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特開2024-49363合成ガス生成を通じた廃タイヤ由来のゴム形成添加物
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  • 特開-合成ガス生成を通じた廃タイヤ由来のゴム形成添加物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049363
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】合成ガス生成を通じた廃タイヤ由来のゴム形成添加物
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20240402BHJP
   C08K 5/18 20060101ALI20240402BHJP
   C08K 5/31 20060101ALI20240402BHJP
   C08K 5/47 20060101ALI20240402BHJP
   C08K 5/44 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K5/18
C08K5/31
C08K5/47
C08K5/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023158146
(22)【出願日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】17/936,112
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】シャオピン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】クオ-チー・ホワ
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・アンドリュー・ベンコ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC001
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC081
4J002BB241
4J002DA048
4J002EF059
4J002EN076
4J002ER027
4J002EV327
4J002FD076
4J002FD148
4J002FD157
4J002FD159
4J002GN01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】廃タイヤを、生産されるタイヤの品質に影響しない効率的なやり方で新しいタイヤを生産するための原料物質に変換するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】タイヤ形成用添加物を形成する方法は、破砕タイヤ/タイヤ部品を合成ガスに変換すること;合成ガス中の一酸化炭素および水素からベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つを合成すること;ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つからアニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つを合成すること;ならびにアニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つからタイヤ形成用添加物を合成すること、を含み、タイヤ形成用添加物は、劣化防止剤、加硫促進剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ形成用添加物を形成する方法であって、
破砕タイヤおよび破砕タイヤのゴム含有成分の少なくとも1つを合成ガスに変換すること;
合成ガス中の一酸化炭素および水素から、ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つを合成すること;
ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つから、アニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つを合成すること;ならびに
アニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つから、タイヤ形成用添加物を合成すること、ここでタイヤ形成用添加物は、劣化防止剤、加硫促進剤およびこれらの組合せからなる群から選択される、
を特徴とする、方法。
【請求項2】
劣化防止剤が酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
劣化防止剤の合成が、アニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つから4-アミノジフェニルアミンを合成すること、および4-アミノジフェニルアミンから劣化防止剤を合成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
劣化防止剤が、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-1,4-ベンゼンジアミン、1,4-ベンゼンジアミン、4-アミノジフェニルアミンのN,N’-フェノール誘導体、4-アミノジフェニルアミンのトリル誘導体、トリメチル-ジヒドロキノリン、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
加硫促進剤がチアゾール基含有化合物、スルフェンアミド基含有化合物、ジアリールグアニジン、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
加硫促進剤が、
2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、(2-2’-ジチオビス(ベンゾチアゾール))および(2-(4-モルホリノチオ)-ベンゾチアゾール)からなる群から選択されるチアゾール基含有化合物;
(N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)、(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)、(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)および(2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)からなる群から選択されるスルフェンアミド基含有化合物;
ジアリールグアニジン;ならびに
これらの混合物
よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つの合成が、ゼオライト系触媒を含む触媒系を用いた、合成ガス中の一酸化炭素および水素の触媒変換を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
触媒系が亜鉛系触媒をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つの合成が、合成ガス中の一酸化炭素および水素のナフサへの変換、ならびにナフサを改質してベンゼンを生成することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つを合成することが、 ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つからニトロベンゼンおよびアルキル置換ニトロベンゼンの少なくとも1つを合成すること、ならびに
ニトロベンゼンおよびアルキル置換ニトロベンゼンの少なくとも1つからアニリンおよびアニリンのアルキルの少なくとも1つを合成すること
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つを合成することがゼオライト系触媒を用いて行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
合成ガスのH/COモル比を変更することをさらに特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
合成ガスのイオウ含量を低下させることをさらに特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
合成ガスから灰分を分離することをさらに特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
廃タイヤを破砕することにより破砕タイヤを形成することをさらに特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
該方法が合成ガスからゴムポリマーを合成すること、およびゴムポリマーをタイヤ形成用添加物と組み合わせることをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
合成ガスから補強材を合成すること、および補強材をタイヤ形成用添加物およびゴム形成ポリマーから誘導されたゴム組成物と組み合わせることをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法により形成された加硫促進剤を酸化亜鉛、ステアリン酸およびイオウと組み合わせることを特徴とする、硬化系を形成する方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法により形成されたタイヤ形成用添加物をゴム形成ポリマーと組み合わせることを特徴とする、タイヤまたはその部品を形成する方法。
【請求項20】
タイヤ形成用添加物を形成するためのシステムであって、
第1の反応器、第1の反応器内で破砕タイヤが合成ガスに変換される;
第1の反応器と流体接続され、合成ガス中の一酸化炭素および水素からベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つを合成するように構成された第2の反応器;
第2の反応器と流体接続され、ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つからアニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つを合成するように構成された第3の反応器;ならびに
第3の反応器と流体接続され、アニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つからタイヤ形成用添加物を合成するように構成された第4の反応器
を含み、タイヤ形成用添加物は劣化防止剤、加硫促進剤、およびこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]代表的な実施形態は廃タイヤの、新しいタイヤの形成に有用な出発材料への変換のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]廃タイヤ(ELT:end of life tire)の発生が近年顕著に増大している。タイヤ内の物質を再利用するための様々な提案がなされているが、有用な材料に再利用される量は減少している。従来、再生ゴムくずおよび熱分解カーボンブラックのようなELTから再利用される材料はゴムタイヤの原料として使用されている。しかしながら、かかる添加物は大きい粒径および不十分な品質のために未使用の材料と組み合わせて使用されたときタイヤの機械的性質および性能を低下させる傾向がある。
【0003】
[0003]生産されるタイヤの品質に影響しない効率的なやり方で新しいタイヤを生産するための原料物質に廃タイヤを変換するためのシステムおよび方法に対するニーズが残されたままである。模範的なシステムおよび方法は廃タイヤの再利用のための付加価値のある手段を提供するばかりでなく、廃棄物を新しいタイヤのための高品質原料に変換し、またサーキュラーエコノミーを達成する。
参考文献
[0004]以下の参考文献は広くタイヤ製造に関する。
【0004】
[0005]2015年8月25日にHattoriらに発行されたSYNTHESIS SYSTEM,RUBBER CHEMICAL SUBSTANCE FOR TIRES,SYNTHETIC RUBBER FOR TIRES,AND PNEUMATIC TIREと題する米国特許第9,115,047号はエタノールの芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、またはブチルベンゼン)への触媒変換および芳香族化合物のアニリンおよび/またはスチレンへのさらなる変換を含むプロセスによるゴム薬品の合成の方法を記載する。
【0005】
[0006]2017年5月30日にHattoriらに発行されたSYNTHESIS SYSTEM,RUBBER CHEMICAL SUBSTANCE FOR TIRES,SYNTHETIC RUBBER FOR TIRES,AND PNEUMATIC TIREと題する米国特許第9,663,445号はバイオマス材料からフェノールを介してアニリンを合成する方法を記載する。
【0006】
[0007]KitagoらによるRUBBER COMPOSITION AND PNEUMATIC TIREと題する2017年3月21日に発行された米国特許第9,598,552号および2020年3月17日に発行された米国特許第10,590,254号は原料油から生成されたカーボンブラックを含有するゴム組成物を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第9,115,047号
【特許文献2】米国特許第9,663,445号
【特許文献3】米国特許第9,598,552号
【特許文献4】米国特許第10,590,254号
【特許文献5】米国特許第8,592,191号
【特許文献6】米国特許第11,186,811号
【特許文献7】米国特許出願公開第20100227377号
【特許文献8】米国特許出願公開第20100317074号
【特許文献9】米国特許出願公開第20150337343号
【特許文献10】米国特許第5,173,429号
【特許文献11】米国特許第9,115,046号
【特許文献12】中国特許出願公開第101906045号
【特許文献13】米国特許第1,631,871号
【特許文献14】米国特許第5,367,082号
【特許文献15】米国特許第4,463,178号
【特許文献16】米国特許第4,755,608号
【特許文献17】米国特許第4,859,778号
【特許文献18】米国特許第3,658,808号
【特許文献19】米国特許第4,898,978号
【特許文献20】米国特許第4,739,117号
【特許文献21】米国特許第6,815,562号
【特許文献22】米国特許第4,122,118号
【特許文献23】米国特許第4,140,716号
【特許文献24】米国特許第4,155,936号
【特許文献25】米国特許第4,187,248号
【特許文献26】米国特許第4,187,249号
【特許文献27】米国特許第4,196,146号
【特許文献28】米国特許第4,209,463号
【特許文献29】米国特許第4,670,595号
【特許文献30】米国特許第4,614,817号
【特許文献31】米国特許第4,683,332号
【特許文献32】米国特許第4,782,185号
【特許文献33】米国特許第4,518,803号
【特許文献34】米国特許第8,293,673号
【特許文献35】米国特許第5,117,063号
【特許文献36】米国特許第5,453,541号
【特許文献37】米国特許第5,608,111号
【特許文献38】米国特許第5,623,088号
【特許文献39】米国特許第5,739,403号
【特許文献40】米国特許第5,977,411号
【特許文献41】米国特許第6,140,538号
【特許文献42】米国特許第6,365,933号
【特許文献43】米国特許第6,495,723号
【特許文献44】米国特許第6,583,320号
【特許文献45】米国特許第6,770,189号
【特許文献46】米国特許第7,084,302号
【特許文献47】米国特許第7,176,333号
【特許文献48】米国特許第7,183,439号
【特許文献49】米国特許第7,235,694号
【特許文献50】米国特許出願公開第20150045584号
【特許文献51】米国特許第4,897,482号
【特許文献52】米国特許第4,746,743号
【特許文献53】米国特許第7,973,199号
【特許文献54】米国特許出願公開第20170226028号
【特許文献55】米国特許第4,605,776号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】James G.Speight、“Synthesis Gas: Production and Properties,” John Wiley & Sons,Inc.(2020)
【非特許文献2】Konstantin V.Slyusarskiyら,“Scrap car tires gasification at high pressure in atmosphere of steam and carbon dioxide,” AIP Conf.Proc.2422,030007(2021)
【非特許文献3】Iskender Goekalpら、“A Techno-economic Feasibility Analysis of the Gasification of Used Tires for Energy Generation in Turkey,” Detritus,7,pp.68-75(2019)Publisher,Cisa
【非特許文献4】Erlisa Barajら、“The water gas shift reaction: Catalysts and reaction mechanism,” Fuel,Vol.288,119817(15 March 2021)
【非特許文献5】Dong-Kyu Moonら、“H2 pressure swing adsorption for high pressure syngas from an integrated gasification combined cycle with a carbon capture process,Applied Energy,Vol.183,pp.760-774(2016年12月)
【非特許文献6】Global Syngas Technologies Council、“Syngas Conditioning & Purification,” 2022
【非特許文献7】Zhaoら、“Direct Transformation of Syngas to Aromatics Over Na-Zn-Fe5C2 and Hierarchical HZSM-5 Tandem Catalysts,” Chem.3(2),323-333(2017)
【非特許文献8】Chengら、“Bifunctional catalysts for one-step conversion of syngas into aromatics with excellent selectivity and stability,” Chem 3.2: 334-347(2017)
【非特許文献9】Miaoら、“Selective Synthesis of Benzene,Toluene,and Xylenes from Syngas,” ACS Catal.10,7389-7397(2020)
【非特許文献10】National Energy Technology Laboratory,10.3.“Syngas Conversion to Methanol,”
【非特許文献11】Liuら、“Fermentative production of ethanol from syngas using novel moderately alkaliphilic strains of Alkalibaculum bacchi,” Bioresource Technology,Vol.104,pp.336-341(January 2012)
【非特許文献12】Michael Koepkeら、“Fermentative production of ethanol from carbon monoxide” Current Opinion in Biotechnology,Vol.22,Issue 3,pp.320-325(June 2011)
【非特許文献13】Wangら、“Conversion of Methanol to Aromatics in Fluidized Bed Reactor,” Catalysis Today,233,8-13(2014)
【非特許文献14】Juybarら、“Conversion of Methanol to Aromatics Over ZSM-5/11 Intergrowth Zeolites and Bimetallic Zn-Cu-ZSM-5/11 and Ga-Ag-ZSM-5/11 Catalysts Prepared with Direct Synthesis Method,” J.Chem.Sci.131:104(2019)
【非特許文献15】Xuら、“Effect of Metal on the Methanol to Aromatics Conversion Over Modified ZSM-5 in the Presence of Carbon Dioxide,” RSC Adv.7,10729-10736(2017)
【非特許文献16】Gongら、“High-Efficiency Conversion of Methanol to BTX Aromatics Over a Zn-Modified Nanosheet-HZSM-5 Zeolite,” Ind.Eng.Chem.Res.60,1633-1641(2021)
【非特許文献17】Shoinkhorovaら、“Highly Selective and Stable Production of Aromatics via High-Pressure Methanol Conversion,” ACS Catal.11,3602-3613(2021)
【非特許文献18】Hamiehら、“Methanol and Ethanol Conversion into Hydrocarbon over H-ZSM-5 Catalyst,” Eur.Phys.J.Special Topics,224,1817-1830(2015)
【非特許文献19】Inabaら、“Ethanol Conversion to Aromatic Hydrocarbons over Several Zeolite Catalysts,” React.Kinet.Catal.Lett.,88,135-142(2006)
【非特許文献20】Ivanovnaら、“Effect of Temperature on Ethanol Conversion over the Surface of Zr-modified Zeolite ZSM-5,” Catal.Sustain.Energy,2,83-86(2015)
【非特許文献21】Krogul-Sobczakら、“Reduction of Nitrobenzene to Aniline by CO/H2O in the Presence of Palladium Nanoparticles,” Catalysts,9(5),404(2019)
【非特許文献22】Ben Talebら、“Catalytic reduction of nitrobenzene to aniline with aqueous methyl formate,” J.Organometallic Chem.,456(2)263-2697(1993)
【非特許文献23】Kralikら、“The Story of 4-Aminodiphenylamine,” Proc.6th Int’l Conf.on Chemical Technology,pp.319-325(2018)
【非特許文献24】Robert A.Smiley,“Phenylene- and Toluendiamines” in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,pp.617-622(15 June 2000)
【非特許文献25】Satapathyら、“Synthesis of Ethylene Glycol from Syngas via Oxidative Double Carbonylation of Ethanol to Diethyl Oxalate and Its Subsequent Hydrogenation,” ACS Omega,3(9)pp.11097-11103(2018)
【非特許文献26】Zhangら、“One-pass selective conversion of syngas to para-xylene,” Chem Sci.,8(12)pp.7941-7946(2017)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0008]1つの実施形態に従って、タイヤ形成用添加物を形成する方法は破砕タイヤおよび/または破砕タイヤのゴム含有成分を合成ガスに変換するステップを含む。ベンゼンおよび/またはアルキル置換ベンゼンは合成ガス中の一酸化炭素および水素から合成される。アニリンおよび/またはアルキル置換アニリンはベンゼンおよび/またはアルキル置換ベンゼンから合成される。タイヤ形成用添加物はアニリンおよび/またはアルキル置換アニリンから合成される。タイヤ形成用添加物は劣化防止剤、加硫促進剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0010】
[0009]別の実施形態に従って、タイヤ形成用添加物を形成するシステムは、破砕タイヤが合成ガスに変換される第1の反応器;第1の反応器と流体接続され、合成ガス中の一酸化炭素および水素からベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つを合成するように構成された第2の反応器;第2の反応器と流体接続され、ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つからアニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つを合成するように構成された第3の反応器;および第3の反応器と流体接続され、アニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つからタイヤ形成用添加物を合成するように構成された第4の反応器を含む。タイヤ形成用添加物は劣化防止剤、加硫促進剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0011】
[0010]別の実施形態に従って、タイヤまたはその成分を形成する方法は、破砕タイヤを合成ガスに変換するステップと;合成ガス中の一酸化炭素および水素からベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つを合成するステップと;ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つからアニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つを合成するステップと;アニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つから少なくとも1つのタイヤ形成用添加物を合成するステップであって、少なくとも1つのタイヤ形成用添加物は、劣化防止剤、加硫促進剤、およびこれらの組合せからなる群から選択されるステップと;少なくとも1つのタイヤ形成用添加物を、合成ガス中の一酸化炭素および水素から形成され得るゴムポリマーと混ぜ合わせるステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0011]廃タイヤを再利用するための循環経路の模式図である。
図2】[0012]廃タイヤの原料物質への変換方法を示す。
図3】[0013]破砕タイヤのタイヤ形成用添加物への変換のためのシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0014]廃タイヤ、またはその他スクラップタイヤからタイヤ製造の原料を生成するためのシステムおよび方法が記載される。方法で使用されるELTには、自動車タイヤ、トラックタイヤ、航空機タイヤ、自転車タイヤ、オートバイタイヤ、オフロード車用タイヤ、などのような車両用タイヤ(およびその部品)、特に空気入りおよび非空気入りタイヤを含めた天然および/または合成ゴムを含有するタイヤが含まれ得る。
【0014】
[0015]例示されるアプローチは使用済みタイヤの、石油起源から得られる原料物質と実質的に同じ高品質原料への再利用を可能にする。その結果として、生成されるゴム薬品は対応する石油起源のものと同じ化学組成を有するので、性質または性能の弱点は予想されない。このアプローチはタイヤの物質循環を可能にし、廃棄物を低減し、より効率の良い資源の使用を提供する。
【0015】
[0016]図1を参照すると、ELTを再利用する循環経路の概観が示される。バルクの出発材料は予め形成されたタイヤ(および/またはそのゴム含有成分)10であり、使用後スクラップにされていてもよい。したがって出発材料10は、天然ゴムおよび合成ゴム(例えば、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、および/またはハロゲン化ポリイソブチレンゴム)のようなゴム、トレッド部分内でベルトを形成するスチールコード、補強材(例えば、ゴム層内でボディープライを形成するポリエステル、レーヨン、またはナイロンコードのような織物、充填材(例えばカーボンブラックおよびシリカ)、ならびに酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、および加硫促進剤のようなゴム形成添加物の組合せであり得る。
【0016】
[0017]出発材料10は破砕されて破砕タイヤ12を形成する。金属コードおよびいくらかの織物はこのプロセスで除去され得る。破砕タイヤ12はガス化プロセスによって反応生成物14に変換され得る。さらに、他の原料がガス化プロセスに供され得る。反応生成物14は大部分が合成ガスまたはsyngasとして知られる一酸化炭素と水素の気体混合物である。反応生成物14はさらに有機および無機不純物、すなわち、水素ガスおよび一酸化炭素ガス以外の成分を、バルクの出発材料10に応じた量で含む。これらの不純物はかなりの量の二酸化炭素(CO)および水(HO)を含み得る。不純物は除去されるか、または少なくとも低減されて精製された合成ガス16を生成する。精製された合成ガスは水素ガスおよび一酸化炭素ガスならびに任意に少量の不純物、例えば0-5wt.%の不純物または1wt.%以下の不純物を含む。
【0017】
[0018]精製された合成ガス16の少なくとも一部は化学変換プロセスによってベンゼン18および/またはアルキル置換ベンゼンに変換される。ベンゼン18(および/またはアルキル置換ベンゼン)はアニリン20(および/またはアルキル置換アニリン)に変換される。アニリン20(および/またはアルキル置換アニリン)は1つまたは複数のゴム形成添加物22、例えば劣化防止剤(例えば、酸化防止剤およびオゾン劣化防止剤)および加硫促進剤に変換される。
【0018】
[0019]任意に、精製された合成ガス16の少なくとも一部は1つまたは複数の他のゴム形成モノマー、例えば1つまたは複数の炭化水素、例えばC-C10アルケン、例えばブタジエン、イソプレン、および/またはイソブチレン;ビニルアレーン、例えばスチレン;および/または液体炭化水素の混合物、例えばナフサに変換される。他のゴム形成モノマーとしてC-C10アルコールがある。かかるゴム形成モノマーの混合物が形成されてもよい。
【0019】
[0020]1つの実施形態において、ゴム形成モノマーは、例えばFischer-Tropschプロセスによって形成されるナフサ26を含む。任意に、ナフサ26の少なくとも一部は1,3-ブタジエン28に変換され得、これは合成ゴムポリマー、特にブタジエン系ゴム30を形成するためのモノマーとして使用されることができる。任意に、ナフサの少なくとも一部はポリエチレンテレフタレート(PET)系またはナイロン系織物およびコードのような補強材32に変換され得る。さらに、または代わりに、ナフサはベンゼンに変換されてもよい。
【0020】
[0021]合成ガスから誘導される生成物22、30、32は新しいタイヤ34またはその成分を形成するために原料として使用されることができる。
[0022]図2を参照すると、タイヤ生産のための原料物質を形成する方法が示される。方法はS100で始まる。S102で、予め形成された(例えば、スクラップ)タイヤが出発材料10として得られる。
【0021】
[0023]S104で、出発材料10は破砕されて破砕タイヤ12を形成する。この工程は補強材および金属の少なくともいくらかの除去を含み得る。
[0024]S106で、破砕タイヤ12は、破砕された出発材料10を一酸化炭素ガスおよび水素ガスを含有する反応生成物14に変換するガス化プロセス(または他の適切な反応プロセス)に供される。
【0022】
[0025]任意に、S108で、他の原料がガス化プロセスに供されてもよい。
[0026]S110で、反応生成物14が精製され得て、有機および無機不純物、すなわち、水素ガスおよび一酸化炭素ガス以外の成分を除去し、結果として(比較的)純粋な合成ガス16、例えば、一酸化炭素および水素がガスの少なくとも70wt.%または少なくとも80wt.%または少なくとも90wt.%を構成するもの、および/または他の無機物質が5wt.%以下、または1wt.%以下、または0.2wt.%以下を構成するものをもたらす。
【0023】
[0027]S112で、精製された合成ガス16の少なくともいくらかが化学変換プロセスによって直接または間接にベンゼン18および/またはアルキル置換ベンゼンに変換され得る。
【0024】
[0028]S114で、任意に置換されてもよいベンゼン18がアニリン20および/またはアルキル置換アニリンに変換される。
[0029]S116で、任意に置換されてもよいアニリン20が1つまたは複数のゴム形成添加物22、例えば酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、および加硫促進剤(硬化剤)に変換される。
【0025】
[0030]S118で、任意に、精製された合成ガス16の少なくともいくらかが、例えばFischer Tropschプロセスによってナフサ26に、または例えばガス発酵プロセスによってエタノールに変換され得る。
【0026】
[0031]S120で、S118で生成されたナフサまたはエタノール26の少なくとも一部がジエン化合物、例えば1,3-ブタジエン28に変換され得る。
[0032]S122で、S120で生成された1,3-ブタジエン28または他のジエンの少なくとも一部がホモポリマーまたはコポリマー、例えばブタジエン系ゴム形成ポリマー30に変換され得る。
【0027】
[0033]S124で、S118で生成されたナフサまたはエタノール26の少なくとも一部がタイヤ成分として使用される補強材32、例えばポリエチレンテレフタレート系物質またはナイロン系物質、例えば、織物およびコードに変換され得る。
【0028】
[0034]S126で、合成ガスから誘導された生成物30、32、22の1つまたは複数は原料として使用されて新しいタイヤ34またはその成分、例えばタイヤサイドウォールおよび/またはタイヤトレッドを形成し得る。
【0029】
[0035]方法はS128で終了するか、またはS102に戻り得、そこでタイヤは使い古されたらその後に再生される。方法のさらなる詳細は以下に記載される。
廃棄材料の調製(S104)
[0036]この工程では、廃棄タイヤが主として金属タイヤヤーンの除去によって脱金属化され、1cm未満、例えば、2、3mmの平均寸法に粒状化される。
合成ガス生成(S106)
[0037]ガス化は蒸気、一酸化炭素、酸素(例えば、空気として)、またはこれらの混合物で行なわれることができる。反応温度は少なくとも700℃、または少なくとも1000℃、または2000℃以下であり得る。圧力は大気圧以上であり得る。高圧ガス化は0.1MPaまたはそれ以上、例えば0.5MPa以下で行なわれ得る。
【0030】
[0038]いくつかのタイプのガス化装置構成が廃棄物出発材料のガス化のために利用可能であり:これらには:
[0039](1)向流固定床ガス化装置または並流固定床ガス化装置であることができる固定床ガス化装置;
[0040](2)流動床ガス化装置;
[0041](3)同伴流ガス化装置;および
[0042](4)プラズマガス化装置
がある。
【0031】
[0043]各々のタイプのガス化装置は大気圧またはより高い圧力で作動するように設計されることができる。高圧タイプの作動で水添ガス化(水素に富む雰囲気でのガス化)プロセスが最適化され、生成物ガスの品質が改良されることができる。異なる原料および異なるプロセス要件に適合するために、(i)湿ったまたは乾いた原料の使用、(ii)空気または酸素の使用、(iii)ガス化装置内の流れ方向-上昇流、下降流、または循環流、および(iv)合成ガスおよびその他のガス状生成物のための冷却プロセスによって区別されるいくつかのガス化装置設計がある。ガス化方法のさらなる詳細はJames G.Speight、“Synthesis Gas: Production and Properties,” John Wiley & Sons,Inc.(2020)に見出される。廃タイヤに特に適したガス化方法は例えば、Konstantin V.Slyusarskiyら“Scrap car tires gasification at high pressure in atmosphere of steam and carbon dioxide,” AIP Conf.Proc.2422,030007(2021);Iskender Gokalpら、“A Techno-economic Feasibility Analysis of the Gasification of Used Tires for Energy Generation in Turkey,” Detritus,7,pp.68-75(2019)Publisher,Cisaに記載される。
【0032】
[0044]ELTは流動床ガス化装置で効率的にガス化されることができる。3~10時間の期間800~900℃のガス化温度が使用され得る。タイヤは過熱蒸気でガス化され得る(例えば、反応からの廃熱で加熱される)。タイヤは最初に高温でチャーに変換され得、その後チャーと過熱蒸気の反応が続く。
【0033】
[0045]プラズマガス化も廃棄タイヤのガス化に適している。プラズマはガス化プロセスにおいて2つの異なるやり方で、最初にガス化中の熱源として、次に標準的なガス化の後タールクラッキングのために使用される。本明細書で述べられる主要な原料は廃棄タイヤであるが、タイヤは他の原料、例えば他のゴム材料、プラスチックおよびバイオマス廃棄物(植物由来廃棄物)と混ぜ合わせられることができる。他の伝統的なガス化プロセスと比較して、プラズマガス化は原料が非常に高い温度でガス化されることを可能にし、タール形成を除外/低減し、高い変換率を達成することができる。高い作動温度は原料および/またはすべての危険で有毒な成分をそれぞれの基本的な構成成分に破壊し、ガス化ゾーンで起こる様々な反応の動力学を劇的に増大し、すべての有機物質を水素および一酸化炭素に変換する。ガス化装置内で反応する原料はその基本的な要素に変換されるので、危険な廃棄物さえ有用な合成ガスになる。原料中の無機物質は融解し、ガラス様のスラグに融合するが、これは無害であり、路床建造および屋根葺き材料のような様々な用途に使用されることができる。
【0034】
[0046]プラズマガス化は、より大きい原料柔軟性(例えば、都市固体廃棄物、バイオマス、タイヤ、危険廃棄物、および自動車シュレッダー廃棄物のような原料が混合されることができる);炭素質物質の合成ガスへの高い変換率(>99%);合成におけるタールの不在;ほとんどまたは全くないチャー、灰分、または残留炭素の生成;および低い二酸化炭素排出を含めていくつかの利益を提供する。
【0035】
[0047]結果として、顆粒の少なくとも70wt.%、または少なくとも80wt.%、または約95wt.%が合成ガスに変換されることができ、残りは不活性灰分(無機物)であり、これは除去されることができる。
他の原料の組み込み(S108)
[0048]方法は廃棄タイヤのガス化に限定されない。元素の水素および炭素に富む他の原料も廃棄タイヤと別にまたはそれと共にガス化され得る。かかる原料は他のゴム製品、例えばゴム系ホース、バイオマス(植物由来材料)、プラスチック、などを含み得る。代表的な実施形態において、これら他の原料の合計の、合成ガス生産に使用される破砕タイヤ原料に対する比は乾燥重量で1:1未満である。
反応生成物の精製(S110)
[0049]様々な合成ガス生成プロセスにより生成される合成ガス14は水蒸気で飽和してもよく、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタンならびに他の汚染物質、例えば硫化水素(HS)、および他の微量成分の混合物を含有し得る。したがって、反応生成物14は一般に乾燥され、気体不純物を除去するために洗われ、固体反応生成物を除去するためにろ過される。
【0036】
[0050]さらに、合成ガス中のH/COモル比は下流工程の要件に合うように調節され得る。これらの下流工程は広い範囲の気体、液体、および/または固体原料の1つまたは複数、例えばベンゼンを形成することを含み得る。
【0037】
[0051]異なる下流工程は特定の合成ガス組成(ならびに他の汚染物質の制限)の利益を得るので、合成ガスは以下のプロセスの1つまたは複数により調整され得る:
[0052]水性ガスシフト:H/COモル比を増大するために、水性ガスシフト反応を使用して合成ガス中のCO含量の一部分をCOおよび追加のHに変換し得る:
CO+HO→CO+H (1)
[0053]専用の高圧水性ガスシフト反応器および適切な触媒が使用され得る。例えば、Erlisa Barajら、“The water gas shift reaction: Catalysts and reaction mechanism,” Fuel,Vol.288,119817(15 March 2021)参照。
【0038】
[0054]酸性ガス除去(AGR):これはイオウ汚染物質および/またはCO除去のために使用され、周期的、再生可能、および/または溶媒吸収プロセスで行なわれ得る。これらのプロセスにおいて、液体溶媒はHSおよび/またはCOを選択的に除去するために吸収塔で合成ガスと向流で接触させられる。次いで放散塔で熱的に再生されて酸性ガスを解放する一方で吸収サイクルを再び始めるために溶媒を若返らせる。
【0039】
[0055]専用のAGR装置がこの目的で提供され得る。
[0056]メタン生成:この反応は炭素酸化物および水素をメタンおよび水に変換する:
CO+3H→CH+HO (2)
CO+4H→CH+2HO (3)
[0057]メタン生成反応はニッケル触媒により触媒され得る。メタノール工業において、メタン生成の2つの典型的な使用には:合成ガスを精製することおよび合成天然ガス(SNG)のためのメタンを生産することがある。
【0040】
[0058]専用のメタン生成装置がこの目的で提供され得る。
[0059]圧力スイング吸着(PSA):このプロセスは合成ガス流を分離し精製するために使用され得る。1つの実施形態において、純粋な水素流が生成され、これは次いでH/COモル比を変更し、および/またはタイヤを形成するための材料を形成するための反応物質として役立つために使用されることができる。水素流は少なくとも99wt.%水素、または少なくとも99.9wt.%水素であることができ、例えば、99.999%水素の純度が達成されることができる。
【0041】
[0060]様々な種類の吸着材(例えば、活性アルミナ、シリカゲル、活性炭、モレキュラーシーブ)が装填された多数の床を横切る吸着、均圧、除圧、ブローダウン、パージ、および再加圧の工程のタイムドサイクルを利用するPSA装置が使用され得る。例えば、Dong-Kyu Moonら、“H pressure swing adsorption for high pressure syngas from an integrated gasification combined cycle with a carbon capture process,Applied Energy,Vol.183,pp.760-774(2016年12月)参照。
【0042】
[0061]膜調節:膜ユニットは下流工程で使用される合成ガス流中のH/COモル比を調節する方法で使用されることができる。1つの実施形態において、調節はH/COモル比を低下させるために使用される。別の実施形態において、調節はH/COモル比を増大するために、例えば、HまたはCOの比較的高い純度の流れを生成するために使用される。
【0043】
[0062]一例の膜ユニットにおいて、合成ガスは凝縮できる炭化水素または水を除去するために冷却され、次いで膜に入る前に加熱される。膜において、水素は優先的に膜を通って透過し、精製された水素流を生成する。この結果残りの流れはより低い、または調節されたH/COモル比を有する。
【0044】
[0063]深冷分離:これは合成ガス流からのCOの分離のために、および/またはH/COモル比を調節する(例えば、低下させる)ために使用されることができる。合成ガスは最初に、極低温度で凍結することができるはずのあらゆる不純物、主として水および二酸化炭素を除去するために前処理される。次いで合成ガスの成分がその沸点の差を用いて分離される。
【0045】
[0064]すすおよび他の固体副産物の除去:このプロセスで、合成ガス流中の微粒子状物質(PM)(例えば灰分、タール(粘着性残渣)またはチャー(硬い固体付着物)の形態の未反応炭素、ならびに凝縮された塩素およびアルカリ化合物)が除去/低減される。PMは1つまたは複数の湿式または乾式PM除去システム、例えば水クエンチシステム、サイクロンおよび回転粒子分離機、メッシュタイプフィルター;キャンドルフィルター(セラミックまたは焼結金属)、水および/または油スクラバー、静電集塵機(湿式または乾式)、ならびにこれらの組合せを用いて除去されることができる。
【0046】
[0065]例えば、比較的低い温度で作動する熱分解反応器およびガス化装置からの合成ガスはタールを含有する傾向がある。タールは一般に芳香族含量の高い有機化合物の混合物であり、下流の反応器で除去するのが難しい付着物を形成することができる。タール除去プロセスには、熱的プロセス、例えば熱分解、触媒タールクラッキング、および部品酸化;ならびに物理的タール除去プロセス、例えば、スクラバーの使用、湿式静電気法、または沈降分離装置がある。
【0047】
[0066]水銀の除去:これは環境規制に適合するため、および/または下流工程で使用される触媒の汚染を回避するために行なわれ得る。合成ガスからの水銀除去は汚れた合成ガスをイオウ含侵活性炭と接触させることにより行なわれ得る。1つの実施形態において、水銀除去はPMおよびタール除去の後、そしてイオウおよびCO除去の前に行なわれる。
【0048】
[0067]合成ガス処理に関するさらなる詳細はhttps://globalsyngas.org/syngas-technology/syngas-conditioning-purification/で入手可能なGlobal Syngas Technologies Council、“Syngas Conditioning & Purification,” 2022に提供される。
タイヤを形成するための材料への合成ガスの変換(S112-S124)
[0068]合成ガスはいくつかのタイヤ形成材料の形成における有用な中間体である。
【0049】
[0069]図1および2に例示されるように、様々なゴムモノマーおよび化学添加物への合成ガス変換はガス発酵経路、化学反応経路、または両者の組合せによって行なわれることができる。合成ガスから生成されることができるモノマーにはブタジエン、イソプレン、スチレン、イソブチレン、エチレングリコール、テレフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、およびアジピン酸がある。これらのモノマーは合成ゴム(例えば、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレン、ブチルゴム、およびエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM))ならびに補強材(例えば、PETおよびナイロン-6,6)を形成するために使用されることができる。
【0050】
[0070]さらに、合成ガスは共通の中間体アニリンを介して劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤)および加硫促進剤のようなゴム形成添加物の合成のために使用されることができる。
合成ガスからベンゼンの合成(S112)
[0071]芳香族炭化水素、例えばベンゼンおよびC-Cモノ、ジ、またはトリアルキル置換ベンゼン、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、および/またはブチルベンゼンは、合成ガスからゼオライト系触媒を用いて直接、または間接に中間体を介して生成されることができる。
【0051】
[0072]使用され得るゼオライト系触媒にはZSM触媒(高いシリカ対アルミナ比の合成ゼオライト)がある。これらにはプロトン化形態(HZSM)、およびカチオンとして1種または複数の金属を有するもの(例えば、Na-ZSM、MnCr-ZSM、など)が含まれる。これらのゼオライト中のZSMの一般的な形態はZSM-5である(5は5Å(オングストローム)の孔径を意味する)。ZSM-11も使用され得る。
【0052】
[0073]合成ガスから芳香族化合物を合成するための1つの経路は触媒の組合せを含み、そのうちの一方はゼオライト系触媒であり得、他方は亜鉛系触媒であり得る。例えば、Zhaoら、“Direct Transformation of Syngas to Aromatics Over Na-Zn-Fe and Hierarchical HZSM-5 Tandem Catalysts,” Chem.3(2),323-333(2017)参照。2つの触媒がタンデムに使用され、Na-Zn-Feはオレフィン(特に、アルケン)を生成するのに使用され、HZSM-5(高いシリカ(Si)対アルミナ(Al)比の合成ゼオライト)は合成ガスの芳香族化合物への直接変換を提供する。混合物中のオレフィンは分離され、他の目的に使用されることができる。
【0053】
[0074]合成ガスの芳香族化合物への直接変換のための別の混合触媒はChengら、“Bifunctional catalysts for one-step conversion of syngas into aromatics with excellent selectivity and stability,” Chem 3.2: 334-347(2017)に記載されるZnドープZrOナノ粒子およびH-ZSM-5からなる二機能性触媒である。また、同様な多機能混合物触媒の使用を記載するMiaoら、“Selective Synthesis of Benzene,Toluene,and Xylenes from Syngas,” ACS Catal.10,7389-7397(2020)も参照。
【0054】
[0075]ベンゼンはまた、合成ガスからFischer-Tropsch(FT)プロセスによって生成されるナフサから合成されることもできる。FTプロセスはH/COモル比が2:1に近い合成ガスおよび適切な触媒を使用する。FT化学反応において、一酸化炭素および水素は次の式に従って様々な分子量の炭化水素誘導体に変換される:
(2n+1)H+nCO→C(2n+2)+nHO (4)
ここでnは整数である。触媒、温度、および使用されるプロセスのタイプに応じて、メタンからより高い分子量のパラフィン誘導体およびオレフィン誘導体までの範囲の炭化水素誘導体が得られることができる。反応生成物は所望の生成物または生成物の混合物に応じてディーゼル、ナフサ、および他の軽い液体の最終の生成物に分画される。
【0055】
[0076]ナフサは5~10個の炭素原子を含有する直鎖、または脂肪族炭化水素を意味する。ナフサをベンゼンに改質するために、ナフサは約450-550℃の温度で水素ガスと混合され、混合物を白金またはレニウムのような触媒上に大気圧を超える、例えば400~600kPaの範囲で通過させられる。このプロセスは脂肪族炭化水素をその対応する芳香族化合物に変換する。ベンゼンはナフサ中のヘキサンから形成され、混合物中の他の炭化水素から溶解および/または蒸留により分離されることができる。
【0056】
[0077]別の実施形態において、ベンゼン、トルエンおよびキシレンのような芳香族化合物は、合成ガスからメタノールまたはエタノールのいずれかを介して生成されることができる。合成ガスのメタノールへの変換は例えば、https://www.netl.doe.gov/research/coal/energy-systems/gasification/gasifipedia/methanol#:~:text=Methanol%20production%20from%20syngas%20is,day%20(t%2Fd)で入手可能なNational Energy Technology Laboratory,10.3.“Syngas Conversion to Methanol,”に記載されるように気相または液相で行なわれることができる。
【0057】
[0078]エタノールは発酵により合成ガスから生産され得る。各種の微生物、例えば、嫌気性細菌が発酵に使用されることができる。例にはBellらの米国特許第8,592,191号および同第11,186,811号に記載される酢酸生成菌、例えばアセトゲニウム・キブイ(Acetogenium kivui)、アセトアネロビウム・ノテラエ(Acetoanaerobium noterae)、アセトバクテリウム・ウッディイ(Acetobacterium woodie)、アルカリバクルム・バッキ(Alkalibaculum bacchi)CP11、プラウティア・プロデゥクタ(Blautia producta)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィクム(Butyribacterium methylotrophicum)、カルダナエロバクター・サブテラネウス(Caldanaerobacter subterraneous)、カルダナエロバクター・サブテラネウス・パシフィカム(Caldanaerobacter subterraneous pacificus)、カルボキシドテルムス・ヒドロゲノフォルマンス(Carboxydothermus hydrogenoformans)、クロストリジウム・アセチカム(Clostridium aceticum)、クロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)P262、クロストリジウム オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・カルボキシディボランス(Clostridium carboxidivorans)P7、クロストリジウム・コスカチイ(Clostridium coskatii)、クロストリジウム・ドラケイ(Clostridium drakei)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)PETC、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)ER12、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)C-01、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)O-52、クロストリジウム・マグナム(Clostridium magnum)、クロストリジウム・パストゥリアヌム(Clostridium pasteurianum)、クロストリジウム・ラグスダリ(Clostridium ragsdali)P11、クロストリジウム・スカトロゲネス(Clostridium scatologenes)、クロストリジウム・サーモアセチカム(Clostridium thermoaceticum)、クロストリジウム・ウルツネンス(Clostridium ultunense)、デスルホトマクルム・クズネツォビイ(Desulfotomaculum kuznetsovii)、ユウバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、ゲオバクター・スルフレデュセンス(Geobacter sulfurreducens)、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans)、メタノサルシナ・バーケリ(Methanosarcina barkeri)、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、ムーレラ・サーモオートトロフィカ(Moorella thermoautotrophica)、オキソバクター・フェニジイ(Oxobacter pfennigii)、ペプトストレプトコッカス・プロダクタス(Peptostreptococcus productus)、ルミノコッカス・プロダクタス(Ruminococcus productus)、サーモアナエロバクター・キブイ(Thermoanaerobacter kivui)、およびこれらの混合物がある。Bellらの方法は、CO/COモル比が少なくとも0.75であり得、合成ガスが少なくとも20モル%または少なくとも50モル%のCO、または少なくとも60モル%のCO、または少なくとも70モル%のCOである合成ガスを使用する。アルカリバクルム・バッキの菌株はまたLiuら、“Fermentative production of ethanol from syngas using novel moderately alkaliphilic strains of Alkalibaculum bacchi,” Bioresource Technology,Vol.104,pp.336-341(January 2012)でも使用される。他の発酵方法はMichael Kopkeら、“Fermentative production of ethanol from carbon monoxide” Current Opinion in Biotechnology,Vol.22,Issue 3,pp.320-325(June 2011)に記載される。また、米国特許出願公開第20100227377号;同第20100317074号;および同第20150337343号ならびに米国特許第5,173,429号も参照。
【0058】
[0079]あるいは、エタノールを形成するために、最初に合成ガスの水素および一酸化炭素が反応させられてメタノールを形成し、これが脱水されてジメチルエーテルのようなエーテルを生成する。形成されたエーテルは合成ガスからの未反応の一酸化炭素とのカルボニル化に付されて酢酸メチルのような酢酸エステルを提供する。形成された酢酸エステルは水素化分解に付されてエタノールを生成する。例えば、Lynchらの米国特許第9,115,046号参照。
【0059】
[0080]エタノールおよびメタノールの芳香族化合物への変換はZSM-5および/またはZSM-11をベースとするようなゼオライト系触媒を用いて行なわれることができる。例えば、Wangら、“Conversion of Methanol to Aromatics in Fluidized Bed Reactor,” Catalysis Today,233,8-13(2014);Juybarら、“Conversion of Methanol to Aromatics Over ZSM-5/11 Intergrowth Zeolites and Bimetallic Zn-Cu-ZSM-5/11 and Ga-Ag-ZSM-5/11 Catalysts Prepared with Direct Synthesis Method,” J.Chem.Sci.131:104(2019);Xuら、“Effect of Metal on the Methanol to Aromatics Conversion Over Modified ZSM-5 in the Presence of Carbon Dioxide,” RSC Adv.7,10729-10736(2017);Gongら、“High-Efficiency Conversion of Methanol to BTX Aromatics Over a Zn-Modified Nanosheet-HZSM-5 Zeolite,” Ind.Eng.Chem.Res.60,1633-1641(2021);Shoinkhorovaら、“Highly Selective and Stable Production of Aromatics via High-Pressure Methanol Conversion,” ACS Catal.11,3602-3613(2021);Hamiehら、“Methanol and Ethanol Conversion into Hydrocarbon over H-ZSM-5 Catalyst,” Eur.Phys.J.Special Topics,224,1817-1830(2015);Inabaら、“Ethanol Conversion to Aromatic Hydrocarbons over Several Zeolite Catalysts,” React.Kinet.Catal.Lett.,88,135-142(2006);およびIvanovnaら、“Effect of Temperature on Ethanol Conversion over the Surface of Zr-modified Zeolite ZSM-5,” Catal.Sustain.Energy,2,83-86(2015)参照。
ベンゼンからアニリンの合成(S114)
[0081]アニリンをベンゼンから合成する方法は特に限定されず、上に記載されたように従来公知の方法が生成されるベンゼンの変換に使用され得る。1つの実施形態において、二段階法が使用され得る。第1の段階において、ベンゼン(および/またはモノ、ジ、またはトリ-C-Cアルキル置換ベンゼン)がニトロベンゼン(および/またはモノ、ジ、またはトリ-C-Cアルキル置換ニトロベンゼン)に変換される。例えば、ベンゼンが濃硝酸と濃硫酸の酸混合物と反応させられてニトロベンゼンを形成する:
【0060】
【化1】
【0061】
[0082]第2の段階においては、得られたニトロベンゼンがBechamp還元または触媒還元のような還元技術によりアニリンに還元される:
【0062】
【化2】
【0063】
[0083]例えば、還元は100℃のような適切な温度でニトロベンゼンを塩酸および粉末状の鉄(触媒)と共に撹拌することを含み得る。
[0084]ニトロベンゼンのアニリンへの触媒還元はパラジウム(II)触媒の存在下で還元剤としてCO/HOの混合物を用いて行なわれることができる。Krogul-Sobczakら、“Reduction of Nitrobenzene to Aniline by CO/HO in the Presence of Palladium Nanoparticles,” Catalysts,9(5),404(2019)参照。
【0064】
[0085]ニトロベンゼンはまた、[Ru(CO)12]、Pd(OAc)、トリシクロヘキシルホスフィン、および1,10-フェナントロリンを含む触媒系の存在下で水性ギ酸メチルにより選択的にアニリンに還元されることもできる。例えば、Ben Talebら、“Catalytic reduction of nitrobenzene to aniline with aqueous methyl formate,” J.Organometallic Chem.,456(2)263-2697(1993)参照。
【0065】
[0086]別の方法において、アニリンはアンモニア化剤として水酸化アンモニウムを、酸素化剤として過酸化水素を用い、Ni、Cu、Ce、またはVを有するTS-1のようなチタンシリカライト-1(TS-1)系触媒の存在下、40~80℃の温度で、アセトニトリル、トリメチルカルビノール、またはN,N-ジメチルアセトアミドのような適切な溶媒中で単一の直接一段階アミノ化によりベンゼンから調製される。例えば、Sichuan Universityの中国特許出願公開第101906045号参照。
アニリンからゴム形成添加物の合成(S116)
[0087]合成ガスから誘導されるアニリン(および/またはモノ、ジ、またはトリ-C-Cアルキル置換アニリン)の使用例にはゴムの加硫のための加硫促進剤の合成および劣化防止剤/酸化防止剤の合成がある。
【0066】
[0088]1.加硫(硬化)促進剤のアニリンからの合成
[0089]加硫促進剤は加硫(硬化)の速度を増大し、および/または加硫がより低い温度でより効率よく進行するように許容するためにゴムコンパウンドに加えられる化学薬品である。加硫促進剤はまた加硫に必要なイオウの量を減少することもできる。
【0067】
[0090]1つの実施形態において、加硫促進剤は1個以上のチアゾール基を含むものである。チアゾール基を含む加硫促進剤の例には2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)およびジベンゾチアジルジスルフィドがある。MBTは、例えば、イオウの存在下でアニリンと二硫化炭素との反応によって合成されることができる。
【0068】
【化3】
【0069】
[0091]プロセスは例えばKellyの米国特許第1,631,871号またはBergfeldらの米国特許第5,367,082号に記載されるように行なわれることができる。形成される2-メルカプトベンゾチアゾールの酸化により、例えばTazumaの米国特許第4,463,178号に記載されるようにジベンゾチアジルジスルフィドが得られる。
【0070】
[0092]MBTは(2-2’-ジチオビス(ベンゾチアゾール))および(2-(4-モルホリノチオ)-ベンゾチアゾール)のような他のチアゾール基含有硬化促進剤;ならびに(N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)、(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)、(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)、(2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)、などのようなスルフェンアミド基含有促進剤の形成における中間体として使用されることができる。例えば、Geiserらの米国特許第4,755,608号、およびGraeberらの米国特許第4,859,778号は(2-2’-ジチオビス(ベンゾチアゾール))をMBTから調製するプロセスを記載する。MBTからスルフェンアミドを形成するプロセスは、例えば、Kinstlerの米国特許第3,658,808号に記載される。
【0071】
[0093]硬化促進剤の他の例は塩化シアンとアニリン(および/またはそれぞれのアルキル置換アニリン)の水溶液との反応とその後の水酸化ナトリウムによる中和により調製されることができるジフェニルグアニジンのようなジアリールグアニジンである。このプロセスは、例えば、Bergfeldらの米国特許第4,898,978号およびNierthらの同第4,739,117号に記載される。
【0072】
[0094]グアニジンをベースとする硬化促進剤はチアゾールおよびスルフェンアミド基含有促進剤のような一次促進剤を活性化するために二次促進剤として使用されることが多い。二次促進剤の使用量は一般に一次促進剤の10~40%である。
【0073】
[0095]合成ガスから誘導される代表的な加硫促進剤の1つまたは複数を含む加硫システムの一例は:
酸化亜鉛 3.0~10 phr
ステアリン酸 0.5~4 phr
促進剤 0.3~6 phr
イオウ 0.5~4 phr
を含み得、ここで全ゴム100部当たりの部(phr:parts per hundred)は模範例である。
【0074】
[0096]代表的な実施形態において、加硫システムに使用される硬化促進剤の少なくとも20wt.%または少なくとも50wt.%または少なくとも80wt.%または100wt.%以下が合成ガスから、特に上に記載された方法により例示されたようにベンゼン(および/またはアルキル置換ベンゼン)を介した合成ガスのアニリン(および/またはアルキル置換アニリン)への変換によって誘導される。
【0075】
[0097]2.アニリンから劣化防止剤の合成
[0098]劣化防止剤はオゾン劣化防止剤、酸化防止剤、およびこれらの機能の両方を有する化合物から選択されることができる。
【0076】
[0099]アニリンは様々な劣化防止剤を形成するのに使用されることができるアニリンの二量体である4-アミノジフェニルアミン(4-ADPA)を形成するのに使用されることができる。4-ADPAを調製する方法は以下を含む:
[0100](a)触媒の存在下で4-ニトロジフェニルアミンを生成するp-ニトロ-クロロベンゼンとアニリンの反応と、その後の硫化ナトリウムによる4-ニトロジフェニルアミンの4-アミノジフェニルアミンへの還元(例えば、Kunzらの米国特許第6,815,562号参照);
[0101](b)ギ酸をアニリンと反応させてホルムアニリドを調製し、これが次に炭酸カリウムのような酸結合剤の存在下でp-ニトロ-クロロベンゼンと反応して4-ニトロジフェニルアミンを生成する。4-ニトロジフェニルアミンは硫化ナトリウムにより還元されて4-アミノジフェニルアミンを形成する(例えば、米国特許第4,122,118号;同第4,140,716号;同第4,155,936号;同第4,187,248号;同第4,187,249号;同第4,196,146号;同第4,209,463号;同第4,670,595号;同第4,614,817号;同第4,683,332号;および同第4,782,185号参照);
[0102](c)有機溶媒中で亜硝酸塩を用いてジフェニルアミンをニトロソ化してN-ニトロソジフェニルアミンを生成し、これが無水塩酸の作用下で4-ニトロソジフェニルアミン塩酸塩に再配列される。4-ニトロソジフェニルアミン塩酸塩は塩基で中和されて4-ニトロソジフェニルアミンになり、これが硫化ナトリウムにより4-アミノジフェニルアミンに還元される。(例えば、米国特許第4,518,803号参照);
[0103](d)複合塩基触媒(complex base catalyst)の存在下でニトロベンゼンとアニリンを反応させて反応混合物を形成し、反応混合物を水素化して4-アミノジフェニルアミンを得る。複合塩基触媒の例には水酸化テトラアルキルアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム塩、および例えば米国特許第8,293,673号に記載されるアルカリ金属水酸化物または酸化物がある;
[0104](e)塩基の存在下でのアニリンとニトロベンゼンの直接カップリングで、副産物としていくらかのアゾベンゼンとフェナジンを伴う4-ニトロソジフェニルアミンと4-ニトロジフェニルアミンの混合物を得る。カップリング反応の後、水の存在下で触媒水素化により、4-ADPAおよび再生された塩基を得る。塩基は水性層の一部として分離され、プロセスに再利用される。4-ADPAは有機相の分留により得られる(例えば、米国特許第5,117,063号;同第5,453,541号;同第5,608,111号;同第5,623,088号;同第5,739,403号、同第5,977,411号;同第6,140,538号;同第6,365,933号;同第6,495,723号;同第6,583,320号;同第6,770,189号;同第7,084,302号;同第7,176,333号;同第7,183,439号;および同第7,235,694号参照)。
【0077】
[0105]アニリンからの4-アミノジフェニルアミンの他の調製方法の例はKralikら“The Story of 4-Aminodiphenylamine,” Proc.6th Int’l Conf.on Chemical Technology,pp.319-325(2018)に記載される。
【0078】
[0106]4-アミノジフェニルアミンはN-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-1,4-ベンゼンジアミン(6PPD)の合成においてアセトンまたはメチルイソブチルケトンと反応させられることができる。例えば、Nandyらの米国特許出願公開第20150045584号参照。1つの方法において、例えば2分子のアセトンのアルドール縮合により合成されることができるジアセトンアルコールが脱水されてメシチルオキシドに変換される。次いで、パラジウム触媒などを用いたメシチルオキシドの水素化によりメチルイソブチルケトンを得、これが上記4-アミノジフェニルアミンと反応させられる。6PPDはゴムコンパウンド中の酸化防止剤および/またはオゾン劣化防止剤として使用されることができる。
【0079】
[0107]アニリンはまたトリメチル-ジヒドロキノリン(TMQ)のような他の適切な劣化防止剤の合成の出発材料としても使用されることができる。TMQは重合したアニリン-アセトン縮合生成物をベースとする劣化防止剤である。例えば、米国特許第4,897,482号参照。個々の生成物は重合の程度により異なる。ベンゼンジアミンおよびトルエンジアミン、例えば1,4-ベンゼンジアミン(p-フェニレンジアミンとも呼ばれる)はアニリンをアンモニアと反応させることにより調製されることができる。例えば、Robert A.Smiley,“Phenylene- and Toluendiamines” in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,pp.617-622(15 June 2000)参照。Du Pontプロセスにおいて、例えば、アニリンが窒素酸化物を用いてジアゾ化される。ジアゾ化合物は過剰のアニリンと反応して1,3-ジフェニルトリアジンを生成し、これが酸性条件下で再配列して4-アミノアゾベンゼンになる。4-アミノアゾベンゼンは触媒により開裂され、水素化されてp-フェニレンジアミンとアニリンになる。アニリンは回収され、再利用されることができる。
【0080】
[0108]アニリンから形成されることができる酸化防止剤の他の例にはキノリン酸化防止剤、例えば2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンポリマー(DTPD)がある。2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンポリマーは80~150℃、例えば140℃の温度で、酸性触媒の存在下、必要に応じてアセトンを供給することによりアニリンから合成されることができる。例えば、Yoshimuraの米国特許第4,746,743号参照。アニリンはまたヒドロキノンとも反応してDTPDを生じる。ヒドロキノンがベンゼンのプロパンによるジアルキル化により形成され、1,4-ジイソプロピルベンゼンを得ることができる。この化合物が空気と反応してビス(ヒドロペルオキシド)になり、これが酸中で再配列してアセトンとヒドロキノンを与える。
【0081】
[0109]代表的な実施形態において、タイヤを形成するのに使用される酸化防止剤の少なくとも20wt.%または少なくとも50wt.%または少なくとも80wt.%または100wt.%以下が合成ガスから、特に、上に記載された方法により例示されたようにベンゼン(および/またはアルキル置換ベンゼン)を介した合成ガスのアニリン(および/またはアルキル置換アニリン)への変換によって誘導される。
【0082】
[0110]上の反応に使用されるアセトンは以下のように生成されることができる:
[0111]1.合成ガス(特に、CO成分)のエタノールへの変換;および
[0112]2.エタノールのアセトンへの変換。
【0083】
[0113]第1の工程は以下でS118についてさらに詳細に記載されるガス発酵により行なわれ得る。第2の工程は以下のプロセスの1つを含み得る:
[0114](a)(例えば、水和された形態で)生成されたエタノールをZr-Fe触媒の存在下400℃以上の温度で加熱する。Zr-Fe触媒はZrを担持する鉄酸化物(ヘマタイト)をベースとする触媒であり得、ここでZr含量は2~10wt.%であり得る。例えば、Masudaらの米国特許第7,973,199号参照。
【0084】
[0115](b)エタノールをZnO/CaO触媒、などのような混合酸化物触媒による変換反応に付す。例えば、Smithらの米国特許出願公開第20170226028号参照。
【0085】
[0116](c)脱水反応を使用してエタノールからエチレンを合成し、次いでエチレンからプロピレンを合成し、プロピレンを水和反応に付してイソプロパノールを調製し、続いて脱水素化する。例えば、Kamiguchiらの米国特許第4,605,776号参照。
ナフサまたはエタノールの合成ガスからの合成(S118)
[0117]1つの実施形態において、ナフサは上のS112において記載された化学変換により合成ガスから生成される。
【0086】
[0118]1つの実施形態において、エタノールは上のS112に記載された発酵または化学変換により合成ガスから生成される。
エタノールから合成ゴムの合成(S120~S122)
[0119]エタノールから合成されることができる(例えば、S118で生成される)タイヤ用の適切な合成ゴムの例にはスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)およびエマルションブタジエンゴム(EBR)がある。
【0087】
[0120]スチレンブタジエンゴムは完全に合成ガスから作成されることができる。ブタジエンは合成ガスからエタノールまたは直接のガス発酵を介して誘導されることができる一方、スチレンは合成ガスからベンゼンを介することができる。1つの実施形態において、1,3-ブタジエンはS120で、合成ガスから生成されたエタノールを、ゼオライト、アルミナ、チタン化合物、硫酸イオンに支持されたジルコニア、およびWOに支持されたジルコニアのような固体の酸触媒の存在下高温で反応させることにより生成される。別の実施形態において、1,3-ブタジエンは、エタノールを酸化してアセトアルデヒドを形成し、続いてタンタル/二酸化ケイ素触媒の存在下で追加のエタノールを添加し、次いで加熱することにより得られる。これにより、タイヤ用の合成ゴムが廃棄材料から生成されることが可能になる。別の実施形態において、このプロセスで使用されるエタノールはバイオマス(植物材料)から誘導されたバイオエタノールである。これらのアプローチはいずれも合成ゴムを形成するために石油系材料を使用する必要性を低減または除外する。
【0088】
[0121]SBRはS122でスチレンと1,3-ブタジエンの共重合により生成されることができる。BRは1,3-ブタジエンの重合により生成されることができる。
[0122]スチレン-ブタジエンゴムを形成するのに使用されるスチレンはFriedel-Crafts反応などによるベンゼンのエチル化とそれに続く得られたエチルベンゼンの鉄触媒などによる脱水素化により形成されることができる。Friedel-Crafts反応で使用されるエチレンは、例えば、例えばエタノールの脱水により生成されることができる。
エタノールまたはナフサの補強材への変換(S124)
[0123]タイヤ用の補強材も上で誘導されるように生成されるエタノールおよびナフサから誘導されることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)がエチレングリコールとテレフタル酸から形成されることができる。エチレングリコールはエタノールから生成されることができる。例えば、ツーステッププロセスを記載するSatapathyら、“Synthesis of Ethylene Glycol from Syngas via Oxidative Double Carbonylation of Ethanol to Diethyl Oxalate and Its Subsequent Hydrogenation,” ACS Omega,3(9)pp.11097-11103(2018)参照。第1のステップにおいて、シュウ酸ジエチルが、リガンドのない再生利用可能なPd/C触媒を用いるエタノールと一酸化炭素(CO)の酸化二重カルボニル化によって選択的に合成される。第2のステップにおいて、生成されたシュウ酸ジエチルは引き続き[2-(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)-6-(ジエチルアミノメチル)ピリジン]ルテニウム(II)クロロカルボニルヒドリドを用いた水素化を受けてエチレングリコールおよびエタノールを形成する。生成されたエタノールは再利用されて二重カルボニル化のための第1のステップに戻されることができる。テレフタル酸を形成するための出発材料であるパラ-キシレンはハイブリッド触媒Cr/Zn-Zn/Z5@S1を用いた合成ガスのワンパス変換で生成されることができる。例えば、Zhangら、“One-pass selective conversion of syngas to para-xylene,” Chem Sci.,8(12)pp.7941-7946(2017)参照。Zhangはパラ-キシレンがナフサの触媒改質によっても生成されることができると指摘する。
【0089】
[0124]Amocoプロセスにおいて、例えば、テレフタル酸はp-キシレンの触媒酸化により生成される:
【0090】
【化4】
【0091】
タイヤを形成する(S126)
[0125]上記のように得られるタイヤ用のゴム形成添加物およびタイヤ用の合成ゴムはタイヤまたはその一部(例えば、トレッド、サイドウォール、等)のためのゴム組成物を調製するのに使用され得る。タイヤ形成組成物は1種以上の合成および/または天然ゴムを含み得る。タイヤ用の合成ゴムの例にはスチレンブタジエンゴム(SBR)、およびブタジエンゴム(BR)がある。
【0092】
[0126]上記ポリマー成分に加えて、ゴム組成物は一般にゴム工業で通常使用される他の配合剤、例えば無機充填材(例えば、カーボンブラック、シリカ、粘土、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム)、シランカップリング剤、プロセス油、軟化剤、加硫促進剤、および加硫促進性助剤を含有する。ゴム組成物は上に記載されたように廃棄タイヤから誘導される酸化防止剤、加硫促進剤および合成ゴムを一部含有し得る。
【0093】
[0127]ゴム組成物は公知の方法により生成され得る。例えば、組成物はオープンロールミル、Banburyミキサー、および内部ミキサーのようなゴム混錬機で成分を混錬し、得られる混合物を加硫することにより生成されることができる。
【0094】
[0128]空気入りタイヤはゴム組成物を用いる伝統的な方法により生成されることができる。具体的には、必要に応じた成分を含有する未加硫のゴム組成物が押し出され、タイヤ部品の形状に加工処理され、その後タイヤ製造機での成形に付されて未加硫のタイヤを形成する。その後、未加硫のタイヤは加硫機で加熱加圧されてタイヤを生成する。
【0095】
[0129]上記のように調製されるアニリンの使用はタイヤのためのゴム薬品の生産に使用される石油資源、例えば酸化防止剤および加硫促進剤の量の低減に貢献し、またかかるタイヤのためのゴム薬品の石油資源を使用しない生産を可能にする。
【0096】
[0130]図3に示されるように、タイヤ形成用添加物を形成するためのシステム40はS106に関連して記載されたように破砕タイヤが合成ガスに変換される第1の反応器(または複数の反応器)42;第1の反応器に流体接続され、S112に関連して記載されたように合成ガス中の一酸化炭素および水素からベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つを合成するように構成された第2の反応器(または複数の反応器)44;第2の反応器に流体接続され、S114に関連して記載されたようにベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つからアニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つを合成するように構成された第3の反応器(または複数の反応器)46;第3の反応器に流体接続され、アニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つからタイヤ形成用添加物22を合成するように構成された第4の反応器(または複数の反応器)48を含み得る一連の反応器を含み、ここでタイヤ形成用添加物は劣化防止剤、加硫促進剤、およびこれらの組合せから選択される。了解されるように、追加の反応器が反応器の列または列内の反応器に出入りする供給系に組み込まれてもよい。追加の反応器は1つまたは複数の工程S110、S118、S120、S122、およびS124を実行するように構成され得る。
【0097】
[0131]上述の各々の参考文献の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
[0132]上記開示およびその他の特徴および機能の変形、またはそれらの代替は多くの他の異なるシステムまたは適用に組み合わせられ得ることが了解される。その点の様々な現在予見されないまたは予期されない代替、変更、変化または改良が後に当業者によりなされ得、それらもまた以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0098】
[発明の態様]
[1]
タイヤ形成用添加物を形成する方法であって、
破砕タイヤおよび破砕タイヤのゴム含有成分の少なくとも1つを合成ガスに変換すること;
合成ガス中の一酸化炭素および水素から、ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つを合成すること;
ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つから、アニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つを合成すること;ならびに
アニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つから、タイヤ形成用添加物を合成すること、ここでタイヤ形成用添加物は、劣化防止剤、加硫促進剤およびこれらの組合せからなる群から選択される、
を含む、方法。
[2]
劣化防止剤が酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される、1に記載の方法。
[3]
劣化防止剤の合成が、アニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つから4-アミノジフェニルアミンを合成すること、および4-アミノジフェニルアミンから劣化防止剤を合成することを含む、1に記載の方法。
[4]
劣化防止剤が、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-1,4-ベンゼンジアミン、1,4-ベンゼンジアミン、4-アミノジフェニルアミンのN,N’-フェノール誘導体、4-アミノジフェニルアミンのトリル誘導体、トリメチル-ジヒドロキノリン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、1に記載の方法。
[5]
加硫促進剤がチアゾール基含有化合物、スルフェンアミド基含有化合物、ジアリールグアニジン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、1に記載の方法。
[6]
加硫促進剤が、
2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、(2-2’-ジチオビス(ベンゾチアゾール))および(2-(4-モルホリノチオ)-ベンゾチアゾール)からなる群から選択されるチアゾール基含有化合物;
(N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)、(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)、(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)および(2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)からなる群から選択されるスルフェンアミド基含有化合物;
ジアリールグアニジン;ならびに
これらの混合物
よりなる群から選択される、1に記載の方法。
[7]
ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つの合成が、ゼオライト系触媒を含む触媒系を用いた、合成ガス中の一酸化炭素および水素の触媒変換を含む、1に記載の方法。
[8]
触媒系が亜鉛系触媒をさらに含む、7に記載の方法。
[9]
ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つの合成が、合成ガス中の一酸化炭素および水素のナフサへの変換、ならびにナフサを改質してベンゼンを生成することを含む、1に記載の方法。
[10]
アニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つを合成することが、 ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つからニトロベンゼンおよびアルキル置換ニトロベンゼンの少なくとも1つを合成すること、ならびに
ニトロベンゼンおよびアルキル置換ニトロベンゼンの少なくとも1つからアニリンおよびアニリンのアルキルの少なくとも1つを合成すること
を含む、1に記載の方法。
[11]
ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つを合成することがゼオライト系触媒を用いて行なわれる、1に記載の方法。
[12]
合成ガスのH/COモル比を変更することをさらに含む、1に記載の方法。
[13]
合成ガスのイオウ含量を低下させることをさらに含む、1に記載の方法。
[14]
合成ガスから灰分を分離することをさらに含む、1に記載の方法。
[15]
廃タイヤを破砕することにより破砕タイヤを形成することをさらに含む、1に記載の方法。
[16]
合成ガスからゴムポリマーを合成すること、およびゴムポリマーをタイヤ形成用添加物と組み合わせることをさらに含む、1に記載の方法。
[17]
合成ガスから補強材を合成すること、および補強材をタイヤ形成用添加物およびゴム形成ポリマーから誘導されたゴム組成物と組み合わせることをさらに含む、1に記載の方法。
[18]
1に記載の方法により形成された加硫促進剤を酸化亜鉛、ステアリン酸およびイオウと組み合わせるステップを含む硬化系を形成する方法。
[19]
1に記載の方法により形成されたタイヤ形成用添加物をゴム形成ポリマーと組み合わせるステップを含む、タイヤまたはその部品を形成する方法。
[20]
タイヤ形成用添加物を形成するためのシステムであって、
第1の反応器、第1の反応器内で破砕タイヤが合成ガスに変換される;
第1の反応器と流体接続され、合成ガス中の一酸化炭素および水素からベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つを合成するように構成された第2の反応器;
第2の反応器と流体接続され、ベンゼンおよびアルキル置換ベンゼンの少なくとも1つからアニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つを合成するように構成された第3の反応器;ならびに
第3の反応器と流体接続され、アニリンおよびアルキル置換アニリンの少なくとも1つからタイヤ形成用添加物を合成するように構成された第4の反応器
を含み、タイヤ形成用添加物は劣化防止剤、加硫促進剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、システム。
【符号の説明】
【0099】
10 出発材料
12 破砕タイヤ
14 反応生成物
16 精製された合成ガス
18 ベンゼン
20 アニリン
22 ゴム形成添加物、タイヤ形成用添加物
26 ナフサ
28 1,3-ブタジエン
30 ブタジエン系ゴム
32 補強材
34 新しいタイヤ
40 システム
42 第1の反応器
44 第2の反応器
46 第3の反応器
48 第4の反応器
S100 開始
S102 廃タイヤおよび/またはタイヤのゴム含有成分を得る
S104 タイヤを破砕し、補強材および金属成分を除去する
S106 破砕タイヤをガス化して、合成ガス成分を含む反応生成物を形成する
S108 他の原料をガス化プロセスに組み込む
S110 反応生成物を精製して合成ガスを形成する/CO/H比を調節する
S112 精製された合成ガスを直接または間接にベンゼンまたは置換ベンゼンに変換する
S114 場合により置換されたベンゼンをアニリンまたは置換アニリンに変換する
S116 場合により置換されたアニリンを劣化防止剤および加硫促進剤から選択される少なくとも1つの添加物に変換する
S118 精製された合成ガスをナフサまたはエタノールに変換する
S120 ナフサまたはエタノールをジエンに変換する
S122 ジエンを合成ゴムを形成するためのポリマーに変換する
S124 ナフサまたはエタノールを補強材に変換する
S126 添加剤、ゴム形成ポリマー、および場合により他の成分からタイヤまたはその成分を形成する
S128 終了
図1
図2
図3
【外国語明細書】