(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049333
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】検知装置および故障検出システム
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20240402BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
G01D11/24 K
G01H17/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128707
(22)【出願日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2022154748
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】305018823
【氏名又は名称】盛岡セイコー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 徐以
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AA01
2G064AA11
2G064AB02
2G064AB22
2G064BA02
2G064BD02
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】誤動作を抑制することが可能な検知装置および故障検出システムを提供する。
【解決手段】検知装置10は、対象物40と接触可能な第1面11a、および第1面11aの反対側に配置された第2面11b、を有する基体11と、基体11の第2面11b上に配置され、対象物40の情報を検知するセンサ12と、センサ12を覆うように配置され、基体11の第2面11bとの間に隙間17が設けられるように、基体11の第2面11bに対して固定されたケース20と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物と接触可能な第1面、および前記第1面の反対側に配置された第2面、を有する基体と、
前記基体の前記第2面上に配置され、前記対象物の情報を検知するセンサと、
前記センサを覆うように配置され、前記基体の前記第2面との間に隙間が設けられるように、前記基体の前記第2面に対して固定されたケースと、
を備える検知装置。
【請求項2】
前記ケースは、前記基体の前記第2面に向かって突出する第1の凸部を備え、
前記ケースは、前記第1の凸部においてのみ、前記基体の前記第2面に対して隙間を有しないように配置されている、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記ケースは、
前記基体の前記第2面に向かって突出する第1の凸部と、
前記基体の前記第2面に向かって突出し、前記第1の凸部の周囲に設けられた第2の凸部と、
を備え、
前記ケースは、前記第1の凸部および前記第2の凸部においてのみ、前記基体の前記第2面に対して隙間を有しないように配置されている、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項4】
前記センサにおいて検知した前記情報に対して信号処理を行う回路基板と、
前記センサおよび前記回路基板に対して電力を供給する電池と、
をさらに備え、前記回路基板および前記電池は、前記ケースに固定される、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項5】
前記ケースは、第1ケースおよび第2ケースに分割される構成であり、
前記回路基板および前記電池は、前記第1ケースに固定される、
請求項4に記載の検知装置。
【請求項6】
対象物に固定される検知装置と、
前記検知装置から出力される信号に基づいて、前記対象物の故障を検出する受信部と、
を備え、
前記検知装置は、
前記対象物と接触可能な第1面、および前記第1面の反対側に配置された第2面、を有する基体と、
前記基体の前記第2面上に配置され、前記対象物の情報を検知するセンサと、
前記センサを覆うように配置され、前記基体の前記第2面との間に隙間が設けられるように、前記基体の前記第2面に対して固定されたケースと、
を備える故障検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置および故障検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の機器、装置等の制御、監視等を行うため、検知装置を設置することが行われている。特許文献1に記載された検知装置では、センサが搭載された基板が筐体に収容されている。この筐体は、センサを搭載した底板と、センサを収容するための開口部を有するカバーから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、検知装置が設置される対象物に取り付けられる基体と、センサを収容するケースとを備える検知装置において、ケース内に種々の要素を収容する場合がある。対象物から基体に伝導した熱、振動等は、センサに検知される。基体とケースとが接触していると、熱、振動等がケースまたはケース内の他の要素に伝導する。これが検知装置の誤動作の原因になる場合がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、誤動作を抑制することが可能な検知装置および故障検出システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、対象物と接触可能な第1面、および前記第1面の反対側に配置された第2面、を有する基体と、前記基体の前記第2面上に配置され、前記対象物の情報を検知するセンサと、前記センサを覆うように配置され、前記基体の前記第2面との間に隙間が設けられるように、前記基体の前記第2面に対して固定されたケースと、を備える検知装置を提供する。
【0007】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ケースは、前記基体の前記第2面に向かって突出する第1の凸部を備え、前記ケースは、前記第1の凸部においてのみ、前記基体の前記第2面に対して隙間を有しないように配置されている。
【0008】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記ケースは、前記基体の前記第2面に向かって突出する第1の凸部と、前記基体の前記第2面に向かって突出し、前記第1の凸部の周囲に設けられた第2の凸部と、を備え、前記ケースは、前記第1の凸部および前記第2の凸部においてのみ、前記基体の前記第2面に対して隙間を有しないように配置されている。
【0009】
本発明の第4の態様は、第1の態様において、前記センサにおいて検知した前記情報に対して信号処理を行う回路基板と、前記センサおよび前記回路基板に対して電力を供給する電池と、をさらに備え、前記回路基板および前記電池は、前記ケースに固定される。
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記ケースは、第1ケースおよび第2ケースに分割される構成であり、前記回路基板および前記電池は、前記第1ケースに固定される。
【0010】
本発明の第6の態様は、対象物に固定される検知装置と、前記検知装置から出力される信号に基づいて、前記対象物の故障を検出する受信部と、を備え、前記検知装置は、前記対象物と接触可能な第1面、および前記第1面の反対側に配置された第2面、を有する基体と、前記基体の前記第2面上に配置され、前記対象物の情報を検知するセンサと、前記センサを覆うように配置され、前記基体の前記第2面との間に隙間が設けられるように、前記基体の前記第2面に対して固定されたケースと、を備える故障検出システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検知装置の誤動作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の検知装置の一例を示す外観斜視図である。
【
図2】実施形態の検知装置の一例を示す分解斜視図である。
【
図3】実施形態の検知装置の要部を示す部分拡大断面図である。
【
図4】実施形態の検知装置の要部を示す部分分解斜視図である。
【
図5】実施形態の故障検出システムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【0014】
図1は、実施形態の検知装置10の一例を示す外観斜視図である。
図2は、検知装置10の分解斜視図である。
図3は、検知装置10の要部を示す部分拡大断面図である。
図4は、検知装置10の要部を示す部分分解斜視図である。
【0015】
図1~
図3に示すように、検知装置10は、対象物40(
図3)と接触可能な基体11と、対象物40(
図3)の情報を検知するセンサ12と、基体11に対して固定されたケース20とを備えている。
【0016】
対象物40は、検知装置10のセンサ12により情報が検知される対象の装置等である。対象物40としては、特に限定されないが、駆動装置、加工装置、組立装置、測定装置、検査装置、処理装置、搬送装置などが挙げられる。
【0017】
基体11は、対象物40と接触可能な第1面11a、および第1面11aの反対側に配置された第2面11bを有する。第2面11bは、対象物40から離れた側に形成された面である。第1面11aおよび第2面11bが、基体11の厚さ方向の両側に配置されてもよい。
【0018】
図示例では、第1面11aが下側、第2面11bが上側に配置されている。この場合、検知装置10は、対象物40から上向きに取り付けられる。特に図示しないが、上向きとは異なる向きに検知装置10が取り付けられてもよい。
【0019】
基体11は、センサ12が搭載される基体である。基体11は、センサ12が搭載される搭載部11cを第2面11bに有する。図示例の基体11は、板状のベースプレートである。基体11が平板状であってもよく、第1面11aまたは第2面11bに凹部、凸部等を有する立体状であってもよい。
【0020】
基体11の材質は特に限定されないが、ステンレス等の金属、セラミック等の電気絶縁体が挙げられる。基体11は、耐熱性、剛性等の耐久性を有することが好ましい。センサ12で温度を測定する場合は、対象物40との温度差を抑制するのに十分な熱伝導性を有することが好ましい。
【0021】
基体11の第1面11aは、単一の平面でなくてもよく、2以上の平面を含んでもよいし、1以上の曲面、1以上の凸部、または1以上の凹部を含んでもよい。第1面11aは、対象物40の形状と適合する形状を有することが好ましい。第1面11aが曲面から形成されてもよい。
【0022】
図示例の基体11は、第1面11a側で基体11を対象物40に取り付けるための取付部11dを有する。取付部11dは、第1面11aに設けられる凹部の一例である。
【0023】
図示例の取付部11dは、第2面11bに到達しない有底の穴である。特に図示しないが、ねじ等の固定部材を取付部11dに挿入して、基体11を対象物40に取り付けることにより、検知装置10を対象物40に固定することができる。
【0024】
なお、検知装置10の対象物40に対する固定手段はねじ等の固定部材に限定されない。例えば磁性材料によって基体を構成し、検知装置10と対象物40とを磁力により固定してもよい。この場合、対象物40に対する検知装置10の取り付けは容易になる。
【0025】
基体11の第2面11bは、単一の平面でなくてもよく、2以上の平面を含んでもよいし、1以上の曲面、1以上の凸部、または1以上の凹部を含んでもよい。第2面11bは、ケース20の形状と適合する形状を有することが好ましい。第2面11bが曲面から形成されてもよい。
【0026】
図示例の基体11は、第2面11b側で搭載部11cの周囲に、第1封止部材14が配置される溝部11eを有する。搭載部11cは、第2面11bに設けられる凸部の一例であり、溝部11eは、第2面11bに設けられる凹部の一例である。
【0027】
第1封止部材14は、基体11とケース20との間を封止する部材である。第1封止部材14としては、例えば、Oリング、パッキン、ガスケット等が挙げられる。第1封止部材14は、合成ゴム、エラストマー等の柔軟な弾性体から形成されてもよい。第1封止部材14がセンサ12の周囲に配置されることにより、センサ12を収容する空間を気密または液密に封止することができる。
【0028】
センサ12は、対象物40の情報を検知する。図示例のセンサ12は、センサIC等のセンサ素子12aと、センサ素子12aを支持するセンサ基板12bとを備えている。センサ基板12bには、ケーブル13が接続されている。センサ基板12bとしては、特に限定されないが、ガラスエポキシ基板、樹脂基板、セラミックス基板、金属基板等が挙げられる。絶縁体のセンサ基板12bを用い、センサ12と基体11との間の電気絶縁を確保することも可能である。
【0029】
センサ12は、基体11の第2面11b上に配置されている。基体11が導電性を有する場合、センサ基板12bと基体11との間の電気絶縁を確保することが好ましい。特に図示しないが、センサ基板12bと基体11との間に絶縁フィルムを介在させてもよい。また、センサ基板12bの基体11側の面に絶縁材料を被覆してもよい。絶縁フィルム等の絶縁材料としては、樹脂、セラミックス等の電気絶縁体が挙げられる。基体11が導電性を有しない場合は、絶縁フィルムを省略することができる。
【0030】
図示例では、ねじ15を介して、センサ12が基体11に固定されている。センサ12は、センサ基板12bを貫通して形成された挿通穴15aを有する。基体11は搭載部11cに形成された取付穴15bを有する。取付穴15bは、第2面11bに開口した有底の穴である。ねじ15は、挿通穴15aおよび取付穴15bを通じて、センサ12を基体11に固定する。
【0031】
センサ12により検知される情報は、特に限定されないが、センサ12と対象物40との間に基体11が介在しても伝導可能な情報であることが好ましい。情報の具体例としては、振動、回転、速度、加速度、角速度、角加速度、音響、温度などが挙げられる。
【0032】
例えば、センサ12が振動を検知する場合は、検知装置10を振動センサとして用いることができる。この場合、上述の例示を制限するものではないが、振動センサに好適な対象物40として、モータ、ポンプ、ファン、ブロア、ベアリング、ギアボックス、コンプレッサー、工作機械、振動試験機等が挙げられる。
【0033】
ケース20は、基体11の第2面11bに対して固定されており、センサ12を覆うように配置されている。ケース20の材質は、特に限定されないが、樹脂、金属等が挙げられる。図示例の検知装置10は、ケース20の高さが、基体11の横幅または径よりも大きくされている。特に図示しないが、ケース20の高さが、基体11の横幅または径よりも小さく設計することも可能である。
【0034】
ケース20は、センサ12等の内蔵部品を保護するのに十分な耐久性を有することが好ましい。耐熱性、成形性等を兼ね備えたポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアミド等のエンジニアリングプラスチックを用いてもよい。樹脂には無機酸化物等のフィラーを配合することもできる。
【0035】
ケース20の形状は特に限定されないが、基体11側が開口した筒状の側壁部と、側壁部の基体11とは反対側を閉鎖する上壁部とを有してもよい。側壁部は、円筒状、角筒状などであってもよい。上壁部は、半球状、平面状などであってもよい。
【0036】
ケース20と、基体11の第2面11bとの間には、隙間17が設けられている。図示例のケース20は、基体11の第2面11bと向かい合う側に、第3面20aを有する。この場合の隙間17は、第2面11bと第3面20aとの間に確保される。
【0037】
ケース20の第3面20aは、単一の平面でなくてもよく、2以上の平面を含んでもよいし、1以上の曲面、1以上の凸部、または1以上の凹部を含んでもよい。図示例のケース20は、第3面20a側で第1の凸部23および第2の凸部24を有する。第1の凸部23の内側は、ケース20の内部に通じる開口部を有する。
【0038】
ケース20の第3面20aと、基体11の第2面11bとの間に、隙間17を設ける場合には、ケース20または基体11の少なくとも一方に凸部を有することが好ましい。基体11の凸部をケース20の平面に接触させてもよく、ケース20の凸部を基体11の平面に接触させてもよい。基体11の凸部と、ケース20の凸部とを、互いに突き合わせてもよい。
【0039】
特に図示しないが、基体11とケース20との間に、これらとは別の部材からなるスペーサーを配置することで、隙間17を確保してもよい。スペーサーとしては、特に限定されないが、Oリング、パッキン、ガスケット、ワッシャー等が挙げられる。基体11の第2面11bおよびケース20の第3面20aの互いに向かい合う位置に、溝、穴などの凹部を形成し、これらの凹部の間にスペーサーを配置してもよい。
【0040】
図示例のケース20は、
図3および
図4に示すように、第3面20aに第1の凸部23および第2の凸部24を有する。第1の凸部23は、基体11の第2面11bに向かって突出し、センサ12の周囲に設けられている。第2の凸部24は、基体11の第2面に向かって突出し、第1の凸部23の周囲に設けられている。
【0041】
図示例のケース20は、第1の凸部23および第2の凸部24においてのみ、基体11の第2面11bに対して隙間17を有しないように配置されている。すなわち、ケース20は、第1の凸部23および第2の凸部24と、基体11の第2面11bと、が直接接触するように配置されている。
【0042】
なお、本願においては、第1の凸部23および第2の凸部24と、基体11の第2面11bと、が別部材(接着剤、絶縁シート、防水シート、等)を介して接触するようにケース20が配置されている場合も、「隙間17を有しないように配置」に含まれる。そして、図示例では、第1の凸部23と基体11の溝部11eとの間に、第1封止部材14を介在させることで、隙間17を塞いでいる。
【0043】
図2および
図4に示すように、第2の凸部24と第2面11bとの間は、挿通穴16aおよび取付穴16bの周囲で、直接、隙間17を有しないように接触している。基体11の挿通穴16aは、第1面11aと第2面11bとの間を貫通している。ケース20の取付穴16bは、第3面20aに開口した有底の穴である。ねじ16は、挿通穴16aおよび取付穴16bを通じて、基体11をケース20に固定する。
【0044】
特に図示しないが、ケース20側で取付穴16bの周囲の第2の凸部24を省略して、第2面11bと第3面20aとの間に隙間17を有してもよい。この場合は、第1の凸部23においてのみ、ケース20が基体11の第2面11bに対して隙間17を有しないように配置される。
【0045】
検知装置10は、基体11とケース20との間に隙間17を有することにより、熱、振動等がケース20内に伝導することを低減することができる。これにより、検知装置10の誤動作を抑制することができる。詳しくは後述するが、例えば、ケース20内に電池31、回路基板34等が内蔵される場合、電池31および回路基板34に対して、熱、振動等の伝導を低減することが効果的である。
【0046】
隙間17の大きさは特に限定されないが、例えば、0.01mm~10mm程度、0.1mm~1mm程度が挙げられる。隙間17が適度に大きいことにより、空気を介した熱伝導や、振動時の伸縮による接触を抑制することができる。隙間17が適度に小さいことにより、基体11に対するケース20の固定を安定させることができる。
【0047】
熱、振動等を低減する観点からは、基体11の第2面11bと、ケース20の第3面20aとが向かい合う面積を100%とするとき、間に隙間17を有する領域の割合が大きいことが好ましい。隙間17を有する領域の割合としては、例えば、50%以上であり、70%程度、80%程度、90%程度、95%程度、97%程度、99%程度などが挙げられる。
【0048】
同様に、ケース20が基体11との間に隙間17を有しないように配置されている領域の割合が小さいことが好ましい。隙間17を有しない領域の割合としては、例えば、50%以下であり、30%程度、20%程度、10%程度、5%程度、3%程度、1%程度などが挙げられる。
【0049】
基体11に固定されるケース20の安定性の観点からは、基体11の第2面11bと、ケース20の第3面20aとが向かい合う面積を100%とするとき、ケース20が基体11との間に隙間17を有しないように配置されている領域の割合が一定の範囲を占めることが好ましい。隙間17を有しない領域の割合としては、例えば、1%以上であり、3%程度、5%程度、10%程度などが挙げられる。
【0050】
第1の凸部23においてケース20が基体11に対して隙間17を有しないように配置される領域は、基体11とケース20との間を封止する領域である。第1の凸部23によりセンサ12が囲まれる領域は、対象物40に対して基体11の第1面11aにより囲まれる領域より狭くなっている。これにより、センサ12が囲まれる領域に沿った周の長さが短縮され、第1の凸部23における基体11とケース20との間の接触面積をより小さくすることができる。
【0051】
第2の凸部24においてケース20が基体11に対して隙間17を有しないように配置される領域は、基体11とケース20との間を固定する領域である。第2の凸部24が、第1の凸部23とは異なる領域に配置されることにより、第2の凸部24の寸法精度が多少低くても、第1の凸部23によるセンサ12の封止を確実にすることができる。
【0052】
特に図示しないが、基体11とケース20との間を固定する領域が、基体11とケース20との間を封止する領域と重なり合ってもよく、基体11とケース20との間を封止する領域の内側に含まれてもよい。
【0053】
ケース20が基体11との間に隙間17を有しないように配置されている領域の形状は、図示例の第1の凸部23および第2の凸部24の場合、円環状であるが、これに限定されるものではない。例えば、多角形状、波形状、点状など、種々の形状から凸部の形状を選択してもよい。
【0054】
図示例のケース20は、第1ケース21および第2ケース22に分割される構成である。ケース20を、第1ケース21および第2ケース22に分割される構成としたことにより、検知装置10の組み立てを容易にすることができる。すなわち、本実施形態において、ケース20の内部には、後述する電池31、乾燥剤33、回路基板34、およびアンテナ部35が収容されるが、これらは、第1ケース21に固定されている。
【0055】
ケース20を、第1ケース21および第2ケース22に分割される構成としたことにより、後述する電池31、乾燥剤33、回路基板34、およびアンテナ部35の第1ケース21への固定を容易にすることができる。
【0056】
第1の凸部23は、第1ケース21に形成されている。第2の凸部24は、第1ケース21に形成された第2の凸部24と、第2ケース22に形成された第2の凸部24とからなる。ケース20の第3面20aは、第1ケース21上に配置された第1領域21aと、第2ケース22上に配置された第2領域22aとに分割される。
【0057】
図3に示す例では、第2の凸部24が第1領域21aおよび第2領域22aのそれぞれに2個ずつ配置されている。第1ケース21と基体11との間が複数箇所で固定され、第2ケース22と基体11との間も複数箇所で固定されることにより、基体11に対して、ケース20を偏りなく、安定的に固定することができる。
【0058】
図2および
図3に示すように、第1ケース21と第2ケース22との間には、第2封止部材25が配置されている。第2封止部材25は、第1ケース21と第2ケース22との間を封止する部材である。第2封止部材25としては、例えば、パッキン、ガスケット等が挙げられる。第2封止部材25は、合成ゴム、エラストマー等の柔軟な弾性体から形成されてもよい。第2封止部材25により、ケース20の内部を気密または液密に封止することができる。
【0059】
図2に示す例では、第1ケース21と第2ケース22との間は、ねじ26を介して固定されている。ねじ26は、第2ケース22の挿通穴26aおよび第1ケース21の取付穴26bを通じて、第1ケース21と第2ケース22とを一体に固定する。特に図示しないが、第1ケース21に挿通穴26a、第2ケース22に取付穴26bを設けてもよい。
【0060】
ケース20は、ねじ26に際して第1ケース21と第2ケース22とを仮止めする係止部を有してもよい。図示例では、第1ケース21の係止爪21dが第2ケース22の係止穴22dに係止されている。これにより、ねじ26を用いたねじ止めの際に位置決めを容易にすることができる。
【0061】
実施形態の検知装置10は、ケース20内の各部に電力を供給する電池31を備えている。電池31の電力は、導線31aを介して後述する回路基板34に供給されている。図示例では円注状の2本の電池31が導体31bを介して接続されている。さらに電池31の電力は、ケーブル13を介してセンサ12に供給されている。
【0062】
ケース20内に収容される電池31の個数は特に限定されず、1個でも複数個でもよい。複数の電池31間の接続は直列でも並列でもよい。電池31の形状は特に限定されず、円柱状、角柱状、円板状、角板状、ボタン状、コイン状などが挙げられる。
【0063】
電池ホルダ32は、ケース20に内蔵されている。電池31は、電池ホルダ32に収容される。電池ホルダ32は、ねじ27を介して、第1ケース21に固定されている。ねじ27は、電池ホルダ32の挿通穴27aおよび第1ケース21の取付穴27bを通じて、電池ホルダ32を第1ケース21に固定する。
【0064】
実施形態の検知装置10は、乾燥剤33を備えている。乾燥剤33がケース20に内蔵されることにより、結露等による不具合を抑制することができる。これにより、検知装置10が長寿命であっても、長期にわたって信頼性を維持することができる。
【0065】
乾燥剤33は、水分を吸収しても、膨潤、軟化、液化などの変化を示しにくく、固形状態を維持できることが好ましい。例えば、水に難溶性の物質を用いた、シリカゲル、ゼオライト等の錠剤型乾燥剤を用いてもよい。
【0066】
実施形態の検知装置10は、センサ12において検知した情報に対して信号処理を行う回路基板34を備えている。センサ12と回路基板34との間は、ケーブル13を介して接続されている。
【0067】
回路基板34は、ケース20に内蔵されている。回路基板34は、ねじ28を介して、第1ケース21に固定されている。ねじ28は、回路基板34の挿通穴28aおよび第1ケース21の取付穴28bを通じて、回路基板34を第1ケース21に固定する。
【0068】
回路基板34には、アンテナ部35が取り付けられている。アンテナ部35は、回路基板34で処理された信号を検知装置10の外部に送信することができる。また、アンテナ部35は、検知装置10の外部からの信号を受信することができる。電波環境に応じて、ケース20の内側に銅箔、ワイヤー、スパッタ膜等の導体を配置し、あるいは、これらの導体を省略してもよい。
【0069】
アンテナ部35は、ケース20に内蔵されている。アンテナ部35は、ケーブル35a、および接地部35bによって構成されている。接地部35bは、例えば銅箔を有する。ケーブル35aは、その一端が回路基板34にはんだ付けされるとともに、他端が銅箔に接続されることにより、回路基板34と接地部35bとを電気的に接続する。この構成により、アンテナ部35は、主にケーブル35aにおいて、アンテナの役割を担う。導体は銅箔に限られず、ワイヤー等であってもよい。
【0070】
なお、接地部35bは、ねじ29を介して、回路基板34に固定されている。ねじ29は、接地部35bの挿通穴29aおよびナット29bを通じて、接地部35bを回路基板34に固定する。ナット29bは、ねじ穴にねじ溝を有する部材であってもよい。
【0071】
接地部35bは、回路基板34と別部材で、例えば金属の箔、板、棒等から形成してもよい。回路基板34の配線と合わせてプリント、エッチング等により、回路基板34上に接地部35bを積層してもよい。
【0072】
図示例では、回路基板34および電池31が、第1ケース21に固定されている。回路基板34が電池31と同一の部材である第1ケース21に固定されることにより、第2ケース22を第1ケース21から分離しても、導線31aを介した接続を維持することができる。
【0073】
特に図示しないが、検知装置10に外部の記憶装置を接続してもよい。図示例の第1ケース21は、外部の記憶装置を回路基板34に接続する際に用いられる開口部21cを有する。開口部21cは、キャップ36により閉鎖することができる。
【0074】
図示例の第1ケース21は、銘板等のプレート37が貼付される第1貼付領域21bを有する。図示例の第2ケース22は、シリアルシール30が貼付される第2貼付領域22bを有する。特に図示しないが、名称、番号、記号等の表示部が、刻印、印刷等により、ケース20に直接表示されてもよい。
【0075】
図5は、実施形態の故障検出システム100の一例を示す概略図である。故障検出システム100は、対象物40に固定される検知装置10と、検知装置10から出力される信号に基づいて、対象物40の故障を検出する受信部110を備える。図示例の対象物40は、ファン101、モータ102およびその軸受け103である。
【0076】
図示例の検知装置10は、ファン101の振動を検知する振動センサ111、ファン101の温度を検知する温度センサ112、モータ102の軸受け103の振動を検知する振動センサ113、およびモータ102の温度を検知する温度センサ114である。これらの振動センサ111,113および温度センサ112,114は、上述した実施形態の検知装置10と同様に構成されている。
【0077】
受信部110は、検知装置10からの信号を受信する機能を有する。さらに受信部110は、実施形態の検知装置10とは異なる種類の検知装置からの信号を受信する機能を有してもよい。図示例では、実施形態の検知装置10とは異なる種類の検知装置として、モータ102に電力を供給する電線104の電流センサ115が示されている。
【0078】
図示例では、ファン101、モータ102および軸受け103が、基台105上に設置されている。対象物40の設置箇所は特に限定されるものではなく、屋内でも屋外でもよい。設置場所の温度の高低および湿度の高低も特に限定されず、検知装置10を高温・高湿度環境または高温・乾燥環境に対応させることも可能である。対象物40が、床、壁面、天井、梁、柱など建物の一部に取り付けられてもよい。
【0079】
図示例の受信部110は、無線により、検知装置10からの信号を受信することができる。特に図示しないが、検知装置10と受信部110との間が信号線を介して有線で接続されてもよい。信号は、デジタル信号でもよく、アナログ信号でもよい。
【0080】
受信部110は、検知装置10に向けて信号を送信する機能を有してもよい。つまり、受信部110が、送信部と受信部を兼ね備えた通信部であってもよい。
【0081】
受信部110は、信号を処理する制御部を備えてもよい。受信部110に含まれ得る制御部は、プログラム、記録媒体、演算部などを備えてもよい。制御部は、検知装置10から出力される信号に基づいて、対象物40の故障を検出することができる。
【0082】
対象物40の故障を検出する手法は特に限定されないが、対象物40の故障を推定することができる所定の条件を設定し、対象物40の情報が、所定の条件に合致するか否かを判断してもよい。対象物40の正常時を推定することができる所定の条件を設定し、対象物40の情報が、所定の条件から外れているか否かを判断してもよい。
【0083】
対象物40の故障とは、対象物40が現実に異常を示した状態に限らず、異常の前兆を示した状態であってもよい。対象物40が異常を示す前に故障検出システム100が故障を検出することにより、対象物40の損傷等の損害を低減または予防することができる。
【0084】
受信部110は、対象物40の故障を検出したときに、対象物40の故障に関する表示、記録、警報等を実施してもよい。受信部110は、対象物40が故障していないと判断しているときに、対象物40に関する表示、記録等を実施してもよい。
【0085】
特に図示しないが、コンピューターシステム、サーバー装置などの外部制御装置に対して、受信部110が信号を送信する機能を有してもよい。受信部110は、検知装置10から受信した情報または情報を処理して得られた信号を外部制御装置に送信してもよい。受信部110は、外部制御装置から信号を受信する機能を有してもよい。外部制御装置は、プログラム、記録媒体、演算部などを備えてもよい。
【0086】
受信部110は、対象物40の故障を検出するための機能の少なくとも一部を外部制御装置に実施させてもよい。記録容量の大きい外部制御装置に対象物40の状態を記録し、対象物40の故障を判断するのに有用な情報を収集してもよい。
【0087】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0088】
図示例の検知装置10は、基体11とセンサ12との間、基体11とケース20との間、第1ケース21と第2ケース22との間、電池ホルダ32とケース20との間、回路基板34とケース20の間、回路基板34とアンテナ部35の接地部35bとの間が、それぞれ、ねじ15,16,26,27,28,29により固定されている。これらの固定部材は、ねじに限定されるものではなく、種々の固定手段を用いることができる。
【0089】
固定手段としては、例えば、釘、リベット、割りピン、クリップ、係合部、嵌合部、接着剤、粘着剤などが挙げられる。固定箇所に応じて、異なる固定手段を用いてもよい。同一の固定箇所に2種以上の固定手段を用いてもよい。
【0090】
固定の解除と再固定を少なくとも1回行うことができる固定手段を用いる場合には、検知装置10の組み立てに際して、やり直しが容易になる。固定と解除を繰り返し行うことができる固定手段を用いる場合には、検知装置10の点検、修理等に際して、分解と組み立てが容易になる。
【0091】
固定手段にねじ15,16,26,27,28,29を用いる場合は、ねじ軸が取付穴15b,16b,26b,27b,28bまたはナット29bに固定される。あらかじめ、取付穴15b,16b,26b,27b,28bにねじ溝を設けてもよい。タッピングねじを用いて、ねじ溝を有しない取付穴15b,16b,26b,27b,28bが締結時にねじ立てされてもよい。挿通穴15a,16a,26a,27a,28a,29aは、ねじ軸を挿通すればよく、ねじ溝を有しなくてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10…検知装置、11…基体、11a…第1面、11b…第2面、11c…搭載部、11d…取付部、11e…溝部、12…センサ、12a…センサ素子、12b…センサ基板、13…ケーブル、14…第1封止部材、15,16,26,27,28,29…ねじ、15a,16a,26a,27a,28a,29a…挿通穴、15b,16b,26b,27b,28b…取付穴、17…隙間、20…ケース、20a…第3面、21…第1ケース、21a…第1領域、21b…第1貼付領域、21c…開口部、21d…係止爪、22…第2ケース、22a…第2領域、22b…第2貼付領域、22d…係止穴、23…第1の凸部、24…第2の凸部、25…第2封止部材、29b…ナット、30…シリアルシール、31…電池、31a…導線、31b…導体、32…電池ホルダ、33…乾燥剤、34…回路基板、35…アンテナ部、35a…ケーブル、35b…接地部、36…キャップ、37…プレート、40…対象物、100…故障検出システム、101…ファン、102…モータ、103…軸受け、104…電線、105…基台、110…受信部、111,113…振動センサ、112,114…温度センサ、115…電流センサ。