(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049358
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41F 5/24 20060101AFI20240402BHJP
B41F 33/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B41F5/24
B41F33/00 234
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023152121
(22)【出願日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】102022000019905
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】511218507
【氏名又は名称】ウテコ コンバーティング ソシエタ ペル アチオニ
【氏名又は名称原語表記】UTECO CONVERTING S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale del Lavoro, 25 Z. I., 37030 COLOGNOLA AI COLLI (Prov. of Verona), ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ・ビチェゴ
【テーマコード(参考)】
2C034
2C250
【Fターム(参考)】
2C034AA05
2C250EB35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エネルギ消費を最適化しそうすることで印刷コストを削減する印刷システムを提供する。
【解決手段】フレキソ印刷機を備えた印刷システムであって、少なくとも1つの圧胴(3)を備え、印刷対象のシート状材料(4)が圧胴に巻き付けられ、少なくとも1つの印刷ステーションが圧胴の周りに配置され、各印刷ステーションは、その側面上に対応するグラフィック要素が設けられた対応するプレートシリンダ(6)と、対応するアニロックスローラとを備え、各印刷ステーションの下流に乾燥ユニット(8)があり、乾燥ユニットは、少なくとも1つの第1の気流を放出し少なくとも1つの第2の気流を吸引し、各印刷ステーションのプレートシリンダ(6)上のグラフィック要素のカバレッジ値を取得するための手段(9)と、この取得手段(9)によって取得されたグラフィック要素のカバレッジ値の関数として自動的に調整するための手段とが設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキソ印刷機(2)を備えた印刷システムであって、前記フレキソ印刷機(2)は少なくとも1つの圧胴(3)を備え、印刷対象のシート状材料(4)が前記圧胴に巻き付けられ、少なくとも1つの印刷ステーション(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g)が前記圧胴の周りに配置され、前記少なくとも1つの印刷ステーションは、
印刷対象の前記シート状材料(4)と接触するように配置することが可能でありその側面上に対応するグラフィック要素を有する、対応するプレートシリンダ(6)と、
前記プレートシリンダ(6)の前記側面上にインクを転写するように設計された、対応するアニロックスローラ(7)とを備え、
印刷対象の前記シート状材料(4)の進行方向に沿い、前記少なくとも1つの印刷ステーション(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g)の下流に、印刷対象の前記シート状材料(4)に塗布された前記インクのための少なくとも1つの対応する乾燥ユニット(8)があり、前記乾燥ユニット(8)は、前記シート状材料の方向に少なくとも1つの第1の気流を放出し前記シート状材料(4)から少なくとも1つの第2の気流を吸引するように適合させたものであり、
前記少なくとも1つの印刷ステーション(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g)の前記プレートシリンダ(6)上にある前記グラフィック要素のカバレッジ値を取得するための取得手段(9)と、前記第1の気流の流量および前記第2の気流の流量を、前記取得手段(9)によって取得された前記グラフィック要素の前記カバレッジ値の関数として自動的に調整するための自動調整手段とを備えることを特徴とする、印刷システム。
【請求項2】
前記印刷機(2)は、前記圧胴(3)の周りに配置された複数の印刷ステーション(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g)を備え、各印刷ステーション(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g)の下流に、前記インクのための少なくとも1つの対応する乾燥ユニット(8)があり、前記自動調整手段は、各乾燥ユニットの前記第1の気流の流量および前記第2の気流の流量を、対応する前記印刷ステーション(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g)の前記プレートシリンダ(6)の、前記取得手段(9)によって取得された前記グラフィック要素の前記カバレッジ値の関数として、自動的に調整するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記取得手段(9)に機能的に接続された制御手段(10)を備え、対応する前記第1の気流を送出するための送出手段と、対応する前記第2の気流を抽出するための抽出手段とが、各乾燥ユニット(8)に関連付けられ、前記制御手段(10)は、前記送出手段および前記抽出手段を、前記取得手段(9)によって取得された前記グラフィック要素の前記カバレッジ値の関数として駆動するように構成されることを特徴とする、先行する請求項の1つ以上に記載のシステム。
【請求項4】
前記送出手段は、各乾燥ユニット(8)ごとに、前記第1の気流を制御するように適合させた第1の弁手段(11)と前記第2の気流を制御するように適合させた第2の弁手段(12)とを備え、前記第1の弁手段(11)は少なくとも1つの空気送出ファン(13)に接続され、前記第2の弁手段(12)は少なくとも1つの空気抽出ファン(14)に接続されることを特徴とする、先行する請求項の1つ以上に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御手段(10)が前記第1の弁手段(11)および前記第2の弁手段(12)を駆動するように構成されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御手段(10)が前記送出ファン(13)および前記抽出ファン(14)を駆動するように構成されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記取得手段(9)が各印刷ステーション(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g)の前記プレートシリンダ(6)上に存在する前記グラフィック要素を検出するためのグラフィック要素検出手段を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記グラフィック要素検出手段が、各印刷ステーション(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g)の前記プレートシリンダ(6)上に存在する前記グラフィック要素を検出し前記グラフィック要素の前記カバレッジ値を計算するように構成されたビデオカメラ手段(19)を含むことを特徴とする、先行する請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記ビデオカメラ手段(19)が、各印刷ステーション(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g)の前記プレートシリンダ(6)の前記側面全体の大きさに対する、前記プレートシリンダ(6)の前記側面上に画定された印刷領域の大きさを検出するように構成されることを特徴とする、先行する請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記取得手段(9)がオペレータによるデータ入力のためのユーザインターフェイス手段(20)を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
識別コードを含む対応する認識マーカ(22)が各印刷ステーション(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g)の前記プレートシリンダ(6)に関連付けられ、前記取得手段(9)は各印刷ステーション(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g)の前記プレートシリンダ(6)に付与された前記認識マーカ(22)を読み取るための手段(23)を含み、前記制御手段(10)はメモリ(24)に機能的に接続され、前記識別コードは、前記メモリ(24)に格納された記録に対応し、前記識別コードに対応する前記プレートシリンダ(6)の上に存在する前記グラフィック要素の前記カバレッジ値を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記取得手段(9)は各印刷ステーション(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g)の前記プレートシリンダ(6)を駆動するモータによって吸収される電流を測定するための測定手段(25)を備え、前記制御手段(10)は、前記測定手段(25)によって測定された前記電流の値を少なくとも1つの基準値と比較し前記比較に基づいて各印刷ステーション(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g)の前記プレートシリンダ(6)上に存在する前記グラフィック要素の前記カバレッジ値を求めるように構成されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
各乾燥ユニット(8)は、少なくとも1つの対応する空気送出ライン(15)と、少なくとも1つの対応する空気抽出ライン(16)とを備え、各乾燥ユニット(8)の前記空気送出ライン(15)および前記空気抽出ライン(16)に沿って、前記制御手段(10)に機能的に接続される圧力センサ(15a,16a)が存在することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷対象のシート状材料のリボンの上にインクを転写することを可能にする回転機械を備えた印刷システムが知られている。
【0003】
特に、回転フレキソ印刷機が知られており、この回転フレキソ印刷機は、一般的に、少なくとも1つの圧胴が回転可能に設けられた支持構造を有し、圧胴の上で印刷対象のシート状材料のリボンを前進させ、シート状材料にインクを塗布することが意図されている少なくとも1つの印刷ステーションが圧胴の周りに配置されている。
【0004】
フレキソ印刷機も知られており、このフレキソ印刷機には、通常中央ドラムと呼ばれる単一の大型の圧胴があり、その周りに複数の印刷ステーションが分散配置され、印刷ステーションの各々は、対応するインクを印刷対象のシート状材料に塗布することが意図されている。
【0005】
よって、各印刷ステーションは、それぞれの軸が圧胴に対して実質的に平行になるように配置された対応する一対の印刷胴を備えている。
【0006】
具体的には、そのような印刷胴は、圧胴の上を通過する印刷対象のシート状材料にインクを塗布することが意図されているプレートシリンダと、プレートシリンダの上にインクを転写する機能を有するスクリーンローラまたはアニロックスローラとによって構成される。
【0007】
より具体的には、プレートシリンダは、印刷対象の材料と接触できるよう、圧胴に隣接して配置され、その側面に、印刷する画像に対応する形状を有しいわゆる「グラフィック要素」を構成する少なくとも1つの印刷領域が、レリーフ状に設けられ、アニロックスローラは、典型的にはドクタータイプのインク付けアセンブリから出されたインクをプレートシリンダの上に転写することができるように、プレートシリンダの側方に隣接しプレートシリンダと接触するように配置される。
【0008】
各印刷アセンブリのプレートシリンダは、その側面に設けられたグラフィック要素に基づいて、所与の量のインクを印刷対象のシート状材料の上に転写する。
【0009】
通常、印刷対象のシート状材料のリボンの進行方向に沿って各印刷ステーションの直接下流側に、典型的には乾燥ボックスで構成された少なくとも1つの対応するインク乾燥ユニットがあり、これは、溶媒系インクの場合には溶媒を、または、水系インクの場合には水を蒸発させてインクを乾燥させるために、印刷されたシート状材料の上に熱風を吹き付ける役割を有する。
【0010】
乾燥ボックスから出される空気の速度は、ボックスのタイプおよび乾燥ボックスが接続される換気アセンブリの出力に基づいて、通常は30~70m/sの間で変動する可能性がある。
【0011】
代わりに、乾燥ボックスから出される空気の温度が、印刷対象のシート状材料に応じて、室温から最大120℃の間で変動する可能性がある。
【0012】
実際、各乾燥ボックスは、次の印刷ステーションのプレートシリンダの汚れを回避するために、シート状材料に塗布されたインクの第1の乾燥を提供することを可能にする。
【0013】
詳細には、各乾燥ボックスに、第1の開口が設けられ、第1の開口は、印刷されたシート状材料の上に空気を吹き付けることを可能にし、空気取込または送出ダクトに接続され、さらに、第2の開口が設けられ、第2の開口は、空気出口または戻りダクトに接続され、吹き付けられた空気および蒸発した溶媒を抽出することを可能にする。
【0014】
乾燥ボックスの送出ダクトおよび戻りダクトは、シート状材料に塗布されたインクが十分に乾燥され、吹き付けられた空気および蒸発した溶媒のすべてが適切に抽出され、それと同時にプレートシリンダ上でインクが乾燥することおよび印刷ステーションで爆発性雰囲気が発生することを防止することを保証するように、構成されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この目的のために、乾燥ボックスの送出ダクトおよび戻りダクトの各々に、対応する流量制御要素が設けられ、流量制御要素は、対応するダクトを通る空気の通過部分を変化させることを可能にし、よって、対応する乾燥ボックスは、印刷されたシート状材料の上に、大気圧に対して負の圧力を生成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
今まで、乾燥ボックスの送出ダクトおよび戻りダクトの流量制御要素の調整は、当該機械の設置中に専門のオペレータが手作業で1度行うだけであり、結果として、乾燥ボックスの各々は、各場合において印刷する画像に関係なく対応する開口部を通して常に同じ流量の熱風を放出し取り込む。
【0017】
このことは、印刷機の高エネルギ消費につながる。
本発明の目標は、上記態様の1つ以上において背景技術を改善することが可能な印刷システムを提供することである。
【0018】
この目標の範囲内において、本発明の目的は、エネルギ消費を最適化しそうすることで印刷コストを削減することを可能にする、印刷システムを提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、背景技術と同じエネルギ消費で印刷速度を高めることができるように、インクの乾燥を最適化することを可能にする、印刷システムを提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、動作における信頼性および安全性の最大の保証を提供することができる印刷システムを提供することである。
【0021】
本発明のもう1つの目的は、構造的に容易に提供できる印刷システムを提供することである。
【0022】
本発明のさらに他の目的は、どの既存の解決策にも代わり得るやり方で背景技術の欠陥を克服することである。
【0023】
特に、本発明の目的は、純粋に経済的な観点からも競争力のある印刷システムを提供することである。
【0024】
この目標、ならびに以下でより明らかになる上記および他の目的は、従属請求項の特徴のうちの1つ以上を任意に備えた請求項1に係る印刷システムにより、達成される。
【0025】
本発明のさらに他の特徴および利点は、添付の図面において非限定的な例として示される、本発明に係る印刷システムの好ましいが排他的ではない実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】本発明に係る印刷システムの異なる概略図である。
【
図3】第1の実施形態におけるデータ取得手段を有する本発明に係るシステムの概略図である。
【
図4】本発明に係るシステムのデータ取得手段の第2の実施形態の概略図である。
【
図5】本発明に係るシステムのデータ取得手段の第3の実施形態の概略図である。
【
図6】第4の実施形態における本発明に係るシステムのデータ取得手段の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照すると、広く参照番号1によって示される、本発明に係る印刷システムは、フレキソ印刷機2を備え、フレキソ印刷機2は、支持構造上に、印刷対象のシート状材料4が巻かれる少なくとも1つの回転圧胴3を有する。
【0028】
少なくとも1つの印刷ステーション5aは、印刷対象のシート状材料4にインクを塗布することが意図されており、圧胴3の周りに配置されている。
【0029】
図2の例のように、印刷機は、単一の圧胴2を備えていてもよく、圧胴の周りに複数の印刷ステーション5a~5gが配置され、印刷ステーションの各々は、対応する色のインクを印刷対象のシート状材料4に塗布することが意図されている。
【0030】
具体的には、印刷ステーション5a~5gの各々は、対応するプレートシリンダ6を備え、プレートシリンダは、印刷対象のシート状材料4と接触するように配置することができ、その側面上に、対応するグラフィック要素が設けられている。
【0031】
「グラフィック要素」という表現は、対応する画像をシート状材料4の上に印刷することを可能にする、プレートシリンダ6の側面の隆起した印刷領域として理解される。
【0032】
印刷する画像に応じて、各印刷ステーションのプレートシリンダ6上のグラフィック要素は、他の印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6上に存在するものと同一であるまたは異なる可能性がある。
【0033】
加えて、各印刷ステーション5a~5gは、対応するアニロックスローラ7を有し、アニロックスローラは、プレートローラ6の側面上にインクを転写することが意図されている。
【0034】
印刷対象のシート状材料4の進行方向に沿って印刷ステーション5a~5gの各々の下流には、対応する印刷ステーション5a~5gにより印刷されるシート状材料4に塗布されたインクを乾燥させるための、対応する少なくとも1つのユニット8がある。
【0035】
具体的には、各印刷ステーション5a~5gの乾燥ユニット8は、対応する印刷ステーション5a~5gによって塗布されたインクの少なくとも部分的な乾燥を可能にするために、印刷対象のシート状材料4の方向に、少なくとも1つの第1の気流、好ましくは熱い気流、すなわち適切に室温と120℃との間に含まれる温度の空気を放出するように適合させたものである。
【0036】
加えて、各印刷ステーション5a~5gの乾燥ユニット8は、溶媒系インクの場合には溶媒を、水系インクが使用される場合には水分を、印刷ステーションから確実に排出して、大気圧に対して負の圧力の領域を、シート状材料4の隣に生成するために、シート状材料4から少なくとも1つの第2の気流を抽出するように適合させたものである。
【0037】
好都合には、各印刷ステーション5a~5gの乾燥ユニット8は、シート状材料4の進行方向に対して横方向に延在する乾燥ボックスによって構成され、シート状材料4の方向に第1の気流を放出するための少なくとも1つの送出開口部と、シート状材料4から第2の気流を抽出するための少なくとも1つの抽出開口部とを備える。
【0038】
任意で、圧胴3の周りにおける印刷対象のシート状材料4の進行方向に沿って、印刷ステーション5a~5gの下流に、最後の印刷ステーション5hを設けることが可能であり、この最後の印刷ステーションは、他の印刷ステーションと同様に、それ自体のプレートシリンダ6とそれ自体のアニロックスローラ7とを備えるが、それ自体の乾燥ユニット8は備えておらず、その理由は、このステーションの下流における圧胴3の出口に、各種印刷ステーション5a~5gによってシート状材料4に塗布されたインクの最終的な乾燥を提供することが意図された乾燥トンネル(図示せず)があるからである。
【0039】
本発明の特色は、各印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6上に存在するグラフィック要素のカバレッジ値を取得することが可能な取得手段9と、各印刷ステーション5a~5gの乾燥ユニット8によって放出される第1の気流の流量と、各印刷ステーション5a~5gの乾燥ユニット8から抽出される第2の気流の流量とを、取得手段9によって取得されたグラフィック要素のカバレッジ値に基づいて自動的に調整するための手段とを備えることにある。
【0040】
カバレッジという用語は、印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ上に存在するグラフィック要素によって印刷対象のシート状材料4の表面上に転写されたインクによってカバーされる印刷対象のシート状材料4の表面の割合を意味する。
【0041】
より詳細には、取得手段9は、電子処理ユニットによって適切に構成された制御手段10に機能的に接続され、第1の気流を送出するための各手段および第2の気流を抽出するための各手段は、各乾燥ユニット8に適切に関連付けられる。
【0042】
具体的には、制御手段10は、取得手段9によって取得されたグラフィック要素のカバレッジ値に従って、各乾燥ユニット8の送出手段および抽出手段を駆動するように構成される。
【0043】
好都合には、各乾燥ユニット8の送出手段は、第1の気流の制御を可能にし少なくとも1つの空気送出ファン13に接続される、対応する第1の弁手段11と、第2の気流の制御を可能にし少なくとも1つの空気抽出ファン14に接続される、対応する第2の弁手段12とを備える。
【0044】
具体的には、各乾燥ユニット8の第1の弁手段11は、対応する空気送出ライン15に沿って挿入され、各乾燥ユニット8の第2の弁手段12は、対応する抽出ライン16に沿って挿入されている。
【0045】
適切には、乾燥ユニット8の送出ライン15は、それらが包括的な空気送出マニホルド17によって接続され、すべての乾燥ユニット8によって共有される、単一の空気送出ファン13によって与えることができ、乾燥ユニット8の抽出ライン16は、包括的な空気抽出マニホルド18を介して、すべての乾燥ユニット8によって共有される単一の空気抽出ファン14に、接続される。
【0046】
好都合には、制御手段10は、各乾燥ユニット8の第1の弁手段11および第2の弁手段12を駆動するように構成されている。
【0047】
より具体的には、制御手段10は、たとえば、対応する印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6について取得手段9によって取得されたグラフィック要素のカバレッジ値に第1の気流の流量が比例するように、かつ、対応する乾燥ユニット8のこの第1の気流の流量に第2の気流の流量が比例するように、各乾燥ユニット8の第1の弁手段11および第2の弁手段12の開口の大きさを変化させるように構成され、そうすることで、エネルギを浪費することなくインクの正確な乾燥を確実にし、同時に、溶媒系インクが使用される場合は蒸発した溶媒の分散を回避する、または、水系インクが使用される場合は蒸発した水を除去する、印刷ステーション5a~5gにおける負圧の生成を確実にする。
【0048】
適切には、第1の弁手段11および第2の弁手段12は、それらの開度を調整可能に変化させることができるようにするために全閉位置と全開位置との間の複数の中間位置を取ることが可能な流れ制御要素を有する、少なくとも1つの対応するゲート弁を備える。
【0049】
好ましくは、第1の弁手段11の流れ制御要素および第2の弁手段12の流れ制御要素は、取得手段9によって取得されたデータに基づいて上記流れ制御要素の制御された位置決めを可能にする、制御手段10によって駆動されるたとえばステップタイプの電気モータにより、作動させることができる。
【0050】
適切には、制御手段10は、送出ファン13および抽出ファン14を駆動するように構成することができ、より具体的には、取得手段9によって取得されたデータに基づいて送出ファン13および抽出ファン14の回転速度を変化させるように構成することができる。
【0051】
好都合には、制御手段10が各乾燥ユニット8の動作を監視することを可能にするために、制御手段10に機能的に接続される圧力センサ15aおよび16aが、各乾燥ユニット8の空気送出ライン15および抽出ライン16に沿って設けられてもよい。
【0052】
加えて、制御手段10に接続される圧力感知手段を、全体の空気送達マニホルド17に沿って、および全体の空気抽出マニホルド18に沿って、設けることもできる。
【0053】
1つの可能な実施形態に従うと、取得手段9は、各印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6上に存在するグラフィック要素を検出するための手段を備えていてもよい。
【0054】
好都合には、
図3の実施形態のように、グラフィック要素検出手段は、各印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6上に存在するグラフィック要素を検出しグラフィック要素のカバレッジ値を計算するように構成された、ビデオカメラ手段19を含む。
【0055】
より具体的には、ビデオカメラ手段19は、各印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6の側面全体の大きさに対する、この側面に形成された印刷領域の大きさを検出するように構成されている。
【0056】
このようにして、ビデオカメラ手段19は、プレートシリンダ6の側面の大きさ全体との比較におけるプレートシリンダ6の印刷領域の大きさの値を百分率で計算することができ、計算した百分率の値に基づいて、プレートシリンダ6の各回転において対応する印刷ステーション5a~5gを通過するシート状材料の部分の表面全体に対するグラフィック要素のカバレッジ値を、再び百分率で求めることができる。
【0057】
適切には、ビデオカメラ19手段は、各印刷ステーション5a~5gごとに、対応する印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6のグラフィック要素を検出するように配置された対応するビデオカメラ19aを備える。
【0058】
図4に模式的に示される異なる実施形態に従うと、取得手段9は、データ、具体的にはグラフィック要素のカバレッジに関連するデータをオペレータが入力できるようにするユーザインターフェイス手段20を備えることができる。
【0059】
たとえば、ユーザインターフェイス手段20は、キーボード、タッチスクリーンパネル、データ記憶装置から読み出すための周辺機器、または他の同様の装置によって構成されてもよい。
【0060】
この場合、グラフィック要素のカバレッジの百分率の値は、適切には処理装置21を使用することによって実行される、印刷される画像のグラフィック処理によって計算され、このデータアイテムは、印刷動作の開始前に、ユーザインターフェイス手段20を介してオペレータが手動で設定することができる。
【0061】
代わりに、グラフィック要素のカバレッジの百分率の値は、当該機械とは別の、プレートシリンダを当該機械に設置する前に各印刷ステーションのプレートシリンダの側面を走査することが可能な適合させたビデオカメラシステムにより、得ることができる。
【0062】
図5を参照して、第3の実施形態に従うと、対応するプレートシリンダ6の固有の識別コードを含む、対応する認識マーカ22が、各印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6に関連付けられている。
【0063】
このような認識マーカ22は、たとえば、バーコード、QRコード(登録商標)等であってもよい。
【0064】
この場合、取得手段9は、各印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6に付与された認識マーカ22を読み取るための手段23を備え、制御手段10は、当該機械に取り付けられたプレートシリンダ6に関するデータ記録が格納されたメモリ24に機能的に接続される。
【0065】
具体的には、各プレートシリンダ6の認識マーカ22に含まれる識別コードは、この識別コードに対応するプレートシリンダ6上にあるグラフィック要素のカバレッジ値を含む、メモリ24に格納された対応する記録に相当する。
【0066】
このようにして、読取手段23による認識マーカ22の読取によってプレートシリンダ6の識別コードが検出されると、制御手段10は、検出された識別コードに対応付けられた記録から、読み取られた認識マーカ22が付与されたプレートシリンダ6に関するグラフィック要素のデータを取得することができる。
【0067】
図6に示される第4の実施形態に従うと、取得手段9は、各印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6を駆動するモータによって引き出された電流を測定するための手段25を備える。
【0068】
この場合、制御手段10は、測定手段25によって測定された電流の値を少なくとも1つの基準値と比較し、この比較に基づいて、各印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6上に存在するグラフィック要素のカバレッジ値を求めるように構成される。
【0069】
具体的には、測定手段25は、印刷ステーション5a~5gごとに、対応するプレートシリンダ6のモータによって吸収される電流の、対応する検出器25aを備え、プレートシリンダ6は予め設定された圧力で圧胴3と接触し、さらに、対応するプレートシリンダ6の角度位置を検出することが可能な少なくとも1つのエンコーダ26を備える。
【0070】
制御手段10は、プレートシリンダ6が予め設定された接触圧力で圧胴3と接触した状態で、各検出器25aおよび各エンコーダ26によって提供された測定値を用いて、各印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6について、プレートシリンダ6の全回転ごとに対応するモータによって吸収される電流の傾向を求めることが可能であり、かつ、検出された、対応するモータによって吸収される電流の傾向を、一回限り理論的に計算されたまたは実験的に測定された傾向と比較することにより、各印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6上に存在するグラフィック要素のカバレッジを百分率で求めることが可能であり、後者の傾向は、プレートシリンダの側面全体にわたって拡がる印刷領域で構成されたグラフィック要素が設けられた、比較プレートシリンダの場合の傾向である。
【0071】
各印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6のモータによって引き出される電流の傾向と、比較プレートシリンダの場合のモータによって引き出される電流の傾向との間の相違が、各印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ上に存在するグラフィック要素のカバレッジの百分率の値を制御手段10が求めることを可能にする。
【0072】
なお、プレートローラ6を圧胴3に接触させた状態で行われる検出の前に、適切には、無負荷で、すなわちプレートローラ6が圧胴3に接触していない状態で、プレートローラ6のモータによって引き出される電流を検出器25aおよびエンコーダ26を用いて測定する。
【0073】
本発明に係る印刷システムの動作は以下の通りである。
印刷機2で新たな各印刷ジョブを開始する前に、印刷される画像に基づく、各印刷ステーション5a~5gに装着されたプレートシリンダ6上に存在するグラフィック要素のカバレッジの値が、取得手段9を介して取得される。
【0074】
制御手段10は、各印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ上に存在するグラフィック要素のカバレッジの、取得された値の関数として、各印刷ステーション5a~5gの乾燥ユニット8に関連付けられる第1の弁手段11の開度を、好ましくは比例調整し、それにより、乾燥ユニット8によって放出される気流の流量を調整する。
【0075】
加えて、制御手段10はまた、各印刷ステーション5a~5gの乾燥ユニット8に関連付けられる第2の弁手段12の開度を、対応する第1の弁手段11に対して実行された調整に比例するように調整して、各印刷ステーション5a~5gの乾燥ユニット8によって引き込まれる気流の流量の正確な調整も得ることにより、印刷ステーション5a~5gにおける、大気圧に対して適切な負の圧力の存在を保証する。
【0076】
例として、取得手段9によって取得された、印刷ステーション5a~5gのプレートシリンダ6上に存在するグラフィック要素のカバレッジの値が、百分率で70%の場合、制御手段10は、グラフィック要素のカバレッジの値が取得された印刷ステーション5a~5gに対応する乾燥ユニット8に関連付けられる第1の弁手段11を、第1の弁手段11の開度が全体の70%になるように、自動的に調整し、この場合の100%の開度は、第1の弁手段11の完全な開放に相当する。
【0077】
再び例として
図2に示される状況を参照して、印刷ステーション5a、5b、5c、5dのプレートシリンダ6のグラフィック要素カバレッジ値30%と、印刷ステーション5fおよび5gのプレートシリンダ6のグラフィック要素カバレッジ値70%とが、取得手段9によって取得された場合、印刷ステーション5a、5b、5c、5dに関連付けられる第1の弁手段11は、対応する送出ユニットによって放出される気流の流量が乾燥ユニット8によって送出可能な最大流量の30%に実質的に等しくなるように、制御手段10によって調整されてもよく、印刷ステーション5fおよび5gのための対応する第1の弁手段11は、対応する送出ユニットによって放出される気流が乾燥ユニット8によって送出可能な最大流量の70%に実質的に等しくなるように、制御手段10によって調整されてもよい。
【0078】
再び
図2の例を参照して、最後に取得手段9が印刷ステーション5gのプレートシリンダ6についてグラフィック要素カバレッジ値100%を取得した場合、これは、その側面全体に拡がる印刷領域が設けられたプレートシリンダの状況に相当する状況であり、その場合、印刷ステーション5gの乾燥ユニット8の第1の弁手段11は、印刷ステーション5gの送出ユニットによって放出される気流の流量が100%になるように、すなわち送出ユニット8によって送出可能な最大流量に等しくなるように、制御手段10によって調整される。
【0079】
制御手段10は、送出ファン13および抽出ファン14の速度を、この場合も取得手段9によって取得されたデータに基づいて、調整することもできる。
【0080】
各印刷ステーション5a~5gの乾燥ユニット8の第1の弁手段11がこのように調整されると、制御手段10は、各印刷ステーション5a~5gの乾燥ユニット8の第2の弁手段12も調整する。
【0081】
具体的には、制御手段10は、各印刷ステーション5a~5gの乾燥ユニット8の第2の弁手段12を、対応する第1の弁手段11の調整に比例するように調整する。
【0082】
第1の弁手段11および第2の弁手段12の調整に加えて、制御手段10はまた、必要に応じて、送出ファン13および抽出ファン14の速度を、この場合も取得手段9によって取得されたデータに基づいて、調整する。
【0083】
上記調整が終了すると、新たな印刷ジョブが開始される。
実際、本発明が意図された目標および目的を達成することがわかった。
【0084】
このように考案された本発明は、多数の修正および変形が可能であり、そのすべては添付の特許請求の範囲に含まれ、すべての詳細はさらに、他の技術的に均等の要素で置き換えられてもよい。
【0085】
実際、使用される材料ならびに付随する形状および寸法は、要件および既知技術に従ういずれのものであってもよい。
【外国語明細書】