IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋インキSCホールディングス株式会社の特許一覧

特開2024-49354赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路に用いる感光性組成物、膜、光学レンズ、光導波路
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049354
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路に用いる感光性組成物、膜、光学レンズ、光導波路
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20240402BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20240402BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20240402BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20240402BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G02B5/22
G03F7/038 501
G02B1/04
G01J1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023150298
(22)【出願日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2022154736
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三上 譲司
(72)【発明者】
【氏名】折原 雄也
(72)【発明者】
【氏名】坂口 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】平佐 美幸
(72)【発明者】
【氏名】和田 宗大
【テーマコード(参考)】
2G065
2H148
2H225
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB02
2G065BB04
2G065BB06
2H148CA04
2H148CA12
2H148CA14
2H148CA20
2H225AC36
2H225AC43
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC47
2H225AC63
2H225AC72
2H225AD06
2H225AE18P
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM25P
2H225AM32P
2H225AM61P
2H225AM62P
2H225AM67P
2H225AM92P
2H225AM96P
2H225AN39P
2H225AN82P
2H225AN92P
2H225AN94P
2H225AN96P
2H225AN98P
2H225BA16P
2H225BA17P
2H225BA35P
2H225CA21
2H225CA30
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】
【課題】赤外線センサ又は赤外線通信機器用の光学レンズ又は光導波路に用いる高屈折率材料の用途において、高い屈折率を有し、透明性、耐熱性、耐光性、及びフォトリソグラフィー特性に優れる、感光性組成物の提供。
【解決手段】赤外線センサもしくは赤外線通信機器に使用する光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器に使用する光導波路に用いる感光性組成物であって、フタロシアニン顔料またはナフタロシアニン顔料を含む顔料、(S1)または(S2)で示される酸性樹脂型分散剤、光重合性単量体、及び光重合開始剤を含有し、23℃、波長850nmにおける屈折率が1.75以上であり、膜厚1.0μmの膜を形成した際に、700~1200nmにおける吸光度の最大値が2.0以上である感光性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線センサもしくは赤外線通信機器に使用する光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器に使用する光導波路に用いる感光性組成物であって、
フタロシアニン顔料またはナフタロシアニン顔料を含む顔料、下記(S1)または(S2)で示される酸性樹脂型分散剤、光重合性単量体、及び光重合開始剤を含有し、
23℃、波長850nmにおける屈折率が1.75以上であり、
膜厚1.0μmの膜を形成した際に、700~1200nmにおける吸光度の最大値が2.0以上である感光性組成物。
(S1)水酸基を有する重合体の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である酸性樹脂型分散剤。
(S2)水酸基を有する化合物の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体である酸性樹脂型分散剤。
【請求項2】
(S1)、(S2)におけるテトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸無水物である請求項1記載の感光性組成物。
【請求項3】
(S1)、(S2)におけるトリカルボン酸無水物がトリメリット酸無水物である請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項4】
顔料の含有率が、感光性組成物における固形分の全質量を基準として50質量%以上である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項5】
光重合開始剤がオキシムエステル系化合物である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項6】
800nm~1600nmにおける高屈折率材料として用いる、請求項1記載の感光性組成物。
【請求項7】
請求項1記載の感光性組成物を含む膜。
【請求項8】
請求項1記載の感光性組成物を含む光学材料。
【請求項9】
請求項1記載の感光性組成物を含む光学レンズ。
【請求項10】
請求項1記載の感光性組成物を含む光導波路。
【請求項11】
請求項7記載の膜、請求項8記載の光学材料、請求項9記載の光学レンズ、又は請求項10記載の光導波路を具備する赤外線センサ。
【請求項12】
請求項7記載の膜、請求項8記載の光学材料、請求項9記載の光学レンズ、又は請求項10記載の光導波路を具備する赤外線通信機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路に用いる感光性組成物、並びにその感光性組成物を含む膜、光学レンズ、及び光導波路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCD、CMOS等のセンサー素子や、ディスプレイ等の表示素子に用いられるガラス、フィルム及びシートの表面には、無機物又は有機物からなる表面保護層が設けられている。近年では、前記の表面保護層に、反射防止や光導波等の機能を付与する目的で、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層した被覆層等が用いられている。このうち高屈折率層には、チタニア、ジルコニア、アルミナ等のセラミックスを蒸着等により形成した高屈折率無機膜や、芳香族含有樹脂からなる高屈折率有機膜が、目的に応じて用いられている。しかし、高屈折率無機膜を用いた場合、基材密着性の不足や、膜の脆弱性等の課題があった。よって、近年では高屈折率有機膜が広く使用されている。
【0003】
また、次世代ディスプレイとして注目されている有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELという。)パネルは、外部からの水分やガスの浸透による有機EL素子の劣化を防止するために、酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ等からなる無機層と、アクリル樹脂やエポキシ樹脂を主成分とした有機系封止材からなる有機層との積層構造を有する。これらの無機層と有機層とは交互に積層される。ここで、無機層と有機層との屈折率差が小さいほど光の取り出し効率が向上するため、有機層の屈折率は高い方がよい。よって、高屈折率の有機系封止材が求められている。
【0004】
さらに、近年、三次元造形装置を用いた成形体が医療分野、光学分野等で広く使用されている。三次元造形に用いる造形用樹脂としては、光硬化性樹脂が用いられている(特許文献1、2)。特に医療機器、顕微鏡、各種カメラ等に用いられるレンズの成形体においては、レンズの薄型化のために、高屈折率の光造形用樹脂が求められている。
【0005】
上述のような表面保護層用の高屈折率有機材料、有機ELパネルの有機系封止剤、光造形用樹脂としては、硫黄を含有する樹脂や、芳香環が共役した構造を有するフルオレンのような樹脂が知られている(特許文献2、3、4)。
【0006】
昨今では、夜間に被写体を撮影するための固体撮像素子や、距離測定に用いるLidarなどの赤外線センサ、光導波路に光を伝搬させて使用する赤外線通信機器など、近赤外線を用いたセンシングや通信が広く普及しつつある。これらの光線を集光するためのレンズ等には、近赤外領域において高屈折率である光学材料を用いることが重要である。
【0007】
特許文献5には、可視光を遮蔽し近赤外線を透過させる、赤外線透過フィルタなどの製造に用いられる組成物と、それを用いて得られる膜が開示されており、その膜が、波長800nm以上の範囲において高屈折率となることが記載されている。しかし、特許文献5に記載された材料は、用いる色素の分散性が十分でないため、組成物により得られる膜の透明性の面で課題が残る。
【0008】
特許文献6には、近赤外領域において高屈折率及び高透過率を示す、有機色素を含む光学部材用膜状物が開示されているが、色素の添加量が非常に少なく、十分に高い屈折率は得られていない。
【0009】
特許文献7には、近赤外領域において高屈折率及び高透過率を示す、熱可塑性樹脂と色材とを含む樹脂組成物が開示されているが、耐光性や耐熱性が十分でなく、実用性の観点で問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011-157543号公報
【特許文献2】特開2019-019245号公報
【特許文献3】特開2000-281787号公報
【特許文献4】特開2011-168721号公報
【特許文献5】国際公開第2019/065475号
【特許文献6】国際公開第2020/085499号
【特許文献7】国際公開第2020/138050号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近赤外線を用いたセンシングや通信の中でも、近年特に広く普及しつつある800~1600nmの光線を用いたセンシングや通信において、これらの光線を集光するための光学レンズや、これらの光線を伝搬させる光導波路には、高屈折率で、高い透明性及び耐性を持つ光学材料を用いることが重要である。しかしながら、現状では十分な耐性を有する高屈折率材料の開発は進んでいなかった。
【0012】
さらに、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路に用いるためには、フォトリソグラフィー性を有していると大変有用である。昨今の赤外線センサーは微細に加工されており、このための光学レンズとしてはマイクロレンズ等のように微小なレンズであることが求められる。また、赤外通信機器用の光導波路も微細な加工が要求される。そのため、フォトリソグラフィー性を有し露光により微細なパターンに加工できる特性を持つことは非常に有用となる。
【0013】
本発明は、以上の課題に鑑み、800~1600nmの光線を用いた赤外線センサ又は赤外線通信機器用の光学レンズ又は光導波路に用いる高屈折率材料の用途において、高い屈折率を有し、透明性、耐熱性、耐光性、及びフォトリソグラフィー特性に優れる、感光性組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
即ち本発明は、赤外線センサもしくは赤外線通信機器に使用する光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器に使用する光導波路に用いる感光性組成物であって、
フタロシアニン顔料またはナフタロシアニン顔料含む顔料と、下記(S1)または(S2)で示される酸性樹脂型分散剤、光重合性単量体、光重合開始剤とを含有し、
23℃、波長850nmにおける屈折率が1.75以上であり、
膜厚1.0μmの膜を形成した際に、700~1200nmにおける吸光度の最大値が2.0以上である感光性組成物である。
(S1)水酸基を有する重合体の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である酸性樹脂型分散剤。
(S2)水酸基を有する化合物の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体である酸性樹脂型分散剤。
【0015】
また、本発明は、(S1)、(S2)におけるテトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸無水物である前記感光性組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、(S1)、(S2)におけるトリカルボン酸無水物がトリメリット酸無水物である前記感光性組成物に関する。
【0017】
また、本発明は、顔料の含有率が、感光性組成物における固形分の全質量を基準として50質量%以上である、前記感光性組成物に関する。
【0018】
また、本発明は、光重合開始剤がオキシムエステル系化合物である、前記感光性組成物に関する。
【0019】
また、本発明は、800nm~1600nmにおける高屈折率材料として用いる、前記感光性組成物に関する。
【0020】
また、本発明は、前記感光性組成物を含む膜に関する。
【0021】
また、本発明は、前記感光性組成物を含む光学材料に関する。
【0022】
また、本発明は、前記感光性組成物を含む光学レンズに関する。
【0023】
また、本発明は、前記感光性組成物を含む光導波路に関する。
【0024】
また、本発明は、前記膜、前記光学材料、前記光学レンズ、又は前記光導波路を具備する赤外線センサに関する。
また、本発明は、前記膜、前記光学材料、前記光学レンズ、又は前記光導波路を具備する赤外線通信機器に関する。
【発明の効果】
【0025】
上記の本発明によれば、赤外線センサ又は赤外線通信機器用の光学レンズ又は光導波路に用いる高屈折率材料の用途において、800~1600nmの波長領域において高い屈折率を有し、透明性、耐熱性、耐光性及びフォトリソグラフィー特性に優れる感光性組成物を提供できる。
【0026】
このような本発明の感光性組成物は、800~1600nmの波長領域における高屈折率が要求される赤外線センサ又は赤外線通信機器に用いる光学材料に用いられ、光学レンズ、光導波路等の光学材料用として特に好適に利用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<本発明の感光性組成物について>
本発明の感光性組成物は、フタロシアニン顔料またはナフタロシアニン顔料と、下記(S1)または(S2)で示される酸性樹脂型分散剤、光重合性単量体、光重合開始剤とを含有し、23℃、波長850nmにおける屈折率が1.75以上であり、膜厚1.0μmの膜を形成した際に、700~1200nmにおける吸光度の最大値が2.0以上である感光性組成物である。(S1)水酸基を有する重合体の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である酸性樹脂型分散剤。(S2)水酸基を有する化合物の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体である酸性樹脂型分散剤。
【0028】
<感光性組成物の光学特性について>
以下、本発明の感光性組成物の光学特性を説明する。
【0029】
まず、本発明の感光性組成物は、膜厚1μmの膜を形成した際に、その吸収スペクトルにおいて、700~1200nmにおける吸光度の最大値が2.0以上であることを特徴とする。本発明者らは、鋭意検討の末、感光性組成物が形成する膜が700~1200nmにおいて非常に高い吸収を持つ場合に、800~1600nmの波長領域で高屈折率になることを見出した。これにより、高屈折率に寄与することが知られている硫黄原子やヨウ素原子を含有しなくても高屈折率の膜を得ることができる。吸収の度合いとしては、膜厚1μmの膜の吸収スペクトルにおいて、700~1200nmにおける吸光度の最大値が2.0以上であることが必要であり、好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0以上、さらに好ましくは4.0以上である。
【0030】
また、本発明の感光性組成物は、23℃、波長850nmにおける屈折率が1.75以上であり、好ましくは1.8以上であり、さらに好ましくは1.9以上であり、最も好ましいのは2.0以上である。屈折率の上限は特に限定されないが、好ましくは2.5以下であり、さらに好ましくは2.4以下である。
【0031】
<顔料>
本発明の感光性組成物は、上記の光学特性を有するために顔料を含有する。顔料は、染料に比べ耐熱性、耐光性、耐薬品性が高い。近赤外線を集光する光学レンズや、近赤外線を伝搬させる光導波路に用いる光学材料には、耐光性が不可欠となる。また、様々なデバイスに組み込まれて用いられるために、製造工程における高温のプロセスや溶剤浸漬のプロセスにも耐えうることが重要であり、耐熱性、耐薬品性が必要となる。顔料は、耐熱性、耐光性に優れるため、本発明の感光性組成物は、赤外線センサ又は赤外線通信機器における高屈折率材料への使用が可能となる。
【0032】
本発明の感光性組成物においては、顔料の含有率が、感光性組成物における固形分の全質量を基準として40質量%以上であることが好ましい。より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは65%以上である。顔料の含有率が、感光性組成物における固形分の全質量を基準として40質量%以上であることにより、700~1200nmにおいて高い吸収を持ち、800~1600nmの波長領域で高屈折率である膜を得ることができる。顔料の含有量の上限は特に限定されないが、95質量%未満であると、顔料の分散性に優れ、透明性の高い膜が得られる点、及び感光性組成物としての安定性に優れる点から好ましい。 なお、本明細書において、固形分とは、感光性組成物から有機溶媒等の揮発性成分を除いた全ての成分を意味する。
【0033】
なお、含有量の観点でも、顔料を用いることが重要である。染料は、通常溶剤等に溶解させて用いるが、全質量中の比率が高くなると結晶化しやすく、溶解させて使用するのが困難になる。染料と樹脂、溶剤からなる組成物について、染料を固形分の全質量中40質量%以上含有させる場合、染料を溶解させるために、染料と樹脂に対し非常に多くの溶剤が必要となり、光学材料として使用するのは困難である場合が多い。また、膜が脆弱になり、耐薬品性等の耐性に劣る場合が多い。
【0034】
また、本発明の感光性組成物は、フタロシアニン顔料もしくはナフタロシアニン顔料を含有する。これらの顔料は、700~1200nmに強い吸収を持つことを特徴とする。
【0035】
<フタロシアニン顔料もしくはナフタロシアニン顔料>
フタロシアニン顔料としては、下記一般式(1-1)で表される化合物、および、下記一般式(1-2)で表される化合物が挙げられ、式(1-1)で表される化合物が好ましい。
【化1】
一般式(1-1) 一般式(1-2)
【0036】
式(1-1)および式(1-2)において、X1~X16は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。式(1-1)において、M1は、金属原子もしくは無機化合物を表す。X1~X16が表す置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロアリールスルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基などが挙げられる。例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールアルコキシ基、ヘテロアリールアルコキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基及びヘテロアリールチオ基が挙げられる。近赤外線に対する屈折率を高めるという観点から分極が高い方が好ましい。置換基としては電子求引性基が好ましく、F、Cl、Br、I等のハロゲンや、ニトロ基、シアノ基等が好ましい。
【0037】
1が表す金属原子としては、Li、Na、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、PbおよびPtが挙げられる。無機化合物としては、VO、TiO、AlCl、SiCl2、SnCl2等が挙げられる。また、フタロシアニン環に配位するM1は、周期表の右下に向かうほど、フタロシアニン化合物の密度を高められる。
【0038】
フタロシアニン顔料としては、近赤外線に対する屈折率を高めるという観点から分極が高い方が好ましい。このような観点から、式(1-1)および式(1-2)におけるX1~X16の少なくとも一つは、置換基であることが好ましい。また、置換基としては電子求引性基が好ましく、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等がより好ましい。
【0039】
本発明において、ナフタロシアニン顔料としては、式(2-1)で表される化合物、および、式(2-2)で表される化合物が挙げられ、式(2-1)で表される化合物が好ましい。
【化2】
一般式(2-1) 一般式(2-2)
【0040】
式(2-1)および式(2-2)において、X1~X24は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。式(2-1)において、M1は、金属原子もしくは無機化合物を表す。式(2-1)および式(2-2)のX1~X24における置換基は、式(2-1)のX1~X16で説明した置換基が挙げられる。式(2-1)のM1における金属原子および無機化合物は、式(1-1)のM1で説明した金属原子および無機化合物が挙げられる。ナフタロシアニン環に配位するM1は、周期表の右下に向かうほど、ナフタロシアニン化合物の密度を高められる。ナフタロシアニン顔料としては、近赤外線に対する屈折率を高めるという観点から分極が高い方が好ましい。このような観点から、式(2-1)および式(2-2)におけるX1~X24の少なくとも一つは、置換基であることが好ましい。また、置換基としては電子求引性基が好ましく、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等がより好ましい。
【0041】
上記のフタロシアニン顔料もしくはナフタロシアニン顔料の具体例としては、フタロシアニン、リチウムフタロシアニン、ナトリウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、2塩化ケイ素フタロシアニン、チタンフタロシアニン、酸化バナジウムフタロシアニン、マンガンフタロシアニン、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、α型銅フタロシアニン、β型銅フタロシアニン、ε型銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、スズフタロシアニン、スズジクロリドフタロシアニン、鉛フタロシアニン、プラチナフタロシアニン、ニトリルフタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、ナフタロシアニンなどのナフタロシアニン化合物などが挙げられる。また、フタロシアニン顔料として、C.I.Pigment Blue 15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16、C.I.Pigment Green 7,36,58,59などを用いることもできる。
【0042】
また、フタロシアニン顔料もしくはナフタロシアニン顔料として、下記一般式(3)で表される構造を有するフタロシアニン化合物またはナフタロシアニン化合物も好ましい。
【0043】
<一般式(3)で表される顔料>
【0044】
一般式(3)
【化3】
【0045】
一般式(10)
【化4】
【0046】
一般式(3)中、X401~X408、Y401~Y408は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、又は、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。X401~X408は、互いに結合して芳香環を形成してもよく、その芳香環は置換基を有してもよい。
Mは、アルミニウム原子を表す。
は、-OP(=O)R401402、-OH、-OR451、-OC(=O)R461、-OS(=O)471、又は、一般式(10)を表す。ここでR401、R402はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、R451、R461、R471は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表す。また、一般式(10)中、Xは、-CONH-R311-、-COO-R312-、-CONH-R313-O-、または-COO-R314-O-であり、R311~R314は、アルキレン基、アリーレン基、または炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、もしくは-NHCO-で連結されたアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。Yは、水素もしくはメチル基を表す。※は、Zへの結合部を表す。
【0047】
一般式(3)で表される構造を有する顔料は、下記一般式(3-1)で表される化合物を原料とすることが好ましい。一般式(3-1)で表される化合物は、一般式(3)で表されるフタロシアニン顔料の一形態である。
一般式(3-1)
【化5】
【0048】
一般式(3-1)中、X401~X408、Y401~Y408、Mについては、一般式(3)におけるX401~X408、Y401~Y408、Mについての記載を援用できる。
【0049】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-オクチル基、ステアリル基、2-エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。「置換基を有するアルキル基」は、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、ベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-プチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基が挙げられる。
【0050】
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基が挙げられる。 「置換基を有するアリール基」は、例えば、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基が挙げられる。
【0051】
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」は、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基が挙げられる。 「置換基を有するシクロアルキル基」は、例えば、2,5-ジメチルシクロペンチル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基が挙げられる。
【0052】
置換基を有してもよい複素環基の「複素環基」としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基が挙げられ、「置換基を有する複素環基」としては、3-メチルピリジル基、N-メチルピペリジル基、N-メチルピロリル基が挙げられる。
【0053】
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられる。 「置換基を有するアルコキシル基」は、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基が挙げられる。
【0054】
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」は、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基が挙げられる。 「置換基を有するアリールオキシ基」は、例えば、p-メチルフェノキシ基、p-ニトロフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、2,4-ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2-メチル-4-クロロフェノキシ基が挙げられる。
【0055】
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」は、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基が挙げられる。 「置換基を有するアルキルチオ基」は、例えば、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基が挙げられる。
【0056】
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」は、例えば、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、9-アンスリルチオ基が挙げられる。 「置換基を有するアリールチオ基」は、例えば、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2-アミノフェニルチオ基、2-ヒドロキシフェニルチオ基が挙げられる。
【0057】
置換基を有してもよい芳香環の置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基、カルボキシ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基が挙げられる。
【0058】
<リン化合物>
一般式(3)で表されるフタロシアニン顔料の一形態は、Zは、-OP(=O)R401402であり、HO-P(=O)R401402で示すリン化合物部位中のリン酸基と、フタロシアニン部位中のアルミニウムカチオンが塩を形成したものである。 リン化合物部位の原料は、例えば、一般式(3-2)で表すリン化合物である。 一般式(3-2)中、R429及びR430は、それぞれ独立に、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、R429とR430は、互いに結合して環を形成してもよい。
【0059】
一般式(3-2)
【化6】
【0060】
リン化合物の代表的な例として、下記に示す構造が挙げられる。
【化7】
【0061】
また、一般式(3)で表されるフタロシアニン顔料の一形態として、Zが-OR451である場合が挙げられる。-OR451で示される置換基を有しても良いアルコキシル基の「アルコキシル基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられる。
「置換基を有するアルコキシル基」は、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基が挙げられる。
【0062】
また、一般式(3)で表されるフタロシアニン顔料の一形態として、Zが-OC(=O)R461、又は、-OS(=O)471である場合が挙げられる。-OC(=O)R461、又は、-OS(=O)471で示される置換基を有しても良いアリールカルボニルオキシ基、置換基を有しても良いアリールスルホニルオキシ基である場合が挙げられる。置換基を有しても良いアリールカルボニルオキシ基は、ベンゾイルオキシ基、ブロモベンゾイルオキシ基、メチルベンゾイルオキシ基、フェニルベンゼンスルホニルオキシ基、ナフチルカルボニルオキシ基、置換基を有しても良いアリールカルボニルオキシ基は、ベンゼンスルホニルオキシ基、クロロベンゼンスルホニルオキシ基、フェニルベンゼンスルホニルオキシ基、ナフタレンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0063】
次に、一般式(10)で表される単量体単位を含む重合体部位について、説明する。当該重合体部位は、その原料である一般式(10-1)で表されるモノマーをビニル重合してなる。なお、当該重合体部位は、一般式(10-1)で表されるモノマーと、一般式(10-1)で表されるモノマー以外のその他モノマーを使用できる。
【0064】
一般式(10-1)
【化8】
【0065】
一般式(10-1)中、Xは-CONH-R311-、-COO-R312-、-CONH-R313-O-、または-COO-R314-O-であり、R311~R314は、アルキレン基、アリーレン基、または炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、もしくは-NHCO-で連結されたアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。
アルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。アリーレン基は、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン基、ターフェニレン基、アンスリレン基があげられる。R311~R314は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。Yは水素原子または、メチル基を表す。
【0066】
一般式(10)で表されるモノマーは、例えば、(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(2-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート、(2-(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)アシッドホスフェートが挙げられる。
【0067】
その他モノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリル、酸基含有モノマー、熱架橋性基含有モノマー等が挙げられる。
【0068】
(メタ)アクリル酸エステル類は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t-オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-(2-メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β-フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル等が挙げられる。
【0069】
クロトン酸エステル類は、例えば、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
【0070】
ビニルエステル類は、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニル等が挙げられる。
【0071】
マレイン酸ジエステル類は、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチル等が挙げられる。
【0072】
フマル酸ジエステル類は、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチル等が挙げられる。
【0073】
イタコン酸ジエステル類は、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチル等が挙げられる。
【0074】
(メタ)アクリルアミド類は、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチルアクリル(メタ)アミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(2-メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
【0075】
ビニルエーテル類は、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0076】
スチレン類は、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt-Boc等)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、α-メチルスチレン等が挙げられる。
【0077】
酸基含有モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその無水物類;3価以上の不飽和多価カルボン酸またはその無水物類;こはく酸モノ(2-アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2-メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル類;ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノメタクリレート等の両末端カルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレート類等を挙げられる。
【0078】
熱架橋性基含有モノマー中の熱架橋性基は、例えば、色素の架橋点になり、色素の耐熱性向上に寄与する。熱架橋性基は、例えば、水酸基、カルボン酸無水物、1級または2級アミノ基、イミノ基、オキセタニル基、tert-ブチル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基等が挙げられる。これらの中でも保存安定性、および反応性の面でヒドロキシル基、カルボキシル基、オキセタニル基、tert-ブチル基、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基が好ましく、ヒドロキシル基がより好ましい。
【0079】
水酸基含有モノマーは、例えば、特に限定されないが、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼン、2-ヒドロキシ―3-フェノキシプロピルアクリレートまたはこれらモノマーのカプロラクトン付加物(モル数は1~5)等が挙げられる。これらの中でも2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが耐熱性の観点から好ましい。
【0080】
オキセタニル基含有モノマーは、例えば、3-(アクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタン及び3-(メタクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタン等が挙げられる。
【0081】
tert-ブチル基含有モノマーは、例えば、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート等が挙げられる。
【0082】
イソシアネート基含有モノマーは、例えば、例えば、2-イソシアネートエチルメタクリレート、2-イソシアネートエチルアクリレート、4-イソシアネートブチルメタクリレート、4-イソシアネートブチルアクリレート等が挙げられる。なお、イソシアネート基は、例えば、ブロックイソシアネート基を含む。ブロックイソシアネート基とは、通常の条件では、イソシアネート基を他の官能基で保護することによりイソシアネート基の反応性を抑える一方で、加熱により脱保護し、活性なイソシアネート基を再生させることができる官能基である。
【0083】
ブロックイソシアネート基含有モノマーの市販品は、例えば、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(カレンズMOI-BP、昭和電工社製);メタクリル酸2-(O-[1'-メチルプロビリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(カレンズMOI-BM、昭和電工社製)等が挙げられる。
【0084】
これらのモノマーは、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0085】
重合体部位の合成に使用する一般式(10-1)で表されるモノマーの使用量は、全モノマー100質量%中、1~50質量%が好ましく、20~35質量%がより好ましい。適量使用すると光学特性が向上する。
【0086】
また、熱架橋性基含有モノマーの使用量は、全モノマー100質量%中、5~50質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましい。適量使用すると耐熱性が向上する。
【0087】
重合体部位の合成法は、例えば、アニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、リビングカチオン重合、フリーラジカル重合、リビングラジカル重合等が挙げられる。これらの中でもフリーラジカル重合またはリビングラジカル重合が好ましい。
【0088】
フリーラジカル重合法は、重合開始剤を使用する。重合開始剤は、例えば、アゾ系化合物、有機過酸化物が挙げられる。
アゾ系化合物は、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4'-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2'-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、または2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物は、例えば、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、またはジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0089】
重合開始剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0090】
重合温度は、40~150℃が好ましく、50~110℃がより好ましい。重合時間は、3~30時間が好ましく、5~20時間がより好ましい。
【0091】
リビングラジカル重合法は、一般的なラジカル重合に起こる副反応が抑制され、かつ重合の成長が均一に起こるため、ブロックポリマーや分子量分布が狭い重合体を合成できる。
【0092】
リビングラジカル重合法は、様々な重合法がある中で、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を重合開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法が好ましい。この方法は、多様な構造のモノマーも重合できる点、既存の設備に適応可能な重合温度を採用できる点で好ましい。原子移動ラジカル重合法は、下記の参考文献1~8等に記載された方法で行うことができる。
【0093】
(参考文献1)Fukudaら、Prog.Polym.Sci.2004,29,329
(参考文献2)Matyjaszewskiら、Chem.Rev.2001,101,2921
(参考文献3)Matyjaszewskiら、J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614
(参考文献4)Macromolecules 1995,28,7901,Science,1996,272,866
(参考文献5)WO96/030421号
(参考文献6)WO97/018247号
(参考文献7)特開平9-208616号公報
(参考文献8)特開平8-41117号公報
【0094】
重合体部位の合成には有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤は、例えば、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、またはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0095】
重合体部位の重量平均分子量は、5000~20000が好ましく、8000~15000が好ましい。適度な分子量を有することで光学特性と耐熱性が向上する。
【0096】
重合体部位のガラス転移温度(Tg)は、-50~150℃が好ましく、20~80℃がより好ましい。適度なTgにより光学特性が向上する。
【0097】
有機溶剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0098】
一般式(3)で表される構造を有する顔料は、下記一般式(3-3)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0099】
一般式(3-3)
【化9】
【0100】
一般式(3-3)中、Y409~Y416、R408~R421は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、又は、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。Mは、アルミニウム原子を表す。Zは、-OP(=O)R401402、-OH、-OR451、-OC(=O)R461、-OS(=O)471、又は、一般式(10)を表す。ここでR401、R402はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、R451、R461、R471は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表す。また、一般式(10)中、Xは、-CONH-R311-、-COO-R312-、-CONH-R313-O-、または-COO-R314-O-であり、R311~R314は、アルキレン基、アリーレン基、または炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、もしくは-NHCO-で連結されたアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。Yは、水素もしくはメチル基を表す。
【0101】
一般式(3-3)で表される構造を有する顔料は、フタロシアニン部位、及びOP(=O)R401402(リン化合物部位)から構成されることが好ましい。フタロシアニン部位は、下記一般式(3-4)で表されるフタロシアニンを原料とすることが好ましい。
【0102】
一般式(3-4)
【化10】
【0103】
一般式(3-4)中、Y409~Y416、R408~R421、Mについては、一般式(3-3)におけるY409~Y416、R408~R421、Mについての記載を援用できる。
【0104】
置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルファモイル基については、一般式(3-1)における記載を援用できる。
【0105】
一般式(3-4)で表される顔料としては、分散性や色特性の観点から、Y409~Y416、R408~R421のいずれか1つ以上は、水素原子、ハロゲン原子、及び置換基を有してもよいアルコキシル基からなる群より選ばれる一種以上であることが好ましい。
【0106】
(フタロシアニン部位の合成法)
一般式(3-4)で表されるフタロシアニンの一般的な工業的製法を以下に記載する。(1)~(3)の方法を用いると、一般式(3-4)で表されるフタロシアニンとして複数の構造を含有する。顔料として複数の構造を含有すると、芳香環の会合による凝集が緩和され、分散安定性に優れた感光性組成物が得られるため、(1)~(3)の方法が好ましい。(1)Wyler法 置換あるいは無置換の無水フタル酸及び無水ナフタレンジカルボン酸や、置換あるいは無置換の無水フタル酸イミド及び無水ナフタレンジカルボン酸イミドを用いて,尿素と金属塩存在下,高温で反応させる方法。無水フタル酸と無水ナフタレンジカルボン酸を併用、又は、無水フタル酸イミドと無水ナフタレンジカルボン酸イミドを併用することで、一般式(4-4)で表されるフタロシアニンを得ることができる。(2)フタロジニトリル法 置換あるいは無置換フタロジニトリル及び2,3―ジシアノナフタレンを、n-アミルアルコール、n-ヘキシルアルコール、1-メトキシエタノール、1-エトキシエタノールのようなアルコール系溶媒中で、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン-5)、又は(金属)アルコキシドのような強塩基の存在下、金属塩と反応させる方法。フタロジニトリルと2,3―ジシアノナフタレンを併用することで、一般式(3-4)で表されるフタロシアニンを得ることができる。(3)ジイミノイソインドリン法 置換あるいは無置換の1,3-ジイミノイソインドリン及び1,3-ジイミノベンゾ[f]イソインドリンを、2-ジメチルアミノエタノール、キノリン、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7)のような強塩基の存在下、金属塩と反応させる方法。1,3-ジイミノイソインドリンと1,3-ジイミノベンゾ[f]イソインドリンを併用することで、一般式(3-4)で表されるフタロシアニンを得ることができる。(4)サブフタロシアニン開環法(サブフタロシアニンからの非対称型フタロシアニン合成法) ボロンSUB-2,3-ナフタロシアニンクロリドと置換あるいは無置換の1,3-ジイミノイソインドリンから一般式(3-5)で表される化合物を合成した後、金属塩と反応させる方法。
【0107】
一般式(3-5)
【化11】
【0108】
一般式(3-5)中、Y409~Y416、R408~R421については、一般式(3-3)におけるY409~Y416、R408~R421についての記載を援用できる。
【0109】
一般式(3-1)で表されるフタロシアニン化合物としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】
【0110】
【化16】
【0111】
【化17】
【0112】
(一般式(3)で表される構造を有する顔料の合成法)
一般式(3)又は一般式(3-3)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば、一般式(3-1)又は一般式(3-4)で表されるフタロシアニン化合物と、一般式(3-2)で表されるリン化合物とを反応させて合成することができる。なお、前記フタロシアニン化合物に、前記リン化合物及び前記重合体の両方を同時に反応させてもよく、逐次反応させてもよい。
【0113】
一般式(3)で表される化合物は、例えば、フタロシアニン部位、リン化合物又は重合体を有機溶媒に加え、数時間加熱攪拌した後に、反応溶液を水に投入し、析出した生成物をろ過し、水洗、乾燥させることで合成できる。
【0114】
フタロシアニン部位、及びリン化合物部位の比率については、分散性や色特性の観点から、一般式(3-2)で表されるリン化合物の添加量が、フタロシアニン部位に対して0.8~2.0モル当量であることが好ましく、1.0~1.5モル当量であることがより好ましい。
【0115】
本発明の感光性組成物は、その他、フタロシアニン顔料またはナフタロシアニン顔料以外の顔料を含んでもよい。黄色顔料としては、例えばピグメント イエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、221が挙げられる。
【0116】
赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、97、122、123、146、149、150、168、169、170、176、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、209、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、268、270、272、273、274、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287が挙げられる。橙色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ36、38、43、51、55、59、71、73が挙げられる。
【0117】
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、1:3、2、2:1、2:2、3、8、9、10、10:1、11、12、16、18、19、22、24、24:1、53、56、56:1、57、58、59、60、61、62、64が挙げられる。
【0118】
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン10等が挙げられる。
【0119】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50が挙げられる。
【0120】
(無機顔料)
その他、無機顔料を併用することもできる。無機顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組合せて用いられる。
【0121】
また、染料を併用することもできる。染料は、例えば、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料が挙げられ、いずれも併用することができる。また例えば、アントラキノン系染料、モノアゾ系染料、ジスアゾ系染料、オキサジン系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系性染料、トリフェニルメタン系性染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料が挙げられ、いずれも併用することができる。
【0122】
以下、上記の顔料及び染料を総称して、着色剤ということがある。
【0123】
さらに、紫外線吸収剤を併用することもできる。紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が挙げられ、いずれも併用することができる。
【0124】
さらに、紫外線吸収剤を併用することもできる。紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が挙げられ、いずれも併用することができる。
【0125】
高屈折率材料としての性能だけでなく、特定の波長領域の透過、吸収を制御したい場合は、上記の染料や紫外線吸収剤が好適に用いられる。 例えば、近赤外線をセンシングする際に、その光線よりも短波長の領域をカットしたい場合は、青色顔料、赤色顔料や紫色顔料に黄色顔料や紫外線吸収剤を加え、IRパス材料としての機能を持たせることができる。
【0126】
(顔料の微細化)
本発明の感光性組成物においては、高い透過率を得る観点から、有機顔料はソルトミリング処理などにより微細化されていることが好ましい。顔料の一次粒子径は、着色剤担体中への分散が良好なことから、10nm以上であることが好ましい。また、散乱の少ない塗膜を形成できることから、400nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。特に好ましい範囲は、20~60nmの範囲である。
【0127】
(ソルトミリング処理)
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0128】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料の全質量を基準(100質量%)として、50~2000質量%用いることが好ましく、300~1000質量%用いることが最も好ましい。
【0129】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコールが用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料の全質量を基準(100質量%)として、5~1000質量%用いることが好ましく、50~500質量%用いることがより好ましい。
【0130】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料の全質量を基準(100質量%)として、5~200質量%の範囲であることが好ましい。
【0131】
<バインダー樹脂>
本発明の感光性組成物は、バインダー樹脂を含有することができる。バインダー樹脂としては、顔料等の物質間を結合することができるものが好ましく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0132】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂が挙げられる。
【0133】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂が挙げられる。
【0134】
バインダー樹脂としては、可視光領域の400~700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物はアルカリ現像型着色レジスト材の形態であるため、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。
【0135】
酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシ基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0136】
酸性基含有エチレン性不単量体を共重合したアルカリ可溶性樹脂の光感度を向上させるために、エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。また、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いると、諸耐性の観点から好ましい。
【0137】
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば以下に示す(a)や(b)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
【0138】
[方法(a)]
方法(a)として、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシ基を付加反応させ、更に、生成したヒドロキシ基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合及びカルボキシ基を導入する方法がある。
【0139】
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0140】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0141】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。カルボキシ基の数を増やすため、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解したりすることもできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
【0142】
方法(a)の類似の方法として、例えば、カルボキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシ基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合及びカルボキシ基を導入する方法がある。
【0143】
[方法(b)]
方法(b)として、ヒドロキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシ基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖ヒドロキシ基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0144】
ヒドロキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ-バレロラクトン、(ポリ)ε-カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12-ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0145】
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0146】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、10,000~100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000~80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000~50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0147】
バインダー樹脂は、顔料の分散性、浸透性、及び耐熱性の観点から、着色剤吸着基及び現像時のアルカリ可溶基としてはたらくカルボキシ基、バインダー樹脂以外の着色剤担体及び溶剤に対する親和性基としてはたらく脂肪族基及び芳香族基のバランスが、顔料及び造塩化合物の分散性、浸透性、耐久性にとって重要であり、酸価20~300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターンを形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる。 ここで、着色剤担体とは、着色剤を親和、吸着等により担持させる樹脂やその他の低分子成分のことである。
【0148】
バインダー樹脂は、成膜性及び諸耐性の観点から、着色剤の全質量を基準(100質量%)として、30質量%以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度を高くし、良好な色特性を発現させる観点から、500質量%以下の量で用いることが好ましい。
【0149】
(分散剤)
分散剤は、感光性組成物中で顔料を分散安定化し分散後の再凝集を防止するはたらきをするものであり、分光透過率の高い膜が得られる。分散剤としては、樹脂型分散剤、色素誘導体、界面活性剤等が挙げられる。
【0150】
《樹脂型分散剤》
樹脂型分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、添加顔料に吸着して顔料担体への分散を安定化するはたらきをするものである。 本発明の感光性組成物は、下記(S1)または(S2)で示される酸性樹脂型分散剤を含有する。(S1)水酸基を有する重合体の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である酸性樹脂型分散剤。(S2)水酸基を有する化合物の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体である酸性樹脂型分散剤。
【0151】
本発明の感光性組成物は、(S1)または(S2)で示される酸性樹脂型分散剤を含有することで、フォトリソグラフィー性が優れる。よって、アルカリ現像型レジスト材として好適に利用することができる。特に、本発明の感光性組成物は、高屈折率にするためにフタロシアニン顔料またはナフタロシアニン顔料の固形分中濃度を高めることが好ましいが、これらの顔料はアルカリ可溶性が低いため、樹脂型分散剤のフォトリソグラフィー性への寄与が非常に重要となる。さらに、(S1)、(S2)で示される酸性樹脂型分散剤はフタロシアニン顔料またはナフタロシアニン顔料の分散性に非常に優れるため、顔料を微細に分散させることができ、顔料の固形分中濃度が高い場合においても高いフォトリソグラフィー性を発現させる。
【0152】
(S1)または(S2)で示される酸性樹脂型分散剤の含有量は、感光性組成物における固形分の全質量を基準として10質量%以上が好ましく、50質量%以下であることが好ましい。酸性樹脂型分散剤が少なすぎてもアルカリ可溶性を付与する効果は乏しく、多すぎると固形分中の顔料濃度が低くなり、屈折率が低くなってしまう傾向にある。 前記酸性樹脂型分散剤の酸価は特に限定されないが、酸価が30~140mgKOH/gが好ましく、50~120mgKOH/gであることがより好ましい。
【0153】
[樹脂型分散剤(S1)]
樹脂型分散剤(S1)は、WO2008/007776号公報、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報等の公知の方法で製造することができる。水酸基を有する重合体(p)は、末端に水酸基を有する重合体であることが好ましく、例えば、水酸基を有する化合物(q)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体として得ることができる。水酸基を有する化合物(q)としては、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物であることが好ましい。末端の水酸基は複数であることが好ましいため、中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)が好適に用いられる。
【0154】
すなわち、より好ましい一例である、片末端に2つの水酸基を有する重合体は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)の存在下に、単量体(r1)を含むエチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体(p1)として得ることができる。水酸基を有する重合体(p)の水酸基は、トリカルボン酸無水物及び/またはテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基と反応してエステル結合を形成する一方、無水環は開環し、カルボン酸を生じる。
【0155】
なお、水酸基を有する重合体(p)の水酸基が、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基と反応してエステル結合を形成する場合、水酸基を有する重合体(p)の水酸基1モルに対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基は、0.6~1.5モルが好ましい。上記の酸無水物基が水酸基より多い場合は、無水環が残るため、さらにアルコールを添加して開環させカルボン酸を生じさせることができる。
【0156】
[樹脂型分散剤(S2)]
樹脂型分散剤(S2)は、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報等の公知の方法で製造することができ、例えば、水酸基を有する化合物(q)の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体(r)を重合することで得られる。中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、単量体(r1)を含むエチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体であることが好ましい。こちらの場合も、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)の水酸基1モルに対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基は、0.6~1.5モルが好ましい。こちらの場合も、さらにアルコールを添加して開環させカルボン酸を生じさせることができる。
【0157】
(S1)と(S2)は、エチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体部位の導入を先に行うか後で行うかの違いである。諸条件により分子量等が若干異なることがあるが、原料と反応条件が同じであれば、理論上は同じものができる。
【0158】
(S1)、(S2)におけるテトラカルボン酸二無水物は、ピロメリット酸無水物であることが好ましい。また、(S1)、(S2)におけるトリカルボン酸無水物は、トリメリット酸無水物であることが好ましい。
【0159】
樹脂型分散剤は、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0160】
《色素誘導体》
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドン又はトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、又は置換基を有していてもよいフタルイミドメチル基を導入した化合物が挙げられ、例えば、特開昭63-305173号公報、特公昭57-15620号公報、特公昭59-40172号公報、特公昭63-17102号公報、特公平5-9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0161】
色素誘導体の配合量は、顔料の分散性向上の観点から、顔料の全量を基準(100質量%)として、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、最も好ましくは3質量%以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、添加顔料の全量を基準(100質量%)として、好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。
【0162】
《界面活性剤》
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0163】
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合の配合量は、顔料の全量を基準(100質量%)として、好ましくは0.1~200質量%、さらに好ましくは0.1~150質量%である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が上記範囲であることにより、好ましい分散性を発現させることができる。
【0164】
<有機溶剤>
本発明の感光性組成物には、顔料を充分に分散、浸透させ、高屈折率材料の成形を容易にするために有機溶剤を含有させることができる。
【0165】
有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3-トリクロロプロパン、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、o-キシレン、o-クロロトルエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステルが挙げられる。
【0166】
中でも、顔料の分散性、溶解性が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。特に、安全衛生面と低粘度化の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。
【0167】
これらの有機溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。2種以上の混合溶剤とする場合、上記の好ましい有機溶剤が65~95質量%含有されていることが好ましい。
【0168】
また有機溶剤は、感光性組成物を適正な粘度に調節し、高屈折率材料の形成性を向上させる観点から、着色剤の全質量を基準(100質量%)として、800~4000質量%の量で用いることが好ましい。
【0169】
<分散>
本発明の感光性組成物は、顔料、及び必要に応じて含有する樹脂、溶剤からなる着色剤担体中に、好ましくは色素誘導体などの分散助剤と一緒に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、本発明の着色組成物は、顔料、染料、その他の着色剤等を別々に着色剤担体に分散したものを混合して製造することもできる。
【0170】
<光重合性単量体>
本発明の着色組成物は、さらに光重合性単量体及び/又は光重合開始剤を添加し、感光性着色組成物として使用することができる。本発明の光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0171】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0172】
これらの市販品としては、日本化薬社製のKAYARAD R-128H、R526、PEG400DA、MAND、NPGDA、R-167、HX-220、R-551、R712、R-604、R-684、GPO-303、TMPTA、DPHA、DPEA-12、DPHA-2C、D-310、D-330、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120、及び東亜合成社製のアロニックスM-303、M-305、M-306、M-309、M-310、M-321、M-325、M-350、M-360、M-313、M-315、M-400、M-402、M-403、M-404、M-405、M-406、M-450、M-452、M-408、M-211B、M-101A、大阪有機社製のビスコート#310HP、#335HP、#700、#295、#330、#360、#GPT、#400、#405、新中村化学社製のNKエステルA-9300等を好適に使用することができる。
【0173】
(酸基を有する重合性化合物)
本発明における光重合性単量体は、酸基を有する重合性化合物を含有してもよい。酸基としては、スルホン酸基やカルボキシル基、リン酸基等を挙げることができる。 酸基を有する重合性化合物はアルカリ可溶性が高いため、特に微細パターンを形成するうえでは、酸基を有する重合性化合物を含有すると好ましい。
【0174】
酸基を有する重合性化合物としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げることができる。具体例としては、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレート又はモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレート又はモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等が挙げられるが、本発明の効果はこれらに限定されるものではない。
【0175】
これらの市販品としては、大阪有機社製のビスコート#2500P、及び東亜合成社製アロニックスM-5300、M-5400、M-5700、M-510、M-520等を好適に使用することができる。
【0176】
(ウレタン結合を有する重合性化合物)
本発明における光重合性単量体は、エチレン性不飽和結合とウレタン結合を少なくとも1つずつ含有する重合性化合物を含有してもよい。例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートや、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0177】
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0178】
また、多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0179】
これらの市販品としては、共栄社化学社製のAH-600、AT-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、DAUA-167、新中村化学工業社製のUA-160TM、大阪有機化学工業社製のUV-4108F、UV-4117F等を好適に使用することができる。 なお、水酸基を有する重合性化合物はアルカリ現像液と親和性が高いので、微細パターンを形成するうえでは、水酸基を有する化合物を含有することが好ましい。
【0180】
上記の光重合性単量体は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0181】
光重合性単量体の配合量は、感光性着色組成物の全不揮発分を基準(100質量部)として、1~70質量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から2~50質量部であることがより好ましい。また、着色剤の全重量を基準(100重量%)として、5~300重量%であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から10~150重量%であることがより好ましい。
【0182】
<光重合開始剤>
本発明の感光性組成物は、該組成物を紫外線照射により硬化させることができる。
【0183】
光重合開始剤としては、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、又は2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4'-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はO-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4'-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物が用いられる。 特に、オキシムエステル系化合物は感度が高く、少量で光硬化性を発現するため、微細パターンを形成するうえでは、オキシムエステル系化合物を使用することが好ましい。
【0184】
これらの光重合開始剤の配合量は、感光性着色組成物の全不揮発分を基準(100質量部)として、0.1~30質量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から0.2~15質量部であることがより好ましい。また、着色組成物中の着色剤の全量を基準(100質量%)として、0.5~50質量%であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から1~30質量%であることがより好ましい。
【0185】
<増感剤>
さらに、本発明の感光性組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤としては、例えば、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4'-ジエチルイソフタロフェノン、3,3'又は4,4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4'-ジエチルアミノベンゾフェノンが挙げられる。
【0186】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0187】
増感剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上用いても構わない。増感剤を使用する際の配合量は、感光性組成物中に含まれる光重合開始剤の全質量を基準(100質量%)として、3~60質量%であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5~50質量%であることがより好ましい。
【0188】
<アミン系化合物>
また、本発明の感光性組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、及びN,N-ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0189】
<レベリング剤>
本発明の感光性組成物には、組成物のレベリング性を良くするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ-2122、ビックケミー社製BYK-333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK-310、BYK-370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、感光性組成物の全質量を基準(100質量%)として、0.003~0.5質量%用いることが好ましい。
【0190】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、感光性組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0191】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ-2110、FZ-2122、FZ-2130、FZ-2166、FZ-2191、FZ-2203、FZ-2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0192】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
【0193】
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルが挙げられる。
【0194】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、例えば、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0195】
<その他の添加剤成分>
本発明の感光性組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、基材との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0196】
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸及びそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤の全量を基準(100質量%)として、0.1~10質量%の量で用いることができる。
【0197】
密着向上剤としては、例えば、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、感光性組成物中の着色剤の全量を基準(100質量%)として、0.01~10質量%、好ましくは0.05~5質量%の量で用いることができる。
【0198】
<粗大粒子の除去>
本発明の感光性組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように感光性組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0199】
<膜>
本発明の感光性組成物を、溶剤揮発、露光(光硬化)又は加熱(熱硬化)によって硬化して得られる膜もまた本発明の対象である。 露光する光線としては、紫外線、電子線、X線等が挙げられる。紫外線照射に用いる光源としては、太陽光線、ケミカルランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、UV-LED等が使用できる。また、露光後、硬化物の物性を安定化させるためにポストベークを施してもよい。ポストベークの方法としては、特に限定されないが、通常、ホットプレート、オーブン等を使用して、50~260℃、1~120分間の範囲で行われる。 熱硬化における加熱条件としては、特に限定されないが、通常、50~300℃、1~120分間の範囲から適宜選択される。また、加熱手段としては、特に限定されないが、例えばホットプレート、オーブン等が挙げられる。
【0200】
上記本発明の感光性組成物により形成した膜は、800~1600nmの波長領域において高屈折率となり、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズ、又は、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路の形成材料として好適である。
【0201】
なお、本発明の感光性組成物は、ドーム状、シート状等、任意の形状に成形することができる。例えば、次のようにして成形することができる。ガラス等の透明基板上に、本発明の感光性組成物をポッティングし、その上から所望の成形加工型を押し当てることにより、上記成形加工型内へ感光性組成物を充填させ、そこへ光照射を行うことにより硬化させることができる。そして、その後、上記成形加工型を取り外すことにより、透明基板上で一体化された感光性組成物の硬化物を得ることができる。あるいは、光を透過する透明型内へ感光性組成物を充填し光硬化させることも可能である。このような製法により、例えばハイブリッドレンズを作製することができる。また、本発明の感光性組成物は、成形加工型内でそれ自身単独で硬化させて光学レンズ等の光学部品とすることもできる。 また、マイクロレンズとして成形することもできる。マイクロレンズの製造方法の1つとして、エッチバック法が知られている。本発明の感光性組成物の塗膜上にレジストパターンを形成し、熱処理によってこのレジストパターンをリフローしてレンズパターンを形成する。このレジストパターンをリフローして形成したレンズパターンをエッチングマスクとして、下層の本発明の感光性組成物の塗膜をエッチバックし、レンズパターン形状を本発明の感光性組成物の塗膜に転写することによってマイクロレンズを作製する。また、マイクロレンズの別の製造方法として、本発明の感光性組成物を露光・現像することによりレジストパターンを形成し、熱処理によりリフローすることにより、マイクロレンズを作製する方法もある。 また、光導波路として成形する場合は、感光性組成物を露光・現像することによりレジストパターンを形成し、さらに光重合開始剤およびアルカリ可溶性樹脂を含み、屈折率の異なる別の樹脂組成物もしくは感光性組成物を露光・現像することにより隣接するレジストパターンを形成することにより、コアおよびクラッドが形成し、光導波路を作製できる。
【0202】
本明細書において、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズとは、赤外線を集光するためのレンズを指し、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ、マイクロレンズが挙げられる。
【0203】
本明細書において、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路とは、赤外線を伝搬させるための導波路を指し、シート状、板状等、その形状は限定されない。用途としては、例えば、コンピューターやセンサーデバイスの光通信等に使用するケーブルのほか、デバイス内部の光通信に用いる光インターコネクション等が挙げられ、また赤外線センサ等が赤外線をセンシングする際の光路上に使用される材料等も挙げられる。
【実施例0204】
以下に、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお、以下「質量部」は単に「部」、「質量%」は単に「%」と記載する。
【0205】
<フタロシアニン顔料またはナフタロシアニン顔料の製造>
<銅フタロシアニン顔料の製造>
【0206】
(フタロシアニン顔料(PC-1)の製造)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6(トーヨーカラー社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、及びジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部のフタロシアニン顔料(PC-1)を得た。
【0207】
(フタロシアニン顔料(PC-2)の製造)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6の代わりにC.I.ピグメントブルー15:2を用い、フタロシアニン顔料(PC-1)の製造と同様にして、フタロシアニン顔料(PC-2)を得た。
【0208】
(フタロシアニン顔料(PC-3)の製造)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6の代わりにC.I.ピグメントブルー15:3を用い、フタロシアニン顔料(PC-1)の製造と同様にして、フタロシアニン顔料(PC-3)を得た。
【0209】
(フタロシアニン顔料(PC-4)の製造)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6の代わりにC.I.ピグメントブルー15:1を用い、フタロシアニン顔料(PC-1)の製造と同様にして、フタロシアニン顔料(PC-4)を得た。
【0210】
公知の方法で、下記フタロシアニン顔料(PC-5)~(PC-12)を得た。
フタロシアニン顔料(PC-5):C.I.ピグメントグリーン36
フタロシアニン顔料(PC-6):C.I.ピグメントグリーン58
フタロシアニン顔料(PC-7):C.I.ピグメントグリーン7
フタロシアニン顔料(PC-8):リチウムフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-9):マグネシウムフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-10):クロロアルミニウムフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-11):2塩化ケイ素フタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-12):チタンフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-13):マンガンフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-14):鉄フタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-15):コバルトフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-16):ニッケルフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-17):スズフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-18):鉛フタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-19):プラチナフタロシアニン
【0211】
<アルミニウムフタロシアニン顔料の製造>
特開2012-155231号公報を参考にして、下記のアルミニウムフタロシアニンを製造した。
【0212】
【化18】

【化19】

【化20】

【化21】
【0213】
公知の方法で、下記のクロロアルミニウムフタロシアニン(q-1)を製造した。
【化22】

(q-1)
【0214】
濃硫酸100部にクロロアルミニウムフタロシアニン(q-1)10部を氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水1000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、8部のフタロシアニン顔料(q-2)を得た。
【化23】

(q-2)
【0215】
クロロアルミニウムフタロシアニン(q-1)10部に、ヘキサノール10部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)50部を加え、130℃で3時間加熱した。次いで、メタノール100部に注入し、生成した析出物をろ過、メタノール洗浄の順で処理を行い、乾燥して、6部のフタロシアニン顔料(q-3)を得た。
【化24】

(q-3)
【0216】
クロロアルミニウムフタロシアニン(q-1)10部に、安息香酸10部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)100部を加え、130℃で3時間加熱した。次いで、メタノール100部に注入し、生成した析出物をろ過、メタノール洗浄の順で処理を行い、乾燥して、6部のフタロシアニン顔料(q-4)を得た。
【化25】
(q-4)
【0217】
クロロアルミニウムフタロシアニン(q-1)10部に、ベンゼンスルホン酸10部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)100部を加え、130℃で3時間加熱した。次いで、メタノール100部に注入し、生成した析出物をろ過、メタノール洗浄の順で処理を行い、乾燥して、6部のフタロシアニン顔料(q-5)を得た。
【化26】
(q-5)
【0218】
<ハロゲン化アルミニウムフタロシアニンの製造>
特開2016-153481号公報を参考にし、下記のハロゲン化アルミニウムフタロシアニン顔料を製造した。
【0219】
【化27】

【化28】

【化29】
【0220】
(樹脂(B-1)の合成)
攪拌装置、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応器に、PGMAc100部、メチル4-シアノ-4-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)ペンタノエート(以下、「BM1448」と略記する。)3部を仕込み、窒素雰囲気中で80℃に昇温した後、メチルメタクリレート35部、エチルメタクリレート21部、ターシャリーブチルアクリレート14部、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(以下、「V65」と略記する。)1部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃に2時間保持した後、さらに、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート(以下、「P-1M」と略記する。分子量228)30部及びPGME100部からなる混合物を1時間で滴下した。次いで、90℃に12時間保持した後、PGMEを添加することで、樹脂(B-1)の30質量%溶液を得た。この樹脂(B-1)のTgは37℃であった。
【0221】
(フタロシアニン顔料(PD-1)の合成)
下記の手順でフタロシアニン顔料(q-2)と樹脂(B-1)とからなるフタロシアニン顔料(PD-1)を合成した。N - メチルピロリドン200部に32部の樹脂(B-1)を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部のフタロシアニン顔料(q-2)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液を水2000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、18部のフタロシアニン顔料(PD-1)を得た。 この時、フタロシアニン顔料(q-2)と、樹脂(B-1)に含まれるP-1Mのモル比率は、フタロシアニン顔料(q-2)/樹脂(B-1)に含まれるP-1M =0.9/1であった
【0222】
<アルミニウムナフタロシアニン顔料の製造>
【0223】
アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-1)~(Cpr-21)
【化30】

【化31】

【化32】
【0224】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成)
反応容器中で、キノリン1135部に1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部と塩化アルミニウム無水物40部を混合攪拌し、昇温後136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、159部の下記構造式(1-1)で示されるクロロアルミニウムナフタロシアニンを得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。
【0225】
クロロアルミニウムナフタロシアニン(1-1)
【化33】
【0226】
次いで、反応容器中で、濃硫酸100部に上記クロロアルミニウムナフタロシアニン(1-1)10部を氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水1000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、8部のナフタロシアニン顔料(Cpr-1)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は884.74であった。
【0227】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-2)の合成)
アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部、キノリン1135部の代わりに、それぞれ、2,3―ジシアノナフタレン178部、n-アミルアルコール890部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)137部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、125部のナフタロシアニン顔料(Cpr-2)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は756.75であった。
【0228】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-3)の合成)
濃硫酸1500部に上記ナフタロシアニン顔料(Cpr-2)100部を氷浴下にて加えた。その後、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン151部を徐々に加え、25℃で6時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、170部のナフタロシアニン顔料(Cpr-3)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。得られたナフタロシアニン顔料(Cpr-3)について臭素置換数を算出したところ、平均8.4個であり、マススペクトラムからも同一の分子量に相当するピークを確認し、目的の化合物を同定した。分子量は1419.51であった。
【0229】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-4)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、4,9-ジブトキシ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン339部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、237部のナフタロシアニン顔料(Cpr-4)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1333.59であった。
【0230】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-5)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、4,9-ジクロロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン264部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、185部のナフタロシアニン顔料(Cpr-5)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1032.31であった。
【0231】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-6)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、5-ニトロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン232部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、162部のナフタロシアニン顔料(Cpr-6)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は905.08であった。
【0232】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-7)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-6,7-ジカルボニトリル245部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、171部のナフタロシアニン顔料(Cpr-7)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は956.82であった。
【0233】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-8)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-5-カルボン酸239部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、167部のナフタロシアニン顔料(Cpr-8)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は932.79であった。
【0234】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-9)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-5-スルホン酸275部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、192部のナフタロシアニン顔料(Cpr-9)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1077.0であった。
【0235】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-10)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、4-フェニル-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン271部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、190部のナフタロシアニン顔料(Cpr-10)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1061.13であった。
【0236】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-11)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、6,7-ジメチル-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン223部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、156部のナフタロシアニン顔料(Cpr-11)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は868.96であった。
【0237】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-12)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、5-(ネオペンチルオキシ)-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン281部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、197部のナフタロシアニン顔料(Cpr-12)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1101.28であった。
【0238】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-13)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、6-フェノキシ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン287部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、201部のナフタロシアニン顔料(Cpr-13)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1125.13であった。
【0239】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-14)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、6-(イソプロピルチオ)-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン269部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、188部のナフタロシアニン顔料(Cpr-14)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1053.33であった。
【0240】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-15)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、6-(フェニルチオ)-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン303部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、212部のナフタロシアニン顔料(Cpr-15)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1189.39であった。
【0241】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-16)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、N-tert-ブチル-1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-6-アミン266部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、186部のナフタロシアニン顔料(Cpr-16)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1041.23であった。
【0242】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-17)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、1,3-ジイミノ-N-p-トリル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-6-アミン300部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、210部のナフタロシアニン顔料(Cpr-17)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1177.3であった。
【0243】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-18)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、6-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン277部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、194部のナフタロシアニン顔料(Cpr-18)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1085.32であった。
【0244】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-19)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、1,3-ジイミノ-N、N-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-6-スルホンアミド302部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、211部のナフタロシアニン顔料(Cpr-19)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1185.27であった。
【0245】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-20)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、6,7-ジクロロ-4,9-ジメトキシ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン324部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、227部のナフタロシアニン顔料(Cpr-20)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1272.52であった。
【0246】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-21)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、4,9-ジブロモ-6-エトキシ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン397部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、278部のナフタロシアニン顔料(Cpr-21)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1564.13であった。
【0247】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(C-1)の合成)
下記の手順でナフタロシアニン顔料(Cpr-2)とリン化合物とからなるナフタロシアニン顔料(C-1)を製造した。N-メチルピロリドン200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部のナフタロシアニン顔料(Cpr-2)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液を水2000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、12部の下記ナフタロシアニン顔料(C-1)を得た。
【0248】
アルミニウムナフタロシアニン顔料(C-1)
【化34】
【0249】
アルミニウムナフタロシアニン顔料(C-2)~(C-34)
【化35】
【0250】
【化36】
【0251】
【化37】
【0252】
組成を表1-1に示すものに変更した以外は、アルミニウムナフタロシアニン顔料(C-1)と同様にして、アルミニウムフタロシアニン顔料(C-2)~(C-34)を合成した。
【0253】
【表1-1】
【0254】
<アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料の製造>
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(a-1)の合成) 反応容器中で、フタロニトリル64部、2,3―ジシアノナフタレン89部、n-アミルアルコール890部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)137部と三塩化アルミニウム34部を混合攪拌し、昇温後136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、140部のフタロシアニン顔料(apr-1)を得た(下記構造式で表される化合物の混合物)。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。
【0255】
アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(apr-1)
【化38】
【0256】
次いで、反応容器中で、濃硫酸1500部に上記フタロシアニン顔料(apr-1)140部を氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水1000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、120部のフタロシアニン顔料(a-1)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-1)は、下記構造式で表される化合物の混合物であり、主成分はn2体であった。
【0257】
【化39】
【0258】
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(a-2)の合成)
フタロシアニン顔料(a-1)の合成で使用したフタロニトリル64部、2,3―ジシアノナフタレン89部の代わりに、それぞれ、フタロニトリル26部、2,3―ジシアノナフタレン143部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-1)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-2)を147部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-2)の主成分は下記構造のn3体であった。
【0259】
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(a-3)の合成)
フタロシアニン顔料(a-1)の合成で使用したフタロニトリル64部、2,3―ジシアノナフタレン89部の代わりに、それぞれ、フタロニトリル13部、2,3―ジシアノナフタレン160部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-1)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-3)を147部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-3)の主成分は下記構造のn3体であった。
【0260】
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(a-4)の合成)
フタロシアニン顔料(a-1)の合成で使用したフタロニトリル64部、2,3―ジシアノナフタレン89部の代わりに、それぞれ、フタロニトリル102部、2,3―ジシアノナフタレン36部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-1)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-4)を147部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-4)の主成分は下記構造のn1体であった。
【0261】
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(a-5)の合成)
反応容器中で、キノリン900部に3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部と、塩化アルミニウム無水物50部を混合攪拌した。昇温し、140℃で5時間加熱攪拌した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、108部のフタロシアニン顔料(apr-5)を得た。
【0262】
次いで、反応容器中で、濃硫酸1500部に上記フタロシアニン顔料(apr-5)114部を氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水15000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、100部のフタロシアニン顔料(a-5)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-5)の主成分は下記構造のn3体であった。
【0263】
【化40】
【0264】
得られたアルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料の組成を表1-2に示す。なおn3体は、前記一般式(3-3)で表されるフタロシアニン顔料に該当する。
【0265】
【表1-2】
【0266】
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(A-1)の製造)
N - メチルピロリドン200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部のフタロシアニン顔料(a-1)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液を水2000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、12部のフタロシアニン顔料(A-1)を得た。
【0267】
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(A-2)~(A-5)の製造)
アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(A-1)の製造と同様にして、フタロシアニン顔料(a-2)~(a-5)についてもフタロシアニン顔料(a-1)と同様の所作を行い、フタロシアニン顔料(A-2)~(A-5)を得た。
【0268】
<顔料の平均一次粒子径の測定>
顔料の平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量) を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)を用いた。この方法で測定した結果、フタロシアニン顔料(PC-1)の平均一次粒子径は28nmであった。上記方法により測定した顔料及び微細化顔料の平均一次粒子径を、表2に示す。
【0269】
【表2】
【0270】
<微細化顔料の製造>
【0271】
(黄色微細化顔料(PY-1)の製造)
イソインドリン系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー 139(BASF社製「Paliotol Yellow L 2146HD」)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、黄色微細化顔料(PY-1)を得た。
【0272】
(紫色微細化顔料(PV-1)の製造)
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメントバイオレット23(Clariant社製「FastVioletRL」)120部、粉砕した食塩1600部、及びジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、90℃で18時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、118部の紫色微細化顔料(PV-1)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は26nmであった。
【0273】
<バインダー樹脂溶液の調製方法>
(バインダー樹脂溶液1)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn-ブチルメタクリレート13.3部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してバインダー樹脂溶液1を調製した。ここで、バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。酸価を測定したところ、94であった。
【0274】
(バインダー樹脂溶液2)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃ に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2 時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃ で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃ で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0. 5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃ で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、共重合体溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃ で3.5時間反応させカルボキシ基と、共重合体溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダー樹脂溶液2を調製した。重量平均分子量(Mw)は19000、酸価は72であった。
【0275】
<樹脂型分散剤溶液の調製方法>
(酸性樹脂型分散剤溶液1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート45部、メタクリル酸5部、n-ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価75、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する酸性樹脂型分散剤溶液1を得た。
【0276】
(酸性樹脂型分散剤溶液2)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート50部、n-ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価43、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する酸性樹脂型分散剤溶液2を得た。
【0277】
(酸性樹脂型分散剤溶液3)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート50部、n-ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、トリメリット酸無水物19.2部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価90、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する酸性樹脂型分散剤溶液3を得た。
【0278】
(酸性樹脂型分散剤溶液4)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート45部、メタクリル酸5部、n-ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール2部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物3.2部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価47、重量平均分子量18000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する酸性樹脂型分散剤溶液4を得た。
【0279】
(酸性樹脂型分散剤溶液5)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1-チオグリセロール108部、ピロメリット酸無水物174部、PGMAc(メトキシプロピルアセテート)650部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、第一工程で得られた化合物を固形分換算で160部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート200部、エチルアクリレート200部、t-ブチルアクリレート150部、2-メトキシエチルアクリレート200部、メチルアクリレート200部、メタクリル酸50部、PGMAc663部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.2部を添加し、12時間反応した(第二工程)。固形分測定により95%が反応したことを確認した。最後に、第二工程で得られた化合物の50%PGMAc溶液を500部、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)27.0部、ヒドロキノン0.1部を仕込み、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。ピーク消失の確認後、反応溶液を冷却して、PGMAcで固形分調整することにより不揮発分40%の酸性樹脂型分散剤溶液5を得た。得られた分散剤の酸価は68、不飽和二重結合当量は1593、重量平均分子量は13000であった。
【0280】
(酸性樹脂型分散剤溶液6)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、tert-ブチルアクリレート50.0部、メチルメタクリレート50.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6.0部を添加した。90℃に昇温し、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45.7部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業社製)を14.5部、PGMAc38.0部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.2部を追加し、120℃で5時間反応させた。その後、3-メトキシブタノール12.1gを追加し、120℃で3時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が40質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して調製し、酸価95mgKOH/g、重量平均分子量9500の酸性樹脂型分散剤溶液6の溶液を得た。
【0281】
(酸性樹脂型分散剤溶液7)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部、PMA14.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70.8部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、5時間反応させた。その後、3-メトキシブタノール12.1gを追加し、120℃で3時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、t-ブチルアクリレート50.0部、メチルメタクリレート50.0部を仕込み、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート38.0部を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が40質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して調製し、酸価93mgKOH/g、重量平均分子量10800の酸性樹脂型分散剤溶液7の溶液を得た。
【0282】
(酸性樹脂型分散剤溶液8)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、大阪有機化学工業社製OXE-30((3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート)35部、メタクリル酸5部、t-ブチルメタクリレート60部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価75、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する酸性樹脂型分散剤溶液8を得た。
【0283】
(酸性樹脂型分散剤溶液9)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部、PMA12部、トリメリット酸無水物11部、PGMAc35部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート80部とブチルアクリレート80部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート20部を仕込み、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解したPGMAc溶液200部を添加して、10時間反応した。固形分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整し、酸価53、重量平均分子量10000の酸性樹脂型分散剤溶液9を得た。
【0284】
(酸性樹脂型分散剤溶液10)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部、PMA15部、ネオペンチルグリコール11部、トリメリット酸無水物14部、PGMAc52部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート80部とブチルアクリレート100部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート20部を仕込み、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解したPGMAc溶液200部を添加して、10時間反応した。固形分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整し、酸価63、重量平均分子量9000の酸性樹脂型分散剤溶液10を得た。
【0285】
(比較酸性樹脂型分散剤溶液)
下記構造の樹脂型分散剤を公知の方法で得た(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。M w=26000)。不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加し、酸価53の酸性樹脂型分散剤溶液1を得た。繰り返し単位に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。
【化41】
【0286】
(塩基性樹脂型分散剤溶液)
下記構造の樹脂型分散剤を公知の方法で得た(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=21000)。不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加し、塩基性樹脂型分散剤溶液5を得た。繰り返し単位に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。
【化42】
【0287】
<比較高屈折率樹脂の製造>
(比較高屈折率樹脂溶液1)
高屈折率樹脂として、フルオレン系ポリエステルである比較高屈折率樹脂1を合成した。 1Lのセパラブルフラスコに、9-フルオレノン45g(0.25モル、大阪ガスケミカル(株)製)、エチレングリコールモノ(2-ナフチル)エーテル188g(1モル)、3-メルカプトプロピオン酸1gを投入した後に、60℃まで加温して完全に溶解させた。その後、硫酸54gを徐々に投入して、60℃を維持しつつ5時間攪拌したところ、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)にて9-フルオレノンの転化率が99%以上であることを確認できた。得られた反応液に48質量%水酸化ナトリウム水溶液を投入して中和した後、キシレン400gを添加して蒸留水にて数回洗浄し、冷却することで結晶を析出させた。さらに、ろ過して乾燥したところ、87g(収率67%)の結晶として、目的とする9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレン(BNEF)を得た。得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、98.3%であった。なお、得られたサンプルは、1H-NMR及びマススペクトルにより、9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレン(BNEF)であることを確認した。
【0288】
反応器に、上記のBNEF(0.80モル)、エチレングリコール(以下、EGという)(0.20モル)、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル(以下、DMNという)(0.30モル)、9,9-ジ(2-メトキシカルボニルエチル)フルオレン(9,9-ジ(カルボキシエチル)フルオレン又はフルオレン-9,9-ジプロピオン酸のジメチルエステル、以下、FDPMという)0.70モル、エステル交換触媒として酢酸マンガン・4水和物2×10-4モル及び酢酸カルシウム・1水和物8×10-4モルを加えて攪拌しながら徐々に加熱溶融し、250℃まで昇温した後、10000Paまで段階的に減圧した。270℃、0.13kPa以下に到達するまで徐々に昇温、減圧しながらエチレングリコールを除去した。所定の攪拌トルクに到達後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂のペレットを得た。
【0289】
なお、FDPMは、特開2005-89422号公報の実施例1において、アクリル酸t-ブチルに代えてアクリル酸メチルを用いて合成した。
【0290】
得られたペレットを、NMRにより分析したところ、ポリエステル樹脂に導入されたジオール成分の80モル%がBNEF由来、20モル%がEG由来であり、ポリエステル樹脂に導入されたジカルボン酸成分の30モル%がDMN由来、70モル%がFDPM由来であった。
【0291】
また、得られたポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwは31300、589nmにおける屈折率は1.66であった。
【0292】
得られたポリエステル樹脂を、シクロヘキサノンに不揮発分20%になるように溶解させ、比較高屈折率樹脂溶液1とした。
【0293】
<顔料組成物の製造>
(顔料組成物(D-1)の製造)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、顔料組成物(D-1)を作製した。フタロシアニン系微細化顔料(PC-1):12.6部色素誘導体1:1.4部酸性樹脂型分散剤1溶液 :12.3部バインダー樹脂溶液1 :5.5部PGMAc(メトキシプロピルアセテート):40.0部
【0294】
(顔料組成物(D-2)~(D-124)、(DD-1)~(DD-11)の製造)
組成を表3-1~3-3に示す通りに変更した以外は(D-1)と同様にして、顔料組成物(D-2)~(D-124)、(DD-1)~(DD-11)を作製した。 色素誘導体1、2の構造を下記に示す。
【0295】
(色素誘導体1)
【化43】
【0296】
(色素誘導体2)
【化44】
【0297】
(染料組成物(XXX-1)~(XXX-3)の製造)
組成を表3-5に示す通りに変更した以外は(D-1)と同様にして、染料組成物(XXX-1)~(XXX-3)を作製した。(XXX-1)の作製には下記染料(H-1)、(XXX-2)の作製には下記染料(H-2)、(XXX-3)の作製には下記染料(H-3)を用いた。
【化45】
【0298】
【表3-1】
【0299】
【表3-2】
【0300】
【表3-3】
【0301】
【表3-4】
【0302】
(顔料組成物(Y-1)~(Y-5)の製造)
顔料組成物(D-1)84部、(D-118)8部、(D-119)8部を混合し、顔料組成物(Y-1)を作製した。 顔料組成物(Y-1)と同様にして、表4に示すように、顔料組成物(Y-2)~(Y-5)を作製した。
【0303】
【表4】
【0304】
<感光性組成物の製造>
[実施例1]
(感光性組成物(XR-1)の製造)
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合し、感光性組成物(XR-1)を作製した。
顔料組成物(D-1):100.0部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM-402」):2.87部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアーOXE02」):0.47部
PGMAc:52.2部
【0305】
[実施例2~131、比較例1~14]
(感光性組成物(XR-2)~(XR-131)、(XXR-1)~(XXR-14)の製造)
組成を表5-1~5-4に示す通りに変更した以外は、感光性組成物(XR-1)と同様に、感光性組成物(XR-2)~(XR-131)、(XXR-1)~(XXR-14)を作製した。
【0306】
【表5-1】
【0307】
【表5-2】
【0308】
【表5-3】
【0309】
【表5-4】
【0310】
<感光性組成物の評価用膜の作製>
【0311】
感光性組成物(XR-1)~(XR-131)、(XXR-1)~(XXR-14)を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、70℃で20分間乾燥させた。次いで、この基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、紫外線を露光した。 その後、この基板を23℃の0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間スプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥した。さらに、クリーンオーブン中で、230℃で30分間加熱処理を行った。 上記所作においてスピンコートの回転数を調整し、膜厚1.0μmの膜が形成された基板を得た。
【0312】
[吸光度]
上記膜が形成された基板について、吸光光度計を用いて、膜の吸収スペクトルを測定し、以下の項目について判定した。
(700~1200nmにおける吸光度の最大値)
〇+:2.5以上3.0未満
〇:2.0以上2.5未満
×:2.0未満
【0313】
[屈折率]
上記膜が形成された基板について、23℃で分光エリプソメトリー測定を行い、850nm及び940nm、1550nmにおける屈折率を求めた。
【0314】
<感光性組成物の評価>
上記評価用膜を用い、下記の評価を行った。結果を表6に示す。
【0315】
[耐光性]
上記膜が形成された基板について、キセノンウェザーメーターで、300~400nmが60W/mの照度で20時間暴露し、耐光性試験を行った。
400~700nmにおける極大吸収波長の吸光度の変化について、下記の基準により判定を行った。
〇:極大吸収波長の吸光度の減少率が5%未満
△:極大吸収波長の吸光度の減少率が5%以上、30%未満
×:極大吸収波長の吸光度の減少率が30%以上
【0316】
[耐熱性]
上記膜が形成された基板を250℃1時間加熱し、耐熱性試験を行った。
400~700nmにおける極大吸収波長の吸光度の変化について、下記の基準により判定を行った。
〇:極大吸収波長の吸光度の減少率が5%未満
△:極大吸収波長の吸光度の減少率が5%以上、30%未満
×:極大吸収波長の吸光度の減少率が30%以上
【0317】
[透明性]
上記膜が形成された基板について、ヘイズメーターでヘイズを測定し、下記の基準により透明性を判定した。
〇:ヘイズが0.5未満
△:ヘイズが0.5以上1.0未満
×:ヘイズが1.0以上
【0318】
<フィルタセグメントの形成>
100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで、得られた感光性着色組成物を塗布し、90℃で90秒乾燥させ溶剤を除去し、膜厚が2.4μmである塗膜を得た。次いで、該被膜に所定のパターンを有するフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて100mJ/cm2の紫外線を照射し、0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未硬化部を除去し所望のパターンを形成した。得られた塗膜について、230℃のオーブンで20分間加熱処理を施し、フィルタセグメントを形成した。塗膜の膜厚は、Dektak3030(日本真空技術社製)を用いて行った。
【0319】
<現像残渣>
得られたフィルタセグメントについて、顕微鏡(オリンパス光学社製「BX-51」)にて現像残渣の有無を確認した。評価は50μm×50μmの中空がある四角画素中の残渣の残存面積を計算し、以下のように評価した。
◎:残存せず
○:100μm2未満
△:100μm2以上500μm2未満
×:500μm2以上
【0320】
<比較高屈折率樹脂溶液1の評価>
比較高屈折率樹脂溶液1を100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、70℃で20分間乾燥させ、次いで230℃で30分間加熱処理を行った。 上記所作においてスピンコートの回転数を調整し、膜厚1.0μmの膜が形成された基板を得て、分光エリプソメトリー測定を行い、850nm及び940nm、1550nmにおける屈折率を求めたところ、850nmにおける屈折率は1.63、940nmにおける屈折率は1.62、1550nmにおける屈折率は1.60であった。
【0321】
【表6-1】
【0322】
【表6-2】
【0323】
【表6-3】
【0324】
【表6-4】
【0325】
以上より、本発明の感光性組成物は、800~1600nmの波長領域においてとりわけ高屈折率であり、透明性、耐熱性、及び耐光性に優れる膜となり得るため、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路の用途として有用である。