層10と樹脂絶縁層20と第2導体層30とビア導体40とを有する。
【0009】
絶縁層4は樹脂を用いて形成される。絶縁層4はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層4はガラスクロス等の補強材を含んでもよい。絶縁層4は第3面6と第3面6と反対側の第4面8を有する。
【0010】
第1導体層10は絶縁層4の第3面6上に形成されている。第1導体層10は信号配線12とパッド14を含む。図に示されていないが、第1導体層10は信号配線12とパッド14以外の導体回路も含んでいる。第1導体層10は主に銅によって形成される。第1導体層10は絶縁層4上のシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。シード層10aはスパッタリングによって形成されている。シード層10aは第3面6上の第1層11aと第1層11a上の第2層11bで形成されている。第1層11aは絶縁層4に接している。第2層11bは必須ではない。
【0011】
第1層11aは銅とアルミニウムと特定金属を含有する合金からなる。第1層11aは銅合金である。合金は1種類の特定金属、または、2種類の特定金属、または、3種類の特定金属を含むことが好ましい。合金中のアルミニウムの含有量は1.0at%以上15.0at%以下である。特定金属の例はケイ素である。合金中の特定金属の含有量は0.5at%以上10.0at%以下である。第1層11aは不純物を含んでも良い。不純物の例は酸素と炭素である。第1層11aは酸素、または、炭素を含むことができる。第1層11aは酸素と炭素を含むことができる。実施形態では、合金はさらに炭素を含有している。合金中の炭素の含有量は50ppm以下である。合金はさらに酸素を含有している。合金中の酸素の含有量は100ppm以下である。上記各元素の含有量の値は一例である。第1層11aを形成する元素の中で銅の量が最も大きい。次いで、アルミニウムの量が大きい。特定金属の量はアルミニウムの量より小さい。従って、銅は主の金属であり、アルミニウムは第1の副の金属であり、特定金属は第2の副の金属である。不純物の量は特定金属の量より小さい。
【0012】
第2層11bは銅で形成されている。第2層11bを形成している銅の含有量は99.9at%以上である。第2層11b中の銅の含有量は99.95at%以上であることが好ましい。電解めっき層10bは銅で形成されている。電解めっき層10bを形成している銅の含有量は99.9at%以上である。電解めっき層10b中の銅の含有量は99.95at%以上であることが好ましい。
【0013】
樹脂絶縁層20は絶縁層4の第3面6と第1導体層10上に形成されている。樹脂絶縁層20は第1面22と第1面22と反対側の第2面24を有する。樹脂絶縁層20の第2面24は第1導体層10と対向する。樹脂絶縁層20はパッド14を露出する開口26を有している。樹脂絶縁層20は樹脂80と樹脂80内に分散されている多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80はエポキシ系樹脂である。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子90は例えばガラス粒子である。無機粒子90はアルミナであってもよい。
【0014】
図1図2に示されるように、無機粒子90は、開口26の内壁面27を形成する第1無機粒子91と樹脂80内に埋まっている第2無機粒子92を含む。第2無機粒子92の形は球である。第1無機粒子91の形状は球を平面で切断することで得られる。第1無機粒子91の形状は第2無機粒子92を平面で切断することで得られる。第1無機粒子91の形状と第2無機粒子92の形状は異なる。
【0015】
樹脂絶縁層20の第1面22は樹脂80のみで形成されている。第1面22から無機粒子90(第2無機粒子92)は露出しない。第1面22は第2無機粒子92の表面を含まない。樹脂絶縁層20の第1面22には凹凸が形成されていない。第1面22は荒らされていない。第1面22は平滑に形成されている。第1面22の算術平均粗さ(Ra)は、0.02μm以上0.06μm以下である。
【0016】
図3は、開口26の内壁面27とシード層30aの一例を示す断面写真である。図2図3に示されるように、開口26の内壁面27は樹脂80と第1無機粒子91で形成されている。第1無機粒子91は平坦部91aを有する。平坦部91aは内壁面27を形成する。内壁面27は樹脂80と平坦部91aで形成されている。平坦部91aと内壁面27を形成する樹脂80の面80aはほぼ共通な面を形成する。内壁面27を形成する樹脂80上に凹凸が形成されない。内壁面27を形成する樹脂80の面80aは平滑である。平坦部91aの露出面(内壁面27を形成する面)91b上に凹凸が形成されない。平坦部91aの露出面91bは平滑である。内壁面27は平滑に形成される。樹脂80の面80aと第1無機粒子91の平坦部91aの境界部には段差28が形成されている。段差28の量は3.0μm以下であることが好ましい。1.5μm以下であることがより好ましい。0.5μm以下であることがさらに好ましい。段差28は露出面91bと樹脂80の面80aとの間に形成されている。段差28の量は露出面91bと樹脂80の面80aとの間の距離とほぼ一致する。露出面91bは樹脂80の面80aに対し凹んでいる。あるいは、樹脂80の面80aは露出面91bに対し凹んでいる。後者が好ましい。
【0017】
第1無機粒子91の平坦部91aは第1無機粒子91の周りに形成されている樹脂80の面(内壁面27を形成する面)80aを延長することで得られる面とほぼ一致する。図2中に実質的な直線で描かれている平坦部91aは平面を意味している。図2に示される断面において平坦部91aは平面である。平坦部91aは完全な平面でなくてもよい。平坦部91aは実質的な平面であってほぼ平滑な面である。
【0018】
図4図2中の内壁面27の一部を示す拡大断面図である。図4に示されるように、内壁面27を形成する2つの第1無機粒子91の平坦部91aを結ぶ基準面200に対し、その間に位置する樹脂80の面80aは凹んでいても出っ張っていてもよい(破線部参照)。基準面200を形成するための2つの第1無機粒子91間に他の第1無機粒子91がないことが好ましい。基準面200と樹脂80の面80aとの間の距離が段差28の量の代表値として用いられても良い。
【0019】
図2に示されるように、開口26の内壁面27は傾斜している。内壁面27とパッド14の上面との間の角度(傾斜角度)θは70°以上90°以下である。
【0020】
図1図2に示される断面では、開口26の形状は略逆台形に示されている。しかしながら、実際の開口26の形状は略逆円錐台形状である。そのため実際の開口26の内壁面(側壁)27は略曲面である。すなわち、平坦部91aと樹脂80で形成される共通な面は略曲面で形成される内壁面(側壁)27を含む。
【0021】
図1に示されるように、第2導体層30は樹脂絶縁層20の第1面22上に形成されている。第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36を含む。図に示されていないが、第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成している。第2導体層30は主に銅によって形成される。第2導体層30は第1面22上のシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。シード層30aはスパッタリングによって形成されている。シード層30aは第1面22上の第1層31aと第1層31a上の第2層31bで形成されている。第1層31aは第1面22に接している。第2層31bは必須ではない。
【0022】
第2導体層30を形成する第1層31aと第1導体層10を形成する第1層11aは同様である。第2導体層30を形成する第2層31bと第1導体層10を形成する第2層11bは同様である。第2導体層30を形成する電解めっき層30bと第1導体層10を形成する電解めっき層10bは同様である。
【0023】
ビア導体40は開口26内に形成されている。ビア導体40は第1導体層10と第2導体層30を電気的に接続する。図1ではビア導体40はパッド14とランド36を電気的に接続する。ビア導体40はシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。ビア導体40を形成するシード層30aと第2導体層30を形成するシード層30aは共通である。ビア導体40を形成する電解めっき層30bと第2導体層30を形成する電解めっき層30bは共通である。ビア導体40を形成するシード層30aは、開口26の内壁面27上と開口26から露出するパッド14上に形成されている第1層31aと第1層31a上の第2層31bで形成されている。第1層31aはパッド14の上面と内壁面27に接している。
【0024】
図1図2に示されるように、シード層30aは、第1面22上の第1部分P1と、開口26の内壁面27上の第2部分P2と、開口26から露出するパッド14上の第3部分P3とを有している。第3部分P3を形成するシード層30aは開口26のボトム開口を塞いでいる。第3部分P3を形成する第1層31aは開口26のボトム開口を塞いでいる。ボトム開口はパッド14の上面上に位置する。
【0025】
図5図2の内壁面27上のシード層30a(第2部分P2)の一部を模式的に示す拡大断面図である。シード層30aの第2部分P2は内壁面27に接している。図2図3図5に示されるように、第2部分P2は、ほぼ平滑な第1膜110とほぼ平滑な第2膜120を有している。第1膜110と第2膜120は電気的に繋がっている。第1膜110と第2膜120は連続している。図3に示されるように、第1膜110の一部が第2膜120上に形成されている。第1膜110の先端112が第2膜120の後端122上に形成されている。第1膜110と第2膜120は同時に形成されている。第2部分P2の断面は略階段状の形状を有する。
【0026】
図5に示されるように、第2部分P2の第1層31aは第1膜110aと第2膜120aを有している。第1膜110aと第2膜120aは電気的に繋がっている。第1膜110aと第2膜120aは連続している。第1膜110aと第2膜120aは同時に形成されている。第1膜110aの先端112aが第2膜120aの後端122a上に形成されている。内壁面27を覆う第1層31aの断面は略階段状の形状を有する。内壁面27上の第1層31aは内壁面27に接している。
【0027】
第2部分P2の第2層31bは第1膜110bと第2膜120bを有している。第1膜110bと第2膜120bは電気的に繋がっている。第1膜110bと第2膜120bは同時に形成されている。第1膜110bの先端112bが第2膜120bの後端122b上に形成されている。内壁面27上に形成されている第2層31bの断面は略階段状の形状を有する。
【0028】
実施形態では、第1膜110の一部が第2膜120上に積層される。第1膜110の一部が第2膜120上に重なっている。第1膜110の先端112が第2膜120の後端122上に積層される。第1膜110の先端112が第2膜120の後端122上に重なっている。
【0029】
実施形態の内壁面27はほぼ平滑な面で形成されている。もし、第1層31aが内壁面27の形状に追従すると、内壁面27上の第1層31aはほぼ平滑な面を有する。第1層31aの断面は線状の形状を有する。内壁面27上のシード層30aはほぼ平滑な面を有する。第2部分P2の断面は線状の形状を有する。この場合、ビア導体40を形成する電解めっき層30bが平滑な面上に形成される。例えば、プリント配線板2が大きな衝撃を受けると、内壁面27上の第1層31aと第1層31a上の第2層31b間で剥がれが発生する。あるいは、内壁面27上のシード層30aとビア導体40を形成する電解めっき層30b間で剥がれが発生する。それに対し、実施形態のシード層30aと第1層31aの断面は階段状の形状を有する。そのため、剥がれが発生しがたい。
【0030】
図6はシード層30aの一部を示す拡大断面図である。図6(a)は図2中の符号VI-1で示される部分(第1部分P1)を示す。図6(b)は図2中の符号VI-2で示される部分(第2部分P2)を示す。図6(c)は図2中の符号VI-3で示される部分(第3部分P3)を示す。図6に示されるように、第1部分P1の厚さT1は、第2部分P2の厚さT2と第3部分P3の厚さT3より厚い。また、第3部分P3の厚さT3は第2部分P2の厚さT2より厚い。
【0031】
シード層30aが複数の層で形成される場合、厚さT1と厚さT2と厚さT3は各層の厚さの合計である。第1層31aの第1部分P1の厚さT1aは、第1層31aの第2部分P2の厚さT2aと第1層31aの第3部分P3の厚さT3aより厚い。また、第1層31aの第3部分P3の厚さT3aは第1層31aの第2部分P2の厚さT2aより厚い。他の層の厚さも第1層31aの厚さと同様な関係を有する。従って、シード層30aが2層で形成される場合、第2層31bの第1部分P1の厚さT1bは、第2層31bの第2部分P2の厚さT2bと第2層31bの第3部分P3の厚さT3bより厚い。また、第2層31bの第3部分P3の厚さT3bは第2層31bの第2部分P2の厚さT2bより厚い。
【0032】
第2部分P2の厚さT2と第1部分P1の厚さT1との比(第2部分P2の厚さT2/第1部分P1の厚さT1)は0.2以上、0.6以下である。第3部分P3の厚さT3と第1部分P1の厚さT1との比(第3部分P3の厚さT3/第1部分P1の厚さT1)は0.5以上0.9以下である。
【0033】
第2層31bの厚さは第1層31aの厚さより厚い。厚さT1bは厚さT1aより厚い。厚さT2bは厚さT2aより厚い。厚さT3bは厚さT3aより厚い。
【0034】
シード層30aが第1層31aのみで形成される場合、第1層31aの第1部分P1の厚さT1aは、第1層31aの第2部分P2の厚さT2aと第1層31aの第3部分P3の厚さT3aより厚い。また、第1層31aの第3部分P3の厚さT3aは第1層31aの第2部分P2の厚さT2aより厚い。
【0035】
シード層30aの第1部分P1の厚さT1は、0.02μm以上1.0μm以下である。第1層31aの第1部分P1の厚さT1aは、0.01μm以上0.5μm以下である。第2層31bの第1部分P1の厚さT1bは、0.01μm以上0.9μm以下である。シード層30aの第1部分P1の厚さT1が0.02μm未満であると、樹脂絶縁層20とシード層30a間の密着強度が低い。第1部分P1の厚さT1が1.0μmを越えると、シード層30aを除去するためのエッチング量が多い。配線幅の制御が難しい。
【0036】
シード層30aの第2部分P2の厚さT2は、0.004μm以上0.6μm以下である。第1層31aの第2部分P2の厚さT2aは、0.002μm以上0.3μm以下である。第2層31bの第2部分P2の厚さT2bは、0.002μm以上0.54μm以下である。
【0037】
シード層30aの第3部分P3の厚さT3は、0.01μm以上0.9μm以下である。第1層31aの第3部分P3の厚さT3aは、0.005μm以上0.45μm以下である。第2層31bの第3部分P3の厚さT3bは、0.005μm以上0.81μm以下である。
【0038】
図に示されないが、プリント配線板2の各辺の長さは50mm以上である。各辺の長さは100mm以上であることが好ましい。各辺の長さは250mm以下である。実施形態によって形成される信号配線の長さは5mm以上である。信号配線の長さは10mm以上、20mm以下であってもよい。
【0039】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
図7A図7Gは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。図7A図7C図7E図7Fは断面図である。図7D図7Gは拡大断面図である。図7Aは絶縁層4と絶縁層4の第3面6上に形成されている第1導体層10を示す。第1導体層10はセミアディティブ法によって形成される。第1層11aと第2層11bはスパッタリングで形成される。第1層11aは銅とアルミニウムと特定金属を含有する合金で形成される。特定金属の例は、ケイ素、または、ニッケルである。第2層11bは銅で形成される。電解めっき層10bは電解めっきで形成される。電解めっき層10bは銅で形成される。
【0040】
図7Bに示されるように、絶縁層4と第1導体層10上に樹脂絶縁層20と保護膜50が形成される。樹脂絶縁層20の第2面24が絶縁層4の第3面6と対向している。樹脂絶縁層20の第1面22上に保護膜50が形成されている。樹脂絶縁層20は樹脂80と無機粒子90(第2無機粒子92)を有する。無機粒子90は樹脂80内に埋まっている。
【0041】
保護膜50は樹脂絶縁層20の第1面22を完全に覆っている。保護膜50の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。保護膜50と樹脂絶縁層20との間に離型剤が形成されている。
【0042】
図7Cに示されるように、保護膜50の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは保護膜50と樹脂絶縁層20を同時に貫通する。第1導体層10のパッド14に至るビア導体用の開口26が形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO2レーザ光である。開口26によりパッド14が露出される。開口26が形成される時、第1面22は保護膜50で覆われている。そのため、開口26が形成される時、樹脂が飛散しても、第1面22に樹脂が付着することが抑制される。
【0043】
図7Dは、レーザ光照射後の開口26の内壁面27bを示す。内壁面27bは樹脂80と樹脂80から突出している無機粒子90で形成されている。内壁面の形状を制御するため、レーザ光照射後の内壁面27bは処理される。樹脂80から突出している無機粒子90を選択的に除去することが好ましい。これにより、無機粒子90から第1無機粒子91が形成される。例えば、レーザ光照射後の内壁面27bを薬品で処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。あるいは、レーザ光照射後の内壁面27bをプラズマで処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。選択的に除去することは、無機粒子90のエッチング速度が樹脂80のエッチング速度より大きいことを含む。例えば、両者のエッチング速度差は10倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は50倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は100倍以上である。レーザ光照射後の内壁面27bを処理することで、平坦部91a(図2参照)を有する第1無機粒子91が得られる。レーザ光照射後の内壁面27bを処理するための条件を制御することで、内壁面27bの形状を制御することができる。条件の例は、温度、濃度、時間、ガスの種類や圧力である。無機粒子90のエッチング速度と樹脂のエッチング速度が制御される。
【0044】
樹脂絶縁層20にレーザ光Lを照射することで、樹脂80に埋まっている第2無機粒子92の一部がレーザ光照射後の内壁面27bを形成する。レーザ光照射後の内壁面27bを形成する第2無機粒子92は、樹脂80から突出している突出部分Pと樹脂80に埋まっている部分Eで形成される。レーザ光照射後の内壁面27bが処理される。例えば、四フッ化メタンを含むガスのプラズマで内壁面27bが処理される。突出部分Pが選択的に除去され、実施形態の内壁面27(図1図2)が形成される。第2無機粒子92から第1無機粒子91が形成される。突出部分Pを選択的に除去することで、平坦部91aを有する第1無機粒子91が形成される。平坦部91aは平面である。球の形を持つ第2無機粒子92が平面で切断されると、第1無機粒子91の形状が得られる。内壁面27は平坦部91aと樹脂80の面80aで形成され、平坦部91aの露出面91bと樹脂80の面80aはほぼ同一平面上に位置する。例えば、スパッタリングで内壁面27b上にシード層30aが形成されると、突出部分Pはスパッタ膜(スパッタリング製膜)の成長を阻害する。例えば、内壁面27b上に連続しているシード層30aが形成されない。あるいは、シード層30aの厚みを大きくしなければならない。微細な導体回路を形成することができない。実施形態では、突出部分Pが除去される。スパッタリングで形成されるシード層30aの厚みを薄くできる。スパッタリングで形成されるシード層30aの厚みが薄くても、連続しているシード層30aが得られる。
【0045】
開口26を形成することは、突出部分Pを有する無機粒子(第2無機粒子92)90を形成することを含む。突出部分Pは開口26の内壁面27bを形成する樹脂80から突出している。第1無機粒子91は無機粒子(第2無機粒子92)90の突出部分Pを除去することで形成される。開口26の内壁面27は第1無機粒子91の露出面91bを含む。第1無機粒子91の露出面91bは突出部分Pを除去することで形成される。
【0046】
球の形を持つ第2無機粒子92を平面で切断することで第1無機粒子91の形状を得ることは、無機粒子90の突出部分Pを除去することを含む。実際の開口26の内壁面27は略曲面である。突出部分Pを除去することで平坦部91aが形成されるので、平坦部91aの露出面91bは曲面を含む。すなわち、平坦部91aと樹脂80で共通な面を形成することは実質的な曲面で形成される内壁面27を形成することを含む。
【0047】
内壁面27上に凹凸が形成されない。内壁面27は平滑に形成される。図3に示されるように、内壁面27を形成する樹脂80の面80aと第1無機粒子91の平坦部91aの境界部には段差28が形成されている。段差28が形成されていても、段差28が小さいので、露出面91bと樹脂80の面80aはほぼ共通な面を形成する。レーザ光照射後の内壁面27bを処理するための条件を制御することで、凹凸の大きさや段差28の大きさが制御される。
【0048】
開口26内が洗浄される。開口26内を洗浄することにより開口26形成時に発生する樹脂残渣が除去される。開口26内の洗浄はプラズマによって行われる。即ち洗浄はドライプロセスで行われる。洗浄はデスミア処理を含む。
【0049】
開口26内が洗浄される時、樹脂絶縁層20の第1面22は保護膜50で覆われている。第1面22はプラズマの影響を受けない。第1面22は樹脂80のみで形成されている。第1面22から無機粒子90は露出しない。第1面22は無機粒子90の表面を含まない。樹脂絶縁層20の第1面22は凹凸を有さない。第1面22は平滑に形成されている。
【0050】
レーザ光照射後の内壁面27bを処理することが開口26内を洗浄することを含む場合、開口26内を洗浄することを削除することができる。
【0051】
図7Eに示されるように、開口26内を洗浄することの後に、樹脂絶縁層20から保護膜50が除去される。レーザ光照射後の内壁面27bを処理することが開口26内を洗浄することを含む場合、レーザ光照射後の内壁面27bを処理することの後に、樹脂絶縁層20から保護膜50が除去される。レーザ光照射後の内壁面27bが処理される時、保護膜50は樹脂絶縁層20の第1面22を覆っている。保護膜50除去後、樹脂絶縁層20の第1面22を荒らすことは行われない。
【0052】
図7Fに示されるように、樹脂絶縁層20の第1面22上にシード層30aが形成される。シード層30aはスパッタリングによって形成される。シード層30aの形成はドライプロセスで行われる。例えば、スパッタリングはマスクを介して行われる。まず、各ビア導体用の開口26を覆う第1マスクが樹脂絶縁層20上に配置される。第1マスクは樹脂絶縁層20の第1面22のみを露出する。第1マスクを介して樹脂絶縁層20の第1面22上に厚さT1aを有する第1部分P1が形成される。第1マスクが除去される。各ビア導体用の開口26の内壁面27のみを露出する第2マスクが樹脂絶縁層20上に配置される。第2マスクを介して内壁面27上に厚さT2aを有する第2部分P2が形成される。第2マスクが除去される。各ビア導体用の開口26から露出されるパッド14のみを露出する第3マスクが樹脂絶縁層20上に配置される。第3マスクを介してパッド14上に厚さT3aを有する第3部分P3が形成される。第3マスクが除去される。これにより、第1層31aが第1面22上に形成される。開口26から露出する内壁面27とパッド14上に第1層31aが形成される。その後、第1層31a上に第2層31bが形成される。第1層31aの形成方法と第2層31bの形成方法は同様である。第1層31aは銅とアルミニウムと特定金属(例えば、ケイ素)を含有する合金で形成される。第2層31bは銅で形成される。
【0053】
スパッタリングで第1層31aと第2層31bが形成される。スパッタリングの条件の例が次に示される。ターゲットと樹脂絶縁層20の第1面22間の距離が50mm以上250mm以下である。電圧が15eV以上50eV以下である。ガス濃度が0.1Pa以上1.0Pa以下である。例えば、処理時間を変えることで、シード層30aの第1部分P1の厚さT1と第2部分P2の厚さT2と第3部分P3の厚さT3を調整することができる。第1層31aの第1部分P1の厚さT1aは、第1層31aの第2部分P2の厚さT2aおよび第1層31aの第3部分P3の厚さT3aより厚い。また、第1層31aの第3部分P3の厚さT3aは第1層31aの第2部分P2の厚さT2aより厚い。第2層31bの第1部分P1の厚さT1bは、第2層31bの第2部分P2の厚さT2bおよび第2層31bの第3部分P3の厚さT3bより厚い。また、第2層31bの第3部分P3の厚さT3bは第2層31bの第2部分P2の厚さT2bより厚い。この結果、シード層30aの第1部分P1の厚さT1は第2部分P2の厚さT2および第3部分P3の厚さT3より厚い。シード層30aの第3部分P3の厚さT3は第2部分P2の厚さT2より厚い。
【0054】
第2層31bの厚さと第1層31aの厚さとの比(第2層31bの厚さ/第1層31aの厚さ)は1.2以上2以下である。比(厚さT1b/厚さT1a)と比(厚さT2b/厚さT2a)、比(厚さT3b/厚さT3a)は1.2以上2以下である。
【0055】
第1部分P1は樹脂絶縁層20の第1面22上に形成され、第2部分P2は樹脂絶縁層20の内壁面27上に形成されている。第1部分P1と第2部分P2は共に樹脂絶縁層20上に形成されている。第1部分P1はランド36と第1信号配線32、第2信号配線34のシード層30aを形成する。第2部分P2はビア導体40のシード層30aを形成する。樹脂絶縁層20の熱膨張係数とシード層30aの熱膨張係数は異なる。そのため、プリント配線板2が熱衝撃を受けると、シード層30aにストレスが働くと考えられる。普通、第1信号配線32と第2信号配線34はビア導体40よりかなり長く曲がっている部分を含む。そのため、大きなストレスが第1信号配線32と第2信号配線34内の曲がっている部分に集中するはずである。それに対し、ビア導体40は短く、ほぼ真っすぐに形成されている。そのため、ビア導体40に関しては、ストレスの集中は起こりがたい。従って、樹脂絶縁層20の第1面22上のシード層30aの破断を避けるために、第1信号配線32と第2信号配線34を形成するシード層30aの厚さは大きいことが好ましい。それに対し、ビア導体40を形成する内壁面27上のシード層30aの厚みは小さくてもよい。そのため、実施形態は、厚さT1を厚さT2より大きくしている。
【0056】
第2部分P2の厚さT2を薄くすることで、シード層30aを形成するために必要な時間を短縮することができる。
【0057】
シード層30aの第1層31aは銅とアルミニウムとケイ素を含有する合金によって形成されている。アルミニウムは高い延性と高い展性を有する。そのため、樹脂絶縁層20と第1層31a間の密着力が高い。ヒートサイクルにより樹脂絶縁層20が伸縮したとしても、アルミニウムを含むシード層30aがその伸縮に追従することができると考えられる。第1面22が平滑であっても、シード層30aは樹脂絶縁層20から剥がれ難い。アルミニウムは酸化しやすいと考えられる。第1無機粒子91が酸素を含む無機粒子90であると、開口26の内壁面27上に形成される第1層31aは内壁面27を形成する無機粒子90内の酸素を介して第1無機粒子91に密着すると考えられる。第1層31aと内壁面27が強く接合される。開口26の内壁面27と第1層31a間の密着力を高くすることができる。シード層30aは内壁面27から剥がれ難い。内壁面27を形成する無機粒子90は酸素を含むことが好ましい。
【0058】
第1面22は平坦性に優れる。スパッタリングを用いて第1面22上にシード層30aが形成されるとき、ターゲットと第1面22間の距離がほぼ一定である。ほぼ均一な厚みを有するシード層30a(第1部分P1、第2部分P2、第3部分P3)を形成することができる。
【0059】
図7Gに示されるように、内壁面27上に形成される第1層31aは、第1膜110aと第2膜120aを有する。第1膜110aと第2膜120aは同時に形成されている。第1膜110aと第2膜120aは電気的に繋がっている。第1膜110aの先端112aが第2膜120aの後端122a上に形成されている。内壁面27上に形成されている第1層31aの断面は略階段状の形状を有する。
【0060】
内壁面27を覆う第1層31a上に形成される第2層31bは、第1膜110bと第2膜120bを有する。第1膜110bと第2膜120bは同時に形成されている。第1膜110bと第2膜120bは電気的に繋がっている。第1膜110bの先端112bが第2膜120bの後端122b上に形成されている。内壁面27上に形成されている第2層31bの断面は略階段状の形状を有する。
【0061】
実施形態の内壁面27は樹脂80の面80aと第1無機粒子91の露出面91bで形成されている。両者はほぼ共通な面を形成する。樹脂の面80aと露出面91bは異なる材料で形成される。そして、第1層31aはスパッタリングで形成される。樹脂80の面80a上に形成される第1層31aの成長と露出面91b上に形成される第1層31aの成長が異なると考えられる。樹脂80の面80a上に形成されるシード層30aの成長と露出面91b上に形成されるシード層30aの成長が異なると考えられる。そのため、実施形態では、内壁面27上に第1膜110aと第2膜120aが形成されると考えられる。第1膜110aの先端112aが第2膜120aの後端122a上に形成されると考えられる。内壁面27上の第1層31aの断面は略階段状の形状を有すると考えられる。内壁面27上の第2層31bは第1層31aに追従すると考えられる。従って、内壁面27上の第2層31bは第1膜110bと第2膜120bを有すると考えられる。第2層31bの第1膜110bの先端112bが第2層31bの第2膜120bの後端122b上に形成されると考えられる。内壁面27上の第2層31bの断面は略階段状の形状を有すると考えられる。同様にシード層30aの第2部分P2は第1膜110と第2膜120を有すると考えられる。シード層30aの第1膜110の先端112がシード層30aの第2膜120の後端122上に形成されると考えられる。内壁面27上のシード層30aの断面は略階段状の形状を有すると考えられる。
【0062】
第2部分P2を形成する第1層31aは第1膜110aと第2膜120aで形成される。第2部分P2を形成する第1層31aの断面は略階段状の形状を有する。第2部分P2を形成する第2層31bは第1膜110bと第2膜120bで形成される。第2部分P2を形成する第2層31bの断面は略階段状の形状を有する。第2部分P2を形成するシード層30aは第1膜110と第2膜120で形成される。第2部分P2を形成するシード層30aの断面は略階段状の形状を有する。
【0063】
内壁面27上の第1層31aはほぼ平滑な内壁面27上に形成される。そのため、実施形態は第1層31aの第1膜110aの表面と第1層31aの第2膜120aの表面をほぼ平滑に形成することができる。同様に、第2層31bの第1膜110bの表面と第2層31bの第2膜120bの表面をほぼ平滑に形成することができる。第2部分P2の第1膜110の表面と第2部分P2の第2膜120の表面をほぼ平滑に形成することができる。表面が平滑であると伝送損失を小さくすることができる。
【0064】
内壁面27が図3に示される段差28を有すると、スパッタリングを用いて第1膜110aと第2膜120aを有する第1層31aを容易に形成することができる。第1膜110と第2膜120を有するシード層30aを容易に形成することができる。第1膜110aの先端112aを第2膜120aの後端122a上に形成することができる。第1膜110の先端112を第2膜120の後端122上に形成することができる。実質的に階段状の形状を有する第1層31aを容易に形成することができる。実質的に階段状の形状を有するシード層30aを容易に形成することができる。
【0065】
シード層30a上にめっきレジストが形成される。めっきレジストは、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36(図1)を形成するための開口を有する。
【0066】
めっきレジストから露出するシード層30a上に電解めっき層30bが形成される。電解めっき層30bは銅で形成される。電解めっき層30bは開口26を充填する。第1面22上のシード層30aと電解めっき層30bによって、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36(図1)が形成される。第2導体層30が形成される。開口26内のシード層30aと電解めっき層30bによって、ビア導体40(図1)が形成される。ビア導体40は、パッド14とランド36を接続する。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成する。
【0067】
シード層30a形成後のビア導体40用の開口260が図7Fに示されている。厚さT2が薄いと、開口260の体積を大きくすることができる。そのため、電解めっき液が開口260内に入りやすい。ビア導体40を形成する電解めっき層30b内にボイドが形成され難い。低い抵抗を有するビア導体40を形成することができる。開口26の開口径(パッド14上の径)D(図7E参照)が30μm以下でも、ボイドを含まないビア導体40を形成することができる。開口径Dが10μm以上、25μm以下であっても、ビア導体40を介する接続信頼性が長期間安定である。このように、第2部分P2の厚さT2を小さくすることで、コストや生産性、信頼性を改善することができる。従って、厚さT2は厚さT1より小さいことが好ましい。
【0068】
めっきレジストが除去される。電解めっき層30bから露出するシード層30aが除去される。第2導体層30とビア導体40は同時に形成される。実施形態のプリント配線板2(図1)が得られる。
【0069】
パッド14を形成する電解めっき層10bとビア導体40を形成する電解めっき層30bは第3部分P3を形成するシード層30aを挟んでいる。シード層30aはスパッタリングを用いて形成される。電解めっきとスパッタリングは異なる手法なので、プリント配線板2が熱衝撃を受けると、両者の収縮量や膨張量は異なると考えられる。そのため、ビア導体40を介する接続信頼性はシード層30aとパッド14を形成する電解めっき層10b間で低下しやすい。あるいは、接続信頼性は、シード層30aとビア導体40を形成する電解めっき層30b間で低下しやすい。接続信頼性に対するスパッタリング製シード層30aの影響度を小さくするため、パッド14上のスパッタリング製シード層30aの厚さは薄いことが好ましい。そのため、実施形態は、第3部分P3の厚さT3を薄くする。具体的には、実施形態は厚さT3を厚さT1より小さくする。これにより、ビア導体40がスパッタリング製シード層30aと電解めっき層30bを有しても、高い接続信頼性を有するプリント配線板2を提供することができる。
【0070】
実施形態のプリント配線板2では、第2部分P2を形成する第1膜110の一部が第2膜120上に形成されている。第1膜110と第2膜120が部分的に重なっている。そのため、第2部分P2の強度を高くすることができる。第2部分P2が破断しがたい。第2部分P2は、ほぼ平滑な第1膜110とほぼ平滑な第2膜120で形成される。そのため、高周波信号が伝送される時、伝送損失が小さい。また、シード層30aの第1部分P1の厚さT1は第2部分P2の厚さT2と第3部分P3の厚さT3より厚い。そのため、第1面22上のシード層30a(第1部分P1)が破断しがたい。高品質のプリント配線板2が提供される。
【0071】
信号や電源がパッド14からビア導体40に移動する時、信号や電源はシード層30aの第1層31aを通る。第1層31aを形成する合金に含まれるアルミニウムの比抵抗は銅の比抵抗より大きい。そのため、信号や電源が第1層31a内を流れる時、第1層31aを移動する距離は短いことが好ましい。実施形態では第1層31aの第1部分P1の厚さT1aが第2部分P2の厚さT2aと第3部分P3の厚さT3aより厚い。そのため信号や電源がパッド14からビア導体40に移動する時、第1層31aの第3部分P3を通過する距離が短い。また、信号や電源はシード層30aの第3部分P3から電解めっき層30bに直接移動しやすい。信号や電源が第3部分P3から第2部分P2に移動することなく、第3部分P3からビア導体40を形成する電解めっき層30bに移動することが好ましい。実施形態では、第2部分P2の厚さT2は第1部分P1の厚さT1および第3部分P3の厚さT3より小さい。そのため、第2部分P2の抵抗を大きくすることができる。電流は低い抵抗を有する部分を流れるので、信号や電源は第3部分P3からビア導体40を形成する電解めっき層30bに直接移動しやすい。シード層30aがビア導体40を介する信号の伝送速度や電源供給に悪影響を与え難い。プリント配線板2にロジックICが実装されても、ロジックICが誤動作しがたい。
【0072】
ビア導体40用の開口26の内壁面27は樹脂80と第1無機粒子91の平坦部91aの露出面91bで形成されている。第1層31aが形成されるとき、スパッタ膜(スパッタリング製膜)を形成する粒子が内壁面27の第1無機粒子91に付着すると考えられる。スパッタ膜を形成する粒子は第1無機粒子91の中に埋まらないと考えられる。内壁面27上に薄くて連続するシード層30aを形成することができる。シード層30aが除去される時、エッチング量が少ない。そのため電解めっき層30bのエッチング量が少ない。信号配線が設計値通りの幅を有する。微細な信号配線を形成することができる。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0073】
実施形態のプリント配線板2では樹脂絶縁層20の第1面22は樹脂のみで形成されている。第1面22から無機粒子は露出しない。第1面22には凹凸が形成されない。樹脂絶縁層20の第1面22近傍部分の比誘電率の標準偏差が大きくなることが抑制される。第1面22の比誘電率は場所によって大きく変わらない。第1信号配線32と第2信号配線34が第1面22に接していても、第1信号配線32と第2信号配線34間の電気信号の伝搬速度の差を小さくすることができる。そのため、実施形態のプリント配線板2ではノイズが抑制される。実施形態のプリント配線板2にロジックICが実装されても、第1信号配線32で伝達されるデータと第2信号配線34で伝達されるデータがロジックICにほぼ遅延なく到達する。ロジックICの誤動作を抑制することができる。第1信号配線32の長さと第2信号配線34の長さが5mm以上であっても、両者の伝搬速度の差を小さくすることができる。第1信号配線32の長さと第2信号配線34の長さが10mm以上、20mm以下であっても、ロジックICの誤動作を抑制することができる。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0074】
[実施形態の別例1]
実施形態の別例1では、シード層10a、30aの第1層11a、31aを形成する合金に含まれる特定金属は、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ケイ素、マグネシウムのうちの少なくとも1つである。
【0075】
[実施形態の別例2]
実施形態の別例2では、シード層10a、30aの第1層11a、31aを形成する合金は炭素を含有していない。
【0076】
[実施形態の別例3]
実施形態の別例3では、シード層10a、30aの第1層11a、31aを形成する合金は酸素を含有していない。
【0077】
本明細書内では、平面は内壁面の形状と平坦部91aの形状、第1無機粒子91の形状に対し用いられている。これらに対し用いられている平面の意味は図1図2に示されている。すなわち、図1図2では、内壁面はほぼまっすぐに描かれている。図1図2中の内壁面の形状はほぼ直線である。本明細書内の平面は、断面中に示されている実質的な直線を含む。図1図2の第1無機粒子91の断面に示されるように、断面では、平面で切断することは直線で切断することを含む。本明細書内の平面は完全な平面を意味せず実質的な平面を含む。実質的な平面は小さな凹凸を含んでもよい。
【符号の説明】
【0078】
2:プリント配線板
4:絶縁層
10:第1導体層
10a:シード層
10b:電解めっき層
11a:第1層
11b:第2層
20:樹脂絶縁層
22:第1面
24:第2面
26:開口
27:内壁面
28:段差
30:第2導体層
30a:シード層
30b:電解めっき層
31a:第1層
31b:第2層
40:ビア導体
80:樹脂
90:無機粒子
91:第1無機粒子
91a:平坦部
91b:露出面
92:第2無機粒子
110、110a、110b:第1膜
112、112a、112b:先端
120、120a、120b:第2膜
122、122a、122b:後端
P1:第1部分
P2:第2部分
P3:第3部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G