(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049344
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】マスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備する方法、関連付けられたコントローラ及びマスク層画像化システム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20240402BHJP
G03F 1/92 20120101ALI20240402BHJP
【FI】
H04N1/387 200
H04N1/387 110
G03F1/92
H04N1/387
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023145170
(22)【出願日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】2033172
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】518216205
【氏名又は名称】エクシス プリプレス エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】デ ラウ, ディルク ルード ジュリアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】印刷版作成時のマスク層上の非画像化領域を小さくして洗浄プロセスに必要な液体の量を低減する方法、コントローラ及びマスク層画像化システムを提供する。
【解決手段】マスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備する方法であって、少なくとも1つのラスタ画像ファイルを受信するステップ(110)と、マスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備するステップとを含み、準備するステップが、マスク層の少なくとも1つの対応する画像領域を画像化するように、画像ジョブデータに少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連するデータを含めるステップ(120)と、少なくとも1つの対応する画像領域の外側にあるマスク層の非機能領域を決定するステップ(130)と、前記画像ジョブデータに前記非機能領域を画像化するための充填画像化データを含めるステップ(140)と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備する方法であって、
少なくとも1つのラスタ画像ファイルを受信するステップ(110)と、
前記マスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備するステップとを含み、前記準備するステップが、
前記マスク層の少なくとも1つの対応する画像領域(10)を画像化するように、前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連するデータを前記画像ジョブデータに含めること、
前記少なくとも1つの対応する画像領域の外側にある前記マスク層の非機能領域(30)を決定すること(130)、及び
前記画像ジョブデータに前記非機能領域を画像化するための充填画像化データを含めること(140)であり、前記充填画像化データが、前記非機能領域に追加されたピクセルの少なくとも10%が画像化ピクセルであるものである、充填画像化データを含めること
を含む、
方法。
【請求項2】
前記画像ジョブデータを準備するステップが、前記少なくとも1つのラスタ画像ファイル、例えば、異なる解像度を有する少なくとも2つのラスタ画像ファイル、又は前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルに基づく少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイル、及び前記非機能領域を画像化するための充填ラスタ画像ファイルへの参照を含む記述的ジョブファイルを準備するステップを含み、前記記述的ジョブファイルが、前記少なくとも1つのラスタ画像ファイル、又は前記少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイル、及び前記充填ラスタ画像ファイルと組み合わせて使用され、任意選択で、前記記述的ジョブファイルが、切断マーク領域又は識別子領域である表示領域に関連付けられた少なくとも1つの表示ラスタ画像ファイルへの参照を含み、前記記述的ジョブファイルが、前記少なくとも1つの表示ラスタ画像ファイルと組み合わせて使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連する前記データが、前記マスク層上の前記少なくとも1つの対応する画像領域の位置を示す画像位置データを含み、及び/又は前記充填画像化データが、前記非機能領域の位置を示す充填位置データを含み、
任意選択で、前記画像位置データ及び/又は前記充填位置データが前記記述的ジョブファイルに含まれる、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記充填画像化データが、前記非機能領域に追加されたピクセルの少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも70%が画像化ピクセルであるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記非機能領域を画像化するための少なくとも1つの画像化パラメータを有する少なくとも1つの画像化パラメータセットを前記画像ジョブデータに含めるステップであって、前記少なくとも1つの画像化パラメータセットを使用して前記少なくとも1つの画像領域及び前記非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を考慮するのが好ましい、ステップを含み、
任意選択で、前記画像化パラメータセットが、前記非機能領域のピクセルを画像化するために使用される解像度、前記非機能領域を画像化するための画像化ビームのパワー、前記非機能領域を画像化するための画像化ビームのサイズ、前記非機能領域を画像化するための画像化ビームの速度、使用される画像化ビームヘッド、使用される画像化ヘッドの数、及び、前記非機能領域の画像化中に版が固定されるドラムの回転速度のパラメータのうちの1つ又は複数を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記非機能領域を画像化するための前記少なくとも1つの画像化パラメータセットを含めるステップが、
前記非機能領域を画像化するための画像化パラメータセットのリストから少なくとも1つの画像化パラメータセットを選択して、前記少なくとも1つの画像領域及び前記非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を低減又は最適化するステップを含み、並びに/或いは
前記非機能領域の少なくとも一部を画像化するために選択された画像化パラメータセットが、前記少なくとも1つの画像領域のうちの1つの画像領域の画像化に使用される解像度と同一の解像度を含み、並びに/或いは
前記少なくとも1つの画像化パラメータセットが、前記非機能領域の第1の部分に対する第1の画像化パラメータセットと、前記非機能領域の第2の部分に対する第2の画像化パラメータセットとを含み、並びに/或いは
前記非機能領域を画像化するための前記少なくとも1つの画像化パラメータセットを前記画像ジョブデータに含めるステップが、第1の非機能領域(30a)を画像化するための第1の解像度(R1)と、第2の非機能領域(30b)を画像化するための第2の異なる解像度(R2)とを指定するステップを含み、前記第1の非機能領域が、前記第1の解像度で画像化される前記少なくとも1つの画像領域の第1の画像領域(10a)と隣り合い、前記第2の非機能領域が、前記第2の解像度で画像化される第2の画像領域(10b)と隣り合うのが好ましく、並びに/或いは
前記非機能領域を画像化するための前記少なくとも1つの画像化パラメータセットを前記画像ジョブデータに含めるステップが、実質的に前記非機能領域全体を画像化するための同じ解像度を指定するステップを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記画像ジョブデータに充填画像化データを含めるステップが、前記少なくとも1つの画像領域のうちの少なくとも1つの周囲の境界(40)が画像化されないようにすることであり、及び/又は
前記非機能領域が、前記少なくとも1つの画像領域と前記非機能領域との組合せが前記マスク層の印刷可能領域全体を実質的にカバーするように決定され、及び/又は
前記充填画像データが、前記レリーフ前駆体を処理するのに必要な液体の量を低減するように選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記画像ジョブデータに前記非機能領域を画像化するための充填画像化データを含めるステップが、任意選択で前記少なくとも1つの画像領域のうちの少なくとも1つの周囲の非画像化ピクセルの境界を除いて、前記非機能領域に画像化ピクセル及び非画像化ピクセルのパターンを含めるステップを含み、
前記パターンが、非画像化ピクセルによって分離された少なくとも4つの隣り合う画像化ピクセルのグループ、好ましくは少なくとも6つの隣り合う画像化ピクセルのグループ、例えば、少なくとも4つの隣り合う画像化ピクセルが線によって分離された正方形を含み、
任意選択で、前記パターンが、1~50mm、好ましくは2~40mm、より好ましくは3~30mmの繰り返し距離(dx,dy)を有する繰り返しパターンである、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルのベタ領域及び/又はハーフトーン領域の上に、画像化ピクセル及び非画像化ピクセルの少なくとも1つの表面スクリーンを重ね合わせて、少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルを取得するステップをさらに含み、前記表面スクリーンが、含まれるラスタ画像ファイルごとに同じであっても異なっていてもよく、前記画像ジョブデータが、前記少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイル又は前記少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルへの参照を含み、
任意選択で、追加されたパターンが、前記表面スクリーンのパターンとは異なる、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記画像ジョブデータに前記非機能領域を画像化するための前記充填画像化データを含めるステップが、前記非機能領域のベタ及び/又は網点が、前記版の上面に表面を有するレリーフ領域であるように実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
位置合わせマーク及び/又は切断マークなどのマーク、及び/又はテキスト、及び/又はバーコードなどの識別子が、前記少なくとも1つの画像領域(10)内に位置し、前記充填画像化データが、位置合わせマーク画像領域及び/又は切断マーク画像領域などのマーク画像領域を含まず、並びに/或いは前記充填画像化データが、テキスト画像領域を含まず、並びに/或いは前記充填画像化データが、バーコード画像領域などの識別子画像領域を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータ上で実行されると、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を制御するコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
少なくとも1つのラスタ画像ファイルに基づいて、少なくとも1つの画像領域において画像化する必要があるマスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備するように構成されたコントローラ(210)であって、
少なくとも1つの画像領域の外側にある前記マスク層の非機能領域を決定することと、
前記画像ジョブデータに前記非機能領域を画像化するための充填画像化データを含めることとを行うように構成され、前記非機能領域に追加されたピクセルの少なくとも10%が画像化ピクセルであるように前記充填画像化データを含めるように構成された、充填モジュール(212)を備える、
コントローラ。
【請求項14】
前記充填モジュールが、前記非機能領域を画像化するための充填ラスタ画像ファイルを生成するように構成され、
任意選択で、前記充填モジュールが、前記充填ラスタ画像ファイルへの参照を前記画像ジョブデータに含めるように構成されている、
請求項13に記載のコントローラ。
【請求項15】
少なくとも1つのラスタ画像ファイルを受信することと、
前記マスク層の前記少なくとも1つの対応する画像領域を画像化するように、前記画像ジョブデータに前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連するデータを含めることと、
を行うように構成されたレイアウト決定モジュール(211)をさらに備え、
任意選択で、前記レイアウト決定モジュールが、前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連するデータを前記画像ジョブデータに含めるために、マスク領域に対応するフレームの少なくとも1つの対応する画像領域に前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルを配置するためのグラフィカルインタフェースを提供するように構成され、
任意選択で、前記レイアウト決定モジュールが、前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルへの参照、又は前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルに基づく少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルへの参照を、前記画像ジョブデータに含めるように構成され、
任意選択で、前記レイアウト決定モジュールが、前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルの位置データを決定することと、前記位置データを前記画像ジョブデータに含めることとを行うように構成され、
任意選択で、前記レイアウト決定モジュールと前記充填モジュールとが統合され、前記少なくとも1つの画像領域における前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルからのデータと、前記非機能領域における前記充填ラスタ画像ファイルからのデータとを含む合成ラスタ画像ファイルを生成するように構成され、
任意選択で、前記コントローラが、前記画像ジョブデータを記述的ジョブファイルとして、前記充填ラスタ画像ファイル及び前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルとともにイメージャに送信するように構成されている、
請求項13に記載のコントローラ。
【請求項16】
前記充填モジュールが、前記非機能領域を画像化するための少なくとも1つの画像化パラメータを有する少なくとも1つの画像化パラメータセットを前記画像ジョブデータに含めるように構成され、前記少なくとも1つの画像化パラメータセットを使用して前記少なくとも1つの画像領域及び前記非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を考慮するのが好ましく、
任意選択で、前記画像化パラメータセットが、前記非機能領域のピクセルを画像化するために使用される解像度、前記非機能領域を画像化するための画像化ビームのパワー、前記非機能領域を画像化するための画像化ビームのサイズ、前記非機能領域を画像化するための画像化ビームの速度、使用される画像化ビームヘッド、使用される画像化ヘッドの数、及び、前記非機能領域の画像化中に版が固定されるドラムの回転速度のパラメータのうちの1つ又は複数を含み、
任意選択で、前記充填モジュールが、前記少なくとも1つの画像領域及び前記非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を考慮して、前記非機能領域を画像化するための画像化パラメータセットのリストから画像化パラメータセットを選択するように構成され、
任意選択で、前記充填モジュールが、前記少なくとも1つの画像領域のうちの1つの画像領域の画像化に使用される解像度と同一の解像度を含む、前記非機能領域の少なくとも一部を画像化するための画像化パラメータセットを選択するように構成され、
任意選択で、前記充填モジュールが、前記非機能領域の第1の部分に対しては、例えば第1の解像度を含む第1の画像化パラメータセットを選択し、前記非機能領域の第2の部分に対しては、例えば前記第1の解像度とは異なる第2の解像度を含む第2の画像化パラメータセットを選択するように構成され、
任意選択で、前記充填モジュールが、実質的に非機能領域全体を画像化するための同じ解像度を前記画像ジョブデータに指定するように構成されている、
請求項13に記載のコントローラ。
【請求項17】
前記充填モジュールが、任意選択で前記少なくとも1つの画像領域のうちの少なくとも1つの周囲の非画像化ピクセルの境界を除いて、前記非機能領域に画像化ピクセル及び非画像化ピクセルのパターンを含むように構成され、
前記パターンが、非画像化ピクセルによって分離された少なくとも4つの隣り合う画像化ピクセルのグループ、好ましくは少なくとも6つの隣り合う画像化ピクセルのグループ、例えば、少なくとも4つの隣り合う画像化ピクセルが線によって分離された正方形を含むのが好ましく、
任意選択で、前記パターンが、1~50mm、好ましくは2~40mm、より好ましくは3~35mmの繰り返し距離(dx,dy)を有する繰り返しパターンである、
請求項13に記載のコントローラ。
【請求項18】
請求項13~17のいずれか一項に記載のコントローラと、前記コントローラからの前記画像ジョブデータに従って前記マスク層を画像化するように構成されたイメージャとを備える、マスク層画像化システム。
【請求項19】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法に従って得られる画像化されたマスク層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、印刷技術の分野においてマスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備する方法に関する。本明細書における様々な実施形態は、マスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備する方法、関連付けられたコントローラ、及び関連付けられたマスク層画像化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備する既知の方法では、典型的には、最初のいくつかのラスタ画像ファイルがコントローラによって受信される。各ラスタ画像ファイルには、画像化ピクセルと非画像化ピクセルとが含まれている。次いで、ラスタ画像ファイルからのデータが、レリーフ前駆体版又はスリーブに対応する領域上にアセンブルされる。各ラスタ画像ファイルからのデータは、典型的には、マスク層上の少なくとも1つの画像領域に対応する。少なくとも1つの画像領域の外側には、画像化ピクセルを含まない非機能領域が存在する。
【0003】
次いで、マスク層は、準備された画像ジョブデータを使用して画像化される。画像化中、画像化ピクセルは、アブレーションされたスポット、又は感光層を硬化させるために使用される電磁放射線に対して透過率の変化を受けるスポットとしてマスク層に転写される。画像化されたマスク層によって覆われたレリーフ前駆体版の感光層が、例えば電磁放射線によって硬化を受けると、画像化されたスポットを通して露光された領域は硬化するが、マスク層の非画像化部分によって覆われた領域は未硬化のままである。次いで、感光層は、マスク層とともに現像され、例えば、感光層及びマスク層の未硬化部分を洗い流すために洗浄プロセスにおいて液体(例えば、溶媒若しくは水)で処理され、又は現像材料(例えば、不織ポリマウェブ)を用いて熱現像される。こうしてレリーフ版が得られる。
【0004】
洗浄プロセスの有効性を維持するためには、感光層中にあって洗い流された、洗浄機のタンク中のポリマの濃度を最大値未満に保つ必要がある。そのためには、洗浄プロセス中に大量の新鮮な液体の追加が必要な場合がある。マスク層上の非画像化領域が大きいほど、一般に、洗浄プロセス中により多くの液体が必要とされる。必要とされる液体の量も、レリーフ版上のレリーフの深さが深くなるとともに増加する。洗浄プロセスで必要とされる液体の量も、タンク中のポリマの濃度を低くするように要求する品質要件が高くなるとともに増加する。洗浄プロセス中、非機能領域に対応するマスク層及び感光層の領域を、液体によって洗い流す必要がある。したがって、プロセスをより効率的にし、より環境に優しくするために、必要とされる液体又は現像材料の量を低減する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一部の実施形態は、現像プロセス後に得られるレリーフ版の高品質を維持しながら、現像中に除去する必要がある材料の量を低減する、例えば、レリーフ前駆体が露光され硬化された後の洗浄プロセス中に使用する液体を低減する、又は熱現像中に除去する材料を低減するマスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備する方法に関する。
【0006】
本開示の第1の態様によると、マスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備する方法が提供される。本方法は、少なくとも1つのラスタ画像ファイルを受信するステップと、マスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備するステップとを含む。準備するステップは、マスク層の少なくとも1つの対応する画像領域を画像化するように、少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連するデータを画像ジョブデータに含めるステップと、少なくとも1つの対応する画像領域の外側にあるマスク層の非機能領域を決定するステップと、前記非機能領域を画像化するための充填画像化データを前記画像ジョブデータに含めるステップとを含む。
【0007】
現像プロセス後の非機能領域は、典型的には無用であり、廃棄される。例えば、レリーフ版を硬化させた後、典型的には、それぞれが画像領域に対応するより小さな部分に切断される。切断線は、非機能領域を通り抜ける。本開示の結果、非機能領域に画像化ピクセルを追加することによって、非機能領域の一部も画像化される。したがって、非機能領域における画像化ピクセルに対応するレリーフ前駆体上の部分も硬化され、液体によって洗い流されない。このようにして、最終的に得られるレリーフ版の品質を損なうことなく、洗浄プロセスでレリーフ前駆体を処理するのに必要な液体の量が低減される。また、熱現像プロセスを使用すると、除去し、最終的に廃棄する必要がある材料が少なくなる。
【0008】
画像ジョブデータを準備するステップは、
受信した少なくとも1つのラスタ画像ファイルに基づく、少なくとも1つのラスタ画像ファイル又は少なくとも1つの修正されたラスタ画像への参照と、
前記非機能領域を画像化するための充填ラスタ画像ファイルへの参照と
を含む記述的ジョブファイルを準備するステップを含むのが好ましい。
【0009】
次いで、記述的ジョブファイルは、少なくとも1つのラスタ画像ファイル又は少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルと充填ラスタ画像ファイルとを組み合わせて使用される。修正されたラスタ画像ファイルは、表面スクリーニングパターンが施された、より一般的には任意の種類の画像処理が実行された、受信されたラスタ画像ファイルに対応することができる。
【0010】
このようにして、複雑なラスタ画像処理が必要とされるのを回避することができる。実際、一部の従来技術のソリューションでは、複数のラスタ画像ファイルを版上に画像化する必要がある場合、複数のラスタ画像ファイルを含む合成ラスタ画像ファイルが準備される。本発明の実施形態によると、これはもはや必要ではない。
【0011】
少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連するデータは、マスク層上の少なくとも1つの対応する画像領域の位置を示す画像位置データを含み、及び/又は充填画像化データは、非機能領域の位置を示す充填位置データを含むのが好ましい。次いで、画像位置データ及び/又は充填位置データを記述的ジョブファイルに含めることができることが好ましい。
【0012】
すべての関連データは、単一の記述的ジョブファイル又は複数の記述的ジョブファイルに入れることができることに留意されたい。
【0013】
典型的な実施形態では、少なくとも1つのラスタ画像ファイルには、少なくとも2つのラスタ画像ファイルが含まれる。多くの場合、ラスタ画像ファイルは同じ解像度を有するが、一部の実施形態では、ラスタ画像ファイルは異なる解像度を有してもよい。ラスタ画像ファイル自体の解像度(典型的にはdpiで表される)は、典型的には、マスク層のピクセルの画像化に使用される解像度に対応するが、画像化に使用される解像度は異なる場合もあることに留意されたい。
【0014】
充填画像データは、レリーフ前駆体を処理するのに必要な液体の量を低減するように選択されるのが好ましい。一部の好ましい実施形態によると、充填画像化データは、前記非機能領域に追加されたピクセルの少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも70%が画像化ピクセルであるものである。一部の他の実施形態によると、充填画像化データは、前記非機能領域に追加されたピクセルの10%未満が画像化ピクセルであるものである。
【0015】
非機能領域では、非画像化ピクセルに対応する感光層の部分のみが洗浄プロセス中に洗い流される。非機能領域のかなりの部分に画像化ピクセルを追加することによって、洗浄プロセス中に使用される液体の量が大幅に低減され、又は熱現像中に除去される材料の量が大幅に低減される。
【0016】
本方法は、非機能領域を画像化するための少なくとも1つの画像化パラメータの少なくとも1つの画像化パラメータセットを画像ジョブデータに含めるステップであって、少なくとも1つの画像化パラメータセットを使用して少なくとも1つの画像領域及び非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を考慮するのが好ましい、ステップをさらに含むのが好ましい。次いで、少なくとも1つの画像化パラメータセット又はそれへの参照を記述的ジョブファイルに含めることができる。
【0017】
非機能領域を画像化するための少なくとも1つの画像化パラメータセットを、例えば記述的ジョブファイルにおいて指定することによって、画像化をさらに改善することができる。さらに、非機能領域を画像化するのに費やす時間量を低減又は最小化することによって、現像プロセス中の液体使用量又は除去材料の量の低減と非機能領域の画像化時間の増加との間の良好なバランスを達成することができる。
【0018】
同様に、本方法は、少なくとも1つの画像領域を画像化するための少なくとも1つの画像化パラメータの少なくとも1つの画像化パラメータセットを画像ジョブデータに含めるステップを含むことができる。このような少なくとも1つの画像化パラメータセット又はそれへの参照も記述的ジョブファイルに含めることができる。
【0019】
画像化パラメータセットは、以下のパラメータ、すなわち、非機能領域又は少なくとも1つの画像領域のピクセルを画像化するために使用される解像度、非機能領域又は少なくとも1つの画像領域を画像化するための画像化ビームのパワー、非機能領域又は少なくとも1つの画像領域を画像化するための画像化ビームのサイズ、非機能領域又は少なくとも1つの画像領域を画像化するための画像化ビームの速度、使用される画像化ビームヘッド、使用される画像化ヘッドの数、非機能領域の画像化中に版が固定されるドラムの回転速度のうちの1つ又は複数を含むことができる。このような画像化パラメータは、非機能領域又は少なくとも1つの画像領域における画像化に必要な時間に影響を及ぼす可能性があり、この時間を短縮又は最適化するように適切に選択することができる。
【0020】
例示的な実施形態では、非機能領域を画像化するための少なくとも1つの画像化パラメータセットを含めるステップは、非機能領域を画像化するための画像化パラメータセットのリストから少なくとも1つの画像化パラメータセットを選択して、少なくとも1つの画像領域及び非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を低減又は最適化するステップを含む。
【0021】
非機能領域の少なくとも一部を画像化するために選択された画像化パラメータセットは、少なくとも1つの画像領域のうちの1つの画像領域の画像化に使用される解像度と同一の解像度を含むのが好ましい。
【0022】
第1の解像度での画像化は、画像化ビームの第1のパス上で実行される。異なる解像度で画像化するには、典型的には、第1のパスが終了した後に別個の第2のパスが必要となる。これは、マスク層を画像化するための総時間量を増加させる。同じ解像度を選択して、1つの画像領域と非機能領域の少なくとも一部とを画像化することによって、これら2つの領域を単一のパスで画像化することができ、これにより、マスク層の画像化に必要な総所要時間を短縮することができる。
【0023】
さらに発展した実施形態では、少なくとも1つの画像化パラメータセットは、非機能領域の第1の部分に対する第1の画像化パラメータセットと、非機能領域の第2の部分に対する第2の画像化パラメータセットとを含むことができる。
【0024】
例示的な実施形態では、非機能領域を画像化するための少なくとも1つの画像化パラメータセットを画像ジョブデータに含めるステップは、第1の非機能領域を画像化するための第1の解像度(R1)と、第2の非機能領域を画像化するための第2の異なる解像度(R2)とを指定するステップを含み、第1の非機能領域は、第1の解像度で画像化される前記少なくとも1つの画像領域の第1の画像領域と隣り合い、第2の非機能領域は、第2の解像度で画像化される第2の画像領域と隣り合うのが好ましい。
【0025】
異なる画像化ピクセル解像度を有する少なくとも2つの非機能領域を有することによって、マスク層を画像化するための総持続時間は、非機能領域全体が単一の解像度を有する場合と比較して、柔軟な方法で短縮又は最適化することができる。このようにして、非機能領域を画像化するための時間をさらに短縮することができる。
【0026】
別の例示的な実施形態では、非機能領域を画像化するための少なくとも1つの画像化パラメータセットを画像ジョブデータに含めるステップは、実質的に非機能領域全体を画像化するための同じ解像度を指定するステップを含む。
【0027】
非機能領域に1つの解像度のみの画像化ピクセルを追加することによって、解像度を適切に選択することで画像化に必要な時間をある程度最適化しながら、本方法を簡単なやり方で実施することができる。
【0028】
任意選択で、前記画像ジョブデータに充填画像化データを含めるステップは、少なくとも1つの画像領域のうちの少なくとも1つの周囲の境界が画像化されないようにすることである。
【0029】
非画像化ピクセルの境界を含むことで、凹部が得られ、レリーフ版を少なくとも1つの画像領域に対応する異なる部分に切断することが容易になる。
【0030】
非機能領域は、少なくとも1つの画像領域と非機能領域との組合せがマスク層の印刷可能領域全体を実質的に覆うように決定されるのが好ましい。このようにして、除去される材料がさらに低減される。
【0031】
一実施形態では、画像ジョブデータは、マスク領域の少なくとも1つの対応する画像領域に配置された少なくとも1つのラスタ画像ファイルからのピクセルデータと、充填画像化データに対応するマスク領域の非機能領域のピクセルデータとを含む合成ラスタ画像ファイルを含むことができる。しかしながら、これは好ましい実施形態ではない。
【0032】
前記画像ジョブデータに前記非機能領域を画像化するための充填画像化データを含めるステップは、任意選択で少なくとも1つの画像領域のうちの少なくとも1つの周囲の非画像化ピクセルの境界を除いて、前記非機能領域に画像化ピクセル及び非画像化ピクセルのパターンを含めるステップを含むのが好ましい。パターンは、非画像化ピクセルによって分離された少なくとも4つの隣り合う画像化ピクセルのグループ、好ましくは少なくとも6つの隣り合う画像化ピクセルのグループ、例えば、少なくとも4つの隣り合う画像化ピクセルが線によって分離された正方形を含むことができる。パターンは、繰り返し距離が1~50mm、より好ましくは2~40mm、さらにより好ましくは3~35mm、例えば5mm~35mmの繰り返しパターンであるのが好ましい。
【0033】
例示的な実施形態によると、本方法は、少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルを取得するために、少なくとも1つのラスタ画像ファイルのベタ領域(solid area)及び/又はハーフトーン領域の上に画像化ピクセル及び非画像化ピクセルの少なくとも1つの表面スクリーンを重ね合わせるステップをさらに含み、前記表面スクリーンは、含まれるラスタ画像ファイルごとに同じであっても異なっていてもよく、画像ジョブデータは、少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイル又は少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルへの参照を含む。非機能領域に使用されるパターンは、表面スクリーンのパターンとは異なるのが好ましい。
【0034】
表面スクリーンは、レリーフ版から紙などの媒体へのインクの転写を改善し、したがって印刷品質を改善する。表面スクリーンを使用することのさらなる技術的利点は、参照により本明細書に含まれる蘭国特許出願第2031133号に述べられている。
【0035】
典型的には、非機能領域に使用されるパターンは、表面スクリーンパターンに比べて繰り返し距離が著しく大きい。
【0036】
本開示の一部の実施形態は、コンピュータ上で実行されると、本開示の態様のうちのいずれか1つに関連して上述したような方法の実施形態を制御するコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0037】
本開示の一部の実施形態は、本開示の態様のいずれか1つに関連して上述したような方法のステップのうちのいずれか1つを実行するための命令の機械実行可能プログラムをコード化したデジタルデータ記憶媒体に関する。
【0038】
本開示の一部の実施形態は、プログラムがコンピュータ上で実行されると、本開示の上記の態様のいずれか1つに関連して上述したような方法を制御又は実行するコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0039】
少なくとも1つの画像領域又は少なくとも1つの画像領域のそれぞれは、マスク層のサイズの75%未満、好ましくは50%未満、より好ましくは40%未満、例えば30%未満のサイズを有するのが好ましい。
【0040】
別の態様によると、少なくとも1つのラスタ画像ファイルに基づいて、少なくとも1つの画像領域において画像化する必要があるマスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備するように構成されたコントローラが提供され、コントローラは、少なくとも1つの画像領域の外側にあるマスク層の非機能領域を決定することと、前記画像ジョブデータに前記非機能領域を画像化するための充填画像化データを含めることとを行うように構成された充填モジュールを備える。
【0041】
充填モジュールは、非機能領域を画像化するための充填ラスタ画像ファイルを生成するように構成されているのが好ましい。このような別個の充填ラスタ画像ファイルを生成することによって、そのようなファイルをイメージャによって容易に処理することができる。
【0042】
充填モジュールは、任意選択で、充填ラスタ画像ファイルからのデータがマスク層上のどこで使用されるべきかを示す位置データと組み合わせて、画像ジョブデータ、例えば記述的ジョブファイルに充填ラスタ画像ファイルへの参照を含めるように構成されているのが好ましい。
【0043】
コントローラは、少なくとも1つのラスタ画像ファイルを受信することと、マスク層の少なくとも1つの対応する画像領域を画像化するように、少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関するデータを画像ジョブデータに含めることとを行うように構成されたレイアウト決定モジュールをさらに備えるのが好ましい。レイアウト決定モジュール及び充填モジュールは、同じ又は異なるコンピュータ上で動作する別個のソフトウェアモジュールとして実装され得ることに留意されたい。
【0044】
レイアウト決定モジュールは、少なくとも1つのラスタ画像ファイルへの参照、又は少なくとも1つのラスタ画像ファイルに基づく少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルへの参照を、任意選択で、少なくとも1つの(修正された)ラスタ画像ファイルからのデータがマスク層上のどこで使用されるべきかを示す位置データと組み合わせて、画像ジョブデータに、例えば記述的ジョブファイルに含めるように構成されているのが好ましい。
【0045】
このようにして、ラスタ画像ファイルは、追加のラスタ画像処理ステップを必要とすることなく、簡単なやり方で使用することができる。
【0046】
コントローラは、画像ジョブデータを記述的ジョブファイルとして、充填ラスタ画像ファイル及び少なくとも1つのラスタ画像ファイルとともにイメージャに送信するように構成されているのが好ましい。このようにして、イメージャは、画像化を実行するのに必要なすべての情報を受信する。
【0047】
コントローラの好ましい実施形態は、添付の従属請求項に開示されている。本方法について上述した利点は、コントローラにも準用される。
【0048】
別の実施形態は、上述の方法に従って得られる画像化されたマスク層に関する。
【0049】
本開示の上記の及びさらなる態様は、添付の図面を参照して説明されるいくつかの実施形態に基づいて、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図2A】画像が上に配置されなければならないレリーフ前駆体の領域に対応する対応画像領域上のラスタ画像ファイルのレイアウトである。
【
図2B】追加の切断マーク又は位置合わせマーク及びテキスト部分が追加された
図2Aのレイアウトである。
【
図3】非機能領域が決定された後の非機能領域を示す図であり、本図の黒い部分が非機能領域を示し、白い部分が画像領域を示す。
【
図4】画像領域に非画像化ピクセルの境界を追加した後の非機能領域を示す図である。
【
図5】画像化ピクセルが追加された後の非機能領域を示す図である。
【
図6】追加されたラスタ画像ファイル及び充填ラスタ画像ファイルを有するレリーフ前駆体領域上のレイアウトである。
【
図7】非機能領域を画像化するために使用され得るいくつかの可能なパターンを示す図である。
【
図8】2つのラスタ画像ファイル及び1つの充填ラスタ画像ファイルを有するレイアウトの第1の例示的な実施形態を示す図である。
【
図9】2つのラスタ画像ファイル及び1つの充填ラスタ画像ファイルを有するレイアウトの第2の例示的な実施形態を示す図である。
【
図10】マスク層画像化システムの例示的な実施形態を示す概略図である。
【
図11】マスク層画像化システムの例示的な実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
フレキソ印刷又は凸版印刷は、通常、大量印刷に使用される技術である。フレキソ印刷版又は凸版印刷版は、紙、厚紙、フィルム、フォイル、ラミネートなどの記録媒体上に画像を生成するために、典型的にはレリーフ又はドットと呼ばれる印刷要素を非印刷要素から突出させたレリーフ版である。また、円筒形の印刷版又はスリーブが使用されることもある。
【0052】
フレキソ印刷版前駆体を製造するための様々な方法が存在する。従来の方法によると、フレキソ印刷版前駆体は、裏材層及び1つ又は複数の光硬化性層(感光層とも呼ばれる)を含む多層基材から作製される。これらの光硬化性層は、レリーフ版を得るために、画像情報を含むマスク層を通して電磁放射線に露光することによって、又は光に直接かつ選択的に露光することによって、例えば版を走査して画像情報を転写することによって画像化される。
【0053】
フレキソ印刷では、インクがフレキソ印刷版から印刷媒体に転写される。より詳細には、インクは版のレリーフ部分、すなわち網点又はベタレリーフ(solid relief)に転写され、非レリーフ部分には転写されない。印刷中、レリーフ部分上のインクが印刷媒体に転写される。グレースケール画像は、典型的には、スクリーニングパターン、好ましくはAMスクリーニングパターンを使用する階調表現処理を使用して作成される。グレースケールとは、特定の色で印刷された版について、その色が再現される量を意味する。例えば、印刷版は、異なる網点領域を含み、これらの領域に異なる濃度で印刷することができる。転写されるインクの量を増やし、基材上のいわゆるインク濃度を高めるために、印刷ドットの表面、すなわちレリーフ領域に追加の非常に微細な構造を施すことがある。この微細な表面構造は、典型的には、微細な高解像度サンプリングパターンを画像ファイルに追加することによって取得され、その後、露光に使用される対応するマスクに転写される。
【0054】
フレキソ印刷版によって再現される画像は、典型的には、ベタ画像領域と、ハーフトーン領域とも呼ばれる様々なグレートーン領域との両方を含む。ベタ領域は、印刷素材上に最高濃度を生成するようにインクによって完全に覆われた印刷版の単一のレリーフに相当する。グレートーン又はハーフトーン領域は、複数の互いに離れた印刷ドットを有する領域、すなわち、印刷された画像の外観が、純白(インクが全く存在しない)と純色(インクによって完全に覆われている)との中間の濃度である領域に相当する。グレー領域は、階調表現処理のプロセスによって生成され、単位面積当たり複数のレリーフ要素を使用して、濃度の異なる印刷のような錯覚を生成する。これらのレリーフ要素は、印刷業界では一般に「網点」と呼ばれている。画像表現は、領域ごとに面積カバレッジの割合(ドット強度)を変えることによって達成される。ドット強度は、ドットサイズ(AMスクリーニング)及び/又はドット密度、すなわちドット周波数(FMスクリーニング)を変更することによって変更することができる。
【0055】
フレキソ印刷版では、網点は、印刷版の上面に表面を有するレリーフ領域である。ドットを取り囲む領域で版は、床面に達する深さまでエッチングされている。網点の高さは、ドットの表面(及び版面)から床面までの距離である。ハーフトーンレリーフは、床面から上面まで延在するレリーフである。
【0056】
図1は、マスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備する方法の一実施形態の様々なステップを示す。本方法は、少なくとも1つのラスタ画像ファイルを受信するステップ110と、典型的にはマスク層を画像化するための命令を有する記述的ファイルの形態で画像ジョブデータを準備するステップとを含む。
【0057】
画像ジョブデータを準備するステップは、マスク層の少なくとも1つの対応する画像領域を画像化するように、少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連するデータを画像ジョブデータに含めるステップ120を含むことができる。このデータは、例えば、少なくとも1つのラスタ画像ファイルへの参照、及びマスク層上の少なくとも1つの対応する画像領域の位置を示す配置データであってもよい。
【0058】
画像ジョブデータを準備するステップは、少なくとも1つの対応する画像領域の外側にあるマスク層の非機能領域を決定するステップ130と、前記画像ジョブデータに前記非機能領域を画像化するための充填画像化データを含めるステップ140とをさらに含むことができる。この充填画像化データは、少なくとも1つの充填ラスタ画像ファイルへの参照、及びマスク層上の対応する非機能領域の位置を示す配置データであってもよい。典型的には、対応する非機能領域は、少なくとも1つの画像領域が切り取られたマスク層の実質的に表面全体にわたって延在する。
【0059】
少なくとも1つのラスタ画像ファイルは、典型的には、少なくとも2つのラスタ画像ファイルを含み、任意選択で、少なくとも2つのラスタ画像ファイルは、異なる解像度を有してもよく、異なる解像度で画像化されてもよい。また、非機能領域に含まれる充填ラスタ画像ファイルは、同じ解像度で画像化されてもよく、又は異なる解像度で画像化されてもよい。本方法は、少なくとも1つの画像化パラメータセットを使用して少なくとも1つの画像領域及び非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を考慮して、少なくとも1つの画像領域を画像化するための及び/又は非機能領域を画像化するための少なくとも1つの画像化パラメータセットを選択するステップを含むのが好ましい。少なくとも1つの画像化パラメータセットは、以下のパラメータ、すなわち、ピクセルを画像化するために使用される解像度(典型的には、X解像度とY解像度は同じであるが、これらは異なることもあり得る)、画像化のための画像化ビームのパワー、画像化のための画像化ビームのサイズ、画像化ビームの速度、使用される画像化ビームヘッド、使用される画像化ヘッドの数、マスク層が固定されるドラムの回転速度などのうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0060】
以下に、記述的ジョブファイルの第1の部分の例を説明する。この第1の部分は、マスク層に画像化される第1のラスタ画像ファイル“file1.tif”に関する。記述的ジョブファイルは、第1のラスタ画像ファイルへの参照と、第1のラスタ画像の位置と、第1のラスタ画像ファイルのピクセルを画像化するための解像度と、第1のラスタ画像ファイルに関連付けられた画像化モードとを含むことができ、画像化モードは、第1のラスタ画像ファイルのピクセルを画像化するために使用される画像化パラメータの予めプログラムされたセットを表す。
"HeadB":
{
"ImagingMode" :424,
"Power[%]" :100,
"Resolution[dpi]" :1270,
"StartX[pixels]" : 15473,
"StartY[pixels]" :45716,
"Images" :
[
{
"Name" :"file1.tif",
"Xsize[pixels]" : 14176,
"Ysize[pixels]" : 9436,
"X[pixels]" :0,
"Y[pixels]" :0,
"XStartPixel" :0,
"XEndPixel" : 14175
}
]
}
本例では、第1のラスタ画像ファイル“file1.tif”は、予めプログラムされた画像化パラメータのセットを表す画像化モード424を使用して“HeadB”によって画像化され、予めプログラムされたセットに含まれる電力値の100%の電力パーセンテージが使用され、解像度は1270dpiである。フィールド“StartX[pixels]”は、画像化モード424及び解像度1270dpiが使用される領域の左下隅のX座標を示す(本例では、画像化モード及び解像度は、ファイル“file1.tif”を画像化するためだけに使用されるが、他の例では、これらの設定は、2つ以上のラスタ画像ファイルを画像化するためにも使用され得る以下の例を参照)。フィールド“StartY[pixels]”は、画像化モード424及び解像度1270dpiが使用される領域の左下隅のY座標を示す。
【0061】
“Name”フィールドには、第1のラスタ画像ファイルの名前が含まれている。“Xsize[pixels]”フィールドは、第1のラスタ画像ファイルのX方向のピクセル数を示し、“Ysize[pixels]”フィールドは、第1のラスタ画像ファイルのY方向のピクセル数を示す。このデータは.tifファイルに含まれているため、このデータをジョブファイルに含めることは必須ではないが、オペレータ及び/又はイメージャ内の処理の助けとなる可能性があることに留意されたい。フィールド“X[pixels]”及び“Y[pixels]”は、マスク層上の第1の画像領域(第1のラスタ画像ファイルに関連付けられる)の左下隅のX座標及びY座標を、前に指定した値(“StartX[pixels]”:15473、“StartY[pixels]”:45716)に対して相対的に示す。“X[pixels]”:0、“Y[ピクセル]”:0であるため、第1の画像領域の左下隅はX座標15473(ピクセル単位)、Y座標45716(ピクセル単位で表現)から始まる。
【0062】
フィールド“XStartPixel”及び“XEndPixel”は、第1のラスタ画像ファイルの画像化されるピクセルの開始X座標及び終了X座標(ピクセル単位)を示す。したがって、本例では、第1のラスタ画像ファイル全体が画像化される。しかしながら、他の例では、白い部分を含む領域はスキップされることがある。また、ラスタ画像ファイルによっては、その異なる部分が異なる画像化モードを用いて画像化されてもよい。
【0063】
さらに、図示する例では、第2の画像領域を画像化するための第2のラスタ画像ファイルと、非機能領域を画像化するための“filling”ラスタ画像ファイルとが、異なる画像化パラメータを使用して画像化されてもよい。以下に、記述的ファイルのさらなる部分の例について説明する。この部分は、マスク層上に含まれる第2のラスタ画像ファイル“file2.tif”と、非機能領域を画像化するための“filling”ラスタ画像ファイルとに関する。
"HeadB":
{
"ImagingMode" :1,
"Power[W]" :100,
"Resolution[dpi]" :2000,
"StartX[pixels]" :0,
"StartY[pixels]" :0,
"Images" :
[
{
"Name" :"file2.tif",
"Xsize[pixels]" : 14176,
"Ysize[pixels]" : 28708,
"X[pixels]" :4402,
"Y[pixels]" :5800,
"XStartPixel" : 0,
"XEndPixel" : 14175
},
{
"Name" :"FILL.tif",
"Xsize[pixels]" : 39376,
"Ysize[pixels]" : 98512,
"X[pixels]" :0,
"Y[pixels]" :0,
"XStartPixel" : 0,
"XEndPixel" : 39375
}
]
}
本例では、第2のラスタ画像ファイル“file2.tif”及び充填ラスタ画像ファイル“FILL.tif”は、画像化パラメータの予めプログラムされたセットを表す画像化モード1を使用して“HeadB”によって画像化され、予めプログラムされたセットに含まれる値の100%の電力パーセンテージが使用され、解像度は2000dpiである。フィールド“StartX[pixels]”は、画像化モード1及び解像度2000dpiが使用される領域の左下隅のX座標を示す。フィールド“StartY[pixels]”は、画像化モード1及び解像度2000dpiが使用される領域の左下隅のY座標を示す。
【0064】
フィールド“X[pixels]”:4402及び“Y[pixels]”:5800は、マスク層上の第2の画像領域(第2のラスタ画像ファイルに関連付けられる)の左下隅のX座標及びY座標を、前に指定した値(“StartX[pixels]”:0、“StartY[pixels]”:0)に対して相対的に示す。したがって、第2の画像領域の左下隅は、X座標4402(ピクセル単位)及びY座標5800(ピクセル単位で表現)から始まる。
【0065】
フィールド“X[pixels]”:0及び“Y[pixels]”:0は、マスク層上の非機能領域(充填ラスタ画像ファイルに関連付けられる)の左下隅のX座標及びY座標を、前に指定した値(“StartX[pixels]”:0、“StartY[pixels]”:0)に対して相対的に示す。したがって、非機能領域の左下隅は、X座標0(ピクセル単位)及びY座標0(ピクセル単位で表現)から始まる。
【0066】
記述的ジョブファイルに含まれる画像化モードを決定するために、プログラムは、少なくとも1つのラスタ画像化ファイル及び充填ラスタ画像ファイルを分析し、それらのファイルを画像化するための最も適切な画像化モード及び/又は解像度を、予めプログラムされた画像化モード及び解像度のリストから選択することができる。決定するステップは、一方では、少なくとも1つの画像領域及び非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を最小限に抑えようとし、他方では、例えば、版のタイプ及び/又はオペレータの希望を考慮して、少なくとも1つのラスタ画像ファイルを画像化するための最も適切な画像化モード及び/又は解像度を選択することができる。別の実施形態では、画像化モードはオペレータによって選択されてもよい。例えば、オペレータは、あるラスタ画像ファイルを画像化するために特定の画像化モードを使用することを望む場合がある。
【0067】
さらに、記述的ジョブファイルにおいて参照されるラスタ画像ファイルは、表面スクリーンが含まれるラスタ画像ファイル、すなわち、典型的には、少なくともベタ領域及び/又はハーフトーン領域の一部において、サンプリングパターンが元の画像データ上にオーバーレイされたラスタ画像ファイルであってもよいことに留意されたい。少なくとも1つのラスタ画像ファイルラインFile1.tif又はFile2.tifについては、これは、参照により本明細書に含まれる、本出願人名義のオランダの蘭国特許出願第2031133号に開示されているようなサンプリングパターンであってもよい。充填ラスタ画像ファイルについては、異なるサンプリングパターン、典型的には、非画像化ピクセルよりも多くの画像化ピクセルを有するサンプリングパターンが含まれてもよく、その場合、画像化/非画像化ピクセルの同一グループ間の繰り返し距離は、比較的大きく、例えば、1mmよりも大きく、又は3mmよりも大きく、又は5mmよりも大きく、又はさらに10mmよりも大きく、例えば、1~50mm、好ましくは2~40mm、より好ましくは3~35mmである。このようなサンプリングパターンは、上述したようにラスタ画像ファイルに含まれてもよく、又は、参照により本明細書に含まれる、本出願人名義の特許出願WO第2021/110832A1号及び上記で引用した蘭国特許出願第2031133号に詳細に説明されているように、画像化ステップの直前にハードウェアに追加されてもよい。その目的のために、記述的ジョブファイルは、画像化中にラスタ画像ファイルに追加されるサンプリングパターンのタイプを示すこともできる。
【0068】
記述的ジョブファイルは、以下のいずれか1つ又は複数をさらに示すことができる。
【0069】
ジョブの識別子
版の幅及び高さ
版の厚さ
版のタイプ
版のブランド
版の名前
版上に画像化される画像の低解像度画像データを含むプレビューファイルへの参照
【0070】
上述した例では、画像ジョブデータは、少なくとも1つのラスタ画像ファイルへの参照と、充填画像化データを含む充填ラスタ画像ファイルへの参照とを含む記述的ジョブファイルとして準備され、位置データは、参照されるそれぞれのラスタ画像ファイルの位置を示すために記述的ジョブファイルに含まれている。
【0071】
別の可能な例では、画像ジョブデータは、マスク領域の少なくとも1つの対応する画像領域に配置された少なくとも1つのラスタ画像ファイルからのピクセルデータと、充填画像化データに対応するマスク領域の非機能領域のピクセルデータとを含む合成ラスタ画像ファイルとして準備される。その場合、位置データは、合成画像のレイアウトから暗黙的に示されるため、含める必要はない。
【0072】
図2Aは、複数のラスタ画像ファイルの画像化データが、画像化されるマスク層の領域に対応するレイアウトフレーム20の対応する画像領域10にどのように配置され得るかを示す。例えば、ユーザには、ユーザが複数のラスタ画像ファイルをレイアウトフレーム20内の対応する画像領域10と関連付けることを可能にするグラフィカルユーザインタフェースが提供されてもよい。
【0073】
当業者に知られているように、任意選択で、位置合わせマーク及び/又は切断マーク及び/又はテキスト及び/又はバーコードなどの識別子などの他の表示もレイアウトに含めることができる。本発明の実施形態では、このような表示は、対応する表示画像領域50に関連付けられた表示ラスタ画像ファイルを使用して、
図2Aのレイアウトに追加されてもよい。
図2Bは、2つの表示画像領域50、すなわち、切断マーク画像領域又は位置合わせマーク画像領域及びテキスト画像領域を示す。1つの切断マーク画像領域又は位置合わせマーク画像領域50のみが
図2Bに示されているが、典型的には、複数の位置合わせマーク画像領域及び/又は切断マーク画像領域が含まれてもよい。このような表示画像領域50は、対応する表示ラスタ画像ファイルへの参照を記述的ジョブファイルに含めることによって、並びに表示画像領域50を画像化するための位置データ及び/又は画像化パラメータのセットを追加することによって達成され得る。これは、少なくとも1つのラスタ画像ファイル及び関連付けられた少なくとも1つの画像領域10について上述したのと同じ方法で行うことができる。
【0074】
このようなマーク及び識別子は、マスク層のエッジ領域に、又は少なくとも1つの画像領域10に隣り合って/少なくとも1つの画像領域10間に、すなわち基本的に画像が存在する必要がない任意の場所に配置されてもよい。他の実施形態では、マーク又は識別子は、例えば、画像領域が未使用部分を含むか、若しくは識別子を必要とする場合、又は画像領域がより低い高さで画像化/現像されている場合、少なくとも1つの画像領域10内に位置してもよく、さらに参照されたい。現像後、マーク及び識別子は、少なくとも1つの画像領域10の印刷部分と同じ高さ又はそれよりも低い高さを有することができる。識別子を追加する方法の例は、参照により本明細書に含まれる、Flint Group Germany名義の特許明細書WO第2019110809A1号に開示されている。
【0075】
一部の実施形態によると、位置合わせマーク及び/又は切断マークなどのマーク、及び/又はテキスト、及び/又はバーコードなどの識別子が、少なくとも1つの画像領域10内に位置する。これにより、後続のステップに役立つすべての情報が少なくとも1つの画像領域に確実に含まれるようになる。
【0076】
一部の実施形態によると、充填画像化データは、位置合わせマーク画像領域及び/若しくは切断マーク画像領域などのマーク画像領域を含まず、並びに/又は充填画像化データは、テキスト画像領域を含まず、並びに/又は充填画像化データは、バーコード画像領域などの識別子画像領域を含まない。この特徴により、充填画像化データには、前駆体の処理中に役立つ可能性がある情報が含まれない。充填画像化データを含む非機能領域などの部分は、安全に廃棄することができる。
【0077】
一部の実施形態によると、非機能領域30のレリーフの高さは、少なくとも1つの画像領域10のレリーフの高さと実質的に同じである。
【0078】
マーク又は識別子の高さが印刷部分よりも低い場合、これらのマーク又は識別子は、少なくとも1つの画像領域10の非印刷部分に配置されてもよい。より低い高さを有するこのようなマーク及び/又は識別子は、例えば、露光時間及び/又は露光強度及び/又は露光パス数を変更するように構成されたUV露光ユニットを使用して、並びに/或いはUV露光ユニットと版との間に異なる光学構造を使用することによって、それぞれ異なる量の化学線エネルギーでマスク層を通して版を露光することによって達成することができる。追加的に又は代替的に、このようなマーク及び/又は識別子は、画像化中に画像化設定を適切に選択することによって、例えば、より小さいビームサイズを使用すること及び/又は画像化時間を短縮することによって達成され得る。別の選択肢は、硬化に使用される電磁放射線のビームが重なり合う版の感光層内の体積のみが十分に硬化されるような互いに対する距離で、マスク上に小さなスポット、例えばアブレーションされたスポットを生成することである。ビームの重なりがない体積では、硬化は不十分であり、その部分は現像ステップ中に除去される。
【0079】
図3は、画像領域10の外側にあるマスク層の非機能領域30を示す。この非機能領域30には、以下に説明するように、画像化データ、例えば、画像化ピクセル及び非画像化ピクセルの繰り返しパターンが含まれている。しかしながら、画像化ピクセルのみ、すなわち1つの大きなベタ領域を含めることも可能である。また、パターンは不規則な非繰り返しパターンであってもよい。また、非機能領域のある部分は、繰り返しパターンを含んでもよく、他の部分は、ベタ領域を含んでもよい。例えば、搬送バーが版に固定される版をより厚くするために、(画像化ピクセルのみを有する)ベタ領域を版の前縁及び後縁に隣り合って設けることができる。
【0080】
図4に示すように、任意選択で、各画像領域10の周囲に非画像化ピクセルの境界40を含めることができる。このことは、版の切断を容易にするために有利な場合があり、実際、これらの境界は、現像後に、版の切断を改善すること可能にする凹んだ境界になる。任意選択で、表示画像領域50の周囲に境界を追加してもよい。
【0081】
図5は、非機能領域30における画像化ピクセル及び非画像化ピクセルのパターンの追加を示す。このようなパターンは、典型的には、画像化に必要な時間を制限するために、比較的低い解像度で画像化される。解像度は、画像領域10のうちの1つの解像度と同じであってもよい。任意選択で、異なる画像領域は異なる解像度を有してもよく、及び/又は非機能領域の異なる部分は異なる解像度を有してもよい。
【0082】
図6は、マスク層上に画像化される結果として得られるレイアウトを示す。
【0083】
図8は、それぞれの解像度R1、R2を有する2つの画像領域10a、10bと、解像度R1を有する第1の画像領域10aを取り囲む第1の部分30a及び解像度R2を有する第2の画像領域10bを取り囲む第2の部分30bを有する非機能領域30と、を有する例を示す。これにより、第1の画像領域10a及び非機能領域の第1の部分30aを同じパス中に第1の解像度R1で画像化し、第2の画像領域10b及び非機能領域の第2の部分30bを同じパス中に第2の解像度R2で画像化することが可能になる。このようにして、非機能領域が画像化されない状況と比較して、必要とされる画像化時間が大幅に増加することはない。
【0084】
領域30a及び10aの一部にピクセルが示されており、黒い部分が画像化ピクセルを有する部分であり、白い正方形が非画像化ピクセルである。非機能領域30aでは、6(2×3)ピクセルの矩形のパターンが用いられており、各矩形は、X方向に2ピクセル、Y方向に4ピクセルの距離dx、dyにわたって離間している。第2の解像度R2は、第1の解像度よりも低い。より低い解像度のピクセルが領域30b及び10bに示されており、黒い部分が画像化ピクセルを有する部分であり、白い正方形が非画像化ピクセルである。非機能領域30bでは、4(2×2)ピクセルの正方形のパターンが用いられており、各正方形は、X方向及びY方向に3ピクセルの距離dx、dyにわたって離間している。本図は、単に説明のためのものであり、縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。典型的には、ピクセルのサイズは、画像領域のサイズと比較してはるかに小さく、非機能領域において使用されるサンプリングパターンは、典型的には、より大きな繰り返し距離dx、dyを有するより多くの画像化ピクセルを含む。
【0085】
図9に示される別の例では、非機能領域30の解像度は、非機能領域全体で同じであってもよく、例えば、画像領域10a、10bの一方を画像化するために使用される解像度、又は追加される露光時間が最小量になる解像度に対応してもよい。ここで、第2の画像領域10bの解像度R2は、非機能領域30に対して選択された。このような場合、非機能領域30は、第1のパスにおいて同じ解像度R2を有する画像領域10bとともに画像化されてもよく、異なる解像度R1を有する画像領域10aは、別のパスにおいて画像化されてもよい。
【0086】
図7は、非機能領域30、30a、30bにおいて使用され得るいくつかの可能なサンプリングパターンを示す。2つの隣り合う画像化部分間のX方向及びY方向の繰り返し距離dx、dyは、典型的には1mm~50mm、好ましくは2mm~40mm、より好ましくは3mm~35mmである。非機能領域30に追加されたピクセルの少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、さらにより好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも50%、例えば少なくとも70%が画像化ピクセルであるのが好ましい。このような好ましいパーセンテージは、図示されたパターンで達成される。
【0087】
本発明の実施形態はまた、ログラムがコンピュータ上で実行されると、先の実施形態のいずれか1つの方法を制御するために、コンピュータ実行可能命令を含むか、若しくは命令の機械実行可能プログラムをコード化する、コンピュータプログラム若しくはコンピュータプログラム製品又はデジタル記憶媒体に関する。本方法の一部のステップは、例えばユーザインタフェースを介したユーザとの対話を含んでもよく、一方、他のステップは、自動化された仕方ですべてが実行される。例えば、レイアウトフレームにおける少なくとも1つのラスタ画像ファイルの配置は、ユーザの操作によって行われてもよく、一方、位置データや非機能領域における画像化ピクセルの追加などの記述的ジョブファイルに含まれるデータは、ユーザがレイアウトを確認すると自動的に計算されてもよい。
【0088】
図10及び
図11は、コントローラ210と、コントローラ210からの画像ジョブデータに従ってマスク層を画像化するように構成されたイメージャ220とを備えるマスク層画像化システムの一実施形態を示す。コントローラ210は、少なくとも1つのラスタ画像ファイルに基づいて、少なくとも1つの画像領域において画像化する必要があるマスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備するように構成されている。コントローラ210は、レイアウト決定モジュール211及び充填モジュール212を備える。
【0089】
レイアウト決定モジュール211は、少なくとも1つのラスタ画像ファイルを受信することと、マスク層の少なくとも1つの対応する画像領域(
図2~
図6の領域10を参照)を画像化するように、画像ジョブデータ、例えば記述的ジョブファイルに少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連するデータを含めることとを行うように構成されている。任意選択で、レイアウト決定モジュール211は、少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連するデータを画像ジョブデータに含めるために、マスク領域に対応するフレームの少なくとも1つの対応する画像領域に少なくとも1つのラスタ画像ファイルを配置するためのグラフィカルインタフェースを提供するように構成されている。このようにして、ユーザは、マスク層上に所望のレイアウトを入力することができる。
図10の実施形態では、レイアウト決定モジュール211は、少なくとも1つのラスタ画像ファイルの位置データを決定することと、少なくとも1つのラスタ画像ファイルへの参照及び関連付けられた位置データを記述的ジョブファイルに含めることとを行うように構成されてもよい。
【0090】
充填モジュール212は、少なくとも1つの画像領域の外側にあるマスク層の非機能領域を決定することと、非機能領域(
図2~
図6の領域30を参照)を画像化するための充填画像化データを画像ジョブデータに含めることとを行うように構成されている。充填モジュール212は、非機能領域を画像化するための充填ラスタ画像ファイルを生成するように構成されてもよい。充填ラスタ画像ファイルは、例えば、
図7~
図9を参照して上述したようなパターンを含むことができる。
図10の実施形態において、充填モジュール212は、充填ラスタ画像ファイルへの参照を画像ジョブデータに含めるように構成されてもよい。
【0091】
図11の実施形態では、レイアウト決定モジュール211と充填モジュール212とは、統合され、少なくとも1つの画像領域における少なくとも1つのラスタ画像ファイルからのデータと、非機能領域における充填ラスタ画像ファイルからのデータとを含む合成ラスタ画像ファイルを生成するように構成されている。
【0092】
充填モジュール212は、非機能領域に追加されるピクセルの少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも70%が画像化ピクセルであるように、充填画像化データを含むように構成されているのが好ましい。一部の他の実施形態によると、充填モジュール212は、非機能領域に追加されるピクセルの10%未満が画像化ピクセルであるように、充填画像化データを含むように構成されている。
【0093】
充填モジュール212は、非機能領域を画像化するための少なくとも1つの画像化パラメータを有する少なくとも1つの画像化パラメータセットを画像ジョブデータ、例えば記述的ジョブファイルに含めるように構成されているのが好ましく、少なくとも1つの画像化パラメータセットを使用して少なくとも1つの画像領域及び非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を考慮するのが好ましい。例えば、充填モジュール212は、少なくとも1つの画像領域及び非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を考慮して、非機能領域を画像化するための画像化パラメータセットのリストから画像化パラメータセットを選択するように構成されてもよい。
【0094】
例示的な実施形態では、充填モジュール212は、少なくとも1つの画像領域のうちの1つの画像領域を画像化するために使用される解像度と同一の解像度を含む、非機能領域の少なくとも一部を画像化するための画像化パラメータセットを選択するように構成されてもよく、
図9に関連して上述した例も参照されたい。また、充填モジュール212は、実質的に非機能領域全体を画像化するための同じ解像度を画像ジョブデータに指定するように構成されてもよい。
【0095】
さらに発展した実施形態では、充填モジュール212は、非機能領域の第1の部分に対しては、例えば第1の解像度を含む第1の画像化パラメータセットを選択し、非機能領域の第2の部分に対しては、例えば第1の解像度とは異なる第2の解像度を含む第2の画像化パラメータセットを選択するように構成されてもよく、
図10に関連して上述した例も参照されたい。
【0096】
任意選択で、充填モジュール212は、少なくとも1つの画像領域のうちの少なくとも1つの周囲の境界が画像化されないように、充填画像化データを前記画像ジョブデータに含めるように構成され、
図4に関連して上述した例も参照されたい。
【0097】
任意選択で、充填モジュール212は、任意選択で少なくとも1つの画像領域のうちの少なくとも1つの周囲の非画像化ピクセルの境界を除いて、前記非機能領域に画像化ピクセル及び非画像化ピクセルのパターンを含むように構成されている。パターンは、非画像化ピクセルによって分離された少なくとも4つの隣り合う画像化ピクセルのグループ、好ましくは少なくとも6つの隣り合う画像化ピクセルのグループ、例えば、少なくとも4つの隣り合う画像化ピクセルが線によって分離された正方形を含むことができる。
図7に示す例も参照されたい。パターンは、繰り返し距離(dx,dy)が5~50mmの繰り返しパターンであってもよい。
【0098】
任意選択で、レイアウト決定モジュール211は、少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルを取得するために、少なくとも1つのラスタ画像ファイルのベタ領域及び/又はハーフトーン領域の上に、画像化ピクセル及び非画像化ピクセルの少なくとも1つの表面スクリーンを重ね合わせるように構成され、前記表面スクリーンは、含まれるラスタ画像ファイルごとに同じであっても異なっていてもよい。
図10の実施形態では、記述的ジョブファイルは、次いで、少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルへの参照を含んでもよく、少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルは、イメージャに別個に送信されてもよい。
図10の実施形態では、少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルは、合成ラスタ画像ファイルに含まれてもよい。
【0099】
さらに他の実施形態では、上記で説明したように、このような表面スクリーン(サンプリングパターンとも呼ばれる)は、イメージャにおいて、少なくとも1つの画像領域のベタ領域及び/又はハーフトーン領域に追加されることもある。その場合、記述的ジョブファイルは、どの表面スクリーンを適用するかを指定することができる。
【0100】
好ましい実施形態では、追加されたパターンは、表面スクリーンのパターンとは異なる。典型的には、追加されたパターンは、表面スクリーンパターンの繰り返し距離よりもはるかに大きい繰り返し距離を有する。
【0101】
一部の好ましい実施形態によると、前記画像ジョブデータに前記非機能領域を画像化するための充填画像化データを含めるステップは、非機能領域におけるベタ(solid)及び/又は網点が、版の上面に表面を有するレリーフ領域となるように実行される。非機能領域のベタ及び/又は網点は、版の上面から版の床面まで延在してもよい。ベタ及び/又は網点の高さは、この場合、網点の表面(及び版面)から床面までの距離である。この特徴の結果、非機能領域のベタ及び/又は網点の上には、洗浄プロセス中に洗い流す必要がある感光性材料が存在せず、それに応じて、洗浄プロセス中に必要とされる液体が少なくなる。
【0102】
当業者は、上述の様々な方法のステップが、プログラムされたコンピュータによって実行され得ることを容易に認識するであろう。本明細書では、一部の実施形態は、機械可読又はコンピュータ可読であり、機械実行可能又はコンピュータ実行可能な命令のプログラムをエンコードするプログラム記憶装置、例えば、デジタルデータ記憶媒体を包含することも意図されており、前記命令が前記上述の方法のステップの一部又は全部を実行する。プログラム記憶装置は、例えば、デジタルメモリ、磁気ディスク及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体であってもよい。実施形態は、上述の方法の前記ステップを実行するようにプログラムされたコンピュータを包含することも意図されている。
【0103】
本発明の原理は、具体的な実施形態に関連して上述されたが、この説明は、単に例としてなされたものであり、添付の特許請求の範囲によって決定される保護の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0104】
本開示の実施形態を以下に記載する。
[請求項1]
マスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備する方法であって、
少なくとも1つのラスタ画像ファイルを受信するステップ(110)と、
前記マスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備するステップとを含み、前記準備するステップが、
前記マスク層の少なくとも1つの対応する画像領域(10)を画像化するように、前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連するデータを前記画像ジョブデータに含めること、
前記少なくとも1つの対応する画像領域の外側にある前記マスク層の非機能領域(30)を決定すること(130)、及び
前記画像ジョブデータに前記非機能領域を画像化するための充填画像化データを含めること(140)であり、前記充填画像化データが、前記非機能領域に追加されたピクセルの少なくとも10%が画像化ピクセルであるものである、充填画像化データを含めること
を含む、
方法。
[請求項2]
前記画像ジョブデータを準備するステップが、前記少なくとも1つのラスタ画像ファイル、例えば、異なる解像度を有する少なくとも2つのラスタ画像ファイル、又は前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルに基づく少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイル、及び前記非機能領域を画像化するための充填ラスタ画像ファイルへの参照を含む記述的ジョブファイルを準備するステップを含み、前記記述的ジョブファイルが、前記少なくとも1つのラスタ画像ファイル、又は前記少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイル、及び前記充填ラスタ画像ファイルと組み合わせて使用され、任意選択で、前記記述的ジョブファイルが、切断マーク領域又は識別子領域である表示領域に関連付けられた少なくとも1つの表示ラスタ画像ファイルへの参照を含み、前記記述的ジョブファイルが、前記少なくとも1つの表示ラスタ画像ファイルと組み合わせて使用される、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連する前記データが、前記マスク層上の前記少なくとも1つの対応する画像領域の位置を示す画像位置データを含み、及び/又は前記充填画像化データが、前記非機能領域の位置を示す充填位置データを含み、
任意選択で、前記画像位置データ及び/又は前記充填位置データが前記記述的ジョブファイルに含まれる、
請求項1または2に記載の方法。
[請求項4]
前記充填画像化データが、前記非機能領域に追加されたピクセルの少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも70%が画像化ピクセルであるようなものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
[請求項5]
前記非機能領域を画像化するための少なくとも1つの画像化パラメータを有する少なくとも1つの画像化パラメータセットを前記画像ジョブデータに含めるステップであって、前記少なくとも1つの画像化パラメータセットを使用して前記少なくとも1つの画像領域及び前記非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を考慮するのが好ましい、ステップを含み、
任意選択で、前記画像化パラメータセットが、以下のパラメータ、すなわち、前記非機能領域のピクセルを画像化するために使用される解像度、前記非機能領域を画像化するための画像化ビームのパワー、前記非機能領域を画像化するための画像化ビームのサイズ、前記非機能領域を画像化するための画像化ビームの速度、使用される画像化ビームヘッド、使用される画像化ヘッドの数、前記非機能領域の画像化中に版が固定されるドラムの回転速度のうちの1つ又は複数を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
[請求項6]
前記非機能領域を画像化するための前記少なくとも1つの画像化パラメータセットを含めるステップが、
前記非機能領域を画像化するための画像化パラメータセットのリストから少なくとも1つの画像化パラメータセットを選択して、前記少なくとも1つの画像領域及び前記非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を低減又は最適化するステップを含み、並びに/或いは
前記非機能領域の少なくとも一部を画像化するために選択された画像化パラメータセットが、前記少なくとも1つの画像領域のうちの1つの画像領域の画像化に使用される解像度と同一の解像度を含み、並びに/或いは
前記少なくとも1つの画像化パラメータセットが、前記非機能領域の第1の部分に対する第1の画像化パラメータセットと、前記非機能領域の第2の部分に対する第2の画像化パラメータセットとを含み、並びに/或いは
前記非機能領域を画像化するための前記少なくとも1つの画像化パラメータセットを前記画像ジョブデータに含めるステップが、第1の非機能領域(30a)を画像化するための第1の解像度(R1)と、第2の非機能領域(30b)を画像化するための第2の異なる解像度(R2)とを指定するステップを含み、前記第1の非機能領域が、前記第1の解像度で画像化される前記少なくとも1つの画像領域の第1の画像領域(10a)と隣り合い、前記第2の非機能領域が、前記第2の解像度で画像化される第2の画像領域(10b)と隣り合うのが好ましく、並びに/或いは
前記非機能領域を画像化するための前記少なくとも1つの画像化パラメータセットを前記画像ジョブデータに含めるステップが、実質的に前記非機能領域全体を画像化するための同じ解像度を指定するステップを含む、
請求項5に記載の方法。
[請求項7]
前記画像ジョブデータに充填画像化データを含めるステップが、前記少なくとも1つの画像領域のうちの少なくとも1つの周囲の境界(40)が画像化されないようにすることであり、及び/又は
前記非機能領域が、前記少なくとも1つの画像領域と前記非機能領域との組合せが前記マスク層の印刷可能領域全体を実質的にカバーするように決定され、及び/又は
前記充填画像データが、前記レリーフ前駆体を処理するのに必要な液体の量を低減するように選択される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
[請求項8]
前記画像ジョブデータに前記非機能領域を画像化するための充填画像化データを含めるステップが、任意選択で前記少なくとも1つの画像領域のうちの少なくとも1つの周囲の非画像化ピクセルの境界を除いて、前記非機能領域に画像化ピクセル及び非画像化ピクセルのパターンを含めるステップを含み、
前記パターンが、非画像化ピクセルによって分離された少なくとも4つの隣り合う画像化ピクセルのグループ、好ましくは少なくとも6つの隣り合う画像化ピクセルのグループ、例えば、少なくとも4つの隣り合う画像化ピクセルが線によって分離された正方形を含み、
任意選択で、前記パターンが、1~50mm、好ましくは2~40mm、より好ましくは3~30mmの繰り返し距離(dx,dy)を有する繰り返しパターンである、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
[請求項9]
前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルのベタ領域及び/又はハーフトーン領域の上に、画像化ピクセル及び非画像化ピクセルの少なくとも1つの表面スクリーンを重ね合わせて、少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルを取得するステップをさらに含み、前記表面スクリーンが、含まれるラスタ画像ファイルごとに同じであっても異なっていてもよく、前記画像ジョブデータが、前記少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイル又は前記少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルへの参照を含み、
任意選択で、追加されたパターンが、前記表面スクリーンのパターンとは異なる、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
[請求項10]
前記画像ジョブデータに前記非機能領域を画像化するための前記充填画像化データを含めるステップが、前記非機能領域のベタ及び/又は網点が、前記版の上面に表面を有するレリーフ領域であるように実行される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
[請求項11]
位置合わせマーク及び/又は切断マークなどのマーク、及び/又はテキスト、及び/又はバーコードなどの識別子が、前記少なくとも1つの画像領域(10)内に位置し、前記充填画像化データが、位置合わせマーク画像領域及び/又は切断マーク画像領域などのマーク画像領域を含まず、並びに/或いは前記充填画像化データが、テキスト画像領域を含まず、並びに/或いは前記充填画像化データが、バーコード画像領域などの識別子画像領域を含まない、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
[請求項12]
コンピュータ上で実行されると、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を制御するコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品。
[請求項13]
少なくとも1つのラスタ画像ファイルに基づいて、少なくとも1つの画像領域において画像化する必要があるマスク層を画像化するための画像ジョブデータを準備するように構成されたコントローラ(210)であって、
少なくとも1つの画像領域の外側にある前記マスク層の非機能領域を決定することと、
前記画像ジョブデータに前記非機能領域を画像化するための充填画像化データを含めることとを行うように構成され、前記非機能領域に追加されたピクセルの少なくとも10%が画像化ピクセルであるように前記充填画像化データを含めるように構成された、充填モジュール(212)を備える、
コントローラ。
[請求項14]
前記充填モジュールが、前記非機能領域を画像化するための充填ラスタ画像ファイルを生成するように構成され、
任意選択で、前記充填モジュールが、前記充填ラスタ画像ファイルへの参照を前記画像ジョブデータに含めるように構成されている、
請求項13に記載のコントローラ。
[請求項15]
少なくとも1つのラスタ画像ファイルを受信することと、
前記マスク層の前記少なくとも1つの対応する画像領域を画像化するように、前記画像ジョブデータに前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連するデータを含めることと、
を行うように構成されたレイアウト決定モジュール(211)をさらに備え、
任意選択で、前記レイアウト決定モジュールが、前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルに関連するデータを前記画像ジョブデータに含めるために、マスク領域に対応するフレームの少なくとも1つの対応する画像領域に前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルを配置するためのグラフィカルインタフェースを提供するように構成され、
任意選択で、前記レイアウト決定モジュールが、前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルへの参照、又は前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルに基づく少なくとも1つの修正されたラスタ画像ファイルへの参照を、前記画像ジョブデータに含めるように構成され、
任意選択で、前記レイアウト決定モジュールが、前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルの位置データを決定することと、前記位置データを前記画像ジョブデータに含めることとを行うように構成され、
任意選択で、前記レイアウト決定モジュールと前記充填モジュールとが統合され、前記少なくとも1つの画像領域における前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルからのデータと、前記非機能領域における前記充填ラスタ画像ファイルからのデータとを含む合成ラスタ画像ファイルを生成するように構成され、
任意選択で、前記コントローラが、前記画像ジョブデータを記述的ジョブファイルとして、前記充填ラスタ画像ファイル及び前記少なくとも1つのラスタ画像ファイルとともにイメージャに送信するように構成されている、
請求項13または14に記載のコントローラ。
[請求項16]
前記充填モジュールが、前記非機能領域を画像化するための少なくとも1つの画像化パラメータを有する少なくとも1つの画像化パラメータセットを前記画像ジョブデータに含めるように構成され、前記少なくとも1つの画像化パラメータセットを使用して前記少なくとも1つの画像領域及び前記非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を考慮するのが好ましく、
任意選択で、前記画像化パラメータセットが、以下のパラメータ、すなわち、前記非機能領域のピクセルを画像化するために使用される解像度、前記非機能領域を画像化するための画像化ビームのパワー、前記非機能領域を画像化するための画像化ビームのサイズ、前記非機能領域を画像化するための画像化ビームの速度、使用される画像化ビームヘッド、使用される画像化ヘッドの数、前記非機能領域の画像化中に版が固定されるドラムの回転速度のうちの1つ又は複数を含み、
任意選択で、前記充填モジュールが、前記少なくとも1つの画像領域及び前記非機能領域を画像化するのに必要な画像化時間の総量を考慮して、前記非機能領域を画像化するための画像化パラメータセットのリストから画像化パラメータセットを選択するように構成され、
任意選択で、前記充填モジュールが、前記少なくとも1つの画像領域のうちの1つの画像領域の画像化に使用される解像度と同一の解像度を含む、前記非機能領域の少なくとも一部を画像化するための画像化パラメータセットを選択するように構成され、
任意選択で、前記充填モジュールが、前記非機能領域の第1の部分に対しては、例えば第1の解像度を含む第1の画像化パラメータセットを選択し、前記非機能領域の第2の部分に対しては、例えば前記第1の解像度とは異なる第2の解像度を含む第2の画像化パラメータセットを選択するように構成され、
任意選択で、前記充填モジュールが、実質的に非機能領域全体を画像化するための同じ解像度を前記画像ジョブデータに指定するように構成されている、
請求項13~15のいずれか一項に記載のコントローラ。
[請求項17]
前記充填モジュールが、任意選択で前記少なくとも1つの画像領域のうちの少なくとも1つの周囲の非画像化ピクセルの境界を除いて、前記非機能領域に画像化ピクセル及び非画像化ピクセルのパターンを含むように構成され、
前記パターンが、非画像化ピクセルによって分離された少なくとも4つの隣り合う画像化ピクセルのグループ、好ましくは少なくとも6つの隣り合う画像化ピクセルのグループ、例えば、少なくとも4つの隣り合う画像化ピクセルが線によって分離された正方形を含むのが好ましく、
任意選択で、前記パターンが、1~50mm、好ましくは2~40mm、より好ましくは3~35mmの繰り返し距離(dx,dy)を有する繰り返しパターンである、
請求項13~16のいずれか一項に記載のコントローラ。
[請求項18]
請求項13~17のいずれか一項に記載のコントローラと、前記コントローラからの前記画像ジョブデータに従って前記マスク層を画像化するように構成されたイメージャとを備える、マスク層画像化システム。
[請求項19]
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法に従って得られる画像化されたマスク層。
【符号の説明】
【0105】
10 画像領域
10a 画像領域
10b 画像領域
20 レイアウトフレーム
30 非機能領域
30a 非機能領域
30b 非機能領域
40 境界
50 表示画像領域
130 非機能領域
210 コントローラ
211 レイアウト決定モジュール
212 充填モジュール
220 イメージャ
424 画像化モード
dx 繰り返し距離
dy 繰り返し距離
【外国語明細書】