(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049353
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】電子機器の付加製造方法及び付加製造のための印刷サポート
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240402BHJP
H05K 3/00 20060101ALN20240402BHJP
【FI】
H01L23/12 B
H05K3/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023150126
(22)【出願日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】22198536
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521425984
【氏名又は名称】ヘンゾルト センサーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェルク サンデル
(57)【要約】
【課題】電子デバイスの付加製造方法を提供する。
【解決手段】システムは、印刷サポート200に、誘電性封止材220に埋め込まれた電気回路210と、電気回路に接続された少なくとも1つの供給端子230a、230bとを提供することを含む。方法は、誘電性基礎材料120に埋め込まれた導電性構造体110と、電子デバイス100の表面105に露出された少なくとも1つのデバイス端子130a、130bとを形成することにより印刷サポートに電子デバイスを付加的に印刷することを更に含み、印刷サポートの少なくとも1つの供給端子は、少なくとも1つのデバイス端子と電気的に接触するように構成される。方法は、電子デバイスを付加的に印刷するプロセスの間に導電性構造体の電気的特性を測定するため、電気信号を少なくとも1つの供給端子から少なくとも1つのデバイス端子に印加することを更に含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス(100)の付加製造のための方法であって、
印刷サポート(200)に、誘電性封止材(220)に埋め込まれた電気回路(210)と、前記電気回路(210)に接続された少なくとも1つの供給端子(230a、230b)とを提供するステップと、
誘電性基礎材料(120)に埋め込まれた導電性構造体(110)と前記電子デバイス(100)の表面(105)に露出された少なくとも1つのデバイス端子(130a、130b)とを形成することによって、前記印刷サポート(200)に、前記電子デバイス(100)を付加的に印刷するステップであって、前記印刷サポート(200)の前記少なくとも1つの供給端子(230a、230b)が、前記少なくとも1つのデバイス端子(130a、130b)と電気的に接触するように構成されている、付加的に印刷するステップと、
前記電子デバイス(100)を付加的に印刷するプロセスの間に前記導電性構造体(110)の電気的特性を測定するため、前記少なくとも1つの供給端子(230a、230b)から前記少なくとも1つのデバイス端子(130a、130b)に電気信号を印加するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの供給端子(230a、23b)に印加される前記電気信号は、前記電子デバイス(100)の以下の特性、すなわち抵抗(R)、キャパシタンス(C)、インダクタンス(L)又はインピーダンスのうちの少なくとも1つを測定するように適応されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
付加的に印刷する前記ステップは、前記製造される電子デバイス(100)のための目的とする電気的特性を達成するため、前記測定された電気的特性に基づいて修正される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記修正された付加的に印刷するステップは、
前記導電性構造体(110)の1つ又は複数の位置における導電線路の断面を変更するステップと、
前記導電性構造体(110)の前記キャパシタンス又はインダクタンスを修正するため、導電線路の形態又は形状を変更するステップと、
付加的に印刷する前記プロセスにおいて用いられる誘電性又は導電性の印刷材料の組成を変更するステップと、
のうちの1つ又は複数を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電気的特性を測定するため電気信号を印加する前記ステップは、前記電子デバイス(100)の前記印刷プロセスの連続的なモニタリングを可能にするため、付加的に印刷する前記ステップの間に反復される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
付加的に印刷する前記ステップは、誘電性インクの印刷と導電性インクの印刷とを含むインク・ジェット印刷である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
コンピュータ・プログラムがコンピュータ又はプロセッサ上で実行されるとき、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法を行うように制御ユニットを制御するためのプログラム・コードを有する、コンピュータ可読な記憶デバイス。
【請求項8】
その表面(105)上に露出された少なくとも1つのデバイス端子(130a、130b)を含む電子デバイス(100)の付加製造のための印刷サポート(200)であって、
誘電性封止材(220)に埋め込まれた電気回路(210)と、
サポート表面(205)上に露出されており前記電気回路(210)に接続された少なくとも1つの供給端子(230a、230b)と、
を備え、
前記少なくとも1つの供給端子(230a、230b)が、その付加製造の間に前記電子デバイス(100)の少なくとも1つの電気的特性の連続的なモニタリングを可能にするため、前記電子デバイス(100)の前記少なくとも1つのデバイス端子(130a、130b)と接触するように構成されている、印刷サポート(200)。
【請求項9】
付加製造ツールであって、
請求項8に記載の印刷サポート(200)と、
少なくとも1つのデバイス端子(130a、130b)における前記電気信号の印加により、前記付加製造の間に前記電子デバイス(100)の前記少なくとも1つの電気的特性を連続的にモニタさせるように適応された制御ユニットと、
を備える、付加製造ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスの付加製造のための方法と付加製造のための印刷サポートとに関し、特に、付加製造される電子機器(AME:additively manufactured electronics)の印刷中の制御及び特性調整に関する。
【背景技術】
【0002】
従来型の付加製造ツールでは、すべての印刷ジョブは、プリンタ・テーブル自体と印刷されるデバイスとのインターフェースであるポリマ層の上で行われる。このポリマ層は、非導電性であり、AMEデバイス内部での硬化又は自己融着プロセスをサポートするために、印刷テーブルからAMEデバイスに熱負荷だけを移動させる。このために、AMEプリンタ内部でのビルドアップ・フェーズの間のAMEデバイスの導電率又はインピーダンスなどの電気特性のモニタリングが、妨げられる。AMEデバイスの特性は、印刷プロセスの後でのみ、測定可能であった。
【0003】
更に、付加製造のプロセスは、特定の公差の範囲内で実行され、これらの公差の結果として、製造されたAMEデバイスの製作上のばらつきが生じる。これにより、製造されたAMEデバイスが最終的には目標とする仕様から外れた電気的特性を有する、という危険を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、特にAMEデバイスのための付加製造プロセスへの制御を改善することに対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題の少なくともいくつかは、請求項1に記載の付加製造のための方法、請求項8に記載の印刷サポート、及び請求項9に記載の付加製造ツールによって、克服される。従属請求項は、独立請求項の主題のための、更なる有利な実現に関する。
【0006】
本発明は、電子デバイスの付加製造(AME-device)のためのシステムに関する。この方法は、
- 印刷サポートに、誘電性封止材に埋め込まれた電気回路と、電気回路に接続された少なくとも1つの供給端子とを提供するステップと、
- 誘電性基礎材料に埋め込まれた導電性構造体と電子デバイスの表面に露出された少なくとも1つのデバイス端子とを形成することによって、印刷サポートの上に、電子デバイスを付加的に印刷するステップであって、印刷サポートの少なくとも1つの供給端子が、少なくとも1つのデバイス端子と電気的に接触するように構成されている、付加的に印刷するステップと、
- 電子デバイスを付加的に印刷するプロセスの間に導電性構造体の電気的特性を測定するため、少なくとも1つの供給端子から少なくとも1つのデバイス端子に電気信号を印加するステップと、
を含む。
【0007】
印刷サポートにおける電気回路は、印刷サポートを通過して信号をデバイス端子に与えるために供給端子と外部端子とを接続する、単一の有線であり得る。代替的に又は追加的に、この回路は、印刷プロセスの間に印加される電気信号を形成する又は修正する受動又は能動電気コンポーネントを、含み得る。デバイス端子を露出させる表面は、印刷サポートに面し得る。
【0008】
オプションとして、少なくとも1つの供給端子に印加される電気信号は、電子デバイスの以下の特性、すなわち抵抗、キャパシタンス、インダクタンス又はインピーダンスのうちの少なくとも1つを測定するように適応されている。たとえば、電気信号は、抵抗を測定するためのDC(直流)信号、又はキャパシタンス若しくはインダクタンスを測定するためのAC信号であり得る。このために、AC信号の電圧若しくは電流レベル又は周波数は、回路に従って調整されることが可能である。
【0009】
オプションとして、付加的に印刷するステップは、製造される電子デバイスのための目的とする電気的特性を達成するため、測定された電気的特性に基づいて修正される。
【0010】
オプションとして、修正された付加的に印刷するステップは、
- (たとえば、抵抗を変更するために)導電性構造体の1つ又は複数の位置における導電線路の断面を変更するステップと、
- 導電性構造体のキャパシタンス又はインダクタンスを修正するため、導電線路の形態又は形状を変更するステップと、
- 付加的に印刷するプロセスにおいて用いられる誘電性又は導電性の印刷材料の組成を変更するステップと、
のうちの1つ又は複数を含む。
【0011】
オプションとして、電気的特性を測定するため電気信号を印加するステップは、電子デバイスの印刷プロセスの連続的なモニタリングを可能にするため、付加的に印刷するステップの間に反復される。たとえば、電子デバイスは、連続的な層に付加的に印刷されることがあり得るし、電気信号は、所定の個数の印刷された層の後で印加されることがあり得る。なお、この所定の個数は、導電性構造体に依存し得る。たとえば、導電性構造体はエラーが生じやすいため、その重要な領域では、電気的特性のモニタリングを、より頻繁に実行することが可能である。
【0012】
オプションとしては、付加的に印刷するステップは、誘電性インクの印刷と導電性インクの印刷とを含むインク・ジェット印刷である。
【0013】
この方法は、また、ソフトウェア、コンピュータ・プログラム製品又は制御ユニットにおけるソフトウェア・モジュールとしても、実装され得る。従って、実施例は、コンピュータ・プログラムがプロセッサ上で実行されるとき、この方法を行うように制御ユニットを制御するプログラム・コードを有するコンピュータ可読な記憶デバイス又はコンピュータ・プログラムにも関する。
【0014】
更なる実施例は、電子デバイスの付加製造のために構成された印刷サポートに関しているが、この電子デバイスは、その電子デバイスの表面上に露出された少なくとも1つのデバイス端子を含む。この印刷サポートは、誘電性封止材に埋め込まれた電気回路と、サポート表面上に露出されており電気回路に接続された少なくとも1つの供給端子と、を備えている。少なくとも1つの供給端子は、その付加製造の間に電子デバイスの少なくとも1つの電気的特性の連続的なモニタリングを可能にするため、電子デバイスの少なくとも1つのデバイス端子と接触するように構成されている。たとえば、供給端子は、デバイス端子と接触することが可能であるように、所定の位置に形成され得る。代替的に又は追加的に、供給端子構造体は、印刷される電子デバイスに基づいて活性化又は不活性化が可能な多くの端子を用いて、形成される。
【0015】
更なる実施例によると、付加製造ツールは、上述された印刷サポートと、デバイス端子における電気信号の印加により付加製造の間に電子デバイスの少なくとも1つの電気的特性を連続的にモニタさせるように適応された制御ユニットと、を備える。この印刷サポートは、特定の電子デバイスに適した電気信号を印加するように制御ユニットによって制御される外部信号生成回路に、接続され得る。
【0016】
従来型のプリンティング・テーブルと比較すると、実施例は、従来型のプリンティング・テーブルの用いられているポリマ層を、ポリマ層の内部に構成されたある個数の電気的接点及び有線を含む印刷サポートとしてのインターフェース層によって、置き換えている。この印刷サポートは、その上で付加製造が実行される表面において、露出された端子(接点)を提供する。これらの接点は、AMEデバイスの一部を代表する導電性インクを用いて、オーバプリントされる。この印刷サポートにより、印刷プロセスの間に、付加製造されるAMEデバイスの内部にある電気的構造体の電気特性(たとえば、導電率)を測定することが可能になる。
【0017】
本発明の様々な実施例が、単に例を通じて、下記の添付の図面との関係で、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ある実施例による、電子デバイスの付加製造(AMEデバイス)のための方法の概略的なフローチャートである。
【
図2】ある実施例によるAMEデバイスの図解である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、様々な実例が、いくつかの実例が図解されている添付の図面を参照して、より十分に説明される。
【0020】
従って、実例は様々な修正及び代替的な形態が可能であるが、本明細書では、図面における例示的な実例が、詳細に説明される。しかし、開示されている特定の形態に実例を限定する意図は存在しておらず、むしろ、実例は、本開示の範囲に属するすべての修正、均等物、及び代替物をカバーすることが期待されている、ということが理解されるべきである。同様の参照番号は、複数の図面の説明を通じて、同様の及び類似の要素を指している。
【0021】
ある要素が別の要素に「接続されている」又は「結合されている」と称されるときには、その要素がその別の要素に直接に接続されている若しくは結合されていることが可能であるし、又は間に介入する要素が存在する場合もあり得る。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続されている」又は「直接結合されている」と称されるときには、間に介入する要素は存在しない。複数の要素の間の関係を記述するのに用いられる他の語句も、同様の様態で解釈されるべきである(たとえば、「間に」と「間に直接に」、「隣接する」と「直接隣接する」など)。
【0022】
本明細書で用いられる専門用語は、例示的な実例を説明する目的のみを有しており、限定は意図されていない。本明細書で用いられる単数形の「a」、「an」及び「the」は、明らかにそうではないことを文脈が示していない限り、複数形も同様に含意することが意図されている。「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」及び/又は「含んでいる(including)」などの用語は、本明細書で用いられるときには、言明されている特徴、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を明示しているのであるが、1つ若しくは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/若しくはこれらのグループの存在又は追加を排除することはない、ということが更に理解されるであろう。
【0023】
それとは異なるように定義されていない限り、本明細書で用いられている(技術及び科学用語を含む)すべての用語は、実例が属する技術分野における当業者によって理解されるのと同じ意味を有する。たとえば一般的に用いられている辞書で定義されているような用語は、関連する技術分野の文脈におけるそれらの意味と矛盾しない意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的にそのように定義されていない限りは、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではない、ということも更に理解されるであろう。
【0024】
図1は、電子デバイスを付加製造するための方法の概略的なフローチャートを図解している。この方法は、
- 印刷サポートに、誘電性封止材に埋め込まれた電気回路と、電気回路に接続された少なくとも1つの供給端子とを提供するステップS110と、
- 誘電性基礎材料に埋め込まれた導電性構造体と電子デバイスの表面に露出された少なくとも1つのデバイス端子とを形成することによって、印刷サポートの上に、電子デバイスを付加的に印刷するステップS120であって、印刷サポートの少なくとも1つの供給端子が、少なくとも1つのデバイス端子と電気的に接触するように構成されている、付加的に印刷するステップS120と、
- 電子デバイスを付加的に印刷するプロセスの間に導電性構造体の電気的特性を測定するため、少なくとも1つの供給端子から少なくとも1つのデバイス端子に電気信号を印加するステップS130と、
を含む。
【0025】
更なる実施例によると、本明細書で説明されている印刷サポートのすべての特徴は、更なるオプションである方法のステップとして実現され得る。
【0026】
当業者であれば、様々な上述の方法のステップはプログラムされたコンピュータによって行われ得る、ということを容易に認識するであろう。よって、この方法は、コンピュータ実装された方法でもあり得る。実施例は、また、デジタル・データ記憶媒体などのプログラム記憶デバイスもカバーするのであるが、このプログラム記憶デバイスは、マシン又はコンピュータ可読であって、命令のマシン実行可能な又はコンピュータ実行可能なプログラムをエンコードしている。なお、この命令は、コンピュータ又はプロセッサによって実行されるとき、上述した方法の動作のうちの一部又は全部を行う。
【0027】
図2は、実施例により、印刷サポート200の上に製造された結果的なAMEデバイス100を概略的に図解している。
【0028】
電子デバイス100は、印刷サポート200の表面205の上に付加製造され、電子デバイス100の表面105の上に露出されている1つ又は複数のデバイス端子130a、130bを含む。印刷サポート200は、特定の測定信号を供給するための外部制御ユニット(図示せず)に接続されることが可能な1つ又は複数の電気線路210で構成された電子回路210を含む。このために、印刷サポート200は、1つ若しくは複数のデバイス端子130a、130bに接触するための1つ又は複数の供給端子230a、230bを更に含む。更なる実施例によると、印刷サポート200は、印刷サポート200を外部制御ユニットに接続するための接点を提供する1つ又は複数の外部端子240a、240bを更に含む。
【0029】
線路210は、従来型のプリンティング・テーブルに用いられるのと同じポリマ材料であり得る封止材料220に埋め込まれている。供給端子230a、230bは、表面105に露出されているデバイス端子130a、130bをAMEデバイス100が有する位置に、形成され得る。これらのデバイス端子130a、130bは、AMEデバイス100の内部の電気特性を測定するのに用いられることが可能である。
【0030】
図示されている実施例によると、2つのデバイス端子130a、130bを接続する電気線路110は、ただ1つ存在する。電気線路110は、埋め込まれた電気線路110の電気的絶縁を提供する封止材料120の中に封止されている。電気線路110は、たとえばアンテナを構築し得るのであるが、その場合、デバイス端子130a、130bは接地と信号端子とを提供する。
【0031】
更なる実施例によると、封止材料120の内部における付加製造によって、より複雑な回路が形成されることが可能である。付加製造プロセスを用いると、特に、コンデンサ、コイル、抵抗、若しくは他の能動若しくは受動コンポーネントを含む完全な三次元又は二次元の導電性構造体110が形成されることが可能である。このためには、たとえばインクジェット技術が用いられることが可能であり、その場合、別個の誘電性インクによって同様に印刷されている誘電性封止材料の内部に導電性線路又は構造体を形成するために、導電性インクが用いられることが可能である。
【0032】
実施例によると、AMEデバイス100は、誘電性インク又は導電性インクのいずれかを噴出することによって、層ごとに印刷され得る。印刷プロセスは、供給端子230a、230bを用い印刷サポート200によって外部端子240a、240bから受け取られた電気信号を印加することによって、絶えずモニタされ得る。従って、印刷サポート200は、3D印刷ツールの従来型のプリンティング・テーブルの上に配置される層又はインターフェースとして、形成されることが可能である。
【0033】
たとえば、外部端子240a、240bに接続された外部制御ユニットを用いることにより、付加製造プロセスの間にAMEデバイス100の電気的特性を連続的にモニタすることが可能である。このモニタリングに基づいて、付加製造プロセスが、調整される又は訂正される。これらの調整は、たとえば、電気線路の断面における変更を含む。これにより、抵抗、キャパシタンス、インダクタンスなどの修正が可能である。たとえば、電気線路の向き、形状、又は形態を変更することによって、AMEデバイスのキャパシタンス又はインダクタンスが望まれるように生成されること、又は修正されることが可能である。インダクタンスは、たとえば、付加的な曲線部分を意図的に印刷することによって、又は(インダクタンスを低下させるために)曲線領域を形成するのではなく電気線路110を直線として構成することによって、生成されることが可能である。
【0034】
従って、実施例は、印刷それ自体の間に既に印刷プロセスを調整することによって、電気デバイスの電気的特性を変更する可能性を提供する。特に、印刷プロセスを停止させる必要がなく、電子制御ユニットが、印刷プロセスを直接的に修正することが可能である。たとえば、測定された特性に基づいて印刷プロセスの間に行われることが可能な特定の修正を許容するために、それぞれのソフトウェアが既に構成されていることが可能である。
【0035】
実施例の態様は、また、下記のように要約されることも可能である。
【0036】
印刷サポート200は、たとえば、その上に複数の導電性構造体と3D印刷プロセスが実行可能な端子とを有する印刷基板によって実現され得る。従って、(たとえばガラス又はポリマ材料として形成されている)従来型の印刷サポートとは対照的に、実施例では、その中に一体化された電気的構造体を有しており印刷されるデバイス100に応じて調整される複数の所定の端子130a、130bを備えた印刷サポートを用いる。デバイス端子130a、130bは、また、印刷されるデバイス100が所定の電気特性を有することを保証するために印刷プロセスのモニタリングに用いられるだけの人工的な端子でもあり得る。これらのデバイス端子130a、130bは、後で、除去可能である。もちろん、既に利用可能なデバイス端子130a、130b(すなわち、結果的に得られるデバイスが有することになる端子)を印刷の間のモニタリング・プロセスのために用いることも可能である。
【0037】
AMEデバイスは、そのAMEデバイスの内部にある導電性構造体の厚さ、幅及び距離、並びに/又は向きの変動に起因して、その電気的特性に関して変動するが、このような変動は、それらの公差も含めて、印刷プロセスの間に既に知られている。従って、AMEデバイス100を印刷しているときに既に、結果的に得られるAMEデバイス100の品質について決定することが可能である。更に、実施例によると、印刷プロセスを行っている間における、電気的特性のプロセス内での制御又は直接的な調整が可能になる。それらの電気的特性を決定するためにAMEデバイスの製造が終了するまで待つ必要はない。このプロセス内での制御及び調整は、個人に関する案件又はサイバーセキュリティ問題の観点からは、特に興味深い。
【0038】
本説明及び図面は、本開示の原理の単なる例示である。よって、当業者であれば、本明細書において明示的に説明がなく示されていない場合であっても、本開示の原理を実施しその範囲に属する様々な構成を考案可能である、ということが理解されるであろう。
【0039】
更に、それぞれの実施例は、それ自身が別個の実例として存在し得るのであるが、他の実施例では、定義されている特徴が異なる様態で組み合わせられることが可能であるということ、すなわち、ある実施例において説明されている特定の特徴は他の実施例でも実現され得る、ということが注意されるべきである。そのような組合せは、ある特定の組合せが意図されていないと言明されていない限り、本開示によってカバーされる。
【0040】
以上で本発明が好適実施例によって図解され詳細に説明されてきたが、本発明は、開示されている実例によって限定されることはなく、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、これらから他の変動を導くことが可能である。従って、複数の可能性がある変動が存在するのは明らかである。また、実例によって言明されている実施例は、本発明の範囲、適用可能性又は構成をどのような意味でも限定するものとは見なされない、単なる全くの実例だということも明らかである。事実として、以上の記載及び図面の記載によれば、当業者が、例示的な実施例を具体的な様態で実現させることを可能になるのであって、その場合に、開示されている本発明の概念を知ることにより、当業者は、特許請求の範囲とその法的な均等物とによって定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書における更なる説明のように、たとえば例示的な実施例において言明されている個々の要素の機能又は構成に関し、様々な変更を企図することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
100 電子デバイス
105 電子デバイスの表面(たとえば、第1の印刷された層)
110 導電性構造体
120 誘電性基礎材料
130a、130b デバイス端子
200 印刷サポート
205 サポート表面
210 電気回路
220 誘電性封止材
230a、230b 供給端子
240a、240b 外部端子
【外国語明細書】