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特開2024-49347バッテリーの浸水表示方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049347
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】バッテリーの浸水表示方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240402BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20240402BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240402BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240402BHJP
   G01F 23/00 20220101ALI20240402BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240402BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240402BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20240402BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H02J7/00 S
H02H7/18
H01M10/48 P
H01M10/44 P
G01F23/00 D
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147029
(22)【出願日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】111136833
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】597127029
【氏名又は名称】光陽工業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】▲テイ▼ 仁傑
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼ 信良
【テーマコード(参考)】
2F014
5G053
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
2F014AB02
2F014DA03
5G053AA16
5G053BA04
5G053DA03
5G053FA05
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA11
5G503DA04
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS08
5H030BB01
5H030BB21
5H030FF43
5H030FF44
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC18
5H125CC01
5H125CD02
5H125EE23
5H125EE26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リチウム電池に水が浸入した場合、ユーザに対する即時の警告表示を行う浸水表示方法および浸水表示システムを提供する。
【解決手段】電気車両に搭載され、バッテリー1、車両制御ユニット(VCU)2及び表示コンポーネント3を備えるバッテリーの浸水表示システムであって、バッテリー内のバッテリー管理システム20は、バッテリーに水が浸入したか否かを判定し、水が浸入した場合VCUまたは表示コンポーネントに警告指令を出力する。VCUは、警告指令を受信すると、警告動作を実行し、電気車両の充電を禁止及び/又は電気車両が達成可能な速度を制限する。電気車両のダッシュボードである表示コンポーネントは、警告指令を受信すると、ユーザーに浸水が発生したことを警告するために、ダッシュボードの故障表示灯を点灯させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両のバッテリーの浸水表示方法であって、バッテリーが、バッテリー管理システムと複数のバッテリーユニットとを備え、該バッテリーユニットによって形成されるバッテリー群が、該バッテリー群の正極端子を介して前記バッテリー管理システムに電気的に接続され、該バッテリー管理システムによって実行される浸水表示方法が、
前記バッテリーの検出電圧値及び基準電圧値を測定するステップと、
前記検出電圧値及び前記基準電圧値に応じて差分電圧値を算出するステップと、
前記差分電圧値が閾電圧値よりも大きいか否かを判定するステップと、
前記差分電圧値が前記閾電圧値よりも大きい場合に、前記バッテリーに水が浸入したと判定して警告指令を出力するステップと、
を含み、
前記基準電圧値は、総電圧値であり、該総電圧値は、前記バッテリーユニットの夫々の2つの対向する端子間の電圧値の総和であり、前記検出電圧値は、前記正極端子で測定された電圧値である、バッテリーの浸水表示方法。
【請求項2】
電気車両のバッテリーの浸水表示方法であって、バッテリーが、バッテリー管理システムと複数のバッテリーユニットとを備え、該バッテリーユニットによって形成されるバッテリー群が、該バッテリー群の正極端子を介して前記バッテリー管理システムに電気的に接続され、該バッテリー管理システムが、正極電源端子と充電スイッチと放電スイッチとを備え、前記充電スイッチ及び前記放電スイッチが、前記正極端子と前記正極電源端子との間に直列に接続され、前記バッテリー管理システムによって実行される浸水表示方法が、
前記バッテリーの検出電圧値及び基準電圧値を測定するステップと、
前記検出電圧値及び前記基準電圧値に応じて差分電圧値を算出するステップと、
前記差分電圧値が閾電圧値よりも大きいか否かを判定するステップと、
前記差分電圧値が前記閾電圧値よりも大きい場合に、前記バッテリーに水が浸入したと判定して警告指令を出力するステップと、
を含み、
前記基準電圧値は、総電圧値であり、該総電圧値は、前記バッテリーユニットの夫々の2つの対向する端子間の電圧値の総和であり、前記検出電圧値は、前記充電スイッチ及び前記放電スイッチが通電のためにオンされたときに前記正極電源端子で測定される電圧である、バッテリーの浸水表示方法。
【請求項3】
前記バッテリー管理システムが、
前記検出電圧値が、標準電圧値よりも大きいか否かを判定するステップと、
前記検出電圧値が前記標準電圧値よりも大きい場合に、前記バッテリーに水が浸入したと判定するステップと、
を実行し、
前記標準電圧値は、前記バッテリーに初期設定された最大動作電圧値である請求項2に記載の浸水表示方法。
【請求項4】
前記正極電源端子が、負荷又は外部電源に電気的に接続される請求項2に記載の浸水表示方法。
【請求項5】
前記バッテリー管理システムが、
前記検出電圧値が、標準電圧値よりも大きいか否かを判定するステップと、
前記検出電圧値が前記標準電圧値よりも大きい場合に、前記バッテリーに水が浸入したと判定するステップと、
を実行し、
前記標準電圧値は、前記バッテリーに初期設定された最大動作電圧値である請求項1に記載の浸水表示方法。
【請求項6】
前記電気車両の車両制御ユニット(VCU)が、通信モジュールを介して前記警告指令を受信し、該警告指令に従って前記電気車両を制御する警告動作を実行する請求項1に記載の浸水表示方法。
【請求項7】
前記電気車両の表示コンポーネントが、通信モジュールを介して前記警告指令を受信し、該警告指令に従って警告動作を実行する請求項1に記載の浸水表示方法。
【請求項8】
前記電気車両の車両制御ユニット(VCU)が、通信モジュールを介して前記警告指令を受信し、該警告指令に従って前記電気車両を制御する警告動作を実行する請求項2に記載の浸水表示方法。
【請求項9】
前記電気車両の表示コンポーネントが、通信モジュールを介して前記警告指令を受信し、該警告指令に従って警告動作を実行する請求項2に記載の浸水表示方法。
【請求項10】
電気車両のバッテリーの浸水表示方法であって、バッテリーが、バッテリー管理システムと複数のバッテリーユニットとを備え、前記バッテリー管理システムによって実行される浸水表示方法が、
前記バッテリーの検出電圧値を測定するステップと、
前記検出電圧値が標準電圧値よりも大きいか否かを判定するステップと、
前記検出電圧値が前記標準電圧値よりも大きい場合に、前記バッテリーに水が浸入したと判定して警告指令を出力するステップと、
を備え、
前記バッテリーユニットによって形成されるバッテリー群が正極端子を有し、該正極端子を介して前記バッテリー管理システムに電気的に接続され、前記検出電圧値は、前記正極端子で測定された電圧値であり、前記標準電圧値は、前記バッテリーに初期設定された最大動作電圧値である、バッテリーの浸水表示方法。
【請求項11】
前記電気車両の車両制御ユニット(VCU)が、通信モジュールを介して前記警告指令を受信し、該警告指令に従って前記電気車両を制御する警告動作を実行する請求項10に記載の浸水表示方法。
【請求項12】
前記電気車両の表示コンポーネントが、通信モジュールを介して前記警告指令を受信し、該警告指令に従って警告動作を実行する請求項10に記載の浸水表示方法。
【請求項13】
電気車両のバッテリーの浸水表示方法であって、バッテリーが、バッテリー管理システムと複数のバッテリーユニットと浸水検出基板とを備え、前記バッテリー管理システムが分圧器を備え、該分圧器が前記バッテリーユニットに電気的に接続され、前記分圧器が直列に接続された複数の抵抗を備え、該抵抗の一つの対向する2つの側が前記浸水検出基板に接続され、前記バッテリー管理システムによって実行される浸水表示方法が、
前記浸水検出基板の対向する2つの面から分圧値を測定するステップと、
前記分圧値が分圧基準値よりも小さいか否かを判定するステップと、
前記分圧値が前記分圧基準値よりも小さい場合に、前記バッテリーに水が浸入したと判定して前記バッテリー管理システムから警告指令を出力するステップと、
を含み、
前記バッテリー内に浸入した水が前記浸水検出基板に接触すると、前記分圧値が変化し、
前記分圧基準値は、前記浸水検出基板が乾燥しているときの、該浸水検出基板の対向する2つの面の間の電圧測定値である、バッテリーの浸水表示方法。
【請求項14】
前記電気車両の車両制御ユニット(VCU)が、通信モジュールを介して前記警告指令を受信し、該警告指令に従って前記電気車両を制御する警告動作を実行する請求項13に記載の浸水表示方法。
【請求項15】
前記電気車両の表示コンポーネントが、通信モジュールを介して前記警告指令を受信し、該警告指令に従って警告動作を実行する請求項13に記載の浸水表示方法。
【請求項16】
互いに接続されることによりバッテリー群を形成する複数のバッテリーユニットと、
前記バッテリー群に電気的に接続され、直列に接続された複数の抵抗器を備える分圧器を有するバッテリー管理システムと、
前記抵抗器の1つに並列に接続され、水に接触すると抵抗値が変化する浸水検出基板と、
を備える少なくとも一つのバッテリーを備え、
前記バッテリー管理システムが、前記抵抗器と前記浸水検出基板の一方を並列接続して出力される分圧値が分圧基準値未満であると判定した場合、前記バッテリーに水が浸入したと判定して警告指令を出力し、
前記分圧基準値は、前記浸水検出基板が乾燥しているときの、該浸水検出基板の対向する二つの面の間の電圧測定値である、電気車両のための浸水表示システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのバッテリーが、バッテリーシェルを有し、該バッテリーシェルが、前記バッテリーユニット、前記バッテリー管理システム及び前記浸水検出基板を覆い、
該浸水検出基板が、前記バッテリーシェルの底部に取り付けられる請求項16に記載の浸水表示システム。
【請求項18】
前記浸水検出基板が、2つの導通回路を備え、該2つの導通回路が前記分圧器に電気的に接続される請求項16に記載の浸水表示システム。
【請求項19】
通信モジュールを介して前記警告指令を受信し、該警告指令に従って前記電気車両を制御する警告動作を実行する車両制御ユニット(VCU)を備える請求項16に記載の浸水表示システム。
【請求項20】
通信モジュールを介して前記警告指令を受信し、該警告指令に従って警告動作を実行する表示コンポーネントを備える請求項16に記載の浸水表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車両のバッテリーに関し、より具体的には、電気車両のバッテリーの浸水表示方法および浸水表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発展とともに、リチウム二次電池は日常用途から産業用途まで幅広く使われるようになり、例えば、リチウム二次電池は電気車両や電話機によく使われている。リチウム電池は通常、防水構造を備えており、リチウム電池内に水が浸入して故障の原因となることを防いでいる。しかし、長期間使用すると、衝撃力によってリチウム電池の防水構造が損傷したり、温度や湿気の要因で劣化したりする可能性がある。これによりリチウム電池に水が侵入しやすくなる。リチウム電池を充放電すると、リチウム電池内の温度が上昇し、リチウム電池の外表面と温度差が生じる。この温度差によって、リチウム電池の外表面に水滴の結露が生じ、リチウム電池を湿度の高い環境に置くのと同じように、水滴がリチウム電池に侵入しやすくなる。
【0003】
リチウム電池に水滴が浸入したかどうかを判定するために、通常、検知シールをリチウム電池の内側に配置し、リチウム電池の外面に透明な観察孔を形成する。ユーザは、透明な観察孔から検知シールを観察することができる。リチウム電池に水滴が浸入すると検知シールの色が変化するので、ユーザはリチウム電池が水滴によって侵されていることを知ることができる。しかし、リチウム電池が電動スクーターの電気車両用電池として利用される場合、走行中にリチウム電池に水が浸入しても、検知シールはその状況を即座に警告表示することができない。そのような状況下では、水が浸入したリチウム電池がそのまま使用され、その結果、リチウム電池に致命的な故障を引き起こしたり、発火したりする可能性がある。
【0004】
特許文献1は、車両システムのバッテリーシステムに流入する水を検出する装置および方法を開示している。この装置は、バッテリーシステムに流入する水のレベルに応じて異なる電圧値を出力する検出回路ユニットと、検出回路ユニットから出力された電圧値を測定し、測定された電圧値に基づいてバッテリーシステムの水流入状態を判定する水流入判定ユニットとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第109916474号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的なリチウム電池に水が浸入した場合、一般的なリチウム電池はユーザに対する即時の警告表示を行わないため、ユーザはしばしば水の浸入した一般的なリチウム電池を使い続けることになる。水は一般的にイオン性であるため、水は通常、導電性媒体とみなされる。一般的なリチウム電池に水が侵入すると、その水は一般的なリチウム電池内で短絡を引き起こし、故障やリチウム電池の発火につながる可能性がある。このため、一般的なリチウム電池には解決すべき安全上の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態では、浸水表示方法は電気車両のバッテリーに適用される。バッテリーは、バッテリー管理システムと、複数のバッテリーユニットと、を備える。バッテリー管理システムはコントローラを有し、バッテリー管理システムのコントローラによって実行される浸水表示方法は、バッテリー管理システムのコントローラによって、検出電圧値及び基準電圧値を測定するステップと、検出電圧値及び基準電圧値に応じて差分電圧値を算出するステップと、差分電圧値が閾電圧値よりも大きいか否かを判定するステップと、差分電圧値が閾電圧値よりも大きい場合に、バッテリーに水が浸入したと判定して、バッテリー管理システムから警告指令を出力するステップと、を含む。
【0008】
本発明の他の実施形態では、浸水表示方法は電気車両のバッテリーに適用される。バッテリーは、バッテリー管理システムと、複数のバッテリーユニットと、浸水検出基板と、を備える。バッテリー管理システムは、浸水検出基板の対向する2つの面に接続される。バッテリー管理システムはコントローラを有し、バッテリー管理システムのコントローラによって実行される浸水検知方法は、バッテリー管理システムのコントローラによって、浸水検出基板の対向する2つの面から分圧値を受信するステップと、分圧値が分圧基準値よりも小さいか否かを判定するステップと、分圧値が分圧基準値よりも小さい場合に、バッテリーに水が浸入したと判定してバッテリー管理システムから警告指令を出力するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、浸水表示方法および浸水表示システムを提供する。浸水表示システムは、バッテリーと、車両制御ユニット(VCU)と、表示コンポーネントと、を備える。バッテリー内のバッテリー管理システムは、水滴がバッテリー内部に侵入したかどうかを判定することができる。水滴がバッテリー内部に侵入した場合には、バッテリー管理システムは通信モジュールを介して警告指令を出力し、VCUまたは表示コンポーネントは別の通信モジュールを介して警告指令を受信する。
【0010】
ある実施形態では、VCUが警告指令を受信すると、VCUは、警告指令に従って電気車両を制御するための警告動作を実行する。警告動作は、例えば、電気車両の充電を禁止したり、電気車両が到達可能な速度を制限したりすること等である。
【0011】
別の実施形態では、表示コンポーネントが警告指令を受信すると、表示コンポーネントは警告指令に従って警告動作を実行する。例えば、表示コンポーネントは電気車両のダッシュボードであり、警告動作は、水滴がバッテリーに侵入した可能性があることをユーザに警告するために、ダッシュボード上の故障表示灯を点灯させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るバッテリーの浸水表示システムのブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るバッテリーの浸水表示システムの回路図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る電池の浸水表示方法のフローチャートである。
図4】本発明の第2実施形態に係るバッテリーの浸水表示システムの3次元(3D)透視図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るバッテリーの浸水表示システムの回路図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る電池の浸水表示方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、電気車両のバッテリー用の浸水表示方法及び浸水表示システムを提供する。
【0014】
図1を参照すると、浸水表示システムは電気車両に搭載されている。浸水表示システムは、少なくとも1つのバッテリー1と、車両制御ユニット(VCU)2と、表示コンポーネント3と、を備えている。
【0015】
図2を参照すると、浸透水表示システムの一実施形態では、少なくとも1つのバッテリー1は、複数のバッテリーユニット10と、バッテリー管理システム20と、をさらに備えている。バッテリーユニット10の各々は、単一のバッテリーセルまたは複数のバッテリーセルを有していてもよい。バッテリーユニット10は、バッテリー群11を形成するように接続されている。例えば、バッテリーユニット10は直列に接続されてバッテリー群11を形成し、各列において、バッテリーユニット10は、V1,V2,…,Vnと示される電圧値をそれぞれ有している。この場合、バッテリー群11はn個のバッテリーユニット10を有し、nは2よりも大きい整数である。バッテリー管理システム20は、回路基板上に実装され、少なくとも1つのバッテリー1を管理する。このように、バッテリー管理システム20は、バッテリーユニット10の充放電機能を制御することができ、さらに、バッテリーユニット10の放電量情報、充電量情報および温度情報を監視する。
【0016】
バッテリー群11は2つの端子を有し、2つの端子はバッテリー群11の総電圧出力ポートとして使用される。2つの端子は、正極端子11aと負極端子11bとを備え、バッテリー管理システム20は、バッテリー群11を制御するために、バッテリー群11の正極端子11aおよび負極端子11bに接続される。さらに、バッテリー管理システム20はまた、正極電源端子20aと負極電源端子20bとを備えている。正極端子11aと正極電源端子20aとの間には、充電スイッチSW1と放電スイッチSW2とが直列に接続されている。充電スイッチSW1および放電スイッチSW2の両方が通電のためにオンされると、バッテリー管理システム20は、このようにしてバッテリー群11を充電または放電するように制御する。正極電源端子20aおよび負極電源端子20bがそれぞれ外部電源に接続されている場合、バッテリー群11は、バッテリー管理システム20を介して外部電源からの充電を受ける。正極電源端子20aおよび負極電源端子20bがそれぞれ負荷に接続されると、バッテリー群11は、バッテリー管理システム20を介して負荷に電荷を放出する。以下、バッテリー群11の放電方法の一例を詳述する。
【0017】
バッテリー管理システム20は、電圧検出モジュール21と、第1変圧回路22aと、第2変圧回路22bと、コントローラ23と、を備えている。電圧検出モジュール21は、各バッテリーユニット10の正極及び負極に接続されており、各バッテリーユニット10の対向する2つの端子間の電圧値をそれぞれV1,V2,…,Vnとして検出する。電圧検出モジュール21は、さらに、各バッテリーユニット10の対向する2つの端子間の電圧値V1,V2,…,Vnを合計して総電圧値Vsumとし、総電圧値Vsumに対応する総変換電圧値Vt0を出力する。本実施形態において、電圧検出モジュール21は、アナログフロントエンド(AFE)検出モジュールである。他の実施形態では、電圧検出モジュール21はそれ以外でも構わない。
【0018】
第1変圧回路22aは、正極端子11aに接続されている。正極端子11aの電圧Vaは、第1変圧回路22aによって第1変換電圧Vt1として変圧されて出力され、第1変換電圧Vt1は、正極端子11aで測定された電圧Vaよりも小さい。本実施形態では、第1変圧回路22aは分圧器である。第1変圧回路22aは、正極端子11aの電圧Vaを第1変換電圧Vt1としてより小さい電圧に分圧する。
【0019】
第2変圧回路22bは、正極電源端子20aに接続されている。正極電源端子20aの電圧Vbは、第2変圧回路22bによって第2変換電圧Vt2として変圧されて出力され、第2変換電圧Vt2は、正極電源端子20aで測定された電圧Vbよりも小さい。
【0020】
コントローラ23は、総変換電圧値Vt0、第1変換電圧Vt1および第2変換電圧Vt2をそれぞれ受信するために、電圧検出モジュール21と、第1変圧回路22aと、第2変圧回路22bとをそれぞれ電気的に接続している。コントローラ23の動作電圧範囲は比較的小さい(例えば、5ボルトを超えない)ので、電圧検出モジュール21、第1変圧回路22aおよび第2変圧回路22bに依存して、総電圧値Vsum、正極端子11aの電圧Vaおよび正極電源端子20aで測定された電圧Vbを、それぞれ、大きな電圧から、総変換電圧値Vt0、第1変換電圧Vt1および第2変換電圧Vt2のような小さな電圧に変換する。
【0021】
VCU2は、電気車両のモニターハブである。VCU2は、通信モジュールを介してバッテリー管理システム20と通信し、コントローラ23から受信した指令を適宜実行する。表示コンポーネント3もまた、通信モジュールを介してバッテリー管理システム20と通信し、コントローラ23から受信した指令を適宜実行する。一実施形態では、通信モジュールは、コントローラエリアネットワーク(CANバス)である。
【0022】
図3を参照して、本発明の第1の実施形態では、図1および図2で説明した浸水表示システムによって浸水表示方法が実行される。図3で説明したステップS10からステップS70は、異なる順序で実行されても構わない。浸水表示方法は、バッテリー管理システム20のコントローラ23によって実行され、以下のステップを含む。
【0023】
ステップS10:コントローラ23により、少なくとも1つのバッテリー1の検出電圧値および基準電圧値を測定する。本発明の実施形態では、コントローラ23は、第1変換電圧Vt1に応じて正極端子11aの電圧Vaを算出し、電圧Vaを検出電圧値として設定する。さらに、コントローラ23は、総変換電圧値Vt0に応じて総電圧値Vsumを算出し、総電圧値Vsumを基準電圧値として設定する。
【0024】
別の実施形態では、充電スイッチSW1および放電スイッチSW2の両方が通電のためにオンされると、コントローラ23は、第2変換電圧Vt2に応じて正極電源端子20aで測定された電圧Vbを算出し、正極電源端子20aで測定された電圧Vbを検出電圧値として設定する。
【0025】
ステップS20:コントローラ23により、検出電圧値と基準電圧値に応じて、差分電圧値ΔVを算出する。例えば、バッテリー群11には14個のバッテリーユニット10があり、各バッテリーユニット10の電圧値は3.3ボルト(V)である。この場合、基準電圧値は(3.3V)×14=46.2Vとなる。正極端子11aの電圧Vaが45Vと測定された場合、コントローラ23によって算出される差分電圧値ΔVは、(46.2V)-(45V)=1.2Vとなる。
【0026】
ステップS30:コントローラ23により、差分電圧値ΔVが閾電圧値よりも大きいか否かを判定する。閾電圧値は既定の電圧値である。差分電圧値ΔVが閾電圧値よりも大きい場合、コントローラ23は、少なくとも1つのバッテリー1に水が浸入したと判定し、さもなければ、ステップS10を実行する。バッテリーユニット10に水が浸入した場合、バッテリーユニット10への水の侵入により、バッテリーユニット10の電圧値V1,V2,…,Vnが上昇したり、正極端子11aの電圧Vaや正極電源端子20aの電圧Vbが上昇したりする。その結果、差分電圧値ΔVも増加し、閾電圧値よりも大きくなる。
【0027】
ステップS40:コントローラ23により、検出電圧値が標準電圧値よりも大きいか否かを判定する。検出電圧値が標準電圧値よりも大きい場合、少なくとも1つのバッテリー1に水が浸入したと判定し、さもなければステップS10を実行する。本発明の実施形態では、標準電圧値は、少なくとも1つのバッテリー1に対して既定された最大動作電圧値であり、最大動作電圧値は、電気車両のモデルまたはタイプに応じて既定される。こうすることで、電気車両の電力要件に関して、最大動作電圧値が電気車両に適したものになる。例えば、最大動作電圧値が48Vに既定されている場合、少なくとも1つのバッテリー1に水が浸入すると、正極端子11aの電圧Vaおよび正極電源端子20aの電圧Vbは、標準電圧値よりも大きくなる可能性がある。本発明の別の実施形態では、標準電圧値は、少なくとも1つのバッテリー1が製造されているときの少なくとも1つのバッテリー1の定格電圧値である。
【0028】
ステップS50:少なくとも1つのバッテリー1に水が浸入したと判定した場合、バッテリー管理システム20から警告指令を出力する。
【0029】
ステップS60:電気車両のVCU2が通信モジュールを介して警告指令を受信すると、VCU2は警告指令を実行し、警告指令に従って電気車両を制御する。例えば、VCU2が実行する警告動作は、電気車両の充電を禁止したり、電気車両が達成可能な速度を制限したりする等である。
【0030】
ステップS70:電気車両の表示コンポーネント3が通信モジュールを通じて警告指令を受信すると、表示コンポーネント3は警告指令に従って別の警告動作を実行する。例えば、表示コンポーネント3は電気車両のダッシュボードである。ダッシュボードが警告指令を受信すると、警告指令に従って別の警告動作を実行するためにダッシュボードの故障表示灯が点灯する。
【0031】
本発明の第2の実施形態では、以下に詳述するように、浸水指示方法が浸水指示システムによって実行される。
【0032】
図4および図5を参照すると、第2の実施形態と第1の実施形態との相違点は、第2の実施形態では、バッテリー管理システム20がさらに浸水検出基板30に接続されていることである。少なくとも1つのバッテリー1は、バッテリーシェルを有し、バッテリーシェルは、バッテリーユニット10、バッテリー管理システム20および浸水検出基板30を覆っている。浸水検出基板30は、バッテリーシェルの底部に取り付けられている。こうすることで、少なくとも1つのバッテリー1に水が浸入した場合、浸水検出基板30は液体によって部分的に覆われる。さらに、浸水検出基板30には、2つの導通回路31,32が取り付けられている。2つの導通回路31,32は互いに交互に間隔をあけて配置されており、これにより導通領域が形成されている。何らかの流体が導通領域に接触すると、2つの導通回路31、32間の抵抗値Rxが変化する。より具体的には、2つの導通回路31と32の間の抵抗値Rxが変更される程度は、任意の流体が導通領域に接触する表面積の大きさに相関する。このように、浸水検出基板30は可変抵抗器として機能する。
【0033】
さらに、バッテリー管理システム20は分圧器24を備えている。分圧器24はバッテリー群11に接続され、分圧器は、直列に接続された多数の抵抗を備えている。浸水検出基板30の2つの導通回路31,32は、分圧器24の抵抗R1の対向する2つの側にそれぞれ接続されている。また、抵抗R1の対向する2つの側には、バッテリー管理システム20のコントローラ23が接続されている。これにより、バッテリー管理システム20は、抵抗R1を横切る電位差を検出することができ、したがって、電圧がどのように分圧器24によって分圧されるかを知ることができる。少なくとも1つのバッテリー1に水が浸入すると、水のような流体は、浸水検出基板30の抵抗値Rxを瞬時に変化させることができ、浸水検出基板30は抵抗R1と並列に接続されているので、電圧がどのように分圧されるかの変更は、バッテリー管理システム20のコントローラ23によって瞬時に検出され得ることに留意されたい。
【0034】
図6を参照すると、本発明の第2実施形態において、浸水表示方法はステップP10からP50を含む。図6に記載されたステップP10からP50は、異なる順序で実行されても構わない。浸水表示方法は、以下のステップを含む。
【0035】
ステップP10:コントローラ23により、浸水検出基板30の対向する2つの面からの分圧値を受信する。分圧値は、実際には、バッテリー群11からの電圧を抵抗R1から浸水検出基板30まで正確に分圧したものである。
【0036】
ステップP20:コントローラ23により、分圧値が分圧基準値よりも小さいか否かを判定する。分圧値が分圧基準値よりも小さい場合、少なくとも1つのバッテリー1に水が浸入したと判定し、バッテリー管理システム20から警告指令を出力するか、さもなければ、ステップP10を実行する。より具体的には、コントローラ23に対して、分圧基準値が初期設定される。分圧基準値は、浸水検出基板30が浸水することなく乾燥している場合に、抵抗R1から浸水検出基板30に分圧される電圧量を表す。言い換えれば、分圧基準値は、浸水検出基板30が乾燥しているときに、浸水検出基板30の対向する2つの面を横切る電圧測定値である。また、浸水検出基板30の表面に何らかの流体が接触すると、浸水検出基板30の対向する2つの面を横切る抵抗が減少し、その場合、定電流状態では、抵抗R1から浸水検出基板30に分圧される電圧量も減少し、言い換えれば、浸水検出基板30の対向する2つの面を横切る電圧測定値が減少する。
【0037】
ステップP30:少なくとも1つのバッテリー1に水が浸入したと判定した場合、バッテリー管理システム20から警告指令を出力する。
【0038】
ステップP40:電気車両のVCU2は、通信モジュールを介して警告指令を受信すると、第1の実施形態のステップS60で先に詳述した警告動作を実行する。繰り返しの説明を避けるため、より詳細な説明は省略する。
【0039】
ステップP50:電気車両の表示コンポーネント3が通信モジュールを介して警告指令を受信すると、表示コンポーネント3は、第1の実施形態のステップS70で先に詳述したように、別の警告動作を実行する。ここでは、繰り返しの説明を避けるため、より詳細な説明は省略する。
【0040】
全体として、本発明は浸水表示方法および浸水表示システムを提供する。浸水表示システムは、電気車両に搭載され、バッテリーと、車両制御ユニット(VCU)と、表示コンポーネントと、を備えている。バッテリー内のバッテリー管理システムは、液滴がバッテリー内部に侵入したか否かを判定することができる。液滴がバッテリー内部に侵入した場合、バッテリー管理システムは、通信モジュールを介して警告指令を出力し、VCUまたは表示コンポーネントが別の通信モジュールを介して警告指令を受信する。VCUが警告指令を受信すると、警告動作を実行し、警告指令に従って電気車両を制御する。警告動作は、例えば、電気車両の充電を禁止したり、電気車両が達成可能な速度を制限したりする等である。
【0041】
あるいは、表示コンポーネントが警告指令を受信すると、表示コンポーネントは警告指令に従って警告動作を実行する。例えば、表示コンポーネントは、電気車両のダッシュボードであり、警告動作は、水滴がバッテリーに進入した可能性があることをユーザに警告するために、ダッシュボード上の故障表示灯を点灯させる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6